衆議院

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第2号 平成22年10月26日(火曜日)

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平成二十二年十月二十六日(火曜日)

    午前十時一分開議

 出席委員

   委員長 山田 正彦君

   理事 石津 政雄君 理事 梶原 康弘君

   理事 佐々木隆博君 理事 仲野 博子君

   理事 森本 哲生君 理事 谷  公一君

   理事 宮腰 光寛君 理事 石田 祝稔君

      網屋 信介君    石田 三示君

      石原洋三郎君    石山 敬貴君

      今井 雅人君    金子 健一君

      川口  博君    京野 公子君

      小林 正枝君    近藤 和也君

      篠原  孝君    田名部匡代君

      高橋 英行君    高松 和夫君

      玉木雄一郎君    筒井 信隆君

      道休誠一郎君    中野渡詔子君

      中屋 大介君    野田 国義君

      福島 伸享君    福田衣里子君

      藤田 大助君    皆吉 稲生君

      柳田 和己君    山岡 達丸君

      山口 和之君    赤澤 亮正君

      伊東 良孝君    今村 雅弘君

      江藤  拓君    小里 泰弘君

      柴山 昌彦君    谷川 弥一君

      徳田  毅君    保利 耕輔君

      西  博義君    吉泉 秀男君

      石川 知裕君

    …………………………………

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   内閣府副大臣       平野 達男君

   外務副大臣        伴野  豊君

   外務副大臣        松本 剛明君

   農林水産副大臣      篠原  孝君

   農林水産副大臣      筒井 信隆君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   総務大臣政務官      逢坂 誠二君

   農林水産大臣政務官    田名部匡代君

   国土交通大臣政務官    津川 祥吾君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       梅田  勝君

   農林水産委員会専門員   雨宮 由卓君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十六日

 辞任         補欠選任

  網屋 信介君     皆吉 稲生君

  石原洋三郎君     山口 和之君

  京野 公子君     高松 和夫君

  玉木雄一郎君     福田衣里子君

  野田 国義君     中屋 大介君

  伊東 良孝君     赤澤 亮正君

  北村 誠吾君     徳田  毅君

  谷川 弥一君     柴山 昌彦君

同日

 辞任         補欠選任

  高松 和夫君     山岡 達丸君

  中屋 大介君     野田 国義君

  福田衣里子君     玉木雄一郎君

  皆吉 稲生君     網屋 信介君

  山口 和之君     石原洋三郎君

  赤澤 亮正君     伊東 良孝君

  柴山 昌彦君     谷川 弥一君

  徳田  毅君     北村 誠吾君

同日

 辞任         補欠選任

  山岡 達丸君     川口  博君

同日

 辞任         補欠選任

  川口  博君     小林 正枝君

同日

 辞任         補欠選任

  小林 正枝君     京野 公子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

山田委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として厚生労働省医薬食品局食品安全部長梅田勝君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐々木隆博君。

佐々木(隆)委員 民主党の佐々木でございます。

 きょうは、主に、この十一月に開催をされますアジア太平洋経済協力、いわゆるAPECの会議にかかわって何点か質問をさせていただきたいというふうに思います。

 最初に、APECの課題、それと、今後のEPAの取り組みについてお伺いをいたします。

 二〇一〇年十一月、本年の十一月でありますが、APEC首脳会議が横浜で開催される予定でございます。一つ目にお伺いしたいのは、二〇一〇年APECの主な課題についてであります。きょうは外務省にもおいでをいただいてございます。

 APECの主な課題は、一つには、ボゴール目標達成の評価、そして二つ目には、アジア太平洋自由貿易、いわゆるFTAAP構想の実現に向けた具体的な取り組み、三つ目には、APECの成長戦略の策定、そして四つ目には、人間の安全保障の促進というふうに承知をしているわけでありますが、まずこの点について外務省に確認をさせていただきます。

 そして、その上で、現在、WTOドーハ・ラウンド交渉が停滞あるいは長期化をしているわけでありますが、WTOの例外措置ともいうべき二国間によるEPAあるいはFTAが各国で締結をされています。我が国も、昨日インドと大筋合意をしたのを初め、十一カ国と締結、発効、四カ国との交渉中であるというふうに承知をいたしておりますが、我が国の発展のために、国を開き、特に世界の成長センターでありますアジアの活力を積極的に取り込んでいくことは喫緊の課題であります。そのためにもEPAの推進は重要であると認識をいたしております。

 しかし、ここで重要なのは、APECの基本理念であります多様性への配慮と、各国の持続的発展であるというふうに考えます。

 まず、歴史、地理の観点から世界の農業を見てみますと、アメリカ、カナダ、豪州は大規模な農業が展開されており、特にこの三国で、アメリカは一戸当たり百八十ヘクタール、カナダは百五十七ヘクタール、オーストラリアに至っては三千四百二十三ヘクタールであります。こうした大規模、輸出型の農業が展開されております。また、この三国は、いずれも独立してからの日が浅くて、アメリカは独立から二百三十四年、カナダは独立から百四十三年、オーストラリアは独立から百九年であります。こうした歴史の浅さから考えると、ある意味では収奪可能な農業が展開中であると考えることもできるのではないかというふうに思います。

 EUについて見ますと、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉の一九八五年ごろから、デカップリング政策へ大きく転換をいたしております。ドイツ、スイス、フランスなどを初めとして、多面的機能の発揮あるいはハンディキャップ助成など、いわゆる地域共生型の農政が展開をされているわけであります。

 一方、日本を含むアジアでありますが、これは、温暖多湿のいわゆるモンスーン気候のもとで、水田中心の自然共生型の農業で歴史を重ねてきたというふうに私は解釈をしております。

 いわゆる輸出産業型の農業と自然共生型の農業と、そして地域共生型の農業、それぞれの地域によってそれぞれの特徴があるということをまず我々は認識しなければいけないのではないかというふうに思ってございます。

 もう一つの観点でありますが、例えば農業の自由化が進んだとしても、この国から農業が消えることはないというふうに私は思います。それはどこの大資本が入ってくるかはわかりませんが、農業がなくなることはない。しかし、村は確実になくなります。この十年間で見ても、二〇〇〇年に十三万五千あった集落が五千集落も消滅をしております。

 あわせて、食料安保の視点からでありますが、安い農産物を入れて備蓄を確保すればいいではないかという考え方の方もおられるようでありますが、しかし、その保証もありません。さらに、食の安全が約束されるという保証もありません。

 EPA交渉では、こうした、歴史、風土、あるいはその違い、あるいは多様性、多面的機能の発揮、あるいは村や地域社会の観点、あるいは食の安全というような観点に立って十分に論議をされなければならないというふうに思うわけであります。現在、産業という側面だけで論議がされているということに私は危惧を持っている者の一人であります。

 以上のように、今後日本が目指すべきEPAは、アジア太平洋諸国と成長、繁栄を共有するためのかけ橋となるべきであって、過剰な競争によって、EPAの理念である各国の多様性を失わせるようなものであってはならないというふうに思うわけであります。

 十一月のAPECの首脳会議で、菅総理にはぜひ、FTAAP構想の実現に向けて、米国のみならず中国、韓国、ASEAN諸国などAPECの参加国の地理的、歴史的、産業構造的な多様性を認め合うアジア型モデルを世界に提唱すべきである、私風に言わせていただければ提唱型外交への転換をすべきであるというふうに考えるわけであります。

 以上を踏まえて、政府は今後の経済連携協定に対してAPECの議長国としてどのように取り組もうとしているのか、明らかにしていただきたいと思います。

 EPAに関しては農水大臣にもお伺いをいたします。

伴野副大臣 佐々木委員にお答えさせていただきたいと思います。

 まず、最初の御質問でございました、ことしのAPECの課題いかんということでございましたが、もう委員既に御承知のとおり、その主要論点につきまして、四つあるという御指摘もいただきました。

 そうした中で、本年は、APEC先進国・地域にとりましてボゴール目標の達成の年でございます。ボゴール目標、もう既に御存じかと思いますが、改めて申し上げますれば、先進国・地域は二〇一〇年までに、途上国・地域は二〇年までに自由で開かれた貿易及び投資を達成するという目標でございまして、これは一九九四年の十一月、インドネシア・APEC首脳会議にて採択されたものでございますが、これを評価する年でございまして、重要な節目の年でございます。その評価作業の土台に立ちまして、今後のアジア太平洋の将来像を共有したいという会議でございます。

 また、地域経済統合や成長戦略につきまして議論を行う上で、議長としての指導力を発揮したいということでございます。さらに、日米で人間の安全保障など具体的な協力を推進することで、来年の米国議長年につなげていきたい、かように思っている次第でございます。

 さらに、さら問いでございましたが、私から申し上げるまでもなく、国際社会は年々さまざまな、安全保障面でも経済面でも大きく変化しております。そうした中で、アジア太平洋地域におきましては新興国の台頭が著しく、APECに参加するエコノミーのGDPの総計は今や世界全体の約五割に達しております。そうした中で、我が国の平和と繁栄を確保する上でAPECの重要性はますます高まっておりまして、APECとの関係でも主体的で能動的な外交を展開していく所存でございます。

 このような中、我が国が、十一月に横浜で開催されるAPEC閣僚会議の、これは十一月の十日、十一日が予定されておりますが、その議長を務める国といたしまして、歴史的意義を有しており、議長として指導力を発揮し、アジア太平洋地域の将来に向けたビジョンを示すよう努力したいと思っております。具体的には、地域経済統合について、アジア太平洋自由貿易圏、FTAAPのあり得べき道筋を示すとともに、APECで初めて包括的成長戦略を策定したいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

鹿野国務大臣 今、佐々木委員からお話ありましたEPAの推進につきましては、我が国のこれからの経済成長というものを考えたときには、やはりアジアの国々と連携をしていくということは重要なことでありまして、EPAの推進を図っていかなきゃならない、全くそのとおりであります。

 しかし、同時に、我が国の農業というものをこれからもしっかりと振興を図っていかなきゃならないということを考えたときに、このEPAの推進と、農業の振興、農村の振興、そして閣議決定もいたしております、将来にわたる自給率の向上、こういうふうなものの両立を図っていくということが不可欠である、このような認識を持っておるところであります。

佐々木(隆)委員 今、外務省の方からも答弁をいただきました。

 APECでは、日本が、とりわけことしは議長国でありますから、どういう主体的な役割を果たすかということが問われているわけでありますし、もう一つは、ASEANという地域の代表者でもあるというふうに思いますので、そうした意味での日本の役割というのは極めて私は大きいと思います。

 そういった意味で、今回のAPECの議長国として何を発言し、世界に何を発信するのかという意味でも非常に重要なポイントに今立たされているんだというふうに思ってございます。そういった意味で、ぜひ政府一体となって、そうしたことのお取り組みを要望させていただく次第であります。

 次に、TPPについてお伺いをいたします。

 菅総理は、十月の初めの、第百七十六国会における所信表明演説において、関税撤廃を原則とする環太平洋連携協定、いわゆるTPP交渉への参加を検討し、アジア太平洋貿易圏、いわゆるFTAAPの構築を目指すという旨、表明をされました。

 しかし、TPPについては幾つかの課題があります。四つほどの課題についてお伺いをしたいというふうに思います。

 一つ目は、TPP交渉への新規の参加については、特定セクターの自由化をあらかじめ排除した形での交渉参加は認められておらず、その上で、交渉において例外措置を求めることの可能性についての理解が分かれております。共通認識が醸成されていない状況にあるということや、TPPへの参加の是非を判断するに当たって必要とされる情報が提供されていないというようなこと、つまり、参加のための条件以前の問題として、参加を検討するための条件すらまだ十分にそろっていないというふうに私は思ってございます。

 二つ目の課題は、交渉参加の意思を明らかにしたからといって、参加が認められるためには、現在交渉に参加している九カ国の同意を取りつける必要があります。とりわけ米国との交渉については、米国産牛肉の月齢撤廃あるいは政府調達などの規制改革が求められるということが予想されます。

 三つ目に、TPPへの参加表明は我が国が原則関税撤廃を世界に宣言することにほかならないわけで、既に日本がEPAを締結している国々を初め、現在交渉している諸国からも同様に関税撤廃を求められるということになります。

 そして、四つ目に、我が国が原則関税撤廃を世界に宣言すれば、これまでWTOドーハ・ラウンド交渉において我が国が主張してきた重要品目に対する関税削減の例外措置の要求について、その根拠が失われることになります。

 以上の課題が存在していることから、TPPへの参加については、拙速に判断することは差し控えて慎重に検討すべきものと考えますが、政府の対応について農水大臣にお伺いいたします。

鹿野国務大臣 今、佐々木委員からお触れになられましたことは、非常に重要なことを提起されたと思っております。

 その中で、菅総理から、TPPにつきましては参加を検討する、こういうような所信でありましたが、このTPPという協定、環太平洋パートナーシップ協定という協定そのものがどういう協定なのか、おっしゃるとおりに、情報もまだ不確かなところもあるわけであります。

 また、どういう交渉になっていくのか、そして、このことによって我が国の国内にどういう影響を及ぼすのかというようなこと等々については当然検討しなきゃならないわけでありますので、今、そういう、問題提起されたことも含めて検討をいたしておる、こういうことでございます。

山田委員長 今の質問について、伴野副大臣、お答えできますか。(発言する者あり)では、結構です。

 佐々木隆博君。

佐々木(隆)委員 TPPについては、農水大臣のお答え、私も、ぜひ慎重に検討していただきたいというふうに思います。

 先ほども申し上げましたように、APECの理念は多様性を認め合うということが基本理念なのでありますから、そういった意味では、ただ経済の側面だけではなくて、それぞれの国が、今日に至る歴史とか置かれている地理条件とか産業構造とか、それぞれ違うわけでありまして、その多様性を認め合う中でどうやって共生をしていくかということだと思います。だからこそWTOもなかなか難しいわけです。だから例外規定であるFTAやEPAを認めているわけですね。

 その中で、中にあるもう一つ小さい枠ですが、APECという枠も結局今同じようなところに立ち至っているわけでありますが、そのためにはやはり同じように多様性を認め合うということをまず原則にしていかなければならないのではないかというふうに思ってございます。

 時間が二十分しかございませんでしたので十分な論議ができませんけれども、ぜひそうしたことにしっかりと配慮をいただきながら、この国の国益というときに、経済の側面だけではなくて、いろいろな側面をやはり考慮していただくように強く要望させていただき、質問を終わらせていただきます。

山田委員長 次に、石田三示君。

石田(三)委員 皆さん、おはようございます。

 農林水産委員会では初めての質問に立たせていただきます。私、今まで培ってきたことも踏まえながらお話をさせていただければというふうに思います。

 今、日本の農業の置かれた状況を見ますと、いろいろな原因はあるんだろうというふうに思いますけれども、私は、今、基本計画の中に、日本の食料は日本の国策でしっかり守るんだとか、国家戦略だとか、国民全体で支持しているんだ、そういうことをまずうたわなければならないところに非常に大きな問題があるんだというふうに思っております。

 私、代議士になる前に、実は、千葉の鴨川の棚田で、都会の人たちと一緒に、棚田オーナー制度を通しながら、都会の人たちに農業の大切さあるいは食料の大切さというものを伝える活動をずっとしてまいりました。そういった中で、そういった体験を通して非常に理解が進んでいる。農業、お米をつくるのは大変だね、お米ってこんなに安いのかいというような話も伺います。また、子供たちに対して農業体験も進めてまいりましたけれども、子供たちに、御飯茶わん一杯のお米が二十四円なんだよという話をしますと、えっ、そんなに安いの。ふだん食べているお米の一膳の価値がわからない、伝わっていない。そういった中に今の日本の農業が置かれているということだろうというふうに私は思っています。

 一体、子供たちにしっかり食料、農業、農村の大切さを伝えてきたんだろうか、また、消費者に対してもそういったことをしっかり伝えてきたんだろうかということが非常に私は危惧される。これが大きな問題だったのではないかなと。いわゆる国民全体の理解が進んでいなかったということだろうというふうに思います。

 食料・農業・農村基本計画の中で、食料安全保障という観点から、食料の安定供給を国家の基本的責務として、食料・農業・農村政策を日本の国家戦略として、国民全体で農業、農村を支えていく、そういった社会をつくるとうたっています。これをしっかり伝えない限り、幾ら農村政策をやっても絵にかいたもちになってしまうのではないでしょうか。

 今、世界の人口は爆発的に増加をしていると言われています。二〇五〇年には一・三倍の九十一億人。そして、おかしな話ですが、世界では十六億人が肥満で、十億人が栄養不足、そして毎日二万五千人が餓死しているという状況であります。地球温暖化の影響もあり、食料生産が非常に不安定な状況に置かれている中で、いわゆる輸出国が自国の食料を守るために輸出を規制していく、そういった事実があるわけでございます。命をつないでいくという食料に対しても、そんな簡単に流通はしない、お金では動かないんだということだろうということであります。

 我が国が十年後に食料自給率五〇%を確保しようという計画を立てました。私は、これは一つの道筋だろうというふうに思っていますけれども、前政権下でも自給率を下げていいという政策はなかったはずです。その中でも下がってきたという現実を踏まえながら、とにかくここで下がるのをやめ、五〇%確保という目標に向けて進んでいかなければならないんだというふうに思っています。

 ここで、鹿野大臣にお伺いいたします。食料自給率五〇%を確保するんだという強い御決意のほどをお伺いしたいと思います。

鹿野国務大臣 今、石田先生からの御見識をお聞きしている中で改めて認識をいたしたわけでありますけれども、私たちが次の世代に何を残していくか、いろいろあると思います。

 しかし、少なくとも、この大事な中には、食料の安定供給、どのような状況になっても、少なくとも国内生産は半分くらいはやっていくんだよという、やはりこの考え方に立って、次の世代に安心感を持ってもらうようなことを今のうちから準備しておかなきゃならない。これは非常に大事なことではないかと思っております。

 過般、APECの食料担当大臣会議がありました。新潟でありますけれども、十月の十六、十七日だったと思いますが、その中で初めて食料担当大臣会議が開かれたわけでありますけれども、そこで合意に至ったのは、食料の輸入国も輸出国も含めて食料を増産していかなきゃならない。それは、二〇五〇年の年には一・七倍の食料が必要になってくる、こういうような考え方から合意がなされたということであります。

 新しい、一つの、今までになかった合意というふうなものがAPECの二十一カ国の農業担当大臣においてもなされたということからいたしまして、私たちは、この五〇%、十年後にはどうしても食料自給率を、きちっとした形で次の世代のためにも実現していかなきゃならない、こんな思いをいたしているところでございます。

石田(三)委員 ありがとうございました。

 十年で一〇%ということは基本的には一年一%アップでございますので、年々その成果を確認しながらぜひ進んでいただきたいというふうに思います。

 次に、生産基盤の確保。要するに、一〇%アップをうたいつつ、それを実現するために、私は二つの大きな問題があるんだろうというふうに考えています。それは、生産基盤の確保と担い手であります。その二つについてお伺いをしたいと思います。

 一つは、農地の問題でありますけれども、今、日本の農地は四百六十万ヘクタールだと言われております。都市部では宅地化が進み、農村部では耕作放棄が進んでいるというのが現状であろうと思います。この耕作放棄地をもう一度農地に戻していかなければいけない。これをしっかりやらない限り、私は五〇%確保というのは難しいんだろうというふうに思っています。

 農林省が二十一年度で耕作放棄地の調査をされていると思いますので、その現状と、再生に向けた取り組みについてお伺いしたいと思います。

筒井副大臣 おっしゃるとおり、自給率五〇%を達成するためには、まさに農地を四百六十万ヘクタールぐらいはきちんと確保しなければいけない。そして、耕作放棄地となることを抑制して、既に耕作放棄地になっている約四十万ヘクタールぐらいを何とか少しずつでも再生していく、この努力が必要であるというふうに思っております。そのために、耕作放棄地の現状というのを農水省は調査いたしました。

 当面、まず、その耕作放棄地のうち、もうほとんど森林化して再生不可能な部分もありますが、そうでない部分を何としてでも再生していく、このための支援措置として、一つは、今年度において約五十五億円の予算措置をとっているわけでございます。これが直接的な再生のための支援措置でございます。

 しかし、同時に、何で耕作放棄地が出てくるかというと、高齢化それから労働力不足が原因でございまして、何で高齢化して労働力不足が起こるかというと、農業は、まさにそこで生活できないという、赤字という状態になっている。これを、何としてでも、そこで生活できるという、赤字補てんを最低限しなければ新しい担い手が出てくるはずがないので、それは耕作放棄地解消のためにも必要だということから、所得補償政策、これも耕作放棄地の解消のための一つの大きな手段であるというふうに考えております。

 結論的に言えば、所得補償政策と、直接の耕作放棄地の再生についての個々の支援、この二つでもって解消を目指していきたいというふうに考えております。

石田(三)委員 ありがとうございました。

 多分、耕作放棄をされている中で農地として利用すべき耕作放棄地、これは十五万ヘクタールぐらいあると思うんですが、これを十年で解消していくということになりますと、平均でも一年に一万五千ヘクタールやっていかなきゃいけない。昨年度、耕作放棄地を農地へ戻していったのは多分六千ヘクタールぐらいだと思うんですね。ですから、かなりスピード感を持ちながら進めていかないと、多分これは十年間では無理だろうということでございますので、スピード感を持ちながら計画を立てて、ぜひお願いをしたいというふうに思います。

 それから、二つ目の条件でございますけれども、担い手でございます。

 これも皆さん御存じのように、今、六十五歳以上が七〇%であります。十年後にこの人たちがどれだけ農業を担っていただけるのかということは大変疑問でもあります。

 先日、長野にちょっと視察に行ってまいりました。この本を書いた方なんですが、事業家でありますが、事業を進める中で、研修制度をしっかり持ちながら、三年から六年研修をしている間に農地を、就農をするところをしっかり探して、そこで三年から六年研修してもらうということを進めている。彼は、いみじくも言いました、私は後継者対策をしているんだ、担い手づくりをしているんだ、これは国の仕事ではありませんかというようなことを言われましたけれども、民間のそういった努力もあるんだということ。

 またこういった力も知恵もかりながら、ありとあらゆる方策の中で担い手づくりをしていかなきゃいけないんだろう。無論、農家の跡取りもあるでしょうし、都会からのIターンもある、そういった中で、いろいろな、間口を広げた担い手対策をしなきゃいけない。

 十月の十七日、土と平和の祭典というのが日比谷公園でありました。四万人の参加があったんですね。これは、新しいライフスタイルを農に求める若い人たちの集まりだと言っても間違いない。そういった新しい流れが一つできているということもしっかり踏まえながら、政策の中に生かしていかなければならないんだろうというふうに思っています。

 自給率五〇%を確保する、これは大変なことでございます。それに向けた担い手確保の取り組みについてお伺いをしたいと思います。

筒井副大臣 担い手は、面積要件をつけたりしないで、多様な担い手、多様な農業経営者、これをやはり多面的に育成していく必要がある。だから、大規模農家でも、それから集落営農も、あるいは家族経営も、これら全体をやはり育成していくという観点から今の所得補償制度は組み立てられているわけでございまして、まさに所得補償制度そのものが担い手育成のための大きな手段であるというふうに考えております。

 その中で、全国一律の、全国の標準の生産費と全国標準の販売価格との差額を原則補てんする、こういう仕組みとなっていることも、その担い手の皆さんが努力すれば、コスト削減の努力とかあるいは販売価格の上昇の努力とか、これらの努力をすればその分利益がプラスになるという仕組みにもなっている。これは意欲のある担い手が努力をすることに対するインセンティブをそこで組み込んでいるわけでございますから、これがやはり意欲のある担い手を育成するために大きな意味を持っているというふうに思っているわけです。

 さらにプラスして、所得補償制度以外にも、低利融資の制度とか、それから農地集積についての支援とか、あるいは機械等々の購入、用意に対する支援とか、これらも所得補償制度以外にも一部しているわけでございますが、これも担い手育成のためのものになっているというふうに思っているわけです。

 何回も強調するようですが、今まさに高齢化して後継者もいないという状況、何で出てきているのかといったら、やはりそこで生活できないからですよ、赤字だからですよ。これを、何とか、そこで生活できるような、そういう農業にしていくことが担い手育成のために絶対の条件であるというふうに考えております。

石田(三)委員 地域の農村文化を守っていくという観点からも集落の維持ということが求められていると思います。地域ごとの担い手づくりとともに、集落営農に向けた誘導、これがまた必要になると思いますので、その点もよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 時間もありませんので、最後に鳥獣害対策についてお伺いをしたいと思います。

 私、最初の質問のときに鳥獣害対策を質問させていただきましたので、今年度の概算要求で百十三億盛り込んでいただいたことを大変うれしく思っております。せっかくこの事業でございますので、有効的にぜひ生かしたいというふうに思います。

 単にさくだけではなくて、これは、各市町村が駆除に対して助成金を出しているんですね。私の、千葉の鴨川市でも一千五百万ぐらいの税金を投入しております。それでも数は減らないんです。ですから、これを維持するためにはずっと出し続けなきゃいけないという状況があるわけでございます。ぜひこれをどこかで切らなきゃいけない。

 これは、私は、とった害獣を有効利用していくというスタンスに立たなければ無理だろうというふうに思っています。そういった中で、今回の事業の中で加工処理施設が盛り込まれているわけでございますけれども、これは積極的に進めていただきたいということがあります。

 その中で、地元にこういう話をしますと、イノシシだとかシカは大丈夫なの、安全性の問題ですとか、それから経営、製品にして順調に売れていくのというようなことをよく言われます。この辺を解決して、それを捕らえてある程度商売にしていって、減らしていく、そういったインセンティブが働くような事業にしていかなければならないんだろうというふうに思います。

 そこでお尋ねいたしますけれども、処理加工場設置や鳥獣の利活用、またその安全性の確保についてお伺いをしたいと思います。

田名部大臣政務官 石田委員にお答えいたします。

 石田委員には環境委員会でも以前お世話になりました。またよろしくお願いいたします。

 今、委員から御指摘ありましたけれども、鳥獣被害が減っていないということ。一つの取り組みとして、やはり市町村の区域を越えて被害というものがありますので、広域的な被害対策というか、広域的に取り組みをするところに優先的に予算をつける、支援をするということを一つ行っております。

 そして、今委員からお話がありました、捕まえた、捕獲をした鳥獣をどう活用するかということでありますけれども、委員からお話がありましたように、確かに、安定供給であるとか、衛生面についてこれをどうきちんと守っていくかということ、そして、その販路の拡大ということが課題と考えております。また、一つ、消費者の理解ということも非常に重要だと思っています。

 ですから、私どもといたしましては、この課題をしっかりと踏まえて、処理技術であるとか、また衛生管理、このことについてのマニュアルの作成であるとか研修の開催をしっかり行っていきたいということ、そして、処理加工施設の整備、また商品開発、こういったこともしっかりと推進していくように今後も取り組んでまいりたいと思っておりますので、御理解をください。

梅田政府参考人 野生鳥獣の処理加工についてでございますが、これを業として行う場合には食品衛生法の規制対象となりまして、都道府県知事等が国の指針に沿って条例で定めた施設基準及び管理運営基準を遵守する必要がございます。具体的には、基準に適合する施設を設けて、都道府県知事等から食肉処理業として営業許可を受け、管理運営基準に従って衛生的に処理加工を行わなければなりません。

 さらに、都道府県等におきましては、食品衛生監視指導計画を定めまして、食肉処理業を含む食品等事業者に対して立入検査等の監視、指導を計画的に行っております。

 これらの方策により安全性の確保に努めておるところでございます。

石田(三)委員 百十三億盛り込んでいただきましたので、ぜひ成果が上がるように、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

山田委員長 次に、近藤和也君。

近藤(和)委員 石川三区選出の近藤和也と申します。私も、この臨時国会から初めて当委員会に所属をすることになりました。早速質問の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。

 農林水産委員会は、まさしく今、前門のTPP、そして後門の米価の下落、そして側面のイノシシやクマ、そういった大変厳しい状況に囲まれている。私もその一面に対してしっかりと戦力になっていけたらという思いでございますので、よろしくお願いいたします。

 私の選挙区は金沢市から北の、能登半島すべての地域になりますが、就業人口の割合でいえば一次産業に携わる方が一番多い。全国的にもそういった地域の一つでございます。私の両親の家も当然のように農家でございまして、私を見ていただければおわかりいただけるかと思いますが、おおらかな、のんびりとした、そういった地域でございます。そういった地域で、私は議員になろうとして能登半島に戻って活動をしてきたわけでございますが、やはり、多くの方々から伺う話は、農林水産業の地位の低下や苦しみについて、そういった話が本当に今でも多いという状況でございます。

 以前は、田舎に帰って農業でもしようか、漁業でもしようか、そういった言葉がよく言われていましたけれども、いわばぜいたくはできなくても生活はやっていける、一次産業に携われば飯は食っていける、そういう状況ではありましたけれども、現在では、この農業でも漁業でもの、でもが成り立たないという状況になってきています。

 こういった中でございますけれども、この一カ月の間で非常にうれしいことがございました。それは何かといいますと、菅第二次内閣がスタートをいたしました。山田委員長の前では非常に言いにくいことなんですけれども、鹿野大臣が総理の隣に位置するところに座られまして、実はこれは私の地元で随分と言われました、総理大臣の次に偉いのは外務大臣や財務大臣じゃなくて農水大臣なんだ、農水大臣を横に持ってこいということを随分言われまして、その念願がかなった。私が何かしたわけでもないんですけれども、少し菅内閣が、今の内閣がそういう姿勢に変わってくれたのかなというささやかな喜びを持っているところでございます。

 この件につきまして、大臣、思いを聞かせていただけたらと思います。

鹿野国務大臣 激励をいただくということなんでありましょうけれども、私としては、菅総理の隣にというのは当選回数ということじゃないかな、こういうふうな認識であります。

 しかし、いずれにしても、今委員がおっしゃったとおりに、農林水産業というものは非常に重要な役割を果たしているというようなことについて、私は、農林水産大臣を拝命した限りは、国民のより多くの人にこのことを承知してもらう、認識してもらう、改めて再確認してもらうというようなことにおいて、次の世代に向かって責任ある農林水産行政をやっていくことができるんじゃないかなと思いますので、多くの方々の御協力をいただきながら懸命に努力をしていきたいと思っております。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 当選回数等々はあるかもしれませんけれども、一次産業は一番大事なんだというメッセージを、その産業に従事されている方だけではなくて、消費者の皆様に対して、日本国の皆様に対して、そういうメッセージが発せられればなという思いでございますので、本当に、大臣も政務三役の皆さんも、私たち委員の皆さんでも一生懸命頑張っていけたらと思います。(発言する者あり)ありがとうございます。

 きょうは、その中でも、収穫があらかた終わりまして、大変な不安を抱えていらっしゃいます米作農家の皆様に向けて、政府の皆様から、私の質問を通じて、安心をしていただきたい、そういうお言葉をいろいろ答弁の中からいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 今は秋祭りの季節でございます。私も、呼ばれていない祭りにもずうずうしく顔を出していますけれども、これはやはり有権者の皆様からの声をいただきたい、そういう思いで祭りに参加させていただいております。ただ、やはり秋祭りは収穫の祭りでありますから、農家の方々が大多数その祭りを運営されていますが、その祭りで出てくる皆様の言葉はもうはっきりとしています。米の値段が下がったのはあんたらっちゃのせいやということを必ずと言っていいほど私も言われます。

 これは大変痛い言葉ではございますが、この米価の下落についてどうとらえていらっしゃるか、御所見をお願いいたします。

筒井副大臣 所得補償制度は、米価を下支えした機能を果たしはすれ、米価下落の原因には全くなっておりませんので、その点はぜひ皆さんに説明をしていただきたいというふうに強く訴えておきたいと思います。

 その根拠は、この所得補償の生産数量目標の設定に参加した農家は百三十三万件で、以前の生産調整への参加農家よりも大幅にふえております。しかも、過剰作付面積も八千ヘクタール減っております。主食米の作付面積も一万二千ヘクタール減っております。いずれも、これらは米価を維持する機能、効果はあれ、引き下げるような原因とは全くならないわけでございます。

 そして、同時にまた、では何で米価下落という傾向が今あるのか。デフレ経済である、そして不況である、さらには積み増し在庫が去年よりも少しふえている、これらのことがあるいは原因で今なっているかもしれません。

 しかし、今後の動きはまだわかりません。慎重に見きわめていかなければいけないと思います。特に、今度、作況指数が九九で、しかも一等米の比率が非常に大幅に下がって、逆に、去年、おととしの一等米が売れ始めた、そういうふうな情報も一部あるわけでございまして、引き下げの原因となるような材料はすべてもう出尽くしている。今後、来年の一月時点までに米価がどうなるか、変動払い部分の計算をするための様子を見るわけでございますが、その間に米価がどうなっていくか、まだまだわからないところがあります。一瀉千里に下げていくというふうには決して言えないというふうに思っています。

 ただ、しかし、米価がどうなるにしろ、所得補償政策で固定払い部分プラス変動払い部分をはっきりと補償しているわけでございます。固定払い部分は、この十二月中に、原則十二月二十四日に各農家の口座に振り込みます。変動払い部分は、一月までの状況を見た上で来年、年度内に支払うという予定でございますが、これを支払うことによって生産費の岩盤部分はきちんと補てんをする。今、一千四百億円ほど、もうその変動部分のための予算を出しておりますが、これで十分間に合うというふうにこちらは見込んでおりますけれども、間に合うか間に合わないかは、農家に一切負担をかけない、必ず岩盤部分は補てんをして支給する、こういう約束になっておりますし、その約束は必ず実行しますから、ぜひ農家の皆さん、安心していただきたい、こういうふうに訴えておきたいと思います。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 今、安心してくださいというメッセージをいただきました。本当にありがとうございます。

 今、現実問題として、農家の皆様にはやはり概算金の問題が直接的にかかわる、相対ではなくて概算金だというふうには思っていますけれども、この概算金の下落についてどうとらえていらっしゃるか、お考えをお願いいたします。

田名部大臣政務官 お答えをいたします。

 今御指摘のとおり、概算金についてでありますけれども、二十二年産米の概算金が昨年に比べて大幅に引き下げられている、そのことによって農家の皆さんが非常に不安を感じていらっしゃいますし、また、そのことがマスコミなどで大きく報じられているところであります。

 そのことを受けて、私たち、先般、JAであるとかまた生産者に対して、概算金に関する調査を実施いたしました。その結果、一部においては、概算金というものはあくまで内金であるということ、また、概算金の設定の考え方というものそのものが理解をされていないという状況が見られました。

 少しお時間をいただいて、その結果をお話しさせていただいてもよろしいでしょうか。(近藤(和)委員「はい」と呼ぶ)

 その調査の結果の一部をお話しさせていただきますけれども、「概算金設定の考え方を説明したか」。これは、農協側は、「した」というのが約九割、生産者、「知っている」と答えた方は七五%でありました。

 概算金の設定、この考え方でありますけれども、「最近の販売状況を踏まえて堅めに設定」という回答、さらには、これは非常に残念なことでありますけれども、「モデル事業により交付金が出ることを踏まえて設定」をしたというところがありました。ほかには「二十一年産米の複数年共計を前提に設定」したというところもあるんですが、戸別所得補償があるから概算金を下げていいということには決してならないわけでありまして、参加者に対して実質的に所得の補償を行うというこの制度そのものを、その趣旨を損なうものであるというふうに考えています。

 そういったことを踏まえまして、私たちは、この概算金の設定や考え方、また、先ほど副大臣からもお話がありましたけれども、変動部分についての支払い等を含めて、関係者の方々に御理解をいただけるように、十月二十日に当省よりメッセージを発信したところであります。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 そういう点、私も農家の方々とお話をしていく中で、変動部分についてなんですが、結局前の収入減少影響緩和対策、ナラシ、これと一緒じゃないか、結局は、丸々しっかりと、下がった部分はくれないんじゃないの、そういう思いをされている方がいらっしゃるんですが、この点について、わかりやすく説明をお願いいたします。

筒井副大臣 ナラシの場合は、大体、そもそもが面積要件があったわけでございまして、その点がまず違います。

 それから、変動部分の方に関しては、先ほど申し上げましたが、岩盤部分をきちんと補てんする、これを大前提にして、岩盤という表現を使っておりますが、ナラシの場合、岩盤部分というのはなかったわけでございまして、その点で、だんだん米価が下落をしていけばナラシで支給される金額も変更していく、あるいは減っていくという不安があった。変動部分に関しては全くそれがない。

 どの程度、農家がどのぐらいの数の参加になるかによっても、変動部分でしたら全く変更なく、岩盤部分はきちんと補てんをするということをはっきりとさせているところ、つまり農家が安心できるという点、ナラシの場合必ずしもそうとも言えない場面もあったというところが一番大きな違いだと思っています。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 今回の戸別所得補償制度、特に変動部分に関してとナラシについての農家の方々の誤解といいますか、私たちからのメッセージがまだ十分に伝わっていないというところはありますので、この場で副大臣から、それとは違うと、安心してくださいとメッセージをいただきました。本当にありがとうございます。

 そして、そういった中で、米価がやはり下がって、私は証券マンでありましたので、株価が下がってくると、やはり、どんどんどんどん、もっともっと下がっていくんじゃないか、そういう恐怖感にさいなまれます。そういった中で、では本当に米価がさらにさらに下がった場合に大丈夫なのかということをやはり皆様からいただきますけれども、そういった不安の声をいただきますが、このことについての気持ち、メッセージ、その姿勢というものをお願いいたします。

筒井副大臣 先ほどから強調しているところでございますが、ただ、余り下がる下がると強調したくないんですね。それで、その点はやや遠慮しながら申し上げているんですが、この政権のまさに約束でございますから、変動部分に関してははっきりと岩盤部分まで支払う。これが、一千四百億円で足りなくなった場合にはではどこから出すのかといったら、例えば補正とか予備費しかないわけでございますが、そこから出してでもきちんと補てんをする。それも、今年度分に関しては今年度中にきちんと各農家の口座に支払う。

 これははっきりと約束をしていることでございますから、何回も申し上げますが、その点の約束は必ず実行する、ぜひ安心をしていただきたいというふうに思っております。

近藤(和)委員 副大臣、岩盤のような発言をいただきまして、本当にありがとうございます。

 それでは、最後の質問になります。

 実際は農協さん、農家の方々とのやりとりの中でございますが、私は、農家の皆様、また特にJAの皆様と、私たち民主党を中心とした政権との思いのすれ違い、そういったところはやはり感じるところでございます。私自身、数カ月前にある理事長さんとお話をいたしましたが、農業の話というよりは、政治に対する御批判、とても政治的中立ではないような、違う方の話ばかりに行ってしまいまして、農業の話がなかなかできないというつらい思いをしました。

 やはり、私、出自の違いで、農業、同じ方向を本当は向いているわけでありますから、こういった壁をしっかりと乗り越えて、政策が変わったときには、やはり一番大事なのは生産農家の皆様でございますから、彼らに対して、それぞれの、大きく大転換したんだという違いをしっかりと私たちも伝えていかなければいけないと思いますし、そういった一つ一つの今までの流れがありながらも、各種団体の皆様と協力をしていけたらというふうに思っておりますが、この件につきまして、大臣、思いをお聞かせください。

鹿野国務大臣 農協の果たしている役割というのは、農業発展のために大変重要な役割を果たしてもらっておるということは御承知のとおりであります。

 これからも、そういう意味で、農協の関係の方々とも率直なる話し合いをしていく必要があるのではないか、こんな思いの中で、過般も農協関係者の人たちともお会いをしましたし、また全中会長とも意見交換を行っておるところでございますので、これからも話し合っていきたい、こういうふうに思っております。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 TPPの問題でもはっきりしていますように、我々の対峙すべきは、一次産業を大切に思う者同士ではなくて、やはり日本の安全保障を脅かそうとしている、そういった外なる相手だという思いでございます。

 大臣のお言葉からは、本当に力を合わせて頑張っていこう、そういったことで一次産業のこれからはしっかりとやっていけるんだと。今まで各政務三役の皆様からのお言葉もいただきました。そういったことで、実りの秋は終わりましたけれども、日本の一次産業にとって実りがこれからやってくるという思いを確信いたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。

山田委員長 次に、今村雅弘君。

今村委員 自民党の今村でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 そして、このたびは、鹿野大臣初め政務三役の皆様の御就任、本当におめでとうございます。皆様方は大変農林水産業に識見の深い方でもありますし、また、地元でもこの産業が大きなウエートを占めているということで、地元の皆さん方も期待も大きいかと思っております。

 しかしながら、もう皆様方も感じておられると思いますが、今、日本の農林水産業が抱えている問題は非常にたくさんあるわけでございます。それだけに期待も強いし、そしてまた逆に、その期待が裏切られたら大変な失望と怒りに変わるわけでございます。そういう意味では、今、農政の展開を見ておりますと、例えば、予算は昨年に比べると一千億ぐらい減っていますし、そして、いろいろな仕組みが、聞いていた話と違うというようなことで、今大変な不満が起きていることも御存じかと思います。

 先般、私の地元でも危機突破の大会を農協の方でやっていただきました。そのときの熱気といいますか、本当にすごかったですよ。私も、おかげさまでといいますか、皆様から大変な拍手を受けて、頑張ってくれという声を受けたわけでございまして、これは本当に二年前と大きな違いであると思います。

 ですから、政務三役の皆さん、ひとつ、下手な出世ばかり考えているような、売国奴みたいな農水の一部官僚の言うことなんか聞かないで、あるいはだまされないで、しっかりと政治主導でいろいろな課題に取り組んでいただきたい、まずそれをお願いしたいと思います。

 最初に、奄美の大変な被害でございますが、これについて今、被害状況も刻々わかっておりますけれども、農水関係についてもしっかりした取り組みをしてもらいたいと思いますが、まず大臣の決意をお願いしたいと思います。

鹿野国務大臣 大変な被害をこうむっておられる方々にお見舞いを申させていただきますが、現地に五名を派遣いたしまして、そして今、被害状況につきまして対応いたしておるところでございまして、その結果に対しましては万全の対策を講じていきたい、こういうふうに思っております。

今村委員 よろしくお願いします。

 それでは、早速中身に入りたいと思います。

 きょうは、いわゆるTPPを中心にした農産物自由化の問題、今非常に農家が心配しておられる米の価格の下落の問題、そして農家戸別所得補償に関する農政の問題、時間がありましたら、あと、基盤整備の予算不足の問題、そして有明海の諫早干拓の開門調査の問題、こういったものについて所見をお伺いしたいと思います。

 まず、この農産物の自由化、米価格下落、それから農家戸別所得補償、こういった問題は非常に関係が深い。お互いにこれがマイナス方向に進んで、まさにデフレスパイラルと言っていいような米価の下落を生じているような感じがいたしております。

 きょうは、まず最初に言っておきますが、前原外務大臣が、先般、どこかの講演で大変な発言をされたわけでございます。大ざっぱに言うと、わずか一・五%の産業のために九八・五%が犠牲になることはどうかと思うという発言でございます。これはとんでもない発言でございまして、本当に軽はずみで、しかも重大なことを言っているし、そして何よりも、人の心を傷つける大変な発言であるというふうに思っております。

 そういう意味で、きょうはこの委員会にもぜひ出てきて、大臣の言わんとするところ、思わんとするところをしっかりここで述べてくれということで、ここに出席をお願いしたわけでございますが、参議院の方で、あるから、来られないということでございます。しかし、事は、これは外務省の問題ではなくて、ある意味では大臣個人の資質にかかわる問題でございますので、何としても、この委員会に来てしっかりと自分なりの考え方を述べてほしいと思っております。

 これは、今後、委員長も含めまして理事の皆さん方にも、ぜひ大臣の出席を要請したいと思います。いかがでしょうか。

山田委員長 理事会で協議させていただきます。

今村委員 それで、きょうは伴野副大臣が来ておられますので、かわりと言っちゃなんでございますが、とにかく少しサンドバッグになってください。

 まず、先ほど、この問題については大臣がと言いましたが、外務省そのものとしてはこの問題についてどういうふうにとらえているのか。大臣、そんなこと言っちゃ困りますよと言っているのか、いや、大臣のおっしゃるとおりにしますとやっていくのか、その辺の姿勢をひとつはっきりさせてもらいたいと思います。

伴野副大臣 今村先生にお答えさせていただきたいと思います。

 今村先生におかれましては、国鉄の大先輩ということでもございまして、大変日ごろからお世話になっております。どうぞよろしくお願いしたいかと思います。

 表現ぶりはいろいろあろうかと思いますが、前原大臣におきましては、TPPに関連し、農業は国としても非常に大事であり、農業の体質改善、そのための支援をしっかり行っていくとの観点の議論がまず必要であるという趣旨を述べております。

 その上でのEPA、FTAは、アジア太平洋諸国と成長、繁栄を共有するためのかけ橋として重要であり、その一環として、TPP協定交渉等の参加を検討し、アジア太平洋自由貿易圏の構築を目指していく。新成長戦略で決定いたしました、十一月に横浜で我が国が議長を務めますAPEC首脳会議、今、十一月十三日、十四日が予定されておりますが、そこで包括的経済連携に関する基本方針を策定すべく、関係閣僚間で、日本を取り巻く国際経済情勢や国内産業の現状及び見通しなどを踏まえ、しっかり議論を行っているものでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

今村委員 私の後輩ですから、余計厳しく鍛えなきゃいけないと思っております。

 それで、ちょっと聞きますが、先ほど一・五%と言いましたけれども、この数字はどういう意味を持つか、何の数字かわかっていますね。答えてください。

伴野副大臣 重ね重ねの御指導、本当にありがとうございます。続いてお答えさせていただきたいと思います。

 委員御承知のとおり、この数字は内閣府国民経済計算によった数字でございまして、平成二十年の日本の国内総生産の全体は約五百五兆一千億円でございます。そのうち農林水産業は約七兆四千億円で、農林水産業が全体に占める割合は約一・五%ということで、この数字を使ったものと承知しております。

 さらに、TPPにつきましては、基本方針を策定する過程で、国内への影響を含め、関係閣僚間で、日本を取り巻く国際経済情勢や国内産業の現状及び見通しなどをしっかり踏まえ、しっかりとさらに議論を行っているところと承知しております。

今村委員 伴野さん、これは大臣によく言っておいてください。わずか一・五%のために云々という話ですけれども、この数字も、正確に言いますと、農林水産業にいろいろな、食品産業から、あるいは肥料メーカーとか農機具をやっている、あるいは農産物を運んでいる、そういう関連産業がぐっとくっついているんですよ。その総額は大体幾らかわかりますか。知っていますか。

 知らなきゃ知らないと言ってください。いいです。

 これは、五十兆円以上あるんですよ。そして、今、農家の従事人口は三百万人をちょっと切ったぐらいです。そして、その家族を含めるとやはりこれは大変なウエートがあるんですよ。そういったことをよくわかって、勉強してから、こういう物を言えと言ってください。

 そして、とにかく高圧的に弱い者いじめするような言い方をしちゃだめですよ。八ツ場ダムの発言でもそうでしょう、国交大臣のときには。だから、政治家というのは、やはり強い者の味方をするんじゃなくて弱い者の味方をする、そして強い者にはひるまずにいくことですよ。

 尖閣諸島の問題でもそうじゃないですか。あれだけがんとやるんだといいながら、結局、圧力がかかったらふにゃふにゃとなって、もう何にも言わないでしょう。海上保安庁の現場の職員は、皆さんはどんな気持ちでいるかわかっていますか。

 そういったことをぜひしっかりと大臣に伝えて、今度ぜひこの農水委員会でしっかりそういったものについて追及しますよということを伝えておいてください。

 とにかく、もう一つ言っておきますけれども、民主党は国民の生活が第一と言っているでしょう。しかし、違うじゃないですか。まさに今のこの例でいえば、農家なんかどうでもいいんだ、産業界、労働組合の利益が大事だ、そういうふうにしかとられませんよ。そういったことも含めて大変な問題だということを伝えておいてください。

 どうぞ、お忙しいでしょうから、引いてもらって結構です。何かありましたら、御意見があるんだったらどうぞ言ってください。いいですか。

伴野副大臣 先生の御質問の趣旨をしっかり受けとめさせていただきまして、伝えておきます。

今村委員 次に、農水大臣にちょっとお聞きしたいと思いますが、今、この影響度といいますか、TPPを含めていろいろな話が飛び交っていますね。そして、その影響度については、農水省はこうだ、あるいは経済産業省はこうだ、あるいは内閣府はこうだと、もうめちゃくちゃなんです、それぞれの議論が。これでは農家の皆さんも、一体どうなっているんだという話ですよね。

 御存じですか。きょうは松木政務官は来ていませんけれども、きょうの農業新聞ではこういうのが出ているんです。TPPで北海道で五千五百六十三億円減。そしてもっとひどいのは、地域経済の損失額は約一兆円にも及ぶ見通しで、道内全体で十七万三千人の雇用がなくなる、そして販売農家戸数は七二%に当たる三万三千戸が減る、こういうことが出ているんですよ。

 ですから、それぞれの省庁の思惑があって云々でしょうけれども、ぜひ、内閣としてどうなんだという統一見解、試算をきちっと出すべきだと思いますけれども、どうですか。

鹿野国務大臣 いろいろな報道がなされていますけれども、これはそれぞれ今、政府は政府内でいろいろあらゆる角度から影響等も含めて検討いたしておるところでございますので、これは非常に奥の深い試算というようなことも言えるわけでありますので、短期間でどれだけそういう数字を出すことができるかということもありますけれども、できるだけ政府としての考え方を出せるようにしていかなければならないな、こういうふうに思っております。

今村委員 今の大臣の発言は、非常に問題がありますよ。

 というのは、まだ先の話で、いつかやろうかなという話ならともかく、もうAPECでこういったことを検討しようということを表明しようかと、既に菅総理も官房長官なんかも言っているわけでしょう、国を開くということで。そういう中で、今どういう影響があるかはよくわからない、そういう状況の中でとにかく参加だけしますということは、おかしいじゃないですか。どうですか。

鹿野国務大臣 どういう影響があるかわからないと私は申し上げているわけではないんです。あらゆる角度から検討しておりますよと、しかるべき、そういう数字等々が出せる範囲内で、整理された段階でお出しをするということが望ましいことではないかなと私は思っておりますということを申し上げたんです。

今村委員 いや、私が言っているのは、もう既にそういう動きがある中で、今から広く検討して云々します、そう言っているわけでしょう、それはおかしいじゃないですかと。やるからにはきちっともっと数字を固めて、それならそれでどうするんだということを検討していくことであって、そこなんですよ。

鹿野国務大臣 今から検討するんじゃないんです、検討しているということなんです。そのことだけは御理解いただきたいと思います。

今村委員 では、検討した結果を出してくださいよ。出てこないじゃないですか。何をもとにして我々はやるんですか。

 例えば、けさ自民党の部会の中でこの問題を出したんです。そうしたら、そういう資料、数字は出せないと。出せないというのはどういう意味で、物理的に出せないのか、あるいは政治的意図で出せないのかよくわかりませんけれども、そういう状況なんですよ。どうなんですか。

鹿野国務大臣 党の議論は私ども定かなことは承知しておりませんけれども、今まで先生がいろいろと議員としても取り組んでおられる中で、数字というものはいろいろな角度から出されてくる。そういう中で、ではどういうような数字を取り上げていったらいいかなというようなことも、それぞれの立場においても違ってくる面があるわけでありまして、そういうものを総合的に勘案しながら、一つの考え方というものをまとめ上げていくというようなことにもなってくるわけでありますので、ひとり歩きするようなことであってはならない、こういうふうな認識に立っておるということも御理解をいただきたいと思います。

今村委員 この問題は、ちょっと時間の関係がありますのでここでやめますが、とにかくきちっとした数字なりなんなり、そしてまた内閣としての姿勢を出して、そしてそれをこの場で議論していくということを早くやろうじゃないですか。そうしないと、先に手を挙げて入ったはいいけれども、後は何かもうひどい目に遭っちゃったということになると、本当にこれは大変な問題なんですよ。

 そして、もう一つ聞きますけれども、この関連ですけれども、大臣、いわゆるガット・ウルグアイ・ラウンドで米の自由化を事実上やって、まあ部分的ですが、そしていわゆるミニマムアクセス米とかなんとかが入ってきて、やってきた。大臣は、この何年間かは政権から離れておられましたけれども、以前農水大臣をやられた経験からして、こういった問題について、このガット・ウルグアイ・ラウンドの対応について、どういう思いを今持っておられますか。

鹿野国務大臣 ウルグアイ・ラウンドに対する対応についてはいろいろな評価があると思いますけれども、基本的には、ウルグアイ・ラウンドというものの中の考え方を日本の国の政府として決断をしたという限りにおいては、その決断に沿ってどう対応するかというようなことが大事なことではないか、こういう認識を私は常々持っておりました。

 ゆえに、ウルグアイ・ラウンド対策費というふうなものがどうであったかというようなことも、これは検証しなきゃならないことでありますし、これからいろいろと、EPAを進めていく上において、国内対策というものはどうあるべきかというようなことは、これまでの二十年間のいろいろな動きを参考にしていくということも大切なことだ、こう思っております。

今村委員 もっと端的に言ってもらってもいいんですけれども、まずかったな、よかったな、どっちなんですか。

鹿野国務大臣 よかったなとか、あるいは遅かったなとか、そういうようなことで判断できることではないと思っております。

今村委員 それでは、女性で政務官、田名部先生、お父様も農水大臣をやっておられて、非常にいろいろなことを聞いておられると思いますが、このウルグアイ・ラウンド以降の日本の農業の展開について、いろいろお話を聞いたことはありますか。

田名部大臣政務官 突然の御指名、ありがとうございました。

 今の御質問でありますけれども、恥ずかしながら、なかなか親子の会話をする時間がございませんで、そういう意味ではゆっくりと、これまでのそういう農業への取り組みというのは余り聞いたことがないというのが正直なところでございます。

今村委員 大事な職につかれたわけですから、ぜひ、お父様からもいろいろなお話を聞かれて、そしてそれをこれからの参考にしてください。

 今、米の問題なんかが非常に問題になっていますけれども、本当に要らない米を七十万トンも八十万トンも無理やり買わされているということで、本当に苦しんできているんですよ。そして、御存じのように、こういった国際協定というのは一たん結ぶとなかなか変えることはできません。政権がかわったから、あれは違うんだということはできないんですよ。ですから、今、冒頭申しましたように非常に厳しい中での対応ですから、これについては、ぜひかちっとした体制をつくって取り組んでいっていただきたいと思います。

 それから、もう一つ、自給率五〇%を両立させるということで、これは大臣も所信表明演説で言っておられるわけでございます。また白々しいうそをついているなということしか思えません、正直言って。

 どんどんいろいろな農産物が仮に入ってきて、入ってこないでも、先ほどの質問にもあったようになかなか自給率を上げていくのは難しい中で、それがどんどん入ってきて、どうやって五〇%に持っていく、両立するということができるんですか。これは、私じゃなくてだれが考えたって、そんなばかなことをできるわけないだろう、白々しいなということになってきていますよ。これはどうされますか。

鹿野国務大臣 どんどん入ってくるということを前提としてのお話をされましたけれども、これはEPAを推進するにおいても、交渉でやりますから、必ずしもどんどん入ってくるというようなことが、果たしてそういうふうになるかどうか、これは交渉次第でありますので。

 私どもとしては、これから今後のいろいろな、このEPAというものを推進する場合に、どんどん入ってくるというようなことが、果たしてそういうふうになるのかどうかというようなことは、当然、一つの検証というふうなことになってくると思います。

 そこで、もう一点は、過般の、先ほども申し上げましたけれども、十月の十六、十七日でAPECの各国の農業担当大臣で合意に至ったということは、食料の増産をやはり目指していかなきゃならない、こういうようなことの合意にも至ったということでありますので、そういう意味で、十年後において五〇%の食料自給率を目指すというようなことは、今の時点において私どもとしてはどうしてもやり遂げていかなきゃならない目標数値ではないか、こう思っております。

今村委員 今の話を聞いて、正直言ってがっかりしましたよ。大臣がそんな、これをやったって農産物がどんどん入ってくることはないよなんて、そういう認識でいいんですか。だれもそんなことは信用しませんよ。

 そしてまた、そういう姿勢でもって農政を展開されるというんだったら、私たちだって徹底的にこれは闘わなきゃいけないと思いますね。これは党派を超えてやる話になってくると思いますよ。この数年間、十年間、二十年間、ウルグアイ・ラウンドで苦しんできたじゃないですか。そういったことをしっかり踏まえて、もう少し私は大臣に闘う姿勢を見せてほしいですね。

鹿野国務大臣 このEPAの推進というもの、そして、農村、農業の振興を守り食料自給率の五〇%目標を達成する、こういうものを両立させていかなきゃならないというようなことを私どもが申し上げている限りは、これからのいろいろな交渉事についても、そういうものを頭に入れながら、そして同時に国内対策もしっかりとやっていかなきゃならない、こういうふうなことだということだけは申し上げておきます。

今村委員 この問題はこれからも続くでありましょう。ここでもう、この話についてはまた別の機会にしたいと思います。

 次に、今、米の価格が非常に下がっている。これは農家の戸別所得補償の問題と絡めてちょっと質問させていただきます。

 今のこの米の価格の下落の状況は、もう十分御存じかと思います。私は、これは人災だと思うんですよ。何ら国が手を打たない。そして、それに加えて、所得補償があるから、だから安く買ったっていいじゃないか、また、安く買ってこないと値段が下がったときに自分が損するという商人さんたちの思惑があって、そして、今どんどんどんどん下がってきているじゃないですか。

 こういったことを、どういうふうに今、反省しておられるんですか。今話があったように、前の赤松大臣のときには米の値段は下がらないということをはっきり言われたじゃないですか。どうなんですか、これは。

 まず、人災だと思いますか、思いませんか。大臣、どうぞ。

鹿野国務大臣 今委員からお触れになりました米価の下落ということについては、私どもも大きな関心を寄せておりますが、基本的に、この価格が下落したというのは、やはり景気の低迷というふうなものは本当に大きいな、こう思っております。

 そういう意味で、この景気低迷なりデフレ基調というふうなものによって影響が出てきておる、そして、需給ギャップというふうなものがそこに生まれてきているというようなことが今日の下落の要因ではないかな、こう思っておりまして、それだけに、今後の動きというふうなものも私どもは見守っていかなきゃならない、こう思っております。

今村委員 大臣、今、景気が悪いからとかなんとか、そういうふうに言われておりますし、さきの委員会なんかでもそういうことを言っておられるようですけれども、いいですか、今、一人米一俵食べているといいますね、昔は米二俵食っていた。そうすると、一俵が一万八千円として、それでやると一日幾らになるか、計算したことはありますか。

 これは時間がないから言いましょう。三百六十五で割れば、大体一日五十円ですよ。一日五十円で、こうやって人の命を支えられているんですよ。それが、デフレになったから、ああだこうだからといって、下がるというのをそれは当たり前だみたいな話をされるというのは、とてもじゃないけれども、所管大臣としては私はどうかと思います。

 では、ちょっと聞きますが、お米の値段は今で安いと思うのか、高いと思うのか、幾らぐらいが一番妥当だと思うのか。これは副大臣も、政務官も、大臣も含めて、ちょっと所見を述べてください。

筒井副大臣 米価下落は、そちらの政権時代からずっと傾向として続いてきていますが、それが全部自民党政権の責任だとはお認めにならないと思うんです。それぞれの場所で、それぞれの原因があるんです。今回も、先ほど言いましたように、もう繰り返しませんが、所得補償は原因ではない、他の原因であるということがはっきりしている。

 そして、同時にまた、今対策と言われましたが、対策として今要求されているのは、米の価格支持政策に基づく買い上げでしょう。買い上げがいかに今まで生産調整等々において不公平感のもとになっていたか、それはもう実感しているじゃないですか。

 大体、生産調整に参加した人にメリットを支給する、こういう形で生産調整をなされて、それも、しかも物すごい罰則つきというか、こういう形でやられてきて、しかし、米価が下がったら今度は米の買い上げをして、これは生産調整に参加しない人にもメリットを与えてきたわけでしょう。それが農政の一貫性をなくしているんですよ。

 だから、私たちは、決して米の買い上げを価格支持政策としては行わない、こういう方針で、しかし、生産数量目標の設定に参加している農家に対してはきちんと変動部分も固定払い部分も補てんをする、こういう形で農政の一貫をしているんです。

 同時に、これも自民党政権時代ですが、食糧法によって備蓄米は、備蓄米用に買い上げることは食糧法で決まっているんですが、これは米不足に対応したための備蓄米ですよ。価格支持のための買い上げをやっちゃいかぬというふうにみずから決めたじゃないですか。

 それで、百万トンが備蓄米の水準ですが、今は百万トンほぼありますから、この差もないんですよ、買い上げできないんですよね。百万トン、みずから決めたじゃないですか、そちらが。もしこちらに反省せいと言うなら、米の買い上げをできるようにすべきだと言うなら、自分たちが反省すべきじゃないですか。

 以上です。

今村委員 副大臣、今の話は全国の農家が聞いていますよ。どう思いますか、先ほどの話。

 いいですか。それは、自民党の時代もじりじり米は下がってきた。しかし、あなたたちは、それを、下がらないようにしよう、農家の所得を補償しようということで、それを選挙で訴えて、そうして政権をとられたんじゃないですか。政権をとってからも下がっているじゃないですか。私はそれを言っているんですよ。

 そして、話は所得補償の話から価格の下落から少しごちゃごちゃになってきていますけれども、例えば、今、この五年間、十七年でとった古い米なんかもありますね、だから、これを、来年から回転備蓄じゃなくて棚上げ備蓄にすると言うのなら、その古い米を早く前出しして、飼料、えさにするならして、そして、今ある米を前倒してそっちに回せばいいじゃないですか。そういうことをやるのが政治の仕事でしょう。

 それを、自民党がああだこうだなんて人のせいにばかりしていて、あなたたちは、そんなことを言うのなら、大臣、副大臣になったりなんかはやめて、また野党に戻ればいいじゃないですか。あなたたちはそういう政治の責任を負っているんですよ。いつまでも人のせいにしちゃだめですよ。おかしいでしょう。

 それで、ちょっと待ってください、さっきの質問に答えてくださいよ。今の米価は安いと思いますか、高いと思いますか。幾らぐらいが適当と思いますか。まずそれを御三方、答えてください。

田名部大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 質問のお答えになるかどうかちょっとわかりませんけれども、先生が御指摘になられたように、確かに、私たちは、五十円という安いお米の値段の中で日々の命を支えられているということをもっと国民全体で、大きなその意味を踏まえて考えていかなければならないと思っています。

 一つは、きちんとお米を消費していくということを、私たちも国民の皆さんに協力をしていただきながら、しっかり取り組んでいかなければなりませんし、その一つとして、現在、米粉倶楽部というのがありますが、米粉米を使っていろいろ新しい商品をつくっていただく、その商品化への支援であるとか、そのことをしっかり販売していくであるとか、そういうことへのお手伝いもさせていただく、そういう考えであります。

 先ほど来、戸別所得補償のせいでお米の値段が下がったんじゃないかというようなお話もありますけれども、私は、所得補償があるから米の値段を下げていいという考え方そのものが間違っていると思っていますし、生産者がだめになったら国民の命は守ることができない、そのように思っています。

 だから、それは生産者がただ単に頑張るのではなくて、それを買う方も、それを消費する人たちも、みんなが一体となってそのことに理解をして、日本の農業を守っていく、つまりは命を守っていくということにこれからしっかり取り組んでいく必要があると思っています。

 以上です。

今村委員 先ほど私が言った質問に答えられない、幾らぐらいがいいんだと思うという答えが出ないということは、もう今の値段が低いままでいいんだというふうに思っておられるということで私は理解をします。

 次の質問に移らせていただきます。

 ここで、先ほど言いましたけれども、大臣、これは本当に真剣に検討をしてください。先ほど言った、今後、棚上げ備蓄にする中で、十七年産米を早く先出しして、その分こっちで前倒して買うということはできないんですか。市場隔離することはできないんですか。どうですか。また、やる気はありませんか。はっきり答えてください、どうするのか。

鹿野国務大臣 先生御承知のとおりに、棚上げ備蓄ということにつきましては、平成二十三年度予算の概算要求の中に要求している、こういうふうなことでありまして、何としても最終段階でこの予算だけは確保したいな、こういう思いをいたしておるところでございます。

 ただ、それを前倒しというようなことは、過般来、議論になっておるところでございますけれども、平成二十二年度の予算というものが執行されておるところでございますので、なかなか困難な問題だな、こんなような認識に立っておるところでございます。

今村委員 そこはもう大臣の姿勢の問題だと私は思いますよ。やはり、本当に大変だと思うのなら、予備費を使ってでも、あるいは緊急立法してでもいいじゃないですか。私はそれをぜひ大臣に期待をし、お願いしたいと思います。

 次に、先ほど来、ちょっとごちゃごちゃになりましたが、農家の戸別所得補償の問題。

 きょうは篠原副大臣はいらっしゃいませんが……(発言する者あり)どこにいるの、ああ。

 この話も、この座り方もちょっとおかしいんですよね。副大臣、政務官なのか、委員なのか、政府高官なのか。

 委員長、どうなんですか。何かコウモリみたいに、政府をやっつける方なのか、うちなのか、よくわからないな、そういう座り方をされると。非常にこれは私も問題ではないかなと実は思っております。これは、国会法で、委員を一つは務めなきゃいけないけれども、副大臣などの場合、それを辞することができるとあるでしょう。ですから、今からこっちに座られたらどうなんですか。では、いいです。

 私の聞いた話では、篠原副大臣もこの制度には反対だったと実は聞いております。それで反対したものだから、小沢さんから、おまえはだめだ、シャドーキャビネット大臣は首だと言われたというふうに聞いておりますが、さほどに、これはいろいろな議論を経てきた制度だというふうに思っております。

 非常に問題があるのは、この制度を決めていくときに、本当に、現場の第一線の皆さんあるいはいろいろな団体の皆さんときちっと詰めてやってこられたんですか。それがないでしょう。だから、非常に今、話と違うじゃないかということになっているわけでございます。この辺、まず問題点を指摘したい。

 それで、今度、鹿野大臣になって、いろいろな団体とも、そういう現場の皆さんの話をしようじゃないかということに変わってきているようでございますが、そこはぜひ、しっかりそういう方向で進めてもらいたいと思います。

 それで、ちょっと具体的な問題に入りますが、きょう、お手元にあると思いますが、「過剰作付(見込み)県の水稲作付状況」という資料を出しております。全部でここに二十二府県、これがいわゆる生産数量目標よりも多い。そして、過剰作付面積見込み、これが全体で大体五万二千何がし実はあるわけでございます。

 これをどういうふうに見るかということでありますが、ここで注目すべきなのは、右の方にちょっと手書きで入れておりますが、いわゆる首都圏を中心にした八県、これでもって約四万ヘクタールぐらい植えつけがあるんですよ。そして、このオーバーした分の割合が、パーセントで書いております。これで見ると、非常に首都圏に集中している。それからもう一つは、例えば高知県なんかは一五%もオーバーしてつくっている。

 これをどう見られますか、なぜこういう現象が起きているのか。これは、大臣、副大臣どちらでも結構でございます。

鹿野国務大臣 この数字を見ますと、八県に集中しておる。こういうようなことをどう見るかということでありますけれども、少し私自身も冷静に分析してみなきゃならぬな、こう思っております。

今村委員 これは、一目でわかると思って、私もあえて事前レクもしなかったんですけれども、要するに、これで言えることは、東京周辺は大変なマーケットなんですね。そして輸送費もかからない、そしてまさに薄利多売でやれるというところですから、下手に金をもらうよりもどんどん庭先で売ってもうかった方がいいんだということがここに出てきているんだと思うんですよ。

 ですから、例えば今問題になっている東北地方が売れ残って大変だということもそうだし、あるいは、新潟県のお米もどんどん下がってきて、本当に農業で生きている、それしかないところの皆さん、農家の皆さんが本当にきつい目に遭ってきているわけですよ。

 ですから、これは何でこうなっているかというと、やはり、先ほどから生産調整が云々かんぬんと筒井副大臣が言っていましたけれども、結果的には今回の仕組みは生産調整を緩めるようなことになってしまっているじゃないですか、いろいろな意味で。しかも、いろいろな、自給力向上云々ということの中で、麦だ大豆だをつくったときにはやりますという中で、これは生産調整を守らない人にも金をやるということにしているでしょう。

 そういったことも含めて、結果的にはこうやって強い者がどんどん伸びて、そして弱い者は割を食っている。こういう、ここでも、農業の世界でも一極集中みたいな、強い者勝ちみたいなことをこの戸別所得補償制度はやっているんですよ。これが一つ。

 そして、もう一つは、ここで高知県の例を出しましたけれども、あるいは山陽、山陰の県がありますが、こういったところは非常に山の田んぼが多いんですね。しかも、そういうところのはちっちゃいから、それを集約することはなかなか難しい。そして、このちっちゃな田んぼで何がしかの金をもらうよりは、もう米をつくって真っすぐ売った方が得なんだ。こういうところもやはりそういう現象が出てきていると思うんですよ。

 ですから、非常に、この生産調整の仕組みといいますか、これを今みたいなことで緩めるということは、ここで挙げたようなこういう問題があるということだけ、これはぜひ認識してほしいと思いますが、どう思われますか、私の今の発言について。(発言する者あり)

鹿野国務大臣 今、不規則発言で、緩んでいるんですよという話がありましたけれども、現実は、この制度が導入されて過剰作付が八千ヘクタール減っておる、こういうことでございますので、そういう意味では、参加者も相当ふえておるところでございますから、来年度はさらにこの制度に参加していただくことができるのではないかな、そういう意味で、これからも過剰作付については締まった方向に進んでいただけるのではないかな、こんな思いをいたしております。

今村委員 今、それは減らしていると言いますけれども、現実に、しかしここで、ほかは一生懸命生産調整をやって、米の供給を抑えて何とか価格を維持しようとしているにもかかわらず、こういうところへどんどんどんどんやっている。こういうことを許容するような仕組みであるということを、そこが問題だということをやはり再度私は認識してほしいと思います。

 それと、もう一つ、いろいろな問題がありますが、どうしても、定額部分とか変動部分、これは全国一律なんですね、やるでしょう。そしてそれを面積換算してやる。そうなってくると、これは、今言ったように、収益差によって、あるいは地域によって非常に格差が拡大してくるんですよ。そして、特に中小の農家が切り捨てになってきます。そういうコストの高い農家はそのコスト分を補ってもらえない。逆にコストが安くて黒字を出しているようなところにまでこの金が行くわけですよ。

 非常にこれはおかしな話であって、だから、最初も言ったように、今は、農家の皆さん方は、どうも民主党にだまされた、話が違うじゃないか、小農切り捨てをしないと言ったのにこれでは小農切り捨てじゃないかという話になってきているんです。だから、こういう問題をしっかり、私は余り突っ張らぬで正直にやはり認識してもらいたいと思いますよ。

 それで、ちょっと次に聞きますけれども、今、米の価格が下がっている。そうすると、今後、いわゆる定額部分についても今算定している額とさらに大きく差が開いてきますね。これについて、もうずっとこのまま一定なのか。これを見ると、また、モラルハザードが起きるからだめだということで、それを一定払いにするのか。これはどうですか。それから、要するに将来、これについて増額する見込みはあるのか。

 それから、もう一つ大きな問題は、この変動部分で、五中三で算出したものをベースにして、その分の、ことしの相対価格での実績でもって見る、そういうふうにしていますね。そうすると、これは、ことしみたいにどんどんどんどん値段が下がっていって、低位安定でいく、そうすると、これがもう三年、四年、五年という中にどんどんどんどんその差が埋まっていって、最終的にはこの変動部分はゼロになるんですね、理論上は。そういうことでいいんですか、この設計は。

 私は、これは下手をすると、四、五年するとゼロになるよと言うと、みんな、ふざけるなと言いますよ。そこはどうされるんですか、今後。

筒井副大臣 下手するとゼロになるよというのは、間違いをぜひ宣伝しないでください。こちらは、先ほどから何回も申し上げておりますように、生産費相当部分、岩盤部分はきちんと補てんをする、これを何回も繰り返して言っているわけです。もし、固定払い部分が一万五千円のままで、米価が下がったのに変動部分がゼロになれば、岩盤部分の補てんができないではないですか。そんなことをするはずがないんです。そういうふうな誤った宣伝がなされているから、農家の不安感がますます高まってしまうんです。

 こちらは、五中三にしても、それからこの次の固定払い部分にしても、来年度は一万五千円で概算要求を出しておりますが、その五中三の計算方式等もきちんと基準価格を決めて、全体がナラシのようにだんだんだんだん下がっていく、そういうふうにはしない、きちんと岩盤部分を補てんする、こういう方針をはっきり決めてやっていることを、ぜひその点、御理解をいただきたいと思います。

今村委員 そこの制度設計の受け取り方は違いますよ。五中三をベースにして、そして販売価格との差を見ていくわけでしょう。ですから、やはりそれがどんどん下がっていけば、理論的に言えば、もらう額はゼロになっていくんじゃないですか。その五中三の分をスライドしてずっとやっていけばいいですよ。それはスライドするんですか。そこはどうなっているんですか。

筒井副大臣 五中三を毎年変えるとは言っておりません。きちんと岩盤部分を補てんするために、その五中三の基準年をはっきり決めてやることも検討をしている。いずれにしても、結論としてはっきりしているのは、岩盤部分はきちんと補てんする、こういう点でございます。

今村委員 この辺についてはもうちょっときちんと事務的に詰めてみましょう。私が言っているのが現実どうなのか。

 そして、問題は、これから先、どこでもそうですけれども、何か農家は、米が下がれば面倒を見ればいいんだということでしょう、今、皆さん方の政策は。しかし、農業あるいは農家は、皆さん、いいですか、生活保護を受けるようなあれじゃないんですよ。みんな苦しみを負って一生懸命つくっているんです。それを何か、所得補償をして、見ればいいじゃないかという発想というのは私はおかしいんじゃないかと思うんですけれども。

 むしろ、そういうことよりも、やはりつくったものがきちっと評価される、そして、例えば米をつくらない、ほかの戦略作物をやはりどんどんつくっていく、それの方がよっぽど金になるんだという政策に、前向きの政策に進んでいかないと、下がった分補てんするという後ろ向きの政策というのはおかしいと思いますよ。どうですか。

筒井副大臣 御存じだと思いますが、今度の水田農業に関するモデル事業においても、小麦、大豆あるいは米粉、飼料米等々に関しての支援措置をきちんととっているわけでございまして、戦略作物についての、そっちの方の生産へのシフト、これを所得補償政策全体として進めている。さらに、来年度においては、畑作に関しても小麦、大豆等々の戦略作物についての支援をきちんとやっていく、そっちの方をどんどん生産をして増産をしていただく、この方向をとっていることはもう既に御存じだと思いますが。

今村委員 それがまさに、役人にだまされるなというのはそこなんですよ。現実に私の地元で、今度の概算要求を云々して、そしてはじいてみたら、いいですか、これは一つの例ですが、米でやると、いわゆる十アール当たり五万二千円の所得、小麦は三万九千二百円、大豆で六万四千七百円ですよ。つまり、米と大豆で比較すると一万二千円差が出ている。しかし、こんな一万二千円ぐらいの差では、大豆をつくるリスクというのがいかに高いか、役人が知らないからですよ。ことしの梅雨だって、麦刈りした後、まきました。二回も三回もまき直しをしなきゃいけないんですよ、まいた後に雨が降ると。そして、やっとこさ、こうやってつくって、ことしは台風がなかったからよかったけれども、実がつくときに台風が来たら、もう一発でだめになっちゃうんですよ、葉が飛んじゃって。

 そういうリスクをしょいながらやっていく中で、今言われたような形の中の政策というのは、私は不十分だと言っているんですよ。確かにそうやって仕組みを変えられた。私も前から言っているように、数量払いの方を、いわゆる黄ゲタの方をもっとふやせとは言ってきましたよ。しかし、それにしても、水準をもっと高くすべきじゃないか、水準が低いんじゃないかということを今言っているわけですよ。

 ですから、この辺は、これから先、大豆だって麦だって、両方合わせればたしか四、五千億輸入しているわけですから、できるだけ、海外に金を払うよりは、国内にそうやってつくってもらって、残りは農家に金が行くようにした方がいいでしょうが。ですから、ぜひ、これは副大臣も大臣も含めて、本当に、現場でこの制度によって幾ら農家の懐に入るんだ、そういう視点に立って今から進めてもらいたいと思うんですよ。全体の金だけが行って、これだけ来るからいいじゃないかと言ったって、それはなかなか農家の皆様にはぴんとこないと思います。

 それから、もう一つ言いますが、実はこういった戦略作物をつくっていく上で、例えば大豆にしてもそうですけれども、これは非常に排水をよくしなきゃいけないんですよ。ところが、今、稲作地帯の中ではどうしても米は水が主体だということで、排水の地下水が、やはり暗渠が深いといいますか、そういったことになってきています。ですから、こういった暗渠排水をやはりもう一回やり直して、そして、米もできれば、あるいは麦も大豆もできる、そういった基盤整備をしっかりしなきゃいけないんですよ。

 私のところは、それをとにかくやろうじゃないかと。そして、もともと佐賀だって、いっぱい米はとれますよ。しかし、佐賀は、大豆だって二毛作だってできるじゃないか、とにかくほかのものをつくって、少なくとも、ほかの都市の、米しかつくれないところの農家を助けてやろうじゃないかということで、県間調整を、例えば新潟県から千二百ヘクタール、山形県から二百ヘクタールもらったりして、そしてやってきたんですよ、我々は減反を強化しながら。そういったことの仕組みも、これはぜひ、県間調整の仕組みなんかも思い切ってやってほしい。今、これをやったってやらなくたって余り変わらない。褒めてくれないんですよ、全然。

 そういうことをやってほしいし、そしてさっき言ったように、これをやっていく上での基盤整備、これについてしっかりやってほしいと思いますが、ところがどっこい、私が言うまでもなく、農業農村基盤整備はもう大幅に減らされましたよね。だから、今言った暗渠排水をとにかく推進しようという金だって何だってストップしている、将来の展望がなかなか見えないというようなことにもなってきています。基盤整備のお金をこんなに削って、それは一年や二年はもつかもしれぬけれども、将来的にどうなんですか。これはしっかりやはりやってくれないと、農業の構造転換なんかは、それはなかなか難しいですよ。

 もっと具体的に言いますと、私のところなんかは、例えば今、嘉瀬川ダムという、でっかい、本当に長年の懸案のダムができてきています、もう湛水試験を始めていますけれども。ところが、このダムから水を持ってこようとしている送水事業、これは予算が切られて、結局、ダムが完成してもその送水が間に合わない、そういったおそれが今出てきているんですよ。

 ですから、これだけ佐賀の農業は先陣を切っていろいろな取り組みをやってきた、減反にも協力して、ほかの県の減反まで受けて、大豆や何やつくってきた。そういうところがいざやろうとなると、こういうところでばさっと一律にカットされるということは非常におかしいんですね。

 そして、クリークが非常に大きな役割を果たしていますが、それも、早く基盤整備をしたところはクリークののり面が崩壊したりなんかしているんですよ。これは大変危険な状況です。やはり、こういったところについても金をつぎ込んでやっていかなきゃいけない。

 だから、この基盤整備の事業を、予算をどうするのか、今みたいなレベルでやっていくのかどうなのか、その辺の問題意識を、ぜひ大臣、これは聞きたいと思います。

鹿野国務大臣 今先生から御指摘のあった、麦、大豆等についての基盤整備でありますけれども、麦、大豆等の生産拡大を図るために必要な緊急の排水改良あるいは水路補修等を実施する戦略作物生産拡大関連基盤緊急整備事業として二百二十億、地域共同による農地周りの水路等の長寿命化に取り組む集落への支援を実施する長寿命化対策、四十七億円などの関連予算も含めれば、対前年比で一一八%の二千五百八億円を要求している、こういうことであります。

 そして、これに加えて、別途概算要求しておりますところの農山漁村地域整備交付金は、対前年度同額の一千五百億を要求しております。

 それから、平成二十二年度の経済危機対応・地域活性化予備費を活用いたしまして、農地のいろいろな水害等の防止対策としてなど、百八十億を確保しておるということは御承知のとおりであります。

 さらに、平成二十二年度の補正予算案におきましても、農業農村整備事業、二百七十九億円、暗渠排水の整備や用排水路の補修などきめ細かな生産基盤整備に三十億、農山漁村地域整備交付金に三百二十一億円というものを計上いたしておりまして、さらにこれからも、食料自給率を高めていくということに不可欠な基盤整備あるいは防災対策に関する地域の要望というものをお聞きしながら取り組んでまいりたいと思っております。

今村委員 今言われたことは、私もぜひ評価をさせていただきたいと思います。

 ただ、いかんせん、全体の予算枠というものはやはり大幅にカットされていますよね。これは、それこそ、あるお役人さんから聞いたんですけれども、実は去年、マニフェスト予算というのは別枠だと思っていたと。ところがどっこい、それが全部組み込まれて、結局、こういうところにしわ寄せが行っちゃったみたいなことを言っていました。

 ですから、今後、いろいろな、先ほど農産物自由化の問題等々の話も出ておりますけれども、とにかく、こういった体力を強くするんだということについては、景気対策も含めてしっかり取り組んでいってもらいたいと思います。

 次に、時間がなくなってきましたが、諫早干拓の問題なんですね。

 これは前の赤松大臣のときも含めて、あるいは民主党の総選挙の中でも随分、これはもう今にもあけるようなことを、調査をやるようなことを言っていましたけれども、なかなか、これがまた足どめを食らって進まないという状況になっています。大臣、これは一度見に行ってください。

 それで、堤防の真ん中に、貯水池の水を排出しているというポンプがあります。そのポンプの水が出てくるところに、見ると、海の中にもじゃもじゃもじゃもじゃ、変なのが泳いでいるんですよ、真っ黒くなるほど。それはボラとかスズキの群れなんです。どういうことかというと、諫早干拓の排水の水、これは非常に水質が悪い、そして富栄養化している。だから、それを食べに、わっと寄ってきているわけですね。しかも、アオコという、そういったものがどんどん出ています。アオコにはいろいろな議論があって、毒素があるんじゃないかと言っています。

 要するに、この諫早の問題は、やはり排水する水の基準が大きな問題であることも確かなんですよ。ですから、このままいくと、これは下手をすると第二の水俣と言われたって仕方がないようなところが出てきますよ。ですから、これはよく見に行ってください。そして……(発言する者あり)うるさいな、だれだ。見てこいよ、そんなことを言うなら。どんな気持ちでやっているか、わからないだろう。知りもしないで余計なことを言うんじゃない。

 それで、もう一つ、この諫早の問題は、何で水質が悪くなったかというのは、もともと干拓の面積はもっと広かったんです。それを縮めて、逆に貯水池をふやしちゃったんですね。だから、その分、せっかく上流から流れてきた川が、もとのままだったらどんどん循環するんだけれども、結局そこにたまっちゃって腐っていく、そういう仕組みにもなっています。こういう点は、ぜひしっかり見てきて、本当にこれは政治主導でやってもらいたいなと。

 そして、もう一つ、この問題にはいろいろな意見があるんですよ、それぞれに。しかし、言ってみれば時限爆弾を抱えているようなもので、何かあると諫干のせいだ、諫干のせいだということで、本当に落ちついた生活ができません。そういったことで、やはりここは、長崎県の問題もありますけれども、大臣のリーダーシップでしっかりこの問題は前向きに取り組んでいただくということをぜひお約束してもらえないでしょうか。

鹿野国務大臣 諫早湾の干拓問題に関する件につきましては、今村先生はたしか平成二十年に副大臣として活躍をされておりましたから、一番この問題は承知をされておるというようなことだと思います。そういう中でのお考えを今披瀝されたと思うわけでありますけれども、長年にわたるところのいろいろな、さまざまな意見等があるということもお話しのとおりに承知をいたしておりまして、大変な問題だということも承知をいたしております。

 いずれにいたしましても、今後、今環境アセスを進めておるところでございますので、環境アセスがまず先であるということについては関係県においても一致しているところでもございますので、来年度のできるだけ早い段階で結果素案を取りまとめていきたい、こういうふうに思っております。

今村委員 最後になりましたが、一言申させていただきます。

 先ほど、冒頭申しましたように、今民主党農政については大変な不満が起きております。我々は、そうだろう、我々が言ったとおりじゃないか、そういうことの気持ちもございます。政局的には、我々の党としてはそっちの方がいいんですよ。そうでしょう。だけれども、それでもって農家の皆さんがお困りになるということは政治家としては見過ごすわけにいきませんから、我々も本当に、これはこうなんだよ、こうしたらどうだということをしっかりやっていきます。

 ですから、ぜひ、こういうねじれの中でもございますから、政務三役の皆さん方にひとつ先頭に立っていただいて、日本の農業、農家、そして漁家、漁業、そして林業の皆さん方を含めて一次産業の皆さん方が本当に、よし、国会もちゃんとやってくれているなというしっかりした議論、まさにこれが熟議だと思いますが、そういったことをしっかり進めていただきますように最後にお願いを申し上げまして、質疑を終わりたいと思います。

鹿野国務大臣 政権交代して一年でありますけれども、私もこの農林、第一次産業については三十年間ほどずっと取り組んでまいりまして、政策も新しい政策が導入されたということでありまして、大きな転換であります。そういう意味で、現場の方々がまだ本当に理解をしていただいていないなというところもございまして、私どもの啓発、啓蒙の足らないというところも反省をしながら、現場の生の声をできるだけお聞きしながらというふうな気持ちをもとに、今後農林水産行政を進めてまいりたいと思っております。

今村委員 終わります。

山田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

山田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。谷公一君。

谷委員 自由民主党の谷公一でございます。

 四十五分間、きょうは、鳥獣被害対策、森林・林業、水産業、時間があれば口蹄疫、これらについて質問をさせていただきたいと思います。

 その前に、午前中、我が党の今村委員の方からもTPPのことで質問がありました。関税の全廃を原則とする環太平洋戦略的経済連携協定、いわゆるTPP、国内では主要品目だけで四兆一千億、約半分ぐらいの、壊滅的な打撃を受けるのではないか、そういうことが報じられております。既に先週土曜日に、こういう四兆一千億という数字であるとか、一方、経産省は輸出が八兆六千億落ちるとかいうのが報じられています。

 報じられていて、けさ我が党の農林部会でその資料の提出を求めますと、政府の方は、いや、まだ数字の精査があるので出すのは御遠慮願いたいということで、一切資料は出しませんでした。聞くところによると、これは二十二日、先週の金曜日、民主党のプロジェクトチームには出したけれども、部門会議には出していないということであります。

 考えてみれば、これほど重要なことを、数字だけが報道されて、我々国会議員は何も知らない、データさえも見られない、提出していただけないというのは国会軽視ではないか。(発言する者あり)我々は選挙区でどう説明するのか。議論をすべき基礎的な資料もない。極めて異常なことであります。

 委員長、この資料の提出について、委員会として提出を求めます。御所見をお伺いします。

山田委員長 理事会で協議させていただきます。

谷委員 繰り返しになりますけれども、こんな大事なことを、今、何か与党側からも珍しく激励のやじをいただきましたが、当たり前のことなんです、こんなもの。だって、十分議論をしようと言いつつ、その基礎的なデータさえ出さない、出そうとしない政府の対応は極めて異常で不透明であります。とても国民への説明責任を果たそうという姿勢があるようには思えません。ぜひ、その点について、委員長の的確な判断を求めたいと思います。

 さて、質問に移ります。

 鳥獣被害対策。私の選挙区は兵庫県でございますけれども、毎日、新聞を見るのが嫌なぐらいいろいろな、クマが出たとか、ついこの前は私の選挙区の朝来市というところでまたクマが出て、私と同じ五十八歳の男性が大けがをしたとか、クマがたくさん出てきて、捕獲が前年の十一倍だとか、そういうニュース。クマだけではなくて、それはイノシシでもシカでも一緒であります。

 それは、何も私の兵庫県だけではなくて、西日本も首都圏も大変鳥獣被害に悩んでいるところであります。人によっては、農業最大の敵だ、大変深刻で、意欲を喪失させる、こういうことをよく私も聞きます。私の選挙区で、兵庫の北部の方の香美町の小代地区というところに猿がよく出るんですけれども、笑いながら私に言うんです。谷さん、私の地区は動物園ですわ、そうとでも思っていなければやりきられへん、こう言うわけです。

 こういう状況を政府の方はどう認識されていますか。認識について簡潔にお尋ねしたいと思います。

田名部大臣政務官 谷委員の御質問にお答えをいたします。

 まず冒頭、谷委員の御地元でクマ被害があったということで、私からも心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 認識についてでありますけれども、鳥獣被害でありますが、過疎化であるとか、また耕作放棄地の増加であるとか、また高齢化の進行、そして農業生産、この活動の低下ということに伴って被害というものが大きくなっていると認識をしています。さらに、この被害というものは深刻化をし、また広域化をしているものと認識をしています。

谷委員 何か一般的な答えでございました。

 クマの被害は私の地域だけじゃないですよ、全国なんです、これは。そのことをしっかり認識していただきたいと思います。

 私は、今兵庫県の養父市というところに住んでおりますけれども、八鹿という、町の中心部にももう出始めました。私のかみさんも、朝早くとか夜暗くなってからはもう一人で歩けない、怖いと。私のかみさんだけではありません。地域の方も、深夜ごみを出す人もやめたとか、そういう、大変とどまることを知らない状況。どこまでこんなことが続くんだろう、冬になれば冬眠するから大丈夫だろうという見方は従来ありましたけれども、専門家の話ですと、必ずしもそうでない。温暖化の進行で、ひょっとしてまだこの冬も続くのではないかという声もあるようであります。

 認識についてはいいです。

 そうしたら、こういう状況に遭いながら、きょうは政務官にも来ていただいておりますけれども、昨年の事業仕分けで、ソフト、ハードの施策は国が行うべきでない、この鳥獣被害対策ですよ、国が行うべきでない、自治体の判断に任せる、こういう結論が出て、何と予算を減らしました、カットした。どういう認識ですか、これは。そういう事業仕分けというのは本当に正しいと思われていますか。全国の現状をしっかりと踏まえて事業仕分けをしたんですか。どういうふうに思われますか。

園田大臣政務官 谷委員にお答えを申し上げたいと存じます。

 鳥獣被害についての大変な被害が全国各地で起きているということに関しまして、私も認識を共有させていただく次第でございます。何を隠そう、私の地元におきましても、猿あるいはイノシシあるいはクマといった点で大変な被害が出ているということも私もつぶさに見てまいったところでございます。そういった点におきましては、委員御指摘のとおり、この施策の重要性というものは、私も当然ながら強く認識をさせていただいておるところでございます。

 ちょっと事実関係だけ、簡潔にという委員の御指摘かもしれませんけれども……(谷委員「簡潔で結構です。調べていますから」と呼ぶ)はい。事実関係をしっかりと申し上げさせていただきたいと存じます。

 まず、事業仕分けを行う際に、私どもは、この第一弾、委員がお答えになられていることに関して、まず地域主体で行うべきである、そして地域に即した手段で行うべきという議論も中ではなされていたということでございます。ただ、その取りまとめのコメントにおきましては、鳥獣被害防止の対策が重要な課題であるということを認識しつつという形で、きちっとこの対策の重要性については私どもは認識をさせていただいておる。

 ただ、農水省のソフトやハードの施策については、これは本当に国が行うべきであるのかということをやはりこの事業仕分けの中において問わせていただいたということでございます。

 この仕分けの結果に基づいて、地方の裁量を高める形で、二十二年度より、それまでの補助金、補助事業であったところが交付金化をされていったということでございまして、地域の実情に精通した地域の主体がしっかりとその対策を行っていただくということではないかというふうに思っております。

谷委員 要は、大事なことは、予算がどうなったかということですわ。

 平成二十一年度が二十八億でしょう。それで二十一年度の補正で四億積んで、それで、何とそのうち一億五千万円ぐらいはもう不用だと召し上げられて、二十二年度概算要求、三十億していましたよ、農水省が。では結果的にどうなったか、二十二億じゃないですか。前年よりも落ちている。考えられないですよ。

 それで、確かに、補助金から交付金になって、それは使い勝手はよくなったと思いますよ。でも、この予算を見て、全国の関係者はどう思ったと思いますか。怒っているんですよ、怒っているんですよ。農水省の方も、地方議会の意見書とか要望がたくさん届いているかと思います。私の地元の市長とか町長はもうあきれて、国はどんな感覚をしているんだ、何にも実態がわかっていないじゃないか、そういうふうに受けとめているんですよ。

 再度答弁を求めます。予算を減額したことについてお尋ねしているんですよ。

園田大臣政務官 鳥獣被害対策に関する予算のあり方については、これは所管官庁であります農水省さんがやられることである。

 その前段で、私どもは、事業仕分けという手法を用いて、このハードやあるいはソフトの事業に関して、それが本当に国が全体的に、個別具体的なところまで口を出しながらやっていく事業であるのかという点で、事業仕分けの中で指摘をさせていただいたということでございます。したがって、この予算を削れというようなことではなくて、ポイントは、個別具体的な地域の主権という立場の中から、国がそれに口出しをすることが本当にいいのかどうかというところでございました。

 したがって、委員御指摘のように予算を削るということが事業仕分けで行われたということは私どもは認識をいたしておりません。

谷委員 政務官、ありがとうございます。もう結構です。

 もう一度事業仕分けの復習をしますと、事業仕分けの結論は、こういう事業は国がやらなくてもいい、自治体に任せればいいということなんです。それが大部分の意見。そして残りの意見で、計上はもうゼロでいいという人が一名、予算要求の縮減が二名なんですよ。

 それで、結果的に、こういう事業仕分けを受けて農林水産省はどうしたか、減らしたんじゃないですか。

 そして、それが余りにもむちゃだったから、要は、事業仕分けは地域の実態を見ていない、頭だけの考えで、えいやでやってしまったから、これはこのままではだめだということで、さすがの農林水産省も、来年、緊急対策として百億、そして鳥獣被害防止総合対策交付金は、なぜか二十二億を十億ほど減らして十二億という要求をされているわけであります。

 さて、来年はこれだけ要求したからいいのではないかと、午前中の答弁でも何かそういうニュアンスのように聞こえましたけれども、私はそうは思いません。

 これは単年度の補助金ですか、来年度の要求の考え方は。お尋ねします。来年度百億というのは単年度の補助金で要求されているのではないですか。百億で、もうこれで終わりという考え方じゃないですか。答弁をお願いします。

鹿野国務大臣 今お話しのとおり、単年度でございます。

谷委員 ですから、大臣、ちょっと考え直してくださいよ。

 今、公的な、農林省が言っている被害額で、たしか二百億ぐらいでしたかね、二百億。ただ、被害額そのものは、皆さんもよく御存じかと思いますけれども、こんなもの、物すごいいいかげんですよ。各自治体が、各市町が、アンケートとかあるいは何か共済のデータから、それぞれの現場のレベルでは本当は正しいことはわからない、わからないけれども、アンケートとかそういう集計をしたのを都道府県に報告して、都道府県がまとめて積み上げたのが二百億なんです。

 ですから、現実の被害と、相当少ないと見るのが、専門家といいますか、この方面に詳しい方の見方なんですけれども、大体それの、各自治体の取り組みから見れば十倍ぐらいの金額を費やさなければとても抜本的な鳥獣被害を防ぐ対策にならないのではないかと私は思いますけれども、わずか百億で、しかも単年度で、これで事終わり、そういう考えなのか、再度お尋ねします。

鹿野国務大臣 二十二年度の予算につきましては確かに減少いたしまして、これで、都道府県からの予算額の、このことに対して二倍以上の要望がありましたということも事実であります。

 それを受けて、とにかく地域の深刻な被害というふうなものに何とか対応しなきゃならない、こういうことから、二十三年度予算においては、従来の都道府県に対する交付金に加えて、緊急対策ということで、今お話しのような形で要求をいたしておるところでございまして、とにかく緊急というような予算を、対策として予算を要求しているというようなことは、私どもも大変な状況にあるという認識をさせていただいておるというふうに御理解をいただければと思います。

谷委員 私の方が訴えたいのは、百億では極めて不十分だということです。もっともっと、大臣、地域の現場の状況を調べてくださいよ。どのように取り組んでいるのか。

 私の地元の丹波市というところは、さくは三百七十キロを超えていますよ。丹波篠山は百六十キロを超えている。それから、新聞報道によれば、出雲市では百三十七キロ、伊賀市では百三十キロ、そういうさくを、単独事業も含めて相当やっている。また、捕獲、駆除対策として、三重県の津では、猟友会の委託を四倍にふやし、倉敷市では、失業者を鳥獣被害の調査員として新たに任命した。私の隣の京都府では、猿の激甚被害地というのを指定して、モンキードッグの養成とか警報システムの単独の助成を始めたとか、富山の魚津では、公務員のハンターを養成するように予算措置をしたとか、あるいは、とった後の肉の活用で、北海道のエゾシカを初め全国でさまざまな、イノシシとかシカの肉の活用などをされているという実例もあります。

 そういうことから見れば、来年度の百億、しかも補助金ですから、これは、さっきの園田政務官の言葉でいえば逆転なんですよ。もともと補助を、使い勝手のいいように交付金にしたのに、また単年度で、補助だ、しかもこれは百億だ。

 そして、農林水産省の説明では、何と「戸別所得補償制度により生産拡大を進めるための環境づくり」なんと説明資料に書いてある。笑ってしまいますよ、これは。生産拡大を進めるための環境づくりではなくて、とにかく現状を、同じように田んぼをつくりたい、畑を耕したいということを思っているだけなんですよ、何も。生産拡大をするために百億の補助は別に必要ないですよ。今の生活を守って、安心して米をつくり、そして畑で野菜をつくるような、そういうことを国がしっかり面倒を見てほしいということです。

 副大臣、どうですか、農政に詳しい筒井副大臣。来年の取り組みについて、もう一度検討し直して、いい制度にしていただくようにぜひお願いしたいわけです。

筒井副大臣 おっしゃる趣旨はよくわかりますし、鳥獣被害、年間で直接の被害は二百億円ぐらいですか。ただ、直接の被害だけではなくて、営農意欲の喪失を招いたり、あるいは耕作放棄地、これの拡大を招いたり、さらに損害は広がるわけでございますから、おっしゃるとおりもう最大限の予算をつけていきたい、それが農水省の態度でございますが、何しろ今の財源の状況の中で精いっぱいやっているわけでございまして、今年度も来年度もまた一生懸命やっていきたいというふうに考えております。

谷委員 ぜひとも今の要求にとらわれない取り組みをお願いしたいと思います。今週、きょう閣議で決定して金曜日に補正予算が出るということでありますけれども、補正予算の中でもいいんです。また我が党からもいろいろ提案させていただいて、協議させていただいて、補正予算の中ででも、可能であればぜひ計上をお願いしたいと思います。

 二つ目に、森林・林業についてお尋ねします。

 来年度、農水省の概算要求では、森林環境保全直接支援事業という新たな考え方によって予算要求をされています。

 ただ、この事業の考え方、一つは集約化施業と、搬出間伐により森林整備を行う者、これらの方に限定して支援をするわけですか。逆に言うと、今、搬出間伐というのは本当に少ないでしょう、大部分はいわば山の中にそのまま放置されている。そういう間伐ではなくて、集約化して、搬出間伐でなければ補助対象にならない、そういう考え方になるんですか。確認をいたします。

筒井副大臣 結論的に言えば、おっしゃるとおりでございます。

 今、木材の自給率を、五〇%を目指す、それから地球温暖化ガス吸収源として三・八%を実現しなければならない、そのためには五十六万ヘクタールを間伐して森林整備をしていかなければいけない、そのうちの二十五万ヘクタールをこの直接支払いの対象として整備していきたいというふうに思っているわけでございます。

 その際に、やはり、その作業を、森林整備の作業を効率化するためにも集約化が必要ですし、捨て間伐のまま捨てられているのでは、効率的にも、またその資源を活用するという点からも極めて問題があるものでございますから、施業を集約化して搬出間伐をする、そういう事業者にこの直接支払い、約五百七十億円でしたかの概算要求でございますが、これを支給したいというふうに思っているところでございます。

谷委員 いや、副大臣、それでは困るんです。

 では、集約化をして、搬出間伐を行う、森林整備を行う者だけに限定するということは、すべて間伐したものを搬出しなければならないんですか、一〇〇%。

筒井副大臣 原則はそうでございます。

 ただ、傾斜度とか、場所によっては、どうしても搬出した方が大変なコストがかかるし、そもそも物理的になかなか難しいという場合もあるかと思いますので、それらの部分については例外として搬出間伐をしなくても支給をするということを考えておりますが、原則としては搬出間伐が前提としたいというふうに思っております。

谷委員 ちょっと副大臣、実態と全然違うんじゃないですか。搬出間伐をするというのが原則だ、例外的に急傾斜のところって、山はみんな急傾斜ですよ、そんなもの。

 それでは、副大臣にお尋ねします。では、現実に今、間伐のうちどれだけ搬出されていますか、搬出間伐ですか。ウエートは、現実、今一〇%ありますか。

筒井副大臣 なかなか現在捨て間伐が多いわけでございまして、搬出間伐は約三割ぐらいというふうに聞いております。

谷委員 確認ですけれども、搬出間伐は三割ですか。三割で間違いございませんか。

筒井副大臣 そういうふうに私は聞いております。

谷委員 私の聞いているのと違いますね。

 今度新たな制度で、農林水産省に、事務局に聞きますと、まあ三割も搬出間伐すればこれは補助対象に入れざるを得ないですね、入れなければ、現実問題、搬出間伐に限定してそこだけを支援するというような仕組みが動きませんと。

 今の副大臣の答弁ですと、では、現状が三割だから、今度は七割でも搬出間伐がなければもう助成対象にしないということになるんですか。

筒井副大臣 だから、それを、何割だったら助成対象にするとか、そういう基準で決めているわけではありません。やはりそれぞれで難易度や何かが違いますから、傾斜度も違いますから、ここでは搬出をした方がかえって費用がかかって物理的にも大変だというところが、場所によっては四割、五割になるかもしれません。それは、そのときそのときで判断をしていくべきだ。しかし、原則はやはり搬出間伐を目指していきたい。そのためにこの五百七十億円という費用も出すわけでございます。

 同時に、作業道も整備をしていく。もちろん森林・林業の政策の一つの大きな柱として作業道を整備していくというのも入れているわけでございますが、それは、搬出を今よりもより容易にするということでございます。

 それからもう一点、搬出間伐を進めたいのは、その搬出された間伐材をきちんと資源として活用する。今までそれらを資源として活用する場面が少なかったし機会も少なかった。それも広げていきたい。これがやはり日本の林業のために必要だろうというふうに考えているわけでございます。

谷委員 結局、今答弁をやりとりしていて、全国の地域の現場はよくわからないと思いますよ、混乱すると思います。

 一番心配なのは、今ずっと間伐を、地球温暖化ということで五十五万ヘクタールをずっとやってきたわけでしょう、当初予算と補正で。それで全国の森林組合を初め事業者も一生懸命やってきた。ただ、来年は集約化施業と搬出間伐のみを対象にします、これだけですよという考え方で、どの程度厳しいものなのかということをある程度明らかにしないと、事業に取り組めないじゃないですか。そのことをさっきから問うているわけです。

 まあ、わかりました、まだよく固まっていないということが今の時点でよく……(筒井副大臣「いやいや」と呼ぶ)いや、今の時点ではまだよく考え方を固めていないということが私はわかりましたけれども。

筒井副大臣 先ほど申し上げたのは考え方でございまして、先ほど申し上げた考え方は今固まっているわけでございます。

 ただ、はっきりしないのは、何割搬出したらいい、何割まで捨て間伐でもいいというのは、それぞれの事情によって、山の事情によっても違ってくるだろう、それは前もって決めておくわけにいかないということを申し上げているんです。

谷委員 考え方そのものを何も私は全面的に否定するわけじゃないですよ。施業の集約化、たくさんのそれぞれの土地が細分化、山が細分化されていますし、それを集約化しなければならない。そして、間伐は、切り捨て間伐ではなくて搬出間伐が望ましい、それはわかります。

 ただ、全国の実態をよく見てそこはやらないと、特定の地域だけにお金を集中的に投資して、見捨てられる地域が全国にいっぱい出るということを私は恐れているんです。そのことをさっきから問うているわけです。

筒井副大臣 それは私も賛成ですから、おっしゃるとおりに、全国のそれぞれの地域の実態をよく見て、そして具体的な政策を実行していきたいというふうに思っております。どこかの地域を全部切り捨てちゃうとか、そういうことは毛頭するつもりもないし、してはならないと思っております。

谷委員 ぜひ、実態をよく見ていただいて、しっかりとした対応をお願いしたいと思います。有害鳥獣対策のような、実態を見ないような予算措置でないことを願っております。

 さて、それに絡んで、森林環境保全直接支援事業というのは、いわゆる民有林です、民有林助成。全体の森林整備は、大きく分ければ国有林と民有林に分かれます。民有林のうち、いわゆる補助の分は、先ほど来議論をしております森林環境保全直接支援事業で新たに大きく拡大して取り組もうとされている。

 一方、水源林造成事業、前でいう公団造林ですね。これについては、特に何も対応はせずに、前年を下回った予算になっておりますけれども、民有林のうち水源林造成事業、ほとんどが保安林でございますけれども、これは力を入れないんですか。

筒井副大臣 それは主に奥地の方にある森林でございまして、これを民間で自主的に取り組めといってもなかなか難しいですから、公的に取り組まなければいけないというふうに前から考えておりますから、今度の概算要求でも前年度とほぼ同額を今要求しているところでございまして、決してこの部分をやらないとかそういうことはございません。

谷委員 ほぼ同額というか、九六・五%です。

 副大臣、私がお尋ねしたかったのは、今まで民有林は、民有林の補助と水源林造成がほぼ同額だったんです、ずっと同額。それで、民有林補助の方を来年大きく伸ばしたでしょう、概算要求段階では。一方、水源林造成事業、前の公団造林、これはほとんど横ばい、若干落ちている。バランスを考えるならば、もっと水源林、水源林も大事ですよ、保安林ですから。それに力を入れてもいいんじゃないですかということをお尋ねしたかったんです。

 いいえ、答弁はいいです。次の質問に……(発言する者あり)

 いや、答弁は政府側からいただきたいので。

筒井副大臣 それもおっしゃるとおりだと私は思いますが、それで、今予備費も活用したり補正予算も活用したりして、それら、今の厳しい財源状況の中でそういう追加予算をとりながら一生懸命努力しているということも御理解をいただきたいと思います。

谷委員 予備費は、この前の、九月の配当でたしか十六億か何かあったということは承知しています。

 補正予算、金額は知りませんけれども、百億オーダーでも、ぜひ副大臣、頑張ってください、水源林。いえいえ、もう結構です。まだ答えはないでしょうから。(筒井副大臣「あるよ」と呼ぶ)答えていただけるんですか、金額。補正予算の金額、答えていただけるんですか。そうしたら答弁を求めますけれども。

筒井副大臣 補正予算、百二十億円を何とか確保してやっていきたい。今、百億円オーダーと言われましたが、その趣旨は賛成でございますから、そういう方向でやっていきたいというふうに考えております。

谷委員 ありがとうございます。

 頑張られましたね。素直に敬意を表したいと思います。その点についてはしっかり応援させていただきますので。

 それでは、森林・林業の最後の問題です。治山です。

 治山がまた落としているんですね。大丈夫ですか、こんなことをして。それはことしの予算でもおっこちていますわ。ただ、農家の戸別所得補償のしわ寄せで、山の予算は三五%、治山も相当落ちています。国土交通省の砂防に比べてもはるかに減少率が大きいんですわ。来年、また概算要求の段階でこれだけ落として、果たして農山村の人々の命とか暮らしとか、あるいは山を守れますか。その認識を大臣、お尋ねしたいと思います。治山事業の落ちについての認識です。

鹿野国務大臣 平成二十三年度の予算概算要求につきましては、おっしゃるとおりに、前年度比八八・四%、こういうことでございまして、継続的に下がっているということは委員おっしゃったとおりであります。

 そういう中で、私どもといたしましても、予算の中で、最大限の効果を発揮させるために優先度に応じた事業の重点化なり、あるいはいろいろな既存の施設の有効活用などで、効率的、効果的な事業を推進していきたい、こう思っております。

 そしてまた、予備費におきましても、治山事業につきましては、地域の活性化ということの中で、治山事業を含めて三十億をその中に措置しておることもございますし、また、平成二十二年度の第一次補正予算案にも、治山事業を含めて二百五十五億ほど計上しておる、こういうことでございます。

谷委員 私は、農林水産省の治山だけではなくて、国土交通省の砂防とか河川も含めて、もう切り口を変えて政府予算を組まないと、いつまでもじり貧の状況が続くと思うんです。そして、人々の安全、安心というのが、これだけ気候変動でゲリラ的な集中豪雨に全国各地で不安を持っている、脅かされている中で、しっかりとした国の対策はできないのじゃないかと思います。

 前に、赤松大臣に、予算委員会の分科会で、私は、防災ニューディールというような新たな旗印で、省庁横断的にそういう防災の予算を確保しないと、今の予算の仕組みではなかなか難しいのではないかということを提案させていただいたんですけれども、改めてそのことも申し添えておかせていただきたいと思います。

 時間があれでございますので、三点目の漁業、水産業対策に移らせていただきたいと思います。

 赤潮の被害の対策についてはこの後小里先生がいろいろ御質問をされますので、我々自民党としても早期の、速やかな成立を願っておりますので、ぜひとも政府側におきましても御協力をお願いしたいと思います。

 それで、漁業、水産業対策では、新たに、二十三年度予算で資源管理・漁業所得補償対策ということで打ち出しています。ただ、中身を見ますと、要は漁業共済への助成を手厚くする、漁業共済制度を活用した収入安定対策と言いかえることができるかもわかりません。

 では、その論でいけば、今戸別所得補償が先ほど来議論になっていますけれども、農業共済の助成を手厚くすれば農家の所得補償になるんですか。この漁業との横並びからいって、考え方をお尋ねしたいと思います。

筒井副大臣 基本的には、所得補償には直接支払い方式と保険方式と、二つがあると思っておりまして、農業の方等々では、今、直接支払い方式を採用したわけでございまして、漁業については保険方式を採用したわけでございます。

 これは、なぜそういう区別をつけたかというと、漁業に関しては、現在の保険制度の拡充という形で所得補償政策を実行してほしい、こういう、漁業者等々たくさんの方からの要請もあったし、いろいろな意見もそちらの方向に集約されてきましたのでそういう方式をとったわけでございまして、同じ所得補償制度の一つの方式だというふうに考えております。

谷委員 これのあり方について、きょうはちょっと時間もありませんので、また議論をさせていただきたいと思います。

 もう一つ、ちょっと漁業で気になるのは、来年度概算要求で「小規模漁港の整備を抑制」、こう書いているんです。いや、私が言っているんじゃないですよ。水産庁の資料に、農林水産省の資料みずからに、小規模漁港の整備を抑制する。要は、見方を変えれば、効率の悪い、採算性の悪い漁港はもう国は支援をしませんということにほかならないと思います。

 小規模漁港といったら、ではこれは、これから何か整備していこうとすれば、どうなるんでしょうか。自力で頑張れ、そういうことですか。答弁を求めます。

鹿野国務大臣 今の先生からの問題提起につきましては、谷議員から過般御要請もいただきました。

 そういう中で、やはり漁場と一体となって沿岸漁業の生産を支えておる、また、沿岸漁業と漁村地域の振興上重要であるという認識に立ちまして、小規模漁港の整備につきましては、予算的制約はございますけれども、当面の安全対策や老朽化対策など必要な対策を講じて、漁業者の事業や生活に支障が生じないようにこれから努めてまいりたいと思っております。(発言する者あり)

谷委員 概算要求にはそう書いてあるけれども、ちゃんと二十三年度もやっていくというふうに受けとめてよろしいんですか、今の答弁は。

鹿野国務大臣 今申し上げますとおりに、予算上の制約はありますけれども、できるだけの努力をしてまいりたい、こういうことであります。

谷委員 しっかりとした目配りを、また特に、今宮腰筆頭理事のお話にもありましたように、ハンディのある離島とかそういうところへの目配りをぜひよろしくお願いしたいと思います。

 有害鳥獣対策のしっかりとした、もう一度新たな組み立てと、それから森林・林業のさらなる充実を願いまして、質問を終えたいと思います。ありがとうございました。

山田委員長 次に、赤澤亮正君。

赤澤委員 質問の機会を与えていただき、ありがとうございます。

 鹿野大臣初め政務三役の皆様は、御就任まことにおめでとうございます。

 さて、鹿野大臣、菅総理が、十月一日金曜日の所信表明において、環太平洋連携協定、TPPへの参加を検討すると表明されたことに賛成でいらっしゃいますか。

鹿野国務大臣 総理から所信表明で、環太平洋パートナーシップ協定というふうなところに参加することを検討する、こういうような表明がされたわけでありまして、今、そのことについて政府内において検討いたしておる、こういうことでございます。

赤澤委員 どうも、聞いたことにお答えいただけず、歯切れが悪いんですが、総理が表明されたことには農林水産大臣として賛成をされているんですね。

鹿野国務大臣 賛成するとかしないとかというふうなことではなしに、総理として、検討をする、こういうような表明がされたということでございます。

赤澤委員 それでは、賛成ではないんですか。

鹿野国務大臣 私は、賛成とかそれに反対とかというようなことよりも、やはりこの協定がどういう協定なのかというようなところから検討しなければならない、こういうふうに今思っておるわけでございまして、具体的に今政府内で検討しているというふうなことでございます。

赤澤委員 鹿野大臣は、二十年前に自民党政権当時にも農水大臣を務められた農政通であると承知をしております。本日の質疑は、多くの国民が、特に農業関係者、生産者の方、JA関係者、本当に多くの方がインターネット経由でリアルタイムで見ておられます。そのことも念頭に置いてしっかりとした議論をしていただきたいと思うんです。見ておられる方はびっくりしていると思いますよ。少なくとも、農水大臣が今の時点で煮え切らない。総理が表明したことには賛成なのかと聞かれても、いや、検討していますと。これは本当に驚愕のお答えだと私は思います。

 菅総理の拙速に格好をつけようとする戦略なき外交、これに賛成するのであれば、私は、鹿野大臣が所信表明でうたわれた攻撃的な農林水産行政、これはもう看板に大きな偽りがあると言わざるを得ません。実際には玉砕型の農林水産行政じゃないですか。本日は、我が国の農産物の貿易自由化、EPAやFTA、さらには、突然降ってわいたTPPなどについて質疑を行う中で、この点を明らかにしていきたいというふうに思います。

 二問目のお尋ねをいたします。

 大臣、本日、日印経済連携協定、日印FTAの締結について、日印の首脳が合意したと報道がありました。日印FTAなどFTAとTPPの違い、特に関税の取り扱いについての違いは何ですか。

鹿野国務大臣 FTAは自由貿易ということでありますし、EPAは経済連携でございますから、このたびインドとの合意をしたことは、EPA、経済連携として合意がされた、こういうことであります。

赤澤委員 FTAとTPPの違いを教えてください。

鹿野国務大臣 自由貿易ということで、TPPは、先生が一番御承知のとおりに、関税をゼロにする、関税撤廃ということでありますから、同じような性格であると思っております。

赤澤委員 今の答弁は、意図的にされたなら、うそです。逆に言えば、今のような理解を本当に農水大臣がされているなら、農政の責任者として問題ですよ。

 いいですか、日印FTAがどういう扱いになっているか。日本の米、麦、牛肉は関税撤廃の例外ですよ。十年以内に関税撤廃するたぐいのものは決めますけれども、米、麦、牛肉は撤廃の例外のはずですよ。そして、インドの自動車の完成品についても関税撤廃の例外にしていたと思いますよ。

 その辺のことをしっかりと理解した上で、FTAは、我々は、農林議員ならみんな知っていることです、重要品目、センシティブ品目と言われるものについては、しっかりと除外にする交渉を今までしてきているんですよ。米、麦、牛肉、そういったものについて本当に関税撤廃した例がありますか。そんなに数多くないですよ。

 加えて、TPPの場合、決定的に違うんです。関税をなくすというのはFTAとTPPの共通みたいなことをおっしゃったけれども、そこは決定的に違うんですよ。

 認識を新たにしてください。

鹿野国務大臣 私が申し上げたのは、FTAといったものについては自由貿易だ、こういうことでありますから、関税撤廃というようなことについてもそういうふうな方向ですけれども、しかし、交渉次第では、御承知のとおり、例外扱いというふうなものは相当いろいろな交渉の段階でなされるということであります。

 一方、TPPにつきましては、原則関税撤廃というふうなものを宣言するということ、そういうふうなことだと思っております。

赤澤委員 それで、FTAとTPP、今、ありがたいことにといいますか、FTAの方は歯切れが悪かったですけれども、TPPは原則関税撤廃だということを農林水産大臣がはっきりとおっしゃいました。そこははっきりと国民に説明してほしいんです。

 きょう、インターネットで多くの方が見ておられる、リアルタイムで見ている、この場で大臣がおっしゃったので、その点は理解が進むと思いますけれども、FTAについては、過去、本当に重要品目については我々は関税撤廃を除外してきているんですよ。TPPはそうはならないんですよ。

 その決定的な違い、そのことについて、やはりFTAとTPPでは国内農業に及ぼす影響が全く違うということをもう一度明言していただきたいと思います。

鹿野国務大臣 TPPにつきましては、いわゆる十年あるいは十二年というようなことも言われていますけれども、いずれにしても、TPPに参加をするというふうなことは、関税ゼロ国宣言というふうなことになる、こういうふうなことであります。

赤澤委員 そして、次に篠原副大臣にお伺いをしたいと思うんです。というのは、鹿野大臣は新大臣ということであります。篠原副大臣はよくその辺の経緯、過去を知っておられると思うので。

 政府は一貫して、戸別所得補償は現行の関税制度を前提としており、センシティブ品目、重要品目はできるだけ守るという立場をとってまいりました。赤松大臣のもとでも山田大臣のもとでも、その答弁は何度もなされております。その考え方を明らかにしてきたと思います。

 TPPへの参加を検討するということは、十年たとうが十四年たとうが関税はゼロにするのが前提なんだという今の大臣の明快なお言葉を前提にすれば、この農林水産行政の基本方針を百八十度転換するということではないですか。その点は間違いないですか。篠原副大臣、よろしくお願いします。

篠原副大臣 変わりないと思います。

赤澤委員 変わりがないという説明はどうして成り立つんですか。百八十度転換をするということではないですか。

 もう一度言いますよ。赤松大臣も山田大臣も、戸別所得補償は貿易自由化を前提とするものではないですかという質問に対して、何度も明確に、現行の関税制度を前提としている、センシティブ品目、重要品目はできるだけ守るという立場をとってきました。その答弁を続けてきているんです。そのことについて異論があるんだったらそれは言ってもらえばいいけれども、議事録で確認したら、それはもう明らかに間違いですよね。ずっと、重要品目は守る、現行の関税制度を前提とする戸別所得補償制度だ、そういう答弁をしてきています。その上で、今大臣から、十年、十四年後、TPPに参加したら、それはもう関税はなくなるんだという御答弁があったんですよ。

 では、どうやって整合するんですか。明らかに変わっているじゃないですか。

篠原副大臣 赤澤委員は、TPPへの参加を決めたような感じでおっしゃっていると思いますけれども、菅総理は、参加を検討し、それで最終目的としてアジア太平洋の自由貿易圏を目指すということでございまして、まだ検討段階でございまして、これを全く転換したことにはならないのではないかと思います。

 ですから、我々はそういう立場でもって、いろいろ、検討には参加しておりますけれども、我々の立場をきちんと述べる検討にとどめております。

赤澤委員 それでは、どちらでも結構なんですよ、大臣でも副大臣でも。重要品目は特例扱いできる、大臣の責任においてする、大臣の職を賭して米、麦、牛肉、乳製品などは守る、関税は撤廃しないということは今の時点で明言していただけるんですか。

鹿野国務大臣 TPPへの参加の検討については今検討中でございまして、そういう中でいろいろな議論が今なされているわけでございまして、このことについては、いずれ政府といたしましても基本的な考え方が打ち出されていく、こういうふうに思っております。

赤澤委員 全くそういう意味でお答えがない。

 ではもう一度、今度は篠原副大臣に聞きましょうか。農林水産行政の基本方針、TPPに参加を決めたら、これは明らかに百八十度変わるんですよ。その参加の検討を始めるということ自体、方針転換じゃないですか。それをしっかりと明言しないのは、日本の農業関係者あるいは我々農林水産委員に対しても不誠実だとは思われませんか。

鹿野国務大臣 決して不誠実というような考え方は私は持っておりません。

 私も、三十年間曲がりなりにもこの農業問題に取り組んでまいりました。そして、私自身が二十一年前、初めて、五極の農林水産大臣という場におきまして食料の安全保障という言葉を提唱したというような経緯等々もございまして、今先生の言われた、貿易に絡むいろいろな諸問題の重要性というものは、ある程度私自身も認識をいたしておるところでございます。

 しかし、そういう中で、これから日本の国が、では、どういう行き方をしていくのかというふうなことを考えたときに、ある程度アジアの地域の中で、御承知のとおりに、ことしの六月に閣議決定いたしましたけれども、十年後にFTAAPの構築を目指してやっていく、こういうようなことをいわば閣議決定といたしておるわけでございまして、そういう中でTPPの扱いというふうなものをどうするかということについて今検討いたしているわけでありますから、決して軽視をしているというようなことではございませんし、十二分その重要性というものを踏まえて、これからも私どもとしてその取り組みをしていかなければならないと思っております。

赤澤委員 では、篠原副大臣にもう一回伺います。

 先ほどのお話であれば、TPPへの参加を決めれば、これは間違いなく我々の今までの農政の基本方針を百八十度転換するものであることは認めるわけですね。

篠原副大臣 正式に決まった場合はそのようなことになるかと思います。

赤澤委員 ありがとうございます。

 そして、拙速に格好をつけようとする戦略なき外交と言っているのは私だけではありません。民主党のTPPに関する勉強会が先週木曜日、二十一日に出されたTPPの対応に関する緊急決議というのがあります。引用を若干いたしますと、TPPへの参加については国家戦略を踏まえた慎重な検討をすべきであると考える、APEC議長国という立場を背負った拙速な参加表明に大きな懸念を表明するものであるとされています。裏返せば、この民主党の勉強会の決議は、今の政府のTPPへの参加表明は、国家戦略を踏まえず、APEC議長国の立場でなければ出てこないであろう拙速なものであると言っているに等しいんです。

 篠原副大臣、この決議に賛成ではないですか。

篠原副大臣 決議の気持ちは十分理解しているつもりでございます。

赤澤委員 副大臣ばかりで申しわけないんですが、尊敬しておりますのでお許しをいただきたいと思います。

 篠原副大臣、十月十九日の日本農業新聞のインタビュー記事で、TPP参加を検討すればするほど交渉に入るのは難しいと感じると発言をされました。その発言については、今でも考えは変わっていませんか。

篠原副大臣 検討には参加しておりまして、例えば、十月一日の総理の所信表明があったその日から関係副大臣会合というのを五回ほどやっておりまして、そこで熱心にというか相当遅くまで、二時間とか、そういうふうになることが多いわけですが、議論しております。そういうところで私の考えをきちんと述べさせていただいております。日本農業新聞の十月十九日の記事は、そういった私の気持ちを率直に述べたものでございます。

赤澤委員 変わっていないということで理解をさせていただきます。

 それで、幸いにして、農林関係の大臣、副大臣それぞれが、TPPに参加をすれば十年なり十四年なり以内には関税がなくなるということを大臣が明言をされ、そしてまた、もし参加をすればこれまでの農政の百八十度の転換であるということは、篠原副大臣もそうだというふうに明言をされました。

 その前提でお話をさせていただきますが、民主党の党内ですらまだ議論が済んでいないようなものを唐突に持ち出して農業関係者を不安にさせるということは、本当にやめていただきたいと思うんです。それが本当に熟議の国会かと。

 今も農村は、新しく入った所得補償の制度が設計ミスといいますか、本当に米価が下がっている、この暑さで二等米だらけで、一俵千円ぐらい安く売れるというような状態。そして、変動部分のお金は年越しには間に合わない、三月に配分される。もう年が越せない、仮渡金で数百万円手取りが減っているのに、お金がもらえるのは来年の三月かい、本当にどうやって年を越したらいいんだ、もう米はつくれない、こういう声が満ちあふれている中で、さらに、唐突な、党内の議論も終わっていない、そういうTPPの話が出てきたわけであります。これはとても熟議の国会とは呼べるようなものではありませんし、本当にこのような持ち運びは十分反省をしていただきたいというふうに思います。

 しかしながら、事の重大性にかんがみて、与党内の議論が全く済んでいない問題をいきなり国会に持ち込まれる迷惑は、とりあえずわきに置きます。自民党としてはそれでも責任ある議論をしたいと思いますので、そのために必要な情報をぜひ提供していただきたいと思うんです。

 これは大臣にお伺いをしますけれども、TPP加盟の交渉を開始するには、現時点で米豪を含む九カ国、マレーシアも九カ国目ということで名乗りを上げていますので九カ国です、同意を得なければなりません。それぞれの国から、バイで、二国間で条件を突きつけられることは明らかであると思います。九カ国とどのような条件を議論しておられますか。

鹿野国務大臣 今先生が言われたとおりに、TPPに参加を表明しているのは九カ国でありますから、それぞれ、例えばということでありますけれども、その中に参加をするということになれば、同時に二国間でいろいろな交渉がなされて、話し合いがなされて、それで同意が得られて参加を認められる、こういうことでありまして、そういう中で、当然二国間の間で例外のことにつきましてもいろいろな議論がなされるというようなことではありますでしょうけれども、しかし、そのことは非常にハードルが高いというふうに私どもは情報としては受けとめておるところでございまして、そう簡単な問題ではないというふうな認識に立っているところであります。

赤澤委員 私と認識は基本的に今のは同じなんですけれども。

 そこで、問題は何かといえば、交渉に参加するにも、九カ国に根回しして了解が得られないとだめなはずなんですよ。今の時点でどういう根回しをされているんですか。了解を得られる見通しはどれぐらいあるんですか。

篠原副大臣 外務省がどのように事前の交渉をしているかというのをすべて承知しているわけではございませんけれども、ほとんど事前の交渉というのは進んでいないのではないかと思います。

赤澤委員 ひどい話で、二カ国で交渉するのでも、交渉入りしようと決まるまでに大体時間がかかるんですよ。委員の方たちはもう御案内と思いますけれども、バイですら、交渉が始まる前に物すごい準備期間がかかる。九カ国の了解をとらないと、これは交渉を始められないんですよ。ということについて、十月一日、何で総理が所信表明の中で参加を検討するなんてことを軽はずみに言えるのか、私は全く信じられない、そういう思いです。

 九カ国への根回しが必要だというのは本当に大事なポイントでありまして、TPPへの参加を検討する、締結交渉に参加すると宣言しておきながら、九カ国から条件を突きつけられたので撤退するということは、私は十分あり得ると思っています。

 その前にちょっと伺いたいのは、やはりアメリカは郵政についていろいろなことを言ってくると思います、政府調達についてもいろいろな条件をつけてくると思います、規制緩和についてもいろいろ出てくると思います。USTRは、この際、TPPに日本が参加したい、それにひっかけていろいろな条件を突きつけてくる。どんなものを予想されているんですか。その辺について、少しでも政府内で議論があるんだったら教えてください。

鹿野国務大臣 具体的に、これはあくまでも推測ということでありますけれども、当然のことながら牛肉とか、あるいはその他の非関税障壁と言われるところについて、郵政事業の問題、あるいはまた保険、金融といったところ、あるいは薬品関係、そういうふうなところについても言及してくるのではないか、こんなふうに言われておるというようなことも私としては承知をいたしておるということを申し上げたいと思います。

赤澤委員 それ以外にも、当然豪州もあれば、今、日豪FTAで、いろいろな農産物で日本の立場を理解してもらうように個別に交渉を積み上げていますが、TPPの議論に入る、交渉に参加させてくれという前提で豪州のところに根回しに行けば、全く様相は変わりますよ。今まで理解を得てきたようなものが全部ひっくり返って、これは関税撤廃だ、牛肉も米も麦も乳製品も。そういう話になってきます。

 今のアメリカの話だけでも、豪州の話だけでも、さらにはニュージーランド、いろいろなものが出てき得ると思います。将来的にはカナダも入ってくるかもしれない。いろいろな意味で、本当にこのTPPに手を出すということは、今のような問題を全部乗り越えて初めて交渉に参加できる、こういうことでありますから、一言で言えば、九カ国の同意を得なければ交渉を開始できないはずなのに、まだ九カ国と事実上全く接触していない。こういう状態でTPPへの参加の検討をうたうのは時期尚早、もっと言えば無責任ではないですか。大臣はその点についてどう考えますか。

鹿野国務大臣 今の赤澤先生のおっしゃることは、この胸に刻み込んでおきたいと思います。

赤澤委員 ちょっとあっけにとられて、あれでありますけれども、本当に無責任なんだろうと私は思います。

 今の大臣の御答弁は、どうもかなりこの場にいる人間の気持ち全部を代表して、御本人も賛同されているのかと思います。私は、本当にこれは無責任だと思うんですね。

 繰り返しますけれども、交渉に入ってからバイでやるんじゃないんです。これは少なくとも、TPPの場合は、まず関税は基本的に全部撤廃すると宣言をして、ある意味で素っ裸のような状態になって入っていって、それ以外のことについては、とにかく、その後、各国の了解を得られたときにだけ例外が認められる、こういうことです。しかも、この交渉に入っていいかについては、九カ国に根回しをし、日本の交渉への参加も認めると言われなきゃ参加できないんです。

 このハードルが本当に高いということは、ここで共通認識にしておきたいですし、今の状態で九カ国とほとんど接触していなくて、それでこれをうたうのも本当に無責任なことだということについて、大臣からも特に反論はない。この場の共通認識だというふうに私は認識をいたします。

 大臣、特に御発言は何もないですね。

鹿野国務大臣 何事においても、検討するというふうなことは、これは否定されるべきことではないと思うんです。

 やはり、TPPというのは一体どういう協定なのかというふうなことも、こういう国会の議論で一つ一つ明らかになっていく点があるわけでありますし、そういう意味では、これからの日本の行き方というものについて、あらゆる角度から議論をしていく必要が今求められているという点もあるんじゃないでしょうか。それをどうするかは政治の判断でありますから、そういうふうな考え方でおるところでございます。

赤澤委員 私も、アジア太平洋地域で貿易や投資を自由化する経済的メリットは否定しません、大きなものがあると思います。しかしながら、針の穴を通すようなものであっても、我が国の農業についてきちっと影響を試算した上で、どういう方策があるのかを考え抜いて、我が国の農業の自給力あるいは多面的機能、こういったものはどうしても維持向上してもらわなきゃ、本当に国の将来が危ういというふうに感じるんですね。

 繰り返しになりますけれども、大臣、微妙にまた避けて答弁されましたが、私にとっては、九カ国への根回しが済まなきゃ交渉にも参加できないTPP、今の時点で参加への検討をうたうのは時期尚早、無責任であるということについて、大臣からも特に反論はなかったというふうに理解をさせていただきたいと思います。

 その無責任さはさておき、さておかないと議論しづらいでしょう。鹿野大臣としては、TPPの我が国の国内農業に及ぼす影響はどの程度と見積もっておられますか。

鹿野国務大臣 この影響については、先ほど申し上げましたけれども、例えば二国間の交渉が、このTPPに関して申し上げますと、九つの国と二国間で話し合わなきゃなりませんから、それについていろいろ、例えば例外措置というふうなものはどうなるのかというようなことも含めて、実質的にどういう影響を及ぼすのかというようなことは相当奥深く検討しなきゃならないというふうな点もあるわけでございまして、今、そういうことも含めて検討をいたしておるということでございます。

赤澤委員 二十三日の日本農業新聞では、農業への影響ですね、国内の生産額の減少は四・一兆円、農水省の試算でそう出ている。自給率は一四%に下落をする。これは、二十二日の民主党のAPEC・EPA・FTA対応検討プロジェクトチーム、山口座長のもとに提出されたものだ、このように報道がされています。この報道は偽りですか。

鹿野国務大臣 かつて、このような数値につきまして、自民党政権時代も発表されたことがあるということも承知しておりますが、今の農業新聞等に出ておる数値につきまして、今、私自身、検討中というようなことを申させていただきましたので、この点について具体的に言及させていただくことは控えさせていただきたいと思います。

赤澤委員 熟議の国会と言われているんですよね。少なくとも、TPPへの参加の検討を所信表明でうたい、それについての議論が行われている状態で、先ほど、交渉に参加するために必要な九カ国への根回しの状況も教えていただけなかった。あくまで推測だが、ほとんど何もやっていないんじゃないかというようなお答えはあったけれども、教えていただけておりません。そしてまた、現時点で、農業に及ぼす影響も検討中だと。

 タイムフレームというかスケジュールは一体どうなっているかといえば、私の理解するところ、APEC、日本が議長国として横浜で開催される首脳レベルの会合ですね、十一月の十三日、十四日ではなかったですか、それに間に合うようにEPAの基本方針を出される。その中で、TPPへの参加の検討なのか参加と書くのかわかりませんが、触れられる。そういうスケジュールでやっておられるのではないですか。

鹿野国務大臣 そういう一つの考え方でいろいろと検討をいたしておるということでございます。

赤澤委員 そういう考え方で今検討が進んでいると大臣はおっしゃいました。

 そのスケジュール感からいって、現時点で、少なくとも我が自民党を含む野党に対して、九つの国との交渉状況もまともな説明がない、国内農業への影響額の試算についてもまだ検討中である、そんなことで熟議の国会というのは成り立つんですか。

鹿野国務大臣 このことにつきましては、先生、一番御承知のとおりに、非常にセンシティブな問題でもありますから、そういう意味で、私どもは今検討中というふうなことでとどめさせていただいておりますけれども、こうやって、具体的なこのTPPの問題について、国会において議論がなされ、また、各方面の方々と意見交換をさせていただきながらというふうなことについては大変意味のあるものではないかな、こう思っております。

赤澤委員 大臣が言葉を選んでお話しされますけれども、私、全く納得できません。

 というのは、九カ国とどういう根回しの状況にあるのか全く教えてもらえない、国内の農業への影響額についても教えてもらえない。これでどうやって熟議の国会と呼べるんですか。我々は全く議論した気になれません。何の判断もこれではできない。本当に大臣、それでいいんですか。

鹿野国務大臣 重ねて申し上げますけれども、非常に重要な問題でもありますし、数字がひとり歩きというようなことでもあってはならない。こういう意味で、今政府内で検討をしている段階でありますから、具体的な数値等々について、御要望のとおり出させていただくというふうなことにつきましては控えさせていただく中で、限られた中での議論ということではありましょうけれども、少しでも御理解をいただければな、こんなふうに思っております。

赤澤委員 全く理解できません。

 本当に、これはインターネットでリアルタイムで見ている国民の皆様にも問いたいんですよ。官邸の勉強会に提出された資料も含めて、民主党やマスコミに流れている資料が、野党で、あるいはこの場、国会に提出できないというのは、私は、本当に国会軽視だと思いますよ。まともに議論する気があるのかという問題なんです。

 委員長、これ、記事になっています。二十二日の民主党の対応プロジェクトチーム、山口座長に出た資料でいいですよ、それをこの場に持ってくるようにと、委員長からちゃんと大臣に言っていただけませんか。

山田委員長 赤澤君の趣旨はよく私も理解できますので、理事会においてよく検討させていただきたいと思っております。

赤澤委員 ただ、これは本当に、きょう、ここに座っている議員の時間が、審議の間、まさに本当に無駄になりかねない話。もしかして、私どもは、民主党の先生方は実はこの試算を持っておられるんじゃないかというような気もいたしますけれども、基本的に、この資料が出てこないと、ここについての本当に重要な審議が続けられない。熟議の国会とはとても言えないんじゃないですか。

 これは、私、もうぜひ出していただきたい。この審議を続ける、質疑を続ける前提として、これは大臣に強く求めます。ぜひ試算を出していただきたい。よろしくお願いいたします。

山田委員長 質疑中ではありますが、委員会終了後、この件について直ちに理事会を開きたいと思っています。

 引き続き質疑をお願いします。赤澤君。

赤澤委員 さらにちょっと申し上げるのも申しわけないんですけれども、同じようなパターンで、前国会ではいろいろな資料の提出が民主党によって逃げ切られているんですよ、一言で言って。とにかく委員会の最中に出してもらわなければ、委員会後の理事会というのは、今回はないでしょうけれども、開かれずにそれで国会が終わっちゃったみたいなことも現にあったと私は思います。そういうことの決してないように、今委員長がしっかりと、この後理事会で話をすると言いました。ぜひ結果を出していただきたいし、試算の資料が出ないでこの議論を深めることというのは全く不可能ですから。というのは、この後出てくる国内対策の議論だって、試算が出てこなければできようがない、そのように思います。

 その上で、大臣にもう一度伺います。九カ国への根回しの状況、TPPへの参加の国内農業への影響、そして、あえてちょっと質問にはしませんでしたが輸出産業への影響、こういった試算はいつ出せるんですか。この後理事会ということですけれども、いつ出していただけるんですか。それがなければ熟議ができるわけない。先ほど言ったようなスケジュールで物が運べるわけがない。万が一、熟議しないで拙速に突っ走るようなことがあったら、我が党は本当に挙げて反対しますよ、この話は。

 本当にその点についてはっきり明らかにしていただきたい。いつ試算は出てくるんですか。

篠原副大臣 我々も、なかなか情報不足の点がございます。

 先ほどの各国の折衝状況でございますけれども、わかっていることでちょっと御報告申し上げますと、ほかの国もいろいろ苦労しておるようでございまして、カナダはTPPに参加しようと思って事前交渉を始めたと聞いております。その結果、乳製品等いろいろ問題がありまして、簡単に言うと門前払いで入れていただけなかったと。それに対してマレーシアは、いろいろあったんですが、政府調達の問題が最後まで残っていたけれども、それも関税ゼロにするということでやるということで、十月から入れてもらったということでございます。

 その計算しているペーパーでございますけれども、それなりに用意はしておるわけでございますけれども、各方面にいろいろ意見を伺っているところでございまして、整理でき次第、この場でも御報告できるようになるのではないかと思います。(赤澤委員「いつですか」と呼ぶ)整理でき次第で、いつということまでは私も、済みませんけれども、各省でいろいろ議論しているところでございまして、まだまとまっておりません。

赤澤委員 今出てきても遅いぐらいだと思いますよ。

 ということで、本当に、この後理事会を開くというお話でありますけれども、ぜひそれは委員長の良識ある御判断で、もう直ちに出していただく。現に、だって、これは二十二日の会に出した資料であれば、あるはずなんですから。その紙でいいんですよ、まずたたき台として。我々、それだけでも言いたいことは多々あります。その辺をしっかりと委員長に責任ある結論を出していただきたい、そのように思います。

 それから、あと幾つか不安のあることを指摘しておきますと、農業への影響額、これは篠原副大臣はもう当然御理解いただいていると思いますけれども、多面的機能の話をきちっと入れてくださいね。四・一兆というのが出てくるだけで、これは農業の生産額は減る。自民党が十九年の二月に経済財政諮問会議に出した三・六兆と同じベースで計算しているんだと思います。しかしながら、我々の共通理解として、多面的機能ですよ、農業は、人によって八兆円、水産業十一兆円、森林七十兆円ですか、もっと多く見積もっている方もおられます。そういったものが本当に、このTPPに不用意に入ることですべて失われる、こういった点も含めてきちっと議論をしていただきたいと思います。

 我々は、国際的にもそういう議論をずっとやってきているんですから。にもかかわらず、突然、何か経産省主導で、輸出額あるいは農業生産額、そういったものだけの議論に陥るということは、何か本当に悲しい意味での理論倒れをしていますから、そこは徹底的に闘っていただきたい。これは要望として言っておきます。

 そして、もう一つ非常に気になるのは、また日付が変わりますけれども、農業新聞で、農業支援の額までもう報道されているんですよ。私の記憶が間違いでなければ二兆円です。農業支援二兆円、十月二十四日付。それで、本当に不安になるのは、農業への影響額、これもまだ検討中だと大臣がおっしゃっている段階で、この二兆円という数字がひとり歩きするというのは、一体これは何なんですか。聞かれても困るかもしれませんけれども、答えられる範囲で答えてください。

篠原副大臣 それは産経新聞だったと思いますけれども、(赤澤委員「産経新聞ですね、そのとおりです」と呼ぶ)我々も何の数字かというのは全く存じ上げません。

 それから、先ほどもちょっと触れられた件についてお答えいたしますと、PTで紙を配らずに、口頭だけで現在の状況、それから大体の計算の状況等を説明したと聞いております。ですから、紙は配っておりません。

 多面的機能についてはちゃんと計算して、出す準備はしております。

赤澤委員 それで、試算について、私は、スケジュール、時間感覚が大事だということも申し上げたわけでありますけれども、同様に、きちっと国内の農業関係者に安心してもらって事を進めようと思えば、それこそ篠原副大臣が韓国で聞いてこられた先対策、後開放、少なくとも、これなら確かに、食料自給力は維持できる、食料自給率の向上も期待できる、多面的機能も守れる、こういうものでなきゃいけないと思うんですよ。

 そうすると、影響を示す試算額、それだけでなくて、国内対策、そしてそれの規模と内容、さらには財源、こういったものについても明らかにしてもらう必要があると思うんです。これについてはどれぐらいのスケジュール感で出せるものなんですか。

篠原副大臣 TPPへの参加を検討するということだけでして、その後進んでおりませんので、例えば韓国の場合は、TPPなどではなくてFTAでやるということを決めまして、ちゃんとそういった基本戦略があってやっておるので対策も講じられるわけですけれども、残念ながら我が国の場合は、赤澤委員から御指摘のとおり、突然降ってわいてきたわけですので、まだそこまでには至っておりません。

赤澤委員 過去、民主党の農政の政策ビラをちょっといかがわしいビラと自分で農林水産委員会でおっしゃった篠原副大臣らしい御答弁でありまして、農水省にとっても降ってわいたというお話がまさにあったところであります。しかしながら、これは本当に、そんな取り組みで政府全体で突っ走られて、たまらぬというものであることは間違いないと思うんですね。

 もう一つ伺っておきたいことがあります。

 TPPの参加が実現すれば、どんなに国内対策を講じても、輸入農産物が大幅にふえることが確実視をされます。食料自給率について、当面の目標五〇%、最終の目標は六〇%ということで食料・農業・農村基本計画を定めておられたと思います。民主党の公約でもあり、マニフェストにも出ていたような気がいたします。

 TPP加盟に際して、同計画を大改正するつもりなんですか。しないというのであれば、TPP加盟後に自給率が六〇%に達する、その道筋を示していただきたいんです。私は全く想像できません。

鹿野国務大臣 六〇%は書いておりません。

赤澤委員 では、当面の目標の五〇%はいかがですか。今より一〇%高いですよ。

鹿野国務大臣 当面五〇%、こういうことであります。十年後に五〇%、こういうことであります。

赤澤委員 TPPをやって、何で十年後に五〇%に達することができるんですか。

鹿野国務大臣 TPPについて参加をするというふうな判断にはまだ立っておりません。そういうことも総合的に勘案しながら今検討している、こういうことであります。

赤澤委員 少なくとも総理は、農業の増産とそれから貿易の自由化は両立できると私は発言されていたと思いますし、今の大臣の御発言は、もしTPPに参加すれば、当面の目標、自給率五〇%は達成ができないとおっしゃったと理解していいですね。

鹿野国務大臣 その両立を含めて検討しているということでございます。

赤澤委員 答えはないんだろうと思いますよ、私は。少なくとも、ここにおられる委員、多数おられて、農業の専門家ということで、日本の農業をよくしようと思って一生懸命やっていますけれども、TPPに参加をした上で五〇%という自給率の目標を達成できると思っている委員は私はいないんじゃないかと思いますけれども。

 本当に、その辺も含めて、ずっと過去説明をしてきた、政権交代後、赤松大臣、山田大臣が説明してこられたことと、どうしても整合性がとれているように思えないんですよ。

 最後の質問の前に、もう一回篠原副大臣にお伺いをしますけれども、TPPではなくて二国間のFTAの締結を追求すべきだということをいろいろな機会にお話をされていると思います。農政通の篠原副大臣がこの点をわかっていないはずはないです。TPPではなくて二国間のFTAを進める、そのことで我が国の国益を最大にすべきであるというふうに私は考えています。篠原副大臣も同意見ですか。

篠原副大臣 そのように考えております。

 なぜかといいますと、韓国を例にとるわけではありませんけれども、韓国のFTA、EUともアメリカとも、米に関係する十六品目は、全く関税ゼロとは関係ない、例外措置が講じられています。EPA、FTAの場合は二国間で交渉して、このような措置ができるのではないかと思っております。

 ですから、もし自由化と国内農業の両立、特に自給率を五〇%に上げるというようなことを考えた場合、EPA、FTAの方がずっと目的を達成しやすいのではないかと思っております。

赤澤委員 大変率直な御答弁をいただきました。農水省の中の副大臣すら、TPPよりはFTAをバイで追求した方が国益に資するのではないかというお話をいただきました。

 私は本当に心配をしています。何か盧武鉉政権の末期と似ている。外交、安全保障でアメリカとの関係を悪くした後で、アメリカが頼んでもいないのに米韓FTAということを言い出して、今国内の農業が非常に危機に瀕しています。シンガポールのような都市型の国を目指すのか、そういう韓国の農民の声も聞こえてまいります。

 普天間の問題でこじれた後で、アメリカと関係をよくしたい、経済界とも関係をよくしたい、一気にTPPだと。何か経済無策と言われ、外交音痴と言われて、一発逆転で、このTPPで何とかしてしまおう、農業なんかどうでもいいと私は東京出身の総理が思っているんじゃないかと本当に心配をしています。

 鹿野大臣に最後にもう一言お尋ねしたいんですけれども、玉砕型の農林水産行政でないというのであれば、国内農業への影響額あるいは食料自給率の維持向上の道筋、十分な国内対策の規模と内容、財源、こういったものを明らかにしない限り、十一月初めに策定される予定のEPAの基本方針の中でTPPの参加の検討をうたうことはないと断言していただけませんか。

鹿野国務大臣 今、委員から言われたことを総合的に勘案しながら、どうあるべきかを検討しておるというようなことを申し上げさせていただきたいと思います。

赤澤委員 本当に力のない、私から見ると、残念ながら頼りない答弁と言わざるを得ないと思います。本当に日本の農業について、無責任な、まともに検討もせずに、その将来は極めて危うくなる、こういう事態に我々は今直面をしているんだと思います。

 どうか熟議の国会をきちっと実現していただきたい。そのことで、このTPPについて誤りのない判断をしていただきたい。攻撃型の農林水産行政というのであれば、ぜひ玉砕型はやめていただきたい。そのことを最後に重ねて申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

山田委員長 次に、江藤拓君。

江藤委員 自由民主党の江藤拓でございます。

 大臣、御就任おめでとうございます。副大臣それから政務官、皆さん、本当におめでとうございます。尊敬される先生ばかりが御就任をされまして、頼もしい思いもいたしておりますが、今の答弁を聞いておりますとちょっと不安にもなりました。また、政務官のお父さんには、私はアイスホッケーをしておりまして、その時代に、お父さんにリンクまで来てコーチまでしていただきまして、個人的にも大変お世話になりまして、よろしくお伝えをいただきたいと思います。

 きょうは、十月二十日の鹿野大臣の発言に沿って私とすれば質問させていただきたいというふうに考えておりますが、まあ突っ込みどころがたくさんあり過ぎまして、しかも我が政党には論客がそろっておりますので、重複を避けた形で議論をしていきたいというふうに思っております。

 それに先立ちまして、まず口蹄疫について触れさせていただきたいと思います。

 きょうで口蹄疫が発生してから百九十日です。そして、終息宣言がなされてからはや六十一日がたちました。そして、八月三十一日から、いわゆる観察牛、おとり牛を入れて、感染しないかどうか経過措置を見てきました。これも、先週の金曜日に、全部無事だということで観察が終わりまして、これで十一月一日から論理的には経営再開ができるというところまでこぎつけることができました。農家にも地域にも大分笑顔が戻ってきつつあります。意欲も高まっています。

 しかし、その一方で、例えば、消石灰を吸い込んでうちの子供がぜんそくになったとか、殺処分の現場を見て、心に傷を負ってしまって不登校になったとか、それとか、中には、もうこんな思いをするのは嫌だからこの際畜産はもうやめるという方がおられるのが残念なことですけれども、そういう方をみんな励まして、これから、少しでも多くの方がもう一度畜産の世界に帰ってこられるように努力をしたいというふうに思っています。

 一連の対策に関してはいろいろ言いたいことはあります。百点とは到底申し上げられません。しかし、ここでけちをつけても仕方がありませんので、もういたしません。

 だけれども、委員の方々、皆さんそうですけれども、一生懸命、真剣に、真摯に御議論いただいたことは間違いのないことであります。宮崎県も、市町村もです。ですから、そのすべての皆様方に、この場をかりまして、私は宮崎県の人間としてお礼を申し上げたい。皆様、本当に御苦労さまでございました。ありがとうございます。そして、この間、全国から、本当に物心両面、たくさんの温かい御支援、例えばネットで物を買うとか、お手紙をいただくとか、寄附金ももちろんですけれども、義援金、こういったものでどれだけ宮崎県民が励まされたかわかりません。そういった方々にもこの機会を通じましてお礼をぜひ申し上げておきたいと思います。

 しかし、委員の皆さん、それから三役、委員長にもぜひお願いをしたいんですが、口蹄疫の最終的な終息は、本当に農家の経営が軌道に乗るとき、そして宮崎県の経済が復活するとき、そのときが口蹄疫問題の解決のときですから、それまでは温かい御理解、御支援、真摯な御議論をどうぞよろしくお願いしたい。これは私からのお願いでございます。

 先日、政府が設置をいたしました口蹄疫対策検証委員会の委員長さん、山根義久先生、この方とお話をする機会を持つことができました。いろいろ刺激的な御発言もありましたが、この場では避けさせていただきます。

 そこで非常に印象に残ったのは、まずは、こういうことは責任の所在をはっきりせないかぬと。それはどこにあるべきかという意見は、やはり国だというのが御意見でございました。それから、水際対策がやはり日本は他国に比べて非常に不十分だねと。これだけアジア各国で、モンゴルでも出ているのに、まだそんなに強化されていない。何か犬を使ってどうたらこうたらという話は聞いていますけれども、全然、そんなに強化されたという感じじゃありません。このことを指摘されていました。

 そして、イギリスでは、越境性動物疾病については、今は家伝法によって初動は県の責任ということになっていますけれども、大発生したときに、二〇〇六年に、国にこの責任を一元化しよう、口蹄疫が次に起こったら全部国で対応しようということで、DEFRAという機関をつくったということを教えていただきました。これによって、口蹄疫が発生したら、国の担当官が、専門家ですよ、すぐ行って、そして価格交渉もして、殺処分してすぐ埋めたから、二〇〇七年は最小限の被害で済んだと。なるほど、すばらしいな。

 今の政治の流れからいいますと、例えば出先機関の統合であったり地方分権の推進であったり、そういうことを考えると、国にそういう機関を新設するということは、これは流れに逆行するかもしれませんけれども、しかし、本当であれば、日本全国に広がってもおかしくない、九州全体に広がってもおかしくない、大変な事態だったわけですから、今後また与野党を超えて議論させていただいて、このことも一つの参考としていきたい。これは御提言でございます。御答弁を求めるものではありません。

 それから、農家からたくさん言われることは、よかった、経営再建しよう、頑張ろうという人の中に、でも拓ちゃん、怖いとよと。なぜかというと、感染経路が解明されておらぬやないかと。原因が究明されていないじゃないかと。これが究明されないと、次起こったときには本当に首くくらにゃいかぬと。だから何が何でも原因究明、これが一番の要望ですよ。ですから、先ほどの山根先生からもなかなか難しいだろうというお話いただきましたけれども、時間をかけてでも、大きな予算をかけてでも、ぜひとも今回は政府としてこのことには力を注いでいただきたい。これはまたお願いでございます。

 五月の二十日に、思い出しますけれども、都農町の寺迫というところに発生したんです。委員長と副大臣は御存じですね。寺迫に出たときに私はもう目の前が真っ暗になりましたよ。寺迫というところは特殊なところで、都農町寺迫、日向市寺迫、旧東郷町寺迫があるんですよ。広域なんですね。日向に入ったのか東郷に入ったのか。東郷に入ったら、これは山ですから、これでもう県北もおしまいだと思いました、正直言って。それから県北の畜産農家は眠れない夜が始まりました。しかし、非常に初動の態勢がよかった、いろいろな反省もありまして。国の御協力もいただきました。そして、耳川を越えることはありませんでした。

 この成功例に、原因究明も大事ですけれども、ぜひ成功例によく学んでください。都城とか、それからえびのも最小限でとどめましたね。どうしてそれができたのかと成功例に学ぶということもぜひやっていただきたい。

 そして、宮崎県でとどめたということは、私は褒めろとは言いませんけれども、国際的には高い評価もいただいているということを御紹介させていただきたいと思います。

 長々しゃべりましたけれども、ここから、篠原副大臣、集中しますけれども、通告してありますので、簡略に、短く、いっぱいありますから、御答弁よろしくお願いします。

 前に何度もやったことですけれども、家畜共済基金について。いわゆる疑似患畜農家は五分の五プラス五分の一で五分の六出る。だけれども、ワクチン接種農家は掛金を支払っていても出ない、見舞金の形の部分が。私は国が出してくれということを言いました。お答えいただいておりません。

 これは大事な問題なんですよ。なぜかというと、もうあってはならないことだけれども、もしまた口蹄疫が発生したときに、ワクチンを打たせてくれと言ったときに、だって、おまえ、うちの牛は元気やし、ワクチンを打ったら共済金分出らんのやろと言って、合意をとるのが難しくなることがあるかもしれない。もしかしたら、共済に入ること自体をちゅうちょする人も出てくると共済制度自体に亀裂が入ることも考えられますよ。ですから、これはやはり不公平感をなくすという観点で、ぜひ検討してください。

 それから、自家保留。何度も言いましたね。優良繁殖雌牛更新促進事業、単年度事業ですけれども、これは自家保留を認めておられない。だけれども、今回は、一回の市場で二百頭、三百頭規模で自家保留なんですよ。自分のところにいい牛を残したい。だけれども、売らなければ収入がないですから、生活が苦しいんですよ、そういう人ほど。だから、そういう人に何とか手を差し伸べてもらいたい。これも前に言ったことです。

 それから、出荷遅延対策。平均出荷日齢プラス三十日、この三十日とは一体何だと言ったら、何じゃかんじゃずっとへ理屈をこねていましたけれども、ようやくどうも政府内で三十日を取っ払うという方向で今議論が進んでいるそうです。このことは了としたいと思います。遅いですけれどもね。遡及性を持ってやってくださいよ、遡及性を持って。きょうからの分じゃなくて。

 そして、繁殖農家は、二百八十日ぐらいを過ぎたら、その後のえさのやり方は肥育農家のえさのやり方をしているんですよ。何回も言ったじゃないですか。えさ代が余計にかかっているんですよ。繁殖は四百円、肥育は六百円。この二百円分は最低でも上乗せしてもらわないと合いませんので、ぜひやっていただきたい。

 それから、参議院の委員会で、ボランティアで活動された民間の獣医師の先生方に報酬を支払うことを前向きに検討すると篠原副大臣は答弁されましたね。ところが、宮崎の新聞では支払うと出たんですよ、支払う。宮崎の獣医はもう皆もらえると思っています、もらえると思っているんです。必ず出してください。

 そして、それだけじゃなくて、それに付随して、人工授精師、削蹄師、それから酪農ヘルパー、それから乳牛検定員、筆頭なんかよく御存じでしょう、北海道ですから。こういう方々も収入が断たれているわけですから、何らかの政府の温かい手を差し伸べていただきたい。重ねてお願いをいたします。

 これも前に質問をしたことですけれども、三カ月間種つけしていません。来年の十一月から翌年の一月まで出す牛がありません。年末年始に収入がない。農家は大変ですよ。このことについては今のうちに何らかの手を打っておく必要があると前の委員会でも申し上げましたが、副大臣、まとめて御答弁、簡略にお願いします。

篠原副大臣 数えてまいりますと六個の要望があったと思います。そのうちの大半はきちんと処理してございます。順番にお答えさせていただきたいと思います。

 一番最初の共済の関係でございますが、これは、私さんざん検討いたしました。しかし、これが一番だめでして、共済制度をなかなかいじれませんで、この前御答弁したとおりでございまして、例外的にワクチン接種農家に一部返還する、これ以上のことはできない。

 それから次に、自家保留牛。これは、簡単に言うと、半分よくなったんじゃないかと思います。やはり自家保留牛というのは外からの導入でないし、繰り返しになりますけれども、それから費用が発生していないということで、だめなんです。ところが、今般の緊急総合経済対策で、一年でやめるということになっておりましたけれども、もう一年延長して、自家保留牛はだめなんですが、そのほかの一般的なものについてはもう一年延長して適用するということになりましたので、これは半分おこたえしたことになるのではないかと思います。

 それから、三十日。今の質問の中でもお答えになったようですけれども、これは基金の効果でございます。畜産再生基金事業をスタートすることになっておりまして、三十日までの間であっても宮崎県がちゃんと認めた場合は助成対象とするという方向で検討しておりまして、宮崎県と今調整中でございます。これは確実に三十日以内でも支払いできるようになるかと思います。

 それから、ボランティアの獣医師の皆さんでございますけれども、宮崎県に対して説明いたしました。そして、今宮崎県とは、手当を支払う方向でやっております。(江藤委員「これも基金」と呼ぶ)いや、これは、家畜伝染病予防費の活用が可能であるので、これでもって手当てするということで、基金ではありません。

 それから、人工授精師の場合は、これもちょっと無理ですが、これは前のお答えと同じでして、セーフティーネット貸し付けの利用等で御勘弁願いたいというふうに思います。ただ、江藤委員御存じだと思いますけれども、これは政府のものではありませんけれども、やはり見ている人は見ておられるんじゃないかと思います。宮崎県の義援金とかそういうのでいろいろやっておられるのではないか。

 それから、子牛の不在についての部分でございますけれども、これは基金の事業があります。今宮崎県の要望がありますので、三カ月授精できなかった分、これはやはり大問題でございますので、これも何とか手当てできるように今検討中でございます。

江藤委員 さっきも言いましたけれども、ワクチン接種をやはり犠牲的精神で受け入れやすいようにしておかなきゃいけないんですよ。だったら、ワクチンを打ってもらわないで、疑似患畜になっちゃった方がもらいは多い、現実にそうなっちゃいますからね。これはまた個人的に話しましょう。

 そして、自家保留の話ですけれども、これは単年度事業を一年度延ばしたからって、だめですよ。もう競りは終わっちゃったんだから。そうでしょう。ほとんど、第一回目の競りが。これもまた話をしに副大臣室に行きます。

 次に、出荷遅延対策。基金からと言いますけれども、基金というのは、こういうのに使ってもいいけれども、後でも言いますけれども、基金というのは畜産関係に断定したものではありませんから、こんなところで金を食われたくないんですよ。国が出してください、これは国が。このボランティアの民間獣医師の部分と同じように。

 そして、確かに、義援金が人工授精師の人たちに回りましたよ。スズメの涙ですから。金額は御存じのはずです。

 そしてまた、最後の、三カ月間牛がいないという、これはまた基金でやれということですから、後で基金については集中的にやりますけれども。これじゃ、使える金がどんどんどんどん、本来国でやるべきものが基金から削られてしまう。非常に不十分でありますので、私はちょっとがっかりいたしました。

 ですから、基金について次はお尋ねをいたします。

 ALICで積む事業規模は五十億円ですね。だけれども、基金規模は三十三億円。十七億円は南九州の四県で負担をしなさいということになっています。各負担分に対しましては三分の二の地方交付税措置をするということですから、最終的には各県の負担は九分の一で済む。ゼロ負担ということはやはり法律上ありませんよね。これはまあ了としたいと思います。

 ここで私がお尋ねしたいのは、この五十億がいよいよさあ使える段階になったときに、宮崎に何ぼ行くんですか、小里先生のところに何ぼ行くんですか。これをだれがどう仕切るかですよ、だれがどう仕切るのか。勝手に話し合うのか国が指導するのか、ここについて、農林大臣、お考えをお聞かせください。

篠原副大臣 済みません。私がこれを担当していまして、ちょっと細かいことだと思いますので。

 これは、どういうところにどれだけ行くかというのは、各県が策定します事業計画に基づきまして、それにのっとって配分することにしております。まずそれが基本でございます。

 ただ、宮崎県に限定されるものと、ほかの県にも適用できるのがございまして、当然ですけれども、宮崎県が一番多くなるはずでございます。

江藤委員 事業計画は鹿児島も相当出すよね。鹿児島の先生方は、自民党の部会で議論したときに、二千億の基金を要望したいという話をされたわけですから。これは各県けんかになりますよ、たった五十億しかないんだから。これはちゃんとうまい仕切りをしないと混乱を招く。我々も、宮崎県に発生したがゆえに、鹿児島、熊本に御迷惑をかけたという負い目もあります。しかし、一番多く被害を受けたのは宮崎県であることも間違いがない。ですから、このことについてはきちっと考えてほしいと思います。

 次に、国交省にお尋ねをいたします。

 当初、県は、三百二十億円、取り崩し型の基金。取り崩し型、いわゆる補助金適化法の適用を受けない、使い勝手のいい金を要求いたしました。私は正しい要求だったと思いますよ。ところが、そのうちの二百億円ぐらいが公共事業関係じゃないか、そんなの認められないということでバツになりました。それに対するお答えが、この二百億円については、国交省の社会資本整備総合交付金、これで手当てしますから勘弁してくださいということでございました。これは間違いなく、我々の期待を裏切るようなことにはなりませんか。御答弁をお願いします。

津川大臣政務官 お答えをいたします。

 私も先般までは農林水産委員会の委員でございましたから、口蹄疫、現場で大変な状況であったということは十分承知をしているつもりでございますし、また、今、現場の皆様方を初め、復興対策、本当に大変なる御努力をいただいているということを承知しているところでございます。

 今御指摘をいただきましたとおり、国土交通省の分野でございますが、国土交通省といたしましても、この宮崎県の口蹄疫復興対策については積極的に支援をするということを決定させていただいております。その上で、社会資本整備につきましては、国が実施をします直轄事業につきましては着実にやらせていただきたい。それから、県などが実施をする被災地復興などに係る社会資本整備事業につきましては、宮崎県からの具体的な要望をいただきまして、今委員からも御指摘をいただきました社会資本整備総合交付金の中で、しっかりと活用してまいりたいというふうに考えているところでございます。

 よろしくお願いします。

江藤委員 八十点の御答弁をいただきました。ありがとうございます。

 ただ、くぎを刺しておきますけれども、毎年毎年、当然各工事事務所に予算配分がされるんですよ。その分もカウントして幾ら予算がつきましたというのは許しませんからね。上積みをのせなきゃだめですよ、上積みを。何ぼ上積みされたかというのを私はちゃんと見ますからね。それが不十分だったら、国交委員会に乗り込んでいって大臣に直接たださせていただきたいと大臣にお伝えください。

 次に、一千億円の運用型基金についてお尋ねをさせていただきます。

 説明者によっていろいろ、これがどれぐらいで回るのか、答えが違うんですよ。私も、野村総研とかそういうところのいわゆる金融の専門家と話をすると、ゼロ金利ですからね、経済失政ですから。この中ではリスクもとれないので、まあ、せいぜい〇・四%ぐらいで回れば御の字じゃないのというのが話でした。これは正しいかどうかは知りません、私の友達の私見ですからね。

 単純計算すると、運用期間が五年間、五年間で二十億、たった二十億ですよ。一つの市に渡すにしたって二十億というのは少ない金ですわ。県に二十億。宮崎県民は一千億円もらえると思っていますよ。一千億基金を積むと言うから、普通の人はそう思いますよ。でも、実際使える金はたった二十億。これはもうがっかりも甚だしい。

 総務省にお尋ねをしたいんですが、私は〇・四と言ったけれども、どれぐらいで回るというふうに考えていらっしゃいますか。

逢坂大臣政務官 江藤議員の御質問にお答えする前に、私も田舎で町長をやっておりまして、今回の口蹄疫の対応、対策というのは本当に大変なものだっただろうというふうに推察をしておりますし、その御労苦に対して心からの敬意を申し上げたいと思います。

 基金の運用でございますけれども、現在、五年物の地方債、これの最近の金利情勢、議員が御指摘のとおり〇・四%程度というふうに伺っておりますので、その金利で運用されるものというふうに推察しております。

 以上でございます。

江藤委員 だから、〇・四%、宮崎県民は一千億円万歳と言ったら、実は二十億円が真水だということが明らかになったわけであります。そして、大臣、もしかすると〇・四を割り込むことだってあるわけですよ、運用次第では。〇・二になれば十億円しか出てこない。この場合は大臣の職権で、予備費を使うなり、どこからの金でもいいですよ、必ず、最低でもこの二十億、私は最低五十億はないと困ると思っていますけれども、今言っても無駄なようでありますから、ぜひそのことはお願いをしたいというふうに思います。

 そもそも勘違いをされていらっしゃるんですね。さっきも言いましたように、基金の創設を宮崎県が望んだのは、畜産の再生をやるために基金をつくってくれと言ったんじゃありませんよ。このことで二次的、三次的、四次的被害を受けた宮崎県経済、観光も含めてみんなどえらい目に遭った。そういう宮崎県経済全体を底上げするために取り崩し型の三百二十億の使い勝手のいい基金をつくってくれと言ったのに、実態は、五十億のうちの何ぼが宮崎県に回ってくるかわからぬ、一千億から二十億しか回ってこない。全く私はがっかりです。非常に悲しい気持ちになります。

 大臣も、所信の中でこうおっしゃっていますよ、基金の設置等の支援策を取りまとめ、それにより地域経済の再生に努めてまいる。それにはとても足りないお金だ、事業規模だということを、大臣、御認識ください。ぜひよろしくお願いします。

 そしてまた、総務省に重ねてお尋ねをしますけれども、阪神・淡路大震災のとき、八千八百億円基金を積みましたね。そのときは金利も高かった。かなりの金利で回りましたね。そして、最終的に処理をするときには七五%国が面倒を見ましたね。

 今度は、何で宮崎の基金の場合は三分の二なんですか。宮崎が三三・三%じゃありませんか。神戸とか兵庫県と比べたら、宮崎県の財政ははるかに厳しいですよ。基金も枯渇しそうだ。三割自治の代表のような県ですよ、宮崎県は。そういうところへ、地方の苦しい県に、どうして阪神・淡路大震災並みの補てんをしてくれないんですか、総務省は。御答弁を求めます。

逢坂大臣政務官 ただいまの江藤委員の御質問にお答えいたします。

 確かに、阪神・淡路大震災におきましては、県が基金造成のために発行した地方債の利息、その六分の五を対象として、九五%を普通交付税により措置をしたところでございます。すなわち、実質でいいますと七九%、これを交付税で措置したということになります。

 今回の口蹄疫でございますけれども、家畜伝染病としては本当に、先ほど私も言いましたとおり、かつてない甚大な被害で、地域ではもう本当に御苦労が多かったということを実感いたしておりますけれども、過去の大災害と比較して、中越沖地震、これは平成十九年に発生でございますけれども、これの被害額が約一兆五千億ございました。阪神・淡路の場合、これは被害額が十兆程度なんですね。そこで、そういったことも勘案しまして、中越沖地震のときと同程度の措置をするべきことが適当というふうに判断をしたわけであります。

江藤委員 地震と口蹄疫を同列に扱うのは間違いだという御答弁だったと思います。こんなことを言われるのは嫌だと思いますよ、でも、宮崎県民の畜産農家の方々の中には、政府の無策によってここまで拡大してしまったんだという声はいまだに強いんですよ。だから、温かい手を差し伸べてください。もう一回持ち帰って、政務官、検討してくださいよ。たかだか一三%けちるのやめてよ。基金の総額自体が一千億しかないんだから、金額にしたら大したことないじゃないですか。これは持ち帰って、ぜひ私のところに、農水委員会でも結構ですが、御返答いただきたいと思います。

 口蹄疫はもっとありますけれども、時間が全然なくなっちゃったので、ちょっと口蹄疫を飛ばします。もう政務官、結構です。ありがとうございました。両政務官、ありがとうございました。

 米の所得補償、これを次に予定しておりましたけれども、今村先生のお話を聞いておって、今さら私がやる必要はないという判断に至りましたので、ここは飛ばさせていただきます。通知はしておりましたけれども。

 それで、お聞きをしたいのは、御発言の中の二ページに書いてある「攻撃型の農林水産行政」、赤澤先生もさっき言われていましたけれども、これはどういう意味ですか。簡単にお答えください。

鹿野国務大臣 私は二十一年前に農林水産大臣を拝命しました。江藤議員のお父上がそのときは農林水産大臣になるんではないか、こう言われたときであります。そして、運輸大臣になられて、思いもかけない私が農林水産大臣になったということを、今、御子息の江藤議員の質疑を聞きながら思い起こしているところでございますけれども、今日まで二十一年間に、ではどう農林水産業を取り巻く状況が推移をしてきたのか。

 一つは、自給率四九%が四〇%、こういうことで、この二十年間に九%引き下がった。そして、農業者の所得も、説明を受けたらば、半分になってしまった。また、耕作放棄地も、もう四十万ということで、かなりの増大だ。そして、では農林水産省の予算はどうなのかというふうなことを聞きましたところ、確かめましたけれども、当時は三兆一千億超すところの予算でありまして、今二兆五千億、七千億近く減っておる。

 何とも言えない感じを持ちまして、こういう状況でありますと、常に受け身の対応きりできなかったんじゃないか、あえて申し上げますならば。当然、そういう中で、攻勢をかけたいろいろな施策も行われてきたということもあるかもしれませんけれども、どちらかといえば受け身にならざるを得ない、そういうようなことであったんではないか。そういう意味で、この農林水産行政も、思い切った攻撃型というような姿勢がまず大事ではないか。

 その攻撃型の姿勢の基本は、農林水産業という第一次産業が非常に重要だということをより多くの人に知ってもらうことから始めなきゃならない、それが私の一番の根幹にあったわけであります。ゆえに、戸別所得補償も、六次産業化も、あるいはその他の、いろいろ所信で申し上げたそういう施策を打ち出していき、それを実行していくのがまさしく攻撃型の農政じゃないか、こういうふうに考えておるところであります。

    〔委員長退席、森本(哲)委員長代理着席〕

江藤委員 大臣のお気持ちはよくわかりました。

 農業所得が減ったということはありますけれども、インフレ率を換算したら確かにそうですよ。金額ベースでいうとそんなには減っていません。もう一回、役所に帰って、統計をよく見てください。それはちょっと認識が違うと思います。

 それから、農業予算も減ったのは、民主党政権になって減ったんじゃないですか。我々のときは、補正予算を入れて三兆円を超えたんですよ、最後は。私は政務官でしたから。三兆円を超えたんですよ、ふえたんですよ。民主党政権になって二兆五千億に下がったんですよ。これから補正でまたふえるんでしょうけれども。

 では、私に言わせていただきます、攻撃型農政とはどういうものか。それは戦える体制を築くということですよ。まず一番必要なのは農業の基盤の整備ですよ。先ほども今村委員の方からもちょっと触れられましたけれども、いわゆる陣地を固める予算ががっぽり削られてしまって、陣地も脆弱なのに戦えと言われても、竹やりで戦うような話ですよ、それ。各地で悲鳴が上がっておりますよ。

 それで、三ページではこうおっしゃっていますね、「下支えに不可欠な農業の生産基盤の整備を推進してまいります。」。そして、結果として、来年度概算要求で一七・八%増、二千五百八億を要求されていらっしゃいますね。確かに今年度に比べればふえたでしょう。でも、比較すべきは、二十一年度予算と比べてどうかということなんですよ。

 きょうは松木政務官が御不在で非常に残念です。私、党から言われて、北海道に出張に行ってまいりました。後継者の方々、畜産家、酪農家、畑をやっている方、いろいろな方と意見交換しました。非常に言われたのは、ある人からはこう言われましたよ。江藤さん、戸別所得補償なんか要らぬ、子育て支援も要らぬ、そんなことよりも、雨が降ってもちゃんと収穫がある、そういう基盤整備、暗渠を入れてくれ、額に汗して働いたらちゃんと金が稼げて、それで子供が養えるような、そういう整備をやってくれ、それがおれたちの一番の望みだよ、そう言われました、私は。なるほどなと思いました。伊東先生も御一緒だったですよ。

 実際に、排水不良地域を中心に六カ所の新規採択を求められていますね。そこのお二人は北海道ですけれどもね。認められたのはたった一カ所じゃないですか。また大雨が降ったらまたタマネギもジャガイモも全滅ですよ。整備をしたところは収入はある。基盤整備がおくれたところは全滅、廃農ですよ、離農ですよ。四十万ヘクタールとかいうけれども、逆に耕作放棄地をふやそうとするような政策をしているんですよ、大臣。そのことを私は自覚してほしいと思いますね。

 今村委員がお聞きをしましたので重なりますけれども、このような予算の流れでいいと思いますか。もう細かい説明はさっき午前中私ちゃんと聞いておりましたので、重複は避けてください。十分であるか、このままの流れで十分であるか不十分であるか、午前中聞いていましたから、それだけ簡略にお答えください。時間がかなりやばくなってきました。

鹿野国務大臣 いろいろ今江藤議員から申されました。

 農業基盤整備のことも、私どもも、そういう実態というふうなものをいろいろな関係者からもお聞きしておりますし、特に、更新の必要性、あるいは老朽化した中でやはり何とか対応していかなきゃならない、そして新しい新規事業を待っておったんだというようなこと等々もいろいろな関係者の方々からもお聞きをしておりまして、そういう意味で、本当に限られた予算の中でも、関連予算を含めて、二十三年度、重ねて申し上げますけれども、一八%ほど前年に比べて伸ばした形でも要求しております。予備費それから今回の補正という中でもできるだけ対応すべく努力をしていかなきゃならない。こういうような姿勢でおるところであります。

江藤委員 お気持ちはわかります。しかし、政治は結果なんですよ。結果イコール予算なんですよ。どれだけの金がついたか。

 ちょっと、では説明しましょう。農山漁村整備交付金、一千五百億出ましたね。これはさっき午前中の御答弁から漏れました。本当は言わなきゃいけなかったんですよ、これ。これから八百六十三億円ついています、八百六十三億円。いや、だって、いいことですから、自慢していいことですから。そして、これはおっしゃいました、予備費から二百八十億円ついていますね、二百八十億円。これを合わせても、二十一年度と比べると四三・三%の減であります。

 そして、きょう閣議決定された補正予算の内容を見ました、きょう昼急いで帰って。農業農村整備事業が二百七十九億、農業活性化緊急基盤整備事業が三十億、農山漁村地域整備交付金が三百二十一億。この一番最後の農山漁村のものは全額が来るわけじゃありませんね。わかりませんけれども、このうちの三分の一が基盤整備に来たとしましょう、仮定です、仮定。それで私計算をしてみますと、それでも二十一年度比三六・二%減なんですよ。全然足らぬのですよ。

 はっきり申し上げます。もうきょう概算要求の内容、閣議決定されちゃいましたけれども、二千五百億規模の農業農村基盤整備事業の予算が確保されなければ、自民党政権のときのような、自公政権の時代のような基盤整備はできない。新規採択は受け付けられない。やっている事業も、事業の完成時期がおくれるということですよ。そのことを私はきっちり自覚をしてほしい。このことは、ページの三ページ、「下支えに不可欠な農業の生産基盤の整備を推進してまいります。」さっきも言いました、この大臣のお言葉と全く整合性がとれません。何か御答弁したいことがあればどうぞ。なければ結構です。

鹿野国務大臣 先ほど数字でいろいろ説明もいたしましたし、また千五百億のことも言われたわけでありますが、私どもとしては、もう本当に今の財政事情というふうなものは御承知のとおりでありまして、そういう中で、具体的な整備事業が非常に大事だというようなことで取り組んでおることは、いささかなりとも評価をしていただけるんじゃないか、こんな思いをいたしまして、これからも努力をしていきたいと思っております。

江藤委員 努力をしていただくことは当然であります、当然であります。

 さっきも言いましたけれども、北海道で六カ所申請をして、ほぼ大丈夫だろうと思っていたものが一カ所しか採択されないという現実の問題が起こっております。今村先生からも、ダムはできたけれども下流に水がおろせないと。何をやっているのかよくわからぬですよ、これじゃ。それこそ無駄遣いじゃないですか。つくったものは有効に利用しなくちゃ。これは当たり前のことだと思います。

 それでは、五ページのところにさわらせていただきます。

 食の安全、安心確保のくだり、「科学的知見に基づく施策の強化、」に取り組むということをおっしゃっていらっしゃいますね。

 ところが、前原さんがクリントンさんと会って、今、米国牛の輸入は二十カ月月齢以下に制限しておるわけでありますけれども、月齢制限緩和を一つの可能性として検討する、できるだけ早く結論を出すと。とんでもないことを言いましたね。とんでもないですよ。これに対して大臣は、どういう気持ちで言ったかわからないのでコメントを避けますというような、非常に何か弱腰なコメントを新聞記者さんにされているわけでありますけれども、消費者との信頼、これなくして日本の農政はないんです。日本の農業の強みは、安心、安全、そしておいしいということですよ。これが揺らいでしまったらどうしようもありませんよ。ゆゆしき問題でありますから、このことはきちっと受けとめていただきたい。

 大臣にお願いしたいことは、クリントンさんでもいいです、例えば農務長官のトム・ビルサックさんでもいいですよ。最高責任者なんですから、我々の国としては絶対に二十カ月月齢、科学的見地に基づいて可とされざるうちは受け入れるつもりはないということを言っていただけたんですか、それともこれから言うつもりですか。簡単に御答弁をお願いします。

    〔森本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕

鹿野国務大臣 実務者の間で検討しているというようなことはもう先生御承知のとおりでありまして、それに対して具体的にまだ何も決まったわけではありません。あくまでも科学的知見に基づいて判断をしていきたい、こう思っております。

江藤委員 それを守ってください。それを絶対に死守してください。

 非常に前原さんは、私も人間的には尊敬する、すばらしい政治家だと思うけれども、余りにも軽率きわまりない。断固抗議をさせていただきたいと思います。

 次に、FTA、TPPのことについて若干触れるつもりで三ページぐらい用意をしていますが、もう時間もありませんし、赤澤委員が随分突っ込んだ質問をされましたので、多くは触れません。FTA、TPP、もう多くは触れません。

 ただ、大臣、ちょっとお尋ねします。通告していなくて申しわけないんですが、今、牛肉の輸入関税、どれぐらいか御存じですか。牛肉輸入関税、御存じですか。御存じなければいいです。三八・五%です。牛肉・オレンジの自由化をしたときに七十数%から始まって、だんだん下がって、今、最低税率の三八・五まで下がって、そして、一定数量よりも輸入量がふえたらセーフガードが発動されて税率は五〇%に上がるというのが今の制度です。

 もし、もしも、四割も安い牛肉が海外から入ってくるということになったら、それが今すぐじゃないにしても、十年先入ってくるということが確定されたら、今回、口蹄疫で被害を受けた人たちはもう再建の意欲を失いますね。いずれ殺されるということですよ、いずれつぶされるということですよ、苦労したって。

 ですから、テレビでごらんになったでしょう、オーストラリアあたりじゃもう和牛の生産が始まっているんですよ。冷凍精液もあるんですよ。篠原副大臣、よく御存じでしょう。そういう時代の中で、このTPP、我々みんな共通認識を持っていることを頼もしく思いますけれども、ぜひこのことについては、日本全体の経済を考えなきゃいけないということはわからぬでもないですけれども、しかし、このことによって本当にがけっ縁から突き落とされる人が出てくるということをよく御理解いただきたいと思います。

 林業についても用意しておりますけれども、時間もなくなりましたから林業については省かせていただきますが、やはり一つだけ言っておきます。

 森林・林業再生プランに基づいて、私の地元の椎葉村で今機械が動いています、ドイツの機械が。これはお粗末きわまりないですよ。最初は、機械を入れようと思ったら、国からこの機械を使ってくださいよと。道が狭くて入りません。そして、オーストリアとドイツから何か専門家が来ましたけれども、来たけれども仕事がないから、しばらくいて、しょうちゅう飲んで帰りました。そして今週末また来ました。結局、宮崎県がこの機械なら我々の地域で使えますという機械に機種変更して、今はまずまずうまく事業は展開しています。しかし、比較的平たんな土地なんですよ、今やっているのは。椎葉にはそういうところもちょっとはあるんです。これが中山間地域の林業で本当に使えるものかについてはきちっとした検証をしてください。御答弁は求めません。

 聞きたいことがもっといっぱいあるんですけれどもね。

 漁業につきましても、では一つだけ、積立ぷらすの部分。

 積立ぷらすの部分は、参加をしても、例えば、台風で生けすが壊れた、魚が逃げた、赤潮で魚が死んだ、補償対象外。五百六十億円もこの共済制度の改正について予算をつぎ込むんでしょう。これをやれば九割補てんになるわけですよ。岩盤部分は八割しかありませんから。積立ぷらすの要件の緩和を私は要求させていただきたいと思います。

 そして、先ほども御意見ありましたけれども、これは戸別所得補償じゃありません。戸別所得補償の一環だと強弁をされていましたけれども、これは共済制度の見直しにすぎない。そのことだけはつけ加えさせていただきたいと思います。

 きょうは、委員長がおられてなかなか申し上げづらいことを、これからあと二分間だけ申し上げさせていただきます。

 私は非常に困っております。地元の方々からいろいろな陳情、御意見、御質問を賜ります。そうすると、例えば厚生労働省であったり国土交通省であったり、投げるわけですね。そうすると、資料と同時にQアンドAという形で大変御丁寧な対応を、野党の私であっても、してくださいますよ。括弧、農林水産省を除く。何でくれないんだ、何でおまえ、ちゃんと対応してくれないんだと聞いたら、政務三役の御意向です、政務三役の御意向ですと。ひどいじゃないですか、委員長。

 私は、だから、新しい大臣になったときに、同じ質問書を二カ月前に出しました、鹿野大臣のところに。二カ月たってもいまだにナシのつぶて、ナシのつぶてであります。大臣は、このようにおっしゃっています、十一ページで。「現場の声をつぶさに伺い、積極的に政策に反映する」と。野党の私の声は現場の声じゃないんですか。

 松木政務官は就任のごあいさつのときにこうおっしゃいましたね、与党、野党の区別なく、建設的によりよい農政を目指して力を合わせて議論をしましょうと。私は本当にその言葉に感銘を受けました。ぜひ私もそうしたいし、足引っ張りの質問なんかはしたくない、提案型の質問をしていきたい、そう心がけたい。委員長に怒られましたけれども、なるべく冷静に委員会運営もしたいというふうに思っております。

 だけれども、野党から出た問いかけに対しても、警察庁だってきちっと出してくれるんですよ、QアンドA方式で。何で農林水産省だけ出さないんですか。私は農林水産省に仲間がたくさんいますけれども、出したいんですよ、お役所の人たちは。はっきり言いますもん。実名を出したら、あなたたちは多分左遷しますから、実名は出しませんけれども。

 本当に、私も、野党とはいえ、選挙区で選ばれたのは私でありますから、四万票以上の票の差をつけて。私の声にも、行政を抑え込むことなく、ちゃんと私たちの質問には答えていただきたい。そのように改革をしていただけますか。大臣、御答弁をお願いします。

鹿野国務大臣 いろいろお話がございましたが、通常業務に差し支えない範囲内できちっと対応するようにしていきたい、こう思っております。

江藤委員 ありがとうございました。そのようにぜひお願いします。

 この委員会は特別な委員会で、対決ばかりではなくて建設的な委員会にしていきたいと思っておりますので、今後とも努力してまいりますので、どうぞよろしくお願いします。

 これで、時間が過ぎましたから質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

鹿野国務大臣 最後にちょっと。

 いろいろと江藤議員から御指摘いただきましたけれども、例えば牛肉の問題も出されましたが、農業者の側だけで、理解がそこでとどまっているということではなしに、牛肉を生産することが、農林水産業がいかに大切かということをやはり消費者の人にも理解してもらうことによって、これからも、次の世代にしっかりと農林水産行政を守っていくことができるんじゃないか。

 そういう意味で、私は攻撃型のその根幹は多くの方々にいかに理解してもらうかというようなことだと申し上げたのも、ぜひひとつ御協力をいただきたいと思います。

江藤委員 異論はございません。終わります。ありがとうございました。

山田委員長 次に、小里泰弘君。

小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。

 まずは、今般発生をいたしました奄美地方における豪雨災害、これによりまして亡くなられました方々に衷心よりお見舞いを申し上げます。そしてまた、被害を受けられました多くの方々に対して心からのお見舞いを申し上げたいと思います。

 けさ方も、私どもの自民党の緊急対策本部におきまして、現地選出の議員である徳田議員から、現地の惨たんたる状況が報告をされました。特に農業、農業用施設の被害が甚大なようであります。

 まずはしっかりと被害状況を把握しなければなりません。現段階でどんなふうに状況を把握しておられるか。そしてまた、今後査定をしっかりと迅速に進めて、激甚災害の指定を初めとするそれぞれの対策を段階的に、迅速に実施していかなければなりません。

 この災害に臨む大臣の決意をお伺いいたします。

鹿野国務大臣 今回の、考えられないような奄美大島の大雨被害につきましては、私どもも、被害に遭われた方々に対しましても心からお見舞いを申させていただきたいと思います。

 現時点までで申し上げますと、農作物、特にカボチャ、タンカン等が水をかぶったとか、あるいは畜舎の崩壊、あるいは農地、農道、水稲の農業用施設の損壊、あるいは林地の土砂災害、林道の崩壊などの被害報告を受けておりますが、さらに、本日現地に関係省庁の五名の担当官を派遣いたしまして被害状況を把握する。的確なる被害状況をしっかりとつかむことが、把握することがまず次の対応につながるわけでありますので、そういう対応をしているところであります。

 そして、十月の二十一日には、被害農林漁業者に対する資金の円滑な融通、あるいは既に、貸付金の償還猶予等が図られるよう、株式会社日本政策金融公庫あるいは農林中央金庫等に依頼を通知いたしておるところであります。

 これからも、県を初め関係機関と緊密に連携をとり、災害復旧事業等の対応については万全を期す、こういう気持ちのもとに対応してまいりたいと思います。

小里委員 従来、この種の災害の被害状況の把握、査定には相当時間がかかります。この査定がないと激甚災の指定もできない。このタイムラグがつらいんだということを徳田議員も述べておりました。どうか、迅速にその査定を行っていただきたいと思います。例えば阪神・淡路のときは、推計値を用いまして、一週間で激甚災の指定をいたしました。そこまでいかなくても、なるべく早く特段の対応をやっていただきたい。そして、政府がこういう方針でこの対策に臨んでいくんだというアナウンスを早目にやっていただきたいな、そんなふうに思います。

 奄美地方は、年間三百六十六日雨が降ると言われるぐらい雨が多い、雨にはなれていたはずでありますが、こんな被害になってしまいました。また、先般、私どもの霧島地方を中心とする豪雨災害、これも、例えば旧霧島町域では時間雨量百二十六ミリであった、同時刻に隣の町々では二、三十ミリだったんですね。それぐらい局地的に雨が降る。災害形態というものがだんだん変わってきているように思います。そういった、変化をする災害にもしっかり備えをしていかなければいけない。あわせて、よろしくお願いをしたいと思います。

 では、本題に入りたいと思います。

 鹿野大臣に対しましては、赤潮被害、初めての質問でございます。

 先般、七月を中心といたしまして、私どもの鹿児島、熊本、長崎県域を中心といたしまして、未曾有の赤潮被害が発生をいたしました。被害額にして五十三億円、対象経営体にして百九十一経営体であります。また、非常にすそ野の広い産業、地域のまさに基幹産業でありまして、例えば加工とか運搬等を入れますと、鹿児島側だけでも一千人以上にその関係が及ぶと推計をされているところであります。

 その被害の大きさもさることながら、昨年に引き続き、百年に一度と言われるこの赤潮被害であります。まさに、先ほど申し上げました、災害の形態が大きく変わってきておる、頻発をしてきておる、これは赤潮被害にも言えるわけであります。連続する災害によりまして、これ以上借金もできない、自助努力では到底追いつかない、現行制度でもどうしようもない、大変な状況になっているわけであります。

 まず、大臣としてこの赤潮被害をどう受けとめておられるか、見解をお伺いしたいと思います。

鹿野国務大臣 過般、小里議員からも、小里議員お一人で私どもにお越しになりまして、今回の赤潮被害につきましていろいろとお話も承りました。そういう状況、またいろいろとお話を聞く中におきまして、今回の赤潮被害につきましては、鹿児島県、熊本県、長崎県の三県の養殖業者に対しまして、近年では最大級の、被害額が五十四億円を及ぼしておる、こういうような大変厳しい被害と受けとめておるところでございます。

 そういう赤潮被害を受けた地域におきましては、養殖業というのは基幹産業でもあるわけでございまして、地域経済全体にとっても大きな影響を受けているんではないか、こんな受けとめ方をいたしておるところであります。

小里委員 大臣、受けとめていただいた、この甚大なる赤潮被害に対しまして、私たちは、赤潮被害対策特別措置法案を先般提出いたしました。

 柱といたしましては、被害額のうち養殖共済が及ばない部分の国と県による補てん措置、赤潮被害に対処するために自治体において要した費用、例えば死魚の埋設費用を初め、あるいは緊急雇用対策の費用であるとか、そういった、自治体において発生した費用の国による財政措置であります。そしてまた、無利子貸し付け、償還期限の延長などの金融措置が入っております。あるいは、新規養殖漁場の整備、沈下式の生けすの整備、あるいは早期出荷のための人工種苗の開発、あるいはまた今後の赤潮被害回避のための措置などが入っております。さらには、赤潮の種、シストの分布状況の調査、またそれに基づく今後の防除措置などが柱として入れ込んであるわけであります。

 この法案をどのように受けとめておられるか、大臣にお伺いいたします。

鹿野国務大臣 自民党から、自民党等と言った方が正確だと思いますけれども、提出されました赤潮被害対策特別措置法案につきましては、今、小里議員からもお話がございました。過般も御説明もいただいたわけであります。

 私なりに、とらえ方といたしましては、一つは、共済制度に加入しなくとも一定額が補てんされることになるということは、共済制度そのものが今後どうなっていくのかというようなことの問題点があるのではないか、二つ目といたしまして、他の災害被害漁業者との公平性というものが保たれなくなってくるのではないか、そういう基本的な問題があるのではないかな、こういうふうな認識でございます。

小里委員 共済制度とのかかわりについて今言及がありました。

 私どもが今まで議論した中では、その逆でありまして、今回、共済制度で、共済金が被害額の最大六割部分にしか適用がありません。残りの四割を国と県で補てんしようというものであります。

 例えば、熊本県の方々からは、それだと共済に入っていない人が救い切れないじゃないか、あるいは、共済に十分入っていない人、例えば被害の二割、三割しか共済金が出ない人たちもいる、そういった方たちが救い切れないじゃないかという御指摘もありました。しかしながら、自助努力というものに一つの視点を置きまして、最大共済に加入していた場合に、それでも及ばない部分をやはり国と県で救うべきじゃないか、そうしないと、かえって不公平が生じる。今後、共済にしっかり加入をしていこう、そういう共済加入を促進していく意味でも、そこの部分にも勘案をいたしまして今回のスキームとなったわけであります。それはまた後ほど触れさせていただきたいと思います。

 また、他の災害との関連もおっしゃいました。この前の口蹄疫のときもそうでありますが、我々は、やはり目の前にある災害に対してしっかり対応していく、現にこれだけの被害が発生をして、たくさんの漁業者の皆さんが困っているわけですから、そこにしっかりと対応していくということがやはり必要なんじゃないかと思います。

 例えば農産物にしましても、それぞれ品目ごとに、あるいは畜種別に補てんの措置が準備をされております。今後の共済制度の充実強化を考えましたときにも、今不足をしているところにしっかりと補てんをしていく、対応していく、これがやはり立法府として求められるんじゃないか、そんな視点に立って今回の提案を行ったわけであります。

 それでは、政府としてどう対応をとられるのか、お伺いいたします。

鹿野国務大臣 今申し上げますとおりに、赤潮被害に対しまして対応策をしていかなきゃならない、このようなことから、二十二年度補正予算におきまして、赤潮被害養殖業に対する再建支援緊急対策事業といたしまして十四億円を措置することといたしております。赤潮による養殖業への被害を防止するため、環境の調査とかあるいは被害防止策の実証を実施していきたいと思っております。

 そしてまた、今後の赤潮被害回避のための対策といたしまして、二十三年度予算の概算要求におきまして、緊急対策といたしまして七十億円を計上いたしておるところでございます。そういうことで、今後とも、赤潮を回避するための養殖施設の移動、設置についても実証する事業等も盛り込んでおるわけでありますので、これからも赤潮被害に対するところの対応に努めていきたいと思っております。

小里委員 前回もその点は確認、特に来年度予算については確認をさせていただきました。

 今回の被害を検証しますときに、沈下式の生けす、沈めるようになった生けすを、特に、被害が出にくい海域に新規養殖漁場を整備して、そこに持っていく、あるいは今ある生けすをそこに持っていく、曳航のための支援、これが効果的じゃないか。あるいは、シストの分布調査の必要性も対策として訴えてまいりました。今回の法案にもそれが要請をされているわけであります。そういった点が予算化をされるということは評価を申し上げたいと思います。

 そこで、シストの分布調査等において現地の漁船や漁業者を使っていただく、そういったことはお考えにあるのか、改めてお伺いをいたします。

筒井副大臣 シスト調査等に現地の漁民の皆さん、そしてその所有する漁船、これらをぜひ活用させていただきたいですし、それに対するきちんとした支払いもする、こう予定をしております。

小里委員 ぜひ、実際に被害を受けた人たちがその対象になるようにお願いをしたいと思います。

 そこで、関連をしてお伺いしたいわけでありますが、今お話にありました、補正予算においては、シストの調査、それと別個に大型生けすの整備などが予定をされていると認識いたします。その予算の内訳というのはどうなっていますか。

筒井副大臣 大型生けすと、その移動のそれぞれの区別ですか。それとも……

小里委員 要するに、補正予算においては、まずはシストの調査ですね。これは現地の方々を雇っていただけると今のお話でありました。それと、もう一つの体系として、大型生けすの整備とか種苗施設の整備をする、そういったものが入っているように認識をしておりますが、それぞれの予算は幾らになっているかということです。

筒井副大臣 個々の金額については今ちょっと承知をしていないので、後ほどそれは提出をさせていただきたいと思います。(小里委員「それは質問通告をしております」と呼ぶ)ああ、そうなんですか。

 広域的なシストの分布調査及び発生海域の底質環境の調査に二億円です。それから、大型生けす、早期出荷用の大型種苗の育成施設の整備等に関する実証の支援、これが十二億円です。この二点が今出された資料にありました。

小里委員 我々は、現在漁業者の皆さんが資金繰りに大変困っておられる、そのために補てん措置としておよそ二十億円が必要である、これは現地からの要請、県からの要請を踏まえて要望しているところでございます。

 ところが、今の御答弁によりますと、実際現地に落ちるお金というのは、例えば今のシストの調査、その部分であろうと思います。わずかに二億円であります。必要とされる金額の一割しか現地にはにわかには落ちないわけでありまして、これでは、今困窮をしている漁業者の方々が今を乗り切っていく資金にはなり得ない、そのように認識をいたします。

 ここまでお伺いをしてまいりましたように、補正予算での対応は、来年以降の赤潮被害に備えるものであって、直ちに現在の現場の窮状にこたえるものとはなっておりません。また、来年度予算でも新規養殖漁場の整備が中心となりますが、これも現在の窮状にこたえるものとはなっておりません。

 連続する被害で漁業者の皆さんは資金繰りに行き詰まっております。これ以上借金を重ねることはできません。私どもは、それゆえに、漁協や町の要望を踏まえまして、そして県とも調整の上、被害額のうち共済が及ばない四割部分において国と県による補てんというものを要望しているところでございます。困窮する今を乗り切るために、何とかこの部分にこたえていただきたいと思いますが、もう一度大臣にお伺いいたします。

鹿野国務大臣 重ねて申させていただきますが、今回赤潮被害を受けた海域の養殖共済の加入者は赤潮特約というものを結んでおりまして、今回のような異常な赤潮による損失につきましては漁業者の負担がない、すなわち国が三分の二、県が三分の一を負担する、こういう赤潮特約によりまして、八月下旬から共済金が支払われているという現状であります。

 そういう中で、直接補てんを、こういうようなお話でございましたけれども、この点につきましては、重ねて申し上げますが、共済制度に加入しなくとも一定額が補てんされるということから、本当に共済制度がこれからどうなるのかという問題が出てくる。あるいは、ほかの災害被害の漁業者との公平性が保たれない、そういう基本的な問題があるんではないかということを重ねて申させていただきたいと思います。

小里委員 確かに、赤潮特約の部分は国と県でこれを負担いたします。ところが、その赤潮特約を受けるためには本体の共済に入っていないといけないんです。本体の共済ではちゃんと掛金を納めているわけでありまして、そこのところはぜひ認識をいただきたいと思います。

 それと、先ほど申し上げましたように、共済にちゃんと入っている人たちと共済に入っていない人たちが、今回の法案によりましても、救済される部分と救済されない部分はきっちりと分けられるわけでありますから、その点もまた認識をしていただきたい。今後の共済加入推進のためにも、ここできっちりと、国が支援の手を差し伸べる、そのことを明確に示していただくことがまずやはり望まれるんじゃないか、そのように訴えたいと思います。

 昨年、ことしと収入がありません。前年度からのえさ代がたまっております。そして、毎年生けすを更新していかないといけない。そういった設備費であるとか経費の支払いが滞っております。それゆえにまた、漁協におきましては膨大な未収金が発生をしておりまして、運転資金に事欠く状態であります。こういったところをどう救っていくんでしょうか、お伺いいたします。

鹿野国務大臣 先ほど申し上げますとおりに、補正の中にも具体的な対策につきまして盛り込ませていただいておりますし、それから二十三年度予算の概算要求におきましても七十億というものを要求しておるということでございますので、そういう赤潮被害に対する対応策につきましては、これからのことにつきましてできるだけの努力をしていきたいという考え方であります。

 ただ、何遍も申し上げますけれども、共済制度というふうなものを守っていく上においても、また公平感というものを保つ上においても、今回、私どもといたしましてはどうしても、議員のおっしゃられるようなことに対して、対応については、わかりましたというふうなことは大変言いにくい状況にあるということもこれまた御理解をいただきたいと思います。

小里委員 再三申し上げますが、共済に入っていない人たちにその共済金の部分まで補てんをしてくれと言っているわけではありません。共済金が及ばないところの被害を国と県で補てんしていただきたい、そう申し上げているわけであります。

 それと、現場の人たちは、今申し上げましたように、今の資金に困っているんです。年を越す資金に困っているんです。経費が払えない、えさ代が払えないんです。来年のことを言われても、補正予算にしても来年度予算の概算要求の内容にしましても、すべてが次回からの赤潮に対応するための措置であって、今回の被害に対応するための措置になっていないんです。そこのところはぜひ御理解をいただきたいと思います。

 たまたまでありますが、先週末、私は、くだんの鹿児島県長島の養殖業者の結婚披露宴に出席をいたしました。三代目であります。おじいさん、お父さん、そして御本人、三代目。誇りを持ってこの養殖業を営んでいただいておる。高卒後、一生懸命今まで仕事をやってきた、そしてやっと結婚ができる、そういう次第になったわけでありますが、そういった二代目、三代目、若い後継者がたくさんいらっしゃる、地域の基幹産業であります。この前も、そういった披露宴の中を回りましたところ、若い方々が、後継者の方々が私に切々として訴えられるんです。彼らがまさに窮地に立っております。ここを何とか救っていただきたい、今を何とか乗り切らせていただきたい、そういった声に満ち満ちていたのであります。

 彼らが今を何とか乗り切って、将来にわたって夢と希望を持って安定的に養殖業を営んでいける、そういった環境をぜひつくっていかないといけません。まずは今を乗り切らせていただきたい。そのためにぜひ御再考をいただきたいと思います。

 時間がありません。先ほどおっしゃいました共済制度、今後の拡充方向についてお伺いをいたします。

 民主党政権におかれましては、漁業所得補償対策というものを準備しておられるやに聞いております。私どもも、漁業共済及び積立ぷらすに対する国の助成を充実強化して、より入りやすく、より経営の安定につながっていく制度にしていこう、このことを公約としてうたって訴えてまいりました。今回の民主党政権における制度改正の中身といたしましては、共済の掛金補助率の拡大、積立ぷらすの積立金補助率の拡充、そして積立ぷらすの加入要件の緩和となっております。名称を除けば、自民党案に沿ったものとして私どもも評価をするところであります。

 そこで、従来、積立ぷらすは、先ほども若干江藤議員が触れておられましたが、出荷した養殖物の価格の一割部分を補てんする仕組みであります。しかしながら、死んだり逃亡した魚に対しては適用をされません。すなわち、赤潮被害に対しては適用されないんですね。今回の制度改正でどうするおつもりなのか、その点をお伺いいたします。

筒井副大臣 養殖業についてとそれ以外の一般の漁業共済とが、少し、今言われた点で違うわけでございまして、だからそれを、養殖業についても一般と同じような形のものにすることができるかどうか、それは今後の検討課題だというふうに思っております。なかなか難しい点もありますが、検討課題というふうにとらえております。(小里委員「PQ方式を取り入れるということですか」と呼ぶ)そうです、そっちの検討をするということです。

小里委員 ぜひ、検討だけじゃなくて実現をしていただきたいと思います。山田前大臣が、いつぞやの御答弁にありました、共済と積立ぷらすの充実でもって赤潮被害についても九割まで補てんをしていくという御答弁があったわけでありまして、ぜひそれが実行ならしむるものになりますようによろしくお願いをしたいと思います。しかし、それほど簡単じゃないということは私もわかっておるんです。法改正の必要があります。生産金額の把握であったり在庫評価等の問題があったり、課題が相当控えているわけでありますが、なるべく迅速に対応していただきたい。

 また、経過的な措置として、現共済制度の中で改善を加えていただいて、実質しっかりとした補てんがなるように、その点はお願いしたいと思います。

 それにしましても、これは来年以降の話でありますから、現在の赤潮被害への対応とは別個のものである、そのことはまた念を押しておきたいと思います。

 なおまた、漁業所得補償は、基本的には生産を減らすことを条件にして補てんをすることになっております。養殖につきましても、環境を守るために、生産量を減らすなら補てんをするというものであります。

 例えば、ワカメとか昆布など藻類の育成、あれには環境浄化作用があると言われておりますが、こういったものも生産を減らすことを条件とすることは、何か制度の矛盾を感じるわけでありますが、その点はどうでありましょうか。また、ブリ、カンパチ等の養殖にいたしましても、今では技術やノウハウが進みましてかなり環境に優しいものとなっております。その点をしっかり考慮に入れていかないと、かえってその条件を当てはめることが今後の加入にとっての足かせになってしまいかねない、そのことを私は申し上げておきたい。

 一方で、生産調整の必要もあるかもしれません。生産調整をすれば魚価の安定にもつながっていくわけでありまして、なかなかその辺の兼ね合いが難しいところでありますが、あわせて見解をお伺いいたします。

筒井副大臣 生産を減らせばいいというそんな一方的なものではなくて、例えば養殖について言えば、適正養殖可能量の範囲内にとどめていただきたい。それから、藻類、昆布等々に関しても同じでございまして、余りにも密植いたしますといろいろな弊害が出てくる可能性がある。これに関しても適正な養殖可能量の範囲内にとどめることが今度の支給の前提になるというふうな考えでございますから、何が何でも減らせばいいんだという趣旨ではございません。

小里委員 非常にその兼ね合いが難しいところであろうと思います。

 いずれにしましても、漁業者の皆さんがしっかりと意欲を持って、将来にわたって安定的に経営に取り組んでいける、そのための制度としていかなければなりません。私たちも、しっかりとまた議論をしてまいりたいと思います。

 最後にもう一回、ぜひとも、赤潮被害対策特別措置法案につきましては、原案に沿った形でこれが成立をいたしますように、ぜひ全会一致でもって、これが漁業者のもとに届く制度となりますように、委員の皆様にもお願いを申し上げまして、質問を閉じたいと思います。

 ありがとうございました。

山田委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 きょうは、初めて鹿野大臣に質問をさせていただけるということでございますが、先日、家で物を片づけておりましたら、平成七年の一月に、当時新進党で高知県の結成大会のときに鹿野大臣がおいでをいただきまして、そのときの写真が出てまいりました。今から十五年前であります。私も若かったけれども、大臣も若かったです。きょうは、後ほど質問をさせていただきたいと思いますが、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 まず最初に、委員長にお伺いをいたしたいと思います。

 委員長は、これまで大臣をなさっておって、その前は副大臣ということで、今回、委員長に御就任になりました。行政の側にいたときに当然副大臣、大臣としてかかわったいろいろな政策を、これから国会で議論をするわけであります。いわば、野球でいったら委員長はピッチャーだったんですね。それが、剛速球を投げると思ったら突然審判に変わっちゃった、こういうことですから、再度、委員長の委員会運営に当たる御決意を一言お述べいただきまして、質問に入りたいと思います。

山田委員長 委員長として、公明正大にその務めを果たさせていただきます。

石田(祝)委員 我が党におもんぱかって公明という名前をつけていただきましたが、中立公正でひとつお願いをいたしたいというふうに思います。

 大臣、ちょっと、いろいろな質問を通告いたしておりましたが、鹿児島県の奄美地方における大雨による被害。これは、我が党からも現地に調査団を派遣いたしまして、行かれた方が三日間奄美で調査をして、きょう御報告がございました。大変な状況でございまして、あの島の中で、経済も景気も大変厳しい、財政情勢も悪い、そういう中で大きな被害が出ている。特に農林水産関係、特に農業、林業ですね、山地崩壊を含め、大変な被害が出ているようでございます。

 これから現地で被害の査定もしていただけると思いますけれども、農林水産関係の責任者として、この奄美の大雨の被害に対しての大臣のお考え、御決意をまずお伺いいたしたいと思います。

鹿野国務大臣 今、石田先生もおっしゃったとおりに、今回の奄美地方の大雨というのは本当に考えられないような被害であるということも、報告も受けておるわけであります。

 現時点までに、農作物につきましては、カボチャとかタンカンとか、そういう農作物に対する、水をかぶった、あるいは畜舎が崩壊した、こういうようなことで、農地も大変な状況になっているところも十八カ所、こういうふうな調査の報告もあるわけであります。

 そのほかに、農道あるいは水路などの農業用の施設の損壊が四十五カ所、そして林地の土砂災害が八カ所、林道の損壊が四十八カ所、こういうような被害報告を現在の段階で受けておるわけであります。

 さらに、今調査を継続中でございまして、本日現地に関係局、庁の五名の担当官を派遣いたしまして、被害状況をしっかりと把握するとともに、的確な対応について検討してまいりたい。

 そして、十月の二十一日には、被害を受けられた農林漁業者等に対する資金の円滑な融通なり、あるいは既に、貸付金の償還猶予等が図られるよう、株式会社日本政策金融公庫あるいは農林中央金庫等に依頼をいたしておるところでございます。

 今後とも、県を初め関係機関と密接な連携をとりながら、災害復旧事業等の対応につきましては万全を期してまいりたい、このように考えておるところでございます。

石田(祝)委員 それでは、戸別所得補償の問題と米問題についてお伺いをいたしたいと思います。

 ことしはモデル対策でお米でやられたわけでありますが、来年は畑作まで広げる、漁業の方もやろう、また林業の方もやろうと、直接補償ですか、そういうお考えのようでありますけれども、私が一つ心配しているのは、ことしやりましたけれども、評価についてはいろいろなお声があります。ですから、モデル事業であれば、通常、やったものに対してどういう評価をされるか。評価というのは、それぞれの立場から言うんじゃなくて、農家の側に立って、また生産者、消費者等あると思いますけれども、ある意味では科学的にやらなきゃ、お互いがお互いの、与党、野党に分かれた立場で言っておってもこれはどうしようもありません。

 ですから、一つお伺いをしたいのは、まず、モデル事業で、再三答弁で、需給が締まる、こういうお話でずっと来ました。私は、この委員会でも、政府は需給が締まるという言葉でもう思考停止になっているんじゃないか、こういうお話もさせていただきました。それで、実際モデル事業で需給が締まったかどうか、これについてまずお答えをいただきたいと思います。

鹿野国務大臣 戸別所得補償制度の生産数量目標に即した生産を行う者に対しましては、その所得を補償するという強力なるメリットを講じることで、需給調整への参加を誘導してきたわけであります。そういう中で、二十二年度産米につきましては、ペナルティーを廃止して、農家個々の経営判断による需給調整への参加を誘導した中で、実質的に過剰作付面積が約八千ヘクタール減少するという見込みでありますので、これは締まったというようなことの評価ができるのではないか、こう思っております。

石田(祝)委員 八千ヘクタールですか、一万ヘクタールともお聞きをしましたけれども。だけれども、実際、四万一千ぐらい過剰作付がありますよね、減ったことしかおっしゃらないんですけれども。現実には四万一千程度の過剰作付があって、当初八百十三万トンの予定の需要が、実は八百五万トンだったと。ですから、作況指数は九九ですから、これは今の段階ですね、平年並みですよ。その中でもやはり米が余ってきている。これは需給が締まったというふうに言えるんでしょうか。

 締まった締まったというのは……(発言する者あり)だれか言いましたけれども、どう考えてもこれは締まったと言えないでしょう。需給が締まったら、もっとお米の値段は上がるんじゃないんですか。下がり続けているじゃないですか。それで需給が締まったということを、これは私は農業者の前ではとても口が裂けても言えないんじゃないか、こういうふうに思います。

 この点について、大臣は、八千ヘクタールですか、こういう過剰作付が減ったので締まったんだと。現実にそうなっていないじゃないですか。それを締まったと言うんだったら、これはお米の値段について、もともとどうこうする必要は全くないわけであります。しかし、現実の姿として、大変、米価が下落で困っている。

 ですから、そういう需給が締まったというような、頭から思考がとまるような話はもうやめて、現実にどうだったか、そして、その検証を、やる前に、来年の畑作に広げるということが本当にいいのか、ことしはどうだったのかということを検証すべきじゃないですか。検証なさったんですか。これはいかがですか。

筒井副大臣 それを検証しながら来年度の本格実施の制度設計をして、また、しつつある部分もあるわけでございます。

 そして、ぜひ誤解を解いていただきたいのは、需給が締まったこと、これは所得補償政策の結果、その数字がきちんと出ていることを先ほどから大臣も私も強調しております。しかし、価格の決定はほかの要素も入りますから、価格が下がったからといって、需給がイコール締まらなかったことにはならないわけでございまして、価格決定にはいろいろなほかの経済的な要素、消費量その他がプラスされるわけでございますから、その二つは区別して検証をしなければならないというふうに考えております。

石田(祝)委員 いやいや、それは副大臣、そんな答弁でいいんですか。そこに座っているときは、多分そういうことを思っていなかったと思いますよ。だから、需給が締まったということを農家の方や我々がどう判断するんですか。やはり米価というものがどうなっているのか、これでしょう。ですから、米価は下がっているけれども締まっているんだといっても、だれも納得しませんよ。そんなことを農業者の前で言えますか。ですから、そういうものも含めてちゃんと検証すべきではないか。

 それで、副大臣はそういうふうにおっしゃいましたけれども、現実に八月の段階で概算要求を出しているわけでしょう。八月なんて、まだ出来秋じゃないじゃないですか。米もできていない、作況もわからないときに、来年は畑作に広げる。だって、変動部分だって相対取引は一月までとるんでしょう。一月までいったらどうなるか、まだ全然わかっていないじゃないですか。一月の時点というのは、それとも予算ができていない時点ですか。政府は予算を決定しているんでしょう。そのときに変更するんですか、予算を出しておいて。だから、そういうことはできていないということじゃないですか。

 だから、できていないうちに、お米自体のモデルの検証もできていないのに、さらに畑作まで広げて、私たちが、需給が締まるのかどうなのか、対策をとらなくていいのかと言っても、全然出口対策をやる必要はない、その一点張りじゃないですか。そういういろいろなことを真摯に検討しないと、ただ八月の末の概算要求で、来年のことだから、とにかくどうなっているか、ことしの分はわからないけれども、畑作まで広げちゃおう、これは私はモデル対策とは言えない。また来年、これは畑作までやる、一兆円ぐらいかかると言われている。そういうものを、モデルの検証もせずに、これは法案を出すんですか。法案なんか出さなくてもできるじゃないかという声も出てきているじゃないですか。

 だから、そんなことも含めて、これはしっかりと本年の検証をすべきだ、その後で来年度のものを考えていく、これが私は正しいあり方ではないか。ですから、一年本当は置かなきゃいけないんですよ、検証できていないんだから。これはいかがですか。

筒井副大臣 モデル事業を今年度始めた、来年度から本格実施をする、こういう約束でございまして、その来年度からの本格実施に当たっての予算要求は既にやらなければいけないわけでございまして、では、来年度一年間は検証のために一切何もしないでほっておいたら、なおさら農業はひどい状況になってしまうわけです。

 ただ、今現在、まだわからないところがあるから、例えば今言われた、変動部分についての価格下落の点がどういうふうになるのか、これは来年の一月時点ですから、今は大体の概算要求を出しておりますが、具体的なその変動部分の細かい制度設計や何かについては、一月あるいは支給することしの年度内までに、さらに詰めなければいけない部分があるというふうに申し上げているわけでございます。

 それから、畑作について、これを今度の所得補償の対象として新たにつけ加える、これも前からのお約束でございますが、畑作、麦、大豆その他いろいろな戦略作物についての生産を上げるということは、自給率向上に役立つことははっきりしているわけでございますから、今度の水田のモデル事業についての検証以前にそれをやる必要があることはもうはっきりしている、こういうふうに考えております。

石田(祝)委員 私が申し上げたように、このモデル事業で、実際、最終締めたときに幾らかかって、また、農家の方、いろいろな方がどう評価なさっているか、こういう事業の検証をなさらずに広げていくということは、これはちょっと待った方がいいのではないか、考えた方がいいのではないか、こういうふうに私は思います。並行しておやりになるということで、副大臣はそういうお考えのようでありますから、このことについてはこれから議論をまたさせていただかなきゃいけない、このように思っております。

 それで、来年度からの本格実施ということであります。これは前にもお聞きしましたけれども、大臣はいらっしゃいませんが、お答えできるんだったらお願いしたいんですけれども、これは法案を出すんですか。

筒井副大臣 大臣がおられませんが、前の、今の委員長の大臣の時代から、法案を出すという方向で農水省は表明をしておりますので、その方向で検討していく、こういう形になるかと思います。

石田(祝)委員 あと二点ほど心配な点、相談されている、いろいろとお声が上がっている点をお聞きしますが、一つは、畑作物の補償基準というんでしょうか、これは大麦と裸麦とかは決まっていますか。もうそろそろ播種の時期だ、一体どうなっているんだ、こういうお声も上がってきておりますが、まだ生産費の調査をしてと。

 一緒にもう一つ聞きます。ことし、当初、生産数量目標を、面積換算するときに八百十三万トンで計算しておりました。それが現実には八百五万トンの需要量だと。そこで八万トンの乖離が出てきております。このままいくと、来年のお米の生産数量目標は一体どうなるのか。そして今、農林水産省、いろいろと質問等あらゆる機会にお聞きをしたりいたしますと、また仄聞をした部分もございますけれども、要するに、来年もっと戸別所得補償制度に入ってくる人が多いだろうと。こういうふうになりますと、来年の生産数量目標が今のままいったらふえる見込みはない、そういう中で所得補償制度にたくさん入ってきたら、当然今までつくられていた面積がつくられない、割り算をしたら薄くなるわけですから。

 この二点について、御答弁をお願いします。

筒井副大臣 裸麦、大麦、これも所得補償の畑作物としての対象にすることになっておりますが、それについての生産費調査がまだ終了しておりません。もうじき終了するんだと思うんですが、それが終了した時点で具体的な金額を決定していく、こういう予定でございます。

 それと、生産数量目標、来年度の面積あるいは数量、これに関しましては、まさに今後の需給の状況、今年度米についての売れ行き、これらを総合的に判断しながら決定しなければいけないわけですから、まだそれは決定しておりません。

石田(祝)委員 この大麦、裸麦について、生産費の調査が終わり次第発表する、米の生産数量目標についてもこれからだと。一体いつ発表するんですか。農家の方は待っていますよ、毎日毎日、日が過ぎていっているわけですから。私たちはここで、ある意味でいえば、そういうお声を聞いて議論をしますけれども、現実に植えている人は、きょうかあすか、早く準備しなくちゃならない、こういう一日千秋の思いで待っているわけですね。

 だから、まとまったら発表しますなんというのは私だって言えますよ。そうじゃなくて、いつですか。めどはやはり言っていただかないと。めどと金額とか、これをぜひ明らかにしてください。

筒井副大臣 裸麦、大麦については十一月中に決定することができる、こういう見込みでございます。

 生産数量目標に関しては、これは石田先生十分御存じだと思うけれども、今具体的なめどを出すことは、それは難しいですよ。やはり今後の、少なくとも来年一月以降までの状況を見なければ、来年の生産数量目標の確定というのは、これはちょっとかえって早過ぎ、誤る可能性もあるんじゃないですか。

石田(祝)委員 これは十一月中だということですが、十一月中ということは、あと一カ月ぐらいあるわけですね。これは間に合うんですか、予定している人からしたら。十一月中まで何にもしないんですか、生産農家の方は。

 私が聞いたのは、一週間以上前に、早く決めてくれなきゃもう間に合わない、こういうお声があったように思いますが、さらに一週間ぐらいたって、きょう質問して、さらに一カ月後だと。これはいかにもちょっと時間がかかり過ぎているんじゃないでしょうか。

 それで、筒井副大臣はさっき、畑作はもうやることは決まっているんだ、最初からもう来年度やることは決まっていたんだと。そうおっしゃるんだったら、準備していない方がおかしいじゃないですか。そうでしょう。さっき私が言ったら、いや、こんなものは来年やることが決まっているんだと。マニフェストに書いてあると思いますけれども、それだったら調べていなきゃおかしいでしょう。何で今ごろそんなことをやっているんですか。

筒井副大臣 おっしゃるとおり、統計事務が非常に、皆さんの自公政権時代から大分縮小されて、そっちがおくれていることは、私自身も認めざるを得ない状況だろうというふうに思います。

 ただ、大麦、裸麦、これは、水田利活用の方としては三万五千円の対象として入っておりましたし、それらの水準を下がらない、畑作の場合にはさらに畑作の部分がプラスされるわけですが、畑作だけの場合は畑作の部分が支給されるわけですが、それらの水準を下がることはないというふうに私は思っております。

 だから、大体は予測ができるわけですが、やはり厳密な形の単価設定をしたいということから、十一月中という、今そういう見込みでございます。

石田(祝)委員 ほかにもお聞きしたいことがあるのでこれ以上は言いませんけれども、では、八月末の概算要求はどうやって出したんですか、一体。概算要求というのは数字の積み重ねでしょう。それが、出しているのに、今ごろこれから調べますなんというのはちょっとおかしいんじゃないですか。それとも、農林水産省はこの部分については事項要求でしたんですか、数字を入れなかったんですか。そういうことを、またこれからじき聞く機会もありますからお聞きしますけれども、これはもう早く、現場は待っている、こういうことで、ぜひ大臣以下政務三役、督励をお願いいたしたいというふうに思います。

 それで、引き続いて米の問題で何点かお聞きをいたしますけれども、備蓄についてお伺いをいたします。

 これは私は前にもお聞きをいたしましたが、民主党のお約束、選挙のとき、政策集ですか、マニフェストじゃないという御指摘も私いただいたんですけれども、三百万トンの棚上げ備蓄をやる、こういうお話ですよね。そして、私が質問したときに、当時連立政権を組んでおりました社会民主党も三百万トンだった。そして、国民新党はそれには触れられておりませんでした。ですから、与党三党が三百万トンにするのに何の、選挙のときのそごは生じないと、だから、どうするんですかとお聞きをしたことがございますが、この備蓄については、一点、三百万トンはどうなったか、二点目、棚上げ備蓄の前倒しのお考えはないか、この二点についてお伺いをいたします。

鹿野国務大臣 備蓄の水準につきましては、民主党のインデックスにおきまして、二〇〇七年におきましては三百万トン備蓄、それからインデックスの二〇〇九年におきましては、MA米を含めて三百万トン備蓄、こういうふうに記述されていることは間違いございません。

 そういう中で、現行の百万トンというようなことにつきましては、前国会で赤松前大臣からもお答えしたとおりでございまして、いわば現行の百万トンという備蓄水準というものが、食料・農業・農村政策審議会の食糧部会においても意見としてはこれが大宗である、こういうふうなことを受けて赤松大臣としてもそういう判断に立たれたと思っておりまして、私どももそれを踏襲しておる、こういうことであります。

石田(祝)委員 これは、百万トンというのを研究会が去年決めたわけじゃないんですよね。ずっと前から、民主党がマニフェストをつくったりインデックスをつくる前からあるわけなんですよ。それがあってなお三百万トンというお話をされているんですから、当然、その研究会で百万トンという備蓄水準がある、そういうものを承知の上で政策としてお出しになった。ですから、その三百万という数字は、やはり農家の方も、何かあったときに、ああ、今百万トンのところから棚上げ備蓄で二百万トンのすき間が出てくる、こう思ったと思いますよ、私は。

 だから、その後で研究会が百万トンに決めましたというんだったら、それは研究会の一つの考えでしょう。しかし、そういうものがあって決めているんですから、知らなかったというわけじゃないですよね。知っていてお決めになっているんだから、そこに至る政策実現の道筋というのは当然お考えになって選挙のときにお訴えになったんじゃないでしょうか。ですから、ここのところの整合性はどのようにお考えになりますか。

鹿野国務大臣 このことにつきましては、今私から申し上げましたけれども、この中には、MA米というふうなものを入れますと百七十七万トン、こういうふうな考え方になるわけでございまして、そういう意味では、確かに、インデックスというようなところに書かれた二〇〇七年の三百万備蓄というふうなところの記述とはかなり違うんじゃないか、こういうふうな御指摘でありますけれども、私どもといたしましては、重ねて申し上げますけれども、今日の状況では、平成十三年度のいわゆる百万トン程度というふうなところが一つの備蓄水準ではないかという判断に立って、今日対応いたしておるところでございます。

石田(祝)委員 やはりこれは、大臣、ちょっと無理がありますよね。

 大臣はそのとき当然、どういうお立場かちょっとわかりませんけれども、ちゃんと数字があって、さらに違う数字をお約束するということは、そういうふうに直しましょうということでしょう。それを、選挙が終わって政権をとったから、ではもとの数字なんだと。これは、一年間というんでしょうか、去年の八月三十日、九月十六日に政権ができてから。私は予算委員会でも聞きましたよ。半年ぐらいしかたっていませんよ。それで、もとに戻しますというか、間違ったとも言わないし、何とも言わないんですよね。ただ三分の一になっちゃったと。

 こういうことになってしまいますので、これはこれ以上議論をしてもちょっと時間もなくなりますので、こういう問題は、やはりどこかで区切りをおつけになった方がよろしいんじゃないでしょうか。このままいくと、何回も何回も聞かなくちゃいけない。それで同じ答えがずっと続いて、結局、農政不信につながっていく、こういうことではないでしょうか。

 最後に、このお米の問題で、通告もしていますけれども、集荷円滑化の三百二十一億、これについてお伺いをいたします。

 この集荷円滑化の三百二十一億円はだれのものですか。

田名部大臣政務官 お答えをいたします。

 先生も十分内容については御承知のことと思いますけれども、この基金に関しては、租税特別措置法の必要経費算入の特例を受けたものでございまして、平成十六年と十七年につくられたものであります。

 現在、この基金に関しては、これから、農業関係者の皆さんとも、しっかりと意見を伺いながら、この基金についてどういう対応をするか、どうするかという話をしていきたい、そのように考えています。

石田(祝)委員 農業団体の意見は、使わせてくれと言っていますよ。

 ちょっと時間がありません。済みません。きょうは、EPAとTPPについてもお聞きしたいので、内閣府、外務省、経産省にも来ていただいておりますが、それぞれ、TPPについての立場をお述べいただきたいと思います。

平野副大臣 お答えいたします。

 今、TPPにかかわらず、EPA、FTA等々を含めまして、我が国としてどういう基本理念で、どういう形で臨むべきか、内閣の中で今議論中でございます。

 具体的には、EPAの基本方針ということを十一月上旬には、これはどういう形になるかわかりませんが、政府の見解ということでまとめたいというふうに思っていまして、その中で、TPPにかかわる政府の考え方等々についてきちっと示されるというふうに考えております。

松本副大臣 石田先生の御質問であります。

 政府の考え方は、今、平野副大臣からお話を申し上げたとおりでありますが、外務省の方からは、外交交渉を担当している立場として、このTPPの交渉は、これまでのこういった経済交渉に比べると、マルチであるにもかかわらず、大変速いスピードで進んでいるということ。それから、私どもは交渉に参加をしておりませんが、かなり高いレベルの自由化を目指しているというものであるということ。それから第三点は、TPPの交渉の参加に当たっては、既に参加が決定している九カ国というか、すべての参加国の同意が必要だという扱いにどうやらなっているようだということ、そして、現在のTPP交渉参加国で、既に、成長センターと言われているアジア太平洋地域、そのAPEC所属の国の半分を超える経済力を有する国がこのTPP交渉に参加をしているということ。また、この交渉への参加については、これからも参加国がふえる可能性があるのではないか、そういう意味では、スタンダードになる可能性があるのではないかということを申し上げております。

 そういった意味をまとめますと、今回、大変速い交渉で、場合によっては来年の米国APECというのが一つの節目になる可能性もあると言われておりまして、そういうことを総合いたしますと、大変近いうちに日本としても何らかの方向を決めなければ、次の方向を決めるチャンスというのが何年か先になる可能性がある。それから、今回、事実上、四カ国でスタートしましたが、九カ国という大きなTPPになるという意味では、大きなルールづくりが行われているところに参加をするのかしないのかといったような意味で、大変大きな分岐点が訪れてきている。そのことをあわせて考えるべきときに来ているのではないかということを外務省としては申し上げているところでございます。

松下副大臣 今、平野副大臣や松本副大臣からお話もあったとおりでございますけれども、総理の所信でも、環太平洋パートナーシップ協定交渉等への参加を検討するということでございます。日本がアジアを初めとする諸国と一体となって成長していくというためには、やはり、FTAにしろ、EPAにしろ、TPPにしろ、国内の改革をしっかりと強くしていくことを続けながら自由貿易をしっかりと続けていく、そして我が国も大きな恩恵を受けていくという努力をしていくべきだというふうに考えておりまして、国を開いて、具体的な交渉を一歩でも進めたいというふうに思っています。国会で大畠大臣も、このように所信として表明をしております。

 今お話がありましたけれども、十一月のAPEC首脳会議までに包括的経済連携の基本方針を策定することとしておりまして、現在、関係閣僚間で熱心な議論をしているところだということでございます。経済産業省としましても、中身の濃い貢献をしていきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

鹿野国務大臣 外務省と経産省の考え方が今副大臣から述べられましたけれども、平野内閣府副大臣が言われますとおりに、このTPPに関する件につきましては、過般来から申し上げておりますとおりに、どうあるべきかというようなことについて検討をしておるというようなことでございます。

石田(祝)委員 それぞれ関係するであろう役所からお話をお伺いいたしましたが、やはり微妙に違っていますよね、私が思いますのに。

 引き続いて、これはちょっと答弁を短くお願いしたいんですが、TPPと農業振興についてどのようにお考えになっているか、内閣府から順次お答えをいただきたいと思います。これは、はっきり言えば、TPPと農業振興は両立するか、こういう質問であります。

平野副大臣 TPPと農業振興が両立するか、そういった点も含めて、今、内閣の中でかなり真剣な、かなり激しい議論が行われております。

 まず、TPPというものをどういう枠組みでやるのか、どういう参加国になるのか、こういったことの前提条件によってこの議論も変わってきます。したがいまして、詳細についてどうのこうのという、この場でまだお話しできるほどの内容まで今詰め切った状況ではございませんが、一般論として申し上げれば、EPA、FTA、いわゆる自由貿易立国の我が国の立場からすれば、こういったことは積極的に進めていかなければならない。その選択肢の一つとしてTPPがあるということであります。

 ただ、TPPは、さまざまな情報を総合すると、十年以内に原則すべての品目についての関税の撤廃というようなことを条件に指定しているというような情報もございます。そういう中で、農業をどうするかということが非常に大きな課題になってまいりまして、この農業と貿易の自由化の推進の両立ということは、これはやはりいろいろな知恵を出して図っていかなければならないだろうということについては、多分委員の御意見、お考えとも一致します。

 その両立についてどのように図っていくかといったことについて、これからどのような形で議論をしていくか、何が必要か、その枠組みをどうするかといったことも含めて、今政府部内で議論をしているということでございます。

松本副大臣 政府としては、今平野副大臣がおっしゃられたとおりで、先ほど私の方が申し上げたのは、外務省としては、対外折衝を担当する立場から、今どのような状況になっているのか、どういう時期だと考えるべきだということを政府に対して上げていくのがその役割だろう、このように考えておるところでございます。

 そのような意味で、先ほど御報告申し上げた点は、もう繰り返さないところでありますが、TPPそのものが現在まさに交渉中でありまして、どのような形になるのかどうか、またその形がどのようにつくられていくことに我々が携わるのか携わらないのかといったようなことも含めて御判断をいただく必要があることではないかということを私どもとしては申し上げておるということでございます。

 なお、国政に携わる者として申し上げれば、我が国の農業の将来については大変な危機感を持って臨まなければいけない、そしてその再生のために大いに抜本的な政策展開が必要であるということは、私もそうでありますし、前原大臣も、本日、参議院の外交防衛委員会でもそのような趣旨のことを国務大臣としてお話をさせていただいたというふうに承知をしております。

松下副大臣 国内の農林水産業との両立をしっかりと図っていかなきゃいけない、そう考えております。そのために両省力を合わせてやっていく、我が省も全面的に協力していきたい、そう考えておりますし、現在既に、農商工連携でしっかりと取り組んで、生産、加工、そして流通、販売、こういう一連の中でしっかりとつくり上げていこうという努力をしております。

 以上です。

鹿野国務大臣 両立するということにつきまして、今検討中でありますけれども、非常に高いハードルになってくるのではないかなというようなことが推測されるのではないかな、こういう認識であります。

石田(祝)委員 今お聞きをいたしまして、やはり、こういうまだはっきりわからないというお考えだろうと思いますが、それで前のめりになって、バスに乗りおくれるなというぐらいの感じじゃないんですか、今。もうちょっと、これはしっかり前提になる入り口の前でとまって、このTPPは一体何だと。

 これは、どなたかおっしゃいましたけれども、今までは、即時九〇%関税撤廃、残りも十年でゼロにする、これがTPP発足の四カ国のスタートですよね。これにアメリカが入って、オーストラリアが入るかもしれない、ベトナムもそうだ。そういうところがルールづくりをこれからやるから、ルールづくりの場におくれちゃいけない、こういう議論がどうも前のめりになっているのではないか、私はこういう心配をいたします。

 そういう中で、実はきょう、お昼にニュースで私の秘書が見たということで情報をいただきましたけれども、これは外務省であります。ここで大臣がこういう御発言をなさった、こういうことでありますけれども、二十四日に官邸に集まっていろいろやったと。そのときに、前原大臣の御発言は、共通認識として、自由貿易に入ろうが入るまいが日本の農政は完全に行き詰まっている、したがって農政の抜本的転換を図らなければならない状況に来ているのは間違いない、これが共通の認識でございましたと。

 これは、鹿野大臣は出られておったんですか。自由貿易であろうがなかろうが、もう日本の農業はどうしようもないんだ、これが前原大臣の認識ですよ。そしてそれが共通認識だった、こういうことであります。

 ですから、これは、鹿野大臣、農水省はだれも出ていなかったんでしょうか。共通認識でしょうか。

鹿野国務大臣 共通の認識ではございません。ゆえに、私の議事録を読んでもらえば、私がどういう発言をしたかということはおわかりいただけると思います。

石田(祝)委員 私は、どういう発言か、鹿野大臣がどこで発言をされたかわかりません。きょうのお昼のニュースで、前原大臣がこういうことを言っておった、こういうことでありますから、それに対して鹿野大臣がどういうことをおっしゃったかというのは、残念ながらNHKでやっておりませんでした。

鹿野国務大臣 失礼しました。二十四日の会合は、議事録はございません。

 しかし、私自身は、私の発言といたしまして、このTPPというふうなことについては、過般来議論がありますとおりに、まず二国間の話を交渉しなきゃならないというようなこと等々も含めてでございますけれども、いずれにしても、これに参加をするというようなことは、これは関税撤廃というようなことになってくるわけでありますから、本当に、どうするかということについては、当然のことながら、国内対策も含めて、また多面的機能というようなことの発揮を維持していくということも含めて、慎重でなければならないというようなことを申し上げているところであります。

石田(祝)委員 それで、さらにこういうこともおっしゃっているんですよ。

 十一月のAPECの際にTPPの閣僚会合というのがある、それに先立って、いわゆる関心の意思表示をしている国々に対して呼びかけがある、そこに呼ばれている国は、カナダ、フィリピン、日本と中国だ、この四カ国が呼ばれている、そして日本も関係閣僚会合の前に行われる意見交換会には参加をする、こういうことを前原大臣がおっしゃっているんですね。それは、鹿野大臣、御存じでしたか。また、松本副大臣、こういう御発言があったんですか。

松本副大臣 記者会見で先ほどの農政のお話がございましたが、私どもは、大変高齢化をしている農業従事者、そして今の自給率をどう考えるかといった意味で、新たな抜本的な農業政策が必要ではないかということを累次の会見や講演などで前原大臣はお話をさせていただいておりまして、そのことをお話しさせていただいたものというふうに理解をしております。

 なお、本日の会見でも、自由貿易に入ることの必要性について多くの閣僚から意見が出されたというふうには申し上げておりますが、そこの部分では共通認識という言葉は使っておりませんので、申し添えたいと思います。

 なお、今お話がありました、APECの関心国という話であります。先ほども少し申し上げましたが、アジア太平洋地域の多くの国々がこのTPPについては関心を示すと同時に、まさに今も御報告を申し上げておるように、情報収集が必要だというふうに思っておることは事実でありまして、外務省といたしましても、常に情報を収集すべき立場からは、そういう意味でも、TPPの交渉の動きそのものについては大変注視をさせていただいているところでございます。

 こういった会合については、現段階では、大臣の方からもお話をさせていただいたわけでありますが、多くの国々が情報収集に動いている中で、今お話があったような国々というのが、情報収集に熱心に動く中でそういう国々の名前が出てくることがあるというふうなことを申し上げたものというふうに理解をしておるところでございます。

石田(祝)委員 もう、ちょっと時間も過ぎておりますので、一問だけ。

 鹿野大臣、こういう四カ国、日本とカナダ、フィリピン、中国と四つの国が呼ばれているから行くんだ、これは鹿野大臣は御存じだったんですか。そこで意見交換するんだと。そして、さっきも松本さんが、前原大臣が、農業は完全に行き詰まっているんだ、自由貿易に入ろうが入るまいが関係ねえんだと。こういう御発言は、私は慎んでいただかなきゃいけないと思います。農業だって一生懸命知恵を絞ってやって、なお農業人口の平均年齢が上がっている、これはもうそのとおりですよ。しかし、それを外務大臣がいろいろ言って、だから自由貿易に入ろうが入るまいが農政はもう完全に行き詰まっているんだ、こんなことを言われる筋合いではないですよ。

 済みません、最後にちょっと鹿野大臣にその件も含めてお伺いします。

鹿野国務大臣 これに参加するとか参加しないとかということはまだ何も決めておりません。参加するかどうかというふうなことも含めて検討をいたしておるということでございまして、今の段階におきましては、総理が所信で申し上げた、TPPに参加を検討する、それ以上のものでもありませんし、それ以下のものでもありませんということを申し上げさせていただきたいと思います。

石田(祝)委員 もう終わりますが、とにかく各役所からいろいろな数字が出ていますよ。新聞でも、内閣府は三兆円プラスになるんだと言っているし、いろいろな数字が歩いていますよ。手を振っているんだったら朝日新聞に抗議してくださいよ。これはでたらめな数字じゃないのか、どこから仕入れたんだと。これぐらい抗議しないと、認めているか、自分たちでわざと漏えいさせているのかわかりませんよ。そういう数字だけひとり歩きしていって、どんどんどんどん環境づくりをしていく、こういうことにならないように、ぜひお願いしたいと思います。

山田委員長 ちょっとそれでは、最後に二人、平野副大臣から、それから松本副大臣、どうぞ。短くお願いします。

平野副大臣 試算につきましては、GTAPモデルとかそういったものを使って、TPPに参加した場合、参加しなかった場合、さまざまな試算をしていることは事実でございます。

 先般、今政府内で議論する、しているというふうに申し上げましたけれども、実は、党と一体で議論をしておりまして、党の中に、いわゆるEPA、TPP、APECの特別のPTができまして、その中で作業過程の数字ということで、これは公表しないという前提で示したことは事実でございます。

 しかし、これはあくまでも作業過程の、過程の数字でありまして、それは公表しないという数字でございます。それがどういう形で新聞に出たのか、これは私はよくわかりません。多分、議員によっては、数字を見てそれが頭の中に入って、新聞記者にマイクを向けられれば、ちょっとハイになってぽこっとしゃべったかもしれませんし、いずれにせよ、その数字については今段階では公表できる数字ではない、検討の途中の数字だということであります。

 しからば、いつ数字を出すかというお話、これは何回も聞かれておりますが、これについては今鋭意協議を詰めておりまして、担当副大臣とすれば、いずれ、こういった数字もきちんと出して説明をして、FTA、EPA、TPP、これをどういう方向で進めるのか進めないのか、これをさまざまな角度から議論していただく材料にしていただきたいというふうに考えております。

 以上です。

松本副大臣 石田先生の先ほどの御指摘の件でありますが、TPP交渉参加国が、関心を表明している国と情報交換などを行う会議を調整しているというふうに私も理解をしております。呼びかけられる国として考えられる、総合的な情報を考えられれば、先ほどお話があったような名前、大臣の方からも申し上げたような名前というのがあり得る国だというふうに私どもも理解をしておりまして、今、情報交換、情報収集という観点から出席を検討というふうな位置づけだと理解をしております。

 なお、先生の大臣に対する言葉は、私の方から責任を持って伝えさせていただきたいと思います。

 以上です。

石田(祝)委員 ありがとうございました。

山田委員長 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社会民主党の吉泉秀男です。

 今のそれぞれの答弁、お聞きをいたしまして、まさに怒りが頂点に達している、こういう心情でございます。

 大臣、久しぶりに山形の集会にむしろ旗が立ちました。六ヘクタール米をつくっている農家が、何も悪いことをしていないのに二百万円の減収、どう考えればいいのだと。いや、これから戸別所得補償もあるから、こういう言い方をしても、なかなか納得が得られない、こういうのが今の現実です。

 山形の場合、一俵、概算払いが三千三百円落ちているんです。一町歩で三十三万、六町歩で二百万、この数字でございます。ましてや長雨のところの中で、野菜、果樹、生産量が半減をする、品質も悪い。そして今、大豆の収穫時期でもございます。しかし、これも水がついて根が腐っている、こういう中で、ほとんど大豆が収穫できない、こういう状況もあるわけでございます。

 今国会において、吉泉や、山形の農家のことを考えて頑張ってこい、こういう激励を受けてきたのでもございます。しかし、一日の菅総理の所信表明、まさにTPPを含め自由化貿易加速をする、こういう方針。そして今、各、政府を含め経産省、外務、この部分の考え方をお聞きいたしました。

 冒頭、この委員会の中で佐々木委員の方から、大変自分自身も勉強になったわけでございますけれども、一定程度整理をしながら、課題を整理して質問をさせていただいた、そのことを大変興味深く思っておるところでございます。

 しかし、これだけ進んでいる中で、もう二週間を切っている中で、このAPECに対する総理の考え方は、きのうの段階についても、参議院の集中、予算委員会の中でも変わっておりません。

 そういう中で、きょうの委員会の大臣のそれぞれの答弁、こういった部分については、やはり、もう少し隠さず、今の現状というものについて、そしてまた生産現場の農家の人たちの状況も含め、今後の方向性、確かに検討、検討というふうにあるわけでございますけれども、しかし、マスコミの中からは、それぞれの、農林省でこれまでずっと議論もし、そしてまとめてきたそれぞれの指数もあるようでございます。そんな面も含めて、もう一度大臣の方から、この自由貿易に対する考え方、そしてまたTPPに対する一つのとらえ方、このことをもう一度、大臣としての表明をお願いしたい、こう思います。

鹿野国務大臣 これまでも、御承知のとおりに、EPAに関して申し上げますと、十一カ国・地域とのEPAを締結いたしました。米などのいわゆるセンシティブな農産品というものは除外をする、こういうことで農業国のメキシコやタイも含めて締結をしたということは御承知のとおりでありまして、昨日も日本とインドのEPAについても交渉を完了した、こういうふうなことであります。

 そういうことからいたしまして、これからも、我が国の経済というふうなものを考えたときに、市場を拡大していかなきゃならない、こういうふうなことから、このEPAを推進していくということでありますけれども、その際は、どうしても、国内にどういう影響があるのかというようなことについてしっかりと受けとめていかなきゃならない。すなわち、農業、農村振興というものと食料自給率を五〇%にするというふうなことと、EPA推進との両立というものをきちっと考えていかなきゃならない、こういうふうな認識であります。

 また、TPPにつきましては、今検討中であるということでありまして、実は、政府内において検討中でございますから、私も、この検討中という中で、正直なところ、相当発言を自分自身で制約しているところもあります。それはやはり、まとめていかなきゃならないというような思いもあるわけでございますので、その点も御理解をいただきながら、とにかく、農業者だけではなしに、国民の食料の安定供給というふうなもの、そして多面的機能というものの発揮を維持していくというようなこと等々は、決して私どもは忘れてはならない大きな大事な重要なテーマである、こんなふうに思っておるところであります。

吉泉委員 ぜひ、自分自身も政治の方にかかわってきて、大臣とは、それぞれ知らない仲でもございません。そして、攻撃型農業、こういう言葉で所信表明もあったわけでございますけれども、やはり今ここに来て、これまでの政治生命すべてをかけて農業を守っていく、そういう立場の中で、この自由貿易等の問題についてはしっかり頑張っていただきたいなというふうに思ってもいるところでございます。

 そういう点の中で、今、二十三年度本格実施の戸別所得補償の問題に移らせていただきますけれども、まずはっきり言って、もうかる農業、こういう一つのものからするならば、この戸別補償制度の問題については、目的が、販売価格が生産費よりも下回る、このことに限定をしているわけですね。生産費よりは販売価格が下回るわけですから、そのための補償制度だ、こういう目的になっているわけでございます。

 来年度の考え方、さらには今やっているモデル事業、この定額部分、生産費が十アール一万三千七百三円だ、販売価格が一万一千九百七十円だ、これはもうからないわけですね。だから、その差額について戸別補償で補っていく、こういう一つの事業なわけでございます。そういう状況についてこういう理解でいいのかどうか、そこのところ、副大臣の方からお聞かせ願いたい。

篠原副大臣 今、吉泉委員の御指摘になったところ、一部分だけがちょっとひとり歩きした感があるのではないかと思います。もちろん、戸別所得補償、最低限、生産費と販売価格のギャップを埋めて損はしないように、これが大事なことでございます。

 ですけれども、この根本、なぜ農家に対してだけこういった所得補償をするかということでございますけれども、その根本の考え方としては、やはり多面的機能がございます。農業はほかの産業と違いまして、いろいろないいことにつながっている、ところがそれが市場では評価されない。だから、その市場で評価されない部分を国が評価して、価格にオンして所得を補償するということになっておるわけでございます。

 ですが、その価格差の部分だけが喧伝され過ぎているんじゃないかと私は思います。根本は多面的機能に対する支払い、しかし、それは抽象的でよくわからない、農家の理解が得られないということで、最低限、価格差は補償しますよと。それ以上オンするのは、例えば菜種はほとんど消えかかっています。鹿児島県や青森県でしかつくっておりません、北海道でまたつくり始めてくれていますけれども。しかし、油糧種子の自給率のことを考えたりしたら、これは力を入れていかなければならない。これをただ生産費と所得の補償をしただけじゃ復活するはずがありませんから、政策的にこれは急いで復活するべく、もっと補償単価を高くするというふうなことを、今後の政策について私はあっていいのではないかと思っております。

    〔委員長退席、森本(哲)委員長代理着席〕

吉泉委員 ちょっとそれは、今私が言ったのはひとり歩きではないというふうに思っています。

 確かに多面的機能、この部分については後で議論させていただきたいというふうに思いますけれども、この二十三年度概算要求資料の農林水産省で出した目的、これについては、「販売価格が生産費を恒常的に下回っている作物を対象に、その差額を交付することにより、農業経営の安定と国内生産力の確保を図り、もって食料自給率の向上と農業の多面的機能を維持することを目的とする。」こういうふうになっているわけですね。あくまでも価格ですよね、収入ですよね。

 ですから、幾ら米をつくっても、今の現状の中では生産費の方が高いんだ、だから補てんをするんだと。生産費が少なくて販売収入がいっぱいあれば、何も補てんすることはないわけですね。逆転になっているからこの戸別所得補償があるんだよ、こういうとらえ方を私はしているんですけれども、その点、もう一回お願いします。

篠原副大臣 その点は間違いございません。

 どういった作物を対象にするか。例えば、よく言われるわけでございますけれども、果樹とか野菜とかはなぜ対象にならないんだと。これは販売価格の方が生産費をずっと上回っているわけですね。ですから、こういうものは所得補償しなくてもやっていける。今困っている人たちというのは何か。生産費の方が販売価格より上回っている作物を一生懸命つくっている人たちである、これは助けてやらなくちゃいけないという考え方は根本にはございます。

吉泉委員 それで、この所得補償の問題について絡んでいくわけでございますけれども、ことしの場合、今、冒頭話しましたように、米価が大幅に下落をしてきている。そして、昨年の概算払いから、一万二千三百円から九千円まで落ちた。こういう状況の中で、今農家自体、大変米の下落そのものに対する危機感を持っているわけでございますけれども、全体的に今、これからの価格の変動の部分はあるわけでございますけれども、概算払いが全国各地でほぼ決まって払ってきている、そしてその金額が相当落ちた。このことに対して、政府としてどういうふうな理解を持っているのか、お伺いさせていただきます。

筒井副大臣 概算払いは全農さんが決めたことでございまして、それについてどうこう言うつもりはありません。ただ、下げて支給したことは、支給したというか、せざるを得なかったことなのかもしれませんが、これは極めて残念なことだというふうに思っております。

 しかし、米価自体は相対取引を中心として、これから動いて、また今も動いているものですから、さらに動いていくものでございますから、それを慎重に見きわめていきたいというふうに思っています。

 ただ、その点がどういうふうな結論になろうが、米価下落部分に関してはきちんと補てんをするんだということを前から強調されておりますし、きょうも一番最初に、その点はもう安心をしていただきたいというふうに強調したわけでございまして、変動部分として米価下落に対する補てんはきちんとする、今こういう方向で動いているわけでございます。

吉泉委員 ですから、生産費のかかった分だけは補償する、こういうのが一つの今の制度だという理解なんですよね。

 その中で、今、大きくこれから、それぞれ市場、いわゆる需要と供給の関係で、米の価格、すべての商品は決まるわけでございます。そういう状況から、私ども、大変、積み増しの残りの在庫なり、いろいろな形で農協さんの方からも言われてきているわけでございますけれども、しかし、大変ありがたいなというふうに思っていますけれども、来年度の概算要求の中において、備蓄、それも、これまでの回転方式から、来年度からは棚上げ方式に変える、こういう方向性が打ち出されているというふうにお聞きをしております。

 そのところについて、回転方式から棚上げ方式に二十三年度から変わるんだという理解をしていいんでしょうか。その点、お願いします。

筒井副大臣 おっしゃるとおり、二十三年度から備蓄は棚上げ備蓄に変わる。その結果、一つ今の関連する点でいえば、来年の四月からは、備蓄米、備蓄の役割が終わった米が出てまいりますが、それは主食米市場には一切出ない。えさ米あるいはバイオ米等々の市場に出るだけであるということがはっきりしているわけでございます。

吉泉委員 大変力強く思います。

 一応、量的には今現在百万トンあるわけですね。それを、それぞれ主食用として出さない。予算要求二十万トンというふうなお話も聞いている自分ではございますけれども、しかし、これが、事業仕分け等々云々かんぬんということでどういうふうになっていくのかというような部分がこれからのせめぎ合いだというふうには思っているわけでございます。

 今、それぞれ、生産者さらには生産者団体の方から、何とかこの問題について少し早目に、前倒しもしながら、もっと早くできないのかというふうな部分もあるわけでございますけれども、この点について、いわゆる二十三年四月からその部分については市場には出さない。しかし、買い上げの部分については、それはいつごろの段階で進めようとしているのか、そのところをお伺いします。

筒井副大臣 備蓄米が現在百万トンの水準というふうに決定されておりますから、その百万トンの水準にあきが出た段階で買い上げを検討するということになるわけでございます。

 それで、あくまでそれは備蓄米のあきが出た部分についての買い上げでございますから、価格支持政策としての買い上げは、これは食糧法上してはならないという規定になっておりますから、それはしないということでございます。

吉泉委員 それはわかるんですけれども、百万トンから穴があいた部分、それを買い上げるというやり方、そのことも今理解をしています。しかし、例えば予算が通った段階でいち早くやるのかどうかわからないわけですけれども、百万トンから、一応今の考え方、農林省としては、そのところについては、えさ米とかいろいろな部分が考えられると思うんですけれども、どのぐらいの部分を、一回で出すのか、それとも、そういう一つの考え方なんですけれども、それはどういうフレームでいくのか、そこを聞きたい。

筒井副大臣 放出米、備蓄米の役割が終わったもの、この放出米は一切主食米市場には出さないというのは、来年の四月一日時点からそうでございます。

 そして、その備蓄米の役割が終わるのは何年ぐらいかというと、五年ぐらいというふうに私は聞いておりますから、五年ぐらいたったものから順々に放出をしていく。それは、えさ米市場、バイオ米市場の方に放出をしていく。そして、その放出した分に対応した主食米の買い上げをする、こういう形になると思います。

吉泉委員 それでは、理解をするのは、五年間ですから、二十万トンだ、それを四月一日から順次執行していくんだと。

 そのところについては、ですから、今の米のいわゆる供給過剰、この状況から見れば、なるべく早い段階で二十万トンというふうに計算できれば、その二十万トンを四月なり五月で、まず予算が早く通過しなければならないわけですけれども、いち早く、そういう点の中で、備蓄、そのところでそれを買い上げていくという一つの準備をしてほしいなということでございます。その辺、どうなんでしょうか。

筒井副大臣 備蓄制度として必要な買い上げはきちんと早急にやっていく。

 しかし、何回も言うようでしつこいようですが、価格支持政策としての買い上げをするわけではないという点だけは御理解をいただきたいと思います。

吉泉委員 わかりました。

 ただ、やはり価格という部分については、供給と需要、この部分の中でそれぞれお互いに、市場経済ですから決まっていくんだというとらえ方はするわけでございますけれども、しかし、今現在の段階で、過剰米等々含めてそういう一つの作付の計画、そんな面から含めると、一定程度国としての責任、この部分もやはり一つはあるんではないか、こういうふうにも思っているところでございます。

 そういう点の中で、所得政策と価格政策、そのところについて少し整理もしながら、今後も自分自身、質問もさせていただきたい、こう思っております。

 だんだん時間がなくなってまいりましたけれども、次に山林の方に入らせていただきます。

 一七四国会ですか、その中で、公共建築物における木材促進法、それができて、そして、その中で相当議論したところでございますけれども、公の建物の二階建て以下、このことについてはすべて木材でつくるんだ、木材で建てるんだ、こういうふうなお話で、その法律、そういった方向が出されてきた、こういうふうに思っていますし、成立をした。

 今、十月一日から施行になったわけでございますけれども、その間、法が通って以降の段階から今日まで、この法律等の中で木材利活用の部分が具体的に、来年さらには今年度の補正以降どういうふうに推移をしているのか、どういう取り組みをしているのか、ちょっとお伺いをさせていただきます。

    〔森本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕

筒井副大臣 おっしゃるとおり、十月一日に施行となって、十月四日に国の基本方針を公表いたしました。そして、そのもとで、各省とも連携をしながら、キャラバン隊とかいろいろな周知徹底の努力をしていると同時に、各市町村、各都道府県にもそのことの周知徹底をすることがまず最初の必要な努力だろうというふうに思っているところでございます。

 なお、念のため、三階建て以下が木造建築にするということで、これは事実上の義務づけが可能というふうに私は理解をしております。

吉泉委員 済みませんでした。三階以下ということで、訂正させていただきます。

 それが義務づけされるということについては、例えば学校さらにはそれぞれ福祉施設、いろいろな部分があるというふうに思うんですけれども、それは、国としての考え方、さらには、それぞれ一番多いところは県なり市町村なわけですけれども、そのところはどうなっているんですか。

筒井副大臣 あるいは今の義務づけというのは誤解されるかもしれませんが、もちろん、国と自治体との関係でございますから、法的な強制をすることはできないわけでございまして、それらの今の限界、制約を前提にしながら、基本方針等々の実行に当たって、事実上、結果としての義務づけに近い形のもので、もう必ずと言っていいぐらいに三階建て以下の公共建築物は木造にする、こういう決意で臨んでいるというふうに理解をしていただきたいと思います。

山田委員長 もう時間が過ぎております。

吉泉委員 私も、地元さらには東北管内の中で、このところについてそれぞれPRもしながら、そしてなるべく、木材、この部分についてのよさ、このことをPRしているわけでございますけれども、そんな面の中では、なかなかまだ市町村、県段階についてすっきりいっていない、こういった部分もありますので、なお一層の御努力をお願い申し上げたい、こう思います。

 それから、林業の、森林の再生プラン、このところについて最後、お伺いをさせていただきたい、こう思っております。

 それぞれで基本計画の見直し、来春に向けて順調に推移がなされている、このことについては敬意を表させていただきたい、こう思っております。ただ、残念ながら、京都議定書との関連、このところを考えると、間伐の面積、この部分なんかもすごく少ないんじゃないかな、こういうふうにも思っているところでもございます。そしてまた、概算要求の考え方というふうになりますと、この二十五万ヘクタールの分が、直接概算要求の方には入っていなくて、特別枠の中に入っている。こういう状況を見ると、大変、それぞれこのプランを含めてすごく心配だなというふうに私ども思っているところでございます。

 なぜこのところについては特別枠なのか、そのところの考え方。予算の厳しい状況だというふうなところで答えられればそれまでなんですけれども、でも、基本的には京都議定書の関連も含めて、CO2の問題、この関係で今の森林・林業の部分の政策があるんだろう、私はそういうふうに思っておりますので、その辺についての考え方、お願いを申し上げます。

筒井副大臣 おっしゃるとおり、京都議定書で、九〇年比六%の削減義務を二〇一二年までに実現するという国際的な約束を負っているわけでございまして、森林ベースのうちの三・八%を吸収、削減する、それを実現するために五十六万ヘクタールの森林整備が必要である。

 その五十六万ヘクタールのうちの二十五万ヘクタールをこの直接支払い制度で実現していきたいというふうに考えて、五百七十億円の予算要求を出したわけでございますが、これを元気な日本復活枠としてコンテストに出したのは、まさに元気な日本復活枠というのは、新成長戦略、それに適合したもの、雇用の拡大等に大きな効果を発揮するもの、これらが条件になっているわけでございまして、この直接支払い制度はまさにその条件にぴったりだという考えから、復活枠の範囲内でのコンテストに今申し出ているところでございます。

吉泉委員 私ども東北の場合、本当に山、山、山、そういった状況でございます。そしてまた、若い人たちがなかなか仕事にありつけない、こういう状況もございます。そういう面の中で、今、山の間伐等々を含めて大変雇用の拡大にもずっとつながってきている、こういった部分なんかも今相乗効果としてあらわれてきているわけでございますし、ぜひこの部分のところについては、来春の見直しも含めて、しっかりと地についた林業行政をよろしくお願い申し上げながら、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十五分散会


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