衆議院

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第5号 平成20年4月11日(金曜日)

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平成二十年四月十一日(金曜日)

    午前九時四十分開議

 出席委員

   委員長 嘉数 知賢君

   理事 今津  寛君 理事 北村 誠吾君

   理事 武田 良太君 理事 中谷  元君

   理事 仲村 正治君 理事 山口  壯君

   理事 渡辺  周君 理事 赤松 正雄君

      安次富 修君    赤城 徳彦君

      大塚  拓君    瓦   力君

      木原  稔君    木村 太郎君

      薗浦健太郎君    寺田  稔君

      永岡 桂子君    浜田 靖一君

      細田 博之君    山内 康一君

      山崎  拓君    小川 淳也君

      神風 英男君    津村 啓介君

      寺田  学君    長島 昭久君

      田端 正広君    赤嶺 政賢君

      辻元 清美君    下地 幹郎君

      西村 真悟君

    …………………………………

   防衛大臣         石破  茂君

   外務副大臣        小野寺五典君

   国土交通副大臣      松島みどり君

   防衛副大臣        江渡 聡徳君

   防衛大臣政務官      寺田  稔君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    西宮 伸一君

   政府参考人

   (国土交通省航空局次長) 小野 芳清君

   政府参考人

   (防衛省防衛参事官)   枡田 一彦君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   中江 公人君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 外山 千也君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房技術監) 秋山 義孝君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 松本隆太郎君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  徳地 秀士君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  渡部  厚君

   政府参考人

   (防衛省経理装備局長)  長岡 憲宗君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  地引 良幸君

   安全保障委員会専門員   板垣 芳男君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十一日

 辞任         補欠選任

  大塚  拓君     永岡 桂子君

  長島 昭久君     小川 淳也君

  馬淵 澄夫君     寺田  学君

同日

 辞任         補欠選任

  永岡 桂子君     大塚  拓君

  小川 淳也君     長島 昭久君

  寺田  学君     馬淵 澄夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛省設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三六号)


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     ――――◇―――――

嘉数委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、防衛省設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として外務省北米局長西宮伸一君、国土交通省航空局次長小野芳清君、防衛省防衛参事官枡田一彦君、防衛省大臣官房長中江公人君、防衛省大臣官房衛生監外山千也君、防衛省大臣官房技術監秋山義孝君、防衛省防衛政策局次長松本隆太郎君、防衛省運用企画局長徳地秀士君、防衛省人事教育局長渡部厚君、防衛省経理装備局長長岡憲宗君及び防衛省地方協力局長地引良幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

嘉数委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

嘉数委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長島昭久君。

長島(昭)委員 民主党の長島昭久です。

 きょうは法案審議ということなんですが、ぜひ本質的な議論を大臣とさせていただきたいと思います。

 三年ぶりに防衛大臣に返り咲かれて、テロ特を何とか通すというのが最初の使命だったと思うんですけれども、それが、データの取り違えとか航泊日誌の誤破棄とか、本当に予期し得ぬいろいろなことが起こったわけであります。それが片づいた途端、今度はイージス艦「あたご」の衝突事故。大臣としては、腰を据えて防衛省の改革あるいは日本の安全保障について、じっくり議論をしたり考えたりする暇がなかなかなかったのではないか、こういうふうに拝察をしているんですが、きょうは短い時間ですけれども、少しそういった議論をさせていただければというふうに思います。

 冒頭に、これは通告していないんですけれども、昨日の新聞に、防衛大臣が訪米を断念されたという記事がございました。「ゲーツ国防長官との会談を断念」「会談の日時や場所がほぼ決まっていたにもかかわらず、訪問自体が取りやめとなる異例の事態だ。」こういう報道なんであります。

 私も、ラムズフェルドさんあるいはゲーツさん、存じ上げておりますけれども、お二人、性格は全く違いますけれども、ゲーツさんも非常に見識の豊かな、経験の豊かな方で、できれば防衛大臣にぜひこの連休中にワシントンに行っていただいて、日米同盟関係の将来像あるいは我が国の安全保障、そして日米の間でどういう役割分担をしていくか、そういう将来に向けての本質論をぜひしていただきたかったなと。

 どうもいろいろな事故や事件の中で大臣御自身が内向きになってしまっていやしないか、そのことをちょっと危惧しておるんですけれども、なぜ訪米をされないのか、御説明いただければありがたいと思います。

石破国務大臣 訪米を決定して、それを中止したというようなものでもなく、どうしようかという議論をやっておる中において、今回、非常にタイトな日程、そして国会情勢も非常に厳しい、あるいは委員が御指摘いただいたように、いろいろな事件、事故が重なり、当省をどのように変えていくかという議論も加速をしていかねばならない、そういう状況の中にあって、あえてこの時期に訪米をする必要はないのではないかということだと私は思っております。

 昨年、ゲーツ長官が訪日されて、二人だけで話した時間、あるいは全体の会合の時間、あるいは夕食の時間も入れれば、三時間以上のお話をいたしました。かなり本質的な話をいたしました。また、この先も会う機会というのは何度かあると思っております。そうしますと、極めて厳しい日程の中で、あえてこの時期にという必要性を判断するに至らなかったということだと思っております。

 委員御指摘のように、本当に内向きになっているわけではありません。ただ、お互いの関心事項というものをよくすり合わせて、我々として広範な議論をしたい、恐らく委員からこの後御質問があるのかもしれませんが、任務、役割あるいは能力について、あるいは日米同盟の将来について、そういうことについて、本当にお互いに共通の議題、共通の認識で、一番ベストな状態でやりたいなというふうに私は思っておるところでございます。

長島(昭)委員 ぜひこれからも機会をとらえて会談を続けていただきたいと思います。

 タイトな日程というのは、いつも大体タイトでありますから、それは余り理由にならないと思いますし、国会情勢でそういう会談を取りやめるというのも、私は大臣としては非常に寂しい御答弁だったというような気がするので、ぜひそこは引き続き掘り下げた議論をやっていただきたいというふうに思います。

 きょうは、日米同盟について、実は本質論をやりたいと思っております。思いやり予算、特別協定の議論を、あれは外務委員会でしたので、私も質疑に立つ機会がありませんでしたけれども、ちょっと聞いていて違和感もありましたものですから、そのことも含めて質疑をさせていただきたいのですが、きょうは法案審議の場でございますので、一点だけ、設置法の改正案についてただしておきたいと思います。

 自衛官の定数削減についてであります。今回、三百四十四名の自衛官の削減で、皆さんのお手元に平成九年からことしの改正分まで含めて自衛官の定数の推移という表を、これは折れ線グラフにしておけばよかったんでしょうけれども、表をお配りいたしました。平成九年比で、陸上自衛隊の場合は実に一五%近く定数が削減されて、今回も千人以上の削減、こういうことになっているわけですけれども、私は、最初に大臣に、陸上自衛隊の任務、役割と人員とのバランスについて、現状どんな御認識かということを伺いたいんです。

 というのは、イージス艦の事故の後に海上自衛隊の指揮官会議を緊急に招集されましたね。そのときに大臣が訓示の中で、相次ぐ不祥事にはなぜという思いを禁じ得ない、人はふえない、任務はふえる、責任は重くなる、何が起きているのか、どうすればいいのか、こういうようなお話をされたというふうに報道で読ませていただきましたけれども、同じことが実は陸上自衛隊にも起こっているのではないだろうか。

 つまり、今までは、本格的な侵略事態に備えようということでやってきた。しかし、新たな脅威が生まれてきた。そういう中で、多様な事態に対処できなきゃいけないということで、ゲリラだ、特殊部隊だ、テロだ、あるいはそういうことをしなきゃいけないということで、市街戦の訓練もしなきゃいけない。一方で、PKO法の定めに従って、二千人からの陸上自衛官を即応態勢に毎年置いておかなければならない。あるいは、雪祭りから、最近は何か援農、農業支援までしておられるということ、そして災害派遣は度重なる。

 こういう中で、今少し触れたように、どんどん人員が削減されていく。まあ、定数ですけれども、これは実数に合わせたという説明もできるかもしれませんけれども、こういう状況の中で、やはり陸上自衛官の皆さんも、将来どうなっていくんだと。少子化になる、財政もますます厳しくなる、そういう中でミッションをどうやって果たしていけるんだ、自分たちは、これからどういう方向性を持って陸上自衛隊というのは動いていくんだということ、多分、相当懸念も部内にあるんだろうと思うんですね。

 その辺のところをぜひ大臣から、定数の問題とこれからの陸上自衛隊のあり方を含めて、ミッションと人員のバランスについて御答弁いただきたいと思います。

石破国務大臣 現大綱をつくるときも相当議論をいたしましたし、ここでもそういう議論があったと記憶をいたしております。

 英語で言えば、結局、陸上自衛隊はファイナルゴールキーパーとよく言われますが、やはり、陸の守り、本土においてといいますか、日本国内においてファイナルゴールキーパーとして役割を果たすというその意味合いがいささかも減ずるものではないと考えております。

 ただ、では、ああ堂々の戦車戦みたいなことがこれから先起こるんだろうかというと、全く絶無とは言いませんが、蓋然性はやや低くなってきたのだろう。そうすると、まさしくテロであるとかゲリラであるとか、あるいは大震災であるとか、蓋然性が高いと見込まれるもの、そういうものにシフトをしていくということは、まず大事なことなのだろうと思います。

 もう一つは、やはり機動力というものを高めていかねばならない。密にあちらこちらに部隊を置いておくということは、それはベストに決まっているのですが、例えばCXという飛行機が将来的に入る、そうすると従来の三倍ぐらいの輸送能力を持つわけですね。そうすると、その大きな輸送力を持った飛行機であるとか、あるいは、輸送艦でも最近は非常に大型化しておるわけでございます、そういう機動力を使うことによって、従来ほど密に置かなくていいのではないかという考え方があり得るだろうと思います。

 やはり、従来の北方重視からやや南西方面へシフトをしていくということも考えていかねばならないだろう。他方、今出しておりますのは、ゴラン高原だけでございます。もちろんネパールにも出しておりますが、ネパール、ゴラン高原、この二つですね。かつては、サマワに出しておった、その前は東ティモールに相当大きな部隊を出しておった。

 これから先、一般法の御議論にも係ることだと思いますが、やはり我が国が世界の平和を維持するために、さらにこの役割を拡大するということはあり得るのだろうと思っております。それに見合った改編というものも順次行っているところでございますが、それに見合った装備あるいは能力あるいはその根拠法たる法律、そういうものをきちんと確認しながら、海外任務にも柔軟に対応できるようにしていきたいと思っております。

 委員もお触れをいただきましたが、私は、定数も大事なんですけれども、定数はきちんとそろっているが、でも充足率は全然足りない、偉い人はいっぱいいるけれども、中の部隊は余りいないというようなことはあるべきではないというのは、これは共通認識でございます。やはり、充足率というものに配意をしながら、それぞれの部隊が持っている能力というものをきちんと発揮できるようによく配意をしていきたいと思っております。

長島(昭)委員 機動力、それから南西重視、幾つかキーワードを言っていただいたんですけれども、新たな脅威に対応しなければならない、それから、今おっしゃっていただいた、国際的な安全保障環境の改善にも寄与していかなきゃならない。一般法がこれからつくられていって、そして、今は五十数名に、今PKO部隊、少なくなっていますよ、プラス航空自衛隊がイラクに出ている。今のところ、あとはインド洋が少し入っていますけれども、数の点ではそれほど大規模な国際平和協力任務に出ていない状況ですよね。でも、これからは、そういう方にも出ていかなければならない。

 それから、さっきもちょっと触れましたけれども、ゲリラ・コマンドー対応ということで、今盛んに市街戦、狭いところで訓練をするようになっている。そうすると、逆に、戦車や火砲、もちろん先ほど本格的な着上陸侵攻みたいなケースというのはなかなか考えにくいというお話でしたから、シフトしていくことはやぶさかではないんですけれども、そういう中で、やはり、陸上自衛隊の中には火砲や戦車の訓練に割く時間が最近は大分少なくなっている。これは、アメリカも実はそういう状況があるそうですね。海兵隊は今イラクに行く、アフガニスタンに行く、もうとにかく陸軍と同じように陸上でやっているので、艦艇に乗ったことのないマリーンが最近はかなり出てきてしまっている。

 こういうことでありまして、私がちょっと気にするのは、陸上自衛隊、そして今アメリカの海兵隊もそうですけれども、アイデンティティークライシスに陥らないかということなんですね。自分たちはどういう任務で、どういうミッションで、そして将来陸上自衛隊においてはこういう方向性であるということを、やはり石破大臣ですから、明確な方向性をぜひ示していただきたい。そうしないと、定員は実数に合わせた、しかし中が何となく心理的に混乱している、こういうことになりかねないというふうに思いますので、今、これから国際貢献の任務がふえていく中で、そのことをぜひお考えいただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 そこで、日米同盟の話に行きたいんですけれども、一般法の議論も後でやります。国際任務についても、日米同盟をこれから改革していく上では非常に大きなかぎを握っていると思いますので、そこに触れたいと思うんです。

 よく日米問題は、双務的だけれども非対称性があると。お互いに義務は果たしているんだけれども、その果たし方について非対称の状況にある。この非対称性というものが、どうもこれまで日米同盟関係を不安定にしてきた、何か起こるたびに動揺させてきた、そういう原因ではないかというふうに思うんですね。

 石破大臣、ここで大臣として、この非対称性というのをどのようにとらえておられるか、何が一番根本にあって非対称的な関係になっているかということを少し国民の皆さんにわかりやすく説明していただけますか。

石破国務大臣 政府として、現在の日米の安全保障の関係というもの、これを維持する、さらに信頼性を高めていくという方針には全く変わりはございません。

 これは、委員といつも議論をすることですが、人と物との関係になっている。アメリカがいろいろな国と結んでいる条約の中で非対称的な双務関係にあるのは日米だけだという認識は、私たちはきちんといつも持っておかねばならないことだと思います。それは、能力があるとかないとか、そういうお話ではありません。アメリカ合衆国を守り得る能力なんて持った国は、実は世界じゅうどこにもないのであります。

 しかしながら、同盟であるからには、やはり対等な関係というものが常に志向されて、人と人との関係が合衆国が結んでいる二国間の関係である。ただ、日米のみが人と物、すなわち、アメリカは日本を守る義務を負う、日本はアメリカを守れない。なぜならば、それは集団的自衛権が使えないからである。自衛の必要最小限度を超えるので、憲法上これを行使することはできないという立場に立っておるわけでございます。

 そうすると、アメリカは日本を守る、日本はアメリカを守れない。では不公平じゃないかという話になって、日本の独立と平和、そして極東の平和と安全に寄与する合衆国軍隊に施設または区域を使用させるという関係に立っておるということだと思います。

 私は、この日米の関係というものが、今まで日米にとって非常に有益なものであったし、国益が重複する日米において今後もこれが維持されるべきであるというふうには考えております。しかし、根幹は何かといえば、そこにおいて憲法のいろいろな考え方によって日米というものがそのように非対称的になっておるということは、よく認識をしておかねばならないことだと私は思います。

長島(昭)委員 大変わかりやすい御説明をいただいたというふうに思います。

 私も、自分なりの言葉では、有事のリスクはアメリカ、平時のコストは日本、これが今の日米同盟の基本構造になっている。これは、今まで有益だったというふうに大臣は積極的に評価されました。私も集団的自衛権の行使については、大臣と恐らく同じ見解にあって、今閣内に入っておられますので、そんな大それたことはおっしゃれないと思うんですけれども、私は、ここは集団的自衛権の問題は一つ克服しておかないと、ほかの国の同盟関係とは異質な日米関係になっていると。

 そこで、有事のリスクはアメリカ、平時のコストは日本という非対称的な関係である、それが有益であると。しかし、不安定なんですね。今回の特別協定の議論を見ても、やはり出てくるんですね。何でバーテンダーとかバナナボートの監視員の負担を日本がしなきゃいけないんだ、全く国土交通省の無駄遣いと似たり寄ったりではないか、こういうような議論になってしまっている。

 そのコストについては、リスクについてきちんと分担がし切れていないので、コストについては日本は多少の無理もせざるを得ないという関係であるということは、私は、与野党問わず認識を共有しておかなきゃならない、こういうふうに思うんです。

 したがって、リスクについて日本が踏み込んだ役割分担をしない限り、コストについて、その細かいところについてああだこうだと言うのは、これは納税者の代表としては当然成り立つ議論ですけれども、アメリカ側に対してどれほど説得力があるのかというのが私の問題意識なんですよ。

 例えば、駐留軍の経費と呼ばれているものは、約五千七百九十九億円と言われています。そのうち七五%を日本が負担している。しかし、アメリカの会計検査院、GAOの、たしか二〇〇〇年のリポートには、アメリカの日本周辺への前方展開にかかるコストは二百五十億ドルという数字、試算が出ているんですね。つまり、今我々が議論している駐留軍の総経費と言われているものの約五倍ぐらいを、兵力を前方に展開するためにアメリカは既に負担をしているんです。ですから、コストの議論を細かくしていくと、何だ、こっちももっと負担しているじゃないか、まだ足りないじゃないかみたいな議論になりかねないんです。

 ですから私は、やはりこの不安定の芽を、もちろん集団的自衛権の問題にいきなり行くのは難しいと思いますけれども、少しずつでもそういう不安定の要因は取り除いていく必要が、我々、政治にはそういう責任があると思っております。さっきのリスクとコストの議論に倣って言えば、リスクもコストも日米間で適正に配分できるような関係をつくっていけないものか、これが私の従来からの問題関心なんです。

 私は、それで、以前に本を書かせてもらったこともあるんですけれども、その中で、こういうことを書きました。やはり日本の安全保障に対する関心のレベルがアメリカとちょっと違っている。これは、何ができるかということは、それは、それぞれ国力が違いますから差があっていいと思うんですけれども、関心とかあるいはコミットメントみたいなものまで差があると、これはなかなか、日米間で同じテーブルに着いて、同じような対等な議論ができないと思うんですね。

 それはなぜかというと、日本の議論というのは、いつも日本の防衛と、せいぜいその周辺事態に対して日本はどうするかという議論にちょっと陥りがちなんですね。プラスして、今回、去年ですか、本来任務化された国際的な安全保障の議論もようやく始まったわけです。

 きょう皆さんのお手元に、三枚目に配らせていただいた国際平和協力活動についての概念図を見ていただいたらわかると思うんですが、これは、それぞれフェーズごとに、平時から危機、そして紛争、そして停戦があって安定化、復興、平時、こういう軍事的なリスクの度合いが折れ線グラフになっていますけれども、こういうフェーズがあるわけですね。

 そこで、例えばアメリカが国際的な安全保障を考えたときに、このすべてのフェーズで頼りになるのは同盟国でどこかいなと。イギリスやオーストラリアは、この平時から、危機、紛争、安定化、復興、すべてのフェーズで恐らくアメリカと、レベルの差はあれ、かなりの程度リスクは共有できる立場だと思いますね。では、日本はどうか。予防は少しやれるかもしれません。PSIに参加をしたり、情報共有したり、あるいは、最近は海洋の安全保障ということで、マリタイムセキュリティーというような分野にも日本はこれから踏み出していくべきだと思います。

 では、日本は、危機や紛争ではなかなか役に立たないけれども、せめて停戦が終わった後、治安の維持あるいは平和構築、復興支援、こういう部分では頼りになる同盟国になるべきだと私は思うんですね。今、ドイツやカナダやフランスは、恐らくそういうアメリカに対する同盟国になっていると思うんです。

 停戦が終わった後は、例えば今、アフガニスタンがそうだ、イラクでもそうだ、アメリカと一緒に、あるいは多国籍の国々と一緒に有志連合ということでやっている。日本の場合は、実はこの部分も、後方支援を中心に一部しかできない。今現状では、特措法で個別事象にしか対応できない。それから、いつ参加してくれるのか、いつ国会の承認が出るのかおぼつかない。これでは、本当の意味でリスクを共有しているとは言えない。そういうふうに思うんですね。

 ですから私は、ここで日本としても、こういう分野に、つまりは、せめて停戦が終わった後の国際的な平和活動には日本も積極的に出ていく。そういうことでアメリカと有事のリスクを、軍事的なリスクもシェアをするという関係を築いていかなかったら、コストを下げていく、コストの分担でアメリカと適正に配分していく、つまりは、こんなことまで日本は面倒見切れませんよ、自分たちでやってくださいねとは言い切れないと思うんですね。

 大臣の御所見を伺いたいと思います。

石破国務大臣 私は、基本的に委員とほとんど同じ考え方なのだと思っております。

 アメリカの議論は、確かにおっしゃるとおりなので、アメリカはどれだけ負担していると思っているんだということがあるわけですね。日本は、この負担はほかの国に比べて重いじゃないかということを言いますと、アメリカが決まって言うのは、いやいや、ほかの国にも日本を見習ってほしいんだというようなことを言っておるわけで、非常に認識にそごがあるなというふうに私は思います。

 やはりそこは、同盟の対等性というものをどれだけ高めていくかという話と、実際にそれを、具体的にどういう部分でリスクをシェアするかというお話をしていかなければ、やはりそういうことができないんだったらお金を出してちょうだいねという議論になるということだと思います。

 では、どうやってリスクをシェアしていくかということを考えた場合に、極東の平和と安全のために、現行憲法の範囲内でどれだけリスクがシェアできるかという議論が一つあるんだろうと思っております。余りこの議論というのは正面から行われたことはないんだけれども、現行憲法の範囲内でどれだけ、日米同盟に言うがところのこの極東の、何もそれは地域を限定したものじゃありませんが、極東の平和と安全に寄与するために日本はリスクをシェアできるかということが一つ。

 もう一つは、今委員が御指摘になったここの部分でどれだけシェアをできるか、この図の中でどこまでできるかということでございます。

 ここの場合には、すべてが憲法論になるわけではなくて、イラク特のときにも議論をしたと思いますが、例えばオランダがやられた、あるいはオーストラリアがやられた、現地の治安を守っているそういう軍がやられたと。では日本は、それを助けに行けますかというのは、必ずしも憲法問題にダイレクトではない。

 テロやゲリラに襲撃をされているということを前提とするならば、それは自衛権を行使しているわけではないのだから、それを救出に行くということは、必ずしも集団的自衛権の問題ではないであろう。あるいは、治安当局と協力をしながら現地の治安を守るということを支援する、治安維持そのものは現地の責任を持った当局がやることですね、日本が外国で治安なんか維持はできませんが。それのサポートをするということも、これは必ずしも憲法問題ではないのではないか。

 そういう、憲法の中で許されたいろいろなメニューを並べて、今、日本にとってやるべきことは何なんだろうかということを政府が提示をし、国会がそれについて御議論をいただき、事前とか事後とかいろいろなお話はあるんでしょうが、そこにおいて国会がきちんとした承認をいただくということが、私は、世界の平和のために日米がリスクをシェアするということではないのだろうかというふうに思っております。

 それが、日本における納税者の負担を減らすということのためにやっているわけじゃありませんけれども、まさしく委員のお言葉をかりれば、適正な負担とは何なのだという中身をきちんと精査をする、そこのプロセスにおいて必要なことではないかと私は思っております。

 今後、国会において御議論を賜りたいと存じます。

長島(昭)委員 今大臣、非常に重要なことをおっしゃいました。

 三枚目のこの図を見ていただきたいんですけれども、これは、おととしの五月にロードマップで日米合意をした日米協力の重点項目十五項目を表にしたものでありますけれども、左の二列と右の二列、左の二列は今大臣がおっしゃった極東の平和と安全、そして右の二列が、これは国際的な安全保障環境。特に、RMC、任務、役割、能力の分担ということで、今、ワーキングチームか何かできているんですよね、たしか政府の中で。

 それで、点線、破線の丸の中におさめられているのが、国際的な安全保障環境を日米で共同で改善していこう、こういう努力の一端なんですけれども、今、もう時間がありませんけれども、日米間でこのRMCの分担の議論というのはどの程度進んでいるのかということが一点。

 それから、それは私の質問なんですけれども、もう時間がないので私の意見だけ申し上げますと、さっき大臣がおっしゃっていただいた、まさに憲法問題にまで至らないで、しかし、極東の安全そして国際的な安全を日米間でシェアできる分野がどこまであるのかというのがまさに一般法、恒久法の議論の核心だと思いますので、それは、きょうはもう時間がありませんのでできませんが、また引き続きやりたいと思います。

 その前に、終わる前に大臣に伺いたいのは、日米間の任務、役割、能力分担の作業チームの作業がどの程度進んでいて、どういう見通しであるかということを最後にお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 昨年五月に行われた2プラス2で、検討の進展について確認をし、その一部を共同発表の中に書いているということでございます。

 中身といたしましては、委員御案内のことだと思いますが、計画検討作業の持続的進展、何となく直訳調ですが、持続的進展、それから、大量破壊兵器による攻撃を受けた場合の対処について検討するための化学・生物・放射線・核防護作業部会の設置、危機及びそれ以前における柔軟な二国間の省庁間調整メカニズムの構築等々について項目が挙げられておるわけでございます。

 それぞれ深化をさせておりますが、私としては、この二国間の省庁間調整メカニズムというもの、これが本当に動くのかどうかということについて、より具体的な、実証的な作業をしていかなければいけないと思っております。いざというときにお互いの思惑が違うということではだめだ、調整に物すごい時間がかかるということでもだめだ。どういう事態にどのような役割を分担し、意思の共有化みたいなプロセスをどのようにしていくかということについて、私は非常な関心を持っておるところでございます。

 この地域における平和を構築するために、日米間が任務、役割、能力について、本当に具体的なお話をきちんきちんと詰めていきたいというふうに思っておりますので、今後とも御教導賜りたく存じます。

長島(昭)委員 リスクとコストを適正に配分できるような、そういう健全な日米関係を築いていくために、この任務、役割、能力分担は非常に重要な課題だと私は思いますので、ぜひゲーツ国防長官とも折に触れて議論をしていただきたい、そのことを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

嘉数委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺周でございます。

 それでは、引き続きまして質問をさせていただきます。

 ただいまの長島委員の質問の大臣とのやりとりの中に、我が国の国際貢献についての質疑、やりとりがございましたので、これを受ける形で一問伺いたいと思います。それは、我が国が現在検討しているとされているスーダンへのPKOの派遣についてでございます。

 この問題は、スーダン西部と違いまして南部は内戦の停戦合意が行われているという中で、現在、国連のミッション、UNミッション・イン・スーダン、UNMISですかが活動している中、我が国もスーダン南部への派遣を要請され、期待をされているというような報道がされているわけでございます。実際、もう既に石破大臣も政府内で検討しているということを先月の二十五日ですか、記者会見で述べられておりますし、また官房長官も、我が国としての役割、何ができるかを検討しているというようなことが報じられております。

 そこで伺いたいのは、我が国が現在、スーダン派遣についてどのように検討しているのか、その点についての現状を大臣からお答えいただけますでしょうか。

石破国務大臣 現在までのところ、我が国に対して、国連からスーダンに行ってくれというような要請が具体的にあったものではございません。

 ただ、NATO諸国と議論をしている際に、その打診でもないですね、選挙流に言えば瀬踏み行為というんですか、どうだろうねみたいなお話、それが非公式に今まであったことは承知をいたしております。私自身は、直接スーダンということについてだれからも要請を受けたことはございません。

 したがって、政府部内で具体的に検討しておるというわけではございませんが、一般論として申し上げましたときに、一体何が求められているのか。我々の能力というものがそこにおいてきちんと生かされるか。もう一つは、これはあくまで抑止力という観点から議論されるべきものではありますけれども、危険を回避するために、現地の状況はどうなのか、それに見合った能力というものはどのようなものであり、我々はそれを具備しているかいないか。そういうことを全部子細に検討しないで、参加することに意義があるみたいな議論は、私はよろしくないのだろうというふうに思っております。

 もう一つは、これは国益というものをどう考えるかというお話でございまして、もちろん世界じゅうの紛争がなくなるにこしたことはない、平和が維持されるにこしたことはない。しかしながら、我が国にとっての国益というものを考えたときに、どのような場所に出てどのような活動をすることが我が国の国益実現のためにふさわしいか。それは、自分の国さえよければいいという話ではなくて、その国益論というものも私はきちんと踏まえて国会の御議論を賜り、そしてまた政府の中で検討していくべきものかなというふうに思っております。

渡辺(周)委員 国会の議論は今やっているわけでございまして、実際、我々も新聞報道でしか知り得ないことや、あるいはさまざまな研究者等がサイト等に書いているいろいろな情報をもとにこうして質問を組み立てるわけです。

 これは報道ですけれども、国連が今、大臣の答弁と違って、これは四月二日のネットのニュースですが、スーダン南部でPKOを展開しているスーダン派遣団、UNMISに関して、国連が地雷除去作業に自衛隊を派遣できるかどうか日本政府に打診していたことが二日わかった。政府関係者が明らかにしたとあるんですね。外務省は同作業への参加に前向きで、政府内で協議中だと。国連が今回、日本の役割に期待を示したことで、自衛隊派遣に向けた検討は加速しそうだと。関係者によるとというのは、どういう関係者かちょっとわかりませんけれども、政府関係者の言葉とすれば、国連側はことしに入って、スーダン南部PKOに自衛隊派遣の意思はあるのか、あるいは、派遣する場合、地雷撤去の能力は備えているかなど複数回にわたり問い合わせをしてきた。人道支援に必要な物資輸送の大きな妨げになっている地雷の撤去活動参加の可否について関心を寄せているというような報道でございます。

 これは、報道では承知しているけれどもそんなことはないよというのか、いや、そこまで書かれたら実はそうなんだとお答えになるのか、この後の答弁に期待したいわけでありますけれども、私は、スーダンの南部がPKO派遣五原則の要件を満たしているということ、スーダン西部のダルフールを中心としたかなり危険な状況と違って南部は安定していると我が国が判断をしているからこそ、こういう具体的な検討をしているんだと思いますけれども、もう一回御答弁いただけますでしょうか。大臣は、国連から要請を受けたことはない、あるいは私は知らぬというような言い方でしたけれども、その点について、現状はどうですか。

石破国務大臣 四月二日の記事は私も承知をいたしております。政府関係者が明らかにしたというのですが、だれが明らかにしたのかがよくわかりません。

 実際、本当に、この場で委員にうそを言っても仕方がない話でありまして、防衛省として打診を受けた、防衛省としてですよ、そういうことは今までございません。したがって、これについて私どもとして打診を受けたことはない。

 ただ、先ほど言葉が必ずしも適切ではなかったかもしれませんが、どうなんだろうねというような、サウンドといったらいいんでしょうか、打診の一歩手前みたいな、そういうものというのは、それは非公式に行われることはあるし、また、当局者がお互いに話をしているときに、どうなんだろうね、そのどうなんだろうねというのを英語で何と言うのかよくわかりませんが、それをもって打診と言うかというようなこと、私は言葉の遊びをするつもりは全然ないのですが、そこにおいてPKO五原則というものが満たされているかどうかということは当然判断の基準にはなるものでございます。

 しかしながら、本当に私どもが自衛隊を海外に出しますときは、同時に、非代替性でありますとか緊急性でありますとか公益性でありますとか、そういうものもPKOであっても考えていかねばならない。そのときに、我々の能力、例えば地雷の除去というものについて、本当にその地域に見合った能力を有しているかどうかということが検討の課題に上ってくるのだろうというふうに思っております。

 全くそういう話がないわけではございませんが、正式にどうかという打診を聞いたことはないというふうに申し上げておるわけでございます。

渡辺(周)委員 それでは、今このような、これはあくまで報道をもとに私は質問をしているわけですけれども、地雷の撤去活動ということになった場合、防衛省としてできるのかできないのかということについては、当然能力を掌握されている大臣でございますから、そういうことであったら、今できるかできないかも含めて検討しているということでいいんでしょうか。いかがですか。

石破国務大臣 ですから、スーダンに特化してというわけではございません。地雷除去の能力というのは、ある程度私どもは持っております。もちろんこれは対人地雷のお話であって、対戦車地雷のお話ではないというふうに承知をいたしておりますが。

 スーダンに特化して、いろいろな情報を集めて、それに対してどうだということは、本当に正式な打診があった場合にはそれは検討しなければなりません。現時点において、スーダンに特化をし、現地の事情を掌握し、我が方の能力はそれと照らしてどうかというような作業は行っておりません。

渡辺(周)委員 それでは、ちょっと聞き方を変えます。

 防衛省として、スーダンという国が、政治的、歴史的なことは別にして、今、どういう国で、どのように、例えば地雷というのはどれぐらいの数があるとかいろいろなところ、これはなかなか把握するのは難しいと思いますけれども。

 いろいろな国から、あるいは延べ一万人を超えるPKOの派遣がされている中で、例えば他国から情報収集するなり、スーダンの現状についての何らかの情報を持ち合わせて、それでもし万が一この後要請が来た場合に検討するというよりも、ある程度下地として、おい、ところでスーダンってどんな国なんだ、一体そもそも何でこんなことになっちゃったんだ、では、一体どういう兵器を持っていて、どこの国と密接な関係があって、例えば、それぞれのバックグラウンドにある国はどこなんだ、周辺国家のどこから兵器が流れてきているのかとか、当然そういう情報は持っていないと、もし行く場合になったときに、彼らがどんな火器を持っているかということについても当然知っておかなければ、こちらも装備できないわけでございますので、その点についての情報収集なり基礎的なもの、ある程度行くことを前提に何らかの情報を持ってなきゃいけないと思うんです。その辺のことは、さすがに知っているわけですよね。

 全く何も知らない、これから本当にいろいろな情報、まさか、要請を受けたらそれから検討しますじゃなくて、ある程度そういうこともあり得るだろうということを考えて、当然そういうスーダンの現状についてはいろいろな見識を今集めているということでよろしいですか。

石破国務大臣 行くことを前提として情報収集しているわけではありません。ただ、おっしゃるように、どうなんだねと実際にあった場合に、さあ、これから調べますというようなことであれば、それはタイムリーな行動というのができないということもあり得る、あるいは、不十分な情報でいろいろな判断をしてリスクを負うこともあり得るだろうということでございます。

 当省としてといいますよりも、これはもう政府全体としてということになろうかと思いますが、委員が御指摘になったようなスーダンの情勢、特に、どの国が影響力を持ち、どのような武器を持ち、どのような状況にあるかということは、これはスーダンに限らず、私どもとして、世界のあちらこちらの情勢というのは把握を常にしておかねばならないものでございます。

 スーダンも当然その中に含まれておるわけでございまして、スーダンに関する情報というものは、特に多くの国のいろいろな思惑があそこにはございますので、NATOとの関係から考えても、私として、スーダンに関する情報というものは、常にとっておくように心がけておるところでございます。

 ただし、派遣を前提としてということではございません。そういうものをきちんと知っていなければ、自衛隊をきちんと動かすことにもならないし、国会の御判断を賜ることにもならないだろう、そういう問題意識でございます。

渡辺(周)委員 きょうは法案審議ですので、このことに余り時間を割くつもりはないんですけれども、もう一つの新聞記事、これは朝日ですけれども、PKOの訓練センターに自衛官を派遣するけれども、防衛省は現時点でのスーダン派遣を困難視しており、かわりにPKO訓練センターに教官を派遣することにしたと見られる。二十五日の閣議後の記者会見で、石破大臣は、関係省庁で議論を進めていると派遣を検討していることを明らかにしたというようなこと、また別の報道がございまして、今のお話だと、大臣は記者会見では派遣をすることで私はてっきり議論を進めているのかと思ったら、今の答弁では全くそれを前提にはしていないと。

 ひょっとしたら行けると思って検討してみたけれどもちょっと無理なんだ、だからそのかわり、PKOの訓練センターに自衛官を教官として派遣することで間接的な貢献をしようというふうに新聞記事では読めるわけですけれども、大臣の今の答弁ですと、全く今の現状では白紙だということにとらえたわけですが、いかがなんですか。その点について、もう一回確認したいと思います。

石破国務大臣 PKOセンターへの自衛官の派遣については、現時点において具体的に申し上げる段階にはございませんし、スーダンに行かないのでPKOセンターに出すとか、私はそういう相関関係に立つものだとは全く思っていないのでございます。

 外務大臣の方から、三月二十四日、講演をなさった際に、PKOセンターへの講師の派遣といったことも含めて御発言があったということは承知をいたしておりますが、自衛官に限って、自衛隊をどうのこうのということで外務大臣が御発言になったというふうには私として認識をしておらないところでございます。

 政府の中でいろいろな議論は進められておるわけでございますが、やはりスーダンに特化をして、行くことあり得べし、行くことを前提としていろいろな議論をしているということでは全くございません。

 しかしながら、スーダンの情勢というものはきちんと認識をしなければいけない。仮に要請があった場合に、いや、これから検討しますみたいな話はだめだし、そして拙速な検討の結果として自衛隊を出すようなこともあってはならない。

 私として、あり得べしという言葉を使うべきではないと思いますが、スーダンについては、きちんとした情報を収集し、そして、我々の能力というものがどのようなものであり、本当に我が国としてそこに派遣することがふさわしいかどうかということは、一般論として議論をしておかねばならない。しかしながら、それは派遣を前提としてというものではない。何か言葉の遊びみたいなことをしているようで御不興を買うかもしれませんが、現在のところ、そのような状況だと私は思います。

渡辺(周)委員 この点について、また改めて機会を得て質疑を深めたいとは思いますが、ぜひ、現状の日本のPKO派遣の五原則が守られて、前提としてあるというのであれば、私は行くことで検討すべきだと思うんです。

 その点については、先ほど国会の議論と言いましたけれども、ある程度方針が固まった中では、当然、PKOのいろいろ今まで何回も活動してきた中での議論がございますし、まだ宿題となっている未整理の部分もございます。例えば、武器使用基準の点についても、現場に任せるべきじゃないのかと、いろいろな声がある中で、私たちとしては、この問題について、先ほど長島委員も触れられましたけれども、一般法、恒久法の国際貢献をしていく中で、やはり当然、出す側としては最善のことを考えていかなければいけない。

 そういうことを言うと、いつか来た道に行くのではないかというような、いろいろな指摘をする人、国もありますけれども、だけれども、考えてみたら、行く側と送り出す側は、やはり考えられる限りの最善のことで責任を持って、ある意味では責任を共有する形で行っていただかなきゃいけないから、そこは包み隠さずお互いがやはり本音で話さなきゃいけないし、言葉の遊びとおっしゃいましたけれども、わかりにくい言葉で遠回りの議論をしながら、何かあいまいに決着をつけるべき問題ではないんだろうなと私は思っております。

 この問題だけに時間を割くわけにいきませんので、スーダンから少しまた質問の中身は随分と変わりますが、次に、私がいつもずっと、質問するときは必ず取り上げている例の裏金の問題でございます。

 スーダンから裏金の問題に行くのも大変残念なことでございまして、国際貢献の話から、こんな話、私もいつまでも質問するのは嫌なんです。もっと本質的な議論を本当はしたいんですけれども、この問題についてはずっと私も聞いてまいりました。

 昨年の十二月に新聞報道されてから、くどいようですけれども、かなり細かく証言者の、匿名ですけれども、当然、記事も載っているわけでありまして、これは十二月十六日共同通信が書いた記事でございます。関係者の証言によれば、裏金づくりは、大臣官房などが防衛省OBらの名前を使い情報提供の協力者に見せかけて、にせの領収書を防衛省の職員が大量に作成したんだ、しかも、裏金を管理する裏帳簿も用意して、裏帳簿用の領収書は提出をさせていた。ここまで具体的に書かれているんですね。

 この問題はもう何回も取り上げましたけれども、その後に、今度は、三月の参議院の予算委員会で、こういう見出しで、裏金調査の放置を認めるといったような書き方をされております。

 報償費で、石破防衛大臣、私が前回このことで質問したときには、中間報告的なものを出せないかというようなことを、私が今度質問するときまでにできればというようなことをおっしゃっています。実際今もまだ調査中なんでしょうか。もういいかげん何かの形で、対象者がこれぐらいいる、あるいは、これぐらいの調べている量があって、今このぐらいまで解明したというような具体的な何か、そろそろ中間報告的なものはあってもいいと思うんですが。

 こんな不名誉なことをいつまでも答弁される大臣も嫌でしょうし、その点について、結局、いろいろなことで防衛省は、軍事機密を、私は公開しろとは言っていませんよ。だけれども、こういうことがいつまでも隠ぺいされて、隠されている限りは、結局は、大臣、よく、いつもおっしゃるように、やはり国民の理解を得られない。我が国の最高の実力組織が軍事機密を盾に、結局は、何かブラックな部分があって、そこをいつもひた隠しにしている。

 もう何回も情報隠ぺいの話、事実隠ぺいの話は、今回のイージス艦もそうですけれども、いっぱい出てきました。その点について、この裏金の問題はせめて決着をつけなきゃいけないと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

江渡副大臣 委員にお答えさせていただきたいと思います。

 今委員の方から御指摘あった件についてでございますけれども、現在、防衛省におきましては、情報収集及び犯罪捜査に使用している報償費につきまして、経理装備局を中心として、関係する内部部局や各自衛隊の部隊における報償費の支出状況の確認、あるいは関係者からの聞き取りを行うことを通じながら、使途が適切であったかどうかということをしっかりとまずは確認作業を進めております。

 また、お尋ねの調査対象者の件でございますけれども、この調査対象者、取扱責任者及び出納事務取扱者でありますけれども、約二千人ほどおります。そして、この二千人に対しては、聞き取り調査につきましては一応、大体一通り終えたというところでございます。

 そして、調査対象資料につきましては、各部署において保管されております過去五年分を対象にしておりますから、その枚数というのは数万枚に及びまして、まだ現在、そのすべてが確認できているというわけではございません。この確認作業をしているところでございます。そしてまた、この確認作業においてもし疑義があるというような場合には、再度、この調査対象者の方から聞き取りを行う必要があるというふうにも考えております。

 いずれにいたしましても、委員からも御指摘があるとおり、我が防衛省といたしましても、この作業というものをできるだけ早期に終わらせて、報償費がどのように使われたのかということもしっかりと確認させていただき、国民の方々に疑念を持たれない、抱かれることのないようにしたいというのは、私も委員と同様の思いでございます。

渡辺(周)委員 対象者が二千人ぐらいいて、一通り終えたんだ、そして、対象になる資料だけでも過去五年分で数万枚に及ぶと。今、報道されてから三カ月、大臣が参議院の委員会の中で答弁をされて、直ちにでも解明に向けて努力したいというようなことをおっしゃいまして、約四カ月弱ですけれども、ここまで来たんだと。

 この中で、一通り終えた、二千人から話を聞いた現状で、実際はその疑義があったというふうに現状は認識しているのか。先ほど申し上げた裏帳簿みたいなものも含めて、それについては先ほど言及されませんでしたけれども、そういうものがなかったとは否定できないということなのか、その点もう一回伺います。二千人の方から聞いてどうだったんですか。

長岡政府参考人 ただいま副大臣の方からお答えさせていただきましたけれども、今調査をしている最中でございまして、再度聞き取り等もいろいろやろうと思っておりますので、断片的にお答えさせていただくのもいかがかと思いますので、取りまとめた上で御報告させていただきたいと思っておるところでございます。

渡辺(周)委員 再度聞き取りということは、疑わしい、納得しないということで再度聞き取りをしているということなんですか。それが一点。それから、後でまとめてというのはいつなんですか。ぜひその点について教えていただきたいと思います。

長岡政府参考人 聞き取りの対象は必ずしも東京市ケ谷地区だけではございませんので、それは、担当の方からいろいろ質問をしたりしていることは事実でございます。

 時期につきましては、先ほども副大臣から申し上げましたように、できるだけ早く終えたいと思っておりますが、先ほどございましたように資料が大変多うございますので、そこのところはきちっと調査をするということで、物理的に時間がかかるのはお許しをいただきたいと思っておるところでございます。

渡辺(周)委員 私が許す、許さないじゃなくて、この問題は、要は、言葉は悪いですけれども、税金を裏金化していたんじゃないかという話なんですよ。これだけ具体的なことを書かれて、防衛省がこれだけ不名誉なことを言われているにもかかわらず、実際、では、防衛省が調べてみると、四カ月近くかかってまだこんなので、何だか全然具体的に中身も出てこない。まだ聞き取り調査をやっています、やっていますということなんですね。何か具体的にそろそろ答えられないんですか。

 大臣に最後に聞きます。どうですか。私も、こんな問題をいつまでもやるのは嫌なんですよ。だけれども、外務省のあるいは地方の役所でもいっぱいありますよね、裏金づくりの話は。こういう疑いが今かけられているのは防衛省だけなんですよ。いかがですか。ここで本当に、大臣、最後に、どうですか、決意を聞かせてください。最後の質問が聞けませんので。

石破国務大臣 私自身も、こういうことをいつまでも委員にお答えしなきゃいかぬという状況はお恥ずかしいことだと思っております。

 とにもかくにも、裏金というものがあって、そして、それをどのように使ったのか、私的な使い方をされているとしたらそれはもってのほかの話。それをどのように、つくったとしたら、どういう手法によってやったかということは、私は、私どもに対するいろいろな国民の疑念というものを晴らすためにも、ないならないということできちんと明らかにする責任があると考えております。

 報償費というものが必要である、情報収集のためにそういうものがある、そして相手方を必ずしも明らかにできないみたいな制約は、すべて委員御案内の上で聞いておられますので、まさしく私が申し上げましたようなお金のつくり方、使い道、そこについて国民にきちんと説明できるかどうかということについて作業を加速するようにということは申し上げているところでございます。

 この件につきましては、今お答えをいたしましたけれども、副大臣の方にもいろいろな負担といいますか分担をお願いして、私ども政治家の立場できちんと解明をしていかねばならないことだというふうに思っております。

 お答えが遅くなっていることについては、おわびを申し上げなければなりません。

渡辺(周)委員 この問題については、今後もまたずっとやっていきますので。

 というのは、質問をやっていると、やはりどこかでだれか見ている方がいまして、いろいろなメールとかいただいて、内部告発的なものもやはり来るんですね。似たような話があるとか、私も昔はこういうことをある部隊で聞いたことがあるとか、そういう話がありますから、私は、やることによってだんだん真相に近づいていくということで、これからも続けさせていただきたいと思います。

 さて、最後の質問ですが、ちょっと時間がなくなりましたので、簡潔に大臣に伺います。

 法案の中に出てきます情報保全隊に関してなんですけれども、二つ。

 一つは、情報保全ということについて。内閣の方で、これは官房長官が、政府で新法をつくる。今の現状では、公務員法違反で、守秘義務違反では懲役一年以下なんだ、非常に刑が軽い。そして、産業スパイの取り締まりについても、今度経産省が新たにスパイの摘発をもう少し緩和できるような法案を検討しているというところまで来ておりますが、そもそも、情報秘密保持、我が国は、この秘密保持については法律はございません。

 もう時間がありませんから、これは大臣に御見解を伺いたいんですが、我が国のこういう防衛秘密、防衛機密の漏えいに対しての罪が軽いんじゃないか。もっと重くしたら、かなりの抑止力に、もうこんなことをやったら人生を棒に振る、これでもうおしまいなんだというぐらい、それぐらい情報漏れということについては、さまざまなアプローチがあっても、そんな誘惑に乗ったら、例えばわずか数百万円の対価をもらうがために国家の機密情報を売ってしまったら、自分の人生はもう台なしなんだというぐらいの重いペナルティーをつくっておかないと、幾ら情報保全隊が、情報保全隊のことについては後の委員からも質問があると思いますが、私は、その観点から伺えば、やはり機密を保持するということについてのペナルティーが軽過ぎるんじゃないかと思いますが、大臣はいかがお考えかということが一点。

 それから、これはいわゆる外部からの情報を入手しようとするアプローチに対しての保全隊だというふうに言われていますけれども、もう一つは、ことしサミットもあります。もう既にアメリカが中国に関する二〇〇八年の報告書の中でも書いておりますサイバーによる攻撃について、この問題について日本の防衛省はどのように危機管理をしているのか、あるいは今後どうあるべきだと思っているのか。

 つまり、ヒューミント、人的な情報入手によるアプローチに対しての罪をもっと重くするべきじゃないかという問題。それからもう一つは、いわゆるeの方ですね。これは、いわゆるサイバーを使っての情報入手なり情報攪乱なりをしてきた場合の我が国としての現状、ブロックする体制、守る体制についてはどうなのか。アメリカでは、官民合同でサイバーテロ対策を国防総省はやるというふうに言われておりますけれども、日本では現状、防衛省はどうなっているのか。

 この二点を最後に伺って、質問を終わりたいと思います。

石破国務大臣 刑が軽いかどうかということですが、諸外国と比べれば、とにかく軽い。これは間違いない。ただ、我が国の刑法の体系において、これだけ突出して重くした場合に、ほかの犯罪とのバランスがどうなるんだという、いかにも法律的な議論ですが、そういうような話が出てくるだろうと思ってはおります。ただ、犯罪抑止効果として十分かといえば、必ずしも十分ではないのではないかという認識がございます。

 他方、何をやるとこれに触れ、どうすれば触れないのかという構成要件の明確性というのでしょうか、そういうことはきちんとしていかないと、犯罪抑止機能としてはうまくワークしないというところもあるのだろうと思っております。

 私自身、どのように刑罰を定めましても、それがきちんと明らかになる体制というのをつくっていかないと、刑罰をどんなに重くしたって意味がないことでございますので、そこの両者の関係からこの解を導いていかねばならないと思っております。

 事実の認識として、やや軽いのではないかなという認識は私も持っておりますが、これは防衛省だけで議論できることではございませんので、政府部内で、今後もそういう強い認識のもとに議論を加速させるべきだというふうに考えます。

 もう一つ、サイバーの問題でございますが、これは私どもの情報漏えいのいろいろな事案もこれあり、そういうようなことについての対策というものは、講ぜられる限りのものは講じております。

 しかしながら、これというのは、ある意味、日進月歩というのか、こんなことを日進月歩と言っていいのかどうかわかりませんが、変な言葉で言えばイタチごっこみたいなところもございまして、特に中国がサイバーというものについて強い関心を寄せている、アメリカの報告書のことは今委員が御指摘になったとおりです。

 そういうものに対して、さらに高度な技術をもってサイバーアタックをかけられた場合に本当に大丈夫なのかという検証は常に行っているところでございますけれども、これが日進月歩でございますので、常に先を先を読んでいかなければいかぬ。後追いみたいな対策であれば、それは必ず重大な結果を招きかねないという認識は強く持っておるところでございます。

渡辺(周)委員 もう質問はこれで終わりますけれども、最後に一言。

 今のサイバーテロに対しても、今回の法案の中で、防衛大学校の研究ということを明文化したとございます。例えば、今後考えられる危機、将来の危機を予見すれば、こうしたサイバーの、日進月歩していくまさに見えない敵、サイバー戦争に対して、やはりそれなりの研究をし出していくことが、そしてまたその専門家が必要だと思うんですね。とにかく、せっかく今度は明文化するわけですから、私はやはり日本の国防に役立つような研究をするエキスパートをつくっていただきたい。

 本当はそのことをもうちょっと時間があったら触れたかったんですけれども、まさにこれから考えられる我が国への脅威に対しての専門家を育てる、そのための研究を明文化したというふうに私はぜひ理解したいと思っていますので、その点を最後に申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

嘉数委員長 次に、山口壯君。

山口(壯)委員 民主党の山口壯です。

 防衛省設置法等の一部を改正する法律案について、先ほどから情報保全隊の話も出てきました。

 以前、この情報保全隊が、現実にはどうも市民集会に行っていろいろな情報をとってきたとか、何かそんな話もいっぱいありました。実際、この情報保全隊の役割というのは何なのか、まずそこからお聞かせください。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 情報保全隊の役割でございますけれども、現在、各自衛隊に設置されております情報保全隊というのがございます。これについては、部隊等の情報保全業務のために必要な資料及び情報の収集、整理等を行うことを任務としているわけでございますが、具体的には、外部からの働きかけ、情報漏えい等の働きかけというのが、部隊とかあるいは隊員等にある場合があります。そういうことに対しまして、部隊とか隊員等を保全するために必要な情報の収集、整理を行っているところでございます。

 御質問の、自衛隊の情報保全隊の新編は、今申し上げました各自衛隊の情報保全隊を統合することによって、カウンターインテリジェンスに関する情報の効率的な集約、共有等を図ろうとしているものでございます。新編後も、基本的には、先ほど申し上げました現行の情報保全隊の任務とか活動内容に大きな変更があるわけではございません。

山口(壯)委員 今、松本さんから、カウンターインテリジェンスのこともあって、いろいろ働きかけについてもチェックしているんだという答弁がありました。

 ただ、考え方においてそんなに変わるものじゃないというところが、私は最後気になったものですから、これから、市民集会に行ってだれが何を言っていたかということよりも、むしろそういう高度な働きかけについて対応できるように、この防衛省設置法の一部改正を機会にして松本さんの意識を高めていただきたいと思うんですが、いかがですか。

松本政府参考人 先ほども御答弁申し上げましたように、今般の情報保全隊の新編、これは今先生から御指摘があったように、カウンターインテリジェンス、具体的には、外国情報機関の我が国に対する情報収集活動が行われるわけでございますが、その情報収集活動による被害を防止するための方策に関する情報でございますけれども、そういったカウンターインテリジェンス情報の効率的な集約、共有等を図るために、まさに新編を行うというものでございます。

 そういう意味では、先生が御指摘の趣旨に沿っているのではないかというふうに思います。

山口(壯)委員 外の例えば市民集会とか、私たちから見て、どっちかというと全然関係ないようなところに一生懸命出ておられるということがいろいろあったものだから、むしろ、もっとピントの合ったカウンターインテリジェンスのやり方を研究してくださいという趣旨です。そこはお願いします。

 あと、警務隊というのもまだあるんですか。

松本政府参考人 警務隊というのも、陸海空、三自衛隊にございます。

山口(壯)委員 この警務隊と情報保全隊の役割分担というのは、現実にはどうなってくるのでしょうか。

松本政府参考人 今御質問のありました警務隊というのは、ミリタリーポリスとまたの名を言いまして、基本的には、自衛隊内の犯罪があった場合にはその犯罪捜査を行う機関でございます。

 一方、情報保全隊については、先ほど申し上げたように、部隊とか隊員の情報保全、これを図るための情報収集部隊でございます。

山口(壯)委員 情報にかかわる犯罪というのもたくさんあるわけですから、しかもここは非常に境界線のあいまいな部分ですから、この警務隊と情報保全隊の、言ってみれば連携ということになるんですか、そこは松本さん、しっかりお願いします。

 さてそれでは、ほかの質問もさせていただきます。

 ミサイル防衛について大変なお金がかかるだろうということは想像にかたくないわけですけれども、実際にはアメリカのシステムをどうも買わされているんじゃないかという感覚も持っています。アメリカ国内でも非常に効果が疑問視されている。決まったところに標的を打ち上げて、それを落とすわけですから、当たって当たり前の部分もあるんですよ。しかし現実には、どこから飛んでくるかもわからないものに対して対応しなければいけない。

 ちなみに、このミサイル防衛の費用、どれぐらいを見積もっておられるんでしょうか。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 BMDの整備につきましては、平成十六年度からスタートしておりまして、現在、BMDシステムの整備については、維持、整備関連経費、あるいは日米共同技術研究開発経費を含めますと、大体約八千億円から一兆円程度を要するというふうに私どもは見込んでいるところでございます。

山口(壯)委員 八千億程度というのは最初の段階の費用ですか、それとも、全体がその中で整備され、あるいは日米で共同の技術開発ができる、そういうお金でしょうか。

松本政府参考人 全体の経費でございます。

山口(壯)委員 今、松本さん、平成十六年度からされているというお答えでしたね。現実に、このミサイル防衛について既に試してみたというところまで行っているんでしょうか。あるいは今後、そういう予定があるんでしょうか。

松本政府参考人 今、私ども、弾道ミサイル防衛のシステムの整備としては二つありまして、一つは、イージス艦の改修を行いまして、いわゆる弾道ミサイル対処能力がありますSM3というミサイルを搭載できるような形にするというものが一つと、ペトリオットPAC3ということで、これは航空自衛隊の方に整備するものと二つあるわけでございますけれども、イージス艦につきましては、昨年の十二月だったと思いますが、「こんごう」というイージス艦がございますが、これに対する弾道ミサイル対処能力の付与を行う観点から、ハワイ島で発射試験を行ったところでございます。一応成功したということでございます。

山口(壯)委員 松本さん、それは、最初に日本が買うものについて、性能がそのとおりだな、アメリカの言うとおりだなという性能を確認する試験ではないんですか。それとも、訓練の一環ですか。

松本政府参考人 性能を確認するための試験でございます。

山口(壯)委員 ということは、松本さん、まだ、このミサイル防衛について、実際に訓練とかあるいは実射のトレーニングとかいうところまでの段階には行っていないということですね。

松本政府参考人 先ほども性能試験ということを申し上げましたけれども、基本的には、実目標を飛ばしまして、それを落としたということでございます。そういう意味では、十分実用的な能力は証明されたというふうに私どもは認識しております。

山口(壯)委員 いや、それは非常に甘いと思いますよ。松本さん、よくわかってそう言っておられるのかどうか。

 現実には、どこから飛んでくるかわからないものに対して対応できなければいけないものですね。このアメリカでやっているものというのは、決められたところに打ち上げて、それをちゃんと落とせるかというだけのことですから、現実の事態とははるかにかけ離れている。だから、そういう意味では、それで終わったと思っておられないと思うんですけれども、今の答弁ではそれでよしというふうにも聞こえるから、そこはいかがですか。そういうことじゃまだ足りないわけでしょう。

徳地政府参考人 お答えを申し上げます。

 実際の実射の訓練につきましては、現時点におきまして固まった方針はまだございませんで、先ほど御答弁ありました発射試験の後の実際の訓練のあり方につきましては、今後検討をするということになっております。

山口(壯)委員 例えば、航空自衛隊のPAC3あるいは海上自衛隊のSM3それぞれ、一発実射するための弾のお金が当然かかるわけですけれども、それは幾らぐらいですか。

松本政府参考人 申しわけありませんが、ミサイル一発当たりの価格というのは秘でございまして、ちょっと申し上げられないのですが、ちなみに二十年度予算ではPAC3ミサイルの取得経費を計上しておりまして、その総額は約三十一億円でございます。

山口(壯)委員 一発約五億円とちまたでは言われていますから、三十一億円であれば約六発分なんですよ。

 それは、松本さん、実射の予定は立てているつもりで計上されているわけですか。

徳地政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、実際の訓練としての発射ということにつきましては、今後検討することにしておりまして、現在のところ具体的に決まっているわけではございません。

山口(壯)委員 そうしたら、このPAC3の三十一億円というのはどういう計上ですか。

松本政府参考人 先ほど申し上げました三十一億円は、実弾として購入したものでございます。訓練用の、試射用のものではございません。

山口(壯)委員 海上自衛隊のSM3の方は幾らですか。多分、PAC3よりも相当高いと思いますけれども。例えば概念的に、今松本さんが言われたような数字でいけばどれぐらいのものですか。

松本政府参考人 申しわけありません、今ちょっと手元にデータがございませんので、後刻御説明させていただきたいと思います。

山口(壯)委員 後刻で結構です。それはまた伝えてください。

 そして、先ほど松本さんの言われた「こんごう」、ハワイでイージス艦が試験を行ったと。アメリカにどれぐらい払ったんですか。これはもう払ったものですから、現実に確定していると思いますけれども。

松本政府参考人 今御質問のありました、昨年十二月の試験にかかった費用といいますか、これは、米海軍省と契約を結んでいるわけでございますけれども、約六十億円ということでございます。

山口(壯)委員 約六十億円が払われているんですね。

 その中で、例えば標的の模擬ミサイルを撃たせるわけですから、大体何十億円か、今六十億円というのが全体のお金というふうな答えだと思いますけれども、アメリカにいろいろお世話になりましたね、いやいや御苦労さんです、いろいろなスタッフの方にもお世話になりましたね、そういうお金として、現実には何十億円も払わなきゃいけないわけです。それは防衛省として、これから見通しが立ちますか。現実には、入手はして、六発の計上もされているけれども、実際の訓練が全くなしに持っているだけ、こういうことになることを私は恐れているんですけれども、それはいかがですか。

松本政府参考人 先ほどもちょっと御答弁申し上げましたが、まず、SM3については、昨年の十二月、実用に供し得るという試験結果を私ども得たというふうに思っております。

 それから、PAC3については、これは米軍のたしかミサイル防衛庁のホームページ等によりますと、このペトリオットPAC3でございますけれども、イラクの自由作戦において中東に配備されて、迎撃範囲内のすべての弾道ミサイルの迎撃に成功したというような情報も私ども得ております。

 そのほかに、私ども、いろいろ精査をいたしまして、相当程度の高性能を持っているミサイルというふうに評価しているところでございます。

山口(壯)委員 松本さん、ほかのところでちゃんとうまくいっているからという話と、自衛隊が高度な、優秀な機械を使いこなせるかどうかという話は全く別の話ですから。

 徳地局長からも、まだ方針は固まっていないという答弁もありましたけれども、これはまさか、訓練しないで使おうという話も可能性としてあるという答弁じゃないでしょうね、徳地さん。

徳地政府参考人 お答えを申し上げます。

 実射の訓練につきまして、現時点で固まった方針はないということを申し上げておりますけれども、もちろん、実際に弾道ミサイル攻撃があった場合にきちんと対応することができるようにするということは当然でございますので、ミサイル防衛システムの整備を着実に進めるということと同時に、その効果的な運用体制の確立に向けて所要の訓練を実施してまいりたいと考えておるところでございます。

山口(壯)委員 実射はしないけれども、実際に対応できるように所要の訓練とは、どういうことですか。

徳地政府参考人 現時点におきまして、実射の訓練をするとかしないとかということを決めたわけではないということでございまして、発射試験が終わりました後の訓練のあり方につきまして、実射の必要性も含めまして検討をすることになるということでございます。

山口(壯)委員 普通であれば、必ず実射をするわけですよ。なぜその方針がまだ固まっていないんですか。

 先ほどの質問をもう一度。実射をしない前提で何か訓練があり得るんですか。

徳地政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますけれども、実際に実射の訓練を行わない、そういう方針を決めたということを申し上げているわけではございませんで、発射試験の後の訓練のあり方について今後検討をするということを申し上げているわけでございます。

山口(壯)委員 徳地さんと私との間だから、同じ同期だし、するけれども、同じ答弁は、徳地さん、今度三回目だけれども、まだ固まっていない、だから実射はせずに、発射の試験はしたわけですね。例えば「こんごう」についてした。でも、これは性能確認試験で、アメリカの言うとおりの性能はあるんだろうというだけのものですよ。

 それに対して、部隊に納められているわけだから、その人たちが現実にいろいろな対応ができるようにする訓練というのは、実射以外に何があるんですかと聞いているんです。実射以外に何があるんですか。

徳地政府参考人 今の御質問の点につきましては、今後、どういう形が一番いいのかということをきちんと検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

山口(壯)委員 いや、ということは、まだそういう図柄も描いていないということですか。

 これからどういうふうな訓練をしていきたいか考えるというのは、武器はえらい高いものを購入するけれども、現実にはどういうふうにするかわかっていない。まさか、フライトシミュレーターを使う、こんな話じゃないでしょうね。

徳地政府参考人 SM3につきましては、平成二十二年度まで、BMD対処能力を付加したイージス艦によりますSM3のミサイルの発射試験を含めます装備認定試験を行うということを計画しておるところでございまして、その後の訓練のあり方につきましては、繰り返しになって恐縮でございますが、今後検討をするということになっております。

山口(壯)委員 省としての方針は今後検討であっても、局長として、例えば実射以外にどういう訓練があり得るかという見識は持っておられなければいけない。それはどうですか。

徳地政府参考人 繰り返しになって大変恐縮でございますが、今後検討をするということになっておりますので、現時点において、ではどういうことがいいのかということについては、まだ確たるものがあるわけではございません。

山口(壯)委員 現実に、答えられないというのが実態なんですよ。普通の答弁を私は求めているんですよ。そんなに難しい答弁でも、あるいは奇をてらった答弁でもない。現実に、実射がお金がかかって難しいのであれば、どういう訓練を、例えば可能性としてあり得ると考えておられるんですかと、極めて平易な普通の質問をしているんです。

 ミサイル防衛というのが、お金がかかるだけじゃなくて、非常に大事な部分がかかわっているから我々は聞いているんです。局長、もう少しきちっとした答弁をお願いします。

徳地政府参考人 繰り返しになってしまって大変恐縮でございますけれども、このSM3につきましては、発射試験が平成二十二年度まで行われるということになっておりまして、したがいまして、現時点におきまして、実際の訓練のあり方というものは今後検討をするということになっておるわけでございます。

 もちろん、弾道ミサイル攻撃への対応ということは、現在の我が国の防衛政策上極めて重要な課題でございますので、この効果的な運用体制の確立に向けまして、しっかり検討をいたしまして所要の訓練を実施してまいりたいと考えておるところでございます。

山口(壯)委員 徳地さん、効果的な運用体制の確立と今最後におっしゃっているんですけれども、それは具体的にはどういうことを考えておられますか。

徳地政府参考人 お答えを申し上げます。

 ミサイル防衛につきましては、自衛隊法の改正によりまして、弾道ミサイルの破壊措置についての手続が決められております。これに基づきまして整々と、実際に弾道ミサイルが飛んできたときに、この手続にのっとってきちんと弾道ミサイルの破壊を行って、我が国の安全を確保することができるようにするということ、そういう意味で申し上げたものでございます。

山口(壯)委員 私、ちょうど防衛庁に、最初運用課に出向したときに、災害派遣の担当もやっていました、空の担当とそれから災害派遣の担当。毎年九月一日に防災訓練をやる。手順は決まっているわけです、今徳地さんが言ったように。手順は決まっているけれども、その手順どおりにうまくいくかということを現実にみんながそろってやってみる。ああ、ここの連絡はおくれているね、ああ、ここはうまく伝わらなかったねということを実際に確かめる。それでも、実際の地震のときにはうまくいかない可能性というものを認識しながらやっていく。これが普通のあり方ですね。

 今、徳地さんが、法律なりあるいはインストラクションなりに基づいて手順だけ決めておこうかという話をされたわけだけれども、もしもお金がこんなにかかって、実際には、ある意味で試したことがない高価なシステムを持っているということであれば、それは何らかの方式を考えられた方がいいですよ。ちまたでは、では、かわりにフライトシミュレーターでも使おうかという話も聞こえるわけですけれども、フライトシミュレーターと実戦とを一緒にするような感覚というのは非常に危ないですね。

 そういう意味では、今、徳地さんは非常に答えにくいところを一生懸命役人として答えられたわけだけれども、石破大臣、政治家として、実際にミサイル防衛について、大臣がどういうふうにこれから現実の対応が可能になるように、防衛省の体制のみならず、実際のスキルを高めていかれようとしているのか、お聞かせください。

石破国務大臣 ミサイル防衛法制を制定いたしました。ですから、今委員がおっしゃった体制というのはそういうことも含むのだと思いますが、本当にそれがきちんと兆候がつかめている場合、つかめていない場合、対応できるかということについてはきちんとシミュレーションして、実際に動かないことがないかどうか検証する要があると思います。

 もう一つ、今委員が訓練のお話をなさいました。

 性能試験はやっておりますので、とにかく、それが間違いのない性能を持っているということは、我々認識をした上で導入をするものでございます。訓練をすることについてはどうかということでございますが、何しろ、一発、やたらめったら高うございますので、本当に訓練を行うということが、何度も何度も行うことができるかといえば、それは極めて難しいのではないかと思います。

 まさかフライトシミュレーターを入れるつもりじゃないだろうなというお話で、そのフライトシミュレーターの中身が、私、不勉強でよく存じませんけれども、きちんとしたコンピューターシミュレーションというものが行われるかどうか、それはやはり今後検討をしていくことになるのだと思います。

 決められたとおり飛ぶわけではありません。これから先、弾道ミサイルも当然、多弾頭化、MIRV化、あるいはおとりを入れるみたいなことがございます。きちんと決められたとおりに飛ぶミサイルは落とせるが、そうじゃないものは落とせないというと、ほとんど抑止効果もございませんので、いろいろなものをデータとして入れながら、我々が入れているSM3にしてもあるいはPAC3にしても、きちんと機能するかどうか、それは当然、運用企画局あるいは海幕、空幕あるいは統幕、そこにおいてきちんとした実証というものをやっていくことになります。そうしなければ意味がないことは、私、委員の御指摘のとおりだと思います。

山口(壯)委員 今、石破大臣からは、フライトシミュレーターも、もしも使えるのであればいいじゃないか、それはそのとおりでいいですよ。実際に、航空機のパイロットが練習するときに、フライトシミュレーターというのは非常に大事なものですから。

 だから、局長、余り守り守りの答弁だと我々はわからないことが多過ぎますから。きちっと答えていただいたら私たちも納得しますから。そこは、フライトシミュレーターも含めて検討するんだというふうにおっしゃっていただいたら、私はさっきの時点で納得していましたよ。今、大臣からそういう答えもありましたから。

 ただ、根っこの問題として、ここまでお金がかかるとは実は想定していなかったというポイントはあるでしょう。そういう意味で、本当にミサイル防衛というシステムがどれだけのお金がかかって、現実には、十発来たけれども一発ぐらいは落とせるだろうという話であれば、それはそういうものとして認識しておかないと、現実に国民のみんなは、何発飛んできたってイージス艦というのは十方向でも二十方向でも同時対応できるんだから大丈夫なんというのは、むしろ正確な描写じゃないですね。

 だから、現実をうまく伝えていただきながら、このことに対してこれから、SM3の「こんごう」について性能確認試験が行われただけで、あと三隻残っているわけでしょう。あと三隻についても、これから二十二年までにやるということがあったけれども、それは性能確認試験にすぎないわけですから。

 ちなみに、航空自衛隊のPAC3については、同じような性能確認試験の予定はあるんでしょうか。

徳地政府参考人 航空自衛隊につきましては、平成二十年度、それから平成二十一年度におきまして、PAC3システムの機能等を確認するための発射試験、すなわち性能確認試験をアメリカの演習場で行うということを計画しております。

山口(壯)委員 これについて、またさらにいろいろ議論をさせてもらいましょう。そのことによって、防衛省がミサイル防衛についてきちっとした対応ができるというふうな方向に、私の質問でもって一つでも行っていただければと思いますので。

 それから、大臣、これは大臣になられる前の書物ですね。いろいろなことをいろいろな意味で考えられるというのは私もよく理解しますし、そのことは別に問うつもりはないんです。

 他方、いわゆる思いやり予算、昔、金丸さんが言われたという思いやり予算ですね。労務費、光熱費それから訓練移転費。この思いやり予算について、もともと地位協定にも書いてないんですから、現実にはもうそろそろ卒業すべきじゃないか。

 中身が、スロットマシン修理工とかマッサージ師とかあるいはバーテンダーさんとか、そういうものが入っている可能性がある。二万五千人のうち二万三千五十五人まで見るのであれば、ほとんど入っている可能性が高い。ならば、果たしてこれがいい形だろうかということに関しては疑問があります。大臣もそのことを言われたんだろうと思います。

 今配付していただいた資料の中で百七十二ページのところに、石破大臣がこう言われたということになっています。「アメリカ人は嫌な顔をするけど、「思いやり予算」はもっと減らす余地があると思うんです。アメリカにしてみれば、「世界中が日本を見習ってもっとお金を出せ」と言っている立場だから、その日本が思いやり予算を減らしちゃったらたまらんでしょうけどね。」

 これは、私は素直にそのまま入ってきますよ、すとんと。それは非常に健全な発想だと思うし、そのことについて、外務省がとりあえずは窓口でやっているけれども、やはり防衛省が雇用するわけですから、大臣、そういう発想を伝えられましたか。

石破国務大臣 日本の納税者が納得するものでなければだめだということは、私は、アメリカ側に対して、前の長官のとき、あるいは長官を離れた後、そして今も、日本の納税者がきちんと納得するものでなければだめですよということは何度も申し上げております。その問題意識は全く、大臣になる前もなった後も変わっているものではございません。

 他方、長島委員とのやりとりでもございましたが、非対称的双務性を持ったこの日米同盟、日米安全保障体制において議論をしますときに、やはり他国と同列に論じられる部分と論じられない部分があるのだろうという意識もございます。

 いずれにしても、これは納税者が納得できるもの、そしてできるだけ減らさなければいけないということ、やはりその思いは、納税者の代表として我々は持っていかなければいけないことだと思っています。

山口(壯)委員 これで終わりますが、最後に、大臣、短くていいです。思いやり予算をずっと継続していくべきとは思っておられないでしょう。そのことについて一言。

石破国務大臣 ずっと継続していくべきかどうか、それは私が主体性を持ってお答えできるものではございません。これは、外務省がむしろお答えになるのがふさわしいし、委員は外務官僚でいらっしゃいましたから、もっと高い見識をお持ちなのだと思います。

 ただ、この非対称的双務関係というものを念頭に置いたときに、思いやり、特別協定というものは、やはり私ども日米同盟の効果的な円滑な推進のために相当の役割を果たしているという認識は持っておりますし、これが今後大きく変わるということは考えにくいのではないか。感想めいた答弁で恐縮でございますが、そのように思っておるところでございます。

山口(壯)委員 この問題についてはさらにいろいろ議論しましょう、本質的なことですから。

 質問を終わります。

嘉数委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、まず法案について聞きます。

 今回の自衛官の定数変更の大きな要因は、情報保全隊の改編であります。

 まず、今回の改編で情報保全隊の何がどう変わるのか、そして部隊の規模、これはどうなるのか、説明していただけますか。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 今御質問のありました情報保全隊でございますけれども、まず、任務は、部隊等の情報保全業務のために必要な資料及び情報の収集、整理等を行うことを任務としているわけでございます。

 そして、先ほどもちょっと議論がございましたけれども、外国による諜報活動から防衛省・自衛隊が保有する重要な情報を防護する機能を強化するため、今般、情報保全組織を見直すこととして、各自衛隊に設置されている情報保全隊、これの新編等を行うこととしたわけでございます。

 具体的には、いわゆるカウンターインテリジェンスに関する情報の効率的な収集、共有等を図るため、これまで三自衛隊に設置されておりました情報保全隊を統合いたしまして、自衛隊情報保全隊、これは仮称でございますけれども、として新編することとしたわけでございます。

 規模等について御質問がございましたけれども、平成十九年度末は九百三十一名でございますが、平成二十年度予算では三十五名の増員を行う、計九百六十六名というような形になろうかというふうに思います。

 以上でございます。

赤嶺委員 情報保全隊は、二〇〇三年三月に、それまでの調査隊、これを再編強化して新編された部隊であります。

 今回、さらに改編を行うことにしたきっかけ、要因、これは何ですか。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 今般、自衛隊の情報保全隊として新編を行うこととなった理由でございますけれども、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、国の安全に直結する情報を私ども多数保有しているわけでございますけれども、やはり常に外国によります諜報活動の脅威にさらされているわけでございまして、また、一連の情報の流出事案というのもございました。そういった発生等を受けまして、やはり情報保全体制の強化が必要だというふうに認識しているところでございます。

 そういった観点から、今般の自衛隊の情報保全隊の新編を行ったところでございます。

赤嶺委員 そうしますと、今、米軍再編のもとで、日米間の情報の協力と共有が進められております。こうした動きと一体で秘密保護の体制強化も進められているわけですね。去年の八月には、2プラス2の合意に沿って、日米軍事情報包括保護協定、GSOMIA、これが締結をされました。

 こうした秘密保護の体制強化と今回の情報保全隊の改編、この関係について説明していただけますか。

松本政府参考人 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、基本的には、私ども、いろいろ秘密の情報というのを保有しているわけでございますけれども、常に外国による諜報活動の脅威にさらされている。

 そういった観点から、今般、自衛隊情報保全隊というのを新編を行ったわけですけれども、今委員から御指摘のありましたGSOMIA、これもやはり情報保全体制の強化、そういう意味では、情報保全体制の強化という観点から同じ目的を持っているというふうに考えていただければいいというふうに思います。

赤嶺委員 二〇〇五年十月の日米合意、これには「部隊戦術レベルから国家戦略レベルに至るまで情報共有及び情報協力をあらゆる範囲で向上させる。」「関連当局の間でより幅広い情報共有が促進されるよう、共有された秘密情報を保護するために必要な追加的措置をとる。」このように明記しているわけですね。これを受けてGSOMIAが締結をされました。

 去年の十一月は、石破大臣とゲーツ国防長官との間で防衛首脳会談が開かれまして、日米防衛協力を一層強化するためには、日米で共有する情報の保全が極めて重要であるとの認識で一致、このように述べておられます。

 今回の改編がやはり日米一体化の動きの中に位置づけられたものであるということを、今の答弁を聞いていても非常に強く実感をいたしました。

 情報保全隊は、他国の軍隊の働きかけから秘密を保全するだけではなくて、昨年、我が党が明らかにしましたように、自衛隊の活動に批判的な市民や団体、政党の活動を日常的に監視し記録していたわけです。この詳細は、私どもの志位委員長が公表したところであります。このような部隊の強化は私は絶対に認められないということをまず指摘しておきたいと思います。

 それで、今回の自衛官定数の変更の中に、航空自衛隊で築城ラプコンの拡大ということで四人の増員が盛り込まれております。築城ラプコンの拡大とはどういうことですか。

徳地政府参考人 お答え申し上げます。

 築城の進入管制区で実施をされておりますターミナルレーダー管制業務につきましては、航空自衛隊の築城の管制隊が主に築城飛行場を離着陸する航空機を対象として行っておりましたけれども、本年三月十三日より、築城の進入管制区の北側に位置をいたします民間の新北九州空港、山口宇部空港、それから航空自衛隊の防府飛行場、海上自衛隊の小月の飛行場に離発着をする航空機等に対しても、国土交通大臣からの委任を受けましてターミナルレーダー管制業務を実施するために、進入管制区を北側に拡大をしたところでございます。

 この築城の進入管制区の拡大によりまして、新北九州空港それから山口宇部空港を離発着する航空機の遅延が改善されるとともに、航空自衛隊の築城、防府飛行場それから海上自衛隊の小月飛行場を含めまして、周辺空域におきます航空交通の安全性、効率性の向上に寄与することになるものと考えております。

赤嶺委員 国土交通相の委任を受けたとおっしゃっていましたけれども、そうすると、自衛隊の方は従来の設備でその業務がこなせるんでしょうか。今回のラプコンの拡大に伴う機材や施設整備の内容、これは新規にまた拡大していく、機能を強化していくということもあるんでしょうか。

徳地政府参考人 お答えを申し上げます。

 この築城の進入管制区の拡大につきましては、平成十八年の三月に新北九州空港の開港に伴いまして、山口宇部空港を含めまして、周辺空域の航空交通量が増大したという事情がございます。そして、新北九州空港と山口宇部空港の離発着便に遅延が慢性化をしているという状況があったと承知をしております。

 国土交通省の方は、遅延対策といたしまして、当該空港周辺空域におきますターミナルレーダー管制業務の実施が必要であるというふうに判断をされたものというふうに承知しておりますけれども、国土交通省の方ではこれら空港の周辺空域を管制できるレーダーを有していないということから、現有のレーダー能力でこの空域のレーダー管制業務が実施可能な航空自衛隊の築城管制隊にターミナルレーダー管制業務を委任したいというお話が平成十八年の八月に防衛省の方にあったわけでございます。

 したがいまして、航空自衛隊の方では、現有のレーダーによりまして管制業務の委任を受けるということになったわけでございますけれども、他方におきまして、築城ラプコンの拡大に伴いまして、関連機材、すなわち管制用のレーダー表示装置でありますとか、通信の管制卓でありますとか、あるいは調整管制卓、あるいは無線機器等を取得する必要がございます。それから、プログラムの追加でありますとか、あるいは対空送信所の改修等の施設整備も必要となっておりまして、関連機材につきましては約一・七億円、プログラムの機能追加には約〇・二億円、それから施設整備の方には約〇・四億円が二十年度の予算措置として、以上契約ベースでございますが、計上をされておるわけでございます。

赤嶺委員 現有の機材で可能だと思って引き受けたけれども、築城基地に新たなレーダーの設置とか施設整備が必要になったというお話でございます。

 新北九州空港の開港に伴う遅延解消が目的と繰り返されているわけですが、国土交通省、いらっしゃっていますね。国土交通省に聞きますけれども、新北九州空港が開港される前にこういう問題が起こる可能性は認識していなかったんですか。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、十八年三月に新北九州空港は開港いたしましたけれども、それまで運用されておりました昔の北九州空港では、一日当たり発着ベースで十便の交通量がございました。この時代には、特段遅延の問題は発生しておりませんでした。

 もちろん、新北九州空港の整備に際しまして我々は需要予測を行ったわけでございますけれども、それなりにふえるという予測はございました。しかしながら、具体的にそのふえる予測がどういうダイヤになるかということについては、我々は予測が困難でございました。これは、航空会社がそれぞれの機材繰りでありますとか需要の状況などを見て経営判断を行うものでございまして、我々では予測は困難でございました。したがいまして、これは開港後の状況を見ざるを得なかった、こういうことでございます。

 新北九州空港開港後、実際のダイヤ設定を見ますと、朝夕のピーク時間帯において、山口宇部空港に離発着する航空機との間で出発や到着が重なるということがございます。これによりまして、遅延が発生するという実態が明らかになりました。

 したがいまして、我々といたしましては、これを解消するために検討を開始し、先ほど防衛省からも答弁ありましたとおり、防衛省とも調整をし、防衛省の方にターミナルレーダー管制の導入をお願いしたわけでございます。

赤嶺委員 それでは防衛省に聞きますけれども、自衛隊が管制を行う場合、民航機に対して軍用機を優先することは全くないということですか。

徳地政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊が管制業務を実施する場合には、航空法の百三十七条の第三項に基づきまして、国土交通大臣から委任をされた業務を実施するということになっております。それから、同じ第百三十七条の第四項によりまして、国土交通大臣の統制を受けるということとされております。

 そして、自衛隊の管制官の行う管制業務というものは、国土交通省の管制機関と同様の基準に従って実施をしておりまして、民間機よりも自衛隊機が優先されるというようなことにはなっておらないものでございます。

赤嶺委員 今回の措置をとったことによって、自衛隊は空域全体について管制を行い、行き交う航空機に対して指示を出すことができるようになるわけですね。

 そうしますと、自衛隊の運用上、何かやりやすくなるという点はありますか。

徳地政府参考人 先ほど御答弁を申し上げましたとおり、防衛省といたしましては、新北九州空港、それから山口宇部空港の離発着便につきまして、これを自衛隊のレーダーでもってとらえることが可能な状況にありますので、委任を受けてこの業務をやることとしたわけでございます。

 他方におきまして、この二つの空港の近傍に所在をいたします海上自衛隊の小月の飛行場、それから航空自衛隊の防府の飛行場を含めましたターミナルレーダー管制業務、これを一元的に航空自衛隊の築城管制隊で実施することになりますので、民間航空機と自衛隊機双方の安全で効率的な運用に寄与し得るというふうに考えておるところでございます。

赤嶺委員 今後、築城では、タイプ2の訓練や、あるいは緊急時機能の移転に伴う訓練なども想定されています。

 こうした大規模な演習を行う場合に、民航機の運航に影響を与えることはないのか懸念いたしますし、そういう演習の場合に民航機の運航との関係でどういう調整を行うことになっているんですか。

徳地政府参考人 お答え申し上げます。

 昭和四十六年の雫石事故を契機といたしまして、同じく昭和四十六年の八月でございますけれども、航空交通安全緊急対策要綱というものが定められております。これに基づきまして、航空路等の空域と自衛隊が訓練なり試験を行う空域というものは分離されることとなっております。そして、自衛隊の訓練・試験空域につきましては、この要綱におきまして、防衛大臣と国土交通大臣が協議して公示をするということとされておるわけでございます。そして、こうした手続のもとで、常時、常に設定をされる自衛隊の訓練・試験空域につきましては、航空路誌、AIPにおきまして航空関係者に周知をされております。

 それから、大規模な演習時におきまして、さらなる訓練空域が必要となる場合につきましては、その都度国土交通省に対して申請をいたしまして、承認を得て臨時の訓練空域を設定しておりまして、この臨時の空域につきましても、国土交通省の方から公示をされて、航空関係者に周知をされているということになっております。

赤嶺委員 演習のために民航機の航行に何らかの変更を加えることはあるんですか。

徳地政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、演習が行われる場合につきましては、自衛隊の訓練空域において行われるということになっておりまして、そして、これは航空路等の空域と分離をされるということになっておるところでございます。その意味で、民間航空交通との関係で調整が図られているものでございます。

赤嶺委員 今回とられた措置は新北九州空港の開港に伴う遅延解消が目的だということを繰り返してこられましたけれども、ただ、隣の管制空域は岩国基地であるわけですね。その岩国には大量の空母艦載機が移駐する。そして、築城や新田原では日米共同訓練や普天間の緊急時機能が移転をされる。そうした場所で自衛隊の管制空域が拡大される。これはやはり、結果として米軍再編に沿った軍事機能の強化になりかねない、こういう危惧を持つものです。そういう指摘をしておきたいと思います。

 米軍再編の関係で、もう一点、ちょっと確認しておきたいんですが、これまで防衛省は、二〇〇八年度から新田原基地での施設整備に着手をして、滑走路や駐機場、誘導路の補修、隊舎や食堂の整備を行うと説明してきました。ところが、現在の滑走路の補修工事をする間、仮滑走路を建設する、しかも、その滑走路は工事終了後も残す方針という報道がありました。

 改めて、新田原で何を建設するんですか。仮滑走路はどうするんですか。これを説明してください。

地引政府参考人 お答えいたします。

 これまで米軍機によります訓練移転では、いわゆるタイプ1型規模の場合、最大で米軍戦闘機は五機、人員五十名が一週間程度滞在して、そのため、この人員及び機材等を運搬するためにC130クラスの輸送機が使用されたわけでございます。

 また、タイプ2の訓練につきましては、最大で米軍戦闘機十二機、人員約二百名が二週間程度滞在し、そのために必要な人員、機材等を輸送するために大型輸送機の使用が想定されているところでございます。

 一方、新田原基地の施設を見ますと、タイプ1訓練の受け入れは可能でございますけれども、タイプ2訓練の受け入れは困難であることから、基本的に大型輸送機が離発着できること、二百人の米軍人が滞在できることを念頭に施設整備を行っているものでございます。

 具体的な施設整備の内容を申し上げますと、滑走路につきましては、現在、自衛隊のF4戦闘機の離着陸が行われておりますけれども、訓練移転で通常使用される米軍の大型輸送機の離発着を想定した路面強度が必要なことから、かさ上げし、所要の整備を行うものでございます。

 次に、仮滑走路につきましては、本滑走路のかさ上げ工事期間中使用するものであることから、コンクリートではなくアスファルト舗装で仮滑走路を整備いたしたいと思っておるところでございます。

 また、宿泊施設につきましては、タイプ2の訓練を受け入れることを考慮して、最大で二百人程度が利用できる隊舎、食厨施設等を整備するものであります。

 その他、駐機場、誘導路、空港監視レーダーを整備いたしたいというふうに考えている次第でございます。

赤嶺委員 仮滑走路はどうするんですか。

長岡政府参考人 仮滑走路でございますけれども、先ほど御答弁ありましたように、本滑走路の工事中の運用を確保するための工事期間中のみ使用する仕様でございますので、本滑走路の工事終了後は仮滑走路としての航空保安施設とかバリア等は本滑走路の方へ移転をいたしますので、その後は滑走路としては利用できないものでございます。

 他方、仮滑走路を撤去するといたしますと約二億円ぐらいかかるのではないかと見込まれておりまして、今のところ、これは残置する方向で検討させていただいておるところでございます。

赤嶺委員 なぜ仮滑走路をつくる必要があるかという問題があると思うんですよ。

 過去にも新田原で滑走路の補修を行ったことがあります。その場合、工事期間中、部隊はどうしていたんですか。

長岡政府参考人 昭和五十五年から五十六年にかけて滑走路のかさ上げ工事をやっております。この期間中、新田原基地の飛行部隊でございますけれども、これは航空自衛隊の築城基地それから小松基地に移駐をいたしておりましたため、仮滑走路は設置をいたしておりません。

赤嶺委員 仮滑走路は設置しないで滑走路の補修をやったわけですね。今回とる措置と矛盾している。やはりおかしいなとちょっと感じるわけですが、仮滑走路はどういう規模のものを建設するんですか。

地引政府参考人 お答えいたします。

 仮滑走路は、本滑走路のかさ上げ期間中使用するものでありますということから、コンクリートではなくアスファルト舗装とすることを考えている次第でございます。

赤嶺委員 規模を聞いているんですが。

地引政府参考人 お答えします。

 本滑走路と同じ二千七百メーターの長さの規模でございます。

赤嶺委員 仮に、完成後に仮滑走路を残す場合に、それが使われるということはないんですか。完成した滑走路上で航空機が事故を起こした場合とか、そういういろいろな緊急時の場合など、仮滑走路を使用することはありませんか。

長岡政府参考人 仮滑走路でございますけれども、工事が終わりますれば、そこの施設というものは本滑走路の方へ移しますので、仮滑走路は滑走路としては基本的には利用できなくなるというふうに考えております。

赤嶺委員 仮滑走路の建設など、いろいろな施設の整備について地元の自治体は何と言っているんですか。

地引政府参考人 お答えいたします。

 関係自治体等の関係で申しますと、移転訓練等に係ります施設整備の概要については事前に通知するというお約束をしております。

 したがいまして、新田原基地の施設整備につきましては、平成十九年の十二月十九日に九州防衛局におきまして、地元関係自治体に対しまして、タイプ2の規模の訓練が実施できるようにするために、平成十九年度補正予算及び平成二十年度予算で滑走路、誘導路、隊舎等の整備を行いたい旨御説明いたしたところでございます。

 その時点で、特に反対というお話は賜っておらないという状況でございます。

赤嶺委員 そうじゃありませんでしょう。排水路について大変な不安が出ていますでしょう。今までもかさ上げするたびに基地の中の排水が田んぼの中に流れてくるとか、あるいは山林のがけの崩落が起きるとか、今度、仮滑走路をつくれば排水量はこれまでの対策の比ではない、調整ダムをつくる必要がある。調整ダムをつくったら三十億円ぐらいかかるんじゃないか。さっき撤去費用が二億円かかると言っていたんですが、撤去しないで置いておくと調整ダムをつくるのに三十億円かかる、こういう問題があると思うんですが、防衛大臣、いかがですか。

地引政府参考人 お答えいたします。

 地元への御説明の際、地元からは排水について調査の御要望がございました。これを受けまして、防衛省といたしましては、排水の流出流量でありますとか予想雨量等の調査について平成二十年度に調査する予定でございまして、この調査結果を踏まえまして、地元に負担をおかけしないような対策というものを考えてまいりたいというふうに考えている次第でございます。

赤嶺委員 仮滑走路を撤去したら費用がかかるという議論はしますが、残した場合にどのぐらいの費用がかかるかという議論を全く明らかにしないでそういう話が出ていくのは、本当によく考えるべきじゃないかと思います。

 もう時間がありませんので、最後に、大臣に辺野古の問題について伺いたいと思います。

 環境アセス手続が始まったようでありますが、これまで防衛省が、沖縄県の理解も得られないまま方法書を一方的に送付したり、あるいはその一方で、方法書の確定をもって行われるべき環境調査を掃海母艦「ぶんご」や自衛隊員まで動員して事前調査を強行しました。このような非民主的な手続に対して、沖縄県内でごうごうたる批判が上がりました。

 今度は、方法書の審議が開始をされると、沖縄県の環境影響評価審査会の専門家からは再三にわたってその内容の不備が指摘され、方法書の書き直しという異例の知事意見もつけられました。前の日本環境アセスメント学会会長の島津康男先生は、我が国のアセス史上最悪の事例と言ってよい、その理由はアセスの意味を無視した事業者の傍若無人にある。学者がここまで厳しく批判するのかと思うぐらい、このアセスの手続、内容について、最悪の事例と批判されたわけです。

 事業者は防衛省ですから、事業者である防衛省が環境アセスは念には念を入れてきちんとやらなきゃいけないものが、しかし、専門家から、学者からこんな厳しい批判が上がっている。これについて石破大臣はどのように受けとめておられますか。

石破国務大臣 環境影響評価につきましては、三月十四日に環境影響評価の追加・修正資料の修正版を沖縄県に送付させていただきました。その内容は公表させていただき、翌日から気象調査等を開始したものでございます。大気質に係る気象調査等を開始し、その後も方法書に沿った調査を逐次進めているところでございます。今後とも、環境影響評価について県などとよく調整をしながら、円滑、適切に進めていきたいと思っております。

 先生御指摘の島津先生の寄稿でしたか、私も拝読はいたしました。最悪というふうな御指摘も私も読みました。私自身、いずれにしても、沖縄の方々の御理解を得るための努力というものは、最大限誠心誠意しなければいけないと思います。

 そして、委員御指摘の非民主的というふうに言われるようなことを極力避けるための手だてというのはやらなければいけないと思っております。

 一昨日も協議会があったところでございますが、沖縄の方々と緊密によく意見交換をしながら、そういうようなそしりを受けることがないように今後とも努力をいたしたいと思っております。

赤嶺委員 大臣、大臣はお知りの上でそういう答弁をなさったかどうかわかりませんが、今、アセスの調査に入ったとおっしゃっておりましたが、結局、アセスの中身は二回三回書き直しされたんですよね。最終的に確定したアセスの方法書というのは県民に公開されていないんです。県民の意見も寄せていないんです。

 ただ、行政の手続だけで確定しました、これでいいですねと。アセスというのはそうじゃないですよ。みんなの意見を聞く、特に自然環境の非常に厳しい地域だからそういうことを聞く。こういうことを言ったら、いや、法と条例にのっとった項目は満たしているんだと。しかし、県の意見書は、法と条例の項目を満たせばそれでいいというものじゃないだろうということまで厳しい指摘をしているわけです。

 やはり防衛省は、今やっていることも非民主的なアセス手続だ、撤回してもう一度アセスをやり直すべきだということを申し上げて、私の質問を終わります。

    〔委員長退席、北村(誠)委員長代理着席〕

北村(誠)委員長代理 次に、辻元清美さん。

辻元委員 社民党の辻元清美です。

 きょうは、防衛省設置法の一部を改正する法律案について、特に今回組織改編を予定されております自衛隊情報保全隊、それから防衛省の情報の取り扱いについて、そして男女共同参画推進企画室というものが新設されるようですけれども、そのことなどについて質問をしたいと思います。

 まず最初に、男女共同参画推進室のことから質問したいと思います。

 これは防衛省に初めて新設されるということですけれども、どのような取り組みをされるんでしょうか。

渡部政府参考人 お答えいたします。

 御質問の男女共同参画推進室でございますけれども、今年度、人事教育局に新設する予定でございまして、ここにおきましては、女性自衛官等のためのいろいろな施策を展開しているわけでございますけれども、そうした施策に関する全般的な調整というものを行いますとともに、一つは、女性自衛官の活躍の場を広げるための職域あるいは職種の拡大の検討といったこと、それから育児休業制度その他の子育て支援施策がございますけれども、こうした施策の検討、推進といったものを所掌する予定にいたしております。

 また、関係各課の関連する施策としましては、例えば、庁内の託児施設の整備でありますとか、あるいはセクシュアルハラスメントの防止でありますとか、いろいろ施策がございますので、そういった点を全般的に調整するということを考えております。

辻元委員 大臣、今回新設ということですけれども、私はちょっと遅いなと思いますよ。

 特に防衛省の内部で、後で質問しますが、昨年のちょうど今の時期に私はセクシュアルハラスメント問題を取り上げました。さまざまな声が届いているんですね。防衛省の中の男女共同参画推進企画室新設ということですが、ちょっと遅かったと思いませんか。強化していく御決意をまず聞きたいと思います。

石破国務大臣 もっと早くすべきであったという御指摘を受けるとすれば、そのとおりだと思います。これが遅きに失したということにならないようにしていかなければいけませんし、ただ、自衛隊という、ある意味で、ともすれば閉鎖的になりがちな、そういうような集団においてこういうセクシュアルハラスメントみたいなことが起きないようにするためには、その体制をより強化する必要性は私も感じておるところでございます。

辻元委員 昨年私が取り上げました女性自衛官へのセクハラ事件というのは裁判になっております。これは暴行事件です。それで現在も続いております。

 この一年どのような取り組みをなさったのか。去年私が質問しましたら、今までセクハラなどに対する調査は一回しか行われてこなかったと。これは非常に問題じゃないかということを指摘しました。そうしましたら、速やかに調査するというような趣旨の回答でございました。

 この一年間調査をされて、どのような結果が出ているんでしょうか。

渡部政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年四月、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律、男女機会均等法ですかが改正されまして、事業主が講ずるべき具体的な措置が強化されたということでございます。

 これに伴いまして、防衛省におきましても、訓令等の改正を実施いたしまして、今御指摘のアンケートでございますが、昨年八月に実施いたしておりまして、省内におきますセクシュアルハラスメントの現状把握に努めたというのが一点ございます。それから、セクシュアル・ハラスメント防止週間というものを新設いたしまして、これは昨年、十九年十二月四日から十日までの一週間設けたわけでございますけれども、この防止週間におきまして、全職員を対象とした教育の実施でありますとか、セクハラ防止に関するパンフレットの配布でありますとか、あるいはホットラインの設置といったようなことを実施いたしまして、私どもとしましては、改善を図ったということでございます。

 その調査でございますけれども、昨年八月に意識等調査を実施したわけでございますが、現在、最終的に取りまとめている段階でございまして、今月中にはオープンにできるのではないかと思っております。

 できました暁には、もちろん、辻元先生の方にも御説明さしあげたいと思っておりますが、もしよろしければ、概要を……(辻元委員「今は……」と呼ぶ)よろしいですか。

辻元委員 私が聞きたかったのは、一年たって、やっと調査の結果をまとめて間もなくオープンにするというのは、遅いと思うんですよ。昨年、アメリカの事例も申し上げました。もう速やかに、特にこの女性差別やセクハラ問題というのは最緊急課題というように各国は認識されているわけですね。

 大臣、一年たっても、まだアンケートの集約が間もなくというような現状なわけですね。改善していただかないと困ると思いますね。どうですか。

石破国務大臣 いずれにしても、こういうような、結果を早く出さなければいけません。そして、委員の御指摘を受けて久しぶりに調査をやったということですが……(辻元委員「久しぶり、それじゃ困る」と呼ぶ)ですから、それは、本当にどういうふうに改善をしているかというのをきちんと見ていかなければいけないという問題意識を持っておりまして、これの頻度というものもよく考えていかねばならない。だから、何年もたってまた一回やりますというようなことであってはいけないと思っております。

辻元委員 昨年、どういうような訴えがあるかということを聞きましたら、平成十一年度から十七年度に件数は三百八十件あったと。どういうような処分をされているかという資料を今回いただきましたが、例えば、この年度間に幹部の方で、停職十七名、減給三名、戒告三名、幹部も二十三名ですよ。准そして曹、これは停職十二名、減給六名、戒告五名と。幹部もかなり処分。これは、訴えがあった中で、内部での処分ですけれども、ちょっと国際的にも恥ずべきことだというように私は考えます。

 さてそこで、もう一点だけ伺いたいんですが、セクハラ案件の場合は、特に、閉鎖的な、そして男性が多い職場の場合は、女性は訴えるのがすごく難しいわけです。それで上官もいるわけですよ。そして、今示したような事例でも幹部の方でも処分されているという実態ですから。そうすると、相談員がまた内部の上司であったり、同じ部隊に所属する関係者であったりということであれば、相談しにくいと思いますね、大臣。これは大臣にお聞きしたいと思うんです。すごく大事なことですよ。

 やはり外部の第三者も含めて、例えば、被害を訴える隊員が自分の弁護士を同行して相談員と相談できるような対策を打つとか、または、今相談員は内部の者になっているようですが、第三者的なちゃんとトレーニングを受けた相談員を置くとか、そういうことも検討していくべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

石破国務大臣 委員御指摘のように、ともすれば閉鎖的、一般のお客様相手に仕事をしているわけではございませんので、実際そういうところもございますので、閉鎖的になりがちだ、そして階級社会である。

 だから、そういうところで、セクシュアルハラスメントというのは別に女性ばかりではなく男性もあるのでしょうけれども、とにかく、きちんとそういう悩み、問題を訴えやすいシステムというのは今後も考えていかなければいけないし、今、電話相談などというのは外部の方に対してできるようになっていますが、そういう体制がもっとできないかということ、もう一つは、女性隊員が女性に相談できるような仕組みというものもちゃんとつくっていかねばならないと思っております。

 もちろん、いろいろな制約もございまして、パーフェクトというわけにはまいりませんが、よりよい方法がないかということにつきましては、委員の御指摘も踏まえながら努力をしてまいりたいと思います。また御指摘を賜りますようお願い申し上げます。

辻元委員 今申し上げた、案件によってはやはり弁護士も伴って内部での調査を受けるとか、そういうことも含めて御検討いただきたいと思いますが、いかがですか。国際的な流れですよ。大臣、どうですか。

石破国務大臣 私も不勉強で、国際的な情勢について必ずしもすべて知悉をしておるわけではございません。ただ、人権の問題でございますから、弁護士というものをどのように活用するかという問題意識は持って、今後内部で検討をさせたいと思います。

辻元委員 この問題は裁判の進展もございますので、また引き続き取り上げていきたいと思いますが、速やかにアンケート調査を出していただきたいと思います。

 次に、情報関係の取り扱いについてです。

 先ほどから、今回新設されます自衛隊情報保全隊というのが一つに統合されるということなんですが、この情報収集の対象、それから、その対象はどういう基準で限定または選定するのかをお示しください。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 今般新編されます自衛隊情報保全隊の情報の対象でございますが、これについては、外部から例えば部隊でありますとか隊員等に対して情報漏えい等の働きかけがある場合がございます。そういった行為に対しまして、部隊でありますとか隊員等を保全するために必要な情報の収集活動、こういったものが情報保全隊で行われるものでございます。

 それに加えて、今回、委員からも御指摘がありましたように、現在三自衛隊にございます情報保全隊を統合するような形になってございますが、これについては、さらにそこの中でカウンターインテリジェンスに関する情報の効率的な集約、共有等を図るというものでございます。

 そういう意味では、基本的には、情報の対象というのは大きく変わるものではございません。

辻元委員 そうしますと、もう一度整理をしておきたいんです。というのは、情報を取り扱う際に、やはり基準というものをはっきり示さないといけないと思うんですね。

 例えば、私の手元に、「情報流出対策会議における部外有識者の主な意見」というところで、例えば外国からのカウンターインテリジェンス、大きな焦点になっておりますけれども、対諸国との関係もあるので、「対策の在り方」で、一番目には、「情報保全体制の確立は、外国の政府や議会等の関係者も含め広く対外的に理解しやすい保全策を構築し、公示する必要がある。」と、ある程度基準と、日本はこういう形で情報の保全を図りますよということを、何でもかんでもめったやたらに秘密、秘密、秘密というわけにもいかず、これはやはり対外関係だけではなく情報を扱う際の憲法との関係、集会、結社の自由や内心、良心の自由などいろいろな憲法との関係、人権との関係。情報というのは難しいんですよね。

 ですから、そこをしっかり内部でも基準を踏まえなければいけないし、公示できるところは、こういう形でやりますよというのをある程度公示しないと、不信感を招くと思うわけです。

 もう一つ確認したいんですが、そうしますと、外国から、情報をとってやろうということで、国内とか諸外国で、防衛省関係者、自衛隊員や背広組の人も含めて、情報関係者が接触してくる。そうすると、情報を漏らしてしまう。まず防衛省の中の人たちの情報管理が問題なわけです。よく、ハニートラップだとか、お金を上げるから情報をちょうだい、これって国際的に、しょっちゅうやっていると言ったら語弊がありますけれども、常套手段でいっぱいやっているわけですよ。しかし、そこで情報を漏らすかどうか、ここが問題なんでしょう。

 ですから、アタックしてくるものを、ここもアタックがないようにいろいろ集めて、あそこは怪しい、ここは怪しいというのもわかりますよ。でも、まず一義的には自衛隊の内部じゃないですか。自衛隊の内部で情報を漏らさないように、漏らしているような、そんなことをしていたら危ないでと、危なそうなものに注意するとか調べるとかということが一つですね。

 それから、外国などからの、今カウンターインテリジェンスと言いましたよね。もう一つ、国内はどうなんですか。というのは、先ほどから出ております、市民集会などに行っていたという話がありました。一部国会議員の集会に出られた発言とか、それから報道関係者の発言も一部反自衛隊的というレッテルを内部で張っていたとか、このようなこともありましたね。指摘されて批判を受けました。内部で情報を漏らしたり、大事なことを漏らしたり、流出しているのに、何をしてんねん、市民を監視しているのかという批判を受けました。

 今、最後に申し上げましたような国内的な案件、今回新設されるということなので、改めてお伺いしたいと思いますが、前に問題になって批判されたような案件は、今回の取り扱いではどうなるんでしょうか。

松本政府参考人 繰り返しの答弁になって恐縮でございますが、情報全体の任務というのを、部外から情報漏えい等の働きかけが例えば部隊とか隊員等にございますと、そういった動きに対しまして、部隊とか隊員等を保全するために必要な情報の収集、整理等を行うというものでございます。

 そういった観点からすると、当然のことながら部外の方というのも対象になる場合もございますし、それから、先ほど来先生がおっしゃっていた隊員自体も当然のことながら対象になる場合もございます。

辻元委員 その情報をとろうとする働きかけや、それ以外に、例えばこれは防衛省がお出しになっている情報保全隊の任務についてということで、職員に対して暴力を是認する意味の過激な政治活動の影響を与えたり、自衛隊法によって定められている規律に反することを示唆したりするなど職員を不当な目的に利用するための行動等の外部からの働きかけ等ということもあるわけですね。これはどういうことですか。これは情報とどういう関係があるんでしょうか。

石破国務大臣 情報保全隊という名前になっておりますが、今、情報と何の関係があるのかというお尋ねでございます。

 情報保全隊というのは、何も情報だけに特化したものではなくて、部隊の保全、先ほど次長が答弁をいたしましたように、部隊の構成員たる隊員に対して外部からいろいろな圧力が加わる、そういうものから部隊を守るという意味で保全ということを申し上げておるわけでございます。ですから、情報保全隊が扱いますのは、全く情報だけに特化をしているというものではございません。

辻元委員 そうすると、そういう圧力や外部からの働きかけがあっても、自衛隊員、防衛省関係者がしっかりしていればいいという話でしょう、一義的には。ですから、どこかに疑わしく何か働きかけをしてくる団体や活動があるんじゃないかというところに神経を使うよりも、内部をまず固めるということが大事じゃないんですか。そこができていなかったから問題が起こっているという認識じゃないですか。

石破国務大臣 内部がしっかりしておればいいのだ、それは御指摘のとおりでございます。

 しかしながら、一体、働きかける勢力というのも、それは遊びや冗談でやっているわけではなく、相当に、国益であるとかあるいはいろいろな信条であるとか、それを実現するためにありとあらゆる手だてを使って隊員に対して働きかけるということでありとせば、それはやはりどういうようなものがそういうような働きかけをするのかということを知っておかないと、隊員に対して、おまえらしっかりせいよ、何があってもそういうものに応じちゃいかぬよと幾ら言っても、どういうようなことなのかという、脅威認識という言い方は必ずしも適切ではないかもしれませんが、どういうような人たちがどういうことをしようとしているのかということも知っておかなければ、これは、隊の保全、部隊の保全というのはなかなか難しかろうと思っております。御指摘の趣旨はよくわかります。

辻元委員 大臣がおっしゃることもわかるんですよ。しかし、そこをよく考えなきゃ、熟慮しなきゃいけない点だと思うわけです。

 なぜかというと、やはり実力組織であるということ。それから、警察には公安警察というのがありますね。そうすると、ちょっと大臣の認識をお伺いしたいですが、公安警察の任務と、今おっしゃったような、部隊に対して働きかけがあったら困るから情報を収集する、例えば自衛隊の情報保全隊がイラク戦争の反対集会に行っていたということ、これはやはり批判を受けてしかるべきだと思いますよ。市民の側からしたら、何で自衛隊が監視しに来てんねんと思うに決まっているじゃないですか。

 イラク戦争に反対か賛成かというのは国会でも賛否が割れていますし、世論は真っ二つなんですよ。けれどもこれは政治案件ですから、政治案件でイラクから自衛隊は撤退しろという意識を世論とともに議会が決定したら、それに従って行動するのが自衛隊なわけですよね。撤退と決めたら撤退するわけですよ。自衛隊がいたいと言って行ったらあかんわけですから。

 世論というのは、そして世論形成、政治決定の賛否というのは、これは自由で保障されていることであるし、市民の健全な活動なわけですね。確かに、情報が欲しいというのはわかります。しかし、それに対して過度の監視や情報収集を自衛隊がするということはいかがかと言っているわけですよ。

 それでお聞きしますが、では、大臣の御認識は、公安警察と情報保全隊の先ほどのような活動の違いは何でしょうか。

石破国務大臣 公安警察というのは、公共の安全というものを目的として、警察権を持って行動しているというものでございます。

 先ほど、どなたからか警務隊との差という御指摘がございました。これは警務隊とも明らかに違うわけでございます。

 私どもとしては、本当に、部隊を保全するために、あるいは情報流出を防ぐ等々の目的を持って情報保全隊の新編をするわけでございますが、その違いというのは、やはり捜査権とかそういうものを持っているか持っていないかというところが違うのだというふうに思っております。あくまで目的は、部隊を守るあるいは情報を保全するということでございますので、そのために必要なことをきちんと行う。

 ですから、イラク戦争に反対する集会に行ったことの是非について、今委員の御指摘がありました。そういう御指摘をされる方もおられることはわかっております。私どもは私どもとして適切な行動をしたというふうに認識をしておりますけれども、市民社会を過度に監視するような、目的を逸脱するような、そういうような行動は厳に戒めていかねばならないというふうに思っております。

 言論の自由、結社の自由、集会の自由があることもよく承知をいたしておりまして、そういうものを脅かすような印象を持たれないように行動には気をつけていかねばならないと思っております。しかしながら、部隊を保全するということが、私どもとしては、自衛隊の任務の性質からいいましても最も重要なことであるというふうに認識しておることには変わりがございません。

辻元委員 もう一点、ちょっと別の角度からお聞きしたいんですが、訓令を出されて、その中で規定をされております。それに基づいて規則や達というものを出していらっしゃいますが、その中身はどういうようなものでしょうか。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘がありましたように、情報保全隊は各自衛隊に設置されているわけでございますけれども、訓令によってその任務等を定めているところでございます。またさらに、達等によって組織や運用等に係る細部事項を規定しているところでございます。

辻元委員 細部事項というのはどういうものですか。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 情報保全隊の情報収集の具体的な内容等について定めているものでございます。

辻元委員 私も、やはりどういう基準でどう扱うのか、それでなくても防衛省は、一般の方々からは何してんねんという批判が強いわけですよね、情報の取り扱いについても。先ほども、自分たちの情報を守れなくて、本当に市民を監視するのかとか、自衛隊は国民を守るためのもので国民を監視するものじゃないじゃないかとか、いろいろあったわけですよ。基準とか、はっきりせなあかんと思いますよ、シビリアンコントロールですし。

 ということで、取り寄せましたら、皆さんにお配りしていますが、真っ黒だったわけなんですよね。ちょっと驚いたわけですね。せめて、それは全部公開できないところもあると思いますよ。しかし、どういうものを例えば達では示しているのか、内部でですね、どういう項目を規則では定めているのかということぐらい、シビリアンコントロールですから。国会にもお示しにならない。そして、基準は何ですか、どういう活動ですかといったら、あらゆる情報を集めるんだと。それではなかなか通用しないと思いますよ、大臣。

 大臣、私はこれはびっくりしたんですよ、真っ黒けで。国会で、これは何人もの議員が、民主党の議員の皆さんも質問されていますし、共産党の議員の方も質問されているわけですが、今に至ってこういうような状況。

 今回、保全隊を新しくされるわけですよね。どういう項目について情報収集をするのか、規則はどれぐらいの項目、全部とは言っていませんよ、それぐらいは国会に示すべきじゃないですか。それがシビリアンコントロールじゃないですか。防衛大臣、防衛大臣ですよ、方針だから。石破さん、答えられるよ、それぐらい。

    〔北村(誠)委員長代理退席、委員長着席〕

松本政府参考人 まず、済みません、資料要求の際に黒塗りで出した件について御説明させていただきたいと思います。

 御指摘の達とか規則というのは、先ほども申し上げましたように、情報収集の具体的内容でありますとか、あるいは陸上自衛隊の情報業務の実施に必要な事項、あるいは陸上自衛隊の情報保全隊の業務遂行に必要な事項について定めたものでございます。

 しかしながら、この達あるいは規則については、情報収集の具体的な内容にかかわる事項が明らかになります。そういった観点から、我が方の例えば情報収集における関心の向きとか注目点、こういったものが明らかになりますので、自後の情報収集活動に支障が生じるおそれがあるということから、提出は控えさせていただいたものでございます。

辻元委員 情報を取り扱うときに大事なことがあると思うんです。情報の流出を防ぐという意味でも大事なことがあると思うんです。これは、きちんと基準を決めて、余計な、あれもこれもとなると、どれが重要な情報かがわからないわけです。重要な情報が流出するというのは、どれが重要なのかがわからないからなんですよ。何を行動してどんな情報を集めなければいけないかというところをかなり限定してやらないと、あれもこれもとなると、結局、それを使うときにもどれが重要なのかがわからない。

 ですから、一つ目は、きちんと何が重要なのかということを規定するということ、何を集めなきゃいけないかと規定するということ。それと同時に、どれが重要で、どれがそうでないかという区別がつけられないから、何でもマル秘とか極秘の判こを押してしまって、それだけに安住しているわけですよ。本当に重要な情報への感度、どこで何の情報をとらないかぬという感度が鈍っているというのが今の防衛省の姿じゃないでしょうかね。私はそう思いますよ。

 最後に大臣に、まだもう一問ありますので。もう一つは、歴史にたえ得る情報管理が必要ということなんです。

 機密を守る、ありますよ、それは防衛省は。私は、この機密ということと情報公開というのはコインの裏表だと思っています。例えば、アメリカの場合ですと、二十五年で情報が公開されます。機密の解除があります。これは、将来、機密の解除がある、いろいろな文書が情報公開されるということにたえ得る機密は何なのか。機密が将来解除されたときにでも恥ずかしくない情報収集活動をしておかなきゃいけないわけですよ。

 さらには、間違いはあるわけです、政治決定とか安保政策も。イラク戦争だって、これは大量破壊兵器があった、なかったで、なかったじゃないですか。間違いをしました。でも、これは、機密が解除されるということで、できるだけ間違いをしないという歯どめになっているわけです。

 それで、大臣にお聞きしたいのは、沖縄の密約の話ですよ。

 これは、機密解除でアメリカはもう公文書が出てきたわけです。密約はあったと認めているわけですよ。日本政府の態度はどうかということが一点。

 それからもう一点は、扱うときに、機密というものも含めて一定期間で情報は解除されるということも含めて、私は、防衛や外交の情報についてどう取り扱うかをこれからは日本国として議論しなきゃいけないと思います。それは、今の情報管理を引き締めるためなんですよ。

 ですから、一点目は密約はどうかということ、まだないという答弁をされていますよ、この期に及んで。機密解除ということも含めて政府の内部で問題提起をされたらどうですか、大臣が。大事な点だと思いますよ。それは情報の流出ということも防ぐと思います。それだけ厳しく対処しなければいけないということなんです。ですから、後で機密解除されるということがあって初めて、例えば、基準はなかなか示せませんということが言えるわけですよ。

 大臣、ここはちょっとしっかり政府に提起してほしいと思います、議論してほしいと思いますが、いかがですか。

石破国務大臣 いわゆる沖縄の密約につきまして私がお答えをする立場にはございませんが、政府として、密約というものが存在をしたというような認識に立ってはおらないところでございます。

 それから、後段の御指摘は、本当に私はそうだと思うところがたくさんありまして、誤解する人が多いのですけれども、情報公開というのと機密保全というのは本当にコインの表裏なのですよね。

 そういう認識に立った場合に、どういうような情報を公開するか、そして何年たったら公開するかということは、今後、公文書館の担当大臣も決まりました、いろいろな省庁と議論をしていく上において、どのような情報をどれぐらいたったら公開すべきか、そして、ずっと公開できないというものがあるとせば、それはどういう基準に基づくものであるのかということは、国民から負託を受けている行政府としてきちんとした基準は明らかにしなければいけないということについては、私も同感でございます。

 政府の中でこれから公文書の管理をどうするか、そういう議論が進捗をいたしますので、そこにおいて、そのような問題意識というものは私も発議、提起をしていきたいというふうに考えております。政府としてこのような方針で臨むという確たるものが現在あるものでは当然ございません。

辻元委員 この情報の問題は防衛省にとって非常に大切だと思いますので、今後も引き続き議論していきたいと思います。

 終わります。

嘉数委員長 次に、下地幹郎君。

下地委員 大臣には通告しておりませんけれども、一つだけ要望させていただきたいんです。

 三月二十三日に、沖縄で県民大会が行われたんですね。地位協定の根本改定をしたい、それと米軍人の事件、事故をなくしたいという大会をやりました。

 それで、自民党は参加をしなかったわけでありますけれども、来週からこの県民大会に参加された皆さんが要請団として来るんです。外務大臣の日程はとれているんですけれども、防衛大臣の日程がまだとれていない、そういうふうな話が聞こえてまいりました。

 こういうふうな県民大会の声もじかに、大臣の思いのところの声もあるかもしれませんし、考え方が違うかもわかりませんけれども、時間をとってお話を聞いていただくということは、米軍基地の七五%がある沖縄にとって大事かなと思いますけれども、ぜひ時間をとっていただきたいと思いますけれども、どうでしょうかね。

石破国務大臣 まだ当省に、面会したい、そういう御依頼を正式にちょうだいしていないというふうに聞いております。

 もし正式にそういうような御要望がありますれば、真摯に検討いたさせたいと思います。

下地委員 来ていると思いますけれども、事務方の方でどうなっているのかですね。それはもう出してあると思いますから、ここで論議するものでもありませんので、お気持ちさえ聞けばいいんです。ぜひお願いをしたいというふうに思っています。

 それと、防衛省の設置法の一部を改正する法律案でありますけれども、この前、横須賀でタクシーの運転手さんの事件がありましたけれども、ナイジェリアの国籍の方でありましたね。私が一回予算委員会で質問させていただいたときに、カラオケバーに行っても、近ごろは英語がしゃべれない米軍人というのがいますよ、グリーンカードを持っているけれども、アメリカ人ではないという方々がいます、だから、米軍の皆さんだって、研修といっても、今までやっていたものとは違うようなさまざまなやり方をしていかなければいけないということを、私はこの前も申し上げさせていただいたんです。

 定員の問題になってくると、アメリカも、一九六〇年は出生率が三・六%ありましたけれども、今はもう二・一〇まで下がってきましたね。日本の方も、二〇〇六年にはもう一・三二まで出生率が下がってまいりましたから、このままでいくと、二〇五五年には人口が九千万台ぐらいまでになってくるんではないかとか、働く層も八千四百万から四千五百万までなってくるんではないかというふうに言われております。

 こういう中で、今回のような措置、再任制度や勤務の延長制度というのをやるわけなんですけれども、最終的には、この制度を延ばしたりなんかしても、なかなか根本的な解決にはならない。人口が減ってくるから自衛隊員になる方々も少なくなるというふうなことが言われておりまして、人的基盤の拡充、確保というのはこの問題の応急処置だと思うんですけれども、将来像としてどういうふうにして、防衛省としては人の確保についてやっていきたいというふうに思っているのか、考え方がありましたら、ちょっとお教えをいただきたいと思います。

石破国務大臣 防衛所要というものは我が国だけの事情で決まるわけはないのであって、要は周りの環境がどうなのかということで決まるというのは、もう委員よく御案内のとおりです。

 そうしますと、少子高齢化が進む、なかなか募集が困難である、よって定数を削減せざるを得ないみたいなのは、それは理屈としては非常におかしな理屈なのであって、どんなに少子高齢化が進もうが募集が困難になろうが、もし必要であれば、それだけの人数は確保しなければいけないものだというふうに私は思っております。

 もちろん、機械化とか自動化とかそういうもので補える部分はございますが、補えない部分もたくさんございますので、そこは、少子化イコール定数削減ということでは全くなくて、その場合には、この魅力化という言葉も非常に危ないのですけれども、どうすれば隊員の方々を募集するのが容易になるかということを考えなきゃいかぬというのが一つ。

 もう一つは、予備の使い方というのをどう考えるかということがあるんだろうと思います。私どもの場合に、予備自衛官の数というものが現職の隊員に比べて極めて少ないということがございます。大体どこの国でも、現役と同じぐらいの予備を持っている。あるいは、スイスのように何倍も持っているという国もあります。もちろん、最初の実員の数において大きな開きがございますから、一概に論ずることも危ないのですが、そうしますと、予備役というものをどのように考えていくかということも、私は手だてとしてあり得るのだろうと思っております。

 少子高齢化の厳しい社会、時代に突入をしておりますので、委員の御指摘もよく踏まえながら、どうすれば所要が確保できるかということは、今後もさらに検討していかねばならないという認識でございます。

下地委員 私も、今の大臣の答弁と一緒で、少子高齢化だから定員数を減らすというのではなく、安全保障に必要な定員はちゃんと確保するために少子高齢化の中でもどうしていくべきかということを考えていかなければいけないという考えなんです。

 そして、今回の延長になってきますと、今、二曹、三曹の五十三歳が五十六歳になりますね。そして、一尉の方々も五十四歳が五十七歳になりますね。こういうふうな形になってまいります。しかし、定員の枠は変わらない。それは、定年延長したから防衛省だけ定員をふやすということにもなかなかいかない。減らすことも、先ほど言ったように減らしてもいけないと思うんですけれども。

 これの利点、メリットとしては、経験豊富な先輩が長い間防衛省に残るということで、後輩に対する指導がしっかりできるというふうなこともありますけれども、それと同時に、戦闘能力という意味で、体力的な問題も含めて、配置をさまざま工夫すればできるといいながらもそう簡単に、三年間延長した数で、私は、その戦闘能力に問題が生じてくるんではないかという疑問を持っているんです。

 それで、今回のような延長制度を行うというふうなことになってまいりますと、それと同時に、将来像の装備の近代化とかそういうふうなものもパッケージになってあらわれてこなければいけないんではないかと思っております。先ほどの少子高齢化という話と、こういうふうに三歳の延長になってくるという中で、戦闘能力をちゃんと維持するんだという意味で、装備の近代化というふうなものをパッケージにして示すべきではないかと思いますけれども、その辺のところはどうお考えになっているのか、お願いしたいと思います。

石破国務大臣 委員の認識はそのとおりだと私は思います。

 もう既に御案内のことだと思いますが、今回再任用制度というものを拡充することになっておるわけですが、それは、要は体力勝負ということではない職種に限定をしておるわけでございます。ですから、戦闘力という点からいえば、今回の再任用制度の拡充というものがそれほど問題があるものだとは思ってはおりません。

 ただし、年齢ピラミッドというのを委員は何度もごらんになったことがあると思いますが、どれぐらいの年齢層にどれぐらいの自衛官がいるか、軍人がいるかというものを、日本とイギリス、日本とアメリカを比較すると、いかにおじさんの軍隊であるか、軍隊という言い方がいけなければ、組織であるかということは、かなり愕然とするものがございます。そうしますと、経験を生かす、やはり知恵の部分がたくさんありますから、それを生かすという運用の仕方を考えていかねばならないというのがある。

 もう一つは、何でそういうピラミッドになるかというと、終身勤める人というか、途中でやめない、そういう人たちが多いというのと、四十代のC幹部というのが非常に多いというのが原因でございます。そうすると、このピラミッドをもう少し若い人たちのウエートをふやすために何ができるのかということは、やはり真剣に考えていかなければいかぬのではないか。

 年齢の高い人が悪いなぞということを言うつもりは全くありませんし、私だって人のことを言えた義理では全くありませんが、やはり、ほかの国の人口ピラミッドに近づけるとするならばどういう施策があるのか、あるいは途中で自衛官をやめても、社会でその能力を生かしたような仕事がいろいろできる、そういう環境づくりというのはいかなるものであろうか、私は、多方面からそういう検討は必要だという認識を持っておるところでございます。

下地委員 そのとおりで、沖縄にいる海兵隊は大体十九歳から二十三歳までですよ。そういうふうな年齢が戦闘能力を持ってやるわけです。しかも、枠は先ほど言ったように決められている、定年は延びる、入ってくるのはそう簡単にふやせないというふうになると、今大臣が御答弁いただいたような構図がもっと心配になってくるわけでありまして、そこを何で埋めるのかというと、装備の近代化で埋める以外にないとなってくると、その辺のところをパッケージにしてやはり見せなければいけないという時期が来るんではないかなというふうなことを申し上げさせていただきたいと思います。

 それで、もう一つ、ちょっと話はかわりますけれども、この前、神奈川のタクシーの事件、沖縄の事件とありました。二月の二十二日に、外務省、政府として再発防止策を出しました。タスクフォースを行うとか米兵のワーキングチームをつくるだとか、外出禁止令をやるとかリバティーカードをやるとか、防犯カメラをやる、米軍教育プログラムの見直しをする、共同パトロールにおける警察の逮捕権を日本側に移すとか、さまざまことを二月の二十二日に打ち上げましたけれども、今もう四月になりましたよ。どうなっているのか全くわかってこない。

 外務省が、高村外務大臣が打ち出してから、その後にさまざまな事件がまた起こっている。それでいて、防犯カメラが一つでも設置されたのかといったら、それもできていない。そして、逮捕権の問題も、日米合同委員会で決着がついたのかといったら、それもついていない。タスクフォースがどういう結論を出したのかもわからない。余りにも対応が遅過ぎるんじゃないですか。

 再発防止という言葉をつけて政策を打ち出した以上は、早急にまとめて提案をするというのが当たり前のことなんで、外務省、その辺のところはどうなんでしょうか。

小野寺副大臣 まず、けさほど大臣の方から発表させていただきましたが、日米両国政府は今後、在日米軍人の脱走が判明した場合には、そのすべてについて直ちに、米側から関係都道府県警察に対して逮捕要請を行うとともに、日本政府に対して当該脱走兵に関する情報を提供することで基本的に合意いたしました。

 今回のこの脱走の問題については、速やかに対策をこのような形で講じております。

 また、共同パトロールの件ですが、これは、この委員会でも、たしか委員が御指摘をされた内容があるかと思っております。このことについては、日本側の警察それから米側の関係機関とたびたびの調整を行っております。さらなる調整が必要な状況ですが、可能な限り早期に共同パトロールを導入できるように取り組んでいきたいというふうに思っています。

 防犯カメラの設置につきましては、地元自治体において、その効果及び問題点について現在検討しておりますので、政府としましては、このような検討を早急にまとめていただいて対策を組みたい、そういうふうに思っております。

下地委員 防犯カメラの件に関しても、地元自治体の状況を見ているというふうになると、私は沖縄市の東門市長とも話をしましたら、では、防犯カメラをつけるとかつけないとかというのを私たちに最終判断をさせようと思っているんですか、こういうふうな米軍人の判断について、防犯カメラをつけたいと再発防止策を打ち出したのは政府であって、どういうふうにしてこの防犯カメラがつけられやすいような理解が得られていくかということを努力するのは、やはり政府の役割じゃないかというふうなことをおっしゃっていましたよ。

 だから、私は、今後の再発防止策というのが、何回話し合われて、どういうふうな形になっていて、それが県民にいつまでに説明が行われてというのが全くわからないから、どの自治体の長と話をしてもわからない。外務省は、これだけの事件があった以上は、決まらなくても、今の段階をちゃんと報告しながらやっていくというのが必要じゃないかと私は思うんですね。

 そのことをもう一度、ちゃんと沖縄の自治体の長の皆さんにわかりやすく説明する会を一週間に一回、大使もいらっしゃるんですから、公の場でおやりになる、こういうようなことをやるつもりはありませんか。

小野寺副大臣 先ほどのお話もありますが、防犯カメラ等につきましては、やはり地元自治体との協議が必要だと思っております。

 このような努力を頻繁にすることがひいては地元との信頼回復にもなると思いますので、今御指摘あった点については、内部で検討させていただきたいと思っております。

下地委員 内部で検討して早目に、大使もいらっしゃるので、一週間に一回、一時間でもいいから、この再発防止策が実行されて、成果が出るまで話し合うという組織をつくる、こういうようなことを要請させていただきたいと思っていますから、ぜひお願いしたいというふうに思います。

 もう一回答弁してください。

小野寺副大臣 ただいまの委員の御指摘については、私どもも内部で検討をさせていただきたい、そう思っております。

下地委員 それで、大臣、沖縄の米軍基地、七五%の基地を抱えているというのがありますけれども、基地問題について安定感がないという最大の要因は、やはり経済政策もあると思うんですね。

 今、失業率が七%。三月の失業率も七・一%。高くなりましたね、前年度。観光客も一〇%ぐらい減りますね、今度、四月、五月で。そして、建設業界の談合問題でも非常に厳しい環境にありますし、円高の問題で、北京オリンピックもありますけれども、相当に観光にダメージが当たるというような関係になっています。県民所得も、今二百万円ぐらいまで来ておりますけれども、二百万円で非常に厳しい。四十七都道府県で最下位というふうなことになっております。

 今、沖縄にさまざまな振興策というのを投下しても、この数字がなかなか表立ってよくなってこないというのが今の現実なんですよ。生活環境がいつまでたっても悪いというところは、決して安全保障論議とかけ離れた話じゃないという認識を私たちはしっかり持たなければいけないと思うんです。振興策をやる、振興策によって経済の活性化をやる、経済の活性化によって企業が雇用できるような環境をつくって、そして雇用がふえて、正社員がふえて、生活が安定して、子供がちゃんと育てられるような環境ができるというふうな構図のために、振興策を国は何千億も投下しながらやってきている。最終的に、振興策をやる目的は何かといったら、生活の安定をちゃんとつくるというのが目的で振興策というものをやっているわけなんです。

 那覇空港に十年間で二千七百億の減免措置をやりましたよ。着陸料の減免だとかそういうのをやりました。しかしながら、今度も航空会社は値上げをするとおっしゃっておりますけれども、この膨大な二千七百億というお金を減免しておきながら、結局は石油の高騰で値上げをしてといって、この離島の人たちの生活からすると非常に厳しい環境にあるわけです。

 振興策はもらって企業経営にはプラスになっていても、なかなか本採用にしなければ雇用もふえない。そういうようなものに関しては是正をしていかないと、幾ら基地があるからということを目的に振興策をやっても、末端までその恩恵がない中ではなかなかうまくいかない。

 私は、一つだけ取り上げさせていただきますけれども、この二千七百億で、那覇空港ターミナル株式会社がありますけれども、五年間で一千四百万人の空港利用者がふえました。そして、この空港ターミナルは、平成十五年は八億五千万、そして平成十八年は十二億円の経常利益を算出しているわけですけれども、二百五十七人の職員のうちの六〇%が非正社員。利益が出ている。二十八億円、滑走路に私たちは毎年税金を落として整備を行い、航空機の着陸料を減らして、先ほど申し上げたように、この空港ターミナルの集客率を伸ばしてやってきている。こういうような環境になっているけれども、この五年間、六年間で採用したのは七名。あと残りは、ずっと非正規雇用員で、被雇用員のうちの大半が十年以上非正規雇用員だと。九年、十年という人たちが数多くいる。これはどうでしょうか。

 これは民間の話だから関係ないとおっしゃるかもしれませんけれども、振興策をやっても最終的には、振興策に当たる企業は一部の企業だけれども、一部の企業はメリットを得るけれども末端の職員まではメリットが行かない。こういう構図を直していかないと、私は、沖縄の基地問題もなかなか安定しないんじゃないかと思うんですよ。

 そういう意味でも、この那覇空港ターミナル、沖縄県から副知事クラスの天下りが来ますよ、那覇市の助役をなさる方々も天下りで来ます、県からも来ます。そういうふうにして物事をやっていきながら、末端は全く、本採用を採用しなければ正社員にしないというのは、いつまでもほったらかすわけにはいかないんじゃないかなというふうに私は思いますね。

 こういうケースが沖縄にはいっぱいあるんですよ。沖縄電力なんか見てください。今、会長さんとか社長さんの給料は年収五千万円ですよ。これは国の制度があって物事が成り立っているわけですけれども、しかし、沖縄の県民の平均所得が二百万円ですよ。この格差は、振興策が一企業にだけ行って、全く末端にはメリットが行っていないというのが背景だと思うんですよ。

 私は、この問題を国土交通省は、民間問題だから関係ないというんじゃなくて、指導すべきじゃないかなというふうに思いますけれども、大臣の考えを。大臣じゃない、副大臣でいいです。

松島副大臣 下地委員のお怒りとかおっしゃるお気持ちは、非常によくわかります。

 しかし、下地委員まさにおっしゃいましたように、那覇空港ビルディングは、沖縄県などが出資して平成四年に設立された民間企業、株式会社でございます。ですから、その雇用のあり方については、やはり基本的には同社の経営判断によるものと認識しておりまして、国土交通省として特段関与を行うことは困難です。

 しかしながら、政府の一員として申し上げますと、ことし四月一日に改正パートタイム労働法というのが施行されました。

 これは、パートタイム労働者と通常の正規の労働者との均衡のとれた待遇を確保していくこと、それを促進していくこと、そしてまたパートタイムの人を通常の正規の労働者に転換させていくこと、これを推進していこうというのがこの改正パート労働法でございまして、これがまさに四月一日に施行されておりますので、ぜひ労働者の条件改善ということに、会社としても、那覇空港ビルディングとしても取り組んでほしいと政府の一員として切に思うところでございます。

下地委員 振興策というのは税金なんですよ。最終的に、その地域の安心をつくる、生活環境をよくするというふうな目的で多くの税金を使っているんですよ。その効果が最終的なところで出ていないというふうになるならば、もっと皆さんは、税金を配っている方として明確なる指示をすべきなんだ。

 私は民間の話はできませんとおっしゃるかもしれませんけれども、本当に税金を使っている省庁が、民間の話はできませんで済むんですか。今のような答弁で本当にいいんですか。副大臣、そこをやはり考えてやらないと、税金の効果というものを最終的に個人にまで与えるというのが政治の役割じゃないですか。そこを少し考えて答弁してくださいよ。

松島副大臣 今委員がおっしゃった問題は、確かに重要な問題だと思います。

 そして、これは国土交通行政、今のことでいいますと航空の行政による税金の使い方とそれに絡む会社の従業員の正規、非正規の雇用のあり方の問題という、単にこれだけにとどまる問題ではなく、政府全体としてもしっかりと、そして政治全体として取り組んでいくべき問題だと思っております。

下地委員 最後になりますけれども、多くの振興予算というのが、SACOもありますし、島田懇事業もありますし、出されておりますけれども、三十五年たっても沖縄問題と言われるように、失業率も直らなければ雇用の数字もなかなか上がらないというふうなものは、落としている税金の効果がないというふうに言われてもしようがないんですよ、結果的には。

 そこをしっかりしていかないと、本当に基地の、安全保障の役割を沖縄は捨て切れませんよ。ずっと背負わなきゃいけない部分があると思います。それだけに、その部分に力を入れてやるというのが大事だということを最後に申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

嘉数委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

嘉数委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 私は、日本共産党を代表して、防衛省設置法等一部改正案に反対の討論を行います。

 自衛官定数の変更は、主として情報保全隊の組織改編によるものですが、これは、陸海空各自衛隊に置かれていた部隊を統合することによって情報の一元化を図り、同時に部隊を増員するものです。

 自衛隊の秘密保護体制を強化することによって、米軍再編の名による日米間の情報協力と共有、軍事一体化を推し進めようとするものにほかなりません。

 情報保全隊は、イラク派兵反対運動など、自衛隊の活動に批判的な市民や団体、政党の活動を日常的に監視、記録する違憲の国民監視活動を行っています。このような部隊の体制強化は、断じて認められません。

 また、自衛官の勤務延長や再任用の任期延長、防衛大学校や防衛医科大学校における研究活動強化は、有効な人材を確保、育成することによって自衛隊の組織を維持強化し、防衛大綱、中期防に沿った自衛隊の本格的な海外派兵隊への転換を人的側面から支えようとするものであり、認められません。

 以上、討論を終わります。

嘉数委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

嘉数委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、防衛省設置法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

嘉数委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

嘉数委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

嘉数委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五十五分散会


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