衆議院

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第3号 平成22年11月11日(木曜日)

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平成二十二年十一月十一日(木曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 平野 博文君

   理事 下条 みつ君 理事 神風 英男君

   理事 空本 誠喜君 理事 宮島 大典君

   理事 村越 祐民君 理事 今津  寛君

   理事 岩屋  毅君 理事 佐藤 茂樹君

      安住  淳君    井戸まさえ君

      磯谷香代子君    小原  舞君

      岡田 康裕君    神山 洋介君

      菊池長右ェ門君    高橋 昭一君

      玉城デニー君    西村智奈美君

      萩原  仁君    松本 大輔君

      村上 史好君    山尾志桜里君

      渡辺浩一郎君    渡辺 義彦君

      江渡 聡徳君    小里 泰弘君

      木村 太郎君    新藤 義孝君

      中谷  元君    浜田 靖一君

      松浪 健太君    吉井 英勝君

      服部 良一君    下地 幹郎君

    …………………………………

   防衛大臣         北澤 俊美君

   内閣府副大臣       末松 義規君

   総務副大臣        鈴木 克昌君

   外務副大臣        伴野  豊君

   防衛副大臣        安住  淳君

   総務大臣政務官      逢坂 誠二君

   防衛大臣政務官      松本 大輔君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房技術監) 秋山 義孝君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 鈴木 英夫君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  高見澤將林君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  櫻井 修一君

   政府参考人

   (防衛省経理装備局長)  西  正典君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  井上 源三君

   安全保障委員会専門員   湯澤  勉君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十一日

 辞任         補欠選任

  高橋 昭一君     磯谷香代子君

  萩原  仁君     村上 史好君

  山尾志桜里君     岡田 康裕君

  武田 良太君     松浪 健太君

  中谷  元君     小里 泰弘君

  赤嶺 政賢君     吉井 英勝君

  照屋 寛徳君     服部 良一君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     高橋 昭一君

  岡田 康裕君     井戸まさえ君

  村上 史好君     萩原  仁君

  小里 泰弘君     中谷  元君

  松浪 健太君     武田 良太君

  吉井 英勝君     赤嶺 政賢君

  服部 良一君     照屋 寛徳君

同日

 辞任         補欠選任

  井戸まさえ君     山尾志桜里君

    ―――――――――――――

十一月十一日

 防衛省の職員の給与等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、第百七十四回国会閣法第二七号)

 防衛省の職員の給与等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)


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     ――――◇―――――

平野委員長 これより会議を開きます。

 第百七十四回国会、内閣提出、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。北澤防衛大臣。

    ―――――――――――――

 防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

北澤国務大臣 おはようございます。

 ただいま議題となりました防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。

 防衛施設周辺地域における生活環境等の整備に係る需要が多様化していること等にかんがみ、特定防衛施設及び特定防衛施設関連市町村の指定に当たって特に配慮すべき市町村の事業並びに特定防衛施設周辺整備調整交付金の交付の対象となる事業として、公共用の施設の整備に加えて、その他の生活環境の改善または開発の円滑な実施に寄与する事業を規定する必要があります。

 以上が、この法律案の提案理由であります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。

 これは、特定防衛施設及び特定防衛施設関連市町村の指定に当たって特に配慮すべき市町村の事業並びに特定防衛施設周辺整備調整交付金の交付の対象となる事業について、公共用の施設の整備またはその他の生活環境の改善もしくは開発の円滑な実施に寄与する事業とするものであります。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

平野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

平野委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として防衛省大臣官房技術監秋山義孝君、防衛省大臣官房審議官鈴木英夫君、防衛省防衛政策局長高見澤將林君、防衛省運用企画局長櫻井修一君、防衛省経理装備局長西正典君及び防衛省地方協力局長井上源三君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平野委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小原舞君。

小原委員 おはようございます。民主党の小原舞でございます。

 このたびは質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 私の地元京都北部は自衛隊の基地を多く有する土地でありまして、舞鶴には海上自衛隊、福知山には陸上自衛隊、京丹後には航空自衛隊を有しておりまして、まさに日本海側の防衛のかなめであると思っております。

 私自身も、短い期間ではございますが、海上自衛隊に自衛官として所属し、隊務と訓練の日々を過ごした経験を持っております。

 このように、自衛隊を身近な存在として感じる土地に生まれ育ち、みずからも自衛官であった立場、そして現場の視点から質問ができればと思っております。よろしくお願いいたします。

 先月に、私が海上自衛官として勤務しておりました舞鶴地方総監部の方々とお話しする機会がございました。その際、十月二十九日のイージス護衛艦「きりしま」のSM3発射試験成功の話題になりました。弾道ミサイル防衛の導入時には、技術的な観点からさまざまな議論がなされ、マスコミ等でも技術的不安が喧伝されましたが、その不安を払拭しつつあるこのたびの成功が一般報道に余り大きく扱われておりません。

 私が調べた限り、読売、朝日、日経の三紙に小さく扱われたのみで、あとはネットで取り上げられるくらいです。数々の非難を受けながらも、粛々と任務について日々の訓練の結果を出している隊員の士気が下がるようなことがあってはならないと思いますが、このたびの試験成功の概要と、防衛省ではどのような広報をしているのか、お聞かせください。

安住副大臣 小原委員は、舞鶴の海上自衛隊の御出身であると。古く言えば、舞鶴は帝国海軍の鎮守府の時代から我が国の防衛の拠点でございまして、蛇足でございますが、東郷平八郎連合艦隊司令長官もその着任前は舞鶴の鎮守府の長官をなさっておったと聞いておりますので、そうした地域の中で日ごろ自衛隊の活動に大変温かい御支援を賜りましたこと、まず厚く感謝を申し上げておきます。

 今御指摘のお話は、十月二十九日のイージス艦「きりしま」によるSM3ミサイル発射実験の成功ということでございます。これによりまして、イージス艦のSM3搭載が四隻体制、「こんごう」、「ちょうかい」、「みょうこう」、「きりしま」ということになりますので、我が国の防衛にとっては、特に海上防衛につきましては非常に大きな歴史的な成功であったというふうに認識をしております。

 広報活動はどうなっているのかという話でございますけれども、我が方としては、ホームページにこれを載せて、報道機関へのプレスリリースをしっかりやらせていただいたんですが、御指摘のとおり、これを扱っていただいたのは読売、朝日の夕刊、日経、毎日の朝刊ということで、扱いについては、それぞれの会社の御判断でございますが、やや少なかったかなと。ただ、出身だから言うわけじゃありませんが、ちなみにNHKのニュースでは、七時のニュースで十月二十九日にしっかりやったということは事実でございます。

小原委員 ありがとうございます。

 政策はすべて、国民の皆様にいかに御理解いただくかが重要ですが、特に安全保障政策は国民の皆様の御理解があってこそのものだと思っております。国民の皆様に安全保障の重要性や自衛隊の活躍等についていかにお知らせし、国民の皆様にその活動を理解していただくかを、政府・与党一体となって今こそ考えていくべきと思っております。防衛意識の向上の観点からも、あらゆる方法で、安全保障について、自衛隊についてアピールする必要があると思っております。

 そこで、このたびの防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律の一部改正、いわゆる環境整備法について質問に入ります。

 自衛隊の存在を市民に直接働きかける意味で、交付金も一つのツールであろうかと思っております。そこで、このたびの特定防衛施設周辺整備調整交付金の趣旨、目的、その中でまた広報効果を含めているのかについてもお伺いいたしたいと思います。

松本大臣政務官 答弁の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 御承知のとおり、これは昭和四十九年にできた制度でありまして、ジェット飛行場や、あるいは砲撃が実施される演習場等について、特に周辺住民の生活環境等に著しい影響を及ぼすということで、その不利益を是正するという観点から、公共用の施設の整備、つまりハード整備にその使途が限られてきたわけであります。

 ところが、住民のニーズも多様化しておりますし、実際に関連の市町村からは要望等も出てきたこと、さらには昨年の行政刷新会議の事業仕分けにおいても使途の自由化などが指摘をされてきたところであります。こういったことを踏まえて、今回ソフト事業にもその使途を拡充するという内容でありまして、例えばコミュニティーバスの運行であるとか、あるいは医療費の助成であるとか、こういったことに使途を拡充しようというものであります。

 さっき、政府・与党一体となって広報に力を入れていかなければいけないというお話がありました。小原委員も党で広報を担当していらっしゃるというふうに承知をしておりますけれども、各地方の防衛局が発行する広報誌など、さまざまな機会をとらえて、施策の周知宣伝を行ってまいりたいと思います。

小原委員 どうもありがとうございます。

 この交付金は、いわゆる基地があるゆえに伴う市町村の特別の財政需要を考慮して配分されるものであります。

 私の地元舞鶴は、自衛隊関連港湾が所在する市町村として交付金を受けておりますが、調整交付金は、従来の使途が限定されている中で、例えば市道、消防無線、防火水槽などに使われてきました。けれども、一般市民からは、この市道などの公共用施設の整備が、基地があるゆえにという調整交付金によってつくられている認識がないというのが現状です。

 調整交付金の趣旨をお伺いし、いわゆる広報が主たる目的ではないことは理解するものの、一般物件費の四一%、三千九百四億円の概算要求額であるこの基地対策経費等について、住民の皆様の理解を深めるためにもアピールは必要だと思われます。

 先ほど御答弁にもありましたように、事業仕分けによって、使途をより自由にして使い勝手をよくするという評価結果に関しては、基地を有する自治体は賛意を持って迎えていただいていると認識しておりますが、一方で、ほぼ何にでも使えるということによって、その趣旨や意図が薄れるという危惧も聞いております。

 例えば、小児医療助成に交付金を使った場合に、この助成は自衛隊の基地の関係交付金を財源としている、そういった旨の記載などができるものでしょうか、お伺いいたします。

松本大臣政務官 その関連性が薄れるのではないかというようなお話でありますけれども、そもそも、地元自治体の要望に基づいて今回資金使途を拡充するということでありますので、そういった特定の施設の影響が著しい地域に限って行っている事業について、その御理解を深めていくためにも、地元自治体の納得性をより高めていく、より使い勝手がよいものにしていくということでは制度の趣旨と離れるものではないというふうに思っております。

 広報についても、さっきも御紹介しましたけれども、広報誌や、あるいはホームページを活用する、こういったことで周知徹底を図ってまいりたいと思いますし、例えばごみ収集車に、一部では周辺整備調整交付金というような文字を入れて走ってもらったりというような工夫も行っておりますので、御指摘のような御懸念にならないように、そういったことのないように周知徹底を図ってまいりたいと思います。

小原委員 ありがとうございます。

 また一方で、地元で話を聞いておりますと、ハード経費等に関しても、リニューアルに至らない程度の小さな改修、修繕に係る経費、施設の管理運営といった分野にも使い勝手がよくなるようにという要望をいただいております。これまでは、国の出先機関によって、一部の改修などは対象にならない、全面リニューアルであればというような指導が入っていたと聞いております。

 この件についてでございますけれども、ハード面においての使途制限の撤廃、緩和についても、今後の展望も含めてよろしくお願いいたします。

松本大臣政務官 今回の改正に当たって、大規模改修以外でも、通常の維持管理にもその使途を拡充しますので、今、委員が御指摘をされたようなことにも使えるように、使途を自由化していく、より柔軟に改めていくということであります。

安住副大臣 実はこの法律は昭和四十九年に施行されまして、私ごとで恐縮ですが、私の地元も、松島航空基地ということで訓練生の受け入れをして、大変なジェット機の騒音等があって、この補助金をやはり受けておりました。

 しかし、私もそうでございますけれども、やはり地元にいますと、委員おっしゃるように、今までいわゆるハードな箱物にばかりこれが使われている。しかし、実はそれはそれぞれの地域ではもうかなり整備がされたんですね。ですから、やはり使い勝手のいいお金に、一言で言えば地方のことは地方で決められるような財源にしてほしいと。

 ただ、それを広げていくと、いわゆる事業仕分け等で出てくるような話にもなってくるのですが、これはあくまでも騒音障害や周辺基地の特異な障害に対する手当て、やはり特定財源だという認識の上に立って幅を広げていこうということで今回の法案が出てきた。その中身が、今、政務官がるる御説明させていただいたような幅で広がっていって、それが自治体にとって使い勝手のいいものになるのではないかという趣旨でございますので、そのことをぜひ理解していただければと思います。

小原委員 ありがとうございます。

 また、このたび、使い勝手がいいというような方向の中で、単年度事業だけでなく継続事業へのニーズが多いという現状にかんがみて、今回の改正で交付金を活用した基金を設けることができるようになると伺っておりますが、この基金設置の、今の段階で考え得る利点や問題点についてお伺いいたします。

松本大臣政務官 基金設置の具体的なメリットでありますけれども、まず一点目は、年度を越えての事業の実施が可能になる、二点目は、積み立てを行いますので、そうすれば規模の大きな事業を実施することが可能になってくる、あと三点目としては、煩雑な事務から解放される、年度ごとに交付申請手続をやっていくということから解放されるということが考えられようかというふうに思います。

 逆にデメリットでありますけれども、現時点では、特に問題があるというような報告は受けていないところであります。

小原委員 どうもありがとうございます。

 使い道、使途についての自由度が広がることは大変好ましいことであると考えますので、ぜひ、その点では引き続き前向きによろしくお願いいたします。

 地域主権改革を進める中で、私も、総務委員会所属の際、本会議で地域主権関連三法案について質問させていただきましたが、住民に一番身近な自治体が地元ニーズを酌みながら判断、決定していくべきだと思っております。

 そこで、ひもつき補助金から一括交付金化についてお伺いいたします。

 今後、一括交付金の算出方法が検討されるのだと思いますが、基準財政需要額の係数などに組み入れて当交付金を支払うというような形では、この調整交付金の趣旨から外れてしまうという危惧を抱いております。調整交付金は一括交付金になじまないと私自身は思っておりますが、御見解をお聞かせください。また、現段階での議論を確認させてください。

逢坂大臣政務官 小原議員の質問にお答えいたします。

 まず、今、ひもつき補助金を廃止して一括交付金化するという作業でございますけれども、菅総理の非常に強いリーダーシップのもとで、地域主権戦略会議でこれからの検討が進められることになっております。

 それで、二十三年度においては、投資的な補助金について、なるべく広い範囲を対象として一括交付できないかということで、現在、制度設計を考えております。

 その際、除かれるものでありますけれども、例えば災害対応の補助金でありますとか国家補償的な補助金、これらを初めとして幾つか除かれるものはあるというふうに思っています。

 そこで、御指摘の特定防衛施設周辺整備調整交付金でございますけれども、これは先ほど安住副大臣からも説明があったとおり、ある一定の地域に基地がある、そしてそのことによるいろいろなデメリットに対する交付金でありますから、地域に着目をして配分されるものだと思っておりますので、一括交付金化の中からは除くべきではないかなというふうに私自身は今考えているところでございます。そうした考えもベースにしながら、制度設計をしてまいりたいと思います。

小原委員 前向きな御答弁、ありがとうございます。

 地方選出議員として、一括交付金には大きな期待を寄せておりますけれども、その一方で、この交付金のように一括交付金にそぐわないものもあろうかと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 最後に、準自衛官という自衛官の新たな身分についてお伺いしたいと思います。

 八月に決定された安防懇の中で、「人的基盤」の節においてこのように記載されておりました。「必ずしも自衛官でなくともできる仕事については、自衛官に準ずる身分を新設し、現役自衛官をこれに移し、事務官・技官に準じた処遇をする等、人材を効率的かつ安定的に活用することも考えられる。」という一文が入っておりました。

 今の現状をかんがみますと、隊員の高齢化や退職者の増加による人件費の増加という財政事情はあるものの、やはり現場にいた立場として、事務職等の後方部隊も臨戦態勢に入る訓練を受けていて、有事の際に対応していくという体制になっております。こういった構想が、自衛隊としての全体の士気にかかわるかと懸念しております。

 この準自衛官について、大臣の御見解を改めてお伺いいたします。

北澤国務大臣 お答え申し上げます。

 小原議員は、私はきょう初めて御質問をいただいたわけでありますが、本日の提案理由を説明した法律は昭和四十九年に制定されまして、その年にお生まれになった小原さんが第一バッターで質問されるということに、何か因縁を感ずるような気がいたします。翌年、私は初めて県会議員に当選しました、余計なことでありますが。

 今お話しのことは極めて重要なことでありまして、現在御案内のように、自衛隊の年齢構成は、どうしても若年が少なくなって熟練者たちがふえてきている。これを何とかしなきゃいかぬというのは大きな課題でありまして、新安防懇でも、先ほどお話のあったような提案をいただいております。

 準自衛官というようなネーミングについては、私どもは必ずしも妥当とは思っておらないわけでありまして、今、真剣にこの人的構成について検討を重ねておりまして、そろそろ防衛省・自衛隊としての案も固まるであろうというふうに考えております。

 いずれにしても、精強性を保持しながら、一方で、志を持って、人生をかけて自衛隊に入っていただいた隊員の皆さん方の将来に危惧を与えるようなことがあってはいけない、そういうことも熟慮しながら近々成案を出してまいりたい、このように思っております。

小原委員 ありがとうございます。

 質問の終了時間が来ましたので、これで質問を終わらせていただきたいと思いますけれども、国際状況の変化の中で、日本の安全保障のあり方、また自衛隊のあり方を今後どうしていくか、そういうことを真摯に議論していく中で、また新大綱や中期防の策定についても私も一生懸命頑張っていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

 本日は、まことにありがとうございました。

平野委員長 次に、下地幹郎君。

下地委員 小原委員のさわやかな質問の後に質問するのはなかなか困難なものであります。岩屋さんとか、そういう方々、ひねくれた人の後の質問はやりやすいのでありますけれども。

 そういう意味でも、私の方から質問したいと思いますけれども、この法律は、非常にすばらしい、住民の皆さんの防衛省に対する思いをよく酌んだ法改正だと思っていますから、これからはハードだけじゃなくてソフトをやるというのは非常に大事だと思いますので、ぜひ法改正をしながら住民の期待にこたえて、安全保障をしっかりとみんなで守ろうというような雰囲気をおつくりになることをお願いしておきたいと思います。

 さて、大臣、きょうは沖縄の知事選挙の告示日であります。きょうが告示日ですから、きのうまでと違って、きょうお話しすることはもう政治家の公約ですよね。この公約で、沖縄の復帰後の選挙の中で、基地問題の政策がある意味与野党で同じ政策になったのは初めてなんですよね。県外、国外ということが、仲井真候補の場合においても伊波候補の場合においても一緒になった。これは、今までの知事選挙を見てきた者からすると、本当に変わったなという選挙になってしまったと思うんです。

 こういうふうに変わった背景を、鳩山総理が最低でも県外、国外と言ったから、こういうふうになってしまったんだと自民党もよくおっしゃいますけれども、二年前に県議会選挙がありました。このときに、四十八名のうちに、今二十六対二十二になっているんです、野党が二十六、与党が二十二。その前の、四年前の選挙は、二十六対二十二で、与党が二十六、野党が二十二。これは、鳩山さんができたからこういうふうに変わってきたんじゃなくて、その前の選挙のときから、基地は反対という人たちが二年前のときからもう選挙の中では勝ち始めているんですよね。

 そこが大きなポイントになってきまして、沖縄県民の基地問題に対する総意が県外、国外となった選挙、基地問題が一〇〇%同じ考えになった選挙というのは、基地問題が争点にならない選挙というのは初めてだ。自民党も民主党も県外、国外ですから、県連は。

 こういうふうな、党本部との矛盾があったにしても、地元はそうなってしまったという選挙の状況を大臣はどういうふうに見られているのか、御感想でもお聞きをさせていただきたいと思います。

北澤国務大臣 くしくも告示日にこの委員会が開かれたということでありまして、私もいささか緊張をいたしておるわけでありますが、今、下地委員が言われたように、沖縄の知事選は挙げて県外、国外ということで、一方は国外、一方はまず県外、こういうふうにおっしゃっておるわけです。

 ただ、日米で合意したものをほごにするということは、国益からしてもなかなかそれはできる話ではないわけでありまして、私たちも、どちらが当選するか、かたずをのんで待つような感じでありますが、でき得れば、今後も政府と真剣に議論、相談をし合えるような体制が沖縄にできれば大変ありがたい、このように思っております。

下地委員 日米合意がありますから、国間の信頼関係もありますので、そう簡単に日米合意を破棄して新たなものというわけにはいきませんけれども、ただ、沖縄の現状は厳しいねということを踏まえながら、どういうふうな対応をしていくのか、これからも一緒になって考えていかなければいけないというふうに思います。

 さて、質問ですけれども、新聞報道に、与那国に今度二百人規模の沿岸監視隊をつくられるというような記事が出ておりますけれども、この報道が正しいのか、それと二百人規模というのが正しいのか、この二つをお答えいただいて、そして、もしおやりになるというならば、どうしてこれをやらなければいけなくなったのかということをわかりやすく説明していただきたい。

 私の方は、これはもうぜひやっていただきたい。国境の地域に自衛隊がいないというのはおかしい。昔、伊良部町というところ、下地島を抱えている伊良部町が町議会全会一致で、中谷防衛庁長官に下地島空港を使うべきだといって持っていったことがあります。私はもう前からやるべきだと言ってきたわけですけれども、これがやっと実現する。国境の地域を守る、そういうふうな形になってまいりましたので、この事実関係と、それをおやりになるというならば、それに対する大臣の御説明をお願いしたいと思います。

北澤国務大臣 お答え申し上げます。

 与那国を含めて、島嶼部の防衛というのは極めて重要であるという認識を基本的に持ちまして、随時検討をしてまいりました。

 ただ、報道にありますように、中隊規模とか、二百人というと中隊規模ということになるわけでありますが、そのことにこだわるつもりはありませんが、いずれにしても、もう御案内のように、来年度予算に三千万の調査費を計上いたしておりますから、これをぜひまた御決定いただいて、早急に調査をしてまいりたい。

 調査費というのは、島嶼部全体を網羅して調査すること、特に、今もう御案内のように、与那国を含めたあの地域は、我が国の先島防衛の空白地帯というふうにも表現されておりますので、その辺の整備。それから、例えば与那国にしても石垣にしてもどこにしても、部隊を配置するとすれば、地図上にある道路であるとか河川であるとかそういうものが、地図の上ではわかっておっても、現状が、樹木が生い茂っておって非常に現実的でないというようなこともありますので、そういう詳細な調査をした上でやっていきたい。

 ぜひまた御協力をいただいて、我が国の防衛に遺漏なきを期してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

下地委員 平成二十二年に第一混成団が旅団にかわりましたね。その前の年には、F4の戦闘機がF15にかわりました。それは、南西諸島の強化という意味では正しい判断だと思います。

 しかし今、この前、日にちは定かじゃありませんけれども、沖縄本島と宮古島の間を、中国の艦船が第一列島線と言われるところを通過していくという、もう本当にある意味屈辱的なことが起こったわけですけれども、これだけでは僕はだめだと思うんですね。やはり、最終的には、この宮古と沖縄本島の間をしっかりと防衛ラインとして乗り越えられないようにしておくことは、シーレーンを守るという意味でも物すごく大事なことになっているので、私は、与那国にこの中隊規模を置くだけではなくて、宮古に哨戒艇の話や、そして海上自衛隊をやはり配置して強化をしていくというようなことがもう至って必要になってきていると思うんです。

 だから、この与那国に置いたものが防衛レーダーを持って、中国の尖閣諸島における監視をすることもやらなければいけないことですけれども、もう一回、海上自衛隊、陸上自衛隊、そして航空自衛隊、全部を含めて、南西諸島の、この三千万の中で、いろいろなことが盛り込まれると思いますけれども、本格的に我が国のことは我が国で守るというような姿勢を見せるような、ぜひわかりやすい結果を早目に出していただいて、このスケジュールをちゃんと実行していくというようなことをぜひお願いしたい。

 そして、下地島空港がありますけれども、この空港も自衛隊が活用して、しっかりとその役割を担うということも必要だと思いますから、垣根なく、国の方がこうしたいんだということを提案していく、これがもう必要だと思いますから、そのことをぜひお願いさせていただきたい。

 私の今の考えに対して、大臣の答弁をいただいて、終わりたいと思います。

北澤国務大臣 幾つか御提案をいただきました。

 下地島の空港、これは国を守る防衛省・自衛隊としては大変に魅力のあるものでありまして、これが実際に活用できるかどうかということも検討はしていきたいというふうに思っています。

 それから、沖縄本島との間、無害通航について、これをどうこうするというわけにはいきませんけれども、これに対応する我が国の一つの施策とすれば、今度の防衛大綱、中期防で我々が想定しておりますように、潜水艦の増強をぜひ図っていきたい。それからさらには、次期戦闘機のFXについても、高性能なものを確保して、海と空で万全なものを期していきたい、このように考えておる次第であります。

下地委員 ありがとうございました。

平野委員長 次に、木村太郎君。

木村(太)委員 おはようございます。

 早速ですが質問させていただきたいと思います。

 鈴木総務副大臣、他の委員会と重なっているということですので、先にちょっと地元のことから聞かせていただきます。

 私、副長官をしていたときに、世界で初めて、日本の私の地元の車力というところに、Xバンドレーダーというものを配置したんですね。大変粘り強く地元の皆さんと話し合いを重ね、受け入れをしていただいたという経緯があるわけですが、つがる市車力地区から、毎年のように防衛省にも総務省にもいろいろな要請が続いているわけですけれども、まず、防衛省として、このXバンドレーダーを配置していただいているつがる市に対しての今後の支援というか、バックアップをどう考えているのか。

安住副大臣 先般、市長さんと市議会の幹部の皆さんがおいでになられましたので、私の方で三十分ほど親しく会談をさせていただきました。

 道路整備それから補助整備、もちろん地元ですから委員がもう一番御存じのことでございますけれども、道路整備や補助整備等について要請もいただきましたものですから、車力地域全体と駐屯地を結ぶ道路を引き続きやっていったり、また周辺の補助整備事業等についての協力については、私どもの方としても一生懸命やらせていただきます、今後とも御指導賜りますようにということは、私の方からごあいさつとお願いはさせていただきました。

木村(太)委員 では、鈴木総務副大臣にお伺いしますが、国有提供施設等の所在市町村助成交付金、いわゆる基地交付金、それから調整交付金につきましては、自治体の固有税源であります固定資産税の代替的性格を持っておりますし、また地元のつがる市なんかでは、特別な財政需要に対応するため、極めて重要なものとなっているわけです。ただ、平成二十二年度の基地交付金予算額を見ますと、固定資産税相当額の三割にも満たないというのが現状なんですね。ですので、今後どう対応していくのか。

 あわせて、Xバンドレーダーというのは移動式なんですが、実際には固定して運用しているんですね。そこで、このXバンドレーダーというのは基地交付金か調整交付金が交付される対象にすべきではないかという強い地元の声があるんですが、どう考えておりますか。

鈴木(克)副大臣 御答弁させていただきます。

 私のところへも、先般、市長さん初め議会の御代表がお見えになりまして、いろいろと御要望、御要請をいただいたところでございます。

 今お話しのように、基地交付金、調整交付金は固定資産税の代替的性格を持っているわけでありますけれども、いずれにいたしましても、今御指摘のように、総額でいうと二九・数%、約三割というような状況でございます。ただ、これは市町村の財政需要に対するいわゆる財政補給的な性格でございまして、そのすべてをこれで代替していただくということではなくて、補給的な性格だというふうにぜひ御理解をいただきたいと思います。

 例えば、対象資産額、固定資産税の一・四%を掛けると、確かに金額的には相当大きな額になってまいります。これは、約九百十六億ということですかね。いずれにいたしましても、今の二九・二%しかないということでございますが、ただ、固定資産税の場合は、御案内のように、課税標準の特例だとか、それから負担調整措置がとられておるものですから、いきなり三分の一しかないということで比較というのはなかなかできないというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、前年度に対して同額の要求を今行っておりまして、全体には一割カットという大変厳しい状況でありますが、事この金額に対しては、前年と同額を我々今要求させていただいておりまして、先般の御要望に十分おこたえするために今最善の努力をしておるということをぜひ御理解いただきたいと思います。

 それから、もう一点でありますが、Xバンドについて、固定されておるのではないか、だから調整交付金の対象にすべきではないか、この御意見も確かに先般伺いました。しかし、これは御案内のように、車両そして機械、航空機と同様に、いわゆる調整交付金の対象になっておらないということであります。

 今御指摘のように、車はついておるけれども、輪っぱはついておるけれども、ずっと固定をしておるんだからそれはおかしいんじゃないか、こういう御見解もあるわけでありますけれども、これを言い出すと、では車両はどうなんだ、どれだけとまっておれば固定資産の対象になるのかとか、航空機がどうだとかというようなことになってまいりまして、現在のところは調整交付金の対象資産ではない、こういう見解をいたしております。

 いずれにいたしましても、フェンスだとか避雷針のついた建物とか、そういうようなものは対象資産になっておりますので、ぜひそこのところは御理解をいただきたい、このように思っております。

木村(太)委員 タイヤというか車はついているんですけれども、しかし、コンクリートがちゃんと敷かれていまして、だれから見ても固定されているんですよ。ですので、実態的なことをきちっと把握して、総務省としてきちっと判断していただきたい。

 副大臣、どうぞ、次の委員会へ向かってください。

 それでは、副大臣にお伺いします。

 私、この安保委員会の委員長をやっていたときに、例の米軍再編のグアムへの移転というようなことで、いわゆる百億ドルの予算というものを試算して、そのうち、百億ドルに対して日本が六十億ドルというようなことを決定し、この委員会で審議を経てということをしたんですね。そのときに、採決の際に、私の委員長席を民主党の議員の皆さんが取り囲みまして、マイクを外そうとするわ、委員長の進行のペーパーをぶん投げたり、もう大変な場面があったんですよ。

 そこで、副大臣はこの間グアムへ行ってきたわけですが、ことしの五月二十八日ですか、2プラス2で共同の発表をしてと。つまりは、私たちが決めたあの方針は正しかったと今の政権は認めるのか、そして百億ドル、そのうち日本は六十億ドル、自公政権時で決めたこと、これは正しかった、そしてあのとき反対を過激化した民主党は間違っていたと素直に認めますか。

安住副大臣 木村委員が取り囲まれた事案については、全く私認識がないものですから、今そういうこともあったんだなと。しかし、お互い与党と野党でやっているときというのは、多少ちょっと、そういうことも国会戦術上もしあったとすれば、私がどういう立場で当時いたかわかりませんけれども、それはそれで遺憾なこともあったろうなと。特に河野議長なんかの当時、背広が壊れたり、与野党で激しく対立するときというのはよくいろいろあることではございます。

 ただ、私は、例えば例を出すと、オバマ大統領のことを見ていただくと私どもの説明がつくのではないかと思うんですけれども、オバマ大統領も、イラク戦争に反対し、アフガン戦争に反対してかなり激しいキャンペーンをして当選しました。しかし、大統領になってからの決断としてアフガニスタンへの増派を決めた。それは、候補者として、また野党としての話と、自分が実際政権運営をしたときの決断は違うんだということを大統領は明確におっしゃっておられるんですね。

 私どもは、今政権を現実に運営しております。その中で、合意されたことを正確に履行することに正当性があるというふうなことを私は考えておりますので直接行ったということでございます。そういう考え方に立って、今はこのグアムのスキームというものをしっかりと実現したいという継続性を私としては了としております。

木村(太)委員 つまりは、自公政権のときに決めた百億ドル、そのうち日本が六十億ドルを負担するということを認めるという答弁と私は今理解しました。いいですね。

安住副大臣 当時の日本政府の決めたことを正確に私どもとしては実現をした方が、やはり日本にとってはプラスであろうというふうに考えております。

木村(太)委員 そういう素直な姿勢をこれからも大事にしていただきたいと思います。

 それでは、次に入ります。

 北澤大臣、私と岩屋野党筆頭理事は、我が党の国防部会長でありますが、十一月五日、つまり海上保安庁のビデオが四日の夜から未明にかけて流出したとき、その五日の午前中に海上保安庁の石垣保安部に我々も入っていたんですよ。海上保安庁の本庁から石垣保安部に職員が派遣される前にいたんですよ。ですので、流出して、国会議員としては一番最初にいたんですね、石垣に。

 そこで、北澤防衛大臣、今回の中国漁船の衝突事件の映像が流出された事案、そして今神戸の航海士が事情を聞かれている、このことを防衛大臣としてはどういう認識を持っていますか。

北澤国務大臣 この案件については、映像がインターネットに流出したということは、国家としても、そしてまた、私は閣内の一員としても極めて遺憾であるという基本的な認識を持っております。

 また、本来、国家の情報というのは厳格に管理されなければいけないというのはどなたもお認めになる基本的な認識だというふうに思いますが、我が国の危機管理の低下が世界的に懸念されるようなことになったら、これは国益に反することでありますから、一たん流れたものは流れたものとして、それがどういう意図で、どういうルートで流れたかということをしっかり検証して、次の万全な体制を固めるためのもとにしていかなきゃいかぬ、こんなふうに思っております。

 これに関連して、防衛省におきましては、一層この辺の管理を徹底するように指示をいたしました。また、御案内と思いますが、昨夜、総理が各省庁の事務次官を全員集めて、きちんとした対応をとるようにという御発言もございましたので、それを体してしっかりやっていきたい、このように思っております。

木村(太)委員 そこで、今回のこういう事案を受けまして、海上保安庁と自衛隊、改めて連携していくというようなこと、具体的な考え方はありますか。

北澤国務大臣 他国の船舶が法令に違反して領海に侵入した場合、これは御案内のとおり、厳正に取り締まることは当然であります。

 海上における治安の維持は、第一義的には海上保安庁が責任を持って取り締まっておるわけでありますが、自衛隊は警戒監視活動により得られた情報を提供するなど、海上保安庁とは極めて密接に連携しておるわけでありまして、またその後、海上保安庁が独自で対処困難な場合は海上警備行動を発令して対処するという、一応大きな流れはきちんと整備されておるというふうに思っております。

木村(太)委員 さっき下地委員も聞いておりましたので、南西諸島における自衛隊の新たなる配備みたいなことは先ほど答弁いただきましたので、次に行きます。

 私は、アメリカと防衛省・自衛隊がいわゆる島嶼防衛、領海防衛につきましてガイドラインをしっかりと策定するべきじゃないかな、こう考えますが、大臣どう考えますか。

安住副大臣 木村さんに今にらまれましたけれども、最初にちょっと私の方から。

 認識は全く私も共有しています。こういう事例が尖閣の問題を含めてあって、東西冷戦後の南西地域に対する焦点の当て方というのが少し足りなかったという反省をやはりこの十年しないといけないのではないかなと思っております。

 そういう中にありまして、我が国としてまずできることをしっかりやっていく。我が国の領土、領海で我々自身がどういうディフェンスをするかということですね。一方で、日米安全保障条約に基づくアメリカとの関係をもう少しより詰めていくということは当然あってしかるべきだと私も思っておりますので、そういう認識の上に立って、これからさまざまなケースについて学んでいきたい。

 来月には、自民党時代から長く続いております日米の合同演習においても、この島嶼部を含むさまざまなケースについての合同演習等も予定されておりますので、そうしたものを積み上げていきながら具体の対応をとっていきたいというふうに思っております。

木村(太)委員 ですので、新たなガイドラインというか、これを策定する必要性を感じないかということを聞いている。その上で、それに即して日米で合同訓練というのを実施すべきじゃないかということを聞いているんですが。

北澤国務大臣 委員も御案内のように、九七年の日米のガイドライン、ここには「関連する諸情勢に変化が生じ、その時の状況に照らして必要と判断される場合には、日米両国政府は、適時かつ適切な形でこの指針を見直す。」こういうふうに明記されております。

 確かに、今御指摘の沖縄以西の状況というのは、かなりの変化が現実のものとなっておるということは十分承知をいたしておりますので、随時検討しながら、見直しの必要があるかどうかも含めて検討してまいりたいというふうに思っております。

木村(太)委員 はっきりちょっとわからないんですが。

 だから、今回のこういう事案を受けて、新たなものをもう一度つくり直すというか策定すべきじゃないかと聞いているんですよ。

北澤国務大臣 御質問の趣旨は十分承知しておるつもりでありまして、米国との二国間の関係でありますから、今この場で私が踏み込んだ発言をするのはいささか、米側に対しても調整が未熟である中で申し上げるのはいかがかと思います。先ほど、見直しの条項を私が読み上げたということを十分また御承知いただければありがたいというふうに思います。

木村(太)委員 ぜひ、私期待しておりますので、よろしくお願いします。

 では、次に行きます。

 きのう、TPP交渉への参加に反対し日本の食を守る緊急全国集会というのが開かれて、私も行ってまいりましたが、民主党の議員の皆さんもたくさん参加されておりました。

 北澤大臣、賛成ですか、反対ですか。

北澤国務大臣 菅内閣は国を開くということを内閣構成の一番の柱にしておるわけでありまして、その中で、菅総理は強い決意を閣議の中でも表明いたしております。

 しかし、それはTPPにすぐ参加するとかそういうことではなくて、しっかり調整を踏まえてということでありまして、私も農村地帯の出身でありますし、私自身は田畑を耕した経験もございますので、農業の重要性、それから農業の今の現状、そして将来に向かっての不安、そういうものは十分承知をいたしておりますから、この二面作戦を成功させることができるかどうかということは日本の将来にとって極めて重要なことだという認識を持っております。

 内閣の一員とすれば、菅総理の強い決意はしっかり支えていきたい、このように思っています。

木村(太)委員 大畠経産大臣が国会の答弁で明らかにしておりますが、昨年の十一月、オバマ大統領が来日したときにアメリカがTPPへの日本の参加を要請したということを経産大臣はちゃんと国会で答えているんですね。

 そうしますと、この臨時国会冒頭に総理がTPP参加への意欲を所信で表明した、これは突如としてというふうに我々も思うんですが、実際は約一年前から政府は内部で隠していて、この時期になって、つまりAPECというのを意識して突如として国会議員に、あるいは国民に対して意欲を示したという印象を私は持つんですね。

 よくよく考えますと、やはり普天間の問題からスタートして、政権交代したら海外へ、最低でも県外へというふうに当時の鳩山さん初め民主党の皆さんが主張されて、そしてそのことが日米同盟に大きな傷をつけてしまって、そこで日米同盟の信頼関係が損なわれている。そこに今回のあの尖閣の問題を初めとして、中国がある面ではつけ込んできた形でああいう態度になってきている。また、日米同盟が揺らいでいるのでロシアの大統領が北方領土に行った。そこで、慌ててAPECを意識してアメリカにお土産的にTPPへの参加というものを、花火を打ち上げたいというのが本音あるいは真実の流れではないかなというふうに、私だけではなくて自民党内でも、また国民の多くもそういう認識を持っている。

 つまり、安全保障、日米同盟のこの民主党政権のていたらくな対応によって、安全保障とは関係ないと言うとあれですが、農業を初め他の分野が今犠牲になりつつあるのではないか、結構農業者も漁業者も一般の国民もこう思っている人が多いんですね。きのうもそういう意見を集会でいただきました。

 この考え方というか、これは真実ですか。大臣、どうですか。

北澤国務大臣 外から見て状況をさまざま組み合わせますと、今、木村委員の言われたようなことを批判の材料として論理立てをするには格好の場面だったということは私としてもわかりますが、しかし現実は、一国の宰相にならんとする者はこの国の未来をどう切り開いていくかという強い意思を持ってその衝に当たるわけでありますから、菅総理は、日本の、資源の乏しい、そして頭脳集団としてすぐれた日本、そしてまた歴史的にもイノベーションを繰り返しながらこの国を発展させてきた、それが一つの壁にぶつかりつつあるという中で、先ほど申し上げましたように、国を開く、こういうかたい決意でこれに臨んだわけでありまして、突然降ってわいたようにTPPを申し上げたということではないと私はかたく信じております。

 それから、安全保障の関係でありますが、確かに鳩山内閣のときに、総理自身が選挙のときに少なくても県外へと言って沖縄の皆さん方の希望をつないだということは間違いのない事実であります。しかし、私は、安全保障を担当する者とすれば、沖縄の米軍のプレゼンスというのは極めて重要なことでありまして、結果的に、五月の二十八日に日米で合意をして、沖縄の皆さん方にぜひ御賛同いただくように申し上げました。これは、きょう告示の選挙の結果によって大きな動きがあるかどうか、先ほど申し上げたように、私もかたずをのむ思いでこれを見ておるわけであります。

 一方、日米は確かに新しい、日本とすれば歴史的な政権交代が起きたわけですから、一体新しい政権、民主党政権は日米どういう間合いをとるのか、どんな安全保障政策を出すのかというのは、非常に関心は高かったというふうに思いますし、その中で、交渉の中でも疑念を持ったりされたことは間違いありません。

 しかし、今は、さまざまな交渉をしている中で、非常に理解は深まっておる。つい先日でありますが、十一月の二日に、自衛隊の「はしだて」という船を仕立てて、ここへ日米の、日本は防衛省・自衛隊の幹部、それから米側からはルース大使初め、日本全国に駐在しております制服の幹部を集めて懇談、懇親をいたしまして、非常に実りのあるものだった。私は、余り派手に宣伝はいたしませんでしたけれども、日米安全保障条約五十周年の一つのイベントとすれば大変意義の深いものも開催できた、このように思っております。

木村(太)委員 日米の関係が深まっているとは私は思っていないんです。自画自賛的な答弁に私には聞こえたんですが。

 もう一度確認します。安全保障、日米同盟の民主党政権の不手際によって、TPPへこの時期に参加の意欲ということに全く影響を与えていないと言い切れますか。

北澤国務大臣 日米は御案内のように最も大きな同盟国でありまして、周辺諸国にも影響のあるところでありますから、さまざまな分野で日米が共同するということは非常に意義深いし、また日米は施策全般にわたってお互いに連携を深めておるわけでありますから、そういう大きな面でいうとさまざまな見方がありますが、安全保障という観点からいって、このTPPが直接的に関連しているというふうには私は認識をいたしておりません。

木村(太)委員 だんだんにまた、そういうことが明らかになっていくと思いますので。

 それでは、次に入りますね。

 北朝鮮では、金正日総書記の実質後継者として金正恩が内外にPRされたというか、なっているわけですが、この北朝鮮の動きに連動するような北朝鮮の何らかの軍事的な変化というものはあるんでしょうか。防衛省はそういうことをとらえていますか。

北澤国務大臣 お答え申し上げます。

 北朝鮮については、今お話のありましたように、本年九月に開催された朝鮮労働党代表者会において、金正日国防委員長の三男とされておる金正恩氏が党中央軍事委員会の副委員長に就任をした。現在、後継体制の構築に向けた動きが見られるというふうに我々は認識をいたしております。

 そこで、この情勢のもとに、北朝鮮の軍事的動向について、防衛省としては極めて重大な関心を持って情報の収集や分析に努めておるところであります。ただ、これは委員も防衛省の幹部としてお仕事をされた経験がありますから、どんな形で情報が幹部に報告される、そしてまたその後の管理をどうするかというのは十分御存じだと思いますから、そういう従来のやり方の中でしっかり情報は収集し、分析し、さらには総理にもお伝えをしておるということでございまして、引き続き北朝鮮の軍事動向に関する情報収集、分析には努めてまいりますが、御懸念のような情勢についての対応はしっかり努めさせていただいておるというふうに申し上げたいと思います。

木村(太)委員 私も具体的に示してくれとは言っていないわけで、ただ、今の最後の答弁を聞きますと、やはり何らかの変化が起きている、だから、さらに情報収集に努めていて、総理にも報告している、こういうことですね。何らかの変化はあるんでしょう。

北澤国務大臣 体制の変化に向かいつつあるということは先ほど申し上げました。軍事的な変化ということについて、今、私の立場で申し上げることは控えさせていただきます。

木村(太)委員 情報収集に万全を期していただきたいと思います。

 私、十月二十一日の当委員会で質問したときの一つに、自民党、我が党が取りまとめました防衛大綱案、大臣は一読したのか、こう聞いたんですね。そうしたら、目を通したことはないと冷たい答弁が返ってきたわけです。安住副大臣は読みましたと。与党、野党ではなくて、やはり野党第一党がまとめた案というものは気にするのが当然だと思いますし、そんな何時間もかかるような文書じゃありませんから、一読ぐらいするのが一国の安全保障の最高責任者の当然の姿だと思うんですね。その後、読みましたか。

北澤国務大臣 木村委員の御提言もありましたから、しっかり読ませていただきました。膨大なものでありました。

木村(太)委員 我々は党内でしっかりと議論しているんですね。しっかりと議論している。ただ、民主党さんの方はどうなのか、余り伝わってこないんですね。つまり、政権与党の民主党の皆さんの党としての議論というのがなかなか我々にも、国民にも伝わってこない。議論はしているのかもわかりませんけれどもね。

 そこで、大臣、読んだということでありますが、野党の自民党案であっても、正しいもの、あるいは時代に対応した内容と判断するならば最大限取り入れるという考え方はありますか。

北澤国務大臣 一つには新安防懇の報告書、これは総理も言っておりますように、新しい大綱といいますか大綱の見直しの中では一つの材料、それからまた野党自民党の御提言もその一つとして真剣に検討をしてまいりたい。

 ただ、今までずっと政権を持っておられた自民党が、野党のお立場ということなのかもしれませんが、領海法の問題であるとか、新しいものを提案してきております。例えば領海法、こういうものは私どもも真剣に検討をしたいというふうに思いますが、集団的自衛権であるとか、従来このことに深入りすることを避けてきた日本の体制、それを一気に変えるというのはなかなか大変なことだというふうに私は思いますが、皆さん方が真剣に御検討いただいたことは見直しの材料の一つとしていきたい。

 それから、我が党は確かに少しおくれておりましたが、安全保障の調査会が立ち上がりまして、今、そこで真剣な議論をさせていただいております。

木村(太)委員 今の答弁を聞くと、集団的自衛権の話を出されましたけれども、何かしら、やはり民主党政権だと少しそういうところを避けて取りまとめをしなければならないみたいな姿勢に私は感じたわけですね。でも、周辺情勢、世界情勢等々きちっと把握して、本当に新たな防衛大綱を責任を持ってつくる、やはりこの決意の方が優先されなきゃいけませんから、ぜひ最大限、我々の考え方も参考にしていただきたいというふうに思います。

 例えば、日本郷友連盟とかも独自の大綱案というのを示しているんですね。だから、いろいろなところの案というものを引き合いに出して参考にするという姿勢は、やはり大事にしていただきたいと指摘しておきたいと思います。

 では、今度、法案のことに入ります。

 今回の特定防衛施設周辺整備調整交付金を、地方自治体や地域の要望にこたえるために、ソフト事業にも使えるようにしよう、これはいいことだと思います。ただ、このきっかけというのは、昨年十一月の行政刷新会議の事業仕分けにおいて見直しを行う判定を受けたということと承知しております。

 防衛省からいただいたこの法案の資料を見ますと、例えばソフト事業の一つの例に学校施設等耐震診断費の助成等が挙げられているんですね。実は、事業仕分けによりまして、対前年比で、学校の耐震化関係の予算というのは自公政権のときの予算に比べて三分の一まで減らされてしまったんですね。子供たちの勉強する、部活をする、遊ぶ、その学校に関係する耐震化の予算が三分の一ですよ。

 そうしますと、事業仕分けの穴埋めのために、カットしておきながら、一方ではこの交付金で使えますと。単なるごまかしではないかな、こう私には映るんですよ。地方自治体から見れば、耐震化の予算が、本来の予算が減らされてしまった、三分の一ですからね。そこで、この特定防衛施設周辺整備調整交付金を使わざるを得ないというようなことも、本音の部分としては出てくるんではないかなと思うんですよ。

 つまり、単なるパフォーマンスの事業仕分けのとばっちりの象徴として、今回防衛省が提案してきた、この交付金をソフト事業にも使ってもいいですよというふうに受け取る自治体や地域もたくさん出てくると思うんですよ。大臣、どう思いますか。

北澤国務大臣 これは、全く認識は違うというふうに思います。

 委員も地元はたくさんお持ちでございますから、もうおわかりだと思いますが、数年来にわたってこの使途について要望がございました。その要望を受けて我々は新しく御提案を申し上げたわけでありまして、これはむしろ基地の中で御協力をいただいている皆さん方の強い要望を集大成したものだというふうに自信を持って申し上げられます。

木村(太)委員 ソフト事業に使ってもいいということだけではなくて、予算そのものを大幅に拡充しようという考え方はありますか。

北澤国務大臣 御案内のように、極めて厳しい財政事情でありますから、ここ数年、百三十数億で推移しておるわけであります。これを大幅に今伸ばすということは、現実の問題としては極めて難しいというふうに思いますが、重要性にかんがみて、新たな要望があれば真剣に検討はしていきたいと思っています。

木村(太)委員 それでは、先ほども御質問にありましたが、私も改めて聞きます。

 事業仕分けによる見直しの判定で、特定防衛施設周辺整備調整交付金の一般財源化や他の助成金との一本化という指摘がありますが、防衛大臣はどう考えますか。

安住副大臣 大臣が先ほどお述べになられたとおり、非常に厳しい財政事情でありますけれども、百三十九億だったものを概算要求段階で五十六億上積みをしておりますので、委員の御指摘は全くそのとおりだと、私も基地の町の選挙区なものですから。

 これは、一般財源化という話はもちろんあると思います。あると思いますが、まずやはり基地周辺の騒音障害等々、特異な状況の中で生まれた特別な交付金であるという傘はとれないと私は思うんですね。それがあるからこそ、やはりその手当てをするためのお金が必要だということで昭和四十九年からやってきておりますので、その趣旨を変えないで、私たちとしては今後もこの予算というものは要求をして、交付金制度というのは維持していきたいというふうに今は考えております。

木村(太)委員 ちょうど時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

平野委員長 次に、岩屋毅君。

岩屋委員 おはようございます。岩屋です。

 きょうは、さわやかな小原さんの後でもなく、さわやかでない下地さんの後でもなく、いつも時間を食い込まれる新藤さんの後でもなく、よかったなと思っております。

 法案ですから、法案のことを二、三、まず聞きたいと思いますが、その前に、北澤大臣、きのうは済みませんでした、予算委員会に来ていただいておりましたのに、最近、何か身内のような気がしてきまして、よくないですね。厳しくいきたいと思います。お許しください。

 きのう、海保のビデオの流出のことを私、聞かせていただいたんですが、ちょっと不思議だなと思っているのは、私は十一時からの質問だったんですよね。さっき木村先生からもお話があったように、一緒に石垣に行って保安部の皆さんに話を聞いてきたばかりだったものですから、海保からの流出であってほしくないなという思いがずっとあったものですから、この段階でそう決まったわけじゃないですよねと。神戸の漫画喫茶からと聞いたときに、これは政府外の人のしわざではないかなという感じがしたものですから、海保長官に聞いたところ、そうです、捜査をやっている最中ですから海保の者だとはまだ認識しておりませんというお答えでした。

 でも、どうもその前に報告が、海保の職員が自白したというのが長官にも政府にも上がっていたように後で聞かされて、だとすれば、虚偽の答弁というか、やはり国会の審議で本当のことをきちんと言ってほしかったなというふうに思っているんです。

 それはまた別のところでただしていくとして、官房長官、官房長官は名前は何といったっけ、仙谷、余り印象よくないですよね、前の官房長官の方がよっぽど人柄がよかったと思いますけれども。発言を聞いて、私、心配しているんですよ。事実かどうか知りませんが、クーデターだとか倒閣だとかいうような発言もあったやに聞いておりますし、今回の責任のとり方も、行政と政治家は違うんだみたいなことを言っておりますが。

 この海保の職員に関しては、もちろん擁護するつもりはありませんが、気持ちはわかるというか、そういう静かな共感というのは国民の中に広がっているので、この対処の仕方というのは政府としてもすごく難しいと思いますよ。

 政治主導というならば、やはり政治家が最終的に責任をとっていくという姿勢でなくてはならない。そこの対応を誤ると、ますます国民の不信が広がっていってしまう、大きくなっていってしまうと思うんですが、この対処のあり方について、政治主導というのであれば、政治の側できちんと責任をとっていくんだ、こうあるべきだと思いますが、大臣、いかがでございましょうか。

北澤国務大臣 大変重要な課題でありまして、所轄外とすればうかつなことは申し上げられませんが。

 実は、カウンターパートとしての岩屋さんに影の防衛大臣なんて冠があるのは残念な話なんです。私は、御案内のように、現大分市長の釘宮さんを通じて岩屋さんとは御親交を深めてまいりましたが、多分、あのときに我々と行動をともにしていれば、私が防衛大臣でなくて、岩屋防衛大臣だったというふうに思います。

 しかし、きのうの議論を聞いておりまして、私は、岩屋さんが野党自民党に残ってくれたことの意味は非常に大きいと。真正面から議論を闘わせて、小さい問題には深入りをしないというので、もうしばらくたったら私のところへ来るかと思ったらついに来なくて残念でしたが、本当にさわやかな、重みのある御質問をいただいて、国会の議論とはまさにあああるべきだというふうに感じた次第であります。余り持ち上げ過ぎると冷やかされますので。本当に私は、友情の発露でなくて、国会の議論のあり方として、ついでに褒めるわけじゃありませんが、中谷議員と御一緒に予算委員会というものの質を高めてくれたのではないかというふうに思っておる次第であります。

 そこで、きのう、鈴木長官の少しおくれて来て動揺していた姿は、私にもよくわかりました。彼は多分、捜査にもう入った中で、どこまで国会の場で話していいのか懊悩していたというふうに見受けられました。しかし、国の安全にかかわる秘密漏えいはきちんとした対応をしなければいけませんので、今お話しの、責任の所在は明らかにして、しかるべき責任はとっていくべきである、このように思っています。

岩屋委員 大臣は、防衛大臣というよりもむしろ外務大臣に向いておられるのではないかなと感じました。御評価をいただいて恐縮ですが、褒め殺しに乗らないようにしたいと思います。

 ただいまの大臣の御発言、そのとおりだと思います。だから、政治主導というのは、政治家の責任というのは、トップの責任というのは、本来、自分が関与しておらなくても、やはり部下においてなされたことの責任を腹をかっさばいてとってみせるというのが政治家の責任のとり方であり、本来の政治主導だと思うので、そこの対応はぜひ誤らないでいただきたいということだけ申し上げておきたいと思います。

 それでは、法案で一、二点聞きたいと思いますが、これは結論から言うと賛成です。さっき大臣がおっしゃったように、自治体から長い間そういう御要望もありましたので、我々もこういう形になることが望ましいと思っておりましたが、しかしあえて、ちょっと心配な点もあるので、ここを一、二点聞きたいと思うんです。

 というのは、交付金がソフト事業にまで使えるようにするということにすると、ハードなものだったら、交付金で建物ができた、地域の皆さんが便利になった、ありがたいな、やはり基地のこともしっかり考えて協力していかなくちゃいけないなという効果を生んだと思うんですが、ソフトということになると、ある意味じゃ目に見えない形で使われていくわけで、基地対策のための交付金だという性格がぼやける心配はないのかな、こう思うのですが、いかがでしょうか。

北澤国務大臣 これは、先ほども小原委員からもありました。我々が基地に対してどれほど感謝しておるか、そしてまた、ともに国防のために意思疎通を図っていくかという中で、今お話しのように、御要請があった中で使い勝手のいいものにしていきたいということで御提案申し上げたわけであります。

 一方で、地域の人たちに本当に目に見える形、目に見えるというと、道路だとか箱物、こういう話になるんですけれども、医療とかそういうもの、それからまた車なんかにも補助をいたしておるわけでありますが、そこに交付金の趣旨を体現するような表現をさせていただいたりしております。

 私は、賛成というお言葉をいただいたので大変感謝しておりますが、ぜひ、地域の皆さんが基地というものに対して認識を深めていただくために大いにこれを進めていきたい、このように思っております。

岩屋委員 今回は、一部、医療だとか子供のスクールバスだとか、そういうことにも使われるようにしたんでしょうか。ソフト事業ということになると対象範囲が広いので、あれもやってくれ、これもやってくれということで、対象事業がどんどんと拡大していくということにもなりはしないかという心配があるのですが、いかがでしょう。

松本大臣政務官 そもそも、特に障害の著しい地域というふうに限定がありますし、また、自治体にとっても、限られた、予算上の制約というものもありますので、そういったことから考えると、際限なく拡大していくことはないのかなというふうに思います。

 また、これから具体的な使途については政令で定めていくことになりますので、自治体の要望等を踏まえながら、可能な限り地元の自治体の期待にこたえられるように制度設計を行ってまいりたいというふうに思います。

岩屋委員 大臣にお聞きしたいんですけれども、これも先ほどから小原さんや木村さんからもお話がありましたが、今回の改正というのは、行政刷新会議による事業仕分けが発端になっているわけですね。

 事業仕分けそのものの評価、私自身は、ある程度は必要だと思っておりますが、いささか、スタート時点からパフォーマンス的なというかショー的な感じになったことはいかがなものかなと。もう少し腰を落ちつけて、静かに、ルーチンとしてやっていくべきであって、自民党時代もそういう努力が足らなかったのかな、民主党が始めたのはいいことだけれども、これはもうちょっと落ちついた格好にすべきだなというのが私の印象です。

 それで、当初からこれはいかぬなと思っていたのは、例えば思いやり予算が事業仕分けにかかってみたり、防衛関連予算の中には、本来、そういう形で議論するにはなじまないものがたくさんあろうかと思います。これについては、大臣が時折、理解を示したり反発をしてみたり、いろいろな発言をしてきておられますが、同様の趣旨でいうと、今度の政策コンテストもそうですよね。

 内政上の事業について政策コンテストというのはわかるんですが、事外交関係、防衛関係、安全保障関係あるいは日米関係がそういう形に付されるというのは、やはり当該国にとっても気分のいいものではないと思いますね。やはり外交の舞台あるいは安全保障の交渉の舞台できちんと詰めていくというのが筋だと思うんですが、事業仕分けの中にそういうものがどんどん取り込まれてきたということについて、大臣、どう思われますか。

北澤国務大臣 新しい政権が生まれて、新しい手法で税金の使い道を議論するということにおいての御理解をいただいたことは大変ありがたいわけですが、やや気負いがあったという印象を国民に与えたというのは私も幾らか理解はするわけでありまして、それだけ真剣にやったというふうに逆に御理解をいただければありがたいと思います。

 私も、実はいろいろな場面で、内閣として決めたことについて防衛省の特殊事情を申し上げるのはなかなか難しいので、あっちへ球を投げたりこっちへ球を投げたりしてきた事実はありますが、確かにおっしゃるように、防衛省の予算というのは非常に硬直化しておりまして、こういう政策コンテストみたいなものにはなじまない、私はしみじみそう思いました。しかし、政府として一律にやらなきゃいかぬ、例外は認めないということであれば、そういう中で、例えば思いやり予算のような、国民的合意が必ずしも醸成されていない、そういうものを議論していただくことは、むしろ将来の日米の関係の中でもいいのではないか。

 そういう意味では、私は、米国の大使や、あるいはゲーツさんとは四回会談をいたしておりますが、そのうちの二回にわたってこの内容についてはお話を申し上げて、理解を得るように努力をしてきております。じき、また決まるわけでありますが、我々とすれば、日米安全保障条約、日米同盟に亀裂が入ることのないような対応を防衛省を挙げて頑張り抜いていきたい、こういうふうに思っています。

岩屋委員 そうですね。だから、防衛関係予算というのは、ある意味で特別扱いにしなくちゃいけない領域だと思うんですね。そのためにこそ、大綱があったり、中期防があるわけですよね。防衛計画全体のビジョンをつくるのは、やはり十年単位ぐらいで物を考えなくちゃいかぬ。装備も、単年度でどんどんでき上がるというものじゃない。だから、中期防衛力整備計画というのをつくって、そこではもちろん、無駄がないかどうか、効率的であるかどうかしっかり議論した上で、方針をこっちにきちんとつくっておけば、政府全体の中である意味で特別な扱いをすることができるということだと思うので、それがきちんとできていないということも背景の一つに私はあったような気がするんですよ。だから、そういう意味でも、そういうものをきちんと早くつくり上げてもらいたい。後でまたそのことについては触れたいと思います。

 それから、いよいよ沖縄の知事選が始まりました。仲井真知事さんというのは、私は本当に敬意を表しております。沖縄のことを考え、もちろんですが、日本全体のことも考えていただきながら、非常に厳しい立場の中にあって、私どもの政権ともずっと協議を続けてきていただきました。しかし、その仲井真知事さんも、選挙に際して県外移転ということを言わざるを得なくなったというのは、これは、申しわけないけれども、政権交代以降の民主党政権の迷走あるいは不決断が、ある意味で知事を追い込んでしまったということが私は言えると思います。

 そういう意味で、この問題については、本当に御苦労は多いと思うけれども、まさに誠心誠意を尽くして、沖縄の皆さんの信頼を取り戻して、当初の合意案に沿って実現ができるように努力をしてもらいたいと思います。

 そこで、幾つか聞きますけれども、これは本当は委員長に聞かなきゃいけないのかもしれませんが、鳩山政権下で模索された徳之島への訓練移転はもうなくなったと私は認識しておるんですが、それでよろしいですか。

安住副大臣 五月二十八日の2プラス2の共同発表におきましては、徳之島の活用が検討される旨はまだ記載が残っておりますので、鋭意検討中の一つであるということはありますから、消えたということではないと思います。

岩屋委員 しかし、徳之島の皆さんも、全国の皆さんも、ああいう経緯を経て今日に至っているわけですから、大方もうあの案はなくなったんだろうなと認識されておるんじゃないでしょうかね。

 続いて聞きますが、あのときに鳩山政権は、全国の知事会で、突如と言っていいと思いますが、全国の皆さん、訓練移転を受け入れてくれるところはありませんかなどという、私に言わしめれば、思いつきに近い、極めて安直な提言を行って、知事さんたちの失笑を買ったというようなことがございました。その後、この全国への訓練移転という話はどうなっておるんですか。

安住副大臣 具体的な話は、例えばどこかが受け入れを決めたとか、そういうところが正式に決まったわけではございません。

 岩屋先生一番御存じでございますけれども、海兵隊のトレーニングというのは、ヘリコプターと例えば陸上をセットでやるときに、やはり非常に特異性がありますよね。いかにニアな地域でやるかとか、時間的にどれぐらいの幅のところでやらないといけないかとか。

 これは、私が中谷先生なんかと一緒にことし普天間に行ったときも司令官がおっしゃっていましたけれども、野球のキャンプを、プレーをやるとき、例えば、内野の練習は東京、それから九州でピッチャーの練習をする、そんなチームが優勝できるかといえば、そういうことはできないだろうと。

 やはり、セットでやるからそういうことができるんだというアメリカ側の主張がよくありますから、そういう理にかなった訓練の移転というものをどこか国内でお願いするとなれば、なかなか簡単に、そうですか、ここでというわけにはいかない事情があるということは御理解いただいて、なおしかし、日米間の中でどこか可能性がないかということでいろいろ検討しているというのが現在の状況だというふうに思います。

岩屋委員 だから、私たちは前からそう理解しているんですよ。今野球の話で説明されましたが、私も前に言ったことがあると思います、海兵隊とヘリ部隊の関係は、騎兵隊の馬と騎兵の関係と一緒だと。だから、馬がいるところと、騎兵がいるところと、騎兵が馬に乗って訓練するところをばらばらに置いたのでは、これは全く軍として機能しない、当然のことなのです。

 だから、私が言いたいのは、やはり沖縄の負担を減らすために、全国でもしどこか適地があって、安全保障上もそこが適地であって、地元の合意が得られるならば、訓練移転ができるのならばと私は思っているんですけれども、そういう安全保障上の観点とかいうことをしっかり詰めて、具体的に何の訓練を、どこの部隊を、どこに受け入れてくれませんかという丁寧な話をしないと、何か、知事さんを集めて、迷惑施設をだれか引き受けてくれる人はいませんかみたいな安直な提案をしたら、やはり国の姿勢そのものも疑われるし、事も成就しないと思うので、ぜひそういう丁寧な進め方をしてほしいということを申し上げておきたいと思います。

 それから、この夏でしたか、政府がまとめた辺野古の工法二案、V字案に加えて新たにI字案ということでしたけれども、この案に完璧に決まったわけじゃないんですよ、ほかの考え方もあるんですよというのを示すためにつくった案なのかなと正直思いますが、出てきた案を比べてみると、やはりI字案ということになれば新たなアセスが必要になるんだと思います。そうなると、さらに普天間の危険性の除去がおくれて、移転計画そのものがおくれていってしまうということになりはしないか、このI字案というのは、そういう意味では余り適当ではないのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

安住副大臣 二案出させていただいたわけでございますが、V字案のことについては先生一番御存じですからあえてここでは申し上げませんが、I字案は、環境影響評価手続については、新たに設定するのではなくて、今継続しているもので、そこにつけ加えるということになりますので、新たなという考えではないということなんですが、確かに手間がかかるというデメリットはあると思います。しかし、一方でメリットもある。それは、例えば工期とか経費、さまざまな面でそこを勘案しながら、両案のどちらがいいかということで並べさせていただいて、最終的に合意を得られればということです。

 しかし、これも沖縄の声も、大臣が再三この場でも答弁させていただいておりますけれども、そうした地元の声等も十分勘案をしながら決定していくということになると思っております。

岩屋委員 一点確認したいけれども、アセスは要らないの。例えばV字の場合は、この間から台形の飛行経路がどうだこうだという議論もありますが、飛行経路も変わるわけでしょう。これは手続がやはり余計に要るということなんじゃないですか。

安住副大臣 手続が余計に要るということでいえば事実でございますけれども、これはちょっと正確に読みますけれども、評価書の作成に必要な設計を行った後、関係法令に従い、現在行っている環境影響評価手続を継続し、評価書の作成を行うということになっているんですね。ですから、新たな手続を、もう一回ゼロから環境影響評価手続を必要とするものではないというふうになっているということでございます。

岩屋委員 私も専門家じゃないのでよくわからないんですが、私の認識では、かなりしっかりしたアセスをやり直さなきゃいけない案なのではないかというふうに思っているので、それはまた、もしわかれば、調べて、後でいいですから、教えてください。

 話をかえますが、この間、米軍が日本のマスコミにオスプレーを公開したそうですね。試乗させたというか、搭乗してもらって見てもらったというニュースを私は見ましたが、このオスプレーの問題は、私どもが政府にありましたときにもこういう委員会でたくさんの御質問があり、まだ配備されると決まったわけではありません、そういう話は聞いていないという答弁に終始をしてきたわけです。こうやって日本のマスコミにも公開を始めたということは、ある意味の準備行為と見ることもできるわけでありまして、海兵隊が全世界的にこういうヘリコプターを後継機にかえていくという作業が進められていくとするならば、ある意味では既定路線なのかなとも思います。

 そういう意味でいうと、この問題は非常に難しい、どういう時期を選んでどういう説明をするかというのは非常に難しいと思いますが、余りこれを避けて通っていると、またうそをついたということで不信を招きかねない問題だと思うので、私は、時期を見て、このオスプレーの問題にも正面から政府が取り組んで、誠実に説明していく必要があると思っているんですけれども、いかがでしょうか。

安住副大臣 岩屋先生のおっしゃるとおりだと思っております。

 ただ、我が政府に対してアメリカ側から配備等についての正式な話はまだ来ていないということも事実でございますので、来ていない話をなかなか表で、隠しも何もしませんので、来ていないという現実の上に立ってやはりお話をさせていただくしかない。

 ただ、御存じのとおり、アメリカ海兵隊における配備状況、それからワシントンから伝わってくる話を総合的に勘案すれば、そうしたことは想像できるのかなというふうにも思っておりますので、正式にそうした要請が来た段階では、きちっと御説明を申し上げて、検討していくということになると思っております。

岩屋委員 私も同じような答弁をしておりましたが、私が言ったときの方が本当に聞こえたなという感じもいたしますが、いずれにしても、これは誠実に対応してください。それを申し上げておきたいと思います。

 それから、大臣、安保改定五十年で、本当はことしはとても大事な年だったと思います、日米同盟、日米関係において。オバマ大統領が見えたときにぜひ新たな安保共同宣言を出すべきだということを我々は申し上げてきましたが、この間、外務大臣の答弁では、いやいや、延期したんじゃなくて、そもそも予定されていなかったなんという言い方をしましたけれども、本当にそういう考え方でいいのかなと私は思いますよ。

 そういう意味でいうと、仮に共同宣言という形をとらずとも、やはり日米首脳がしっかりと話し合って、国の内外に、日米同盟まだ健在なり、こういうメッセージを発する必要が今こそあるのではないかなと思うので、何かそういうものをしっかりやってもらいたいと思っているんですが、いかがでしょうか。

北澤国務大臣 ただいまの御提言は極めて重要なことでありまして、私も、先ほども申し上げましたように、日米の間で現在きしみがあるとかひびが入っているとかという認識は持っておりませんが、しかし、政権がかわった中で、新たに、日米関係の五十周年という節目をとらえて何がしかのことはあるべきだ、このように思っております。

 これは総理が最終的に決断をすることでありますが、私どもとしては、外務省も含めて、情勢はきちんと報告を上げて、総理の御決断を仰ぐということであろうかというふうに思っています。

岩屋委員 中国との間もなかなか今難しい、ロシアとの間も難しい。しかし、私は、きのうも予算委員会で申し上げましたが、会うべきだと言っているんですよ、十分間外交とか立ち話とか、もうそんなのじゃだめだと。あれを見るたびに国民の誇りが傷つけられているんですよ、日本国内閣総理大臣が何でこんな扱いを受けなきゃいけないんだ、我々の代表がと。国民の誇りが傷つくんですよ。だから、そういう中途半端なことじゃなくて、きちんと会って、言うべきことを言って、そして、日中関係をさらに強化しましょう、日ロ関係もきちんとやっていきましょう、北方領土の交渉は交渉として続けていきましょうという話を、菅総理、やってくださいということをきのう私は申し上げたんです。

 一方で、オバマ大統領とも、しっかりとした、安保の問題も含めた協議の場を持って、内外にメッセージを発信していただく。両々相まって、日本の外交は悪いけれども失点続きですよ、この失点を少しでも取り返していく努力を民主党政権においてやってもらいたい、こう思っておりますので、防衛大臣、今おっしゃったような形でしっかりとしたメッセージを発していただくように、重ねてお願いを申し上げたいと思います。

 防衛計画の大綱ですが、先ほど来からお話が出ておりますが、もう大詰めを迎えているのではないかなと想像しておるんですが、与党内の調整も含めて、どんなスケジュールで決まっていきそうですか、大臣。

北澤国務大臣 結論から申し上げますと、本年内には絶対に決めなきゃいけないというふうに政府全体で考えております。また、関係閣僚の協議も、なかなか表には出しませんが、相当緊密に議論をいたしております。

 今、柱になるべきものはきちんと立てて、それを協議してまとめていくということでありますので、時間がない中で大丈夫かという御心配はたくさんいただいておりますが、私とすれば、官房長官を中心に関係閣僚が鋭意協議をしながら努力をしているということで、年内の見直し案の確定は私の立場からもお約束をさせていただきたいと思います。

岩屋委員 今ほど国民の皆さんが外交、国防ということに関心を持っておられるときはないと思うんですね。そういう意味でいうと、大綱というのはこれからの日本の国防方針ですよね。これは国民的な注目を集めると思いますので、ある意味では一年間猶予があったわけでありますから、しっかりとしたものをまとめていただきたい。それがまた外に発せられることによって日本の抑止力の一部を構成するということになろうかと思いますので、しっかりしたものを早くつくってください。

 本来は、この間木村議員もおっしゃっておられましたが、大綱ができて、中期防ができて、それに基づいて単年度の予算編成がされていくというのが筋だと思う。それは、作業的にいうと、近々でき上がらなきゃ皆さんの予算編成も魂の入ったものにならないと思うので、ぜひ、急ぎ、立派なものをつくってもらいたいというふうに思います。

 大臣は、これからの装備というか体制の方向性について、海と空を重視すべきだということを随所でおっしゃっておられると思いますが、そういう方針が盛り込まれると考えてよろしいですか。

北澤国務大臣 そういう方向で今努力をしておりますから、私は、みずからを鼓舞しながら、これがきちんとした計画にはまるように、決意を持ってやっております。

岩屋委員 大きな方向性としては私も賛成ですけれども、かといって、陸を軽くしていいという話ではないと思いますので、むしろ、やはり自主防衛力を強化していかなくちゃいかぬ、ここに対する国民の関心と支持も従来になく高まっていると思います。もちろん、それに悪乗りをしてはいけませんけれども、海空重視は結構ですが、陸の体制整備についても十分配意をしていただきたいと思います。

 それから、さっき準自衛官構想という話が出ましたが、これは報道によれば、財務省が先に発表して、北澤防衛相がかんかんになって怒ったというふうに聞いております。要は、こういうニュースが出てきて心配なのは、日中防衛相会談についても外務省と防衛大臣の間でいろいろいざこざがあったと聞いておりますが、閣僚がばらばらな発言をするというのは民主党政権のお家芸みたいに今なっていますけれども、やはりそういう省庁間の連絡調整というのはもっとしっかりやってもらわなきゃいかぬと思っているんですけれども、そこは大丈夫ですか、大臣。

安住副大臣 当事者じゃなくて、私の方からやった方がいいと思います。

 あの準自衛官という概念は、財務省の役所としての願望を多分言っているんだと思いますけれども、私どもは、今こういうことだと思うんですね、先生。やはり、高年齢化といいますか、もう一番御存じでしょうからあれですが、若い優秀な自衛官、陸は特にそうですけれども、そういう人的資源をどういうふうに確保していくか。しかし他方で、どうやったって、これから自然退職を含めて五年間で数千億円もの退職金を必要とするような、やはり財源の枯渇ということがある。そういう中で、いわゆる一線部隊の精強性を確保しながら、後方任務をどういうふうにやってもらうかということで、今、新たな身分を考えようということでやっているわけであります。

 決して、何か自衛官の下に次の準自衛官的ななんてそんなことは、大臣を含めて幕僚以下一切そういう考えではなくて、今ある自衛官にさらに精強性を加えた、そしてコストがかからないやり方でやっていこうということで工夫をしておりますので、しかるべき時期に来ましたら、その制度設計については自民党の皆さんにもお示しをして、ぜひ意見をまたいただければというふうに思っております。

 ADMMについては、北澤大臣が出発の直前でようやくということで、手際が悪いのではないかということで私どもの方から外務省の側には言わせていただきましたけれども、最終的にはきちっとしたアテンドはできたというふうに思っております。

北澤国務大臣 御質問が海と空に限定をされましたからそういう方向を示しましたが、我々は、自衛隊の基本は人であるということの原点は見失っておりません。

 したがって、陸自の来年度に向けての養成、それからまた、海や空へ力点を置いたときに陸が犠牲になるというようなことであってはいけませんので、相当な議論をさせていただきました。最終的に私の裁断で方向性を出したわけであります。装備で、例えば戦車を大量に減勢するというような場合は、それをどういうふうに装備と人で補てんするかというようなことも含めてしっかりやっておりますので、陸をおろそかにして海空へ転換する、そういうことでないということだけは御理解いただきたいと思います。

岩屋委員 まず、省庁間調整というか大臣同士の連携、特に外務、防衛というのはしっかりやっていただきたいと思います。それから、余り中途半端なものをつくらないようにしてくださいね、準自衛官というのはどんなものかよくわかりませんが。

 最後に、民主党内でも武器輸出禁止三原則についての見直しの検討をしていただいていると承知しておりまして、これについては我々も関心を持っております。ぜひ、国際共同開発には大きく道をこの際開くべきだと我々も考えておりますので、そういう取りまとめになることを期待しております。

 この問題についても、北澤大臣はゲーツさんと会われてお話をされて、向こうもかなりいい反応をされた。ところが、総理大臣、外務大臣、官房長官の発言というのが微妙にまだ食い違っている段階で、こういう重要事項についてばらばらなことを言っているというのはいかがなものかな。半ば国際公約にもなりつつあるような話になっているので、ここは菅政権として統一した考え方を、これは大綱に示されるんでしょうが、持つべきだと思いますが、いかがですか。

安住副大臣 多分、御党と私どもの考えている考え方というのは、基本的には一致しているのではないかと私は想定しております。

 岩屋先生、共産圏向けでスタートした三原則というものの時代背景と、今はやはり明らかに大きな変化をしてきたことはもう事実でございます。今の時代に合った、新しい平和貢献のための装備全体が、共同開発を含めた時代に入ってきた中で、このままいけば、いわゆるガラパゴス化とよく言われておりますけれども、高いコストで、逆に言えば、国民の税金を非常に無駄な使い方をしてしまうようなことにもなりかねません。平和国家としての原則はしっかり維持しながらも、おっしゃるとおり共同開発や、やはりできる範囲で工夫をしていかなければならない時代だということで、今、大臣のもとでこれの検討、見直しというものをぜひやらせていただければということでやっております。

 さまざまな歴史的経緯等々もあるものですから、そういうものを各大臣間で今調整をしていただいているということでございますので、御理解いただきたいと思います。

岩屋委員 終わります。

平野委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 まず最初に、今回の対象となっております防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、何点か御質問をさせていただきたいと思います。

 私は、今回の法改正については、それぞれ基地を抱える地元自治体のニーズが多様化したことに対応して、使途をより自由にして使い勝手をよくする、こういう方向性というのは極めて大事である、そのように考えております。ただ、これから、この法改正によって、後世の人が見ても、どういう考え方なんだということはやはりきちっとこの委員会での議事録にも残しておかないといけないと思いますので、まず、法改正について二、三確認をさせていただきたいと思います。

 最初に、今回の対象をいわゆるソフト事業、法律用語で言うと「生活環境の改善若しくは開発の円滑な実施に寄与する事業」、こういうように、ここまで拡大するんだと言われておりますけれども、これは一体どういう事業を指すのか、簡潔に答弁をいただきたいと思います。

松本大臣政務官 自治体からの要望も踏まえまして、具体的な事業としましては、コミュニティーバスの運営費であるとか、あるいは医療費の助成、さらには教育費の助成、子育て支援、高齢者の支援サービス、地域の特産品の開発、防犯パトロールの実施等などが考えられるというふうに考えております。

佐藤(茂)委員 今、松本政務官の方から何とか例を出してもらったんですけれども、やはりきちっと規定があるのかどうかということが大事だ。今まではいわゆる箱物だったんですね。だから、もう一回、そのソフト事業に範囲がきちっとあるのかどうか、それとも、箱物以外すべてオーケーですよ、そういう形にきちっとなっているのか、どの範囲までがソフト事業として認められるのかということについて、防衛省の考え方を確認しておきたいと思います。

松本大臣政務官 重ね重ね済みません。

 政令で具体的には定めていくことになりますが、ハード以外全部認めるということではありませんで、例えば市町村の庁舎等に勤務する職員の人件費等については対象外となるような制約を考えております。

佐藤(茂)委員 だから、政令で定めるというのは、これはよく役所がやる手なんですよ。法律の議論のときには基本的に何ら具体的なことを決めずに、最終的に法律が通って期間が経過した時点で、何か国会議員がわからぬうちに政令でぱしぱしと物が決まっておるというような、こんなやり方は、我々も政権におりましたけれども、やはりこれは、政治主導というなら、ある程度この委員会でもうちょっと具体的に、こういうものに使ってこういうものはやめるんだという方向性は明確に出した方がいいんじゃないでしょうか。

 大臣、具体論じゃなくて、そういう考え方はどうなんだということをちょっとお聞きしたいと思います。

北澤国務大臣 委員のおっしゃるのは、全く私もそうでありまして、私も長いこと野党暮らしをしている中でしみじみ感じたのは、この国のあり方というのは何だと。大ざっぱな法律をつくって、あとは政令、省令だ、こういう話は政治家からすべての権限をとるような話じゃないかというふんまんを持っていた時期もありました。

 そういう意味で、今回は、先ほども政務官からお話を申し上げましたが、長年にわたって対象地域の市町村長さんたちが持ち寄った事例を集約して、その中から具体例を列挙して、そしてこの法案をお願い申し上げたということでありまして、私は、基本的には、基地を抱える地域の皆さんの総意が生かされた改正だ、このように思っております。

 先ほど政務官が、時間の関係か、細かく申し上げませんでしたが、場合によれば、学力向上サポートだとか外国語講師派遣だとか、そういう細々したことは御説明に上がってもよろしいかというふうに思います。

佐藤(茂)委員 ですから、法律の方向性としては私は正しい方向だと思うので、やはり具体論を政令で決められるときに、ぜひ当委員会に、理事会でも、全委員の皆さんが必要だというなら委員会でもいいんですけれども、提示をしていただきたい、そのように思いますけれども、防衛大臣、いかがですか。

北澤国務大臣 御趣旨を体して積極的に対応したいと思います。

佐藤(茂)委員 そこで、考え方として最後に一つ確認しておきたいのは、先日、私は、平野委員長も御一緒しまして、全国市議会議長会基地協議会というものに出席をさせていただきました。そのときの要望の中の一つに、「交付金の補助対象施設を拡大するとともに、維持管理費等も補助対象とすること。」こういう項目があるんですね。

 要するに、今までも公共用の施設の整備ということでやられていたんじゃないかなと私は思ったんですが、そうじゃなくて、こういう要望が上がっているということは、維持管理費等についてしっかりやってもらいたい、対象にしてもらいたいという要望がやはり地元からある。

 今回のソフト事業への拡大で、こういう公共用の施設の維持管理費等も補助対象となるのかどうか、そこは明確に御答弁いただきたいと思います。

松本大臣政務官 先ほど小原委員の御質問のときにも御答弁をいたしましたが、これまではそういう制約がありました。しかし、今回の改正で、維持管理費も対象に含めていきたいというふうに思います。

 また、先ほどの答弁、ちょっと言葉足らずで申しわけありませんでした。庁舎等に勤める職員の人件費等は対象としないという制約はありますが、御指摘のように、市町村の意向を踏まえながら、可能な限り、幅広く交付金の対象となるように検討していきたいというふうに思います。

佐藤(茂)委員 それでは、次に、一昨日でしたか、予算委員会の基本的質疑で、防衛大臣には申しわけなかったんですが、通告しておきながら質問できなかった。あのときには、とことんクリーンな政治をと言われた菅総理との時間をいただきましたので、その基本姿勢が本物かどうか、そこを見きわめるのにちょっと時間を費やしてしまいまして、そのときの宿題になっておりますけれども、アフガニスタンへの自衛隊医官等の派遣の検討についてお聞きをしておきたいと思うんです。

 これが先週ぐらいから報道でも新聞をにぎわせております。自衛隊の医官あるいは看護官ら約十人を年内にも派遣する検討を始めた、そういうように言われておりますけれども、一体どこからのニーズで、目的は何なのか、まずお答えいただきたいと思います。

安住副大臣 アフガンは今、佐藤先生御存じのとおり、国の再建途上にあるわけです。そういう中にありまして、いわばISAF等々、今NATOが主導権をとりながら対応してさまざまな事業を行っていますが、その中で、医官、医療の不足というものが再三指摘をされておりました。

 もちろん、このミッションについて、それでは我々として検討をして、自衛隊の医官がここに本当に貢献をできるかどうか。今の状況等々を勘案すれば、非常に難しい問題、クリアしなきゃいけない問題もあるものですから、ここは実は省内でも、特に大臣からもあるんですが、では現地を直接見てきて、そしてそういう状況が本当に必要であるということを確認した段階で、これに対して具体の検討をしようという段階に今あるということでございます。

佐藤(茂)委員 だから、要するに、今の副大臣の答弁でわからないのは、日本が主体的に勝手に判断したのか、それとも、ISAFあるいはNATOあるいはアフガニスタンの現地あるいはアメリカ、こういうところから具体的にニーズがあったのかどうか。そこについてきちっと御答弁いただきたいと思います。

安住副大臣 不足ということについての指摘は十分いただいているんです、いろいろなところで。それに対して我々として貢献はできないかという検討をしているというのが正確なところなんですよ。

 正式に、例えば何人医官を派遣してくれとかそういう話ではなくて、今の段階では、極めて不足をして非常に困難な状況であるというふうな説明を我々としては受けていて、また、現地のアフガンに駐在する大使等に対しても、現地のISAFの責任者の方からそういう指摘があった。ということは、派遣をしていただければ大変ありがたいという意向があるということだと思います。

佐藤(茂)委員 ただ、今、正式な要請がないということはもう間違いないですね。そういう指摘がそれぞれいろいろなところでされているけれども、正式な要請はどこからもない、それは事実なんですね。ちょっと確認しておきたい。

北澤国務大臣 今も副大臣から答弁がありましたが、さまざまなルートから要請が来ていることは間違いありません。しかし、おっしゃるような形で、公式ルートでと認定するようなところまでは至っていない。

 そういうことでありますから、危険の察知もなかなか明確にはできませんので、私どもとすれば、まず、ここまで来たら、もうアフガンへ権限移譲が始まっておるわけですから、その権限移譲が始まっている中で日本がどれだけのことができるか。しかも、それはどうも、いろいろな情報からすれば、医療関係に限って日本に要請があるということでありますので、私は、少しレベルの高い調査団を出して、ISAFの幹部はもちろんでありますが、アフガンの政府とも話のできるぐらいのレベルで調査に行かせていただければありがたい、こういうふうに思っております。

平野委員長 少し待ってください。

 正式という意味がどういう意味なのかというのが今少し御議論ありますが、追加ですね。安住防衛副大臣。

安住副大臣 つまり、これは正確にまず言いますと、最近のことでいうと、十月二十二日に、ラスムセンNATO事務総長が、一言で言うと呼びかけているんですね、これは日本も対象にもちろん入っているんですけれども。その呼びかけの中に、NATOのパートナー及び加盟国、パートナーというのでは日本も含まれるわけですが、そこに対して、医療も含めて非常に数が足りない、この養成や訓練に人的資源を提供するよう呼びかけるという呼びかけを行っている。

 こういうことが正式かと言われれば、私たちの政府にあて、我が国のだれだれということではないんですが、この呼びかけに対して我々は検討しているということが一例でございます。

佐藤(茂)委員 そうすると、今、副大臣や防衛大臣のるるの答弁を聞いていますと、NATOや、あるいはISAFの方でそういう指摘があると。そういうことなら、今展開されているISAFとの関係は、今回派遣するとなったらどうなるんですか。

北澤国務大臣 当然、ISAFのプログラムの中には入ります。しかし、指揮権はあくまでも私の指揮のもとにある、こういうことであります。

佐藤(茂)委員 そのプログラムの中には入るけれども指揮権は防衛大臣だというのは、どういうことなんですか。要するに、ISAFの一連の一員として活動するわけでしょう。それが、ISAFの指揮のもとじゃなくて、指揮権というのは防衛大臣にあるというのはどういう動きになるんですか。

北澤国務大臣 アフガンの状況は御案内だと思いますが、我々が万全を期して派遣をしても、もし想定した以上の危険が迫りつつあるということになれば、私のイニシアチブで撤退をする、そういうことが可能な仕組みだというふうに。

佐藤(茂)委員 そういうことが可能な仕組みというのは、あくまでも今、防衛大臣が思っておられるだけで、これから具体的に交渉していかなあかんことじゃないんですか。具体的に、こっち側が日本としてのある程度の方針を決めて、それで、そういうやり方ができるのかどうかというのをこれから交渉していかないけないということじゃないんですか。

安住副大臣 もちろん、これから交渉してということなんですが、一般的な事例で見てみますと、もちろん、受け入れる側に、今アフガン国でこういう話があるわけではなくて、ISAFがやはりキャッチャーになるということですね。

 そういう中で、では日本はどういうことになるかというと、傘下、傘の下の指揮権には入りますけれども、あらかじめの取り決め、締約ということになると思いますけれども、それを結ぶことによって、限定されたミッションにおける派遣ということで、これを、なおかつ防衛大臣の指揮下で行うという取り決めを行う。これは行く場合で、もし万一行くということを想定した場合は、そういう法律的整理をやった上で、なおかつ相手側もその条件をのんでいただくということがあれば、派遣は可能になるのかなということで検討しているということです。

佐藤(茂)委員 しかし、これは今、副大臣が言われたように、ISAFの指揮下に入るんでしょう。武力行使の一体化とかさまざまな問題が出てきますよ。要するに、日本の医官なら武力行使する可能性はない。しかし、ISAFは具体的に治安活動をやっておるわけですよ。治安活動どころか戦闘をやっている。その指揮のもとに入るということは、武力行使の一体化のおそれは当然出てきますよ。そこはどう整理されているんですか。

安住副大臣 ISAF自身がさまざまな活動をしていることはもう十分承知です。ですから、我々としては、本当に限られた、その中で、例えばそういう一体とならない活動が取り決めを含めて可能かどうかということの検討をこれから行うという段階なので、あらかじめ行きますというような話じゃなくて、だからこそ、大臣も、これは総理もそうですが、現地の状況について、しかるべき立場の人間が行って、そこでまず調査をしてくるということを含めて検討したらどうだという段階だということでございます。

佐藤(茂)委員 それで、そういうアフガンの陸上でどういう支援ができるかというのを考えようとされていることは我々、別に否定しませんし、ただ、問題は、これが野党民主党時代に言っておられたことと矛盾しないのかどうかというのをしっかりと考えてもらいたい。

 それは、北澤防衛大臣も参議院の外防の委員長をされていたときか、その前かわかりませんけれども、ちょうど二年前の秋に、我々の補給支援特措法の対案を野党民主党は出されたわけです。そのときに、アフガニスタンの人的貢献の派遣条件というのを設定されたんです。

 これは、そのときのことをおわかりにならない一年生の方もいらっしゃるから、あえて丁寧に説明しますと、その民主党案によると、アフガニスタンで人道復興支援活動を実施する地域を、抗争停止合意が成立している地域、この抗争停止合意というのはどういうことかというと、「アフガニスタンにおける武装集団が行っている武器を用いた不法な抗争を停止し、及びその停止を維持する旨のアフガニスタン政府と当該武装集団等との間の合意」、これを抗争停止合意というんですね、そういう抗争停止合意が成立している地域、または「住民の生命若しくは身体に被害が生じることがないと認められる地域」とされていたんです。

 それで、我々は、私も衆議院で提案者に質問いたしました。そのときに、本当にそんな抗争停止合意なんというような地域があるのか、テロリストのアルカイダとかタリバンとの抗争停止合意が成立する地域や、また、住民への被害が生じない地域というのを当時のアフガニスタンの国内に見出すことができるんですか、そう質問したら、何と法案提出者は、いや、そんな地域は今ございませんと。要するに、法案を提出したんだけれども、その法案のもとに派遣できる地域というのはどこにもないと、そのときに提案者が言われたんです。極めて非現実的な案を出してこられたんですね。

 この考え方からすると、今はその二年前よりも、防衛省だから御存じですけれども、タリバンは復活してきております。大変な勢力を増してきて、この法案提出の二年前のころよりもアフガニスタン内の状況というのはさらに厳しくなって、とても従来の民主党の主張されていた派遣条件に合うような地域というのは想定できない、そのように考えるのが当たり前だと思うんです。

 この派遣を考えるなら、あの当時の民主党の考えは間違っておりました、そうお認めになってから派遣を考えるべきじゃないかと思うんですけれども、どうですか。防衛大臣でも副大臣でもいいです。

安住副大臣 確かに、二〇〇八年は野党でございまして、当時の私たちの出した法案について、それは状況というものを正確に把握していなかった、し切れなかった部分もあったかもしれません。

 ただ、その後の国際情勢の中で、オバマ政権も誕生し、政権移譲期を限定してアフガンへ増派をして、そして今、治安の維持に努めているわけですよね。それで、新しい国家建設が始まる時期というもののタイムリミットが迫っている中で、ISAFの活動において、やはり人を育てていかなければならないというニーズがあるということを私どもは率直に感じたわけであります。

 そういう中で、それは矛盾すると言われればそうかもしれませんが、状況の変化の中で、政権与党として、今このことの検討は十分検討に値するということを考えているということをぜひ御理解いただきたいと思っております。

佐藤(茂)委員 だから、状況の変化はいいんですよ。政権をとられて国際社会のことがいろいろわかった。それはわかるんだけれども、あなた方が党内で議論されて、抗争停止合意という珍妙なそういう考え方、あるいは「住民の生命若しくは身体に被害が生じることがないと認められる地域」という、みずから基本的に議論されて、これでいこうと、そういうように法律という形にされたこのアフガニスタン支援への基本的な派遣条件の考え方、これは間違っていたのかどうなのかということを簡潔に答弁いただきたいと思うんです。

安住副大臣 間違っていたかどうかというところまでいくと、ちょっと私としては、今、その当時の責任者でもないし、わからないところもありますけれども、考え方を改めるということであれば、それは改めているのかもしれません。

 先ほどから申し上げていますように、国際情勢の中で、つまりなぜかというと、戦闘行為が激しい地域に、もちろん今の法律体系の中で派遣できるわけがありませんから。だから、想定し得る場所というのは、多分カブールのいわゆる支配下の中の限定された地域ということになると思うんですね、医官の、座学を含めた指導訓練をするわけですから。

 そういう点からいうと、二〇〇八年当時の法案で、延長してそのまま継続している部分もあれば、新たな要素を加えた部分もあるというふうに理解をしていただいた方がよろしいかなと思っております。

佐藤(茂)委員 副大臣の答弁ではよくわからない。

 要するに、我々は、内容がいいものなら何も反対しませんよ。ただ、野党であろうと与党であろうと、国際平和協力に対してどういう考え方をするのかというのは、党の考え方が問われているわけですから。

 二年前に考えたこういう基本原則というのは、やはり少々、野党だったから勉強不足もあって、間違っておりました、だから、今新たな与党になって、国際社会の状況もかんがみ、この二年前の考え方は否定をして、しっかりと新たな取り組みをやります、そういうことを言われるなら我々も協力しようと思うんですけれども、そういうみずから縛るようなことをやっておきながら、そんなことはなかったかのように今議論されているというのは、国民から見ても、どう見てもおかしいと思うんです。これはぜひ大臣、答弁いただきたい。

北澤国務大臣 今御主張になったお気持ちはよくわかります。

 私たちは、アフガンへ派遣するということを決めたわけではないのでありまして、今御指摘のあったことも、私もそんなに細かく承知はしておりませんでしたが、そういうことも含めて調査をしてきた結果をもとにしてどうするか、こういうふうに決めたい。

 佐藤先生の論理というか弁舌がなかなか上手で、どんどんどんどん誘導されていって、もう派遣を前提にしたようなところで議論が深まってき始めたので私は少し撤退をさせていただきますが、私どもとすれば、アフガンに協力はしたい、こういう気持ちは、純粋な気持ちからスタートしたわけです。細かな調査をする、しかもそれはアフガン政府と直接話のできるようなレベルで調査団を派遣したらどうかということで考えておりますので、派遣することを前提にして、あれもこれも、こう言われますとなかなか答弁はしにくくなるわけでありますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

佐藤(茂)委員 そうすると、今、報道よりも大分後退しておるわけですね、これから調査しますと。そのときに、最終決定のときには、きょう、よくわからぬ答弁をされていましたけれども、二年前のこの法案を出されたときのこういう条件についてはどう整理したのか、ここについては、ぜひそのタイミングでは明確にしていただく必要がある、そのように申し上げておきたいと思います。

 もう一つは、ほかのことをやりたかったんですが、これでいきましょうか。まあいいか、違うものに行きましょう。

 もう一つは、日韓の軍事情報包括保護協定、GSOMIAの協議のことについてお聞きしたいと思います。

 今まで我が国は、この協定をアメリカとNATOと結んでおりました。今回、韓国と締結に向けて協議を始められる、そういう目的、ねらいは何なのか。ぜひ防衛大臣、積極的に会見もされているみたいですから、お答えいただきたいと思います。

北澤国務大臣 これは、御案内のように、韓国での哨戒艇の沈没事件をきっかけにして、日米韓の防衛相会談も開催したり、さまざまなことをやって、非常に連携が必要であるという認識はベースとしてありました。それからまた、事務方同士ではこの問題についてかなり協議をしたケースがあるんですが、ある意味、韓国側の方はネガティブだったわけであります。最近の情勢の中から、もう一度、こういうものがあってしかるべきか、こういう話が出てきて、私はたまたまそれをいきなりぶら下がりの報道で質問されましたので、事の重要性は十分認識しておるが今後正式な協議にしていくかどうかも含めて検討する、こういうふうに申し上げております。

佐藤(茂)委員 そこで、これは旧政権の久間大臣、久間さんが大分熱心で、私も決める前にはアメリカ側とも大分議論を、アメリカへ行ってやりとりした覚えがあるんですけれども、このGSOMIAをアメリカやNATOと既に結んでいることによって、日本の防衛省とか我が国政府に課せられている決まり等はあるのか、あるいはそのための法改正、法改正に至らないまでも規則の変更というのはあったのか、ぜひ御答弁いただきたいと思います。

松本大臣政務官 決まりは、この秘密保護協定で、提供された秘密情報の適切な保護が規定をされておりまして、具体的には、秘密情報を受領する締約国における国内法令に従って、提供側が定めた秘密指定の保持や、受領した秘密情報について、合意された水準での防護、提供された秘密情報を適切に保護するための手続が定められております。

 なお、法改正等は行っておりません。

佐藤(茂)委員 それで、ちょっと質問通告の内容と変わりますけれども、この提供された情報というのは、国内法にのっとってという話なんだけれども、日本でいうとどういう秘密の扱いになるんですか。自衛隊法に基づく防衛秘密になるのか、MDA法に基づく特別防衛秘密の扱いになるのか、ここはどういう基準になっておりますか。それによって、要するに漏えいしたときの罰則が大きく、五年、十年で変わってくるので、そこは確認しておきたいと思います。

松本大臣政務官 これは、漏えいした秘密の種類あるいは程度によるというふうに、ケース・バイ・ケースだというふうに思っておりまして、自衛隊法であるとか、あるいは日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法であるとか、それぞれケース・バイ・ケースでございます。

佐藤(茂)委員 これはまた引き続き、これから協議を検討するということですから、進みました段階でしっかりとした議論をさせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

平野委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 きょうは、私、安保委員会で質問をさせていただくことになりましたので。

 アメリカの国防総省の顧問をやっているP・W・シンガーさんという方が「ロボット兵士の戦争」という本を出しておられて、これを読みましたら、ちょうどNHKの特集でも、「貧者の兵器とロボット兵器」というのが放映されました。

 アメリカ中部の草原に置かれたコンテナの中のコックピットで、一万数千キロ離れたアフガニスタンの山岳地帯の人の姿とか地形をパソコン画面で見ながら無人偵察機を操縦して、そしてミサイルを発射して殺害するということが今行われております。これはタリバンの兵士だけじゃなしに、人は区別がつきませんから、普通の住民であっても多数の人々が犠牲になっています。今、戦争の無人化と、人を殺すことがゲーム感覚で行われる倫理観の喪失という問題が出てきております。

 せんだって、十月二十二日には、国連人権理事会の超法規的・即決・恣意的処刑に関する特別報告官のクリストフ・ヘインズさんという方が、国連人権委員会に対して、無人機を使った攻撃の倫理性や合法性について検討する委員会を設置するようにという勧告を報告書でしております。

 この無人機につけられる目に当たる部分、高性能カメラ、赤外線カメラ、レーダー追尾装置など複数の設備から成るわけですが、これは日米武器技術協力が進んでいる分野です。

 きょうは、まず最初に技官の方に伺っておきたいのは、航空機搭載への応用のための画像ジャイロの研究を日米共同で実施して、日本では防衛省がこれをやっておりますが、この研究はどういう理由からかを簡潔に伺っておきたいと思います。

秋山政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の画像ジャイロは、日米共同研究を今やっておりますが、これは、従来の慣性航法装置でありますとかGPSを補完するためのものでございまして、画像を用いまして、自分が撮った画像と内蔵しております画像情報とを照合しながら航法を行うというもので、将来の航空機、無人機等の測位、航法装置として応用できるということで研究をしております。

吉井委員 要するに、無人機等への応用のための画像ジャイロ共同研究ということなんですが、これは、日米四億円ずつ出して、設計、製作、演算プログラムや解析を行い、従来の慣性航法装置やGPSを補完、GPSを補完ですから、要するに、GPSが破壊されたりとか情報が切断された場合、それでも強化できる技術と応用についての情報を得る、これが目的だということで確認しておいていいですね。重ねて聞きます。

秋山政府参考人 画像ジャイロは航法用のジャイロでございますので、自分でセンサーとして情報をとるものではなくて、所定の位置までみずからを運ぶものでございます。当然、慣性航法装置とかGPSの補完でございますので、例えばGPSが機能しない場合に補完的に使うものでございます。

 ただ、現時点の技術力では、GPS相当の精度を有するものができるという見通しにはまだ至っておりません。

吉井委員 ですから、要するに、現在はまだ研究中だから補完できるところまではいっていないけれども、目指すところは、研究の内容としてはそういうことだということです。

 これは防衛省技術研究本部が取り組んでいるものですから、当然、設置法二十九条により、この画像ジャイロの研究というのは武器技術の研究ということになりますね。

秋山政府参考人 防衛省が取り組んでいるのは事実でございますけれども、武器に当たるかどうかの判断というのは、例えば本件ですと輸出が絡んでおりますので経済産業省の方でされていると思いますが、我々は、経済産業省は現時点では武器には該当しないと判断されているというふうに承知しております。

吉井委員 設置法の目的からして、民生用機器だったら産業技術総合研究所がやるわけですよ、経産省管轄であれば。防衛省設置法二十九条でやるわけですから、これははっきり、自衛隊の装備品等についての技術的調査研究、考案、設計、試作及び試験並びに自衛隊において必要とされる事項についての調査研究と。ですから、これは武器技術の研究ということでやっているということでいいですね。

秋山政府参考人 防衛省がやっておりますので、みずからの装備品のための研究であることは間違いございませんが、我々が有している装備品がすべて武器かというと、それはその性質に応じて武器か武器でないかの判断がされるというふうに承知しております。

吉井委員 武器か民生用品かという評価をあなたに今求めているんじゃなくて、民生用品だったら、はっきり産総研でやるわけですよ。防衛省は、設置目的は武器技術の研究開発等ですから、だから武器技術ですねということを言っているわけで、やっているものの評価がどっちに当たるとか当たらないとか、武器技術に当たらないものであれば、もともと防衛省、技研がやることがおかしいわけで、そのことを聞いておるんです。

平野委員長 もう少し明確に答弁してください。

秋山政府参考人 武器であるかどうかということなんですが、その装備品が例えば殺傷能力を持っているということで武器だというような定義もあろうかと思いますが、民生用品か武器かというのを完璧に切り分けることは難しいものもございまして、いわゆる両用性があれば、それは武器ではないというふうに言えると思います。

 我々は、確かにみずからの装備品の研究開発をしておりますが、民間でやっていればやる必要はないのですが、民間でやっていないこのような画像ジャイロの場合は、武器であろうがなかろうが、必要であれば我々が研究開発する必要があるというふうに理解しております。

    〔委員長退席、神風委員長代理着席〕

吉井委員 武器あるいは装備品として必要だから技研でやるんですね。そうでなきゃ、民間企業でやるか産総研でやるかという話になるわけで、そういう非常に簡単な話を聞いているんです。余り難しく考えないで言ってもらいたいんですよ。

秋山政府参考人 まことに申しわけありませんが、武器しか我々は研究開発ができないというふうに限定しておりませんので、装備品で必要であれば、民生品として使用できるものであったとしても、ほかでやっていなければ我々が研究開発をしております。

吉井委員 ことしの五月ですけれども、経産省の柴生田貿易経済協力局長は、画像ジャイロは武器技術ではないと言っているんですね。武器技術でなくて民生品であれば、民間企業か産総研でやる研究なんですよ。それを技研でやるわけですから、これは武器あるいは防衛省の装備品としての研究開発ということになるんでしょうということを言っているんです。簡単な話なんです。

秋山政府参考人 装備品の研究開発であることは間違いございません。

吉井委員 それで、経産省の方が武器技術じゃないと言っているんですけれども、実際には、画像ジャイロの日米共同研究は、武器輸出三原則の例外としての、交換公文で言う特別の日米武器技術協力ということになってくると思うんですが、これは大臣の方に伺っておきます。

秋山政府参考人 画像ジャイロにつきましては、対米武器技術供与の枠組みとしては扱われておりません。

吉井委員 この画像ジャイロの研究は日米間で共同研究でやっているということはこれまでのやりとりで明らかになっているんです。

 ところで、日本でつくった防衛省の先進技術実証機、すなわち航空機のステルス性能の試験をフランス国防装備庁でやっていますね。これは、日仏協定なり覚書に基づく、防衛省からフランス国防省への依頼実験なのか、それとも、防衛省の発注を受けた三菱重工業が経産省の貿易経済協力局長の許可を受けてやっているものなのか。こっちの方は秋山技官の方でいいですから、聞いておきます。

秋山政府参考人 御指摘の先進技術実証機の試験はフランスでやっておりますが、これは、契約相手方であります三菱重工業がフランス企業との契約に基づいてやっております。

 これをなぜフランスでやったかというと、日本国内で試験ができないということで、三菱がフランスの国防装備庁の施設を使ってやるという前提で、民民契約でやっております。

吉井委員 そこで大臣に、なぜそういうことを聞いているかをよくお考えいただきたいんですけれども、武器輸出三原則があるんですね。これに一つ穴をあけたものとしては、官房長官談話等を十六回ですか、それで対米武器技術供与とか協力とか、この部分については例外扱いしているんです。しかし、その他の国は扱っていないわけですよ。

 現実には、何かあたかも簡単なテストをやってもらったぐらいの話で、しかし、アメリカにもそういう装置は当然あるわけですよ、だってアメリカはステルスを開発しているわけですから。それがこういう形で、国と国との間を、きちんと関係を明確にするとか、それをやればいいという話じゃないんですけれども、それがいつの間にか、これは民間レベルの話だということにしてやっていくということになると、これは、武器輸出三原則の見直しを大臣は言っておられるけれども、見直す前から実態はもう行っちゃっているんですよ。私は、そういうことはあいまいにしてはならぬというふうに思うんです。

 GPS機能が破壊され、またはGPSの情報がブロックされても、画像ジャイロ機能を取りつけてそれを目にした無人機だったら、みずからの位置を確認しながら飛行して、詳細な戦闘地域の映像を衛星通信で一万キロメートル離れた戦場でない地域のコックピットの中のスクリーンに映し出して、それを見ながら無人機を操縦して、人影などを見つけるとミサイル攻撃ができる。しかも、今の話はステルス性能ですね、レーダーで察知されることなく接近できるという。そのステルス部分をフランスでやってもらっているという話ですね。

 そこで大臣に伺っておきたいのは、一つ一つの要素技術の研究項目は先進技術実証機とか滞空型無人機、画像ジャイロであっても、これは日本自身が画像ジャイロを目にしたステルス無人機の開発を進めているということになってくるのではないかと思うんですが、大臣、どうですか。

北澤国務大臣 今、吉井議員の武器輸出三原則というものに対する考え方は私も共有しているんです。ですから、私は、もう一度見直すべきである、こういうふうに思っておりまして、もし、おっしゃるように、その事前の中で抜け道を探してやっているということであればこれは大変なことでありますが、詳しいことはわかりませんが、私が承知している範囲では、先ほど秋山から答弁をしたとおりであります。

 さらに、RCSの試験模型の輸出ということにつきましては、経産省がこれを一々判定するわけでありまして、この問題についてはまだ経産省の判断というものは私の手元に来ておりませんので、後刻また報告をいたしたいと思います。

    〔神風委員長代理退席、委員長着席〕

吉井委員 要するに、ステルス性能については、武器輸出三原則の見直しに、私は賛成しているんじゃないですよ、賛成しているんじゃないんだけれども、大臣は見直しを考えている、その前に、実態としては既にもう武器輸出三原則は、対米技術供与、協力の部分については十六回の官房長官談話等で穴をあけたわけですけれども、しかし、もうそういうこともなくやられてしまっているのが実態だということをよく見ておかなきゃいけないと思うんです。

 それで、画像ジャイロというのは、さっきもお話がありましたように、無人機としての測位、航法装置として期待されると答弁にもあったし、あらかじめ何度もこれはレクチャーで伺っている話ですが、そういうものが画像ジャイロです。

 そして、日本航空宇宙工業会のことしの通常総会で森前会長がおっしゃったのは、この先進技術実証機及び無人機研究システムなどを確実に玉成させることが重要だと。要するに、ステルス性能を持った画像ジャイロなどもやって、無人機研究をもっと、無人機をどんどん進めましょうという期待を非常に込めて語っているわけですよ。

 そこで大臣に伺っておきたいのは、日仏共同の武器技術開発など、既に歯どめなく民間の武器技術協力などに走っているわけですが、一九八一年三月三十一日には、大臣のいらっしゃる参議院の方でも、当時はいらっしゃったかどうか知りませんが、参議院の決議で武器輸出三原則に関する国会決議をやっているんですね。

 防衛大臣は、武器輸出三原則を国是だと考えておられるのか、それとも、もう国是ではないと考えておられるのか、これを端的に伺います。

北澤国務大臣 これは、御案内のとおり、四十二年に佐藤総理が国会で答弁をして、それを五十二年に三木総理がさらに範囲を広げた、こういうことでありまして、あくまでも国会答弁であったわけでありますが、中曽根内閣のときに、これは内閣としての意思だ、こういうふうに答弁されておったというふうに記憶しております。詳細はちょっと定かでありませんので、もし間違っておれば訂正をしなきゃいけませんが、そういう流れの中でありまして、閣議決定と同じような位置づけを中曽根内閣でしたわけでありますが、私は、一連のこの流れをずっと見てきて、今日の国際情勢は大きく変わっていると。

 それから、もう一つ私の気持ちの中にありますのは、平和国家としての理念はしっかり守った上で、一方で枠をはめたのが総理の国会答弁であり、それをまた官房長官の談話でなし崩し的に変えていく、こういう流れはもうとめるべきであるというふうに私は考えております。

 一つ、よく私は例にとるんですが、例えば、今、ハイチへ行っています。たくさんの……(吉井委員「その話は、この間、もう会議録を読ませてもらっています」と呼ぶ)おわかりですね。ああいう外為法に基づいて規制されるようなあり方というのは本来の姿ではない、私はこう思っていますから、反動的な意味で何か武器輸出三原則を変えると言っているのではないという真意だけは御理解をいただきたいと思います。

吉井委員 今、内閣の方針とかおっしゃったんですが、これは八一年には衆議院でも国会決議、参議院でも国会決議をしているんです。我が国は、日本国憲法の理念である平和国家としての立場を踏まえ、武器輸出三原則並びに昭和五十一年の政府統一方針に基づき実効ある措置をとるということで、これは国会決議でやっているんです。だから、これは国会で決めたんです。官房長官談話の話じゃないんです。それを国是として今までやってきたわけですね。それを国是とお考えになるのか、もう国是ではないと思っていらっしゃるのか。

 今、抑止力よりも外交力が大事だという時代なんですよ、世界の大きな流れとしては。そのときに、せっかくこの外交力を強めて平和を維持しようというときに、日本としてはこれは非常に有力な力であったと思うんですが、この国会決議を国是と考えるのかどうかということを私は伺っているんです。

北澤国務大臣 参議院の議決というのは、我が国の国のあり方とすれば極めて重い話でありまして、私自身も参議院に籍を置いていますので、これは重いものだというふうに思います。しかし、これをもって即国是であるというところまで昇華させるにはまだ至ってはいないのではないか、十分な国会議論があってしかるべきだと思います。

吉井委員 時間が参りましたから終わりますけれども、やはり武器輸出三原則は、抑止力だとか武力による時代から外交力による時代へ、そういう今の時代の流れからしても、実は自信を持って進めていくべきときに、見直しといって次々と穴をあけていくというやり方はやるべきじゃない、このことを申し上げて、時間が参りましたので質問を終わります。

平野委員長 次に、服部良一君。

服部委員 法案審議に入る前に、きょうは先ほど来話が出ております沖縄県知事選の公示日ということですが、前から防衛大臣に一回機会があればちょっとお聞きしたいなと思っていたんです。

 八月の初めに仲井真知事にお会いになったときに、当選していただきたいというふうに発言されたということですが、そのときはどういう思いでおっしゃったんでしょうか。

北澤国務大臣 私のところを訪ねておいでになって、さまざまな御要請もありましたが、現職の知事が、まだあの当時はたしか出馬表明はしていなかったと思いますが、出馬に非常に前向きな環境の中でありましたので、長年私も政治家として選挙をやってきておりますから、出る以上は勝たなきゃだめですよ、そういう心情を申し上げたわけです。

服部委員 仲井真候補を応援したいというおつもりでおっしゃったということなんですか。

北澤国務大臣 そのときには、反仲井真で、今、伊波さんの強力な支援者である町村長さんたちもおいでになった中で申し上げました。

服部委員 先ほど、この知事選をかたずをのんで見守るということを二回おっしゃったわけですね。

 辺野古の移設については、今、仲井真さんも伊波候補も、両方とも県外だと言っているわけですから、かたずをのんで見守るというのは、本音はやはり仲井真さんに勝っていただいた方が防衛省としてはやりやすいというようなお気持ち、本音なんでしょうか。

北澤国務大臣 私の気持ちを申し上げますと、沖縄の皆さん方が基地負担を多く抱えて御苦労されておることについては、大きな感謝というか、ある意味申しわけないという気持ちも強いわけでありまして、その県民が新たなる知事を選ぶという大きな課題について高い関心を持って見詰めておる、こういう意味であります。

服部委員 先週の日曜日、十一月の七日に、沖縄県知事の候補者である前宜野湾市長の伊波さんを激励する集会がございました。私も参加をしてまいりまして、民主党の本土側の、とりあえず某と言うておきますけれども、某国会議員も応援に駆けつけてこられておりまして、大変私も勇気をもらったわけです。

 実は、一昨日の朝日新聞の「声」の欄に、東京都多摩市の木内さんという十七歳の高校生なんですけれども、投書をされております。ちょっと読ませていただきますと、

 民主党は沖縄県知事選挙で同県選出以外の国会議員が候補者応援に入ることを禁じる方針を決めたという。

ちょっと飛ばしまして、

 幹部はさっさと心変わりして約束を破り、党運営トップの幹事長がこのようなお触れを出し、約束を守ろうと必死で動く議員には邪魔だからしゃしゃり出るなとでも言うのか。

  民主党は、議員一人ひとりが党員である前に国民の負託を受けた国会議員であるということを忘れてはいけない。「沖縄の不公平を是正しよう」という国民の一票を無視しないでほしい。

という、これは十七歳の高校生なんですね。

 この高校生の声に、一政治家として、大臣、どういうふうな御感想を持たれますでしょうか。

北澤国務大臣 十七歳の高校生とすれば、的確な社会認識を有しておるというふうに感じます。

服部委員 的確な、まあそうですね。やはり政治の本質を非常に見抜いているとも言えるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、私は、先ほどの大臣の答弁より、この高校生の声の方がよほど国民に説得力を持つような感じで受けとめているわけです。

 十一月の五日に、名護市長それから市議会議長が、名護の市議会の決議を持って政府に要請に来られました。しかし、政務三役は対応せずに、名護市は怒ってしまって、意見書を渡さずに抗議の記者会見をして帰られたわけです。

 きょう、内閣府の末松副大臣に来ていただいているんですけれども、内閣府としては、なぜ政務三役で会わないということにされたんでしょうか。

末松副大臣 あのときは、大臣がちょうど委員会に出ておられたという話でございまして、あと私につきましては、十一月の一日にメドベージェフ・ロシア大統領が国後島に行った、この事態を受けまして、急遽週末に根室に行く、こういうことが決まりまして、その準備等で忙殺されておりましたので、そこで政策統括官の方が対応することになったというふうに考えております。

服部委員 新聞によりますと、末松副大臣は、十一月五日の午後の会見で、党との調整が行われてああいう結果になったということをおっしゃっているわけですね。

 今の御答弁は、お忙しいから会えなかったというような趣旨のように受けとめられるんですが、党の方からの指示で会うなということになったというふうに、これは末松さん自身が記者会見でおっしゃっているんじゃないですか。

末松副大臣 私どもは、沖縄振興という立場から、事あるごとに沖縄の市長さんたちとお会いしてきて、そこは今後ともしっかりお会いしていくということでございました。

 そこで、あのときは、党との調整、そして私のスケジュール等を勘案して、それで政策統括官に決まったということを報告いただいたということを記者会見の席で申し上げたところでございます。

服部委員 ちょっと煮え切らない御返事ですけれども。

 防衛省は、なぜ政務三役で対応されなかったんでしょうか。

安住副大臣 多忙でございました。

服部委員 今、この件で沖縄は大変怒っているんですよ。もう一回市議会決議を上げ直しだというような声も出ているわけですね。

 私は、何でこういうふうに問題視しているかといいますと、安住副大臣は沖縄県庁で、これは報道ですから正確にどうおっしゃったか知りませんけれども、国会が落ちついたら前原外務大臣、北澤防衛相とローテーションを組んでお伺いをしたいということを一方で言われているわけですね。要するに、説明をきちっとしたいと。

 しかし、地元から実際に政府に要請に来られて、会わない。言うていることとやっていることがばらばらじゃないんですか。いかがですか。

安住副大臣 役所に対するいろいろな要望というのは、先生、基地を抱える、全国の基地から多数おいでになられて、私はあの日、外務委員会で質疑をやって、そのままグアムに飛びましたから、本当に物理的に不可能だったことは御存じだと思います。

 ただ、あえて言わせていただきますと、大臣や副大臣が会わないからけしからぬといって会見をなさる自治体を初めて私は見まして、ちゃんと役所としてはお会いさせていただくということで、肩書や官職を持っている者の名前まで出しておるんですから、それを逆に言えば、それじゃ話にならないからといってキャンセルをなさって、一方的に記者会見をなさっておられたようですからあえてコメントはしませんけれども、それはそれで、何かそれが沖縄の全体の声だというふうな認識も私は持っていないんですよ。

 私が沖縄にお邪魔をしたのは、防衛省の代表として、沖縄県に対していろいろな政策をこれから理解していただきたいのでその熱意を伝えさせていただいたということですから、何ら矛盾をすることではないと思っています。

服部委員 いやいや、いつも沖縄の方には誠実に説明をしたいんだということを言いながら、来られたら会わないという対応をされているので、しかも、仲介しているのは与党の議員ですよ。社民党が仲介しているわけじゃないんですよ。そこが私はどうも理解ができない。先ほどの答弁は、いかにも名護市側に問題があったかのようなニュアンスでちょっと聞こえましたので、これはまた新たな怒りを買うんじゃないかなというふうに私は思います。

 実は、きのうの予算委員会で公明党の遠山議員が、この件を官房長官と首相に言われています。官房長官はこれについて、愕然としました、こういう答弁をされていますね。それで総理は、大変申しわけなく思っておりますというふうに答弁されているわけですよ。きょうの副大臣の答弁は非常に、名護が悪いんだみたいな感じに私は聞こえるわけですが、防衛大臣、ちょっとお話し中ですけれども、よろしいですか。

 総理も官房長官も、問題ありということで、申しわけないということできのう予算委員会で答弁をされているわけですけれども、防衛大臣、この際、この場で名護市民にぜひ謝罪していただきたいんですよ。謝罪されるお気持ちはございますか。謝罪してください。

北澤国務大臣 先ほど副大臣からも言われましたが、基地の関係の市町村長さんたちとは積極的にお行き会いしております。しかし、全国の皆さん方と毎回会えるというわけではないわけでありまして、名護市長さんもその一員であるわけであります。

 今、副大臣が申し上げたように、こちらもだれが会いますよということはどうも提示してあったようでありますから、もう少し友好的にお互いに便宜を図るという姿の方がよろしいかと思っています。

服部委員 謝罪はされないということでしょうか。要するに、一週間前から打診をしているわけですよ。当日や前日に、会わせてくれ、いや、予定が立たないというのはまだ百歩譲ってわかりますけれども、やはりこれは防衛大臣、首相と官房長官がきちっときのうの予算委員会でいわば謝罪をされているわけですから、防衛省としては知らないというか、何かどうも話のトーンが、名護市側が悪いみたいなトーンで私はずっとさっきから聞こえてくるわけですね。そうじゃないならそうじゃないで、やはりきちっとおっしゃってくださいよ。

北澤国務大臣 沖縄が悪いと言っているわけじゃなくて、委員みずからが政府の対応が悪いといって最初から決めつけておるから話がかみ合わないのでありまして、官房長官も総理も、できるだけ誠実に政務三役における対応をするようにしていきたいと言っていると思います。官房長官も同趣旨のことを言っておりまして、謝罪はしておりません。

服部委員 余りこのことで私も時間をとるつもりはなかったんですけれども、総理は、大変申しわけないとおっしゃっているんですよ。これは謝罪ではないんですか。ここは非常に大切なところなので、議事録を見ますと、こういうことなんですね。

 それは、意見の近い方であろうが違う方であろうが、できるだけお話を聞くべきだという認識を持っておりましたので、いろいろな判断のある意味での不適切からこういうことになったということを大変申しわけなく思っておりますというのが総理の答弁なんですよ。

 ちょっと私は今、北澤防衛大臣にはそういう意味での誠意を感じることができないんですけれども、どうですか。

北澤国務大臣 それは、私も同じものを持っておりますが、確かにここに、申しわけなく思っております、こうありますが、ずっと経緯があるわけですよ。

 防衛省が悪い悪いといって謝罪しろと言われたら、そうすると今度は、こちらとしても誠意を持って対応したということを言わざるを得ないわけでありまして、あたかも大変悪いことを防衛省がしたような前提で言われるから、私はそれは防衛省の名誉にかけてもそういうことは申し上げられない。しかも、だれとだれが会いますよということを申し上げておいた。それではだめだといってお断りになったのならいいですけれども、それを承知の上で防衛省へ来て、政務三役が会わないから役所の中へは入らぬよ、こういう経緯もよくはっきりした上でやっていただきたいと思います。

服部委員 これはあくまで報道ですけれども、枝野幹事長代理が党として会うなということを決めて、そしておふれを出したというふうに一部マスコミでは報道されているわけです。いや、それはまあいいです、それはマスコミの話ですから。

 ですから、やはりここは、私が問題にしているのは、辺野古の基地はつくりたい、いや地元は反対だ、そして政府としては誠心誠意説明をしたいんだ、地元にローテーションまで組んで説得に行きたいんだということをおっしゃりながら、来たら会わない、そういう防衛省としての政務三役の判断はどうですかということを私はお聞きしているわけなんです。

 そのことに対して、大変申しわけありませんでしたという首相の答弁というのは、普通の一般の国民からしたら、これは謝罪したと思いますよ。それを、謝罪じゃない、だから謝罪もしたくないし、総理も謝罪ではない、そういうふうに押し切られるわけですね。

安住副大臣 いや、本当に日程的に全く無理な状態でございましたので、お会いさせていただく担当官も決めて通知をしておきました。

 実は、それはもう全国、予算のシーズンになれば、例えば北海道であれば千歳の市長さんが会長さんでおられて、皆さんで上京なさいます。北澤大臣に会えないときは私、私が無理なときは、例えば担当局長とかやっているわけで、名護市の皆さんだから絶対会わないとかそういう話ではなくて、その日はそういうことだからどうしても、先ほども申し上げましたけれども、私も海外にいるし無理なので、担当の者に対応させていただきますということをあらかじめ伝えておったということなんです。

 しかし、それに対して、大変言葉は恐縮ですけれども、それじゃだめだというふうなおしかりをいただいて、そこまでだったらやむを得ないと思いますけれども、お戻りになられてから、何か我々が、例えば私も含めてですけれども、意図的に会わないのはおかしいじゃないかと一方的に会見をなさっておられたので、私どもから見ると、それはそういうことではないんではないかなということだということを申し上げています。これは事実ですから。

服部委員 その記者会見も、与党の国会議員の仲介で記者会見をやられているんですけれども。

 きょうは私も、このことでそんなに長引くとは思っていなかったので、次に行かせていただくんですが、同じ名護の件を、話の流れで。

 名護市の米軍再編交付金について、沖縄防衛局が二〇〇九年度に内示した六事業六億円の支給を保留しているということを我が党の照屋議員が質問をして、これは防衛省の嫌がらせではないかという質問をさせていただいております。それに対して、防衛省としては、嫌がらせじゃないんだ、名護市からいまだに交付申請が行われておりませんということをおっしゃっているわけですよ。

 それで私、きのう名護にちょっと問い合わせをしたんですね。その後どうなりましたかと言ったら、早速その日に名護市が沖縄防衛局に行って、アポイントをとっていたにもかかわらず、担当者が急病で会えないということで防衛省に会うことができなかったと。名護市側は繰越分の交付金交付のために要求された本来必要のない書類まで完備して防衛局に行ったけれども、防衛省が会わないというんですね。一体どうなっているんですか。

安住副大臣 これは再編交付金という支給金なんですね、前政権からずっとやっているんですけれども。しかし、正式な申請書は私どもまだ受理していないんです。

 ですから、先生も今お認めになっているように、電話したら何かという話ですけれども、私どもの聞いているのは、先方、先様の方から、アポが入ったのをキャンセルなさったという話を聞いているんです。

服部委員 どうも話がだんだん込み入ってきましたけれども。

 いや、だから、地元名護市と何でこういう形でぎくしゃくぎくしゃくしているのか。やはりここは、きちっと防衛省として誠意を持って対応していただかないとということで。

 法案の話に入れませんでしたが、ちょっと一言だけ、法案のことについて言っていきます。

 この法案は、基本的には社民党としては賛成ですけれども、最近、十一月三日ですか、私、北谷に行ったら、ちょうど嘉手納のエンジンテストが嘉手納側じゃなくて北谷の方に今来ているという話がありまして、騒音でもううるさいというわけですね。それで、私の友人は、がんで、病院に入院して、家に着いて、家でいっときの療養をしているときに騒音でうるさいという話なんですね。

 ですから、今回ソフト面にも拡大するということで、医療だとかいろいろ拡大されるということですけれども、この医療費にしても、基地被害の医療費を出すということじゃなくて、因果関係のない形でも医療費を出そうという趣旨だというふうにお伺いしておりますので、肝心かなめのこういう直接の基地被害の防音対策、これはきのう防衛省にお聞きしましたら、申請して、長いケースでは対策に五年ぐらいかかるというんですね。予算がないと。

 だから、本来のこの法律の趣旨というもの、そして、基地被害で苦しんでいる住民の救済ということがそもそもの趣旨だと思いますので、そういう形でこの法案を慎重に運用していただくようにお願いを申し上げまして、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

平野委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

平野委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。吉井英勝君。

吉井委員 私は、日本共産党を代表して、防衛施設周辺環境整備法の一部改正に反対の討論を行います。

 防衛施設周辺環境整備法は、一九七四年に制定された法律で、自衛隊と米軍による演習や基地がもたらす障害を防止、軽減、緩和することによって、基地を安定的に維持することを目的としたものです。

 とりわけ、同法第九条に規定する特定防衛施設周辺整備調整交付金、いわゆる九条交付金は、ジェット機が離着陸する飛行場や砲撃、射爆撃が実施される演習場、港湾などの大規模な防衛施設が所在する地域から、防衛大臣が対象となる防衛施設と関連市町村を指定し、配分額から市町村が選択する公共用施設の整備に対して全額国庫負担で交付するものですが、被害補償としての性格を持つ防音工事や河川、道路の改修などに比べ、基地受け入れに対する見返りとしての性格を色濃く持つものです。

 本法案は、九条交付金の対象事業を、従来のいわゆる箱物からソフト事業に拡大するものです。これは、三十五年以上に及ぶ基地周辺対策によって公共用施設が相当程度整備され、今や、その修繕費や維持管理費が逆に自治体財政の足かせともなっていることから、その使途を拡大することによって、基地を安定的に維持するためのてことして活用し続けようとするものであり、本末転倒と言わざるを得ないものです。

 戦闘機や砲撃演習による爆音、流弾、軍人軍属が引き起こす犯罪など、基地が周辺住民にもたらす被害と苦しみは、長年の基地周辺対策によっても解消されることはありません。そればかりか、SACO最終報告や米軍再編合意によって、基地負担は全国に拡大されています。

 政府は、基地のたらい回し政策をやめ、基地の縮小、撤去に努力すべきであり、そのことによって地域経済の再生、発展のための条件を切り開くべきことを強調して、討論を終わります。

平野委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

平野委員長 これより採決に入ります。

 第百七十四回国会、内閣提出、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

平野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

平野委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時二十七分開議

平野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 ただいま付託になりました内閣提出、防衛省の職員の給与等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。北澤防衛大臣。

    ―――――――――――――

 防衛省の職員の給与等に関する法律等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

北澤国務大臣 ただいま議題となりました防衛省の職員の給与等に関する法律等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。

 この法律案は、このたび提出された一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案に準じて防衛省職員の給与について所要の措置を講ずるものであります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。

 第一に、一般職の職員の例に準じて、自衛隊教官及び自衛官の俸給月額を改定することとしております。

 第二に、防衛大学校及び防衛医科大学校の学生等に対する期末手当について、支給月数を年間〇・一五月分引き下げることとしております。

 第三に、一般職の職員の例に準じて、当分の間、五十五歳を超える職員のうち、行政職俸給表(一)六級以上に相当する職員の俸給月額等を減額して支給することとしております。

 そのほか、一般職の職員と同様に、十二月期における期末手当の特例措置として、本年四月以降の官民較差解消のための減額調整を行うこととしております。

 なお、事務官等の俸給月額の改定並びに期末手当及び勤勉手当の支給月数の引き下げについては、一般職の職員の給与に関する法律の改正によって、一般職の職員と同様の改定が防衛省職員についても行われることとなります。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

平野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時二十九分散会


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