衆議院

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第2号 平成23年3月8日(火曜日)

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平成二十三年三月八日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 小沢 鋭仁君

   理事 大谷 信盛君 理事 太田 和美君

   理事 田島 一成君 理事 中野  譲君

   理事 横光 克彦君 理事 田中 和徳君

   理事 吉野 正芳君

      石田 三示君    岡本 英子君

      川内 博史君    川越 孝洋君

      木村たけつか君    工藤 仁美君

      櫛渕 万里君    近藤 和也君

      近藤 昭一君    阪口 直人君

      玉置 公良君    樋高  剛君

      森岡洋一郎君    吉川 政重君

      井上 信治君    近藤三津枝君

      福井  照君    古川 禎久君

    …………………………………

   環境大臣         松本  龍君

   環境副大臣        近藤 昭一君

   農林水産大臣政務官    田名部匡代君

   環境大臣政務官      樋高  剛君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局次長)           中村 英男君

   政府参考人

   (環境省大臣官房長)   谷津龍太郎君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 関 荘一郎君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            白石 順一君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  鈴木 正規君

   環境委員会専門員     高梨 金也君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月八日

 辞任         補欠選任

  山崎  誠君     近藤 和也君

同日

 辞任         補欠選任

  近藤 和也君     山崎  誠君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

小沢委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省総合食料局次長中村英男君、環境省大臣官房長谷津龍太郎君、環境省大臣官房審議官関荘一郎君、環境省総合環境政策局長白石順一君、環境省地球環境局長鈴木正規君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川内博史君。

川内委員 おはようございます。川内でございます。

 委員長、与野党の理事の先生方のお許しをいただきまして発言の機会をいただきましたことに、まず心から感謝を申し上げさせていただきたいというふうに思います。ありがとうございます。

 今国会から環境委員会の所属になりまして、私、実は四年前から、改正土壌汚染対策法並びにそれに関連して東京都の築地市場の東京ガス工場跡地、豊洲の移転問題に取り組んでまいりましたので、本件についてきょうは質問をさせていただこうというふうに考えております。来月は東京都知事選挙も行われるということで、都民の皆さん、あるいは、築地市場の場合には首都圏の台所、日本全体の台所でもあるということで、国民的にも大きな関心があるところでございます。

 そこで、まず環境大臣にお尋ねをしたいというふうに思いますが、ちょうど四年前の平成十九年四月三日にこの問題を取り上げさせていただいて、当時の、自公政権時代でございますけれども、若林環境大臣に、土壌汚染対策法は、中央卸売市場に集積する食料品の安心、安全を担保する法律ではない、中央卸売市場に集積する生鮮食料品の安全、安心までをも担保するものではないということを、明確に環境大臣として御答弁をいただきたいということを申し上げ、若林環境大臣からは、「委員のおっしゃるとおりでございます。」という答弁をいただいております。

 政権がかわり、同様の質問でございますけれども、改正土壌汚染対策法といえども、土壌、地下水等の直接摂取についての環境基準によって指定解除等の判断がされるにしても、間接暴露による生鮮食料品の安全、安心を考慮はしていない、担保するものではないという政府見解に変更はないということでよろしいかということをまず御答弁いただきたいと思います。

松本国務大臣 お答えいたします。

 長年この問題に取り組んでこられたことに敬意を表したいというふうに思います。

 一般的に言うと、アセスは東京都の問題でありますし、いろんな意味で、今おっしゃいました土壌汚染対策法は、土壌汚染から人の健康への影響を及ぼす経路として、汚染土壌の直接摂取と地下水の飲用という二つの経路を考慮しているものであります。この二つの主要な経路による影響を適切に管理し対応することは、ほかの経路による人の影響、健康影響の防止にもつながるものと理解をしております。

 ただし、以前御答弁申し上げましたように、食の安全や安心という幅広い課題や卸売市場という業態を念頭に置いているものではないことから、さまざまな御懸念に一〇〇%対応できるものではないというふうに考えております。

 いずれにしましても、築地のにぎわいや伝統や文化がこれからも続くように、自分自身もこの問題について関心を持っていきたいというふうに思っております。

 以上です。

川内委員 科学的、客観的に暴露経路を考慮していない、直接摂取については考慮しているが間接的な暴露経路については考慮をしていないということであるということでございますけれども、環境省にもう一点確認をさせていただきたいと思います。

 平成二十年の七月の東京都の豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する専門家会議の報告書、九の五の三の五に、「地下水から揮発したベンゼンおよびシアン化合物がガスとして隙間や亀裂から建物内に侵入していくことによる生鮮食料品への影響について、」とする記述がございます。シアン化合物というのは、水に溶けると青酸カリになるわけですけれども、これがガスとして建物のすき間や亀裂から建物の中に入って、魚に付着する。その生鮮食料品に付着した水分中のシアン化合物濃度、青酸カリの濃度は「飲料水の水質基準の十分の一未満と非常にわずかであり、食の安全・安心の観点から見ても悪影響が及ぼされる可能性は小さいと考えられる。」と書いてあるわけです。

 非常に微量だが、青酸カリが豊洲に移転するであろう築地市場の魚に付着する、青酸カリつきの魚が売られるよということをこの報告書は言っているわけですが、この記述について環境省として確認をしていただきたいというふうに思います。

関政府参考人 御説明申し上げます。

 平成二十年七月二十八日に公表されました豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する専門家会議報告書の中で、「土壌中からの汚染空気の曝露による影響の評価」という項目の中に御指摘の点は記述してあるということを確認しております。

川内委員 ここでは、ごくごく微量だがシアン化合物が付着する、青酸カリが付着する事実を認め、それに対する評価として、「悪影響が及ぼされる可能性は小さいと考えられる。」悪影響はないとは言っていない、小さいと言っているわけですけれども、この評価について、政府として同じ評価をされるのか。先ほど松本大臣は、安全、安心を担保するものではない、一〇〇%ではないんだ、そこまでは環境省のカバーする範囲ではないということを御答弁されていらっしゃるわけでございますけれども、では、この東京都の評価について政府としてどのようにお考えになられるかということを教えていただきたいというふうに思います。

関政府参考人 御説明を申し上げます。

 東京都の報告書におきましては、揮発した有害物質が再度還元して付着するというふうに書いておりまして、報告書によりますと、その濃度は飲料水基準に比べてはるかに小さいということが記述されております。

 ただ、環境省といたしましては、食の安全という観点から評価する立場にございませんけれども、飲料水の基準に比べて低いということを確認しているところでございます。

川内委員 食の安全だけではなく、食の安全、安心というのが民主党の〇九年のマニフェストに明確に記述をされておりまして、安全、安心という観点から見て、もう少し議論を深めなければならないだろうというふうに思うところでございます。

 ちょっと観点を変えて、築地市場の豊洲移転計画の状況について伺わせていただきたいというふうに思いますが、東京都の環境影響評価の現在の進捗について教えていただきたいと思います。

白石政府参考人 豊洲新市場の移転工事につきましては、東京都の環境影響評価条例に基づいて、現在、環境影響評価の手続が進められておりますが、私どもが承知していることで申し上げますと、昨年の十一月二十九日から評価書案が縦覧されておりまして、それに対する都民意見の提出という手続がございますが、それがされた後、本年になりまして二月の二十五日から三月十六日までの間、評価書案に係る見解書の縦覧がなされている、こういう段階だと聞いております。

川内委員 改正土壌汚染対策法によって、三千平米以上の土地の形質変更着手の三十日前までに届け出が必要なわけですが、東京都はいつ事業着手をする予定なのか教えていただきたいと思います。

関政府参考人 御説明申し上げます。

 豊洲新市場の移転工事は、平成二十三年度に着手する予定と東京都から聞いております。

川内委員 平成二十三年度ということは来年度ということですが、現在はまだ事業着手はしていないということですけれども、これはどういう理由によるんでしょうか。

関政府参考人 先ほど御説明させていただきましたけれども、東京都の条例に基づく環境影響評価が実施中でございまして、引き続き、土壌汚染対策法の手続を経まして土壌汚染対策工事に着手する、こういうふうになっているというふうに聞いているところでございます。

川内委員 そうすると、事業着手をすることに平成二十三年度中になると。そうすると、区域の指定については、第六条なのか第九条なのか、要措置区域なのか、形質変更時要届出区域なのかについて教えていただきたいと思います。

関政府参考人 御説明申し上げます。

 土壌汚染対策法の第四条に基づきまして調査を行いました結果、土壌汚染があると判断された以降の対応でございます。

 当該土壌汚染状況調査の結果におきまして、土壌汚染が認められる区域のうち、人の立ち入りがあり汚染土壌を直接摂取する可能性がある土地または土壌汚染を原因として発生した汚染地下水が飲用に供される可能性がある土地につきましては、土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがあるため、都道府県知事の指示する汚染の除去等の措置が必要な要措置区域として指定されることになります。

 また、それ以外の土地につきましては、健康被害のおそれがないと認められ、土地の形質変更時に届け出が必要な形質変更時要届出区域に指定されることとなります。

 いずれにしましても、このどちらに指定するかにつきましては、土壌汚染対策法上、都道府県知事が判断することとなっております。

川内委員 農水省に確認をさせていただきたいんですけれども、要措置区域なのか形質変更時要届出区域なのか、これから東京都が御判断をされるということでございますけれども、東京都としては、土壌汚染対策を行って、二年間の地下水のモニタリングをし、その土壌の地下水に汚染がないということが確認をされ、この区域の指定を解除した後、建築工事を行うという御方針であるということでよろしいかということを確認させていただきたいと思います。

田名部大臣政務官 東京都からいろいろと確認をさせていただいておりますけれども、土壌汚染対策工事を行うことにより、豊洲新市場の予定地のすべての地域において汚染土壌と汚染地下水を環境基準以下にするということを聞いています。東京都によれば、その上で、二年間モニタリングと並行して、市場の施設建設に着手をしていくというふうに聞いております。

川内委員 モニタリングをしながら、もう工事には着手をするということなんですか。

田名部大臣政務官 モニタリングと並行して工事をしていくということになります。

川内委員 私は、そこは大問題だと思うんですけれども、大事なところだと思うんですが、土壌汚染対策を行って汚染除去をした後、二年間モニタリングを行って、土壌汚染区域の指定解除を受けた後でなければ建設、建築に着手してはならないのではないかというふうに考えるんです。

 というのは、着手しました、建物は建っていますよ、しかし、地下水の汚染というのはなかなか消えないのではないかというふうに専門家の間では言われているわけでございます、さまざまな問題がありますからね。そうすると、土壌汚染指定区域でありながら農水省として開設の許可を与えるのかという重大な問題が生じるわけでございます。

 そこで、ちょっとお尋ねをしたいんですけれども、卸売市場整備基本方針というものを農水大臣が策定されるわけで、その卸売市場整備基本方針に基づいて卸売市場整備計画というものをおつくりになられる。前回の卸売市場整備基本方針には、食の安全、安心という言葉があり、そして今回の卸売市場整備基本方針には、これは五年に一回つくられるんですけれども、食の安全、安心という言葉から、安心という言葉が抜け落ちております。

 なぜ安心という言葉を削除されたのか、だれが削除したのかということを教えていただきたいと思います。

田名部大臣政務官 だれが削除したのかということは、まさにこれは農水省でつくっている基本方針でありますので、農林水産省がということになると思います。

 ただ、川内先生御指摘のとおり、食の安全、安心というのは食料政策の基本中の基本だと私も考えております。冒頭お話しになっておられましたように、築地の市場は日本の台所であって、食というのはまさに命の源だ、その中で食の安全、安心というものはしっかりと確保していかなければならないという、その思いは共通のものではないかと考えております。

 安全というのは科学的根拠にしっかり基づいて確立をしていかなければならないと思っていますし、その安全がしっかりと確保されることによって人々の安心というものが築かれていくんだろう、そんなふうに考えておりますので、安心という言葉は使われていないわけですけれども、これまでと同様に、安全、安心というものはしっかりと、先生の御指摘のように、今まで同様きちんと確立をしていきたいと考えています。

川内委員 政務官、卸売市場整備基本方針を決定するに当たって、事務方から説明を受けましたか。

田名部大臣政務官 受けておりません。

川内委員 だから、今図らずも明らかになったように、食の安全、安心という言葉は、民主党の〇九マニフェスト二十ページに「食の安全・安心を確保する」というふうに、私ども民主党政権の大きな政策の柱として掲げられている言葉であります。その言葉が、総合食料分科会というのかな、食料・農業・農村審議会の分科会で議論されるときにも、多分ほとんど、安心という言葉を落としますよということについては議論されていないでしょう。事務方、どうですか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、この基本方針の策定に当たりましては、食料・農業・農村政策審議会の総合食料部会において御審議をいただき、決定をしたものでございます。

 内容につきましては、事務方の方から委員の皆様には十分御説明をさせていただきましたが、殊さら、安心という言葉を今回は落としますというような御説明はしておりません。

川内委員 こっそりと、これは非常に重要な言葉ですよね、食の安全、安心という、安心という言葉は。

 特に、この問題に関しては、築地の豊洲移転に関しては、冒頭環境大臣から御発言があったように、直接暴露については考慮しているけれども、間接暴露については土壌汚染対策法は考慮していないのだという御発言があり、ということは、では食の安全という言葉さえも、この築地の豊洲移転に関しては、科学的評価は実はされていないんですよ、食料品に付着をするということについて。

 さらに言えば、外国の観光客の方々にどこに行きたいですかとアンケートをとると、秋葉原か築地かということで、大変人気の高い築地だし、そういう日本の歴史や伝統や文化を体現した場所としても大事にしなければならないというふうに思いますけれども、そういう観点を含めて、この問題に対して農水省としてどのようにお取り組みになられるのかというのは、私は非常に重大だというふうに思うんですね。

 安心という言葉を事務局の方で、農水省の事務方の方で落とした、そしてそれを審議会の先生方にもあえて説明はしなかった、当然議論はされていない。気づけば議論されるでしょうけれども、そういうことを細かく気づく人がいなかったということであろうというふうに思います。

 それで、今後、基本方針に基づいて整備計画が三月末に策定をされるわけです。整備計画というのは、例えば築地の豊洲移転について、そういう移転の計画を農水省としても、あるいは農水大臣としても認めるよという計画にするのかしないのかというところが大変重大な問題になるわけでございますけれども、安全、安心という観点は、事務局が抜かしても、まことに聡明なる田名部政務官は、安全、安心という言葉はないが非常に大事だ、そこに書いてあるのと同じなんだということでよろしいですよね。もう一回確認します。

田名部大臣政務官 済みません。先ほど、川内先生の基本方針について聞いていますかということ、ちょっと私、とらえ方を間違えまして、基本方針については役所の方からきちんと説明を受けております。

 今、農林水産省でも幾つか新たな農業政策に取り組んでいる中で、その重要な施策の一つが食の安全、安心というものであります。先生が御指摘されるように、安全をしっかりと確保するということはまさに大事でありまして、安全を確保することによって人々の安心をつくり上げていきたいという、その思いは一緒でありますし、この築地の市場に関しても、経済性だけではなくて、私たちの立場からすると安全性というものが非常に重要だと思っております。そのことはしっかりと見きわめながら、判断をしていきたいと考えています。

川内委員 この整備計画を決定するに当たって、豊洲に、東京ガス工場跡地に築地が移転したら、先ほど環境省にも御確認をいただいたとおり、微量ではあるが青酸カリが付着した魚が売られる、ごくごく微量ではあるが売られるということは、これはもう事実なんですね。確定しているんです。

 そういうところに日本の台所を置くことについてどう考えるかということを、食料・農業・農村審議会の総合食料部会の先生方に、こういう状況なんですわということをきちっと説明した上で御議論をいただくということをお約束いただけますか。これは事務方から説明するんだから、事務方に答えてもらいます。

中村政府参考人 お答えいたします。

 整備計画の件につきましては、前の先生の御質問の際にも事務方から何度か御答弁させていただいておりますけれども、東京都の方で平成十三年に整備計画で位置づけている、それから、土壌汚染対策を講ずるという説明もありましたので、現在、第八次の整備計画の方に位置づけております。

 今後、第九次の整備計画における記述ということになりますけれども、東京都の方で引き続きそういった計画を有している、それから、先ほど来御説明がありますが、土壌汚染対策につきましても今後万全を期するということでございますので、第九次の整備計画における記述につきましては、積極的に今回除外する理由、根拠がないのではないかというふうに事務方としては考えておりますが、そういった点も含めまして、審議会におきまして、この整備計画も審議会での審議事項でございますので、御議論いただきたいというふうに考えております。

川内委員 いや、私が申し上げたのは、審議会の先生方に、ごくごく微量ではあるが青酸カリが付着するんだということを東京都は言っていますということをきちんと伝えた上で議論してもらってくださいねということを申し上げているわけです。いいですか、もう一回。

中村政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたような事情、それから、最近の豊洲市場をめぐる情勢についてはしっかりと御説明をいたしたいと思います。

 なお、申しわけありません、先ほど審議会の部会の名前、食品産業部会でございますので、訂正させていただきます。よろしくお願いいたします。

川内委員 いや、情勢を伝えられるのはいいので、私がこれを伝えてくださいねと言ったことを伝えますかと。伝えてくださいねと言っているんですから、それを伝えるかどうかをちゃんと答えてください。

田名部大臣政務官 川内先生の御指摘、本当に大事なことだと思っています。今知り得る限りの情報というものはしっかりとお示しをしながら議論していただく必要があると思っていますので、何かの情報を隠すということではなくて、しっかりとそのことを踏まえて、そして、最終的な判断といたしましては、開設をしたから直ちに認可ということではなくて、農林水産省の立場としては、衛生上、また安全性というものを最終的にしっかりと判断する必要があると考えていますので、先生の御指摘を踏まえてこれからも取り組んでいきたいと思っています。

川内委員 この整備計画は、卸売市場法第五条三項によって、「農林水産大臣は、」整備計画の策定に当たって、中略しますが、「関係地方公共団体に協議しなければならない。」と。

 協議するわけで、先ほど農水省の事務方の方からは、東京都から聞いていますとか、東京都から報告を受けていますとか、東京都がこう言っていますとか、そういう御発言があったわけですけれども、協議ですから、聞いているというだけでは不十分で、農水省として、農水大臣として、食の安全、安心に責任を持つ役所として、やはりきちんと議論すべきところは議論をすべきであるというふうに思います。

 田名部政務官から、川内の指摘を踏まえてちゃんとやるからねということで御発言がございましたので、もう時間も終わりましたから、これにさせていただきますが、整備計画についてはすべての国民が注目をしているということで御議論をいただきたいということを最後に申し上げて、終わらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

小沢委員長 次に、田中和徳君。

田中(和)委員 おはようございます。自由民主党の田中和徳でございます。

 大臣に少し、最初のプロローグというか、お尋ねをしなければいけないことがございます。

 菅政権がスタートして鳩山総理の日数に並びましたという報道がございましたね、二百六十六日。本日は、在職二百七十四日ということになります。民主党政権にあっては、もう五百三十九日でございます。大変華々しい民主党政権のスタートだったんですけれども、きょう朝の報道を見てみますと、支持率はもう一〇%台、そして菅政権になられておかわりになった大臣が五人、こういう状況の中で、内閣の閣僚の一人として、重要閣僚として、そして政治経験豊かな松本大臣はどのように感じておられるのか、まずお尋ねいたします。

松本国務大臣 お答えをいたします。

 今お話しになった支持率そのものは、低くなっていることは、私どもも謙虚にそして真摯に受けとめなければならないというふうに思っております。

 そういう中で、閣僚がやめられる。とりわけ前原外務大臣、私も、当選されたときから、彼から電話があっていろいろな、入札制度の勉強をしましょうよという話があって、向こうはどう思っているか知りませんけれども弟のように思っていた方がやめられるのは、本当にせつないなというふうに思っております。

 いずれにしましても、ここ数年間さまざま、政権が交代したり、またその前もいろいろな、首相がかわったりということもあって、やはりしっかり国民の側を向いて、私たち今与党ですから、とりわけ与党の責任においてこれから努力をしていかなければなりませんし、いろいろな意味で国民のための政治をこれからしっかりやっていかなければならないなと。私も環境大臣になってまだ半年しかたちませんけれども、しっかり国益というものを考えながら、改めて、さまざまな事態を受けて努力をしていかなければならないという思いをいたしているところであります。

田中(和)委員 お立場上も考えてみますと、大変苦しいところかなという思いでございます。

 私どもも政権にあるときに、世論調査に対して総理並びに閣僚は一喜一憂せず、ただひたすらに国民のために命をかけて頑張ります、こういうことで大体コメントを発せられるわけでございます。

 そういうふうにしか言いようがないところでございますけれども、政権交代をしてこの姿ということになると、本当に私どもも、野党になって、政権に戻りたいという気持ちはございますが、一方において、やはり国民のあれだけ圧倒的な支持を受けてスタートした民主党政権が国民の方に約束をされたことがどのようにできるのか、これは期待もするわけでございますよね、そういう中で全く見通しが立たなくなっている。こういうことを考えると、私は本当に、やはり解散・総選挙しかないんじゃないかと。確かに、菅総理がお決めになられることで、松本大臣にお尋ねをしても答えようのない話なんですが、私は、解散・総選挙しかないんじゃないか、菅政権が退陣をされて次の総理にかわられただけでは事足りないんじゃないのかな。

 一方、何か続投持久戦という作戦もあるというふうに聞いているんですね。統一地方選が終われば空気が変わるんじゃないか、国民の世論も野党に厳しく、政権与党側にフォローの風が吹いてくるんじゃないか、春がやってくる、こういうお話もあるようなんです。

 それはそれとして、今回、統一地方選挙もあって、日本じゅう選挙のシーズンを迎えるわけでございますけれども、潔く、やはりこれはもう一回、本当に国民に信を問い、もう一度民主党政権というものの正統性の確認をされるべきだ、このように私は思いますけれども、大臣は、お答えづらい部分でございますが、政治家として御答弁を願えればと思います。

松本国務大臣 大変難しい話ですけれども、お答えをします。

 風が逆風とか順風とかというのは、私は大体昔から余り気にしない方でありまして、ある意味ではずっと逆風が吹いて、おととしの選挙だけはびっくりするぐらい順風の選挙でありました。しかし、そういうことに一喜一憂していてはだめだというふうに思いますし、小泉さんも、ひるまずということを言われましたけれども、まさに今喫緊の課題は予算を上げなければならないという思いで、私どももずっと、この一月、二月、そして三月、議論をしてまいりました。

 そして、私、きょう冒頭、お礼を言おうと思ったんですけれども、参議院の予算が始まったばかりで、田中野党筆頭理事初め委員会の皆さんがこうやって環境委員会を開いていただく、しかも真摯に、フェアにやっていただいていることに敬意を表したいというふうに思っております。

 少なくとも、解散・総選挙というのは総理の専権事項でありますから、私どもがどうのこうの言うことではありませんけれども、しっかり委員会審議の中で、さまざまな議論の場で、私どもも謙虚に胸襟を開いて野党の皆さんとお話をする中で、さまざまな問題を解決していくために一閣僚としても努力をしていきたいというふうに思っております。

田中(和)委員 私は、地元で川崎・エジプト親善協会というのがございまして、長いこと役を受けてやっているんです。先日、会があったばかりなんです。政変以降の会だったものですから、いろいろな話がございました。

 そのときに、ムバラク大統領の三十年の間に日本の総理はどうなっているんだという話になりました。私もちょっと聞かれてもわからなかったんですが、大平総理に始まって菅総理だそうでございます。十八人だそうです。私も思わずびっくりしたのでございますけれども、あわせて大臣も短期間でどんどんとおかわりになるということが、我々の政権時代にもあり、党内でもいろいろな議論がありました。

 もちろん、憲法の中で、議会制民主主義の原則というものがあり、これはそう簡単な話ではないんですが、個人的に私が思えば、総選挙後は次の総選挙まで一人の総理、そして大臣もその間はお務めをする、こういう原則を何らかの形でルール化することに多分国民は賛意を示していただけるのではないかな、こういう思いを持っているんですね。

 大臣、こういう考えに対して個人的な、お互い政治家同士の話として、どういうふうにお考えでしょうか。

松本国務大臣 一人の総理、一人の大臣というルール化というのは大変難しいと思いますけれども、そういう意味では、前原大臣も去年九月に、私、生物多様性の問題でニューヨークに一緒に行ったんですけれども、そのときに前原大臣はほかの外務大臣から、あなたで六人目ですよというふうに言われたらしいです。私も、お会いしたときは、私はまだ三日目ですという話をして、そういう意味では、前大臣を前にして失礼ですけれども、大臣がかわるのはよくないな、そして、いろいろなことを思います。

 ただ、一つやはり言えるのは、そういう状況を変えていかなければならないという田中先生の御指摘は十分わかりますけれども、四年前に我が党民主党が参議院でねじれをつくった、そして去年、逆に自民党の皆さんがねじれの中にあった。ですから、そういう意味では、一番大事なのは国民生活であって、こういう状況の中でどう論議を尽くしていくか、どう審議をさまざま、それぞれが胸襟を開いて、いろいろな妥協を重ねていってお話をするかというやり方は、各委員会それぞれが、そしてまた各政党等々がやっていかなければならない時代にあるんだな。恐らく、再来年また参議院選挙がありますし、またその三年後もあると思います、衆議院選挙もあると思いますけれども、そういう中で、やはり一番大事なのは国民生活ですから、国民生活をどうしていくかという中で、各政党がそれぞれ知恵を出し合って、いろいろな審議のやり方等々を進めていかなければならないなと。

 きのう、NHKテレビをちょっと見ておりましたけれども、ある解説委員が、民主党の方にはちょっと度量が足りないな、野党に協議をしようと言いながら、やはりその姿勢が少し見えないなという話もありましたけれども、まさにそういうところも反省をしていきながら我々も努力をしていきますし、それぞれ話し合いのテーブルに皆様方も着いていただければというふうに思います。

田中(和)委員 政権交代というのは、国民が国の形を問い直している、このことがセットだろうと思うんですね。国の形というふうに言うと、敗戦直後にできた憲法、やはりこのことに対しましても、世論は、もう一度自分たちの憲法としてチェックをして、場合によっては変えなければならないという思いの人たちが多くなってきていると私は思うんです。

 せっかく選ばれた我々政治家が、与党、野党を超えて国の形の協議をもっと真剣にしていく、これはやはり与党側から声をかけていただかないとなかなかできないことなんですよ。憲法の議論が非常に低調になっているということは、我々政治家としてともに反省をしなきゃいけないことなんですが、ぜひひとつそういう面では、首相のあり方も含めて、憲法の枠も堂々と超えた議論をひとつ国民のために、国のためにしていただきたい、このように思っておるところでございます。

 さて、もう一点でございますが、民主党のマニフェストでは、温室効果ガス、マイナス二五%をうたってありますね。お答えいただきたいと思います。

松本国務大臣 はい、そのとおりでございます。

田中(和)委員 温対法の議論はこれからやっていくことになるわけでございますが、温対法に書いている話では、簡単に言うとアメリカや中国の存在というものがございますけれども、これはマニフェストに書いてあるんでしょうか。

松本国務大臣 すべての主要国が参加をする公平かつ実効性のある枠組みの構築と意欲ある目標の合意を前提としながら、一九九〇年比、二〇二〇年で二五%ということは書いてあります。

田中(和)委員 マニフェストの項目の二五%というのは、あのマニフェストの精神、皆さんがお書きになったときに本当に、中国やアメリカが乗ってこなかったら、主要国が乗っていなかったら二五%はやらないんですよと書いてあるんですか。

松本国務大臣 そういうふうには書いておりませんけれども、私たちは事あるごとに、昨年のCOP16、メキシコ・カンクンの中においても、さまざまな人たちと話をしていきながら、中国の解振華環境代表とか、ことしの一月も近藤副大臣が彼と会ってさまざまな議論をしてまいりましたし、事務方はケニアに飛んだりあるいはメキシコに飛んだり、また今月も、近藤副大臣、来月でしたか、COP17に向けたプレの会合で行きます。

 そういう意味では、今、先生が大事な御指摘ですけれども、中国、アメリカ、二つ合わせて四一・三%の排出をしております。これももう去年の数字ですから、ことしもまた大きくなっているだろう。そういう意味では、そういう主要の排出国の背中を押していかなければ、これは全体のCO2の削減にならないという問題意識は私たちも共有をしていきながらやっていきたいというふうに思っております。

田中(和)委員 私は今、やはり提出された温対法の条件つきの部分はもともと民主党のマニフェストの中には入っていなかったという認識に立っているんですよ。しかし、現実的に政権をとって考えてみると、そうはいかぬわな。言葉を悪く言うと、ごまかし、カモフラージュ、もっと厳しく言うと、これはマニフェストの破綻の一つじゃないかなという思いがしますね。

 私たちは全く違う法律を提出させていただいておりますので、また議論しますけれども、環境問題も、実は私、ずっと見てみました。相当な項目数がありますけれども、相当危ない、今日の状況、御党のお取り組みがマニフェストと大分違う、こういうことを随分確認させていただいておりますけれども、そういうものはまた後日やるにしましても。

 事業仕分け、報道されましたね。私も行きたかったんですけれども、行かなかったんですよ、忙しくて。有名人の方が二、三お見えになったという報道だったんですが、席ががらっとあいていましたね。どう思われましたか。

松本国務大臣 事業仕分けのことは、後ほど樋高政務官にお話をしていただきたいと思います。

 先ほどの温暖化法の話にちょっとだけ触れさせていただきますけれども、低炭素社会づくり推進基本法案、御党で出されておりますし、気候変動対策推進基本法案、これも公明党の皆さんが出されております。さまざま議論があると思います。これからやはり審議をしていかなければならないということは、十分私たちも理解をしております。

 ただ、一点だけ前もって申し上げたいというのは、COP16でメキシコのカンクンに行ったときに、さまざまな人たちから、とりわけEUの諸君から、国内法はできているんですかという話をされまして、これはちょっとつらかったです。

 やはりこれから、政権が厳しい状況にあります。そして、ことしの十一月、十二月、どこが政権を握ってもやはり国内法は要るんだな、これがなければ話ができないなということがまず第一点で、私は、自民党、民主党、公明党、それぞれいろいろな違いはありますけれども、つくらなければならないというのが第一点ですし、中にあります、税あるいは排出量取引、全量買い取り制度等々ありますけれども、これらの文言もやはりしっかり残していかなければ、もういろいろな意味で、中国も韓国も排出量取引等々、二、三日前の第十二次五計の全人代での議論でもあっております。そういう意味では、やはりグローバルな視点を持っていきながら、この法律も精査をしていきながら、検討していきながらやっていただきたいと思います。

 事業仕分けについては、ちょっと政務官の方から。

樋高大臣政務官 恐れ入ります。田中先生におかれましては、環境政策につきまして大変御熱心にお取り組みをいただいておりますことを、また改めて深甚なる敬意と感謝を申し上げさせていただきたいと思います。

 今おっしゃった件でございますけれども、今回は事業仕分けではございませんで、規制の仕分けという形で行わせていただいたところでございます。

 環境省といたしましても、積極的に取り組んでいくという姿勢に変わりはないわけでございますが、今回、三月の六日から七日にかけまして、日曜日、月曜日でございましたけれども、開催されました規制仕分けの対象項目の中には環境省関係の項目は含まれていないということでございましたけれども、実は、規制仕分けの対象とされたもの以外の項目につきましても、私の方、不肖私、政務官中心にいたしまして、外部の有識者の御意見も伺うなど真摯に検討を行って、可能なものについては積極的な対応を行っていく方針でございます。

 なお、事業仕分けなり規制仕分けにおきましてああいうオープンな形で行うものは、私は大変な意義があるのではないかというふうに思っているところでございます。

 ありがとうございます。

田中(和)委員 そういう御答弁ではなくて、大臣に目玉商品に対しての感想をと思っていたんですが、もう結構でございます。

 次に移ります。時間の関係もあります。

 私は、予算案は参議院に行きましたけれども、予算関連法案二十六本あるわけでございますけれども、すべて今、我が衆議院の委員会の中で審議をされておりますが、出口が見えておりません。これは、与党側の方針としてあえて衆議院にとめ置くということだそうですから、これはこれとしていいと思うんですが、一方、これは予算が通っても、特に赤字国債などが使えないということになれば大変なことになるわけですね。

 環境省だって、四〇%の赤字国債分がありますから、どうでしょうか。二千億円ぐらいの予算になるんですか、環境省は。ということになると、四〇%掛けてみると八百億円ぐらいになるわけですよ。つなぎ法案という話もなくもありませんけれども、つなぎ法案といったって、それは参議院の状況を見れば、野党が協力しなければできないわけです。

 そういう中で、一つは、環境行政、四月一日からの一年間の行政執行の責任者である大臣がどうされるのかなという思いでございます。仮想の話はできないよ、こういう答弁が普通なんですけれども、もう一歩進んで、どうされるのかな、こういうふうに思っていること。

 もう一点、あわせて聞きますよ。

 自民党の組み替え動議の案について、当然見ていただいたと思いますけれども、衆議院では思いを達成できなかったんですが、参議院に予算の舞台は移っております。ここで丸のみという話もあるわけでございまして、過去に我々、与党時代に物によってはそういう対応をしたこともあるんですが、丸のみをしていただければ非常にいいんじゃないかな、こう思っております。我々の案の評価。三十八・二兆円という赤字国債が発行できなかった場合。

 実は、我々の案というのは、八十九兆三千億円、トータルだけで見ると九十二兆四千億円と違わないんですけれども、確かに相当中身が違うんですね。皆さん嫌な言葉かもしませんが、ばらまきを廃し、国民生活を守る、借金を少しでも減らしていこう、こういうふうな思いを込めてつくった案でございますが、ぜひひとつ御答弁願いたいと思います。

松本国務大臣 お答えをいたします。

 先ほどの、まず特例公債を含めていろいろなお話をいただきましたけれども、政府が提出した予算案は、国民生活の安定や我が国経済の発展に必要なものであり、環境政策はもとより政府のすべての政策を円滑に実施するためにも、予算関連法案を早期に成立させることが大事であると私どもは認識しております。そのため、しっかり御審議をいただいて御賛同いただくことを期待しているところであります。

 皆さんの組み替えの部分、読ませていただきました。若干、地球温暖化対策税についても方針が違いますし、政府予算項目総チェックというところを見ましても、新たな国際排出削減・吸収クレジットメカニズムの構築等事業、これらは不要というふうに書いてあります。

 そういう意味では、私どもと若干意を異にして、さまざまな個々の法案、よく菅総理が金融のときに丸のみをしたという話をされますけれども、予算そのものすべてというのはなかなか難しいなと。個々のいろいろなところで見ていきながら、折り合いがつくところはしっかり、民主党の方もまた政府も虚心坦懐にお話を伺う、そういう姿勢も私は本当に必要だなというふうに思っております。

 参議院に場所は移りましたけれども、これからいろいろな審議を見ていきながら、さまざまやはり考えることもあろうかというふうに思っておりますので、その程度の答弁で、よろしくお願いします。

田中(和)委員 知恵を絞って、お互いに努力をして、清水の舞台も飛びおりて、やはり国家国民のために何をなすか、これが一番重要だと思うんです。

 やはり、時は過ぎていくし、これは政権としての責任も極めて重大でありますし、環境大臣、私がざっと数字を言ったんですけれども、八百億円の影響が仮に出るとすれば、新規事業なんかできなくなりますよ、これは。継続事業だって難しくなってくる。こういうことになって、一番困るのは国民ですからね。こういうことをぜひ念頭に置いて、ひとつ勇気ある御発言を閣内でもしていただきたい。我々自民党も責任を持って出した案でございますけれども、これは話し合いをさせていただく、こういう思いを私もシャドーの環境大臣としてお約束をしていきたいな、こう思っておるわけでございます。

 細かいことを言えばいっぱいあるのでございますけれども、続いて、重要なことだけお尋ねをします。

 やはりCOP17、どうしても聞いておかなければいけない。

 あっという間にやってきます。もう開催国の南アフリカの活動というのか行動が報道され始めていますね。京都議定書の単純延長は絶対あり得ない、これはもう大臣のすばらしい活動を私も評価するんですが、しかし一方、日本がこの分野から後進国になったり、イメージをうんと下げるようなことになったり、国際社会の中で孤立していくということがあってはならないという極めて難しい話はまだ継続しているわけでございます。

 今の状況について、ちょっと聞かせていただければと思います。

松本国務大臣 先生おっしゃるとおり、COP16では大変苦労しましたけれども、外務省、環境省、そして経産省等々、それぞれチームワークを組んで、何とかCOP16は乗り切れたというふうに思います。

 そういう意味では、そこのところで、私はもう国益だけということで努力をしました。そういう意味では、これから、もう既に始まっているCOP17に向けて、今月も日本とブラジルのCOP17に向けた非公式会合があって、二十五カ国参加をしてさまざまな議論が行われたのを先生も御承知のことだというふうに思っております。

 そういった中で、今言われたようなお話もありますけれども、やはり、基本的にいいますと、私どもがCOP16、メキシコ・カンクンで主張した、京都議定書の第二約束期間を設定してこれだけが法的拘束力を持つということになれば、世界全体の二七%しか排出していない国が固定をされて、例えば中国、アメリカだけで四一・三%、それにインド等を加えると大変な数になります。やはりここの背中を押していかなければ、世界のCO2削減にならない、気候変動、子供たちに対する責任がとれないということで、私たちは、そっちの肩を押していきながら、さまざまこれから努力をしていかなければならないというふうに思っております。

 五日から始まった、さっき言いました中国の第十二次五計、五カ年計画も、ずっと読んでおりましたら、排出量取引の話もありますし、これは余り報道されませんけれども、中国の中で、五省と八市で低炭素社会をつくろう、モデル都市をつくろうということが取りざたされて、環境省もそれに今コミットをしています。人口だけで見たら、その五省八市で日本の三倍ぐらいになります。大気汚染、あるいは水処理、廃棄物処理、リサイクル技術、かなり深刻なんだなというふうに思います。

 ですから、そういうところに我々はコミットをしていきながら、なおかつ、やはりCO2を削減しなければならないんですよというメッセージも中国やアメリカに事あるごとに伝えていきながら、努力をしていきたいというふうに思っております。

田中(和)委員 僕は、このダーバンの会議、京都議定書は一二年までですから、考えると本当に大変だなという思いと同時に、命がけという言葉があるんですけれども、本当に命がけの御尽力を関係者の皆さんに願わなければできないことなんです。

 きれいごとを言うヨーロッパの人たちも、ヨーロッパ全体の話を持ち出して都合よくお使いになられるわけでございますし、正しい主張でございますよ、今大臣のお話しになったことは本当に正しいんです。我々も、これは正しい考えとして、一致して、国を挙げてという思いなんですけれども、本当にひとつ頑張らなきゃいけないので、野党だからただ見ていればいいじゃなくて、やはり議員外交等を通じて努力しなきゃいけない、こういう思いでございますので、どうぞひとつよろしくお願いする次第でございます。

 ちょっと重要な部分に入ってくるんですけれども、実は、温室効果ガスの二五%の削減ということについては、先ほど来よりもちょっとお話をしましたけれども、既にもう我が国は始まっているんでしょうか、そういう作業が。行政上にすべて行き渡ってスタートしたんでしょうか。お尋ねいたします。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 現時点で、先ほど御指摘ありました前提条件が満たされたというふうに判断はしておりませんが、そういう意味で、二〇二〇年の二五%削減が我が国の目標として設定されたというわけではございませんけれども、基本法におきましても、こういう場合にも二〇五〇年八〇%削減という長期目標に向けて着実に取り組んでいくというふうなことが規定されております。

 そうしたことも踏まえまして、政府としては今後とも、温暖化対策というのは重要な施策ですので、たゆまずやっていくということで、いろいろな施策、例えば二十三年度予算におきましても将来を見据えた技術開発等の予算を組むなど、将来を見据えた取り組みを引き続き行うという姿勢であるというふうに思っております。

田中(和)委員 昨年の六月に、エネルギー基本計画というのが策定されて閣議決定をしておるわけですね。これが今の説明のあった、二〇五〇年に温室効果ガス八〇%削減というんですが、一方において、米中が乗らなかったら何もしませんよという温対法があるわけでございますけれども、私は、極めて矛盾しているんじゃないかなと。国民にどうやって説明するんですかということになるわけですけれども、お答えいただきたい。

鈴木政府参考人 基本法の構造は、先生よく御承知のとおりでございまして、中期目標と長期目標がございます。中期目標、二〇二〇年の目標につきましては前提条件が満たされれば、そして長期目標、二〇五〇年につきましてはそういう前提条件なしに八〇%を削減するということでございます。

 したがいまして、前提条件がないときには、二〇五〇年八〇%削減というものを見据えて、基本計画を策定しながら着実にその目標に向けて取り組んでいくということでございまして、二〇三〇年の、エネルギー起源のCO2だけでございますけれども、先ほど申し上げましたそういうエネルギーの長期目標も、そうした二〇五〇年八〇%目標と整合を持った形で見通しがつくられたというふうに見ております。

田中(和)委員 僕は、全くこれは答弁になっていないと思うんですね。

 もちろん、目標があって、しかも中期目標があってというふうになっている。毎日がどのようになっているのか、一年間でどのようになっているのか、こういう積み重ねがその先にあるわけですよ。

 ダブルスタンダードのような話で今始まっておるように私は認識するし、今、国民は世帯当たりの負担が、研究機関によってばらつきもありますけれども、七十七万円というような数字も出ているし、物づくりの企業によってはもう国内にいられないんじゃないか、大変な雇用の不安が生じる状況があるわけでございます。

 一方においてはもう始まっています、一方においては米中の話あり、温対法のスタートもあるわけでございますけれども、こういうふうに考えると、何か政府として一貫性がないんじゃないか、このように思われるのですけれども、いかがですか。

松本国務大臣 家計の負担が七十七万という数字がどういうモデルケースなのか、私は、昨年の九月に大臣になりましたので、お話は聞いておりますけれども、詳細なことはちょっと承知をしていない。

 また、私、このごろ思ったんですけれども、自民党の皆さんが法案をつくられるときに、今おっしゃったように、本当に積み上げて積み上げて、産業界の意見を聞き、NGOの意見を聞き、あるいは労働界の意見を聞いて、積み上げて積み上げてやってこられたということを、ことしになってさまざま自民党の重鎮の方々からお聞きをしました。そういう意味では、それぞれの政党がそれぞれに努力をなさっていることに敬意を表しますし、小沢前大臣も、三十回以上も議論を重ねて、この温暖化対策に対する基本法をつくられてきた。ですから、そういういろいろな方々の意見をやはりこれから審議の中で披露していただきたいというふうに思っております。

 ただ、先ほど言われました海外移転という話がありますけれども、例えば、企業が海外移転する一番大きなものは、やはり賃金の問題だろう。二番目には、やはり市場がそこにある、例えば中国やインド、たくさんの人口がありますから、そこに市場が生まれている、だからそこにちょっと工場をつくろうとかというインセンティブが一番大きいというふうに思っております。

 そういう意味では、環境問題がきついからということは、考えられないではないですけれども、あると思いますが、それ以上に、やはり今、アメリカだってグリーンニューディール、韓国だってグリーン低炭素経済ということを言って、韓国なんかは私たちの、日本の倍ぐらいの雇用創出ということを言っている。そういう意味では、私たちのグリーンイノベーションも、もう一歩も引くことができない。課題を先取りしていかなければ、そして日本の冠たる技術をもって、それをしっかりこれからの日本の課題として取り組んでいったときにさまざまな経済モデルは変わってくる。今のままでの状況が続けば、私は日本は厳しい状況になる、とりわけアジアの中で気候変動、大気の問題、水の問題、廃棄物の問題等々をしっかりビジネスチャンスに持っていく必要があるだろうというふうに思います。

田中(和)委員 時間が参りましたので、また質問の機会があると思いますからお話ししますけれども、昨年の十二月の中長期ロードマップ、これは、数字を確認していく限り、いろいろな問題がありますね。原子力発電所の問題あり、また、本当に一つ一つやっていくと、高効率の給湯器の導入だとか、住宅の断熱性能の向上とか、自動車の燃費の改善と次世代自動車の普及だとか、非現実的ではないかというようなものがもうメジロ押しでございます。

 これを国民に示して、政府が責任を持ってやっていくという教科書としていくのならば、各省庁で、今積み上げの話がありましたけれども、すべて積み上げて統一したものでなければならない。確かに、温対法の法律が通ったら関係閣僚によってそういうシステムができることになっているのですが、私は、これだけの法律ですから、その前に今の段階で、政府のきちっとした積み上げを各省庁ごとに事業ごとにやっていって国民に示していく、そうでなかったら無責任きわまりない話だと思うんですね。そして、はっきりと政府のすべての精査ができていない、そういうものを我々がこの環境委員会で論ずる、議論するというのはとても納得がいかない、このことだけ申し上げて、私の質問を終わります。

小沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時十一分散会


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