衆議院

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第4号 平成23年4月19日(火曜日)

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平成二十三年四月十九日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 小沢 鋭仁君

   理事 大谷 信盛君 理事 太田 和美君

   理事 田島 一成君 理事 中野  譲君

   理事 横光 克彦君 理事 田中 和徳君

   理事 吉野 正芳君 理事 江田 康幸君

      石田 三示君    川内 博史君

      川越 孝洋君    工藤 仁美君

      櫛渕 万里君    小林 正枝君

      近藤 昭一君    阪口 直人君

      玉置 公良君    野木  実君

      樋高  剛君    福田衣里子君

      山崎  誠君    吉川 政重君

      加藤 勝信君    小泉進次郎君

      徳田  毅君    福井  照君

      古川 禎久君    町村 信孝君

    …………………………………

   環境大臣         松本  龍君

   環境副大臣        近藤 昭一君

   経済産業大臣政務官    田嶋  要君

   環境大臣政務官      樋高  剛君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            白石 順一君

   環境委員会専門員     高梨 金也君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十九日

 辞任         補欠選任

  岡本 英子君     福田衣里子君

  木村たけつか君    小林 正枝君

  森岡洋一郎君     野木  実君

  井上 信治君     加藤 勝信君

  近藤三津枝君     徳田  毅君

  齋藤  健君     小泉進次郎君

同日

 辞任         補欠選任

  小林 正枝君     木村たけつか君

  野木  実君     森岡洋一郎君

  福田衣里子君     岡本 英子君

  加藤 勝信君     井上 信治君

  小泉進次郎君     齋藤  健君

  徳田  毅君     近藤三津枝君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境影響評価法の一部を改正する法律案(第百七十四回国会内閣提出第五五号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

小沢委員長 これより会議を開きます。

 第百七十四回国会、内閣提出、参議院送付、環境影響評価法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案は、第百七十四回国会において参議院で可決され、本院で継続審査となり、前国会では本院で可決し、参議院で継続審査となっておりましたところ、今国会、原案のとおり可決され、本院に送付されたものであります。

 したがいまして、その趣旨は既に十分御承知のことと存じますので、この際、趣旨の説明を省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

 環境影響評価法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

小沢委員長 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として環境省総合環境政策局長白石順一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中和徳君。

田中(和)委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の田中和徳でございます。

 先月、三月十一日の地震、大津波、そして福島原発の事故、この千年に一度と言われる大災害の発生から、本日で早くも三十九日が経過をいたしました。お亡くなりになられた方々、被災された方々に心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。また、みずからの命を賭して被災地にて復旧作業に携わっておられる皆様に心から敬意を表し、感謝を申し上げるところでございます。

 我々自由民主党も、これまでの数々の災害対応の経験を生かし、一刻も早い復旧、復興のために、総力を挙げてその対策に取り組んでいるところでございます。しかしながら、我々から見れば、政府からいまだ復興への十分で具体的な道筋が示されておりません。被災地の皆さんも大変不安な思いで毎日を過ごしておられることではないかと心配しておるところでございます。

 松本大臣におかれましても、昼夜を分かたず環境と防災の二つの大臣として災害復興対策に当たっておられますことに、私も心より敬意を表します。しかし、そもそも私は、松本大臣が環境大臣と防災担当大臣を兼務されていることを当初より大変懸念をしておりましたし、問題の指摘もしてまいりました。

 昨年十月二十六日、松本大臣との初めての私の質疑の中で、我が国は災害列島と言われるほど自然災害の多い国でもあり、もし災害が起きた場合、環境と災害対応のどちらを優先されますかとお伺いをしました。松本大臣は、優先順位をどちらにつけるということはありません、どちらも大事と無難に答弁をそのときはされたはずでございます。私自身、これでは納得できないという意思を述べておったわけでございます。結局、今考えれば、任命権者である菅総理のまさしく資質の問題である、このように私は言わざるを得ないと思っております。

 ただ、きょうは環境アセスの議題でございますので、時間があれば後ほどこの点についてはお話をさせていただくということにしまして、環境アセスの質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、今般の大震災にかんがみ、アセス法第五十二条第二項に基づいてアセスの対象から外される適用除外についてでございますけれども、この可能性のある現在アセス手続途中の事業は、まず第一号が私の近所であります川崎市川崎区の川崎火力発電所二号系列二軸、三軸設備増設計画、次いで宮城県仙台市の新仙台火力発電所リプレース計画、そして千葉県市原市の五井火力発電所更新計画、以上三つであります。

 もちろんこれは、今後、東京電力や東北電力が復旧計画を定める中で、そこに明記されて初めて除外されるということになります。まず、この三件の状況や見通しについて確認をしておきたいと思います。

 また、今の時点で、適用除外の対象として想定されているのは発電所だけかどうか、わかればお答えをいただきたいと思います。

 また、今後適用除外となる発電所の建設計画が何件かあるのかどうか、見通しについてもお伺いしておきます。

 以上です。

白石政府参考人 何点かのお尋ねがありましたけれども、まず一点目、アセス手続途中のものの中で、今回の復旧計画の候補となり得るものという御指摘がございました。

 お話の中にありますように、現在、アセス手続途中の案件は三件ございます。川崎火力発電所は、方法書の公告を平成二十一年九月に行い、今準備書の作成中。それから新仙台火力発電所は、準備書公告を平成二十二年八月に行い、現在は準備書の審査中。それから五井火力発電所は、方法書公告を平成二十二年一月に行い、現在は準備書作成中。この三つがございます。

 この三つも含めまして、今後、東京電力あるいは東北電力が緊急に発電所の設備を設置するというふうなことを今検討している段階でございまして、いずれが災害の復旧計画の中にのってくるという形でこの五十二条二項の適用になっていくかということは、今の段階ではまだ検討中というふうなことで承知しておりますが、例えば、東京電力の発電所、火力に限って申し上げますと、福島県の広野を初めとして十五カ所ございますし、東北電力についても、まだ壊れているかどうかということの調整も終わっておりませんけれども、やはり何カ所かある。

 この五十二条二項の適用があるのは必ずしも火力に限らないわけでございまして、ともかく、電気の供給能力、供給義務のございます東京電力、東北電力が復旧をさせるためにどこを優先的にやるということは今まさに調整中でございますので、今の段階でどれということはございませんけれども、今々現在で申しますれば、たしか四月の十五日に東京電力の方ではプレスリリースがございまして、姉崎の火力発電所、袖ケ浦の火力発電所、それから千葉の火力発電所の敷地内に、それぞれ緊急にガスタービン等を設置する計画を取りまとめたという発表がございますので、これについては災害復旧計画にのって所要の手続に入る、今このような段階だというふうに承知をしております。

 また、最後のお尋ねであります、適用除外はこういう発電所だけかというお尋ねでございますけれども、まさにこの夏の電力の供給不足に向けての災害復旧が一番急がれているということで今話題にはのっておりますけれども、理屈の上では、例えば鉄道であるとか道路であるとか、別の場所に結ぶ道路をかえたりとか、いろいろなことが今後想定されますが、今々現在で検討課題にのっておると聞いておりますのは電力の発電所というところでございます。

田中(和)委員 今の答弁を伺いまして、大変な状況にあるということと、いまだ予測ができない状況が幾つもあるわけでございまして、私の方も、その都度また状況を把握しながら環境委員会の理事としての職責を果たしていかなきゃいけないな、このようにも思っておるわけでございます。とにかく、エネルギーを供給するというのは国民生活そのものでございますので、いろいろな条件がありますけれども、ぜひひとつ前向きな対応をしていかなければいけないことだと思っております。

 今答弁があったんですが、もう少し確認をしてまいります。

 火力発電所のうち、石炭、石油、ガスなどの燃料種によって適用除外の差が出るのかどうか。また、場合によっては水力発電所などというものも大きな意味で考えればあるわけでございますが、三年間ということでございますので、これから事業計画を立ててということになると、そういうことに間に合うかどうかわかりません。一方において、風力だとか太陽光、多分地熱もそうだと思いますが、アセス法の対象外であろうと思います。

 いずれにしても、発電所というもので、適用除外になるものとならないもの、あるいは、先ほど言った、火力発電所の中でも燃料の種類によって差異があるのかどうか、一応確認をしておきたいと思います。

白石政府参考人 まだ具体的な計画が定まっていない段階でということでございますが、理屈の上ではこうなるという形で御説明をいたします。

 理屈の上では、東京電力、東北電力は、ともに災害対策基本法八十七条に基づきまして、先ほど申し上げましたように、電気の供給責任を負うというふうな形で指定公共機関に指定されておりまして、適用除外の運用において両電力に差はないということでございます。

 さらにその上で、例えば石炭であるとか石油であるとかガスであるとか、これこれならだめだというふうなこともございません。また、水力というふうなお尋ねもございましたけれども、これについても差異はなく、対象になり得るということでございます。

 ただ、私どもが関係省庁と調整をした中で出てまいりましたのが、こういうものは、まず、御指摘ありましたように復旧計画の中に定められた上でということでございますけれども、本来の法の趣旨からいえば、適用除外になったとしても、例えば関係地方公共団体あるいは住民との調整であるとか、あるいは、アセス法は適用除外になったとしても、例えば大気汚染防止法その他の公害規制は適用になるということはございますので、おのずとそこには一定の配慮というふうなものがあるということから、現在のところは、敷地内で増設をする場合に限りましょう、年限は、やはり緊急だということであるので、発災から三年程度という範囲でやるものが復旧というふうに考えましょうという縛りもございますが、その縛りも含めて、電力、火力、あるいはそういう、油種であるとか、石炭、どれを使うかということで法律の適用の差はございません。

 ただ、繰り返しになりますけれども、大気汚染防止法その他のことがございますので、例えば、なるべくNOxが出ないように、あるいは総量規制の枠内におさまるかどうかということもいろいろ配慮する中で、ガスタービンを使ったらいいのかとか、そういういろいろなことが配慮されるものだろうというふうに考えております。

田中(和)委員 もう一点。三年という意味なのでございますけれども、今回のこれだけの大震災、また原発の話も含めてでございますけれども、こうなってくると、三年で収束するというふうにはなかなか、思いたいんですけれども思えないという現実があるわけでございますが、このあたりについての考え方、対応はどうお考えでしょうか。

近藤副大臣 お答えをさせていただきます。

 三年という目途を立てさせていただいておるわけであります。

 この間でも御答弁をさせていただいておりますが、環境を守っていくという環境省の本来の役割、その中で、ただ、この緊急の事態にどう備えていくかということであります。そういう中で、熱効率が高く、大気環境への影響も少ない最新鋭の火力発電所であっても、三年程度の期間があれば、着工そして運用開始まで至ることがおおむね可能であるという考え方でありますし、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法という法律がありますが、そこでも、災害が発生した年度及びこれに続く二カ年度以内に事業を完了するよう規定されている、こうしたことにかんがみまして、三年を目途とさせていただいているということであります。

田中(和)委員 三年たった時点でということではあろうと思いますけれども、場合によっては三年でおさまり切れないケースもあるかなと。そうはならないように私たちも期待をするんですけれども、この点については、推移を見守りつつ、対応していかなきゃいけないことがあれば、また我々も含めて努力をしなきゃいけないのかな、こう思っております。

 それから、先ほどもう既にお話がありましたけれども、アセス法というのは、規模が大きくて環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業ということで、環境への負荷が生じることが、今回、一方においては除外されるということになるわけでございますね。ですから、除外されるといっても、確かに、これをどのように地元住民や行政に説明責任を果たしていくか、また、説明責任もさることながら、技術的にどのように、よりよき方策、技術をもって発電所を設置していくか、こういうようなことがいろいろな意味であるんだろうと思っていますが、このことについて、どのように大臣はお考えなのか、また、どういうふうにしようとしておられるのか、お伺いしておきたいと思います。

近藤副大臣 先ほども関連ということで御答弁させていただきましたが、緊急であるということ、そしてまた一方で、環境を守っていく、ともに国民の生活を守っていくということであります。そういう意味では、法の趣旨に沿って、除外をされる場合でも可能な限りが適用されていかなくてはならないということであります。

 その方法といたしましては、関係地方公共団体、住民に対して、事業の内容、予測される環境影響等について説明や意見聴取をしっかりと適切に行うべきということでございますし、また、この説明等については、事業の実施前に行われるべきものでありますけれども、事業着手の緊急性が著しく高い場合には、事業開始後速やかに行う、こういう考え方であります。

田中(和)委員 今の副大臣の御答弁で、基本的にはいいと思うんです。確かに、同時進行にしないと、遅くなってしまったのでは何のための除外かわからなくなってまいりますし、国民生活にも重大な影響を及ぼすことになるだろうと思います。

 ただ、行政によっては条例をつくっておられるところもありますし、大きな意味で考えれば、本来法で環境アセスを求めている事業が除外されるわけですから、これをカバーする環境省の責任というものはしっかりと果たしていかなきゃいけないと私は思っております。

 その点について、大臣、お答えいただきたい。

松本(龍)国務大臣 お答えをいたします。

 大変重要な御指摘だというふうに思っております。

 まず、冒頭に触れられました三月十一日の大地震、そして津波による未曾有の災害につきましては、発災から五日後に与野党の幹事長会議、そして毎日のように実務者会議が行われておりまして、日本の国難ということで、それぞれが一生懸命にさまざまな御提言をいただいたりお知恵をいただいていることに対して敬意を表したいというふうに思っております。

 今、環境影響評価法の第五十二条二項によって適用除外になる場合でも、しっかり環境省はその役割を果たしていくべきだというふうに御指摘がありましたけれども、このために、災害復旧のための発電設備設置事業の実施に当たっては、事業者に対しまして、供用開始後においても環境影響について継続的に調査を行い、必要に応じ、しかるべき環境保全措置を講ずるよう、政府として指導をすることとしております。例えば、騒音でありますとか、あるいは二十四時間操業するのがいいのか、あるいは、緊急でありますからいいものがつくれていない、だからグレードを上げていくということも必要だろうというふうに思っております。

 いずれにしましても、環境省としては、関係地方公共団体と連携をして、これらの調査結果及び講じられた環境保全措置を的確に把握していきながら、環境影響の最小化が図られるように努めていきたいと思っております。

田中(和)委員 誠意を持って対応するという大臣の御答弁だと思います。準アセスという言葉が当たるかどうかわかりませんけれども、アセス法に準じて、心配のなきように、後顧の憂いのなきように、ひとつ対応していただきますことを切に望んでおきたいと思います。

 実は、私にとっては以前からの宿題になっておりますが、政令指定都市の問題についてでございます。私にとっては今回の法改正の目玉の一つだ、このように思っております。

 たまたま今回第一号の除外となる可能性の出ておりました川崎火力についてでございますが、アセスの手続の中では、関係自治体というのは半径十キロメートルということになるわけでして、東京都と神奈川県、横浜市、川崎市、大田区となるんですよ。狭い市域だからそうなんですけれども、川崎市はいわば経験等々非常に豊富でございまして、豊かな人材も擁しておりますが、残念ながら、私と目と鼻の先のこの発電所のアセスは、手続をするということになれば神奈川県知事と東京都知事、こういうことになるんですよね。

 先ほどお話があった新仙台の火力発電も、仙台という政令指定都市のものでございますけれども、果たして仙台だけにおさまるのかどうかということになれば、そうでないのかもしれません。宮城県の扱いになるのかもしれません。近隣の市町村が入ってくれば、そういうことになるわけでございますね。

 こういうことで、確かに、新しい政令指定都市が都道府県と同じように技術者を有しているかとか、対応がちゃんとできるかというマンパワーの問題も含めて考えれば、いろいろと課題はあると思うんですが、法の趣旨に従って、地方自治体の中でも特に政令指定都市は都道府県と全く同じようなレベル、いや、それ以上のレベルの対応をすべきだとやはり私は思いますし、環境省もそのようにいろいろと協力をされるべきだと思っております。

 そういう中で、どうしても、環境省の今までの答弁の中で、すっきりした答弁が出てきていないんですね。いろいろと答弁を眺めてみましても、どうしても何か腰が引けているというのか、政令指定都市の権限を与えつつも、まだ政令指定都市を信頼していないというのか、都道府県知事で今までと同じようにやる方が都合がいいというのか、何となく法の趣旨と現実の対応というものがどうもすっきりしていないな、こう私は思っております。

 一番の環境アセスメント条例でスタートした川崎市、最初から自治体の中でいろいろとかかわってきた私の立場だから、とりわけそういう思いもあるんだと思うんですけれども、ぜひひとつ、政令指定都市にこそ環境アセスメントの権限を与えると同時に、大いに磨きをかけて対応ができるようにすべきだと私は思っているし、制度も考えるべきだと思っておりますが、お尋ねをさせていただきます。

松本(龍)国務大臣 昨年から先生の御指摘であります。いい答えができないというふうな御指摘もありましたけれども、まさに先生の一丁目一番地だというふうに思っております。

 いずれにしましても、制度はありますので、自治体間が協力をし合ってやっていただきたいと思いますし、今御指摘のように、政令指定都市の中では、マンパワーもちゃんとありますし、知見もさまざま有しているというふうに思っております。

 環境影響を受ける範囲であると認められる地域が複数の市町村にまたがる場合のことについてでありますけれども、改正法案の施行後も、当該地域を管轄する都道府県知事が、関係市町村長から述べられる意見を勘案した上で事業者に意見を述べることとしています。

 これは、事業者にとって相当の重みのある地方公共団体の意見は、知事が取りまとめた上で意見提出を行うことが本法の円滑な運用に資する等の理由によるものでありますけれども、また、御指摘のように、市町村が管轄する行政区域内の事業は市町村が処理する一方、市町村を超える広域的な事案につきましては都道府県が調整すべきものと認識をしております。

 冒頭申し上げましたように、制度がございますので、自治体間がそれぞれ協力をし合ってやっていただきたいというふうに思っております。

田中(和)委員 大臣は同じような答弁の繰り返しでございまして、とても納得がいく部分じゃないんですけれども、はっきり言うと、政令指定都市というのは責任もあるんですよね、権限も持っているんですが。産業の集積地であり、人口密度の極めて高い地域で、環境アセス法からすれば、やはりこの法律の趣旨に、対象としては一番必要度の高い地域なんですね。ですから、本当は、都道府県知事も大事なんですけれども、政令指定都市の市長というのはやはりもっと重要な位置づけになってきて当たり前だと私は思うんです。そういうことからすると、この法律の流れが中途半端なんですよ。

 ですから、重ねて、政令指定都市の環境アセスの扱いを極力知事と同様にしていただくためのプログラムをきちっと組まれて、そして、近隣の市町村のこともそうでしょうし、場合によっては都道府県の知事の意見もそうでしょうけれども、それによって政令指定都市の市長の権限がどんと下がってしまう今の法体系になっているということを指摘して、それに対応していただきたい、こういうことでございます。一言ちょっと、もう一回御答弁。

松本(龍)国務大臣 川崎火力のことを言われました。まさに川崎市も大きな都市でありますし、私も、福岡市という政令指定都市であります。今御指摘のように、それぞれがやはり大きな力を持っておりますし、人口も産業の集積もあります。そこに大きな知見もあるということで、そういう意味では、先生の御指摘もありますけれども、地方自治法に定めております一部事務組合等の制度の活用や、あるいは環境アセスメントの審査会を合同で行うことで意見形成を図るなど、運用上、地方公共団体の判断によって合同で意見形成を図ることが可能と考えております。

 今の先生の御指摘は、これからも重要な課題として受けとめさせていただきたいと思います。

田中(和)委員 次に移ります。

 実は、先日、吉野理事も質問で取り上げられましたが、私も全くそうだと思うんですけれども、放射線、原子力、これらは原子力基本法できちっと今まで整備をされてきたという経過がございます。しかし、調べてみると、大気汚染、水質汚濁、あるいは土壌汚染とかこういう分野で、外国は、ドイツ、イギリスなどは環境省が所管をしておりますね。一朝一夕にすべてを切りかえるというんじゃなくて、同時進行的に、環境省が国民のいろいろと御心配なことについてやはりきちっと責任を果たす、こういうときがいよいよ来ているなと私は率直に思います。自由民主党の政権時代も考えて、今の時点で総括して、改めて、環境省が原子力由来、放射線の問題も含めて扱うべきだと私は思います。

 環境省の行政についても、いろいろと書いてありますね。「放射性物質に係る環境の状況の把握のための監視及び測定」というのが環境省設置法にも書いてあります。意味が少し違うといえば違うんでしょうけれども、こういうところからひもといていけば、私は、もう一度政府の中でも御相談されるべきことだと思いますし、我々議会の立場でも法律を少し検討してみるときになっているのかもしれません。

 また、ありとあらゆる機関が文科省と経産省の方に集中しておりますけれども、果たしてそれでいいのかどうかということも、国民の目から見たときに、今回の原発事故を考えたときにやはり疑念があるわけでございまして、そういうことからして、私の立場からももう一回、松本大臣のお考え、環境省としてのあるべき姿というものについてのお尋ねをしておきたいと思います。

松本(龍)国務大臣 私も、三月十一日の発災以来、先生と同じようなことを考えてまいりました。

 今、環境省は離島等で十のモニタリングを行っております。北は利尻島から南は沖縄県の辺戸岬を初め、十カ所あります。そういう意味では、今御指摘の点では、基本理念ということで考えれば、今回の事故の環境汚染は極めて深刻で残念なことだと言わざるを得ません。

 原発を推進してきた人、そして反対をしてきた人、それぞれがやはりこれからのエネルギーの問題を考えていかなければならないというふうに思っております。

 また、政と官と学と業が、やはりもう一回しっかり立て直していかなければならない。政府も対応していかなければなりませんし、ある意味では、資源エネルギー庁と原子力安全・保安院の関係、これは官でありますけれども、そしてまた学の関係でいえば、原子力安全委員会がどういう知見を、世界の知見を集めるかということも重要なことでありますし、東京電力、業の関係でいっても、やはりしっかりそこのところを切り分けていきながら、さまざまなそれぞれが責任を持って対応していかなければならない、そのことを改めて今思っているところであります。

 そういう意味では、今、これからの環境省のあり方等を含めて、放射性物質も扱えるかどうかというふうな話もありますけれども、エネルギーのこと、あるいはこれからの社会のありようのことも考えていきながら、先生の今の御指摘を受けて検討してまいりたいというふうに思っております。

田中(和)委員 終わります。

小沢委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 おはようございます。公明党の江田康幸でございます。

 まず、東日本大震災において被災された方々にお見舞いを申し上げますとともに、お亡くなりになられた多くの方々に心からお悔やみを申し上げます。

 私も昨日は福島県並びにいわき市の方に入らせていただきましたけれども、自治体の方々、また自衛隊、消防、そしてボランティアの方々、大変な現場で懸命な復旧作業に当たられております。心から皆さんに敬意を表したいと思います。

 公明党は、今回のこの環境アセスメント法の改正案につきましては、さきの国会において十分に審議したところであります。戦略的環境影響評価、日本版SEAの導入を初めとして大きな前進と評価する一方で、今後の課題についても附帯決議等で指摘をさせていただいたところでございます。今回は、三月十一日に発生しましたこの未曾有の東日本大震災を踏まえて、環境アセスメント法第五十二条の第二項について質問をさせていただきます。

 今回の未曾有のこの大震災に対しましては、何よりも、被災地の方々がいち早く安心して暮らせるようにすることが第一であります。それとともに、再び中小企業の皆さん方が安定的に活動され、そして日本を、経済をまた元気にする必要がございます。

 そのために必要な施策の一つとして、電気の安定供給が不可欠であるわけでございます。現在の東京電力による対策としては、被災した原発の電気供給力、これを補うために、定期点検中の火力発電所の稼働、新たにガスタービン等を設置するとともに、ピーク時の需要電力を抑制する方向でその検討が進んでいると聞いております。

 このうち、ガスタービン等を設置する事業に関して、本来なら環境アセスメントの手続が必要であるところではございますが、災害復旧事業として位置づけられる場合は、この義務規定を課さないという第五十二条第二項の規定がこれは適用されます。この規定の趣旨について、まずお伺いをいたします。

白石政府参考人 御指摘の環境影響評価法第五十二条二項の規定では、災害対策基本法に基づき災害の復旧の実施について責任を有する者が行う災害復旧事業等、防災上の観点から緊急に実施する必要のある事業につきましては、人命等に直接かかわる問題であることから、この法律に基づくアセスメントの義務規定を適用しないというふうな趣旨でございます。

 電気のお尋ねでございましたので電気事業者に当てはめてお話を申し上げますと、災害対策基本法で復旧の実施責任を負うとされる電気事業者が、震災で復旧できなくなった自社の発電設備の電気供給力を補うために行う発電設備の設置事業は、被災した発電所の敷地以外の場所で行う場合も含めて災害復旧事業に該当すると考えられることから、適用除外の対象というふうになる、このように考えております。

江田(康)委員 それでは、東京電力は、既に事業を検討している地元の自治体等と事業の実施に向けた相談等をされていると聞いておりますが、今回のこの東京電力の場合は、どのような考え方で環境アセスメント法の第五十二条二項の規定を適用するのか、これについてお伺いします。

白石政府参考人 災害対策基本法の八十七条におきましては、災害復旧の実施に責任を有する者として指定公共機関を定めることになっておりますが、その指定公共機関の一つが東京電力でございます。これは電気の供給に責任を負う者ということで、災害復旧を実施しなければならない責任主体の一つになっております。

 この東京電力が、震災で復旧できなくなった自社の発電設備の電気供給力を補うために同社が行います発電設備の設置事業、これ自体は災害復旧事業に該当する、こういうふうな考え方で、今回の五十二条二項の適用、このようになると考えております。

江田(康)委員 先ほども議論があっておりますけれども、その電力施設等においては、エネルギーの種の違い、例えば火力や水力、再生可能エネルギー等の違いで適用除外の差があることはないけれども、一定の配慮をすることもあり得るということがございました。これは質問通告をしておりませんけれども、これについて、再度確認をさせていただきたいと思います。

白石政府参考人 お尋ねにありましたように、五十二条二項の、アセスメントの義務規定の適用をしないというふうな形でございますけれども、先ほども御答弁の中にあるいは申し上げたかもしれませんけれども、その法律の趣旨にかんがみますれば、そういう場合であっても、適用除外の対象となる場合であってもという意味でございますけれども、法の趣旨にのっとった可能な限りの措置は講じられなければならない、このような考え方に立つわけでございます。

 そういった中から、具体的には、発災の日から三年程度の範囲内の供用開始予定の事業が対象となるでしょうということ、それから、東京電力の供給区域内に従来から存在する同社の発電所の敷地内で行われるものというふうなことが緊急にやる場合には求められるでしょう、こういうふうな要件を考えまして、実際には、緊急の整備であったとしても、一定の法の趣旨に基づいた環境配慮のもとで、こういう災害復旧事業が行われるべきもの、このように考えております。

江田(康)委員 さらに、これも質問通告外でございますが、電力以外の公共施設等についても適用除外とされるわけでございますけれども、これはどのようなものがあるか。先ほど少し御紹介がありましたけれども、計画中のものはあるか、お答えいただきたいと思います。

白石政府参考人 現在、私どもに具体の場所についてまでの相談というか情報がありますのは、東京電力の火力発電所の三カ所でございます。そのほかもいろいろ検討を進めているものと思います。また、東北電力の方もいろいろ検討している。これはまた、随時、経済産業省、それから私どもの方にいろいろ御相談があって、今のような法律の実際の適用の考え方にのっとって、いろいろ御相談に応じ、御指導も申し上げるということになると思います。

 そのほか、頭の中の整理ではと先ほども申し上げましたけれども、例えば鉄道の路線をつけかえるような必要が出てくるかとか、あるいは一定のアセスの対象となるような道路について、つけかえる対象になるものがあるのか等々、頭の体操はいろいろ私どももしておりますが、今々現在、具体的にこの五十二条の適用について検討したいという御相談がありますのは、電力二社でございます。

 これからも、何かありますれば、またそれは御相談に乗っていく、このように考えております。

江田(康)委員 今お聞きしましたように、災害に立ち向かうべく国民が一致団結して取り組むべき今回のような事案に対しては、この適用除外の条項が適用されるということは、環境アセスメント制度の適切な運用に努めていると評価できるものと考えます。

 一方で、災害復旧のため、電気の安定供給が喫緊の課題であることは間違いないわけでありますけれども、そのために新たな環境影響を引き起こして、将来の世代に対して取り返しのつかないようなことになってはならない。また、事業を実施する場合には、どこでどのような事業を行うつもりなのか、事前に地域の住民等に対して丁寧な説明を行うことも、だれもがわかるように公表することも大変重要であると考えます。

 そこで御質問させていただきますが、環境アセスメント法の適用除外の対象となった事業についても、何らかの方法で事業に伴う新たな環境影響を低減して、そして地域住民の命と生活を守る必要があります。また、環境アセスメント法上、災害復旧事業として扱われる事業の範囲を明らかにする必要があります。政府の見解を松本環境大臣にお伺いさせていただきたい。

松本(龍)国務大臣 今御指摘の、五十二条二項の規定によって環境アセスメントの義務規定を適用しない場合であってもしっかり環境省はやっていけというお話、大変重要な御指摘だと思います。

 事業の実施による環境への負荷をできる限り回避あるいは低減して、環境保全について適正な配慮を行うよう努めるべきであるというふうに、私どもも同様に考えておりますし、可能な限り詳細な予測を行った上で、実行可能な最大限の配慮を行うべきだというふうにも考えております。

 関係地方公共団体や住民に対する配慮ということでありますけれども、復旧計画を公表するとともに、事業実施前に、予測される環境影響、講ずる予定の環境保全措置等について説明、意見聴取等を行うこととしておりますし、政府としてもそのように指導してまいりたいと思っております。

 また、適用除外の対象となる災害復旧事業の範囲としては、発電所の場合にあっては、既存の発電所の敷地内に設置され、かつ三年程度以内に供用開始予定の事業に限ることとしております。

 措置の実施の確保に努め、事業実施に伴い生ずる新たな環境影響の低減、回避を図っていくのは先生御指摘のとおりでありますし、私たちもこのことに努めてまいりたいというふうに思っております。

江田(康)委員 今、環境大臣の方から、適用除外の対象となる上での確認事項、これがあったわけでございますけれども、経済産業大臣政務官にお伺いをいたします。

 所管省庁である経済産業省は、今環境大臣が述べた点について主導的に指導していく立場にあると思いますけれども、いかがでしょうか。

田嶋大臣政務官 お答え申し上げます。

 環境大臣のおっしゃっていただきました環境影響の低減等に関しまして、御質問をいただいたとおり、所管省庁として主導的に指導してまいりたいというふうに考えてございます。

 今般、東京電力は、実は千葉県の中だけでの今のところの事例でございますが、実際これは、LNG、ガスコンバインという技術の既存のものの横にガスタービンをつくるということなんですが、環境技術的には劣るようでございまして、そういうことも含めて、やはりしっかりと指導していかなければいけない。

 具体的には、四点申し上げますが、四月四日付に、東京電力に対して、災害復旧のための、ある意味緊急的な意味での発電設備の設置に当たり、まず、環境に及ぼす影響についての可能な限り詳細な予測を行った上で、環境影響を最小化するための実行可能な最大限の配慮を行うということを要請しました。それから二点目は、地域住民に対する説明をしっかり行うということを要請しました。そして三点目、事業の実施中及び供用開始後においても、その環境影響について継続的に調査を行うということです。それから四点目は、これが一番重要だと思うんですけれども、災害復旧のための発電設備設置事業に一定の進展が見られた場合には、環境影響のより大きい発電設備から優先的に運転を停止する等の措置を講じることなどを要請いたしました。

 そういう意味では、災害復旧という事情があるので、まずは立ち上げるけれども、立ち上がった後もしっかりとフォローをして、環境影響の大きいものに関しては順番にとめていくことも可能性としてはあるということでございます。しっかりフォローしていきます。

 以上です。

江田(康)委員 今の点は大変重要な点でございまして、経済産業省は電力事業者等にしっかりと指導をしていっていただきたいと思います。

 特に、最後に言われた点については大変評価するものでありまして、一定の進展が見られた場合には、環境影響の高いものについてはこれを見直していく、こういうこともやはり随時行っていくことが本来の五十二条の二項の趣旨に合ったものであると考えますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 最後ではございますけれども、先ほど御質問がございましたけれども、私も質問をさせていただきます。

 例えば、災害廃棄物の処理事業においても、福島原発の周辺、半径二十キロ並びに三十キロ圏内というのは、私も見せていただきましたけれども、その廃棄物の処理は全く進んでいない。それは、いわゆる環境省の所管であるところの廃掃法の対象外である、原子力基本法のもとであるということで、そういう手つかずの状況が続いております。しかし、住民、国民にとっては、これを一体としてやっていかなければ、本当に災害復旧はおぼつかない、そういうようなことを私は思っております。

 と同様に、放射性物質による大気、水、土壌の汚染については適用除外すると今回もあるわけでありますけれども、これらの措置については原子力基本法によるとされますけれども、アセス法として一元化をしていくことも、今後は将来的にも検討をすべきではないだろうかと私は思うわけでございます。

 これは、大臣、質問通告はしておりませんけれども、大臣の考えを最後にお聞かせいただきたいと思います。

松本(龍)国務大臣 今御指摘のとおり、五十二条一項で、「放射性物質による大気の汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染については、適用しない。」とされておりますけれども、もっと前向きに一元化をというふうなお話であります。先ほど田中先生のお話にもありました。そういう意味では、これからさまざま私どもも勉強していかなければならないと思っております。

 放射性物質による環境汚染を防止するための措置については、環境基本法第十三条において、「原子力基本法その他の関係法律で定めるところによる。」とされております。しかし、放射性物質に係る対応は、関係省庁がそれぞれの役割分担のもとに政府全体として適切に実施をしていかなければならないと思いますし、先ほど申し上げましたとおり、環境省としては、離島等で十カ所、今モニタリングをしております。これからも、今言われましたように、関係省庁と連携をしていきながら、環境省がどれだけやれるかということも含めて努力をしていきたいというふうに思っております。

 また、瓦れきの問題を指摘されましたけれども、今、廃棄物処理法上は、放射性物質及びこれによって汚染された廃棄物は法律の対象から除外をされております。原子力発電所由来の放射性物質で汚染された災害廃棄物の取り扱いについては、一般の廃棄物として処理を行った場合に人体等への影響のない放射能の量等を見きわめる必要がありますし、今、放射性物質を所管する関係省庁、原子力安全・保安院及び文部科学省等々と話し合いを進めているところであります。

 大変重要な御指摘をいただきましたので、これからまた鋭意努力をしてまいりたいというふうに思っております。

江田(康)委員 大臣、ありがとうございました。

 やはり住民、国民の目線から今後の原子力行政についてもしっかりと検討していくべきことだと思っております。どうぞ尽力していただきますようによろしくお願いを申し上げます。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

小沢委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 第百七十四回国会、内閣提出、参議院送付、環境影響評価法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小沢委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、田島一成君外二名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。吉野正芳君。

吉野委員 私は、ただいま議決されました環境影響評価法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につき、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    環境影響評価法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 一 改正法の実施例を検証した上で、東日本大震災の被害状況もかんがみ、環境基本法の見直しも含め、より上位の施策の策定又は変更の立案の段階における戦略的環境影響評価の制度化に向けた検討を行うこと。

 二 配慮書の案又は配慮書に関する意見聴取については、その重要性にかんがみ、積極的な実施が図られるよう、事業者の指導に努めること。

 三 免許等を行う者等は、審査等を行うに際しては、環境大臣の意見を反映させるよう努めるとともに、その反映結果を公表すること。

 四 環境大臣が環境影響評価法に基づく意見を述べようとするときは、あらかじめ、専門家の意見を聴いて可能な限り大臣意見に反映させるよう留意すること。

 五 改正法の実施例を検証した上で、事業実施後の環境の状況等の把握のための調査その他の環境影響評価に係る検証が行われ、その成果が地方公共団体、事業者、住民等に提供されること等によりその後に行われる環境影響評価等に活用される仕組みについて検討を行うこと。

 六 配慮書に関する基本的事項及び主務省令を策定するに当たっては、我が国における事業の特性及び事業計画の決定プロセスの特性等を踏まえ、事業の種類及び特性等に応じた柔軟な制度となるよう十分配慮すること。

 七 環境負荷の低減に資する更新のための事業については、環境影響評価に要する期間の短縮等、環境影響評価手続の迅速化を検討すること。

 八 改正法の施行前に環境影響評価が行われる事業についても、改正法の趣旨を踏まえ、事業のより早期の段階から適切な環境配慮がなされるよう指導すること。

 九 法手続における地方公共団体の関与の在り方については、改正法の実施例を検証した上で、地方自治の在り方についての議論等も注視しながら、全国の地方公共団体、事業者等様々な主体の意見を十分に勘案しつつ、更に検討すること。

 十 環境影響評価法の立法趣旨を尊重しつつ、東日本大震災からの早期の復旧を図るため、公共施設、ライフライン等社会基盤の復旧事業については、同法の適切な運用に努めること。また、同法の適用除外となる事業においても、環境に対する影響を最小化するために、適切な措置を講じること。

 十一 環境影響評価制度全般に関して、その実施状況を見ながら、見直しに係る検討条項に規定する検討時期を待つことなく、不断に見直しを行い、適宜適切に制度の改善を図ること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

小沢委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小沢委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。松本環境大臣。

松本(龍)国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして努力してまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

小沢委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

小沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時五十九分散会


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