衆議院

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第14号 平成23年8月23日(火曜日)

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平成二十三年八月二十三日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 小沢 鋭仁君

   理事 大谷 信盛君 理事 太田 和美君

   理事 田島 一成君 理事 中野  譲君

   理事 横光 克彦君 理事 田中 和徳君

   理事 吉野 正芳君 理事 江田 康幸君

      石田 三示君    石原洋三郎君

      江端 貴子君    川内 博史君

      川越 孝洋君    工藤 仁美君

      近藤 昭一君    阪口 直人君

      玉城デニー君    玉置 公良君

      早川久美子君    樋高  剛君

      森岡洋一郎君    山崎  誠君

      吉川 政重君    井上 信治君

      後藤田正純君    近藤三津枝君

      佐田玄一郎君    丹羽 秀樹君

      福井  照君    古川 禎久君

      町村 信孝君    佐藤ゆうこ君

    …………………………………

   環境大臣         江田 五月君

   内閣官房副長官      福山 哲郎君

   環境副大臣        近藤 昭一君

   環境大臣政務官      樋高  剛君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           藤本  潔君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房技術総括審議官)       西本 淳哉君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            安井 正也君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   伊藤 哲夫君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            鷺坂 長美君

   環境委員会専門員     高梨 金也君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月十日

 辞任         補欠選任

  山崎  誠君     長尾  敬君

同日

 辞任         補欠選任

  長尾  敬君     湯原 俊二君

同日

 辞任         補欠選任

  湯原 俊二君     山崎  誠君

同月二十三日

 辞任         補欠選任

  岡本 英子君     玉城デニー君

  工藤 仁美君     石原洋三郎君

  櫛渕 万里君     江端 貴子君

  井上 信治君     佐田玄一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  石原洋三郎君     工藤 仁美君

  江端 貴子君     早川久美子君

  玉城デニー君     岡本 英子君

  佐田玄一郎君     井上 信治君

同日

 辞任         補欠選任

  早川久美子君     櫛渕 万里君

    ―――――――――――――

八月九日

 すべてのアスベスト被害者を補償し、被害の根絶を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第二一九六号)

 同(佐田玄一郎君紹介)(第二二三四号)

 大口排出源に対する削減義務化等実効ある温暖化対策を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二二三二号)

 危険な気候を回避するための法律制定を求めることに関する請願(笠井亮君紹介)(第二二三三号)

 容器包装リサイクル法を見直し、発生抑制と再使用を促進するための仕組みの検討を求めることに関する請願(池坊保子君紹介)(第二二三五号)

 同(遠藤乙彦君紹介)(第二二四九号)

 同(漆原良夫君紹介)(第二二五〇号)

 同(斉藤鉄夫君紹介)(第二二五一号)

 同(赤松正雄君紹介)(第二二五九号)

 同(伊吹文明君紹介)(第二二六〇号)

 同(坂口力君紹介)(第二二六三号)

 同(佐藤ゆうこ君紹介)(第二二六九号)

 同(吉野正芳君紹介)(第二二七四号)

 同(近藤三津枝君紹介)(第二二七九号)

 福島原発警戒区域における動物救済を求めることに関する請願(高邑勉君紹介)(第二二五七号)

 同(江藤拓君紹介)(第二二五八号)

 動物の愛護及び管理に関する法律の改正を求めることに関する請願(高邑勉君紹介)(第二二九四号)

同月二十二日

 容器包装リサイクル法を見直し、発生抑制と再使用を促進するための仕組みの検討を求めることに関する請願(森岡洋一郎君紹介)(第二三一四号)

 同(古川禎久君紹介)(第二三三二号)

 福島原発警戒区域における動物救済を求めることに関する請願(玉木雄一郎君紹介)(第二三三三号)

 同(河野太郎君紹介)(第二四七三号)

 すべてのアスベスト被害者を補償し、被害の根絶を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二四一七号)

 同(笠井亮君紹介)(第二四一八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二四一九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二四二〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第二四二一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二四二二号)

 同(重野安正君紹介)(第二四二三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二四二四号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第二四二五号)

 同(中島隆利君紹介)(第二四二六号)

 同(初鹿明博君紹介)(第二四二七号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二四二八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二四二九号)

 同(吉泉秀男君紹介)(第二四三〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法案起草の件

 石綿による健康被害の救済に関する法律の一部を改正する法律案起草の件

 環境の基本施策に関する件

 平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する件

 派遣委員からの報告聴取


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     ――――◇―――――

小沢委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、去る一日、東日本大震災により生じた福島県内の災害廃棄物に係る対策の実情調査のため、福島県に委員を派遣いたしましたので、派遣委員を代表して、私から調査の概要について御報告申し上げます。

 報告に当たり、ここに改めまして、このたびの地震と津波により、お亡くなりになられた方々の御冥福を心からお祈りいたしますとともに、被災された方々に対して衷心よりお見舞いを申し上げます。

 また、被災者に対する支援や復旧復興等に従事されている関係各位の御尽力に対し、心から敬意と謝意を表させていただきます。

 それでは、調査の概要について御報告申し上げます。

 派遣委員は、民主党・無所属クラブの大谷信盛君、太田和美君、田島一成君、中野譲君、横光克彦君、石田三示君、川越孝洋君、工藤仁美君、櫛渕万里君、阪口直人君、樋高剛君、森岡洋一郎君、山崎誠君、吉川政重君、自由民主党・無所属の会の田中和徳君、吉野正芳君、井上信治君、丹羽秀樹君、福井照君、古川禎久君、公明党の江田康幸君、そして私、小沢鋭仁の二十二名であります。

 まず、今回の視察の概要について御報告申し上げます。

 各視察地においては、放射性物質により汚染されたおそれのある災害廃棄物の発生、保管、取り扱い状況等を中心に現地調査を行いました。

 最初に、福島県伊達市へ向かう途上、環境省より、東日本大震災に伴い発生した災害廃棄物のうち、放射性物質により汚染されたおそれのある災害廃棄物の処理の基本的な考え方等について説明を聴取いたしました。

 次いで、伊達市役所において、仁志田昇司伊達市長から、福島第一原子力発電所事故により汚染された伊達市全域を除染するとの基本方針のもと、市民の協働により進めている除染の取り組みについて説明を受けるとともに、国の責任で放射能の除染に早急に着手し、除染の実施は各自治体にゆだねることで雇用の機会とすること、放射能除染に伴う廃棄物の最終処分方法を早急に提示すること、住民の被曝量の推定と長期的な健康管理体制を構築すること等について要望を受けました。

 次に、伊達市、桑折町、国見町及び川俣町の一市三町から成る伊達地方衛生処理組合の清掃センターにおいて、仁志田伊達市長及び古川道郎川俣町長より、東日本大震災発生後、大量の災害廃棄物が同センターへ搬入され、埋立処分場の残余容量が逼迫している状況、放射性物質により汚染されたおそれのある災害廃棄物の処理に当たっての問題点等について説明を受けるとともに、同廃棄物の最終処分場を早急に確保すること等について要望を受けました。その後、同センター内のごみ焼却施設及び埋立処分地施設を視察いたしました。

 次に、南相馬市原町区の日立建機予定地内に設置されている災害廃棄物の仮置き場において、南相馬市から、同仮置き場における災害廃棄物の搬入、処理状況について説明を受けるとともに、市内の焼却施設だけでは災害廃棄物の三年以内での処理が困難な状況にあること、放射性物質の影響もあり、市単独では不燃物の最終処分場の確保が困難であること、警戒区域内の未回収の家庭ごみや放置されたままの家畜等の死骸により環境衛生面の問題が生じていること等、同市が抱える課題について説明を受けた後、同仮置き場を視察いたしました。

 続いて、防護服を着用して、警戒区域内の浪江町請戸地区に入り、被害の状況を視察いたしましたが、警戒区域内等に放置されている災害廃棄物の処理が大きな課題であることを改めて認識させられました。

 最後に、福島第一原子力発電所事故への対応の前線基地となっているJヴィレッジにおいて放射線のスクリーニングを受け、全日程を終了しました。

 今回の震災により福島県内で発生した災害廃棄物は、岩手県や宮城県よりもその量こそ少ないものの、放射性物質により汚染されたおそれのある災害廃棄物等の問題から、被害の大きかったこれら三県の中で最も処理が進んでいない状況です。今回訪問させていただいた自治体の関係者からの御要望も受けとめ、国会においてもその処理の方針についてしっかりと議論していく旨をお約束してきたところでございます。

 以上が調査の概要でありますが、今般の調査を通じて、放射性物質により汚染されたおそれのある災害廃棄物の適正な処理に向けた道筋を一刻も早くつけるとともに、汚染された土壌等を早急に除染していくことが、現在、他の地域への避難を余儀なくされ、不自由な生活を送っておられる方々も含め、被災された住民の方々がふるさとでの安全、安心な生活を取り戻す第一歩であると確信いたしました。

 このため、当委員会としましても、被災地の早期の復旧復興に向けて、立法調査活動を通じ最大限の支援をするべく、与野党の立場を超えて取り組むとともに、政府に対し、各府省が一体となって迅速かつ適切に施策を推進するよう強く求めていく必要性を痛感した次第であります。

 最後に、今回の調査に御協力いただきました皆様に心から御礼を申し上げ、派遣の報告とさせていただきます。

    ―――――――――――――

小沢委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産技術会議事務局長藤本潔君、経済産業省大臣官房技術総括審議官西本淳哉君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長安井正也君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長伊藤哲夫君、環境省水・大気環境局長鷺坂長美君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石原洋三郎君。

石原(洋)委員 民主党・無所属クラブの石原洋三郎でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、皆様方に心から感謝申し上げるところでございます。本当にありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 国は、放射性廃棄物の処理に関して、処理場の場所の選定などを地方自治体に任せるのではなく、長年にわたり原子力政策を推進してきた立場の国が責任を持って行うべきと考えますが、国の主体性についてお伺いいたします。

江田国務大臣 今回の東日本大震災におきましては、未曾有の地震と津波、これで大災害ということになったわけでございますが、それに加えて、福島第一原子力発電所の事故で、放射性物質により汚染された、そういう廃棄物や地域、建造物、道路、あるいは山林などが出てしまいました。

 放射性廃棄物により汚染された、こういう側面は、これは単なる廃棄物の処理あるいは除染を超えた負担をかけることになってきているということでありまして、その部分については、これは一義的には汚染原因者である原子力事業者、つまり東京電力の責任ではございますが、しかし、今委員御指摘のとおり、原子力政策は国がこれまで国策として推進をしてきたということはまごうことなき事実でございまして、その意味で、国は重大な社会的責任を負っておると考えまして、この責任にかんがみ、責任を果たすべきものだと考えております。

 もっとも、国だけでこうした廃棄物の処理や除染ができるかというと、これはやはり、それぞれの地域地域の皆さんにもいろいろなお力をかりなきゃならぬ、地方公共団体に国の施策に協力をしていただくということもまたぜひお願いをしなければならない、地方公共団体の皆さんにも役割をお願いしなければならぬということだと理解をしておりまして、国が一義的な事業者とあわせて責任を持ち、同時に地方自治体の皆さんにも協力をお願いする、こういう考え方だと思っております。まだこの後議論されると思いますが、今回予定されております法案というのは、こういう考え方を前提にしていると理解しております。

石原(洋)委員 次に移らせていただきます。

 保管場所の選定に当たっては、住民の理解を得ること、このことが一番の至難のわざであると考えております。

 地域住民からすれば、なぜ自分の家の周りに放射性物質を置かなければいけないのか、困惑と不安に感じてしまいます。山に設置すれば水源が心配になるし、町中に設置すれば住民の不安は増大する。設置場所の住民の了解には、原子力政策を進めてきた国と東電の誠意がいかにして地域住民に通じるかにあります。市町村が原子力政策を推進、誘致してきたわけでもないので、地域住民も近隣の保管場所には納得がいきません。東電や国が引き取るべきというのが住民の率直な考えであります。

 国はどのようにして地域住民の了解を得ていくのか、伺います。

樋高大臣政務官 石原洋三郎先生におかれましては、今回の東日本大震災、大変御熱心にお取り組みをいただいております。改めて敬意と感謝を申し上げさせていただきたいと思います。

 とても大切な御指摘をいただいたと思っております。住民合意についてでございます。

 除染に伴って生じる土壌や廃棄物の処分につきまして、円滑かつ迅速な除染の実施に必要不可欠であり、早急に解決しなければならない問題だと思っているわけでありますが、一方で、放射性物質による不安感の拡大もありまして、処分場の確保、整備、なかなか難しい課題であるのも事実でございます。

 このため、地方公共団体の協力を得つつ、今大臣からも答弁ありましたけれども、国が責任を持って、除染の方法や除染などに伴って生じました廃棄物の処分について、安全で安心できる方法を明らかにしつつ、関係の方々と十分に相談をしながらしっかりと検討しつつ、精力的に、誠実に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 何よりも大切なことは、安全を確保すると同時に、メンタルな部分である安心をしっかりと担保するということが大切なことであろう、このように考えております。先生の御指摘をしっかりと受けとめさせていただいて、万全を期してまいりたいと思っております。

石原(洋)委員 ぜひお願いしたいんですが、ただ、最終的には、やはり国と東電が、地域住民の方々に一件一件懇切丁寧に説明をして、一軒一軒訪問をしていく、地道に回っていく、そのことしかないのではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。

 南相馬市や飯舘村など、原発事故の被害に遭った阿武隈山系は、本来、豊かな自然に恵まれ、林業が盛んでありました。汚染状況の調査や森林伐採による除染などが急務です。この地域を特区とし、森林をバイオマス燃料に活用していくことが有効ではないでしょうか。海沿いには東京電力の火力発電所が立地されています。石炭燃料の三%程度にバイオマスチップとして活用しただけでも、かなりの伐採量になると伺っております。阿武隈山系の除染を進めるためにも、火力発電所で放射能汚染の木材をバイオマスチップとして活用してもらうべきかと思います。

 また、田畑耕作地に関しましても、雑草がどんどん生えてきます。一番草、二番草の考え方と同様に、雑草が生えたら農家に刈り取ってもらう。そして、それをその都度燃やしていく。そうすれば、雑草を刈り取った分だけ数値は下がると思います。

 森林や雑草、これらを計画的に燃やしていき、表土を削っていく、このようなことが大切かと思いますが、国の除染対策についてお伺いいたします。

藤本政府参考人 お答えを申し上げます。

 森林や農地の放射能汚染対策が大切であるという御指摘、そのとおりと考えております。

 ただ一方で、まず、放射性物質に汚染された森林でございますけれども、人為を加えることにより放射性物質を拡散させることがないような、ひとつ慎重な取り扱いが必要であるというふうに考えておりまして、現在、農林水産省では、森林域の汚染実態の把握のため、平成二十三年度第二次補正予算におきまして、福島県内の森林を対象として、空間線量率、また土壌の放射性物質濃度に関する調査を実施しているところでございます。これにつきましては、平成二十四年二月末までに分布図を作成いたしまして、公表する予定としております。

 また、農地土壌につきましては、福島県飯舘村などにおきまして、表土を除去するとか、それからヒマワリみたいな植物を使うというような除染の実証試験、また、草を土ごとはぎ取るというような除染方法についても試験を実施しているところでございます。これは、今月末をめどに技術の効果を実証するということにしてございます。

 現在、政府全体として汚染対策について検討しております中で、農林水産省といたしましても、森林、農地について必要な対策を検討、実施してまいる考えでございます。

石原(洋)委員 次に移ります。

 汚染土壌を処理するとなると、膨大な量になります。飯舘村などでは、三千ヘクタールとも言われる田畑があり、表土を五センチ削っただけでも、処理場ですべてを処理できない量となります。汚染土壌から放射性物質を除去し、でき得る限り土壌を洗浄する。放射性物質のみを取り出し、濃縮し、集めていく、このような技術開発が大切かと考えます。

 国で取り組んでいる土壌洗浄技術開発の現状と、民間の技術開発の支援、また有効な土壌洗浄方法があればお伺いをいたします。

藤本政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほども申し上げましたが、現在、福島県の飯舘村などにおきまして、表土を除去するということによりまして、農地土壌の実証試験を実施しておるところでございます。ここでは、放射性物質が一定量低下するという効果も確認しております。しかしながら、御指摘のとおり、表土の除去によって多量の排土が生ずるということがございます。削り取りました汚染土壌から放射性物質を除去するという技術開発が重要であるというふうに私どもも認識しておるところでございます。

 このため、農林水産省では、現在、新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業、この中で、削り取った汚染土壌から放射性のセシウムの分離、除去技術について、公募によりまして民間等からの課題提案を受けているところでございます。

 土壌から放射性物質のみを効率的に取り出すことはなかなか難しいというふうに承知をしてございますけれども、民間からのお知恵もいただきまして、具体的な技術開発に取り組むことといたしております。

石原(洋)委員 南相馬市などの海岸線は南北に二十五キロメートル近くありますが、防潮堤が破壊され、地盤沈下も起きております。このような場所に再び護岸工事や防潮堤を設置することが急務でありますが、その基礎工事に膨大な土砂が必要となります。市内において削り取った土砂を有価物として活用できないか、あるいは今回の法案で応用できないかとの考えもありますが、その点についての国の考えをお伺いいたします。

鷺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 除染等の措置に伴いまして除去土壌等の適切な処理をするということは、迅速かつ円滑な対策を進める上で大変重要な課題であると承知しております。

 御指摘のように、再利用にする処理も一つの考え方である、このように考えておりますけれども、今後、さまざまな処理方法につきまして、専門家とか関係者等の意見を聞きながら、また人の健康とか環境への影響等に関する評価も行いながら、再利用を含めた適切な処理の方法等々を考えていく、このように考えております。

石原(洋)委員 現場はまだ被災地でありまして、災害が進行中なわけであります。ですので、検討ということではありますけれども、ただ、できるできないの政治的判断が一日おくれるごとに、国民の方々の希望というものが一日分失われるわけであります。政府の決断が一日おくれるごとに、国民は避難をさらに一日余儀なくされ、暮らしが奪われ、場合によっては命を絶つ方も出てくるわけであります。国民の生命と財産を守る、この本道に一日も早く政府は立ち返り、政治的決断を判断していただきますようお願い申し上げるところでございます。

 最後に、最終処分場の確保と最終処理方法についてお伺いをいたします。

江田国務大臣 今、委員がまさに被災地の皆さんのお気持ちを体して指摘をされたことを重く受けとめたいと思います。まだ事態は進行中であり、私どもは、しっかりと被災の皆さんのところに心を寄せて、その思いを受けとめていかなければならぬと思います。

 その上で、最終処分場の件についてのお尋ねですが、これから提案されます法案では、国は、地方公共団体の協力を得つつ、汚染廃棄物等の処理のために必要な措置を講ずるように規定しているというように伺っておりまして、この法案が成立をいたしましたら、環境省としても、この規定の趣旨を踏まえて、既存の処理施設の対応可能性をしっかり踏まえながら、県や市町村とよく協力し、また皆さんの意見をよく伺って、そうした最終処分場の確保を含め適切に処理が推進されるように全力で対応していきたいと思っております。

石原(洋)委員 本日は質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございました。被災地のために、どうぞ今後ともぜひよろしくお願いいたします。

小沢委員長 次に、太田和美君。

太田委員 民主党の太田和美でございます。

 本日は質問の機会をいただきましたこと、まずもって心から御礼を申し上げたいと思います。また、委員各位の皆様方に、先日福島県に視察に入っていただきましたこと、重ねて御礼を申し上げたいと思います。

 さて、本日は時間も余りないということでございますので、早速質疑の方に入らせていただきたいというふうに思います。

 原子力事故から、早いもので五カ月がたちました。五カ月間が過ぎたというのに、事態がよくなるどころか、私の地元からは、福島県を出ていく若い人そして子供たちというのが後を絶ちません。この夏休みを機に、県外に出ていくことを決意された方というのもおられるのが現状でございます。先日の新聞でも、私立幼稚園二千人転園。現在の福島県の特に中通りから多くの子供たちが、子育てできる環境なのかということで県を後にしてしまうというようなことがあるということでございます。

 今、私が改めて思うのが、まざまざと、やはり除染の必要性、これを強く思っているところでございます。この五カ月間、そうした若いお母さんたちの声にこたえられていないということは、私自身も、被災地の議員として自責の念に駆られる毎日でございました。

 そこで、除染のことについてお尋ねをさせていただきたいというふうに思っておりますけれども、原子力災害対策本部で除染の基本方針というのがやっと八月中に取りまとめができるということをお聞きしております。今の検討状況はどうなっているのかということで、本日、福山内閣官房副長官に来ていただいておりますので、そのことについて、除染の対象地域をどのように設定するのかということも含めてお尋ねをさせていただきたいというふうに思っております。

 原子力安全委員会が八月四日に答申をしたものがあるんですけれども、福島第一原発事故における緊急防護措置の解除に関する考え方についてということで、これでは、参考レベルとして年間一ミリシーベルト以下を目指して、合理的に達成可能な限り低減する努力がなされることという考えが示されております。また、原災本部が八月九日に示した避難区域等の見直しに関する考え方でも、徹底的かつ継続的な除染を実施するとして、長期的な目標として追加的な被曝量を年間一ミリシーベルト以下とすることを目指すということとしております。

 こうした経過を踏まえても、私は、当然、今策定中であります基本方針において、年間積算線量で一ミリシーベルト以上の地域を対象に、一ミリシーベルト以下にするよう目指して除染に取り組んでいく、そういった考え方でまとめられるべきだというふうに思っております。まず、このことについて御見解をお尋ねしたいと思います。

 また、福島県の子供たちが安心できるように、放射性物質の半減期が何年だからと。例えば、現在、福島の郡山では年間八ミリシーベルトということを言われております。これが何年後には自然に何ミリシーベルトまで減る、そして除染を行うことによって何年後にはこうなるというような展望もあわせて示していただければ幸いでございます。よろしくお願いいたします。

福山内閣官房副長官 太田委員にお答えをさせていただきます。

 太田委員におかれましては、地元選出の議員として、本当に原発事故の対応について日ごろから御尽力いただきまして、心から感謝申し上げます。

 今、御指摘をいただいておりました除染の基本方針でございますが、八月中にまとめるべく、検討している最中でございます。

 先週の土曜日、二十日の日も、細野大臣が井戸川双葉町長それから渡辺大熊町長と三キロ圏内に状況の視察に入られました。また同時に、事務的には、周辺の八市町村プラス、すべてで大体二十ぐらいの市町村と除染についての意見交換を今しているところでございます。

 太田委員御案内のように、除染が今後一番重要だというのは全くそのとおりでございまして、我々としては、除染をいかに効果的にやるかということが重要で、まず、除染がどのようにうまくいくかについてのモデル事業なりをやって、きちっとそういった成功した事例をそれぞれの市町村にやっていただけるような形をとりたいというふうに思っております。

 また、どういう形で地域をと言われましたが、これは御案内のように、線量の高い地域と線量の低い地域があります。線量の低い地域においても、側溝や一部の草むら等々に関して言えば、高いところもあります。つまり、基本は、モニタリングをしっかりすること、それからその後、線量の高いところから効果的な除染をしていくこと。ただし、地域的に特定をするというよりかは、除染の必要性は面的に広がっているというふうに私は思っておりますので、それをどういうふうに整理していくかということについて、今鋭意検討しているところでございます。

 それから、御指摘のありました一ミリシーベルト以下を目指していくべきではないかというのは全くそのとおりでございますが、あとは、どのような形で線量が減衰をしていくか等についてもしっかりと科学的に検証していかなければいけませんし、それぞれの市、町、村によって、同じ町でも線量の高いところ低いところ、それぞれが非常に状況が違いますもので、一律にというよりかは、そこは丁寧にそれぞれの市町村と話し合いを進めながらやっていきたいと思いますが、そういった考え方を今方針としてまとめているところでございます。

太田委員 ありがとうございます。

 やはり、除染ということで、ゼロにすることは無理だというふうには思うんですけれども、本来であれば浴びる必要のないものでございますので、本当にできる限り低く抑える努力、これを国が前面に立って総力を挙げてやっているんだ、このメッセージが必要なんだというふうに思っております。やはり、福島県を出ていくお母さんたちが、ずっとこのままの線量だというふうに思っている方たちが多いんですね。でも、実際今あるのはセシウム137と134、それには半減期二年のものから三十年のものがあります。ですから、自然減だけで六年後には三割になるとか、それプラスアルファ、国が本当に除染というものを徹底的にやっていくというメッセージが本当に必要なんだというふうに思っております。

 生まれ育った地を離れていくことというのは、そう簡単なことじゃないんですね。ですから、やはりみんな戻ってきたい。再びここに戻ってきて子育てできるというふうに、国が自信を持って、胸を張って言えるような環境づくりをしていただきたいというふうに思っております。

 次に参りたいと思います。

 そうした除染を行うには、当然、その廃棄物をどうするのかというのが問題になってきます。本日この後提案される特措法案は議員立法ということになりますけれども、政府提出法案とならなかった事情についてどのように認識されているのか、お尋ねをしたいと思います。

 環境省は、設置法においても、環境基本法などにおいても、放射性物質対策、放射能汚染対策は任務外ということになっております。私は、本委員会の四月の質問でもそのことを取り上げ、放射能汚染という膨大な環境汚染から人々を守るため、環境省は踏み出すべきではないかという趣旨の質問をさせていただきました。その意味で、省庁間の所管事務のすき間に発生した放射性廃棄物の処理という難題に、少し遅かったにせよ、法の想定外の中で環境省が一歩踏み出していただいたことに大変評価をしているところでございます。

 今回の特措法では、放射性廃棄物の処理や除染という福島県復興の大前提となる事業について、環境省が中核的な役割を担うことが打ち出されております。今までの環境汚染とは、予算規模も汚染面積も比べ物にはなりません。今の福島県の現状を踏まえた上で、その任を担う環境省として、決意もあわせてお伺いしたいと思います。

江田国務大臣 委員が、先ほどもお話ございましたとおり、被災地域選出の議員として、現地の皆さんの声をしっかりと受けとめながらこうして活躍をいただいていることに、心から敬意を表します。

 今、除染についてもお話ございましたが、本当にこれは残念なことなんですが、日本のこれまでの法制を見ますと、昭和三十年代に原子力法制というものがスタートしまして、このときの頭は、原子力事故というのは、小さなものは起きても原子力施設の中だけでおさまる、環境中に放射性廃棄物が飛び散るというようなことはないという頭だったんですね。そして、昭和四十年代に今度は環境法制ができてまいりまして、その環境関連法の中では、そういう廃棄物が環境に放出するということはないという前提ですから、これを除くということになっていて、今回のような事態について全く法がない、そういう欠陥を抱えた法制度だったと言わざるを得ないと思います。

 ですから、環境省は、もちろん環境を保持していくという点で重要な責任を負っているわけですが、しかし、例えば経産省であるとか農水省であるとか厚労省であるとか、いろいろなところの所掌事務に関連をする事態が今起きているわけでございます。これらを総合的に、しかも、これから先、あってはならぬことでありますが、しかし福島第一で起きたことがほかでは起きないという保証もないので、法整備をする場合にはオール・ジャパンで考えていかなきゃならないということで、内閣としては、そうした法整備をする必要を痛感しながら、なかなか現実に踏み出すのに困難を感じていたというのが実態でございます。

 そんな中で、しかし現実には福島第一の事故が現に起きて、現に放射性物質によって汚染された地域があり、廃棄物があり、除染が必要、廃棄物の処理も必要ということがあって、議員の皆様で寄り寄り相談をしていただきまして、今回の議員立法によって、福島第一についてはこういうことでやろうという提案をまとめていただいたものと思っておりまして、環境省としても、そうしたまとめについて、いろいろと環境省の知見なども聞いていただきながら、あるいは私どもも、私どもで把握した地域の声もお伝えをしながら協力をしてきたものだと思っております。

 こういう形で、議員立法としていよいよもう成立寸前まで来ているわけでございまして、これによって環境省が本当に重大な役目をこれから担っていかなければいけない、ぜひとも本法に基づき適切かつ迅速に対策を進めさせていただきたいということを今環境省全省挙げて決意をしておりまして、ぜひとも一日も早い法案の成立をお願い申し上げます。

太田委員 環境省としての決意は本当に伝わってまいりました。

 しかし、環境省だけ頑張っても、放射能汚染対策、除染というのは進んでまいりません。やはり、関連する農水省や国交省、そして文科省などとも連携して、徹底的にこの問題に取り組んでいっていただきたいというふうに思っております。きょうは文科省の方は来られておりませんけれども、この除染のことについても、学校の校庭の表土をはいで除染作業をするということは、文科省は最初腰が重かったんですね。そういうこともありますから、環境省がもっとリーダーシップを発揮して、すべての省庁に呼びかけて、そういったことで働きかけをしていただきたいというふうに思っております。

 もっと質問したいことがあったんですけれども、質疑時間が終了となってしまいましたので、またお願いさせていただきたいというふうに思っております。

 本日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。

小沢委員長 次に、吉野正芳君。

吉野委員 おはようございます。自民党の吉野正芳です。

 きょうは、福島県選出の議員、石原議員、太田議員、そして私、吉野でございます。与党、野党関係ありません。地域を思う心、これは、与党、野党関係なく、私たち政治の大きな務めだと思います。

 質問をさせていただきます。

 今、いわゆる放射性物質のお掃除法案、除染法案を私たち議員立法でつくっているわけですけれども、この議論の真っ最中に、菅内閣で、三キロ圏内の汚染の高いところは帰宅が困難だ、だから国による買い上げ、ないしは国による借り上げを行う、そして、聞くところによると、二十七日には総理自身が地元に入って謝罪をしていく、こんな報道がなされております。

 この報道に対して、今、双葉郡の八カ町村、七万八千名、全員避難をしているんです。もう六カ月目に入って、一番そこの、避難生活で我慢できる、耐えられる心の支えというのは、戻れるんだ、お掃除して、除染をしてきれいにすれば戻れるんだという、ここのところが支えになっているんです。この一番大事な支えをこの報道でこっぱみじんに砕いてしまった。地元の報道でも、大熊、双葉の避難民絶句、もう絶句なんです。

 実は、双葉町の井戸川克隆町長が、八月十六日に「震災六ケ月を前に思う」という形で四ページにわたって所感を書きました。これを地元の新聞社に寄稿して、寄稿文が書かれたんですけれども、その文章を読んでみます。

 「私達の町は双葉にしかありません、国有地にするということは発電所を誘致するときに断りをするべきものです、放射能の除去作業をしていない、努力もしていない中で議論されていることに憎悪を感じてしまいます。絶対にありえません、国を失った国民がどのような苦労をしているかを、議論している方々は是非認識していただきたい。」「帰れないということに対して、今私はこのように考えます。「諦める訳にはいかない」」最後に、大きな字です。「何としても帰りたい、町民みんなで安全なふるさとへ、みんなそろって帰りたい。そして、早く時を動かしたい、三月十二日から。」こういう言葉で所感を締めくくっております。

 福山副長官、どうして避難している方々の希望を、希望のともしびを折るようなことをしたんですか。

福山内閣官房副長官 吉野委員におかれましても、本当に、いわきということで、原発からも近いということで、日ごろから御尽力をいただいていることに感謝申し上げます。

 したんですかという御質問だったんですが、まだ別に、報道がされているだけでございまして、吉野委員の御指摘は恐らく読売新聞等の報道だと思いますが、この報道については私は承知をしておりません。

 確かに、政府は責任として、相対的に線量の高い地域の皆さんに対してどのように対応するかは、先ほど太田委員の質疑でも申し上げましたように、除染方針とともにいろんなことを考えなければいけません。しかしながら、この読売新聞の報道は、私は全くもって、どこから出たのかなという感じでございます。

 しかし一方で、吉野委員おっしゃるように、どういった形で今、半年以上避難をされている方々に対して対応していくのか、それから、先ほど申し上げた除染方針の中で、一体どの程度の期間が必要なのかということを議論する中で、市町村の皆さんといろんなことについて話し合いをしていかなければいけないという認識はございます。

吉野委員 福山副長官は枝野官房長官の副長官ですよね。枝野官房長官が記者会見でこのことについてきちんとコメントしている、意見を述べている、これであっても知らないということなんですか。

福山内閣官房副長官 もちろん私は官房長官の会見については承知をしております。どの程度帰宅が困難になるのかということについて、現状の把握とそれから今後の除染の余地ということを検討している段階でありますので、今の段階で具体的なことが固まっているわけではありません。私も今吉野委員に申し上げたのは同様のことだったというふうに承知しております。

吉野委員 報道は知らなかったと今答弁だったんですけれども、私が聞いているのは、枝野官房長官がきちんと記者会見で会見をしている、このことを聞いているんであって、言葉のごまかしはこういう場では、本当に副長官、しないでください。

 そして、今、除染特措法をつくっています。この除染特措法ができた暁には、今政府が考えている、線量が高くて帰宅がなかなかできない、そういうところとの整合性はどうするんですか。

 十年間は帰宅できないという形で、国による買い上げ、国有化等々、これから議論していくということなんですけれども、まだ汚染マップもつくっていない、どれだけの深さに汚染物質が入っているかという調査もしていない、そういう中で、なぜこういう議論が出てきたんですか。この除染法案と、本当に十年間帰宅させないという、そこら辺の整合性を聞きたいんです。

福山内閣官房副長官 済みません。大変恐縮でございますが、十年間というのがどこから出てきた数字か、私はちょっと、理解がしにくいので、また後で御示唆をいただければと思いますし、いろいろな可能性をもちろん政府部内で検討するのは、私は当然だと思っています。

 しかし、吉野委員おっしゃられたように、双葉も大熊の皆さんも大変な御苦労をいただいている。その中で、先ほどから申し上げているように、除染方針を出すことによって、どの程度、本当に時間がかかるのかということを、現実を見据えながら政府はいろいろ判断をしていかなければいけないというふうに思っておりまして、別に、今吉野先生言われた、国の、例えば国有化だとか借り上げだということが、今政府の方針として明確に決めて外へ出しているわけではございませんし、また、そのことは固まっているわけではございません。

吉野委員 今の答弁、本当にありがたいです。きちんと調査をして、除染もして、そして、それでもなおかつ、なかなか帰宅するには困難だということであれば、今お話しになった国有化とか借り上げ方式を考えていくというのが政府の立場だというふうに私は理解をいたしました。そのとおりにやっていただきたいと思います。

 次に、大臣にお伺いします。

 今お話しになりましたように、大臣も、二十キロ圏内、私たち委員会の調査の前に入られたと思います。私たちも、委員長の報告にありましたように、高いところもあれば、低いところもあれば、本当にばらばらでございました。大臣は二十キロ圏内に入って、ここは人の住めない地域だと感じたか、きちんとこの特措法を成立させて、そして除染をすれば、人が住むことができる地域だというふうに感じたか、その辺の感想、所感をお聞きしたいと思います。

江田国務大臣 委員が、まさに現地の皆さんの気持ちをしっかり体して、こうして迫力を持って質疑をされていることに心から敬意を表します。委員の胸にも「がんばろう ふくしま!」というバッジがついておりますが、私も今つけて、委員と一緒の気持ちで対応していきたいと思って答弁をさせていただきます。

 先日、二十キロ圏内に入ってまいりました。さらに、福島第一原子力発電所の、もちろん建屋の中ではありませんが、サイトの中にも入って、実際に見てまいりました。いや、これは本当に大変なことだと。私は、原子力発電所の破壊された状況の前に立って、これは本当に、あそこで作業に当たられた皆さんは、まさにもうぞっとするといいますか、背筋が寒くなる、そんな思いの中で作業をされたんだと思います。この皆さんには本当に心から敬意を表さなければならないと思っております。

 しかし一方で、二十キロ圏内に入るときに、確かにいろいろなチェックはありましたが、入って、山田浜というところに行って、おり立って、放射線量をはかるカウンターで、私ども素人ですから正確なことはわかりませんが、はかってまいりました。これは、きっちりと処理をしていけば、廃棄物の処理なりあるいは必要な除染なりちゃんとやれば、帰ってこられる場所じゃないかなと、素人ですが、そういうことも感じました。

 地域によって、まさに原子力発電所のサイトの中あるいはそのすぐ外、これは本当にどうやって除染ということができるのか。いろいろな技術的可能性はあるでしょうし、また、原子力発電所そのものも、これは相当の時間、何十年単位かと思いますが、廃炉にしていかなきゃならない、そういう作業もあるわけで、さまざまなやり方、技術的ないろいろなものがあると思います。最大限、やはりもとに戻していくという努力を国としてはしなければいけない。

 しかし、その努力を超える汚染があるかもしれない。しかし、そういうものがないところもたくさんある。これは、まさにこの法案をつくっていただいて、国に権限を与えていただき、国として最大限除染をして、可能な限り大勢の皆さんにきっちりともとの土地に帰っていただくことができるように、国として責任を果たしていかなければならないし、また、そうしたことができる地域は確実にあると私は感じてまいりました。

吉野委員 私も同じなんです。二十キロの中に入って、きちんと除染をすれば戻って普通の生活ができる、こう感じました。「がんばろう ふくしま!」のバッジをつけていただいて、心を同じくしていただいて本当にありがとうございます。そこが大事なんです。地元の立場になった目線でやはり政治を行っていかなければ。被災地の方々、被災者の方々、この視点に立つことが私たち政治家として一番大事な点だと思います。

 さて、私たちは伊達市を見てまいりました。ここは、原子力の専門家、田中先生という強力なアドバイザーの助言を得て、仁志田市長さん、一生懸命除染に取り組んでおります。

 まず、学校の校舎。これが、高圧の水洗い機で今結構ほかでやっているんですけれども、セシウムは水に溶けちゃうんですね。水洗いすると、そこに落ちていった放射性物質が、下水を通って、最終的に川に行って、海に行っちゃうんですけれども、ここのところがまだほかの地区では野放し状態なんです。でも、田中先生は、水じゃなくて小さな鉄の塊でコンクリートを薄く削っちゃうんです。それを真空の吸引機で吸い上げて、ですから、放射性物質は水に溶けて流れていかないという形で学校のコンクリートを除染しているんです。これもすばらしいわけなんです。プールもゼオライトを使ってきちんと基準以下に落として、それから放水をしております。

 でも、そうやって濃縮された放射性物質、また汚染土壌、これを今、仮置きしているんです。伊達市のみならず、いろいろなところで放射性を含んだ土壌、特に幼稚園、保育所等々の土壌を仮置きしております。

 この間、関係市町村議員協議会という大会が船引町で開かれまして、そこで、各関係市町村の議員様は全員です、仮置きしているものをどうにかしてくれ、早く国で方向性を出してくれ、こういうことがそこに集まられた四百人近い議員の方々の総意でありました。

 ここは、まさに環境省が指導力を発揮して、仮置きは市町村の判断で仮置きしますけれども、その仮置きしたものをどこに持っていくのか。早く結論を出して、持っていってほしいんですけれども、その辺は大臣、いかがでしょうか。

江田国務大臣 除染の前に、どの程度の放射性物質による汚染があるかをしっかり把握して、それによって、いろいろな技術があるんだろうと思います。私は、今の、鉄粉を送ってそれによって薄く削る、そういう技術があるということは初めて伺いましたが、そのほかにもいろいろな技術があって、それぞれに、この汚染にはこういう除染が適切というのがいろいろあるんだろうと思っておりまして、そうした技術的な知見を精いっぱい集めて、そしてそれを総動員して除染をしていくということをしなければいけない。

 しかし、どういうやり方にせよ、やはり、そこに除染の結果出てきた放射性物質に汚染された廃棄物が生ずるということは事実でございまして、それをどこへどういうふうに処理していくのかというのが、今まさに委員が指摘された問題点だと思っております。

 最終処分場をどう確保するのか。これは国の責任で必ず確保していかなければなりませんが、そのためにも、この後、提出されると伺っております法案、これが一日も早く成立するということが大切だと思っております。その間、最終処分場を見つけて、ここでこういう方法でということがしっかり提案できるようになるまでの間、それぞれの地域地域で一時的に保管をすることはぜひお許しをいただきたい。お許しいただきたいけれども、そのことは決して皆さんが望むことではないんだ、早くどけてくれということはもう強い強い思いなんだ、このことを受けとめながら、責任を持って、住民の皆さん、地域の皆さんが安全で安心できる方法を見つけていきたいと思っております。

 現在のところ、いつごろできるか、そういうめどを申し上げられるところまでまだ来ておりませんが、精いっぱい、早期にそうした処理の見通しがつくように頑張っていきたいと思っております。

吉野委員 ちょっとこれは通告していないんですけれども、環境省としては特措法ができてからいわゆる最終処分場をつくるという形、これはこれで特措法ができてからで結構だと思いますけれども、もしくは、今の仮置きでも、ちょっと手を加えれば、放射線を防ぐというか、ある程度低減することは可能なんですね。

 例えば、コンクリートブロックで囲うとか、そういうところまでは。仮置きしなさいと言うだけ。例えば農家の稲わら、食べないように保管しておきなさいと言うだけなんですね。そうじゃなくて、その周りはコンクリートブロックでちょっと囲んでくださいとか、その辺の指示はできないんでしょうかね。これは通告していませんけれども、わかる方で。

江田国務大臣 私も素人ですので、技術的に正確なところまでなかなか責任持ってお話しできないかもしれませんが、今仮置きしている廃棄物にはさまざまなものがございます。それで、福島第一原発から出てきた放射性物質により汚染されたおそれのある廃棄物というカテゴリーをつくって、それについて、六月の二十三日でしたか、環境省で指針をお出ししておりまして、これが八千ベクレル、十万ベクレルという分類ですね。そして、これについてはこういう方法、これについてはこういう方法というものを示しております。

 しかし、ここからが難しいのが、八千ベクレル以下ならばこういう方法でできますとかいうのをいろいろ決めているんですが、地域の住民の皆さんから言わせると、本当にそれで大丈夫なのというのがやはり残るんだろうと思います。

 そこで、大切なことは、やはり、この基準はこういうことで、こういう計算でできているものであって、そしてその基準以下ならこういう方法ですと安全なんです、そのことを地域の皆さんに納得していただくという説明、これがまだ十分できていないのだろうと思っております。今、福島第一原発によってあらわれた汚染というものは、それはもうむちゃくちゃな汚染の状態のところもありますが、広く日本全国に多かれ少なかれ何らかの影響をもたらしているわけでありまして、そこはやはり、ほんのちょっとでもあったらだめということではなくて、やはりある程度の科学的知見に基づいて説明を十分させていただいて、そして多くの皆さんの納得を十分いただく、こういうことが必要だと思っております。

 今住民の皆さんの御近所に置かせていただいている廃棄物については、それぞれの汚染の程度によって、今委員おっしゃるような、仮置きは仮置きでも、こういうことにして周辺に被害が及ばないようにちゃんとするというところはちゃんとしなければいけないし、また、仮置きでなくて一定程度の埋め立ては、これはもう可能だというものもございますから、それはそういう、納得の上で、説明を十分尽くさせていただいて処理をしていくということにしていきたいと思っております。

吉野委員 大臣のおっしゃるとおりなんです。

 実は、八千ベクレル以下は管理型に、焼却灰なんですけれども、入れていい。でも、周りの地区の方々が最終処分場の場長さんのところに行って、おれのところの地区には放射性物質だけは入れてくれるなという陳情がもう出ているんです。最終処分場の場長さんにとって、経営者にとって一番大事なのは、周りの地区住民なんです。この人たちの同意があったから今の管理型最終処分場ができたのであって、もうある意味では神様なんですね。神様の声を聞かなきゃならないんです。現実に、最終処分場、民間の最終処分場に幾ら入れていいよと言っても、なかなかそこで受け入れてくれる最終処分場はございません。ですから、まさに住民の理解、そこが大切だと思います。

 土壌汚染対策について聞きます。

 先ほど石原委員の中で、大量に出てきます汚染土壌、これのクリーニング、ここから放射性物質をどうやれば取れるのかというところの質問をしたんですけれども、私も同じなんですけれども、農林省の方が、いろいろ技術開発をしているというだけの答弁でした。

 実は京都大学で、セシウムというのは水に溶ける、この特性を生かして、まず土を水で洗っちゃう。そうすると、八八%が水に溶けて、いわゆる汚染水。東電で今、新しくサリーができましたから、このサリーを使えば汚染水、水に溶けた放射性物質、セシウムは取れるわけであります。そして、残り一二%が土の中にある。その土も、ふるいにかけておけば、粘土がほとんど、微粒子、小さな土、粘土分のところについているので、土はきれいになる、こういう実験結果があるんです。

 ですから、こういう形で環境省も、大量の汚染土壌をいわゆる減量化していく、そして濃縮していく、そういうところのいろいろな民間の知見を本当に真に受けて、自分のものとして、環境省として研究しているんでしょうか。

江田国務大臣 環境省においては、重金属等の有害物質による土壌汚染問題を所管して調査、対策を進めてまいりました。

 放射性物質によって汚染された土壌の浄化や除染等の技術開発、これは今委員おっしゃるとおり必要でございまして、現在までに、知見を有する民間企業が多数共同して、土壌浄化等の技術開発や調査手法の確立のための研究会を六月に発足させておりまして、その皆さんの研究が今進んでいるところだと思っております。

 八月の二日に第三回、さらに八月三十日に第四回とずっと研究は進んでおりまして、その皆さんによる土壌洗浄技術というのも、ここにペーパーがございますが、これは細粒子分を分級除去することで粗粒子分の浄化を進めるというような、私は素人なのでそれですぐぴんとはきませんが、そういうことで、要は、水に溶かすとかいろいろ、この粒子を細かくするとかして、セシウムを何かに吸着をさせ、特に粘土に吸着するということのようですが、そうやってその他の部分についてのセシウムを除去する。そして、セシウムを吸着したものはさらに細分化していくというような方法もある。今委員のお話しになった京都大学の方法というのもあるのだろうと思います。そうした技術開発というのは、これは今本当に必要なことだと思っております。

吉野委員 では、最後に特措法について伺います。

 これは、自公、野党案と、そして民主党案の、ある意味で合意がなされたものなんです。でも、一番ここでもめたのは、責任がどこにあるかなんです。汚したのは東電と国なんです。原子力を推進してきた国、これも当然連帯責任あるんです。申しわけないけれども、民主党案は、東電と国が放射性物質で汚したにもかかわらず、そのお掃除する、除染する義務、当然国にあります。また、県及び市町村、地方公共団体にも責任があるんだというような書きぶりだったんです、最初は。それを我々自公が、そうではないんだ、あくまでも国が責任を持って、県も市町村も除染について、お掃除する協力はする、そういう観点からこの特措法をきちんとスキームをつくってくださいという、一番そこがもめたところだというふうに私は聞いています。

 そういう意味で、これから決議を提案し、朗読するわけなんですけれども、その辺のところをきちんと担保する意味で、決議一というのができているんです。これは、あくまでも地方は協力する立場、汚染を除去するのは全部国、東電なんだ、こういう立場の決議というふうに私は理解をしていますので、その辺の大臣の理解はどうなのか、お伺いしたいと思います。

江田国務大臣 議員立法にかかわられた皆さん方の集中的な協議について、心から敬意を表します。そして、今、法案については、これから俎上に上る、さらにその後、委員会決議というものも予定をされていると伺っており、そうした案文についても拝見をさせていただいています。

 そこで決められること、これはもちろん、国会の決め方ですから、私どもも当然それに従って行政を進めてまいりますが、しかし、それだけ当然進めていくというだけでなくて、私どもも今同じ気持ちでいるということを申し上げたいと思います。

 原子力事故ですから、第一義的には事業者、つまり東電が責任を負うことは当たり前なんですが、しかし、東電といえども、別に東電が勝手にやったわけじゃないので、国の施策として、国策として原子力行政というのを進めてきた。これは、国が最大限、一番重要な社会的責任を負っているということを国は認識をしっかりしなければいけない。

 間違っても市町村の責任というわけではないわけで、しかし、現実には、今の除染であるとか放射性廃棄物の処理であるとか、いろいろなことを市町村の皆さんに、これはもうお願いですが、協力をしていただかなければ前に進まないというのも確かなことでございまして、そのことをよく立法に当たられた皆さんに御理解をいただいて、国が責任なんだ、市町村は協力なんだ、そういう仕分けをしっかりしていただいている、決議にもそのことがしっかり表現されているというように理解をしておりまして、肝に銘じてそういう方向で進めてまいります。

吉野委員 明快な、被災地の目線で考えた答弁をしていただきました。本当にありがとうございます。

 これで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

小沢委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 今回の東電福島原発事故により大量の放射性物質が一般環境に放出されて、農畜産物を初めとして、水、大気、土壌等、汚染が拡大しております。今最も急ぐべきは、放射性物質により汚染された廃棄物の処理、そしてまた除染対策であります。

 これまで、我が国には、放射性物質による環境汚染についてきちんとした法律がありませんでした。このことが今回の適切な対応をおくらせてしまった大きな要因であります。これらの法の不備を早急に正して、そして迅速な汚染への対処を可能とするために、そしてまた一刻も早く被災者の皆様がふるさとに戻っていただく環境をつくるために、迅速な汚染廃棄物の処理や除染措置を柱とする放射性物質汚染対処特別措置法案が民主、自民、公明の合意によって作成され、委員長提案として本日起草、提出されることになっているわけでございます。

 本法案につきまして、本日は、その内容の正確な確認、これを目的として質疑を行わせていただきます。政府におかれましても、そのつもりで明確な答弁をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 まず最初に、先ほど吉野先生から明確にございましたが、大変重要なことであり、私も確認をさせていただきたい。それは、国の責任と自治体の役割についてでございます。

 法案では、我々は、国の責務と自治体の役割を明記いたしました。今回の放射性物質による環境汚染は東京電力福島原発の事故によるものであり、その責任は、東電にあるのと同時に、国策として原子力政策を推進してきた国にあるわけであります。自治体にその責任はありません。したがって、放射性廃棄物の処理及び除染に当たっては、本来東電と国がすべてこれを実施するべきものであり、その上で、自治体はそれぞれの実情に応じて国に協力するものであると我々は規定したわけでございます。

 国の責任と自治体の役割について、大臣の明確な答弁をいただきたい。

江田国務大臣 委員も、起草に当たられた中心的な一人として大変な御努力をいただきました。心から敬意を表させていただきます。

 そして、今委員おっしゃったとおり、原子力発電所の事故によって放射性物質が環境に飛び散り、これにより汚染された廃棄物とかあるいは土壌などが出てきたわけでございまして、廃棄物の処理や除染に関しては、一義的に、汚染原因者である事業者、東京電力に責任があるものだということ。

 しかし、電力会社も自分の勝手でやったのじゃなくて、これは国が国の施策として原子力行政を進めてきた、これに起因するわけでありまして、これまで原子力政策を推進してきた国も重大な社会的責任は負っているんだという、その責任にかんがみてしっかり役割を果たすべきだと考えておりまして、間違っても、市町村に責任がある、地方自治体に責任がある、そういうことは断じてないというふうに国としても理解をしております。

 しかし、現実にそうした作業をするには、地方公共団体の皆さんの協力を得ずに国だけがやったってこれはもう進まないので、そこはもう本当に、委員の皆さんが大変な御理解をいただいて、地方自治体も協力をしようということを法律上位置づけをしていただいたということは大変ありがたいことだと思っておりまして、そういった、国が責任がある、地方は協力をする、そういう仕分けで役割分担を果たしていく、これが重要なことで、今回の法案はそういう考え方にしっかり立っていただいていると思っております。

江田(康)委員 今、大臣より明確な答弁をいただきました。

 国にその責任があり、地方自治体にその責任はない、運用上、地方自治体の協力を求めていく、こういう位置づけでございます。しっかりとそれを踏まえて今後の施策運営をやっていただきたいと強く要望をいたします。

 次に、特定廃棄物の処理についてでございます。

 瓦れきなどの汚染廃棄物の処理について、我々の法案では、環境大臣は、特別な管理が必要とされる程度の汚染状況とそのほかの事情から国が廃棄物処理を実施する必要がある地域として環境省令で定める要件に該当するものを地方公共団体の意見を聞いて汚染廃棄物対策地域に指定し、適正な処理計画を策定するとともに、収集や運搬、保管、処分まで国が実施するものとしたところでございます。

 この汚染廃棄物対策地域について、先ほど来、確認があっておりますけれども、原発から二十キロ圏内の警戒区域や計画的避難区域が想定されると思いますけれども、そのほかの地域も想定されるのでしょうか。また、環境省令で定める要件というのは何なのか、汚染の状況に加えて加味されるそのほかの事情というのは何なのか、答弁をいただきたいと思います。

江田国務大臣 これは、今用意されております法案をあらかじめ見せていただいたところでございますが、第十一条に、環境大臣は、おそれがあると認められることその他の事情から国がその地域にある廃棄物の収集、運搬、保管及び処分を実施する必要がある地域として環境省令で定める要件に該当する地域を汚染廃棄物対策地域として指定する、こういう書き方になっていて、今、その他の事情というのは何ですかということでございます。

 私どもとしては、これは、まず第一義的には、放射性物質によって汚染されている程度というものがありまして、しかし、一定の市町村の区域の中で、かなりの部分が汚染されているけれども、汚染されている程度がそこまでいかないところも、それはあるかもしれない。あるかもしれないけれども、同じ市町村の中でそこをどうやって線引きするのだなどということがありますし、また、避難されている方々のお住まいの、それぞれの土地の汚染状況というのもいろいろなものがあるので、そうした事情なども勘案しながら対策地域というものを決めていこうというので、その他の事情というものを書き加えていると承知をしております。

 いずれにしても、法律の施行後に定められることになると思う基本方針の考え方に照らしながら、その辺、間違いなく検討してまいりたいと思います。

江田(康)委員 次に、汚染廃棄物対策地域には指定されておりませんけれども、下水汚泥や焼却灰などの汚染が一定基準を超えるものについては、これを指定廃棄物として国が処理を行うものとしたところでございます。

 一定の基準というのをどの程度の基準とするのか。現行の指針では、先ほど来議論があっていますけれども、八千ベクレル・パー・キログラム以上の廃棄物は一時保管が必要とされておりますけれども、この八千ベクレル・パー・キログラム以上を考えておるのか。汚染した下水汚泥や焼却灰などは福島県外でも見つかっておりますけれども、県外の廃棄物もこれは対象とするのか。いかがでしょうか。

江田国務大臣 これもまた予定されている法案をあらかじめ見せていただいてということを前提とした答弁でございますが、環境大臣が放射性物質による汚染状態が一定の基準を超えてしまうような廃棄物を指定廃棄物として指定するということになっていて、その基準でございますが、具体的な指定基準については、平常時に廃棄物処理を行っている市町村の処理技術あるいは施設の能力等を勘案し、専門家等の意見を伺いつつ、今後検討してまいりたいと思っております。八千ベクレルというのは一つの参考になると思いますが、今、八千ベクレルですよということを申し上げられるほど検討が熟しているというわけではございませんので、法律施行後、早急に決めていきたいと思っております。

 また、県外はどうだという御質問ですが、県外の廃棄物につきましても、指定基準に該当するものがあれば、これは指定対象となると認識をしております。

江田(康)委員 次の柱である除染等の措置についてお伺いします。

 まず、特別地域の指定ということについてなんですが、除染等の措置については、環境大臣は、土壌等の汚染が著しいことやそのほかの事情から国が除染等を実施する必要がある地域として環境省令で定める要件に該当するものを除染特別地域に指定して、そして、地方公共団体の意見を聞いて実施計画を策定するとともに、国が除染を行うものとしたところでございます。

 まず、この特別地域というのは、先ほどの対策地域内廃棄物と同様に、原発から二十キロ圏内の警戒区域や計画的避難区域が想定されるわけでありますが、そのほかの地域も含まれるのか。同様に、環境省令で定める要件、基準、これについてどうか。二十ミリシーベルト・パー・年以上の汚染をいうのか。また、汚染の状況に加えて加味されるそのほかの事情というのは何なのか。廃棄物と同様にお聞かせいただきます。

 とともに、この特別地域の指定につきましては、環境省令で定めようとするときは、あらかじめ関係行政機関の長と協議しなければならないといたしました。関係行政機関の長というのは何を意味するか、答弁をいただきたい。これは原子力安全委員会との協議も含まれるのか、そのことも確認をしていきたいと思います。原子力安全委員会の意見を聞かなければならないとした第五十六条には、特別地域の指定が入っておりません。その理由についても説明を願いたいわけであります。

 このように私が質問するのも、基準というのが大変に重要になってまいります。基準が高ければ狭い地域しか特別地域には入ってまいりませんし、低ければ多くの地域が入ってきます。この基準の設定は極めて客観的でなければならないし、そしてまた、客観性を確保すると同時に、地域の汚染の状況を勘案する必要がこれまたあると思っております。

 そういうような意味で、この地域の指定についてどのような考えかを確認させていただきます。

江田国務大臣 これから提案される法案をあらかじめ見せていただいてという前提でございますが、提案される法案においては、除染特別地域の指定に関する要件を環境省令で定めることとされておると承知をしておりまして、除染特別地域については、これは基本方針が定まって後、要件を定めて指定されるものだと思っております。

 具体的な数値とか地域、今、二十キロ圏内あるいは二十ミリシーベルトなどの数値をお挙げになりまして、それはもう恐らくいろいろな意味で参考になってくると思いますが、これは基本方針の中で検討してまいります。

 なお、今、五十六条では、原子力安全委員会との協議だけれども、これに除染特別地域の指定は入っていないという御指摘でございますが、関係行政機関の長ということになっておりまして、原子力安全委員会がかかわるのは、技術的な基準を決めるようなときにはかかわりますが、地域の指定などですから、これは原子力安全委員会を設置する内閣府の長である内閣総理大臣に対して協議を行って、そういう協議の中で当然、原子力安全委員会の意見が反映されるべきものだと理解をしておりまして、原子力安全委員会の判断は無関係だということでは断じてないと思っております。

 汚染状況重点調査地域の指定についての基準も同じ考え方でございまして、作業する者やあるいは周辺住民等の安全確保に十分配慮して適切な管理のもとで処理が行われることを担保するために、この基準については、法文上、原子力安全委員会の意見を何らかの形で反映させることは当然と思いますが、いずれにせよ、さまざまな局面で安全委員会の意見は重視をしてまいりたいと思っております。

江田(康)委員 除染について続けてお伺いをいたしますけれども、この特別地域においては国が除染を行うとしたわけであります。この除染の際には除去した土壌や廃棄物が膨大に生じることになります。この処分先は国が責任を持って確保するのか。

 法案では、やむを得ず除染を実施した土地、民有地を含むものでありますが、そこに保管する必要があるときは、当分の間、土地の所有者に保管させることができるものといたしましたけれども、この当分の間というのがまた課題でもございます。それはどのくらいを想定するのかと聞くのも大変厳しいことかと思いますが、聞かせていただきます。

 それからまた、汚染廃棄物の処分や除染には最終処分場の確保が最大の課題であると思います。そのビジョンは国にありますか。先ほど来あるように、これを保管する場所は住民の合意が要るわけであります。今、住民の皆様、八千ベクレル以下の廃棄物についても、それが放射能に少しでも汚染されていれば大変反対されている、そういうような状況にあるわけでありますけれども、処分場の確保についてどうビジョンを持っておられるか、政府の見解をお聞きします。

江田国務大臣 これから提案される法案をあらかじめ見せていただいての考えでございますが、除染特別地域と汚染状況重点調査地域の区別なく、これは国が地方公共団体の協力を得て汚染廃棄物等の処理のために必要な措置を講ずるということで、国が行う、国が国の責任で行う、これを規定していると承知しておりまして、今の国の考え方も同じでございます。

 そして、御指摘の当分の間ですが、これがなかなか現時点で明示できるものがないので申しわけないことだと思いますが、もちろん、これはできるだけ短くなるように、政府としても最大限努めてまいりたいと思っております。

 そして、処分場の確保のことにもお触れになりました。これは、今後、関係行政機関で処分の方法等について十分議論をし、専門家等の意見も聞いて、国の責任で決めていくわけでございますが、今も委員御指摘のとおり、国で、これは大丈夫ですよ、こういう方法でやってもいいですよと指針を出しても、しかし、地域の住民の皆さん方は、それでわかりました、安心ですねとなかなか言ってもらえない状況が現にあるというのは確かでございます。

 これは、地域の皆さんがそういう心配をお持ちだというのは事実ですし、そのことはやはりちゃんと受けとめなければいけないので、十分、専門家の意見だけじゃなくて地域の皆さんの声もしっかり聞かせていただき、説明も聞いていただき、そして十分な納得を得て進めていきたい。しかし、スピードもまたこれが大事なので、なかなか大変なところでございますが、ぜひ、私どもも頑張りますし、皆さん方の御協力もお願いをしたいと思っております。

江田(康)委員 この件については、今大臣がおっしゃったようにこれからの課題でございます。ただ、この法律を制定することで、すなわち、処理基準等々についても、これまでは指針でございました。しかし、これは法律にのっとって地域を指定して、国が責任を持ってやるというふうに法律で制定するわけであります。そういうようなことを踏まえて、技術的にもそうでありますけれども、住民の皆さんに安心を持っていただくような対応をこれからしていただきたいと思うわけでございます。

 時間は大変短いものでございまして、だんだんなくなってきますが、もう一つ重要な汚染状況重点調査地域について確認をさせていただきます。これはいっぱい用意しておりましたけれども、一点聞かせていただきます。

 特別地域以外で汚染が懸念される地域、これは今までよく言われていたホットスポットとか、そして低レベルの汚染地域であったり、また特定避難勧奨地点を含むものであったり、こういうような地域については、環境大臣が、環境省令で定める要件に適合しないと認められる場合には汚染状況重点調査地域に指定をすることにしているわけでございます。

 質問でございますけれども、大臣にお聞きをいたします。

 除染措置の実施主体と国の代行について確認をしなければなりません。まず、国、都道府県、市町村、環境省令で定める者が管理する土地、建物については、それぞれが除染措置を実施することになります。これら以外の土地、建物、すなわち民有地でございますが、市町村がこれを実施することになるわけです。農用地については、市町村の要請により都道府県が実施することとしたものであります。

 この大部分の土地、建物、農用地については、自治体が実施計画を定めて実施することになるわけであります。国ではありません。その際、協議会の意見を聞いて環境大臣と協議するとしているが、その意味するところは何なのか明確にしていただきたいと思います。

 そして、自治体にとっては大変大きな負担となります。被災した市町村に実施することが果たしてできるのかどうか、このことも問題。市町村の実情に応じて柔軟に対応すべきであると思います。法案四十二条には国の代行が規定されておりますが、この意味するところは、あえて申しますが、国は市町村からの要請があれば直ちにこれを代行するという趣旨であります。ほかの諸条件はなきに等しい。法案に規定されているこの国の責任と自治体の役割を踏まえて、環境大臣の明確な答弁をお願いしたいと思います。

江田国務大臣 これから提案されます法案においては、協議会の開催等について検討されていると承知をしております。

 この協議会については、これは、除染実施計画の効果的かつ円滑な実施を図るため、置くことができることとされており、また、環境大臣への協議については、国が定めることとなる基本方針との整合性等を確保するため、規定されているものだと思っております。

 それから、国の代行についてでございますが、これは、これから提案される案では、市町村等からの要請に加えて、除染等の措置等の実施体制、専門知識、技術の必要性、こうした事項を勘案して必要があると認められる場合には、国が市町村等の事務を代行すると規定されていると思っておりますが、市町村から要請があるというのはどういうことなのか。それは、やはり市町村ではできないから要請をするんだろう、そして、市町村の方で実施体制や専門知識、技術の必要性、そういうものを考えて、これは国頼むよということで来るんだろうと思いますので、そこのところは、あえて要請に加えて重い重い要件があるんだというような運用ではなく、市町村の皆さんとしっかり協議をしていきたいと思っております。

江田(康)委員 明確な答弁をいただきました。

 最後に、費用負担について、環境大臣にお聞かせいただきます。

 先ほど来の、第三条に規定しております国の責任と地方の役割、このことを踏まえて、我々は、費用負担については、第四十三条には、国は財政上の措置を講ずるものとし、また第四十四条には、この法律に基づき講ぜられる措置は、原賠法の損害に係るものとして、原子力事業者の負担のもとに実施するとあります。また、第四十五条には、入念規定を置きまして、国は第三条に規定する社会的責任にかんがみ、地方公共団体が滞りなく措置を講ずることができるよう、必要な措置を講ずるものとしているものであります。

 これらの措置は、この法律に基づいて地方公共団体が実施する除染事業等については、これに要する計画策定費用や調査費用も含めて、その費用の全額を国が一たん支払って、後に関係原子力事業者に求償できるとしたものでありまして、自治体には負担は生じないとしたものであります。いかがか。環境大臣の明確な答弁をいただきます。

江田国務大臣 これから提案されます法案でございまして、私ども今、事前に拝見をさせていただいたという立場でございますが、費用負担に関して国が講ずる措置としては、今委員のお話の四十三条以下の条文が用意をされております。

 それによりますと、事業が円滑に進むよう、この法律に基づき地方公共団体が実施する民有地の除染事業について、これに要する計画策定費用あるいは調査費用も含め、これら費用の全額を国が一たん負担した上で、関係原子力事業者に求償を行う、さらに、この法律に基づき地方公共団体が実施する公有地の除染事業については、国として必要な財政上の支援措置をしっかり講ずるということになっていると承知をしております。

江田(康)委員 明確な答弁をいただきました。

 最後の時間がございます。きょうは福山官房副長官に、せっかくおいででございますので、質問をさせていただきます。

 こういう環境汚染に対処するとともに、本当に大事なのは、健康被害から国民を守ることであります。政府は、放射性物質による健康被害から国民を守るために、今、福島県が主体として、二百二万人を対象として三十年間にわたって健康状況をフォローする県民健康調査が実施されておりますが、これは継続して三十年間にわたって実施していくべきものでございます。この継続した健康調査の実施、疫学調査の研究、これについて福山官房副長官の明確な答弁をいただきたい。

 それとあわせて、今言っているこの法律以外のところで除染したり、そしてまたそれに対処したりした場合においては、その市町村に対して支援ができるのかということがございます。

 今、伊達市では、五十万円が自治体に供与されて、そしてそれを支援するような措置がとられております。また、私も視察をさせていただきましたけれども、伊達市長はこうおっしゃっておりました。やはり安心、安全のためには、一部の基準内のところを除染対処していくだけでは住民の安心にはつながらない、面的に全域を整備する必要があると。では、これは自治体の積極的な姿勢だけによるものかといいますと、やはりこれは、東電、ここで原発事故、国の責任、ここによって生じているものであるわけですから、そこを何らかの支援措置をしていく。こういう今後の、この法律以外での対応というものをしっかり考えていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。

福山内閣官房副長官 江田委員におかれましても、数次にわたりまして原発事故に対する御要望を政府にいただきまして、ありがとうございました。

 御案内のように、福島の皆さんは本当に現在及び将来の健康に対して不安をお持ちになられています。そのためにも、短期的な健康管理だけではなく、中長期の健康に対する管理が必要だという認識で我々としては今回の二次補正で対応をさせていただきました。まさに委員御指摘のとおり、中長期的な観点でこの健康調査については進めていきたいと思っております。

 また、この法律による基準や対象がまだ明確になっておりませんが、ここからもし外れた場合の状況に対して、例えば一部の側溝であるとか一部の地域とかに、除染をしなければいけないような地域が出てきたときには、当然国としては支援をしていかなければいけないというふうに思います。

 先生御指摘のように、二次補正におきまして、子供や住民の生活空間で利活用される通学路、側溝、それから公園等について、それぞれの地域のニーズに合わせて除染をするということについて、御案内のように五十万円の支援をさせていただいて、地域の皆さんの御努力をお願いしているところでございまして、こういった対応も含めて、国は幅広く対応していきたいというふうに考えております。

江田(康)委員 ありがとうございました。

 これで終わります。

小沢委員長 以上で環境の基本施策に関する件の質疑を終了いたしました。

     ――――◇―――――

小沢委員長 次に、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来理事会等において協議してまいりましたが、本日、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得ましたので、委員長から、本起草案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 本年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により、大量の放射性物質が一般環境中に拡散し、それにより汚染された廃棄物や土壌等に起因する周辺住民の健康及び生活環境への影響が懸念されております。

 しかしながら、現行法では、環境基本法を初め、廃棄物処理法、土壌汚染対策法等においても、放射性物質については法の適用対象から除外されており、一般環境中で放射性物質により汚染された廃棄物や土壌等の処理が困難となっているところであります。

 こうしたことから、原子力発電所の事故により放出された放射性物質による一般環境の汚染への対処に関し、国、地方公共団体、原子力事業者等が必要な措置を早急に講じていくことが求められております。

 このような現状にかんがみ、同事故に由来する放射性物質による環境の汚染が人の健康または生活環境に及ぼす影響を速やかに低減させる必要があるものと判断し、本起草案を得た次第であります。

 次に、本起草案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、事故由来放射性物質による環境汚染への対処に関し、国、地方公共団体、原子力事業者及び国民の責務を明らかにしております。その上で、環境大臣は事故由来放射性物質による環境汚染への対処に関する基本方針の案を策定することとし、国は環境汚染の状況についての統一的な監視及び測定の体制を速やかに整備するとともに、みずから監視及び測定を実施して、その結果を随時公表するものとしております。

 第二に、放射性物質により汚染された廃棄物の処理について、環境大臣は、特別な管理が必要な程度に事故由来放射性物質により汚染されているおそれがある廃棄物が存する地域を汚染廃棄物対策地域として指定できることとするとともに、同対策地域外においても汚染状態が一定の基準を超える廃棄物を指定廃棄物とし、国は、これらの対策地域内廃棄物及び指定廃棄物の収集、運搬、保管及び処分をしなければならないものとしております。

 第三に、放射性物質により汚染された土壌等の除染等について、環境大臣は、汚染が著しいと認められる等の事情から国が除染等を実施する必要がある地域を除染特別地域として指定できることとするとともに、除染特別地域外でも一定以上の汚染状態またはそのおそれが著しいと認められる地域を汚染状況重点調査地域に指定するものとしております。これを受けて、除染特別地域については国が、汚染状況重点調査地域については国、都道府県、市町村等が除染等を実施しなければならないものとしております。

 第四に、国は、地方公共団体が事故由来放射性物質による環境汚染への対処に関する施策を推進するために必要な費用についての財政上の措置等を講ずるものとし、また、この法律に基づき講ぜられる措置は、事故由来放射性物質を放出した原子力事業者の負担のもとに実施されるものとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び主な内容であります。

    ―――――――――――――

 平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

小沢委員長 お諮りいたします。

 本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小沢委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 次に、本法律案の提出に際しまして、田島一成君外二名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の共同提案による平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。江田康幸君。

江田(康)委員 ただいま議題となりました平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する件につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する件(案)

  政府は、「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」を施行するに当たっては、次の事項に留意し、その運用について万全を期すべきである。

 一 国は、これまで原子力政策を推進してきたことに伴う社会的な責任を負っていることから、この法律に基づく放射性廃棄物の処理及び除染に当たっては、国の責任において万全な対策を講じるとともに、地方公共団体はそれぞれの実情に応じて国に協力するものであること。

 二 国は、事業が円滑に進むよう、この法律に基づき地方公共団体が実施する民有地除染事業について、これに要する計画策定費用、調査費用も含め、費用の全額を国が一旦負担した上、国が関係原子力事業者に必要な求償を行うこと。また、国は、この法律に基づき地方公共団体が実施する公有地除染事業について、必要な財政上の支援措置を実施すること。

 三 この法律に基づく放射性廃棄物の処理や除染の措置に関わる基準については、地域の汚染状況を踏まえ、客観的に、速やかに設定すること。また、その設定に当たっては、感受性の強い子供の健康に特に配慮すること。

 四 この法律に基づく除染の対象については、国民の安全・安心を確保するため、地方公共団体との協議の上、土壌や建築物等のみならず、道路、河川、湖沼、海、港湾、農地及び山林等を含むものとすること。

 五 この法律に基づく放射性廃棄物や除染により発生した除染土壌等の処分を円滑に進めるため、国の責任において最終処分場等を確保すること。

 六 国は、環境中に放出された放射性物質の総合的な対策を万全に行うために、この法律の権能に応じた環境省の組織・体制を整備するとともに、環境大臣は関係行政機関の長と緊密な連携協力を図ること。

 七 国は、放射性物質による健康被害から国民を守るため、継続した健康調査の実施や疫学調査の研究を進めること。

 八 海洋汚染対策や地下水汚染対策など、水、大気、土壌、生態系などへの長期にわたる放射性物質の環境汚染対策の方針を示すこと。

 九 今回の事故により環境中に放出された放射性物質による汚染への対処の必要性については、国際社会への説明責任を果たすこと。

 十 この法律に基づいて行われる放射性廃棄物処理や除染の措置等を実施するために、必要な予算を計上すること。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

小沢委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小沢委員長 起立総員。よって、本動議のとおり決議することに決しました。

 この際、ただいまの決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。江田環境大臣。

江田国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、努力してまいります。

小沢委員長 お諮りいたします。

 本決議の議長に対する報告及び関係各方面への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

小沢委員長 次に、石綿による健康被害の救済に関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来理事会等において協議してまいりましたが、本日、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得ましたので、委員長から、本起草案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 石綿による健康被害の救済に関する法律は、平成十八年三月二十七日に施行され、その後、平成二十年に、石綿による健康被害の迅速な救済を図るため、議員立法により、石綿による健康被害を受けた者及びその遺族に対し、医療費等の支給期間の拡大等の措置を講ずる改正をいたしました。しかし、昨今、特別遺族弔慰金等及び特別遺族給付金の請求期限の延長等を求める声が多く聞かれるところであります。

 このような石綿による健康被害の救済を求める切実な声に対し、我々立法府としては、前回の改正の経緯も踏まえて、一刻も早く、適切にこたえていくことが必要であるとの強い認識から、石綿による健康被害を受けた者及びその遺族に対する救済の充実を図る必要があるものと判断し、本起草案を得た次第であります。

 次に、本起草案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、本法施行日から十年を経過する日の前日までに死亡した労働者等の遺族であって、労災保険法上の遺族補償給付を受ける権利が時効によって消滅したものに対し、特別遺族給付金を支給するものとしております。

 第二に、特別遺族弔慰金等及び特別遺族給付金の請求期限を延長するものとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び主な内容であります。

    ―――――――――――――

 石綿による健康被害の救済に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

小沢委員長 本件について発言を求められておりますので、順次これを許します。工藤仁美君。

工藤委員 民主党の工藤仁美です。

 今、委員長から趣旨説明がございました石綿による健康被害の救済に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、民主党・無所属クラブを代表して発言いたします。

 石綿健康被害救済法は、石綿による健康被害の特殊性にかんがみ、石綿によって健康被害を受けた方やその遺族の迅速な救済を図るため、平成十八年に、当時の自公政権によって提案され、成立した法律です。

 平成二十年には、民主党も加わった議員立法による改正によって、医療費等の支給期間拡大等の措置を講じました。

 また、民主党政権になってからは、法の救済対象の拡大を図るため、昨年七月、対象疾病の追加を行いました。

 一方、現行法は五年以内の見直しが規定されていますが、期限であったことし三月までに見直しが行われなかったために、新たな救済のすき間が生じています。

 このような現状を踏まえ、民主党は、被害者や家族の方々の要望も直接お聞きした上で、本年五月に改正法案の要綱を取りまとめ、野党に協議を求めてまいりました。そして、今月、ようやく与野党の合意に至り、ここに委員長提案として起草されることになりました。

 本改正法により救済のすき間が解消され、また、五年以内の法の見直しは、石綿に関するさまざまな課題の解決に資するものと期待をしております。

 これにより石綿による健康被害の救済は一定進展をいたしますが、今後の取り組みが必要な点について申し述べます。

 一つは、復帰前の沖縄米軍基地で働き、石綿に暴露したことが原因で発症した元労働者の健康被害が、労災保険や特別遺族給付金の対象とならず、すき間となっている問題であります。この問題については、地元の労働組合、被害者、家族などから再三要望がなされておりながら、解決しないまま今日に至っております。当事者は既に高齢であり、待ったなしの解決が求められております。

 もう一つは、夫が死亡労働者で妻が特別遺族年金を請求せずに亡くなった場合、その子には特別遺族一時金が支給されないというすき間の問題です。

 これらについて、政府もしっかりと認識をされ、ぜひとも解決に向けての検討をお願いしますし、また、私たち民主党も引き続き検討してまいります。

 また、次の五年以内の見直しに際しましては、期限を過ぎたり形式的になることなく、被害者の救済がより実効的に進むよう、適切な見直しを行うべきと考えます。

 なお、東日本大震災の被災地における瓦れき処理や復旧工事による作業者、住民のアスベスト粉じんの暴露が懸念されておりますので、より一層の監視と対策が必要と考えます。

 最後になりますが、私たち民主党は、野党時代から一貫してノンアスベスト社会の実現を掲げ、取り組んでまいりました。今後も、石綿対策を総合的に進める基本法の制定を含めた検討を継続することをお誓いするとともに、政府においても、より一層取り組みを進められることを期待いたします。

 今回の見直しに御尽力をいただいた関係者の皆様に感謝を申し上げるとともに、委員各位の御賛同を心よりお願い申し上げまして、発言を終了いたします。

 ありがとうございました。

小沢委員長 次に、佐田玄一郎君。

佐田委員 ただいま委員長から趣旨の御説明がありました石綿による健康被害の救済に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、自由民主党・無所属の会を代表して発言をさせていただきます。

 石綿健康被害救済法は、平成十八年に制定の後、平成二十年には医療費等の支給期間の拡大等の措置を講ずるなど、当時与党でありました自民党及び公明党が中心となり、石綿による健康被害を受けた方及びその遺族に対する迅速な救済を図ってまいりました。

 現在、施行後五年の見直し期間が到来したものの、本法の改正がなされなかったために、新たなすき間が生じてしまいました。そこで、自民党及び公明党が中心となり、早急な対策を講じるため、野党の考え方を取りまとめ、与党・民主党と協議を重ねた結果、自民党、公明党の考えがほぼ反映された改正案が委員長提案としてまとまった次第であります。法案の迅速な取りまとめに御協力いただきました各党関係者の方々に感謝をいたします。

 続いて、今後の課題について幾つかの指摘をさせていただきます。

 まず、政府において、本制度の国民への周知徹底を行っていただきたい。この点は、平成二十年の改正時において私が指摘した事項でありますが、残念ながら依然として十分な周知がなされていないことが今回の改正の要因の一つとなっております。

 次に、東日本大震災における石綿暴露防止対策を徹底していただきたいということであります。東日本大震災における瓦れき処理の作業者やボランティアの方が十分なアスベスト暴露防止対策を講じずに従事していることなど、将来の健康被害が懸念されております。したがって、石綿の飛散、暴露防止対策に万全を期すとともに、作業に従事した方の記録が残るように取り組んでいただきたいということであります。

 さらに、本法案に見直しは五年以内とされておりますが、石綿に関する諸課題が多く残されている現状を踏まえ、アスベストによる健康被害の救済と今後被害者をつくらないために、例えば、石綿による疾病の認定基準のうち、肺がんについて付されている石綿暴露作業への従事期間が十年以上あることという要件の撤廃や、復帰前の沖縄米軍基地において石綿健康被害を受けた基地労働者についての救済措置を検討することなどにより、すき間なく総合的なアスベスト対策を推進していただきたいと考えております。

 なお、諸外国の状況をかんがみて、アスベスト疾病に対する医療の向上と薬品の認可研究の推進についてもお願いしたいと思います。

 本法案を速やかに可決、成立していただくことをお願いいたしまして、私の発言とさせていただきます。

 ありがとうございます。

小沢委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 ただいま委員長から趣旨の説明がありました石綿による健康被害の救済に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、公明党を代表して発言をさせていただきます。

 石綿健康被害救済法は、石綿による健康被害の特殊性にかんがみ、石綿によって健康被害を受けた方やその遺族に対し、その迅速な救済を図るために、平成十八年に成立した法律であります。その後、平成二十年には議員立法による改正によって、医療費等の支給期間拡大等の措置を講じました。

 しかしながら、現在、本制度では、労災保険の五年の時効により特別遺族給付金の支給ができなくなるケースが発生しているため、早急な対応をすべく、支給対象の拡大と請求期限の延長、さらには特別遺族弔慰金においてもその請求期限の延長を可能とする改正案が委員長提案という形で提出される運びになったことは大変喜ばしいことであります。我が公明党も、本法の成立に深くかかわってきた経緯から、すき間のない救済に向けて全力を尽くしたいと考えております。

 そこで、この際、政府に対して、公明党の考える今後の課題について幾つか提案をさせていただきたいと思います。

 まず、東日本大震災における災害廃棄物にはアスベスト含有建材などが含まれているにもかかわらず、被災地におけるアスベストの暴露や飛散防止対策は十分とは言えません。そこで、作業従事者だけでなく、ボランティアや周辺住民の方に万全を期していただきたい。あわせて、石綿関連疾患は潜伏期間が長いという特徴があることから、特に作業等の記録が残されるよう配慮していただきたい。

 次に、石綿健康被害の患者の妻が本法に基づく年金を受給せずに死亡した場合、その子供が一時金を受給できないといった事態があるその一方で、労災補償制度では同じケースでも一時金が支給されるなど、制度間の不公平が生じていることから、すき間のない救済の実現に向けて特別遺族一時金の支給のあり方を見直す必要があります。

 また、石綿による健康被害を受けた可能性がある者の遺族であって特別遺族給付金等の請求を行っていない者に対して、救済手続について周知するための措置を継続するよう御努力をいただきたい。

 さらに、政府においては、法律の施行状況を不断に点検し、特別遺族弔慰金の給付水準の引き上げ等の検討、石綿の健康リスク調査の充実や、石綿関連疾患に係る健康管理制度の導入など、石綿健康被害者に対してすき間のない救済を実施するための総合的な見直しについて、真摯に取り組んでいただきたい。

 最後に、今回の見直しに御尽力をいただいた関係者の皆様に感謝を申し上げるとともに、本法律案を速やかに可決、成立していただくことをお願いして、私の発言を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

小沢委員長 以上で発言は終了いたしました。

 この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。江田環境大臣。

江田国務大臣 本法案の提出に当たられた議員各位の御努力と御熱意に対して、深く敬意を表します。

 政府といたしましては、石綿による健康被害の救済に関する法律の一部を改正する法律案について、異議はございません。

小沢委員長 お諮りいたします。

 本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小沢委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時一分散会


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