衆議院

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第6号 平成20年6月24日(火曜日)

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平成二十年六月二十四日(火曜日)

    午後三時開議

 出席委員

   委員長 鈴木 恒夫君

   理事 江藤  拓君 理事 佐田玄一郎君

   理事 土屋 品子君 理事 早川 忠孝君

   理事 望月 義夫君 理事 松原  仁君

   理事 松本 剛明君

      新井 悦二君    伊藤信太郎君

      小川 友一君    大前 繁雄君

      梶山 弘志君    木原 誠二君

      坂井  学君    平  将明君

      高鳥 修一君    土屋 正忠君

      長島 忠美君    西本 勝子君

      林   潤君    林  幹雄君

      林田  彪君    平口  洋君

      三ッ矢憲生君    御法川信英君

      盛山 正仁君    黄川田 徹君

      近藤 洋介君    階   猛君

      園田 康博君    田村 謙治君

      西村智奈美君    村井 宗明君

      石田 祝稔君    桝屋 敬悟君

      高橋千鶴子君    菅野 哲雄君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   国務大臣

   (防災担当)       泉  信也君

   内閣府副大臣       木村  勉君

   国土交通副大臣      松島みどり君

   内閣府大臣政務官     加藤 勝信君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   加藤 利男君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 津曲 俊英君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 門山 泰明君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電波部長)         田中 栄一君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           岡山  淳君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           青山  伸君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官)  岡  誠一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         宮島 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           中尾 昭弘君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    中村 吉夫君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房政策評価審議官)       今井  敏君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局整備部長)         齋藤 晴美君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    岩井 良行君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           西阪  昇君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           菊川  滋君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  甲村 謙友君

   政府参考人

   (気象庁長官)      平木  哲君

   衆議院調査局第三特別調査室長           吉宮 孝治君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月二十一日

 辞任         補欠選任

  高橋千鶴子君     穀田 恵二君

同日

 辞任         補欠選任

  穀田 恵二君     高橋千鶴子君

同月二十四日

 辞任         補欠選任

  徳田  毅君     木原 誠二君

  丹羽 秀樹君     西本 勝子君

  原田 憲治君     土屋 正忠君

  村田 吉隆君     伊藤信太郎君

  岡本 充功君     園田 康博君

  小平 忠正君     階   猛君

  筒井 信隆君     黄川田 徹君

  日森 文尋君     菅野 哲雄君

同日

 辞任         補欠選任

  伊藤信太郎君     村田 吉隆君

  木原 誠二君     徳田  毅君

  土屋 正忠君     原田 憲治君

  西本 勝子君     丹羽 秀樹君

  黄川田 徹君     筒井 信隆君

  階   猛君     小平 忠正君

  園田 康博君     岡本 充功君

  菅野 哲雄君     日森 文尋君

    ―――――――――――――

六月二十日

 一、災害対策に関する件

の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 災害対策に関する件(平成二十年岩手・宮城内陸地震による被害状況等)

 派遣委員からの報告聴取


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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 災害対策に関する件について調査を進めます。

 この際、去る二十一日、平成二十年岩手・宮城内陸地震による被害状況等調査のため、岩手県及び宮城県に委員派遣を行いましたので、派遣委員を代表いたしまして、私から調査の概要について御報告申し上げます。

 報告に当たり、この災害により亡くなられました方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様に対し衷心よりお見舞いを申し上げるものでございます。

 それでは、調査の概要について御報告申し上げます。

 派遣委員は、自由民主党の佐田玄一郎君、土屋品子君、民主党・無所属クラブの松原仁君、松本剛明君、公明党の桝屋敬悟君、日本共産党の穀田恵二君、国民新党・そうぞう・無所属の会の糸川正晃君、そして私、鈴木恒夫の八名であります。

 また、自由民主党の伊藤信太郎君、小野寺五典君、鈴木俊一君、土井亨君、民主党・無所属クラブの黄川田徹君、社会民主党・市民連合の菅野哲雄君が現地参加されました。

 まず、岩手県一関地区合同庁舎において、宮舘岩手県副知事、浅井一関市長を初めとする関係者から被害状況等の説明を聴取するとともに、激甚災害の早期指定、社会生活基盤の復興に向けての金融支援等について要望を受けた後、質疑応答を行いました。

 次に、国道三百四十二号線の損傷箇所や、橋脚が一関方向に八センチ傾斜するなどの被害を受けた丹寿橋を視察いたしました。

 次に、宮城県栗原市役所において、伊藤宮城県副知事、佐藤栗原市長を初めとする関係者から被害状況等の説明を聴取するとともに、激甚災害の早期指定、災害復旧対策への特別の財政援助等について要望を受けた後、質疑応答を行いました。

 また、同市役所内に設置されている栗原市災害対策本部や政府現地連絡対策室などを訪問し、日夜被災地のために頑張っておられる方々を激励するとともに、地震により天井が落下するなどの大きな被害を受けた栗原市議会議場を視察いたしました。

 次に、国道三百九十八号線浅布地区及び小川原地区において、大規模な土砂の崩落により発生した河道閉塞箇所で行われている直轄砂防災害関連緊急事業の現場を視察いたしました。

 茶色の山肌がむき出しになっており、土砂災害の深いつめ跡がまざまざと残っておりました。決壊により下流へのはんらんのおそれが高いことから、二十四時間態勢で仮排水路の設置工事を行っているとのことでありましたが、完全復旧までにはまだ多くの時間を要する旨の説明があり、今回の地震がいかにすさまじいものであったかを痛感いたしました。

 最後に、避難所となっている石楠花センターを訪問し、不自由な避難生活を送っておられる被災者の方々にお見舞いを申し上げ、激励してまいりました。

 以上が調査の概要でありますが、私どもは、この調査を通じまして、被災地の復旧復興を早急に進めることにより、被災者が一日も早くもとの生活に戻れますように力を尽くす決意を新たにしたところでございます。

 終わりに、今回の調査に御協力をいただきました皆様に心から御礼を申し上げ、派遣の報告とさせていただきます。

 この際、お諮りいたします。

 派遣地からの要望事項につきましては、これを本日の委員会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔要望事項は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

鈴木委員長 引き続き、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官加藤利男君、総務省大臣官房審議官津曲俊英君、総務省大臣官房審議官門山泰明君、総務省総合通信基盤局電波部長田中栄一君、消防庁国民保護・防災部長岡山淳君、文部科学省大臣官房審議官青山伸君、文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官岡誠一君、厚生労働省大臣官房総括審議官宮島俊彦君、厚生労働省大臣官房審議官中尾昭弘君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長中村吉夫君、農林水産省大臣官房政策評価審議官今井敏君、農林水産省農村振興局整備部長齋藤晴美君、中小企業庁次長岩井良行君、国土交通省大臣官房審議官西阪昇君、国土交通省大臣官房審議官菊川滋君、国土交通省河川局長甲村謙友君及び気象庁長官平木哲君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤信太郎君。

伊藤(信)委員 自由民主党の伊藤信太郎でございます。

 質問に先立ち、今回の岩手・宮城内陸地震で亡くなられた皆様方に心の底からお悔やみを申し上げます。また、今回被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 私は、地震の翌日六月十五日、自民党宮城県連の調査団として、また六月二十一日には、今お話がありましたこの衆議院災害対策特別委員会の調査団として被災地に入りました。宮城県栗原市坂下、浅布、小川原等の崩落、河道閉塞の現場、また、石楠花コミュニティセンター、みちのく伝創館等の避難所、また、大崎市上野目小学校等の十カ所以上を視察、調査するとともに、被災者の皆様にお見舞いを申し上げてまいりました。まさに、山は動いたという話が昔ありましたけれども、山が崩れたというすさまじい今回の内陸型地震で、大きな災害がそこに広がっております。

 今回、この地震に当たり、宮城県、栗原市、大崎市、また岩手県はもとより、自衛隊、TEC―FORCE、関係省庁、また応援にいらしていただいた全国の自治体の皆様、地元の建設会社、ボランティアの皆様には、大変よく連携して、この災害復旧のために、また人命救助のために、汗を流して泥まみれになって努力していただいたことに深く感謝を申し上げたいと思います。

 この間、私も被災者の多くとお話をしまして、それぞれ被災者の方、立場や集落の位置によって御要望が多少違う部分もありますけれども、共通して言えることは、まず、一日も早く、小さな車でもいいから通れる道路、道をつくってほしい、そうすれば、そこを行ったり来たりして家畜の世話もできるし、また生活のいろいろなこともできるんだということであります。そしてその次に、やはり水、電気のライフラインの復旧を一日も早くしてほしいということであります。そして、今回どうしても孤立してしまう集落というものがあるわけで、そういった皆さんは、やはり仮設住宅の建設というものも一日も早くやってほしいということが切なる願いでございます。

 また、宮城県知事あるいは栗原市長、大崎市長ともいろいろ話してまいりましたけれども、今度は中山間地の内陸型地震ということでもあり、とにかく道が、また川がずたずたにやられております。県管理の三けた国道がまさにずたずたとやられておりますし、また、栗原市だけをとっても、栗原市の市道が少なくとも百八十カ所以上損傷があって、通行が不能なところが多く出ております。

 こういう本当に巨大な災害になりますと、とても県、市の自治体の力だけでは、特に財政力では復旧復興がままならないわけで、激甚災害の指定を初めとして、国の力強いそして迅速な財政支援をお願いしたいということが自治体の責任者からの強い要望であります。

 そのような状況に立って、きょうの質問をさせていただきたいと思います。

 まず、現在の、今回の岩手・宮城内陸地震の最新の被害状況がどのようになっているのか、お答え願いたいと思います。

加藤政府参考人 現在の岩手・宮城内陸地震の最新の被害状況についてのお尋ねでございますが、具体的に申し上げますと、死者が十二名、行方不明者が十名、負傷者三百五十三名の人的被害が発生をいたしております。また、現在も、十三カ所で二百七十八名の方々が避難生活を余儀なくされているところでございます。

 また、御指摘ございましたように、道路につきましては、土砂崩落等により県管理道路が現在も十七区間で全面通行どめとなっております。また、河川については、十五カ所で河道閉塞が生じている、こういう状況でございます。

伊藤(信)委員 東北も梅雨入りいたしまして、これから雨量がふえてまいりますと、二次災害といいますか、土砂ダム、河道閉塞のところがあふれるということは大変心配なのでございますけれども、現在、河道閉塞、またその復旧のめどというのはいかなものか、お知らせ願いたいと思います。

甲村政府参考人 このたび発生しました河道閉塞、十五カ所ございますけれども、現地調査結果に基づきまして、決壊やはんらんのおそれが高い箇所として、宮城県の浅布地区など六カ所について、もともと県の施工区域でございますけれども、両県知事の強い要請を受けて、直轄砂防災害関連緊急事業に着手しております。天然ダムの決壊を未然に防ぐために、排水ポンプによる緊急的な排水や緊急排水路の開削の後、順次本格的な水路の確保等に着手してまいります。

 進捗状況でございますが、岩手県の市野々原地区におきましては、二十一日に緊急排水路の開削が終了し、せきとめられていた水の通水が始まっております。宮城県の迫川の二カ所につきまして、下流の浅布地区は二十五日、小川原地区については二十六日までの通水を目指して二十四時間態勢で工事を進めており、他の現場につきましても順次工事を進めてまいります。

 なお、梅雨期に入っておりますことから、雨量計、水位計、土石流センサー等を設置いたしまして、現地作業員の安全確保とともに、その情報を県や市の関係機関に連絡し、万一決壊のおそれがある場合の住民の避難にも役立てていただいているところでございます。

伊藤(信)委員 被災者の切実な願いは道路の復旧でありますけれども、応急措置の道路の復旧の見通しというのはいかがでございましょうか。

菊川政府参考人 お答えいたします。

 今回の地震によりまして、現在、国道三百九十八号などの県が管理します道路で十七区間通行どめとなっております。迂回路がなくて住民の行き来ができない集落が、宮城県内で二地区、岩手県で三地区、計五地区ございます。

 この五地区につながります国道三百九十八号、主要地方道の築館栗駒公園線並びに国道三百四十二号、この三路線の三区間におきまして、住民の行き来を確保するために応急復旧を今重点的に進めているところでございます。

 その見通しでございますが、国道三百九十八号につきましては、崩壊箇所の応急復旧を七月の上旬には完了予定、主要地方道の築館栗駒公園線につきましては、迂回路となる栗原市道の応急復旧を一カ月後を目途に完了予定というふうに県の方から聞いております。

伊藤(信)委員 さて、もう一つの切実な要望は水等のライフラインでございますけれども、この水等のライフラインの状況、また復旧の見通しはいかになっているんでしょうか。

中尾政府参考人 水道につきましては、岩手、宮城を中心に五千五百戸を超える断水被害が生じましたが、九割近い四千七百戸の断水は解消されまして、現在は約八百三十戸で断水が継続をしております。このうち宮城県では約五百十戸で断水が続いておりますが、大崎市の約七十戸は六月末を目標に復旧作業を進めております。栗原市につきましても、全戸避難した地区を除きまして、早期の給水再開を目指し、復旧作業が行われているところでございます。

 厚生労働省におきましては、引き続き、県等と連携し、早期復旧のための支援に努める所存でございます。

伊藤(信)委員 必要な仮設住宅の建設計画はどのようになっていますでしょうか。

宮島政府参考人 応急仮設住宅でございます。

 これは、宮城県栗原市で二十一日に入居説明会が行われました。四十三世帯百二十一人の方、仮設の希望の方、あるいは民間賃貸住宅、教職員宿舎への入居希望があったということです。これを踏まえまして、まず先行調整ということで、応急仮設住宅十戸を昨日、着工いたしました。七月中旬ごろまでに完成予定です。さらなる整備についても早急に調整して、必要戸数を順次整備していきたいというふうに考えております。

伊藤(信)委員 今回は、中山間地ということで、林業被害、農業被害が非常に大きいわけですけれども、この被害の状況、また農業等のこれからの復興というものをどのように国が支援するのか、説明していただきたいと思います。

今井政府参考人 農林水産関係の被害の状況についてお答え申し上げます。

 まず、被害状況についてでございますけれども、二十三日の十七時現在でございますが、山腹崩壊など林野関係で約九百六十五億円、農地、農業用施設など農業関係で約三十四億円、合計約九百九十九億円の被害額の報告を受けておりますけれども、詳細はまだ引き続き調査を行っている段階でございます。

 そうした中で、農地、農業用施設につきまして早期復旧に努めるほか、かんがい用水が不足しているというようなところもございまして、それに対しましては、被災地からの要請も受けまして、東北農政局が災害応急用のポンプを搬入して設置するというような取り組みも行っているところでございます。

 また、山腹崩壊ですとか地すべり等の箇所につきましては、二次災害防止ということも非常に重要でございますので、土石流センサーの設置ですとか倒木の処理ですとか、そんな緊急対策に取り組んでいるほか、土どめ工、緊急排水溝の復旧対策にも着手しているという状況でございます。

 さらに、農林漁業者の経営安定対策といたしまして、関係金融機関に対しまして、資金の円滑な融通、さらには償還猶予等を要請しておりますほか、水田経営所得安定対策の加入手続の延長措置、中山間地等直接支払い制度の事務手続期限の延長の特例措置、こうした支援措置も講じたところでございます。

 今後とも、県を初め関係機関と密接に連携を図りながら、復旧に向けて迅速的確な対応に努めてまいる考えでございます。

伊藤(信)委員 学校の耐震化というのは大変大きな問題ですが、今回、この地域の公立学校の被害状況、またそれに対する措置はどのようになっていますでしょうか。

岡政府参考人 お答えいたします。

 今回の地震による公立学校施設の被害状況につきましては、本日十一時現在、岩手、宮城、秋田及び山形の四県で二百四十一校であるとの報告を受けているところでございます。主な被害状況としましては、ガラスの破損、壁の亀裂、天井仕上げ材の落下等でございます。

 それから、公立学校施設の災害復旧につきましては、設置者からの申請により、原則として復旧事業費の三分の二を国庫負担しているところでございますけれども、被災した学校施設の早期復旧のため、国の災害復旧費に係る現地調査を待たず復旧工事が行える旨の通知を六月十六日付で関係教育委員会に発出したところでございます。

 文部科学省としては、引き続き、公立学校施設の早期復旧に向けて、被災地への協力支援に万全を期してまいりたいと考えているところでございます。

伊藤(信)委員 これだけの災害になると、私としては、やはりすべての知事も、すべての市長もそうだと思いますけれども、激甚災害の指定を一日も早くしてほしいと強く熱望しているわけですけれども、この激甚災害の指定というのはどのような仕組み、どのような基準で行われているか。A基準、B基準、また、本激あるいは局激とあると思いますが、その辺を御説明願いたいと思います。

加藤政府参考人 激甚制度についてのお尋ねでございますが、この激甚制度は、一定の被害額を超えます大規模な災害が発生した場合に、災害復旧事業の国庫補助のかさ上げ等の措置を講ずるものでございます。

 具体的には、全国にわたる被害を対象といたしました本激と、市町村の被害を前提といたしました局激に区分されまして、それぞれ自治体の財政力と災害復旧事業費等を勘案いたしまして、公共土木施設関係、農地等の適用措置ごとに基準が設けられているものでございます。

 今御指摘ございましたように、基準には、それぞれ、本激には全国にわたる災害を前提としたA基準と局地性を加味したB基準がございます、一方、局激には局激指定基準が設けられておりまして、これらの基準を超えて激甚災害に指定されますと、一割から二割程度の災害復旧事業の国庫補助のかさ上げ等の措置が講じられるということになります。

 今後、調査結果を踏まえまして、本激と局激との別、指定される自治体等を精査いたしまして、適切に対応していきたいというふうに考えております。

伊藤(信)委員 私の方の試算によると、本激のA基準は千八百億、B基準は七百二十億ということになっておりますし、また、B基準の宮城県については六百四億、あるいは岩手県については二百七十一億ということになっております。また、局激の場合は、栗原市でございますが、三十四億。

 要するに、これを上回るような当該自治体の災害復旧の事業費の見込み額がなければだめだということだろうと思いますけれども、今の数字で正しいかどうか、お知らせください。

加藤政府参考人 まず、この計算式に当てはめますと、基準額が、A基準でいうと千七百九十九億、B基準ですと七百二十億円以上で、かつ、一県が基準額以上で、岩手県の場合が二百七十二億、宮城県が六百五億、または一県の市町村総額が基準以上ということになりますと、岩手県で七十三億、宮城県で百五十三億、これは公共土木の場合でございますが、そういう基準になってございます。

伊藤(信)委員 宮城県から上がってくる全体の数字を見るともう一千億を超す数字になっているんですけれども、激甚災害指定の根拠となる数字としてはもっと低い数字ということになって、最終的な結果はわかりませんけれども、このような基準だとなかなか難しい面もあるかもしれません。しかし、やはり国民の生命、財産、そして安全、安心を守るのが国家の、国の一番大事な役目だと思います。ここは強い政治判断で、国民が安心できるように、そして復旧復興が一日も早くできるように、激甚災害の指定を一日も早くしていただきたいと思います。

 災害復旧というと、一般的には原状復帰ということが原則であります。しかし、今回、山がそれこそ三分の一、四分の一崩れていたり、山の真ん中がなくなったりしているんですね。こうなりますと、原状復帰というのができない道路やダム、あるいは河道閉塞に対する措置というのがたくさんあると思います。

 こういった場合は、別予算といいますか、余計お金がかかる場合が多いわけですけれども、こういう場合に、国がどのような形で追加的な財政支援措置をとれるのか、お答え願いたい。これは松島国土交通副大臣にお答え願いたいと思います。

松島副大臣 委員が御指摘のように、原形に復旧することが著しく困難または不適当な場合におきましては、これにかわるべき十全の機能を有する必要な道路ですとか河川の護岸といった施設の整備ができることになっております。

 これにつきましては、道路や河川護岸の災害復旧に当たりまして、国としては、地元自治体の皆さんと十分調整を行いまして、専門家による技術的なアドバイスをまず行い、速やかに災害査定を進めるなど、復旧事業の早期実施を図り、地域の復旧復興のために最大限支援してまいりたいと思っております。

伊藤(信)委員 それから、宮城県知事と話しても栗原の市長と話しても、特に知事と話すと、三けたの県管理の国道がずたずたにやられているんですね。宮城県の厳しい財政事情から見て、これはとても県の力では財政的に直し切れないんです。

 こういった場合、直轄権限代行という形で、財政的にも国がほぼ全面的に面倒を見る形で復旧ができないかどうか。これについても松島副大臣にお答え願いたいと思います。

松島副大臣 おっしゃるようなケースの場合、県が管理する国道の災害復旧事業でございますけれども、道路法第十三条第三項の規定によりまして、一つ、工事が高度の技術を要する場合、二つ、高度の機械力を使用して実施することが適当であると認める場合、もう一つ、都道府県の区域の境界に係る場合、このいずれかに該当するときは国が県にかわって災害復旧に関する工事を行うことができることになっております。

 そういうわけでございますので、宮城、岩手両県から御希望、御要望がございました場合には、被災状況を勘案いたしまして、今申し上げました道路法の規定に基づきまして、おっしゃいますとおりに、国がかわりに直轄権限を代行するということもしっかりと検討してまいりたいと思っております。

伊藤(信)委員 ここからは泉大臣にお伺いしたいと思います。

 今回のような大災害、非常に大変な復旧復興の道のりであります。国としては、どういう考え方で、どういう法律やどういう政策手段を使って復旧復興を進めていく考えか、そして被災者の支援をしていく考えか、お考えをお聞かせください。

泉国務大臣 今委員から、各般にわたってのお尋ねがございました。大変多面的な被災を受けておるという実情でございます。

 被災者支援に関しましては、災害救助法の適用をまず考える、続きまして、被害を受けた施設の復旧に関しましては、例えば公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法あるいは農林水産業施設災害復旧事業費国庫負担の暫定措置に関する法律などの法律を駆使して対策を講じていくということでございます。

 今回の地震では、多くの方が集落を離れて避難を余儀なくされておられるということでございまして、早く自宅に戻りたいという御要望が当然強いわけでございます。

 今後の対応といたしましては、こうした被災者の御要望にこたえるべく、道路、河川、さらには御指摘のありました水道等のライフラインの早期復旧をまず先決でやる、早期復旧がまず先決であるといたしまして、これらに政府としては全力で取り組んでいくつもりでございます。

 また、現状では、住宅等の被害や農林水産業の生業に関する被害の全体像が必ずしも十分につかみ切れておりません。具体的な被害状況と照らし合わせる必要もありますが、例えば住まいの確保については、お尋ねのございました仮設住宅等の提供、これは栗原市では十戸ということで既に着手をさせていただいておりますが、こうした仮設住宅の提供、あるいは住宅金融支援機構による融資等の制度の活用をして支援をしてまいりたいと思います。

 農業等の生業の支援につきましては、例えば融資等に関する相談窓口の設置をいたしておりまして、御要望をお聞かせいただいているところでございます。

 なお、被災者の支援に当たりましては、地方公共団体において、被災地の実情に応じて各種の措置が効果的かつ総合的に講じられることが当然必要なことでありまして、国といたしましても、そのための指導あるいは助言等をしてまいる考え方でございます。

伊藤(信)委員 激甚災害の指定を一日も早くしていただきたいわけですけれども、この激甚災害に指定された場合とそうでない場合、今後の復興復旧のあり方、スピードはどれぐらい変わってくるのか。これも泉大臣にお答え願いたいと思います。

泉国務大臣 激甚災害に指定されますと、年度末に約一割から二割程度の国庫補助率のかさ上げが行われるということでございまして、これは被災地の皆さん方が大変望んでおられることを承知いたしております。

 一方で、もし指定されなかった場合にはどうなるのかということでございますが、各省庁で所管する災害復旧事業については通常の事業よりも高い国庫補助の措置が講じられる、しかも、地方分担分についてはいわゆる起債の特例やその元利償還についての交付税措置が行われるということでございまして、被災した地方公共団体が円滑に災害復旧事業を行うことができるように、必要な財政措置を講じていくということを考えておるところでございます。

 災害復旧事業については、激甚災害の指定の有無にかかわらず、被災自治体のニーズに応じて被災直後から既に応急復旧工事を認めるなど、所管省庁で速やかな復旧復興を図るべく最大限努力が行われているものと理解をいたしております。

 スピードの点につきましては、これは、激甚災害の被害額の認定を今急いでおりますが、過去の例で見ますと、大体一カ月から二カ月ぐらいかかって、もし該当すれば激甚災害の指定が行われるというような時間が必要でございます。

 全体的にどの程度、復旧復興支援に激甚災害の指定を受けた場合とそうでない場合の差異が出てくるかということは、御説明するのもなかなか難しいわけでありますが、私どもとしては、いかなる道をとるといたしましても、速やかに御自宅にお帰りになれるように、そして従来の生活が取り戻せるように努力をしてまいるつもりでございます。

伊藤(信)委員 国にとっては一割、二割のかさ上げ率の差でも、財政力のない自治体にとってはそれが十年分にも相当するわけです。ぜひ早く激甚災害の指定をして、継ぎ目のない、被災者、被災地の立場に立った形での復興復旧の支援というものを国の形でしてほしいと思います。

 国の支援は、やはり国民の生命、財産そして身体を守ることです。何よりも安全、安心を守ることでありますので、ぜひここは政治の決断で、一日も早い激甚災害の指定、そして国の全面的な支援による今回の災害の全面復旧、早期の復興というものを図ってもらうことを強く要請して、質問を終わりたいと思います。

鈴木委員長 次に、松原仁君。

松原委員 民主党の松原仁であります。

 今回、宮城、岩手、視察をしてまいりまして、大変に自然の猛威には驚いたわけであります。まさにそこにはせきとめ湖が既に発生をしている状況があったり、また道路が分断されている状況、しかし、その一方において、市街地においての被害は、思ったよりは、そこまで厳しい状況ではなかった。つまり、この地震の特徴というのは、ある意味において山間部を中心にして発生したわけでありますが、しかし、それは不幸中の幸いで市街地を中心にしていなかったというだけであって、このことは、これから本当に防災の観点からさらに研ぎ澄ましていかなければいけない感性だろうと思っております。

 質問の順番はちょっと変わってまいりますが、一つ目に、今回の地震は予想外の地震であったということをそれぞれの市の関係者の方がおっしゃっておりました。つまり、こういった地域で地震が起こることは想定していなかったということでありますが、この予想されていたかされていないかということについてはどんな判断があったのか、お伺いしたいと思います。

青山政府参考人 お尋ねの、今回の地震について予想していたのかいなかったのかということでございますけれども、地震調査研究推進本部、政府での地震調査研究を一体となって進める機関でございますけれども、この中で、地震活動の総合的な評価の一環として、主要な活断層と海溝型地震について、長期評価、強い地震動の評価等を行って、平成十七年三月に「全国を概観した地震動予測地図」として公表するとともに、この評価結果の追加等に伴い、毎年更新をしております。

 この地図につきましては、今後三十年以内に震度六弱以上の揺れに見舞われる確率の分布図などを示すことによって、国民の地震防災に対する意識の向上、それから地方公共団体が策定する地域防災計画の基礎資料等への活用を促進してきたところでございます。

 地震本部におきましては、日本ではどこでも地震が発生し得るという前提をした上で、活断層評価の公表を速やかに、マスコミや地方公共団体の防災関係者等を対象として説明会を開催し、活断層調査の趣旨、内容を説明してきたところでございます。活断層評価の趣旨等が十分に国民及び地域住民に伝わるように、より一層努力してまいりたいと考えているところでございます。

松原委員 今回の地震に関しては、どういうふうな可能性がその報告書では挙げられていたんでしょうか。具体的な数値を教えてください。

青山政府参考人 今回の地域につきましては、〇・一%から三%、やや高いという評価で「全国を概観した地震動予測地図」で公表しているところでございます。

松原委員 〇・一%から三%の確率で向こう三十年の間に起こる、こういうふうなことでよろしいわけですよね。

 この〇・一%から三%という数値が、その地方自治体、例えば市であるとか町であるとか県に対して与える印象は、恐らく全く無視していい数字であったという認識になると思うんですよ。これは無視していい数字なのかどうか、もう一回お伺いできますか。

青山政府参考人 この〇・一%以上三%未満という数字でございますけれども、これは、三%という数字について言いますと、平均すれば約千年に一回の割合でその揺れに見舞われることを意味しております。主要活断層、主要断層帯で発生する地震の長期評価に当たって、発生確率が三十年三%以上というところでは高いグループというふうにしておるところでございますけれども、この〇・一から三%というところではやや高いということでございます。

 いずれにいたしましても、地震が起きる可能性が十分にあるということで示しているものでございます。

松原委員 今回の地震は、活断層に沿って起こったものですか、潜伏活断層というところに沿って起こったものですか、ちょっとお伺いしたい。

青山政府参考人 今回の地震が発生いたしまして、地震調査研究推進本部におきましては、発生当日、六月十四日に臨時の地震調査委員会を開催したところでございます。

 この地震については、それまでに評価をいたしておりました北上低地西縁断層帯というのがこの震源域の北東部にあるわけでございますけれども、この断層帯について、全体が一度に活動するとマグニチュード七・八程度の地震が発生する可能性があるという評価をしていました。しかしながら、現時点では、今回の地震が、この既知の断層帯の延長で発生したものなのか、全く未知の断層で発生したものなのかは明らかになっておりません。

 現在、大学、研究機関などの専門家が現地において各種の調査を進めているところでございますので、今後、地震調査委員会において、これらの調査結果を踏まえて検討を行い、今回の地震と活断層との関係を明らかにしてまいりたいと考えているところでございます。

松原委員 答弁は短目にお願いしたいと思いますが、要するに、大事なことは、このことに関して、栗原市においてもそうでありますが、要は想定していない地震なんですよ、現地においてはほとんど。ところが、〇・一%から三%がやや高い、こう言うんです。やはりこの数値のイメージが、〇・一%から三%と言われればもうないだろうということになるので、それがやや高いという印象を恐らくその地域の自治体は持っていなかったと思うので、この数値の実態を明らかに、これはこういう意味ですよということを言う必要があるということ。あと、いわゆる潜伏活断層というのはやはりわからないのかどうか。簡潔にお答えいただきたい。

青山政府参考人 内陸での断層による地震でございますので、その発生の頻度ということで、数字ということで見ますと、〇・一%以上三%未満という数字は小さく印象を受けるという御指摘でございます。しかし、やはり地震というのは日本の国内でかなりの回数起きるものでございます。そういう点では、十分に備えをしなくてはいけないものに該当する数字というふうに理解をしております。

 それから、この活断層、特に今回のように潜伏していたものが動いたのではないかというものについてでございますけれども、これがわかるのかということでございます。地上から振動を与えまして調査をするというようなやり方でわかることがございますけれども、地上からの調査では十分に理解できるものとは必ずしも言えない点もございます。

松原委員 ちょっともう時間がないので次に進みますが、そうしたことで、インフラが大分、道路等が寸断されているわけであります。今の点に関しては、各地方自治体に、〇・一から三%も、それはこういうことがあり得るんだということの認識の徹底をお願いしたいと思いますが、インフラの整備等は、これは道路局、呼んでいると思いますが、道路をつくる場合、特に高規格道路とか、今回は高速道路の寸断はなかったわけでありますが、こういった活断層であるとか、もしくはそれらしい潜伏活断層であるとかというのを、地震対策の部分でそういったものに関しては考慮に入れてつくっているのかどうか、お伺いしたいと思います。

菊川政府参考人 道路の計画に当たりましては、通過する予定の地域におきます地質調査を必ず行うことにいたしております。活断層につきましても、この一環といたしまして、文献調査であったり、あるいはボーリング調査、空中写真の判読といったことによりまして状況の把握に努めているというところでございます。

 断層でございますけれども、既知のものだけでも我が国に約二千ほど存在が確認されております。これを完全に回避しながら道路網の計画を行うということはなかなか難しいということでございます。また、個々の活断層による地震の可能性とかあるいは発生規模を予測する精度も十分ではない、こういう理由から、その対策については限界があるものと考えておりますが、こういった活断層による危険性に応じまして、これを避けたルートの選定であるとか、あるいは適切な構造を採用する、こういったことで対策を行うように努めているというところでございます。

 いずれにしましても、被災の可能性や地震が発生した際の影響度合い、計画を見直した場合のコストの増分、こういったものを総合的に勘案して適切な道路計画を立案してまいりたいというふうに考えております。

松原委員 ぜひこういったものもこれから、恐らく今まで余り考慮されていなかったのではないかという議論もあるので、考慮をし始めたら二千カ所だからできないという話もあるのかもしれないけれども、これは考慮をして進めていただきたいと思います。

 次に、二次災害の可能性ですが、せきとめ湖の現状、そしてそれに対する対応を簡潔にお答えいただきたいと思います。

甲村政府参考人 お答えいたします。

 せきとめは、全体で十五カ所ございますけれども、緊急を要する箇所六カ所を直轄で現在実施しております。そのうち一カ所につきましては二十一日に緊急排水路の通水が始まっておりますし、あとは、迫川の二カ所につきましては、二十五日、二十六日までの通水を目指して、二十四時間態勢で現在排水路の整備を行っているところでございます。

 既に梅雨期に入っていますことから、降雨、水位、土砂移動について、雨量計や水位計、土石流センサーを設置いたしまして、工事実施箇所の現地作業員の安全確保とともに、県や市などの関係機関へその情報を提供し、いざという場合の避難など、住民の安全、避難にも配慮しながら実施しているところでございます。

松原委員 二次災害が、特にこれから梅雨に入りますので発生する可能性がある。こういったことに関して、いわゆる新しい災害が起こらないようにということで、地域の自治体と密に連絡をとって、避難をする場合は速やかに避難をするように、またお願いをしたいと思っております。

 次に、これも大事なことでありますが、全国レベルにおける学校の耐震化率が今どうなっているか、その状況をお伺いいたしたいと思います。

岡政府参考人 お答えいたします。

 六月二十日に発表しました公立学校施設の耐震改修状況調査において、平成二十年四月一日現在、公立小中学校施設の耐震化率の全国平均は六二・三%となっております。これは、昨年が五八・六%ということでございましたので、三・七%増になっているということでございます。

松原委員 次に、今回の災害においては、全壊、半壊というのが、もちろん発生しているわけでありますが、数がべらぼうに多いわけではありません。そうした中で、いわゆる被災者生活再建支援法の適用というのは今回あり得るのかどうか、泉大臣、お答えください。

泉国務大臣 再建支援法については、住宅の被害規模を基準に都道府県において適否を判断するということで、御承知のように、市町村単位では十世帯以上というのが一つの被害の規模の目安、基準になっておるわけであります。

 今回の例からは、今まだ、四戸の全壊ということがわかっておりますが、もう少し調査をしなければ最終的な判断はできないと思っております。

 なお、この制度は、被災市町村のみでは対応ができない一定規模以上の災害に対しまして、全都道府県がお互いに基金を出して、その上に国が半分を補助してという考え方でございますので、これからの調査結果を待って最終的には判断をしなければならないことだと思っております。

松原委員 時間が参りましたので質問を終わりますけれども、どちらにしても、今回の災害、緊急にさまざまな発動が行われたというふうに私も評価をしておりますが、そのことによって、被災された方々や、実際、地域は、道路が寸断され、またさまざまなライフラインが供給されていない状況も一部あったりし、一番大きいのはやはり二次災害の可能性ということで、これから梅雨の時期に入るということでありますから、ぜひ、災害対策にかかわる皆さんにおかれましては、万全を期して、さらなる災害が起こらないように全力を尽くしていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、黄川田徹君。

黄川田委員 民主党の黄川田徹であります。

 まずもって、去る十四日に発生しました岩手・宮城内陸地震で被災されました方々に心からお見舞い申し上げますとともに、災害復旧に従事して一生懸命頑張っている方々に深く敬意を表する次第であります。

 それからまた、昨日一時半には漁船の転覆がありました。千葉県の沖合で、福島の小名浜のまき網漁船ですか、乗組員二十人ですか、その中で死者、行方不明、実は、私の地元の陸前高田市出身で二人死亡、一人行方不明であります。ほとんどの乗組員が東北の出身者ではないか、こう思っております。亡くなった方々には御冥福をお祈り申し上げますとともに、そしてまた行方不明者の発見に全力を尽くしていただきたいと思っております。

 燃油高で、漁船も操業もままならないという状況であります。どこかこの日本全国の中で、弱いところに何かいろいろな影を及ぼしているというような気がします。国家を支えているのは、大都市だけではなくて、元気で頑張っている地方だということを、今般の被災現地を見られた泉防災大臣もよく理解したと思われますので、これからが一番大事であります、復旧に向けてよろしくお願い申し上げる次第であります。

 それでは質問に入らせていただきますが、各委員のお話の中で重複するところもありますが、大事なところは重ねて質問したいと思います。

 先ほどの、岩手、宮城県境の未確認の断層が原因とされているこの地震なのでありますが、マグニチュードは七・二でありますから、七を超すというのは大きな地震でありまして、そしてまた、幸いといいますか、市街地は十五キロぐらいしか離れていないのですが、そこは、何ともないと言ったらちょっと言葉が言い過ぎなのでありますけれども、揺れの周期がちょっと違ったのでありますかね、物がそんなに落ちてきたりとかそういうところはなくて、家屋の倒壊もなくて、公共施設といいますか、林道とか国県道であるとか河川とか、こういうものがやられた、そういうふうな感じがいたしております。

 それから、先ほどの答弁で、何か三%というのは千年に一回ぐらいの確率だと言われていましたけれども、実は、あの地区は今、世界文化遺産の登録ということで、今暫定登録なのでありますけれども、平泉の世界遺産なのでありますけれども、七月初旬にはカナダのケベックで、ユネスコの会議でどうなるかということであります。島根も、ICOMOSからは第三番目の登録延期みたいな形になっていましたけれども、逆転登録となりました。銀山が登録されたのだからうちは金山だということで、そんな意気込みで頑張っているのでありますけれども、そうであれば、平泉ができたのは大体一一〇〇年ごろだから、じゃ、そのころに地震があって、またあったのかなという、そんな、今やりとりの中で聞いたわけなのでありますが。

 いずれ、私の選挙区なのでありますが、西の端、東の端は太平洋ということで、これがまた、宮城県沖地震がこの三十年の中で九九%の確率で起こるということで、実は地震になったとき、宮城県沖が来たな、もう津波だというふうな感じで思ったんですよ。ですから、選挙区の中で、自治体の防災に対する意識というのがかなり違うんですよね。そういうところもちょっと聞いてみたいと思います。

 例えば、防災行政無線の整備とか、あるいはまた住民の意識も違うわけでありますが、科学的知見でもっていろいろな情報を出してもらうことはありがたい、ただ、それがひとり歩きをしちゃって、〇・一から三%だからまあ安心かなというと自治体の政策の優先順位もまた違ってきたりしますので、これはもう人知の及ぶところじゃなくて、自然災害に対してどうやって科学的知見で頑張っていくかというところもあるのでありますけれども、その辺も十分に加味していただきたいと思います。

 それで、未知の活断層の調査ということで、これからの取り組みといいますか、抜本的に見直していくのか、ちょっとお聞きしたいと思いますし、それから、海溝型地震ということで、何かその辺もしっかり調査するという話も聞いておりますけれども、御答弁いただけますか。

青山政府参考人 お尋ねの地震調査についてでございますけれども、これまで十年間進めてまいりました計画が本年度で終わりますので、次の新しい基本的な施策の策定という作業を今、地震調査研究推進本部では進めているところでございます。

 その中で、活断層の調査につきましては、当面十年間に取り組むべき重要な施策と位置づけられており、沿岸海域それからひずみ集中帯を中心とした未調査の活断層の評価の高度化、あるいは、調査対象に位置づけられてこなかった短い断層や地表面にあらわれていない断層の評価の進め方などについて検討をしているところでございます。

 私ども文部科学省といたしましては、これらの地震調査本部の方針を受け、関係機関と連携協力しながら、被害の軽減に資するように活断層の調査研究に取り組んでまいりたいと考えてございます。

 また、海溝型地震につきましても、特に東海、東南海の連動というようなことも含めて、被害を及ぼすような非常に大きな地震が起こる可能性がございますので、引き続き進めてまいります。

黄川田委員 世界的に見れば地震に関しては先進国だと思いますので、またさらなる英知を結集して、しっかりと取り組んでいただきたい、こう思います。

 それでは、大きな揺れが来る前に地震発生を知らせる緊急地震速報の関係なのでありますが、これはしっかりと機能したということでよろしいんでしょうか。

平木政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の地震では、地震検知の約四秒後に、岩手県全域や宮城県、秋田県、山形県の一部に対して、警報であるところの緊急地震速報を発表いたしました。

 残念ながら、震度六強を観測した岩手県奥州市、宮城県栗原市では、発表以前あるいはほぼ同時に強い揺れが到達いたしました。しかし、例えば震度五弱を観測しました仙台市宮城野区では十五秒の猶予時間があったなど、他の地域では強い揺れが到達するまでに数秒以上の猶予があったところもございました。これらは、緊急地震速報システムが当初から想定しました機能を発揮したというふうに理解しております。

 今回、震度四を観測した秋田市で緊急地震速報を聞いたという家庭において、テーブルの下に隠れ身の安全を確保したという報道がなされております。また、震度五弱を観測しました宮城県大衡村にある工場では、強い揺れが到達する前に製造機械を停止したとも聞いております。

黄川田委員 具体的な事例があるでしょうから、どのように伝えられ、それをどのように利用したかということは、これは経験といいますか、こういうことを積み重ねていくことによって技術革新も進むでしょうから、しっかりとそこが住民に伝わるような仕組みに鋭意努力していただきたいと思います。

 ただ、マスコミといいますか、テレビ等でも出ますよね。そうすると、NHKなんかは多分義務で、公共放送として自動的に速報で出るんでしょうけれども、民放の場合は、手動でやったとか、自動で送るシステムがないとか、大げさな発表をしちゃってかえって我々が困るとか、いろいろなことがあるみたいなのであります。

 もちろん、NHKと民放それぞれ、放送事業者としての取り組みは違うんでしょうけれども、やはり防災、災害対策は、民放であれNHKであれ共通したところがあるんじゃないかと思っておりますので、その辺はどう認識されるでしょうか。

平木政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、NHKに対しましては、気象業務法に基づきまして放送する義務がございます。そして、今御指摘のとおり、民放につきましては、防災報道という中で御協力をいただいているところでございます。

 しかし、双方とも、国民に情報を伝える上では非常に重要なメディアでございますので、引き続き協力をお願いして、住民にできる限り十分に伝わるように進めてまいりたいと考えております。

黄川田委員 それでは、もう一方の防災行政無線の関係です。

 いち早く情報を各住民が取り入れるための施設なのでありますけれども、この整備状況、防災行政無線は、同報系といいますか、固定されて放送されるのと移動系があると思いますけれども、全国の普及率はどのようになっていますでしょうか。それから、普及の地域的な偏りといいますか、そういうものがあるのかどうかも含めてお尋ねいたします。

岡山政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもが持っております平成十九年三月末の数字では、同報系につきましては全国の普及率は七五・二%、移動系につきましては全国の普及率は八五・二%でございます。

 地域的な傾向についてのお尋ねでございますけれども、例えば同報系ですと、東海地震防災対策強化地域の市町村の場合は八八・四%、東南海・南海地震防災対策推進地域の市町村の場合は七七・四%、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震防災対策推進地域の市町村の場合は七六・五%でございまして、これらの地震対策を推進すべき地域では、全国平均よりも高い普及率となっております。

 いずれにいたしましても、全国の防災行政無線の整備を進める必要がございまして、そのための財政支援措置として、地方債が充当できます防災基盤整備事業の対象としております。デジタル方式につきまして整備を図るものにつきましては優遇措置を設けているところでございまして、引き続き所要の財政支援策を確保することによりまして、一層の整備促進に努めてまいりたいと考えております。

黄川田委員 お話のとおり、海岸線はやはり津波対策といいますか、みんながみんなテレビを見ているわけじゃないですから、外に出ておったり、いろいろな方々に瞬時に情報が伝わるという防災行政無線の役割は大きいと思っておりますし、それから、今、国策でアナログからデジタルということでさまざまな事業を展開しておりますので、それとあわせてしっかりとした補助事業もつくっていかなきゃいけない、こう思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 それで、防災行政無線の整備率は順次高まっているのでありますけれども、全国瞬時警報システムですか、Jアラートというのでありますか、防災行政無線を通じて大地震が来ますよというふうな放送があるわけなのでありますけれども、防災行政無線を設置しているところでは、全部こういう仕組みといいますか、衛星から通信が来て発表できるというような状況になっているんですか。防災行政無線は設置しているんだけれども実はJアラートのシステムには取り組んでいなかったとかというところもあるんでしょうか。その辺の導入状況とかをちょっとお尋ねいたします。

岡山政府参考人 全国瞬時警報システム、Jアラートにつきましては、平成二十年六月現在、全国では、四十一都道府県、六十一市区町村の計百二団体において、情報の受信及び同報系防災行政無線の自動起動が実施をされておりまして、そのうちの五十五の市区町村において、緊急地震速報について自動起動するということになっております。

 また、今年度中には、ただいま申し上げたものも含めまして、約四百の地方公共団体で整備される見込みとなっております。

 今回の地域について見てみますと、地震発生時の六月十四日の時点におきまして、Jアラートが設置されていて、緊急地震速報の予測震度五弱以上で自動起動するよう設定されていました団体は、岩手県の陸前高田市、宮城県栗原市及び山形県庄内町でございまして、いずれも自動起動し、同報無線により大地震が来る旨伝えられましたが、強い揺れの到達後でございました。

 栗原市につきましては、震源地に近接しておりますことから緊急地震速報が間に合わなかったものでございます。陸前高田市につきましては、緊急地震速報第一報から約五秒後に発表されました第五報によりまして予測震度が五弱となりまして、庄内町につきましては、約十九秒後に発表された第七報によりまして予測震度が五弱となりまして、それを受けてから同報無線が自動起動いたしまして大地震が来る旨を伝えましたために、強い揺れの到達後となりました。

 総務省消防庁といたしましては、緊急地震速報受信後、同報無線が自動起動するまでの所要時間の短縮などについて今後さらなる検討を行ってまいりますとともに、Jアラートの普及促進にも努めてまいりたいというふうに考えております。

黄川田委員 そのとおり、地震の揺れと防災行政無線の放送が同時進行で起きているような状況でありまして、震源も八キロとちょっと浅かったり、いろいろなところがあったんでしょうけれども。ただ、繰り返しますが、津波対策という形の中で必ず効果を発揮すると思いますので、まだ導入状況もちょっと低いような気がしますので、しっかりと対応していただきたい、こう思います。

 それでは、次に移ります。

 激甚災害の関係なのでありますけれども、市街化区域がやられたというよりも、中山間地、山地がやられたということで、被害の多くは林地の崩壊といいますか、そういうものが額として出てくるわけなのであります。ですから、公共土木工事や住民の生活に密着したというような復旧工事とか、そういうものであれば比較的災害の額として査定されていくんでしょうけれども、伊藤委員さんもお話しされていましたけれども。

 それで、林地荒廃の関係は、栗原も、一関、奥州も、栗駒山のふもとということで、いい山で、それからいい温泉地もあってということで、地球温暖化対策といいますか、CO2の吸収源にもなっているわけなのであります。本当に森林の公益的機能を発揮できるというようなことになっておるのでありますけれども、多分、激甚災害の査定の中ではこういう被害の額は対象にならないような気がするんですが、この辺、ちょっと確認したいと思います。

加藤政府参考人 激甚災害制度につきましてですが、この制度は、各省庁がそれぞれ所管しております施設等の災害復旧事業等に関する特例措置を定めているものでございます。

 御指摘の林地荒廃に関します復旧事業についてでございますが、これは、激甚災害法の対象事業とはされておりませんが、当該事業を所管いたします農林水産省におきまして、別途の法律等に基づきまして復旧事業が行われているものと承知をいたしております。

 いずれにいたしましても、どの事業を激甚災害法の適用対象とするか否かにつきましては、所管省庁において災害復旧に係る既存の制度及び補助事業のあり方をよく御検討いただく必要があるものと考えておりますけれども、その上で、内閣府としてできることがあれば検討してまいりたい、このように考えております。

黄川田委員 内閣府は、地域再生とか特区とか、いろいろな事業をいっぱい集めて、自分たちが指揮命令するんだというような形でやってきているんですから、各省庁のお話を聞いて交通整理しますというような、そういう考え方だと、中山間地、山間地というのは、過疎対策法、議員立法ですが、十年の時限立法ですが、二十一年度には切れるわけですよね。そういう中で、そういう地域をどうやっていくかというところのさまざまな議論とかは、まあ昔から総務省がやっているから総務省の担当ですなんて、そういう言い回しじゃなくて、もっと内閣府が主体的にかかわってもらわなきゃいけないと思っているんです。

 泉防災大臣、どうですか、通告は何もないのでありますけれども、もう現場に行ってこられましたし、よくよくあの付近は御理解されているはずでありますので、議員になったときからわかっていると思いますので。

泉国務大臣 今統括官から御説明を申し上げましたように、現段階ではこの対象にならないということは御理解をいただかなきゃならないと思います。

 ただ、今回のような山間地の災害の中で大きな森林被害等が出てきておる実態を踏まえて、これをどうするかというのは、確かに、ほっておいてもいいのかどうか、これから我々も議論をしていかなきゃならないと思います。

 国有林であれ民有林であれ、森林の役割というのは大きなところがございますが、なかなか、御指摘のように、例えば民有林はどうするのか、国有林だったらどうなのか、こういう議論をやっていくことは、我々としてもかなり力が要る仕事でございますので、重要性は十分認識しておりますが、しばらく時間をかしていただければと思います。

黄川田委員 時間も押しておりますので、あわせて二つお尋ねいたします。

 消防組織法が改正されまして、緊急消防援助隊の機動力の強化がされた。それから、今回も法改正の中で、指揮命令系統をしっかりやろうということで、ただ、これは施行令がまだ期日が来ていないのでそのとおりではないのでありますけれども、それを前提に行動されたと思うんですが、それらの件。あと、市町村間で災害復旧支援を主体とした応援協定なんかも結んでおると思うのでありますが、この件。二点、お尋ねいたします。

岡山政府参考人 緊急消防援助隊についてのお尋ねでございますが、平成七年六月の創設以降、これまで二十一件の災害に出動しておりまして、平成十六年の法制化以降は、平成十六年、新潟県中越地震を初め、平成十七年、JR西日本福知山線列車事故、平成十九年の能登半島地震、新潟県中越沖地震、そして今回の岩手・宮城内陸地震など、十一件の災害に出動しております。

 今回の地震は、岩手県奥州市、一関市及び宮城県栗原市などを中心に、二県にまたがり被害が生じております。このため、緊急消防援助隊の指揮命令系統などにつきましては、消防庁と岩手県、宮城県の緊急消防援助隊調整本部が緊密に連携することによりまして、岩手県の被災市町村に出動した部隊の一部を宮城県の被災市町村へ円滑に移動させるなど、複数県にまたがる広域的な災害時の指揮命令系統や部隊編成について、消防庁として積極的な調整を行い、効果的な部隊運用を実施させていただいたところでございます。

 今後は、法改正の趣旨を踏まえまして、関係機関との連携などに関する実践的な訓練を行いまして、機動力の一層の向上に努めていく所存でございます。

 また、市町村間の応援協定についてでございますけれども、御指摘のとおり、大規模地震による被害は広域にわたりまして、かつ甚大なものとなることが予想されますため、地方公共団体は、団体相互間で震災時などにおける相互応援協定などを締結いたしまして、広域的防災体制の確立に努めているところでございます。

 市区町村間の相互応援協定を締結している市区町村数は平成十九年四月一日現在で千四百七十二となっておりまして、うち、他の都道府県の市区町村との協定を締結している数は七百九十五となっております。

 消防庁としても、平成十六年の新潟県中越地震において被災地外からの人的、物的応援が有効であったことから、都道府県の区域を越えた市町村も含め、できるだけ多くの市町村との協定締結に努めるよう通知をしているところでございまして、引き続き、広域的防災体制の確立のため、このような協定締結について要請をしてまいる所存でございます。

 今回につきましては、栗原市について、東京都あきる野市との協定に基づきまして職員の派遣等が行われているというふうに承知しております。

黄川田委員 国会は法律をつくるところなのでありますが、その法律が生きた法律になっているかどうかということで、大分動きが活発だということで、引き続き指導なり助言をお願いいたしたいと思います。

 それでは、具体の復旧工事について一点お尋ねいたします。

 岩手の一関市の磐井川の関係なのでありますけれども、先ほど伊藤委員さんへの御答弁で、国直轄が河川の関係で六カ所ですか。多分、うちの岩手で、磐井川であれば二カ所、市野々原地区と産女川地区だと思っております。もう作業、調査が同時進行で動いていると思います。

 いずれ、土砂ダム、せきとめ湖の関係なんですが、これがすべて危険だとは申しませんが、梅雨入りしてどうも二次災害が心配だなというところがありますので、磐井川水系、これは、総合的に見て危険度の高さをどう評価しておるのか、それから、河道改善など応急工事、復旧見込み等々、見通しがわかれば、お尋ねいたします。

甲村政府参考人 お答えいたします。

 磐井川筋におきましては、全部で五つの河道閉塞を確認しております。それの緊急性の判断でございますけれども、河道閉塞している規模、あるいはそこにたまっている水の量、それから想定される被害等を勘案するとともに、工事を実施する順番でございますけれども、上流からやりますと、上流にたまった水や土砂が下流の河道閉塞のところに流れ込んでさらに危険になるということで、工事の手順としては下流からやっていくということを基本にして現在やっているところでございます。

 御指摘のとおり、磐井川筋では、市野々原地区につきまして、現在、二十一日に緊急仮排水路の開削が終了して、せきとめられていた水の通水が始まっております。もう一カ所、産女川地区におきまして、上流から大きな崩壊があった場合に下流の砂防堰堤でその土砂をとめるということで、除石工の現地着手を今準備しているところでございます。

 これら以外の河道閉塞箇所でございますけれども、現時点では差し迫った危険性はないと考えておりますけれども、今後の対応につきまして、県及び関係機関と協議して対応してまいりたいと思いますし、また、既に梅雨期に入っておりますことから、雨量の状況、水位の状況等を見て、現地作業員の安全確保並びに下流の住民の安全確保を図ってまいりたいというふうに考えております。

黄川田委員 いずれ、災害復旧、時間はちょっとかかるような気もします。国と県の役割分担とか、さまざましっかりやっていただいて、できるだけ国が主導でお願いいたしますし、それから、技術的な知見といいますか、国はさまざまな研究所を持っておりますので、専門家の派遣を含め、万全な態勢をお願いいたしたいと思います。

 それでは、最後に、観光資源の復旧等ということでお尋ねいたしたいと思います。

 泉防災大臣もお友達だったかもしれませんが、自由党時代の菅原喜重郎先生、国会議員を勇退されましたけれども、そのかわり私が出てきたようなものなのでありますけれども、勇退された後、被災地の祭畤というところに日帰り温泉で何とか観光振興に役立てようということで、平泉の世界遺産登録とかいろいろな動きがあるだろうということで、さまざま段取りしたところなのであります。

 それから、現地、見たとおり、奥の方の温泉は半年でもうけなきゃいけないんですよね、冬は冬期閉鎖になりますので。喜重郎先生のところは冬期閉鎖までいかないのでありますけれども、国会議員がやっているからどうとかということではなくて、中小企業といいますか、人が点々としておりますので、本当にこの地域で頑張ろうという人たちがさまざまかかわっておるわけであります。

 そこで、建物とかあるいはまた給湯とか、いろいろな復旧、大変な状況があるわけでありますけれども、被災していればそれなりの対応策、支援策というのがあると思うのでありますけれども、これは大型温泉地ということでもないわけで、弱い人たちが地域を支えてやっているというところがありますので、その辺の支援策、これは経産省の中小企業庁かなんかで御答弁は対応できるのでありますかね、お願いいたします。

岩井政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省におきましては、今回の地震で被災された中小企業の皆様への対策ということで、政府系中小企業金融機関や商工会連合会、商工会議所等にまず特別相談窓口を設置させていただきまして、政府系中小企業金融三機関におきます災害復旧貸し付けの適用でございますとか、小規模企業共済災害時即日貸し付けの適用というような措置をとらせていただいているわけでございます。

 この対策は御指摘がありました温泉といったものも当然含んでおるわけでございますが、この相談窓口には、建物自体はほとんど被害がなかったんだけれども、温泉パイプが破損してしまったために当分休業を余儀なくせざるを得ないですとか、キャンセルがあってなかなか大変だというようなことで、早速御相談をさせていただいているわけでございます。

 その意味では、金融面でも、具体的な復旧をしていただきます設備資金でございますとか、休業等があります場合の運転資金の貸し付け、あるいは、具体的に御相談いただいていますのは、もう既にお借りになっている金融の措置をどういうふうにさせていただくのかというような、具体的な御相談も寄せられているところでございます。

 こういった窓口に寄せられました御相談を初めといたしまして、私どもは、中小企業の皆様方の支援を、関係機関とも協力して万全の態勢で行ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。

黄川田委員 答弁にあったとおり、まず、キャンセルが岩手で二万人ぐらいあるんですよね。それから、新規予約がなかなかない。地震があったところと岩手が全部同じような感じで外から見られておりまして、いや、まだまだ元気な温泉場がいっぱいあるんだということで、東京とか神奈川とか、最近は上野で頑張ろうというような形でやっているのでありますけれども、能登半島地震とかで、あそこも観光地ですから、そのときに頑張り切れたというところを生かすようなさまざまな情報提供とか、お願いいたしたいと思います。

 結びでありますけれども、二次災害、土石流というのを地元一関市の人たちは大変心配しているんですよ。

 戦後、アイオン台風というのがありまして、大雨で土砂崩れになって河川がふさがれて、それでどんどんたまってきて、六十年以上前ですから情報がなかなか入ってこなくて、夜に決壊して下流に流れてきて、四百七十三人が亡くなり、それから家屋もたしか千七百戸ほど流失しているというようなところがあるので、今現在、同じところがせきとめられているという状況なのであります。政府は、全力を挙げて、市民が安寧して眠られるように頑張っていただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 私も、ちょうど八日目でありましたが、委員長を先頭に、現地へ行かせていただいた一人であります。現場に行きまして一番感じましたのは、一関はある意味で復興という段階も見える状況でありましたけれども、栗原市においては、いまだ八名の行方不明者もいる、新たな避難勧告が出るなど、まさに災害の真っただ中だったな、こういう感じを持っております。きょう、委員各位とともどもに、今後二次災害が起きないことを本当に祈りたい、そんな思いでいっぱいでございます。

 一点目は、泉大臣、もう事務方とやるのはやめます、どこに行ってもイの一番に言われたのは、激甚災害であります。

 きょうは私は委員長に成りかわって主張申し上げたいわけでありますが、先ほどからの答弁を聞いておりますと、基準の話であるとか、それから対象事業の話であるとか、あるいはなかなか力が要る仕事だ、このようにおっしゃいました。きょうのこの委員会は、現地の両県の知事さん、副知事さんあるいは両市長さん、大変関心を持って見ておられると思います。我々災害対策特別委員会挙げて努力をしたいというふうに思いますので、ぜひとも、力が要るけれども私には力がある、これぐらい叫んでもらいたいな、こう思っているわけであります。

 と申しますのは、確かに基準というのはあるんだろうと思いますが、局激、本激いろいろあるんでありましょうが、既に十四日から、直ちに内閣府では、両県に対して、被害の見込み額を六月中に吸い上げる、まとめるという作業もされておられるようでありますし、最近は、激甚災害、先ほど林地の荒廃の部分のお話もありましたけれども、新たな対象事業等もいろいろ工夫をされておられるようでありますから、我々、この災害対策特別委員会も挙げて努力をしたい。もちろん与党としても努力をしたいと思っておりますが、ぜひとも努力をする、こういう姿勢、早期に結論を出す、時を失してはならない、こういうお話を、御決意をぜひ賜りたい、このように思います。

泉国務大臣 激甚の指定につきましては、先ほど来お答えを申し上げておりますように、まず、何をさておいても被害の額を想定しなければならない。このために、私どもは、発災の翌日に、今御指摘いただきましたように、関係機関に、早く想定額を出すようにということで、一応二十七日の十二時までに額を出すようにということをお願いしておるわけです。

 その際、自治体は恐らく大変忙しいので国の機関も手伝いをするように、あるいは、どうしてもできない場合には写真等でもって被害額を想定するように、こういう一刻も早く被害額の想定ができるようにということを今やっておるところでございます。

 したがって、この指定を受けるかどうかが決まることが、自治体の皆さん方には、手持ちの資金をどう使っていくかというような大変有力な材料になるということも承知をいたしております。ですから、最終的な結論が出る前にでも、もし、想定額の中でほぼいけそうであるとか、残念ながらとても無理だというようなことがあれば、そこのところはできるだけ早く関係自治体の皆さん方にも御連絡を申し上げて、次の手をどう打っていくかの参考にしていただけるように努力をしたいと思っておるところでございます。

桝屋委員 ぜひともよろしくお願いいたします。

 どこかの大臣がなかなか難しいんではないかというようなことをおっしゃったとか、それが現場に流れておりまして、委員長を中心に私どもは栗原市の市役所へ参りましたけれども、本当に災害真っただ中の皆さん方の、それぞれ各省からも応援が行っておりまして、大変な態勢でおやりになっているあの方々の気持ちを思いますときに、ぜひとも前向きな取り組みをお願いしておきたい、我々も努力をしたいというふうに思っております。

 それから二点目が、きょう、もうテーマは全部前の人が言っちゃったものですから、私、質問を変えざるを得ないのでありますけれども、河道閉塞は直轄事業で六カ所おやりいただいている。十五カ所の中で六カ所ということでありまして、万全を期していただいているなというふうに思ったわけであります。

 我々は、一関の三百四十二号線沿いの例の磐井川の状況、それから栗原市の三百九十八号線沿いの状況を見させていただきました。いずれも、橋の破損あるいは道路の通行どめなどでそこから先へ行けなかったわけであります。今回、残念ながらヘリコプターも飛ばなかったわけでありまして、本当に残念だったなと思っておりますが、重機の搬入も困難な状況もあり、それから燃料の搬入とか、本当に大変な状況だろうなと思っております。

 一点だけ確認をさせてください。事務方で結構ですが、十五カ所のうち六カ所直轄でおやりになっていますが、残った分について、ぜひ直轄でやってくれという現場からの要請が出ているかどうか、もし情報がありましたらお答えをいただきたいと思います。

甲村政府参考人 お答えいたします。

 河道閉塞箇所は十五カ所ございまして、現在、六カ所を直轄でやっております。それ以外の箇所でございますが、今後の対応につきまして、現在、県及び関係機関と協議している段階でございます。そういう中で、また県なりから強い要望がございましたら、また緊急性がございましたら対応してまいりたいというふうに考えております。

桝屋委員 今のところはまだそういう段階ではないということですね。うなずくかどうかだけでいいですよ。

甲村政府参考人 現段階ではということでございます。今後の状況等も見ながら、県としっかり相談してまいります。

桝屋委員 我々派遣団に対しても、ここをということはありませんでしたけれども、さっき申し上げた、重機も入らない、人も行けないというような状況の中で、やはり県、市町村、しっかり連携をとっていただいて、必要であれば次の対応もぜひお願いをしておきたいというふうに思います。

 栗原の方は、素人目で、ダムがあるから私はまだ多少安心かなと思っているんですが、一関の方は、先ほど同僚の委員からの話がありましたように、地元の方々は、これからの雨季、雨量に備えて大変懸念を持っておられるだろうと思います。

 それからもう一点、これも話題が出ましたけれども緊急消防援助隊の応援体制。これは、私は、今回ヘリコプターをあれほど導入していただいたということはよかったなと。過去の災害の経験が十分生かされていた。朝八時四十三分という時間帯もよかったのでありますけれども、本当に航空部隊の実力を発揮できたなと思っております。

 一部新聞報道等によりますと、県境を越えた緊援隊の導入について、当然震源地の岩手に向かったとさっきお話がありましたけれども、途中から宮城の状況が入り、そちらへという状況もあったようでありますけれども、今回、先ほど話が出ましたように、消防法、消防組織法の改正もしたわけで、まさにこの改正を見越したような災害が起きたわけであります。

 とりわけ県境を越えた緊援隊の派遣、これについて、今回どうであったのか。今回の法律改正では、調整本部を各県に設置してしっかり国と調整をしながらやっていく、こういうことであったんですが、私は、うまくいった、本当によくやっていただいたな、こう思っておるんですが、もう一度確認をさせていただきたいと思います。

岡山政府参考人 先生からお話がございましたとおり、今回の地震は、岩手県奥州市、一関市及び宮城県栗原市などを中心に、二県にまたがり被害が生じておりますが、消防庁では、十四日の九時二十三分に岩手県から応援要請を受けまして、当初は、すべての緊急消防援助隊の部隊を震源地の岩手県に向かわせました。これは、震源地周辺に被害が多いという過去の教訓に基づきまして、ある程度予測して行動を起こし、その後の被害情報などによりまして適宜修正した方が迅速に対応できるとの判断をしたものでございます。その後、十四日十一時三十八分に宮城県からの応援要請を受けまして、被害状況を把握しながら、岩手県に向かう緊急消防援助隊の陸上部隊を岩手県奥州市、一関市及び宮城県栗原市の被災地に部隊配備したところでございます。

 また、両県に設置されました緊急消防援助隊調整本部に消防庁から各二名を派遣いたしまして、積極的に両県の調整を行うことによりまして、岩手県の被災市町村に出動した部隊の一部を宮城県の被災市町村へ円滑に移動させるなど、さきの通常国会で御審議いただきまして改正されました消防組織法の趣旨を踏まえまして効果的な運用を実施したというふうに考えているところでございます。

 今後とも、複数県にまたがる広域的な災害につきまして、消防庁として積極的な調整を行っていきたいというふうに考えております。

桝屋委員 ありがとうございます。

 一部報道では、県境を越えた緊援隊の派遣については課題が残るというような報道もありましたけれども、そこは効果的に対応ができた、こういうお答えかなと思っております。

 それに比べて、これは質問でも何でもありませんが、大臣、自衛隊、何かきのうの報道によりますともう引き揚げるという話がありました。私は、ちょっと早過ぎるんじゃないかな、もう少し頑張っていただきたいなと一人で思っているわけでありますが、これは質問でも何でもありません。

 それで、もう一点、大臣とどうしても議論したいのは、今回現地を見てつくづく思ったんですが、中山間地域の地震対策であります。

 とにかく取り残された集落、今回もそうでありますが、普通だったらすばらしい温泉地だったんでしょうが、そういうところが孤立をするというような状況になったわけでありまして、この点は、新潟県の中越沖地震を受けて、内閣府では、平成十七年に中山間地域等の集落散在地域における地震防災対策に関する検討会というのを設置されて、これは提言も出されている。あわせて、内閣府が、全国のこういう孤立する可能性のある地域、都道府県を通じて調査をされて、一万七千カ所という数字も明らかにされているわけであります。今回の現地を見て、この対策が極めて重要だ、改めて一万七千カ所を、いい機会でありますから総点検をすべきではないか、私はこう思っているわけであります。

 私も提言を読ませていただきました。大変重要な提言が、今すぐやるべきこと、それから今後中長期で取り組むべきこと、整理されておりまして、これがきっちり行われているかどうかということは私は非常に大事だなと思ったわけであります。

 時間もありませんから一点だけ議論しますと、例えば集落と市町村間の通信確保ですね。孤立している、その災害の情報が、中央の情報だけではなくて、現場から役所に、役場に上がる、そして国にも伝わっていく、こういう双方向の体制が本当にとられているかどうか。

 その提言では、例えば浜松市あたりは自主防災会全部に衛星携帯電話を配備するというような事例が紹介されておりましたけれども、今後の対策として、きょうはその点だけ確認したいんですが、市町村の防災行政無線の充実化、先ほども議論がありましたが、例えば双方向の通信が可能なデジタル化というようなことが必要だと思いますが、この点は十七年の提言を受けて今どんなふうに進んでいるのか、事務方で結構ですが、お答えをいただきたいと思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生御指摘のとおりでございまして、提言といたしましては、衛星携帯電話等の通信手段の確保ですとか、あるいは水、食料等の備蓄の整備拡充、ヘリコプターの離着陸適地の確保といった中山間地域の孤立集落対策の推進を図るよう要請をしているところであります。これに基づきまして、私どもも、各県の消防防災危機管理担当部局にその調査結果を提供いたしまして、その上で、各種の対策をいろいろ講じてほしいという要請を既に行っているところでございます。

 ただ、今御指摘いただいたように、私どもとしても、今後、今申し上げた検討会の提言がどの程度実施されているか、それをこの機会に改めてフォローアップを行った上で、適切な対応、それだけでいいのか、もっと新しい対応をとる必要があるのか、具体的にそれを推進するためにはどういう具体的な手法が考えられるのか等々といったことも含めて検討していきたいというふうに考えております。

岡山政府参考人 デジタル防災行政無線についてでございますけれども、消防庁といたしましても、孤立集落とも連絡をすることができますデジタル系の同報無線の整備を推進させていただいております。従来のアナログ式の同報無線では情報伝達が一方通行でございましたけれども、デジタル方式では先生おっしゃいますとおり双方向通信が可能でございまして、例えば屋外の拡声子局、スピーカーのサイドから役場へ連絡することが可能となっております。

 消防庁といたしましては、整備に関しまして引き続き所要の財政支援策を確保することなどによりまして、一層の整備促進に努めてまいりたいと考えております。

桝屋委員 消防庁は実態を言われなかったけれども、十七年の提言というのはつい最近です、今からやるんです、こういうことではないかなと私は思っております。

 大臣、何を言いたいかというと、一万七千カ所、これは限界集落という議論もありますけれども、ぜひ自治体とよく相談をいただいて、それぞれ、あの提言の中では、通信の確保、道路、ライフライン等寸断への対応、あるいは物資供給、救助活動などなど、幾つかの項目がある、私は、新しいものを今からもう一回点検して見直すということよりも、まずは十七年に提言されたことをしっかりやるべきだと。これは、十七年の提言を分析、幾つかのファクターを置いて、それぞれ点数ぐらいつけて、一万七千がどこまで行っているか、いつまでにこの一万七千カ所を、何カ年計画で少なくともここまでは持っていくぞというような大胆な取り組みが必要だろう、今回の地震の教訓としてぜひともそういう取り組みをお願いしておきたいな、私はこう思うんでありますが、大臣の御見解を聞いて終わりたいと思います。

泉国務大臣 委員から大変いい御指摘をいただいたと思っております。私も、今回の地震を踏まえて十七年の調査結果等よく分析をしてやっていかなきゃならない。ただ、山間地だけじゃなくていわゆる漁業集落も日本にはあって、ここも孤立化するおそれがありますので、これを含めて具体的にどうしていくか、国としてどういうことをやっていく必要があるのか、それとも自治体だけでやっていただけるのか、そういうことを踏まえて対応をこれからやっていきたいと思います。

桝屋委員 終わりますが、厚生労働省、済みません、時間がなくて議論できませんが、仮設住宅にあわせて心のケアということについても十分念頭に置いてお取り組みをしていただきたい。お願いを申し上げて質問を終わります。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 まずもって、このたびの岩手・宮城内陸地震におきまして犠牲になられた方々の御冥福を心からお祈りするとともに、御遺族へのお悔やみを申し上げたいと思います。また、今なお行方不明の皆さんの救出と被災された方々が一日も早くもとの生活や生業を取り戻すことができるように願うとともに、全力で私たちも頑張りたいと思っております。

 六月十四日の発災日当日、私は奥州市に入り、十五、十六日と、一関市、栗原市を中心に地元の議員さんたちとともに歩いてまいりました。また、泉大臣もいち早く現地に飛ばれて対策本部の指揮をとられたということも承知をしております。危険な土砂崩れ箇所での救助に当たられている皆さん、また不眠不休で対応されている地元職員の皆さんにも心から敬意を表したいと思います。

 今回の地震が、四年前の中越地震でクローズアップされた集落が散在する中山間地域で起こったということが大きな特徴の一つだと思います。

 ヘリコプターで救出された孤立集落の一つである一関市厳美町の避難所、本寺小学校に行きました。ここは、きょうにも、新しい避難所である旧山谷小学校跡地に移る準備がされております。ここで七人家族の被災者からお話を伺いました。お孫さんと二人で窓から脱出をしたこと、もともと携帯の通じない場所であること、電話も電気も通じず困ったこと、家の前で観光バスが立ち往生し、バスの乗客が水を下さいとかトイレを貸してくださいと来たんだけれども、水も出ないし何も助けてやることができずに困ったことなど、瞬間の混乱ぶりがうかがえました。

 先ほど桝屋委員も紹介されましたけれども、今、中越地震の際孤立した六十の集落、これと同様の地勢を有する集落が全国で約六万に上り、そのうち一万七千が孤立する可能性があると指摘をされています。〇五年八月の中山間地等の集落散在地域における地震防災対策に関する検討会報告書では、こうした事態に着目をし、交通手段が途絶した孤立集落と外部との通信の確保が最重要と指摘をされています。今回も課題が浮き彫りになったと思いますけれども、どのように改善を進めていくのか、伺いたいと思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生が御指摘されました十七年八月の検討会の提言についてでございますが、防災関係の通信につきまして、ポイントとして三つのことが言われていたというふうに認識いたしております。

 一つは、防災無線、防災行政無線の拡大についてでございます。これにつきましては、全国市町村の同報系防災行政用無線局の整備率が、十六年九月の六七・八五%が直近の二十年三月末には七五・六一%、移動系の防災行政無線につきましては八二・三一%から八四・九七%へ上昇しております。引き続き、防災行政無線の拡大に尽力していきたいと考えております。

 二点目でございますが、非常用電源の確保についてうたっております。この点につきましては、私ども、十八年三月に電波法関係審査基準を改正いたしまして、自家用発電装置の設置を義務づける制度改正を行っております。

 三点目でございますが、通信手段の多様化ということについて触れられております。この点につきましては、防災行政用無線局以外に、MCAという無線設備がございますけれども、この無線設備を災害用の情報伝達手段として取り入れるというような形での手段の拡充をいたしております。

 また、総務省自身といたしましても、あるいは携帯の通信事業者の方々などと連携をいたしまして、災害に遭われて孤立しそうな集落につきましては戸別に携帯電話あるいは衛星携帯電話を搬入してお使いいただくというような形で対応いたしておるところでございます。先生が御指摘されました小学校につきましても、携帯電話十台、衛星携帯電話二台が搬入されておるところでございます。この貸し出し用の備蓄機器の充実といったことについても、私ども、これからさらに取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

高橋委員 引き続いてしっかりとお願いしたいと思います。やはり固定電話の活用などということも、非常電源と同時に、例えば三陸の方などではもう既にNTTと協力をして始められている。それが、それこそ先ほどお話があったように、太平洋側は地震が近いということで着目をして進めていたが、実は今回は内陸で起こったということもございますので、そうした点での総合的な対策を強めていただきたいと思います。

 次に、今回の特徴は、被災自治体が合併で広域行政区となった地域での問題であるということが言えるかと思うんです。

 お配りした資料をごらんになっていただきたいと思います。これは、岩手県と宮城県の地図の中に、奥州市、一関市、栗原市のところにマークをしておきました。岩手県がもともと四国に匹敵するくらい広いんだということはかねがね言われているわけですけれども、二市三町村が合併した奥州市は九百九十三・三五平方キロ、一市六町村が合併した一関市は千百三十三・一〇平方キロ、そして十町村が合併した栗原市は八百四・九三平方キロということで、いずれも東京二十三区の六百二十一・四九平方キロを上回っているという状況で、これはいかに広いかがおわかりいただけるかと思うんです。行けども行けども、同じ市の中なんだけれども本当に遠いということを実感されたのではないかと思います。

 例えば衣川、かつては村だったところですけれども、ここの支所に行ったときに、一人一人の被災者の状況を細かく調査票に落としているんですね。調べた職員の名前も書いている。被災者の名前も書いている。油が流出した、合併浄化槽が破損した、家屋が傾斜して倒壊のおそれがある云々。いわゆる応急危険度判定や災害認定とも違う、もっと前の段階、個々の記録を残しておくことが、被災者の記憶がだんだん薄れていく、そういうこともあって、次の認定や修理、復興に向けての一助になるという考えを区長さんから伺いました。きめ細かな仕事は小さな行政区ならではのものであります。

 しかし同時に、ずっと山奥の水源をたどっていく作業は、厚い土砂の壁に阻まれて、支所の体制ではなかなか対応できない。人手も財源も、区長に権限もない、こういう状況がまさに合併の弊害として突きつけられたのではないかと思うんです。

 総務省から見解を伺いたいと思います。この合併の弊害についてどう対応していくつもりなのか。同時に、あわせて財政的にも、人的配置などに対して特別交付税措置などが手厚くされる必要があると思いますけれども、財政担当の方にも続けて回答いただきたいと思います。

門山政府参考人 お答えいたします。

 合併市町村の支所の体制についてのお尋ねにつきましてお答え申し上げます。

 平成十一年の四月一日から十八年の四月一日までの間に合併いたしました全国五百五十八の合併市町村の実態調査を行いましたところ、合併市町村におきます支所につきましては、やはり大きくなった自治体の中でいかにきめ細かい住民サービスを維持していくかということで、半数近くの市町村におきまして総合支所方式、それから三分の一ぐらいの市町村におきまして分庁方式を採用しております。また、それ以外の市町村でも、窓口サービス中心の支所を設けたり、あるいは出張所を設ける、こういったような対応がとられているところでございます。また、総合支所方式をとります市町村の中でも、例えば支所長に緊急時の避難勧告などの一定の権限を与えたり、あるいは予算枠を付与する、こういった事例もあるところでございます。

 一般的なお答えになりますけれども、合併市町村におきましては、やはり支所等の職員数を見直すということはやっているわけでありますけれども、逆に本庁においては専門的な組織を設置するといったようなことで、本庁機能の強化を図っているところでございます。これによりまして、地域の課題に対応して、住民の方々の安全、安心確保の対策などに積極的に取り組んでいただいているというふうに認識しているところでございます。

津曲政府参考人 今回の地震では、多数の住民が避難生活を余儀なくされるなど甚大な被害が生じており、被災した地方公共団体におきましては、応急対策や復興対策などさまざまな活動が行われ、そのための経費につきまして財政負担が生じることが見込まれております。

 特別交付税につきましては、一月一日から十月三十一日までの間に発生した災害につきましては、その年度の十二月分で措置することとしておりまして、今回の地震被害につきましては、その被害状況をよく把握した上で、平成二十年度の十二月分で適切に対応することとしております。

 総務省といたしましては、今後、被災した地方公共団体の実情や要望を十分お聞きいたしまして、地方交付税や地方債による地方財政措置を講じまして、その財政運営に支障が生じることがないように適切な算定に努めてまいりたいと思っております。

高橋委員 先に後半の方ですけれども、実情や要望をよく聞いてとおっしゃっていただきましたので、もともと人手や財政力がない中での災害であるということをよく踏まえた上で特段の措置をしていただきたいということを重ねて要望したいと思っております。

 今、総合支所があったりして一定の権限があるというふうなことをおっしゃっていただきました。権限についてはしっかりとお願いしたいと思うんですけれども、しかし同時に、先ほど紹介した報告書の中には、合併によって専門的な人材が確保され、地域防災力が増すと書いてあります。しかし、現実はどうかというと、合併して確かに大きくなったけれども、専門的な人材は依然としていないのだということが指摘をされているんです。そこをちゃんと見ていただきたい。

 奥州市はこの二年間で百八十人の職員が削減され、衣川は三十七人減っています。そしてまた、今は総合支所となっているところも、いずれは支所機能が縮小されるということははっきりしているんですね。そういう中で、ますますふえるこうした中山間地での災害にどうこたえていくのかが問われているのではないかということを強く指摘したいと思います。

 それで、そのこととも非常に関連するのが、災害の認定の問題なんです。今、応急仮設住宅の建設も始まりましたけれども、やはりいよいよ、もといた場所に戻りたい、再建をしたい、どうすればいいか、一人一人が選択を迫られることになります。

 今回、岩手・宮城内陸地震では、建物の応急危険度判定によって、赤紙、つまり危険と判定された家屋が六・五%だ、阪神の一三・九%、中越の一四・五%などと比べると小さいということが報道されて、新聞各紙が、全壊が少ない、建物の被害が小さい、こういうことを重ねて報道しているんですね。それは、一部には確かにあります。伝統工法で、昔ながらの工法でしっかりしている。しかし、それだけではないんです。今から被害が小さいと見るのは早過ぎないかと指摘をしたい。

 これは栗原の金沢地域というところで、赤紙が張られておりますが、いまだに認定はされておりません。土台が崩れ、壁が壊れています。実際にこういうところに住めるはずがないんです。このことをしっかり見ていただいて、被害の認定についてはまだ途上であり、今後、支援法適用の可能性は残されているということを確認したい。

 同時に、こうした基本的住居の機能が喪失していることにきちんと着目をして、認定をするに当たり、市町村にはなかなかその技術力が伴いません、そこに対しての支援も含めて、実態に応じた判断ができるように国がやるべきだと思いますが、最後ですので、大臣、一言お願いします。

泉国務大臣 今ここで市町村合併の目的等をお話しするということは差し控えておかなければならないと思いますが、合併をしてまだ時日がたっていない、その中で、集約化する、効率化するということを図っていかなければならないのが現状であると思っております。技術者につきましても、必要な部分を確保していかなきゃならない、こういうことを考えておられるものと思います。

 そこで、再建支援法等の被害の実態につきましては、まさに今調査中でございますが、先ほど来申し上げておりますように、きちんと現場を見て、本当に人間が住むことができるところなのか、それとも、これは形は整っておるけれども実態的な生活は難しいということなのか、そうした判断をこれからやっていきたいと思っております。

 我々としては、いろいろな手だてを考えてまいります。総理からも、おっしゃいますように、法律は法律として、法律がうまく機能しなくても、全力を挙げて支援をするようにという御指示をいただいておるところでございます。河川の問題もせきとめ湖の問題も、そしてまた農水省でやっていただいております田畑の問題につきましても、そういう総理の意向を受けて現在対処させていただいておると理解をしておるところでございます。

高橋委員 終わります。しっかりお願いいたします。

鈴木委員長 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 社会民主党の菅野哲雄です。

 冒頭、今回の岩手・宮城内陸地震で生命を失った十二名の方々の御冥福をお祈り申し上げたいと思います。また、被災された方々に心からのお見舞いを申し上げます。

 私も、地元で突然起こった今回の地震に対して、地震が発生した十四日、偶然にも栗原市にいたので、すぐ情報収集に当たり、さらには、本委員会の調査団が派遣された二十一日も含め被災現場に何度も足を運んでまいりました。

 地震発生から十日が過ぎましたが、梅雨を迎えて、土砂ダムがはんらんするのではないかと住民の方々はなお不安を募らせています。関係者のこれまでの昼夜を問わずの御努力に心から敬意を表しつつ、十名の行方不明者の発見を含め、災害からの復旧が一日も早く進むよう、万全の努力をお願いする次第であります。

 さて、今回被害を受けた各市の市長さんたちが大変に心配されていたのは、市町村合併を行ったため、局地激甚災害の指定から外れてしまうのではないかというものでした。市町村合併特例法の第十九条には、合併から五年以内は、合併による不利益を生じさせないとしています。合併で宮城県最大の面積になった栗原市についても、仮に栗原市全体が指定要件を満たさなかったとしても、旧町村単位で適用が検討されるという理解でいいのかどうか、お答え願いたいと思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 市町村の合併の特例等に関する法律におきまして、合併市町村における激変緩和措置が講じられております。御指摘の激甚災害の指定につきましても、合併年及びこれに続く五年間は、合併が不利益とならないように措置されているところでございまして、合併前の旧市町村単位で基準を満たすかどうかによって、激甚指定を行うかどうかが判断されるということになろうかと思っております。

菅野委員 たまたま、栗原市、奥州市、一関市は、まだ合併して五年たっていませんから、この適用を受けるというふうに私も理解しています。

 ただ、合併特例法の十九条においては、五年に限ってという限度がつけられています。私は、今回の地震を契機といたしまして、やはり局地地震という部分を考えたときに、合併した市町村が局地的に被害を受けた場合、五年以降もこの適用が受けられるような、そういう検討が国全体として進められていくべきだというふうに思っているんですね。この部分は大きな検討課題だというふうに私は思っておりますので、ぜひ今後とも検討していただきたい。このことに対しての答弁をお願いしたいと思います。

加藤政府参考人 先ほど申し上げましたように、合併年及び合併に続きます五年間は、旧市町村単位で適用の基準を当てはめるということでございますが、御指摘の五年を超えた後の取り扱いにつきましては、他の措置を含めた合併市町村における激変緩和措置全体の問題であるというふうに認識しておりまして、所管省庁においてこの点について検討が行われる場合には、御指摘の点も踏まえて、激甚災害担当部局として私どもとしても意見を言ってまいりたいというふうに考えております。

菅野委員 わかりました。

 次に移りますが、二十日に、全国の公立小中学校の耐震性について、三三・九%、実に三校に一校の建物の耐震性が不足し、震度六強で倒壊の危険性があると文部科学省から発表されました。

 今回の地震でも、岩手、宮城両県で被災した教育施設は二百六十二あったわけですが、見た目よりも校舎の内部の被害は大きく、地震が週末でなかったら、子供たちが学校にいるときに起こったらと思うとぞっとするわけですが、今後、学校の耐震化をどのように進めていくお考えなのか、学校の耐震化というのは早急に取り組まなければならない課題と思っているんですけれども、考えをお聞かせください。

岡政府参考人 お答えします。

 先生御指摘のように、平成二十年四月一日現在、公立小中学校施設の耐震化率の全国平均でございますけれども、六二・三%というところでございます。

 耐震化の推進策ということでございますけれども、このたび、国の財政支援措置を大幅に拡充した地震防災対策特別措置法改正法が公布、施行されたところであり、これを受け、文部科学大臣から地方公共団体に対し、大規模地震により倒壊等の危険性の高い約一万棟の公立小中学校等の施設の耐震化について、五年を待たずにできるだけ早期に耐震化を図ることなど、学校耐震化加速に関するお願いをさせていただいたところでございます。

 また、六月二十日には、キックオフミーティングを開催し、渡海文部科学大臣のほか、泉防災担当大臣、冬柴国土交通大臣にも御出席いただき、都道府県教育委員会及び都道府県建築指導部局並びに建築士の関係団体に対し、耐震化の加速と関係者間の協力を要請したところでございます。

 文部科学省としましては、今後とも、地方公共団体に公立小中学校施設の耐震化を加速するよう要請するなど、最大限努力してまいりたいと考えているところでございます。

菅野委員 学校の耐震化については、自治体の財政力が強く影響して、耐震調査さえも満足にできていない自治体もあると聞いています。通常国会では国の補助率をかさ上げする方向で法改正がされましたから、一刻も早く学校の耐震化を進めていただきたい、このことを強く申し上げておきたいと思います。

 さて、今回の地震、未知の活断層あるいは想定外の活断層が引き起こしたものではないかという報道があります。都市型地震や海溝型地震の対策は一定程度進められてきましたが、実際には、昨年の中越沖地震を含め、予想が難しい内陸部の直下型地震が大きな被害を生み出しています。

 そこで、評価を終えている活断層だけではなく、それ以外にも地震を引き起こす可能性のある断層について再調査し、被害の軽減に役立てるべきではないかと思いますが、先ほども議論されておりますけれども、改めて、その考えをお聞かせ願いたいと思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで、地震調査研究推進本部におきましては、関係機関の連携協力のもとで、発生する地震の規模が大きく、社会的、経済的な影響が大きいと考えられる主要な百十の活断層を対象とした調査及び評価を行ってきているところでございます。

 また、同推進本部では、活断層の評価手法の見直しに向けた検討も現在進めておりまして、これまで調査対象に位置づけられてこなかった短い活断層や地表面にあらわれていない断層の評価の進め方についても検討しているところでございます。

 今後、さらに同推進本部における検討が進みまして、一層きめ細かい断層の評価情報が利用できるようになれば、その成果を地震防災対策に活用していきたいというふうに考えているところでございます。

菅野委員 今、内閣府から答弁していただいたんですが、地震調査推進本部だけの取り組みじゃなくて、私は、やはり中央防災会議としてしっかりこの点を位置づけて全国的な調査を展開すべきだというふうに思っているんです。ぜひ、単に地震調査推進本部に任せるんじゃなくて、中央防災会議として位置づけてしっかりとした取り組みを行っていただきたいと強く申し上げておきたいと思います。

 先ほどからも議論されていますけれども、孤立可能性集落の問題です。

 先ほど桝屋議員もおっしゃっていましたけれども、ここにも検討会の提言概要という形でいただいております。ここで、衛星携帯電話の整備約二%、ヘリコプターの駐機スペースあり一七%、水、食料品等の備蓄約五%、集落内の避難施設の耐震性一五%というふうに現状が認識されております。

 これは平成十七年の実態でありますから、今はこれからかなり経過しておりますけれども、これらの数字の実態を今時点でどのように把握しているんですか。これをお知らせ願いたいと思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもが今手元に持っています資料といたしましては、ただいま先生が御指摘いただきましたように、平成十七年八月に行った調査結果でございます。そのうちの一部は今先生が御指摘いただいたとおりでございますが、私どもとしては、今回の地震を契機に、この調査のフォローアップも行いまして、実態の把握に努め、また具体的な対応方策についても検討していきたいというふうに考えております。

菅野委員 それでは、三年経過しようとしていますけれども、現時点ではこれらの数字は把握していない、検討会の時点での調査、数字しか押さえていないということなんですね。私はそれが実態だと思うんです。この整備が進んでいるという状況であれば、私は、今回だって孤立集落への対応というのは別な形で行われたんじゃないのかなというふうに思っていますし、衛星携帯電話の配備など、整備は本当に進んでいないのが現状だと思います。

 ここでも、背景には、自治体任せでは進まない状況があるんだというふうに思うんです。だとすると、国が中心となって孤立集落対策を進めていくべきだというふうに思うんです。

 この検討会の提言を受けてまだ具体的にしていないということであれば、今後どのように進めていくのか、具体策があればお聞かせ願いたいと思います。

加藤政府参考人 今申し上げましたように、十七年八月に提言をし、その後アンケート調査をした結果が今申し上げた数字で、それが一番最新の手元にあるデータということになってございますけれども、今回の地震を契機に、今後、先ほども申し上げましたが、十七年八月に行いました調査のフォローアップを行いたいというふうに考えておりまして、その上で適切な対応策を検討していきたい、現在そのように考えております。

菅野委員 大臣、先ほども議論されていました、検討会の提言概要という形で内外に明らかにしたんですが、このことが具体化していないというのが明らかになっているというふうに思うんですね、今回の地震で。

 これは、新潟中越地震以降こういう取り組みがなされて、今回同じような地震が起こった。この三年間はほとんど何もされていないという実態が明らかになったわけですから、大臣として、今後これらを踏まえてどのように行っていくのか、決意をお聞かせ願いたいと思います。

泉国務大臣 統括官がお答えをしましたように、十七年の調査をして現状を把握した、そして、各自治体で積極的に、こうした電話あるいはヘリポートあるいは食品の備蓄というようなことを中心にお願いを申し上げたわけであります。今回、また山間地域の地震がございましたので、これからもう一度フォローアップをしてまいりたい。

 我々としては、例えば衛星携帯電話などは、初期投資が二十万で毎月六千円の維持費が要るというような、こういうたぐいのものでございまして、こうした事柄をどうやっていくのか。本当に、発災直後にその地域の状況をまず我々は知りたいわけでありまして、こうしたことも考えながら取り組んでまいりたいと思います。

菅野委員 最後になりますけれども、災害が起きると、財政難、過疎化が進む中山間地域での被害が大きく、高齢者の単身世帯や子供、中小企業、農家を直撃します。個人や自治体の力だけで復興させていくのは不可能であるわけですから、災害対策の中心はやはり国であるべきです。

 被害を最小限に食いとめるため、関係省庁の利害関係を乗り越えて防災担当大臣の強いリーダーシップを発揮されることをお願いして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

鈴木委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後五時八分散会


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