衆議院

メインへスキップ



第3号 平成20年11月27日(木曜日)

会議録本文へ
平成二十年十一月二十七日(木曜日)

    午後二時開議

 出席委員

   委員長 林田  彪君

   理事 佐田玄一郎君 理事 土屋 品子君

   理事 萩山 教嚴君 理事 原田 令嗣君

   理事 三ッ林隆志君 理事 松原  仁君

   理事 松本 剛明君 理事 高木美智代君

      新井 悦二君    稲田 朋美君

      稲葉 大和君    小川 友一君

      近江屋信広君    大前 繁雄君

      梶山 弘志君    北川 知克君

      坂井  学君    平  将明君

      徳田  毅君    長島 忠美君

      西本 勝子君    林   潤君

      原田 憲治君    平口  洋君

      藤井 勇治君    武藤 容治君

      盛山 正仁君    森山  裕君

      北神 圭朗君    小平 忠正君

      近藤 洋介君    佐々木隆博君

      鈴木 克昌君    田村 謙治君

      高井 美穂君    西村智奈美君

      村井 宗明君    鷲尾英一郎君

      遠藤 乙彦君    坂口  力君

      高橋千鶴子君    日森 文尋君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   国務大臣

   (防災担当)       佐藤  勉君

   内閣府副大臣       宮澤 洋一君

   内閣府大臣政務官     並木 正芳君

   経済産業大臣政務官    松村 祥史君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   大森 雅夫君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 石井 隆之君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 細田  隆君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           幸田 雅治君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官)  岡  誠一君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         河村 潤子君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官)          野家  彰君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           中尾 昭弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           坂本 森男君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           榮畑  潤君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      西山 英彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官)   加藤 重治君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           小川 富由君

   政府参考人

   (国土交通省国土計画局長)            川本正一郎君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局下水道部長)     松井 正樹君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  甲村 謙友君

   政府参考人

   (気象庁長官)      平木  哲君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   谷津龍太郎君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 岸本 邦夫君

   衆議院調査局第三特別調査室長           生駒  守君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十七日

 辞任         補欠選任

  高鳥 修一君     稲田 朋美君

  平口  洋君     西本 勝子君

  岡本 充功君     北神 圭朗君

  田村 謙治君     鈴木 克昌君

  筒井 信隆君     鷲尾英一郎君

  西村智奈美君     佐々木隆博君

同日

 辞任         補欠選任

  稲田 朋美君     高鳥 修一君

  西本 勝子君     平口  洋君

  北神 圭朗君     高井 美穂君

  佐々木隆博君     西村智奈美君

  鈴木 克昌君     田村 謙治君

  鷲尾英一郎君     筒井 信隆君

同日

 辞任         補欠選任

  高井 美穂君     岡本 充功君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 災害対策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

林田委員長 これより会議を開きます。

 災害対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官大森雅夫君、警察庁長官官房審議官石井隆之君、総務省大臣官房審議官細田隆君、消防庁国民保護・防災部長幸田雅治君、文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官岡誠一君、文部科学省高等教育局私学部長河村潤子君、文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官野家彰君、厚生労働省大臣官房審議官中尾昭弘君、厚生労働省大臣官房審議官坂本森男君、厚生労働省大臣官房審議官榮畑潤君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長西山英彦君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官加藤重治君、国土交通省大臣官房審議官小川富由君、国土交通省国土計画局長川本正一郎君、国土交通省都市・地域整備局下水道部長松井正樹君、国土交通省河川局長甲村謙友君、気象庁長官平木哲君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長谷津龍太郎君及び防衛省大臣官房審議官岸本邦夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

林田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長島忠美君。

長島(忠)委員 自由民主党の長島忠美でございます。

 佐藤防災担当大臣の所信に対して若干の質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 質問に先立ちまして、私も被災をした経験から、ことしこそ災害がないようにというふうに祈ってまいりましたけれども、残念ながら宮城内陸地震あるいは全国的な集中豪雨で、本当に大きな被害、そしてとうとい人命が失われたことをとても残念に思う一人でございます。亡くなられた皆さんの御冥福を心からお祈り申し上げるとともに、被害に遭われた地域に心からお見舞いを申し上げ、一日も早い復興をお祈り申し上げたいと思います。

 私は、四年前になりますけれども、新潟県中越地方を襲った地震で被災をした当時の村長として経験をし、私自身の対応というより、住民あるいはボランティアの多くの皆さんの協力によって助けられたという思いを持つ一人でございます。

 そんな中、今回、大臣所信の中で大規模災害についてのお話を数多くいただいたような気がします。

 まず、大規模地震対策について、中央防災会議の専門調査会が、特に東京直下型地震に備えて、帰宅困難者をどうするかということに検討を加えられ、報告を取りまとめられたというふうに聞いております。私は、報告を国民が理解し、相互に信頼し合える関係を築くことがやはり一番大切なことだと思う一人でありますけれども、この帰宅困難者対策について今どんなふうに対応を考えていらっしゃるのかについて、まずお聞かせをいただきたいと思います。

大森政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の首都直下地震につきましては、マグニチュード七クラスの地震発生の切迫性が指摘されているところでございます。中央防災会議の専門調査会においてその検討を行ったところでございます。

 特に、都心部の揺れが強い東京湾北部地震が発生した場合には、最大で、避難者が約七百万人、避難所生活者が約四百六十万人発生し、避難所や応急住宅が大幅に不足するということが想定されております。また、帰宅困難者でございますが、最大約六百五十万人発生し、都心部等における大量の滞留者の発生や、発生直後の一斉帰宅による混乱の発生などが想定されているところでございます。

 したがいまして、専門調査会においてこの首都直下地震時における避難者・帰宅困難者対策の検討を行い、先月報告書が取りまとめられたところでございます。

 避難所不足への対応といたしましては公的施設や民間施設の活用とか、また、応急住宅の不足への対応につきましては民間の空き家また空き室等の活用などの対策が示されております。

 また、先生御指摘の帰宅困難者の対応でございますが、むやみに移動を開始しないという基本原則の周知徹底、そして、企業等における翌日の帰宅や時差帰宅の促進、また、帰宅経路の混雑状況等に関する情報提供などの対策が示されているところでございます。

 今後、この報告書を踏まえまして、国と地方公共団体また関係機関等が連携して、首都直下地震時の避難者・帰宅困難者対策に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

長島(忠)委員 多分、今御答弁をいただいた数字というのは、全国的な災害の中で人的に一番大きな規模の災害になるんだと思うんです。

 私はいろいろなところ、東海、東南海を想定されていたり、宮城沖を想定されたりする地域を歩かせていただくと、規模の違いはあるんですけれども、情報をどう伝えるかによって、初期の被災地の落ちつき方というんですか、対応が大きく違ってくるような気が実はするんです。

 今御答弁をいただいた内容の中で、どうやってこれからそのことを周知徹底して、六百五十万人の帰宅困難者に対してどういう対応をするのかというのは、まさにこれからの大きな課題だと私は思う一人です。ぜひ相互理解、国民と関係省庁あるいはそれをつかさどる自治体ときちんと連携をとり合うというところまでやはり一歩進んでほしいと願う一人でございますので、ぜひそこまで一日も早く対応をしていただきたいなと思います。

 情報をどう伝えるかということについてぜひお聞かせをいただきたいと思うんですけれども、私も被災をした一人として、そして、あれからあった多くの被災地に入らせていただきました。ですから、災害の状況がどうなっているかを最初に伝える、もちろん行政が伝えるのが望ましい姿でありましょうけれども、多分、最初の時点でその近くにいる人たちに行政の情報が伝わらない場面がいっぱいあるんだと思うんです。全国には防災ボランティアのネットワークだとか、そしていろいろな意味で、防災士さんだとか消防団だとか、いっぱいあるんですけれども、何か少し、そこまできちんと情報が伝わるシステムができているところとできていないところとやはりあるような気が実はするんです。

 ですから、政府として、やはり災害があったときに確実な情報をきちんと被災者に伝えるというところを心がけるという観点を持っていただく必要があるのではないかなと私は思う一人なんです。

 何でこんなことを申し上げるかというと、被災地に一番最初に救援に来てくれた人が私に向かって、透析患者はどこにいますかと聞くんです。ところが、今、個人情報保護法というのがあって、いわゆる災害のときに手厚く救ってあげなければいけない人の情報が、実は意外とどこも持ち得る状況にはなっていないんですね。寝たきりの人だとか、例えば今申し上げた透析患者、二十四時間以内にピックアップしないと命の危険が増す、あるいは、一人では移動ができない、メディアの情報をきちんと自分で把握することができない人たちを含めると、その人たちがどこにいらっしゃるかという情報をあらかじめ、行政だけではなくて、ふだんそこで、例えばですよ、消防団だとか自治体とかが、災害のときに助け合うという約束のもとで知り合うことができたら、もっといち早く対応ができるんじゃないかと私は思う一人なんです。

 もちろん、個人情報保護法という大きな法律があって、自分の情報を出したくないという人もいっぱいいらっしゃることは事実です。でも、被災地に立ってみると、そのことが、逆に言ったら、助けを求めている人、本当に助けが必要な人のところにいち早くたどり着けないという一面も持ち合わせているということを考えると、きちんとした、そういう災害のときに助けを一番必要とする人たちの情報を一番身近で助けられる可能性のある人たちに伝えることができないのかという思いを私は持つ一人です。

 そして、もう一つ、逆に、そういう人たちにお願いすることによって、自治体が伝え切れない情報、今地震はこうなっています、豪雨はこうなっています、避難はここにしてくださいという情報を、自治体の職員だけではできない情報を、その人たちとネットワークすることによっていち早く確実な情報として伝えることができる、そんなふうに思う一人ですので、情報をどう伝えるか、今どんな形で内閣府は想定をされているか、また、災害のとき助けを必要とする人たちの情報をこれからどんな形で、行政だけではなく、いち早く対応するために、行政とともにやっていきたいかというお考えがあったら、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

大森政府参考人 お答えいたします。

 先生の御質問、まず一点目が、高齢者などの要援護者といいますか、そういった方々の情報の共有をどうするか、二点目として、災害時の情報の伝達を、どういった形できちっとしたニーズを酌み取っていくのかというようなことと理解をいたしました。

 まず一点目の問題でございますが、高齢者また障害者などの、いわゆる災害時要援護者につきまして避難支援対策を講じていくということは防災上重要な課題であるというふうに認識しております。したがいまして、政府においては、災害時要援護者の避難支援ガイドラインを策定し、基本的な考え方を示し、その促進方を図っているところでございます。

 先生御指摘のように、例えば社会福祉部局、防災部局、そして具体的な避難支援者、そういったところでの要援護者に関する情報の共有が個人情報保護の観点から非常に難しい課題になっているというのは事実でございます。しかしながら、この要援護者の情報共有が非常にうまくスムーズに進んでいる市町村もございます。我々、そういった市区町村の例などを各自治体の皆さん方にお示しし、こういった問題がスムーズに進むように、今、キャラバン等、全国を行脚しておりまして、そういった形での周知徹底を図っているところでございます。引き続き、関係省庁連携しながら、要援護者支援対策の取り組みが推進されるよう支援してまいりたいと思います。

 二つ目の情報伝達につきましても、我々も、先生御指摘のように、住民等の安全を確保するために極めて重要なものであると考えておりまして、被災者のニーズを十分把握して、きめ細やかな情報を適切に提供していかなければならないと思っております。国としても、これまでも、被害情報や国の対応を取りまとめた情報をマスコミ等を通じて適宜提供しているところでございますし、また、災害発生時には、地方公共団体におけるきめ細かい地域の情報収集、提供が大切であるというように思っております。例えば避難所であるとか自主防災組織など、身近なところからの情報収集を行い、それに応じたきめ細かい対応をとるなど、地域密着型の情報伝達体制の整備が重要と考えているところでございます。

 今後とも、災害に関する情報につきまして、迅速的確で地域に密着した情報収集、情報提供に心がけてまいりたいと考えております。

長島(忠)委員 うまくいっているところとまだまだ意識が薄いところとあるという認識を持たれているということですから、あえて申し上げると、私は、どっちかというと田舎で災害でしたから、濃密過ぎるぐらいの人間関係の中で被災をしました。だから、知らなくてもいいことまで知っている間柄の被災でしたから、隣の人がどこに行っている、隣の奥さんはどこから嫁に来たまでわかる間柄で被災でしたから、そういう意味では、ある意味コミュニティーが濃過ぎるぐらいの関係の中でおりましたから、やはり連携はとりやすかったと思うんです。

 私は、災害を受けて、最近、都会の方にこういう話をよくするんです。災害のとき、災害を受けて初めてわかったことがある、隣に人がいることほど心強いものはない、それは、ふだんあいさつをしようがしまいがではない、隣に人がいたら、必ず自分が困っていたら助けてくれる、それがやはり日本人の信頼だろう、そんな話を実はさせていただく一人なんです。

 ただ、きっかけだと思うんですね。そのことを信じられてあいさつをできるというきっかけをだれが与えてあげることができるのかだ、私はそう思うんです。

 だから、私は、マンションに住んでいる人はうらやましいと言うんです。マンションに住んでいる人はコミュニティーが薄いと結構皆さん言われているんですけれども、マンションは実は長屋の高層住宅でしょうと私は言うんです。長屋と言うんですよ。

 私は仮設住宅は長屋だと思いましたから。玄関あけたら隣なんですよ。隣のおばあちゃんがつくった大根煮を届けてくれたり、まさに、日本人、我々農村も失おうとしていたコミュニティーを見事によみがえらせてくれたのが仮設住宅だと私は思うんです。だとしたら、マンションは長屋の高層住宅だ、ただ足りないのはあいさつをするきっかけだ、それをだれが与えてあげるのかということだと思うんです。

 だから、隣に人がいることほど心強いものはない、それが内閣府のメッセージだとしたら、災害のとき、どんなことがあっても隣の人はあなたを見捨てないというメッセージだとしたら、やはり情報を共有することにそんなにいつまでも消極的ではないような気が実はするんです。だって、きのうから一緒に住んだマンションの人に、我々田舎みたいに五代も六代も長い間地域に暮らしてきたと同じ人間関係をつくれという方が多分無理なんだと思うんです。最後はやはり、だれかが発信をしてあげて、隣に人がいることほど心強いものはないという情報伝達の方法を、ぜひ内閣府は各自治体に主導して伝えられるようにしていただきたいな、私はそんなふうに希望をしていきたいと思います。

 特に災害弱者、東京でも、決して寝たきりの人がいないわけではありません、高齢者がいないわけではありません、そして、人の手助けを必要とする人がいないわけではありません。そういう人の情報をきちんとお互いにわかり合っていることが、災害が起きたときにやはりいち早く立ち直ることだということを、絶えずやはり繰り返し伝えてほしいなと思います。

 もう一つ、被災地には非常に大きな、通常ではない精神状態が実は起こります。私らみたいに小さな村でも、村を空っぽにしたために、たった一人の人が避難所で、知らない人が村に入っていたと朝言ったとしますね。そうすると、次の人は、知らない人がうちに入っていたと言うんです。そして次の人は、うちの中から何かを持ち出した人がいると言うんです。そして、その次の人は、村に泥棒が入っている。一日のうちに、あっという間に、誤報が誤報を呼んでパニックを引き起こしそうに実はなるんです。

 ですから、私は、都市型災害を受けたときに、人命を助けるいわゆる災害救助、それから災害復旧もさることながら、被災地を混乱させない、やはり治安をきっちり守る、治安を維持するという観点がどうしても欠かせないような気がするんです。

 事前にお聞きをしたところ、治安の対策には警察庁がお当たりになるんだというふうにお聞きをしております。日本は性善説の国ですから、犯罪が起こらない限り警察も多分踏み込めない、逮捕ができないという事柄があるんだと思うんですけれども、被災地の中で不安になったりしたときに、パニックになりやすい心境ができたときに、きっちりと町を守ってあげるという役割を果たす人がきちんと町の中にいてくれることほど心強いものは多分ないんだと思うんです。

 ですから、例えば東京で直下型地震が起こって、さっき一番最初にお話を聞いたように、六百五十万人の帰宅困難者が出たときに、その人たちを含めた治安対策を警察庁としてどんなふうに考えていらっしゃるのか、少しお聞かせをいただきたいと思います。

石井政府参考人 先生御指摘のとおり、災害の発生直後には、情報不足や被災に関する不安から流言飛語が発生をしましたり、あるいは災害に乗じた各種の犯罪の発生が懸念されるなど、被災地域の住民の方々は極めて不安定な心理状態に置かれるものと思っております。

 警察では、こうした被災住民の不安を取り除き、いわゆるパニックに陥ることのないよう、正しい情報を被災住民に正確に伝えるため、パトカー等各種装備資機材を活用した現場広報のみならず、マスコミに対する情報提供を積極的に行うこととしております。また、自治体等関係機関と連携した適切な避難誘導を行い、被災者の方をできるだけ安心した環境に導くよう努めることとしております。

 一方、これらの措置をとった後においても、環境や将来への不安、あるいは不公平感からうわさが飛び交い、思わぬパニック状態に陥ることも懸念されることから、できるだけそのような不安要素を取り除くため、女性警察官を中心とする部隊を巡回させるなど、パニック防止に万全を図ることとしておりますが、今後とも、パニック防止を初め地域住民の安全、安心の確保を図っていく所存でございます。

長島(忠)委員 確かに、そういうふうに考えていただいて、近くにいてくださるということはどれほど心強いものかということを考えたときに、またさっきまで戻るんですけれども、行政、警察庁、あるいは災害には自衛隊あるいは消防、そして役所の皆さん、被災者がやはり一番信頼できるのは、被災した立場からいうと、ユニホームなんですよ。警察官のユニホーム、自衛隊のユニホーム、それから役所のユニホーム。

 そして、今ずっとここまで話をしてきた中で、例えば、協力をしてくれる自治体の皆さんだとか、ボランティア団体の皆さんだとかも災害の中でそれなりに役割を果たしてくれることを考えたら、私があるところに行ったら、そこの防災ネットワークの人たちはいつもゼッケンを支給されているんですね。災害のときにはそのゼッケンをつけて町の中で住民対応に当たるということが住民の約束事の中でできているようなんです。それを、今言われた役所、例えば内閣府、統括するすべての役所の皆さん、ユニホームの人たちがそのゼッケンをつける人たちと連携をとることも考えたら、多分、情報というのはもっと多くの人が伝えやすくなるし、もっと治安を守りやすくなるような気が実はするんです。

 これは各担当の方に、お答えは要らないんですが、民間あるいは自治体と情報を共有する、災害に一致団結して当たるという意味から、例えばゼッケンを認知されたものとして支給するとか、やはりそのユニホームによって住民が相談しやすい環境をつくってあげることも大切なことだと思いますので、ぜひ御一考いただければありがたいな、そんなふうに思います。

 この前、宮城内陸地震のとき、私も現地に何回か入れさせていただいて、災害のあった翌日に実は現地にもう国土交通省が、ことし制度化をされたTEC―FORCEとして乗り込んでいらっしゃる姿を拝見させていただきました。

 もちろん、国土交通省さんだけではなくて、協力をしてくれる技術者だとかいろいろな方も一緒にいられたようでありますけれども、私のときも、国土交通省が直轄でいち早く対応してくれたことが、被害を最小限に食いとめることができて、二次災害を防ぐことができたと私は思っていますので、そのTEC―FORCEがことし宮城を初めとしたところで出動をして、どんな成果、国交省としてどんな内部評価をしていられるのか、また今後どんな課題があるのか、もしあったらお聞かせをいただきたいと思います。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 TEC―FORCEでございますが、大規模自然災害における被災状況の迅速な把握や被災地の早期復旧に関し、地方公共団体等に対して技術的支援を円滑、迅速に実施するために、ことし五月に発足させたところでございます。

 早速、六月十四日の岩手・宮城内陸地震では、災害対策用ヘリコプターによる上空からの被災地の調査、それから現地での被災状況の緊急調査、土砂災害や道路等所管施設の被災状況調査、応急復旧のための技術指導などに、TEC―FORCEといたしまして、国土交通省本省、地方整備局、さらには地方運輸局等から延べ千四百九十九名の隊員を派遣したところでございます。その結果、土砂崩れによる河道閉塞箇所の早期の発見、迅速な施設被害の把握、あるいは応急復旧が図られ、被害の拡大や二次災害の発生を防止することができたと考えております。

 一方、初めての活動でございましたので、それに伴う課題でございますが、今回の地震が山間部等で起こりましたので、通信状況が非常に悪い中で活動するということで、隊員相互の連絡や調査結果の迅速な報告等が困難な場合がございました。また、ヘリコプターで上空から被災状況を広範に調査するわけでございますけれども、夜間だとかあるいは天候の悪い場合にヘリコプターが上空に行けないというような状況もございました。

 そのような課題があることがわかりましたので、これらの課題に対応するために、大規模自然災害時の初動対応における装備・システムのあり方検討委員会を設置いたしまして、あす、二十八日でございますが、第一回目の委員会を開きまして、改善方針を見出したいというふうに考えております。

 国土交通省といたしましては、今後ともTEC―FORCEの活動体制の強化に取り組んでまいりたいと考えております。

長島(忠)委員 多分、初期の段階で、災害の規模あるいは状況によって、自治体だけでは住民対応で精いっぱいで、技術的なところまで踏み込めないところがあるんだろうと思うんです。ぜひこれからも充実していただきたいという思いと、一点だけ、やはり災害時になると、いろいろな人が調査をしてくれると、不安だけが先に立ってしまうような情報を出してしまうところがあります。だから、ここはこうなっている、こう対策をしたらきちんと安全になりますというところを、ぜひ国交省がいろいろな知識を持っている人たちを使いながらきちんと発信をしていただきたいとお願いをさせていただき、また、TEC―FORCEのこれからのあり方について聞かせていただければありがたいなと思います。

 最後に大臣に、今までの話をお聞きになった上でお答えをいただきたいと思うんですけれども、災害時は、自助、共助、そして公助、これが不可欠なものだというふうに言われています。私もまさに、やはり勇気を持って自助だということが今行政体にとって必要なことだと思うんです。

 被災を受けるとどうしても、やはりだれもが頼りたい気持ちはわかりますし、行政としても、一日も早く、一秒でも早く困っている人のところにたどり着いて助けたいというのはわかるんですけれども、被災を受けてみて初めてわかったことは、どんなに急いでも、七十二時間、自分で自分の身を守るというところを覚悟してもらわないと災害救助の初動が始まらないというところも、やはり行政として覚悟をしなければいけないことだと思うし、行政として覚悟をする以上は、やはり住民に対してふだんから、七十二時間自分たちの身を守るということを考えてほしい、あるいは気をつけてほしいということを話しておかなければいけないんだと思うんです。自分の身を守って初めて共助と言われる地域を守る、そしてその上で公的な支援をいただきながら立ち上がっていくというのが災害の姿であるような気がするんです。

 自分の命を守れたら家族を守るということがやはり日本人の心の基本でもあると思いますから、被災者に対して自分の身を守れと言うのは酷なことかもわかりませんけれども、ぜひここは、どんな災害があっても生き延びる覚悟だけはしていてほしい、必ず行政は来る、信じてほしいけれども初動は自分の命を守ってほしいという発信をやはりしてほしいなというふうに思う一人です。

 そして、避難をすると被災者はどうしてもやはり頼りがちになります。助けてほしいのは、それはよくわかります。私も避難所に行ってよくこんな話をしました。みんなも被災者だ、何でもやってほしいのはよくわかる、でも、自分たちができることを自分たちでやろう、自分たちでできないことを助けてもらおう、それは素直に甘えることは許されるはずだ、でも、自分たちがやれることを自分たちがやらなかったら、これは被災者ではなくなってしまう、最後に自分たちが立ち上がるときに、自分たちがやる心を残しておかなかったら最後に自立することはできない、そんな話を避難所で何回かさせてもらいました。

 大臣からぜひ、災害があったときに国民を救うのは防災大臣が先頭に立たれるわけですけれども、一方、国民の皆さんにも、どんな災害があっても生き延びてほしい、そのための覚悟をしてほしい、必ず行政は皆さんのところにたどり着くというメッセージを発信してほしいと思いますので、大臣から力強いお答えをいただきたいと思います。

佐藤国務大臣 大変臨場感のあるお話を聞かせていただいて、感銘をいたしました。

 先生がおっしゃるように、国及び地方団体、公助だけではどうにもならないところがあると思います。国民一人一人や企業がみずから考えて取り組む自助、そして地域の人々や企業、団体等が力を合わせて行う共助が必要不可欠というふうに思います。

 しかしながら、二〇〇八年の防災白書では、大地震について関心のある人の割合は、東京都、静岡、三重県の調査によると九〇・六%から九五・三%であるというデータが出ておりました。大地震に備えて家具などを固定していると回答した人の割合は、内閣府の調査によりますと二五%未満となっておりまして、国民の災害に対する高い関心が実際の行動に必ずしも結びついていないという調査結果もございます。

 防災における自助、共助の実効を上げるためには、災害に対する国民の関心が実際の防災行動に結びつくということが常日ごろの訓練によって醸成をされるのではないかなというふうに思います。

 こうした認識を踏まえまして、私といたしましては、防災の視点を日常生活に取り入れるための普及啓発や、耐震化や家具転倒防止などの減災行動を伴うためのわかりやすい実践的な防災知識の提供を、住宅耐震化など各省で実施する施策と連携しつつ進めていくことが大切だと思います。

 とはいえ、共助も必要だと思いますし、この三つの文字が連携できるような施策にしっかりと取り組ませていただきたいと思いますし、私も先日、宮城、岩手を見させていただいて、見ると聞くとではこんなにも違うのかという現実を見てまいりました。しっかりと対応してまいりたいと思います。

長島(忠)委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。

林田委員長 次に、高木美智代君。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 まず初めに、改めまして、佐藤大臣、宮澤副大臣また並木政務官におかれましては、御就任をお祝い申し上げますとともに、国民の皆様のための生命と財産を守る御尽力に対しまして、今後の御活躍を心よりお祈り申し上げる次第でございます。

 私の方からは、都市型災害を含めまして、防災につきまして何点か質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、病院の耐震化につきまして質問をさせていただきます。

 我が党も学校の耐震化をずっと進めてまいりまして、第一次補正予算にも大きく盛り込まれ、これから進むことが期待されております。この病院の耐震化につきましては、大規模な震災が発生した場合は大量の医療需要が生じることが予想されます。対応できる医療体制を確保するというのが、救命そして救助、また医療等の第一義であるかと思っております。

 医療施設自体が被災しては機能が果たせない。では、大病院だけでいいかというと、やはり中小の病院も地域におきまして機能を果たしていただかなければ、すべてが大病院に集中しましても、これまた機能停止になってしまう危惧もございます。ということから、耐震改修促進法が三年前に改正をされまして、それに基づき、都道府県が基本計画を策定するということになっております。

 病院につきましては、今既に、都道府県また市町村がこの計画に基づきまして推進していることと承知をしておりますが、病院の耐震化の現状につきまして厚生労働省にお伺いをさせていただきます。

榮畑政府参考人 平成十七年十月に、四病院団体協議会と厚生労働科学研究班とで合同調査をいたしました。また、本年五月に、厚生労働省でも調査を実施いたしました。

 その平成十七年と本年五月の調査とを対比いたしますと、平成十七年から平成二十年で、すべてが新耐震基準に合致しているところが三六・四%から五〇・八%に上がり、一部が新耐震基準に合致しているところが三六・三%から三三・一%に下がり、すべてが新耐震基準に合致していないところが一七・七%から一二・四%に下がったということになっておりまして、耐震化は着実に進んでおるというふうに判断しておるところでございます。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 耐震診断それから耐震化につきまして、国として、いつまでに、どのような目標を立て、完了していくのか、またその道程につきまして、取り組みをお伺いいたします。

榮畑政府参考人 ことし四月の中央防災会議で決定されました「自然災害の「犠牲者ゼロ」を目指すための総合プラン」におきまして、耐震化の目標は、災害拠点病院などにつきまして、平成十七年の耐震化率四三%の現状を、今後、まだ耐震化されていないところの約半分を耐震化することとして、平成二十二年度までに耐震化率をまず七一・六%に上げることと設定しているところでございます。

 そしてまた、それに対しまして、国としての取り組みでございますが、耐震化を進めるために財政支援をしなければならぬだろうと思っておりまして、災害拠点病院の耐震工事に対する補助事業の国の負担割合につきまして、平成二十年度の補正予算で、従来の〇・三三から〇・五へ引き上げたところでございます。

 このほかにも、耐震工事の整備事業につきましても、国の負担割合の引き上げ等、必要な予算の確保に努めていかなければならないと考えておりまして、厚生労働省といたしましても、患者さんの安心を確保して、災害時においても迅速かつ適切な医療サービスが提供されていくよう、耐震化を一層進めていく必要があると考えております。引き続き、その促進に努めてまいりたいと考えております。

高木(美)委員 それで、この耐震診断なんですけれども、厚生労働省にお伺いしましたら、耐震診断は都道府県が行うことであって、厚生労働省としてはそこまでは承知していない、こういう御回答をいただきました。その理由を教えていただけますでしょうか。

榮畑政府参考人 先ほどお答えいたしました、新耐震基準に合致しているかどうかということにつきまして判断しているときには、新しい耐震基準ができましたのは昭和五十六年でございまして、そこから以降は新しい耐震基準に当然合致した建物が建てられていると思っておるところでございまして、そういう点では、新耐震基準が制定された後に整備された建物に関しまして合致していると判断しているところでございます。そういうことを考えますと、耐震診断自体を各都道府県の方であれしていただいておりますが、国としては、新耐震基準に合致しているかどうかということをそういう点で判断させていただいておるというところでございます。

高木(美)委員 例えば、学校の耐震化を進めていると先ほど申し上げましたけれども、学校につきましては、今般、四川大地震の教訓から、六月に法改正を行いまして、耐震化につきまして、今後五年をめどにという目標をさらに加速して、五年を待たずに早期に図るという予算措置を拡充したところでございます。

 地方負担分も、今まで国庫補助率二分の一であったのを三分の二に大幅に引き上げまして、さらに交付税措置、一八・七五%であったのを二〇%に引き上げ、これによりまして、地方負担分が今までの三一・二五%から実質一三・三%にすることができた。

 実は、ここに至るその背景といいますのは、確かに四川大地震というのがありますが、文部科学省は、毎年耐震診断の状況をずっと報告を、私が承知しているのはこの三年間ですけれども、実施してまいりました。耐震診断すらできない、こういう学校が幾つあるのか、ただその学校数だけではなくて、棟数としては幾つあるのか、こういう実態をはっきりと見据えていたからこそ、やはりこの手当てが必要だというふうに政治的に踏み切れたのだと思っております。

 厚生労働省におかれましても、こうした耐震診断がどのようになされているのか、診断すらできない病院、またその棟数、それがどれだけあるのか、またそれを市町村がどのように掌握をされているのか、こういう実態をぜひとも把握していただきまして、そうしますと、私どもも一生懸命この病院の耐震化に向けまして応援をさせていただきたいと思いますし、取り組ませていただきたいと思っております。

 そのような形でまた国として市町村を支援していき、先ほど長島議員からお話ありましたが、それぞれ各地域でもしそうした大規模災害等があった場合にも、あの病院に行けばきちっと治療を受けられる、あそこは大丈夫だ、こういうやはり地域の安心感というものは大変大きいものがあるのではないかと思っております。この調査を、特に耐震診断につきましてしていただければと思います。

 もう一つ、きょう資料をお配りさせていただきましたが、先ほど榮畑審議官からの答弁の中にもございました、「すべてが新耐震基準である」というここと、プラス「一部が新耐震基準である」というこの「一部」という数が幾つあるのか、そしてまた、その「一部」というのが、例えば病院で十棟持っているうちの一棟なのか何棟なのか、そういうことにつきましても、恐らく、耐震診断の実施、そしてまたこの中身については細かく掌握をされているのかなと思っておりますけれども、いずれにしましても、耐震診断の実施、そしてまたこのような「一部」というのが何棟あるのか、ここまでのきめ細かな調査というものの実施をお願いしたいと思いますが、御答弁をお願いいたします。

榮畑政府参考人 耐震診断につきましては、厚生労働省といたしましての国庫補助制度も準備しておるところでございまして、私どもも進めていきたいと思っておるところでございます。

 今先生御指摘の、実情はどういうふうになっているのということにつきまして、都道府県、市町村ともよく相談して、どういうふうな把握手段があるのか、ちょっと考えさせていただきたいと思っております。

高木(美)委員 文科省がなさっているわけですから、恐らく病院を所管していらっしゃる厚生労働省ができないことはないというふうに承知をしております。

 やはり国民の皆様のこうした災害時の救命、一番のキーポイントでございますので、まずこの病院の耐震化につきまして、今申し上げました耐震診断の調査の実施、そしてまたさらには、何棟、どうなっているのか、このきめ細かなところまで調査していただきますように重ねてお願いをさせていただきたいと思います。

 もう一つ、民間病院ですけれども、今公立病院も経営は厳しいのですが、例えば耐震診断、ただいま榮畑審議官から補助というお話がありましたが、上限百万という補助の状況になっております。私がお会いしましたある病院の院長は、三百床ある、数年前に耐震診断を行った、総額三千万かかった、これでこの先耐震化というところまではとても予算的に足が進まないんだ、こういう率直なお話をされておりました。こうした現状把握というのも必要かと思っておりますが、いずれにしましても、こういうお声が多くございます。

 特に、民間の中小の病院、六、七割は、今経営状態が、赤字傾向が進行しているという状況がございます。経営が大変厳しい。耐震化を推進するには、もう一つ、国庫補助とあわせまして、国庫補助も伸ばさなければなりません、重ねて、税等を含めまして、さらなる優遇措置が求められるところでございます。

 そこで、例えば耐震構造を強化した場合、改善費の損金処理を可能にしてもらいたい、こういう強い要望があります。また、地震防災対策用資産、ここに係る特例措置の延長、拡充を求めるお声、こういう強いお声があります。こうした税制の優遇措置につきましても、厚生労働省、ぜひかち取っていただきたいと思いますし、また、かち取れますように私どもも一生懸命後押しをさせていただきたいと思っておりますが、対応をお伺いいたします。

榮畑政府参考人 耐震化を支援するための税制につきましては、平成二十年度におきまして、一定規模以上の医療施設等を対象として、耐震改修促進税制、これは耐震工事の所得税とか法人税の特別償却でございますが、これにつきまして、その適用期限をさらに延長させていただいたところでございます。

 また、地震防災対策用の資産を取得した場合の特例措置、これは所得税とか法人税の特別償却であるとか、固定資産税の課税標準の軽減でございますが、これにつきましても、平成二十一年度税制改正要望におきまして、厚生労働省としても、その適用期限を延長するとともに、対象資産を追加するよう進めておるところでございます。

 医療機関が地震発生直後から被災者に対する医療を適切に提供できるように、医療機関の耐震改修を含めて、諸対策の推進にさらに努めていかなければならないと思っておるところでございます。

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。といいましても、この減税規模といいますのは、そんなに、もう何億もいく規模ではございませんので、ぜひ頑張ってまいりたいと思いますし、またお取り組みをよろしくお願いいたします。

 そこで、佐藤大臣にお伺いをさせていただきたいのですが、先ほどもお話ございました「自然災害の「犠牲者ゼロ」を目指すための総合プラン」、これを四月に発表されまして、特に病院、災害拠点病院、また救命救急センターにつきましては、先ほど榮畑審議官の答弁にもございましたが、十七年四三%から、平成二十二年度までに未耐震化の約五割を耐震化していく、こういう目標の数値と伺っております。

 ただ、この目標も少し少な目ではないかなという実感がございます。先ほどの耐震診断、そしてまた耐震化の推進につきまして、厚生労働省の舛添大臣と実態把握も含めまして協議をいただきまして、もう一重のお取り組みを大臣にお願いさせていただきたいと思いますが、大臣の御所見をお伺いさせていただきます。

佐藤国務大臣 災害による負傷者の治療が行われる病院の耐震化は極めて重要だというふうに認識をしております。このための「自然災害の「犠牲者ゼロ」を目指すための総合プラン」において、病院の耐震化についての目標を設定しているところであります。

 この目標が問題だろうというふうに思いますし、厚生労働大臣と各省庁の皆様方とよく相談をさせていただきながら、先生の御意思に沿うようなこと等々を協議してまいりたいというふうに思います。

高木(美)委員 大変力強い御答弁、ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

 続きまして、エレベーター事故につきまして、国土交通省にお伺いをさせていただきたいと思います。

 今、私は東京が地元でございますが、都市部におきましては縦の線が急速に延びておりまして、東京もあっという間に高層ビルが林立するという、やがてはマンハッタンのようになるのではないかという危惧すら持っておりますが、その意味からも、エレベーターはライフラインの一つであると私は思っております。

 平成十七年七月、千葉県北西部を震源とする最大震度五強の地震が発生をいたしました。首都圏のエレベーター六万四千台が運転休止をいたしまして、七十八台で閉じ込め事故が発生をした。閉じ込めのまず覚知に最大八十五分、救出までに百八十五分かかったケースがございました。

 この事例を受けまして、社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会、こういう部会におきまして、翌年、十八年の四月、報告書が取りまとめられまして、現在、制度の見直し等が推進をされていると伺っておりますけれども、その進捗状況についてお伺いをいたします。

小川政府参考人 お答えをいたします。

 地震の発生時におけるエレベーターの閉じ込め対策でございますが、千葉県北西部を震源とする地震において先生御指摘のような事態が発生したということを踏まえまして、私どもの社会資本整備審議会建築分科会で検討が行われまして、平成十八年四月に「エレベーターの地震防災対策の推進について」という建議をいただいたところでございます。

 この建議におきましては、まず、閉じ込め防止のために、いわゆる初期微動、ごくわずかな初期の地震波を感知して、そこから最寄りの階に行くように運転をさせるP波感知型地震時管制運転装置、こういったものを義務づけるべきではないか、また、閉じ込めを起こした後でも扉の開閉状態を検知して運転を再開できるような閉じ込め時リスタート運転機能、こういった技術的な開発もすべきではないかという御提言をいただきました。またさらに、どうしても、ソフトウエアといいますか、人が絡むことでございますので、閉じ込め情報の早期覚知、あるいは被災時の復旧順位の見直し、あるいは建物管理者によって何とか閉じ込めをある程度早期救出できないか、そういった対策をとるべきではないかという御建議をいただいております。

 このうち、制度的なものでございますが、先ほど申しましたP波感知型地震時管制運転装置の設置につきましては、この建議を踏まえまして、本年の九月十九日に建築基準法施行令を改正いたしまして、その設置を義務づけることとしまして、平成二十一年九月二十八日に施行するとしたところでございます。

 現在、具体的な技術基準を定める告示の内容などについて検討を進めているところでございます。

高木(美)委員 重ねてお伺いします。

 前回の地震のときは、今お話がありました地震時等管制運転装置、これも当然働いたわけですけれども、その前に、ドアが小さく開くことを感知して停止させる、これはもちろん安全のために必要な装置でございますが、これが働いたために閉じ込め事故が起こった。ですので、ここの連動とか、また、こうした装置につきまして改良を加えた方がという、これも建議にあったかと思うのですが、それはクリアされたというふうに認識してよろしいのでしょうか。

小川政府参考人 お答えをいたします。

 閉じ込め事故につきましては、こういう管制装置の働く以前に、地震の揺れによってかごの扉がわずかに開いた。エレベーターというのは、扉が開いたときには動かないという安全装置を別に設けてございます。こういう安全装置が作動したため、途中で停止してしまうという閉じ込めが発生をしたというわけでございます。

 このために、先ほどの、地震を早目に感知して管制をするということのほかに、先ほど申しましたように、かごがあいてとまったとしても、再びかごが閉じた場合には再度運転を開始して最寄り階まで避難させる閉じ込め時リスタート運転機能、こういったものを開発すべきだということで、それが非常に有効であるという御建議をいただいております。

 これを受けまして、各エレベーターメーカーで開発が進められておりまして、十八年の十月に、これは業界の基準でございますけれども、日本エレベータ協会標準、これはいわば一般的なエレベーターの設置仕様というものについてのガイドラインという位置づけでございますが、そういう業界基準として位置づけられたところでございます。

 今後、私ども国土交通省といたしましても、こういった装置について、業界団体と協力してその普及促進に努めてまいりたいと考えております。

高木(美)委員 よくわかりました。

 非常回線の不足も伝えられていたと思います。今、全国七十万台、東京都またその周辺三県で三十万台と言われておりますが、建議にもありますとおり、閉じ込めの救出と復旧要請の連絡先を別にするなどの対応策もあったかと思います。

 また、建築管理者による救出が可能になりますように、事業所用、住宅用エレベーター含めまして研修等をしっかり実施していただきまして、そこにいらっしゃる方に、きちっと救出ができる、こういう救出方法を周知すべきではないかと思いますが、この対応をお伺いいたします。

小川政府参考人 お答えをいたします。

 建議におきましては、先生御指摘のように、いろいろソフトウエアの部分での御指摘もございました。

 このものを踏まえまして、例えば、主要なエレベーターメーカーにおきましては、電話回線を大幅に増強、約二倍ぐらい今ふえているというふうに聞いております。

 また、本年四月から、地震対策に関するリーフレットを約一万部作成して、建物の所有者等に配布をして、閉じ込めが発生した場合にどういうような対処をしたらいいか、そういったことについて周知をし、また御協力をいただくように要請しております。

 さらに、昨年の十月からでございますが、建物の管理者の方に、軽微なといいますか、エレベーターの中にまで入らなくても何とか助けられるような、そういった事故の対応方法についての研修を開始しております。

 さらに、昨年の九月に、これは社団法人日本エレベータ協会関東支部でございますが、災害対策基本法に基づきまして、東京都から指定地方公共機関の指定を受けまして、保守会社が救出車両を出動させた場合に緊急車両として扱っていただくということでございます。私どもとしても、その他の公共団体にこういう業界団体を指定地方公共機関として指定していただいて、地震発生時に遅滞なく、閉じ込めあるいは復旧などに対する移動手段を確保したいというふうに考えております。

 こういったソフトの手段、先生御指摘のように、高層マンション等々、非常にふえておる状況でございますので、そういうマンションの管理をされる方にぜひ周知を一生懸命させていただきたいというふうに考えております。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 続きまして、内水ハザードマップにつきましてお伺いをさせていただきます。

 お手元に資料を用意させていただきました。時間も迫ってまいりましたので、それでは、国交省松井下水道部長、内水ハザードマップの作成状況、それから目的と効果に関する見解につきまして、簡潔にお願いしたいと思っております。

 近年、今、東京都でも、下水道管、五十ミリ以上ということで対応を進めておりますが、それ以上の雨が、この十年間、年二百三十八回、二十年前から五割ふえております。名古屋の八月の集中豪雨は九千戸以上が浸水をいたしました。内水被害が大変深刻ではないかと思っております。

 洪水ハザードマップ、これは大変有名で、七百九十七市町村が作成をしていると承知しておりますが、内水ハザードマップの整備を推進していくべきではないか。やはり浸水とか一番身近なゲリラ豪雨に対応する災害につきまして、これこそ頻繁に使うマップではないかと思っております。そのことにつきまして御見解を伺いたいと思います。

松井政府参考人 お答えいたします。

 内水ハザードマップの重要性は大変高いものがある、委員御指摘のとおりだと思います。

 現状をお伝えいたしますと、平成二十年十月末現在で、八十一の自治体で内水ハザードマップが作成されております。

 内水ハザードマップは、御指摘のとおり、河川のはんらんではなくて、都市に降った雨によって浸水が想定される区域を明確にあらわすとともに、避難場所や避難地の危険箇所等に関する情報も記載したものでございます。これを住民の方々に周知することによりまして、豪雨時における住民自身の皆さんの対応の迅速化を高めること、また、その結果として被害の軽減を図ることに効果があるものと考えておりますので、その推進に努力をしていきたいと思ってございます。

高木(美)委員 どうぞよろしくお願いいたします。

 やはり早い周知、また徹底がありますと、私も江東区でございまして、数年前に、江東区の一部主要道路、京葉道路というところですが、一部区域が浸水いたしました。まさに内水被害でございまして、マンホールの水が噴き出して許容量を超えているという状況でございました。ただ、このことを地域の住民の方たちが、我が地域の特性はこういう状況にあると御存じであれば、土のうを日ごろから用意されるとか、そうした予報につきまして準備ができるわけですが、これがなかなかなされなかったという苦い経験がございます。

 そういうことも含めまして、この内水ハザードマップ、今ホームページ等でも盛んに宣伝をし始めてくださっているようでございますが、さらにこれを全国に徹底していただきまして、それぞれ必要な、特に都市型、地下街が多いところとか、こうした下水の整備がおくれている地域、また、川に注ぐ小川とか、そこの整備がなかなか進まない地域とか、こういうところに対する対応をとられますように、今後推進をお願い申し上げる次第でございます。

 もし何かございましたら。

松井政府参考人 ありがとうございます。その気持ちで進めてまいりたいと思います。

 特に、中心市街地が発展している地域、または地下街等を抱えている地域というのは内水に対するリスクも高いところでございますので、そういうところを抽出いたしますと、全国で五百の市町村、これは早急にハザードマップを策定していただきたいと我々も考えてございます。

 現在、十八年度に取りまとめました内水ハザードマップ作成の手引、これはマニュアルですけれども、これを公表して自治体の方に周知をさせていただいていますが、またその策定経費につきましても財政的な支援も行う仕組みを用意してございます。

 また、策定が促進されますように、より使い勝手のいいマニュアルというふうに、先ほど申し上げました内水ハザードマップ作成の手引の改定作業も現在行っているところでございますので、近々自治体に対しまして公表していきたいと思ってございます。

高木(美)委員 それでは、今後のさらなる取り組みをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

林田委員長 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 民主党の鈴木克昌であります。

 私の持ち時間の範囲内で若干御質問をさせていただきたいと思っております。

 きょう、主に三点についてお伺いしたいと思うんですが、若干高木委員の質問と重複するところもありますが、私なりの角度でお伺いをしてまいりたいというふうに思います。

 最初は、異常気象ということであります。異常でなくなった異常気象というふうに申し上げてもいいのではないかなというふうに思いますが、そのことについて一点。それからもう一つは、市町村を含めた都市防災について、この基本的な考え方というものをお伺いしたいと思います。三点目は、先ほどもお話がありました学校の耐震化ということであります。お話にもありましたように、四川省では子供たちが犠牲になったというあの実情を踏まえて、我が国の学校の耐震化についてどうあるべきかというところを若干お伺いしてまいりたいというふうに思います。

 申すまでもありませんけれども、我が国はまさに災害列島と言ってもいいのではないかなというふうに思います。台風あり、豪雨などの風水害、また北国では豪雪、そして地震、火山による被害ということでありまして、まさに災害列島と言っても過言ではないと思います。そういう中で、国民がいかに安心して、そして安全に生活をしていくかということは、国家として最も大切な部分だというふうに思っております。いずれにいたしましても、都市部に人口は集中しておりますから、一たん事が起きればやはり大変な被害が起きる、災害が発生をするということではないかなというふうに思っています。

 先ほど私、異常でなくなった異常気象というふうに申し上げましたけれども、異常気象の定義というのがあるかどうかわかりませんけれども、私が聞いておる範囲では、大体三十年に一度起きるのが異常気象だということのようでありますが、まさに今は異常気象が頻繁に起こると言っても過言ではないと思います。そして、その中の一つが例の、ゲリラ豪雨というふうに最近言われておりますが、限定された地域の中を驚異的な降雨量があるということであります。

 これはまさに体験をした者でないとわからないということでありますが、過般の自民党の総裁選で、当時の幹事長、今の総理でありますが、麻生さんが、安城、岡崎でよかった、名古屋だったら大変だったぜというような話でありました。実は、その安城、岡崎の隣が、私が市長をいたしておりました蒲郡でありまして、蒲郡という名前が入っていなかっただけあれですけれども、本当に地域の人々はある意味では心を痛めたわけであります。

 しかし、それを今御本人がおらぬところで言ってみたところでしようがない話でありますが、いずれにしても、ここにもありますけれども、「安城市民の皆様」ということで、いわゆる麻生さんの九月十六日付のわび状でありますけれども、「あらためて、私の発言を深くお詫びするとともに、復旧についてできる限りのことをすることをお誓いいたします。」総理がこういう形で陳謝というかおわびの書状を出すというのは余り好ましいことではない、やはり発言の前にお気をつけられた方がいいのではないかなというふうに私は思っておりますが、先ほど申し上げたように、御本人がここにお見えにならないので、これはこれぐらいにさせていただきます。

 私はなぜこの例を申し上げたかというと、その後、ある意味では今の総理は大変重要なことをおっしゃっておるんですね。それについてちょっとお伺いをしていきたいんですが、岡崎で降った雨は、一時間に百四十ミリ、これは百四十七ミリ、最大降雨量、一級河川は一時間五十ミリで計算してある、安城、岡崎だったからあの程度の被害で済んだけれども、名古屋で同じことが起きたらこの辺は全部洪水になってしまう、新しい気象変化に合わせてしっかりやらなければならない、こういうことを実は続けておっしゃっているわけですね。この部分は余り報道になっていなくて、安城、岡崎であったからよかった、名古屋なら大変だという部分だけ出されておるんですが、私は、この意味というのは非常に深いものがあるというふうに思うんです。

 まさに、この麻生総理の演説、当時の幹事長の演説は、都市防災機能の弱さということを述べられたというふうに思うんですが、防災大臣は、このいわゆる麻生総理の発言についての都市防災機能の問題点、ある意味では弱さというものを、もしあるとすればどこが弱いのか、そしてまたどのような対策をとっていくべきか、そのことについてまず冒頭お伺いをしてまいりたいと思います。

佐藤国務大臣 先生おっしゃられるように、近年の集中豪雨の頻度が増加傾向にありまして、今年度も、各地で河川のはんらんによる浸水被害が発生しているところであります。集中豪雨による都市部においての水害が発生すると、停電、断水、鉄道の不通、情報通信の機能損失などの広範な被害が発生をいたしまして、都市機能の深刻な麻痺をもたらす可能性があるというのは御承知のとおりであります。

 このような集中豪雨によります都市型水害への対策として、河川の整備に加えて、ハザードマップの整備とか、それを周知させる、そして降雨の予想精度の向上、調整池の整備など地域の保水能力を高める町づくりなどの取り組みを進められているところでございまして、関係機関が連携してこのような取り組みを推進していく必要があると思います。

 先日私も、そういう観点から、都市の外郭放水路というのを見てまいりました。非常に集中豪雨のときにその役割を果たす、保水力を高めるという施設でありましたが、それを見たりしたときの印象とすれば、やはりこういうものがしっかりと整備をされれば、集中する豪雨に対しての対策ができるのではないかなというふうな思いをいたしたところでございます。

鈴木(克)委員 確かに、ハザードマップの重要性というのは私も十分認めるわけでありますが、いずれにしましても、先ほど申し上げたように、例えばゲリラ豪雨を一つとっても、明らかに気象状況は変わってきておるわけですよね。したがって、やはり、それであるならば、まさにそれに対応した都市づくり、そして、それにまつわるいろいろな関連の制度設計といいますか、そういうものを本当に今こそ真剣に考えていかなければならないときだということを申し上げておきたいと思います。

 二つ目に、麻生総理はこの演説の中で、普通、一級河川は一時間五十ミリで計算してあるのに対して、今回は百四十ミリ、さっき申し上げたように百四十七ミリの雨が降った、このようにおっしゃっておるわけですね。

 全国の中小河川の整備状況というのは、まさに今のこの五十ミリに対してどのようになっているのか、どのような現状なのか、そして、今回のような雨に対して、中小河川の整備についてどのような対策、あえて言えば治水対策をとっていかれようとしておるのか、その辺をお示しいただきたいと思います。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 都道府県等が管理しております多くの中小河川におきましては、一時間五十ミリに対する安全度を確保するということを目標といたしまして整備を実施しているところでございますが、平成十九年度末の整備率はいまだ約四五%にすぎません。

 一方、委員御指摘のように、八月二十九日には岡崎で時間雨量百四十七ミリ、また、七月二十八日には金沢で時間雨量百十四ミリというような雨が降っておりますし、過去から見ますと、最近、短時間雨量が増大してきております。また、今後、地球温暖化が想定されておるわけですが、地球が温暖化しますと雨の降り方もさらに変わってくると想定されております。

 そこで、国土交通省におきましては、社会資本整備審議会河川分科会に、水災害分野における地球温暖化に伴う気候変化への適応策のあり方について諮問いたしまして、去る六月十九日に答申をいただいております。

 答申の要旨でございますけれども、そういう地球温暖化、あるいは短時間のふえてくる雨に対しまして、これまで実施してきておりました河川の改修、それをさらに強力に進めますとともに、さらに、先ほど申しましたような短時間の時間雨量がふえてきているということに対しまして、都市の中で、地下の調整池、学校のグラウンドあるいは公園等で一時的に雨をためる、さらには個人の各家庭で雨水を貯留、浸透させる、それでもって川に出てくる流量を減らすという流域での対策、さらには、実際に危ないときに、ハザードマップ、あるいはリアルタイムの河川情報、雨の情報を出して早目に避難していただくということで、従来やっておりました河川の改修に加えて、流域での対策、さらに最悪での避難策を含めて、増大する時間雨量、雨に対しまして安全を図っていこうとしているところでございます。

鈴木(克)委員 五十ミリで整備を四五%しかできていないということは論外なんですけれども、しかし、実際には百四十ミリ、これが頻繁に降るという中で、河川改修と避難誘導、そして学校のグラウンドに水をためるとか、何か、それで本当に大丈夫かな、災害列島と言われておる日本の、ある意味ではインフラをしっかりと支えていただかなきゃならない国交省の考え方として、本当にそれでいいんだろうかなと、正直言って不安に考えております。

 もちろん、莫大な予算、そして期間がかかることでありますから。しかし、やはりここは本当に、国土形成のありようというものも含めて、大きく言えば地球温暖化とか植林とか、話は大きくなっていくのかもしれませんけれども、やはり一つの長期プランを持って臨んでいっていただかないと、今の抜本的な問題解決にはなっていかないんではないかな、このように私は思っております。そういう意味で、しっかりと対処していただきたいと要望をしておきます。

 三番目に、また麻生さんの発言にこだわるようで大変恐縮ですが、最近の気象変化に国の基準が対応できていない、こういうふうにおっしゃっておるわけですね。これも本当に、ある意味では大変大きな問題だというふうに思います。本当に気象変化に国の基準が対応できていないということは、これでいいんでしょうか。いいんでしょうかというか、事実でしょうか。まずそれが一つお伺いしたいということ。

 もう一つ、冒頭私申し上げました、異常気象というのは私は三十年に一回の現象がまさに異常気象だというふうに聞いておるわけですが、例えば豪雨の例をとってみると、一時間に五十ミリ、八十ミリ以上の豪雨の回数がどのようにふえてきているのかということで、きょう、委員長のお許しをいただいて、気象庁のホームページから、短時間の強雨発生回数の長期変化という表を今お配りさせていただきました。これを見ると、一九七六年から十年ごとに見ていただいても、百六十二回、百七十七回、二百三十八回ということでありますし、下の表は、一時間降水量八十ミリ以上の発生回数ということです。

 まずお伺いしたいんですが、この資料に間違いはないというのか、これでよろしいということでしょうか。

平木政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御提出の資料は、気象庁のホームページで発表したものに間違いございません。

 ちなみに、細かな話でございますけれども、まだ十一月中ですので、本年分は、これは十一月六日までの回数となっております。

 以上でございます。

鈴木(克)委員 明らかに、こういうふうな形で発生回数がふえてきておるということですね。これが異常でなくなった異常気象というふうに言い切れるかどうか。これは私が勝手に言っておるだけのことでありまして、御専門の立場ではどのように御判断になるのかわかりませんが、いずれにしても、これが事実とするならば、やはりこれに対応した、いわゆる先ほどから申し上げておるような基本計画というものを抜本的に考えていく必要があるんじゃないかなというふうに思います。

 これは通告をしていないので御答弁は結構ですけれども、ちょっと気象庁に伺っておったら、警報とか注意報とかいうことで、何か早く正確に事をつかむのは気象庁の職務なんだけれども、それをいかに伝達するかというのは、総務省ですか、消防庁だというような話でありました。通告しておりませんので御答弁は結構ですけれども、この辺が私は非常に縦割り行政の弊害というものを感じるんですね。

 防災大臣のところがいいのかどうかわかりませんけれども、これぐらいきちっと、まさに一つの命令系統で的確迅速に周知徹底できるような方法でないと、本当にこれは、我が国は何をやっているんだろうなということで、部署部署に聞くと、いや、私どもはもう精いっぱいきちっとやっております、こう言うんですが、結局、立場が変わると、いや、そのことは私どもの所管ではありませんと。これは本当に大概にしておかないかぬというふうに思いますね。もうここらで、そういった制度設計というものを正していく必要がある、このように思っています。まあ、通告外の話で終わってはいけませんので。

 さて、現在の排水溝、排水管の大きさということですけれども、五十ミリ、八十ミリ以上の豪雨に対応できていないということなんでしょうか。いずれにしても、もしそうであるならば、その付近の住宅というのは、床下浸水とか床上浸水というのはやむを得ない、やむを得ないという言い方が当たっているかどうかわかりませんが、それは起き得るということなんですかね。もし、さっきから言っているように、基準が不的確であるとするなら、都市防災という観点からどういうふうに対応をしていくのか、お進めになっていくのか、その辺の考え方をちょっとお示しいただきたいと思います。

松井政府参考人 お答えいたします。

 排水管と先生申し上げられましたが、雨水を排除する都市内に配備されている下水道管、これもその役目を担ってございます。

 都市の浸水の対策につきましては、一般的に、下水道整備におきましては、一時間当たり五十ミリを計画対象降雨としてその整備を進めているところでございます。したがいまして、排水管やポンプ場は、一応、一般的にはそれがベース、計画になっているというふうに御理解いただきたいと思います。

 達成率はまだ五四%なんですけれども、それに加えまして、近年、その計画対象降雨を上回る降雨が、集中豪雨が頻発してきておる傾向がございますので、従来整備してきた下水道のみでは当然能力的に対応し切れないケースも出てきております。

 したがいまして、これから浸水対策をどうやってやっていこうか、大きな課題になってまいりますが、雨水管渠とかポンプ場を従来どおり増設していくということもやりつつ、都市内での雨水の流出を抑制する、あるいは貯留する観点から、都市内で雨水貯留浸透施設も効果的に配置していく、そういうこともあわせて行って、また、ソフト対策といたしましては、先ほど御説明しました内水ハザードマップを公表したり、それから住民に対して降雨情報の提供もきめ細かに行う、そのような総合的な対策がどうしても必要であろうかと考えてございます。

 国土交通省といたしましては、そういうハード対策、ソフト対策、それから住民みずからの対応というものもあるかと思います、そういう総合的な浸水対策が推進できますように、十八年度に、下水道総合浸水対策緊急事業という事業を創設してございます。これは、補助対象の枠を広げて自治体に取り組みやすいような制度でございますが、公共団体には、こういう制度を活用していただきまして、都市における浸水特性をきちんと踏まえて、あるいは河川事業ときちんと調整をした上で、下水道の整備といいますか、浸水対策を積極的に支援していただくことが重要であると考えてございます。

鈴木(克)委員 これもちょっと通告外ですから意見だけにとどめますけれども、ことしの十一月十九日、最近でありますけれども、下水道整備促進全国大会が開催されて、私の手元にもこうして要望書が来ておるわけですが、その中に、今おっしゃったような、下水道浸水被害軽減総合事業の創設を図ってくれ、それから防災、減災を組み合わせた下水道総合地震対策事業の創設を図ってくれというような要望があるわけでありまして、これは愛知県の分なんですが、先ほど、総理が、必ずできる限りのことをすることをお約束しますと言った岡崎、安城の市長の名刺もここに入っておりますので、これはやはりきちっとやってもらわなきゃ、総理は言っていることとやっていることが違うということになりますので、ぜひひとつ頑張っていただきたいというふうに思います。

 さて、ちょっと視点を変えまして、兵庫県の知事さん、井戸知事さんがおっしゃったことで、これもまたチャンスがどうのこうのとか、そのことはともかくとしまして、私は、一極集中ということについて、この際お伺いをしたいと思うんですね。

 やはり防災ということと一極集中というのは非常に表裏一体の問題だというふうに思うんですが、かつて首都機能移転というような話がもう本当にあちらこちらで言われました。ところが、バブル崩壊後、この話がすっと消えてしまったわけですけれども、現在の東京の一極集中に対して、政府というのか、防災の立場でどのように見てみえるのか、考えてみえるのかというところをちょっとお伺いしたいと思います。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 現在の我が国の国土の状況でございますが、御指摘ございましたように、東京を頂点とします太平洋ベルト地帯に人口や機能が集中をする、とりわけ東京圏に諸機能が集中するという一極一軸型の構造が続いておりまして、このことが、御指摘ございました国土条件の脆弱性の問題、さらには過密過疎といったような問題を惹起してきたもの、このように認識をいたしております。

 東京圏に諸機能が過度に集中することは、国土の適切な利用という観点からも、また災害発生時などの危機管理の観点からも好ましいものではないというふうに考えておりまして、国土全体で機能を分担し、それぞれ連携を図りつつ、過度の機能集中を是正していくということが必要ではないかというふうに考えております。

 本年七月に閣議決定をされました国土形成計画の全国計画におきましても、将来に向けた我が国の新しい国土像としまして、一極一軸型の国土構造を是正し、広域ブロックを単位に各地域が特色ある地域戦略を描きまして、地域全体の成長力を高めることによって、自立的に発展する国土構造へ転換するということをうたっております。

 今後、その具体化に向けた取り組みを進めることによりまして、新たな国土像の実現に向けて努力をしてまいりたいというふうに考えております。

鈴木(克)委員 今のお話で、過度の集中は好ましくないということは、もう今のお話を聞くまでもなくよくわかりました。

 では、問題はそれをどうやっていくのかということですよね。ある意味では、具体的に工程表を出して、こういう形で過度の集中を排除していくんだというぐらいのプランニングを私はやはり政府は持つべきだというふうに思うのですね。何遍聞いても、過度の集中はよくありません、一たん事があれば大変ですと、それはどれだけ繰り返しておっても一緒なんですから、やはり、工程表を含めた、日本のグランドデザインというのか、そういうもののありようというのを私は政府として出していくべきだ、このように思うのですが、その辺の、工程表を策定して進めていくというようなお考えはあるのかないのか、お聞かせをいただきたいと思います。

大森政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の御趣旨でございますけれども、過度に東京にいろいろなものが集中している、事あれば、そういった首都の機能、首都の中枢機能というのは一体どうなるのかというようなこととして理解させていただきました。

 そういう意味からいうと、先生御指摘の首都中枢機能の継続性の確保というのは非常に重要だろうというように思っております。首都直下地震の対策大綱におきましても、中央省庁等の首都中枢機関は業務継続計画などを策定し、発災時の機能の継続性を確保するということを言っているところでございます。

 内閣府といたしましては、これらを受けまして、昨年、中央省庁を対象とした業務継続ガイドラインを作成いたしまして、各省庁における業務継続の取り組みを促進しているところでございます。このガイドラインの中でも、御指摘をいただきました代替拠点といいますか、そういった代替拠点における業務の実施についても検討項目の一つとして盛り込ませていただいているところでございます。同様に、民間企業等に対しても、事業継続ガイドラインの策定等を通じて事業継続の取り組みを促進しているところでございます。

 今後、首都地域が大規模な災害に見舞われても、その影響を最小限にとどめることができるよう、首都中枢機関の業務継続力を高める取り組みを促進してまいりたいと考えております。

鈴木(克)委員 あってはならない大震災ということでありますし、あってはならない災害だというふうに思いますが、冒頭申し上げたように、日本は本当にそういう意味で、いつ災害が起きてもおかしくない災害列島だというふうに私も思っておりますので、その担当に当たられる方々は、常にそういうことを想定し、そして、先ほど工程表というような言い方も申し上げたんですが、そういうもので着実にひとつ国民の生活、生命財産を守るべく進めていっていただきたい、このことを要望しておきたいと思います。

 学校の耐震化のお話を伺おうと思ったら、もう時間がなくなってしまいましたので、最後、一点だけ申し上げたいと思います。

 これはまた批判ということになると大変申しわけないんですけれども、二兆円の例の定額給付金の話、今後どのようになっていくのか私はあれですけれども、仮に二兆円をそういう形でお使いになるということであるなら、私はこの際、違う形で使うというのもひとつお考えになったらどうかなというふうに思っています。

 具体的には、耐震に耐えられない学校が約一万一千校ですか、あるというふうに伺っておるわけですが、もしそうであるなら、一万校あるとすれば、この二兆円を使えば一校当たり二億円ということですよね。そうすれば、本当に短期間にそういった問題が解決できるということでありますので、私はやはりこの際、その二兆円の使い方、二兆でも三兆でもいいんですけれども、そういうものを、教育の問題、それから経済の波及効果の問題、そして、先ほどから言っておるような子供の安全を守るという視点からいっても、そういうような考え方というのをお取り上げになるおつもりはないのかどうか、最後にお伺いをしたいと思います。

岡政府参考人 お答えいたします。

 本年六月に地震防災対策特別措置法の改正が行われまして、また文部科学大臣から学校施設の耐震化加速に関するお願いを受けまして、全国の市町村において、公立小中学校施設の耐震化の前倒しの検討が行われているところでございます。

 その状況を踏まえて、必要な国庫補助のための予算を平成二十年度補正予算に計上しておるところでございます。これは一千百三十九億計上されております。また、本年十月にまとめられました生活対策におきましても、学校耐震化の一層の加速が盛り込まれたところであり、そのために必要な予算の確保を今検討しているところでございます。

 市町村の現在の耐震化の前倒しの検討状況でありますとか、耐震設計の技術者の需給動向等を踏まえますと、当面必要とされる国費の財源は、こうした補正予算に計上される額で十分足りるものと今考えているところでございます。

 文部科学省としましては、平成二十一年度においても、市町村の前倒しの検討状況等を踏まえながら、学校耐震化加速のために必要な予算の確保に最大限努力してまいりたいと考えているところでございます。

鈴木(克)委員 終わります。

林田委員長 次に、村井宗明君。

村井委員 衆議院議員の村井宗明です。

 さて、平成十二年、痛ましい災害が起こりました。文部科学省の登山研修所主催、つまり国が主催した大日岳での冬山の登山研修会、ここで二人の大学生が亡くなりました。内藤三恭司さん、溝上国秀さん、お二人の御冥福をお祈り申し上げます。

 それと同時に、この問題をもう一度深く検証する必要があると思っています。

 事故直後、国は、国には全く過失はない、不可抗力だったという事故調査報告書を発表しました。遺族側は、そうではない、予測できたはずだ、過失があったはずだということで裁判を起こしました。結果、富山地裁で行われた第一審では国側が敗訴し、そして控訴審では和解し、国が賠償をすることになりました。

 さて、まず一つお聞きします。

 今、裁判が終わって、そして賠償した現在において、国は、この冬山登山研修で過失があったと認められますか、認められないでしょうか、どちらでしょうか。

野家政府参考人 まず初めに、文部省登山研修所主催の大学山岳部リーダー冬山研修会におきまして、北アルプス大日岳頂上付近で大規模な雪庇の崩落に遭遇し、研修会に参加した内藤三恭司さん、それから溝上国秀さんのお二人がお亡くなりになるという痛ましい事故が発生したことは、大変残念でございます。御家族様の御心痛をお察し申し上げ、心からお悔やみ申し上げるところです。

 まず、平成十八年四月の第一審判決におきましては、講師らが雪庇全体の大きさが二十五メートル程度あることを予見することは可能であり、講師らの登高ルート及び休憩場所の選定判断には過失があったとして、国敗訴との判断が示されたところでございます。

 その後、国は控訴いたしましたが、控訴審におきまして、本件のできるだけ速やかな解決を図るとともに、事故の教訓を将来に生かしていくため、判決よりも和解による解決が望ましいとの裁判所の和解勧告を受けまして、昨年七月、和解金の支払い、本研修会に係る安全検討会の開催、それから局長のおわび等を条件として和解が成立したところでございます。

 このように、本件訴訟につきましては、和解によりまして、法的には、不可抗力であったかなかったか、国の過失の有無、これにつきましては主張しない、争わないということで終結したものでございますので、お尋ねの現時点での認識ということについては、お答えを差し控えさせていただきたいというふうに思います。

 ただし、その後開かれました安全検討会におきましては、先ほど申し上げました、過失があったとの裁判所の第一審の判断を基礎として、これを踏まえて、ではどうしたらいいかということの議論を進めておりまして、この判断そのものについての議論が行われているということはございません。

 以上でございます。

村井委員 文科省の答弁があやふやでわからぬものですから、大臣にお聞きします。

 大臣、裁判で負けて、敗訴したわけです。過失があったという第一審の判決で敗訴した現在、それでも今役所は、過失があったのかどうかわからないようなあやふやなことを言いましたが、大臣は、裁判で負けた現在、国に過失があったと認めますか、それとも裁判の判決を否定しますか。どっちかお答えください。

佐藤国務大臣 この件について私も詳しくまだ御報告を受けておりません。答弁については差し控えさせていただきたいと思います。

村井委員 ちょっと待ってください。事前に通告してある質問で答えられないという、こんなおかしいことはないと思うんですが、どうでしょうか。既にもう賠償金も支払いしていて、いまだに過失があったのかわからないというんだったら、何で賠償金を払って、何で和解したんですか。

 大臣、どうですか。過失があったから払ったんじゃないんですか。大臣にお聞きします。イエスかノーかでお答えください。大臣、大臣、役所はいいです。

林田委員長 現実の話ですので、野家スポーツ・青少年総括官。

野家政府参考人 私の方からもう一度御説明させていただきますが、控訴を行いまして、その結果、裁判所の和解勧告を受け入れて和解をしたということでございます。

 そこにつきましては、いわゆる国の過失の有無、あるいはいわゆる不可抗力であったかどうか、そういったことに関しましてはもう主張しない、争わないということで双方が納得をしてこの紛争案件を終結させたというふうに理解してございます。裁判の途中の段階で、お互いそのような理解のもとに和解が成立をし、和解金と、その後の安全対策についての検討会を開く、そういったことが取り決められたものというふうに理解しております。

村井委員 いや、実はきょう、この遺族の方も傍聴席におられるんですけれども、実は先週、遺族の方とずっと御自宅にお伺いして打ち合わせしましたが、遺族側は、一審で国の過失が認められて、それに基づいて国が控訴したけれども認められなくて、結局和解で賠償金を払ったという認識です。

 だって、もし過失がなかったんだったら国が賠償金を払う必要はないじゃないですか。過失を認めずして払ったなんて、そんなおかしい話はないと思うんですが、どうでしょうか。

 まあ、これ以上言っても水かけ論になるかもしれません。次の質問に行きます。

 まず、事故調査報告書の中で、国側は、当然、過失はなく不可抗力だったというふうに言っています。不可抗力だったと言っているのに、まずここでこの点を訂正する気はありますか、ないですか。どうでしょうか。

野家政府参考人 先ほど申しましたように、本件訴訟につきましては、和解によりまして、法的には、国の過失の有無、不可抗力であったか否か、そういったことにつきましてはこれ以上争わない、主張しないということで終結したものでございますので、私どもの方として、新たに事故調査報告書といったものをどうこうするということは考えておりません。

村井委員 そうしたら、第一審の判決で負けた分は否定されますか。イエスかノーか、どっちでしょうか。

野家政府参考人 控訴審におきます和解の条項でございますけれども、和解金を支払うということ、それから、これまでに裁判で明らかになった事実関係、事実認定というふうなものを踏まえて今後どのように対策を講ずるかを検討するという、その二つでございます。

 ですから、私どもの方としては、この和解にございますとおり、これまでの訴訟で、特に第一審判決において明らかになった事実関係、こういったものを基礎としてその後の検討を進めてきているということでございます。

村井委員 今おっしゃられた第一審の裁判の事実関係というのは、二十五メートル程度の規模の雪庇が形成されていることは予見できたものであるから、登高ルート、休憩場所の選定に過失があるというのが第一審の判決で、それに基づいて賠償金を払っておいて、今になって、いや、過失があったかないかわからないという話は、こんなおかしいことはないし、だったら何で過失を認めずして賠償金を払ったんですか。そこの理由について教えてください。

野家政府参考人 まず、和解の件でございますけれども、控訴審におきまして、裁判長から和解案の提示がございました。これは、訴訟提起後、既に五年を経過している、本件のできるだけ速やかな解決を図るということが必要であるという認識が一つ。それからもう一つは、これは登山研修所がかかわっているものではございませんけれども、実は、裁判係争中にも大学生などの悲しい冬山遭難事故が相次ぐという事態がございました。十六年、十七年、それぞれございます。それで、できる限り速やかな解決を図り、さらに、このような冬山遭難の多発ということに対して対応を講ずる必要がある、このように考えまして、私どもの方としても、裁判所の和解勧告を受け入れたものでございます。

村井委員 そうしたら、まず確認させてください。

 国が負けた判決であった、二十五メートル規模の雪庇が形成されていることは予見できたものであるというのをまず認めていますか、認めていませんか。どうでしょうか。

野家政府参考人 まず、雪庇があることを認識できたか否かということに関しましては、講師らは当然に雪庇の存在ということを認識しておりまして、裁判上も争点にはなっておりません。

 ただ、この雪庇の大きさがどのくらいであったか、それをきちんと認識できたか否かということにつきましては、第一審の地裁判決におきまして、講師らが本件事故当時、本件雪庇の大きさを正確に予見することは不可能であったが、本件雪庇全体の大きさが二十五メートル程度あることを予見することは可能であったというふうにされているところでございます。

 私どもの方としては、和解条項に基づきまして、この第一審判決において認定された事実関係を踏まえ、これを前提に検討を進めているというところでございます。

村井委員 では、その事実関係というのは、まさに、二十五メートル以上の雪庇があったことを予見できたという事実関係を認めてこの報告書がつくられているわけであれば、当然、過失を認めているはずなんです。

 ところが、まずこの報告書の中に、私が何でこれを問題視しているかというと、再来年から冬山登山研修を始めるというのに、そして裁判で負けて賠償金を払っているにもかかわらず、そのことがほとんど入っていないまま、安全検討会の報告書が出されている。これは、事故があって二人も亡くなられたから、もう一回これで安全をちゃんと検討して、再来年からやろうと言っているのに、全然この中に中身が含まれていないし、おかしいなと思って聞いたら、いや、事故に過失はなかったかもしれないみたいな、あやふやな言い方をする。本当にこれで再来年から冬山登山研修会を再開していいのかどうか、私は本当におかしいと思います。

 さて、その上で、次の中身の方に入りたいと思うんですが、まず、当然、事故のことを踏まえて安全検討会の報告書をつくらなければならなかったのに、この検討会のときに、当時その場にいた講師の方を一回も呼ばなかったということが気になっています。

 何で裁判後の安全検討会の中で現場にいた講師が呼ばれなかったのか、お答えください。

野家政府参考人 まず、この安全検討会というものがいかなるものであるかということについてもう一度御説明させていただきたいというふうに思いますが、この安全検討会というのは、和解条項にございますとおり、第一審、富山地方裁判所判決において認定された事実関係を踏まえ、今後の具体的な安全対策について検討するということのために設置されたものでございます。したがいまして、裁判過程とは別に事故原因の追求といったことを目的とした会議ではないというのが一つでございます。

 事故当時の講師につきましては、地裁における証拠調べにおいて十分に意見を聴取しておりますし、また、この検討会それ自体が、第一審の地裁判決において認定された事実関係を前提として検討するということでございますので、この検討会で重ねて意見を聴取するということは必要ないというふうに考えました。

 安全検討会の委員の方々も同様の理解でございまして、事故当時の担当講師から意見を聴取すべきとの意見はございませんでした。

村井委員 大臣にお聞きします。

 国がやった登山研修で二人も死んでいて、この原因究明をする場所がどこにもなかった。こんなことで本当にもう一回再開していいんですか。二人も亡くなっていて、過失があったかなかったかもいまだにあやふやだという国の見解のもと、まあ、賠償金は払ったとはいえ、原因究明をどこにもせずに、それで本当に再開していいんですか。再開する前に、二人も亡くなったこの事故の原因究明をどこかでするべきだと思うんですが、大臣はどう考えられますか。

佐藤国務大臣 今お話を伺っておりまして、亡くなった方に対して心からのお悔やみを申し上げたいと思いますが、文部科学省においての対応というふうに理解をしておりますので、防災担当大臣としての答弁は差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

村井委員 災害の防止についてですよ。今回、冬山で災害が起こった場合、しかも、起こった原因がほぼ明確になって、賠償金まで払っておいて、だって、遺族の方も、私は先週話を聞きましたけれども、決して国が過失を認めていないなんて初耳ですよ。今になってそういうことを言って、本当にそれで再開していいのか。

 そして、何で事故があったのか。第一審の判決では、雪庇があった、二十五メートルと予見できたはずだったのに、それを予見せずに冬山登山研修会をやって、登高ルートで風下の雪庇の上に行ったから事故が起こった。この裁判で認められた原因を認めず、過失を認めずにもう一回再開したら同じことが起こったっておかしくないし、少なくとも私は、今回再開するんだったら、その再開のためのシラバスの中に今回の事故を参考資料として入れるべきだと思いますが、どうでしょうか。

野家政府参考人 まず、安全検討会の報告書で、今先生の御指摘の点、次のように提言をいただいております。「登山研修所は、講義等における雪庇等に関する教材を一層充実するとともに、例えば弱層テスト・積雪観測などにおいて、より有効に講義等と実技研修を関連付ける必要がある。」

 先生の御指摘のように、このような事故を教訓として、二度とこのようなことが起こらないように対策を講じていくということは当然のことというふうに考えております。

 まず、研修教材について、このシラバスそれから危険地帯地図など研修資料の作成ということを行っていくことになりますけれども、その際には、今回の事故の教訓を踏まえまして、雪庇についての記述を十分盛り込みたいというふうに考えております。

村井委員 事故の教訓を踏まえて雪庇について盛り込みたいと言っているのであれば、やはり、雪庇をちゃんと認識できるはずだったのに認識しなかったから事故が起こったというのを認めておられますよね。それでも、いまだに予見できなかったというふうに考えますか。どうですか。

野家政府参考人 冒頭申し上げましたように、和解条項の受け入れということに関しましては、今回の事故についての国の過失の有無等につきましてこれ以上主張しない、これは当然我々の方もということでございますが、主張しない、争わないということでお互いが納得して受け入れたものということでございますので、現時点での認識ということについてはちょっと差し控えさせていただきたいということでございます。

 過失がなかったということを今申し上げているのではなくて、それについてはもうお互いに主張しない、争わない、そういう理解のもとで我々としては進めてきているところでございます。

村井委員 では、争わないのはわかったので、争わないという前に、そもそも、裁判では争わないのはわかったんですが、今現在において、過失があった、つまり、第一審の判決であった過失があったというのは認めるんですか、認めないんですか。過失があったと思っていますか、思っていないですか。主張するかしないかじゃなくて、今現在思っているか思っていないか、国の見解をお聞かせください。

野家政府参考人 先ほども申しましたように、これについては主張しない、争わないということでございますので、これについての現在の認識ということについては、和解の趣旨等を踏まえて差し控えさせていただきたいということを申し上げたところでございます。

村井委員 結局、事故のことは何にも生かされずに、この安全検討会の報告書を見て、私も、おかしいなと思いました。よく見たら、後ろに第一審の判決文がついているから、事故原因をこれで認めたのかなと思っていたけれども、文科省の言葉では、何で事故が起こったかも一言も書いていないし、雪庇を予見できるはずなのにしなかったというのも一言も書いていない。

 何かうまいことを言って、遺族はごまかされて、遺族の方は、第一審を受け入れたと思って和解に応じて賠償金をもらっているのに、今さらになって、国は実はそれを認めていなかった、でも賠償金だけ払いましたなんていうので、それで冬山登山研修会。

 大臣、これでもう一回災害が起こったら、どう責任をとられますか。どうですか、大臣、お聞かせください。

佐藤国務大臣 先ほども申し上げましたが、文部科学省においての対応というふうに認識をしておりまして、防災担当大臣としての答弁は差し控えたいというふうに思っております。

村井委員 結局そうやって、文科省側も防災担当大臣も両方逃げの答弁で、この質問の答えが何も出てこないなんて、こんなおかしい話があっていいのか。

 では、具体的に一つだけ聞きます。雪庇に対して、今後、どうやって予見して、どうやって対応していこうと考えているのかについて、少なくともそれぐらいお答えいただかないと、何の事故だったのかもよくわからなくなるんです。今後の雪庇対策についてお聞かせください。

野家政府参考人 私どもの方が開催いたしました安全検討会の方の検討の中において、さまざまな議論、例えば講師の間の情報共有の重要性とか、さまざまなことが指摘されてございます。

 この場でいただいた提言をもとに、具体的な、どのような形で研修を行っていくのか、その教材の作成について、今後、登山研修所におきまして、さらに有識者の意見も聞きながら具体化していくということを進めていく所存でございます。

村井委員 もう少し具体的な話があってもいいと思うんですが。

 次に、謝罪のことについてお聞かせ願いたいと思います。

 一審で負けて、二審で謝罪をして、私は、一審の分を認めて、過失があったから謝罪をしたんだと思っていました。ところが、今聞いてみると、謝罪はしたけれども、うちは悪くないよ、過失はなかったよ、過失はあったかないかわからないよという話になるんです。

 では、現在、国は何に謝罪をしたんですか。過失がなかったけれども謝罪となると、話がおかしくなると思うんですが、謝罪の意味、国の責任の部分を認めて謝罪をしたという認識に間違いがあるのかどうか、お聞かせください。

野家政府参考人 局長からのおわびということが和解の一つの条件でございます。

 これにつきましては、私ども文部省が所管している施設において二人の方がお亡くなりになったということに関しまして、局長からおわびを申し上げたということでございます。

村井委員 今の主張だと、自分たちは悪くないけれどもおわびを申し上げたというさっきの話の流れになるんですが、そういう認識でよろしいんですか、どうですか。文科省側にお聞きします。

野家政府参考人 おわびの内容でございますが、文部科学省登山研修所主催の冬山研修会に参加していた内藤三恭司さん及び溝上国秀さんが同研修会開催中に発生した本件事故により亡くなられたこと、及び今までの対応についておわびをしたということでございます。

村井委員 今の、今までの対応についておわびを申し上げたという、今までの対応とは何を指しますか。

野家政府参考人 事故が発生し、事故調査委員会の報告をまとめ、訴訟になり、係争をし、そのような一連の事柄に関してというふうに理解してございます。

村井委員 もう少し、その一連のについて。つまり、裁判の中身を認めずして謝罪だけした、一審の判決を認めずして謝罪したということにとらえられてしまうんですが、これ以上やっても、多分、上からとめられて押し問答になるだけなので、次の争点に行くんですが、私は本当に憤りを感じました。本当にそういうことで謝罪として認められるのかどうか。謝罪といったら、当然、自分たちに責任があった、一審判決を認めますという意味での謝罪だと思っていました。ところが、一審判決の過失は認めないけれども、お金は払います、謝罪はします、でも、一審判決で言われた過失はなかったかあったかはわかりませんという、そんなことがあっていいのかどうか。

 さて、この後の対応についての話に変わるんですが、本件の研修生の事故死については国賠法で賠償することになります。今回、遺族の方もおられますけれども、国賠法がいかに大変だったのか。

 だって、国賠法で訴訟した場合、過失があったかなかったかの挙証責任は遺族側にあるんです。でも、当然、遺族側は現場にいるわけではないし、専門知識は国の方があるから、挙証責任が遺族側に振られるとこんなに大変なことはないんです。

 今回、冬山で登山研修会を再度再開するに当たっては、例えば国の方で保険をつくるとか、そういった今後の賠償や補償に対しての新たな政策もつくるべきだと思うんですが、どうお考えでしょうか。

野家政府参考人 研修生の補償制度や保険につきましては、安全検討会の報告書におきまして、「登山研修所は研修参加者の保険などについて、条件整備をする必要がある。」との提言をいただいております。

 国の補償制度につきましてですが、ただいま委員御承知のとおり、国家賠償法におきまして、国家公務員が、「その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、」国が、「これを賠償する責に任ずる。」との定めがございまして、国家的な補償制度というものは既に整備されているものと考えております。

 また、保険につきましては、本件事故後の夏山研修会におきまして、事故の教訓を生かすという観点から、研修生の加入する傷害保険の死亡及び後遺障害時における補償金額、これにつきまして、事故前については、掛金千円、補償金額百五十八万円ということで少額だったわけでございますけれども、これを、掛金五千円、最大で三千万円の補償金額が出るというふうな保険への加入というものを義務づけたところでございます。

 その他、さらに検討すべき点があれば、引き続き登山研修所を中心に検討していきたいというふうに考えております。

村井委員 冬山で亡くなられた場合の補償金額というのがいかに大きいかは皆さん方も御存じのとおり、国は今回、二億円以上払っているわけです。ちょっとした掛金の保険では賄えないことをわかっておられると思うので、しっかりとした補償ができるような制度で登山研修会を再開してもらえればいいと思うんです。

 最後にもう一つお聞きしたいのは、これが、文部省が提出したマニュアルともいうべき、文部省が出版した「高みへのステップ 登山と技術」という本です。

 ちょうど今これの改訂を進めているというふうに聞いているんですが、こうやって文部省主催の登山研修会で事故があった以上、そして雪庇が原因で亡くなられた以上、現在、雪庇については一ページの半分ぐらいしか記載されていませんが、今回の事故を、文部省主催のところで事故が起こって亡くなったというのを参考資料としてつけて、そして今後雪庇について気をつけるように呼びかけるべきだと思うんですが、この改訂についてお答えください。

野家政府参考人 かつての文部省が出版した、登山の教科書である「高みへのステップ」という本でございます。

 これは、研修を行うときに、副読本として読んできてくれということを義務づけているような、そのような書物でございますけれども、これにつきましての改訂ということは、現在検討課題ということで、今直ちに改訂の具体の予定が立っているわけではございません。

 しかしながら、これを改訂する際には、当然のことながら、今回の事故の教訓を踏まえ、雪庇についての記述というものを充実していきたいというふうに考えております。

村井委員 最後に、大臣にお聞きします。

 きょうの総括でお聞きするんですが、大臣としては、今後、冬山登山研修を再開するに当たっては、当然、二度と災害が起こらないように防止していかなければならないという強い意欲をお聞かせください。そしてその上で、今回文科省は、謝罪には行く、そして賠償金は払うけれども、第一審で言われた過失は認めないという、この心のこもっていない謝罪についてどう考えるのか、大臣に最後、一言お聞かせください。

佐藤国務大臣 先ほども申し上げましたが、文部科学省についての対応でございますので差し控えたいと思いますが、今先生がおっしゃられたことについては、文部科学省とよく相談をさせていただきながら、今後の対応を考えてまいりたいというふうに思います。

村井委員 以上で終わります。

林田委員長 次に、鷲尾英一郎君。

鷲尾委員 質問の機会をいただきました鷲尾でございます。

 きょうは、中越沖地震のその後について少し質問をさせていただきたいというふうに思いますが、今も仮設住宅で一千五百人以上、正確に申し上げますと、十月三十一日現在で六百七十三世帯、千七百八十五人の方がまだ仮設住宅で不自由な生活をされているというところでございます。

 復興復旧を含めて、今、柏崎市が全力で、柏崎市民一丸となって取り組んでいるところではございますが、このことに関連をいたしまして、まず、前回の災害対策特別委員会でも私は質問させていただいたんですが、この中越沖地震、私は被災当日に入りまして、随分とヘリコプターの音がうるさかったというふうに記憶しております。

 これは、過去も、阪神大震災を含めて、中越大震災を含めて、同じようにやはりヘリコプターの騒音問題というのが国会でも取り上げられているということでございますが、この騒音について、災害対策を所管する内閣府さんとして、どういうような防災対策をこれからしていったらいいのか、前回質問してからどういうアクションをおとりになったのかということについて御説明をいただきたいと思います。

佐藤国務大臣 地震等の災害が発生した場合、地震の情報や津波の情報及び関係機関の活動情報は、被災地の住民の皆様方の適切な判断と行動を助ける、そして住民の安全を確保するために極めて重要であるというふうに考えております。

 国といたしましても、災害関係の情報提供を適宜行ってきているところでありますが、国民に対して情報提供を行う際、マスコミへ適宜適切に情報を提供することが大変重要でありまして、今後とも迅速的確な情報提供を心がけてまいりたいと思います。

 また、マスコミの活動が災害時の救助活動や市民生活の妨げにならないようにするとともに、被災者の置かれた立場に配慮いただけるように、マスコミの方々にも十分留意していただきたいと考えております。

 それで、四月二十二日の委員会において先生から御指摘のあった点については、当時の防災担当大臣から、テレビ、ラジオを所管している総務大臣にお伝えをさせていただきまして、内閣府よりは新聞協会にもその趣旨をお伝え申し上げたところでございます。

 いずれにいたしましても、災害対応を適切に行うに際して、マスコミ関係も含めた国民全般の協力が必要であると思いますし、防災活動への理解が得られるよう、今後とも普及啓発に努めてまいりたいと思います。

 先生の御趣旨のヘリコプターの音というのは、確かに大変大きな音でございまして、被災をされた方々に対しては非常に耳ざわりなところもあるかとは思いますが、一方、情報を伝えるという意味では大切なことであるということも理解しなければいけないというふうに思っておりまして、なるべくそういうものが理解でき得るように、いろいろな形で広報啓発をさせていただきたいというふうに思っておりますし、お願いをしているところでもございますので、御理解をいただきたいと思います。

鷲尾委員 適切な情報ということで伝えなければいけないということはわかるんですが、被災地の方は防災ラジオぐらいしか情報入手源がなくて、ヘリコプターで上空から撮った映像なんというのは被災地の方は知らないんです。全国のほかの地域の方々がテレビで見ているだけなんですね。

 ですから、今、適切に情報を開示しなければいけないという面での、当然、関係省庁と現地の地方自治体を含めて意思疎通というのはしっかりやらなきゃいけないし、被災者に必要な情報をどう伝えるかということは重要だと思うんです。

 私が申し上げたいのは、被災者が必要な情報がヘリコプターの騒音によって阻害されている、このことについて、マスコミの皆さんが自主規制をやっている、前の泉担当大臣からマスコミは自主規制でやっているんだという話をいただいたけれども、それではちょっと足りないんじゃないのと。

 というのは、阪神・淡路大震災のころからずっとこの問題が出ていて、阪神・淡路大震災のころは、ヘリコプターが上空を飛行するものだから、助けてくれという声が聞こえない、救助活動、救命活動に非常に支障を来す、それで、マスコミを含めて改めて何がしかの対策が必要だよねということがそのときの国会でも非常に問題になった。

 今回は、確かに死者は出ましたけれども、それは阪神・淡路大震災とは比較にならない規模だとは思っておりますが、ただ、早朝、明け方からヘリコプターが飛ぶというのはやはり異常だと思います。ですから、必要な情報が結局被災者に渡らず、生活に支障を来すような取材行動があったということはぜひとも認識していただきたいのです。

 今、御理解をいただきたいという御発言がありましたけれども、実際、私が被災当日ヘリが飛んでいるのを見ましたけれども、もしかしたら、自衛隊機が上空を飛んで必要な物資を運んでいるものかもしれなかったんです。それは私はわかりません。そこら辺の事実確認というのは、内閣府さんとしてされたんでしょうか。

佐藤国務大臣 中越沖地震のときには、その把握はしていないというふうな報告でございます。

鷲尾委員 それではこれがこの次に生かされないと思うんですね。

 実際、国会で指摘させていただきましたから、事実としてどういうヘリの取材があったのか。それと、そのときにも私は指摘をさせていただきましたが、小学校に取材が入って、その小学生に何か演技を求めるような、そんな取材の仕方をしていた、こういう話も承っているんですね。これは当然、現場の声として国会でも披露させていただきましたが、こういう行動があったことについても、しっかりとマスコミの態度というのを、だれがその是正を促すかといったら、やはり防災担当の、所管する省庁がするしかないと思うんです。

 ですから、事実の確認と、それをこの先にどうやっていくのかということも話し合っていただかないと、単に要請しただけではとても私は理解できないんですが、その点についてのコメントをお願いいたします。

佐藤国務大臣 しっかりと対応させていただきたいと思います。

 例えば、そういうときにはヘリコプターが各会社ごとに飛ぶ必要はない。共同みたいな形で一機飛べばそれで済むということにもなり得るでしょうし、そういう具体的なことも含めて、私ども、ちょっと考えさせていただいて、関係省庁と詰めてまいりたいというふうに思っております。

鷲尾委員 済みません、事実確認については通告していなかったので申しわけなかったのですが、ぜひ、また質問をさせていただきますので、その確認とフィードバックをまたしていただけたらというふうに思います。

 次の質問に移らせていただきたいと思います。

 この中越沖地震ですけれども、これは、従来というか、日本の地震の中でも有史上全然違う、性質が異なる点がございます。それは何かといいましたら、震源地から原子力発電所までの距離が十六キロメートルというんですね。物すごい近接、もう原子力発電所の間近で大地震が起こってしまったということでございます。

 この原子力発電所の近くで地震が起こったということについて、当然、テレビでも当時映像が流れました。大変住民の皆さんは不安になったわけですけれども、今、現地の方々、柏崎市市内の原子力発電所にお勤めの方々含めて、やはり安全確認は大事であると。安全確認をした上で、やはり、でも原子力発電をしていただかないと困るといった声があるわけですね。

 それはどうしてかというと、今し方、仮設住宅に一千七百八十五名の方がまだ入っておられるという話をさせていただきましたけれども、今まさしく、これから復興をしていこう、震災前の状態にまで何とか引き上げていこう、むしろ震災をばねにしてさらに町をよくしていこう、住民の皆さんはこういうふうに考えていらっしゃるわけです。

 翻って、今、柏崎を含めた市の財政を見てみますと、やはりこれは厳しいと言わざるを得ません。というのは、震災が起こったときには確かに予算がつくんですけれども、起こってそれから産業が復興するまでにはかなりやはり時間がかかる。時間がかかりますし、被災者の方は当然住宅がだめになります。会社も含めていろいろな震災についてのロスがありますから、市も収入がどんどんどんどん減ってしまっている。それが今の状況なんですね。

 そう考えますと、この先、本当にこの町を復興する、特に電源立地地域を復興させるということは、日本のエネルギー政策としてもやはり非常に重要な観点であろうかと私は考えておるところであります。

 柏崎市の状況を言って恐縮ですけれども、平成二十三年には、これは総務省さんはよく御存じだと思うんですけれども、早期健全化基準に抵触してしまう。非常に財政的には厳しいということで、市長さん、四役、管理職含めて減俸をして頑張っておられるというところなんです。ただ、あめをやればいいという話じゃないと思うんですけれども、やはり電源立地地域を復興させるんだという観点で、この先、私これから申し上げますけれども、電源三法の交付金制度について少しやはり検討を前向きにしていただきたいと思うところがございます。

 その一点として、先ほどから申し上げておりますけれども、電源立地地域交付金制度、これは、交付単価それから使途、今、かなり使いやすい制度にはなっているとは思うんですが、やはり、被災をしているという観点からいって、さらなる弾力化というのが必要になると思うんですが、経産大臣政務官の松村先生がいらっしゃっていますので、御答弁をいただきたいと思います。

松村大臣政務官 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、電源立地地域対策交付金制度については、これまで電源立地地域等の皆様からの御要望も踏まえまして、平成十五年に、電源立地の各段階に応じて措置されました各交付金を統合するとともに、交付金の対象事業の範囲に福祉サービスや地域活性化事業などのソフト事業も追加するなど、累次にわたりその改善を行ってきたところでございます。

 この結果、自治体の庁舎費、地方債の返済、公序良俗に反するような事業などを除けば、本交付金は自治体の創意工夫によってさまざまな事業に活用できるなどの弾力的な制度となっております。平成十九年度には柏崎市と刈羽村に対しまして、中越沖地震からの復興を強力に支援するために、合計で四十一億円の追加交付も行ったところでございます。

 御指摘のとおり、発電所と地域との共生を図る観点から、今後も適切な運用を図ってまいりたいと思っております。

鷲尾委員 ありがとうございます。

 適切な運用ということで、平成十九年度に四十一億ですか、追加交付していただいたということは私も存じ上げておるのですが、先ほど申し上げたとおり、被災したその年度は確かに、本当に復旧予算として大変ですから、当然交付していただかなきゃいけない。ただ、災害の復興ということになりますと、その翌年度までやはり影響は非常に強く残る。

 御紹介したように、市税の収入というのは決算の関係もあって、ことしが一番厳しいわけですね。被災した当時は、やはり交付もあるし、それはまだ、税金として、予算はその年度初めに立つ。補正もそういう形で交付措置、追加措置していただくということで、ある程度、余裕があるという言い方は変ですけれども、それよりももっと厳しいのが、やはりこれから本気で復興しようということしなんですよね。

 そういう意味で、災害の復興を考えた場合に、その交付金制度の運用ということを考えた場合に、その当年度で出したからいいじゃないかという考え方ではなくて、そうではないんだよというところもぜひとも御勘案をいただきたいというところでありますが、一言。

松村大臣政務官 今後も、地域の実情をしっかりと把握した上で、何ができるかをしっかりと考えてまいりたいと思います。

鷲尾委員 ありがとうございます。

 それと、原子力周辺対策費として、この原子力発電所のある、及びその隣接する地域ですけれども、電力の供給を受けている家庭、企業に対して、実はその電気料金が下がるような、実はそういう補助をいただいているわけでありますね。原子力立地給付金という形で割引設定がされているということなんですが、国として、その交付金を使うけれども、現地の立場からすると、例えば柏崎市の実勢でいきますと大体約二割程度の電力料金の割引であるというふうに私も聞いているんですが、災害がありましたよといったときに、やはり、この電力料金を含めて消費者に見える形で弾力的に割り引くという形になると、これまた皆さんも元気になるし、復興が早ければ早いほどやはり日本のエネルギー政策としても非常にいいんではないかと思うんですが、この点についてのまた政務官の御意見をいただきたいというふうに思いますけれども。

松村大臣政務官 御指摘の給付金については、本交付金の内訳として実施されているものであり、地元市町村の各世帯や企業に対して、一定の単価を定め、給付が行われております。この給付金については、地元市町村の判断によりまして、交付限度額の範囲内で追加加算することも可能となっております。

 柏崎市や刈羽村に対しては今後引き続き本交付金による支援を行ってまいりますが、その活用方法につきましては各地域において御検討いただくものと考えております。

鷲尾委員 ぜひ交付金の枠自体を、被災をしているんだ、電源立地地域が被災をしているんだという、要するに未曾有の事態ですから、その未曾有の事態に対応するようにお願いをしたいと思います。

 続きまして、原子力立地地域において雇用促進、産業振興ということで、原子力発電施設等周辺地域企業立地支援事業というのがございます。釈迦に説法で恐縮ですけれども、電気料金の一部または全部を助成するこの制度が、今の被災されている企業の中で実績として今どれぐらいあるのかということについてもお聞かせ願いたいと思います。

西山政府参考人 お答えいたします。

 原子力発電施設等周辺地域企業立地支援補助金についてでございますが、新潟県中越沖地震の被災地であります同県の原子力立地市町村などに所在する企業への補助実績を申しますと、平成十九年度上期は百六十九件、三・七億円、平成十九年度下期は百八十六件、四・二億円ということで補助しております。

鷲尾委員 これは補助年数が八年というふうに聞いておりますが、これもやはり、被災をしているということを考えて、この八年という年数について弾力的に運用していくというお考えはありますでしょうか。

西山政府参考人 お答えいたします。

 本補助金は、電源立地地域への企業立地と雇用の促進のため、新たな立地や一定の雇用増を伴う設備投資を行う企業に対しまして電気料金の実質的な割引を行うものでございます。

 本補助金につきましては、先生がおっしゃったように、交付期間を当初の八年間としております。一方で、対象となっている企業が追加的な投資を行えば、その分については補助金の交付期間を延長することも可能でございます。交付期間の延長はその分だけ財政負担を伴うものとなりますけれども、制度の目的を踏まえますと、当省としては、できるだけ新たな投資を呼び込むための財源ということで活用すべきだと考えております。

 なお、本補助金につきましては、地元市町村などの御要望を踏まえまして、原子力立地市町村に新規に立地する製造業などの企業については、雇用人数の増に応じまして補助額の大幅な加算を行うという制度の拡充を本年度から実施しております。

鷲尾委員 新規は延長することも可能ということでお答えをいただきました。

 今新規の投資を呼び込むための施策というものも確かに大事だと思うんですけれども、原状に復興していく、要するに原状復帰をするためのものとしても、雇用促進、要するに、地元でも大きなショッピングセンターがこの震災によってだめになった、つぶれる、そこで、皆さん、従業員解雇、こういうことになるわけですね。ですから、原状復帰するということについても、雇用維持という上でも、こういう施策は、例えば八年ぎりぎりで、来年もう切れちゃうということになると、やはりちょっとどうなのかな。被害を受けた企業が現状の雇用を維持する、新規に延長するというのも確かにいいんですけれども、現状を維持するためにもやはりある程度弾力的な運用が必要だと思うのですけれども、どうでしょうか。

西山政府参考人 今現在の運用としては、先ほど申し上げましたようなやり方が私どもとしてはこの財源の活用の仕方として一番いいと考えておりますが、先生の御指摘も頭に置いてまいりたいと思っております。

鷲尾委員 ぜひしっかりと念頭に置いていただいて、現場の雇用環境は非常に厳しいです、非常に厳しいところで、もうぎりぎり、この支援が打ち切られる、今まであった支援が打ち切られる、これがどれだけ雇用を維持している企業にとって重要なことか、そのことについてぜひ思いをはせた運用をしていただきたいと思います。

 続きまして、電源開発促進税ということなんですけれども、電源開発促進税法によっていろいろ交付金制度があるわけですけれども、私、電源開発促進税というのは、やはり災害から復興するというための財源とするのは決して無駄遣いではないというふうに考えておるわけですが、地元住民のために、原子力発電所を理解する、そういうために、復興に国としても責任を持って、ある程度の財源を持って当たっている、そういう意味において、私は、この電源開発促進税というのも積極的に利用していくべきだというふうに思うのですが、その点のお考えをお聞かせ願いたいなというふうに思うんです。

西山政府参考人 御指摘のとおり、電源開発促進税を、原子力発電所に対する地域住民の御理解を得るために、地震被害からの復興のための地域振興策に充てるというようなことは、発電所の運転の円滑化に資するものであると考えております。経済産業省としても、必要不可欠と考えております。

 こういった考え方に基づきまして、先ほど政務官が御答弁を申し上げたように、昨年度、被災した地元に対して約四十一億円の交付金の追加交付を行うなどの措置を講じております。

鷲尾委員 今後ともよろしくお願いをいたします。

 それで、続きましての質問ですが、原子力発電施設立地地域共生交付金というのがございます。ちょっと時間もなくなってまいりましたので手短にお願いをしたいんですが、これは、例えば柏崎刈羽はいつ交付の対象になるのか。この交付金の趣旨、それから今の交付実績についてお聞かせ願いたいと思います。

西山政府参考人 御質問の、略して共生交付金でございますが、原子力発電所の運転開始後三十年を経過している高経年化炉が設置されている発電所が所在する道県に対しまして総額二十五億円を交付するものでございまして、平成十八年度につくりました。この交付金の対象となりますのは、現時点において六県でございます。

 柏崎刈羽原子力発電所につきましては、一番最初の号機であります一号機の運転開始が一九八五年でありましたので、三十年が経過する二〇一五年以降に新潟県として対象になるということでございます。

鷲尾委員 西山部長から高経年化炉という言葉が出ましたけれども、この高経年化炉ですけれども、国、政府として、原子力発電、それこそ今六県、交付実績がある。要するに、運転開始から三十年以上たったのが六県という話ですよね。

 この高経年化炉の話ですけれども、原子力発電所は運転開始からどれぐらい使い続けるのかという目安を教えていただきたいと思うんです。

加藤政府参考人 今先生から、運転開始から年数が経過した原子炉について御質問があったわけでございます。

 これは、電力会社は、原子力発電所に関しましては、プラントの運転年数にかかわらずに、必要な安全のための技術基準を維持するということが法律上義務づけられております。そのために必要な点検、検査を行いまして、傷んでいるところについては取りかえ、補修を行う。また、そういった場合に、新しい材料ですとか腐食しにくい材料ですとか、新しい技術を使ったものに取りかえるということもやっております。

 そういった取り組みによりまして、運転年数にかかわらずに、プラント全体としての安全性を常に確保する取り組みを電力会社では行っているわけでございます。

 それに対しまして、原子力安全・保安院では、電力会社によるそうした取り組みにつきまして、運転開始当初から、法律に基づく検査などで厳格に確認するとともに、特に運転開始後三十年を迎える段階におきましては、プラント全体を対象とした高経年化の影響の評価、あるいは、それを受けてその後どんな対策をとっていくのかといった技術的な評価を義務づけておりまして、その評価が妥当かどうかにつきましては、我々、専門家の意見を聞きながら、厳格に確認しておるところでございます。

 今後とも、こうした高経年化制度を厳格に運用することによりまして、運転年数にかかわらずに、きちんとこの技術的な基準を満たしているかどうか確認して、原子力の安全確保に努めてまいりたいと考えております。

鷲尾委員 これはエネ庁さんにもお答えをいただきたいと思うんですけれども、どれぐらいの目安であるのか。要するに、今の話ですと、目安にかかわらず、とにかく安全確保でやっていくんだという話でしたけれども、政府として、この高経年化炉というのは、原子力発電所というのは一つの炉をどれぐらい長く使うのかという、その目安というのはあるんですか。このことについてのお答えをいただきたいと思います。

西山政府参考人 突然の御質問でございますのであれですけれども、今の考え方を整理しますと、原子力発電所は、設置許可を受けたときに、一定の年数を想定して設置許可をやっておりますけれども、それが近づいてきたときに、今申し上げましたようないろいろな安全性の点検を行いまして、それでこれからどのぐらいまで使えるかということをその原子力発電所を構成するいろいろな部位について点検し、それで使える長さを決めていくべきものと考えております。

鷲尾委員 西山部長の方からも御説明があったとおり、共生交付金が三十年たってから交付されるというのは、一つは高経年化炉になってきた目安なのかなと。私は、政府がこういうことについて目安をやはり持たないと事業者も簡単には判断できないと思いますので、このことも検討をお願いしたいというふうに思います。

 ちょっと時間がなくなりましたので最後の質問にさせていただきたいと思いますが、少し視点を変えまして、原子力発電所の警備体制について質問をしたいというふうに思います。

 今現在、警備体制がどうなっているのか。きょうは警察庁の方とあと防衛省の方も来ていただいておりますので、陸自や海自、空自を含めてどんな関与をしていくのか。原子力発電所の安全を、テロという災害といいましょうか、こういうことに対してどう対応していくのかということについて、警察庁さんと防衛省さんにお話を伺いたいと思います。

石井政府参考人 原子力発電所の警戒警備につきましては、強力な火器による攻撃にも対処し得るよう、事業者において相当の自主警備措置、例えば堅牢な原子炉建屋の設置、多重防護システムの構築、多数の警備員の配置による出入り者のチェックなどの措置が講じられているものと承知をしております。

 警察としても、さまざまな事態に的確に対処し得るよう、ライフル、機関けん銃、対爆・対弾仕様の車両等を装備した部隊を常駐させ、二十四時間体制での警戒警備に万全を期しているところでございます。

 万が一、原子力発電所に対するテロが発生した場合には、事業者と緊密な連携をとりながら、原子力発電所に配置の部隊に加え、警察本部の銃器対策部隊を直ちに派遣し初動対処に当たるとともに、さらに高度な制圧能力、機動力を持つ特殊部隊、SATを迅速に投入して対処することとしております。

 今後とも、警察の対処能力の強化を図りつつ、事業者、経済産業省、海上保安庁、自衛隊等とも緊密に連携して、原子力発電所の安全の確保に間隙が生じることのないよう、全力を尽くしてまいる所存でございます。

岸本政府参考人 原子力発電所に対するテロ等の事案についてでございますが、今警察庁の方から御答弁がございましたように、一義的には公共の安全と秩序の維持に責任を有する警察機関が対応することになりますが、先ほど御説明がございましたような一般の警察力をもっては治安を維持することができないと認められる場合には、私ども、治安出動により自衛隊が警察機関と連携して対処することとなります。

鷲尾委員 災害のときに原子力発電所が襲われるなんてことがあったら大変だと思いますが、いろいろな事態を想定して、各省庁連携をとって防災体制の構築に当たっていただきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

林田委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 昨年の被災者生活再建支援法の改正は、いわゆるねじれ国会と呼ばれる国会の中の最初の成立法案であり、多くの国民、関係団体を励ます成果だったと思っております。ちょうど一年、制度がどう生かされ、また次なる課題が何なのか、少し考えてみたいと思います。

 まず、改正支援法が遡及適用になった災害がどの程度活用されるようになったのでしょうか。例えば能登半島地震、中越沖地震において、半壊以上の世帯数、支援法による支援金支給世帯数、また災害救助法による住宅の応急修理件数がそれぞれ幾らなのかをまずお答えください。

 それで、改正前は対象世帯の五割が支援金を受けられるというのが一つの目安であったと思います。改正によって、対象世帯数のうち、カバー率がどのぐらいになったのか伺います。

大森政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、能登半島地震による半壊以上の住宅被害は二千四百十七棟でございます。そのうち、被災者生活再建支援金の支給を受けた世帯は八百四十世帯、これは平成二十年十月三十一日現在でございますけれども、また、応急修理を受けた世帯は九百二十世帯でございます。

 中越沖地震による半壊以上の住宅被害は六千九百四十棟でございまして、そのうち、被災者生活再建支援金の支給を受けた世帯は二千五百五十二世帯、これも同様、平成二十年十月三十一日現在でございます。応急修理を受けた世帯は二千八百六十二世帯というようになっております。

 次に、カバー率の問題でございますけれども、被災者生活再建支援金と応急修理による支援、それぞれの支援を受けた世帯数の合計と被害のあった棟数を単純に比較いたしますと、能登半島地震におきましては約七割、新潟県中越沖地震においては約八割となっております。

 ただ、この数字でございますが、世帯数を単純に棟数で割っているものでございます。また、両方の支援を受けている世帯が考えられますので、実際にいずれかの支援を受けることができた世帯はこれよりも少ないものになるのではないかと考えられます。

 以上でございます。

    〔委員長退席、三ッ林委員長代理着席〕

高橋委員 今お話あったように、若干ダブりがある問題などで厳密には見えないということであります。

 そこで、一つ、参考になんですけれども、七月九日付の読売新聞の新潟版によりますと、柏崎市で被災住宅の八割が被災者生活再建支援制度を申請していることがわかった、法改正で使い勝手が向上したのではないか、このような指摘がございます。つまり、中越地震と中越沖地震の地震発生後十一カ月の比較。件数の単純比較でいきますと中越地震の一・五倍である。しかし、中越沖の場合は全壊または大規模半壊した住宅の数が中越地震の半分以下、それを考慮すると、さらに円滑に支給が進んでいるという指摘で、要するに、件数でいうと一・五倍、住宅の被災の割合を勘案しますと大体三倍の効果ということが読み取れるのではないかと思うんです。

 ですから、この十一カ月の比較でこうであるということは、スピードの問題、それから規模、つまり対象要件が広がったということの規模の問題ですね、この点について、まず内閣府の受けとめを伺いたいと思います。

大森政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生の今の御指摘のように、昨年、議員立法によりまして再建支援法を変えていただいたわけでございますが、年収要件の撤廃等々、渡し切りの制度に変わりまして随分使い勝手がよくなったのではないかというように考えております。

高橋委員 今紹介した記事のように、具体的に使うことができる世帯がふえたということは、この委員会としてみんなの努力で実らせたものでありますけれども、やはり非常に大きな意味があったのではないかということを思っております。

 そこで、今、先ほど紹介された数字を聞いていて感じたかと思うんですが、支援法で受けられた規模と同じくらいの規模で住宅の応急修理制度が活用されている。例えば、能登半島でいうと八百四十の支援法に対し応急修理が九百二十ということ、中越沖ですと二千五百五十二に対し二千八百六十二ということで、応急修理制度というのがかなり活用されているということが一つまた言えると思うんですね。

 私、この制度に対しては、二〇〇四年の新潟・福井豪雨災害の問題を指摘したこの委員会から、うんと活用してほしいということで訴えてきたつもりであります。その当時の豪雨災害は、半壊以上が二百件以上に対して応急修理が六件だった。このことから見ると、今本当に活用されていると言えるのではないかと思っているんです。

 ただ、大きな問題がございます。それで、資料の1を見てください。この活用のきっかけになったのが、平成十六年十一月二日付の厚生労働省社会・援護局保護課長から新潟県にあてた連絡文書であります。「新潟県中越地震における災害救助法の住宅の応急修理の円滑な実施について」、この通知は新潟県に向けた文書ではありますけれども、全国に一般化されているのかどうか、まず伺います。

坂本政府参考人 ただいまの応急修理の実施でございますけれども、新潟県中越地震の際に、みずからの資力で応急修理ができない者の資力要件について基準の明確化を図ったところでございます。

 こうした取り扱いにつきましては、災害が発生した地方自治体に助言を行うのはもちろんのこと、毎年開催いたしております災害救助担当者全国会議におきましても、各都道府県に対しまして事務取扱要領を配付するなど、その内容について周知しているところでございます。

 厚生労働省としましては、今後とも都道府県に対しまして十分周知を図ってまいりたいと考えております。

高橋委員 今お話がありましたように、応急修理制度に新たな基準が設けられたということになると思うんです。資料にありますように、対象が半壊であることや仮設住宅を利用しないことという条件がついている。それから、所得などの要件がついている。この所得の要件は、当時の被災者生活再建支援法に準じたものであるということが確認をされているんですね。

 ちょっと二枚目の表を見ていただきたいと思うんです。かつては、被災者生活再建支援法がこういう階段式の様子になっておりました。今回の法改正で所得要件と年齢要件がなくなったので、大規模半壊以上はすべて対象になる。ところが、半壊という条件つきで、世帯主が四十五歳未満は年収五百万円以下というように、まだ要件がつけられている。これは、根拠法である支援法が今取っ払ったわけですから、この際、支援法に準じて取り払っていいのではないか。いかがですか。

    〔三ッ林委員長代理退席、委員長着席〕

坂本政府参考人 御指摘の資力要件の明確化をいたしたことによりまして応急対策をとることのできる対象物件がはっきりいたしまして、応急修理がスピードアップをするとともに、その実績も上がってきているところは事実でございます。

 被災者生活再建支援法は、生活再建を支援するものといたしまして、使途の要件をなくすとともに、資力要件を撤廃し、支援金の給付をすることに改正されました。一方、災害救助法の応急修理は、資力のない本人にかわって行政が行うものでございまして、被災地域の当面の住まいをどのように確保するかという観点から、まさに喫緊の応急対策としての性格を有しているところでございます。ということで、内容を異にしているものと考えております。

 厚生労働省としましては、今後とも実態に即して応急修理の適切な運営に努めてまいりたいと考えております。

高橋委員 スピードアップを図るということを言うのであれば、今も定額給付金の所得制限でもめておりますけれども、それがないのが一番いいわけであります。災害救助法というのは、本来、所得要件を持たないものである、急ぐものであるからこそ持たないものであるということを言われてきたと思うんですね。まして、応急修理というのは五十万円と限られておりますし、しかも五十万円を使い切る必要はないわけで、現物給付でありますから必要以上に使う危険性はないわけですね。そうすれば、本当に法の趣旨である必要な者に必要な程度を使うということに沿うものではないか。

 それから、もう一つ言われた、資力のない者ということを明確にしたのだというお答えであったけれども、そうすると、何で年齢で分ける必要があるのか。

坂本政府参考人 確かにそのような指摘はあるわけでございますが、災害救助法の応急修理につきましては、居室、炊事場、便所など日常生活に必要最小限度の部分について現物で行うということで、応急修理を必要な範囲ということで対応しようということでございます。したがいまして、その場面でどういうふうな住まいの対策をとるかということを、限りある資源を使いましてどのように対応するかという観点から、要件を定めて運営しているところでございます。

高橋委員 日常生活に最低限度必要なものを見直すとするのであれば、一部損壊というのはまさにそこに当たるわけですよ。ここを区別する必要はなくなるわけです。それから、先ほど言った年齢制限の問題は結局解決されない、今の答弁を聞いていても解決をされない。

 つまり、当時は、中越地震で、非常に大量にスピードアップを図る必要があったからこうした基準を決めたけれども、準拠した支援法を見直しした。そういうことからいっても、今は応急修理制度そのものも、本来は、日常生活に最低限度のものを修理すれば住めるのだ、その趣旨をうんと尊重したらどうなるのだろうか、要件はもっと見直してもいいのではないか、このことを検討するときに来ていると思います。

 大臣に、このことを通告しておりますので、調整役として考えを伺いたいと思います。

佐藤国務大臣 被災者生活再建支援法は、自然災害によりましてその生活基盤に著しい被害を受けた方に対し、その生活の再建を支援し、もって住民の生活の安定と被災地の速やかな復興に資することを目的としております。同法による支援金については、昨年の法改正によりまして、見舞金的な性格を有するものとされまして、年収要件が撤廃されたものであります。

 一方、災害救助法における住宅の応急修理は、災害によって住宅が半壊以上の被害を受け、そのままでは住むことができないが、その破損箇所に手を加えれば何とか日常生活を営むことのできるような場合を対象としております。このような場合には、その応急修理を行う資力がない方に対して、行政が必要最低限の修理を行うことで被災者を保護しようとするものであるというふうに思います。

 災害の担当大臣といたしましては、今後、必要に応じて厚生労働省と連携をしつつ、両制度のあり方について、その運用実態を踏まえて、被災者の立場に立った総合的な検討を加えていくことが必要と考えております。

高橋委員 ここはあと指摘にとどめます。何度も言っているように、私は、救助法と支援法と性格が違うということを踏まえた上で言っているんです。資力のない者といいながら所得制限をし、しかも、最低限といいながら一部損壊はだめよと。そうやって基準を設けたことが非常に現実に合わなくなっているんだということをしっかり踏まえて検討していただきたいということを訴えたいと思います。

 そこで、やはり被害認定というものが、この応急修理の問題でも支援法の問題でも大きくかかわってくるわけですね。

 それで、ちょっと資料の4を見ていただきたいと思うんですね。一部損壊から全壊認定にと見出しが書いております。見舞金五万円から公的支援最大四百万円になった事例でございます。大変ショッキングなわけですけれども、中越大震災における被害認定で一部損壊になった小千谷市の女性が、再調査を受けて一部損壊から一気に全壊認定になったわけです。そうすると、これは自治体の補助でありますけれども見舞金五万円しかもらえなかったものが、一気に四百万円になった。つまり、認定というのは、一点の違いでも天国と地獄の、これだけの境目になってしまう。だからこそ、厳密でなければならないし、被災者が納得できるやり方でなければなりません。

 簡潔にお願いいたします。内閣府は、被害の実態に即した適切な住家被害認定の運用確保方策に関する検討会を今立ち上げて、来年六月にも運用指針改訂を目指していると聞いていますが、このような指摘を踏まえてどのように進めていくのか、当事者の声を聞く仕組み、公聴会など検討するべきと思いますが、伺います。

大森政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、内閣府といたしましては、これまでのさまざまな指摘を踏まえまして、学識経験者などにより構成する検討会を設けているところでございます。地震だけでなく、竜巻、水害の際の被害認定についての検討を進めまして、来年の六月ごろをめどに、必要に応じて被害認定の調査・判定方法の見直しを行うことといたしているところでございます。

 そして、質問の中で、もっと現場の声を聞くべきではないかというようなお話もございましたが、この今の検討会のメンバーの中には、被害認定業務に従事した自治体職員の方や、また、被害認定調査に現場で協力された学識経験者の方に委員として参加いただくなど、現場の声を聞くための体制をつくって検討を進めているところでございます。

 また同時に、被害認定を実施したことがある市町村の担当者を対象としてアンケートやヒアリングを実施するとともに、被災者にヒアリングを行うなどによりまして、被害認定調査の実態把握に努めております。

 これらによりまして、これらの現場の声を踏まえて検討をしていきたいと思っております。

高橋委員 公聴会もお願いいたします。

 検討会で出された資料を見ますと、被害認定において税務当局と建設部局以外の方がやっているというのが五割を超えているわけですね。これに対して意見が現場から上がっているんです。例えば、岩手・宮城内陸地震の被災者は、三回調査をやったけれども、同じ人が来て、評価が変わらないし、三回やったから打ちどめだと、これでは再調査の意味がないじゃないかと訴えているわけです。

 最初に言ったとおり、点数の積み上げで、一点の違いが天と地の差を分ける、命運を分けることになるわけですね。基本的住居の機能を喪失しているという点を本当に評価するということを大臣はこれまで何度も答えてきた。だけれども、それは結局点数の積み上げになっている。そこをどう盛り込むかといったときに、例えば、提案です、再調査には建築関係部局を配置すること、あるいは、主治医の意見書ではありませんが、本人が建築家などのアドバイスをもらって不服を申し立てする場合、これをきちんと評価してあげる、こういう仕組みを考えたらいかがですか。

大森政府参考人 お答え申し上げます。

 住家被害の認定に当たりましては、市町村の職員がこれを行うことを基本と考えております。実際、多くは建築・税務関係部局職員などを中心として業務に当たっているところでございます。その他の専門家の活用についても、現行の被害認定基準運用指針におきまして、大規模地震災害等において、応急危険度判定士、また地元建築士会などの支援の重要性を指摘しているところでございます。

 ただし、各自治体におきまして、いろいろな財政面また実施体制面での制約もございますので、これらの制約を考慮に入れながら、今後、被害認定の実施体制についてはさまざまな観点から検討を行いまして、運用の改善に努力してまいりたいと思います。

高橋委員 時間なんですけれども、最後の質問に答えていないんです。本人が建築家のアドバイスをもらった場合、評価してくれということ。答えていないのでお願いします。

大森政府参考人 先ほど申し上げましたように、多くは建築そして税務関係部局職員などを中心として業務に当たっているわけでございます。その他専門家の活用も、我々、重要性を指摘しているところでございます。

 また、市町村の中では、さまざまな建築そして税務関係からの固定資産の評価、そういったことを事前にいろいろ研修を行いながら、そういう知識を身につけて被害認定に当たっているというように伺っているところでございます。

高橋委員 重ねて要望して、時間が来たので終わります。

林田委員長 次に、日森文尋君。

日森委員 社民党の日森でございます。

 消防庁がことしの九月の十八日に、防災拠点となる公共施設等の耐震化推進状況調査結果というのを公表いたしました。この結果によりますと、平成十九年度末の耐震率は六二・五%ということになっているんですが、まず、この六二・五%という結果についての評価をお聞きしたいと思います。

幸田政府参考人 お答えいたします。

 耐震率につきましては、第一回調査の平成十三年度末時点で四八・九%でございましたが、平成十九年度末の見込みで六二・五%ということで、最近の六年間で一三・六ポイント増加をしておりまして、一定の推進が図られているところでございます。

 しかしながら、防災拠点となる公共施設等の耐震化は、地震発生時において、当該施設を利用する住民等の安全確保、地方公共団体の円滑な災害応急対策の実施に極めて重要であると考えておりまして、さらなる推進が必要であるというふうに認識しております。

日森委員 積極的に努力をしていただきたいということですが、特に、学校の耐震化については、五カ年計画というのが策定をされて、それが一年間前倒しをされて四年へ短縮されたということを聞いています。防災拠点となる公共施設の耐震化促進についても、これは今おっしゃったとおり大変重要な事業だと思います。

 消防庁の二十一年度重点政策というのがございますが、防災拠点となる公共施設等の耐震化目標として、平成二十五年度までに耐震化されていない施設の割合を半減するという目標が出されているわけです。これは確実に実施をしていただきたいということですが、これは消防庁を信頼していないわけじゃないんですが、十分に力を持っていることを承知した上で、消防庁だけじゃなくて国や自治体、こうしたところもプランをちゃんとつくって実行していくということが必要じゃないかというふうに思うんですが、御見解をお聞かせいただきたいと思います。

大森政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣府の方からは、国のプランについてお話を申し上げたいと思います。

 災害時には避難所となる学校や、災害による負傷者の治療が行われる病院、そして応急対策の拠点となる市町村等の庁舎など、災害時に防災拠点となる公共施設等の耐震化は極めて重要であるというように認識をしております。

 本年四月に、公共施設等の耐震化に係る目標を設定した「自然災害の「犠牲者ゼロ」を目指すための総合プラン」を定めたところでございます。これに基づいて現在着実な耐震化を進めているところでございまして、今後とも、関係省庁と連絡して、公共施設等の耐震化の促進に取り組んでまいりたいと思っております。

日森委員 いただいた資料によりますと、旧の方になりますが、昭和五十六年以前建築の棟数が十万七千三百五十一、そのうち、耐震診断実施棟数というのがあるんですが、耐震診断を実施した棟数が六万八千五百三十三というふうになっています。この実施率が実は六三・八四%にしかなっていない。つまり、防災拠点となる公共施設全体の二〇%以上が、耐震性があるのかないのか、この結果だけ見ると不明になっているわけです。

 こうした状況はなかなか放置できるものではないというふうに私は思うんですが、一つ目は、この状態についてどういう見解をお持ちなのか、お聞きをしたい。

 耐震診断が進まないというのは、結果はわかっているよ、これはどっちみち改修しなきゃいけない古い建物なんだろうという思いもあるかと思うんですが、しかし一方では、耐震診断自体に大分お金がかかるということも事実だろうと思うんです。そうすると、二十数%やっていないということなんですが、そんなことも勘案すると、耐震診断に対する支援というのがどうしても欠かせないというふうに思うんです。

 その二点についてお聞かせいただきたいと思います。

幸田政府参考人 二点につきましてお答えさせていただきます。

 耐震診断の状況につきましては、今後一層の促進が必要であると認識しております。

 消防庁といたしましては、公共施設等の耐震診断に要する経費につきまして、学校施設、社会福祉施設などを対象にして、平成五年度から十一年度まで地方交付税措置を講じてきたところでございます。

 しかし、この点は大変重要だというふうに考えておりまして、さらに、防災拠点となる公共施設等を対象としまして、平成十九年度から五カ年の予定で地方交付税措置を講じているところでございまして、今後とも、耐震診断が着実に推進されるよう地方公共団体に積極的に働きかけをしてまいりたいと考えております。

日森委員 それで足りるかどうかは別にして、ぜひ積極的にやっていただきたいと思います。

 先ほどもちょっと課題になりましたが、ちょっと心配しているのは、病院などの診療施設、ここの耐震化がどうなっているかということなんです。平成十九年度の耐震率見込みが棟数で見た場合は七一・二五%ということになっているわけですが、棟数であって、例えばそこにベッドがどれぐらいあるのか、どれぐらいの方々を診療されているのかとかいうことについては、この数字だけでは明らかにならないわけです。

 ですから、棟数ではなくて収容能力、これはベッド数と言ってもいいかもしれませんが、ベッド数や診療能力、これらを勘案してみた場合、耐震率というのは一体どうなっているのか、調査をされているのかどうか、これは変化するのか、するんだったらどの程度の率になるのか、もしおわかりだったら、お聞かせいただきたいと思います。

幸田政府参考人 お答えさせていただきます。

 公共施設等の耐震率につきましては、以前は二年に一回調査をしておったわけでございますが、ここ毎年、非常に重要だということで調査をしているところでございます。それぞれの施設の種別ごとに調査をさせていただいております。

 今お話ございましたように、診療施設につきましては、棟数で十九年度の見込みが七一・二五%というふうになっておりまして、御指摘のとおり、棟数に着目した数字でございます。したがいまして、収容能力、ベッド数あるいは診療能力別に見た耐震率というものにつきましては、調査の対象になっておりませんので、不明という状況でございます。

日森委員 結局、診療施設というのは災害のときに大変重要なことになるわけで、できたら、大変な作業になるかもしれませんが、そういう能力別だとかベッド数なども調査をした上で、支援するにしても優先順位をしっかりつけて、積極的に指導して、まずこういうところからきちんとやっていくということが必要ではないかと素人判断で思うんですが、いかがでしょうか。

幸田政府参考人 防災拠点となる施設は大変多うございますので、今お話ございましたベッド数等について全国的に調査するということ、お話ございましたように大変な作業になりますので、検討させていただきたいと思います。

日森委員 公立病院、特に市立病院などは、経営状態なども大変厳しい状況に今なっているということがあります。背景には自治体財政が大変厳しいということもあるんですが、こういう財政状況が厳しいということを考えると、診断をして改修をするとかいうことにちゅうちょをするのではないかという心配があるわけです。

 これは、もちろん総務省の関係もあると思いますが、病院の経営状態にかかわりなく耐震強度の強化というのは促進をされるのか、あるいは、経営状況などを勘案しつつ耐震改修などをする、きちんと把握しながらやっていられるのか。なかなかそうはできないとおっしゃるかもしれませんが、もしそんなお考えがあったら、お聞きをしたいと思います。

細田政府参考人 私から、公立病院の関係についてお答えさせていただきます。

 公立病院の耐震化につきましては、私ども独自の調査をしているわけではございませんけれども、今先生の御指摘もありましたように、消防庁の調査によりますと、診療所も含めたところで、防災拠点となる公立の診療施設の耐震率は平成十九年度では七一・二%であったということでございます。これは、調査を開始いたしました平成十三年度におきましては五七・五%でございましたので、一三・七ポイント上昇しているというところでございます。

 なお、各病院の経営状況と耐震化の関連につきまして網羅的な調査分析は行っておりませんけれども、経営状態が著しく悪化した病院におきましては、建設投資に係る費用回収の見通しを立てることが難しい、そこで耐震化を含む病院施設の整備に慎重になる事例も見受けられるというところでございます。

 こうした状況を踏まえまして、総務省といたしましては、公立病院につきまして、被災地の医療確保や支援を行う災害拠点病院の指定を受けました公立病院につきまして、耐震補強工事や免震装置の設備等耐震化に必要な経費につきまして、その全額を、地方公共団体の一般会計が病院事業会計に繰り出すべき経費であるというふうな基準を定めまして、地方交付税措置を講じてございます。

 このほかの病院につきましては、公立病院が不採算部門を担っていることにかんがみまして、耐震化を含めました病院施設の建設あるいは改良に要する経費一般に関しましても、その二分の一につきましては、地方公共団体の一般会計が病院事業会計に繰り出すべき経費とする旨の基準を定めて、地方交付税措置を講じているところでございます。

 各公立病院におきましては、経営健全化の取り組みを進め、必要な建設投資が適切に実施できる財務基盤の確立を図るとともに、こうした地方財政措置をも活用して必要な耐震化を進めていただくことを期待しているところでございます。

日森委員 引き続き積極的な支援をお願いしておきたいと思います。

 最後になりますが、防災拠点の公共施設の耐震化、これは支援がいろいろあるんです。文科省も学校などについての支援をする、それから、先ほどおっしゃった防災拠点病院については厚労省、そして消防庁も支援がある。これは、それぞれ縦で支援があるんですが、防災という観点から考えるともう少し統一的な形で、縦割りは縦割りでそれなりに今までやってこられたわけですが、もう少し全体的な支援策というのをできないか。政府一体で耐震化を進めるという形で支援策や推進策を進めていく必要があるんじゃないか。

 例えば、内閣府が中心となって協議機関をつくって、縦割りだった学校であるとか病院であるとかを全部点検した上で、その地域に合ったものをきちんと、これをやっていこうとかという協議機関みたいなものを設けたらどうか。これは素人判断の考えなんですが、お答えをいただけたらありがたいと思います。

佐藤国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 「自然災害の「犠牲者ゼロ」を目指すための総合プラン」の策定に当たっては、関係省庁と連携をいたしまして耐震化に係る具体的な目標を設定し、全閣僚が構成員である中央防災会議に報告をしているところでございます。

 今後、内閣府におきましては、耐震化の状況について関係省庁の協力を得てフォローアップを行いまして、中央防災会議に報告することとしております。

 また、中央防災会議に設置されている幹事会を通じまして関係省庁間の連絡調整を実施しているところでありまして、今後とも関係省庁と連絡を密にいたしまして、公共施設の耐震化の促進に取り組んでまいりたいと思います。

日森委員 わかるんですが、もう少しすっきりした形で何かできるようになるといいのではないかということを申し上げて、終わります。

 ありがとうございました。

林田委員長 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 当委員会で佐藤大臣に質問させていただくのは初めてでございますけれども、各委員会で、私は、ずっと耐震化のこと、特に水道管ですとか下水管、これをずっとやり続けてきております。大臣の答弁をいただくたびに、またその大臣が次の国会になるとかわってしまうとか、非常に一貫性がずれてきているのかなというところもあるものですから、しっかり御答弁いただきたいなというふうに思っております。

 まず、水道の耐震化のこと。これは厚生労働委員会でも質問させていただいておりますけれども、今、各先生方からも質問ありましたいろいろな建物を耐震化する、ただ、例えば病院を耐震化しても、水道管を耐震化していなければそこに来る水がない。これはもう何度もこの委員会でも発言をさせていただいているところであります。

 この水道管の耐震化、これを進めていくためには、最新技術の開発、こういうものも必要ではないかなというふうに考えておりますが、この技術開発を進める事業者の育成ですとか支援、こういうところに対しての必要性、これは政府はどのようにお考えでしょうか。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 水道に関する技術開発につきましては、基本的に、例えば管路については管材メーカー等において行われているところでございますが、厚生労働省におきましても、これまで、厚生労働科学研究による産学官連携の研究プロジェクトなどによりこれを推進してきたところでございます。

 本年度より開始した研究プロジェクトにおきましても、例えば、管路更新手法の開発に関する研究の一環といたしまして、基幹となる水道施設の機能診断手法に関する研究や、施設更新の優先度を考慮した地震による管路被害の予測等に関する研究を行っているところでありまして、これらの成果といたしまして、水道施設機能診断マニュアルの策定や被害予測式の改善を行い、水道事業者が行う水道の耐震化への活用等を目指すこととしております。

 以上のような取り組みを推進することにより、水道の耐震化対策が一層促進されるよう努めてまいりたいと考えております。

糸川委員 このような研究をぜひ促進していただいて、今、水道ビジョン、こういうものでも、十年以内に基幹路をおおむね一〇〇%したいということをおっしゃっていましたけれども、なかなか進んでいないというのも現状としてあるわけですから、ぜひ研究開発、こういうところにも力を入れていただきたいなというふうに思っています。

 この耐震化を進める上では、どうしても地方の財政負担、これが問題になっているわけでございますが、水道の耐震化というのは、水道管全体ですと三十四兆円の資産がありますので、これをどの程度耐震化していくかというところでも相当な金額が財政的に必要になってくるということでございます。

 そうなってきますと、各地方自治体の負担がふえますので、例えば住民の方に耐震化に対する必要性をどのように理解させていくのかということが重要になってくるのかなというふうに思っております。この住民の皆さんに対する耐震化の啓発、こういうものに対してどのような措置を講ずるおつもりなのか、お聞かせいただけますでしょうか。

中尾政府参考人 御指摘ありましたように、水道施設の耐震化のために必要な投資を行っていく上で、水道の利用者の理解を得ることが不可欠であると認識しております。

 このため、本年四月に、水道事業者に対して通知を行いまして、水道施設の耐震化を計画的に実施するよう求めるとともに、水道施設の耐震性能や耐震化の取り組み状況などについて、水道の利用者に定期的に情報提供するよう求めているところでございます。

 また、水道関係団体と連携いたしまして、本年度から二年間を運動期間といたしまして、水道利用者の理解の向上を図り、水道施設の耐震化を促進することを目的として、水道施設・管路耐震性改善運動を展開しているところでございます。関係団体におきましては、ポスターを掲示するとか、作文、標語の募集等を計画しているということでもございます。

 今後とも、水道の利用者である住民の皆様の理解を得ながら、水道施設の耐震化が一層促進されるよう、いろいろな努力を重ねてまいりたいと考えております。

糸川委員 ぜひこれは、住民の皆さんも恐らく反対するところではないというふうに思っておりますので、しっかりと御理解をいただけるように取り組んでいただければというふうに思っております。

 時間もございませんので、次に、災害が起きますとトイレというのが非常に大きな問題になってくるわけでございまして、これは百六十九回国会の質疑の中でもお聞きしたところでありますけれども、災害時のトイレ、例えば本年十月に出された首都直下地震避難対策専門調査会の報告、これでも、災害時にはトイレが大変な問題になるよということが報告されているわけでございます。

 前回の質疑の中で、災害時のトイレ、この対策として、衛生的なことも考えると、仮設トイレそれから簡易トイレ、これだけではなくて、マンホール直結型のトイレ、こういう整備を急ぐように申し上げたわけでございます。

 これは、前回、提案だけで終わったところでございまして、きょうは、ぜひその御回答をいただきたいと思いまして、マンホール直結型トイレについて所管省庁としてどのように整備を推進するのか、お考えをお聞きしたいというふうに思っております。

松井政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のマンホール直結型トイレと申しますのは、公共下水道のマンホールのふたの上部に簡易な仕切りと便座を設置して、そうしますと、水洗用水が確保されなくても、直接下水道管の中に排せつ物が落ちますので、震災時における緊急対策の一つとしては有効であるというふうに考えてございます。

 我が省といたしましては、それも含めて、下水道施設の耐震化というものを緊急的に実施する必要があると考えておりますので、十八年度に、下水道地震対策緊急整備事業というものを創設しております。その中のメニューの一つといたしまして、マンホール直結型のトイレを設置するための、マンホールを改造したりしないといけませんが、そのときの改造費についても一部国庫補助の対象とするという運用を行っているところでございます。

 地方公共団体に対しましては、下水道部局だけですべてそれをカバーするというのは難しい問題がありますので、トイレの問題は、防災部局なり衛生部局ときちんと連携を図りながら、本制度も活用していただけるようにいろいろ周知し、お願いをしているところでございます。

糸川委員 このマンホール直結型のトイレというのは、柏崎の地震のときに私お聞きしたら、一つもなかったということで、仮設トイレはありますけれども、やはり衛生的なこととか、ボランティアの方の活動とか、非常にトイレのことでは御苦労なさっていますので、ぜひそういうところを取り組んでいただければなというふうに思っています。

 あわせて、このマンホール直結型のトイレ、これを整備できるところというのは、基本的には市街地が中心になってくるのかなというふうに思っております。人口が少ないところ、こういうところでは、トイレですとか生活排水というのを処理するためには浄化槽を使っておりますが、地震ですとか水害等の災害時にはこの浄化槽というものも大きな被害を受けているわけでございます。災害時における浄化槽の被害について、国はどのような実態把握というのをされていらっしゃるんでしょうか。

 それから、浄化槽の設置に対しては補助金が出る場合が多いんですけれども、災害で被害を受けた場合の浄化槽の取りかえ、それから修理、こういうものに補助が出るのか。これから、災害時における浄化槽の被害対策、こういうものに国がどのように本腰を入れて検討していくのかということもあわせて、お聞かせいただけますでしょうか。

谷津政府参考人 お答え申し上げます。

 浄化槽は、本体が家庭の敷地内に埋設されております地下構造物でございます。また管渠部分も短いということから、震災などによる災害の被害を受けにくいという特徴を持っていると考えております。

 過去の地震においても、平成七年の阪神・淡路大震災では、被害を受けた浄化槽の割合が全体の八・三%。また、平成十六年の新潟県中越地震では同じく六・七%と、比較的被害を受けた浄化槽の数が少ないという実績がございます。

 震災などにより浄化槽が被災した場合でございますけれども、個人が設置したものについては対象にはできないわけでございますが、市町村が設置する浄化槽については、廃棄物処理施設災害復旧費国庫補助金により、二分の一の国庫補助を行っております。また、被害を可能な限り低減させるとともに、復旧を迅速に行うため、本年度から、浄化槽被害等対策マニュアルの策定に取り組んでおりまして、浄化槽の災害対策に今後万全を期してまいりたいと考えております。

糸川委員 浄化槽というのは被害を受けにくいとかいろいろな発言もありますけれども、これは耐震化を進めておいて問題のあるようなことではありませんので、ぜひ国庫補助も、個人で設置されたものに対してはなかなか補助を出しにくいところでもあると思いますけれども、どの程度の公共性がある建物なのか、そういうことまで含めて御検討いただければなというふうに思っております。

 もう時間がなくなってきてしまいまして、本当は学校の耐震化のことをちょっと質問したかったんですけれども、きょうは大臣に一つ質問をしたいものですから、次の質問で終わりにしたいと思います。

 学校の耐震化の問題ですとか、きょうちょっと質問しませんでしたけれども、まだまだおくれているわけですよね。学校の耐震化ということ、これは文科省が所管としてやっている。それから、厚労省は上水をやっている。国交省は下水をやっている。各所でいろいろな耐震化というのを考えてきて、課題がそれぞれあるわけでございますけれども、平時における備え、こういうものが災害時の被害を最小限に食いとめる。

 先日の大臣の所信のときも、災害から安全、安心を確保するための行政による災害対策の強化の重要性、こういうものも述べられていらっしゃるわけでございます。これは今までの歴代の大臣の皆さんもおっしゃるんですけれども、なかなか、関係省庁との関係は縦割りというところがあって、防災担当大臣、本当にリーダーシップをとってやっていかないとこの課題はクリアできないんではないかなというふうに思っております。

 今お話ししましたマンホール直結型トイレ、こういうものを例にとりましても、この所管というのは他省庁にまたがっているわけです。そうしますとなかなか前進できない。あれば安心、安全につながるのに、前進できないと、やはりそれは安心、安全につながらないというところを私は危惧しているわけでございます。

 これは大臣が、これから政府としてどのように取り組まれるおつもりなのか、関係省庁と、しっかりそのリーダーシップを発揮されるのか、それからこれに関する御所見、こういうものをお聞かせいただきたいなというふうに思っております。

佐藤国務大臣 防災担当大臣を拝命するに当たりまして、今先生からおっしゃられた学校の耐震化、そしてきめ細やかな災害への備えを進めるということの指示がございました。

 いろいろな観点から、今先生がおっしゃられたようなこと等々をしっかりと受けとめて、頑張ってまいりたいと思います。

 特に、今先生がおっしゃられたマンホール直結型のトイレのことについては、これは一番大切なことではないかなというふうに私は思っております。特に都市部での状況においては非常にいいアイデアでございまして、そういうものも含めて、しっかりと対応してまいりたいと思います。

 特に、私の地元に道の駅ができました。この道の駅ができるときに、中越地震の後だったものですから、そこに防災の拠点をつくるときに何をつくったかというと、先生がおっしゃられたマンホール直結型のトイレを設けるような施設をつくらせていただきました。水が必要だということで、雨水で十分に賄えるわけでありますから、雨水をためておいてそういう施設に使うなんということも実際行われておりますし、そういう先生の御意見を踏まえて、そのライフラインがしっかりとできるようなこと等々も考えながら頑張ってまいりたいと思います。

 よろしくお願いいたします。

糸川委員 大臣もぜひ促進に向けて全力を注いでいただきたいなというふうに思っております。

 きょうは文部科学省の皆さんにもお越しいただいたんですが、また次回質問させていただきます。本当に御無礼しました。

林田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十八分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.