衆議院

メインへスキップ



第3号 平成20年12月17日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十年十二月十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 藤村  修君

   理事 井上 信治君 理事 嘉数 知賢君

   理事 小島 敏男君 理事 仲村 正治君

   理事 西野あきら君 理事 三井 辨雄君

   理事 江田 康幸君

      安次富 修君    小野 次郎君

      岸田 文雄君    清水清一朗君

      とかしきなおみ君    中根 一幸君

      西村 明宏君    平口  洋君

      馬渡 龍治君    安井潤一郎君

      山崎  拓君    若宮 健嗣君

      市村浩一郎君    川内 博史君

      仲野 博子君    丸谷 佳織君

      赤嶺 政賢君

    …………………………………

   議員           鈴木 宗男君

   外務大臣         中曽根弘文君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 佐藤  勉君

   内閣府副大臣       宮澤 洋一君

   外務副大臣        伊藤信太郎君

   内閣府大臣政務官     松浪 健太君

   環境大臣政務官      古川 禎久君

   政府参考人

   (内閣官房アイヌ政策推進室長)          秋山 和美君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   原田 正司君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  清水  治君

   政府参考人

   (内閣府北方対策本部審議官)           藤本 一郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 福嶌 教輝君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    西宮 伸一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           榮畑  潤君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           道上 浩也君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局整備部長)         齋藤 晴美君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    高原 一郎君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           廣瀬  輝君

   政府参考人

   (国土交通省航空局次長) 関口 幸一君

   政府参考人

   (国土交通省北海道局長) 奥平  聖君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 小林 正明君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  高見澤將林君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 松本隆太郎君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  渡部  厚君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  井上 源三君

   衆議院調査局第一特別調査室長           大和田幸一君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月十七日

 辞任         補欠選任

  飯島 夕雁君     安井潤一郎君

  橋本  岳君     とかしきなおみ君

  加藤 公一君     川内 博史君

同日

 辞任         補欠選任

  とかしきなおみ君   橋本  岳君

  安井潤一郎君     小野 次郎君

  川内 博史君     加藤 公一君

同日

 辞任         補欠選任

  小野 次郎君     飯島 夕雁君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 沖縄及び北方問題に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

藤村委員長 これより会議を開きます。

 沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房アイヌ政策推進室長秋山和美君、内閣府政策統括官原田正司君、内閣府沖縄振興局長清水治君、内閣府北方対策本部審議官藤本一郎君、外務省大臣官房参事官福嶌教輝君、外務省北米局長西宮伸一君、厚生労働省大臣官房審議官榮畑潤君、農林水産省大臣官房審議官道上浩也君、農林水産省農村振興局整備部長齋藤晴美君、中小企業庁次長高原一郎君、国土交通省大臣官房審議官廣瀬輝君、国土交通省航空局次長関口幸一君、国土交通省北海道局長奥平聖君、環境省大臣官房審議官小林正明君、防衛省防衛政策局長高見澤將林君、防衛省防衛政策局次長松本隆太郎君、防衛省人事教育局長渡部厚君及び防衛省地方協力局長井上源三君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

藤村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。仲村正治君。

仲村委員 おはようございます。

 私は、年内に解散・総選挙があるものと考えまして、今期限りで引退を決意し、去る十月四日に引退表明をしたのでありますけれども、もう質問する機会はないものと思っていましたが、きょうは質問時間を与えられて、大変ありがたく思っているところでございます。

 私は、今までにもう何十回もの質問を重ねてまいりましたが、きょうは今までの質問の総括になると思いますので、あるいは今までやった質問も出てくるかもしれません。それは、沖縄県民が戦中戦後の苦難に続き、米軍の二十七年間の占領統治と闘って祖国復帰をかち取った歴史そのものであることを御理解願います。

 特に、アメリカにとって沖縄戦は、日米戦争の勝敗をかけた戦いで、世界じゅうのどこでも、後にも先にもないのではないかと思われるぐらい、米軍にとっては必死の戦いであったと思っております。

 米軍は何百隻という軍艦で沖縄本島を取り囲み、九十日間毎日、昼となく夜となく艦砲射撃を撃ち込み、グラマンやカーチスの艦載機が空一面を飛び交い爆弾をばらまき、上陸した米軍は迫撃砲をまるで太鼓を乱打するような勢いで撃ち込んできました。

 さらに、我が日本軍が想像だにしなかった自動小銃、火炎放射器などの新兵器で多くの生命財産はあたかも紙くずや虫けらのように焼き払われ、生き残った県民は、死体累々と折り重なる地獄の修羅場のような瓦れきの中で茫然自失の状態で立ちすくんでいたところを、占領した米軍は沖縄全土に日本本土攻撃に備えての基地をつくり、その米軍の占領統治は一事が万事軍事優先であり、民生不在の占領政策は幾度となく県民を弾圧するような布令、布告を発しましたが、県民は決してこれに屈することなく、県民一丸となってこれをはね返し、祖国復帰への闘いを続けてきたのであります。

 恐らく、多くの国民は沖縄県民の戦中戦後の苦難の歴史、米軍占領統治下での不撓不屈の闘いを知らないと思っております。私のような生き証人はこのことを語り継ぐ責任があると思っていますので、またもかとおっしゃらないで、ぜひ聞いていただきたいと思っております。

 このような苦難の中で祖国復帰の闘いを経て、昭和四十七年五月十五日に祖国復帰をかち取ってから、ことしで三十六年になりましたが、昭和四十七年といえば、我が国における高度経済成長期が終わりかけ、加えて第一次オイルショックなどもあって、我が国も厳しい時期になっていたころであります。

 政府は、沖縄県民が戦中戦後の苦渋、苦難の米軍占領統治にあえいできたことに特別な配慮をもって沖縄振興特別措置法を制定し、社会の各面の立ちおくれや本土との格差是正に真剣に取り組んでいただいた結果、復帰以前とは比較にならないほど飛躍的な発展を遂げてまいりました。この点は、沖縄県民が国の施政権から切り離され二十七年間も米軍占領統治の里子に置かれたという思いはないわけではありませんが、政府が復帰後、誠意を持って沖縄県民の戦後処理と復興に取り組んでもらったことには深く感謝の念を持っておるところでございます。

 前置きが少し長くなりましたが、これから質問に入りたいと思います。

 私のきょうの質問は、第一点目は、八月二十八日に、平成二十一年度の内閣府沖縄関係予算の概算要求は三千八億円で対前年度比較で一七・九%増の要求となっていました。しかし、公共工事三%減という反面、二割五分増しの要求ができる、こういうことになっておりましたので、よく意味がわかりません。ですから、要求額三千八億円で対前年度比一七・九%増といっても、果たしてどれだけの予算がとれるのか、全くわかりません。

 そこで、いよいよ十二月二十日には平成二十一年度予算が財務省から内示されると思いますが、ぜひとも概算要求額の三千八億円の満額獲得ができるように頑張っていただきたい。中でも、戦後六十三年にもなっていますので、平成十四年七月に決定されました戦後処理事案の旧軍飛行場にかかわる予算につきましても要求額が獲得できますことを期待しておりますが、佐藤大臣の御決意をお聞きしたい。また、原田政策統括官と清水振興局長からもこの件についての決意をお聞きしたいのであります。

佐藤国務大臣 仲村先生におかれましては、昭和五十八年に初当選をされて以来、この沖縄北方特別委員会を初めとして、国会、政府、党のそれぞれの場におきまして、沖縄の政策の推進に御尽力をいただいてきたところでございまして、この場をかりまして深く敬意を表したいと思います。

 先生の思いは、私といたしましても、先生がこれまで取り組まれる、あるいは指摘されてきたことを十分に踏まえまして、今後の沖縄振興に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

 今、御質問にございました平成二十一年度の予算でございますけれども、残り三カ年となる沖縄振興計画を着実に実施いたしまして自立型経済の構築に向けて一層の効果的な取り組みを進める上で重要な年度と考えておりまして、現在、平成二十一年度予算編成が大詰めを迎えているところでございますが、私といたしましても、沖縄のさらなる振興に向けまして、先生の御意思を体しまして、確保に向けて全力を尽くしたいと思っております。

原田政府参考人 二十一年度当初予算、私どもの所管部分につきましては、自立型経済の構築に向けた取り組みやあるいは基地負担の軽減、跡地利用の推進を中心とした分野を担当いたしております。

 大臣の御指導のもと、必要額が確保できますよう最善の努力を尽くしてまいりたいと存じます。

清水政府参考人 お尋ねの、旧軍飛行場用地の問題についてお答え申し上げたいと存じます。

 関係市町村等との調整、取りまとめを行ってきた沖縄県から、特別調整費を活用して新たに特別な地域振興の事業を行うよう要請を受けてございまして、また、具体的な事業内容についても要請をいただいております。本件につきましては、仲村先生よりこれまで国会等で累次御指摘を賜っているところでございます。

 内閣府といたしましても、大臣の指導のもと、この問題の重要性を認識し、県の要請を踏まえて平成二十一年度予算要求を行っているところでございまして、引き続き、最後まで鋭意調整を行ってまいりたいと存じます。

仲村委員 今、大臣と原田政策統括官、清水振興局長から御答弁がありましたが、概算要求が満額達成されますように、特に戦後処理の問題につきましてもぜひ頑張っていただきたい、このように考えているところでございます。

 次に、那覇空港の滑走路増設についてお尋ねいたします。

 この件は、十二月五日に清水振興局長からも説明がありましたし、さらに十二月九日には、国交省航空局の干山計画課長からも那覇空港の滑走路整備について説明をお聞きいたしました。

 現在の那覇空港は、滑走路三千メートルの空港であって、全国でも数少ない二十四時間運航できる、アジア太平洋地域におけるハブ空港の役割を果たしています。現在、一日に約四百回もの航空機が離着陸し、年間十三万回の離着陸回数は、既にもうキャパシティーいっぱいの運航をしておりまして、旅客の通過数も千四百万人を超し、一年間混雑しているところに、さらに、ANAが、東南アジア各地から日本全国向けの貨物を那覇空港に運び、那覇空港から全国各地に分配をする、配達をするというような考え方で、今、貨物ターミナルを建設中であります。まさに那覇空港は機能麻痺を起こしかねない極限状態と言っても過言ではありません。

 現在、沖合に建設する三つの案がある中で、千三百十メートル陸地から離して新滑走路をつくる案が有力となっていますが、第二滑走路が完成するのはいつになるのか、お尋ねをしたいと思います。

関口政府参考人 お答えを申し上げます。

 那覇空港につきましては、御指摘のとおり、旅客数がここ十年間で約一・五倍に増加し、また、現在の施設のままでは、おおむね十年以内に増大する需要に対応できなくなるというふうに予想されておりますことから、抜本的な空港能力の向上方策について検討を進めておるところでございます。

 具体的には、平成十五年度から十九年度にかけまして国と沖縄県等が連携いたしまして、住民参加型の総合的な調査、PIと称しておりますけれども、将来の対応方策を絞り込み具体的な施設配置を検討する構想・施設計画段階に移行することが適切という結論を得ております。これを受けまして、平成二十年度、今年度からは、具体的な滑走路の増設案を検討するための構想段階に移行しておりまして、ちょうど今週の初め、十二月十五日でございますけれども、県民の皆様からの意見募集を開始したところでございます。

 いずれにいたしましても、先生御指摘のとおり、沖縄県の発展のためにこの那覇空港の能力増強は非常に重要なものというふうに考えておりまして、今後、できるだけ早期に結論を得まして、第二滑走路の整備に向けました具体策を講じてまいりたいと考えております。

仲村委員 先ほども申し上げましたように、本当に、一日四百回というふうになりますと、二十四時間空港ではありますけれども、実際に飛行機が飛んだりおりたりするのは朝の六時から夜の十時ごろまでです。そうすると、二分に一回着陸したり離陸したりしている。本当に機能麻痺を起こしかねない極限状態に達しているのであります。いろいろ手続は必要だと思いますけれども、とにかく早く第二滑走路をつくらなければ機能麻痺するような状態に来ておりますので、ぜひこれはお願いをしたい、このように思っているところであります。

 特に、観光産業は沖縄のリーディング産業として強力に推進していかなければなりません。現在、観光客は年間七百万人ですが、仲井眞知事は、近年中に一千万人を達成したいと言っています。しかし、今の滑走路一本のままでは非常に厳しい状態であります。したがって、新しい滑走路増設をスピードアップする必要がありますので、その計画をもっと早く実現できるようにすることはできないのか。

 今、いろいろな手続があるというお話でありましたが、それは手続は手続として必要だと思いますけれども、皆さんがこれはスピードアップせぬといかぬなということになれば、できないことはないと思いますので、そのことについてもう一度ひとつ御答弁をお願いしたいと思います。

関口政府参考人 おっしゃるとおり、この空港の滑走路の増設につきましては非常に重要な課題だというふうに思っておりまして、今後は、必要な調査、また事業の採択を経まして、環境アセスメント、また工事につきましても、埋立工事になりますので通常七、八年程度要するかと思いますけれども、いずれにいたしましても、手続を極力迅速に進めてまいりたいと考えております。

仲村委員 ぜひ、そのような形で一日も早く第二滑走路をつくって、円滑な空港運営ができるようにしていただきたい、このように思っているところであります。

 次に、WTOの閣僚会合はいよいよ大詰めの段階に来ていると思いますが、特に、その結果次第では国内農業への深刻な影響が予測されます。中でも、国内の甘味資源作物の沖縄、鹿児島の甘蔗糖及び北海道のてん菜糖産業に壊滅的な打撃を与えかねません。

 現在、我が国の砂糖の消費量はおおよそ二百六十万トンで、それに対して国内の砂糖の生産量は、てん菜糖と甘蔗糖合わせて八十万トンから九十万トンぐらいです。約百八十万トンは輸入している現状で、国内産糖は全消費量のわずか二八%から三〇%前後ですので、日本の砂糖生産量が決して他の砂糖生産国に不利益を与える状況ではありません。何としても重要品目を八%まで引き上げて、国内産砂糖が重要品目に入れるようにすべきだと思いますが、その見通しについてお聞きしたいと思います。

道上政府参考人 お答え申し上げます。

 砂糖につきましては、サトウキビが沖縄の基幹作物であることから、甘蔗糖の製造に当たる国産糖企業と一体となりまして、地域経済の振興上、重要な役割を果たしているというふうに認識しております。また、砂糖は食生活上も重要な位置づけを有しておりまして、食料自給力の確保の上でも重要な食料となっております。

 こうしたことを踏まえまして、WTO交渉に当たりましては、国内生産への影響を緩和するため、砂糖が重要品目として扱われるよう、その前提となります関税割り当ての新設も含めて、我が国の主張が交渉に反映されるよう、全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。

仲村委員 沖縄の農地面積は、戦前約七万ヘクタールぐらい、そのうち二万ヘクタールは水田だったんです。しかし、沖縄が復帰したときには、日本本土で米の生産過剰状態が非常に厳しい状態になっていました。古米、古々米、そういうような感じで、米があり余って困っておった。たまたま、沖縄が復帰したときに、沖縄のこの二万ヘクタールの水田を全部サトウキビ畑に切りかえさせる指導をした。田んぼというのは、客土して埋め土しないと畑にできないわけでありますので、そういうような形で水田がサトウキビ畑になったわけであります。もし、今回の甘味資源作物の沖縄、鹿児島の甘蔗糖や北海道のてん菜糖産業がこの重要品目の中に入らないとすると、これこそ壊滅的な打撃を与えかねないのであります。

 我が国の砂糖の消費量はおよそ二百六十万トンで、それに対して国内の産糖量は八十万トンと申し上げました。そのような中で、あのとき沖縄県民としては田んぼをつぶすべきでなかった、こういう考え方でいるわけであります。もし沖縄のサトウキビ作ができなくなるようなことになれば、ほとんどの島が人が住めなくなります。無人島になります。そういうことになると、これは国の安全保障上大変な問題が起こると思っております。

 そういう観点からも、何としても日本の甘味資源作物を重要品目に入れるということは、これは本当に日本の農業の生死をかけた戦いである、こういうふうに思っておりますので、ぜひ最善を尽くしていただきたい。

 もう一度その御決意をお聞かせいただきたいと思います。

道上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、サトウキビに関しましては、台風、干ばつなどの自然災害の常襲地帯であります沖縄、それから鹿児島県南西諸島の代替困難な基幹作物ということでございますので、先ほどお答え申し上げましたように、WTO交渉に当たりましては、砂糖が重要品目として扱われるよう交渉に全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。

仲村委員 今、台風、干ばつ常襲地帯で、その気象条件に耐え得るのはサトウキビしかない、こういう話でありましたが、さっきお話ししましたように、戦前は約二万ヘクタールぐらいの水田があって、今、県民の消費量は七万トンですが、戦前、約三万トンぐらいの米を生産しておりました。今、百三十五万人で七万トン。あの当時は六十万人で三万トンですから、県民の消費の約半分は賄えたわけです。ですから、復帰のときに古米、古々米の状態がなければ、そのまま米作はできたわけであります。ある意味で国にもサトウキビ一本になったということは責任があるわけでありますので、その点もぜひ念頭に置いて、今回のWTOでの交渉はひとつ粘り強く頑張っていただきたい、こういうふうに思っているところであります。

 次に、沖縄開発金融公庫についてお尋ねをいたします。

 以下、沖縄公庫と言いますが、沖縄公庫は、復帰前の琉球政府の大衆金融公庫と琉球開発金融公社を承継発足したもので、しかも、承継資本二百十六億円が組み入れられたことも忘れてはならないと思います。特に沖縄公庫は、国による公共投資とともに沖縄振興策のまさに車の両輪の役割を果たしています。したがって、現時点で拙速に統廃合を決めるべきものではないと思いますが、沖縄振興開発金融公庫についての考えをお聞きしたいと思います。

宮澤副大臣 沖縄振興開発金融公庫につきましては、今でも、たしか融資残高は沖縄県の四分の一以上をやっている、大変大きな役割を果たしていることはよくわかっております。

 一方で、三年前、政策金融改革という中で、平成二十四年度以降において、沖縄振興策と一体となって、自己完結的機能を残しつつ、日本政策金融公庫に統合するものとされております。政府の公式見解としては、その法律がありますのでそういう方向で、ただ、沖縄の開発に支障のないように、車の両輪の役割が十分果たせるように対処していくということになるわけでございます。

 一方で、政策金融について少し申し上げさせていただきますと、やはり政策金融というのは、一般的には民間金融の補完でございますけれども、民間金融というのは、それこそ雨が降るときに傘を取り上げて、一方で晴れたときに傘を差し出すようなところがありまして、やはり政策金融というものの重要性というのはいささかも失われていないと思っております。ただ一方で、三年前、二年前の改革で、恐らく、民間に残せるものは民間にする、一方で天下りが多過ぎるといったこともあったんでしょう、大きなものはいいものだという中でこういう結論が出てきたと思っております。

 最近の状況を見ますと、昨年から資源高、原油、資源等と上がってくる、また、昨今の大変大きな経済の変動という中で、政策金融が少し使いにくくなっているなというのは、正直私自身思っておりまして、今後、やはりこういう経済状況を踏まえて、政策金融全体の見直しというのはそう遠くないときにやらざるを得ないんだろうなという個人的な感想を持っております。

 そういう中で、沖縄公庫につきましても、大変大きな役割を果たしている、恐らく補完以上の役割を果たしているという点から、もう一度あり方をじっくり見直すべき時期が、そんなに遠くない時期に来て、その中でまさに先生おっしゃるような形の議論もしていかなければいけないのだろうなというふうに私自身は考えております。

仲村委員 先ほど沖縄金融公庫の設立についてのあれも申し上げましたが、これは復帰前の大衆金融公庫あるいは琉球開発金融公社を承継発足したものであります。特に沖縄では、琉球銀行、沖縄銀行、海邦銀行の三つの銀行がありますけれども、資金力は非常に弱いんです。ですから、いろいろな大型の公共工事を国として計画をしても、この民間金融機関での対応は非常に難しい。だからどうしても沖縄公庫については、今後、政策金融改革の中で慎重な議論、検討がなされる、現在の沖縄振興法改定時に沖縄振興策と一体的にその存続を図るべきだと考えております。ぜひそのような形で処理を考えていただきたい、こういうことを申し上げたいと思います。

 次に、沖縄科学技術大学院大学についてであります。

 この構想は、平成十四年に元文部科学大臣の有馬朗人先生から御示唆がありまして、当時の尾身幸次内閣府担当大臣のもとで計画されたものであり、私は当時、尾身大臣のもとで副大臣を務めていました。その大学創立構想について、平成十七年から予算がつけられ、平成二十年までの四カ年間で既に四百九十七億二千万円の予算が計上されております。

 一体どのようなことからか知りませんが、無駄遣い撲滅PTの項目に挙げられていました。そんなばかな話があるのか、その事業の推進にいささかの足踏みがあってはならない、こういうふうに考えておりますが、その点についてお聞きしたいと思います。

佐藤国務大臣 沖縄科学技術大学院大学でございますけれども、沖縄の自立的発展に資する沖縄振興策の重要な柱の一つというふうに認識をさせていただいております。平成二十四年度までの開学に向けまして着実に準備を進めているところでございます。既に、外国人十人を含む十九人の教授級の研究者を迎えまして、約百五十人が研究に従事するとともに、サマースクールの開催等によりまして教育活動の実績を重ねているところでございます。

 また、私も十二月の七日に恩納村のキャンパス予定地を拝見させていただいて、第一次補正予算を含めまして建築工事を加速させておりまして、平成二十一年度中には第一研究棟等が供用開始をされる予定でございます。

 さらに、大学院大学開学に必要な法案につきましても、次期の通常国会への提出を念頭に検討を進めているところでございまして、地元からの期待をしっかりと受けとめまして、今後とも開学に向けた取り組みを着実に進めたいと思っております。

仲村委員 ぜひこれからも引き続き大学院大学が計画どおり進んでいくことを希望してやみません。

 次に、米軍再編についてであります。特に普天間基地の代替施設の建設を中心に質問をいたします。

 橋本内閣は平成八年一月十一日に発足し、二月二十四日には米国のサンタモニカで橋本・クリントン会談を行い、沖縄の米軍基地の整理縮小、中でも、市街地の真ん中にあって危険な普天間基地の返還を要請したところ、その年の四月十二日の日米首脳会談で、普天間基地を含め多くの在沖米軍基地の整理統合、移設が合意され、同年十二月二日にSACO最終報告が示され、その後の協議で、普天間基地は名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸の沖合に移設することが合意されたのであります。

 その移設の位置については、当時防衛庁の専門家の方々が検討して複数の案が示された中で、日米間の協議の結果、辺野古集落の海岸から千九百メーターの海上に海上ヘリポートの建設が決定されたのであります。

 着々とその工事が進められ、海上には多くの足場が組み立てられていましたが、平成十三年四月に発足した小泉内閣になってからある日突然その足場が撤去され、当時防衛庁の天皇と言われた守屋次官の考えでヘリポートの沖合建設は完全に取りやめになったのであります。

 当時ヘリポート建設に懸命にかかわっていた防衛施設局の山中昭栄氏や岡崎匠氏、西正典氏、山内千里氏のほか二名の六名の方々がその仕事から左遷、追放され、当時決定された海上ヘリポートは完全に頓挫してしまいました。守屋次官主導のキャンプ・シュワブ海岸にV字形ヘリポートに変わったのであります。

 しかし、仲井眞知事も島袋名護市長も、陸上案では普天間の危険を名護市に持ってくるようなものだ、少なくとも百メートルから二百メートル海に出さないと協力できない、こう言っているのであります。特に、埋め立ての許可は県知事が持っているわけでありますので、県の協力なくしてこれができるわけないんです。

 そういう考え方から、この代替ヘリポートについて防衛省はどのように考えているのか、お答えをいただきたいと思います。

井上政府参考人 お答えを申し上げます。

 普天間の飛行場代替施設の整備でございますけれども、普天間飛行場の危険性の除去を図るためにも、そして、県民の皆様方の負担の軽減を図るためにも、これはぜひとも実現をさせなければならないというふうに考えているところでございます。

 現在の代替施設の政府案でございますが、十八年五月のロードマップで示されているわけでございますけれども、在日米軍の運用上の能力を確保いたしますとともに、安全性、騒音及び環境への影響という問題に対処するものといたしまして、米側と合意をしたものでございます。

 これは、生活環境、自然環境、実行可能性につきましてバランスが保たれているものと考えておりまして、合理的な理由なくして変更することは困難であると考えているものでございます。

 他方、今仲村先生御指摘のとおり、沖縄県知事、名護市長におかれまして、さらなる沖合移動についての御要望をお持ちであることは十分承知をいたしているところでございます。

 現在、政府におきまして、関係する大臣と沖縄県知事、名護市長等を構成メンバーといたします協議会を設けております。また、その下に二つのワーキングチームも設置をしているところでございますので、そうした場を通じまして、今後、環境影響評価手続を進める中で、客観的データを収集、評価の上、地元の側にも丁寧に御説明をし、それに対する御意見も真摯に受けとめまして、誠意を持って協議を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

仲村委員 これは、先ほど申し上げたように、普天間基地は町の真ん中にあって危険である、それでキャンプ・シュワブに移設をする、こういうことでありますけれども、陸上につくるなら普天間の危険を名護に持っていくようなものです。したがいまして、何としても、やはり安全性を確保するためには海に出さないといかない、こういうことはぜひ基本的な認識として持っていただきたい、こういうふうに思っているところであります。

 次に、那覇空港自動車道についてであります。

 那覇空港自動車道は、沖縄高速自動車道の首里から枝分かれをし、現在、豊見城市の名嘉地まで来ています。肝心かなめの那覇空港までの完成を待ちわびているところでありますが、その計画がどのようになっているのか。さらに、西海岸道路を那覇空港まで接続するため、那覇港の下に沈埋トンネルの工事が今進められておりますが、その沈埋トンネルの完成についてもあわせてお答えをいただきたいと思います。

廣瀬政府参考人 お答えいたします。

 まず、那覇空港自動車道でございます。

 那覇空港への主なアクセス道路となっております一般国道五十八号、那覇市の中心部を通過し、県内の主要都市と連絡する道路であることから、一日当たり八万台を超える交通量があるなど、慢性的な渋滞が生じております。こうしたことから那覇空港自動車道の整備を進めているところでございます。

 現在、委員御指摘のように、沖縄自動車道の西原ジャンクションから那覇空港に至る延長二十キロのうち、豊見城・名嘉地インターまでの十二・一キロにつきましては既に開通しております。

 現在、豊見城・名嘉地インターにおけるランプの延伸、これは交差点の立体化でございますけれども、これを進めておりまして、ここにつきましては平成二十二年度供用を目標に整備を進めております。

 また、空港までの残る約五キロの区間につきましては、平成二十年十月、ことしの十月から、沖縄県におきまして都市計画の手続に着手したところでございます。国といたしましても、早期の都市計画決定に向け、最大限の協力をしてまいる所存でございます。

 なお、今後順調に手続が進めば、今年度中にも都市計画決定が行われる、このように聞いております。さらに、都市計画決定後、事業化が円滑に図られるよう、コスト縮減等の事業費の精査や関係機関との調整など、引き続き国といたしましても必要な検討を積極的に進めてまいりたい、このように考えております。

 次に、沈埋トンネルと那覇西道路のことでございます。

 地域高規格道路の那覇西道路は、那覇市街地の交通混雑の緩和、それから沿道環境の改善を図るといったことで、那覇空港、那覇港へのアクセス強化を図る三キロほどのバイパスでございます。

 お尋ねのトンネル部分でございますけれども、陸上部〇・四キロメートルと沈埋部〇・七キロメートルから成る延長一・一キロメートルのトンネルでございますが、平成二十一年九月、来年の九月に沈埋区間を含めたトンネル全体をつなげるべく、現在、鋭意工事を進めているところでございます。

 あわせまして、橋梁や舗装工事のところも進めまして、平成二十二年度全線供用を目標に引き続き積極的に事業を推進してまいります。

仲村委員 今の御答弁をお聞きいたしまして、非常に真剣に取り組んでおられるということで、非常に心強く思っているところでございます。ぜひ、この那覇空港自動車道それから西海岸道路が完全に那覇空港に接続されるように頑張っていただきたい、このように思っているところでございます。

 次に、南部東道路についてであります。

 一昨年、八千万円の調査費がつけられたので、いよいよ工事が始まると思っていましたが、南部東道路の建設の進捗状況についてどうなっているのか、お聞きしたいと思います。

廣瀬政府参考人 お答えいたします。

 南部東道路でございますけれども、那覇空港自動車道と南城市を結び、沖縄本島南部地域の産業それから観光の振興を図る地域高規格道路でございます。

 このうち、南風原町から南城市玉城に至る約八キロメートルの区間につきましては、委員御指摘のとおり、平成十八年度より沖縄県において事業に着手しております。

 これまで、環境への影響を把握するための現況調査を完了いたしました。現在、結果の取りまとめを行っているところでございます。

 今後、この取りまとめ結果をもとに、環境への影響を評価の上、平成二十一年度には都市計画決定、この手続をする予定であると聞いております。

 国土交通省といたしましても、沖縄県と密接に連携し、沖縄県の御要望も踏まえながら、本道の早期着工が図られるよう今後とも積極的に支援してまいりたいと考えております。

仲村委員 積極的に頑張っておられるという答弁をお聞きいたしまして、非常に心強く思っております。ぜひ、一日も早くこの南部東道路が完成できるように頑張っていただきたいと思います。

 最後になりますけれども、次に、畑地かんがい事業についてお尋ねいたします。

 今から三年ぐらい前に、内閣府の出先機関であります沖縄総合事務局では、都市下水道終末処理水を利用して、約十万三千トンの水が使える、三千トンは河川の浄化に使う、十万トンは畑地かんがいに使う、こういうことを機会あるごとに二、三回聞かされたんですが、最近になってそれが頓挫しているような感じでありますけれども、その計画はどうなっているのか、御説明いただきたいと思います。

齋藤政府参考人 お答えいたします。

 島尻地区におきましては、平成十七年度から二十一年度までの予定で国営土地改良事業地区調査を実施しております。本地区は、サトウキビを基幹とする畑作地帯でございまして、一部では、都市近郊型の野菜、熱帯果樹等の農業がなされており、畑地かんがいの導入により収益性の高い作物への営農の転回が期待されております。

 しかしながら、地区内にはかんがい用水を安定的に確保するための河川や地下ダムの適地がないことから、水源施設につきまして、下水道の処理水の利用も視野に入れつつ調査を進めているところでございます。

 下水道の処理水をかんがい用水として再利用するとなると、そのための水源施設などの維持管理費が他地区に比べて割高になるなどの問題を抱えておりまして、農林水産省といたしましては、県、市町等関係機関とも密接な連携を図りながらさらなる調査を行ってまいりたい、このように考えております。

仲村委員 各質問に対して誠意ある御答弁をいただきまして、どうもありがとうございました。

 終わります。

藤村委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、沖縄振興のあり方に関して主に質問をさせていただきます。両大臣、そして皆様、よろしくお願いを申し上げます。

 沖縄は、昭和四十七年の復帰以来ことしで三十六年。この間、国も県も本土との格差是正や自立型経済の構築を目指して努力した結果、各面にわたる本土との格差は次第に縮小されて、県民生活も向上するなど大きな成果を上げてきたわけでございます。

 しかしながら、県民所得は昭和五十年を除いて連続して全国最下位、失業率も七・四%と常に全国平均の約二倍の数字となっているわけでございます。

 このように、課題はなお少なくないと言わざるを得ないわけでございますが、一方、将来を見据えれば、沖縄ならではの明るい要素もあるはずであり、また、そのような特性を積極的に伸ばしていかなければならないと思うわけでございます。

 これらを踏まえて、限られた時間ではございますけれども、沖縄振興のあり方について質問をさせていただきたいと思います。

 まず、先ほども申し上げましたように、沖縄の県民所得は連続して全国最下位である、また失業率も全国平均の二倍と、厳しい状況にあるわけでございますが、政府としてこれまでどのような産業政策や雇用政策をとってこられたのか、お伺いをいたします。

佐藤国務大臣 お答えをいたします。

 政府といたしましては、沖縄振興計画のもと、自立型経済の構築を目指しまして、沖縄の優位性や地理的特性を生かした観光や情報通信分野における産業の振興と雇用の場の創出に努めてきたところでございます。

 その結果でございますけれども、入域観光客数も順調に伸びるとともに、特にITの関係におきましては、平成八年度以降百八十社の県外企業が沖縄に進出をしたり、一万五千人以上の雇用の創出が見られたところでございます。また、雇用の対策につきましても、若年求職者の雇用促進、職業能力の開発等の施策を講じているほか、観光や情報通信等の分野における高度で専門的な人材の育成の支援等を行っているところでございまして、そうはいいましても、県民所得や失業率などの厳しい状況にあることは御指摘のとおりでございまして、なお一層の取り組みの必要性があるものと考えております。

江田(康)委員 今、IT関連企業百八十社、また一万五千人雇用創出、若年者の雇用創出等、雇用政策や産業政策を進めてまいっておられるということでございますけれども、今、アメリカの金融危機に端を発する我が国の経済情勢は大変厳しいものがございます。

 政府・与党は、これまで二回にわたって緊急総合対策と生活対策を取りまとめました。公明党としましても、地域にマッチした雇用を確保するため、ふるさと雇用再生特別交付金、これの創設を主張するとともに、今月の五日には、与党として新たな雇用対策を取りまとめて、政府としては、二次補正そして来年度予算の編成に入っているところでございます。

 昨今の世界的な不況は今後沖縄経済にさまざまな影響を与えると思われますが、沖縄では大変高い失業率、こういう大きな問題を抱えている中で、経済情勢の激変を受けて問題のさらなる深刻化が懸念されるわけでございますけれども、内閣府としてどのような対策を講じていくのか、お伺いをしたいと思います。

佐藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 沖縄の雇用環境につきましては、おっしゃられましたように、昨今の世界的な経済情勢の激変によりまして、県外からの求人が減少するなどの影響が出始めております。予断を許さない状況にあると認識をしております。

 内閣府といたしましては、沖縄県の高失業率の改善に向けて、引き続き、沖縄県が八千人の新規雇用創出を目指しておりますIT津梁パーク整備事業を初めといたします各般の産業振興を通じた雇用の創出等に取り組んでまいる所存でございます。また、全国で百四十万人の雇用下支えを図ることを目的といたしまして今般取りまとめられました、御指摘の新たな雇用対策に基づきまして、所管の厚生労働省ともよく連携の上、沖縄雇用情勢の改善、安定化に向けた取り組みを進めてまいりたいと思います。

江田(康)委員 大変厳しい雇用情勢、雇用の厳しい状況が今後加速するわけでございますが、沖縄はもともとが大変厳しい状況でもあり、企業のほとんどは中小企業でございます。そういう意味でしっかりとした万全の対策を取り組んでまいりたいと思いますし、そのように政府に強く申し上げておきたいと思います。

 時間がないので先に進ませていただきますが、先ほど来質問もございましたけれども、大学院大学について質問をさせていただきます。

 現在、沖縄に生命科学を中心とした科学技術、これはバイオテクノロジーやナノテクノロジー、また脳神経分野等で先端の領域を担う科学技術でございますが、世界最高水準の研究や教育を行う大学院大学を、平成二十四年度までを目途に開学することを目指して準備が進められております。既に、外国人十名を含む十九名の教授級の研究者を初めとする総勢百五十人を超える研究者によって、先端的な学際分野の研究が進められていると聞いております。このすばらしい環境に囲まれた沖縄の地において、国際的に人材を確保、育成して沖縄の振興を図っていく試みは画期的であると思います。その実現に大きな期待を寄せております。

 しかし、この大学院を起爆剤として沖縄の振興を進めていくということのためには、ただ大学院大学が整備されるだけでは十分とは言えないと思うわけでございます。この大学院大学を核として、産学連携等を通じて関連する分野の先端産業の集積を図っていく、地域に科学技術の知的クラスターを形成していくというのが大変重要になってくるかと思います。

 そのためには、大学院大学を中心としたクラスターを支える周辺環境の整備、例えば神戸における再生医療の知的クラスター形成の取り組みのように、ベンチャーをはぐくむインキュベーション施設とかベンチャーキャピタル等を含む環境整備を、この大学院大学の開学準備と並行して、ビジョンを持って進めていく必要があると考えます。

 そこで質問でございますが、沖縄科学技術大学院大学を起爆剤とした将来の沖縄振興を図るために、大学院大学を核とする知的クラスターの形成に向けてどう取り組んでいこうとされているのか、そのお考えをお聞きしたいと思います。

佐藤国務大臣 先生おっしゃられるとおりだというふうに私ども認識をさせていただいておりますが、沖縄の自立的発展に向けては、大学院大学を核に、ほかの研究機関、民間企業等が集積をいたしました知的クラスターの形成を図ることが重要であるというふうに考えております。

 大学院大学の開学に先立って行われる研究事業においては、既に他大学や民間企業等との連携事業が出始めておりまして、研究事業の拡充とともにこれらの取り組みが一層活発になるよう努めていく必要があるというふうに思っております。

 また、沖縄県におきましても、将来の大学院大学との連携を視野に入れた公的研究機関の充実や産学官連携体制の強化のための取り組みが始められつつございまして、今後とも、沖縄県と連携しつつ、大学院大学の教育研究の評価の高まりとともに大学院大学を核とした知的クラスターが形成されるように努めてまいりたいと思います。

江田(康)委員 私も経験上、大学院大学、先端科学、こういうものがスタートするのはいいわけでございますが、日本はそこには強い、しかし、ベンチャーから産業振興まで結びつかせる、ここが大変弱いところがございます。アメリカ・カリフォルニアで成功したバイオクラスターとかそういうようなところの視察を通じて、私も、これからスタートするような、こういう大学院大学の知的クラスターの形成というものが非常にこれからは重要になってくるかと思っております。一緒に取り組んでまいりたいと思いますので、どうぞ、沖縄振興のために積極的な取り組みをお願いしたいと思います。

 もう一つ、安心、安全ということについて、医師確保対策や救急医療について質問をさせていただきます。

 沖縄に限らず、全国各地でこの医師不足の問題は大変深刻であるわけでございますが、産科、小児科の医師不足、救急医療体制の確保は、住民の暮らしの安全を守るために、早急に実効性のある対策を講じることが必要でございます。

 厚生労働省では、本年六月に「安心と希望の医療確保ビジョン」を策定するなど、医師確保、地域医療の充実を検討していると承知をしております。特に、離島、僻地を抱える沖縄におきましては、医師確保の問題というのは、住民の暮らしの安全に直結した切実な問題でございます。私も、先日多くの方々にも御意見を伺ってきましたけれども、やはりこの問題は現にある大きな課題でございます。

 沖縄におきましては、ほかの地域よりもさらに充実した対策が必要ではないかと考えるわけでございますが、離島や僻地を抱える沖縄における医師確保対策、これについてどのように政府が取り組まれているかお聞きいたします。

清水政府参考人 先生御指摘のように、沖縄県民の方々の安心な生活を確保する上で、離島、僻地における医師の確保は大変重要な課題と認識してございます。

 内閣府におきましては、離島、僻地診療所への医師派遣、離島、僻地勤務医の養成、離島、僻地の中核病院への専門医の派遣への支援を行っているところでございます。

 こうした取り組みも相まちまして、一定の成果が上がっているところと存じますが、内閣府といたしましては、離島、僻地の医療が十分に確保されますよう、引き続き沖縄県の取り組みを支援してまいりたいと考えております。

江田(康)委員 救急医療におきまして重要な役割をしているのがドクターヘリでございます。公明党は、昨年六月成立の救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法に基づいて、ドクターヘリの全国配備の早期実現を推進しております。沖縄のドクターヘリにつきましては、公明党としても、厚生労働大臣等に格別な御配慮を要請してまいりました。

 沖縄においては、浦添総合病院において、ことし十二月、今月ですが、厚生労働省のドクターヘリの補助を受けることができました。しかし、島嶼県である沖縄におきましては一機だけでは十分ではない。北部地域では、これまで運航していた救急ヘリが財政難を理由に運休しておりまして、浦添総合病院のドクターヘリでは北部まではカバーできないわけでございます。地元では、沖縄には二機が必要、中南部で救える命が北部では救えないというのはあってはならないと強い要請を受けております。

 公明党は、七月十一日、当時の石破防衛大臣に、その財源として米軍再編交付金を活用したいとの地元からの要請があれば協力するよう求めて、大臣も、地元からの要請があれば認めるという考えを示されました。舛添厚生労働大臣も、ことし八月に沖縄を視察された際、沖縄にはもう一機あってもよいのではないか、救急救命センターが設置されるまでの間、米軍再編交付金の活用を検討するよう求めたと聞いております。

 そこで、厚生労働省にお伺いをさせていただきますが、離島を含む住民の暮らしの安全のために、ぜひとも沖縄におきましては二機目のドクターヘリを設置していただきたい、これが住民の強い要望でもございますが、厚生労働省の見解をお伺いしたいと思います。

榮畑政府参考人 ドクターヘリの導入は救命率の向上や後遺症の軽減に大変大きな効果を上げるものというふうに考えております。

 したがいまして、厚生労働省では、ドクターヘリの導入を促進するために、平成十三年度から都道府県に対する国庫補助を進めているところでございまして、同一県内におきまして二機目の国庫補助につきましても、平成二十一年度概算要求におきまして新たに進めておるところでございます。

 沖縄県におきましてドクターヘリの二機目をどうするかにつきましては、まず、沖縄県内で二機目の配備を行うかどうか、さらに、行う場合にはどの医療機関に配備するのが適当か等を検討していただく必要がございますが、厚生労働省といたしましては、沖縄県のその検討結果を十分踏まえながら、沖縄県ともよく御相談し、必要な場合には支援を進めていきたいというふうに考えておるところでございます。

 以上でございます。

江田(康)委員 ありがとうございます。

 県からの要望があれば、また医療機関の選定が整えば、平成二十一年度の予算に計上しているのでいつでも対応は可能である、そういう御答弁だったかと思います。積極的に進めてまいりたいと思います。

 最後の質問でございますけれども、外務大臣に最後にお聞きをさせていただきます。

 来年、米国ではオバマ新政権が誕生するわけでございますけれども、共和党から民主党への政権交代が、アメリカの安全保障政策、特に日本を含む米軍再編に与える影響というのはどのようなものになるのかというのが一点。

 そして、二〇〇六年に日米合意した再編のためのロードマップは、普天間飛行場の返還、また海兵隊員約八千名のグアム移転、そして嘉手納基地以南の土地返還と、実現すれば基地が集中する沖縄県の負担軽減につながるものであり、引き続きしっかりと実施すべきと考えますが、外務大臣の見解をお聞きいたします。

中曽根国務大臣 オバマ次期米国大統領は、二〇〇七年の四月でしたか、安倍総理が訪米をいたしました際に、当時オバマ上院議員でございますけれども、米軍の再編につきましては、日米同盟に基づく両国の努力の大変重要な側面の一つである、そういうふうに述べておられまして、政府といたしましては、引き続いて日米安保体制における米軍再編をオバマ次期大統領は重視する立場にある、そういうふうに認識をいたしております。

 また、ゲーツ国防長官、新政権になりましても留任をするということでございますが、同長官は、二〇〇六年十二月の国防長官就任以来、日米安保体制の強化に大変努めてきておる方でございますが、累次の機会に、二〇〇六年五月に日米間で合意をいたしました再編実施のための日米のロードマップ、これに従って米軍再編を実施していくことの重要性についてたびたび表明をしておられるわけでございます。

 今般の米軍再編は、日米安保体制に基づく抑止力を維持しながら、そして全体として地元の負担を軽減するというものでございまして、ぜひとも実現する必要がございます。政府といたしましては、このオバマ新政権、オバマ次期大統領と力を合わせまして、普天間飛行場の移設、返還を含めてロードマップに従ってこれを着実に実施していく、そういう考えでございます。

江田(康)委員 両大臣、ありがとうございました。時間でございますので、終了させていただきます。

 ありがとうございました。

藤村委員長 次に、三井辨雄君。

三井委員 きょうは、両大臣、よろしくお願いいたします。また、両副大臣、本日はよろしくお願い申し上げます。

 仲村筆頭が今国会で御退任されるという、最後に、本当に長きにわたり沖縄の問題について、郷土の問題について真剣に取り組んだことに、御苦労さまですと申し上げたいと思います。

 早速でございますが、中曽根外務大臣、先日、ラブロフ外務大臣との会談で、領土問題で、かなり強い口調で、経済分野に見合う進展を特に政治分野でも図らなきゃならないと迫ったと聞いております。

 また、十一月二十三日の日ロ首脳会談では、メドベージェフ大統領が、領土問題の解決を次世代にゆだねることは考えていないという発言をされました。私も、この発言を聞きまして大変胸がときめきましたし、いよいよ大統領も本格的に北方領土に関して返還を考えているんだなと。これを聞いて私も、次の日が誕生日だったものですから、すばらしいプレゼントだなと本当に喜び勇んだわけでございますが、次の日に、モスクワの報道では、ロシアが領土問題で日本に歩み寄る気配はないということを報じられているんですね。このようなロシア側の対応について、中曽根外務大臣はどのように分析されているのか。

 また、年明けにはプーチン首相が来日するとも聞いているわけでございます。外交問題というのはなかなか一筋縄ではいかないということは私もそのように認識しておりますけれども、特にロシアとの交渉というのは、これまでの歴史的なものでまさに証明されているのではないかと思います。

 そこで、日ロ関係の進展に向けた中曽根大臣の決意をお聞かせ願いたいと思います。

中曽根国務大臣 今委員からお話ございましたけれども、十一月の五日でございましたか、私とラブロフ・ロシア外務大臣との日ロ外相会談が行われました。

 そこで私からは、日本とロシアの関係の最大の課題であります北方領土問題、これに進展が見られないということについて率直な意見を述べたわけでございます。その上で、領土交渉につきましても、今委員からお話ありましたけれども、経済分野では非常にロシアの東側、日本寄りのところは特に、あるいは日ロ間全体で大きな進展がある中で、領土問題については経済問題の進展に見合うような進展がないではないですか、これをぜひ図らなければならないということをロシアの外相に指摘をしたわけであります。

 その上で、私は外相との間で、日本とロシアの外相レベルにおいても、首脳レベルとかいろいろありますけれども、外相レベルにおいても、北方四島の帰属の問題を最終的に解決するために前進する、そういう決意で一致をいたしました。

 また、十一月二十二日及び二十三日にペルーのリマで開かれましたAPECの首脳会議、この際の日ロ首脳会談では、メドベージェフ大統領から、これも今委員からお話ありましたけれども、北方領土の問題の解決を次世代にゆだねることは考えていない、重要なのは首脳の立場であり、首脳の善意と政治的な意思があればこの問題は解決できる、そういう旨の発言があったわけでございます。

 その上で、両首脳は、来年予定されます一連の首脳会談、そういうものを念頭にいたしまして、北方領土問題については、今後必要となる具体的な作業に入るよう事務方に指示をおろすということで一致をしたわけでございます。

 これに関連しまして、ロシアの国内の報道はいろいろありました。解決できない問題はなく、ロシア側の代表団に努力させよとのメドベージェフ大統領の発言も紹介されているわけでありますが、一方、今委員からもお話ありましたけれども、今回の首脳会談では何ら新しいことはなかったというような趣旨の、これはロシア大統領の補佐官の発言でありますが、これを引用した新聞記事もございました。北方領土問題の解決も依然困難である、そういう論調もあったわけでございます。

 いずれにしましても、メドベージェフ大統領自身から、この間の会談で、ことし七月の日ロ首脳会談、これは福田総理との会談でありますけれども、それに続けて、北方領土問題の最終的解決に向けた決意が改めて示されたということは大変重要だと私は考えておりまして、政府といたしましても、これらの会談を踏まえて、領土問題に今後具体的な進展が図られるように、引き続いて強い意思を持って交渉を行っていく考えでございます。

 なお、お話のありましたプーチン首相の来日でございますけれども、今申し上げたAPEC首脳会議の際の日ロ首脳会談の際に、来年初めにプーチン首相の訪日を行うということで一致をしたわけでございます。

 両首脳は、メドベージェフとそれから麻生首相でございますが、アジア太平洋地域における日ロ双方の具体的な関心事項に首脳会談のときに言及した上で、こういう関心事項を踏まえまして、プーチン首相の訪日を含めて、来年予定される一連の首脳レベルの会談を念頭に、先ほど申し上げましたけれども、具体的な作業に入るように事務方に指示をおろすことで一致したわけでございます。

 私といたしましては、日ロ関係を高い次元に引き上げなければならない、そういう首脳同士のお考え、首脳会談の結果、こういうものを踏まえまして、領土交渉を促進するとともに、日ロ行動計画に基づいて幅広い分野での日ロ関係の改善に努めていきたい、そういうふうに思っております。

三井委員 ありがとうございます。

 今大臣からお話を承りまして、本当に粘っこい交渉をしていただいて、そしてまた、麻生総理がメドベージェフ大統領のお子さんにドラえもんのタケコプターを、ラジコンですけれども、プレゼントされたと、このドラえもんのタケコプターを北方四島で日本の子供たちが飛ばせるように、ぜひ外務大臣には頑張っていただきたいと思います。

 そこで、今度は佐藤大臣にお伺いしたいと思います。

 大臣、十一月の二十二日ですか、御就任後初めて根室市を訪問されたという新聞報道を実は私もしっかり見させていただいたんですが、ここから選出されている我々の議員もいるわけですけれども、視察されて、率直な御感想をお聞かせ願いたいと思います。

佐藤国務大臣 今お話ございましたように、去る十一月二十二日でございますけれども、北方領土返還運動の原点の地であります根室市を訪問させていただきました。

 北方領土視察、私は初めて行かせていただいたんですけれども、天気がよくて、納沙布岬から国後島がはっきりと見えましたし、貝殻島や水晶島を望遠鏡で拝見させていただいて、本当に近いんだなということを実感させていただきました。

 固有の領土である北方領土の問題の解決に向けて決意を新たにしたところでありますし、また、その後、現地の元島民の方々とか地元の関係の方々からお話を伺いまして、最後の言葉だったんですけれども、その島で生まれた方の、七十四歳か五歳になる方のお話の最後に、大変強い口調で、決して私は怒られているとは思いませんでしたけれども、思いをいただきまして、これは何が何でも一生懸命やらなければいけないという気持ちになりました。

 北方領土解決のために、政府間の努力に加えまして、国民の理解と協力が必要であるというふうに思いますし、私は、北方対策担当大臣として、あくまでも国民世論の一層の啓発を図りたいという観点で外交交渉を後押ししてまいりたいと思っております。

三井委員 ありがとうございます。

 まさに今大臣からお言葉がございましたように、改めて我が国の固有の領土であるという思いを強くされたんだと思います。

 当日、今お話ありましたように、元島民からは、怒られたというより、むしろ、北方担当大臣がこの一年三カ月で三人もかわられたということで恐らく言われたと思うんですが、この島民の御意見にありますように、これで本当に正統性のある外交あるいは内政ができるのかという大変厳しい意見が私はもっともだと思っております。

 また、元島民の半数以上はもうお亡くなりになっておりますし、残された方々も、今お話ありましたように、かなり高齢化になっております。できるだけというよりも、本当に早期に解決していただきたいと、私も道民の一人として強く思うわけでございます。

 そこで、大臣にも、当然、佐藤大臣それから中曽根大臣の、この北方領土返還に向けた具体的な行動をぜひ示していただきたい。先ほど中曽根大臣からもお聞きしましたけれども、ぜひ粘っこい交渉をしていただくことを強く強く申し上げたいと思います。

 そこで、今皆さんのお手元にあると思いますが、内閣府が十一月二十日に、北方領土問題に関する世論調査の結果ということで、世論調査をされていますけれども、これをずっと見ていますと、領土問題を知っている人は、八〇%近くは知っている。ところが、返還運動に参加したいという人は三〇%と大変少ないんですね。おおよそこれは、六割以上の人が返還要求運動に参加したくない、こうおっしゃっているわけです。参加したくない理由はという中では、時間や労力の負担が大きいというのが四〇・二%、一番多いわけです。それから、活動の内容がわからないという方が三六・二%。これを見ますと、まさに返還運動の周知徹底がされていないということが、この調査結果で明快に出ているわけですね。

 さらに、この世論調査は、一九六九年、下に書いてございますけれども昭和四十四年、実に三十九年ぶりなんですね。どうしてここまで調査をしていないのか。これでは、私が見ても、国民の関心は薄くなるのは当たり前で、もっとしっかりとした世論調査をすべきだ、こういうぐあいに思うわけでございます。

 さらにつけ加えますと、この調査結果は、わずかに報道されただけで、実際に議員だとかあるいは議会だとかあるいは関係者にこの資料配付などの報告というのは全くないんですね。内閣府は、このようにして、どうやってこの運動の広がりをつくっていくのか、そういう広報活動が全くなっていないのではないかな、こういうぐあいに思うわけですけれども、御意見を賜りたいと思います。

佐藤国務大臣 先生からの御指摘は真摯に受けとめたいと思いますし、これから何ができるかということを、また、三十九年ぶりという調査等々についても改めてまいりたいというふうに思いますし、しっかりと頑張ってまいりたいと思います。

 おっしゃられたように、参加の阻害要因という中で、時間や労力の負担が大きいことという、また、活動内容がわからないことという傾向が見られたと思います。特に、今後の返還要求運動という観点から考えますと、あの場でも出たんですけれども、次代を担う若い世代に活動内容がわかるような広報活動をしていかなければいけないと思いますし、世代交代ということも含めて、しっかりと広報活動に取り組んでまいりたいと思いますし、先生がおっしゃられたこと等々を反省といたしまして、これから改めるべきは改めてまいりたいというふうに思っております。

三井委員 ありがとうございます。

 今、テレビとかラジオで大体八九%の方が、国民が接しているというのはそういう情報ですよね。新聞が六七%。やはりマスコミを通じた発信というのが一番効果的だ、そういうぐあいに考えるわけでございまして、ぜひ、返還要求運動の啓発、広報のあり方についてはしっかりと取り組んでいただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

 それで、時間がございませんので、北方領土の予算の問題についてお伺いしたいと思います。

 何分これは、返還要求運動の高まりを期待するといっても、先立つものといいましょうか、やはりお金がなければ具体的行動にはなかなか移せないのが本音だと思います。

 それで、今月の二十日ですか、先ほどお話ありましたけれども、来年度の予算の財務省の原案が内示となる見込みですが、内閣府における北方領土問題の解決の促進に係る予算額はわずか九億六千百万円。北方領土問題の解決に、官民一体となった返還要求運動の全国的な発展強化を図るとともに、元島民後継者対策事業、後継船の確保、昨年も私は質問させていただきましたが、四島交流等の事業を着実に実施するとしています。

 こういう少ない予算の中で実際にこういう運動ができるのかということも心配であると同時に、ぜひ、この予算を確保していただくのは当然でありますが、外務省あるいは国土交通省、北方問題に関する関連予算をかき集めればもっと大きい予算額になると思いますけれども、それでも、どうやって国民の関心を高めていくのか、また、来年度予算において重点的に推し進めようとするお考えについてお尋ねいたします。

佐藤国務大臣 先ほど先生から御指摘がございましたこと等も含めまして、来年度にはまた新たな考えで予算等々は考えさせていただきたいというふうに思います。

 とはいえ、来年度の予算等々に関しましては、広報啓発活動を積極的に展開いたしますとともに、後継船舶の確保を含めた四島交流事業の推進に努めてまいりたいというふうに思っておりますけれども、御指摘の点を含めまして、各省庁等々とよく話し合いをさせていただきながら、次年度にはしっかりとした予算構築ができるように頑張っていきたいと思います。

三井委員 ぜひよろしくお願い申し上げます。

 それでは、駆け足で質問させていただきます。

 先ほど申し上げましたように、昨年の十一月十五日に本委員会でも質問させていただきました。特に、サハリン2プロジェクトの確実な履行に向けた政府の支援、それからもう一つは、貿易経済日ロ政府間委員会の活用についてということで質問させていただきました。

 政府間交渉の難しさも私なりに理解しているつもりでございますけれども、民間の経済活動やあるいは極東ビジネスへの進出は最近大きく進んでいるんですが、とりわけ極東地域に隣接する北海道は、地方分権という観点からいえば、やはり隣国との貿易というのは最大限に生かさなきゃならない、私自身はそう思っているわけでございます。さらに、地域経済の活性化という観点からも国内市場だけでなく広く極東市場を開拓しようという意欲的な企業の声も、私も聞いております。

 既に、ハバロフスクの日本食レストランやあるいはイチゴ等の生鮮食品、ユジノサハリンスクの寒冷地仕様の住宅の建設、それから反面、日ロ合弁企業が運営したリゾートホテルが開業五年でロシア側に乗っ取られたというケースもございまして、国内企業の極東進出というのは、ロシア側企業やあるいは組織の予想外の動き、また煩雑な制度に振り回されて、せっかくのビジネスチャンスの芽を摘んでしまっているという状況もございます。

 政府は、輸出入などの関連制度の簡素化を図ると同時に、もっと行政としての支援をしていただきたい、こういうぐあいに思うわけでございますけれども、御答弁をお願いします。

伊藤副大臣 お答え申し上げます。

 御指摘の点を含め、ロシアにおける貿易・投資環境の改善については、経済界からのいろいろな御要望を踏まえた上で、累次の機会にロシア側に申し入れを行っているところでございます。

 本年十月、貿易経済に関する日ロ政府間委員会の場で、中曽根大臣の方からフリステンコ産業貿易大臣に対して貿易・投資環境の改善に向けた申し入れを行ったところでございますし、それに先立つ九月にも、同委員会の分科会である貿易投資分科会において、日本側より同様の申し入れを行いました。私自身も、十二月八日にクレパッチ経済発展次官にそのような申し入れを行ったところでございます。

 政府といたしましても、今後とも経済界の要望をよく踏まえて、ロシア側に対して貿易・投資環境の改善を求めていく考えでございます。

三井委員 最後に、今民間も、地元では大変返還運動に取り組んでいられる。特に、歯舞漁協の組合長さんは自費で貝殻島まで遊覧船を出している。乗客が三十人ぐらいで大変赤字を抱えているわけですけれども、この方がおっしゃっているのは、人を呼び地域を元気にしたいからなんだということをおっしゃっているんですね。

 そういうことで、道民の願いであり、また旧島民、そして高齢化されていますので、ぜひこの返還要求については皆さんとともに取り組んでいただきたいことを特に両大臣、両副大臣にお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

藤村委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 民主党、市村でございます。十五分いただきまして、質疑、議論をさせていただきたいと存じます。

 早速でございますが、外務大臣に、きょうは北方領土問題についての決意を伺いたいと思います。

 先ほど三井委員との議論でもありました、十一月二十二日のAPECにおける日ロの首脳会談において、この問題の解決を次世代にゆだねることは考えていない、こういう発言があったということでございます。私は、これは大変大きな前進だと思います。

 ただ、もちろん、ちょっと私もロシア語でどういう言葉だかわかりません。これが直訳されているか意訳されているのか、これはいろいろこの辺のところもあるのかもしれません。しかし、我が国にとって、北方領土を返していただきたい、こういう立場からすれば、こうしたロシアの大統領の発言というのはもっと前向きに受けとめて、そして、鉄は熱いうちに打てでございます。やはりこれをしっかりと現実のものにすべく行動すべきときではないかというふうに思います。

 記事によりますと、どこの国でも官僚の抵抗は存在するが、首脳の善意と意思があれば解決できるとメドベージェフ大統領がおっしゃっているということでございまして、我が国には官僚の抵抗はないと私は思います。やはり、ぜひとも大臣が強い決意を示していただきまして、そしてぜひとも外務省の皆さんを鼓舞していただきまして、そして、本当は毎週のようにだれか担当官がロシアに行って、あれはどうなっているんだということで進捗状況を確認し議論を進めていくというぐらいのことが求められると思いますが、外務大臣の御決意を改めてお伺いしたいと存じます。

中曽根国務大臣 今、委員がおっしゃいましたメドベージェフ大統領の言葉のうちの、この問題の解決を次世代にゆだねることは考えていない、大変これは私は注目すべき発言ではないかと思っておりますが、これは、平和条約問題を棚上げすることなくできるだけ早期に解決することを強く望む、そういう決意を改めて確認したもの、私はそういうふうに受けとめております。

 また、今回の首脳会談におきましてメドベージェフ大統領が、今委員もおっしゃいましたけれども、重要なのは首脳の立場であって、首脳の善意と政治的意思があれば平和条約締結問題は解決できると述べたわけでございまして、御指摘の先ほどの発言とともに、同大統領として領土問題を最終的に解決したいとの強い気持ちを表明したものだ、そういうふうに思っております。

 鉄は熱いうちに打てと今おっしゃいましたけれども、これは終戦直後からの本当に長年の我が国の最重要課題の一つであるわけで、先ほどからのいろいろな委員会の質疑の中で、島民の皆さんのお気持ちもあります。一日も早く解決をしなければならないと思っていますが、重要なのは結論であろうかと思います。もちろんスピードも必要ですが、結論が大事でありまして、そういう意味では、十分な協議をしっかりと行って、満足できる結論が得られるように努力をしていきたいと思っております。

市村委員 よろしくお願いします。

 次世代にゆだねない、これは私は、普通一世代三十年とかつては言われました。この意味は、私はロシア語がどういう言葉を使われているかわかりませんが、私は、この次世代にゆだねないというのは、メドベージェフ大統領が自分の任期中にこれを解決するんだということの決意だというふうに素直にとりたいと思っていますので、また、もちろんスピードだけでなくて、やはり無理をしないということも大切だと思います。しかし、それをではまた三十年後という話では私はない、つまり一般的な意味で次世代、三十年後ということではないと思いますので、大統領が任期中に解決する、やはり我が国もそのぐらいの気持ちで、具体的に平和条約締結も含めて解決に向けた努力をしていただきたいと思います。

 この件については、これで終わります。

 今度は、沖縄に移ります。泡瀬干潟の件について少し議論をさせていただきたいと存じております。

 十一月十九日に那覇地裁におきまして、泡瀬干潟についての公金支出差しとめ判決が出ています。これを受けまして、沖縄県、また沖縄市を含め関係各位、いろいろな対応が今あるということであります。県、市はこれを控訴したということであります。また、これまでさまざま環境調査を進めてきた市民の皆さんとかの御意見もまたあるというわけでありまして、今後どうするかということがこの泡瀬干潟の埋め立てには問われていると思いますが、今回の判決を受けまして、大臣、内閣府はどう対応するのか、まずお聞かせいただきたいと存じます。

佐藤国務大臣 お答え申し上げます。

 泡瀬地区埋立事業でございますけれども、沖縄市における国際交流拠点の形成を目指す東部海浜開発事業の一環をなすものでございまして、沖縄振興計画や沖縄市総合計画へも位置づけられたものであるというふうに伺っております。

 この事業につきましては、地元の沖縄県及び沖縄市の要請に基づきまして、国としても県、市に協力する形で取り組んできたところでございまして、内閣府といたしましては、県、市の考え方も十分お伺いをしながら協力してまいりたいというふうに思っております。

市村委員 ここで問われているのは、やはり経済的合理性があるかどうかだと思います。かつてこのプランが示されたときにはもちろん経済的合理性があったんだと思います。それがないと、こんなプランをつくってもらっては困りますから、当然そのときはあったんでしょうが、しかし、今の段階で、地裁の判決にもありますように、経済的合理性を欠くんじゃないかということで差しとめということになっているわけであります。もちろん、控訴されていますから、確定したわけじゃありません。

 私としては、では、この事業継続の必要性はあるのかどうか、すなわち、それを示すのは、やはり経済的合理性があるのかどうかを現時点で示さなくちゃならないと思いますが、これについて大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

佐藤国務大臣 同じような御答弁になって大変恐縮なんですけれども、泡瀬地区埋立事業は、先ほど申し上げましたように、東部海浜開発事業の一環をなすとして県と市の事業に協力してきたものでございます。県、市においては本事業の重要性にかんがみ控訴したものと理解をしておりまして、内閣府としては、やはり県、市の考え方を十分に伺いながら協力してまいりたいというふうに思っております。

市村委員 では、話をちょっとほかに移しますが、また後でもちろんこの議論を続けます。

 きょうは環境省から古川政務官がいらっしゃっていただいておりますが、環境省は、これについては、国としては関係ないという立場だと思います。ただ、これだけ国会でも取り上げられています。これから多分、この沖縄北方だけじゃなくて、いろいろな委員会でもこの問題は取り上げられる可能性はあります。国土の環境保全という観点からいきまして、これはやはり環境省は関係ないとは私は言えないと思います。

 特に、これは国のお金が入る事業でありますから、もちろん地方主権といいますか地域主権というか、今佐藤大臣がおっしゃったように地域の意思を尊重する、これは当たり前なんですが、しかし、そうはいっても国の税金がここに入ってくるわけでありますから、しかも環境問題というのが特に一つの大きな問題になっているということであれば、環境省もぜひとも私はこの問題に積極的に取り組みを進めていただきたい、こう思うわけでありますけれども、環境省のお立場を聞かせていただきたいと思います。

古川大臣政務官 市村浩一郎委員にお答えいたします。

 事業の実施に当たりましては、事業者の責任において環境保全上の所定の措置が確実に実施されていくということが大事だと思っております。環境省としましても、この泡瀬干潟の重要性というのは十分認識しておりますので、沖縄県の環境部局とも連携をとりながら、この措置が確実に行われておるかどうか、しっかり見守っていきたいと思っております。

市村委員 本当に、ぜひともこれは関係者が他人事ではなくて我が事としてやはり考えなければならない、こう思うわけであります。

 それで、また大臣にちょっと戻りますが、先ほど、要するに県や市の対応を見守りたい、こういうことでもありました。しかし、これはやはり国の税金が入る、特に沖縄に関しては、特別にこうした委員会が設けられているぐらいですから、やはりきちっと国が沖縄の振興、産業発展等々について責任を持つんだということで、当然沖縄北方担当大臣という立場もあられるわけであります。

 ですから、もちろん県や市が主体であるということは、これは言うまでもないことでありますけれども、国として、本当にこれでいいのかということは、やはり不断の見直し、たゆまざる見直しというのが必要だと思います。そのときに、国としてもやはりこれでいいのかという議論はしていくべきだと思います。

 本当にこれが事業継続の必要性があるのかについても、これは実は泡瀬干潟の問題だけじゃなくて、今、日本全国にこれからこういう問題が出てくると思いますね。かつては経済的合理性があったし意味があったんだけれども、今になってみると本当に意味があるのかどうかということは、多分いろいろなところで同じような問題が出てきているし、出てくると思います。

 そのときに、かたくなに、いや、やめないということではなくて、やはり常に見直しを含めて、その見直しの中には当然中止も含めて見直しというのもあり得ると思います。ですから、その分、そこに向かうべきお金がある種浮くというか余るというか、あるのであれば、現時点においてほかにもっと有効な事業はないのか、そこにやはり資金を集中的に投下していくべきだ、こういうふうに思っております。

 そういった意味では、やはりこれからの政治家の判断、それから官庁の判断というのは重い。これまで、何となく、今の日本は責任がどこにあるのかわからない、失敗しても、だれが責任をとってくれるのかということがある意味でないがしろにされてきたというか、あいまいにされてきたということでありましたが、もうこれはそういう時期じゃないと思います。

 これからは、やはり政治家は当然責任をとる。政治家の責任は選挙で落ちるということですね、通るか落ちるか。責任を持って発言したことについては、一票をいただいてまた送り返していただくか、もうあなたはだめだといって落選するか、どっちかだと。官僚の皆さんも、これからはやはり行政訴訟等で、これが行政訴訟にふさわしいかどうかはその都度その都度の判断だと思いますが、やはりそれはそういうリスクにさらされることも含めて、これからは判断していかなくちゃいけない時代だと思います。なあなあ、まあまあという時代ではない。やはり税金を使う以上は経済的合理性を含めてしっかりと私たちが説明をしていくということができないと意味がないと思います。

 そういった意味で、ぜひとも私はまた佐藤大臣の御決意のいかんをお聞かせいただきたいと思います。

佐藤国務大臣 沖縄市長におかれましては、現在、土地利用計画の見直しの作業を進めていると認識しておりまして、内閣府といたしましても、土地利用計画を社会経済情勢に合った形に見直すことは重要であるというふうに認識をしているところでございまして、必要に応じて沖縄市等に協力をしてまいりたいと思います。大変、沖縄県及び沖縄市が長年かけてはぐくんできた計画でもございまして、やはり地元の意見を最大限尊重していきたいというふうに思っております。

市村委員 もちろん地元の意見を尊重するのは当然なんですが、私は、ここでやはり沖縄北方担当大臣の御決意を、それは責任にもつながります。決意を示すということは責任にもつながります。やはりそうした責任をとるという覚悟がない事業をやってはだめだと私は思うんですね。将来、説明もできなきゃ責任もとれないという事業をやってはだめだと思います。

 その意味での大臣のまた決意をお伺いしたいわけでありまして、これは環境省の決意も伺いたいので、まず環境省の古川政務官の、環境省としてのやるぞという決意を一言また大臣の発言の前に伺いたいと思います。

古川大臣政務官 クビレミドロですとかトカゲハゼ、こういう希少野生生物の宝庫と言われている場所でございます。生物多様性を維持、確保しなければいけないということについては、再来年、名古屋においてCOPも開かれるところでございますけれども、今後ともしっかり環境の保全のために努力をしていきたいと思っております。

佐藤国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、県、市との整合性を図りながら、決断すべきときには決断をさせていただきたいというふうに思っております。

市村委員 終わります。

藤村委員長 次に、仲野博子君。

仲野委員 おはようございます。民主党の仲野博子でございます。北方領土問題について、何点かお尋ねしてまいりたいと思います。

 この問題は、戦後六十三年を経ても今でも未解決の問題でありまして、私の地元では、近年のロシアの漁業資源に関する厳格な管理などがありまして、疲弊する地元経済をさらに悪化させている原因ともなっております。そういったことから、本日は北特法を中心に何点か質問をさせていただきたいと思います。

 この北特法は、昭和五十七年に、北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律、いわゆる北特法ということで議員立法で制定されました。地域の振興と住民の生活安定のために各種の特別措置が講じられることになっておりますが、最近、地元では、これらの措置が実効性のあるものになっていないという声が大変強く起きているわけであります。

 そこで、北特法第十条に規定する北方領土隣接地域振興等基金百億円の運用益が、当初の想定と大きな乖離がある。制定時は年間七億円程度と考えられておりましたが、平成十九年は約一億七千万円になっております。バブル崩壊後の低金利のためであるのか、この運用益では活動が立ち行かなくなってきている。このような状況について、政府はどのように考えているのか。この基金が、隣接地域の市及び町が振興計画に基づき実施する単独事業の経費の一部を補助するために設置されたものであり、運用益の増加が見込めない現状では、さまざまなそのメニューをこなしていけない。

 そういったことで、改めてこのことに対する佐藤大臣の見解を伺いたいと思います。

佐藤国務大臣 委員御指摘のとおり、単独事業への支援措置につきましては、財政状況も厳しい中で対応は難しい面がございますが、内閣府といたしましては、今後とも、基金を管理運用している北海道に対しまして必要な助言をしていくことにより、運用益の確保及び事業の円滑な実施ができるよう努めてまいりたいと思います。

 また、内閣府といたしましては、平成十五年度から北方領土隣接地域啓発経費、また平成十七年度から後継者対策推進経費を計上いたしまして、北方領土隣接地域の啓発の推進、元島民への援助推進事業を講じているところでございまして、それらの事業の推進に努めてまいりたいというふうに思っております。

仲野委員 必要な助言をされていくということなんですが、大臣、十一月二十二日、私地元の根室の方に行かれて、多くの団体の方たちからさまざまな切実なお声を聞いてきたと思います。やはり、何をするにしても財源なんですね。財源がなければ何もできないということで、今この低金利、バブル崩壊後の低金利になってから、このように十九年度において一億七千万円。

 私が聞きたいのは、地元がこれだけ冷え込んでいる中でもっとそのニーズにこたえていただきたいということの質問だと、私自身今そのように大臣に言ったつもりなんですけれども、今後、運用益に対することについて、どのように、どう具体的に、やるのかやらないのかということをはっきりお答えしていただきたいと思います。

佐藤国務大臣 今先生からお話がございました点につきましては、私どもで、その運用益等々で担えない点、各省庁等々とよく連携をさせていただいて、そういう部分はほかの省庁からまた支援をしていただくようなことも少し考えていきたいというふうに思っております。

 先ほど三井先生のお話にございましたように、ないそでは振れないのではないかという話もございまして、来年度以降、そういうことも含めて、事業また地元に対する支援が、この運用益だけではなくて幅広く何らかの形で対策ができるように、各省庁と内閣府とよく検討してまいりたいというふうに思っております。

仲野委員 各省庁と横断的にやっていく、問題はやはり最後に財務省だと思うんですね。ここにしっかりと担当大臣として力強く訴え、働きかけをお願いしたいと思います。

 また、あわせて、今度、北特法第七条についてお尋ねしてまいりたいと思います。

 この北特法の第七条では、公共事業における国の負担また補助の割合のかさ上げについて規定されております。これは、根室管内の一市四町が同法で対象となる補助事業を行う際に、その地元負担額が当該自治体の標準財政収入額の一〇%を超える場合に適用されることになっているものであります。しかし、比較的財政規模の大きい根室市や別海町ではこの第七条の適用が全く行われておらず、平成十七年度以降に至っては、今度は一市四町すべてに引き上げ措置の実績がない状態になっております。これでは隣接地域の振興という立法の趣旨が十分生かされていないのではないのかなと。

 このような補助率のかさ上げ措置が適用されるケースが少ない理由は一体何なのか、適用条件などの緩和をすべきではないのか。これは奥平局長の見解を伺いたいと思います。

奥平政府参考人 お答えいたします。

 北特法七条のかさ上げ措置についての御質問でございますが、先生御指摘のとおり、本かさ上げ措置につきましては、隣接地域一市四町が行います特定事業を集中的かつ短期的に行う際に地元負担が急激に増大する、これを緩和するために、先生おっしゃいましたように、地元負担額が標準財政規模の一〇%を超える場合講じられるということになってございます。

 このかさ上げ措置の実績でございますけれども、これまで合計で約六億八千万円のかさ上げがございます。ただ、おっしゃいましたように、根室市、別海町につきましては実績がないということでありますし、また平成十七年度以降は適用がないというのが実情でございます。

 この理由でございますけれども、御承知のとおり、公共事業全体が非常に縮減をしている、そういった中で、近年地方財政は非常に逼迫をしているというようなことから、この対象となる一市四町がみずから行う特定事業そのものが少なくなってきているというようなことで、かさ上げ措置の適用が減少をしてきているというふうに考えてございます。

仲野委員 今、全体の公共事業が減少していることと、あるいはまた地方財政が厳しくなっているということのお答えだったんです。

 そこで、また局長にお尋ねしたいんですが、北方領土隣接地域振興等事業推進費補助金、これは平成十六年度に一億円の予算をもって、第五期振興計画の推進を図るため、産業の振興及び交流に関する施策に対して経費の二分の一以内を補助するものとして創設されました。そして、今年度から第六期振興計画がスタートし、平成二十一年度概算要求にも今年度と同様一億円が計上されているわけであります。

 私は、一年前のこの委員会において、この補助金の拡大をお願いさせていただきました。このとき、前の局長が、拡充につきましては地元から強い要望があることは十分承知している、地元からの要望などについて検討を進め、しっかり産業振興と交流推進に取り組んでまいりたいという答弁をされておりました。増額されるものと期待をしておりました。

 今述べたように一億円と据え置かれておりますが、これはなぜ増額されなかったのか、その理由を伺い、改めて来年度の、次年度における増額をお願いしたいと思いますけれども、奥平局長の見解を求めたいと思います。

奥平政府参考人 お答え申し上げます。

 北方領土隣接地域振興等事業推進費補助金についての御質問でございます。

 本補助金は、北特法に基づいて北海道が策定しております振興計画の第五期、計画期間が十五年から十九年の前振興計画でございますが、これを強力に推進するということで、この第五期振興計画の途中の年度でございます平成十六年度に、最終年度であります十九年度までということで創設をされたものという経緯がございます。

 私どもといたしまして、今先生から御説明ございましたように、この補助金についての継続、拡充につきまして地元から大変強い要望があるということは承知しておりますし、また、地元の首長さんからも強い要望を直接何回も受けてございます。

 隣接地域の課題解決に向けて、さらに、地域の安定振興を推進するということから、ことしの四月でございますが、現行の第六期振興計画の策定に際しまして、この六期計画期間中についても当該補助金を継続するように措置をしたところでございます。おっしゃるとおり、継続につきましては実現をしましたけれども、増額については、一億円維持、こういうことになったわけでございます。

 今後、この補助金の執行でございますけれども、一市四町からの意見、要望を十分踏まえまして、これまで以上によく御相談をさせていただいて、また、道庁とも御相談をさせていただいて、地域の振興に資するように、また、地元に喜んでいただけるような使い道に努めるようなことで本地域の産業振興と交流推進に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

仲野委員 ことし、道として、第六期北方領土隣接地域の振興及び住民の生活の安定に関する計画ということで、このように、平成二十年四月十八日、国土交通大臣が同意されているものであります。この計画を実効あるものとして推進をされていくためには、先ほど来から私が申し上げているように、財源なんですね。これだけ、今、北方領土が解決されていないがゆえに不利益を受けている、こうむっている、そういったことから、地元では今大変厳しい環境にあるわけであります。

 そういった中で、何とか実効あるものとするためには、やはりこれだけ、小泉政権のときに三位一体改革という、地方自治体を苦しめるようなああいったことが導入されたりだとか、本当に今地方自治体が厳しい、今、ちょうどこの十二月は予算編成されているわけであります。そういったことを考えたときに、やりたくてもできない、そこをしっかりと政府としてとらまえていかなければならないと思うんです。

 一億円増額したからと、一億円で何もできないんですよね。そういった意味で、そういった財源の裏づけ、そういったことだとかをどのように考えてこれを推進されていこうとしているのかということを、いま一度局長からお尋ねしたいと思っております。

奥平政府参考人 お答えいたします。

 私ども国土交通省といたしまして、先生今お示しになりました第六期の振興計画、着実にこの計画に基づく施策を計画的に進めることが最も肝要だというふうに思っております。

 関係省庁連絡会議等も設けまして、国の関係省庁の議論をやっておりますし、また、道庁さんともその進め方について議論をしているところでございますが、隣接地域に関係する直轄事業あるいは道の補助事業、それから直接関係省が実施される事業、これらを計画的に進めまして、目的でございます隣接地域の安定振興に資するように、これまでよりなお一層相談を密にして進めさせていただきたいというふうに思っております。

仲野委員 これは、また別な機会を通じてお願いさせていただきたいのでありますけれども。

 今度は外務大臣にお尋ねしたいと思います。

 麻生総理が就任されて、就任の演説の中で、北方領土に対する解決に向けてというふうな文言が一つもなかったんですね。これは、麻生総理は北方領土問題に対して、全く、そういった国民の開かれた場で、一国の総理がやる気があるのかないのかということを私は疑問に思いました。

 外務大臣、どのようにあなたはお考えになっておりますでしょうか。

中曽根国務大臣 今委員が御指摘になりました所信表明演説は、ことしの九月の二十九日に行われたものであります。その演説の中では、麻生総理は、外交のところについて述べておられるわけですが、隣国である中国、韓国やロシアを初めアジア太平洋の諸国とともに地域の安定と繁栄を築き、ともに伸びていくと述べられておるわけでございます。これは、私は、麻生総理が、アジア太平洋地域で各国ともともに伸びていけるような高い次元の、この場合日ロ関係ですが、これを構築していく、そういう強い決意を示されたものと考えております。

 今申し上げましたけれども、この所信表明では、外交についてはこのことと北朝鮮のことを述べておられるわけでありまして、個々の国との懸案事項については述べておられないわけでありまして、そういう意味で、委員おっしゃるように、記述としては少ないかもしれませんが、この地域全体の安定と繁栄のためにともに伸びていくということで強い決意を、繰り返しになりますが、述べられたものだと思います。

 こういうふうに日ロ関係を高い次元に引き上げるためには、唯一の懸案事項であるこの北方領土の問題、これを解決する必要があるわけでありまして、そういうところから、APECで行われました日ロ首脳会談におきましても、先ほどから御質疑にありますように、極東そして東シベリアを開発してアジア太平洋地域への統合を果たそうとしている、そういうロシアと領土問題を解決して平和条約を締結すること、これが大変大事だという関心を示して、メドベージェフ大統領ともそういう話し合いをしたわけでありまして、私は、総理のこの領土問題に対する熱意が低いとは思っておりません。

仲野委員 私は、やはり北方領土問題がこうやって解決されていない、ロシアに対して一番取り組まなければならないことは、北方領土問題をまず解決していく、それをしっかりと強くやはり総理として言うことが最大のことではなかったのかなと。それがなかったということは非常に残念で、総理は余り強く認識をされていないんだな、残念ながら私はそのように思いました。

 これは指摘をさせていただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。

藤村委員長 次に、川内博史君。

川内委員 おはようございます。早速質問をさせていただきます。

 まず、外務省にお伺いをいたします。

 十一月十四日の国土交通委員会でも質疑をさせていただいたのでございますが、私の地元の鹿児島県鹿児島郡十島村小宝島上空を、十一月七日、超低空飛行で、小宝島の子供が七人学んでいる小学校の上空、真上をF18戦闘機が猛スピードで通過した、訓練をしていたという件でございます。

 このF18戦闘機、F18戦闘機だったと私は思うんですが、これは、沖縄の基地から来たのかどの基地から来たのか、そしてF18の何型だったのか、また、先日アメリカのサンディエゴで墜落したものと同型機だったのか、さらに、実際の高度は何メートルだったのか、トカラ列島のこの小宝島が低空飛行の訓練ルートに入っていたのかという具体的な事実について、外務省に事実確認をお願いしますということをお願いしておりましたけれども、事実確認ができたか否かということをお答えいただきたいと思います。

西宮政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの、去る十一月七日の米軍機の鹿児島県小宝島上空における飛行につきましてでございますが、改めて米側に対しまして、当該航空機の高度、機種、所属基地、飛行ルートなどにつきまして照会をいたしました。

 飛行高度につきましては、米側の回答は、関連する日米合同委員会合意で適用されている最低安全高度というのもございますが、これを守っていたということでございますが、その他のお尋ねの点につきましては、運用の問題にかかわるということで回答できないという反応でございました。

 なお、あわせまして、この機会をとらえまして、我が国といたしまして米側に対し、低空飛行訓練を行うに当たりましては、公共の安全に妥当な考慮を払うとともに、関連する日米合同委員会合意を引き続き遵守するよう改めて申し入れた次第でございまして、米側からも、そのような合同委員会合意を引き続き遵守していきたいとの確認がございました。

川内委員 飛行高度については、最低飛行高度を遵守していたと。最低飛行高度というのは、委員長、百五十メーターなんですよ。百五十メーターであれば遵守していたということになるわけですけれども。百五十メーターの上空を物すごいスピードで飛んだということでございます。

 ただし、日米合同委員会の合意というのは、学校の上空や病院の上空には考慮を払うというふうに合同委員会合意には書いてございます。したがって、この合同委員会合意を遵守するというふうに米側から回答があったということは、小宝島の上空において、そこに学校やあるいは病院があるということについて、今後は考慮を払い、合同委員会合意を遵守しますよ、飛行ルートには入れませんよという解釈でよろしいかということをお答えいただきたいと思います。

西宮政府参考人 委員御指摘のとおりでございまして、この合同委員会合意、平成十一年の合意でございます。その中で、人口密集地域や公共の安全に係る他の建造物、これは学校、病院などを含むわけでございますが、これに妥当な考慮を払うという点を我々は指摘をし、申し入れを行った次第でございます。

 お尋ねの点につきましては、外務省としても、御指摘の飛行の後、小宝島付近での航空機の飛行がなされている等の情報には接しておりませんし、私ども、十二月十一日の合同委員会におきまして、米側から、低空飛行訓練を行うに当たりまして、引き続き関連する日米合同委員会合意を遵守する、日本の公共の安全に妥当な考慮を払っていくとの発言がありました。

 米軍は、そうした合同委員会合意でのやりとりを踏まえた上で航空機の運用を行っているもの、また、いくものというふうに考えております。

川内委員 今局長から、十二月十一日の日米合同委員会でやりとりがあった旨の答弁がございましたけれども、この十二月十一日の日米合同委員会で、日米双方のだれがだれにどのような話をし、それに対してどのように、だれから発言があったのかということをもうちょっと詳しく、この小宝島の件に関してどのような発言があり、どのような回答があったのかということを教えていただきたいと思います。

西宮政府参考人 合同委員会合意につきましては、日米間の了解がございまして、詳細を申し上げることはできませんが、先ほど来御答弁申し上げている繰り返しにもなりますが、御指摘の小宝島の件に言及いたしまして、さらに、日米合同委員会合意、平成十一年の合意の第一項目にございます「妥当な考慮を払う。」というくだりにも言及いたしまして、引き続き合同委員会合意を遵守すべきであるというふうに申し入れたのに対しまして、米側から、引き続き日米合同委員会合意を遵守する、日本の公共の安全に妥当な考慮を払っていくとの発言があった次第でございます。

 なお、だれからだれへというのは……(川内委員「出席者」と呼ぶ)委員会としてのあれでございますので、出席者ということで御勘弁いただければ、私自身が日米合同委員会の政府代表でございまして、米側代表はトゥーランという在日米軍副司令官でございます。ただし、この日は、私、ちょっと所用がありまして、私の代理の者で北米局の審議官が日本側は代表を務めさせていただいた次第でございます。

川内委員 ありがとうございました。

 引き続き私も注視をしてまいりますので、この十二月十一日の合同委員会で話し合われたことがしっかりと遵守をされ続けるように、外務省としても御努力をいただきたいというふうに思います。

 次に、防衛省にお伺いいたします。

 田母神さんの一連の発言というのは沖縄の人々にとっても大変な衝撃あるいはショックを与えたのではないかというふうに思いますが、せんだって安全保障委員会で、私は、田母神前航空幕僚長の発言あるいは行動あるいは著作物を発表する行為は、自衛隊法第六十一条の政治的行為の制限違反ではないかということを申し上げました。したがって、防衛大臣は田母神前空幕長を刑事告発すべきではないかという観点から質問をしたわけでございます。

 政治的行為の前提条件である政治的目的の定義については、自衛隊法施行令八十六条の五号に「政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し、又はこれに反対すること。」と書いてございます。この「政治の方向に影響を与える意図」とは何かということをお聞きすると、日本国憲法に定められた民主主義政治の根本原則を変更しようとする意思と解釈、運用されているというふうに政府側から説明がありました。

 日本国憲法に定められた民主主義政治の根本原則を変更しようとする意思のことを、政治的目的あるいは政治の方向に影響を与える意図というふうに解するということでございますが、それでは、この日本国憲法に定められた民主主義の根本原則とは何かということについて、せんだっての安全保障委員会では、内閣法制局の方から、国民主権、基本的人権の尊重、そして平和主義、この三つが憲法の基本理念あるいは基本原則である、さらに、民主主義政治の根本原則は何かということでは、民主主義政治の根本原則に直接関係するのはこの三つのうちでは国民主権であるが、その他の憲法の理念である基本的人権の尊重あるいは平和主義というものが憲法のもとでのあるべき政治と関係がないということは一切ない、もちろん、まさに関係するところであって、憲法の理念のこの三点はそれぞれ密接に関係している事柄であると、内閣法制局から御答弁がございました。

 また、国家公務員の一般職にかかわる国家公務員法と人事院規則を所管する人事院ともやりとりをさせていただいて、さまざまな答弁がございましたけれども、最後は、法制局の判断を踏まえて政治的行為の制度の運用に当たっていく所存であると御答弁がございました。

 田母神さんの発言あるいは行動、私は、公務員の方々も、政治的な発言とかあるいは政治的行動については基本的には原則自由であるというふうに思います。しかし、公務員であるということによる一定の制限というものは、公共の福祉の観点からかんがみれば、当然それはある一定の制限がかかる。したがって、国家公務員法なりあるいは自衛隊法なりに政治的行為の制限というものがかかっているし、その政治的行為の制限とは、今内閣法制局から答弁があったことを御説明申し上げましたけれども、日本国憲法に定められている民主主義政治の根本原則を超えた部分については、政治的行為、政治的発言というのは制限されますよということであろうというふうに思います。

 そこで、防衛省にお伺いいたします。

 自衛隊法第六十一条、同施行令八十六条の解釈、運用に当たっての日本国憲法に定められた民主主義政治の根本原則とは何かということについて、内閣法制局の答弁あるいは人事院の答弁のとおり、国民主権がその民主主義政治の根本という意味では一番大きいが、しかし、基本的人権の尊重あるいは平和主義というものもそれは密接に関係をしているという理解でよろしいかということを御答弁いただきたいと思います。

渡部政府参考人 お答え申し上げます。

 先日、十二月十二日の衆議院の安全保障委員会におきまして、川内先生の関連質疑の中で、内閣法制局の方から、本件に関連した憲法の解釈について答弁がございました。

 防衛省といたしましても、今川内先生の方からお話ございましたけれども、日本国憲法に定められた民主主義政治の根本原則には、主に国民主権が該当すると考えておりますけれども、憲法の基本原則である基本的人権の尊重や平和主義も関係すると考えております。

 なお、隊員の具体的な行為が自衛隊法に規定しております政治的行為に該当するか否かの判断は、個別具体的に、慎重に検討すべきものと考えております。

川内委員 局長、私、具体的なところにまだ言及していないので。

 それでは、今の局長の答弁を踏まえて、特に防衛省・自衛隊にとっては、憲法の規定する平和主義という理念、すなわち、具体的に申し上げれば、憲法の前文あるいは憲法九条というところが防衛省・自衛隊にとっては根本原則の中の根本原則というか、防衛省・自衛隊にとっては非常に大きくかかわる部分であるというふうに思いますが、防衛省・自衛隊としての御見解をお聞かせいただきたいと思います。

 これは一般論ですよ。具体的なものじゃなくて、一般論として。今お答えになられた、憲法の定める民主主義政治の根本原則とは何かというと、国民主権が主に該当するが、基本的人権の尊重あるいは平和主義も密接に関係しますという御答弁だった。それを踏まえて、防衛省・自衛隊にとっては特に平和主義は他の役所よりも密接に関係しているでしょうということを聞いているんです。

渡部政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど御答弁申し上げましたように、日本国憲法に定められた民主主義政治の根本原則には、国民主権、それから基本的人権の尊重、そして当然のことながら平和主義も関係するというふうに考えております。

川内委員 いや、だから、そこで局長が、個別具体のことはそれぞれの事案に応じて判断するんだよというふうにその後つけ加えられたわけですけれども、要するに、個別具体のことを判断するに当たっては、防衛省・自衛隊という組織は特に平和主義の部分は大事な部分ですよねということを私は聞いているんです。いや、そんなことはないです、ほかの役所と一緒です、防衛省・自衛隊としても別に平和主義が特に大事だなんて思っていません、そんなことはありませんというふうにおっしゃるならおっしゃっていただいていいし、いや、やはりその部分は防衛省・自衛隊にとっては特に大事な部分ですねというのであればそのようにお答えいただければいいし、どっちですかということを聞いているんです。

渡部政府参考人 お答え申し上げます。

 平和主義というものの背景には憲法九条の問題が当然あるわけでございますので、その憲法九条との関係におきましては、いわゆる専守防衛でありますとか集団的自衛権の問題というのが存在しているわけでありますので、川内委員おっしゃるように、防衛省・自衛隊の立場からすれば、特に重要といいますか、意義があるというふうに考えております。

川内委員 きょうは時間がありませんので、この問題は別途、また再び議論をさせていただきますが、今局長から素直に御答弁いただいたことに感謝を申し上げます。

 次に、沖縄に駐留する米軍の海兵隊のグアム移転問題について、現在どうなっているのか防衛省に御説明をいただき、さらに、もう時間もありませんので、来年度予算でどのような予算措置がこのグアム移転問題に関してとられるのかということについてお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 海兵隊のグアム移転の進捗状況でございますけれども、ロードマップの合意に従いまして、二〇一四年までに海兵隊員の要員約八千名及びその家族がグアムに移転するということになってございますので、現在、そのグアム移転事業に係る中で、特に真水事業のスキーム、それから所要経費の積算の詳細といったことについて協議を進めております。

 二〇一四年ということでございますので、米国におきましても、沖縄より移転する在沖米海兵隊を含めまして、グアムの米軍基地全体で今後必要となる施設整備計画でございますマスタープランを詰めておりまして、既に素案の概要は公表されておるということで、そういった流れの中で、日米間で今真剣な協議を行っているということでございます。

 それで、平成二十一年度予算はどうなるかということでございますけれども、概算要求の時点では仮置きをしておりまして、これまで日米間でいろいろな調整をしてまいりました。その中で、二十一年度予算、今最終的に調整を進めておりますけれども、一つは、我が国の真水事業の実施のためにどういう経費を積むのかということ、それから、その事業の実施のために組織的にどういう体制をとるかというようなことを含めて、そういった関連の経費を計上する必要があるのではないかということで最終調整をしているところでございます。

川内委員 終わらせていただきますけれども、体制整備をとるために我が国の政府の方で最終調整を進めているということは、防衛省の中にグアム移転あるいは米軍再編のための課とか室とか、そういうものを置くという理解でよろしいかということを、ちょっと時間をオーバーしていますが、最後にちょっと答弁だけお願いします。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 防衛省の中に、これは仮称でございますけれども、グアム移転事業室というものを設置することで調整を進めているところでございます。

川内委員 終わります。ありがとうございました。

藤村委員長 この際、お諮りいたします。

 議員鈴木宗男君より委員外の発言を求められておりますが、これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 鈴木宗男君。

鈴木(宗)議員 発言の機会を与えられまして、各党の理事さん、また委員会の委員の皆さん方に心から感謝申し上げます。

 中曽根大臣、時間がありませんから単刀直入にお聞きします。

 きょう、私は質問の予定はなかったんですが、質問があるということがわかったならば、外務省の中、特に若い人から、先生、せっかく質問に立つならばこれはぜひともただしてくださいという話がありました。

 それは、外務省の中で、痴漢、盗撮等、非常に、過去にもあるし、今も行われているんですね。そこで、私も質問主意書を何回か出しているんです。その中で、今回も三人痴漢行為等で処分が明らかになった。三人のうち一人は失職したけれども、二人は在職だというんですね。では、なぜそういったことをしたのが残れるんだろうか、民間会社ならば即刻首じゃないのかという中で、外務省は甘いんじゃないかと。

 私は外務省の一員としてぜひとも先生からただしてもらいたいという声が来たものですから、最初にこの質問をさせていただきます。

中曽根国務大臣 委員から、かつて質問主意書でそういうようなことがあったと記憶しておりますが、きょう、今突然の御質問でございますので、私はお答えできる準備をいたしておりません。もし参考人でよろしければ、参考人にお答えさせます。

鈴木(宗)議員 これは九時過ぎに政府委員室に、うちの秘書から外務省の方には伝えてありますけれども、二時間たっても大臣のところに上がっていないということだけでも、大臣、不作為でないでしょうか。

 時間がないですから行った来たの答弁はやめますけれども、では、二人残っている、秘書官、質問が来たのは知っていますね。聞いていますね。答えられないはずがないと思うんですが。

中曽根国務大臣 確かに先ほど質問をいただいたということは聞いておりますけれども、御質問の詳細について、回答する詳細について、今調べて準備中なのだと思います。まだこちらに来ておりません。

鈴木(宗)議員 では大臣、とにかく、答弁書でも三人の事案が明らかになって、二人は在職で一人は失職となっていますね。ですから、どのポストのだれが、名前は結構ですから、だれを処分してだれが残っているのかを明らかにしていただきたい、こう思います。

 さらに、平成十八年二月二十八日の閣議決定の答弁書でも、このときは十三人のやはり窃盗だとか痴漢等、盗撮も含めて、出ているんですよ。そのうち三人が残っているんですね。この三人は今も在職かどうか明らかにしていただきたい、こう思います。

 というのは、私がなぜこの質問をするかというと、若い人の私に対するアドバイスもありましたけれども、これは委員の先生方にも御理解いただきたいのは、私はやはり外務省の自浄能力に期待しているんです。国民の理解なくしていい外交はできませんから。その中にあって、多くの外務省の人たちは、劣悪な環境なり厳しい治安の中で頑張っている職員が多いんですよ。一握りのうそつきといいますか一握りのごまかし、そして国民の批判を得る、そこで外務省全体の評価が下がってはいけない。私は、外務省の自浄能力というのを期待して質問主意書をたくさん出しているんですけれども、残念ながら、大臣、外務省にはまだ自浄能力が発揮されていません。

 この点、ぜひとも、中曽根大臣になったんですから、ここはやはり政治家中曽根としてのリーダーシップを私は発揮してもらいたい。そのことが、より責任ある外交だとか、国民から理解、信頼される外交になる、こう思いますので、この点、ぜひとも大臣にお願いしておきたい。これは委員の皆さん方にもこの事実関係だけは明らかにしていただきたい。よろしいですか。

中曽根国務大臣 先ほどの御質問の件でありますが、当然のことながら、痴漢とか盗撮とか、そういうものはあってはならないことで、これは適正に処分しなければなりません。

 ただ、これを委員に御報告するに当たりましては、個人情報ということもあります。どこまでお答えできるかわかりませんが、調べてまた御報告したいと思います。

鈴木(宗)議員 大臣、勘違いしないでください。いいですか、私は個人のポスト、名前を言っているんじゃないんです。残っている者が今どうしているかという話。まだ残っているのかどうかという話。以前あった事案でまだ三人残っている。それもどうしているかという話でありますから。

 その点、すぐ個人情報と言いますけれども、大臣、私は、基本的に個人情報保護というのは、国会議員だとか国家公務員の管理職には該当させるべきじゃないと思っていますよ。みんな今そうやって隠れみのにしています。これがまた国民の批判を受けるもとになっておりますから、私は、余り大臣があるいは国家公務員が個人情報と自分で自分を守る言い方をするのは、逆に政治不信だとか、理解を得られないと思いますので、この点、大臣、ぜひともしっかりした決断をしてもらいたいな、こう思っていますね。

 大臣、リマのAPECで、大臣も行かれましたね、そこでメドベージェフさんと麻生総理が会談した。あのとき、何かドラえもんのラジコンセットを贈ったという話がありますけれども、本当でしょうか。

中曽根国務大臣 実は私、その場におりませんでして、先ほど御質問の中でそういうようなお話がありまして、多分そういうことだろうと思います。

鈴木(宗)議員 ドラえもんというのは知恵者でありますから、外務省もドラえもんの力をかりてまで日ロ関係を動かしたいのかなというぐらいで、ユーモアなのか何なのか、ちょっと私たちはぴんとこないんですけれども。

 大臣、ドラえもんも、これは一つのキャラクターとしてはおもしろいかもしれません。逆にまた向こうで人気があるかもしれませんね。しかし、もっと発想を変えて、メドベージェフ大統領、ロシア語でメドベージェがクマなんですよ。ロシアではクマというのは非常に尊敬されるというか、神様扱いの動物なんです。私は、少なくとも、ちょっと外務官僚でも知恵があるならば、クマの縫いぐるみだとか、あるいはクマの置物だとか、北海道で私は幾らでも用意しますから、そのぐらいの知恵を出すのもまた外交でないかと思いますね。橋本さんとエリツィンさんのとき、いわゆるズームカメラで、クラスノの会談ではとてもいい雰囲気になったものですよ。結構外交では小道具というのが必要なんですよね。

 そこら辺も、ぜひとも、大臣は総理大臣の御曹子ではありますけれども、もともとは民間の出ですから、少し発想を変えて私はやってもらいたい。

 そこで、大臣、領土問題解決の日本政府の基本的な考え、四島の帰属の問題を解決して平和条約の締結に向けて全力を尽くすという考えでよろしいですか。四島の帰属の問題を解決してということでよろしいでしょうか。

中曽根国務大臣 北方領土に関します政府の方針というものは、我が国固有の領土である北方四島の帰属の問題を解決して我が国とロシアとの間で平和条約を締結する、そういうものでございます。

鈴木(宗)議員 これは委員の先生方とも一回確認し合いたいんですが、そもそも大臣、今の大臣の表現は、一九九一年、ソ連が崩壊してロシアになりました、それ以降の日本政府の考え方ということでよろしいですか。

中曽根国務大臣 お答えいたします。

 政府といたしましては、先ほど申し上げましたけれども、我が国固有の領土である北方四島の帰属の問題を解決してロシアとの間で平和条約を締結するという基本方針を踏まえまして北方四島の返還を実現していく考えでありますが、同時に、北方四島の我が国への帰属が確認されれば、実際の返還の時期とかその態様とかあるいは条件、こういうものについては柔軟に対応する、そういう考えでございます。

鈴木(宗)議員 大臣、私が言いたいのは、九一年以降でよろしいかと、今の表現は。

中曽根国務大臣 我が国政府は従来から、ソ連時代になるでしょうけれども、ソ連とのあらゆる対話の機会をとらえまして、北方領土問題を解決して平和条約を締結する、そういう立場を粘り強く主張してきたわけでありますが、一九九一年の後半以降、ロシア側から、過去の合意を尊重すること、そして北方領土問題の解決を先延ばししないこと等の考え方が表明されたことを踏まえまして、今申し上げましたような柔軟な対応をとることとしたものでございます。

鈴木(宗)議員 九一年後半以降というのは、例のソ連が崩壊してロシアになってからということなんです。

 これはもう委員の先生方も百も承知だと思いますが、ソ連時代は、領土問題がないと言われたから、即時返還と言った。四島一括返還に、その上にさらに即時とつけたものですよ、即時。しかし、自由と民主のロシア、自由経済のロシアになってからは、今大臣がおっしゃったとおり、四島の帰属の問題が、日本への帰属が確認されれば、実際の返還の時期、態様及び条件については柔軟に対応すると。

 ですから、わかりやすく言えば、島の返還時期、態様は柔軟に対応するですから、四島、四つが一遍に返ってこなくてもいいという表現ですから、それぞれ、四島の帰属の問題というけれども、大臣、勘違いしないでくださいよ、四島が一緒に返ってくるという話とはまた別なんですから、この態様、柔軟に対応するというのは。その結果、橋本さんの川奈会談も、例えば、まだこれは交渉中ですから、私は詳細を知っていますけれども中身は触れませんけれども、国境線を画定すれば、島の返ってくる時期はまた別途協議という言い方にもなっているんです。

 だから、私は、そういった意味では段階的解決論だという認識ですけれども、それでよろしいですか。

中曽根国務大臣 先ほども申し上げたんですが、我が国の基本的な北方領土に対する基本方針、もう一度繰り返させていただきますが……(鈴木(宗)議員「いや、大臣、時間がないからさっきの答弁で結構ですから、基本は」と呼ぶ)はい。

 帰属がはっきりと、まず帰属を確認するということが私は今一番大事だ、そういうふうに思っています。

鈴木(宗)議員 ですから大臣、帰属が確認されれば、実際の返還の時期、態様及び条件については柔軟に対応するということでよろしいんですね。

中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたようにそのとおりでありますが、まず帰属を確認して、それからの話でありますし、今申し上げましたように、その後のいろいろな条件等については、やはりしっかりと考えていかなければならない、そういうふうに思います。

鈴木(宗)議員 過去の、外交という、このロシアの柔軟性というのは、エリツィン大統領からプーチンさん、そして今のメドベージェフさんに至るまで、法と正義だとか過去の宣言、声明、首脳会談での約束を踏まえて、積み重ねを大事にしてやっていきましょうというのが基本なんですよ。ですから、今の大臣の答弁も、最初の九一年後半以降の話でいいんです。だから、そのために、例えば橋本さんの提案にしたって、九十九年間という、いわゆる香港方式だという話も流れたのもそれは事実なんです。

 だから、四島の島が一遍に返ってくるのと実際の対応というのは違いますよということを、政府は九一年後半から変えたということ、ソ連時代とは、左ボックスにいたならば右ボックスに移ったというぐらいの変化を日本国政府もしたということを、私はもっと国民に外務省は説明すべきだと思うんです。その説明がないところに、また二元外交だとかいろいろ誤解を生んだ。この点、私も反省しているんですけれども、もっともっと国民に説明しておけば、また別の理解や展開があったな、こんなふうに思っているんです。

 空想的解決論は何ぼ言ってもだめです。私も、四島一括でいって一遍に返ってくるのであればそれにこしたことはない。しかし、外交には相手がある。四島一括は絶対のまないことは大臣も知っているはずですよ。外交というのはお互いの名誉と尊厳がかかっていますから、私は、お互い歩み寄る、それしかないと思うんですね。

 だから、この点、大臣、空想的な話を何百回、何億回言っても進みません。現実的な解決に向けて、もう島の皆さん方は平均年齢七十五歳です。もう八十、九十の人が多いんですよ。そういった意味でも、ぜひとも、領土交渉をするといいながらも日本からカードを切っていないんです。私は、やはり日本から、橋本さんだとか小渕さん、森さんの時代のようにカードを切るべきだ。カードを切らぬ限りは、私はこの問題は進まないと思いますけれども、この点、大臣の認識はいかがでしょうか。

中曽根国務大臣 まず、今、もっと国民に説明すべきだというお話がありました。先ほどの質疑の中でも、なかなか北方領土問題に対する世論調査の結果も、まだまだ私は国民に対する認知度は不十分だと思いますので、そういう意味では、委員おっしゃるとおり、領土問題そのもの、それから状況等については説明をする必要はあろうと思います。

 それから、この解決に当たりましては、日ロ首脳会談、日ロ外相会談等でできるだけ早く、メドベージェフ大統領の言い方によれば、次世代にまで引き渡さないということでありますから、我々日ロ間の首脳は、特に我々として、日本側としては本当に積極的にやっていかなければならないと思っております。

鈴木(宗)議員 大臣、これは口だけでなくて、私は日本側から提案すべきだと思うんです。日本側から提案する、そこで初めて動く、あるいは相手が乗ってくるということだと思うんですよ。向こう側の提案を待っていても、これは動きません、向こうは黙っていていいわけですから。この点、ぜひとも最高の英知を結集してこの四島の帰属の問題解決に向けて私はやってまいりたいと、そのことなんですよ、大臣。

中曽根国務大臣 本当にもう六十年以上にわたる、これは島民の皆さんのお気持ちを考えれば、一日も早く解決しなければなりませんし、そういう意味では、いろいろ研究して積極的にやっていきたいと思います。

鈴木(宗)議員 大臣、もう元島民は時間も限られている人が多いんですから、ぜひともここは裂帛の気合いで取り組んでいただきたいと思います。

 時間がありませんから、アイヌ問題についてお尋ねします。

 六月六日、アイヌ民族を先住民族と認める国会決議をしていただきまして、晴れて政府はアイヌ民族を先住民族と認めてくれました。今、有識者懇が行われていますけれども、この有識者懇、四回会合があったと思います。

 これは事務的な、内閣官房の方で結構ですけれども、私は、せっかくこの有識者懇をやっている、その中で大事なのは、国連での先住民族の権利宣言に基づいてこの有識者懇でのいろいろ研究、討議があってしかるべきだ、こう思いますけれども、その点、内閣官房の考え方はどうでしょうか。

秋山政府参考人 お答えいたします。

 本年六月の国会決議を踏まえ、内閣官房長官のもとに有識者懇談会が設置され、国連宣言の関連条項を参照しつつ、アイヌの人々のお話を具体的に聞きながら審議を進めていただいているところでございます。

 既に、八月以降、月に一度のペースで二回の懇談会、そして秋には北海道及び東京での現地視察を行っていただいたところでございます。

鈴木(宗)議員 秋山室長さん、ですから、先住民族の権利宣言に基づいて検討していくということでよろしいんですね、今の答弁ですと。

秋山政府参考人 国連宣言にはさまざまな条項がございます。そういった条項を見ながら、それを踏まえまして議論していただいているということでございます。

鈴木(宗)議員 そのためにも、ぜひとも内閣官房にお願いしたいのは、国民への啓発や、国民の理解を得ることが大事ですから、その点をもっともっと国民にも、過去の経緯等あるいは国連での権利宣言等、説明をいただきたい、こう思います。

 時間がありませんから、最後に、外務大臣、私は質問主意書でルーブル委員会だとか白紙領収書の話を出しております。外務省は確認されていないとかと言って逃げますけれども、大臣、私はやはり正直が一番だと思うんです。ごまかしだとかはいけないと思っています。

 これは少なくとも、外務省の場合、おもしろいのが、これは十月二十二日の外務省の兒玉和夫報道官の記者会見で、例えば週刊朝日の記事なんかには抗議して、外務省職員が公の出版物等で言っていることに対しては確認しないでいるんですよ。

 この点、大臣、私はこれからもこのルーブル委員会の解明だとか白紙領収書の解明はしてまいりますけれども、外務大臣からもぜひとも、役人の言いなりじゃなくて、何が事実か、このことをしっかり私は確認してもらいたい。

 私は、ルーブル委員会だけでも二十四本質問主意書を出しているし、白紙領収書についても十六件出しているんです。全部外務省は逃げています。大臣、閣議で署名する以上、もっと閣議の重みというものを考えてください。

 それと、現実に名前を挙げて言っているんですよ。そして、その言っている人は、国会に参考人で呼ばれたら私は出てもいいですよと、現職の外務省の職員が言っているんですよ。その人には聞かないで、閣議決定の答弁書でも、確認されていないとかという、全く的外れというか、これは閣僚をばかにしている話ですよ、外務省がつくっている答弁は。この点、ぜひとも大臣、大臣からもきちっと指導をして、事実関係を明らかにしてもらいたい。

 私は、ルーブル委員会でも二十四件、その中で名前を入れてやっているんですから。都合のいい人には当たって、肝心かなめの、佐藤優さんという人が書いている、少なくともこの人は今、大宅壮一賞作家ですよ、世間的に堂々と評価されている人ですよ、その人が、皆さん、月刊誌なりきちっと残るもので名前を書いて、事実こういうことがあったと言っている。それを外務省が確認されていない。なかったと言わないんですよ、逃げていて。ないならないと言えばいいんじゃないですか。それをないと言わぬで、確認されていないと逃げるんです。しかも、言った佐藤さんは、国会に呼ばれたら堂々と私は出て言いますよ、官房長でもだれでも対峙しますよと言っているんですよ。

 ぜひとも大臣、この解明をしていただきたいと思いますが、よろしいですか。

藤村委員長 時間が終了しておりますので、短く答弁を願います。

中曽根国務大臣 質問主意書は、私も鈴木議員からのものはちゃんと見ております。大変な質問主意書で、外務省に来る質問主意書の半分が鈴木議員からでありまして、我々も誠意に対応しているつもりでございます。

 ルーブル委員会なる、こういう組織に関する調査につきましては、大臣官房におきまして、当時在ロシア日本国大使館で勤務いたしておりました職員を中心に、聞き取り調査を行ったわけでございます。

鈴木(宗)議員 委員長、一言だけ。

 大臣、佐藤さんがそこに、モスクワにいたんですよ。そのときのことを言っているんです、事実関係を。では、なぜその佐藤さんに聞かないんですかと私は言っているんですよ。外務省の職員ですよ。この点、皆さん、おかしいと思いませんか。

藤村委員長 鈴木君、時間が来ておりますので。

 今手を挙げられましたか、外務大臣。では、中曽根外務大臣、短くお答えください。

中曽根国務大臣 端的に申し上げますが、佐藤職員は現在起訴休職中でございまして、外務省の職員としての身分は有しておりますけれども、職務には従事していないこととされておるわけでございます。そのような職員が、外務省の施策や業務に関する、あるいはそのほかのことの質疑を行うという委員会に出席することは不適当だと思っております。

藤村委員長 鈴木君、時間が来ております。一言だけ。

鈴木(宗)議員 大臣、ここに来るのではなくて、私は、本人に確認するのはできるんじゃないんですかと言っているんですよ。

 ちょっと皆さん、よく聞いてくださいよ、勘違いしないで。ちゃんと答えてくださいよ。ですから……(発言する者あり)いや、答弁になっていないんですよ。確認してくださいというんです。

藤村委員長 中曽根外務大臣、一言で。

中曽根国務大臣 当時、大臣官房で行いました調査で確認をいたしております。

鈴木(宗)議員 いや、佐藤さんには確認していないんですよ。

藤村委員長 以上で、今、鈴木君の時間は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは最初に、沖縄、鹿児島のサトウキビの問題について伺います。

 政府の資料でも、サトウキビ農業は、台風、干ばつ等の自然災害の常襲地帯である沖縄県及び鹿児島県南西諸島における代替困難な基幹作物として地域の経済社会を支える重要な作物、このように位置づけられております。また、鹿児島県の南西諸島では農家の七七%、沖縄県では七四%の農家がサトウキビの栽培農家であります。

 このサトウキビについて、二〇〇七年度、平成十九年度から、新たな経営安定対策が実施されております。制度改革の中心は、市場原理の一層の導入、関連産業も含めたコスト削減の推進に資する施策のあり方を検討となっています。

 サトウキビは、代替作物に乏しい自然条件のもとで、その多くが零細な経営により生産されていると政府自身認めていながら、このようなことを求めるのは、サトウキビ農業の現実に合わないと考えますが、いかがですか。そして、経営安定対策は計画どおりに進行しているんですか。

道上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、十九年度から、サトウキビの品目別経営安定対策として実施しておるところでございます。

 ただ、この経営安定対策の対象農家となって、収穫面積が小規模な生産者が交付金を受けるためには、耕起・整地、植えつけ、株出し管理、収穫といった基幹作業のいずれかを認定農業者や一定の収穫面積を有するサトウキビ生産者に委託するなどにより、交付対象要件を満たす必要があります。

 しかしながら、二十年産におきましては、鹿児島県で二八%、沖縄県で六五%を占める特例適用生産者が存在しているという状況でございます。

 したがいまして、早急に作業受委託を進める必要があるというのが現状でございます。

赤嶺委員 私は、この夏、種子島にも行ってまいりまして、宮古島にも行きまして、そして沖縄南部のサトウキビ農家も訪ねてまいりました。

 一番評判が悪いのが、基幹作業の機械化なんですよ。これをやったら収入がなくなってしまう、こう言っているんですね。ですから、経営安定対策がもしそのとおりに実行されたら、沖縄では六割の農家が切り捨てられるということになります。

 私は、宮古島でその担当者から、地域の実態に応じた要件見直しの検討も必要だ、このように繰り返し訴えられました。この点は、農水省、そのまま実行していくおつもりなんですか。

道上政府参考人 先ほどお答え申し上げましたように、特例適用生産者が多数存在しているという現状でございますけれども、農林水産省といたしましては、来年夏ごろに予定しております品目別経営安定対策の見直しにおきまして、意欲のある生産者が今後ともサトウキビの生産が続けられるように、生産者の方々の御意見も伺いつつ、この対象要件のあり方について検討してまいりたいというふうに考えております。

赤嶺委員 みんな意欲を持っているんですよ、対象要件に該当しない農家も。

 ですから、今この制度をそのとおり実行していったら、沖縄においてサトウキビ農業に壊滅的な打撃を与える。私は、経営安定対策そのものを根本から見直していくということを強く求めておきたいと思います。

 それで、次に、泡瀬干潟の問題に関連して聞いていきます。

 泡瀬干潟の埋立開発に反対する市民が沖縄市長と県知事に事業への公金支出差しとめを求めた訴訟の判決が、十一月十九日の那覇地裁で下されました。判決では、泡瀬干潟の埋立開発事業は、現時点で具体的な土地利用計画が定まっておらず、経済的合理性を欠き、支出は地方自治法などに反して違法、このように指摘しております。

 私は、この問題を四月の当委員会でも取り上げました。土地利用計画がないのに何で泡瀬干潟の埋め立てを進めていくか、こういう問題提起をいたしました。

 もともと泡瀬干潟の埋立事業は、佐藤大臣、隣の沖縄特別自由貿易地域への企業進出を見込んで、そして大型港湾建設を計画した、これは国がやっている事業なんです、その大型港湾建設をやるために発生するしゅんせつ土砂の処理場として、泡瀬干潟の埋立計画なるものが持ち上がってきているんですね。一度は、国において、こういう需要予測が立たない事業は慎重にやるようにという意見も出た事業なんです。

 それで、私、泡瀬干潟を埋め立てるためのしゅんせつ土砂が出てくる大型港湾の開発、これが本当に必要であるかどうかということについてきょうはちょっと聞いていきます。

 大型港湾が必要だということは、その背後地にたくさんの企業が進出しているということが前提であります。それが特別自由貿易地域でありますが、特別自由貿易地域というのは八十九・三ヘクタール、平成十一年三月に特自貿地域に指定をされました。その土地はどのくらい売却されているんですか。当初の企業誘致目標は七十五社ですが、それに対して、今何社進出しているんですか。

佐藤国務大臣 お答えをいたします。

 特別自由貿易地域の企業立地可能面積八十九・七ヘクタールのうち、売却しない買い取り条件つき貸し付けにより分譲した面積は六・二ヘクタールで全体の六・九%、このほか、賃貸工場用地で十一ヘクタール、IT津梁パークで十七・四ヘクタールについても活用方針が決まっております。

 特別自由貿易地域全体の立地企業数は現状では二十六社、賃貸工場二十社、分譲用地六社であり、これは、平成十四年に沖縄県が策定した沖縄県産業振興計画で設定した平成二十三年度末の目標数七十五社と比べ少ないことは、先生のおっしゃるとおりであります。

 しかしながら、県も、特別自由貿易地域に認められました法律上の優遇措置、そして県条例で設けた分譲用地価格の軽減措置等を活用いたしまして企業誘致に努めておりまして、国といたしましても、引き続き県に対する支援を行ってまいりたいと思います。

赤嶺委員 事実関係をちょっと確認したいんですが、分譲済みでお金も支払った企業は何社ですか。これは内閣府事務方でも結構ですから、きちんと答えてください。そして、購入はしていないけれども賃貸用地を十年後には買いますよという条件で借りている企業は何社ですか。これを答弁してくれますか。

原田政府参考人 お答えいたします。

 大臣が御答弁申し上げました六社のうち、売却済みにつきましては四社、一・九ヘクタール、それから、買い取り条件つき貸し付け、一定の年限がたった後買い取るというものが二社、四・三ヘクタールでございます。

赤嶺委員 ですから、大臣、七十五社、企業進出の目標を持って取り組んで、そして今、買った企業は四社、十年後に買いますよということで今土地を借りている企業が二社、わずか六%、七%しか、この二社を入れても七%しか企業は使っていないんですね。

 今、IT津梁パークという話が出ましたが、IT津梁パークというのは特別自由貿易地域の要件にかなっているんですか。むちゃくちゃじゃないですか。

原田政府参考人 IT津梁パークにつきましては、特別自由貿易地域の一画に県が整備を予定しておりますが、特別自由貿易地域の制度は、産業の振興と貿易の振興をあわせ目的とするものでございまして、その特別自由貿易地域の趣旨に必ずしも反するものでございませんし、もともと特別自由貿易地域の中で都市機能用地として予定されておった地域の中に、先ほど申したIT津梁パークを整備する方針となっておるところでございます。

赤嶺委員 大臣、特別自由貿易地域というのはやはりあくまでも貿易なんですよ。産業の振興というぐあいに言っておりますが、このパンフレットでは「世界に開ける日本の南玄関」となっているんですよね。つまり、貿易を主たる企業を進出させて、そしてその貿易を大々的に成功させるために大型港湾をつくろうじゃないかと。その大型港湾をつくるためにはどうしても航路のしゅんせつが必要だから、そのしゅんせつ土砂で泡瀬干潟を埋め立てようじゃないかという、この流れなんですよ。産業の振興だけであれば、本当に港湾が必要かどうかということになるんですよ。

 そういうことになるんですが、ただ、今私が確認したいのは、今のペースでいって土地の分譲の完了の見通しはあるのか。つまり、二〇一一年度、平成二十三年度というのは沖縄振興計画の終了年度であります。それまでにあと何社、企業の進出の見通しがあるんですか。

原田政府参考人 先ほど大臣からの答弁にございましたとおり、県が策定いたしました目標数字は二十三年度末七十五社、現状は、賃貸方式と分譲方式を合わせまして二十六社ということで、大変厳しい状況にはございますが、先ほども答弁いたしましたとおり、国の優遇措置あるいは県の分譲価格についての条例による最高五割までの軽減措置を活用しての誘致活動を県においても積極的に展開しておりますので、私どもとしては、最大限、この県の取り組みを支援してまいりたいというふうに考えております。

赤嶺委員 土地を買った企業は四社しかいないんです。それで、なかなか土地が売れないんで、半分の値段に土地を安くしたんです。それでどのぐらい企業の進出、土地を購入した企業がふえましたか、安くして。

原田政府参考人 県が条例によりまして軽減措置を設けておりますが、まだ日が浅うございますので、現在、その軽減措置も含めて、優遇措置を活用しての誘致活動に努めておるところでございます。

赤嶺委員 土地を五割安くしても、企業は進出してこない。さっきから二十六社、二十六社と言っていますけれども、二十社は、いわば工場の社屋を三億円ぐらいかけて政府が建設してあげて、賃貸工場をつくって、そこに入ってきている企業のことなんですよ。七十五社全部、賃貸工場をつくったら、これは、国の予算、幾らあっても足りないですよ。産業の自立というのであれば、そこにそういう需要があるのかどうかを見ていかなきゃいけない。需要がないから、土地の値段を半分にしたり、社屋の工場をつくったりしている。それでも九割以上の土地は余っている。

 ですから、沖縄県が振興計画の終了年度に向かって事務事業評価シートというのをやっているんですが、特に特別自由貿易地域については「立地が進んでいない現状から、更なる業務拡大を目指す。」「効率性」というところでは、「抜本的な問題があり事業を見直す必要がある」、担当者のコメントとして、「これまでの取り組みにより、沖縄経済特区を積極的にPRし、一定の成果をあげてきたが、まだまだ周知が十分でなく、企業誘致が遅れているため、事業内容を見直し、検討する必要がある。」このように言っているんです。

 私が計算したら、今のペースでいくと、土地の分譲が完了するまで、あと百二十五年です。こういうような開発を安易に、何の検討もしないでそのまま進めていっていいのか、企業は来ないのに大型港湾のしゅんせつは計画どおり進めていっていいのかという問題なんです。

 事業の内容の見直し、検討、振興開発計画の終了年度を目前にした今だからこそ、大臣、それをやるべきだと思いますが、いかがですか。

佐藤国務大臣 今先生からおっしゃられたこと等々、よく精査をさせていただきたいと思いますが、沖縄におきましては、今経済状態、またいろいろな面での雇用の問題等々、大変な状況にございます。この事業を進めることによってそれを解決していくという方針で今後ともやらせていただきたいというふうに思っております。

赤嶺委員 雇用問題というのがあるからこそ、莫大な振興開発資金をかけて、進出してこない企業のための開発は見直すべきなんです。第一、今アメリカ発の金融危機が世界を直撃し、日本の経済を疲弊させている中ですよね。

 特別自由貿易地域という、この制度が本当に成功の見通しがあるかどうかわからない。だから、最近は、特別自由貿易というものじゃなくて、産業の振興も目的にありましたからということで、いろいろな産業を、IT津梁パークとか持ってきているんですよ。そして、事業の根本そのものは見直さない。だから、進出している企業も、海外貿易を専ら仕事としている、そういう企業なんかないですよ。

 専ら、目的に沿って貿易を仕事としている会社はどのぐらい進出しているんですか。

原田政府参考人 県におきましては、特別自由貿易地域に立地した企業数、二十六社でございますが、そのうち十二社を加工交易型企業、すなわち外国及び県外への搬出が大半を占める企業というふうに認識をいたしております。

赤嶺委員 その十二社も危ういんですが、二十六社のうち十四社はそういう海外貿易を専ら目的としない企業なんですよ。だけれども、特別自由貿易地域の減税措置だとか、いろいろな恩恵を受けているわけですよ。

 これだけ企業、来ていない。来ていないのに、皆さんは大型港湾をつくろうとしているわけです。この港湾、もう供用されているバースもありますけれども、これの需要予測、その実績、これは今どうなっていますか。そしてこの地域にあと幾つバースを計画しているんですか。

清水政府参考人 新港地区の港湾の貨物の利用状況等についてお答え申し上げます。

 現在供用されております西埠頭でございますが、計画貨物量約百十万トンに対しまして、平成十九年の直近、約七十七万トンになってございます。対前年、二万トンの増、過去五年間で八万トンの増となっているところでございます。

 また、新港の東埠頭については岸壁の整備を行うこととしてございますが、これは、流通加工港湾として物流の強化、生産基盤の整備を促進するとした港湾計画の方針に基づき整備しているものでございます。

 港湾の埠頭の需要につきましては、港湾計画の際、港湾管理者、県により推計がなされて、また平成十三年度にも調査がなされております。現在整備中が七バースございます。港湾計画の予測値、百二十万トンでございます。これに対しまして、調査結果によりますと、この新港地区の中の特別自由貿易地区、それから特自貿地区以外の一般地区、それからさらには新港地区外の背後地の企業等合わせまして、百十七万トンの需要が見込まれるという調査結果になっているところでございます。

赤嶺委員 西埠頭は、供用が始まっているけれども、百十一万トン、貨物取扱量の目標を置いていた。それが、先ほどの答弁だったら六割ちょっとですよ。まだ余裕があるんですね。だけれども、それ以上の需要が見込まれるということで、企業進出がさっきのようなわずか四社しかない、七十社以上来る予定で百二十万トンの、今より大きい港湾をつくろうとしているんですね。これはむちゃくちゃじゃないですか、大臣。

 まず、現状の企業進出に応じてでもまだ今の港湾は余力があるんですよ、十分に。ですから、新たな港湾建設はいま一つ、いわばしゅんせつ土砂の捨て場で泡瀬干潟に埋め立てるのは、経済的合理性がない。あの泡瀬干潟の土地利用計画も、沖縄市は経済的合理性を理由に撤回いたしました。

 ですから、今、泡瀬干潟の問題を考える上でも、それから特別自由貿易地域の今後の問題を考える上でも、本当に大型港湾建設が必要なのかどうか、土砂をしゅんせつして別のところを埋め立てることが必要なのかどうか。こういうことで一たん見直す、立ちどまって考えてみるということが必要だと思います。

 佐藤大臣は、場所もごらんになったと思います、空き地も見てこられたと思います。この点で、一たん立ちどまって見直すべきだ、考えるべきだということについてはいかがですか。

佐藤国務大臣 新港地区の整備でございますけれども、沖縄の自立的発展の基礎的な整備として沖縄振興計画に位置づけをされておりまして、地元自治体や民間企業からも整備を要請される重要な事業であると認識をしているところでございます。

 なお、今後とも、工事の実施に当たっては、環境に配慮するための環境影響評価書の手続において必要とされた措置を確実に行ってまいりたいと思います。

赤嶺委員 今大臣がおっしゃったのは泡瀬干潟のところだと思うんですが、私が申し上げたのは、振興計画に位置づけられたとはいってもすぐ目の前にその終了年次が近づいています、七十数社の目標に対してまだ四社しか買っていない、もうこれじゃ達成の見通しはない、見通しがないのに港湾だけはつくりますよということで。

 国が港湾をいま一度見直しましょうと言ったら、この公共事業について冷静で真剣な議論が始まるんですよ。ですから、国が港湾についていま一度立ちどまって見直す、このことを求めているんですが、大臣、いかがですか。

佐藤国務大臣 国といたしましては、県、市の事業に協力をしてきたものでありますし、県、市とよくお話し合いをさせていただきながら今後とも振興をしていきたいというふうに思っております。

赤嶺委員 港湾建設としゅんせつは国の事業なんです。国自身が需要の見通しもないのにこんな公共事業を続け続ける、これは決して沖縄振興にはならないということを強く申し上げまして、私の質問を終わります。

藤村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十一分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.