衆議院

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第7号 平成23年3月29日(火曜日)

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平成二十三年三月二十九日(火曜日)

    午後二時五十分開議

 出席委員

   委員長 原口 一博君

   理事 稲見 哲男君 理事 小川 淳也君

   理事 黄川田 徹君 理事 古賀 敬章君

   理事 福田 昭夫君 理事 石田 真敏君

   理事 坂本 哲志君 理事 西  博義君

      石井  章君    石津 政雄君

      内山  晃君    大谷  啓君

      大西 孝典君    逢坂 誠二君

      奥野総一郎君    笠原多見子君

      小室 寿明君    後藤 祐一君

      鈴木 克昌君    高井 崇志君

      中後  淳君    永江 孝子君

      平岡 秀夫君    藤田 憲彦君

      松崎 公昭君    皆吉 稲生君

      湯原 俊二君    赤澤 亮正君

      伊東 良孝君    佐藤  勉君

      橘 慶一郎君    谷川 弥一君

      中谷  元君    松本  純君

      森山  裕君    稲津  久君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      柿澤 未途君

    …………………………………

   議員           石田 真敏君

   議員           坂本 哲志君

   議員           赤澤 亮正君

   議員           西  博義君

   総務大臣         片山 善博君

   総務副大臣        鈴木 克昌君

   総務副大臣        平岡 秀夫君

   総務大臣政務官      内山  晃君

   総務大臣政務官      逢坂 誠二君

   財務大臣政務官      尾立 源幸君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        門山 泰明君

   総務委員会専門員     白井  誠君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十五日

 辞任         補欠選任

  大野 功統君     中谷  元君

同月二十九日

 辞任         補欠選任

  加藤 紘一君     谷川 弥一君

  川崎 二郎君     松本  純君

  谷  公一君     伊東 良孝君

同日

 辞任         補欠選任

  伊東 良孝君     谷  公一君

  谷川 弥一君     加藤 紘一君

  松本  純君     川崎 二郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)

 国民生活等の混乱を回避するための地方税法の一部を改正する法律案(石田真敏君外四名提出、衆法第五号)


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     ――――◇―――――

原口委員長 これより会議を開きます。

 この際、御報告いたします。

 本日、地方財政法第十三条第二項の規定による足利市長外二十八市町村長提出の意見書が内閣を経由して国会に提出され、議長より当委員会に参考送付されましたので、御報告いたします。

     ――――◇―――――

原口委員長 内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房地域力創造審議官門山泰明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤澤亮正君。

赤澤委員 質疑の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 改めまして、三月十一日、東北地方太平洋沖で発生をした東日本巨大地震、津波で亡くなられたすべての皆様に御冥福を心からお祈りするとともに、すべての被災者の皆様にお見舞いを申し上げ、救助、復旧復興に全力を挙げることをすべての委員の皆様とともにお誓い申し上げたいというふうに思います。

 そこで、東日本巨大地震、津波関連の質問から始めさせていただきます。

 通告とちょっと順番を変えさせていただきまして、一問目は、今回の地震、津波は、非常に広域にわたる、被災地域の行政も地方自治機能も根こそぎ破壊してしまうという通常あり得ない次元の災害であった以上、被災地域の行政や地方自治機能を急遽補うために、これまでの通常の災害とは全く異なる対応を総務省が求められているという認識を大臣はお持ちかどうか、伺いたいと思います。

片山国務大臣 これまでと違う点が随分あります。例えば、非常に財政力の低いところを中心に、広範囲に大打撃を受けたというようなこともありますし、それから、幾つかの市町村はほとんど壊滅的なダメージを受けて、本来災害対策は市町村が被災者の救援、生活支援に当たるということでありますけれども、それがなかなか本来の想定どおりいかないので、県や国の果たすべき役割が大変大きい、そういうふうな特徴が今回はあると思います。

赤澤委員 そこで、事実関係として総務行政の責任者である大臣にお伝えをしておきたいと思うのは、現在、総務省本省の対応が少々冷たいという声が割と強い。少なくとも先週の時点で、党の部会などで伺った範囲では、岩手県からの要請に応じて二人の職員を出しただけであると一般的には認識をされております。

 もし災害が起きた場合ということであれば、もちろん各省庁の定員規模が大きく異なっていることは十分承知をしておりますし、事柄の性格上、災害のときに防衛省、警察庁、消防庁、さらには国土交通省などが前面に出るのは当然であります。総務省本省の職員が、大臣以下、現在全力で国難に当たっていること、これも十分理解した上で、しかしながら、先ほど大臣と認識を共有させていただいたように、今回の地震、津波は本当に特別なものであります。非常に広域にわたって被災地域の行政も地方自治機能も根こそぎ破壊してしまった。通常あり得ない次元の災害であるということです。被災地域の行政や地方自治機能を急遽補うために、これまでの災害とは全く異なる次元の対応をぜひ総務省にしていただきたいと思うんです。

 正直申し上げて、いろいろな御説明を聞いていると、被災地域の自治体から要請があれば手伝うというこれまでの通常の災害の対応では全く不十分ではなかろうか。ある声としては、総務大臣からの要請で被災地域以外の各都道府県に人数を割り振って、応援の人員を出してもらったらどうかというような声まであります。

 繰り返しますけれども、大臣以下、総務省が全力で国難に立ち向かっていること、これは理解をしているつもりでありますが、さはさりながら、通常の災害をはるかに超える対応を求められている。その総務省のトップとして、被災地域の行政機能を人員の派遣などによりできる限り直接的に補うという観点から、これまで以上に何か踏み出せないでしょうか、その点を大臣にお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 実は、これまでとは違った対応をもうとっております。例えば、今次の災害では、発生した直後に、私と全国知事会の麻生会長それから全国市長会の森会長とそれぞれ相談をしまして、総務省があっせんをしながら、知事会が都道府県の職員に求められる人材をできるだけ供給していただく、それから、現場の市町村はやはり同種の仕事をした経験のある職員を求めておりますので、市長会さらには町村会を通じて職員の派遣を求める、そういうこともやっております。

 それから、先ほど、総務省から岩手県に二人職員を派遣しているという言及がありましたけれども、それはもちろんやっておりますが、それ以外に、総務省の職員自体を現場の被災地に派遣するということもやっております。

 さらには、これは総務省だけではありませんで、各省にお願いをしまして、現在、延べで二百五十人ぐらいになると思いますけれども、必要に応じて国家公務員の派遣もやっておりまして、これの窓口も、国家公務員を所管しているということで、総務省がやっております。

 これは、私も鳥取県で知事をやっておりましたときに、被災県の知事として中央政府からいろいろな協力を求めましたけれども、そのときとはかなり異なって、政府が自治体の職員の派遣のあっせんでありますとか、みずからの公務員の派遣などをやっていると私は思っております。

赤澤委員 今、二百数十名国家公務員の派遣という話がありました。国土交通省に聞くと、延べで四千人近く派遣をし、TEC―FORCEと言われる人たちが常時二百数十名いるということなので、おっしゃった大部分が国土交通省関係なのかなとちょっと推察をいたしますし、避難所が全部で千九百カ所あると承知をしています。なので、私のところに入っている情報がとてもすべてとは言えませんし、うまくいっているところ、悪いところがあることは承知の上で申し上げますが、市町村の職員の顔が見えない、大変不安だという声が避難所から寄せられていることはやはり事実としてございます。

 ということでありますから、ぜひ大臣には引き続き、人的に直接お世話ができる、避難所の方たちも含めお世話ができる、これから一時避難をさらにしていただくような上でも、役所の人たちがやはり顔を見せる、行政機能がきちっと働くということは、きめ細かいサービスをするにはどうしても必要でございますので、さらにさらに努力を重ねていただきたいというお願いをさせていただきます。

 加えて、時間がない中ですので、きょうは、十分な議論というよりは、先ほどちょっと立ち話で大臣にもお話ししましたが、問題提起で終わるようなものがあるかと思います。

 以後、ざっとお伺いをしたいのは、一つは緊急にやるべき税制上の対応ですね。

 それから、その次に出てくるものは、救助とか復旧と比べてむしろ中長期的に見てやっていかなければならない復興に際して、どういった形で税制上の措置といったようなものを考えていくのか。

 さらには、それ以外にもいろいろと、通常の税の関係でぜひ検討していただかなきゃならないものがあります。四月に社会保障の全体像を示し、そしてその財源も含めて六月には方向性と年頭所感でも菅総理がおっしゃった話について、とてもスケジュールどおりにいかないんじゃないか。リスケジュールするとすれば、大体いつごろそのめどが出るんだという話もございます。

 それから、当委員会できょう採決が予定されているようでありますが、つなぎ法案、三カ月間つなぐわけでありますけれども、今のところ、与野党で、税についての見方は全く異なっております。この三カ月の間に何も変えないままでは、全く成立の見込みは立たないと思います。どういう見通しを持って、どういう見直しをされていくのか、その辺も答えを出していかなければなりません。

 ざっと四つのことを今申し上げましたが、これを本当に丁寧に議論していかないと、充実した議論が国会でなかなかできないということだと思います。

 問題提起は、通常とちょっとパターンを変えまして、今既にさせていただきました。時間のある範囲で順番に伺っていきたいと思います。

 緊急措置ということでございます。

 被災者救済のための地方税の減免は当然考えていかなければならない。減免以外にも期限の延長、徴収の猶予、そして減免といったことを緊急に行う必要がございます。

 例えば、地方公共団体の主要な税収源となっております住民税それから固定資産税について、昨年の所得を基礎に本年の六月以降にお払いいただく住民税についても、あるいは元旦時点で評価して四月以降に払う固定資産税についても、当然のことながら大幅な減免を行わなければなりません。

 住民税については、伺うところ、所得税の方でさかのぼって雑損控除をすれば自動的に所得が大分減るので、その点でかなりの減免になるというような措置も考えておられるようですが、それについても地方税としてマッチをしていくということが必要なのかな。

 また、深刻なのは、固定資産税についても、家が丸ごと、土台以外流されている、あるいは自動車が流されているということであれば自動車税、軽自動車税の減免等も当然検討しなければなりませんし、さらには事業を休止した場合の資産割に係る事業所税、あるいは被災事業所用家屋にかえて新しくもう一回やり直そうということで新増設した場合の事業所税の減免措置、こういったようなものも検討していく必要があります。

 今申し上げたすべての事項について対応するのは当然として、それ以外の事項も含めて、被災地域の自治体や被災者の皆様のために緊急に講じる必要がある地方税制上の措置はどのようなものがあって、検討、進捗状況、あるいは時期的な見通しも含めて、大臣はどのようにお考えかを教えていただきたいと思います。

片山国務大臣 三月十一日に地震が発生いたしまして、年度が四月から始まりますから、早急に対応しなければならない課題が幾つかあります。

 お触れになったことも含めて申し上げますと、まずは、例えば納期限の特例、期限の延長をする必要があるものもありますし、それから減免ということもあります。

 住民税については、前年の所得に課税をしますので、前年所得があって、しかし被災をして、今年度、そのままほっておきますと前年の所得に見合う住民税の課税が始まるということで、これも何らかの措置を講じなければいけない。そのために雑損控除の特例というものを、本来の特例とは違って、二十三年度分の住民税の課税に雑損控除を前倒しで適用する、こういうことも技術上の問題も含めてやらなきゃいけないというようなことがあります。

 実は、減免でかなりの部分は対応できるんですけれども、減免をしますと幾つか問題がありまして、一つは市町村がまちまちになる可能性があるということと、もう一つは、減免をしますと財政面では市町村の持ち出しになってしまいまして、市町村の財政上、歳入に大きな穴があくということになります。したがって、これは、法律でもって必要なものは一定のルールを決めなければいけないと思います。

 特に、今問題になりますのは、固定資産税というのが市町村の大きな税収になるのですけれども、一月一日の現況で四月から課税をするということになりますので、一月一日はちゃんと家が建っていて、そこで課税をするということに法律上はなってしまいますので、これを何とかしなきゃいけない。

 特に、家屋がなくなって課税することに対する不合理さといいますか、納税者の皆さんの感情も考慮しなきゃいけませんし、もう一つは、今、固定資産税は住宅用地について大幅な特例を設けているのですけれども、家が滅失をしますと底地の住宅用地の固定資産税が六倍になってしまう、実はこういう問題が法律上あるわけです。阪神・淡路のときも六倍にならないようにしたのですけれども、そういうことは急いでやらなきゃいけない。

 そんなことも含めて、なるべく早い段階で今回の震災に対応するための地方税法の特例などを講じなければいけないと考えております。

赤澤委員 災害救助法の枠組みでも、結局、被災者を受け入れる自治体とかに負担が生じかねないということで、結論はなかなか物が動かないと現に言われているところで、税の問題についても、今大臣からいろいろな御指摘をいただいて、県、市町村の持ち出しがあるとなかなかうまく動かない事態、あるいは非常に不安を生じる事態というのがあると思いますので、ぜひおっしゃった方向で手厚く県や市町村の財政を支えていただきたい、強くお願いをしておきます。

 二番目に予告させていただきました問題ですけれども、中長期的な被災地域の復興のためにどのような地方税制上の措置を講じるつもりか。既に聞こえてくる議論では、震災復興の財源捻出のために消費税率を一%上げてはどうだなんという声もございます。

 検討の余地のある骨太な選択肢の例を幾つか挙げて、被災地域と被災者の皆様を大臣に励ましていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

片山国務大臣 これは税制でももちろん考えなきゃいけない問題で、その際には、これまで議論してきました社会保障と税の一体改革の関連も出てくると思います。

 その他、被災地の自治体に対する財政措置としては、税制ももちろんありますけれども、むしろ当面は財政措置の方をいかに充実するかということが重要なのではないかと私は思います。

 それからもう一つ、税制でいいますと、これから被災地の復興が重要になってまいります。これまでの産業集積がほとんど壊滅的に打撃を受けたりしておりますので、そこに従来の産業が戻ってくるような誘導措置でありますとか、さらには、今までとは違った産業が芽生えるような、そういう政策をとらなければいけないのだろうと思います。

 これは、税が先行するというよりも、そういう被災地の復興、それから地域振興という観点で政策が形成されて、それに国税や地方税がついていく、こういう仕組みになるのだろうと思いますけれども、そんな面でも、税制が期待される面はかなり大きいのではないかと私は思っております。

赤澤委員 おっしゃっていることに異論はありませんので、しっかりと予算措置をし、そして税も追いかける形で対応していただきたいと思います。

 次に、三つ目に予告をさせていただきました話ですけれども、社会保障とその財源の問題ですね。全体像を四月、そして財源も含めて方向性を六月にと言っていたものは、非常に厳しいだろうというふうに思います。

 その点で、東日本巨大地震、津波の影響で、リスケジュールを行わざるを得ないんじゃないかと思いますけれども、いつごろ見通しを示すことができますでしょうか。

片山国務大臣 これは、むしろ所管の大臣の方からきちっと御答弁申し上げた方がいいと思います。もちろん私、総務大臣も社会保障と税の一体改革の中の一員に入っておりますけれども、中心としては与謝野国務大臣がやられておられますので、その方針、大きな大災害をけみした今日、どういう段取りでこれから進めていくのかということについては、政府内でもよく相談をしたいと思いますけれども、そちらの方からきちっとした見通しを聞いていただいた方がいいと思います。

赤澤委員 おっしゃるとおりなんですが、見通しとして、これは見直しが必要である、時期的に四月、六月ということではなかなかいかないという感触を大臣が持っておられることは間違いがないですね。わかりました。うなずいていただきましたので、それはそれでよしといたします。

 そして、どうしてもこの点を申し上げておかなきゃいけないのは、通例であれば予算と一体的に、しかも一括審議するべき公害財特法案それから地方交付税法案、地方税法案、すべて今回ばらばらの審議になりました。私どもとしては、これはひとえに政府・与党の国会対策の稚拙さのためであるというふうに考えております。この予算と関連法案の切り離しはまことに遺憾であります。

 与野党国対委員長会談において与党側から予算と関連法案の審議を切り離したいという方針が示されたのは、二月二十五日です。ということですから、この件は、このたびの地震、津波とは全く関係がありません。その後、関連法案についてもまともな審議スケジュールが組めずに、公害財特法案は三月八日に質疑、採決をいたしました。地方交付税法案は三月十日に質疑をし、二十二日に質疑、採決。ばらばらに審議し、とうとう残った地方税法案の審議の前にNHKの予算の提案理由説明、質疑、採決を行わざるを得なくなった。極めて醜態であるというふうに思います。

 このままいけば、本日、地方税法案本体については、わずか一時間の質疑を行っただけで、採決もしないまま、野党側が用意した三カ月の地方税のつなぎ法案が登場いたします。その結果、参院では、本体の法案は送付されませんので、地方税法案本体の審議は一切できないまま、つなぎ法案への対応を迫られる、こういうことであります。

 閣法の地方税法案が提出されていながら、それについて、採決はおろか、ほとんど審議しないまま与党側からつなぎ法案が出されるということはあり得ないとの判断で野党側がつなぎ法案を提出することとしたものでございまして、本当に異常な事態、重ねて遺憾であると言わざるを得ません。

 大臣に伺いたいのは、閣法として提出した地方税法案本体についてほとんど、全くと言っていいほど審議が行われず、このような経緯でつなぎ法案が登場せざるを得ない事態、これについて好ましいと考えておられますか。

片山国務大臣 政府の一員として、この地方税法改正法案を提出した者としては、非常に残念であります。できれば早期に審議をしていただいて、震災が今回ありましたけれども、通常であれば四月から自治体の本来の課税行為が始まりますので、それに十分な時間的余裕を持って成立をさせていただくのが一番望ましかったと思います。ただ、今次の国会運営の中でこういう取り扱いになったことについては、政府の一員として、私はやむを得ないものと考えております。

赤澤委員 残念であるという言葉もありましたので、好ましくはないと思っておられるけれども、今の事態はやむを得ないということだと思います。

 最後に、もう一つだけ伺いたかったのは、三カ月のつなぎ期間、この間、どのような見直しをされるつもりなのか。今の案のままでは、私どもは本当に、考え方が違う、受け入れがたいというふうに考えております。

 時間の関係で細かくお話はしませんが、大臣は十分御理解と思います。この三カ月間、どのような方針でどういう見直しをされるのかを伺って、私の質問を終わりたいと思います。

片山国務大臣 大変大きな地震もありまして、これから復旧復興に努めなければいけないわけでありまして、その間には大変巨額の財源を必要といたします。その財源の調達をどうするかというのは大変大きな課題でありまして、先ほど参議院の予算委員会でもこの問題が議論されました。その財源確保についてはあらゆる可能性を排除しないで検討に臨みたいというのが総理、財務大臣の見解でありまして、国税も地方税も、今、赤澤議員がおっしゃったような道行きになりましたならば、その一環として検討しなければいけないと思っております。

赤澤委員 これで終わりますが、今後とも総力を挙げて、与野党協力をして対応していきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

原口委員長 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 初めに、東日本大震災におきましてお亡くなりになりました皆さん方に心よりお悔やみを申し上げるとともに、被災された皆さんには心からのお見舞いを申し上げたいと思います。

 特に、最近は、原子力発電所による災害も深刻さを増し、また新たな避難、それから電力の問題、農業を初め各方面にいわば二次災害とでもいうべき課題ができておりますし、ますますこの復興また震災対策に御尽力をいただきたいと思います。

 初めに、我が党の山口代表は国会議員の歳費三割カットを提案いたしまして、きのう、民主、自民、公明の三党の幹事長会談において、半年間、一人三百万円の歳費を削減し、それを復興に充てるということが合意されて、きょうは、大体各党に、皆さん御理解をいただいたようにお聞きをしております。

 さて、当委員会で昨年末、公務員の人事院勧告に関する議論がありまして、その際に大臣から、国家公務員等の給与のいわゆる深掘りをどうするかということの御答弁がございました。今検討されているというふうに思いますが、この深掘りしたものをどう扱うかという問題があるだろうと私は思っております。

 国家公務員だけでも給与総額は、平成二十三年度、三兆七千六百四十二億円という額になります。今回のこの大震災という非常事態を、オール・ジャパンで、国民一丸となって乗り越えるために、国家公務員や独立行政法人等の職員の皆さんにも協力をいただいて、給与カット分を復興財源に充てるという考え方はあり得るのだろうか、私はそういう感覚を持っておりまして、これについて総務大臣の見解をお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 議員もお触れになられましたように、既に昨年の十一月一日に、当時の人事院勧告の処理をめぐって、今後いわゆる給与の深掘りをする、必要な法案を今通常国会、この通常国会ですけれども、それに出すということを決めておりまして、その方針のもとに必要な作業とか調整とか意見交換などを行ってきているところであります。今次の災害を経ましても、その方針に変更はありません。

 ただ、深掘りが成立したとした場合の財源というものをどういうふうに持っていくのかということは、大きな地震があり、その復興のために巨額の経費が必要だという事情になりましたので、今後の補正予算でありますとか今後の財政運営の中で決められるべきものと思いますから、そういう面での多少の事情の変更というのはあるかもしれませんけれども、公務員の給与を深掘りするという昨年来の方針には変わりがないということであります。

西委員 だからといって、さらに深掘りをするということではなくて、やはり思いとして、皆さん方がそういうふうに理解をしていただいた方がすとんと落ちやすいんじゃないかという意味で私は申し上げたつもりでございます。

 次に、税制臨時特例法案についてでございます。

 政府は、東日本大震災による被災者の支援や復興に向けての税制それから金融面での特別措置を講じる、こういうふうに報道されております。税制の特別措置としては、復旧が困難な住宅や工場など建物の固定資産税を非課税にする、こんな方向というふうに言われておりますが、どのような内容を検討しているのかということをお尋ねしたいと思います。

 土地や建物以外にも、償却資産があります。例えば、既に多くの漁船も被害を受けており、また報道では、固定資産税の非課税や減免ではなくて、所得税の必要経費に算入をするということを聞いております。事務所それから漁船、農機具等の扱いについて、どういう措置を考えておられるのか、説明をいただきたいと思います。また、他の償却資産の取り扱いについてもあわせて御説明をお願いいたします。副大臣ですか。お願いします。

鈴木(克)副大臣 御答弁させていただきます。

 阪神・淡路大震災を初め大災害において、過去、被災資産の代替資産を取得した場合に固定資産税を軽減する等の特例措置を行ってまいってきたというのは御案内のとおりでございます。

 今御指摘の漁船や農機具等につきましても、やはり今回の地震の被害が甚大であり、しかも非常に広大なところが被災を受けておる、そういったことも考えまして、今後、どのような軽減措置が可能かしっかりと検討してまいりたい、このように思っておるところでございます。

西委員 まだ具体的な方針が示されていないという印象を受けましたけれども、阪神・淡路と大きく違うのは、やはり津波の被害が大きかった。そういう意味では、漁船だとか農機具というものの被害は阪神・淡路の場合には比較的少なかったと思いますが、そういう特徴をいかに税制の面で今度新しく追加をし、万全の制度をつくり上げていくかということにぜひ力を入れていただきたい、このように思います。

 続きまして、会計の期間についてお伺いをいたします。

 片山大臣は、新聞のインタビューで、「自治の基本は税。税率を決める場所は議会だが、国が事実上決めている。仕事(住民サービス)を増やして税率を上げるか、下げるために仕事を減らすかを決める議会のメカニズムが全然働いていない」、こういうふうにはっきりとお述べになっております。

 これは地方議会だけに責任があるわけではなくて、年度末ぎりぎりで国の法律が改正され、地方議会が議論する時間的な余裕がない、こういう現実があります。その結果、やむなくといいますか、時間的な問題で専決処分でそのことが行われていくという状況もあるというふうに思います。この問題について総務大臣はどのような意見をお持ちなのかということをお聞きしたいと思います。

 政府の予算編成や税制改正の決定のあり方を踏まえると、地方税の改正時期だけを変更するのは簡単ではないというふうに思います。例えば、国の会計期間を変更しまして、暦年、つまり年末で締めて年頭からというふうに暦年に変更するという方法、そうしますと少し時間的なずれといいますか余裕が出てくるというふうなことも考えられます。

 この会計期間の変更について、総務大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 議員が御提案になられましたように、国の会計期間の方が自治体の会計期間よりも三カ月早く始まり早く終わるということがもしできましたならば、今おっしゃったように、地方税の問題の一部といいますか、部分的には解消されることになるとは思います。

 ただ、一方では、国と自治体の会計年度が異なるということによって、例えば補助金でありますとか交付税でありますとか、恐らくいろいろな非常にややこしい調整をしなければいけなくなるのではないかというようなことがちょっと予想されます。

 税の問題でいいますと、私は、これは国会の方ができれば一年前に、もう前の年に必要なことを決めていただければ、地方自治体の課税にはほとんど支障がないことになります。実は、現在かなりそうなっておりまして、私が知事をやっておりましたときにそのことを総務省に随分訴えまして、ぎりぎりで改正するというのは最近非常に少なくなっております。余裕を持って改正するということがかなりふえておりまして、これは非常に結構なことだと思います。

 ただ、もう一つは、せっかく余裕があっても、今度は自治体が決める余地がない。ほとんど国が決めてしまって、自治体が議論をして選択したり決定したりする余地がない、そういう面もありますので、これは今後の問題として、自治体が税制をある程度、先ほどおっしゃった税率の上げ下げも含めて、税制を企画、実施できるような、そういう柔軟なといいますか、分権型の地方税制度にする必要があるのではないかと思っております。

西委員 終了時間になりましたけれども、私の申し上げたいのも、大臣は一年というふうにおっしゃいましたけれども、やはり地方分権の時代にじっくりとそれぞれの自治体で議論する余裕を持たないといけないし、また、余り長いとまたこんな特別の事情がそれぞれの自治体に、災害だとかさまざまな問題が生じる、余り長過ぎると中途半端なことになってしまうということの危惧の末に、三カ月というふうに提案をさせていただきました。またさまざまな御議論をお願いしたいと思います。

 以上で終わります。

原口委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 東日本大震災の被災者の方々に心からのお悔やみとお見舞いを申し上げます。関係者の皆さんの御努力に敬意を表するとともに、被災者生活再建支援、復旧復興のために、私どもも全力を挙げることを改めて決意するものであります。

 福島県では、地震、津波とともに原発事故によって多くの住民が避難をし、双葉郡の八町村は役場機能を丸ごと移転することになりました。政府は、福島原発二十キロ圏内の住民には避難指示、そして二十キロから三十キロ圏内の屋内退避指示の住民に自主避難を要請しております。

 そこで、総務省に確認をいたしますが、この福島原発避難指示二十キロ圏内には何人が居住をしていたのか。屋内退避のエリアを加えた三十キロ圏内には何人が居住をしていたのか。その三十キロ圏内の住民で、三十キロ圏外に避難したのは何人か。また、今回の大震災による避難者総数は何人で、うち福島県の避難者は何人か。この点についてお答えください。

門山政府参考人 お答えいたします。

 福島県に確認いたしましたところ、原発周辺二十キロ圏内の住民の数でございますが、七万人から八万人でございまして、これを含めた三十キロ圏内の住民数は二十一万ないし二十二万人であるとのことでございます。なお、このうち、このエリアの外に避難された住民の方の数については不明でございます。

 次に、今回の大震災によります避難者の総数でありますが、三月二十八日十九時の時点で消防庁において把握しているところでは、二十一万六千四百二十五人であります。また、福島県内で避難が完了しておられる方の数ですが、八万九千三十三人でありまして、そのうち、県内の避難所に入っておられる方の数は三万六百三十人と承知いたしております。

塩川委員 三十キロ圏内には二十一万から二十二万人の方がお住まいであるのに、そのエリア内の避難者数は不明ということであります。

 福島県が市町村を通じて把握をしている避難者数は八万九千三十三人、約九万人の方でありますが、この中には三十キロ圏外の避難者の方も当然含まれているわけで、福島県に私の方からも確認をいたしましたら、実態的には三十キロ圏内には住民はほとんどいないと思われるが、確認しようがない、報道では一万人以上などと言われているとのことでありました。つまり、二十一万人から二十二万人が居住していたのに、避難を把握しているのは九万人ぐらい。そうすると、現状、十万人以上の県民の行き先を自治体が把握できていないということになるわけであります。

 多くの方は、首都圏を初め全国の親族やあるいは知人の方を頼っての避難となっているのではないでしょうか。私は埼玉の所沢ですが、すぐそばにあります老人の憩いの家に福島からの避難者の方がいらっしゃっておりますし、御近所でも、娘のところにそれこそ転がり込むようにやってきた御両親もいらっしゃる、こういう状況にあるわけであります。こういった避難者の方には地元自治体の情報も支援も届かないという状況にあるわけであります。

 そこで、大臣にお尋ねしますけれども、こういった原発事故による避難者の実態というのは一体だれが把握をすることになっているのか。また、避難者数を正確に把握できないのでは、そもそも適切な対策もとることができないのではないのか。この点について大臣のお考えをお聞かせください。

片山国務大臣 これは基本的には、原子力の災害防止に関する政策の一環として国、その場合の国は経済産業省でありますけれども、国と県とが避難についての計画なども事前に定めて、こういう流れだろうと思います。今回、そこが必ずしもうまくワークしていなかったということだと思います。

 二十キロの範囲内にあります役場は移転をしておりまして、役場が本来、市町村の住民の皆さんの把握ということではその役割を果たすことになりますけれども、役場そのものが移転をされて、しかも、役場とともに移転した住民の皆さんも全部ではなくて一部でありまして、多くの皆さんは役場と連絡がとれないまま、とらないままいろいろなところに行かれている、こんな窮状であります。

 総務省として、まことに気の毒な町村、今八つ移転されておりますけれども、ここと連絡をとりまして、直接職員が伺ったり、また副大臣が伺ったり、また連絡をとったりしておりまして、そこからいろいろな要望を聞き取って、総務省はもとよりでありますけれども、政府各省で解決すべき課題として受けとめております。

 その中で一つ出てまいりましたのは、散り散りといいますか、役場とともに避難をされている住民の皆さんはもちろん把握されておられますけれども、そうでない皆さん方との連絡がとれていないので、連絡がとれると合流されたりするわけですけれども、いずれにしても、ちゃんと把握をしたいので、どの役場は今どこに移転をしているのか、避難しているのかということをよく広報していただきたいということもありまして、それを今やろうとしております。

 といいますのは、さいたまのアリーナに移転をされたのが双葉町でありますけれども、これがニュースになりましたら、いろいろな連絡が各地から、その住民の皆さんから来たということもありまして、報道されていないところはなかなか連絡もとれないということなので、ぜひこれは政府の広報として、その事情を関係の皆さんに伝わるようにしたい。こういう要請も受けたりしておりまして、今、これらの該当の町村の課題について総務省としても取り組んでいるところであります。

塩川委員 冒頭、大臣の方で、経産省、国と県の間で避難計画を事前に定めている、それがワークしていないということですけれども、実際、原子力災害対策特別措置法に基づく防災計画の原子力災害対策編においては、避難も含めた対策を持つエリアそのものが十キロ圏の範囲なんですよ。二十キロ、三十キロというのはそもそも想定外の事態ですから、国も県もこういう避難計画はそもそも持っていないんです。そういう事態に対してどう対応するのかということが今問われている。

 そういう意味でも、住民の皆さんに対するしっかりとした支援策をどう国が保障していくのかということが求められているところであります。自主避難者の避難先の把握など、すべての被災者を視野に入れた支援が必要で、特に、公的住宅とか民間アパートの借り上げを含めた、自主避難を含む、原発事故による避難者に対する居住場所の確保にぜひとも全力を挙げていただきたいと思いますし、非常に多くの原発事故の避難者の方が短期間では地元に戻れない可能性が高いわけですから、情報提供とか居住場所の確保など、実態にかみ合った支援が強く求められているわけです。

 住民福祉の機関としての自治体の機能確保のため、役場機能移転自治体を初めとした被災自治体への支援が欠かせないということを改めて申し上げておくものであります。

 残りの時間で一点、震災に伴う地方税の軽減措置について、固定資産税に関係してお尋ねをいたします。

 先ほどの質問の中でも、固定資産税に関して、震災により住宅が滅失、損壊した場合には、従前住宅用地であった土地を住宅用地とみなす特例措置があるわけですが、こういうものをしっかり行うと同時に、新たな措置も必要なわけです。

 今回の震災では広範囲に地盤沈下が起こりました。最大で七十五センチ下がった。東日本の太平洋側沿岸で地盤沈下があって、結局、土地として供するような状況にない、宅地に使用できないような状況の土地も現に生まれております。そういった地盤沈下で水没したような土地に対しての、固定資産税の非課税も含めた軽減措置というのが必要ではないか。

 また、茨城とか千葉を含めて、液状化による被害も大変深刻でありまして、家が傾き、配管が損傷するなどの、住み続けることが困難な家屋の状況になっている。土地、地盤そのものが大きな被害を受けているわけですから、こういった地盤沈下及び液状化による地盤被害は深刻でありますので、固定資産税の非課税措置も含めた軽減対策が必要だと考えますが、その点についてのお考えをお聞かせください。

片山国務大臣 土地が滅失をしたり、水をかぶってしまって土地として使えなくなってしまうとか、それから、液状化も含めて大きな損壊を土地自体が受けるというようなこと、これはあります。それをどうするのかといいますのは、一般的には、そんなに面的な広がりがない場合であれば個別の減免でいいと思います。天災等による減免というのはあります。そうこうしますと三年に一度の固定資産税の評価がえがありますので、そのときにきちっと整理されるということになります。

 しかし、今回のように、例えば山手線の内の数倍にわたる土地が水浸しになってしまうというようなことになりますと、個別の減免ということでは恐らく対応がなかなか難しいだろうと思います。それは、先ほどもちょっと触れましたように、個別の減免というのは財政面では地元の自治体の持ち出しになりますので、それはきついだろうと思いますので、やはり持ち出しにならないような法的な手当てを何らかの形でしなければいけないのではないかと私は今考えているところであります。

塩川委員 被災者支援のために思い切った対応が必要だということを申し上げます。

 最後に、自民、公明提出の地方税のつなぎ法案につきましては、私ども、都市再生法関連の不動産取得税の軽減、スーパー港湾において事業者が取得する建屋に対する固定資産税軽減など、担税力のある大企業に対する減税措置等が含まれており、反対であります。

 被災者に対する地方税軽減措置こそ行うべきだ、このことを述べて、質問を終わります。

原口委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 質問に入ります前に、今回の地震、津波、そして原発事故に遭われた多くの皆さんに心からお見舞いを申し上げますとともに、これの原因究明等々について遺漏なきよう、徹底的な調査検討が求められている、そのことをまず政府に求めておきたいと思います。

 そこで、きょうはこの事案に関連をした質問に絞って行います。

 まず、今回の震災に関連してお尋ねいたしますけれども、今回の地震、津波で多くの方が財産を失いました。同時に、今後の仕事についても目途が立たない状態に置かれております。また原発事故では、家屋などは残っておりますが、退避が行われております。いつ家に帰れるようになるのか、全く予断を許さない状況が続いているわけです。この場合、こうした方々の住民税あるいは固定資産税をどのように取り扱っていく考えなのか、まずそれを聞きます。

 同時に、被災した自治体によっては、必要な書類などが流失して残っていない、こういう現実もございます。その場合、どのような対応が検討されているのか、この点についてまずお伺いをいたします。

片山国務大臣 今般の地震、津波災害で家財を失った、家屋敷を失った、財産を失った方々、それから、家、財産は失ってはいませんけれども、原発災害によって、もはやそこに今住むことができなくなって避難を余儀なくされている方々、これらの方々は、本当にお気の毒でありまして、これについては、本来でありましたら租税債権が発生する場合であっても、これに何らかの軽減措置が必要だと思います。

 これについては、当面、とりあえずは、地方税法の中に減免の規定がありますので、これを発動することが自治体の判断によってできます。差し当たって、早急にそういう判断を迫られるケースがありますので、既に三月十四日、さらに、念のために二十八日にもう一度、これらの地方税の仕組みについて、さらにはそれを発動した場合の財政面での措置などについて、ある程度詳しく自治体には通知をしているところであります。

 ただ、先ほど来私も何度か申し上げましたけれども、この減免というのは、やはり建前上は自治体がみずからの判断で、任意で行うという軽減措置でありますので、それは地方交付税制度との関連でいいますといわゆる持ち出しになってしまうわけでありまして、今次のように非常に大規模な災害の際に、なかなかそれには自治体の財政が耐えられないだろうということもあります。

 したがって、これについて持ち出しでなくなるように法的な措置、地方税法上の特例措置を設けるということか、あるいは減免などの軽減措置をするにしても、それは、きちっとした形で財源の手当てをするということを明確化しなければいけないだろうと思っておりますので、これから地方税法の改正をまた災害関連で提案することになると思いますけれども、その中で、それらについては早急に検討して措置をしたいと思っております。

 それから二つ目の、自治体が大きく被災をしまして、課税情報などがなくなってしまったというところが現にあります。住民基本台帳の情報がなくなってしまった、それから固定資産税の課税台帳がなくなってしまったというところがありまして、これの復旧を急がなければいけない。でも、これは完全に復旧できるかどうかわかりません。

 いろいろな可能性を今探っておりまして、場合によっては、部分的に県の方にあるという情報もあります。例えば住民基本台帳などは、いわゆる四情報と言われる基本的な情報は県のネットワークの中に入っておりますので回復可能でありますけれども、それ以外の情報は県にはありませんので、さて、これをどうするのかという問題。

 それから固定資産税の課税台帳に関していいますと、基本的な事項は登記簿から持ってきておりますので、登記簿の情報である程度修復できますけれども、それに対して課税する場合の評価額がどうかとか、それから課税標準額、これが非常に重要なんですけれども、前年度の課税標準額がどうかというような情報は登記簿からはひもとけませんので、これがデータを処理する企業などにあれば非常にいいんですけれども、そういうものがない場合に、それすらも失われている場合にどうするかという問題もあります。

 これは市町村が、県の協力を得てできる限り早く、可能な範囲内での復旧をしていただきたいと今考えておりますし、国もこれに対して協力できることは全面的に協力したいと思っております。

重野委員 次に、現年課税への移行について通告しておりましたけれども、もう時間もありませんので、それは取りやめて、法人税の引き下げ問題について質問いたします。

 今回の改正案で法人税減税が盛り込まれております。我が党は、この法人税減税については一貫して反対してまいりました。

 法人税率を下げれば企業は国内に残り、雇用に回るという説明があるわけですが、そういう主張に対して、日経連の対応というのはにべもないというか、そういう反応であります。そして、今回の地震、被災者の生活支援、復旧復興に向けて、相当の額の財政出動が必要になってくる。そうした中で法人税を下げるということは、ますます納得いかない方向に進行するのではないか。大企業が負担を免れるというのはなかなか納得できないことになっていくのではないかということを懸念いたします。

 日本の法人税率が高いということがしばしば論拠として挙げられておりますけれども、社会保険の事業主負担なども含めれば、日本の企業負担は国際的に見て決して高いわけではないという説もある。

 こうした点について、今回の大震災というものを受けた我が国、我が政府として、この問題についてどういうふうにとらえて、あるいは考えておられるか、その点を聞かせてください。

尾立大臣政務官 まず、私からも、被災者の皆様に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。

 その上で、御質問の件でございますが、今回の震災につきましては、現在、各府省庁におきまして、迅速に対応が必要な支援に全力を挙げるとともに、また現況の状況把握というものに一生懸命努めておるところでございます。この現況把握を受けて必要な対策が打たれるわけでございますけれども、その際、補正予算を編成し、もちろんそのときにその財源というものが議論されることになってこようかと思います。その際には、御指摘の法人税減税の可否というようなことも含めて、これは与野党の皆さんの議論の中で、歳入歳出、あらゆる面から御議論をいただけるものと思っております。

 そしてもう一点、負担のお話もございましたので、お答えさせていただきます。

 法人課税のあり方につきましては、法人実効税率の国際比較というもの、また、御指摘をいただきましたように、法人所得の課税負担にさらに社会保険料の事業主負担を合わせて見た国際比較というようなものもございます。いずれにしましても、我が国の経済や財政状況を勘案して、総合的にこの負担率については検討していくものだと考えております。

 以上です。

重野委員 以上で終わりますけれども、この問題については、多くの皆さんが非常に注目をしているパートでもございますので、そこのところはしっかり慎重に考慮し、しかるべき結論を出していただきたい、そのことを要望しまして、私の質問を終わります。

原口委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 今回の震災に当たって、犠牲になった多くの皆さん、本当にお悔やみを申し上げると同時に、今も被災地で生活を送っている皆さんの本当に御不便な、また厳しい中での生活にお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 そして、私たちも政治を預かる者として、そうした皆さんの生活が一日も早くよい方向に向かい、そして地域全体が復興に向けて動き出すことを全面的にバックアップしていかなければならない、そうした思いで、きょうは十分間の質問をさせていただきたいというふうに思います。

 最初に、他の議員の皆さんの質問で、税の減免措置のお話がありました。これについて御質問をしたいというふうに思います。

 阪神・淡路大震災が発生をして一番最初に行われた特別立法というのは何だったかというと、これは地方税法の一部を改正する法律案なんですね。まさに地方税法において、先ほどお話の出た住宅、家財の損失額を雑損控除の対象とする地方税法の改正案が、ちょうど震災から一カ月後の二月十七日に可決、成立を見ているということであります。

 今回、三月十一日に震災が発生をし、これはもう年度末、ちょうどそうした申告時期にこうした震災が襲うということになりました。内容については先ほど片山大臣からもお話がありましたので省きたいと思いますけれども、大変規模の大きい震災であった。それだけに、年度末という時期のことも考えると、逆に、こうした特別立法を早期に提出して成立させるということが被災地の支援のために極めて重要ではないかというふうに思います。先ほど申し上げたとおり、阪神・淡路大震災の際には、一カ月後の二月十七日に、特別立法の第一弾である地方税法の改正案等が成立を見ているところであります。

 今回、例えば震災税特法という阪神・淡路大震災のときにも行われた税負担減免措置を、前年度分の所得から差し引くような法案、こういうことも必要になってくるというふうに思いますが、こうしたパッケージを、できれば阪神・淡路大震災の例に倣って一カ月後というと四月十一日、間もなくでありますので、そうした時期までに、可能な限り早く行わなければいけないというふうに思いますが、時期的な、片山大臣の今の時点の見通しも含めて、もしお聞きできることがあればお伺いをしたいというふうに思います。

片山国務大臣 おっしゃるとおりでありまして、できる限り早くと思っております。今検討を進めておりまして、内容を固めて法制局の調整を終えて、なるべく早く国会に出したいと思っております。

 ただ、とりあえず現場で支障がないようにということで、先ほど来何回も触れましたけれども、念のために、税の減免についての制度の仕組みでありますとか、それを実施した場合の財政措置でありますとかを自治体の方に通知をしております。

 とりあえず既存の制度で、支障がないように、できる限りの手を打ってはおりますけれども、それだけでは不十分なものがありますので、先ほど申しました、固定資産税の住宅用地に係る特例が切れてしまって、にわかに税負担が六倍になりかねないとか、それから雑損控除の問題もそうでありまして、こういうのは軽減措置、減免というよりは、むしろ法的な手当てをきちっとした方がいいというか、しなければいけないと私は思っておりますので、できる限り早く法的な措置が成立するように努力をしたいと思っております。

柿澤委員 いろいろ御苦労があることは理解をいたしますけれども、しかし、今回の事態の被害の大きさにかんがみ、また、阪神・淡路大震災の際に、既に行われたことのあるこうした税制の特例については、可能な限り早期に特別立法の成立にこぎつけるべきだ、一カ月という阪神・淡路大震災の前例からおくれることがあってはならない、こういうふうに申し上げておきたいというふうに思います。

 もう一つ、今回、復興の費用には大変なお金がかかるということは間違いないというふうに思います。その中で、今、全国各地からさまざまな形で義援金が送られております。私も街頭の募金に少しだけ参加をさせていただきましたけれども、本当に、驚くような大勢の方が募金箱にみずからのお金を投じてくれる。被災地に対するさまざまな思いを持ってそうしたことが行われているんだろうというふうに思います。

 台湾では、チャリティー番組をやって二十億も集まった。二十億という大変巨額な額が集まっているわけであります。

 そうした中で活用できると思うのが、いわゆるふるさと納税の制度であります。ふるさと納税の制度を活用すると、いわゆる寄附金の税額控除が受けられるわけです。大変そういう意味では、寄附をする側からしても、税制の優遇を受けることができるということで二重のメリットがあるように思います。

 給与収入五百万円の人が、ふるさと納税を三万円行った場合という試算があるんですけれども、所得税と住民税の両方の税制優遇を合わせると、二万五千三百円分の税制の優遇が受けられるんだそうです。すなわち、三万円から二万五千三百円を引いた四千七百円分の実質的な負担で、三万円の寄附が被災地の自治体に、しかもピンポイントで自分が選んだところにお送りをすることができる。自分が行った寄附の六倍のお金がいわば自治体に行くということでありますので、この制度をぜひ、もっともっと活用すべきではないかというふうに思っております。

 この点についてお考えがあれば、お伺いしたいと思います。

片山国務大臣 私も、ぜひ、今回の被災地に対する支援について、ふるさと納税を活用していただければと思っております。

 俗にふるさと納税と言っておりますけれども、別に一人一人のふるさとでなくても構いません。それから、日赤などを通じて被災地の自治体にそれが送り届けられる場合も適用になりますので、どうか広く、このふるさと納税制度、税額控除制度を活用して、被災をされた地域の自治体を通じて、被災をされた皆さん方のお役に立てる、そういう寄附が広く活用されればいいと思っておりますし、政府としても、そのことをぜひ国民の皆さんに広報などを通じて呼びかけたいと思っております。

柿澤委員 このことは政府広報がいいのか、あるいは今、テレビを見ると、あれだけ公共広告機構のいわゆるCMが流されているわけですから、その中にこうしたことの呼びかけを盛り込むということがもしかしたら可能なのかなというふうに思いますので、ぜひお取り組みをいただきたいというふうに思います。

 最後に、いわゆる軽油引取税等のトリガー税制の話をお伺いしたいというふうに思います。

 中東の情勢、リビアの情勢などもあって、全体的に原油、石油の価格が高騰しています。また燃料不足ということもあって、国内でもガソリンの価格は今、大変急速に上がってきている状況です。最新の数字を見ると、岩手県内では百五十五円というところまで来ている。石油情報センターによると、全国でも百五十一円というところまで来ているわけです。

 百六十円を超えるとトリガーが発動して、暫定税率分が引き下げになってしまうということになるわけですけれども、ガソリン価格を引き下げて、ガソリンを使う被災者の方々も含めて、生活に資する、こういう意味では、トリガーについてはそのまま発動した方がいい、そういう考え方もあるでしょう。その一方で、地方自治体からすると大変な減収要因になる。東京都でいうと十数億円、それだけで減収になるわけでありまして、この発動をめぐっては大変悩ましいところがあると思います。

 与謝野経済財政担当大臣は、このトリガー条項は発動しない方がいい、こういう考え方も既に述べておられるようでありますけれども、この点についてお考えをお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 これは現行法にありますので、発動しないというわけにはいかないと思うんですね。ですから、これを発動させないのであれば、発動させないなりの仕組みの変更が必要だろうと思います。法律改正が必要だろうと思います。

 それから、これは地方税だけの制度ではなくて、むしろ国税の方の、揮発油税の仕組みの方がメーンだろうと思いますので、国税との連携も必要になるだろうと思います。その上で、どう法律を改正するのかしないのかということになると思います。

 そういうことを前提にしまして、先ほど少し触れましたけれども、今次の震災復興に関連しては、税制も財政もそうですけれども、あらゆる可能性を否定しないで広く見直しの検討をしようということでありますから、結果がどうなるかわかりませんけれども、そういう見直し、検討の中で論じられるべき事項だろうと私も思います。

柿澤委員 時間が来ましたので、終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

原口委員長 次に、石田真敏君外四名提出、国民生活等の混乱を回避するための地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。石田真敏君。

    ―――――――――――――

 国民生活等の混乱を回避するための地方税法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

石田(真)議員 ただいま議題となりました国民生活等の混乱を回避するための地方税法の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表して、その趣旨及び内容について御説明申し上げます。

 まず、本法律案の趣旨について申し上げます。

 平成二十三年度の税制改正に係る地方税法等の一部を改正する法律案につきましては、政府・与党の責任において早期に成立を図るべきところ、平成二十三年三月三十一日を目前にしてもその成立の見通しが立っていないことにかんがみ、国民生活等の混乱を回避するため、異事異例の措置として本法律案を提出した次第であります。

 次に、その内容について申し上げます。

 第一に、平成二十三年三月三十一日に期限の到来する地方税における税負担軽減措置等について、その期限を暫定的に平成二十三年六月三十日まで延長することといたしております。

 第二に、これに伴い、一月二十八日衆議院に提出されました地方税法等の一部を改正する法律案等について所要の規定の整備を行うことといたしております。なお、この所要の規定の整備は、これらの法律案に対して賛成することを前提としているものではありません。

 以上が、本法律案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

原口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

原口委員長 本案につきましては、質疑、討論ともに申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 国民生活等の混乱を回避するための地方税法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

原口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二分散会


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