衆議院

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第1号 平成24年2月3日(金曜日)

会議録本文へ
本国会召集日(平成二十四年一月二十四日)(火曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 原口 一博君

   理事 稲見 哲男君 理事 逢坂 誠二君

   理事 野木  実君 理事 皆吉 稲生君

   理事 石田 真敏君 理事 坂本 哲志君

   理事 西  博義君

      小原  舞君    大泉ひろこ君

      大西 孝典君    奥野総一郎君

      黄川田 徹君    桑原  功君

      小室 寿明君    後藤 祐一君

      白石 洋一君    杉本かずみ君

      高井 崇志君    永江 孝子君

      長島 一由君    福田 昭夫君

      松崎 公昭君    山田 良司君

      湯原 俊二君    吉川 政重君

      和嶋 未希君    加藤 紘一君

      川崎 二郎君    菅  義偉君

      橘 慶一郎君    谷  公一君

      中谷  元君    平井たくや君

      森山  裕君    稲津  久君

      塩川 鉄也君   斎藤やすのり君

      重野 安正君    柿澤 未途君

平成二十四年二月三日(金曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 原口 一博君

   理事 稲見 哲男君 理事 大泉ひろこ君

   理事 逢坂 誠二君 理事 野木  実君

   理事 皆吉 稲生君 理事 石田 真敏君

   理事 坂本 哲志君 理事 西  博義君

      江端 貴子君    小原  舞君

      大西 孝典君    奥野総一郎君

      黄川田 徹君    桑原  功君

      小室 寿明君    後藤 祐一君

      白石 洋一君    杉本かずみ君

      高井 崇志君    永江 孝子君

      長島 一由君    福田 昭夫君

      松崎 公昭君    山田 良司君

      湯原 俊二君    吉川 政重君

      和嶋 未希君    加藤 紘一君

      川崎 二郎君    菅  義偉君

      橘 慶一郎君    谷  公一君

      中谷  元君    平井たくや君

      森山  裕君    稲津  久君

      塩川 鉄也君   斎藤やすのり君

      重野 安正君    柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         川端 達夫君

   総務副大臣        黄川田 徹君

   総務副大臣        松崎 公昭君

   厚生労働副大臣      牧  義夫君

   内閣府大臣政務官     郡  和子君

   総務大臣政務官      福田 昭夫君

   国土交通大臣政務官    津島 恭一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  久元 喜造君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   伊藤 哲夫君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月三日

 辞任         補欠選任

  永江 孝子君     江端 貴子君

同日

 辞任         補欠選任

  江端 貴子君     永江 孝子君

同日

 理事内山晃君一月十一日委員辞任につき、その補欠として大泉ひろこ君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

一月二十四日

 一般職の国家公務員の給与の改定及び臨時特例等に関する法律案(平井たくや君外四名提出、第百七十九回国会衆法第一号)

 国家公務員の給与の臨時特例に関する法律案(内閣提出、第百七十七回国会閣法第七八号)

 東日本大震災による被害を受けた合併市町村に係る地方債の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、第百七十九回国会閣法第九号)

 日本放送協会平成二十一年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書

二月二日

 東日本大震災に対処するための平成二十三年度分の地方交付税の総額の特例等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 国政調査承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災に対処するための平成二十三年度分の地方交付税の総額の特例等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)


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     ――――◇―――――

原口委員長 これより会議を開きます。

 理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に大泉ひろこ君を指名いたします。

     ――――◇―――――

原口委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 国政に関する調査を行うため、本会期中

 行政機構及びその運営に関する事項

 公務員の制度及び給与並びに恩給に関する事項

 地方自治及び地方税財政に関する事項

 情報通信及び電波に関する事項

 郵政事業に関する事項

 消防に関する事項

以上の各事項について、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対して承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

原口委員長 次に、内閣提出、東日本大震災に対処するための平成二十三年度分の地方交付税の総額の特例等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。川端総務大臣。

    ―――――――――――――

 東日本大震災に対処するための平成二十三年度分の地方交付税の総額の特例等に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

川端国務大臣 東日本大震災に対処するための平成二十三年度分の地方交付税の総額の特例等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 平成二十三年度の第四次補正予算により同年度分の地方交付税が三千六百八億円増加することとなりますがその全額を、また、平成二十三年度の第二次補正予算により五千四百五十五億円増加した同年度分の地方交付税のうち千億円を、平成二十四年度分の地方交付税の総額に加算して、同年度に交付することができることとする必要があります。したがって、東日本大震災に対処するための平成二十三年度分の地方交付税の総額の特例等に関する法律を改正することとし、所要の規定を設けることとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

原口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

原口委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局長久元喜造君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長伊藤哲夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斎藤やすのり君。

斎藤(や)委員 新党きづなの斎藤やすのりと申します。

 今回、委員長、理事の皆さん、そして委員の皆さんの配慮で質問の時間を十分いただきまして、感謝を申し上げます。貴重な十分ですので、早速質問をさせていただきます。

 私は、地元が仙台でございます。被災地です。津波でたくさんの家が流されました若林区、宮城野区、それから三・一一、そして四月七日の余震で大きな宅地災害が発生した泉区の選出でございます。

 宅地災害というのは、住宅には被害が出ていないんだけれども庭にクラックが入っていたり擁壁が崩れたり、約四千件の被害が出ております。実は、この宅地災害というのがこれといった補償のスキームがなくて、七カ月間、ほぼ放置されてしまったということもございます。

 そういったことも含めて、きょうはちょっとお聞きしていきたいと思います。

 若林区、宮城野区の沿岸部は今、五世帯以上で固まって内陸の安全なところに家を建てて転居する防災集団移転事業の準備が進んでおります。それから、さっき言った泉区では、宅地災害への補償もようやくめどが立ちました。実は、この二つが進んだのは、震災特交が誕生したからでございます。被害が余りにも甚大過ぎて、小さな自治体だと一%の負担でも自治体の財政がパンクしてしまいますので、この特交の誕生というのは、被災地の自治体にとっては大変歓迎されております。

 ただ、この特交というのがもっと早く世に出ていたらなというふうに思っております。なぜならば、被災地の瓦れき処理は、当初、国が本当に全額カバーしてくれるのかと疑心暗鬼になりまして、なかなかスピーディーに運ばなかった。それから、復興計画も、補助率が十分の十になるのかが見えなかったのでなかなか決めることができなかった。これがやはり町の瓦れきの処理、片づけ、復旧をおくらせましたし、何よりも被災者の不安がなかなか解消しませんでした。

 今回の反省を、近いうちに発生すると言われている東海地震、この東海地震は三十年以内に八八%、首都直下型の地震は、東京大学の研究によりますと七〇%という高い数字が出ております。復旧復興が後手後手にならないように、地方交付税のあり方というものをやはり考えるべきだというふうに思うんですが、広域の大災害に対応できるように事前にスキームをつくっておくべきなのではないかと考えますが、川端大臣にお伺いします。

川端国務大臣 今回の今まで経験をしたことのない大震災は、実は、今御指摘のようなことを含めていろいろなことに対応する中で、今後に関してどうしていくのかというテーマをいろいろと大きく示唆していることも事実でございます。

 そういう部分で、あらゆる角度から、今はできることを全てやり抜こうということで対応しておりますが、これからに関しても、総務省だけではなく政府全体として、こういうことに対してどうしていくかは大変重要な課題だと認識しておりますし、総務省の立場からも、いろいろと検証は不断に続けていきたいと思っております。

斎藤(や)委員 地震活動が大分活発になっております。かなりスピードをアップして、そういった特交のあり方なども考えていただければというふうに思います。

 復興の推進力になるというのがお金とマンパワーでございます。毎日新聞が被災三県の首長四十二人にとったアンケートで、今深刻なのが、四十二人中十一人が人手不足を挙げております。宮城県では十五市町村で今千二百六十二人、人員が欲しいよと。人員不足になっています。特に土木系の技術職が足りないということなんです。

 これから津波の被災地では区画整理事業が始まります。区画事業が始まりますと、やはり地権者の方に同意をとらなきゃいけません。ですから、復興のスピードを上げるためにはたくさんの人が要ると思います。国にぜひ、他県自治体の職員のヘルプ、マッチング作業というのをやはり積極的に行ってほしいと思っております。

 この交付税、どういうふうに使っても構わないということなので、必要経費で手当てしてでも被災地にマンパワーを集中させるようなことをぜひ考えていただきたいんですが、そこは、大臣、どうでしょうか。

川端国務大臣 発災当時は、もう役所機能自体が麻痺するような状態から始まりました。そういう意味で、そういういわゆる一般の事務をする人自体が被災者である、あるいは亡くなられたというところから始まりましたが、そういう人たちを全国から応援に来てほしいというニーズがありました。

 今はまさに救援、復旧から復興にいよいよ動き出したということになりますと、そういうマンパワーが足りないような部分が現実にありますが、そこで、土木建築関係者とか、そういう専門的な技能、技術、知識、経験を持った人が欲しいというニーズが大変高まっております。今までも、各市町村から県を通じて御要望いただいた分を総務省が全国市長会、全国町村会にお願いをしてマッチングするというお手伝いをさせていただいておりますが、それ以外にも、いわゆる防災協定を結んだ、あるいは姉妹都市関係等々やっていただいております。

 今後もその部分では精力的にやってまいりたいというふうに思いますが、今御指摘のように、御要望に対して大体マッチングが半分ぐらいなんです。そういう部分で、引き続きぜひとも御協力いただきたいということはお願いをしているところでありますが、専門性が高くなるということと同時に、復興に関して言いますと、長期間、例えば一年来てほしいというふうな要請が多いです、当然ながらこの仕事は長くかかりますから。そうすると、出す方も、最近の分でいうと、もうぎりぎりの要員設定でしているときに一年ということになると、かなり出しにくいというふうな状況もあります。

 そういう意味で、例えばOBさんの活用、そうすると、その周辺から通えるところだったらいいですが、遠くからだと宿舎を手当てできるだろうかというふうなことで、要望の職種、期間等を含めて幅広いニーズがありますので、電話、書類でやりとりするだけでは個別にできないということで、最近、年が明けてから指示いたしまして、それぞれ、相当の数を御要望いただいている団体に関しては、直接我々の方から伺って、こういうやり方ができないか、ああいう形はどうだろうというのを御相談しながらマッチングするということも今やり出しました。

 そういう意味で、できるだけ御要望にうまく応えられるように、そして全国からも御協力いただけるようにということは、引き続き最大の努力をしてまいりたいと思います。

 費用に関しては、この委員会等々含めて御議論がありました。全額これは国で見るという形をしておりまして、財政的には御心配いただくことはないというふうに思っております。

斎藤(や)委員 ありがとうございます。

 仕事が際限なくふえているという自治体もありまして、実は行政職員の精神疾患が昨年に比べると七割もふえているという話です。被災地の職員というのは、本人が被災者ですから、トラウマを抱えている方も多くて、そして過労で精神疾患を患ってしまうということだと思いますので、心のケアとマッチング、ヘルプ、ぜひ国がもっともっとコミットしていただければというふうに思います。

 それから、ヘルプを出した自治体にとっても、これから大きな災害が起こり得るということを考えますと、大変経験になると思いますので、こういった人事交流もぜひもっともっと積極的に国に関与していただければというふうに思います。

 もう一問予定していたのですが、ちょっと時間がございませんでしたので、済みません。大雪が降り続いておりますので、この除雪費用の手当てというものを国でぜひよろしくお願い申し上げます。

 以上でございます。ありがとうございました。

原口委員長 次に、橘慶一郎君。

橘(慶)委員 ことし最初の質問ということになります。どうかまたよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 やはり最初なので、もう二月になりましたけれども、新年の歌、雪の歌で始めさせていただきたいと思います。

 万葉集巻十七、三千九百二十五番。

  新しき年の初めに豊の年しるすとならし雪の降れるは

 ありがとうございます。(拍手)

 ことしはぜひ豊かな年になるように、今大雪ということでありますが、大雪対策はもちろんですけれども、この雪からいい年をぜひ開いていきたいものだと思っております。

 東日本大震災関連の交付税の特例法でありますので、最初に東日本大震災関係、最近の動きの中で幾つかお伺いをしてまいりたいと思います。

 まず、福島第一原子力発電所の事故にかかわる地域でありますが、警戒区域と計画的避難区域から避難指示解除準備区域等への変更がこれから進んでいくわけであります。昨年九月末、緊急時避難準備区域がさきに解除された川内村のように、今後、役場機能をいよいよまた戻していく、そして、もとのふるさとでまた暮らしていく、こういうことに変わっていくという動きが出てきております。まず、こういったことについて、関連する総務省の支援の現状について大臣にお伺いいたします。

川端国務大臣 ありがとうございます。

 御指摘のように、昨年九月末に緊急時避難準備区域の解除がされました。一月三十一日に帰村宣言ということで、川内村のように、避難している住民の帰還に向けた取り組みを進める市町村が出てまいりました。役場を再開するというに当たり、復旧経費等も当然ながら生じますので、川内村に対しては、新たに創設した市町村行政機能の応急復旧のための補助制度等によって支援を行っているところでありまして、川内村交付決定額、二十三年十二月二十六日で五千九百三十五万二千円、役場本庁舎修繕工事等を手当てさせていただきました。

 また、原子力災害対策本部等において、警戒区域等の見直しについて、今年度末を目途に、県や市町村など関係者と協議を行っておるところでありまして、並行して、本格除染、インフラの復旧整備等の帰還に向けた支援について、関係省庁と連携して検討が開始されているところでございます。

 御指摘のとおり、避難指示解除準備区域、年間二十ミリシーベルト以下への見直しにより、自治体の行政機能の復旧へ向けた取り組みについても当然ながら加速されてくることが想定されますので、総務省といたしましても、県、市町村の意見、要望を、それぞれ事情がございますので丁寧に伺いながら、関係省庁と連携して、帰還に向けた取り組みが着実に進むよう、必要な対応を行ってまいりたいと思っております。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 新たな経験をいろいろしていく、新たな対策を打っていかなきゃいけないということでありまして、ぜひ、そういう連携、また前広に前広にお願いしたいと思うわけであります。

 ただ、まだ帰れない方々というのも残念ながらあるわけでありまして、そこで、前回、昨年の秋もお伺いしましたが、原発避難者特例法ということでつくられているわけでありまして、この事務処理の現況、また、そこに定められた住所移転者協議会のその後の運用状況について確認をさせていただきます。

久元政府参考人 いわゆる原発避難者特例法の運用状況についてお答えを申し上げます。

 昨年八月十二日に公布、施行されました後に、特例の対象となる避難元市町村といたしまして、九月十六日に福島県内の十三の指定市町村を指定させていただきました。

 この法律は二つの部分から成っておりまして、住所を移さないで避難されている避難住民の方が避難先でしっかりと行政サービスが受けられるようにするために、十一月十五日には、避難先団体において処理すべき事務といたしまして、保育所の入所に関する事務など、十の法律の二百十九の事務の告示を行いました。

 その後、一月の四日に、避難元の自治体から避難先の自治体に対して避難住民に関する情報の通知が行われております。

 一月四日時点で、この避難住民の方の数は十万三千七十人になっておりまして、この十万人以上の方については、避難先の自治体において避難先の住民の方々と同じように行政サービスを受ける権利を有することになります。

 現時点におきまして、私どもが聞き取っている段階では、大きな支障は生じていないというふうに考えております。

 もう一つは、住所を移された方、法律上は住所移転者と呼んでおりますけれども、これらの方々につきましての対応でありますけれども、全ての市町村におきまして、この住所移転者に関する条例が策定済みであります。法律に基づく協議会は設けられてはおりませんけれども、この条例等に基づきまして、広報紙の送付などの情報提供等が行われております。

橘(慶)委員 やはり十万人という数字を聞くとびっくりしてしまうわけですけれども、そういった方々への支援、また引き続きよろしくお願いを申し上げたい、この運用をニーズに合わせてぜひ積極的にまた進めていただきたいと思います。

 そして、今回、線量の年間二十ミリシーベルト以下の部分、また年間五十ミリシーベルト以上の部分、いろいろな場所が出てくるということが残念ながら明らかになってきていまして、私どもは何となく、年が明けると戻っていけるというイメージであったわけですが、残念ながら帰還困難区域になる場所も多分出てくるのであろうと思っております。

 この区域においては、五年以上この状況が続くということも出てくるわけであります。そうなってまいりますと、その対象となる地域あるいは自治体に対して、また新たな手当ても必要になってくると思っております。

 これは、言ってみれば、前広に想像しながら、ではどうしていくかということなんですが、現在の総務省における支援の考え方についてお伺いをしてまいります。

川端国務大臣 先ほどから御指摘のように、今年度末を目途に、対策本部で見直しの協議を進めているところであります。見直し後の帰還困難区域というのは、五年以上、長期間にわたって帰れないということが想定をされておるわけです。

 したがいまして、帰還困難区域を有する市町村を取り巻く環境というのは、それが指定された時点において、例えば、その市町村のどれぐらいの範囲までなるのかというのは、極端に言えば、全部なのか半分なのかということも含めて、その市町村においてこれからの行政あるいは住民生活をどうするかということがいろいろ議論されていくと思います。そういう部分では、まだ想定できないさまざまな事態がいっぱい起こってくるのではないかと想定をしております。

 そういう意味で、できるだけ、まさに柔軟に、しっかりと皆さんの思いが着実に前に進んでいけるような施策を幅広く議論をして、丁寧に対応していきたいというふうに思っておりますので、いろいろな角度から御議論があれば、また我々にもお伝えいただければありがたいと思っております。

橘(慶)委員 ありがとうございます。ぜひそういう考え方で。

 そこで、きょう、あと残った部分でもう一つだけ、瓦れきの処理の問題について、少し現状と、それから総務省さんにも果たしていただける役割があるものだと思いますので、その点を申し上げていきたいと思います。

 まず、被災地における瓦れきの処理、これは、第一段階は仮置き場へ持ってくる、第二段階はその仮置き場にあるものを最終処分する、こうなるかと思います。

 第一段階、仮置き場への移送ということについて、目標は一応今年度末ということになっておったわけですが、現状、これは環境省の伊藤部長さんの方からお願いいたします。

伊藤政府参考人 現在住民が生活している場所の近くの災害廃棄物を平成二十三年八月末までを目途に仮置き場へおおむね搬入する、これは最初の目標でございました。これにつきましては、福島県内の警戒区域を除く全ての市町村において達成しております。

 現時点では、岩手、宮城、福島三県の沿岸部における災害廃棄物発生推計量のうち、今後建物の解体によって生じるものを除けば、九六%の災害廃棄物が仮置き場へ移動されております。解体により生じるものを含む災害廃棄物につきましては、おおむねその七割を仮置き場への移動をしている、こういう状況でございます。

 災害廃棄物の仮置き場への移動については平成二十四年三月までを目途に完了させるという目標でございますが、なお、宮城県の石巻市のように、特に家屋等の解体量が多く、大規模な建物の解体に時間を要する自治体につきましては、個別に目標を定めておりまして、遅くとも平成二十五年三月末までを目途に仮置き場への移動を完了させる、こういう目標にしておりますが、いずれにしろ、今全力で取り組んでいるところでございます。

橘(慶)委員 これは、関係者は大変御努力いただいていると思っております。事前に資料もいただいているんですが、まだ解体が進んでいないということで残っているのが、今御指摘の石巻市四二%、多賀城市四九%、釜石市四九%、福島県の広野町四二%と残っております。そこについては個別の目標を立てながらぜひ頑張っていただきたい。これが第一段階であります。

 第二段階ですけれども、仮置き場に運んだものをさらにいろいろな形で、リサイクルであれ焼却であれ始末をしていく、このためには、本来は、やはり全国でみんなが助け合っていくというのが本当は望ましい姿であるわけですけれども、皆さん、委員の方々も御存じのように、いろいろな御意見がありまして、そこがなかなか、科学的な問題だけではなくて、はかどっていない部分もある。

 まずは、現状においてどの程度受け入れが進んでいるのか、あるいは受け入れを表明している自治体の数など、また政府の要請の状況についてお伺いいたします。

伊藤政府参考人 今回の大震災で発生した災害廃棄物の量は非常に多く、その量は岩手県で通常の一般廃棄物排出量の十一年分、宮城県では約十九年分となっておりまして、その処理は被災地の復旧復興の大前提であるわけでございます。

 被災県では県内でできる限りのリサイクルあるいは処分を行うこととしておりますけれども、それでも少なくとも岩手県では五十七万トン、宮城県では三百四十四万トンを県外で処理するということを今望んでおられるところでございます。

 災害廃棄物の処理につきましては、最大限地域内の施設の活用をすることが前提ではございますが、被災地における処理能力は不足しており、広域処理を進めていくことが不可欠な状況でございます。

 既に山形県及び東京都では災害廃棄物の受け入れを実施していただいているところでございます。さらに広域処理を広げることが必要でございまして、現在、複数の地方公共団体に受け入れを検討していただいているところでございます。今その具体的な内容についてそれぞれ調整を続けているところでございます。

 それから、これまでも、昨年の十一月の全国都道府県知事会議において、野田総理大臣及び細野環境大臣から全国の知事に対し、広域処理への協力の呼びかけをしていただきました。また、十二月には、野田総理から記者会見の場において協力の要請もしていただいているところでございます。

 さらに、全国地方六団体のうちの知事会を除く五団体につきましても、環境大臣の方から文書で広域処理への協力をお願いしているところでございます。

 このほか、受け入れを検討されている地域における住民への説明会等に我々環境省職員、私も含めて出向きまして、御説明をやっております。また、パンフレットやホームページ、映像資料の作成など、積極的な広報を展開しているところでございまして、今後とも、広域処理に対する国民的な理解が進むよう、環境省を挙げて最大限努力をしていきたい、こういうふうに考えております。

橘(慶)委員 環境省さんの努力はわかるんですが、環境省さんというのはもともと地方の出先が余りない役所であります。

 そして、日本は一つ、霞が関も一つということであれば、やはりここは、地方との関係が深い総務省さんにおかれても、それぞれの自治体において、例えば、そういうことをしようと思ってもいろいろな説明をしていかなきゃいけない。もちろん科学的に安全ということは確実にしなきゃいけないわけですが、科学的に説明がつくものについて、それをやはり皆さんに納得いただいて、困ったときはお互いさまというところへ持っていくために、やはり首長さんたちもいろいろ苦労があると思うんですね。そのあたりを、どういうことをしていけばそれがさらに進むのか。

 あるいは、総務省さんからは、幸いなことに、こういう場合に、考えてみれば、全国の都道府県あるいは自治体にたくさんの出向者も出しておられるという状況にもあります。そういうネットワークも含めて首長さんのサポートをしていただく。

 そういう意味で、何かここで総務省さんが頑張ることによって、この問題、やはり広域処理を受け入れる自治体がふえれば事は前に進むわけですから、ぜひ頑張っていただきたいというのが私のお願いしたいところであります。ぜひ御答弁を一言お願いいたします。

川端国務大臣 この瓦れきの処理は復興に関しても極めて重要な問題でありますし、現状は環境省さんからのお話のとおりであります。

 財政的には、この部分を、補助率引き上げと同時に、その差額分を全額負担するということでの財政上の手当ては済んでいるんですけれども、実情でいいますと、先ほどからのお話にありましたように、いろいろな御意見の中で、自治体の皆さんがお決めになる部分に、なかなか議論がうまくいっていない部分もあるということで、個別に環境省さん御努力いただいているように、総務省としてどういう形で御支援できるのかということは、おっしゃるように、我々は、県、市町村との窓口、そして人的にも交流がある。これは逆に言うと、県、市町村の皆さんの御意向も、国への要望もある。

 我々として、このパイプ役の部分で、できる限りのことは環境省さんとも連携をしながら、細野大臣からも、個別の案件も含めていろいろな形での御要請を受けたりもしておりますので、できる限り、自主的に判断される部分にお手伝いできることはしっかりやってまいりたいというふうに思っております。

橘(慶)委員 恐らくこれは制度論というよりも、個別具体の、今おっしゃったパイプの部分が大事だと思いますので、よろしくお願いいたします。

 済みません、幾つか質問してしまいましたが、本論に入ります。

 まず、今回の交付税の特例法の改正でありますが、最初は技術的なことから始めます。

 法律の題名を変えるということで、今までは「東日本大震災に対処するための」から「対処する等のための」ということで、少し目的を広げている題名の改正であります。まず、理由を確認いたします。

黄川田副大臣 お答えいたします。

 法律の題名に関する問いでございますけれども、平成二十三年度の地方交付税の総額特例法につきましては、第一次補正予算の際に設けられ、さらに第三次補正予算の際に、震災復興特別交付税を設けることとあわせて、震災対応であるその趣旨を明確化するために題名の改正を行ったところであります。

 そこで、今般、第四次補正予算及び第二次補正予算により増加した地方交付税の額の一部の繰り越しを行うためには、総額特例法の改正が必要となります。

 そこで、この繰り越しでございますけれども、これは平成二十四年度の交付税総額の安定的な確保に資するように行うものでありまして、震災対応とはちょっと趣旨が異なるために、法律の題名についても、東日本大震災に対処する等のための平成二十三年度分の地方交付税の総額の特例等に関する法律に改正する、このようにしたわけでございます。

橘(慶)委員 了解いたしました。この間、前のときには津波のことで一度質問していたものですから、一応確認させていただきました。

 次に、二点目ですけれども、今回、第二次補正予算により増加した五千四百五十五億円のうち一千億円を、今ほど黄川田政務官もお話あったとおり、二十四年度の地方交付税に繰り越し交付することができるようにするわけです。

 この一千億円というものはどうして出てきたかといえば、東日本大震災に係る当初の災害復旧事業費に基づく算定ルール分、つまり、地方が地方の負担分のうち四・五%をこれで措置するということであったわけでありますけれども、その一千四百四十七億円の内数としてこの一千億円が出てきた。つまり、この四・五%分の一千億円は地方へ、今のところ交付の申請がないということなんですね。

 そうすると、これを割り戻しますと、二兆二千三百億円の災害復旧事業ということが今年度はどうも進まない、あるいは繰り越す、あるいは実態がある、ない、いろいろなことがあると思うんです。計算しているとそうなるんですが、まず、この二兆二千三百億円分、その分に当たるものという考え方でいいのかどうか、そしてまた、二兆円ということになれば、もともと三兆円あった災害復旧の事業費のうち一兆円だけが今年度末に執行が終わる、こういう感じで受けとめていいのか。この辺の背景の御説明をお願いいたします。

黄川田副大臣 今の橘委員さんからお話あったとおりでありますけれども、まずもって、特別交付税の算定におきましては、災害に係る通常ルール分といたしまして、災害復旧事業費、直轄・補助に一定率、これは県、市町村分合わせて四・五%でありますけれども、これを乗じた算定を行っております。

 そこで、東日本大震災につきましても同様の算定を行っておりまして、災害復旧事業に係る国の補正予算額をもとに一千四百四十七億円の算定を見込んでおりますけれども、このうち平成二十三年度中に実施される事業についての各県における執行見込みを踏まえますと、執行見込み九千八百四十四億円、これを踏まえましての四百四十三億円を既に算定して交付したところであります。

 そこで、残額の一千四億円に対応する災害復旧事業費の額は、二兆二千三百億円程度と見込んでおるところでありまして、ただいまお話しされた橘委員さんのお見込みのとおりでございます。

橘(慶)委員 災害復旧ですから、枠取りするということも必要ですし、ただ、これが早いのか遅いのか、そういうことについては、私は予算委員もしておりますので、あとは予算委員会でやらせていただきたいと思います。間違っていると困るので確認だけさせていただいたということであります。

 それでは、次は、二十三年度の特別交付税の三月交付に向けた算定が現在進んでいると思いますが、こういういろいろなやりくりはあるけれども、これは特に被災地外の自治体においてもよく聞かれるんですが、ことしの特交はどうなんだ、こういうことなんです。

 いわゆる配分の原資の総額的なものについては、二十二年度との比較においてほぼ同じである、ですから、東日本大震災の事象については震災復興特交が行きますから、それ以外の事象についてのおおむね算定になるものだ、こういう解釈でよろしいか確認をさせてください。

黄川田副大臣 昨年は本当に、三・一一東日本大震災、それから台風十二号、紀伊半島も大変な被害を受けました。それから、私も仮設に入っておりますけれども、水の凍結ということで大変な目に遭っていますが、本当に雪も多くて、各自治体とも特別交付税には関心が大変高いと思っております。

 その上で、お話しされました、昨年と比較して特別交付税がどうなっているかということでありますけれども、本年度の特別交付税の総額は、第一次、第二次補正予算での増額によりまして一兆六千百九十七億円となったところでございます。

 このうち東日本大震災関係でこれまでに四千九百十六億円を交付しておりまして、これと今回の繰越分一千億円を除きますと一兆二百八十一億円となりますけれども、これは、昨年度の特別交付税一兆三百十八億円とほぼ同程度の規模となっておるものでございます。

 さらに、本年度の三月交付においては、被災団体の東日本大震災関係経費は基本的に別枠で確保しております震災復興特別交付税により対応することとしていることから、本年度の例年分の特別交付税額の所要額はしっかりと確保できているものと思っております。

橘(慶)委員 済みません、おわび申し上げます。黄川田副大臣のことを政務官と申し上げて、失礼いたしました。訂正いたします。

 今ほどはありがとうございました。

 ということは、おおむね、ことしも去年並みの算定額はあるということで、あとは特殊事情の問題であります。

 今次算定においてどういう特殊事情があるかということなんですが、私も、一、二週間前までは、雪というのはことしは余り言えないねというような感じを持っていたわけですが、毎日、ここのところの報道のとおりでありまして、非常に豪雪になってまいりました。

 そんな意味では、日々刻々、さまざまな事情が入ってまいりまして、算定の前に起こったことについては何とか全部ぜひ見込んでいただきたいというふうに思うんですが、今のところ、この今次算定における特殊事情の内容をどのようにお考えか、川端大臣にお答えをお願いいたします。

川端国務大臣 本年度の東日本大震災分を除いた例年分の特別交付税の算定における主な特殊要因としては、七月に発生した新潟、福島の豪雨、八月から九月にかけて発生した台風十二号や十五号などにより被災した地方公共団体において、災害対応に係る経費が多額に上ることが一つは見込まれております。

 また、今お話ありました記録的な豪雪により除排雪経費についても多額に上ることが、今もまだ、今一番ピークであります、ということで見込まれるために、安心して除排雪に取り組んでいただけるように特別交付税による措置をしっかりと講じていく必要があると考えております。

 特別交付税三月分については、現在、三月中下旬の決定、交付を目途として算定作業中でありますけれども、これらの経費を含め、各地の実態を的確に把握し、地方公共団体の財政運営に支障が生じることのないように取り組んでまいりたいと思っております。

橘(慶)委員 ありがとうございます。よろしくお願いを申し上げます。

 あとは、私がずっと気にしている臨時財政対策債の問題について、幾つかお伺いしてまいりたいと思います。

 二十四年度の予算の審議あるいは交付税法の審議は今後ということですが、発表されていることからいえば、川端大臣にも随分御努力いただいて、総務省に大変御努力いただいて、二十三年度を上回る額、八百十一億円プラスで措置いただいていることは大変感謝を申し上げます。また、臨時財政対策債についても、二百六十億円に抑制されたことを評価するものであります。

 そこで、二十四年度末の地方の借入金残高及び臨時財政対策債の残高の見込み、これを二十三年度末と対比して、この予算でどうなるのか、福田政務官の方にお伺いいたします。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 お尋ねの件につきましては、地方財政の借入金残高の見込みにつきましては、平成二十四年度末においては二百・五兆円となっております。二十三年度末の二百・四兆円に対し、〇・一兆円の増となっております。

 このうち、臨時財政対策債の残高の見込みにつきましては、平成二十四年度末においては四十・八兆円、二十三年度末の見込みが三十六・二兆円、比べまして四・六兆円の増となっております。

橘(慶)委員 委員の皆様方にもグラフを差し上げております。私はこれで追っかけているわけですが、要は、地方の借入金残高、今、二百・五兆円になるとおっしゃった。大体それに相当するものがこの一番上の数字、これが、二十二年度ですから百九十九・八兆円となっております。二十三年度、東日本大震災という大変なことがあったんですけれども、それをのみ込んで二百・四兆円に抑えている地方の努力であります。

 この真ん中、ちょっと白抜きになっている三十一万四千百十と書いてありますか、三十一・四兆円というのが臨時財政対策債であります。ここの白い部分がワニの口が開くようにどんどん膨らんでいく、もうあと二年するとこれが四十になるという話であります。そうすると、全体の二割ということで、やはりここに非常に問題を抱えているなと私は思うわけであります。

 そこで次の質問ですが、この二十四年度の臨時財政対策債の発行予定額、六兆一千三百三十三億円であります。このうち、財源不足の国、地方折半ルールに基づく、地方が負わなきゃいけないものが三兆八千三百六十一億円なんですが、ほとんどの残りが既往債、今まで発行した臨時財政対策債のいわゆる借りかえ、元利償還金分ということで、これが二兆一千百五十九億円というふうに出てくるわけであります。これは結局、期限が到来した臨時財政対策債は、今のところ全て借りかえていくというスキームになっているということでしょうか。福田政務官、お願いします。

福田大臣政務官 お答えいたします。

 地方の財源不足については国と地方が折半して補填するということを基本としておりまして、国は一般会計からの臨時財政対策債の特例加算、地方は臨時財政対策債の発行により対応しているということで、先生御指摘のとおりでありますが、このように、臨時財政対策債は地方の負担において償還するものでありますので、巨額の財源不足が生じている中にあって、既往債による元利償還金については臨時財政対策債の発行により対処せざるを得ない、そういう状況になっております。

橘(慶)委員 次の質問とあわせて、今確認をしたいのは、ですから、全額借りかえという形になっているということですかということと、その考え方でいくと、要するに、国、地方の財政の折半云々の前に、もう既に義務的に出てくる借りかえ分といいますか元利償還金分、二十五年度はどうなるのか、あわせてお答えいただきたいと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 二十五年度分については、臨時財政対策債の既往債分に係る元利償還金については二・五兆円、平成二十四年度の二・一兆円に対して〇・四兆円増加する見込みとなっております。

橘(慶)委員 そういうことで、小さく産んでもどんどん大きく育っていってしまうという非常に難しい問題であります。

 そこで、地方公共団体の財政の健全化に関する法律、例の夕張問題からこういう法律ができて、再建四指標、これをいろいろ計算していまして、皆さん発表しているわけですが、この法律に基づく指標の計算の際、債務に臨時財政対策債をカウントせずに算出しているわけであります。その理由を確認いたします。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 財政の健全化に関する法律に規定する健全化判断比率のうち、実質公債費率及び将来負担比率においては、臨時財政対策債の元利償還金について、基準財政需要額への算入を控除して算定をいたしている、これは先生御指摘のとおりでございますが、臨時財政対策債の償還については、基準財政需要額への算入を通じて普通交付税により担保されている、そうしたことから、当該算入額を除くことにより、実質的な公債費及び将来負担を算出しているものでございます。

橘(慶)委員 このように、一応交付税で見るからということになっているんですが、現実は全部借りかえてくださいということになってまいりますと、本当にこれは大丈夫なのかなという問題であります。

 そこで、ここで仮定の計算をさきにお願いしております。この臨時財政対策債を実際に債務としてカウントした場合に、いわゆる実質公債費率、よく言われます、一八%で許可団体、二五%、三五%、イエローカード、レッドカードというふうになっていくわけです。これの団体数がどのように変化するかということについて、ぜひお答えをいただきたいと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 臨時財政対策債の元利償還金は基準財政額に算入され、実質公債費率の算定において控除されているというところでございますが、仮に元利償還金を控除しない場合の全都道府県、全市区町村の実質公債費率を平成二十二年度決算ベースで試算をいたしますと、まず一つとして、財政再生基準、三五%以上の団体数は一団体で変わりません。二つ目として、早期健全化基準、二五%以上の団体数は四団体から十三団体に九団体増加をいたします。三つ目、許可基準、一八%以上の団体数ですが、百七十五団体から四百六十団体に二百八十五団体増加をいたします。

 以上でございます。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

 都道府県の方が厳しいものですから、事前にお示しいただいている資料でも、いわゆる一八%を超えて許可団体になると結構やかましくなるんですが、これが都道府県で大体四割近く、そういう数字になってしまう。だから、やはりかなり危険な水準に達しているということをどうか御理解いただきながら、また、共通の認識として臨時財政対策債の抑制なり地方財政の全体的な見直しということに進んでいただきたいと思っております。

 時間が限られてまいりました。実はあと二問あったんですが、まとめてといいますか、片方のお答えだけで結構だと思います。

 一つは、黄川田副大臣に予定していたのは、地方議員年金制度の問題で、本委員会の附帯決議でも、去年一年の間に検討してくださいということを申し上げておりました。それを検討していただけるということを簡単にお答えいただければと思います。

黄川田副大臣 それでは、前回とちょっと変わったところといいますか、実は、附帯決議以後の状況の変化として、社会保障・税一体改革の中で被用者年金を一元化することとしておりますので、今後は、公務員共済年金が厚生年金に統合されるということを前提として検討を行う必要があるという新たな課題が生じております。

 いずれ、これにつきましては、地方六団体、特に議会の三議長会さん、さまざまな意見をお聞きしまして、そしてしっかりと検討していかなきゃならない、こう思っております。

橘(慶)委員 黄川田副大臣を初め、この中には地方議会の経験者の方も多い、私は逆に首長側の経験もあるわけで、そういったいろいろな思いの中で、これからの政治への参加のあり方云々、あるいは年金のポータブル化ということも含めて御検討ください。

 何とか最後まで参りました。内閣府の政務官としての福田政務官にお伺いいたします。例の地方の出先機関の見直しの問題であります。

 皆さん方にペーパーもお配りしました。なかなか練れた表現をされているなと思っております。アクション・プランにあることを、百でもない、ゼロでもない、少しでも進めたいと。これは百と言っちゃうと危ないということでありまして、何でもかんでもやらなきゃいけない、ねばならない、ねばねばならないというのが一番今は危ないと私は思っております。

 ぜひここはじっくりということを私はお願いしたいんですが、ここに書いてあることの趣旨について、今どうであるのか、ぜひ御無理はなさらないようにということを申し添えながら、最後に御答弁をお願いいたします。

福田大臣政務官 御指摘のことをよく踏まえて頑張りたいと思っていますが、そういった意味から、手挙げ方式で、意欲のある関西広域連合そして九州広域行政機構、そちらを中心に、国土交通省、経産省、環境省、三つの出先機関についての丸ごと移管について今盛んに議論をさせていただいておりまして、アクション・プランに基づいてしっかり取り組んでいきたいと思っていますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

橘(慶)委員 委員会の審議時間は有限であります。たくさんの法律を抱えている総務委員会であります。その辺の審議日程もお考えになって、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 終わります。

原口委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 おはようございます。公明党の稲津久でございます。

 通告に従いまして、順次質問させていただきます。

 最初は、今回の豪雪対策と特別交付税等についてお伺いしたいと思います。

 連日の報道でもう十分御承知おきと思いますけれども、今回、北日本それから日本海側は、例年にない豪雪が連日続いているわけです。積雪も、各県多いところで、青森県が例えば四メートルとか、山形それから新潟が三メートル、それから北海道、鳥取、長野県等が二メートルということで、特に、私の地元のことで恐縮なんですけれども、北海道の岩見沢市、それから新篠津村という村があるんですけれども、ここはもう既に二メートルということで、例年の二倍ぐらい降っております。岩見沢市は降雪量がもう既に七メートルに達しているということで、これは一月の中旬ですけれども、まだこれからどうなるかという状況です。

 既に、大変残念なことですけれども、お亡くなりになられた方が全国で五十六名ですか、昨日の午後一時時点の報告ですけれども、それから重軽傷者も七百五十二名という、大変甚大な被害が出ております。

 こういう状況の中で、私も先般、一月の十六日に北海道の岩見沢市、たまたま地元にいたんですけれども、そうしましたところ、JRはこの区間は運休、それから高速道路もとまりまして、さらに幹線道路も大渋滞、市内の循環バスももうだめという状況でした。

 そこで、すぐ地元の国交省の現地道路事務所にも行きまして、除排雪に対して早急な対応をしてくれということを要請しました。その二日後、一月十八日に、この岩見沢市とお隣の三笠市で自衛隊の除雪の支援出動があったというところでございます。

 これも北海道のことを申し上げて恐縮ですけれども、北海道の特別豪雪地帯、これは留萌、空知、それから後志管内等で、全部で八十六市町村あるんですけれども、いろいろと調べてみましたら、いずれの地域も例年にない積雪ということで、既に除雪費がかさんで大変な状況になっている。これは全国的にも同じことが言えると思います。

 そこで、まず総務大臣に、豪雪対策に係る費用が地方自治体の財政に与える影響ということで、具体的には、先ほど橘議員からも質問がありましたけれども、特別交付税等のお話になるんです。

 例えば先ほどの北海道の岩見沢市、今般、除排雪の費用で六億円補正予算を組むということが決まったそうでございまして、こういった補正予算については、専決処分、あるいは議会を開いて補正予算を臨時議会で組むということをこれから順次進めていくと思うんです。

 そこで伺いますけれども、特別交付税の豪雪対策に対する増額配分、それから予備費の活用、これは先般の予算委員会で総理からも、このことについては検討するという表明をされたことは承知しておりますが、所管の総務大臣として、具体的にどう対応なされるのか。特に、実施の時期ですとか支給日ですとか、この点について明確にすべきと思いますけれども、この点についてお答えいただきたいと思います。

川端国務大臣 まず、五十数名の方が既にお亡くなりになられていることに心からお悔やみを申し上げたいと思いますし、大変困難な目に遭っている方々にもお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 今、地方公共団体で、本当に昼夜を分かたず懸命に除排雪作業をしていただいております。この費用に関して、基本的に、各年度の普通交付税において、雪が降る地域に関しては一定の算出基準で手当てをさせていただいておりますが、これを当然ながらはるかに上回るであろうということはもう現実に直面をしております。この部分で、実際の所要額がその措置額を超える場合には三月分の特別交付税でさらに対処をしたい、する予定にしております。

 特別交付税は、現在、三月中下旬の決定、交付を目途として算定作業中でありますが、特に除排雪の経費が多額に上るということが見込まれております。地方公共団体の財政運営に支障が生じてはいけませんので、支障が生じることなく安心して除排雪に取り組んでいただけるように、その実態を的確に把握して、所要額を必ず措置してまいりたいというふうに思っております。

稲津委員 昨日、これは既に報道がありましたけれども、大雪対策の閣僚会合が開催されて、そこで官房長官からも、政府一丸となって強力に推進する、こういう意思表明がありました。大臣からも、今、三月中下旬という趣旨だと思いますけれども、特別交付税のことについて対応していきたいというお話がありました。

 重ねて意見を付させていただきますけれども、例えば、今回新潟県も、県としての除排雪費用約五十四億円を確保していたということですけれども、これも既に二月前に半分使ってしまった。それから青森県も、十九億円除雪費用を計上しているんですけれども、もう残りあと一億円で、恐らく三十億円を超えるだろう、そういう状況です。各県もそうですけれども各自治体、非常に厳しい状況に来ておりますので、ぜひ速やかな対応をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 それから、きょうは国土交通省津島政務官にもお越しをいただきまして、このことに関連してお伺いをさせていただきたいと思います。

 市町村道の除雪費についてなんですけれども、幹線市町村道除雪費補助の臨時特例措置を適用されてはどうかという質問です。

 それと、あわせてもう一点は、これは昨年と同様なんですけれども、除雪費に充当させるために、社会資本整備総合交付金のいわゆる保留解除、早期配分をぜひするべきだ、私はこう思いますけれども、国土交通省としてこの点についての見解を伺いたいと思います。

津島大臣政務官 お答えを申し上げたいと思います。

 連日のテレビそしてまた新聞の報道で、北海道初め、私どもの東北もそうでありますし、例年を非常に上回る大変な豪雪であるという報道がなされております。

 そこで、今御質問いただきましたけれども、これまでに、全国的に異常豪雪となった場合には、積雪が特に多い市町村に対しまして、臨時の特別措置として除雪費の補助を実施してきたところであります。

 また、地方自治体が実施する除雪につきましては、例年、降雪状況に応じまして、社会資本整備総合交付金を追加的に道府県に対し配分し、財政的に支援をしているところであります。なお、今年度も百二十六億余の保留をしております。

 この冬におきましても、今週もまた各地で大変な大雪になります。こうした降雪状況を踏まえつつ、適切に対応してまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

稲津委員 今、適切な対応と言いましたけれども、今のこの状況を見て、適切という言葉自体が適切なんですか。明確に答えてくださいよ。

津島大臣政務官 今まさに、そこのところを国交省の中でも検討して、なるべく早い対処をしていきたい、こう考えておりますので、よろしくお願いいたします。

稲津委員 これは、私は私見で言っているのではなくて、各県からも具体的に要望が出ていますよ。それをきちんと受けとめて、国交省としての対応をぜひしてください、こういう趣旨で私は述べさせていただいています。それは政務官も十分御存じだと思いますので、そこのところをしっかり対応していただきたいと思うんですよ。

 このことと関連して申し上げますけれども、聞きおくところによりますと、国道の除排雪の回数ですとか、あるいは融雪剤の散布の回数を削減している、これらに対する予算の縮減を行ってきたということ。これは、私は昨年も予算委員会等で質問させていただきましたけれども、国道の除雪のカット方式ですか、これは要するに、単純に言うと、いわゆる必要最低限の排雪をするというような受けとめ方もされていまして、走行する運転手さんだとか地域住民からも大変多くの苦情が出ましたよ。

 そういうことを踏まえて、昨年も大変な豪雪で、ことしもまさにそういう状況じゃないですか。だから、あえてきょうは政務官にお越しいただいたんですけれども、そこはぜひしっかりした対応をしていただきたい、このことを強く申し上げたいと思います。

 政務官、お忙しいですから、どうぞおいでください。どうもありがとうございました。

 それから、これは総務大臣にお伺いしますけれども、豪雪地帯対策特別措置法についてなんです。

 御案内かと思いますけれども、今年度で期限切れをするということで、これは、議員立法で、十年ごとに延長、改正を行ってまいりました。先般、全国の積雪寒冷地域振興協議会からも、特例措置の延長、それから雪処理の担い手確保、育成のための規定整備を要望されております。この特措法について、これら協議会からの要望も踏まえて、大臣の所見を伺いたいと思います。

川端国務大臣 雪害の防除等、豪雪地帯に対する施策について、これまでも豪雪地帯対策特別措置法に基づいて着実に推進されてきたというふうに評価をいたしております。

 この冬の厳しい積雪状況等を踏まえますと、当該地域の生活環境の整備改善は引き続き必要であるというふうに認識をしておりまして、加えて、近年は、今も御指摘ありましたように、高齢化あるいは過疎化の進展で、雪処理の担い手の確保など、新たな課題も生じてきております。

 そういう意味で、一部規定が本年三月末で期限切れとなる同法の改正、延長については、現在各党において議論されていると承知をいたしておりますけれども、総務省としては、こうした議論の動向も踏まえながら、関係省庁と密接な連携のもとに、引き続き豪雪対策に取り組んでまいりたいと思っております。

稲津委員 これは、ぜひ私どもも精力的に、議員立法の中で、延長、改正等々踏まえて検討していきたいと思っております。

 それでは続いて、今度は四次補正の予算案について少し触れさせていただきたいと思います。

 政府は、今回の四次補正予算案を、必要性、緊急性の高い追加財政需要に適切に対応するものといたしまして、整理整頓のための補正、このように位置づけているというふうに承知をしております。この整理整頓のための補正というのはどういう意味なのかということなんです。

 一次から三次までの補正については東日本大震災からの復旧復興という明確な目的があって、もちろん四次補正についてもそのことは踏まえていますけれども、しかし、そこのところの関係というのは若干希薄になっているだろう。例えば、生活保護費に一千三百三十九億円、それから、来年度の予算の上限も意識されたためか、いわゆる高齢者医療の負担軽減や安心こども基金の一年間延長などを見ていますと、来年度の予算の前倒しの性格が強いのではないか、こういう指摘もあります。

 そこで、今回の四次補正案の意義と位置づけについて、来年度予算の先取りではないか、そういう意見に対して、いろいろな指摘がありますけれども、総務大臣の見解をここで伺っておきたいと思います。

川端国務大臣 十二月一日に、内閣総理大臣指示として、第四次補正予算の編成についての指示が出ました。

 円高の進行、あるいはタイの洪水や欧州債務危機、我が国を取り巻く環境に大変先行き不透明感が広がりつつある状況を踏まえて、国民の安心、安全を確保する観点から、緊急に必要となる追加財政需要として、総額二・五兆円規模の施策を盛り込んだ補正予算であるというふうに認識をいたしております。

稲津委員 そこで、もう一点お伺いしたいのは、国債費の不用と税収見込みの上振れによる財源を新たな経費に用いることは果たして妥当なのかどうかということについてなんです。

 これもよく言われることなんですけれども、今回補正の二・五兆円、債務返済に充てるべきではないかという意見です。例えば、三次補正で復興債の発行によって財源の裏づけをした今年度の基礎年金の国庫負担二分の一の引き上げ、ここに充てた方が望ましいんじゃないか、こういう意見も一部あります。

 そこで、これらのことについて大臣はどのようにお考えか、この点についてもお示しいただきたいと思います。

川端国務大臣 今申し上げましたように、総理指示でのこういう厳しい経済環境も踏まえて補正を組むようにということの中で、災害対策費あるいは生活保護費の負担金などの義務的経費の追加という一千四百六億円、高齢者医療・子育て・福祉関係経費、円高により収益が悪化している中小企業の資金繰り支援経費など、緊急度の高い経済施策ということで二兆三百三十一億円、さらには、国税収入の増額補正に伴う地方交付税の法定率分の増額三千六百八億円などを積み重ねて、二・五兆円規模に編成をいたしました。

 まさに、総理指示にありますように、先行きが非常に不透明である部分に、少しでも国民の安心、安全を確保するということに必要な財源として、国債費の不用一兆二千九百二十三億円、国税収入の増一兆一千三十億円等を活用したものというふうに考えております。

 予算委員会でもいろいろ、御指摘のような意見の議論はございました。私たちとしては、そういう観点で、どうしても今必要なものを編成したというふうに認識をしております。

稲津委員 当然、必要性のあるものについて予算編成をしてこのように出されているということは、十分認識をいたします。ただ、私が先ほど質問の中で触れさせていただいたように、やはりどうしてもそういった、前倒しじゃないかという意見というのはかなり強くありますので、そこのところはしっかり見据えた上でやっていただきたい、こういうふうに思っております。

 それで、時間もかなり参りましたので、あと一、二問聞かせていただきたいと思うんですが、次は地方交付税のことについてです。

 大臣は、昨年の十二月十五日に国と地方の協議の場で、昨年は巨額の繰り越しがあったが、ことしはそういうことは見込めないんだ、こう発言をなされておられまして、このことはまさに、補正予算に伴う地方交付税の増額分というのは当然翌年に繰り越していくんだ、財源不足の解消に充てることができるんだ、そういう考えを示したとも受けとめられる、そのような発言ではなかったかと思うわけなんです。

 そこで、予算のいわゆる単年度主義から見たときに、このような繰り越し措置は妥当と言えるのかどうかということです。例えば、地方に交付した上で、地方の判断でそこは繰り越すとか、交付税会計の借入金の償還に充てるべきではないかとか、あるいは、地方交付税という自治体の独自財源を国の政策判断で翌年の地方交付税の原資とする形で繰り越すということは、地方交付税上、本則から見たときに妥当性があるのかどうかということ。これは、言ってみたらこのテーマの一番真ん中の話かもしれませんけれども、あえて確認の意味で、この点について大臣からお答えいただきたいと思います。

川端国務大臣 交付税がこういうふうにその年度でふえたときにどうするかということに関しては、過去も含めて、現在もいろいろな議論があります。例えば、それはむしろ償還に回した方がいいんじゃないかという御議論もあれば、それは配ってしまった方がいいんじゃないかという御議論もあります。

 ただ、今まで、ずっと過去も、特別に追加をして対応することが求められている財政需要を手当てした以外の部分は、従来から、基本的に翌年度に繰り越すという形で、要するに、財政需要があるものはしっかり手当てをしてやるという、一定の今までの仕組みのある意味での考え方の整理をされた中で取り組んでいるもの、今回もまさにそのものにのっとってさせていただいたということで御理解をいただきたいというふうに思っております。

稲津委員 終わります。

原口委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、被災者支援に関連して質問をいたします。

 雇用促進住宅への避難者に対する支援策についてお聞きします。牧厚労副大臣に御出席いただいております。

 最初にお尋ねしますけれども、雇用促進住宅への被災者の入居戸数と入居者数はどうなっているのか。この点。

 あわせて、仮設住宅の場合には、災害救助法に基づく必要最低限の設備とされている給湯器やエアコン、照明器具、ガスコンロ、カーテンという五点セット、これは設置をされているわけですけれども、雇用促進住宅に入居するに当たって、設置されている設備はこの大震災においてはどうなっていたのか。この点について、あわせてお答えください。

牧副大臣 お答え申し上げます。

 まず、第一点目についてでありますけれども、昨年の年末、十二月三十一日現在の数で申し上げると、入居戸数でいうと五千六十八戸、人数で一万五千百九十二名の方が雇用促進住宅に現在避難をしておられるということであります。

 二点目の御質問でありますけれども、災害救助法の適用で雇用促進住宅を使っていただければ、プレハブの仮設住宅同様の扱いになるというふうに御認識をいただければいいと思います。都道府県が実施主体でありますから、都道府県がこれを実施していただいて、借り上げるという形をとっていただければ、国庫において、災害救助法の適用という形になりますので、いわゆる応急仮設住宅と同様の設備を整えることがそのことによってできるというふうに私どもは認識をいたしております。

塩川委員 災害救助法の適用となる応急仮設住宅の扱いとなれば、当然必要な設備は設置をされるということですけれども、現状はどうなっているのか。

 例えば、先月、一月十七日付の読売新聞の栃木版におきまして、「避難者 給湯器のない冬」という記事が出ております。

 これは栃木県内の佐野市にあります雇用促進住宅の事例を挙げているわけですが、そこに福島からの被災者の方が入っておられます。しかし、この雇用促進住宅には給湯器が設置をされない。本来、仮設住宅であれば、当然のことながら給湯器は設置をされているわけですけれども、雇用促進住宅には設置をされておりません。ですから、入居者、被災者の方が、とても寒くてこのままではいられないということで、自前で設置をされているような状況が生まれているという報道の記事であります。何でこんなことになっているんでしょうか。

牧副大臣 御指摘のとおりだと思います。

 端的に申し上げれば、各被災県からの災害救助法適用の借り上げという手続をとっていただく、その手続が、恐らく人員の不足等々いろいろな事情もあるんでしょうけれども、そこが適切に進んでいないということだと思います。

 ただ、御希望をお聞きしながら、給湯器の設置についても順次進めているところでありますので、御理解をいただきたいと思います。

 民間の借り上げですとか、あるいは公営住宅を借り上げて、一義的に、まず御本人が借り上げたところも、後で追跡調査をしてもう一度それを県が契約し直すというようなことで、さかのぼって契約したり、なかなかいろいろ煩雑な作業の中で、この雇用促進住宅というのは無償で提供しておりますから、恐らくその契約がどうしても後回しになっているんじゃないかな、そんなことも想像されているわけでございます。

塩川委員 そもそも、雇用促進住宅というのは、応急仮設住宅の扱いになっているものはあるんですか。

牧副大臣 今現在、まだなっていないと思います。

塩川委員 五千戸以上、一万五千人以上の被災者の方が入居をしている雇用促進住宅、もちろん、無償で提供するという点で積極的な役割を果たしているわけですけれども、これが現時点で一つも仮設住宅扱いになっておりません。ですから、そのために、必要な備品などが設置をされないような状況が生まれている。ここに、被災者に大きな差が生まれるような支援の違いが出てくる。同じような被災に置かれている避難者の方々が、入っている施設によって支援の内容が異なってしまう、こんなことはあってはならない。これこそやはり改善すべき中身であります。

 これについてどう改めるのか、この点について厚生労働省としてお答えいただきたいと思いますし、あわせて川端大臣にも、やはり地方の立場から見てもいろいろ煩雑な仕組みの救助法の運営もあります。こういう点についても改善が求められているんじゃないのか。やはり被災者が入っている施設によって支援の内容が異なるのはおかしい、これをしっかりと是正する、こういう立場で当たっていただきたいと思います。それぞれお答えいただければと思います。

牧副大臣 おっしゃるとおりだと思います。一日も早く災害救助法の適用の形をとらせていただいて、分け隔てのない援助をさせていただきたい。そのことに向けて、各県においても一日も早く速やかに手続をとっていただけるようにお願いをいたしているところであります。

川端国務大臣 背景、経緯は、もう先ほど御議論で御承知のとおりだと思います。

 対応が被災者の間で差が出ることは好ましいこととは思っておりません。そういう意味で、関係府省とそれから関係地方公共団体が緊密に連携をとって、こういうことがないように取り組んでいくことが大変大事だというふうに認識をいたしております。

塩川委員 自治体の方にお聞きしますと、雇用促進住宅とかあるいはURは要するに国がやっているんだから、国の方でもしっかり対応してくださいよと。ですから、救助法に基づく仮設住宅は自治体の方でやるけれども、もともと雇用促進住宅、UR、国が関与してきた経緯がありますから、それはもう国の方でお願いしたいという要望があるというのが、こういう仮設住宅扱いになっていない背景なんだ。ここをしっかりと踏まえた対応を考える必要がある。ですから、自治体にお願いします、お願いしますというんじゃなくて、現時点でも応急仮設住宅扱いと同等の対応を雇用促進住宅で行うこと、このことが求められている。

 そういう点でも、実際にエアコンとか給湯器をもう自前で買ってしまった人というのは出ているわけですね。そういったものについては、その費用についてやはり戻す、そういった措置もあわせて行う必要があるんじゃありませんか。この点、厚労省、どうでしょうか。

牧副大臣 まず一点目、国がどのみちやっていることだから同じじゃないかと。確かにそうかもしれませんけれども、これは、あくまでも災害救助法の勘定でこれをやるわけで、したがって、被災者の生活に差があってはいけない、当然そういうことでありますから、その差を今埋めつつある中で、これは後でさかのぼって県から請求していただければいいわけですから、速やかに今給湯器の設備も進めているところであります。

 そしてもう一つは、後からキャッシュバックというお話もありますけれども、これは、あくまでも一時、応急避難的な災害救助の趣旨からして、この趣旨からやや逸脱しているんじゃないかな。あくまでも原資は国民の税金でありますから、やはりその辺は厳格に災害救助法の趣旨を守っていくということ、そしてまた、応急仮設住宅との、これもさかのぼってのキャッシュバックというのはありませんから、その辺との不平等があってもいけないという観点で施策を進めていきたいと思っております。

塩川委員 地方に負担を押しつけるような話ではなくて、国がしっかりと被災者に対する同等の支援を行うんだ、この立場で臨むべきだということと、被災者の方には何の瑕疵もないわけですね。要するに、たまたま雇用促進住宅に入る、迫られて入ったがゆえに、結果としてエアコンや給湯器も自腹で払わなくちゃいけなかったということを見過ごしていいのかという問題なんですよ。そういうことについて真剣に考える、このことこそ必要なんじゃないですか。改めてお答えください。

牧副大臣 全くそのとおりだと思いますから、そのとおり進めているという認識であります。ただ、時間のギャップは多少あったかもしれませんけれども、今、給湯器についても鋭意進めているということに間違いはないと思います。最終的に、これは災害救助法に基づいて国がそれを支出するということも間違いのないことであります。

 ただ、御本人が御自身でつけたものについて、後でキャッシュバックということは、あくまでも原資が税金である以上、我々はそこは厳格に守っていくべきだと考えております。

塩川委員 国や自治体の対応がまずいがゆえに、結果として被災者が自費で払わなくちゃいけなかったという経緯となれば、これに対して何らかの手当てをとるというのは当然のことだ。これはやはり国を挙げて考えていただきたい、このことを強く申し上げておくものであります。

 あと、もう一点お聞きしたいのが避難者数の把握の点ですけれども、これは昨年のこの委員会でもお尋ねしました。被災三県の避難者数の正確な把握がなされましたけれども、被災三県以外にも避難者の方々がいる、その点で、首都圏でも液状化や宅地の地盤被害の方々の避難者という点では、茨城、栃木、千葉、埼玉でのそれぞれの自県民の避難者数について質問をしたところ、復興本部として確認するという御答弁でありました。

 この点について、今の四県の避難者数の把握についてお答えいただけるでしょうか。

郡大臣政務官 塩川先生の昨年の御質問がございまして、お尋ねのございました四県のそれぞれにおいて、当該県民のうちの県内に避難している人たちの数を調査させていただきました。

 茨城県が千八百五十人、そして栃木県が三百三十九人、千葉県が六百五十人、埼玉県においては該当する方はいらっしゃらなかったということでございます。

塩川委員 首都圏の住民の方にも多数の避難者がいるということも改めてわかりました。

 重ねてお聞きしますが、この避難者の方には雇用促進住宅への入居者の方は含まれているんでしょうか。

郡大臣政務官 各県、各市町村に確認をさせていただきましたところ、お尋ねの四県につきましては、当該県民のうち県内に避難などしている方ですけれども、茨城県、栃木県、千葉県については、雇用促進住宅への入居者数、これは含まれていないということでございます。

塩川委員 それはおかしいんですよね。茨城県は、例えば北茨城市にたくさんの雇用促進住宅があります。そこに避難者の方が入居しておられます。その数が、今言った茨城の千八百五十人に入っていないということになるんですよ。

 これは、今の雇用促進住宅の人数の把握というのが、災害救助法に基づく応急仮設住宅の入居者に入っていないために、結果として漏れてしまっている、集約の対象の外になってしまっている、こういう状況が生まれているんですよね。こういうところもしっかり改善する必要があるんだ。

 もちろん、救助法に基づく応急仮設住宅の入居者は、これはお金の出入りがありますから、国としてもしっかり把握するようになって、三十数万という数になっているわけですけれども、雇用促進住宅は応急仮設住宅扱いになっていないがために避難者としてのカウントからも漏れてしまいかねない、こういう事態にもなっているわけで、この点での改善も必要であります。

 最後に大臣にお尋ねしますけれども、今言った、こういった雇用促進住宅に入居された方々が、支援策でも同等な扱いがされない、避難者数としてもカウントがされない、こんなことじゃまずいじゃないのか、こういうことをぜひ改善方お願いしたい。

 あわせて、埼玉県の避難者ゼロというお話もありましたが、例えば久喜市では、液状化被害がありまして、全壊の方が十一戸、大規模半壊四十一戸なんです。久喜市としては、避難をされている方に家賃補助の制度も実施をしているんですよ。それなのに、避難者の数がカウントされていないのもおかしいなと。この点についてもぜひ把握方お願いしたいのと、私は前にも申し上げましたけれども、取り崩し型復興基金については、この埼玉県も避難者、被災者の方はいるんですから、しっかりとつくるような対応も必要じゃないのか。

 以上二点について、大臣にお答えいただきたいと思います。

川端国務大臣 久喜市が、いわゆる特定被災区域で、いろいろな被害を受けられたことは承知をいたしておりますし、それぞれ、県も含めてどう対応するかということは、いろいろきめ細かくやっていただいているというふうに思っております。

 今お話しの基金の問題は、東日本大震災財特法に定める特定被災地方公共団体という指定をいたしましたので、埼玉県はそういう指定の区域でないという制度上の問題で、対象になりませんでした。

 ただ、これは特別交付税において基金をつくったわけでございますので、あくまでも特別交付税の使い道の一つの手法としてやらせていただいたということでございます。

 それ以外にも、震災も含めてでございますが、いろいろな部分で、個別の震災の復旧復興事業について、毎年度、丁寧に特別交付税措置を講じていくのが基本だというふうに思っておりますので、それぞれの各団体の復旧復興事業の実情について、引き続き十分にお話をお伺いしながら、適切に対処してまいりたいと思っております。

 雇用促進の入居者の部分は、これは先ほど来厚労省と御議論がありましたように、制度上でいいますと、県がそれを指定して借り上げれば全てすっといくんですが、いろいろな事情を含めて、そうなっていない。

 もう一つは、私の所管ではありませんが、雇用促進住宅の運営は家賃収入による独立採算ということで、国庫が入っていない仕組みの中で、協力していろいろエアコンをつけたりしていただいているという経緯であります。借り上げをしていただくと一気に進むので、そこにどういう隘路があるのか、これはよくお話を伺いながら対応するべきではないかというふうに思っております。

塩川委員 終わります。

原口委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正でございます。

 私は、提案されております法律について、数点質問したいと思います。

 今回の改正案では、第四次補正による法定率分の増加額三千六百八億円と第二次補正のうち一千億円を次年度に繰り越し、二〇一二年度分の地方交付税に加算する、このようにしております。

 そこで、まずお尋ねいたしますけれども、四次補正分について全額翌年度に繰り越すということになっていますが、その理由は那辺にありや。

 過去にも増額補正に伴う交付税増額が発生したことがあります。その際には、交付税として自治体に交付したこともありますし、自治体の借入金の返済に回したこともある。そういう過去の経緯がある中で、今回全額を次年度に繰り越したのはなぜか。他の措置をとらなかった理由をまず聞いておきたい。

川端国務大臣 お答えいたします。

 過去十年で見ますと、繰り越した部分と同時に交付税を増額したりしたこと、あるいは特別会計借り入れの償還をしたこともあることは事実でございます。

 ただ、全般的に見ますと、年度途中の補正に伴う交付税増収分は、従来から、追加的に発生する財政需要等への対応に必要な財源はちゃんと手当てするという以外は、翌年の財源として活用するということで繰り越すことを基本としてきたことは事実でございます。

 この取り扱いも踏まえ、このように、第四次の増収分三千六百八億円について、基本的に特別に追加をして対応すべき財政需要がございませんので、年度末であることから、全額を繰り越したわけです。

 これは、二十四年度予算においては、巨額の財源不足の中で、一方で特別交付税は前年度並みは必ず確保してほしいという強い強い要望という部分を踏まえて、これを償還に回しますと、その分また借金をするということにならざるを得ないということになりますので、こういう対応で来年度の確保等、財政需要に伴わない部分は繰り越すということと、来年度の予算の大変厳しい状況にしっかりと交付税を確保するという観点から、このような措置をさせていただきました。

重野委員 これは非常に原則的な議論なのでありますけれども、そもそも交付税という税は、地方自治体にとっては、自由に使える、決定的に重要な財源であります。

 今の大臣の答弁を聞いていますと、国と地方の関係、そういう関係の中で見ると、本来、地方自治体の裁量というものが優先されるべきものだと僕は思うんですね。

 そこ辺で、こういう決定をする過程において地方自治体とどういうやりとりがあったのかどうか、そこ辺もひとつ、明らかにされるものがあれば出していただきたい。

川端国務大臣 この繰越分を現実にどうするかということでけんけんがくがく意見交換をした経過はございませんが、基本的には、一番大きな論点は二つでして、一つは、これを交付しなければ財政措置を伴う事業に手当てできないということではないということです。

 そしてもう一つは、特に地方の皆さんからは、もうずっと予算編成の概算要求時点から、二十四年度予算において、二十三年度分を地方交付税において下回らないようにということは、必ず確保せよという、これは大変強い御要望でございました。

 加えて、概算要求時点におきましては、二十三年度のように一兆円規模の繰り越しがあったということが全くその当時は見込めない部分では、大変厳しい総額確保の状況であったということもありますので、そういう総合的な判断の中で、地方の御意向もそんたくする中でやらせていただいたので、おおむね御理解いただけるのではないかと思っております。

重野委員 言うまでもなく、地方交付税は地方固有の財源である、繰り返し申し上げますけれども。増額補正の際にそれをどのように扱うのか、根幹に触れる問題だと思います。その時々の国の事情などによってこの扱いが変わるというようなことは、交付税の性格から、適していないと私は考える。

 そこで、増額補正について、国の裁量というものが可能な限り限定されるべきであるし、自治体の裁量あるいは自治体の選択というものがより強く意識されるべきものと思うんですね。そういうふうな視点に立って、ルールを一つ導入する、そういう必要性、そういうようなものはいかがか。つまり、国の裁量が限定されるようなルールをつくってはどうか、あるいは、そういうふうな配慮の余地はないのかどうか、そこ辺について聞いておきたい。

川端国務大臣 ちょっと説明が不十分なのかもしれませんが、今回の部分が、裁量でやるというものではなくて、かねてからとられてきた一定の基本的な考え方、ある種の一定のルールに基づいて対処しているというふうに私は認識をしております。

 すなわち、交付税の使い道は地方の自主的なものにまさに委ねられているもので、自由に使えるお金でございますが、その部分は、年度当初において所要の交付税総額を確保しているわけでございます。そして、追加的に発生する財政需要で補正等々を組んだ場合には、その部分に伴って必要となる財政措置は講じるというときに、その除いた残額は翌年度に繰り越して、翌年度にまた配分するというのを今まで一定の我々なりのルールとしてきたところでございました。加えて、先ほど申しましたように、巨額の財源不足が見込まれる中で総額を確保するために繰り越しをさせていただきました。

 国の財政上の都合で交付税を翌年に繰り越すとか繰り越さないを決めているのではなくて、地方団体における追加的な財政需要等の状況、翌年度の財源不足の見込み等を踏まえてという考え方で、一定の我々なりのルールで運用しているというふうに考えておりますので、ぜひとも御理解をいただきたいと思っております。

重野委員 終了時間が来ましたので、以上で終わります。

原口委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 今回の東日本大震災に対処するための平成二十三年度分の地方交付税の総額の特例等に関する法律の一部を改正する法律案、要するに、国税収入の上振れで生じた交付税原資の法定五税の増分三千六百八億円、それと、二次補正の特別交付税に積んだ四千五百七十三億円のうちの一千億円、計四千六百八億円を翌年度に繰り越すための法案、いわば余した地方交付税の繰り越し法案ということが言えるかと思います。震災もあり、特例的にふやしたら、結局余しちゃいました、使い切れませんでした、だから来年度に繰り越します、こういうわけであります。

 それで、平成二十四年度予算を見ると、地方交付税交付金を八百億円増の十七兆四千五百億円にします、こういうことになっております。

 今回の法定五税の増収分、これは事前の税収見積もりと実際の税収上振れとのギャップによって生じたものであります。いわば、これは交付税特会の瞬間的な埋蔵金というふうに言えると思うんです。特別会計の埋蔵金については、例えば労働保険特会とか国債整理基金特会とか、積み立て過剰や剰余金、これを取り崩して一般会計に回せばいいじゃないかと私たちは言ってきたわけですけれども、いやいや、それはできません、それに、余ったら国債償還に回すことが決められています、こういうふうに政府は言ってきたわけです。だったら、これだって、政府のロジックに従うのであれば、交付税特会の借入金なり臨時財政対策債の償還に回すべきではないのか、なぜ来年度に繰り越すのか、矛盾しているのではないかと思いますが、お伺いをしたいと思います。

川端国務大臣 数字的には、今言われましたように、二次補正と四次補正の部分で、総額としては四千六百八億円を二十四年度分として交付税に加算するという法案でございます。それは御説明のとおりでございます。

 これは、二次補正の部分でいいますと、五千四百五十五億円は、国税五税の決算に伴う法定率の増分でありますので、仮に東日本大震災への対応という当初の地財計画において確保した財源に特別に追加をして対応することが求められる財政需要がない場合には、従来から、基本的に翌年度に繰り越した上で配分することとされております。被災団体における災害復旧事業の二十四年度への繰り越しは、今年度、このうち一千億円分について財政需要が生じない見込みとなったために、これまでの取り扱いに戻り、翌年度に繰り越すことといたしました。

 そして、四次補正分は、特別に追加をして対応すべき財政需要がなく、年度末でもあることで、繰り越すことにいたしました。

 巨額の特会借入金三十三・五兆円の解消を第一に考える立場でいえば、翌年度に繰り越すのではなくて、借入金の償還を優先するという考え方も当然議論としてはあるというふうに思います。しかしながら、現実に巨額の財源不足が生じている中で、安定的な財政運営を維持するため、毎年度の交付税総額を確保する、これはもう大変強い御要望であると同時に、必要でございます。

 仮に、平成二十三年度において四千六百八億円の特会償還を行うこととした場合には、平成二十四年度の財源不足額は四千六百八億円増加することになります。このことから、国、地方が折半して対処するということになり、その財源は国、地方ともに特例債でやるということになりますので、結果として国、地方の債務残高は変わらないということになってしまいます。

 そういう意味からも、今回の措置は、巨額の財源不足が見込まれる平成二十四年度において、交付税総額の確保に資するよう、従来の例によって対処することとしたもので、現実的な、妥当な対応であるというふうに考えております。

柿澤委員 本法案のレクで私は質問をさせていただいたんですが、担当課長がこういう説明をされました。法定五税は交付税交付金の原資として法定されている、それはそのとおりですが、だから、交付税特会の借入金の償還等には回せないというものなんですと。

 私はちょっと驚いたんですよね。なぜかというと、これだと、交付税原資として法定をされている法定五税の税収は、必ず交付税として全額使い切らなければいけないということになって、つまり、特会借入金や臨財債の償還財源はここからは永遠に生まれてこない、どこかほかから恒常的に予算を引っ張ってこなければ、この特会の問題は解決をしないということがこのロジックだとなってしまうわけです。

 法定五税は、交付税交付金の原資として法定されているので、特会借入金の償還等には回せない、課長さんがおっしゃったこの見解というのは、総務省全体の見解ということでいいんでしょうか、お伺いをしたいと思います。

川端国務大臣 こういう御質問でそういうことを御指摘いただきましたので、事務方を通じて確認をいたしましたが、認識のギャップがあるようでございます。

 事務方が説明した話は、私が先ほど申し上げましたように、大変厳しい財政状況の中で、一方で交付税総額はどうしても前年並みは確保してほしいという強い要請の中で、どう対処するか。

 そして、当初、概算要求時点においては、昨年度のような大きな一兆円規模の財源を見込むことができなかったという状況の中で、こういう事態が来たときに、これはやはり交付税をしっかり確保するということを含めて手当てをしようということでありますから、従来のように繰り越しましょうということで、償還に回す余地はないという状況にあったことを説明したと。

 法律的に国税五税の法定率分を特会借入金の償還に充てられないということを申したことではなくて、充てるような状況にはないということを申し上げたというのが私たちの立場でございます。

柿澤委員 認識のギャップから始まって、るる御説明をいただきましたが、要するに、できないわけではない、こういうことをおっしゃっているということで理解をしたいと思います。

 地財計画における交付税の所要額が法定五税の税収を下回る、要するに、法定五税の方が多くて地財計画の方が少ない、だからこのギャップが生まれる。こういう状況が生まれない限り、法定五税の枠内で特会借入金や臨財債の償還はできないということになります。臨財債三十兆円、特会借入金三十兆円、おおむねですけれども、巨額の財源不足が続く中で五年連続で交付税交付金はふやしました。これで過去のばらまきのツケをどうやって償還するんでしょうか。

 きょうは、資料として、交付税特会借入金の償還計画をお配りしていますが、これを改めて見てほしいんですよ。来年度予算で計画どおり償還財源一千億円を積みましたというわけですけれども、見てください。これから先、償還額がどんどん一千億円ずつ上がって、平成三十四年度から六十一年度まで実に三十年近くにわたって、毎年毎年一兆円ずつどこかから財源を持ってきて返す、どこにそんな財源があるんですか。こんな計画に現実味があるんでしょうか。つくった皆さんにも、議場の皆さんにも私はお聞きしたいというふうに思うんです。

 しかも、先ほど来もおっしゃっているように、巨額の財源不足が縮小しないまま続いている状況では、特会借入金を返済しますといったって、財源不足は臨財債で補うのですから、特会の借入金を臨財債に置きかえているだけというふうにも言えると思います。財源不足がある以上仕方がないんだ、これはもう度外視するんだというならわかりますけれども、私から言わせればこんなフィクションのような償還計画を出して、返せますというのは、私はとても受け入れられないというふうに思います。

 総務大臣、特会借入金の償還計画を、これは実現可能な現実的なものと考えているんでしょうか。これで交付税特会は過去のツケを払ってきれいになるというふうに思っておいでなんでしょうか、お伺いをしたいというふうに思います。

川端国務大臣 特会の借入金については、平成十九年から償還を繰り延べております。そして、御案内のとおり、三十兆を超す額になりまして、財政規律の維持の観点、それから金利上昇リスクの観点からも、このまま放置してはおけないということで、平成二十三年度において、新たな償還計画を、特別会計に関する法律附則第四条として、着実な償還を開始するということにいたしました。

 当初の分では一千億ということでございました。もともとの、改正前は、毎年一兆円から最終的には三兆五千億ということでありましたので、何とか漸増させて、長期にわたって、最終的には一兆円ということで、平成三十三年度から、原則として一兆円償還することにしました。

 これにあわせて、三十四年度までの間は、償還額の二分の一相当分について、一般会計から加算すること等の措置を講じているところでございます。

 何とかこれを達成するために、最大限、計画的に、着実にやってまいりたいと思っております。

柿澤委員 時間も参りましたので、終わりにしたいと思いますが、誰も地方交付税を減らしたいなんて思っていませんし、そんなこと言いたくないんです。しかし、この状況がある中で、またふやしました、こういうことで本当に持続可能性のある制度と言えるのか、このことをきちんと申し上げておきたい。

 以上で質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

原口委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、地方交付税の総額特例法改正案に対して、反対の討論を行います。

 本法案は、国税増収等によって増額となった地方交付税四千六百八億円を、来年度の地方交付税総額に繰り越すものであります。

 反対理由の第一は、現行の地方交付税法は、地方交付税が年度途中に増額となった場合、これを当該年度の特別交付税に加算して、地方自治体に配分すると定めております。被災自治体が復旧復興に向かっていよいよ力を発揮することが求められる今こそ、現行法の趣旨にのっとり、増額となった地方交付税を速やかに地方に配分すべきであるからです。

 反対理由の第二は、そもそも、各年度の地方交付税の総額確保は国の責任で行うべきことであって、増額となった地方交付税を翌年度の地方交付税の総額に積むためにツケ回すことは、国の責任を投げ捨てるものだからであります。

 震災復興特別交付税や取り崩し型復興基金の創設、特別交付税の特例交付など、震災対応としては、この間、従来にない踏み込んだ対応がとられてきたことは事実であります。しかし、被災自治体が、被災者支援、地域再生に向けて歩んでいくためにやらなければならないことは山積しており、何よりも自由に使える財源の確保を必要としています。

 増額分として配分された特別交付税の扱いについては、地方財政法は、災害により生じた経費の財源や緊急に実施が必要となった経費、その他必要やむを得ない理由により生じた経費の財源のほか、積み立てや地方債の償還財源に充てると定めており、それが、被災自治体を支える大きな力となり、全国の都道府県、市町村にとっても重要な財源となることは明らかです。

 現行法の趣旨にのっとって、増額となった地方交付税を速やかに地方に配分し、地方自治体自身の判断によって活用できるように措置することを求め、討論とします。

原口委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより採決に入ります。

 東日本大震災に対処するための平成二十三年度分の地方交付税の総額の特例等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

原口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十九分散会


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