衆議院

メインへスキップ



第2号 平成24年2月23日(木曜日)

会議録本文へ
平成二十四年二月二十三日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 原口 一博君

   理事 稲見 哲男君 理事 大泉ひろこ君

   理事 逢坂 誠二君 理事 野木  実君

   理事 皆吉 稲生君 理事 石田 真敏君

   理事 坂本 哲志君 理事 西  博義君

      小原  舞君    大西 孝典君

      奥野総一郎君    黄川田 徹君

      桑原  功君    小室 寿明君

      後藤 祐一君    白石 洋一君

      杉本かずみ君    高井 崇志君

      永江 孝子君    長島 一由君

      橋本  勉君    福田 昭夫君

      松崎 公昭君    山田 良司君

      湯原 俊二君    吉川 政重君

      和嶋 未希君    今津  寛君

      加藤 紘一君    川崎 二郎君

      菅  義偉君    平  将明君

      橘 慶一郎君    中谷  元君

      平井たくや君    森山  裕君

      稲津  久君    塩川 鉄也君

      斎藤やすのり君    重野 安正君

      柿澤 未途君

    …………………………………

   議員           稲見 哲男君

   議員           逢坂 誠二君

   議員           石田 真敏君

   議員           平井たくや君

   議員           稲津  久君

   総務大臣         川端 達夫君

   総務副大臣        黄川田 徹君

   総務副大臣        松崎 公昭君

   防衛副大臣        渡辺  周君

   総務大臣政務官      福田 昭夫君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      江利川 毅君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            尾西 雅博君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 田中 順一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          三輪 和夫君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            金子 順一君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十三日

 辞任         補欠選任

  山田 良司君     橋本  勉君

  谷  公一君     今津  寛君

同日

 辞任         補欠選任

  橋本  勉君     山田 良司君

  今津  寛君     平  将明君

同日

 辞任         補欠選任

  平  将明君     谷  公一君

    ―――――――――――――

二月二十一日

 地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)

同月二十二日

 国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律案(稲見哲男君外四名提出、衆法第一号)

は本委員会に付託された。

二月二十三日

 一般職の国家公務員の給与の改定及び臨時特例等に関する法律案(平井たくや君外四名提出、第百七十九回国会衆法第一号)

は委員会の許可を得て撤回された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 一般職の国家公務員の給与の改定及び臨時特例等に関する法律案(平井たくや君外四名提出、第百七十九回国会衆法第一号)の撤回許可に関する件

 国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律案(稲見哲男君外四名提出、衆法第一号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

原口委員長 これより会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 第百七十九回国会、平井たくや君外四名提出、一般職の国家公務員の給与の改定及び臨時特例等に関する法律案につきまして、提出者全員から撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

原口委員長 稲見哲男君外四名提出、国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律案を議題といたします。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。稲見哲男君。

    ―――――――――――――

 国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

稲見議員 民主党・無所属クラブの稲見哲男です。

 ただいま議題になりました、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党による三党共同提出の国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律案につきまして、提出者を代表して、その提案理由及び主な内容について御説明申し上げます。

 以下、本法律案について、順次御説明申し上げます。

 人事院の国会及び内閣に対する平成二十三年九月三十日付の職員の給与の改定に関する勧告に鑑み、一般職の職員、内閣総理大臣等の特別職の職員及び防衛省の職員の給与の改定を行うとともに、我が国の厳しい財政状況及び東日本大震災に対処する必要性に鑑み、一層の歳出の削減が不可欠であることから、国家公務員の人件費を削減するため、国家公務員に対する給与の支給に当たって、平成二十六年三月三十一日までの間減額して支給する措置を講ずる等の必要があります。

 これが、本法律案を提出する理由であります。

 本法律案は、国家公務員給与に関して、民主党、自民党及び公明党の三党で行ってきた協議における三党合意に基づき、新たに法制化されたものであります。

 この主な内容は次のとおりであります。

 第一に、人事院の勧告に係る一般職の国家公務員の俸給月額の改定等を行うこととし、一般職の国家公務員の給与に関し、人事院勧告どおり、医療職(一)表及び若年層を除き、平均〇・二三%俸給表を引き下げ改定するとともに、内閣総理大臣等の特別職の職員の俸給月額について、一般職の職員の給与改定に準じ、内閣総理大臣は二百五万円、国務大臣等は百四十九万五千円、内閣法制局長官等は百四十三万四千円とする等の改定を行うこととするほか、防衛省の職員の給与についても、一般職の職員の例に準じて改定することとなっております。

 また、一般職の職員及び防衛省の職員について、平成十七年の給与法改正に伴う経過措置を平成二十六年三月三十一日までとする等の措置を講ずるものであります。

 第二に、一般職の国家公務員及び内閣総理大臣等並びに防衛省職員の給与の臨時特例等を行うことであります。

 これに関しては、既に政府から提出されている国家公務員の給与の臨時特例に関する法律においても同様の措置が定められているところであり、臨時特例を設ける趣旨については、この政府案の考え方を踏襲するものであります。

 まず、本法施行の日から平成二十六年三月三十一日までの特例期間においては、一般職の職員の俸給月額の支給に当たっては、俸給月額に、係員級職員については百分の四・七七、係長及び課長補佐級職員については百分の七・七七、課室長級職員及び指定職俸給表の適用を受ける職員については百分の九・七七を乗じて得た額に相当する額を減額することとし、期末手当及び勤勉手当の支給に当たっては、減額前の俸給月額等を基礎に算定した支給額に百分の九・七七を乗じて得た額に相当する額を減額する等の措置を講ずることであります。

 次に、特例期間においては、内閣総理大臣等の特別職の職員の俸給月額の支給に当たっては、俸給月額に、内閣総理大臣については百分の三十、国務大臣級または副大臣級の俸給月額を受ける者については百分の二十、大臣政務官、常勤の委員長等、大公使については百分の十、特別職の職員の給与に関する法律別表第三に掲げる五号俸以上の秘書官等については百分の九・七七、一号俸から四号俸までの秘書官については百分の七・七七を乗じて得た額に相当する額を減額する等の措置を講ずることであります。

 さらに、防衛省の職員の給与等に関する法律の特例として、防衛省の職員の俸給月額の支給に当たっても、一般職の職員と同様の減額支給措置を講ずることであります。

 最後に、この法律は、一部の規定を除き、公布の日の属する月の翌月の初日から施行することとしております。

 なお、自衛官等の臨時特例につきましては、特段の配慮をし、給与の減額措置の適用につき、その施行の日から六月を超えない範囲内で政令で定めることとしております。

 何とぞ、十分に御審議の上、本法律案にぜひ御賛同いただきますようお願いを申し上げます。

 以上であります。

原口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

原口委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局給与局長尾西雅博君、総務省人事・恩給局長田中順一君、自治行政局公務員部長三輪和夫君及び厚生労働省労働基準局長金子順一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斎藤やすのり君。

斎藤(や)委員 新党きづなの斎藤やすのりでございます。

 きょうは、本当に貴重な時間をいただきまして、ありがとうございます。委員長それから理事の皆さん、委員の皆様に、二十分の時間をいただいたことを心より感謝申し上げます。

 さて、唐突ですけれども、ベネッセという会社がございまして、そこで子ども生活実態基本調査報告書というのがございます。これはちょっと難しい調査報告のようですけれども、簡単です。あなたがなりたい職業は何ですか、そういう職業でございます。小学生の一位が野球選手、二位がサッカー選手、女の子が保育士、二位が看護師ということになっておりますけれども、これが中学校以降は公務員のランキングが上がってきまして、高校生は男女ともに公務員になりたいというのが一位でございます。親は小中高ともに子供を公務員にさせたがっている。この傾向というのが年々高まっているということなんですね。

 なぜ公務員に高校生、学生さんがなりたがっているのかといいますと、これはやはり、終身雇用がなくなって、民間の企業が非常に今不安定になっている、雇用が不安定になっていること、それからさらには、やはり公務員が安定しているということと官民較差がどんどん広がっているからこういうデータが出てくるのかなというふうに思います。

 さて、いよいよ消費税の法案が三月にも出されます。九七年の税率アップのときは三%から五%でございました。それが結局、個人消費とかそれから民間投資をきんきんに冷やしちゃいまして、金融危機のきっかけになりました。そして、今回は、五%から八%、それから八%から一〇%、しかもあの九七年よりも大変ひどいデフレでございます。

 今本当に民間は大変ですよ。国家公務員と民間の給与を比べてみますと、民間給与が九七年が四百六十七万円で平成二十二年が四百十二万円ということで、五十万円も下落しております。

 一方で、国民の中には、国家公務員は世間では厚遇されているんじゃないか、いい給料をもらっているからもっともっと身を削ってくれという声が大変多くなっております。官民較差というのはどんどん広がっちゃっているよねというのが多くの国民の認識だと思います。

 そこで、政府にお聞きしたいんですけれども、これは、比較対象の選択というのは大変難しいと思うんですけれども、官民較差の存在というのは認識されているのか。もし客観データというのがあれば、お示ししていただければ助かります。よろしくお願い申し上げます。

川端国務大臣 お答えいたします。

 御案内のとおり、国家公務員の給与は、人事院が毎年、国家公務員と同種同等の民間企業従業員の賃金の実態を調査して、国家公務員の給与と民間企業従業員の賃金とを均衡させることを基本に勧告を実施して、原則としてはその勧告を政府として実施するということでありますので、現行制度のもとでは、国家公務員の給与水準というのは、民間準拠、いわゆる民間に準じた形でやるということで、これまで人勧どおり給与改定が行われてきた結果をあらわしているということがもう大原則でございます。

 今数字をいろいろお示しされましたけれども、目的、対象が異なる調査データで比較するのは事実上なかなか困難でございます。どちらが引き下げが進んでいるかとかいうことを一概に比較することはなかなか難しいのではないかというふうに思っております。

斎藤(や)委員 大臣、ありがとうございました。

 なかなか妥当なデータがないということなんですけれども、そもそも、この人事院の民間給与の調査データというのが私から見るとちょっと怪しい。これは過去、総務委員会などで何度か話し合いが行われていることだ、議論が行われていることだと思うんですけれども、公平な調査とはちょっと言いがたいんじゃないか。ベースの民間企業調査の対象がどうも優良の大企業に偏っているんじゃないかというふうに思われる節があります。

 建前では従業員数五十人以上の企業を調査していることになっていますが、内訳を見ますと、一昨年までは、五百人以上の企業については全国の八割程度の四千社程度を調査しているのに対し、それ以下の五十人から五百人規模では全国の二割程度の五千九百社程度の調査にとどまっている、そういう報道もございます。その結果、人事院勧告のベースになっている民間給与は高目に出ている。

 二十三年度のデータを見てみますと、百人以上五百人未満の会社のサンプル数をふやしましたけれども、やはりそれでも大企業、優良企業に偏っているんじゃないか、そういう形なんですが、このあたり、政府の認識はどうでしょうか。

川端国務大臣 議論としていろいろな議論があり、評価もあることは事実だと思いますが、基本的には、客観的に、可能な限り官民の同一業種、同一職種に関して比較ができるように、今御指摘の五十人以上というのがいいのかどうかという議論が、いろいろな議論がされていることは事実でありますが、できるだけ民間準拠になるデータが正確にとれるようにと人事院においては努力されているというふうに認識をしております。

 詳細は、人事院が主体的にやることでございます。

    〔委員長退席、逢坂委員長代理着席〕

斎藤(や)委員 一方では、これもよく知られていることですけれども、国税庁のデータというのもあります。これは民間の給与実態統計調査ですけれども、こちらは従業員五十人未満の企業も対象になる幅広い調査です。

 ですから、ずっと民間給与は、人事院の調査と国税庁の調査というのは大体百万円程度の開きがあるということですから、ぜひ国税庁のデータ、そもそも国で、政府で二つデータがあるというのが間違いでございまして、そろそろこの二つの標準というものをなくした方がいいのではないかなというふうに思いますので、ぜひとも検討をお願いします。大臣、どうでしょうか。

川端国務大臣 二つの基準があるということではございませんで、人事院は、先ほど申し上げましたように、同じような仕事をしている人の官民の比較をするというか、民間のベースを調査する目的でありますが、国税庁のデータは、要するに、税収、租税収入の見積もりあるいは税務行政運営の基本資料とすることを目的としまして、民間の給与所得者の給与について、源泉徴収義務者、いわゆる事業者ですね、給料を払う側の人、これを、全事業者を調べまして、一年間にわたって勤務した人に払った総額を、源泉徴収事業者が幾ら給料で払ったかというのを何人分ですかというので割った額であります。

 したがいまして、これは目的が違うと同時に、派遣労働者等々で複数登録している人は、人数的にはダブルカウントされる。もう一つは、先ほど比較されて、五十万円下がったという期間でいいましても、非正規雇用者比率は、平成十二年で二六・二%から、平成二十二年、三四%と、十年で八%ぐらいふえている。したがいまして、労働構造が変化する中で、この国税の数字は当然ながら変化する。目的が違う数字ですので、一概にこれとこれでということではないということだけは御理解をいただきたいと思います。

斎藤(や)委員 どうもありがとうございました。

 ただ、人事院の勧告では、〇三年から〇八年にかけて、十七万円民間給与はふえています。おいおい、ちょっと待てよ、全然これはふえていないよ、デフレでどんどん下がっちゃっているのに、何で民間給与は十七万円ふえているのというのが庶民の感覚だというふうに私は思います。逆に、その国税庁の調査では九万円減っています。ですから、こちらの方がやはり庶民の感覚。データの捉え方、バイアスのかけ方というのはございますけれども、やはりもう少し民間のデータの深掘りというのをしてもいいのではないかなというふうに私は思います。

 民間の収入はどんどん下がりっ放しで、しかも、今回、税率がどんどん、増税のオンパレードです。何が言いたいのかといいますと、九七年の増税のときよりも、今回の増税で、民間の懐への打撃というのは大変、破壊力というのはすさまじいものがあると私は思いますので、国民の皆様に相当な痛みをもたらすわけでございますけれども、増税の前に、こういった国税庁とそれから人事院の民間の給与の算定の仕方などにおいても、ぜひもう一回考慮していただきたいというふうに思います。

 さて、官民較差というのは、給与だけではなくて年金もあります。これは委員の皆さん、釈迦に説法だと思いますけれども、支払う保険料は安いのに、支給される額は、公務員の方はほかの年金よりも多い。遺族年金でも、サラリーマンが子供だけに支給されるのに、公務員の方は孫まで対象というぐあいに、大変おいしいものがございます。共済年金は、御存じのように三階部分がありまして、例えば、ともに月収四十万円の人がそれぞれ三十八年間勤めた場合は、公務員の方が年額で二十万円前後多く年金をもらえる。こういうものを見ますと、本当に親が子供を公務員にさせたいなというのはよくよくわかるわけでございます。

 それから、さまざまな給与にトッピングされているオプション、手当も浮世離れしているのではないか。私は民間で二十年間サラリーマンをやっていましたので、転勤もありました、本社勤務もございましたけれども、ちょっと疑問に感じた手当がございますので、それをちょっとお聞きしたいんですが、国家公務員の方には、広域異動手当というのと本府省業務手当というのがあると思いますが、これはどういう手当でしょうか。

田中政府参考人 ただいまの御指摘の、まず広域異動手当でございますけれども、広域的に転勤のある民間企業の賃金水準が地域の平均的な民間企業の賃金水準よりも高いことを考慮して支給することとされ、平成十九年から導入されております。

 なお、これは給与減額支給措置の対象となっておりまして、今回は俸給連動で減額対象でございます。

 それから、もう一つ御指摘の本府省業務調整手当でございますが、これは本府省の業務に従事する職員の業務の特殊性、困難性、本府省に必要な人材を確保することが困難になっている事情を考慮し、本府省の課長補佐、係長、係員に支給されている手当でございまして、平成二十一年度から導入されております。

 以上でございます。

斎藤(や)委員 ちょっと、よくわかりにくかったんですが、もうちょっと具体的にと思うんですけれども、つまり、ある程度の距離、恐らく、私が調べたところでは六十キロ以上だと思うんですけれども、六十キロ以上の異動があると三年間給与に手当がつく。それから、三百キロになるとさらにトッピングされる。本庁に帰ってくると、本庁で働くと、係長クラスで月給にプラス一万円程度つく。これは、なぜ本庁で本庁手当がつくのかというと、本庁の方が仕事が大変だからということだと思うんですけれども、本当にこの感覚というのは、私は民間の感覚からいうとよくわかりません。

 給与というのは、やはり仕事の対価なわけでございます。与えられた仕事をやることで給与がもらえるわけで、一々そんなふうに手当をつけたら切りがないというふうに私は思いますので、このあたりの手当の見直しというのは、私は徹底的に見直しを図るべきだというふうに思います。

 それともう一つ、ちょっとこれも理解しがたかったんですが、困難な職種に対する加算措置、これはどういうものなのでしょうか。よろしくお願いします。

田中政府参考人 俸給の調整額についての御指摘だと思います。

 これは、同一の俸給表の同一の職務の級に属する官職であっても、その職務の複雑、困難もしくは責任の度または勤労の強度、勤務時間、勤務環境その他勤務条件が他の官職に比べて著しく特殊な官職について、その特殊性に基づき俸給月額を調整するとしておりまして、例えば、地方厚生局の麻薬取締官であるとか、地方航空局の航空管制官などが対象職員として挙げられております。

 以上です。

斎藤(や)委員 例えばどういう職種につけられているんでしょうか。具体的なその職種を教えていただけますでしょうか。

田中政府参考人 済みません、手持ちの資料で申し上げますと、刑務所、少年刑務所、拘置所等にいらっしゃる医師及び歯科医師の方であるとか、あるいは薬剤師の方、看護師長の方などでございます。

斎藤(や)委員 恐らくストレスがかかるからその部分で加算されるということですけれども、仕事というのはやはりストレスがかかるもので、さっきも、何度も言いますが、労働の対価ですから、私は、こういった加算されるということに対して非常に理解しがたいですので、このあたりは徹底的に追及をしていきたいというふうに思います。

 それから、今回、七・八%削減ということで、これは二年間限定でございます。政権公約、私も二年前の総選挙で国家公務員の総人件費二割削減ということを訴えて、そして負託を受けたわけですけれども、この七・八%、二年間限定でございます。その後どういうふうになるのか、どのようなフローでこの二割削減というのを進めようと考えていられるのか、大臣にお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 国家公務員の総人件費の削減二割ということであります。

 具体的にどういうことでそれを達成するかという項目を申し上げますと、一つは給与水準の引き下げ、もう一つは退職金等の水準の見直し、それから、国の事務事業の徹底した見直しによる行政のスリム化、これは結果として定数削減、そして、いわゆる地方分権推進に伴う地方移管等々、全部を組み合わせてやることによって、平成二十五年度までにめどをつけることとして、二割削減の目標に今取り組んでいるところであります。

 行革の諸課題については、先般、一月三十一日に行政改革実行本部を設置して、政府一丸となって取り組むこととしておりまして、総人件費削減についても、公務員の計画的な削減の推進、公務員の人事・給与制度改革の推進など、具体的な見通しも含めて着実に実行していくこととしているところでありまして、私も副本部長として取り組んでまいりたいというふうに思っております。

斎藤(や)委員 きのう、前原政調会長が、これだけひどい財政状況を考えれば、二年間でまたもとに戻しますということはできるはずがない、私もそれは国民が許さないと思っているということを言っておりましたが、まさにそのとおりだというふうに思います。七・八%削減、二年で終わりということにはしないでいただきたいと思います。

 新党きづなは、増税の前にやるべきことがあるということを訴えております。この総人件費二割削減も、法案に書きましたということだけではなくて、具体的に、いつから始めるか、それをきちんと決めること、国民に示しをつけること、やるということを決めてから、ぜひその増税をしていただきたいというふうに思います。

 それから、きょうも言いましたけれども、官民較差というのを本当にできる限り少なくしてください。国民はみんな怒っています。国民が納得してから負担をお願いしていただきたいというふうにお願い申し上げます。

 以上、時間をいただきまして、ありがとうございました。

逢坂委員長代理 次に、坂本哲志君。

坂本委員 自由民主党の坂本哲志でございます。

 今回の法案提出者の方にお伺いをいたしたいと思います。

 今般の法案は、自民、公明が提出した法案を基本に修正を加えたものというふうに理解をいたしております。ですから、労使交渉の当事者である政府が提出したものではなくて、これは議会の方で給与に関しての定めをしたということになります。ですから、論理的には非常に難しいところもあると思います。人事院勧告、実施されることになっておりますが、人事院勧告は、内閣総理大臣あるいは国会、まあ内閣総理大臣の方に勧告をするわけですね。それに対して、議会がその勧告に対して実施するというようなことを決め、さらには、それを含んだ上で七・八%の削減をするということで、労使交渉の経緯にとらわれずに、議会として国家公務員の給与を引き下げるというふうに決めたということであります。

 今回、それが特殊な例なのか、それとも、今後この国家公務員の給与の引き下げに当たって、議会がこういう形で、あるいは議員提案の形で給与を引き下げるということもあり得るのかどうか、この辺の見解についてお伺いをいたしたいと思いますけれども、いかがですか。

平井議員 これは私、今回初めてのケースなので、いろいろ勉強させていただきました。

 人事院勧告は、内閣と国会に対して勧告をし、通常は内閣が閣法で出していたわけですが、今回、いろいろな経緯があって、要するに、三党合意の中で、議員立法という形で、人事院勧告も含む給与改定を提出するということであります。

 しかし、こういうことは今後あり得ると私は思っていますし、今回、委員にもいろいろ御協力をいただきましたけれども、三党共同の議員立法という形で、人事院勧告実施部分も含んだ法案を提出するという、非常に異例の形ではありますが、今後十分あり得るやり方ではないか、そのように思っています。

坂本委員 異例ではあるけれども今後十分あり得るということは、例えば人事院の勧告に対しても、あるいは給与の引き下げあるいは引き上げに対しても、今後国会として、議員提出としてのこういった法案というのが出てくるということですね。

平井議員 人事院勧告は内閣と国会に対して勧告をする。それを受けて、議員立法が、今回我々やるわけですから、国会の意思として、こういう形は十分あり得ると思います。

    〔逢坂委員長代理退席、野木委員長代理着席〕

坂本委員 当初の政府案によりますと、人事院勧告は実施しないということでありました。それは平均七・八%の給与引き下げの中に内包されるというような論理であったというものでありますけれども、今回の法案は人事院勧告に係る給与改定を実施した上で平均七・八%引き下げるというものであります。ですから、人事院勧告の〇・二三の引き下げ、そしてそれを含んだ上での七・八%の、要するに政治的な判断による引き下げになったんだというふうに思います。

 ということは、この二年間、七・八%の給与引き下げということは関係なく、人事院勧告というのはその後も勧告として尊重をして実施していくというふうに理解してよろしいんですか。

稲見議員 人事院勧告は国家公務員の労働基本権の制約に対する代償措置でありますから、人事院勧告を尊重するというのが政府の基本方針であるというふうに提案者としても理解をいたしております。

 ただ、今のお問い合わせの平成二十四年度の人事院勧告につきましては、出るか出ないのか、あるいはプラスかマイナスか、これは今は不透明でありまして、そういう意味では、そのときに政府が第一義的にこれについての対応を決め、そしてその上で国会がそれに対して対応する、こういうことになろうかと思います。

坂本委員 では、大臣の方にも重ねてお伺いします。

 労働基本権の制約の代償としての人事院勧告があるということであれば、今後も人事院の勧告に関しては十分に法の趣旨にのっとって尊重するということでよろしいんですね。

川端国務大臣 人事院勧告は基本的に尊重してしっかりやるというのが原則でございます。そのとおりでございます。

坂本委員 今回の人事院の勧告というのは、官民較差の是正、それから俸給体系の改善というものを意図したもの、その中で〇・二三%の引き下げというものが勧告されたんだと思います。それ以外の引き下げ分七・八%、まあ人事院勧告も内包された上での七・八%という、人事院勧告以外の引き下げ分については、これは東日本大震災の復興財源というふうに考えて、理解してよろしいんですか。

平井議員 削減分が直ちに東日本大震災の復興財源に充てられるかどうかはわかりませんが、この〇・二三の削減分も含めて、政府において適切に予算が組まれるものと考えております。

坂本委員 復興財源も含めて、復興財源のみではないということですね。今の経済状況あるいは財政状況を考慮した上での七・八%の引き下げということでよろしいんですか。その辺、もう一回、きちんとした答弁をお願いします。

稲見議員 臨時特例法案というのは復興財源に充てる、こういう形で出されておりますし、さらには今の大変厳しい経済状況に対応するという形の減額であります。今回も政府の臨時特例法案をベースにして三党の合意の議員立法ができておりますから、先ほど提案者、平井先生からありましたように、〇・二三を含めて、細かい点は先ほど申し上げたとおりでありますが、全体としては復興財源に充てられる、こういうふうに我々としても認識をいたしております。

坂本委員 全体として復興財源に充てられるということで、国家公務員みずからが身を切るというような姿勢を示すというような意味での七・八%というふうに理解いたしました。

 であるならば、これは当然、要するに、官民較差ということも言われておりますが、地方公務員の方にも波及させるべきである、あるいは国民感情として当然、国家公務員のみならず地方公務員、あるいは、総理がこれは一回、予算委員会で答弁されておりますけれども、公的セクターというようなところにも波及すべきであるというふうに総理は答えられておりました。

 しかし、当初、自民党、公明党の案には、地方公務員の給与に関し、国家公務員に係る措置に準じた措置を講ずるよう要請するとともに、助言その他の対応をとることという条文があったというふうに思います。これは、国家公務員が身を切るのであるならば、地方公務員も当然身を切るべきだということで、この条文が入っていたと思いますけれども、今回の共同提案の法案には、それが抜けております。なぜですか。そして、それがなぜ抜けて、どういう理由だったのかということをお答えいただきたいと思います。

平井議員 ここが三党協議で非常にもめたという点は、報道されているとおりでございます。最終的に今回、三党の中で合意を得ましたのは、附則に、「地方公務員の給与については、地方公務員法及びこの法律の趣旨を踏まえ、地方公共団体において自主的かつ適切に対応されるものとする。」というような形にさせていただいています。ここの重要なところは、要するに、「地方公務員法及びこの法律の趣旨を踏まえ、」ということではないかと考えています。

坂本委員 その辺のところは、我々自民党としても部会で大変論議になりました。国家公務員、これだけ身を切るのであれば、地方公務員も当然やはりそれに準ずるべきではないか。それに対しての助言も含めて、いろいろな形でやるべきではないか。また一方で、地方交付税、基準財政需要額、その人件費も含めて、地方交付税の削減というのもやはり考慮すべきではないかというような強い意見もあったところでございます。

 そういうことも考えますと、私は、この条文の中に、地方公務員に対する努力、助言あるいは指導、こういったものも盛り込むべきではないかというふうに思います。現実問題として、もし七・八%、国家公務員が削減されますならば、地方公務員のラスパイレス指数はかなり上がるはずです。多分、一〇七・二とかあるいは一〇六・何とかいうようなものになりはしないかというふうに思います。

 もちろん各地方自治体で、この五年間あるいはこの十年間、定数削減あるいは給与削減も含めて大変な努力をしていらっしゃるということは十分わかります。しかし、それを含んで考えても、国民感情として、地方公務員に対するさまざまな給与削減、これはやはりやむを得ないのではないかというふうに思いますし、地方に行けば行くほど官民較差というのは非常に大きくなります。しかも、私の選挙区でも、地方に行けば、あるいは山間地に行けば行くほど、役場の職員の方々というのは共稼ぎが多くなります。

 そういうことあたりを考えますと、私は、条文の中にしっかりした形で、附則の形ででも条文として、この地方公務員への波及というものを盛り込むべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

平井議員 自公案ではそういう形になっておりましたが、今回は、三党協議の中で合意を得る過程でいろいろありまして、最終的には附則に盛り込みました。

 ただし、先ほど委員がお話しになっておりましたとおり、平成二十二年四月一日時点でのラスパイレス指数が九八・八、そして今回の七・八の国家公務員の引き下げが実施、実現すれば、地方公共団体、平均のラスパイレス指数は一〇七近くになるんですね。そういう事実をどのように考えていくかということだと思います。そうなりますと、個別の地方自治体を見ても、八割強の団体ではラスパイレス指数が一〇〇を上回るようなことにもなります。ここを今後どのように考えていくかという別の議論になってくるのではないかなというふうに思います。

 ただ、私たちは、自民党の立場で答弁をさせていただきますと、我々の政権公約は、公務員の総人件費の二割を削減という形であります。民主党さんの場合は、国家公務員の人件費の二割。ここが違うといえば違うところなんでありますが、我々としては、今後、その全体の人件費を下げていくという形を目指して努力をしていきたい、そのように思っています。

坂本委員 大臣にお伺いをいたします。

 政府・与党の社会保障・税一体改革におきましては、今般の国家公務員の給与引き下げは身を切る改革というふうに位置づけられております。もし、この法案が可決をいたしまして、二〇一二年度、そして二〇一三年度、これが実施をされたといたします。それは二〇一四年の三月までということになります。しかし、この三月まで、期限が切れると同時に、いわゆる消費税の第一弾である八%までの引き上げというのが二〇一四年の四月から始まるわけであります。こういうことは、やはり国民感情を逆なでするんではないかというふうにも思うんです。

 この削減法案がちょうど切れるときに、国家公務員の給与削減が切れるときに、時を待たずして、まさに四月一日から消費税の引き上げになるということになりますので、やはり削減期間の延長あるいは恒常化、恒久化、こういったものは必要になってくるんではないかなと。きのうですか、前原政調会長もそういうことに言及しておられたようでありますけれども、大臣としてどうお考えになりますか。

    〔野木委員長代理退席、委員長着席〕

川端国務大臣 答弁の前に、三党で本当に真摯な御議論の中でこういう法案を提出されたことに対しても、私からも、立法府の行為に対しては御苦労を多としたいというふうに思っております。

 その中で、人事院勧告制度のもとでありますので、基本的には、人事院勧告に従った給与を改定する以外に原則的には給与はいじらないという制度でありますので、それを、こういう大変危機的な状況にあるということを踏まえて私たちも法案を提出しておりますし、今回、三党でいろいろ御議論も、その前提に立っていただいているという意味では、今の段階で恒常的な制度として給料を下げるということは、やはりいろいろ、憲法上の問題も含めてこれは難しかろうという判断で、臨時特例的なものとしてがぎりぎり許されるというふうに判断をいたしました。

 しかし、トータルとして、公務員の給与のあり方を含めて、厳しい財政状況の中、また社会保障・税一体改革の中の御議論、国民感情からいうと、こういうものがどうあるべきかは、これは二十六年四月一日ですから、それまでに新たな人事院勧告も出されるでしょうし、それから、それ以降の公務員の給与はどうあるべきかが、一つは、私たちが出している国家公務員の四法案による自律的労使関係ができているのか、あるいは、法律が通らずに、引き続き人事院勧告制度のもとなのかを含めて、そのときの政治判断として、これが、期限が切れるときの給料のあり方は、政府として真摯に考えなければいけない課題だと思っております。

坂本委員 私は、大臣が言われるとおりだと思いますし、政権与党といえども、やはり民主党の幹事長が、恒久的な措置とかいうようなことを軽々に発言することは不謹慎だなというふうには思うんですよ。そのことについては、何かあるんですか。(発言する者あり)ああ、幹事長じゃない、政調会長。ですから、このことについては、今後、十分慎重に考えながら、国民の皆さんたちのお考えもやはりしっかりと受けとめていかなければいけないというふうに思います。

 最後に、これも大臣にお伺いしますが、民主党政権、二〇一〇年のマニフェストでは、国家公務員の総人件費二割削減というふうにうたわれております。今回、二カ年分の復興財源としての約六千億円、これは、このマニフェストの中、国家公務員の総人件費二割削減の中には入っていないというふうに理解してよろしいんですね。

川端国務大臣 マニフェストにおいては、給与の引き下げ、退職金の見直し、行政のスリム化、あるいは地方移管等々を組み合わせてやるということでお約束をいたしました。その時点では、この震災は起こっておりませんでした。

 そういう意味で、今回は、各党の法案の御審議中でありますが、政府としても、この非常に厳しい財政状況、特に震災対応を含めた財源に資するということで、臨時特例的に対応したという意味では、これがそのままダイレクトに含まれているということではないというのが、流れからいえばそうだと思います。

 しかし、実質的に、大きく七・八%の給与削減に踏み込んでいただけるということは、人件費の二割削減という目標の達成に向けた取り組みの一環にはなるというふうに理解をしております。

坂本委員 何か歯切れが悪い、入り口で七・八%というようなことでありますけれども、自由民主党としても、今後この民主党政権の二割削減の問題について追及をしていくということを主張いたしまして、質問を終わります。

原口委員長 次に、今津寛君。

今津委員 自由民主党の今津寛であります。

 発言の機会をいただきまして、ありがとうございました。

 震災は本当につらい経験でした。黄川田先生を初め、直接家族が被害に遭われた方のお気持ちなどは、私なんぞがとても想像できるものではないと思いますが、しかし、それを乗り越えて、しっかりとした復興をし日本国を再建させる、今、一丸と国民がその大きな問題に取り組んでいるところであります。

 その中でも、自衛隊の活躍は目覚ましいものでありました。御承知のとおりです。国民の皆さん方にアンケートをとった新聞があるんですが、自衛隊は頑張ってくれたのか、八十数%の国民の人が、頑張ってくれた、こういう回答でした。

 消防、警察、ボランティアの人たち、それから自治体の責任者の人たち、職員、寝ないで頑張ってくれて、そういう大きな評価でしたが、残念なことに、では政府はどれぐらい頑張ったのか、こういう認識は、たしか私の記憶では六%ぐらいだったと思うんですね。では国会議員はどうだったのかというと、それはもっと低くて、三%ぐらいだったのではないかというふうに思います。言いたいことは多々私たちもあるのですけれども、謙虚にその声を聞かなければならないというふうに思います。

 その中で、例えば自衛隊の方々は、十万人以上の人が動員をされて、アメリカを初め百数十カ国の支援もいただいて、立派に頑張ったと思うんです。空中からの給水作業など、一日おくれたということは、それだけ危険な状態の中で作業をするということで、責任者が判断を一日おくらせたということの中で強行された、そういうことも御承知のとおりであります。

 そこで、きょうは各党の方々に、災害を含む自衛隊の方々の日ごろの活躍についてどういうふうに評価をされるのか、民主党、自民党、公明党、この順番で御意見をお聞かせいただきたいと思います。

稲見議員 国の防衛、安全保障あるいは国際貢献、そして今御指摘のありました、とりわけ昨年は東日本大震災や東電の福島第一原発事故、またさまざまな災害におきまして救援、復旧に大変な御尽力をいただいておる、こういうふうに認識をいたしております。

 三月の十八日から約二カ月、十万人の体制でこの作業に当たられました。特に、私も、原発七キロ圏内で、浪江町で御遺体捜索のお礼と激励に参りました。国民から高い評価を受けている、こういうふうに私も考えております。

石田(真)議員 今津先生にお答えをさせていただきたいと思います。

 このたびの東日本大震災あるいは福島原発にかかわって、自衛隊が本当に活動された、そのことについての評価は、今、先生から御紹介があったように、国民的にも高い評価をいただいているというふうに思います。それのみならず、またPKOとかで今までにも国際的にも高い評価を得ているというのは、我々日本にとって大きな誇りだというふうにも考えているわけでございます。

 実は、和歌山県にとりましても、昨年は、東日本大震災の後、九月に台風十二号、紀伊半島は大変な被害を受けたわけでありますけれども、そのときにも本当に誠心誠意御活動いただきましたし、また、それ以前に、実は鳥インフルエンザも、自衛隊の方ならでは、なかなか対応できないような御活動をいただいたということで、本来業務の防衛、それのみならず、震災あるいは国際的な活動、さまざまな面にわたって非常に高い評価、そして国民からの厚い信頼をかち取っているのではないか、そのように認識をしているところでございます。

稲津議員 お答えいたします。

 自衛隊におきましては、先ほど来御答弁がございましたけれども、PKO活動あるいは東日本大震災の復旧活動、さらに、ことしの冬の全国各地での豪雪被害、これらに対する災害救助活動、こうしたものに対して大変な活動を展開し、また貢献をしていただいている、このように思っているところでございます。

 したがいまして、このような活動を行っている自衛隊の組織、また任務につきましては、大多数の国民の皆さんから支持を得ているもの、このように思っております。

 以上でございます。

今津委員 それぞれ、自衛隊の活躍に非常に賞嘆の声が述べられました。ありがとうございます。

 そこで、防衛副大臣にお聞かせいただきたいと思うんですけれども、アメリカの国防費削減、例えば五年間で二十兆円削減せざるを得ないということが正式に発表になりましたね。これよりまたさらに上積みされるのかもしれません。そういう動きも多少あるわけです。

 一方、中国の軍事の拡大は非常に急激なものがございまして、毎年二桁以上の伸び率。しかも、中国が発表する数字というのは恐らく事実ではなくて、実際は倍以上の国防費。今、ワリャーグというような空母を改造して竣工させようとしておりますし、また、国産でもつくっている。ステルス性の戦闘機も装備している。

 そういう、接近拒否戦略というんでしょうか、尖閣諸島も核心的利益だなんて言われてしまって、我々の領土をそのように自分たちのものだと言い張るような、こういう非常に強硬な、しかし許せない姿勢の中で、これから米軍の国防費を削減していく。我が国の安全というものに対して大きな影響を与えると思います。

 日米同盟が基軸ですから、その片方が削減せざるを得ない、したがって、沖縄の嘉手納以南の早期返還なども今現実に出てきているんですけれども、それについて副大臣の所感をいただきたいと思います。

渡辺副大臣 今、アメリカの新国防戦略が発表され、四千八百五十億ドルの大幅な国防予算の削減が発表されまして、日米で新たな協議に入っているところでございます。

 これはもう副長官を経験された今津先生も御承知のとおり、我が国の防衛予算というのは、対GDP比でいきますと〇・八五%、世界第百四十八位ではないかと識者の方の御指摘がございます。この防衛予算は、その中でも人件費、糧食費というものが半分を占めておりまして、本当に我が国の周辺国のさまざまな懸念されるべき状況について対応できるのか。非常に予算の面でも今後拡充をしていくお話だと思いますし、また、アメリカが新たな戦略の中で日本をどのような形でパートナーとして位置づけていくのかという中で、いろいろな役割の変化は起こり得るだろうと思います。

 そんな中で、やはり日米同盟を基軸にしながら、この抑止力、そして、周辺国で何らかの我々の国に対して懸念されるべき事態が起きたときには、ここで機動展開できるようなアメリカのまさに存在、プレゼンスと、我が国がどのように協力できるか。私は、この厳しい財政局面では、双方の国がありますけれども、その中で、やはり統合運用という形で、我が国防衛のために、あるいは西太平洋の安定のために、アジアの安定のために何ができるかということを、ぜひ先生からもいろいろ御助言をいただきながら、これは確立をしていかなければいけない、そんな思いでございます。

今津委員 そういうことを考えてみたときに、やはり日本の自衛隊の待遇の問題、これは非常に大切な問題だというふうに思います。士気にも影響します。

 そこで、今回、復興のための財源としての給与の削減、これは自衛隊の人たちはやはり外すべきではないか、こういうことをお座りの実務者の方々に大変御苦労をいただいて一定の結論が出てきているわけでありますが、本来、そういう声というのは防衛省の方から、自分たちの方から、やはり我々はこう思うんだ、今回、自衛隊の人たちには余りにも苦労をかけている、除染作業までやってもらっている、そういう意味で、何とか自衛隊の人の給与の削減については今回は外してほしいという声が出るべきだったと私は思うんですが、副大臣、その点についてはどうでしょうか。

渡辺副大臣 問題意識はまさに一緒でございまして、発災以来、昨年、最高で十万人を超える、そして延べでは一千万人を超える自衛官たちが不眠不休で、これは防衛省・自衛隊のみならずでありますけれども、国家機関を挙げて本当に取り組んだ、その中でも自衛隊に対する活動が大変大きいわけでございます。

 その中で、今回の法案の中で、自衛官は本当にそれでいいのだろうか、そして、内局でありますとか地方の出先の事務官として後方支援に当たった、あるいは地域自治体とさまざまな調整に当たった方々、これはもちろん防衛省だけではなくて、海上保安庁ですとか、あるいは地方の自治体、警察や消防の皆さんもそうだったんですけれども、その労苦というものは考慮してほしいということについては、前任の方々がこの法案作成に当たっては意見を加味していただいているとは存じますけれども、特段の配慮ということを、先生からの指摘でもございます、また、民主党からもけさの防衛部門会議から要請をいただいておりますので、これについては、やはりいろいろな意見は防衛省内にもあると思いますが、そこはぜひひとつ、何とか労苦に応えられるような形で、この法案の行く末を見守りながら考えてまいりたい、そんな思いでございます。

 先生の御指摘は、ぜひ重く受けとめさせていただきたいと思います。

今津委員 防衛省の方から声が出るべきだったと私は思うんですね。民主党さんからも、きょうの朝、御意見があったと言いますが、そもそもこのことについては、実務者の会議の中で自由民主党の方から問題提起をさせていただいて、今日まで来ているわけです。

 その問題提起をした自民党の中のどちらでも結構なんですが、なぜ自民党の方から自衛隊の方々は特定の猶予をするべきだということを提案されたか、ちょっと御説明いただきたいと思います。

石田(真)議員 今回の震災に当たっては、先ほど副大臣から御答弁がありましたように、警察、消防、あるいは海保、それから一般の職員さんも、被災地に赴いて本当に精力的に御尽力いただいた。そのことは論をまたないわけでありますけれども、とりわけ自衛隊の活動というのは先ほどの国民の評価にもつながっております。

 また、実際、自衛隊二十五万足らずの人員の中で、十万人を超えて現地に派遣、それも数カ月、あるいは最大半年ありましたけれども、数カ月にわたって派遣をされたということでありまして、これは、現地に派遣された自衛隊員の方だけではなしに、やはり後方支援、今回のこの問題に自衛隊全体として取り組んでいただいた。そして、それは一方で、防衛という本来業務、これは大変な業務でございます。新聞報道なんかでも、この間のスクランブルが多くなったとか、そういうことも報道されておりました。

 こういうことも勘案をいたしますと、やはり自衛隊の皆さんに対して何らかの特別措置をするべきではないか、そしてまた、それが国民の皆さんのお気持ちに沿うものではないかということで、我々として実務者会議で強く主張させていただいたということでございます。

今津委員 自民党、公明党さんを中心に提案をされて、民主党さんの理解をいただきながら、苦労の末まとめていただいた、こういうふうに理解をします。本当に御苦労さまでございました。

 民主党の方にお聞きをしたいというふうに思うのですが、「自衛官等に対する給与減額支給措置を適用しない期間を政令で定める」、これでこう書かれているわけです。これは、三党の政調会長の「国家公務員給与等の取扱いについて」、こういうことで確認をされているわけであります。

 確認をさせていただきたいと思うんですが、私の気持ちとしては、先ほど副大臣にも申し上げたんですが、全くこれは当たらないということなのですけれども、実務者の会議の中で自民党は最低一年ということを主張したのですが、六カ月ぐらいの感じでおさまりそうだというふうに聞いているのですが、どうなんでしょうか。民主党の方の御意見を聞きたいと思います。

稲見議員 実務者協議の中ではさまざまな議論がありました。

 閣法が決定をされた六月の三日、そのときには七万人の体制でございました。年内かかるだろうということの中で、もともとの案で、政令で六カ月を上限としてというふうに定められておりましたけれども、八月の末にはほぼ全員が撤収、こういう中での法案審査でございます。

 非常に高い評価を受けている自衛隊が、最後、他との均衡を失してその削減幅を減少するということについて、国民の評価がそれによって落ちないかという危惧が関係者にもあったということも事実であります。

 そういう中で、十条につきましては、将、将補、内局を除く二十四万三千人を対象にいたしております。そして、いわゆる十九条の特例減額の点につきまして、九条二項第八号の期末手当、また九号の勤勉手当、こういうものも含めて、政令で特別に定めることができる、こういうふうに、附則そのものをこの議員立法では若干書き直しております。

 そういう意味で申し上げますと、東日本大震災への対応として十万人の体制をとったという労苦と、一方で、この法律の目的が復興のための財源を確保する、こういうバランスの中でどう対応していくのかというのが実務者協議の中での議論ではございました。

 そういう意味で申し上げますと、生活給である月例給に着目をして、政令で定める限度で政府において配慮すべきというのが実務者会議での共通認識である、こういうことで申し上げたいと思います。

今津委員 結論をわかりやすく言ってほしいんです。わかりやすく言えば、六カ月ということでよろしいんですか。

稲見議員 月例給に着目をして、政令の上限で措置をするというのが実務者協議の認識でございます。

今津委員 それじゃ、わからないんですよ。私が聞いてわからないんですから、国民はわからないですよ。

 だから、具体的にわかりやすく言っていただくとすれば、もっとわかりやすい表現で、私は、六カ月ですかと聞いているんです。わかりやすく、きちっと説明してください。

稲見議員 附則十条に「六月を超えない範囲内で」というふうにあります。その政令の上限ということは、六月ということになります。

今津委員 最初からそう言ってくれればわかりやすかったんです。

 防衛副大臣のお考えを聞きたいと思います。

原口委員長 渡辺防衛副大臣、質疑時間が過ぎております。簡潔にお願いします。

渡辺副大臣 これは実務者協議の中で出てくるお話でございますので、それは重く受けとめさせていただきまして、その御判断を最大限尊重したいというふうに考えております。

今津委員 実務者に任せるということになるんでしょうけれども、しかし、防衛省としては、少しでも多く自衛隊の方々に、働きがちゃんとそこに出てくるように、きちっと希望して頑張ってほしいというふうに思います。これはいいです、時間が過ぎましたから。

 以上で終わります。

原口委員長 次に、西博義君。

西委員 おはようございます。公明党の西博義でございます。

 今回、民主、自民、公明三党で提出されました、今審議をしております法案によって、人事院勧告の実施、つまり俸給表それから経過措置の廃止でございますが、さらに、先ほど議論もありました自衛官等への特段の配慮等が盛り込まれて、年度内に結論を出すめどが立ったということは、辛うじて一カ月を残して今回このような環境が整ったということは、国会の意思がこの時期に来て示されるということで、大変重要なことであり、関係者の精力的な努力に感謝を申し上げたいと私は思います。

 さて、今回の国家公務員給与の削減の政府案については、政府が人事院の勧告を無視したこと、それから一部の組合との合意だけをもって強引に進めようとして今回のような大混乱を引き起こした、こういうふうに私は考えておりますが、まず大臣に、この責任についてどう考えているのか、お伺いしたいと思います。

川端国務大臣 政府といたしましては、この未曽有の国難である東日本大震災に対処する必要性に鑑みて、現行の人事院勧告制度のもとで、極めて異例の措置でありますけれども、職員給与の減額を行うということで、職員団体の理解を得るべく努力を行った上で臨時特例法案を提出させていただきました。

 その後、人事院勧告が出されまして、政府としては、人事院勧告制度尊重の立場から真摯に検討を行いましたが、内包するということで、人事院勧告を実施するための法律は出さないということで取り組ませていただきました。

 この状況は、結果的に皆様方の御理解、御賛同を得られることがなかったということは極めて残念ではございましたが、そういう中で、しかし、我が国の未曽有の国難に対処するために、何とかして国家公務員給与の削減を実施したいということの立場は変わりがございませんでした。

 今般、三党の皆さん方の政党間協議の真摯な御努力の結果として、こういう結果を出して法案を提出していただきましたことは、極めて重く受けとめさせていただきたいと思っております。

西委員 結果的には、人事院勧告も実施した上で、所要の七・八%という額を確保するということでおさまったわけですが、やはりこの間に、人事院勧告が提出された段階で、政府の方でもう一度考え直す、そういう形がなければいけなかったのではないか、このように申し上げておきたいと思います。

 続いて、今回の三党合意に基づく法案の提出によって、政府は、現行制度が続く場合には、平成二十四年の人事院勧告についても十分尊重されるものだというふうに私どもは考えております。この平成二十四年の人事院勧告の扱いについて、提出者にお答えをいただきたいと思います。

稲津議員 お答えいたします。

 御案内のとおり、人事院勧告につきましては、国家公務員の労働基本権の制約に対する代償措置でございまして、提案者といたしましては、人事院勧告を尊重するという基本的な姿勢に立っております。

 本法案も、我が国の厳しい財政状況それから東日本大震災への対処の必要性に鑑みて、やむを得ない臨時的な措置として、平成二十六年三月末までの一定期間に限って給与を減額する臨時特例を定めるものでございますけれども、その一方で、人事院勧告を尊重するという立場から、平成二十三年度の人事院勧告を実施する内容を含むものとなっております。

 したがいまして、平成二十四年に人事院勧告が出された場合、これに対しては、これを尊重すべきであることは当然である、このように考えております。

 以上でございます。

西委員 今回の混乱の一つの原因はそこにあったと思うんですが、現行制度が継続する場合という前提を置いた場合には、当然、来年度の措置については、七・八%という臨時特例を踏まえて、さらに人事院勧告についてもきちっと措置をしていく、こういう基本的な考えであるというふうに私どもは理解をしております。自民党の提出者も多分同じお考えであろうというふうに思います。

 次に、国家公務員の災害補償についてお聞きをしたいと思います。

 この規定について説明していただきたいんですが、特例期間内、つまり今回の二年ですね、二年の間に災害補償の対象になった場合にはどうなるのか。特に、傷病補償、障害補償、遺族補償年金などの長期の補償について、この補償額がどうなっていくのかということについて、簡潔に御説明いただきたいと思います。

田中政府参考人 ただいま御指摘をいただきました規定でございますが、既に閣法から盛り込ませていただいておりました規定でございます。特例期間内に災害補償の対象となった場合に、特例期間においては、給与減額支給措置による減額後の給与の実支給額を基礎に補償額を算定するということとしておりました。このような取り扱いにつきましては、民間や地方公共団体においても同様であるというふうに認識をいたしております。

 また、長期の御指摘もございましたけれども、いずれにいたしましても、国家公務員の災害補償の運用の細目につきましては、人事院規則等に委ねられていることでございますので、特例期間終了後における補償額の取り扱いにつきまして、人事院において必要な措置を御検討いただけるものと承知をいたしております。

西委員 今の答弁は、二年間の特例措置施行、つまり、七・八%削減している間にこのような災害補償の関係の問題が起こった場合には、七・八%を差っ引いた額がその後の年金の基礎になるということだと思います。

 その後、二年を経過した後については人事院の方で適当な措置ということでありますけれども、このことは、二年を経過した後には回復をするというふうに理解していいんでしょうか。もう一度。

田中政府参考人 今回の問題提起をいただきまして、人事院の方に御連絡をいたしまして、先ほど申し上げたような御答弁をいたしました。したがいまして、恐縮でございますけれども、人事院において必要な措置を御検討していただくというふうに御返事をいただいております。

西委員 人事院の措置ということで、総務省側から明確なお話がなかったように思いますが、その措置については人事院の方で考える、きちっと回復の措置がとられるというふうに理解をしたいと思います。

 続いて、今回の人事院勧告の柱は、一つは俸給表の改定ですが、もう一つは経過措置についての廃止でございました。二年間で実施をするということでもともとの人勧は決まっておりましたが、今回、少し異なる形で三党合意が行われるということになりました。現給保障の廃止と昇給の回復に関して、三党合意ではどのようになったのかということの概略を説明していただきたいと思います。

稲津議員 お答えいたします。

 平成二十三年の人事院勧告では、現給保障としての経過措置額は、平成二十四年度に半額支給、平成二十五年三月末に廃止をすることとなっております。これに対して、本法案では、経過措置額は平成二十六年三月末で廃止することとしております。

 これは、臨時特例と経過措置額の廃止とを同時期に実施することになれば、給与の減額幅が多大となる職員が生ずることになることの配慮から、経過措置額の存続期間を臨時特例の実施期間と合わせることとしたものでございます。

 経過措置額の支給に係る財源につきましては、職員の昇給を抑制することにより確保されてきたところでございますが、経過措置額が存続する期間であっても、必要な財源が確保される範囲内で回復措置を講ずるのが適当であると考えております。

 経過措置額につきましては、職員の退職や昇給により自然減少が毎年発生するものでありますことから、平成二十四年及び二十五年におきましても、この自然減少分を昇給回復に充てるべきであると考えたところでございます。

 以上でございます。

西委員 当初の三党の議論では、平成二十六年四月一日で一挙に断行する、こういう意見が与党の側から出ておりましたけれども、少しでも早く、特に若年層の昇給の回復というものは一年でも早く実施するということの方が、やはり職に対しての士気も上がるし、大切なことであるということを主張させていただきました。ただし、年配の方のさらなる削減については、今回七・八%という大きな削減ということにも鑑みて、そこは実施をしない、こういう形で折り合った。結果的には、やはり人事院勧告を受けて今の七・八%という現実の問題に対処するためには非常にいい決着を見たのではないか、私はこのように評価をさせていただきたいと思います。

 次に、地方自治体では、人事委員会の勧告以上に給与を削減する深掘りがもう既に行われております。平成二十二年の資料をいただきますと、既に五八・九%の自治体が独自の給与削減措置を講じている、これが実態です。

 この場合には、人事委員会の勧告を実施した上で独自の給与削減を行っているというふうに私は思っているんですが、人事委員会の勧告はどのように扱われているのかということを説明いただきたいと思います。

 また、深掘りを実施している自治体で、人事委員会の勧告を実施しないで、今回の政府案のように独自の削減ということを行っているケースはあるのか。私は、非常にまれなケースというか、あったとしても非常に少ないんじゃないかというふうに思うんですが、このことについても見解をお尋ねしたいと思います。

三輪政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、平成二十二年四月一日現在、約五九%の地方公共団体において、独自の給与削減措置が講じられております。

 地方公務員の給与につきましては、労働基本権制約の代償措置としての人事委員会の勧告を踏まえながら、地方公務員法における諸原則等に基づきまして、最終的には各地方公共団体の議会の議決を経て条例で定められるものでございます。

 御指摘の独自の給与削減措置につきましては、それぞれの団体におきまして、勧告尊重の基本姿勢に立ちました上で、当該団体の厳しい財政状況等々を勘案いたしまして、交渉や議会の審議等を経て条例改正を行って実施されているもの、このように考えております。

 また、人勧不実施のケースの有無についてのお尋ねでございますけれども、平成二十二年四月一日現在、独自の給与削減措置を実施しております都道府県、政令指定都市のうち、同年に給与改定の人事委員会の勧告がなされた団体におきまして、勧告を全く実施していないという団体はございません。給料表改定の勧告を受けました団体は、全ての団体において給料表の改定が行われている、このように承知をいたしております。

西委員 今答弁でありました、地方自治体も、今回の国の削減と同様、大変大きな削減をしているところもあります。八%以上のところも、この私の表では九自治体が削減をしている。しかし、そのときには、きちっとした勧告をベースにして、その上で削減をしているという意味では、今回の政府の措置というのは大変特異な措置を考えていたということになるのではないかというふうに思います。つまり、人勧を内包するという見解のもとに、実施をしないで一括して七・八%というのは、大変特異な実施の仕方であるということを申し上げておきたいと思います。

 時間が迫ってまいりました。

 最後に、今回の国家公務員の給与の削減をめぐっては、先ほどの例にもあるように、政府の進め方は大変問題があったと私は考えておりまして、その一方で、未曽有の国難に当たって復旧復興の財源を確保しなければいけない、このことについては私どもも十分理解をしております。

 ところで、公務員の給与改定の方法は、毎年、国民一般の標準的な生活費用と民間賃金の調査を実施して、民間準拠ということを基本にして俸給表それから手当を改定する、こんな仕組みになっております。これは平時のときの仕組みで、今回のように国が緊急事態それから深刻な経済情勢などに直面した場合には、公務員の給与改定方法に関するルールが正直言ってございません。そんな意味で、今回、国家公務員の給与削減問題は、緊急事や非常時の給与改定はどうあるべきかということを初めて現実の問題として提起したことになるのではないか、こう思っております。

 また、先ほど、災害補償に関して、特例期間内に災害補償の対象となる場合だけ災害補償のベースになる平均給与額が下がって不公平ではないか、こういう議論があります。一方、地方公務員や民間でも、減額された給与をベースに平均給与額を計算して補償額を決めており、先ほども総務省の方からこの事実については発言がありましたけれども、これらとのバランスも今後十分踏まえていかなければいけないというふうに思います。

 国家公務員と地方公務員、また民間、それぞれの立場でこの公平性をどう確保していくのか、非常に難しい問題であろう。そんな意味では、今後熟慮を要する課題ではないか、こういうふうに思っておりまして、こうしたことも含めて、非常時、緊急時の給与改定について、国のルールを今後しっかりと検討していくべきではないか、こう思いますが、最後に大臣の御所見を賜りたいと思います。

川端国務大臣 今回は極めて異例の臨時特例であることはそうでありますし、平時でないというときに、御指摘のようにいろいろな課題が出てきているということは、問題意識としては私たちも多く共有するところでありますし、真摯に対応してまいりたいと思いますが、現行の人事院勧告制度ということで給与を改定するという制度のもとでは、臨時に、非常時に柔軟に対応するということの仕組みになっていないことは事実であります。そういう意味で、そういうときのルールを今のもののままするのはなかなか難しいという意識を持っております。

 そんなことも含めて、国家公務員の制度改革関連法案を出しております。この考え方は、そういうことを含めて、自律的労使関係で物事を決めるというときには、こういう臨時的な、緊急的なものにも柔軟に対応し得る制度であるはずだというふうに思っておりますが、いずれにいたしましても、国会の議論の場も通じて、今回いろいろな問題点の御指摘もありました、我々としては、それを真摯に受けとめる中で、これから検討し、進めてまいりたいと思っております。

西委員 今、大臣の御答弁がありました。今回のこの臨時特例法案、いわゆる閣法として出された法案はそれの先取りという意識もあっての決断であったろうと思いますが、まさしくこの決断そのものがきちっとしたルールにのっとっていない。一部の組合であるし、その率というものが、本当にどういう形で臨時特例的な削減をするのかということは、非常に中途半端な段階での決断になってしまったのではないかというふうに思います。

 この点についても、もちろん内閣委員会における国家公務員法の審議も当然のことではございますけれども、きちっとしたこういう緊急事態における給与の決定方法については、政府も十分議論をしていただきたいと思いますし、私どもも国会の中で十分な議論が必要ではないか、こう申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

原口委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 民主党、自民党、公明党提出の国家公務員給与特例法案について質問をいたします。

 最初に、法案の提出者にお尋ねいたします。

 法案の提出者は、今回この法案を出すに当たりまして、国家公務員労働者を代表する労働組合に対し、この法案についての説明、交渉、合意、このようなことを行われたんでしょうか。

稲見議員 お答えいたします。

 議員立法であるこの法案にかかわりまして、職員団体から意見聴取をしたことはございません。しかしながら、この法案は、政府から提出をされました臨時特例法案の考え方を踏襲いたしております。

 六月三日の閣議決定に至る過程では、政府と当該の労働組合で真摯な協議、交渉が行われて、そして、当初は一〇%という削減提案でございましたが、若年層については、それは生活の中できつ過ぎるということで五%ということになり、一〇%との間の中間層については八%ということで、全体として削減率が七・八%になった。こういう経過を含めましても、その内容については十分な議論の経過を持っている、こういうふうに考えております。

塩川委員 法案提出者として、労働組合と交渉どころか意見聴取もしていないということであります。

 政府提出法案を踏まえてという話がありますが、使用者たる政府として労使交渉を行うということはあるわけですけれども、それと離れた国会議員の側がこのような法案を出すことについての憲法上の疑義があるということは言わざるを得ません。

 そういう点でも、少なくとも、最終的に決めるという国会の場において労働組合の意見を聞くということは、最低限の責務であるはずであります。

 昨年の人事院の報告は、政府提出法案、閣法について、その提出の過程で職員団体と交渉をしたが、合意に至ったのは一部の職員団体でしかなく、多数の職員から理解と納得を得るための手続はとられていないと述べ、「労働基本権制約の代償措置が本来の機能を果たしていないこととならないか、強い懸念を持っている。」「国会におかれては、上記の点を含め、審議を尽くしていただきたい。」としております。

 自律的な労使関係制度の先取りなどといった労使交渉を行ったとされる閣法でさえ、合意したのは一部の労働組合であり、このことについて人事院としても問題点を指摘せざるを得なかった。ましてや今回出されたのは議員立法であって、法案提出者は一度も労働組合の意見さえ聞いていない。法案を審議するのであれば、この法案に対する労働組合の意見を聞くのは最低限の責務ではありませんか。

 法案提出者としてどのように考えるのかをお聞かせください。

稲見議員 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、これは閣法が出ておりまして、その後、九月の三十日に人事院勧告が出された、そして自公の法案が議員立法として提出をされた。こういう中で、何としても復興財源を確保するために早期に法案成立をさせたい、こういう中で三党協議を行ってきた経過を持っております。したがって、七・八%の削減につきましては、政府案を踏襲して、その内容については憲法違反の疑いなし、こういう内閣法制局の立場を踏まえて提出をされている、こういうふうなことであります。

 塩川委員の御主張につきましては、本日の理事会でもございました。それに対しては、筆頭間で協議をして、配付資料という形で、当該の労働組合の見解、御意見についてもこの委員会の場でそれをお示しいただく、こういう形で対応をしてきた、こういうことについて御理解をお願いいたしたいと思います。

塩川委員 今、稲見法案提出者からありましたように、国公労連の「党利党略の談合は憲法を二重三重に蹂躙する暴挙 「賃下げ法案」等に関わる「三党合意」は認められない」という談話や、消費税増税のための公務員賃金引き下げ協議に関しての全労連の意見を資料として配付いたしました。

 こういう中身についてきちんと答えることこそ国会がやるべき仕事ではないのか、法案提出者がやるべき仕事ではないのか、このことを強く言わざるを得ません。早期に法案を成立させたいなどといっても、なぜ国会の場で審議をしない、そういう理由にはならないということを言わざるを得ない。改めて参考人で意見を聴取するなり、意見表明の場を設けるなり、この法案の審議の過程を通じて、少なくとも不利益をこうむる国家公務員、労働組合の意見を聞く、これは最低限の責務じゃないのか。この点を聞いているんですけれども、改めてお答えください。

稲見議員 お答えいたします。

 塩川委員の御指摘をいただきまして、文書による意見聴取といいますか、見解を、この委員会の中で皆さんにお示しをする、こういう形にいたしました。

 一方で、交渉で労使合意をいたしました連合、公務労協についても、私の方から御連絡をいたしましたけれども、それは、労使合意に従っての閣法、そしてそれを踏襲した議員立法ということであれば、国会審議に委ねる、こういうふうな内容であったということも明らかにしておきたいと思います。

塩川委員 早期に法案を成立させたいなどと言っても、国会の審議において、例えばこの法案についても、目的は歳出の削減、人件費の削減だと。削減分である今年度分のマイナス人勧部分については六月のボーナスで調整をする。特例部分については四月の一日からです。法案上は、三月に入って通したとしても、仮に通したとしても、これは予定どおりできるという仕組みになっているわけですから。二月末日、三月一日までにと言われるのは、その点でも、まともな審議をしたくない、こういう問題に答えたくないという態度のあらわれでしかない、このことを強く言わざるを得ません。

 不利益をこうむる国家公務員の労働者の意見さえ聞かずに、賃下げを短時間で審議、採決することは許されないと強く申し上げる。

 そもそも、マイナス人勧を超えて労働者にとって不利益となる引き下げを行うことは憲法違反であり、今年度分の人勧を実施したとしても、二〇一四年三月までの七・八%引き下げを決めることは、複数年度にわたって人勧を尊重しないことも意味するものであります。労働基本権制約の代償措置としての人勧制度に基づかない賃金決定は違憲行為であり、民自公の三党の議員立法という形で行うことも前例のない異常なやり方だと言わざるを得ません。

 労働基本権の回復もなしに一方的に賃下げを行うことは憲法違反だ、このことを強く申し上げておくものであります。

 次に、提出者は、法案提出の理由の一つとして、東日本大震災に対処する必要から国家公務員の人件費削減が必要だと言います。

 多くの国家公務員が東日本大震災原発事故において献身的な活動を行いました。その中に自衛隊も含まれております。現状では、自衛隊の派遣命令は解除をされ、被災地から撤収をしております。一方で、一般職の国家公務員は、発災直後から被災者支援、復旧復興業務に従事をしてまいりました。ライフラインの回復、確保、そのための道路や港湾や空港の復旧のために二十四時間体制で取り組んできた、そういう直後からの活動があり、また、被災者支援のためにも、ハローワークでの業務や労働基準監督官などの仕事なども、この間、復旧復興業務にかかわって、労災事故を防止する観点からも一層の重要性が増してきている。

 現在でも多数の職員が被災地において全国からの派遣、移動などによって奮闘しております。派遣されるもとの方は、全体の定員が削減をされる中で、人員不足の中で、あいた穴を埋めた懸命の仕事をしておられます。

 法案提出者にお尋ねしますけれども、国家公務員全体が東日本大震災において被災者支援、復旧復興業務に貢献をしてきたのではありませんか。その点についての認識をお尋ねします。

石田(真)議員 塩川委員にお答えをさせていただきます。

 先ほど今津委員の御質問にもお答えをさせていただきましたが、本当に、今回の東日本大震災の復旧に当たりましては、自衛隊のみならず、国家公務員では海上保安庁あるいは各省の職員、皆さんが献身的に御尽力をいただいた。また、各地方から警察あるいは消防初め、さまざまな方が献身的に御活動いただいた、そのことは我々も十分認識いたしておりまして、論をまたないところでございます。

 ただ、自衛隊については、先ほども申し上げましたように、やはり二十五万人足らずの全職員の中で十万人を超える、これは現地に十万人、ということは、後方支援等を含めれば、自衛隊全体でこのことにかかわった。一方で、防衛業務という本来業務を抱えながら、これを長い期間にわたって取り組んでいただいたということは、やはり大変なことであったということで、私は、国民的な評価も高い、そういう意味で申し上げて、これに対して対応する措置を行うということについては、国民的理解をいただけるものということで、今回措置させていただいたところでございます。

塩川委員 自衛隊の十万人は、派遣命令が出されている数であります。ですから、実際に何人が仕事をしたかという数は把握をしていないというのが防衛省の答えでありました。

 同様に、もちろん、後方支援の活動もあります。それは国家公務員も同じなんです。国家公務員ももちろん、被災地の現地で奮闘される国家公務員もおり、全国から被災地に駆けつけて協力をする国家公務員もあり、それぞれ送り出したもとの方は、少ない人員の中で通常の業務を行っている。通常業務に加えて被災者支援、復旧復興業務を行っているという点では、全ての国家公務員が共通しているんじゃありませんか。

 そういうときに、自衛隊も含めて、結局は賃下げを行うということは、こういう復旧復興業務に懸命に活動している国家公務員の士気を下げるだけが、この賃下げなんじゃないのか。こういう士気を下げるような、復旧復興業務の妨げになるような賃下げを行っていいのかということを問うているんですよ。いかがですか。

石田(真)議員 先ほどもお答えをいたしましたように、さまざまな方々がこの復旧業務にかかわっていただいた、それは我々も十分理解をしておるわけですけれども、全てを挙げてこの問題にかかわっていただいたというのは、私たちは、自衛隊の方が、一方の本来業務をおきながら、大変な状況の中で対処していただいた、そのように考えているわけでございます。

 そして、今回のこの法律の目的が、この厳しい財政状況と同時に震災の復興財源を捻出する、そういうことも考え合わせる中で、今回の措置をさせていただいたということですので、御理解を賜りたいと思います。

塩川委員 被災地で懸命に頑張る国家公務員は、全国から送り出されています。だから、全国がそういう意味じゃ被災地支援で頑張っているんですよ。そういう点では、全ての国家公務員に共通しているんです。こういうことについての認識を前提に対応を考えなくちゃならぬ、そういう人たちの士気を下げるような賃下げを行うということはおかしいんだ、このことを改めて受けとめていただきたい。

 こういった復興財源のためという話もありますけれども、そもそも人件費というのは生計費ですから無駄や浪費じゃないんです。無駄や浪費じゃないんですよ。削るんだったら、無駄や浪費を削れと。それこそ八ツ場ダムのように、一度は民主党がやめると言ったのを復活するような、こういう無駄遣いこそやめるべきだし、原発政策の転換をということであるのならば、さらにプルトニウムに進むような、核燃料サイクルに進むような、そういった予算について削って被災地の復興のために充てる、こういうことこそ行うべきであって、賃下げを行うのは間違いだ、このことを強く申し上げておくものであります。

 加えて、被災地では、国家公務員の方も被災をしておられます。法案提出者にお尋ねしますが、被災者である国家公務員は、この復興に当たっての賃下げ、対象外になるんでしょうか。

稲見議員 お答えいたします。

 東日本大震災の被災者ということでいいますと、これは国家公務員、地方公務員、あるいは民間の方、それを区別することなく、さまざまな支援策を今とっているところでございます。そういう意味では、全国の国家公務員に対して、震災復興あるいは今の大変厳しい財政事情のもとで身を切る減額ということをこの法案では求めているわけですから、その中では東北の被災者も別扱いをすることはない、こういうふうに考えております。

塩川委員 被災者である国家公務員にも賃下げを押しつけると。そもそも被災地の復興というのは、被災者の生活再建なしにはあり得ないんですよ。その被災者の足を引っ張るようなことをやっていいんですか。そのことが問われているんじゃありませんか。被災者でもある国公労働者にも賃下げを押しつけるのでは、復興に逆行するものだと言わざるを得ません。

 そもそも国家公務員の給与は、民間賃金のこの間の大幅な減少も反映して、一九九九年をピークにその後減少に転じて、以降連続的に減少しております。

 人事院総裁にお尋ねをいたします。

 被災地であります東北地方のほとんどは、地域手当の非支給地となっております。そこの国家公務員、人事院の報告にもありますようなモデル例、係長で四十歳、配偶者、子供二人、こういった場合に、この十二年間で賃金はどれだけの割合減少しているんでしょうか。

江利川政府特別補佐人 平成十一年から給与が減ってきておりますので、その前の平成十年と平成二十二年の給与を比較します。

 四十歳の国家公務員のモデル例で比較しまして、地方機関、地域手当の非支給地勤務の係長で計算しますと、約一九・〇%減少しております。

塩川委員 つまり、この十二年間でもう一九%引き下げられているんです。実際は二割の人件費削減なんですよ。その上に賃下げをやるんですかということなんですよ。

 実際、この間の民間賃金が下がったというのは、この間の派遣法の改悪とか有期雇用の規制緩和のような労働法制の規制緩和のもとで雇用破壊が進んだ結果です。そのために、非正規が増大するだけではなくて、民間の正規雇用の社員の給与も下がっているんですよ。二十代、三十代、四十代の民間の正規雇用の賃金は下がっているんですよ、この十年で。だから、公務員だって下がるんです、民間準拠で。ですから、民間が下がり公務員が下がり、また公務員が下がることによって民間は下げるということにもなりかねない。このことは後で質問をしますけれども。

 そもそも、被災地において、公務員の皆さんはこの十二年間で二割の賃下げであります。この間、給与構造改革のようなことも行われて、地域手当が導入されたことによって特に地方の方は一層賃下げが行われたというのが、このことを生んでいるわけであります。これまでも二割も下げられて、さらに七・八%の引き下げでは、被災者でもある国家公務員の暮らしが成り立たない。

 私がお尋ねしたいのは、こういった被災者となっている国家公務員の労働者に対し賃下げを押しつけるようなことを行えば、被災者の生活再建支援に逆行するのではないのか、この点についてお答えいただけますか。

稲見議員 お答えいたします。

 私も、党の震災対策本部の一員として、被災地にあるいは被災者に寄り添ってまいりました。そういう意味では、役所機能の喪失の中で自治体職員も非常に苦労しておられる。そして復旧復興については、東北の出先機関の国家公務員の皆さんが大変御苦労をし、御尽力されている、奮闘されているということを目の当たりに見ております。さらに、農漁業ということでいいますと、土地を失い、あるいは漁場を失い、そして毎日の仕事を失ったというような方がさらにたくさんいらっしゃる、こういうふうな状況でございます。

 そういう中で、復旧復興に御尽力をいただいている国家公務員の皆さん、被災者の皆さんに七・八%、大変苦しい選択でございますが、閣法を踏襲して、ここは、公務員の身を切る努力ということに対する国民の皆さんの非常に大きな声もあるわけですから、このことに応えていくべきだ、こういうふうに考えております。

塩川委員 被災地の公務員の状況について何らの配慮もないということであります。

 こういった賃下げを行うべきではない。今やるべきなのは、復旧復興業務のもとで非常にふえているサービス残業の問題ですよ。全体の手当の額が決まっている中で、残業、超勤はどんどんふえる、結果としてサービス残業が蔓延するような状況こそ一掃すべきじゃありませんか。

 また、実際これから復旧復興業務が進む中で、事業が拡大する中で何が足りないかといえば人手なんでしょう。技術職を初めとした人手が足りないんですよ。そういうところに国家公務員でも大きな力を発揮してもらう。もちろん自治体の方にもお願いもしている。

 こういったところにこそ力を尽くすべきが国がやるべき仕事であって、公務員の賃下げを行うことじゃない、このことははっきりしている、このことを申し上げておくものであります。

 次に、今回の法案では、課長級以上の職員の賃下げは一〇%ということであります。

 江利川人事院総裁にお尋ねします。

 江利川総裁が新聞のインタビューにおきまして、こういう一〇%のカットは懲戒処分の水準だ、このように述べているわけですけれども、これはどのような意味なんでしょうか。

江利川政府特別補佐人 新聞のインタビューは産経新聞と毎日新聞とあったわけでありますが、震災対策のための削減の幅についての質問については人事院としては答える立場にはないということを再三申し上げたわけであります。その一連の取材が終わりました後に、でも一〇%って厳しいですよねという記者の話に、一〇%って、よく聞くのは懲戒処分ですよねというような話を答えたんですが、それがあのような記事になったわけでありまして、必ずしも積極的にどうこう答えたという意味ではないんです。

 ただ、事実として、懲戒処分で多いのは一〇%でありまして、かつ、その処分期間も二カ月ないし三カ月ぐらいがせいぜいでございますので、それは、事実として、そういうことはございます。

塩川委員 総裁のお話にありますように、一〇%というのは懲戒処分の水準、それも実際に二カ月、三カ月ということで、今回の場合は、二カ月、三カ月どころか、二年間なんですよ。

 懲戒処分相当の賃下げを二年間も継続する、こういうあり方では、やる気が失われる。何ら処分の対象にならないような一般の国家公務員の皆さんが懲戒処分相当の一割の賃金カットを二年間も継続される、こういうことでは、納得できないという声が上がるのは当然であります。

 ちなみに、総裁にお尋ねしますが、一〇%カットの減給処分というのはどのような不祥事を行った場合なんでしょうか。

江利川政府特別補佐人 例えばですが、減給十二カ月、一〇%カットしたケースでございますが、飲酒後、部下に対してタクシー車内でセクハラ行為をしたというようなケースでございます。

塩川委員 こういういかがわしいような事案に対しての賃下げでしょう。

 法案提出者の皆さんは、こういうセクハラ行為を全部の国家公務員がやっているんだと、同じような措置を、賃下げという形で、一〇%という形で、やっていると言われても仕方がないということであります。これでは士気が低下するのは当たり前だ。

 厚生労働省にお尋ねをいたします。

 労働基準法の九十一条では、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一賃金支払い期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない、つまり、減給という制裁を行う場合には十分の一を超えてはなりませんよ、そういうことを掲げているわけですけれども、その理由は何でしょうか。

金子政府参考人 お答えいたします。

 ただいまの労働基準法第九十一条についてのお尋ねでございますが、これは民間の労働者の方に適用される法律でございます。その趣旨は、減給の制裁を一定の限度に制限しないと、賃金をよりどころとする働く方々の生活を脅かすことになる、こういうことの趣旨で設けられた規定と承知をしております。

塩川委員 つまり、生計費である賃金、これを大きく削るということは、生活を脅かすことになるんだ、制裁であったとしても、それには制限があるんだ、それは十分の一だよ、十分の一を超えてはならないよというのが労働基準法九十一条の規定であります。

 もちろん、民間の労働者の規定ですから国家公務員では違うという話もあるかもしれませんけれども、考え方は同じですよ。労働者の生活が賃金で支えられている以上は、減給という制裁に当たっても、労働者の生活が成り立たなくならないようにするという趣旨の法律になっているわけで、それが十分の一という条件になっているわけですから。

 法案提出者にお尋ねしますが、今回の公務員賃下げでは、懲戒処分の制裁でもないのに十分の一に匹敵する賃下げを行い、中には十分の一を超える職員さえいるわけですから、これでは生活が成り立たないんじゃありませんか。この点をお聞きしたい。

稲見議員 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたけれども、大変厳しい削減の法案であることは事実であります。

 ただ、第三次補正で十六兆円余りの財源が復興財源として被災地に届いております。そのうち、全体として国民に負担をしていただく分もありますが、政府としては、七兆円分、何とか努力の中で生み出していきたいというのが今後の課題になっております。

 そして、この削減によって得られる財源というのは年間で二千九百億円、二年間で五千八百億円という非常に大きなボリュームであります。そのことを全体として辛抱しながら、復興に向けて被災地を励ましていこうというのがこの法案の趣旨である、このことを政府としても、全ての公務員の皆さんにしっかり説明をし理解をしていただいて、そして協力をいただくというのが政府の役割であり、我々の役割でもある、こういうふうに思っております。

塩川委員 労働者の生計費である賃金は、無駄や浪費ではありません。削減する対象ではありません。削るべきところはほかにある、このことを申し上げたところであります。

 こういった大幅な賃下げを許すことは認められないということは強く申し上げ、最後に、この国家公務員の賃金は、多くの労働者の賃金に影響を与えるわけであります。人事院総裁にお尋ねしますが、この人勧の波及というのはどのぐらいの人に及ぶんでしょうか。その人数と、それぞれの内訳もお示しください。

江利川政府特別補佐人 人事院勧告の直接の対象者、一般職の国家公務員は二十七万人でございますけれども、特別職も含めまして国家公務員六十万人。さらには、地方公務員にも影響します、二百八十万人。公務関係で、合わせまして三百四十万人の影響があります。また、独立行政法人、国立大学法人等に約八十万人ぐらいありまして、この人たちにも影響が及んでおります。そのほか、民間でありましても、公務員準拠で給与を決めているところがございます。学校であるとか病院であるとか、そういうところを合わせますと百六十万人ぐらいございまして、合計しまして、五百八十万人ぐらいの影響があるわけでございます。

塩川委員 六百万人の労働者に影響を及ぼすということでは、地方に影響も及び、民間にも影響が及ぶ、そのことを言わざるを得ない。

 最後に、提出者と大臣にお尋ねします。こういった国家公務員の賃下げというのは、民間の職場での賃下げに格好の口実を与えるだけだ、国民全体の所得減少の悪循環を招き、内需を冷え込ませ、経済財政の悪化をもたらすものじゃないのか、このことをお答えいただきたい。

平井議員 確かに、今回、国家公務員の給与を引き下げるのではありますが、先ほどもお話がありましたとおり、東日本大震災に多額の予算を組み、それを執行していくということでありますので、こういう緊急事態への対応のことでありますから、影響はないと私は考えております。

川端国務大臣 国家公務員の給与削減措置は、我が国の厳しい財政状況、とりわけ東日本大震災の復興財源に資するということで実施いたします。

 そういう意味では、国家公務員の給与の引き下げ分については、国庫から復興のための歳出が行われるということでありますので、その部分においては経済に上向きに復興財源としての支出に資するものでありますので、トータルとして、マクロ的に経済にどういう影響を与えるかは注視をしていかなければなりませんが、大きな意味では、全体的な影響は少ないものと思っております。

塩川委員 労働者の賃下げがこの間続いている、その賃下げの悪循環をさらに加速するものが結果として内需を冷え込ませ、日本経済を停滞、後退させるということについての認識は全くないという点は極めて重大だ、このことを言い、消費税増税を押しつける、その地ならしとしての賃下げは容認できない、撤回すべきだと申し上げて、質問を終わります。

原口委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 二十分しかありませんので、前置きは全て省かせていただいて、今回の法案は消費税増税とはリンクしていないと言っていますけれども、テレビでは、民主党の要職にある方が、身を切る改革だ、こういうふうに言っておられる。無関係というのは、私は強弁ではないかというふうに思います。そして、そうあるべきでもないというふうに思います。

 国民に負担をお願いする消費税増税は恒久措置で、国家公務員給与削減は二年間限定、これでは国民の理解は得られないというふうに思いますが、今回の措置をなぜ恒久的な措置として提案をしなかったのか、総務大臣にまず御見解をお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 昨年、政府として法案は提出しておりますので、その立場でお答え申し上げます。

 政府における特例法におきましては、まさに先ほど来御議論がありますように、人事院勧告制度のもとでは極めて異例の措置でございます。我が国の未曽有の危機的状況に対する財源を確保するため、やむを得ない措置として実施しております。過去の判例も踏まえて、臨時、時限の特例措置として国会に出させていただきました。

 逆に申し上げれば、現行制度のもとで、給与の減額措置期間を相当程度長期間または当分の間などとすることは、憲法上の問題が生ずるものと考えておりますので、そういう背景のもとで時限とさせていただきました。

柿澤委員 しかし一方、先ほど来の質疑でも取り上げられていますけれども、民主党の前原政調会長は昨日、財政状況を考えれば二年間でもとに戻すことができるはずがないというふうに述べて、給与削減は二〇一四年度以降も続く、こういう見方を示しているではありませんか。

 これは私たちから言わせれば当然のことでありますけれども、しかし、政府に責任を負わない政調会長が国会の外で発言して、踏み込んだ給与削減をやるかのようなふりをするのは、私はやり方として極めておかしいやり方だというふうに思います。

 しかも、政府と与党は一体だとずっと言ってきたではありませんか。ということは、給与削減は二〇一四年度以降も続くというのは、これは総務大臣も同じように考えていらっしゃるということでよろしいですか。お伺いいたします。

川端国務大臣 先ほども同じようなことを答弁させていただきましたが、具体的に前原政調会長がどういう趣旨でどういう中身をおっしゃったのか、申しわけないですが、詳細には承知しておりません。

 総務省の立場で申し上げれば、今回議員立法でお出しいただいた部分で、給与削減、これは二年間の時限でございます。そういう部分では、その間に人事院の独自の御判断として勧告が出されることはあるであろうと思いまして、それは尊重していく立場にあるということは前提でありますけれども、期限が切れる前の年において、その時点における政府の対応としては、現在、国家公務員のいわゆる関連法案を提出させていただいております。それが何らかの形で成立して自律的労使関係が構築されていれば、その自律的労使関係の中でそれ以降の賃金はどうあるべきかが議論され、国会に法案を提出するということになりますし、成立しなくて現行のままでありましたら、人事院勧告が出された中で、現下の、その時点での情勢を踏まえて、国家公務員のそれ以降の給与のあり方について、政府として、諸般の状況を鑑みて、それに基づいて法案を出すことになるというのが総務省の立場でございます。

柿澤委員 今政府が提出している国家公務員制度改革に関する法案は、そもそも与野党合意のもとで成立をした公務員制度改革基本法の趣旨に全くのっとっていない。こういうものを出している。このことについては、きょうは時間もないので踏み込みませんけれども、こうした姿勢で、本当に今の川端総務大臣のおっしゃるような方向性が見出していけるのかということは極めて疑問だというふうに思います。

 それを脇に置いても、今申し上げたように、政府・与党は一体だというふうにおっしゃられているわけですから、法案審議直前の二十二日というこの段階で、いいですか、詳細に知らないと言うからもう一度繰り返しますけれども、財政状況を考えれば二年間でもとに戻すことができるはずがない、こういうふうに前原政調会長、政府・与党は一体だという認識の前提のもとでおっしゃった。川端総務大臣、この発言をされたということについてはどうお考えになりますか。

川端国務大臣 申し上げたように、詳細には、報道でそういうことをおっしゃったということは承知しておりますけれども、講演の中だそうでありますので、どういう状況でどういう文脈だったのかはまさに詳細に承知をいたしておりませんけれども、私たちが、今現在法律があり、そして今回この法律を御審議いただいている、そして与野党の合意が得られればこの委員会で法律ができていくということの流れの中でいえば、私が申し上げた以上のことではございません。

柿澤委員 つまり、政府としては二〇一四年度以降は白紙だ、こういうことでよろしいですね。

川端国務大臣 決まっていないという日本語で言えば、白紙でございます。

 ただ、そのときに、今回七・八%の給与削減法案が通していただけるということで、そういう事態になることが二年続く、一年半ぐらいたったときに人事院勧告が出ているという状況の中で、政府としてそれ以降の国家公務員の給与がどうあるべきかを判断するということでありますので、そういう意味で、決まっていないという意味では白紙でありますが、今回こういう流れがあるということも事実でございます。

柿澤委員 結局、消費税増税についてもそうなんですけれども、与党の国民新党さんも中ではばらばらなことを言っている。民主党内でも、法案提出の際は反対するよということをインタビューで公言している方が、きょうの紙面にも載っていますけれども、大変な大物の方で、まあ党籍離脱中だったかもしれませんが、そうした方でいらっしゃるわけです。こういうことをやっていること自体が、私たちは一体民主党政権の誰の言っていることを信じたらいいのかわからない、こういう状況になっていて、これは政党間の協議も妨げている、こういう状況だというふうに思います。

 国家公務員の一人当たりの人件費の水準を見れば、私たちから言わせれば、官が高くて民が低い、逆の官民較差が開いてしまっている状況であります。この状況で、二〇一四年度になったらもとに戻すなんということは到底認められるはずがありません。やるんだかやらないんだかわからない、政府の姿勢の見えないあやふやなことを言っていないで、二〇一四年度以降の国家公務員給与削減について、本法案において担保するような条文上の措置を本来は講じるべきなのではないかというふうに思います。これについては、ぜひ衆法提出者の皆さんにお伺いをいたしたいと思います。

石田(真)議員 柿澤議員にお答えをさせていただきたいと思います。

 まず、そもそも今回の提出させていただいております法案というのは、撤回を先ほどお認めいただきましたけれども、昨年自公で提出をいたしました法案がもとになっております。そして、その法案は政府案をもとに立案させていただいたものでありまして、それは政府案の範囲内で、まず法に基づいて人事院勧告を実施する、その上で、政府案で盛られている財政状況厳しいあるいは東日本大震災への対処の必要性に鑑みて、やむを得ない臨時的な措置として平成二十六年三月末までの一定期間に限って特例の措置を行う、そういう趣旨で流れがございまして、今回の提出法案もその一環で出させていただいておるということでございます。

 そういう意味で申し上げますと、あくまでも臨時的な措置であるということでありまして、先生の御指摘、一四年以降の問題については、私はその時点で議論されるべきものであると考えております。

柿澤委員 御答弁を大体統一見解としていただきましたので、済みません、次の質問に進ませていただきたいと思います。

 地方公務員給与の取り扱いについても、先ほど来何度も取り上げられております。そもそも復興財源として政府が特例法案を出してきたのが去年の秋でありますが、私はそのときに、本委員会の一般質疑で既にこのことを質問させていただいております。そのときの川端大臣の答弁は、やはりあくまで地方が決めることだ、こういうことであったわけです。

 先日就任された岡田副総理も、一度はテレビで、地方も人ごとではない、こういうふうにおっしゃったんですが、結局、参議院の予算委員会で我が党の小野次郎議員から、本当にやるのか、こういうことを聞かれて、それぞれの地方自治体で判断することだと発言を後退させたわけです。要するに、腰砕けであるというふうに言わざるを得ないと思います。

 これを聞いても、もう一度地方自治体が決めることだという答弁が繰り返されるだろうから、もうこれは聞きません。

 しかし、岡田副総理はこうも言っているんです。地方にも努力をしてもらいたいが、一義的には地方が考えることだと。地方にも努力をしてもらいたい。つまりは、財政状況を踏まえれば、地方公務員も足並みをそろえた給与削減を行うべきだと政府としては考えている、こういうふうに考えているということでいいかどうか。あるいは、これは政治家岡田克也さんの個人的な意見なのか。川端総務大臣はいかが考えているか、この点について、まずお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 前にもお答えをしたのかもしれませんが、もう聞かないとおっしゃいましたけれども、まさに地方公務員法において、地方のことは地方で決めると。そのときの判断として、その地域の事情、民間の事情、それから人事委員会の勧告がある場合はその部分に加えて国の状況というのも踏まえて自律的に判断をし、条例で決めるということが基本でありますので、その分では、まさにそういうことでお決めいただきたい中に、国がどうするかということも御判断いただく基準の一つであることは間違いがありません。そこで御自分で決めていただきたいということでありますので、そういうことを踏まえて、地方は地方でしっかりと判断して決めていただきたい。

 岡田副総理がおっしゃったのも、国がいろいろやるときに、そういう状況にあるという中で、地方もしっかり考えてくださいとおっしゃったんだというふうに私は理解をしております。

柿澤委員 これは一方的な片思いみたいな話ではなくて、本当に国、地方あわせて人件費の削減を、やはり今の財政状況を考えれば進めていかなければならない。こういう認識を共有して進めていくべきものだというふうに思うんです。

 そういう意味でいうと、昨年法定化された国と地方の協議の場で、地方公務員人件費の削減について地方団体に要請する、こういうことをすべきではないかと私は思います。これについても昨年秋お聞きをいたしたんですけれども、みんなの党さんも地域主権ですよね、地域が自主的にお決めになることなんですから要請はいたしませんよ、こういう趣旨の答弁を川端大臣からいただいています。

 しかし、これでは二十一兆円の地方公務員人件費を国としてはいわば聖域化して、国家公務員の削減幅に合わせた、例えば地方交付税の減額もしないんでしょう。これが民主党政権の地域主権というものの行き着く帰結なんですか。

 国と地方の協議の場というのは、地方団体が協議を求めることを、国が一方的に地方の言うことを聞く、こういう場ではないはずだと思うんです。国がやるのであれば地方もやってほしい、こういう意思表示をこういう場を活用して国として行っていく。そうでなければ、先ほどラスパイレス指数の話もありましたけれども、このようなアンバランスな状況が放置をされてしまう。このことについて、ぜひ国と地方の協議の場で国として取り上げていただきたいと思いますが、御見解をお伺いします。

川端国務大臣 国と地方の協議の場で取り上げるつもりはないと前に御答弁した立場は今も変わっておりません。

 そして、地方は地方なりに大変な努力をしておられます。そういう意味では、例えば、給与の削減の実施団体で削減最高率一〇%以上の都道府県ということでいったら、岐阜県が一四から六、大阪府が一四から三・五、鹿児島が一〇から五云々、やはり一〇%近い部分を努力しておられるところもあります。まさにそれは、それぞれの地域の財政事情に応じて、できる部分は相当な御苦労をいただいているところもあります。したがいまして、そういう中で、国もやるということの事情の中で、以上に既にやっていただいているところもあるというふうに思います。

 したがって、一律的に、例えばいろいろな財政措置も含めてやるとかいうことをするつもりもありませんと同時に、国と地方の協議の場でこれを具体的に数字としてどうしようかということの、場にはなじまないというふうに私は思っております。

柿澤委員 残念な御答弁が続いておりますが、時間もありますので、次に進みたいと思います。

 お配りの資料です。みんなの党が参議院に提出した法案の、国家公務員の給与の減額措置等による国家公務員の人件費の総額の削減に関する法律案。

 この法案では、国家公務員の退職手当について、民間企業における企業年金一時金に相当する部分を上乗せしている、国家公務員だけのいわば二重支給が行われている、これをやめて、その水準を民間における退職金の水準と均衡のとれたものにすること、こういうことを盛り込ませていただいています。

 この点について、二割削減ということなわけですから、今後の国家公務員人件費削減の議論の中で取り入れていくべき考え方ではないかと私は思うんですけれども、これは総務大臣とまた自民党さんの提出者の方にも、ぜひ今後の議論に向けた考え方をお聞きしたいと思います。

川端国務大臣 先ほど来、官民の比較での給与水準の御議論もございましたが、やはり比較するときには、それぞれのベースといいますか共通の基準をはっきりさせた中で比較をされるべきだというのが基本としてございます。

 そういう中で、平成十八年の十一月に人事院が公表した退職金の水準の官民比較というときのベースは、民間は退職一時金と企業年金、官については、退職手当、いわゆる一時金と共済年金の職域、いわゆる三階部分の合計を比較いたしました。

 今の御趣旨は、そのときの民間の退職一時金と官の退職手当とを比較しろという御趣旨かとも思いますけれども、この民間の退職一時金と企業年金の企業年金は、選択、希望によっては一時金としてもらえる趣旨のものでありまして、一体として、年金と退職一時金は、官民ともに使用者拠出に係る費用、要するに使用者側が受給者に払う費用という意味で、民間は退職一時金と企業年金、官については退職手当と共済年金のいわゆる職域部分というのが退職時に払われる金額でありまして、その水準を比較しているという意味では、一部だけの部分、名前だけ同じものを比較するのは適切ではないのではないかというふうに考えています。

 なお、官民の退職後の給付の水準については、現在、人事院がこのような考え方に基づいて調査結果を集計中でございます。総務省としては、この人事院の調査結果を踏まえて、二十四年度中に、退職手当の水準を見直すための改正法案を国会に提出することを目指しておるところでございます。

石田(真)議員 柿澤議員にお答えをさせていただきます。

 今総務大臣からお話がありましたように、制度的な違いがあるというふうに私も思っております。ただしかし、結果として官民均衡とれたものにしていくというのは、我々としても当然のことだと思っております。

柿澤委員 最後の質問にいたします。

 今お配りした資料の法案では、人事評価と昇給制度、ここにも実はトリックがあるんですね。

 人事考課を取り入れた昇給制度にした、こういうことなんですけれども、新たに導入された五段階評価システムがどういうものかというと、評価ランク、五段階設定して、最も高い人は通常の二倍、その次は一・五倍、その次は通常どおり、その下は通常の〇・五倍しか昇給しない、最下位の人は全く昇給しない、こういうものです。

 最上位の二倍昇給は全体の五%、その次は二〇%と決まっているんですけれども、実はその下は、どこに何割を、何%を割り振るかということが全く決まっていないんです。その結果として、七二%の人が従来どおりの通常昇給をしていて、それより上の評価を受けている、通常の二倍が五%、通常の一・五倍が二〇%。何のことはない、通常以上の昇給を、通常も合わせて九七%の人がしていて、実は、今までよりも昇給幅が圧縮されている人というのは三%しかいない、こういうものなんですね。人事評価の制度改革だ、こう言いながら、実は人件費が膨らんでしまうような、驚くようなお手盛りをここでやっているわけです。

 私たちの法案では、この点についても、標準的と評価を受ける国家公務員を中心として、標準より良好と評価を受ける国家公務員と良好でないという評価を受ける国家公務員をおおむね正規分布させる、こういう仕組みとすることを提案しております。こうすれば、能力主義の人事評価システムが国家公務員人件費の削減にもつながっていく。これも国家公務員人件費削減の議論の中でぜひ取り入れていってもらいたいと思いますが、御見解をお伺いいたします。

川端国務大臣 先ほどの話もそうなんですが、この昇給区分の決定についても人事院の所管でございますので、人事院において、まさに、いろいろな民の仕組みも含めて適切に評価して仕組みがつくっていかれるべきものだというふうに思っておりますが、上位の部分に関しては、既に人員枠が設けられている。だから、頑張って昇給できるという上位枠は決まっているというのは御指摘のとおりでございますが、下位においては決まっておりません。

 これは、相対評価をするか絶対評価をするかという物の考え方だというふうに思っております。

 みんなの党の御指摘は、相対評価で、基本的には正規分布で、標準的な人よりよかった人は上がるけれども、標準的より悪かったら要するに厳しい査定をするということにしなさいということでありますけれども、人事評価において、これは難しい議論だと思うんですけれども、標準的な評価の中で、みんな頑張ったって、誰かは下位評価をつくらねばならないということが適切かどうかというのが議論の分かれ目だ、物の考え方だというふうに思っております。

 今、人事評価は、給与だけではなくて、適材適所の人材配置、的確な昇進管理とか人材育成、自己啓発、勤務意欲、能力等々あらゆる面で行うということで、この評価のやり方と当てはめが適切かどうかは絶えず検証はしていかなければならないとは思っておりますし、今の部分にいろいろな御批判がある部分は謙虚に聞かなければならないとは思いますが、職員一人一人の職務遂行能力、勤務実績をできる限り客観的に把握して適切に評価するということでの絶対評価で行うということには、一定の論理的な根拠があると私は思っております。

石田(真)議員 柿澤議員にお答えをさせていただきたいと思います。

 この国家公務員の勤務評価については、平成十九年に能力・実績主義というのが導入をされておりまして、それに基づいて、政令で二十一年の四月一日から実施をされている。そのことについて柿澤議員から御指摘があったと理解をいたしますけれども、これについては、私はこれから不断の検証をお互いやっていくということがやはり大事だろうというふうに考えております。

原口委員長 柿澤君、質疑時間が大幅に過ぎております。

柿澤委員 今の御答弁にも言いたいことはたくさんありますが、時間も超過しておりますので、質問は終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

原口委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正でございます。

 まず冒頭に、質問に入る前に一言申し上げたいことがございます。

 それは、各党間でさまざまな政策問題について協議を行うこと自体は否定するものではありません。しかし、今回の三党提出の国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律案について、他の政党が全くあずかり知らぬ密室で三党のみで協議を行い、昨日の夕刻に法案が提出される、そして、いきなり本日、提案理由の説明を行い、直ちに質疑に入り、採決まで行うという進め方については、余りにも乱暴と言わざるを得ません。

 自民党は、社会保障と税の一体改革について、密室での政党間協議ではなく、公開された国会審議の場で行うべきだと主張されてまいりました。しかし、この給与特例法案については全くの密室で行われたということについて、大変遺憾である、そのことを申し述べたいと思います。

 今回、前例のない平均七・八%もの給与削減法案が提出されました。まず、今回の削減の目的は一体何ですか。

 法案では、我が国の厳しい財政状況及び東日本大震災に対処する必要性を挙げています。他方で、総理は施政方針演説の中で、社会保障・税一体改革の包括的な推進の中で、この用法は誤用だと思います、隗より始めよという言葉で公務員給与引き下げに言及している。この言葉を普通に聞けば、公務員の給与引き下げを消費税率引き上げの露払いにすると受け取れます。また、菅前総理は国家公務員人件費二割削減を挙げている。人勧を超えた削減を目指す、このように述べてまいりました。

 一体、今回の削減の目的は何か。また、財政状況なのか、東日本大震災への対処なのか、人件費二割削減なのか、消費税率引き上げの先鞭なのか、答弁を求めます。

稲見議員 お答えいたします。

 本日の委員会に至る点、唐突であるというふうな御批判をいただいている点、これについては率直におわびを申し上げたいと思います。

 ただ、法案そのものは、閣法、いわゆる臨時特例については昨年の六月三日に閣議決定をされて通常国会に提出をされたもの、そして人勧実施については、自公案は昨年の臨時国会に提案をされて継続審議になったもの、こういうことでありまして、今回の三党合同の議員立法について、その中で変更されているのは、経過措置の廃止の問題と昇給回復のやり方というところに多くは限られている、こういうふうなことであります。したがいまして、きょうの委員会でぜひ皆さんに真摯な質疑をお願いしたいという立場でございます。

 その上で、目的でありますが、一つは、先ほどありますように、東日本大震災の復興財源ということがあります。それから、人勧実施ということになりましたので、〇・二三の俸給表の改定というものがあります。全体として、これは民主党の、二割削減という、マニフェストの中にありますから、それに向けた努力ということもあろうかと思います。

 以上であります。

重野委員 次に、人事院に聞きますが、報道などによりますと、三党合意で勧告の実施が織り込まれたことを歓迎した、このように言われています。もし仮にそうだとすれば、大いに問題があると言わざるを得ません。

 労働基本権制約下にあって代償機能を果たすべき人事院が、自分たちの勧告が盛り込まれたからそれで了と、まさに役所のメンツのみで、そのメンツを優先させたというふうに指摘せざるを得ませんが、人事院は今回の法案についてどのように受けとめておられるか、お伺いしたい。

江利川政府特別補佐人 御指摘は共同通信社の記事ではないかと思いますが、私は共同通信から取材を受けておりません。ですから、私の答弁ではございません。また、人事院の職員に対しましては、基本的に、全体の問題をまさに国会の御判断にお任せしているわけでありますので、立ち入ったコメントはしないようにというふうに申し上げている次第でございます。

 御質問の後段でございますが、本件につきましては私は、国家公務員の労働基本権、憲法二十八条の労働基本権は制約されておりますので、その制約に対する代償措置が人事院勧告でありますから、現行法体系から考えますと、人事院勧告をまず完全に実施していただきたいということでございます。

 一方、千年に一度という東日本大震災、未曽有の国難でございますので、これは、こういう未曽有の国難のときには一般のルールだけでは判断できないのではないか、その部分については国会におきまして大所高所から御判断をいただきたいというふうに考えている次第でございます。

重野委員 国会で判断をしていただきたいと。

 今の答弁を聞いていると、確かに今、人勧体制という体制そのものが大きく揺らぎ始めているという時代認識を私は持っています。しかし、少なくとも、労働基本権付与という大きな問題がいまだ未解決という状況下にある中における人事院は、やはり、公務員の給与を初めとする勤務条件、労働条件全般について、人事院がその方向というものを明確にする、それを政府は守っていくという形は残っている、今なおそういう体制下にあるんですね。そういう状況下においての今の総裁の答弁は、私は極めて問題があると思うんです。

 やはり、毅然として人事院総裁としての立場、そして公務員賃金のあるべき姿、こんなものを開陳してしかるべき、このように思うんですが、再度答弁を求めます。

江利川政府特別補佐人 先生の御指摘は、私は基本論だと思います。基本は私もそのとおりに受けとめております。

 ただ、千年に一度の未曽有の国難といったときに、本当に一般論だけでいけるのかどうかというところについては、私はさまざまな議論があり得るのではないかというふうに思うわけでございます。そのさまざまな議論を国権の最高機関である国会において十分御審議していただくということが、このようなケースには適当なのではないかというふうに思っている次第でございます。

重野委員 議論は平行線。これ以上申しません。

 次に、地方などへの波及についてお尋ねいたします。

 その前に、まず確認とそれに関連した質問を行いますが、二月二十一日、三党実務者協議で覚書が交わされたと報道されています。その中で、地方への波及について、国会審議の場で引き続き三党間で協議するとの文言があったと聞いています。まずそれを確認いたします、事実かどうか。

 この総務委員会はまさに国会審議の場の一つでありますが、ここには三党しか存在しないのか、あるいはその他の政党は国会審議の場においても無視をするということか、三党それぞれに、この文言の意味を説明していただきたい。

稲見議員 提案者を代表してお答えをいたします。(重野委員「三党それぞれと言ったんです」と呼ぶ)では、民主党の代表です。

 二十一日の覚書があるのは確かでございます。それは、二十一日の朝になっても地方波及の点では合意を得られない、しかし法案提出を急ぎたいということで、その地方波及のところを除いて法案提出、各党党内協議を行おうという覚書でございます。

 言葉の表現として、国会審議の場においてという言葉があることは確かでありますが、取り紛れた、非常に急いだ中でありましたので、意味理解としては、国会審議の場までに三党で引き続き協議をしよう、こういうことであったというふうにぜひ御理解いただきたいと思います。

石田(真)議員 ただいま稲見提出者から答弁させていただいたとおりでございます。

 国会の審議日程、あるいは法律の施行日の問題、そういうことを勘案する中で、やはり急がなければならない。それで、最後の詰めの問題については、法案を提出する中で、そういう期間の中でもう一度きちっと議論しようということでございました。

 それについて、また改めて修正という形で法案を提出させていただく、そのような対処も考えさせていただこうということで、こういうことになったということでございます。

稲津議員 お答えいたします。

 まず最初の、結論をやるという趣旨の記述があるかどうかという御質問でございますけれども、この件につきましては、先ほども御答弁ありましたが、国会審議の場において引き続き三党間で協議をする、こういう文言が盛り込まれております。

 それから、三党だけで決めていいのかという御質問でございますけれども、このことにつきましても同趣旨の答弁になりますが、三党で議論をさせていただいて、まずは提案をさせていただく、その上で国会での御協議をいただく、このようなことでございます。

 以上でございます。

重野委員 二十一日の三党の覚書の中で、今答弁のありました内容、状況を踏まえて、地方公務員給与の取り扱いに関する規定を置かないものとするというふうに確認されている。

 今、新たにきょう法案が出されましたけれども、そこには地方公務員のものに対する明確な文言が入ったんですね。この間の経緯について説明願いたい。

稲見議員 二十一日の朝の段階では、地方公務員の給与の取り扱いについては三党間で合意を得ることができませんでした。したがって、議員立法として提出をする法案の中にはこの規定を置かずに提出をさせていただきました。

 その後、昨日、附帯決議等について三党で協議をいたしましたけれども、結論としては調わずという中で、自民党、公明党から、附則としての修正案が本日提出をされております。

 民主党としても、附則の案文そのものにつきましては、主張した内容もございますので、提案者には入っておりませんけれども、後ほど修正案に賛成をしたい、こういう形で取り扱っているところであります。

重野委員 あと五分ということですから、先に進みます。

 次に、地方などへの波及について、これは総務大臣に聞いておきたいんですが、今回のこの法案に関連して、地方公務員の給与について言及する修正案がきょう提出をされたんですね。国家公務員の給与を決定する法律の中で、大臣がこの間述べているのは、地方公務員法に基づき、自治体の自主的な判断により、議会で条例を決めると。地方公務員の給与への言及が行われるのは、異常と言わざるを得ない。我々は、どのような形であれ、地方への波及については反対であります。また、既に自律的労使関係のある独立行政法人などについても、今回の特例法案の波及は論外だと考えます。

 今回のこの改正案のもととなった閣法の決定に当たって、当時の片山総務大臣は何度も労使交渉を重ねました。地方などへの波及の遮断は、その交渉で出てきたわけであります。そうした労使の話し合いを一方的に無視するようなことがあってはならないと考えるし、労使の信頼関係を破壊することは許されない。この点について、総務大臣の見解をただしたい。

川端国務大臣 これは何度も申し上げておりますけれども、地方公務員の給与については、地方公務員法の趣旨を踏まえて、それぞれ地方公共団体で、議会で十分議論の上、当然ながら、人事委員会の勧告やその地域の官民の状況等々も含めて、国の状況も含めて、条例で定められるものであるということは、かねてから申し上げてきたとおりでございます。

 地方の各公共団体で、引き続き、国民、住民の理解と納得が得られるように、情報公開を徹底するなど、自主的な取り組みを進めながら、しっかりと適切に給与を決定することが肝要であるというふうに思っておりまして、これも何度も答弁しておりますし、片山前総務大臣も申し上げておりましたように、国としてそのことに何らかの強制をするようなことをするということは一切考えておりません。

重野委員 そうなると、私はやはり民主党の稲見さんに聞いておきたいんですけれども、二十五日から今日までの流れの中で、何があってこの二行の文言があの法案の中に書かれたのか、どういう状況の変化があったのか。それを聞いておきたい。

稲見議員 お答えいたします。

 与党としましては、先ほど川端大臣がお答えをしたとおり、臨時特例法案であれ、地方のことは地方で決める、自主的かつ適切に地方が決めるべきだ、こういうふうに考えてまいりました。したがって、要請あるいは技術的助言を行うというふうな立場の野党の皆さんとは相入れない状況がずっと続いてきたという状況であります。

 そういう中で、その表現につきましても、附帯決議あるいは附則ということでいろいろな議論がありまして、文言の中身を含めて、先ほど申し上げましたように、民主党、与党としては、附則に表現をすることについて最終的に判断をした、こういう内容であります。

 以上が、昨日の夕刻までの経過ということであります。

重野委員 いずれにしても、このつけ加えられた文言は、私は、地方自治という視点から見て到底容認できる内容ではない、このように考えております。

 いずれにいたしましても、今回の公務員の給与の問題は、先ほど来るるお話があっているように、単に公務員だけの問題ではなしに、これが及ぼす波及的な影響というのは非常に大きいと私は思う。回るたびに悪くなっていくという負の連鎖が、このことを契機として、この国の給与問題、勤務労働条件をめぐる問題万般に大きなマイナスの効果をもたらす。その一つのきっかけになる、極めて問題のある法案だというふうに指摘をして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

原口委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

原口委員長 この際、本案に対し、坂本哲志君外一名から、自由民主党・無所属の会及び公明党の共同提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。坂本哲志君。

    ―――――――――――――

 国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

坂本委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、提出者を代表いたしまして、その提出の趣旨及び内容について御説明申し上げます。

 この修正案は、地方公務員の給与については、地方公務員法及びこの法律の趣旨を踏まえ、地方公共団体において自主的かつ適切に対応されるものとする規定を附則第十二条として追加するものであります。

 以上が、本修正案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

原口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 私は、日本共産党を代表して、民主党、自民党、公明党三党提出による国家公務員の給与改定及び臨時特例法案及び自民党、公明党提出の修正案に対する反対討論を行います。

 討論に先立ち、労働基本権制約の代償措置である人勧制度さえ踏みにじり、公務労働者に重大な不利益を押しつける法案を、わずか半日、極めて短時間のうちに質疑、採決、緊急上程まで押し通すという暴挙に断固抗議するものであります。

 本法案は三党の密室協議の結果であり、そもそも法案の形でその内容が明らかにされたのは昨日の午後であります。にもかかわらず、十分な審議を保障することなしに、初めに出口ありきのやり方で押し通すことは、議会制民主主義をないがしろにするものと言わなければなりません。

 私は、重大な内容を持つ本法案については、徹底審議が必要であり、とりわけ労働組合代表からの参考人質疑は不可欠であると強く主張してきましたが、それすらも行わずに採決を強行することは断じて許されません。

 結局、採決、緊急上程にしがみつくのは、今年度中に人勧を実施したという形をとって消費税増税の地ならしを行う、身を切る改革の実績づくりにほかならないのであります。

 本法案に反対する第一の理由は、本法案が、国家公務員に対する労働基本権制約の代償措置である人事院勧告制度すら無視して、一方的な不利益を国家公務員に押しつける二重の憲法違反となるからであります。

 憲法二十八条は「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」としており、勤労者に公務員が含まれることは歴代政府も認めているとおりであります。この永久不可侵の権利が長年にわたり不当に制約されている違憲状態に終止符を打って、労働基本権の全面的な回復を図ることこそ国会のやるべきことであります。

 こうした違憲状態が回復されていない、いわば国家公務員の手足を縛った状態のままで、人事院勧告の水準をはるかに超える平均七・八%もの給与を、来年も、また再来年も国家公務員の給与から奪い取ることは認められません。まして、民主、自民、公明の密室協議による議員立法の形で行うなど、前例のない異常なやり方と言わねばなりません。

 復興財源のためというのも理由になりません。本法案は、被災地である東北地方の国家公務員にも例外なく適用されます。被災者の国家公務員から平均七・八%の給与を長期に奪うのでは、暮らしも成り立たないことは明らかであります。

 反対の第二の理由は、このような国家公務員給与の大幅な引き下げが、国民全体の所得減少の悪循環を招き、内需をさらに冷え込ませ、ひいては財政の一層の悪化をもたらすからであります。

 国家公務員給与は、地方公務員や独立行政法人職員、民間保育園や病院の労働者など、約六百万人もの労働者の賃金に影響を与えるものです。民間企業でも国家公務員給与を踏まえた賃金決定の仕組みがつくられており、その影響は極めて甚大です。

 そもそも、地方の国家公務員の給与は、この十年余りで二割も引き下げられています。公務員給与の削減が民間賃金を引き下げ、それがまた公務員給与引き下げを招いてきています。

 政府がまとめた二〇一一年版の労働経済白書は、賃金抑制が消費と国内需要の減少へとつながり、さらなる物価の低下を促すという物価、賃金の相互関連的な低下につながったと述べています。国家公務員の一方的な大幅給与引き下げは、ただでさえこの政府自身の分析に逆行し、ましてや今度の民間労働者給与のさらなる引き下げに絶好の口実を与えることになることは明らかです。

 さらに、自民党、公明党共同提出の修正案については、「地方公務員の給与については、地方公務員法及びこの法律の趣旨を踏まえ、地方公共団体において自主的かつ適切に対応されるものとする。」として、地方自治体に本法案による公務員給与引き下げを押しつけるものとなっており、極めて重大です。地方の人事委員会勧告をも大幅に上回る地方公務員の給与削減が行われるなら、人事委員会勧告制度は形骸化し、地方経済をさらに冷え込ませることになります。

 修正案にも反対であることを述べて、討論とします。

原口委員長 次に、重野安正君。

重野委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、民主、自民、公明党提出の国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律案について反対、自民、公明提出の修正案についても反対の立場で討論を行います。

 まず、今回の三党提出の法案は、これまでの給与決定を根幹から変えるもので、本来、十分な審議を行うべき法案であります。ところが、実際に各委員の手に法案が渡ったのは前日夕刻、しかも、提案、質疑、採決を一括して、わずか三時間弱で行おうとしています。この乱暴きわまりない運営には強く抗議します。

 また、今回の法案提出に至る過程は、全て民自公三党による密室協議であり、国会審議を甚だしく軽視したものであります。給与削減の目的も、震災対応なのか、消費税引き上げのためなのか不明であり、法案の作成過程とあわせて余りにも不明瞭、不可解で、党利党略に基づく談合政治と言わざるを得ません。

 言うまでもなく、公務員は労働基本権を制約されており、その代償措置として人事院勧告が存在します。その人勧を大幅に上回る給与引き下げは憲法違反のそしりを免れません。人勧を実質的に無視した給与決定を行うのであれば、自律的労使関係の確立を待って、労使交渉によって行うべきであります。

 さらに、人勧〇・二三%引き下げについて、一年さかのぼっての精算が行われることは、不利益不遡及の原則に照らして大いに問題です。深掘りが月額で万単位になることから、公務員の生活保障という観点からも看過できません。

 また、公務員給与の大幅な引き下げが、今後、中小、地場に波及することが十分に予想され、景気に明らかな悪影響を与えます。

 自衛隊だけを特別扱いしたのも大いに問題です。国、地方の公務員は、職種を問わず、震災からの復旧復興に不眠不休で取り組んでいます。にもかかわらず、自衛隊のみ優遇する経過措置は、公平性の観点からも重大な疑義があります。

 なお、自民、公明から提出された修正案については、地方公務員給与の決定のあり方を国が指図する古い中央集権的な考え方であり、容認できません。

 社民党は、公務員制度改革四法案の成立を目指し、公務員の労働基本権回復に今後も全力を挙げることを申し上げ、討論とします。

原口委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党を代表して、討論いたします。

 なぜ七・八%、なぜ二年間限定なのでしょうか。なぜ国家公務員だけなんでしょうか。今回の国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律案は、この疑問に答えていません。

 私たちみんなの党は、昨年九月、政府の平成二十三年度第三次補正予算案に対する対案として、震災復興のための独自の予算案をつくり、その中で、国家公務員人件費二割カットによって、当初の復興期間十年間で十兆円の財源をつくり出すことを掲げていました。これだけで復興増税が不要になるような規模の財源であります。そして、それを実現するために、国家公務員の退職手当や人事評価、級別定数のあり方も総合的に見直した、人件費二割カットのための法案も参議院に提出しております。

 それに比べて、二年間限定、七・八%削減、捻出財源は五千八百億円、国家公務員の人件費の一人当たりの水準が民間企業と比べて高い、逆の官民較差が開いているような状況で、本法案のような削減では、削減幅、期間ともに余りにも不十分過ぎます。

 そして、民主党はマニフェストで任期中の人件費二割削減を言っていたのに、任期まであと一年余りとなったこの段階でも道筋を示すことなく、それどころか、岡田副総理から、任期中の実現は困難、こんな発言も聞かれております。政府がみずからに甘いこのような姿勢では、税と社会保障の一体改革と称する消費税の増税が国民に理解されるはずがありません。

 地方公務員には給与削減を求めないのか、こういう問いにも、地方が決めることだと一般論を繰り返すばかりで、とても国の財政危機にまなじりを決して増税を訴えている方々とは思えません。二十兆円以上の地方公務員人件費をいわば聖域化して、国家公務員の削減幅に合わせた地方交付税の減額もせず、これが民主党政権の地域主権ということなのかと皮肉を言いたくなります。

 反対すればこのレベルの給与削減すら実現しなくなってしまいますので、賛成はいたしますが、極めて不十分であり、みんなの党が参議院提出法案で提案をしている国家公務員人件費のいわば構造改革こそが二割カットのための本丸である、このように申し上げたいと思います。

 なお、自民、公明の修正案も、地方公務員への波及に言及しているとはいえ不十分と考えますけれども、しかし、それにしても国のスタンスが見える方がよいと思いますので、これも賛成をいたします。

 以上です。ありがとうございました。

原口委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより採決に入ります。

 国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、坂本哲志君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

原口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十七分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.