衆議院

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第15号 平成22年4月7日(水曜日)

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平成二十二年四月七日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 藤村  修君

   理事 青木  愛君 理事 石森 久嗣君

   理事 内山  晃君 理事 黒田  雄君

   理事 中根 康浩君 理事 大村 秀章君

   理事 加藤 勝信君 理事 古屋 範子君

      相原 史乃君    磯谷香代子君

      大西 健介君    岡本 英子君

      川越 孝洋君    菊田真紀子君

      郡  和子君    斉藤  進君

      園田 康博君    田名部匡代君

      田中美絵子君    長尾  敬君

      仁木 博文君    橋本 博明君

      初鹿 明博君    樋口 俊一君

      福田衣里子君    藤田 一枝君

      藤田 大助君    細川 律夫君

      三宅 雪子君    水野 智彦君

      宮崎 岳志君    室井 秀子君

      森山 浩行君    山口 和之君

      山崎 摩耶君    山井 和則君

      山本 剛正君    吉田 統彦君

      あべ 俊子君    鴨下 一郎君

      菅原 一秀君    田村 憲久君

      武部  勤君    棚橋 泰文君

      長勢 甚遠君    西村 康稔君

      松浪 健太君    松本  純君

      坂口  力君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    柿澤 未途君

    …………………………………

   厚生労働大臣       長妻  昭君

   厚生労働副大臣      細川 律夫君

   厚生労働副大臣      長浜 博行君

   総務大臣政務官      小川 淳也君

   厚生労働大臣政務官    山井 和則君

   厚生労働大臣政務官    足立 信也君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            高井 康行君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       伊岐 典子君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  外口  崇君

   厚生労働委員会専門員   佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月七日

 辞任         補欠選任

  相原 史乃君     磯谷香代子君

  大西 健介君     吉田 統彦君

  菊田真紀子君     森山 浩行君

  初鹿 明博君     橋本 博明君

  福田衣里子君     山本 剛正君

  水野 智彦君     川越 孝洋君

  西村 康稔君     鴨下 一郎君

  江田 憲司君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     相原 史乃君

  川越 孝洋君     藤田 大助君

  橋本 博明君     初鹿 明博君

  森山 浩行君     菊田真紀子君

  山本 剛正君     福田衣里子君

  吉田 統彦君     大西 健介君

  鴨下 一郎君     西村 康稔君

  柿澤 未途君     江田 憲司君

同日

 辞任         補欠選任

  藤田 大助君     水野 智彦君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 医療保険制度の安定的運営を図るための国民健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)


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     ――――◇―――――

藤村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、医療保険制度の安定的運営を図るための国民健康保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省医薬食品局長高井康行君、雇用均等・児童家庭局長伊岐典子君、保険局長外口崇君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

藤村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大村秀章君。

大村委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の大村秀章でございます。

 本日は、この医療保険法案の審議、本格的に始まるわけでございますが、一時間いただきましたので、しっかりと質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず冒頭に、B型肝炎訴訟につきまして御質問をしたいというふうに思っております。

 このB型肝炎訴訟につきまして、特に肝炎対策につきましては、先般の三月二十四日の厚生労働委員会、そして三月二十五日の衆議院本会議でも、私、質問をさせていただきました。これまで、肝炎につきましては、ここに御参加をいただいております多くの同僚議員、与野党ともに全力で取り組ませていただきまして、二年前には、ちょうど薬害肝炎の一律救済法案を全会一致で成立させることができました。また、昨年十一月には、肝炎対策基本法というものも二年越しで成立をさせることができました。着実に前進をしてきているというふうに思っております。また、そういう意味で、多くの関係者の皆さんに心から敬意と感謝を申し上げる次第でございます。

 さて、そういう中で、先般もお伺いをいたしました、全国で行われているB型肝炎訴訟につきまして、去る三月十二日、札幌地裁で和解勧告が出され、原告団は、国が早く和解に応じてほしいということを訴えているわけでございます。

 民主党の多くの関係議員は、野党時代、これは和解に応じるべきだということを言われていたわけでございまして、先般、本会議でも申し上げましたが、菅直人さん、民主党の肝炎の対策本部長ということでございますが、一連の判決を受けて、今から数年前に、B型、C型あわせてその救済対策に取り組むということを表明しておられるわけでございます。また、鳩山総理も、命を守りたいというふうにも言われているわけでございます。

 そういう中で、このB型肝炎訴訟の和解勧告についてどういうふうに対応されるのか。五月十四日という期日まであと一カ月少々ということになりました。あれから数週間たちました。この件について検討は進んだのでございましょうか。

 長妻大臣、いかがですか。

長妻国務大臣 この件につきましては、もう大変重大な案件だということで、これは政府を挙げてきちっと取り組みましょうということで、総理大臣初め、菅財務大臣、仙谷大臣、法務大臣、私も入った会を持たせていただき、その後も関係閣僚が協議をいたしまして、そして今、厚生労働省の中でもいろいろな論点の整理をしているという段階でございます。期日という一つのタイムリミットもございますので、政府挙げて今誠実に検討を重ねているというところでありまして、責任ある発言ができるまで今検討を重ねているという段階であります。

大村委員 今のお話を聞いておりますと、なかなか、まだ検討が進んでいないというふうに受け取らざるを得ないと思いますが、ぜひこれは、また後ほどお聞きいたしますが、もう一カ月少々ですから、しっかりと、それはできるだけ、ぎりぎりというところではなくて、早いうちにその結論といいますか方向性を出していただきたい、そのことはまず申し上げたいと思います。

 続きまして、山井政務官にお聞きをしたいというふうに思います。

 先般、山井政務官にもこの点について特にお聞きをいたしました。野党時代、大変、和解というのを何度も何度もこの委員会でも言われて、それを訴えておられたというのは私も記憶にございます。

 しかしながら、先般三月二十四日の厚生労働委員会、ちょうど二週間前でございますが、そこで、お考えは変わったのかどうか、変わっていないのであれば、この政府の中で、あなたは今政府におられるわけですから、和解に向けて働きかけをするのかどうかということをお聞きいたしましたが、残念ながら和解という言葉が一言も出ませんでした。極めて残念でなりません。そのことについて、翌日、三月二十五日の北海道新聞の記事に、政権交代で熱意も後退というふうに書かれております。

 そういう意味で、この和解に向けて政府内部で働きかけをされるのかどうか、その点についてお答えをいただきたいと思います。

山井大臣政務官 大村委員にお答え申し上げます。

 長妻大臣も先ほど答弁をさせていただきましたように、政権交代前から、薬害C型肝炎、そして集団予防接種によるB型肝炎の問題というのは非常に重要な問題だというふうに私も認識をしておりました。

 そして、政権交代を機に、まずは基本法が必要だということで肝炎対策基本法、これを党派を超えて皆さんのお力でつくっていただきました。これは議員立法でありました。そして、その中でも、最高裁で国が敗訴をしましたB型肝炎の訴訟のことも明記を初めてさせていただきました。

 また、それを一つのばねとして、第二段階として、B型肝炎に対して効果がある核酸アナログ製剤、それの医療費助成、これも本当に党派を超えた皆さんの声でこの四月一日から実現することができました。

 そういう意味では、この肝炎対策基本法、そして核酸アナログ製剤への医療費助成、やはりこれらを踏まえて、まさにこれから、一番大きな問題であるB型肝炎の訴訟、この問題について私たち政府も今から取り組んでいかないとだめだというふうに思っております。

 今、きのう、きょうも、原告の方々が座り込みをされているというふうに私も聞いておりまして、こういう原告の方々の思いというものも私たち本当にしっかり受けとめねばならないと思っております。

 そして、政権交代後も、肝炎対策基本法についてのときに、今のB型肝炎の原告の方々にも、私も長妻大臣も鳩山総理も、何度かお目にかからせていただきました。残念ながら、現時点においては、ちょうど先日、和解勧告が出たという、一番今、今後の方針を議論する、そういう時期でありますので、その真っただ中に、原告と被告が直接話をする前に、今、長妻大臣もおっしゃいましたように、今回、どういう方向性で今後協議をしていくかという協議を、今、表には出ておりませんけれども、必死になって政府内で、仙谷大臣、千葉法務大臣、長妻大臣を初め、政府を挙げて取り組んでいるところであります。

 そういう意味では、面会をぜひしてほしいという声を私も本当にたびたびいただいておりますが、現時点でお目にかかれないことに関して非常に申しわけなく思っております。

大村委員 和解をすべきだというお考えに変わりはありませんか。一言でお答えください。

山井大臣政務官 やはりこの問題に関しましては、本当に私も原告の方々と多くお目にかかってまいりましたし、原告の中、また、原告ではない、予防接種によって肝炎に感染されてしまった方々の中には、本当に重篤になっておられる方々もおられると思います。そういう意味では、一日も早く訴訟を終わらせねばならない、そういうふうな思いは、政権交代前から今にかけても私は変わってはおりません。

大村委員 それは和解をすべきだということで受けとめてよろしいですか。

山井大臣政務官 私も今、政務官という政府の一員でありまして、先ほど長妻大臣からも答弁ありましたように、これはまさに厚生労働省のみならず政府を挙げて取り組む問題でありまして、また、今回の原告の方々のみならず、それ以外の同じような苦しみを受け、そしてまた被害を受けた方々に対する支援、補償というものも含めて考えねばならないと思っておりますので、まさにそのことを今必死になって政府内で協議をしている最中でございます。

大村委員 和解をすべきだという言葉がありません。お考えは変わったんですか。もし今でも和解をすべきだというお考えがあるのであれば、和解にならなかったら政務官をおやめになりますか。いかがですか。

山井大臣政務官 今回の鳩山政権、鳩山総理も、命を守りたい、命を守るのが政治の最優先課題だという方針を示しております。そういう意味では、これは、さまざまな重要課題が今、日本の国に、そして厚生労働省にございますが、私は本当に最優先課題の一つだと思います。そういう思いで私も精いっぱい頑張ってまいりたいと思います。

大村委員 核心のところをお答えにならないで、周辺のところをべらべらとしゃべられる。いかにこの核心を避けようとしておられるかということが本当によくわかります。その点のことをはっきりと言っていただかないということは、私は、政治家として問題だというふうに言わざるを得ないと思います。あなたに何度聞いても、この和解を政府内で訴える、そうでなければやめるんだという覚悟の言葉が聞こえません。極めて残念だということを指摘させていただきたいというふうに思います。

 続きまして、きのう、きょうと全国の原告、弁護団の皆さんが東京にお集まりになって、厚生労働省前、日比谷公園で集会を行い、そして要請を行い、抗議行動を行っておられます。そして、活動の一つのポイントとして、関係する大臣に面談を要請されておられるわけでございます。しかしながら、今現在、その面談が実現をしておりません。断られているというふうにも聞いております。

 長妻大臣、原告団の皆さんとお会いになりませんか。

長妻国務大臣 これは先ほども申し上げたわけでございますけれども、今、地方裁判所から和解のテーブルに着いたらどうだというようなお話がございまして、政府として重大問題だというふうに受けとめ、総理を初めとする関係閣僚で、どういう対応が必要なのか、具体的な対策としては厚生労働省の中でも鋭意検討をしているところであります。政府全体の方針が固まって、責任ある発言ができた段階でお会いをするということでございまして、今の時点では、そういうこともございますので、今はお会いができないということを昨日申し上げさせていただいたところであります。

大村委員 二年数カ月前に、C型肝炎の薬害訴訟のときには、原告団の皆さんと会え、会って話をすべきだということは言っておられませんでしたか。私は、そういうふうに、皆さんはとにかく面談をすべきだということを言っておられたというふうに記憶をいたしております。今回はなぜお会いにならないんでしょうか。

長妻国務大臣 これは、例の肝炎の議員立法が政権交代後成立したときには、総理も私も、B型肝炎の皆様方ともお会いをさせていただいております。

 ただ、今回については、まさに訴訟の対応を、責任ある発言を求められるというようなことでありますので、それについては、先ほど来申し上げておりますように、総理大臣をトップとして政府全体として、本当に重要な問題であるということをかんがみて真摯に今検討して、そして責任ある発言ができる段階でこれはお会いをするというようなことであります。

大村委員 C型肝炎訴訟のときも同じような状況だったと思いますが、私は当時、また、今と同じように委員会の筆頭理事、与党の筆頭理事をやっておりました。その際、弁護団、原告団の皆さんと当時の舛添大臣との面談をぜひ実現してほしいという話がありましたので、その点について、直接ということではなくて、我々が介して両方を呼んでお会いをしていただくという場をつくるということをやらせていただきました。

 そういうような形ででもお会いをする、面談をする、そういうお考え、そういう気持ちはありませんか。

長妻国務大臣 これは繰り返しになって大変恐縮なんですけれども、やはり大臣という立場でお会いをすれば、そのときに、何も具体的なお話ができないということではなくて、やはり責任あるお話が、政府全体の決定事項として申し上げるということが一つの筋であるというふうに考えておりまして、そういうような責任ある発言ができるようになるまで総理をトップとして今検討を重ねているということで、決して、お会いをしないというのがこの問題をもちろん軽んじているわけでもございませんし、非常に重大な案件であるということで、関係閣僚、総理大臣、今検討を重ねているという段階であります。

大村委員 しかし、会ってお話も聞かないということで、要は、要請書といいますか文書だけで判断をされるということですか。要は、皆さんは、これまで野党時代は、こういった方々には必ず直接会って話を聞かないとそのお気持ちなりその実態はわからないというふうに言っておられたのではないんでしょうか。今回に限ってなぜ面談もされないのか、なぜ厚生労働省の玄関でそれ以上お会いにならないのか、そのことについて私は大変疑問を感じざるを得ないわけでございます。

 文書だけではなくて、直接お会いをして御意見を、御要望を、お考えをお聞きすべきだというふうに思います。その点について、時間は短くても結構ですから、お会いをすべきだと思いますけれども、いま一度お答えをいただきたいと思います。

長妻国務大臣 この案件については最高裁の判決も出ておりまして、政権交代後、この訴訟とは別の件、議員立法の件もございましたけれども、私も総理大臣もお会いをして、お話もお聞きし、そして文書でも具体的な御要請をお聞きし、次の段階としては、今度はお聞きするだけではなくて政府としてやはりお話をする、こういうような具体的な段階になってきているというふうに考えております。

 そういう意味で、政府全体として責任ある発言ができる、こういう段階になるまで我々としてはきちっと検討をして、責任ある御回答ができる段階までお待ちをいただきたい、こんなような趣旨で昨日申し上げたところでございます。

大村委員 極めて残念であります。とにかく検討するんだ、検討するんだと。要は、紙の文書だけでの御要望、御要請、御意見を受けるだけで、多くの皆さんが、原告団、弁護団の方が全国から集まってきて厚生労働省前でお話をされている、ぜひ面談をしたいと言われているにもかかわらず、あなたはそれを門前払いを食わせる、意見も聞かない、直接お話を聞かない、そういうことでよりよい結論が得られるとは私は思いません。

 確かに、直接お会いをするということについて、裁判があるということであれば、私どもに言っていただければ、与野党の理事なり、もしくは委員会、いろいろな場で、両方を呼んでそこでお話をするということをC型肝炎のときはやりました。

 にもかかわらず、今回は、何度聞いても判で押したように同じような答えしかされない。検討中なんだ検討中なんだということしか言われない。私は極めて残念だというふうに思います。

 この点については、もう五月十四日というのはあと一月ちょっとで来ます。引き続き私どもは、この問題について、患者さん、原告の皆さんにとってよりよい結論が出るように、しっかりとフォローをし、また皆さんにしっかり申し上げていきたい、そのことを申し上げておきたいというふうに思います。

 B型肝炎については以上とさせていただいて、引き続きしっかりフォローしていくことを申し上げておきます。

 続きまして、新型インフルエンザについてお聞きをいたしたいと思います。

 まず冒頭、輸入ワクチンが二百三十四万回分、有効期限切れで廃棄されるという報道がございました。この点については事実でございましょうか。そして、これで幾らが無駄になるのか、お答えをいただきたいと思います。

高井政府参考人 三月三十一日付で有効期限切れはノバルティスのものでございまして、二百三十三万ドーズでございます。

 金額につきましては、契約上申し上げられないということで、御容赦いただきたいと思います。

 以上でございます。

大村委員 これは二百三十三万回分ということであれば、大体その平均の単価は割り戻せば出てくるのでありますけれども、それでも言えませんか。いかがですか。

高井政府参考人 申しわけございません。契約上、単価につきましては、競争上の地位の立場から秘密にするということになっておりますので、御容赦いただきたいと思っております。

大村委員 もう予算で執行して、もう買ったわけですね。それでもって、大体、一千百二十六億円で九千九百万回分ということでありますから、それはもう単価は割り戻せば出てくるわけでありますけれども、それでも言えないんですね。

 長妻大臣、いかがですか。そういう事務方の答弁で、それでよろしいと思いますか。一切言えないということでいいと思いますか。

長妻国務大臣 まず一つは、幾ら損をしたのかというお話でありますけれども、これについては、ノバルティス社と解約について今交渉をしている最中であります。GSKとは一定の契約変更ができましたけれども、ノバルティスについては、今、契約の条件変更なのか、あるいはいろいろなほかの手だてがないのか、ほかの国との状況も勘案して、精力的に交渉をさせていただいているところであります。

 そして、二社の合計でいいますと、千百二十六億円が二社の合計契約金額でございまして、ノバルティス社は二千五百万回分、GSK社は七千四百万回分というふうになっております。

大村委員 いや、長妻さん、ちょっと、そういうことを聞いているわけじゃなくて、そういうことを聞いていません。私が聞いているのは、今回の二百三十三万回分を有効期限が切れて廃棄をする、その部分について、一体これで幾らぐらいが無駄になるんですかと聞いているのでありまして、そういう、何かこう、私が聞いたことに答えられないからといって、違うことをしゃべって時間をつぶす、そらすようなことはもうやめていただきたい。あなたはいつもそうなんですよ。

 とにかく、その二百三十三万回分で幾らが無駄になるのかということについて、端的にお答えをいただきたいと思います。

長妻国務大臣 幾らが損になるのか、幾らが無駄になるのかというのは、実際に契約を変更していただきたいということで交渉しておりまして、その金額が、本当に全額がそうなるのかどうかというのは、これはまだ不明でありますので、それを申し上げているところであります。(大村委員「ちょっとおかしいよ、それ。まともに答弁してください」と呼ぶ)

 そして、今のお尋ねが、廃棄の部分の、その回数部分が、比例的に考えると、単純に単価掛けるその回数分が幾らかというお尋ねであるとすれば、これは我々としては、契約の中身もありますので相手方にも確認をして、それを公表できるということであれば公表させていただきたいと思います。

大村委員 さっきから私はその部分を、二百三十三万回分を、有効期限が切れて廃棄になる、そういう報道があったから、それが幾ら無駄になるんですかということを聞いているのに、さっきからずっとそういうふうに聞いているのに、まじめにやってください。まじめにやっていただきたい。あなたはふまじめだよ。何でそういう答弁しかできないんだ。まじめにやってよ。こんなだったら審議できないじゃないか。(発言する者あり)そういう話じゃないんだよ。二百三十三万回分が幾らになるかと聞いているんだ。

 だとしたら、あなた方のこの公表資料で、GSKとの間で三二%、二千三百六十八万ドーズを解約したら二百五十七億円の経費を節減、こういう三月二十六日付のプレスリリースがあります。これでいったら、この二百三十三万回分というのは二十五億円か二十六億円になるというふうに、普通、単価を掛ければそう類推できる。それでよろしいですね。そのことについてお答えください。ちゃんとまじめに答えてください。

長妻国務大臣 今、三月二十六日のニュースリリースを引用されたんだと思いますけれども、これについては、おっしゃるように、GSKの解約三二%、そして解約に伴う違約金なしということになりまして、上記の解約に伴って約二百五十七億円の経費を削減したと。

 そして、先ほど申し上げました全体の契約が千百二十六億円でありますので、今の計算というのが、推定をすると、そういう形にノバルティスの金額が割り戻しになるというようなことになろうかと思いますけれども、これについて、やはり我々として、今、国会でお尋ねがございましたので、ノバルティス社にも確認をして、その数字を申し上げていいかどうか、契約上はそれは出さないということになっておりますけれども、これについては速やかに回答していきたいと思います。

大村委員 きのうまでずっと、この点についてどうなんだということを、きのうじゃないですよ、その前からずっと、こういう記事があったけれどもどうなんだということをずっと聞いているんですよ。それについて、これは聞くということを、その事実だけ端的に言っていただければいいのに、この問題について何でこんなに四の五の言われなきゃいけないんですか。何でそんなに隠そうとするんですか。なぜそんなに隠そうとするんですか。そんなに隠すことが大事なんですか。

 端的に、これについて幾らなのかということだけ、今私が申し上げた、これは大体、GSKもノバルティスもそう違わない、もちろんそれは単価はわかりませんが、多分違わないということであれば、概算で大体二十五億円か二十六億円ということで違うんですか、いかがですか。その点について端的にお答えください。

長妻国務大臣 これについては、今、ノバルティス社と交渉をしているということで、かなりこれは激しいやりとりの交渉をして、この余った分については、国民の皆さんの税金ですので、それをできる限り解約をしたい、こういう趣旨で交渉しているところでございます。

 その中で、その単価について公表は差し控えてほしいという、今、交渉の過程の中でそういう議論が出ておりますが、今強いお求めもございましたので、その交渉にどういう影響が出るのか、影響が最小限に抑えられる範囲内で、その単価の公表というのも相手に打診をして、それが可能であれば、速やかにこの委員会に公表させていただきたいと思います。

大村委員 それは、今交渉しているのは解約交渉ですよね。だから、GSKとは三二%で解約が成立をした、ノバルティスについては今交渉しているということなので、もう既に購入して有効期限になった三月末日のものについて、二百三十三万回分を、これが幾らなのかと。

 だって、もう既に予算執行で買っているわけですね。それは相手方というよりも、もう既に日本国政府として買っているものについて、それが公表できませんか。それが御答弁いただけませんか。いかがですか。

長妻国務大臣 確かに、今の交渉は解約交渉であります。その中で、ノバルティスとそもそもは単価を公表しないということになっていまして、当然、その解約交渉と単価の交渉というのは直接はリンクしませんけれども、契約にないことについてそれを公表していくと、今例えばそういうことになるとどういう影響があるのか、それも含めて相手とまた話をしていかなければならないというふうに考えております。

 その意味で、国会で御指摘も、今お尋ねもございましたので、ノバルティスにそれを照会して、私としては、それを公表するようにノバルティスに働きかけをして、そこで解約交渉に悪影響が出なければ、この委員会にお示しをしたいというふうに考えております。

大村委員 そのめどというのはいつごろになりますか。

 というのは、きょうは医療保険ですけれども、この後、参議院でもうインフルエンザの法案が、きょうからかな、あしたから始まるわけですから、その審議をやっている間にお示しをいただかないと、やはりこれは国の予算で執行して、もう既に買って、いわゆる有効期限が切れて廃棄するということでありますから、審議が終わってから実はこうでした、何カ月も過ぎてというのでは、それはやはりいかがなものかと思いますから、それについて、この審議中にといいますか、それも本当にぎりぎりで、もう採決だよというときに示されても仕方がないので、その点についてはできるだけ早くお示しをいただきたいと思いますが、それはいかがでございますか。

長妻国務大臣 これは早速、本日ノバルティス社に申し上げて、そういう方向で公表していかがかということをお尋ねしようと思っております。そして、いい返事ができるかどうかというのはここで確約できませんけれども、あしたじゅうには回答を申し上げよう、理事の皆様方と大村委員に、委員長にも回答のペーパーを作成させてお渡しをしていこうというふうに指示をいたします。

大村委員 あしたじゅうということでよろしいですか。今、あしたじゅうと言われましたけれども。それでは、その方向で、ぜひそれについて具体的な資料をいただきたいというふうに思っております。

 それでは、次に参ります。

 これは日付等々をお聞きいたしましたら、この分については二月二日に納入だったというふうに聞いております。二月二日に納入なのにもう三月末が期限ということでありまして、二カ月がありません。このノバルティス社というものは有効期限は六カ月というふうに聞いておりますが、なぜ二月二日が納入なのに、そして有効期限が六カ月というものなのに、何でこの二カ月未満のものをわざわざ購入し、そのまま使われずに廃棄になるのか。何で二月二日納入なのに三月末というものを購入したのか。いかがでございますか。

長妻国務大臣 大村委員も副大臣をされておられたのでよく御存じだと思いますけれども、危機管理の観点で、日本国は国内でワクチンの製造体制が脆弱であるということで必死に、当時、新型インフルエンザワクチンを海外から何とか入手しようということで奔走されたというふうに思います。

 その中で、十月六日にノバルティス社と契約を締結いたしまして、何しろ速やかに商品を納入してほしいというようなお話を申し上げたところであります。その中で、特例承認という承認でございますが、これが一月二十日に日本国で承認がおりました。本来は、もう少し早くその承認をおろして速やかに日本国に入れて、そのときは危機管理の観点で、最悪は接種希望者が本当に多く医療機関に殺到するという状況も想定しながら、そういう急がせたという経緯もございました。

 しかし、この特例承認については、昨年末の段階でも想定していましたけれども、綿密に議論をしていただいて一月の二十日ということになりました。その中で、二月二日に納品があって、そして有効期限が六カ月ということで、三月末に切れるということで、速やかに納入するというのは契約締結時から申し上げていたことであります。

大村委員 いや、私が聞いているのは、購入するときに何で二カ月もないようなものしか購入できなかったのか、六カ月だったら六カ月の有効期限があるものをそろえて購入ができなかったのか、そのことを聞いているんです。いかがですか。

 簡潔にお答えください。余分なことは言わないでください、お願いですから。

長妻国務大臣 このワクチン需要が逼迫、かなり当時は危機管理で各国が押さえている中で、この契約締結の時点で商品を押さえるというようなことがあって、それが三月末というようなことになったんだというふうに聞いております。

大村委員 ということになりますと、要は、事務方にも事前のレクで何回か来ていただいて、どういう経過だというのを聞きました。そうしたら、多分といいますか、事務方に聞いたら、ノバルティス社の方が、向こうがあらかじめ日本向けに用意していたものを購入したんだと思いますよということを言っておられたので、となると、要は、ノバルティス社にとっていわゆる在庫がいっぱい余っていた、その在庫処理をていよく押しつけられたということになるんじゃないでしょうか。

 そんなことで、私は、これはよく長妻さんが言っておられるように、税金はやはり大事に使わなきゃいけない、これは当たり前のことだと思いますが、それにもかかわらず、今回について、本来六カ月の有効期限があるものを、要は二カ月未満のものを向こうから在庫処理でていよく押しつけられたということになりますと、これこそ税金の無駄遣いということにならないでしょうか。

 これは税金を使ってやるわけですから、それはもっともっと大事に使わなきゃいけないということを長妻さん、いつもあなたは言っておられたと思いますが、こうした観点から、今回の一連の経過についてはいかがお考えですか。

長妻国務大臣 これは大村委員もよくおわかりになっておられると思うんですけれども、対等な平時の契約の状況ではない。それ以前も、前政権が世界じゅうのワクチンメーカーに当たって奔走していただいて、何とかおろす、何とか押さえる、そういうような措置をとっていただいたと聞いております。

 その意味では、何としてもその数量を確保するということが最優先でこの契約に至っているところでございまして、その意味で、その段階で押さえて、そこから六カ月、十月六日から六カ月ということで三月末になったというふうに聞いております。

大村委員 その点はちょっと違うと思います。十月六日に契約したときに、私、聞きましたよ。ノバルティス社の有効期限は六カ月ということも知りませんでした、GSKは一年半だというのは知っていた、ノバルティスの有効期限は六日の契約時には知らなかったというふうに事務方は言っております。

 したがって、十月六日から手当てをしたという今の答弁は、私はそれはうそだと思いますよ。それは違うと思います。そうじゃなくて、契約時にわからなかった。契約時はとにかくこの量だ、後はその範囲内でとにかくその量をその都度その都度といいますか、何回かに分けて実際のものを購入していく、日本に入れていくということだと思いますよ。

 ですから、その実際の購入をするときに、有効期限が六カ月なら六カ月のものをくれということをなぜ言わなかったのか、なぜそれができなかったのかということを聞いているんですが、いかがでございますか。

長妻国務大臣 私も報告を受けておりますのは、契約締結は今申し上げたように十月六日ということでありますけれども、実際に有効期限が六カ月だというふうにわかったのは、薬事法上の承認申請手続の十一月六日の時点だというふうに聞いております。

 その中で、有効期限が全部三月三十一日ではございませんで、順次入ってくるごとの有効期限ということでありまして、三月三十一日は今おっしゃっていただいた数量が有効期限、四月三十日はまたほぼ同じ二百三十八万回が有効期限、そしてことしの五月三十一日に有効期限を迎えるのが八百三十万回分、六月三十日に有効期限を迎えるのが三百六十万回分ということで、すべてが六カ月ということではありませんで、もちろん順次入ってくるごとに有効期限が出てくるということであります。

大村委員 いや、ですから、私が聞いているのは、それは順次順次来ればいずれか有効期限が来ると思いますが、何で六カ月にもかかわらずそんな短いものしか買えなかったのか、何でそういう実際の購入をしたのか。要は、契約は包括的にやるわけですね。実際のものは、その都度その都度納入というか仕入れるわけでありますけれども、その仕入れのときに何でそういうやり方をやらなかったのか。これは一体だれの判断でやったのかということが次に聞きたいわけであります。

 これは局長、要は、支出負担行為というか、実際の契約者は局長の名前になっているというふうに思いますよ。ですから、実際の仕入れ、包括的な契約は厚生労働省全体としてやったということなんだろうと思いますが、多分これは、一つ一つ、一回一回の仕入れというのは、長妻大臣にそれを一々お伺いを立ててやるということではなくて、常に日常の仕事の業務の範囲でやっているんだろうと思いますけれども、こういった二カ月未満のもの、二月の二日に三月末のものを買うということについての判断は一体だれの判断でやったのか、医薬食品局の判断でやったのか、それは一体どこまで上げて相談をしてやったのか、その点についてお聞かせください。

高井政府参考人 おっしゃるとおり、支出負担行為担当官は私になっておりまして、契約も私がしております。そういう意味では、検収の手続は私の責任になっているものかというふうに思います。

大村委員 だから、この二月二日のものを購入する、三月末日までが有効期限だというのを知りながら購入をしたのはだれの判断ですか、それは大臣まで報告をして決めたんですか、いかがですかと聞いておるんです。

高井政府参考人 経緯を申し上げますと、去年十月に製造していただいていますので、期限が三月末に来るものがある、それを二月二日に納入があるということで検収しないといけないということで私の方に報告が上がりまして、確かに短いということでありますので、これは省内、周知をいたしましたけれども、この契約からすると二月二日に三月三十一日切れのものは受けざるを得ないということで判断したものでございます。

大村委員 それは大臣とか副大臣、政務官に報告をして、その上で決めたということでいいんですか。

高井政府参考人 どういう形で決めたかということでございますけれども、私の記憶では、大臣以下にも報告はしたというふうに記憶しております。

大村委員 ちょっとあやふやなことを言わないでいただきたい。だから、どういうふうにこれを決めたのかと。

 私は、大臣とか政務三役といいますか、そういった方々にちゃんと相談をしてやったのかということを聞くよときのう言っていますよ。だから、それは、その点の経過について正確にお答えください。

 この二月二日のものを三月末日までしか期限がないというのを知りながら仕入れる、購入するということについて、これは長妻大臣まで上げてというか相談して、協議して、報告して決めたのかどうか、その点についてお答えください。

高井政府参考人 これは、二月二日検収分については三月末に切れるということは大臣まで報告をさせていただいております。

大村委員 それはいつですか。

高井政府参考人 一月十二日の事務連絡を発出する際にその記述がございまして、その十二日の発出の前に報告したと記憶して、日時はちょっと、正確にはあれでございますけれども、その前に報告いたしております。

大村委員 長妻大臣、それでは今のお話でよろしいですか、それを一月の早い段階で聞いたということで、承知をされておられたということでよろしいですか。

長妻国務大臣 そのとおりであります。

大村委員 ということであれば、私は先ほど来申し上げておりますが、やはり有効期限六カ月というものにもかかわらず、それがもう三月末日に切れる、それが二月に入ってくるということは、どう考えてもやはりノバルティス社の在庫処理を日本が押しつけられたというふうに言わざるを得ないと思います。

 そういったことについて、これは先ほど長妻さん言われたように、三月末でもこれだけ、二百三十三万回分、そして四月で二百三十八万回分、五月で八百三十万回分というふうに次から次へと期限切れが来るわけでありますが、こういう一連の経過について国民の皆さんにどういうふうに説明されますか。その都度その都度、これは一体幾らの損失になるんだということを、当然、これは国の予算を使っている話ですから、説明、報告をしなきゃいけない責任があると思いますが、どういうふうに国民の皆さんに御報告をされますか。

長妻国務大臣 ですから、まさに、幾ら損失が出るのかということについて、今鋭意、政務三役あるいは役所も一体となってノバルティスとは交渉しているという段階でございまして、これはもちろん、御指摘のように国民の皆さんの税金でございますので、できる限り、我々が想定している部分は解約をするように鋭意今交渉しておりますけれども、ただ、基本的には非常に難しい交渉ではございますが、これについて結論が出れば、国民の皆さんにその経緯あるいは交渉の内容を、GSKと同じようにお示しをしていきたいというふうに考えております。

大村委員 いやいや、何度も言いますけれども、ノバルティスと交渉をしているとか、そういうことを聞いているのではなくて、今回の一連の事実経過を、要は、三月末で二百三十三万回分有効期限が切れた。これは廃棄ですよね、廃棄。それから、四月末も同じようなものが来る。五月末も八百三十万回分が有効期限が来て廃棄する。

 その点について、これはもう買ってしまったんだ、これについてはこうなんだ、幾ら損失が出てきますということをやはり国民の皆さんに、税金ですから、税金を使っているわけですから、これは正確な事実とあわせて経過を報告しないといけないと思いますけれども、それについてはどういうふうに報告をされるかということを聞いているのでありまして、ノバルティスとかGSKとの交渉を聞いているわけではありませんので、国民の皆さんにどういうふうにこれを説明されるのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。

長妻国務大臣 これはまず、先ほどお答えいたしましたように、きょうノバルティスと、その単価、あるいは有効期限が切れた部分の価格が幾らか、公表していいか否か、これはお尋ねをして、交渉に影響が出ない範囲内で判断をするということであります。

 その中で、先ほど申し上げましたように、三月三十一日に有効期限が切れるのが二百三十二万回分、四月三十日に切れるのが二百三十七万回分、五月三十一日に有効期限が切れるのが八百三十万回分、六月三十日に有効期限が切れるのが三百六十万回分、これは端数はちょっと切ってお話をしているところでありますけれども、こういうものについて、その金額を公表できることになれば、それぞれの金額分の有効期限が切れるということも、今もここで数量はお示しをいたしましたし、今後、そういうものについても厚生労働省のホームページ等でお示しをして、あるいは記者の皆さんにもお配りするなど、国民の皆さんに周知、広報、お知らせをしていきたいと思います。

大村委員 私、金額のことを聞いているんじゃなくて、こういうふうな一連の経過の流れをやはり国民に説明しないといけないということを申し上げているんです。金額、何月末に幾ら切れて、幾らが廃棄になって、幾ら無駄になるということの事実関係とあわせて、なぜこういうふうになったのか、どういうふうに検討してこういうふうになったのかということをしっかりと説明していただきたい。そうしないと、やはり私は国民の皆さんは納得しないだろうというふうに思います。

 とにかく新聞論調でも、今回のこうした件について、やはり総括、検証しなきゃいけないということを言われているわけですから、その点についてのことを申し上げているのでございまして、残念ながら、きょうは、そういうお考えは今現在余りお持ち合わせでないので金額の話しかされないんだろうと思いますが、ぜひ、このことも含めて、総括、検証をしっかりして、国民に対する説明責任を果たしていただきたい。そのことは強く申し上げておきたいと思います。

 続いて、現在、そのワクチンの在庫は、国産、輸入ともに相当な量に上っているわけでございます。これについて現状はどうなっていますか。簡潔にお答えください。

高井政府参考人 国産でございますけれども、契約五千四百万回分のうち、市場、卸でありますとか医療機関に三千九百万回出ております。未出荷分、国在庫としては千五百万回分ございます。

 それから、輸入ワクチンでございますけれども、出荷したのは四千回分でございまして、国在庫が五千三百万回分あるという状況でございます。

大村委員 そのうち、流通段階と医療機関の在庫が相当数あるというふうな説明を受けております。この流通段階と医療機関にある在庫、これは国産ワクチンがほとんどでありますけれども、これもいずれ有効期限が切れてくるわけでございますが、その有効期限が切れたら、在庫というのは相当数あると思いますが、どういうふうになるんでしょうか。

高井政府参考人 この在庫分の対応はこれからでございますけれども、まず、卸にあるもの、千四百万回分でございますけれども、これはまだ流通の途上にあるということでございますので、これをメーカー側に、販売会社の方で引き取っていくということになろうかと思います。医療機関については、現在、もう購入していただいておりますので、次の秋ごろまでに再度、接種が必要な場合に使っていただくということになろうかと思っております。

大村委員 この秋にまた同じような需要があるのかどうか。何か、今お聞きいたしておりますと、いろいろ幾つか、WHOのこういうふうな、三種混合という言葉がどうかはあれですが、いろいろなものをまぜてやるべきではないかというふうにも聞いておりますので、そういうことになりますと、この部分は丸々無駄になるということになる可能性が非常に高いというふうに思うんですが、いかがでございますか。

高井政府参考人 今医療機関にあるものにつきましては、製造から一年の有効期間がございますので、おおむね秋ごろまでは利用可能ということでございますので、御活用いただこうというのが今現在の考え方でございます。

大村委員 私は、多分そうはならないだろうというふうに思います。というのは、一方で、同じ厚生労働省健康局の方の説明としては、要は、WHOから、この秋に向けてワクチンについては幾つかのものを、季節型と新型とまぜたものを推奨するということになっておりますから、そういうふうになっていくんだろうと。そうなると、これは余る、また、いずれ期限が来るので廃棄されるということになろうかというふうに思います。

 したがって、そういう状況を踏まえ、そして、今、現段階でもう行き場のない、医療機関のものよりも、流通段階、卸段階で非常にたくさんの在庫があるのが現実でございます。したがって、我々自民党は、流通、医療関係での在庫は国が責任を持って引き取るべきだということを、これは同僚議員がワクチン議員連盟という形で、三月の半ばに厚生労働省の方に提言をいたしております。

 予算はあるわけでございますから、やはり国の責任でこれは引き取るべきではないかというふうに思います。この点については、長妻大臣、いかがですか。

長妻国務大臣 今の御指摘は、医療機関の在庫が返品できないのかということでございますけれども、まず、医療機関で持っておられるワクチンについては、卸売販売業者のように流通を前提とした品質管理を行っているかどうか確認ができないということで、その返品したものをほかに回すというのがなかなか難しいのではないかということが一点。

 そして、ことしの二月八日に、とはいえ、一定の条件を満たせば受託医療機関間のワクチンの融通等を認める、つまり、一定の医療機関の間でワクチンを融通し合うことを認めるということを措置させていただいておりまして、今申し上げた対応で何とか御理解をいただきたいということでお願いをしているところであります。

大村委員 今の在庫の数量からして、そういった形で本当に事が済むとは思えません。流通段階で、今お聞きすると一千四百万回を超える分、医療機関で二百万回分、そしてさらに、国の在庫は、国産、輸入を合わせますと九千万回分ぐらいあるわけでございます。

 今後、もう感染は大分、今現在はおさまってきておりますから、またことしの秋にも想定される流行に備えるにしても、これから当面必要ないということになりますと、これだけ多量のものを、そういったお互いの融通ということで対応できるとは思えないわけでございます。

 そういう意味で、この部分についてどういうふうにこれから対応していくのか、どういうふうにこれを活用、活用というのもなかなかあれかもしれませんが、例えばフランスは、海外や発展途上国への寄附とかそういったことに使っておられるというふうにも聞いておりますが、そういったことを含めて、これについてどういうふうに対応するのか、少しでも活用できるものは活用するのか、そういったことについてお考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。

長妻国務大臣 今の段階では、世界で新型インフルエンザのワクチン需要ということも、かつてに比べるとそれほど逼迫していないということと、先ほども申し上げましたけれども、医療機関が持っておられる在庫については、品質管理というのが、卸売販売業者のような流通を前提とした、一定の冷凍の期間等々も含めた管理が確認できていないというようなこともあって、今の対応というのは難しいのではないかというふうにも考えております。

大村委員 いや、私が聞いておりますのは、一部でも活用をする方策、それでも多分圧倒的に、まず、今の需要動向を考えると余るのではないか。秋以降は、何度も申し上げますように、今の単体のものではなくて、要は、季節型とまぜたものをWHOが推奨しているということですから、そういったものを日本としても推奨していく、やっていくということになるのではないんでしょうか。だとすると、この点については、ほとんどが不要になってしまうということがもう既に考えられるわけでございます。

 したがって、この部分について、これだけの大量のものを、もうわかっているわけですから、今からどういうふうに活用したいのか、どういうふうに持っていくのか、どういうふうにこれを取り扱うのか、この点について、やはり今から考えておかなきゃいけないと思いますが、これについてのお考えをお聞かせいただきたいというふうに聞いておるのです。

長妻国務大臣 先ほど大村委員も御指摘いただきましたけれども、第二波というのは、先進国を見てもそういう状況が起こっている国もございますので、これは全くないとは言い切れないし、あるいは時期が、いつそれが起こるのかということも、なかなか正確な予測というのはできない中でございまして、その意味では、病院、診療機関の間ではワクチンの融通をしていただいても結構ですというような措置に、ことしの二月に切りかえさせていただいているところでありまして、当面はこのような対応で、そういう医療機関についても御理解をいただくべく今お話を申し上げているところであります。

大村委員 全体からすれば本当にちっぽけな話にしかならないというふうに思います。そういうことじゃなくて、全体についてどういうふうに検証、総括するのか。

 インフルエンザ対策の総括会議を先週始めたというふうに聞いております。何か六月ぐらいをめどに方向を出すというふうに聞いておりますが、その点について、今回の一連のインフルエンザの予防接種、ワクチンの対応についても、それはしっかりと検証していただかなきゃいけないというふうに思います。

 その中で、こんなことをやるんですということを、項目をお聞きいたしておりますが、例えば一回打ち二回打ちで、昨年の十月、十一月、十二月と相当混乱をした。専門家の皆さんから、一体何をしておるんだと。結局、今回インフルエンザのワクチンが相当余ったということも、これも一回二回打ちで混乱をしたということが大きな原因だというふうにも聞いております。

 これは、私どもも、同僚議員も含めて、昨年、相当この経過について追及をさせていただきました。結果は、要は、専門家がいろいろデータに基づいて検証したことを、いわゆる政治家の気まぐれで、ただ単におれは聞いていないということだけでひっくり返した、それでもって二カ月の混乱が起きた、現場はもっと混乱したということが大きな要因だったというふうに私どもは言わざるを得ないわけでございます。

 したがって、対策の総括会議でもこのことについて、一回二回打ちの混乱、そのことによって今回これだけワクチンが大量に余っているということについて、そして今後どうするかということについてもこれは検証し、総括をするということでよろしいですか。

長妻国務大臣 今、混乱というふうにおっしゃいましたけれども、これは混乱ではありませんで、科学的なデータに基づく判断を慎重にするということで、今の一回打ち二回打ちの時期と契約の時期は、契約の方が前でありまして、一回二回打ちの先ほどおっしゃられたこととは、今回ワクチンが余ったのは関係がありません。

 これは危機管理でありまして、前政権について、七月に、ノバルティスとGSKと政権交代の前に交渉開始合意書というのを厚生労働省は結んでいるわけですね。そのときは、私はそれは正しい選択だったと思います。あの状況の中で、危機管理の観点から、もしワクチンが不足をして、国民の皆さんが医療機関に殺到して打てるワクチンがないといったときにどういう状況になったのか、最悪の事態まで考えた賢明な判断だと思います。

 それについて、大村委員も当時副大臣でおられたと思いますけれども、そういう判断の中で今回ワクチンが、幸いというか、新型インフルエンザが一定の予想よりも感染が蔓延しなかったということで余ったということでありますが、それで我々は税金を無駄にしてはいけないということで、いい交渉をしているということで、何か余ったのが、あのときの契約がすべてけしからぬということになりますと、これは今後、危機管理ということで最悪の事態を想定して一定の理解のもと行動するということに制約がかかってしまうというふうになりかねませんので、ただ、経緯は、委員が御指摘いただいておりますようにきちっと公表していくということであります。

大村委員 いや、私が言っているのは、十月の契約後に起きたいろいろなことについてきちっと対応してこなかったということを申し上げているんです。

 とにかく、一回二回打ちで混乱した。これはもうマスコミ報道等々も含めて、事実関係も含めて、私は関係者からも聞きました。とにかく、厚生省の中で会議をやってデータを積み上げていって、一回でいいだろうと言ったのにかかわらず、おれは聞いていないという形で二回打ちにひっくり返したということ、そのことについて現場は相当混乱した。混乱したことが今回のこうしたことについての原因にもなっているということは、これは去年から申し上げておりますから、この点はしっかりと総括をして検証していただきたい。

 そのことと、きょうずっと申し上げてまいりましたのは、とにかく契約時には有効期限はわからなかった、その後仕入れに当たって、年明けになって、一月になって、有効期限六カ月のものなんだけれども二カ月しかないものが二月の頭に入ってくる、それをわかっていながら購入をした。私は、これは事務方がどんどんどんどんやってしまったのかというふうに思ったら、長妻さんも聞いておられた。

 そういう一連の経過、事実関係、これが一体幾ら損失になるのかということも含め、そして今後のことは、当然のことでありますけれども、相当余る、ほとんど使われないんじゃないかということになるわけでありますから、それがわかっているのでありますから、今から一部でも有効活用したらどうか、海外途上国への寄附も含めて、したらどうか。それから、これについて半年後、秋以降、順次国産ワクチンもどんどんどんどん有効期限が来るわけでありますから、それを、そのときになってどうしましょうでは遅いので、今からどうするんだということを、方針をつくるべく議論、検討しなきゃいけないんだろう、そのことを申し上げているわけでございます。

 きょうのお答えでは、病院の間で、医療機関だけで融通する、ただそれだけのことしか今現在答える材料を持っていないということだけははっきりいたしました。

 そういうことでは困るので、ぜひこれは、全体の検証、総括をするのであればできるだけ早いうちに論点整理をして、インフルエンザ法案は、きょうは医療保険なのにそこまで行けませんでしたけれども、とにかくできるだけ早く論点を整理して、次なるインフルエンザ法案の審議のときまでには必ずその論点を、全部結論とは言いませんよ、検証する、検証した論点を、整理したものを出していただいて、それでもってこの場で濃密な議論をしていきたい、そのことは強く申し上げておきたいというふうに思っております。

 なお、医療保険について質問する予定でありましたが、そこにたどり着きませんでしたので、次の機会、必ずありますから、また申し上げたいと思います。総務省政務官、大変申しわけありませんでした。次の機会にまたお聞きをしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上です。

藤村委員長 次に、あべ俊子君。

あべ委員 自由民主党、あべ俊子でございます。

 本日はいわゆる法案、医療保険制度の安定的運営を図るための国民健康保険法等の一部を改正する法律案ということでございまして、それに関連いたしまして幾つか、医療関連、質問させていただきたいと思っております。

 現在、後期高齢者医療制度の廃止が検討されているところでございますが、まずは現行制度のさまざまな問題点の解消を図り、現政権の一期四年の中で国民の納得と信頼が得られる新たな制度に移行するという二段階だというふうにされております。そうした中で、現行の中の問題点といたしまして、七十五歳の年齢の区分、今まで負担のなかった高齢者の方々の保険料負担などが挙げられているところでございます。

 しかしながら、高齢者医療制度の創設の背景の一つに老人保健制度、旧の老人保健制度では保険料を納めるところと使うところ、すなわち健保組合の保険者と使うところの市町村が分離しておりまして、保険者機能が全く働かなかったということがございます。

 そうした中におきまして、やはり保険者機能をもっともっと働かすということが私は重要ではないかと思いますが、大臣は、保険者機能とは何であると思っていらっしゃいますか。

長妻国務大臣 今、保険者機能のお尋ねでございますけれども、保険者機能は、例えば企業でも地域でも一定の目が届く範囲内、あるいは把握できる範囲内で、そこの例えば予防、保健事業、健康の教育とか、健診の促進とか、何しろ予防に取り組んでいくというようなことで、健康で皆様がお暮らしになるということで、結果として医療の財政も改善をしていくということだと思います。

 保険者機能の中には、今申し上げたもの以外も、レセプトを点検して適正な医療が行われているかどうかチェックをする、あるいは後発医薬品の使用を促進していく、あるいは医療費を通知していく、こういうものも保険者機能の中に含まれるのではないかというふうにも考えております。

あべ委員 そうした中におきまして、やはり保険者機能を働かせたときのインセンティブというのが弱いのではないか。健診は一生懸命やっている。レセプトも、いわゆるオンライン化がまだまだ完全には進んでいない。これが進まない限り、やはり保険者機能もしっかりと働かすことができないんじゃないかと思っておりますが、保険者機能を働かすためのインセンティブを大臣は今後どのようにつけようとお考えですか。

長妻国務大臣 このインセンティブでありますけれども、これは、保険者機能が働いて、そこの医療費が結果として下がってくれば保険料も下がるわけでありますし、あるいは、そこに所属しておられる皆様方も、お医者さんにかかる率が減れば自己負担も減っていくということで、皆さんのメリットになるのではないかというふうに考えております。

あべ委員 それはこれまでもやってきたわけでございまして、しかしながら、その保険者機能が機能していなかったということが問題になっているわけでございますから、ここの部分のインセンティブをさらに加速するためには別策が必要であると私は思いますが、大臣は、そこのところは従来どおりの保険者機能で、医療費がこれ以上ふえることに対して容認をしていくというお考えなんでしょうか。

長妻国務大臣 そのインセンティブ機能というのは、やはり一番大きいものは、今申し上げた原理に基づく、保険料が低下をしていくということだと思いますので、そういう考え方はこれからもとる必要があるというふうに思います。

 全くそれとは別に、予防医学、予防医療についても国の施策として推し進めていくということも、サポートの体制として保険者機能と相まって重要だということで、これは推進をしていくということであります。

あべ委員 また、先ほど、医療費の明細を患者さんたちにお届けするということと、さらにはレセプトの部分をしっかり見ていくということをおっしゃっていたわけでございますが、レセプトのオンライン化に関しましては、前政権から現政権に移行する間に非常に大きな問題が出たところでございますが、新政権の中で加速しているという感は余りございません。

 その辺は、大臣は今後のレセプトのオンライン化に関してどのようにお考えでしょうか。

長妻国務大臣 これは推進していくということは私は当然のことだと思いますし、今月から患者さんに、今以上の明細の発行を一定の要件の医療機関には義務づけるというようなこともしているところであります。

 ただ、前政権のように一律にオンライン化を義務づけていくということで、個々の診療所などがそれが基本的にはなかなか難しいところが出てきたというような混乱があったところでありまして、我々としてはサポート体制とあわせてオンライン化を進めるということであります。

あべ委員 患者さんたちが医療費の明細を見るということは私は一歩であると思いますが、医療の問題点の中に、いわゆる情報の格差、患者さんたちが一体何を受けていることが適正であるかということがわからないということが大きな問題にある中、やはりレセプトのオンライン化を進めていくということ、すなわち、医療の中身がわかっている方がその医療の内容をしっかりと適正にチェックしていくことが必要であるというふうに思っておりますが、今本当に、レセプト自体が何億枚数もある中で、それを一枚一枚見ていくということには私は限界があるんだと思っております。

 ですから、ある意味でいったら、そのレセプトのオンライン化を完全にしていく。また、小さなところは自分たちで入力するのは非常に難しいわけでありますから、代行をしていくということも含めながら、完全レセプトオンライン化ということは将来的に必要だと思っておりますが、大臣、この辺はいかがでしょうか。

長妻国務大臣 オンライン化ということでありますけれども、もちろん、オンラインが物理的に難しいようなところ、あるいはコストの件で難しいようなところについては、これは電子媒体を使って電子化をするということで、私は、最終的にそれを達成するというのが望ましいというふうに考えております。

 その中で、診療報酬の動向、そして実際の医療行為をつぶさに分析して次期診療報酬改定にも役立てようということで、中医協でも検証作業というのも今後重要な仕事になるというふうに考えております。

あべ委員 すなわち、今大臣がおっしゃったのは、いわゆる医療費のレセプトを完全オンライン化、でも、オンライン化でなくても構わないわけでございまして、すなわち、それが検証できる仕組みになれば私は別に電子化であろうとオンライン化であろうと構わないと思っているわけでございますが、これを完全にしていくというお心づもりがあるという理解でよろしいでしょうか。

長妻国務大臣 私は、最終的にはやはり電子化を達成したいというふうに考えておりますけれども、ただ、今、診療所などで頑張っておられるかなり高齢のお医者様のところは、手書きでやっているというようなところもありますので、それをまずは電子化していただくように、いろいろなサポート体制もこれから整備していく必要がありますけれども、基本的には、そういう方々のサポートも強化して、最終的には電子化というのを達成すべきであると考えております。

あべ委員 サポート体制を充実しながら最終的とおっしゃいましたが、最終的というのはいつのことをおっしゃっているんでしょうか。

長妻国務大臣 最終的ということが、今おっしゃられた趣旨は一〇〇%ということを言われておられますので、それについてはどの時期かというのは今明言できませんけれども、平成二十六年度には、買いかえ時期のものも含めて新しい機器におおむね整備されるのではないかと考えておりますので、一つの、一〇〇%ということではありませんけれども、かなりの部分が電子化をされるということが平成二十六年度中にできればありがたいというふうに考えております。

あべ委員 レセプトのオンライン化に関しましては、私は、全国の疾病構造、すなわち、どういう病気の患者さんがどこに何人いるか、それに対してどういう医療者の提供体制、全体を含めて必要かということには、私は必要であると思いますので、平成二十六年ということでございましたが、いわゆるオンライン化でないにしても、電子化にして、全体の疾病構造がわかる仕組みというのが医療の適正化に関して必要だと思いますので、ぜひとも御尽力をいただきたいというふうに思っております。

 次に、医療費の適正化について質問させていただきます。

 二〇〇八年を初年度といたしまして、各都道府県、五年間の医療費適正化計画を立てることを義務づけているわけでございます。生活習慣病の予防、さらには平均在院日数の短縮、介護保険との整合性という三点の連動の中に、二〇二五年に六兆円の医療費を削減するというふうに予定されているわけでございますが、限りある資源、医療従事者で有効な医療を提供していくために、疾病管理、これは、いわゆる疾病の診断をされた瞬間からその予後に対してどうアプローチをしていくかということで、諸外国ではかなり進められているものでございますが、さらには医療のハード整備のあり方という考え方が重要でございます。

 そうした中におきまして、高額医療機器が日本は保有が突出している。海外に比べると非常にこの高額機器が多くあり、医療費が膨張する一因だということがさまざまなところで取り上げられておりますが、大臣、これに対する御見解をお願いいたします。

長妻国務大臣 これは、相対的に日本が高額の医療機器が多いということはあろうかと思いますけれども、それについて、やはりどこまで適正なのかという議論は、いろいろな考え方があると思います。

 今、皆保険の体制をとり、平均寿命は世界一であり、今回の新型インフルエンザでも、死亡率は先進国でも最低水準であったというようなことからかんがみて、それが一概にだめだということは慎重に議論しなければならないと思いますけれども、やはり適正か否かというのは、先ほどおっしゃられたレセプトの点検ということで、レセプトはある意味では宝の山でもある、医療政策を進める上でもそういうふうに考えておりますので、適正か適正でないか、これについては不断の見直しをしていくということであります。

あべ委員 日経新聞のことしの二月十五日に出ている、いわゆる高額医療機器が日本が非常に多いという新聞記事がございまして、すなわち、百万人当たりの設置台数、日本は四十二・七台、米国は二十五・九台、フィンランド十五・三台と、大きく引き離して世界一になっています。

 医療費にかけるお金がOECD上、平均以下になっているということが大きな問題になっている中、医療機器だけが何でこんなに断トツになってしまっているのか。すなわち、医療にかけるお金がOECD上、本当に平均以下になっている中におきまして、高額医療機器にかけ過ぎて、実態としての医療サービス提供体制に関してはかなり低額になってしまっているという可能性があります。

 これは、検証が必要という段階ではなく、こんなに数を持っている必要が本当にあるのだろうかという段階であると私は思っておりまして、米国の三倍、ドイツの五倍のCTを持っているということでございますから、これは大臣、どう考えても多過ぎますよね。

長妻国務大臣 今の御指摘についても、今後、中医協あるいは厚生労働省としてもさらに分析をする必要があると思います。

 例えば、一つの考え方は、検査というのは、検査一回について幾ら、こういう診療報酬もありまして、それを高くすれば検査機器がたくさん入るという構造になろうかと思います。

 その一方で、技術料を高くして、検査一回にかける診療報酬を下げれば検査機器が少なくなる傾向になるのではないかと思いますけれども、これについては、日本特有のいろいろな医療の事情もございましょうから、中医協やあるいは厚生労働省の中で分析、議論をして、次回の、二年後にあります診療報酬の議論の中でも論点として議論をしていただきたいと思います。

あべ委員 特にCT、MRI、一台数億円する高額なものでございまして、やはり、機械を買えば使わないと減価償却ができないというところが大きな問題でありまして、本当に必要かどうかの判断が一つ問題になるのと、さらには、機械は持っているけれども、実際、そこに検査をした結果を読めるドクターがいないところまで持っているということは、私は大きな問題であると思っております。

 大臣、そこはどうお考えでしょうか。

長妻国務大臣 仮に、今御指摘のように、私はその実態をすべて承知しているわけではありませんけれども、そういう高額な機械があって、その機械の結果を読めない体制があるということであれば、それは問題ではないかと思います。

あべ委員 そうすると、いわゆる医療機器を設置するという基準が私はもっと明確になった方がいいのではないかと思っておりまして、例えば大病院が持っているのはわかります。中小病院、開業医が経営する診療所、これを設置している。それは、医師の、いわゆるそれを使わなければいけないという診療を本当にやっているのか。さらには、患者さんたちが医療機械があるところに集中するということも実は確かでございまして、CT検査ができますということを標榜しているところもあるわけであります。

 これは、自由な形で機械を設置するというのをしっかりとめていく、もしくは、機械を入れても検査をしたら売上高が上がっていくということを、しっかりとここのところは適正化を図っていかなければ今後大変なことになっていくと思いますが、ここに対して大臣はどうお考えでしょうか。

足立大臣政務官 ちょっと、では先に。

 非常に大胆な御提案で、日本の医療、これは特に効率化というところに絞る話かもしれませんが、世界一と評価された中には、やはりベストミックスがあったんだと。これは前政権がずっとやられてきた取り組みで、私は評価したいと思います。全部統制が果たしていいのか。そこに、ある部分、市場という部分も入って、これは私はベストミックスの形であると思います。

 それから、もう一点。今のお話は提供側からの意見が非常に多いわけですが、患者さんにとっては、ひところは、病院に行くと検査漬けにされるという風潮あるいは言葉がございましたが、今は、病院に行っても検査もしてくれないのかというようなこともよく聞かれます。患者側の視点に立つと、今の委員の主張が果たしてそのままのみ込めるものなのかどうかということの検証も私は大事なことだと思います。

あべ委員 今の足立政務官の話は余りにも内容がごちゃごちゃしていてよくわからないのですが、すなわち、私が申し上げているのは、医療費がこれだけ肥大化していくのは、高額医療機器、検査機器を持ち過ぎているからだ、さらには、持っていて医療費が抑制されているのならまだしも、患者さんのサイドに立ってみれば、医療検査機器はあるけれども、それをしっかりと読み込む判断ができる医師がいるかいないかわからないけれども、医療機器があるということが本当に医療費の抑制になっているかどうかは全くわからないという話でございまして、今の発言が大胆だというふうにおっしゃるのであれば、私は、ベストミックスという、余りにも抑制をしなさ過ぎて、それを国民負担に押しつけてしまったというところに大きな問題があると思うわけであります。

 ですから、これから少子高齢化の中で労働力が減る、しかしながら、社会保障費が年間自然増として一兆円ずつふえていく中、次世代に対して責任を持っていくためには何らかの対策をしなければいけないというときに、ここはよくわからないけれども、ベストミックスという、やりたい放題だ、患者さんもよくわからないけれども、いいかよくないかわからない医療を受けてくれ、近くで何でも受けてくれ、そうやってそれを次世代の子供たちや孫たちの世代に押しつけるということは、私はあってはならないことだと思います。

 大臣、高額医療機器に関して日本が持ち過ぎということに対しては、私は、しっかりとそれを使える医師が、また、使える医師がいるところの医療機関だけが持つ必要がある、さらには、持っているからといって、減価償却分を自分たちで出そうとする診療報酬のあり方に関しては疑問でありますということを申し上げています。

 大臣、お答えをお願いします。

長妻国務大臣 まず、一つは総医療費でございますが、先ほども御紹介いただきましたけれども、OECD先進国の中で、GDPに占める総医療費は日本は低い部類に入っているというのが一点。やはり医療にかけるお金というのは、ほかの先進国に比べて低いということが一つあります。

 その中で、では、適正な配分がなされていないのではないか、一定の医療費という枠の中で検査機器に偏り過ぎているのではないかという今御指摘だと思います。

 それについては、我々も今、厚生労働省の中でいろいろな医療に対する検討する枠組みがありますので、その中で一度検討してみたいと思います。

 果たして、日本がほかの国に比べて、本当に医療機器が具体的に多いのかどうか。そして、それが有効に使われていない事例があるのかどうか。医療機器に対する診療報酬の水準が適正なのかどうか。あるいは、逆に、医療機器が多いことで日本の早期発見が一部達成されているのかどうか。一概に、ほかの国と比べて医療機器が多いことが、即座に問題というよりも、むしろそれがメリットに働いているということはないのかどうか。そういうことを一度総合的に、厚生労働省として検討していきたいというふうに考えております。

あべ委員 ぜひとも、その御検討はよろしくお願いしたいと思います。

 高額医療検査機器に関しては、多いということはもうデータ上、わかっておりまして、それは適正に使われているかどうか。使用頻度は適正さをあらわすわけではない、すなわち、しっかりと診断ができる医師がいる医療機関が、もしくは、診断ができる医師を確保できた医療機関が使っていたのかということが問題であると思いますし、さらには、いわゆる診療報酬の出来高払いに高額医療検査機器を適用するのは、私はそぐわないと。

 すなわち、使えば使うほど減価償却プラス利益が上がる方法ではなく、本当に必要な検査機器であれば、固定費としてそれをしっかりと医療機関に提供し、売り上げだけでそれの減価償却をする方法でない方向に持っていくべきだと私は思いますので、ぜひそれも含めて御検討をお願いしたいというふうに思っております。特にその保有の、自由に分配に関しては、ぜひとも御検討いただきたいと思うわけでございます。

 続きまして、救急医療体制について質問させていただきたいというふうに思います。

 総務省のいわゆる調査結果によりますと、救急搬送の要請がありました患者のうち、実際入院を必要とする方が、実は重症度の高い方というのが九・九%、一〇%弱だというふうに出ておりまして、軽症の方が五割ぐらい、中等度の方が三七%ぐらいと言われておりますが、こういう中で、重症の方がとどまっているものの、軽症と中等の方が本当に五割もふえているということがございます。

 救急医療体制の問題は、いわゆる提供体制側の問題と、またどういう方が救急にかかっているかという問題とあると思いますが、この救急にかかっている方々の、いわゆる軽症の方々が救急病院に行くということに関して、大臣、どのようにお考えでしょうか。

長妻国務大臣 例えば救急の夜間受け入れ窓口あるいは救急に非常に軽症な方が来られるということについては、何らかの対応が必要ではないかというふうに考えております。

 病院によっては、それについて一定の金額をいただくというような対応もしていると思いますので、やはりそこで受けるのにふさわしい方が受けていただく。こういうようなすみ分けというのはもちろん必要であるというふうに考えております。

あべ委員 いわゆる症状が軽くて必要性が低いんだけれども、自分の都合で夜間、休日に受診する方々に対して特別料金を取っている病院が、実はふえています。

 例えば山形大学の例でいいますと、一律八千四百円とか、静岡の公立病院が、八段階に分けて六百五十円から四千八百円とか、いろいろ取っているわけでございまして、ここの部分の特別料金をこれから先、大臣はもっと積極的に導入すべきとお考えでしょうか。それとも、勝手に病院が決めればいいとお考えでしょうか。

長妻国務大臣 ここも非常にデリケートな問題ではあると思います。つまり、お医者さんから見ると、この方はどう考えても軽症だから来る必要はないと思っても、患者さん御本人から見ると、軽症か軽症でないか、特に小さなお子様の場合は、親御さんも心配でなかなかわからない部分があって、それを一律に多少ペナルティー的なものを科していくというのは、慎重な判断が必要だと思います。それぞれ長年の御苦労をいただいて、今おっしゃっていただいたような病院についてはそういう対応がなされているということでありますので、全国一律、こうしなさい、ああしなさいというような段階ではまだないのではないかと思います。

あべ委員 いや、いわゆるよくわからない方々が、本当に受診をする必要があるのか。

 例えば、海外でよくされているトリアージというのがございまして、電話をして、こういう状態なんだけれどもという相談をして、日本の中でも、例えば子供に対してはそういう電話対応の相談窓口もかなり出ているところでございますが、いわゆるウオークインと言われる、自分が直接病院に行ってみる必要があるのかということは、重症な救急患者さんを守る上においては、私はここはしっかり選別をしていかなければ、本当に助けなきゃいけない、本当に重症である、緊急性のある方も救えなくなるのではないかということを考えているところであります。

 特に問題になりました、今回、中医協で見送られましたいわゆる特別料金に関しまして、例えば虫刺されがかゆいとか、海外旅行だから薬をたくさん出してほしいという方々まで救急に来ているわけであります。本人の大変さと全く無関係のところは、私はしっかりと整理すべきだと思いますが、大臣、これに関してはいかがでしょうか。

長妻国務大臣 やはり程度問題だと思いまして、本当に単純な虫刺されで、それは御本人も、患者さんというか来られる方もわかっていながらそこに来られるということは、やはり個々の病院として、それに対する適切な対応はあってしかるべきだというふうに思います。

 あとは、日本国の一つの医療のいい点、あるいは人によっては悪い点と言う方もいらっしゃいますけれども、アクセスが自由にできる。つまり、大病院にもそのままいきなりかかることができるということがございますけれども、かかりつけ医ということで、今度その関連の学会が一つにまとまって強化をしていくということでありますので、ゲートキーパーといいますか、近所のかかりつけ医で、その症状が本当に大きな病院で治療すべきなのか否か御判断いただくような、そういう体制整備もあわせて進めていく必要があると思います。

あべ委員 フリーアクセスに関しては、本当に日本ほどフリーアクセスなところがなくて、それは本当にそのまま国民負担に連動するものであります。ですから、フリーアクセスをどこまでやるか、さらには、重症度の振り分け、必要性の振り分けを全くせずして、では、国の借金がどんどんふえますけれどもよろしいですかということは、私は、これからの少子高齢化の中では納得いただけるものではないと思っております。

 さらに言えば、救急車で運ばれる方々も、実は、救急車で行けば早く診てもらえるとか、救急車で来る方が、歩いておりて来られる方もいらっしゃるんです。そういう方がおりていらして、どうしました、タクシーでいらっしゃろうと思いませんでしたかと言ったら、いや、救急車はただだけれどもタクシー代は高いからとか、タクシーを呼ぶのは悪いと思ったからとかいうお返事が返ってくるわけであります。

 ですから、この受診の側の適正化を図っていくということは、国民医療の安全、安心の部分を確保するという観点では、フリーアクセスとは別な次元であると私は思っておりまして、難しいとおっしゃいますが、そこはしっかりと特別料金を診療報酬全体で取る必要があると思っております。

 例えば、岡山市のケースですが、特別料金を取っているところと取っていないところが分かれています。患者さんたちは、こういうことの情報は物すごく早い。あそこに行ったら夜間でも取られないと思ったら、そこに人が集中するんです。ですから、ある意味、全国一律的にやっていくということも私は大切だと思っておりますが、将来的な検討課題としては、大臣、ぜひ挙げていただきたいと思います。

 しかしながら、この特別料金プラス、救急を受けられない場合、もしくは受ける必要性があるかどうかという判断の部分のトリアージ、これをもっともっと体制整備をしていただきたいと思いますので、このトリアージ、大臣、今どういう段階でお取り組みか、教えていただきたいというふうに思います。

長妻国務大臣 今、連携のお話がございましたけれども、これは私も重要だというふうに考えております。今月からの診療報酬でも、病院、診療所の医師の連携による救急外来の評価ということで百点をつけている。あるいは、救急医療機関に緊急入院した際、その後、転院支援、救急のベッドではないベッドに転院を支援することで、一定の要件で五百点や千点というものも新たに設けさせていただいておりまして、やはり連携が必要だということは私も同感であります。

 ただ、その中で、一律にどこまでの方をどう評価していくというのは、今この場で即座に、それをします、しませんという答えができない状況でございます。これは個々の事例を見て慎重に判断していく必要があるというふうに考えております。

あべ委員 実は、個々の状況も含めてかもしれませんが、救急車に関しては本当に、一台出動するたびに五万円前後かかると言われている中、平成十八年の調査によりますと、救急車の要請をした理由の中に、交通手段がなかったというのが三・六%、連れていってくれる人がいなかったというのが七%、救急車はただだからという人が〇・四%、さらには、救急車で病院に行った方が優先的に診てくれると思ったという人が四・一%いるわけでございます。

 そういうことを考えたときに、しっかりと救急車の使用に関しても判断をいただかないと、それは国民負担として若い世代にすべて負担を送り継ぐという形になってしまいますので、ここの対応の部分もぜひとも進めていただきたいと思うところであります。

 ただ、問題となりますのが、医療管轄が厚生労働で、救急車に関しては総務省管轄になるということの、いわゆる料金徴収などもかなり議論されたところでございますが、ぜひともその御検討もお願いしたいというふうに思っております。

 次になりますが、医療従事者のいわゆる夜間業務に関して質問をしたいというふうに思っております。

 特に産科、小児科の病院勤務医の不足の背景に、いわゆる勤務医の過重労働があることが言われているわけでございます。診療報酬改定の中で医療クラークを導入したということがございますが、また、夜間まで開業時間を延長した場合の診療所の報酬が手厚くなるということもありました。

 そうした中におきまして、夜間の医療体制が余りにも手薄過ぎるということがさまざまな調査から出ております。例えば、薬剤師の方々が夜間いらっしゃらない、オンコールというところもかなりございますし、さらには、臨床検査技師、栄養士、あとMEと言われる臨床工学技士が夜間いない、オンコールという救急指定病院もございます。例えば、人工呼吸器という機械がございます。それがとまったときに医師と看護師が走り回りながら修理をしなければいけない、MEがいないからということもあります。

 私は、病院のいわゆる救急レベルによっては夜間体制を、オンコールではなく、しっかりと二十四時間体制で常駐するということが必要であると思いますが、大臣、このあたりはどうお考えでしょうか。

長妻国務大臣 今、勤務医を初め病院の医師の過剰勤務ということが大変問題になっておりまして、それを解消すべく、ことしの四月、今月から診療報酬を改定して、病院勤務医にも手厚くそれをつけさせていただくということをしております。

 そういう中で、直ちにそういう方々も二十四時間でローテーションを組んできちっとやっていくということになりますと、さらに勤務状況が過剰になるということになりかねないということでありますが、我々としては、絶対数が足りないお医者さん、これについては、最も医学部の定員を今回ふやした、今回定員の絶対数を確保したというようなこともあって、そういう支援策、あるいは医師の偏在についても是正をしようということで、今全国的な調査もしておりまして、その結果を見て対応策を練っていく。

 そして、夜間について、近所の診療所の皆さんがお手伝いに来ていただいたときに、診療報酬についてもそれを今月から増額するなどなど、できる限り夜間でも対応できるような体制をとっていきたいというふうに考えております。

あべ委員 ちょっと大臣、質問した内容と全然話がずれてきたわけでございますが、私がお話ししたのは、医療機関において、救急のレベルによって夜間体制を、オンコール、電話をしたらすぐ来るという体制ではなくてしっかりと、例えば、三百床以上の病院で薬剤師が当直制になっているところが四六%、オンコールになっているところが二三%というふうになっておりますが、私は、やはり大きい病院は薬剤師の方々がしっかりと当直を行う、夜勤を行う、交代制の中に組み入れるべきだと思っております。

 中には、当直はやっているけれども、自分は交代制じゃないんだからといって一切出てこない薬剤師の方もある病院はあるんだそうでございます。そういうことを含めたときに、夜間の薬剤体制をある程度の規模の病院はしっかりと稼働させるということを施設要件としてもっともっと入れていくべきではないかということを私は申し上げているわけでございます。

 大臣、いかがでしょうか。

長妻国務大臣 今おっしゃられたように、やはりあるべき姿としては二十四時間対応していただくということが必要でありまして、ただ、地域地域の事情というのもあると思います。それが、地域の事情はありますけれども、できる限り二十四時間の対応をしていただくことができるように、政府としても、先ほどの診療所の先生にも夜間御協力いただくなどなど、いろいろな施策を組み合わせてそういう方向に持っていきたいというふうに思います。

 ただ、国が一律に二十四時間やりなさいというふうに義務づけをしてすぐにそれが実現できるというたぐいの問題でもないというふうに考えておりますので、これは、医師の偏在、医師の絶対数の不足、あるいは開業医の皆さんとの連携などなど、総合的に組み合わせて夜間の体制も強化をしていくということであります。

あべ委員 全国一律的にやっていくのは無理だというお話もある反面、そこのところを余りにもざくざくにしていて、例えば、救急指定病院になっていながら救急体制が全くできない病院がある。救急車で患者さんを運ぼうと思っても、診ることができる医師がいないからと断られるということなどを考えたときに、やはり国がお墨つきの指定機関とするのであればそれなりの体制整備を整えていくということは、ここはゆるゆるにしていっては国民の安全、安心の観点からは守れないと思うので、ここのところはしっかりと、お墨つきを出すのか出さないのか、出せないとすれば一体どういう体制なのかということは明確にすべきと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

長妻国務大臣 お墨つきを出す、夜間十分な対応をしているところはマルで、そうでないところは三角とかバツという話だと思いますけれども、やはりそれは、お医者様や医療従事者がなかなか来ていただけないような地域などなど、これは地域の格差というのももちろんありますので、そういうものも十分見ながら、支援策をやはりきめ細やかに実施していくということが必要ではないかというふうに考えております。

あべ委員 大臣がおっしゃる、地域に医師が来てもらえないのは、医学部の定員をふやしたからといって地方の医師はふえないということは、大臣は認識していらっしゃるんでしょうか。

長妻国務大臣 単純に医学部の定員をふやせば、例えば、医療過疎と言われている地域や僻地にお医者さんが均等に配分されるということにはならないというふうに思います。

 医学部の地元受け入れ枠を拡大する、あるいは、僻地、地域、医療過疎地と言われているような場所で働いた方に何らかのインセンティブを課していく、こういう政策が必要だと思います。

 そこで、政権交代後、医師の偏在というのを、あるいは科の偏在も含めて一定の規模の調査をしようということで今取り組んでいるところでありまして、その結果も分析して、偏在の問題の対応策というのも打っていきたいと思います。

あべ委員 大臣がおっしゃった、地域の受け入れ枠をふやしても、田舎に行くかどうかは全くわからず、地域の受け入れ枠で受けても、都会に出て行く、もしくは、いわゆる県庁所在地などにある医学部のところにそのまま残るという可能性は大きくあるわけでございまして、そこのところは話が全く別なんだと私は思っています。

 さらには、今、分析をされるとおっしゃっておりましたが、医師の偏在に関してはかなり分析が進んでいるものと思いますが、今までの医師偏在の分析と一体どこが違うのか、また、その調査結果はいつ出るのか、教えていただきたいと思います。

足立大臣政務官 これは、実態とそれから必要数というふうな考え方ができると思います。

 今までと違うのは、専門の科ごと、そして、それが今いる数と必要とされる数、そしてまた時間数、短時間雇用であったり週一回雇用であったり、そういう雇用形態による調査もしようと思っています。

 一次集約は夏までに考えておりますが、必要数ということに関しては膨大な数が出てくる可能性が高いと思っておりますので、それは、その医療圏ごとに意見を直接聞きながら、再調査といいますか、もっと精度の高い調査という形で出てくるのは、早くても年内になるかと思います。

あべ委員 その必要数というのは、調査をかけているというのは、医療機関に聞いているということでよろしいんでしょうか。

足立大臣政務官 はい、そうです。

あべ委員 いわゆる看護師の需給予測というのがございまして、全く需給予測にならない数字が厚生労働省にございます。医療機関に、来年どれぐらい採用できそうですかとか、どれぐらい必要ですかとか聞いているものでございまして、実際、日本の医療がどうあるべきかということ、さらには、今、例えば医療機関の中で医療従事者が死に物狂いで働いている状況と、また、その地域における疾病構造を全く無視したものになっておりまして、その調査は、疾病構造、すなわち、先ほど言ったレセプトの電子化ということと連動することでなければ、医療の適正化ということが、サービスを提供する側から言われた医療の適正化ということが、サービスを受ける側から言った医療の適正化とずれている可能性がございますが、そのあたりはどうお考えでしょうか。

足立大臣政務官 医療機関ごとに、どういう患者さんがいるからどういう科や医師が必要である、あるいは看護師さんが必要であるということを調べるということは、疾病構造を反映させていると私は思います。

あべ委員 足立政務官が地方の病院にどれだけいらしたことがあるのかわかりませんが、地方に行きますと、大学の医学部から送られてきた医師が例えば呼吸器外科専門という形になると、その方の必要な医療機器をそろえ、次に来たのが消化器外科の医師であると、またその医療機器をそろえ、それに合わせていわゆる患者さんたちがかわっていくんだということをしょっちゅう聞かされるわけでございますが、医療機関に聞くということが疾病構造を本当に反映しているとは私は思えません。

 それを考えたときに、ぜひとも、レセプトの電子化を進めながら、具体的なものを見ていくということは同時に必要だというふうに思っておりますので、医療機関に聞いただけで疾病構造がわかったということは、ぜひお思いにならないでいただきたい。

 さらには、いわゆる診療科が何時間やっていれば十分なのかということも、実は、そこに医師がいないから何時間かけてほかに行っているということもございまして、私は、それはいい場合と悪い場合があると思っております。

 何でもかんでも二次医療圏の中で医師を整えれば質は全く関係ないんだということがあった時代から、これからは、時間をかけてもしっかりとした適正な医療ができるところにかかっていくということが私は重要であると思いますので、ぜひともここはしっかりと、本当に必要な医療提供体制が整えられるかどうかということを、疾病構造との連動の中で行っていただきたいというふうに思っております。

 やはり、夜間の体制に関しまして、例えば、人工呼吸器があるところはMEが必ずいる必要があるんじゃないかと私は思っておりますが、足立政務官、これは余り台数がなければ、MEなんかの手助けは要らなくても、医師が全部やるとお考えでしょうか。

足立大臣政務官 チーム医療のあり方検討委員会の中で、当然、MEあるいは医学物理士、放射線診療関係の方々、これらの方々の職責あるいはその職域というものに関しては検討するということでおわかりのように、専門職であり、特に不足しているのはこういった方々、コメディカルのスタッフの充足が日本にとっては必要なんだ、私はそのように思っています。

あべ委員 そうすると、そのコメディカル、いわゆるME、さらには臨床検査技師、例えばMSW、医療ソーシャルワーカーですね、そういうことも含めましてある一定のものであれば、もっともっと体制を強化しなければならないというふうに足立政務官はお考えだというふうに理解してよろしいでしょうか。

足立大臣政務官 言葉が正確かどうかはわかりませんが、その部分が非常に大切な分野であるというふうにとらえております。

あべ委員 大切である、さらには検討していかなければいけないということでは何も進みませんので、逆に言ったら、次の診療報酬改定に向けて、施設要件の中の見直しを、例えば三次医療救急体制に関しましては、もっともっといわゆる周辺サポートをふやしていかなければならないというふうに足立政務官はお考えでしょうか。

足立大臣政務官 今の部分がどのような答弁を期待されているのか、ちょっとなかなか難しいと思うんですが、私どもは、二年後の医療と介護の報酬の同時改定、これを見据えて、そのあり方あるいは役割、そしてその費用についてもしっかり検討しなければいけないということで、もう会議体を形成して、しっかり国民的議論で行っていこう、そのように思っております。

 これで足りない答弁でございましたら、具体的にまた挙げていただければと思います。

あべ委員 特に夜間体制の部分で、私は、ある一定規模のところは、薬剤師、ME、レントゲン技師が二十四時間体制で勤務をしている必要があるんだと思っておりますが、逆にそこのところは、政務官、どうお考えでしょうか。

足立大臣政務官 先ほど来ちょっと気になったことで、お答えさせていただきます。

 疾患に対して必要な検査、やればやるだけどんどん出来高がふえるという表現をされましたが、これは、DPCの今協力分野を含めると千七百ほど入っておりまして、その疾患、診断名に必要な検査というのは、その包括の中にすべて入っております。

 それから、国が全部医療機関を指定すると先ほどおっしゃっておりましたが、二次救急は都道府県の指定でございます。

 そして、今、施設要件の話がございましたけれども、それは、その施設において、例えば、仮に三百床であっても、ある疾患に特化した病院、あるいはリハビリテーションに特化したような病院、それはさまざまあるわけです。病院の大きさだけで、その施設要件の中でこういう職種の方がこれだけいるべきだということを一律に定めるのは、これからそれはしっかり議論しないと、病院による特徴の差がしっかりそれぞれあるんだということも認識していただきたいと思います。

あべ委員 三百床であってもさまざまな形があるのも存じ上げておりますし、例えば、集中的に疾病を特定して治療している機関もあるということも含めながら、その総合判断を、一律でなくて、きめを細かく、しっかりどういうレベルのどういう患者さんを診ていくのかということも含めて、そこのところはある程度、安全、安心の部分にはしっかりと施設要件を整えていかなければ、よくわからないけれども大きな病院ということがないようにしていく必要が私はあるんだと思って申し上げているところでございます。

 いずれにいたしましても、時間がそろそろなくなってまいりましたのでまとめてまいりたいと思いますが、特に国民が今不安なのが、私は、社会保障の部分と雇用の部分だと思っております。特に、さまざまなばらまきをされるよりは雇用の種をまいてほしいということが、本当に私のメールの方にもどんどん入ってくるところでございます。

 そうした中におきまして、格差をどう縮小していくのかということは、私は、社会保障制度、ここが一番の所得再配分になっていく部分だと思っておりまして、特に、いわゆる所得再配分に関しましては、世代間公平性をしっかり考えた上で社会保障制度を考えていかなければいけない。特に、中身がわからない負担は皆さんはしてくださらないというふうに思っておりますので、見える、可視化された社会保障のあり方が安全、安心を提供するんだと思っております。

 そうした中におきまして、特に、将来不安があるがゆえに貯蓄の方に走り、お金を使っていくことを縮小させてしまっているのが、今の国内市場のいわゆる縮小に連動していると思います。社会保障の根幹、ここの部分の所得再配分に関して、大臣はどうお考えでありましょうか。

長妻国務大臣 社会保障の所得再配分ということでありますけれども、これまでも、保険料の上限の頭打ちをもう少し上げて、高額所得者の方に保険料の負担をお願いするというような措置も順次とってきているところでありまして、やはり社会保障の保険料における所得再配分機能は、一定のものは必要だというふうに考えております。

あべ委員 そういう中におきまして、やはり所得の再配分を考えたときに、多分、高額所得者にどう対応していくのかということと、本当に貧しい方々にこのいわゆる所得再配分制度をやるときに、今余りにもぐちゃぐちゃになっている保険料の問題をもっともっと私は整理をしていかなければいけないんだと思っておりまして、特に、その所得税の把握の仕方が市町村が余りにもばらばらになってしまっているということを考えたときに、この保険料負担部分をもっともっと、地域間格差、世代間公平性、さらには、年齢差における部分も含めて再配分を行っていく必要があるんだと思っております。

 今、余りにも制度が複雑化し過ぎて、一体だれが負担をし、いわゆる給付と負担の部分があいまいになっているものを、もっともっと抜本的に明確にしていく必要があるんだと思っております。

 今回法案が出てまいりましたが、今、本当につなぎの部分、いわゆる目先の問題だけではなく、全体的にどうすべきかということは、何度も申し上げますが、いわゆる現政権のマニフェストどおりにやっていくことだけではなく、選挙目当てではない、国民のことをしっかりと考えた、選挙では嫌われるかもしれないけれども、しかしながら、超党派で越えていかなければいけない部分は無駄遣いをやめて間に合う話ではないというのは、だれが考えてもわかるわけであります。

 この無駄遣いだけでごまかすことがない、無駄遣い削減はそちらがいろいろやってくださっているものだけで十分だと思いますが、しかしながら、だれかがしっかりとこの社会保障制度の安定財源を確保しなければいけないということは、超党派で、みんなで、嫌われながらも、言いづらいことをお互いに言っていくという姿勢が私は国会議員に今求められていると思いますので、ここはしっかりとお互いに、多分、ことしじゅうに結論を出さなければ本当に財政破綻に陥ってしまう、いいことばかり言っていたのではこの国はもたないということは、しっかりと考えている方はわかっているわけでございまして、ここのところはぜひとも御一緒に頑張っていけたらというふうに思うわけでございます。

 きょうは質問の時間をいただきまして、大変ありがとうございます。これで終わります。

藤村委員長 次に、鴨下一郎君。

鴨下委員 久しぶりに厚生労働委員会で質問をさせていただきます。

 まず、大臣にお伺いします。

 平成二十二年の診療報酬改定の総合的な評価、そして、このたびは診療報酬改定で医療費全体は少し上がったわけでありますけれども、この全体的な診療報酬改定の目的といいますか、今回はまさに長妻大臣が先頭に立って改定したわけでありますから、その趣旨をまず承りたいと思います。

長妻国務大臣 まず一つは、これまで、一年間に二千二百億円、社会保障を順次削るという政策で、医療の分野も含めて非常に疲弊感、あるいは地域の医療について大変苦しい状況が続いてきたというふうに考えております。まずは、ネット、つまり全体で十年ぶりにプラスということを何としても実現して、そういうメッセージをお届けしたいということが一点。

 そしてもう一つは、その中身を見ますと、これもよく言われてきたことでございますが、産科、小児科、外科、あるいは救急医療の分野が特に今疲弊をしている。これはもう全部すべてのお医者さんが大変なわけでございますけれども、特にということに重点配分をする。あるいは、勤務医ということで、特に病院の診療報酬にも配慮をする。そして、診療所との連携、ネットワークということにも配慮をする。

 簡単に申し上げると、おおむねそういうような目的を持って今回の診療報酬改定に臨んだということであります。

鴨下委員 それは手段だろうと思うんです。その結果、例えば医師不足が解消されるとか、あるいは患者さんの利便が向上するとか、あるいは国民の全体の負担が減るとか、こういうような意味での目的を私は聞いているわけで、その手段はよく理解をしていますが、そのさらに先にある大臣の趣旨を聞いております。

長妻国務大臣 例えば、今回、救急医療ということに対しても、新規の診療報酬もございますし、かなり手厚く措置を今月からなされていくと思いますので、そういう意味では、救急医療の体制が各病院で整っていくということで、本当に必要な方が適切に救急医療を受けられるような、そういう状況になる。あるいは、救急医療のときにベッドが満床であれば救急の意味がありませんので、そのベッドを後方ベッドに移すような、それを促進するような診療報酬もあって、国民の皆さんの救急医療を受ける利便性というのは高まっていくのではないかというふうにも考えております。

 それと同様に、産科、小児科、あるいは外科などについても、適切な医療を受けられる、その促進になったのではないか、そういうふうに考えているところであります。

鴨下委員 勤務医の給料はこれで上がりますか。

長妻国務大臣 診療報酬は、御存じのように、それが直ちにお給料ということではありませんけれども、病院の収入がふえる。そして、これは病院の御判断でありますけれども、いろいろ設備投資をする、あるいはほかの投資をする、あるいは人件費、お給料を上げる、いろいろな御判断があると思いますけれども、その一定の原資は、今回の十年ぶりのネットプラスでそれができたのではないか。あとは病院の御判断でございますけれども、上がる可能性は出てくるのではないかと思います。

鴨下委員 現場の話を聞いていると、確かに、例えば特別の専門医の人たちは多分少し報酬は上がるんだろうと思いますが、結果的には、それで中小病院のリクルート、病院に医者をお願いする、このことがどっちかというとまた難渋し始めたということがある。

 大臣おっしゃることの、できるだけ勤務医にもそれなりの配分があるようにという話でありますけれども、それは大病院ですか、それとも中小病院ですか。その辺のところはどう考えますか。

長妻国務大臣 先ほど救急などを申し上げましたから、大病院だけではないかというお尋ねだとも思いますけれども、当然、中小の病院も、再診料という観点からいっても報酬が上がるということで、それ以外についても、一定の報酬はこれまでよりは上がる傾向にあるというふうに考えておりまして、中小病院にもそういう配分する原資ができたのではないかというふうに考えております。

鴨下委員 目的として、医師不足対策に資する、こういうような趣旨があるという話を先ほど大臣が言いましたけれども、結果的に、今、地方だとか何かの病院で本当に医師不足で困っている病院というのは、これは大病院なんですか、それとも中小、例えばベッド数でいうと百床ぐらいの病院なんですか。そのあたりのところの大臣の御判断はどうですか。

長妻国務大臣 これは両方とも、基本的には絶対数が不足しているという現状の中で、医師不足だという認識は持っておられると思います。

 特に、大病院については科の偏在ということも言われておりまして、医学部を卒業される方々がなかなか過酷な診療科に進みづらいというようなこともありますので、それぞれ、診療科の問題、そして地域の問題というのはありますけれども、おおむね医師不足の傾向があるということで、医学部の定員もふやしているというところであります。

鴨下委員 大臣、そういうことを聞いているんじゃないんですよ。中小病院で医者が足らないのか、あるいは大病院。私が想定している大病院というのは、例えば大学の附属病院だとか、それからナショナルセンターだとか、あるいは臨床研修をやるような病院、こういうような病院の医師不足なんですか。それとも中小の、例えば地域で、人口五万ぐらいの町で唯一ある、そういうような百ないし二百床ぐらいの病院で医師不足があるのか。このことについては、大臣はどう思っているんでしょうか。

長妻国務大臣 これは、地域によっても違いますので、一概に言えないと思います。

 先ほど来申し上げているとおり、診療科によっても異なりますし、あるいは、同じ規模の病院でも、東京のど真ん中にある病院と、いわゆる過疎地と言われている病院でも異なるというふうに考えております。

鴨下委員 いや、だから、判断を聞いているんです。中小の、例えば人口が五万ぐらいの小さな町の唯一の病院、こういうような病院の医師不足は、今回の診療報酬改定で是正されるのかどうかというようなことについて、すべてとは言いませんよ、すべてとは言わないけれども、そういう方向性が出てきたのかどうかということを聞いているんです。

長妻国務大臣 これも国会でも何度か指摘をされましたけれども、中小病院には今回の診療報酬は薄いのではないかということもお尋ねがありました。そのときにもお答え申し上げたわけでございますけれども、中小病院に関しましても、当然、入院基本料を含めた入院にかかわる診療報酬というのも今回上げているところでありまして、あるいは再診料についても上げているところでありまして、それについては、中小、大病院関係なく、それに関する原資が配分されるというふうに考えているところであります。

 やはり、今のお尋ねでいえば、それは、医療過疎地と言われている病院であれば、医師不足というのはより深刻であるということは言えると思います。

鴨下委員 この話は、私の考えでは、今回の診療報酬改定で、例えば高度な手術というようなことについては五〇%ふやすという話を相当数したわけでありますけれども、前提条件が幾つかついているんですよ。例えば、お医者さん、専門医が何人いなきゃいけない、症例数がどのくらいなければいけない。こういうような前提条件のついている病院というのは、大体でかい病院。

 ですから、そういうでかい病院のところについては、それはそれなりの意味はあったんでしょうけれども、私たちが一番心配しているのは地域の、本当に、庶民といいますか国民といいますか、そういう人たちが頼りにしているような病院に、今回のこのいわば診療報酬改定の中で特に勤務医に傾斜配分するというようなことがきいてきていない、このことをしっかりともう一度再認識してもらいたいんです。

 具体的に言うと、例えば、それなりに収入はややふえる、ただ、お医者さんの段取りが難しくなった。アルバイト料が高くなる、特に専門医。それから、それに従って、今度は常勤のお医者さんたちも、では、おれたちの給料も上げてくれ、こういうようなことになって、結果的には、それは、いろいろな意味でお医者さんの方に報酬が行けばいいけれども、こういうようなことでぎくしゃくしたり、あるいは診療科が上手に回らなかったりと、こういうようなことにもなりかねない。

 だから今回の、少し診療報酬が上がって勤務医に傾斜配分した、だから、もうこれでそれなりの手は打ったんだなんという、そんな話は全然だめですよ。むしろ、そういうようなことを中小病院、あるいはできるだけ地方の、そういうようなところにどういうふうな手を打つか、こういうようなことをもっともっと考えないといけないんだろうというふうに思っています。

 それで、その中で、これは私もかねてから問題意識としてはあったんですが、専門医にそれなりの、一生懸命頑張っている専門医がしかるべき報酬を得るというのは、これはいいとは思うんだけれども、でも、例えば専門医に対してインセンティブを与えていく、こういう方向で大臣は考えているんですか。それとも、みんな、研修を終わったお医者さんたちは大体、同じ術式についてかかわった人間は同じような報酬でやるべきだ、こういうふうに考えているんですか。どうでしょうか。

長妻国務大臣 基本は一律でありますけれども、先ほどもおっしゃっていただいたような手術の技術料、一定の高度なものについては手厚くつけさせていただいたという部分もあって、やはり、本当に命にかかわる非常に難しい手術、それについても本当に命が救われるような体制をきちっとつくらなければならないという一つの考え方であります。

 ただ、今の診療報酬体系の中で専門医だけを取り出して特別につけるということにはしておりませんで、基本的には一律の考え方となっております。

鴨下委員 いや、それはあれでしょう、後ろでささやいている人たちがそういうふうに言っている話で、私は、大臣がそういうふうに本当に思っているんだったらそれでいいけれども、それなりに頑張っているお医者さんはそれなりに、それから、そういう技術をスキルアップするためのいろいろな努力をしていない人たちはそれなりに、こういうふうにあってしかるべきだというふうには思っているんです。

 ですから、専門医だとか何か、かつては標榜科目だとか何かでいろいろな意味で制限していたことはあったけれども、今はむしろ、学会単位の専門医、若い先生たちはそれを取って自分の腕を発揮したいというふうに考えているので、私は今回の診療報酬改定で評価できるとしたらそういうことかなと思っているんだけれども、中小の地方の病院の医師不足の解決とこれとは相反する話なので、そこのバランスを、大臣はきちんと問題意識を持って解決に当たってもらいたい、こういうふうに願っているんですよ。

 ですから、元気で頑張って高度な技術を身につけようというお医者さんたちにそれなりにインセンティブを与える、これについて、下手でも上手でも一律だという話は本当なんですか。大臣はどう思うんですか。

長妻国務大臣 例えば一般論として、下手でも上手でも同じ診療報酬をつけていくというのは、診療報酬の体系の中でどういう考え方ができるかどうか別でありますけれども、やはり一生懸命頑張っておられるお医者様に手厚くしたいという思いはあるわけであります。

 今、これですべて完璧なのかという趣旨のお話もありましたけれども、もちろん、今回の診療報酬ですべて医療現場がバラ色になって、問題は一件落着ということは考えておりませんで、今回の診療報酬改定が、まずは今まで下げられ続けた診療報酬がプラスになったということで、その第一歩として我々としては位置づけていきたいと考えております。

鴨下委員 今回の診療報酬改定は、まさに長妻大臣が陣頭指揮をとって診療報酬改定に当たったわけです。それは、中医協の、例えば医療側の委員のそれぞれの役割まで実際には指揮をとって、そしてやったわけだから、結果がどういうふうに出るかということはすべて大臣の責任でもあるわけですから、我々はしっかりとウオッチしていきたいというふうに思っています。

 そういう中で、診療報酬改定の中で少しプラス改定になったということでありますが、民主党のマニフェストの中では、OECDの平均並みにしていこうじゃないか、こういうようなことでありますけれども、この道筋、例えば、このまま〇・一九か何か上げてOECD並みになっていくというのは、自然増を見込んでも相当先の話になる。

 こういう意味でいうと、例えば、財源をどうするのか、保険料をアップするのか、公的な税金を入れるのか、窓口負担をどうするのか、こういうようなことを含めて、OECDの平均値並みに医療費を上げていくというのはまことに結構だし、私も賛成でありますけれども、そういうようなことの道筋について、どの道から大臣はそこへ到達しようと思っているのか。これについて、考えでいいですから、最終的にそういうふうになっていくかどうかというのはこれから先の話だろうけれども、現時点において大臣はどう考えているのか、示してください。

長妻国務大臣 これについての我々の考え方というのは、総医療費ということでOECDの平均を目指していくということでございますけれども、今もるる御質問がございましたように、やはり診療報酬というのが一つの中核にございますので、それについては、適切な医療を行う必要不可欠な部分は、必要なお金は必要として上げていくということをしていく。

 そして、先ほどのあべ委員の質問にもございましたけれども、レセプトも含めたデータを収集して、それがどういうふうに効果を上げて機能したのか、不十分な点はないのかというのを中医協でも十分に検証していただくということで、次回改定に向けて情報収集をして、我々としても研究、検討していくなどなど含め、適切な医療が適切に受けられるような水準をきちっと確保していく、そういう道筋の中で国内総生産の比率についても一定の水準を確保しようという考え方であります。

鴨下委員 それは、結果的には無駄を省いて効率化をしてというような話だと、例えばパイは広がりません。だから、私は、確かにいろいろな意味で、必ずしもすべてが効率的に医療サービスが行われているとは思っていません。そして、さっき足立政務官がDPCの話をしていて、出来高だけがというような話を、まことにそのとおりなわけだから、結果的に効率化していくというのは非常に重要なこと、その中にレセプトのオンライン化だとか何かの話も多分大臣の頭の中には想定されているんでしょうけれども。

 私が言っているのは、全体的なパイを広げていくときに、公的な、例えば消費税をアップして、そして医療費を賄っていくという確固たる思いがあるのか、それとも今回の、例えば国民健康保険法だとか何かで協会けんぽの保険料を上げる、こういうようなことでやっていくのか、それとも窓口負担をふやすのか、それともほかの方法があるのか。

 こういうようなことにおいて、総合的にやることはもちろんだけれども、大臣が今言ったのは無駄を省くという話。無駄を省くという話だけでパイは大きくなりませんよ。OECDの平均値並みにはいきませんよ。だから、その先はどういうところから負担をして国民の皆さんに協力してもらうのか、このことの道筋はある程度今の段階でどう考えているのか、これについて今開陳してもらいたいと思うんです。

長妻国務大臣 足立政務官には後から。

 今のお話でありますけれども、私が申し上げておりますのは、消費税については、議論はいたします。ただし、国民の皆さんに申し上げておりますのは、鳩山政権一期の中では実際に上げるということはいたしません。しかし、消費税以外の税制あるいは保険料のあり方というのは、税調あるいは厚生労働省内できちっと議論をしてまいります。

 そして、もう一つは成長戦略ということでございますけれども、これについても、ありがたいことに、ことしの二月、医療や介護で働く方々が前月から十三万人ふえまして六百六十三万人ということで、非常に多くの方々が医療、介護の分野で働いていただいている。ハローワークでも、特に介護については紹介に力を入れ、あるいは職業訓練でも介護福祉士の訓練コースも設け、力を入れているところで、マッチングについても、介護就職デーというのも開催をさせていただいているところであります。

 そういうものと相まって、当然、浪費の問題、来週には厚生労働省の省内事業仕分けというのも始まりますけれども、そういうところで不断の見直しをしていくということであります。

鴨下委員 では、その効率化という意味において、私の問題意識を一つ申し上げます。

 薬価、それから薬価収載品、こういうようなことについての考えを少し大臣からお話をいただきたいんですが、それは、単純に言えば、今幾つあるのかな、一万六千種類以上あるのかな、そういう薬価収載品の中で、この事業仕分けはやるつもりはありませんか。

長妻国務大臣 薬のお尋ねでありますけれども、恐らく今の趣旨というのは、一般用医薬品、オーバー・ザ・カウンター、OTCについて、それをふやしていって、保険適用外で、国民の皆さんがそこで一定の治療を受けられるような体制を促進するという趣旨も入っているのではないかと思いますけれども……(鴨下委員「それは次の質問でしますので」と呼ぶ)ああ、そうですか。

 そうすると、薬の、これについては実は漢方が問題になりました。薬価を下げる、あるいは漢方を保険適用でないものにしていくというような趣旨の事業仕分けがございましたけれども、そういうような趣旨であるとすれば、漢方については、いろいろ我々も研究をいたしましたけれども、それは基本的にお受けできないということで、刷新会議の御指摘がございましたけれども、それは難しいという返事を申し上げたところであります。

鴨下委員 一部、漢方の話は、まあそのとおりで、私もかつては漢方全体を保険収載云々という話はというふうに思ったことがありましたけれども、非常に多くの方々が使っているというようなことにおいて、今回も、さすがの民主党のあの強権の事業仕分けの中でも仕分けし切れなかった、こういうようなことで、ある意味で国民皆さんの最大の認知を受けたということで、漢方は多分これから永久に不滅なんだろうというふうに思っているわけでありますが、ただ、この薬価収載品の中にはいろいろなものがあるんですよ。

 例えて言えば、ガスターという薬、あれは薬価にもあるけれどもOTCにもある。こういうような薬というのを私はもっともっとふやすべきだというふうに思うし、それは結果的には、国民の皆さんは場合によって治療あるいは薬を飲むことにアクセスしやすいということにもつながるわけでありますから、私は、そういう意味でのセルフメディケーション、こういう範囲を広げた方がいいと思っているんだけれども、大臣はこのセルフメディケーションについてはどういうような見解を持っていますか。

長妻国務大臣 私も、それも一定のものは必要だというふうに考えているところでありまして、今、最近のスイッチOTC薬についても、もうよく委員御存じだと思いますけれども、平成二十二年においても、胃腸薬やアレルギー用薬や消炎鎮痛剤なども新たにスイッチOTCになる予定になっておりますし、二十一年においては四種類、これはヘルペスの薬とか消炎鎮痛剤などなどでありますけれども、そういうものは徐々にOTCとして一般の薬局でも売るということになっております。

 これについても、さらにこういう候補としてふさわしいものがあれば、それは積極的に進めていく必要があるというふうに考えております。

鴨下委員 積極的に進めてもらいたいというふうに思うんですけれども、例えば消炎鎮痛剤だとか何かの一部はもう既にOTCに出ていて、薬事法上の一類の薬として売られているわけであります。こういうような薬をふやしていくということについては、では大臣はそういう方向でいいと考えているんだろう、こういうふうに今判断します。

 そのときに、長期収載品で、薬価がついて、まだたくさん薬があるんだけれども、こういうものを外へどんどん出していったらいい。そのかわり、画期的な新薬で、そして例えば、できれば日本のメーカーがつくって、これから国際競争力のあるような薬については開発のインセンティブが働くような立派な薬価をつけて、そして全体的にこの薬価という、いわばマーケットというかパイを余り小さくしないようにしながら、長期収載品の中では、OTC薬でガスターが出るんですから、だからそれ以外の薬で、出せない薬もたくさんあるだろうけれども、処方せんを書かないと出せない薬もあるだろうけれども、それ以外の判断というのは、医政局と保険局と医薬食品局、この三つの局が一緒になって、大臣が余計な薬、余計なと言っちゃしかられちゃうな、OTCにかなう薬はしっかりと外へ出せ、こういうような指示を出せば、相当の薬が薬局で売れるようになる。

 こういうようなことについて、私は、せっかく長妻大臣になられたんだから、そこはリーダーシップをとってもらいたいというふうに思うんだけれども、どうでしょうか。

長妻国務大臣 今も申し上げましたように、スイッチOTCに毎年幾つかのものがなっているということでありますけれども、さらにそういうものにふさわしいものがあるのかないのか、これはきちっと見きわめていく必要がある。

 ただし、その中で考えなければならないのは、一つは安全性ということはもう言うまでもなく、そこをきちっと考えていく。あるいは、実際に販売する価格がどうなるのか。非常に患者さんの負担が、病院で出してもらうのと市販のものがかなり乖離があって、手が届きにくいということにも配慮しながら、そういう薬があれば、それについては推進をしていくという考え方が必要だと思います。

鴨下委員 それは、議事録を読んでみると、行間には、役所の権限を守りますよということを大臣は今言っているんですよ。私は、大幅にそれは政治主導でやるべきだというふうに思っています。

 ただ、やはりただ出せばいいというものじゃありません。せっかくだから足立政務官に聞くけれども、OTCでガスターが出せるという話で言えば、H2ブロッカーが出せるという話になれば、それ以外の、まあ悪いけれども、消炎酵素剤だとか、それから何かよく薬効のわからないような、作用も副作用もはっきりしないような薬は山ほどあるわけだから、こういうような薬については、ここに座っている四人が英断をしてくださいよ。そのかわり、いい薬は高い値段をつける。

 今回の薬価改正の中で私が評価しているところは、特許期間中については薬価を余り削らない、そのかわり、特許が切れてジェネリックと競争するときには先発品もそれなりにどんと下げる。ああ、めり張りついていいなというふうに思っているんだけれども、それと同時にやらなきゃいけないことは、今私が言っていることなんですけれども、再度、大臣もう一回。

 では、政務官。H2ブロッカーが出せるんだったら、ほかの薬でも出せる薬はもっとあるでしょう。スイッチOTCで二、三しか出していないと今大臣は、悪いけれどもけちな話をしているけれども、数千種類出せるはずだから頑張ってくださいよ。ちょっとその所見だけ。

足立大臣政務官 鴨下委員がおっしゃること、私、よくわかります。

 もう一つ、また別な観点で、長期収載のことがありました。長く続いて評価のある薬というのは価値が高い、これも一つの事実だろうと私は思っています。ただ、委員がおっしゃることは、私はかなりの部分で同意しております。

長妻国務大臣 これは先ほどの繰り返しになりますけれども、安全性を見きわめて、スイッチOTCとしてふさわしいものがあれば、何かこれまでの前例でこうだとかああだとかいうことではなくて、本当にそれだけを純粋に考えて、スイッチOTCでふさわしいものがあれば、それは進めていくということであります。

鴨下委員 時間が半分になってきたので、後でたっぷり山井さんに話を聞きますから、もう一つだけ。

 大臣、混合診療についてどう思いますか。

 さっき、例えばOECDの平均値並みの医療費、パイを大きくするという話の一つの選択肢として、混合診療という考え方があります。これについて、例えば先進医療とか選定療養とか、こういうようなことをやったんだけれども、結果的に、これは我々もじくじたる思いがあるんだけれども、余り広がらなかった。結果的には、そういう意味で使い勝手の悪い制度であります。

 ただ、これはもろ刃の剣というか、いろいろな意味で決断が必要な話なんですよ、どっちにしても。すべての医療技術、医療サービスについて、保険でフルカバーでやるのか、あるいは、特別なことについてはこれは混合診療を導入するか。こういうようなことは極めて慎重に、なおかつ議論をして、しかし決断をしてというようなことなんだけれども、大臣は、この混合診療ということについてどういう方針で臨みますか。

長妻国務大臣 まず、混合診療については、これは予期せぬ影響も出てくる、論点がたくさんあると思いますので、数十の論点をきちっと一つ一つ考え方を示すという作業をした上で結論を出す必要があるということで、まだ、今その議論の途上にあるというふうに考えております。

 そして、御存じのように、今も混合診療は一部でありますけれどももう認められているわけで、安全性や有効性が確認された治療法については、それを加えても根っこからの保険は有効になるというようなことでありまして、その取り組みは一方で我々は進めていきたいと思います。

 ただ、混合診療について、全面的に近い形での解禁ということについては、本当に有効か安全かわからない治療がどの程度出てくるのか。あるいは、それが一般的になりますと、これはよく言われることでありますが、皆保険の日本国で、お金を持っている人は命が助かりやすく、そうでない方はそうでないというようなことが、どこまで社会的に広がりが出てくるのか。諸外国の例も含めて、いろいろな論点について慎重に議論することが必要だと思います。初めから、それはよくない、だめだというようなつもりはありませんけれども、慎重に議論をする必要があると思います。

鴨下委員 選択肢は、すべての医療サービスについて保険適用をするという考え方が一つ。例えば先端的な医療に対してまでもですね。それからもう一つは、ある程度ベーシックな医療については保険で給付するけれども、特別な医療については受益者が負担してもらう、こういうようなこと。

 結果的には、最初に私が申し上げたように、例えば、専門医だとか何かで一生懸命腕を磨いた、こういうようなお医者さんたちもすべてフルカバーの皆保険でやれば、なかなかインセンティブがついてこない、こういうようなこともあって、全体的な医療水準そのものについては、私は競争した方がいい部分があると思っているんです。

 ですから、大臣も今お話しになったように、メリット、デメリット、いろいろなことがあって、そういう中で検討すると言いますから、今度、これについて何か質問の機会を同僚からもらえたら、もう一回議論したいというふうに思っています。

 あと、いろいろなテーマを用意してきたんだけれども、ちょっと時間がなくなったので。

 大臣、子供の貧困率というのを、昨年、就任早々に発表したんですが、これの意図は何だったんですか。

長妻国務大臣 それと同時に、一般的な全体の貧困率一五・七%というのも、政府として初めて公式に発表いたしました。子供の貧困率もそのとおりであります。

 やはり、私も非常にある意味驚きましたのは、総中流とかつて言われていたこの日本国で、相対的貧困率というのは格差を見る指標でありますけれども、絶対的貧困とは異なりますが、先進国の中でもこれだけ格差が広がっているという現実について、まず、これは包み隠さず政府として国民の皆さんにお示しする。その上で、我々は第二のセーフティーネットを含めた施策を実行する。そういう実態をお示ししないで施策を実行しても、国民の皆様からなかなか理解が得られないという思いもございまして、公表させていただいたということです。

鴨下委員 それは私は逆だと思っていて、ある程度施策を用意した上で貧困率を発表するということをやるべきだと思います。

 それは、貧困率で、例えば自分は貧困だという人たちが、まだ大臣は、その後の対応、セーフティーネット、こういうようなことについての発表をなさっていない。子ども手当は貧困率を是正するんですか。

長妻国務大臣 子ども手当は、それだけが目的ではないですが、是正をいたします。

 ただ、今のお話で、鴨下委員のすべてのお考えを承知しているわけではありませんけれども、やはり、政府、公的機関に一番欠けているのは実態把握であるということを私は申し上げておりまして、まず、その実態をきちっと把握したときに、やはりそれは国民の皆様に公表する必要がある、義務があるのではないか。つまり、これは私のポケットマネーで収集した貧困率ではありませんで、もちろん税金でそういうものを把握しているわけでありますので、そうであれば、包み隠さず実態をお示しする。

 ただ、そのときに、委員が言われるように、全く何も考えなしに発表するというのは、それは確かにおかしいと思います。我々としては、住宅手当やあるいは求職者支援という第二のセーフティーネット、あるいは、子ども手当というのは結果的の貧困率の改善でありますけれども、そういう施策も一定のものはあった上で我々は申し上げたわけでありまして、完全に施策が整うまでは実態も表に出さない方がいいという考え方は、私は違うのではないかと思います。

鴨下委員 それは、医者に例えると、若い未熟な医者が、あなたはがんですと言って、患者さんのサポートも何もしないでいきなりがんを宣告するような人たちが間々いるんですけれども、それに近い話でありますよ。

 だから、長妻大臣は、貧困率を発表したということの奥には、例えばセーフティーネットをどうするのか、あるいは、本当に子供の貧困に対してどう立ち向かうのか、こういうようなことを同時に発表しつつやるべきだったというふうに私は思うんです。

 山井政務官、一昨年の十二月に、国民保険の滞納者の小中の子供に対して、医療を受けやすいようにということで、特に山井政務官が御熱心にやったわけであります。そのときに私たちが指摘した話は、例えば、これはモラルハザードになるんじゃないか、滞納の助長や、保険料を支払ってきた世帯との不公平感、こういうものを懸念するという話は何度も何度も申し上げた。

 モラルハザードを防ぐための方策、こういうようなことについて、山井さんはこの法案についての製造物責任があるわけだから、政務官になった後、どういう取り組みをやったかというようなことについて、まず今明らかにしてください。

山井大臣政務官 鴨下委員、御質問ありがとうございます。

 確かに、一昨年の十二月、議員立法で超党派で、中学生以下の子供に関しては親が滞納していても資格証明書を発行しない、短期被保険者証を発行するという議員立法が成立をしました。

 本当に議員立法というのは成立させるのが非常に難しくて、それで、鴨下委員御指摘のように、確かに、親は滞納しているから資格証明書を発行せざるを得ない、そして国保というのは世帯単位なわけですから、子供だけを切り取って、子供にだけは資格証明書を発行せず短期被保険者証を発行することに関しては賛否両論がありました。その中で、なかなか成立が困難だと思われていたこの法案が党派を超えて成立したのも、本当に当時の鴨下先生の御尽力のおかげであったと私は非常に感謝をしております。

 それで、確かに、この議論というのは二つの政治の原則がぶつかり合っているんですね。やはり国民健康保険は世帯単位であるという大原則。そして、世帯単位であって、保険制度においては保険料を払っていない人はやはり保険証が持てないというのがルールであるという一つの原則。しかし一方では、子どもの権利条約というものもあり、少なくとも十八歳未満の子供においては無条件に医療を受ける権利が保障されるべきであるという、これもまた一つの原則。この兼ね合いの中で、議論を重ねた末にこれになったわけであります。

 そして、三万六千人の資格証明書……(鴨下委員「概要はいいから、政務官になってあなたは何をやったかという話です」と呼ぶ)はい。

 それで、保険料の収納対策に関しましては、滞納世帯について、継続的な相談や指導を行うことにより滞納の解消に努めるように指導したり、また、収納率向上のため、緊急プランの策定、収納担当職員の増員や口座振替の推進などを積極的に取り組むように行っております。

鴨下委員 それは役所言葉でしゃべっているので、私には何を言っているんだかよくわからないんだけれども、滞納者の実態調査はやりましたか。

 今、長妻大臣が、すべては、例えばサンプリング調査をやって、そして滞納者の状況というのは一体どうなっているのか、払えるのに払っていない人がいるのか、それともなかったら、これはやむを得ず払えない、本当にお気の毒な人たちがどのくらいいるのか、そういう人たちに対してどういうような徴収についての工夫がなされたか、こういうようなことは、もう既に法施行から一年たつわけですから、山井政務官は多分その問題については非常に御関心もあったと思うし、今は政務官、権力を持っているわけだから。

 だから、そういうことでいうと、その問題意識に対して、まず、この三万人ぐらいの方の実態調査をやったかどうか。親がまじめに働いて、あるいはどうしても働けないで滞納せざるを得ないところがどの程度、それから、収入もあるのに保険料を逃れている人はいなかったのか、こういうようなことについてサンプル調査をやりましたか。

山井大臣政務官 滞納世帯全体に関しましては、もちろん世帯数、そして資格証明書の発行件数、そしてその中に中学生以下の子供がいるかどうか、あるいは今回新たに法案に盛り込みました高校生の子供がいるか、そういう調査はしております。

 ただ、今鴨下委員御指摘の、十五歳以下のお子さんがいる家庭そのものについては調査は行っておりません。

鴨下委員 いや、私が言っているのは、滞納している人たちの中でお子さんを抱えていて、我々は気の毒なお子さんには罪がないということを前提に今回こういうような法案を緊急に与野党みんなでつくり上げたわけでありますけれども、山井さんはそれの旗を振った人だから、その人が、私たちが問題意識をしたところは、モラルハザードにならないか、苦しいけれどもまじめに払っている人たちだってたくさんいらっしゃるわけで、そういう人たちがばかばかしくなるような、こういうようなことになったらいかぬというのが私たちの問題意識だったんですよ。ですから、そういう意味で、この三万数千人のお子さんたちの親あるいは保護者、こういう人たちが本当に払えなかったのか、払いたくないから払わなかったのか、このあたりのところについては、あなたはきちんとやるべき責任があるんですよ。

 サンプル調査をやりましたか。

山井大臣政務官 この中学生以下の人数は三万六千五百十一人でありますが、その中で、例えば短期被保険者証が未達の枚数は千百六十一枚で、このことは先日の大西議員の質問にもお答えさせていただきました。

 ただ、鴨下議員御指摘の、なぜこれが払えていないのかということに関してはサンプル調査をしておりません。これは当然、子供の保険証の問題のみならず、大人の方々の国保の滞納というのも非常に深刻な問題でありまして、もちろん私も多くの陳情、要望を受けておりますが、会社が倒産したとか、本当に経済的理由で払えないとか、さまざまなケースがあると思いますが、サンプル調査は行っておりません。

鴨下委員 法律をつくって、責任を持ってそれを、旗を振ったんだから。

 だから、ぜひこれから、滞納者がどういう方々がいるのか、そして、例えば職を失ってどうしても払えない人たちはお気の毒だから、それは救済しないといけないけれども、そうじゃない人たちももしかすると紛れ込んでいるかもわからない、そのことを明確にしてあげないと、一生懸命働いて、ぎりぎりのところで、子供が病気になったときにかわいそうだからといって一生懸命払っている人たちが非常にばかばかしくなるような、こういうようなことになったらいけませんよという話をあのときずっとしていたんだから。

 だから、山井さん、それは責任があるんですよ。そこのところを、我々がみんな国民保険料をつらいけれども払うという気持ちになれるようにしないと、だからモラルハザードが起こるんじゃないかという話を私はしていたんだから。そのことをどうしてやってくれないんですか。

山井大臣政務官 それは大変重要な御指摘だと思います。

 救える命をいかに救うか、そして、いかに国民皆保険の日本においてすべての国民に医療を保障するか、と同時に、今おっしゃったように、そのためには保険料を払うというのが国民皆保険の前提であるわけですから、その例外がどんどんふえていくと、払っている方があほらしいということになっては、これまた保険制度の根幹にもかかわることだというふうに思います。

 ここは、市町村から、このような子供に関して資格証明書を発行しないことによってモラルハザードが生じたというような報告は今のところは聞いておりませんけれども、どのような状況になっているのか、どういうふうにしたらそれが把握できるのかも含めて、地方自治体と相談してみたいと思っております。

 それとともに、先日、大西議員から御指摘いただきましたように、中学生以下でもまだ残念ながら短期保険証が届いていない方とか、今回またそれを拡大して高校生の方々にも短期保険証を発行しようという法案でもありますので、そこはやはり、いかにモラルハザードが起こらない形にしながら子供たちに医療を保障するかという、ある意味で非常に対立する面があるようなことを両立させねばならないと思っておりますので、鴨下委員の御指摘、しっかり受けとめてまいりたいと思います。

鴨下委員 もっともだからわかるという話は、野党の山井委員だったらそれはいいんだけれども、今は政務官ですから。行政をつかさどる当事者ですよ。

 だから、それは聞こえてこないとか、上がってこないとかじゃなくて、自治体にも聞きに行かなきゃだめじゃないですか。そして、自分である意味でこういうようなサンプル調査のモデルをつくって、そして本当にどのくらいなのか、千例も探せば傾向は大体わかるでしょう。そういうようなことをきちんとやってくださいよ。

 それは、もう山井さんは野党じゃないんだから、権力を持っているんだから。今まで自分たちが言って、ああしろこうしろと言って実現してきたことについての責任があるんですよ。

 だから、我々は保険料はみんな払うべきだと思うし、そして政府は、あるいは政治は、皆さんが苦しいけれども保険料を払ってくださるような環境をつくるというのは与党も野党もなく責任はあるんだけれども、ただ、今回のあれは、親が怠けていても子供に罪がないからというようなことで法律をつくったわけで、緊急のいわば救済策なんですよ。それに対して、そのままほっぽっといて、それで、もう政務官になって何カ月たつのか、その間にもし何もやっていないんだとしたら、それは無責任。

 きちんと、自分が言ったことについては最後までフォローアップして、そしてやってくださいよ。それはいつやるの、サンプル調査。

山井大臣政務官 どういう形で調査ができるか、また地方自治体と相談をしてみたいと思っております。

 それで、私、覚えておりますが、当時も鴨下委員から、与野党の協議のときに、モラルハザードをどうするんだという厳しい御指摘をいただいておりました。それで、これはなかなか、この議員立法が成立するのは無理かなと思っていたんですが、そういう本当に厳しい御指摘をいただきながらも、でもやはり、今鴨下委員おっしゃったように、このことに関しては、子供の医療を保障するために法律はまずは成立させようという本当に政治判断をしていただいて、そのおかげで、今、三万六千人もの中学生以下の子供たちに医療が保障されているということには私は感謝しておりますし、また、そのとき以来の鴨下委員からの御指摘ですので、どういうふうな形で調査ができるか、検討してまいりたいと思います。

鴨下委員 早くやってください、山井さんが政務官でいるうちに。参議院選挙の手前までにやってください。

 それで、大臣に最後に聞きますが、この今のようなケース、親に子ども手当は行くわけだけれども国民健康保険は滞納する、こういうケースについては子ども手当から何らかの措置で天引きするということをしたらどうですか、子供のためだから。

 このことについて、我々は給食費のことも言ってきたし、まさにこれは代表的な話で、単純に言えば、まじめに働いて一生懸命保険料を納めている人たちから子供の医療費を給付しているわけでありますけれども、払っていない親に唯々諾々と子ども手当を給付する、これは我々にとってみれば不合理もきわまっています。

 こういうようなことについての判断は大臣がやればできるはずだから、ぜひ考えてください。どうですか。

長妻国務大臣 給食費については、これは二十二年度につきましても、きちっとその趣旨を自治体の窓口でしていただくというようなことにしておりまして、二十三年度の制度設計の中で検討事項になっているところであります。

 ただ、子ども手当については、法律でこれは差し押さえ禁止、つまりそこから直接天引きができない、こういう仕切りになっておりまして、そのときに保険料について、では、子供の分だけを親と分離して払うというのがどういう計算で技術的にできるのかどうか。あるいは、これもよく言われているところでありますけれども、地方税を払っていない方についても、地方税もそこから天引きしたらどうかと。どれを優先するのかというような、給食費とともに議論もございますので、そういうものも含めて、二十三年度の制度設計の中で議論をしていきたいと思います。

鴨下委員 山井政務官、大臣は何だかやるんだかやらないんだかわからないから、山井政務官はこの問題については責任がありますから、きちんと最後の決着がつくまで、ぜひ長妻大臣とも相談して、そして子供が気持ちよく医療が受けられるように、あるいは苦しいけれども保険料を納めている人たちが保険料を気持ちよく納められるような、こういうようなことをぜひ先導して頑張ってください。

 以上で終わります。

藤村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

藤村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。加藤勝信君。

加藤(勝)委員 まず、子ども手当に関する局長通達がたしか三月三十一日付で出ておりますので、そのことについて二、三お聞きをさせていただきたいと思います。

 私の知る限り、一般的な通達と、それから今お配りをさせていただいております外国人に係る事務の取り扱い、この二本立てになっているというふうに承知しておりますので、前者を一般的な通達と呼ばせていただきたいと思います。

 まず、外国人に対する取り扱いについて、先般の子ども手当法案のときの議論で、私も、監護の要件、あるいは監護の認定基準というべきですかについて、少し厳しくすべきだ、例えば面会は年に一、二回必ずしてくれという要件を申し上げました。それが具体的にこの通達の中に載せていただいているわけでありますから、それはそれとして評価をさせていただきたいと思うんです。

 ただ、子ども手当の議論をしたときに、一つは、内外無差別というんでしょうか、そういう議論がたしかあった。そうすると、一般的な通達の監護の中に規定せずに、外国人の取り扱いの中にあえてこういう基準を入れるというのは、その取り扱いにおいて、内外といってもあれかもしれませんが、一律の取り扱いでないように感じるんですが、この辺、なぜこうされたのか、局長からまず御説明いただきたいと思います。

伊岐政府参考人 子ども手当法の施行に関する通達の内容につきましての御質問かと思います。

 今般出しました通達、先生が御指摘のとおり、一般的な取り扱いに関する基本通達、通知と申しておりますが、基本通知と、それから外国人については別途通知を出させていただいております。

 このことにつきましては、確かに国会でもたくさん御審議をいただいたこともありまして、外国人についての取り扱いをできるだけわかりやすく明示するということ、それから、この際、外国人のお子さんが国外に居住する場合におきまして、居住関係や親との関係等について、日本の住民基本台帳により確認できないことがあったり、あるいは諸外国の状況がさまざまであることも考慮いたしまして、支給要件の確認の厳格化を図るということを明らかにするためにお出しをしたところでございます。

 なお、外国人の取り扱いにつきましては、旧児童手当法におきましても課長通知が出ておりましたが、今般、このような御議論もありましたことから、これを局長通知に改めてお出しした、内容も一新したということでございます。

 なお、今先生がお話しされましたように、内外無差別に反するのではないかというようなことに関しましては、あえて外国人のことについてわかりやすく取りまとめるということをまず第一義としてお出ししたことでございますが、基本的には、海外に居住するお子さんを監護する日本人についても考え方は同様だと理解しておりまして、この通知の扱いを準用する旨、QアンドAでも明らかにしているところでございます。

加藤(勝)委員 それで、今、外国人というか外国に子供がおられる場合の監護、どういう場合がこの監護に該当するかという認定基準とでもいうんでしょうか、それについて、面会が一年に二回以上、こういうことになるわけであります。そうすると、一般に、国内におられる多くの方で、子供さんを日本の方へ来るようにするか、あるいは本人が帰国をするかというのは、なかなかハードルとして高い。そうすると、現在児童手当でもらっておられる方の中でも、かなりの方がこの対象の外になっていくのではないか、かように推察をされるわけであります。

 そこで、ちょっと大臣にお聞きしたいんですけれども、資料の一番最後につけさせていただいております子ども手当法の附則の第三条では、児童手当の「認定を受けている者が、施行日において子ども手当の支給要件に該当するときは、」はしょって読ませていただきますが、「認定の請求があったものとみなし、」云々、こういうふうに書かれております。

 そうすると、大事なのは「施行日において子ども手当の支給要件に該当するとき」ということでありますが、今申し上げた、外国の方について監護というのが今のように子ども手当で認定の基準が変わってきたということになると、該当するとはなかなか認定できないではないか。となれば、請求があったとみなすこともできないのではないか、かように思うんですが、この辺はどういう取り扱いなんでしょうか。

長妻国務大臣 今、認定の基準が変わったというお話ですけれども、認定の基準を変えたわけではございません。

 今まで認定について各自治体で、以前も申し上げましたように、ある自治体はかなり詳細な資料の提出を要請している、ただ、ある自治体は余り詳細でない資料でそれを認めていた、あるいは、ある自治体は監護という考え方はこういう考え方だ、そういうことがまちまちであったということにかんがみて、それを統一して、監護というのもこういう考え方だと、ある意味では全国で一律的にわかりやすい形の要件の厳格化ということをお示ししたところであります。

 その中で、附則の第三条でございますけれども、これは今おっしゃられたとおりでございますけれども、六月の時点で、年一回の現況届というのがございますので、そのときには外国人の方については、今おっしゃられた通知に基づいて、その要件確認の厳格化という形でチェックをしていくということになります。

加藤(勝)委員 六月の認定の話はいいんですが、この附則三条の「該当する」というのはだれが判断するんですか。

長妻国務大臣 これは、今まで自治体が判断をしたということであります。

加藤(勝)委員 となると、自治体の判断について、いわば統一的な基準が出されたということになれば、当然、これまでの判断と変わっていたという自治体においては該当するとは言いがたい、こういうふうに考えるべきだと思いますが、そういう解釈でよろしいんですか。

長妻国務大臣 これは、書類を統一する等々の話を先ほど来申し上げているところでありまして、それについては、六月の現況届で再度その書類について確認をするということになろうかと思います。

加藤(勝)委員 それでは、子ども手当の支給要件に該当するという判断は、別に面会一、二回をしていなくても該当すると判断していい、そういうことですか。

長妻国務大臣 これは附則の条項がございますので、私どもとしては、先ほど来申し上げておりますように、年一回の六月の現況届ということで書類をチェックしていくということで、もちろん四月から、新規の外国人の方については、この通知に基づいてチェックをしていただく、こういうような形になるわけであります。

加藤(勝)委員 申しわけないんですが、大臣、六月というのは認定の請求があったとみなされた場合ですよね、当然。今、これはみなすかどうかの話をしているんですから、六月は関係ないんですよ。

 四月の段階で、各市町村が支給要件に該当すると判断しなきゃいけないわけでしょう。その判断基準は、ここに新しく出された子ども手当の外国人に係る通知。そして、それによれば、監護とは年に二回以上面会をしている、こういう通知を出されているわけですから、児童手当のころにそのような判断でやっておられたところは問題がないと思いますけれども、そうでないようなところは、該当するということ自体を市町村は認定できないのではないでしょうか。認定できないということは、みなせない、こういうふうに法文上解釈できると私は思うんですが、違いますか。

 申しわけないですが、六月の話じゃないんです。みなすかみなさないかの時点の話を申し上げています。

長妻国務大臣 これはちょっと先ほども、要件の基準を変えたという御趣旨であると。それは違うわけでございまして、要件の基準は変えておりません。そして、これまでも児童手当で大きな問題が起こったということは聞いておりませんので、これまでの判断は適切に自治体が判断されておられるという前提に我々は立っているところでありまして、今回の通知というのは書類の確認を厳格化するということで、基準については変えたわけではございません。

加藤(勝)委員 いや、今回、書類ではなくて、監護というのは少なくとも一年に二回以上子供と面会が行われており云々云々ものとするとか、書類の話をしているわけじゃないでしょう、これは。監護というもの自体は、こういうことがあって初めて監護とみなしますよと言っているんでしょう。ちょっと違いますよ。

長妻国務大臣 これまでも、自治体でもパスポート等の入国状況をチェックする自治体もあったわけでございますので、基本的には適切に行われてきたというふうに考えている、これが前提であります。

加藤(勝)委員 ということは、四月の段階でそれでいいということであれば、この通知には従わなくていいということですか。

長妻国務大臣 ですから、通知については、要件の基準を変えたというわけではございませんで、これについて確認の厳格化ということであります。これまでも適切に私どもは確認をしていただいているというふうに考えておりますけれども、それについて、さらに明確にこういう書類だというようなことをお示ししているということであります。これまで適切にそれは確認を自治体ごとにされて、児童手当が外国人の方にも支払われていたというふうに考えております。

加藤(勝)委員 堂々めぐりをしているようで恐縮ですが、済みません、三ページ目の二行目のところ、「ア 「監護」については、」と書いてあるんですよ。書類については何の話もここに書いてないじゃないですか。「「監護」については、少なくとも一年に二回以上子どもと面会が行われており、子どもの生活について通常必要とされる監督、保護の実質が備わっているもの」、それが監護ですよということでしょう。

 ということは、それが備わっていなければ、この附則における、市町村が子ども手当の支給要件に該当するとは判断できない。違いますか。ということは、該当するということが明らかである場合にはみなせばいいでしょうけれども、そうでなければみなすことはできない、こういうふうに普通解釈するのが法律の建前じゃないんですか。

長妻国務大臣 この委員会でも御答弁申し上げたと思いますが、まず、監護というのはどういうものか。法律用語でございますけれども、児童の生活について通常必要とされる監督、保護を行っていると社会通念上考えられる主観的意思と客観的事実が認められることをいうものであるということで、これは、年に二回以上はやはり行き来するというのが監護であるというふうに考えておりまして、それを具体的に記述申し上げたということであります。

 これまでも、各地方自治体が児童手当の支給の要件を審査するその過程で、監護やあるいは生計同一等々は適切に判断されてきたのではないかというふうに考えております。

加藤(勝)委員 さっき大臣がおっしゃられたように、これまでばらばらだとおっしゃったじゃないですか。それをこれに統一したということは、もともとこれでやっていたところは問題がないけれども、違う形で、例えばメールが一回あればいいよとやっていたところは、これではだめだよということになるということでしょう。ということは、該当すると認められないじゃないですか、市町村自体が。そのことを申し上げているんですよ。

 もう一回申し上げますよ。

 例えば、これまでは、この要件ではない、もっと緩い形でも、まあいいわ、監護だと認められた市町村は、今回この通知が出たことによって、これはやはり該当するとは言いがたい、チェックしていませんから。ということは、外国人の子供についてはみなすことができない、こういうふうに解釈すべきだと思いますが、違いますか。

長妻国務大臣 これは先ほど来申し上げておりますように、要件の基準が変わったということではありませんで、監護とかあるいは生計同一ということについて、我々としては、こういう一つの考え方、あるいは外形的にこういう考え方をとってくださいという通知を出しているところでありまして、これまでも適切にそれは判断されてきたのではないかという前提でこういう通知を出したわけであります。

加藤(勝)委員 該当するかどうかの判断は市町村がするとおっしゃったわけでしょう。ということは、ここで該当するという判断をすれば、六月の認定だって認めなきゃいけないんですよ。違いますか。ということは、四月の段階で年二回の面会がなくても該当すると判断すれば、子ども手当法上は監護と認めたということになりませんか。

長妻国務大臣 これは先ほど来申し上げておりますように、これまでも適切に児童手当で、要件というのを変えていないということでありまして、今度、我々として、書類の確認や、あるいは監護という要件について、どういうふうに外形的な考え方があるのかということをお示ししたということであります。

加藤(勝)委員 ちょっと、答弁が全部変わっていると思いませんか。ということは、要するに、年に二回面会しなくてもいいということですか。

長妻国務大臣 ですから、今までもそれは適切に判断をされてきたと思いますけれども、これはただそれを明確化、書類の確認を厳格化するということで通知を出させていただいているところであります。これは、これまでも大きな問題が起こったということも聞いておりませんから、そういう対応でお願いをしているところであります。

加藤(勝)委員 いやいや、さっぱり意味がわからないんです。

 要するに、書類というのは、逆に言えば、ここに年に二回と書いてあるから、これを担保するためにパスポートで二回を確認する、それは書類審査の話です。そうじゃなくて、まず、ここで監護という話をしているわけでしょう。

 それから、さっき大臣は、ばらばらだった、だから統一的な基準を出したんだ、そうおっしゃったじゃないですか。ということは、ばらばらだったところは、該当するかどうかについては確信を持てないわけですよ、チェックしていないんだから。そうでしょう。ということは、みなすことができない。法律上、そう解釈するのが当たり前じゃないですか。

長妻国務大臣 ですから、先ほど来申し上げておりますように、まず、外国人のことに関しては、支給要件については認定要件基準を変えたわけじゃないということなんです、児童手当と子ども手当について。変えていないということでありまして、そうであれば、前の児童手当が支給をされておられる方については支給をする、そして六月の現況届のところで再度確認をする。これは前から、児童手当のときも毎年六月に確認をしているということで、基本的な流れを変えたわけではありません。

加藤(勝)委員 局長、そのとおりですか。

伊岐政府参考人 ただいまの先生の御質問でございますが、今般のこの局長通知、外国人に係る事務の取り扱いについての監護のくだりについて御質問されているというふうに理解いたしますが、基本的には、申請書の審査において、こういう考え方で審査をするようにという通知を出したというふうに理解いたしております。

 したがって、特に申請の提出が行われていない状態でそのまま申請したものとみなされるというケースにおいては、特段基本的な条件を変えたわけではございませんので、そのまま子ども手当の申請があったものとみなして手続をするということでございます。

加藤(勝)委員 いやいや、該当するかどうかの判断でしょう。該当するかどうかの判断が市町村に求められているとさっき答弁していただきましたよね、この附則の「該当する」というところについては。

 ということは、市町村は、該当するかどうかの判断のときには、児童手当のときの基準を使ってやればいいということですか。だって、ここは「子ども手当」と書いてあるんですよ。「子ども手当の支給要件に該当する」と書いてあるんですよ。児童手当の支給要件とは書いてないんですよ。ということは、市町村は、今回の通達じゃない、これまでの基準で判断すればいい、こういうことですか。

伊岐政府参考人 基本的に、申請があったものとみなされる場合には、子ども手当法における適正な申請があったものとみなすということだと理解しております。

加藤(勝)委員 それはちょっと官僚としても私は不誠実だと思いますよ。みなすの話をしているんじゃないんですよ。該当するときはみなすと言っているんですから、該当するかどうかの判断、これは市町村が困るわけですよ、こんないいかげんなことをやっていたら。そうでしょう。

 だから、市町村が該当すると判断しなきゃいけない。通常の、例えば国内にいる子供さんで児童手当であれば、これはもう原則的にはみなせますよね。でも、今回明らかに基準として厳しくなっていますから、しかも、自分たちがそういう形で児童手当時代に運用していない市町村、これについてはとても該当するとは言えない。こういうふうに判断するのは、私は良識的な、常識的な判断ではないかと思うんですが、それは違うということですか。

伊岐政府参考人 要件該当性の判断というのは、基本的には、申請をいただいたときに市町村が判断いたします。また、その申請時以外に、年に一回は現況届が出ますので、そのときにも改めて判断するということでありまして、今般は、まず申請みなしの場合においては、現況届の時点で判断するということでございます。

加藤(勝)委員 済みません、それはどこに書いてあるんですか。

伊岐政府参考人 まず、この外国人に係る事務の取り扱いについてというのは今般新たにお出ししたものでございまして、これに従って事務を取り扱っていただくということでございます。したがいまして、基本的な法的枠組みのもとで、申請があったときには、みなされるケースにおいてはそのままみなし、それ以外の場合においては、新たな申請のときが、この要件該当性を判断し、また、新たな申請ではなくてみなしの場合においても、現況届を提出された時期において再度判断するということでございます。

加藤(勝)委員 そうすると、ここの附則三条における「施行日において子ども手当の支給要件に該当するとき」というのは、これはどういう意味ですか。

伊岐政府参考人 先ほども大臣が申し上げておりますように、基本的には、要件を変えたわけではなくて、確認の厳格化ということでございますので、要件に該当したものとみなすということでございます。

加藤(勝)委員 要件に該当したものとみなすんです、該当するときという判断ではなくて。

 ということは、何でわざわざ、施行日において子ども手当支給に該当するときはと、これを入れているんですか。

伊岐政府参考人 基本的に、この三条におきましては、当然、市町村の確認において該当するということを前提として、手続の簡素化の観点からこういうみなし規定を置いているわけでございますので、該当するという判断をするという前提でございます。

加藤(勝)委員 済みません、よくわからないんだけど。該当するという判断をするんだったら、今おっしゃった局長の通知を見て判断するしかないんじゃないですか。

 ごめんなさい、ちょっと私自身も混乱してきている。きちんと整理してください。

伊岐政府参考人 多分、先生が御懸念されているのは、明らかに要件に該当しないといった事案においてもそのままみなしてしまうのかという御疑問ではなかろうかと思います。

 例えば、外部の何か有形事実があって、それを指摘する人があって、明らかに要件に該当しないじゃないかというようなことがそれこそ当局によって摘発されたというようなことであれば、その時点において必要な手続をとって調査するということも別に法律は排除しているわけではございません。

 ただ、基本的には、要件を変えたわけではございませんので、該当判断をした前提で手続を進めるというふうに理解しております。

加藤(勝)委員 もう一回、確認だけさせていただきます。

 要するに、市町村において、子供の支給要件に該当するという判断は、これは当然しなければならない。その上で、みなしができる。まず、これはそうですね。ただ、該当するときの支給要件は変えていないということですから、変えていないというのは児童手当のときと一緒だ、こういうことですね。しかし、六月になってみると、今度はだめだという裁定になる、こういう話ですか。

伊岐政府参考人 確認の厳格化によりまして、要件に該当していないということが新たに判明した場合において、その時点で判断するということでございます。

加藤(勝)委員 そうすると、六月には支給がされています。したがって、四、五月分については、該当していないと判断されれば当然返還の請求をしなければならない、こういうことですね。

伊岐政府参考人 明らかに要件該当性がその時点においてないということが判断されれば、遡及で返還の請求をすることは全くないとは言えないと思います。

加藤(勝)委員 全くあるとかないとかという可能性を議論しているわけではなくて、要するに、年二回、出してくださいと。過去一年のパスポートを見たら、帰国をしたこともないし、子供さんが日本に入国したこともない、こういうことになれば必然的に四月、五月分も含めて返還を求める、こういうことですね。

伊岐政府参考人 明らかな要件違反が認められるという場合には、そのようなことになるかと思います。

加藤(勝)委員 いやいや、今のケースでどうですか。

伊岐政府参考人 ちょっと今、先生のケースをよく理解していないのかもしれませんけれども、基本的には、みなしをして、要件該当性がある前提でお出しをした、その後に現況届が出されたということで、その現況届を子細に検討し、なお客観的事実において監護の要件等を満たしていないということが明らかになった場合には、しかるべく手続をとるということであるかと思います。

加藤(勝)委員 いやいや、非常に簡単に申し上げているのであって、今回、面会二回という話でしょう。したがって、パスポート上でチェックするしかないですね。もし、それがチェックできていない、明らかに本人も帰国をしていない、子供さんも日本に来ていない、したがって、どこかで面会することは物理的に不可能だということが六月の段階でチェックしてわかったらば、これは四月、五月も含めて返還を要求するということになるんですか。この事例についてお答えください。

伊岐政府参考人 返還を求めるかどうかは、不正の程度等によって、私どもと市町村でよく話をして検討することになるかと思いますが、基本的にその時点で判断する。もちろん、現金給付の支給手続でございますので、市町村の方でも大変な御労苦を、煩わせてやっていただいているわけでございますので、このようなケースについてどのような対応をとるかというようなことにつきましても、私どもも丁寧に御相談しながら対応していきたいというふうに考えております。

加藤(勝)委員 いいかげんな答弁をしないでくださいよ。だって、それは国民の税金が出ているんでしょう。適正に出ていないのなら、返還してもらわなきゃならないじゃないですか。きちっと言ってください、市町村の事務にかかわる話ですから。今の答弁、だめですよ。

伊岐政府参考人 基本的には、要件の適合性を、先ほど言いましたように四月に判断したことになってございますので、今おっしゃったような悪質なケースがどの程度あるかということであろうかと思いますが、仮に、要件を満たしていないということが何らかの、例えば欺罔とか意図的なことで隠されていたということであれば、厳正な手続をとる必要があるかと思います。

加藤(勝)委員 いや、申し上げます。悪質ではないんです。悪質ではない。児童手当のときにはそれは求められていないはずですから、したがって、隠したわけでもありません。しかし、今回、それが求められたから出しました、パスポート上、出入国は出ていません、したがって、支給要件にはならない、六月以降はそういう認定がされると思います。その場合の四月、五月はどうなんですか。

 あるいは、言い方を変えれば、本来であれば、該当要件に適合しないようになれば、そのことを申請しなければいけないわけですから、したがって、四月、五月について、本来、面会二回していないにもかかわらず請求をしたとみなされた者は、そのまま受給を受けるようなことをしたら、それは違法だということですか。悪質だというふうに認定されるんですか。

伊岐政府参考人 話をもう一度最初から御説明させていただきたいと思いますが、この「外国人に係る事務の取扱いについて」というのは、市町村の方で子ども手当の申請を取り扱っていただくために、こういう考え方でやってくださいねというようなことをお願いする文章であります。

 したがって、先ほどから申し上げておりますように、従前の児童手当をもらっていらっしゃる方について、みなしで、もう申請した者とみなされる方々については改めて要件判断をしない。そして、現況届が出た時点において、もし要件に該当していないというようなことが発生した場合には、しかるべき手続をとるというのが原則でございます。

 その上で、私が先ほど申し上げましたのは、何か要件該当性を、例えば欺罔等で、申請において当局をだますといったようなことがあった場合に、それはしかるべき手続をとるべきだということを申し上げたのでございます。

加藤(勝)委員 ということは、要するに、本人が特別にそう隠しているわけでもないです。六月のときにもちゃんと出しました。しかし、去年一年あるいは今後面会する予定はありませんということがわかりました。でも、その場合は悪質じゃないから、四月、五月分は出しておいていいですよ、そういうことですか。

伊岐政府参考人 今回出しました通知の解釈といたしまして、私どもの方でもさらにQアンドAを出しておりますが、今おっしゃられたような特に悪意がないというケースにおきまして、仮に支給要件を現況届において満たしていないという判断をした場合には、六月以降分の支給について取り消すというようなことを考えているところでございます。

加藤(勝)委員 そうすると、もうこればかりやってもしようがないからあれですが、第三条における「施行日において子ども手当の支給要件に該当する」というのは、文言は入っているけれども、該当するかどうかはチェックしない。したがって、この文言自体は意味がない、こういうことですね。

 次へ行かせていただきます。

 一つだけお願いをしておきたいと思うんですけれども、前も申し上げました申請時期の取り扱いで、要するに、三月までに生まれた子供さんであれば、九月までに申請すればさかのぼってもらえる。ところが、四月以降に生まれた子供さんについては、その月、特に月末ぎりぎりの場合には多少の運用の弾力化が図られているようであります。しかし、原則として翌月以降、こういうことになりますね。

 子供さんを出産のときに、やはりいろいろなことがあります、正直言って。子供さんの生死、あるいは母体の安否、あるいは違うところで出産した場合にはなかなかそこまで手が回らない、気が回らない。そういったことを考えますと、住所変更とか災害等の場合には弾力的な運用になっていますけれども、これはかなり幅広く運用していただいて、少なくとも、申請があったかないかというよりも、そのときに生まれていれば原則的には対応できる、そして、それが申請できていないとすれば、そこにはやはり何かそれが申請できない理由があったんだろう、こういうふうに推測して対応していただく方が趣旨にかなうのではないかと思いますので、その点はお願いをしておきたいと思います。

 続きまして、先ほどインフルエンザの話が若干ありましたから、これは一点だけお聞きします。

 ノバルティス社から既にどのくらい購入しているのか。先ほど大臣が有効期限ごとにおっしゃった数を足しますと千六百六十六万回分という計算になりますが、既にノバルティス社から、二千五百万回分の購入予定のうち、どれだけ今購入されているんですか。

長妻国務大臣 先ほど申し上げましたものを足し上げると、一千六百六十一万九千百四十九回分であります。

加藤(勝)委員 いやいや、足し合わせるんじゃなくて、それだけ購入していると考えていいんですね。購入した分はそれだけですね。

 これはぜひお願いをしたいんですけれども、先ほど同僚の大村議員からもありました、購入時期ごとに購入量とその段階での有効期限がどうだったのかというところを一度資料として出していただきたいと思います。

 これはお願いです。答弁は要りませんが、出していただけますか、大臣。

長妻国務大臣 きょう午前中、大村委員から御指摘がございまして、早速ノバルティスに確認をいたしましたところ、国会でも指摘をされたということでお願いいたしましたところ、単価をこの期に及んでは公表させてほしいということで了解をとりましたので、ワクチンの二百三十三万回分は、単価を掛けると約三十億円となりますので、これはそれぞれの回数の右に金額を書いたものを理事と委員長と委員各位にお配りしようと考えておりますが、それが直ちに全部損失ということではございませんで、解約の契約を進めているということも御理解をいただきたいと思います。

 まだ結果はわかりませんが、解約の交渉中であるということであります。

加藤(勝)委員 私が大村委員と引用したから、ちょっと誤解を受けたかもしれません。私が申し上げたかったのは、購入時期ごとに有効期限別の購入数を出していただきたい、こう申し上げたんですが、この資料は出していただけますね。

長妻国務大臣 それは、六月三十日有効期限分まで一千六百六十一万回分について、それぞれ数量と金額というのをお出しいたします。

加藤(勝)委員 購入時期も一緒に明示をしていただきたいと思います。

 それでは、国民健康保険法の改正案について入らせていただきたいと思います。

 まず、今回、リーマン・ショック以降、特に急激に給与所得者の給与が下がりました。また、それが今回の議論にもつながっているわけでありますけれども、それだけではなくて、ここ十年とかさかのぼってみると、サラリーマンの方の給与というのはほとんど上がらずに、むしろ下がってきているというのが実態ではないか。

 これはいろいろな調査があります。中には、非正規の方がふえたから、それによって下がっているということもあります。それから、非正規の方を除いたデータで見ても、これは明らかに下がってきている。そして、これからもなかなか上がっていかない。こういう、やはりある意味では構造的な問題を抱えているというふうに私は思います。

 そういう中で、今回政府は、いろいろ努力したとは言っておられますけれども、協会けんぽについては、この二十二年度に一・一%、そしてこれは見通しでありますけれども、二十四年にかけてさらに一%弱、要するに一〇%前後まで上がっていきますよと。この間、協会けんぽの保険料率というのは、一時期、総報酬制に変えましたから若干連続性のないところがありますけれども、八%前半で推移をしてきたわけでありますが、それがここに来て一・五%から二%上がらなきゃいけない、そして先行きもよく見通せない、こういう状況。

 これは、短期的な問題ではなくて、やはり構造的な問題。これに、もちろん後期高齢者医療制度を含めて高齢者の医療をどうするかということもあると思いますが、後期高齢者医療について、まず二十二年度中という議論をされていますけれども、後期高齢者医療だけではなくて、もっと、これはやはり医療保険全般について財源も絡めて今年度中に姿を出していかないと、少なくとも、一〇%まで上がっていきますよというのでは余りにも無責任だと私は思いますけれども、大臣、どのように考えておられますか。

長妻国務大臣 今の医療保険でございますけれども、協会けんぽや国保や企業の健保、健保連等々ございますが、一般的に言えるのは、医療費は高齢化に伴って総量がふえるということで、保険料負担もふえていかざるを得ない、こういう状況に今なっているところであります。

 その中で、後期高齢者医療制度にかわる制度についても今鋭意検討しておりまして、ことしの夏には中間取りまとめを発表していこう、その中で総報酬割等の議論もしていくということになっているところであります。

 平成二十四年度については、協会けんぽに限って言うと、保険料については、ケースAとケースD、楽観的シナリオと悲観的なものでいうと九・九%と一〇・二%ということで、平成二十二年度は九・三%でございますので、いずれにしても上昇するということになっておりますので、ほかの保険者の保険料の上昇トレンドも見ながら、新しい高齢者の医療制度について検討していくということです。

加藤(勝)委員 いや、私がお聞きしたかったのは、高齢者の医療制度さえどうにかすれば、あとはもう問題ない、こういうふうに大臣は考えておられるんですか。

長妻国務大臣 もちろん、医療を受けるのは高齢者だけではございませんので、後期高齢者医療制度だけではなくて全体の医療制度についても、我々は一つの考え方は広域化ということも申し上げておりますので、全体の医療制度の中で議論する課題はまだまだある。それと、保険料負担、公費負担、あるいは自己負担、その割合をどういうふうに今後考えていくのか。当然、消費税の議論とともに、それは将来的な課題であるというのは認識をしております。

加藤(勝)委員 制度と申し上げたから、制度はいろいろな問題がありますが、財政収支という形で考えたときに、余り悠長なこと、要するに、高齢者医療制度の問題さえ片づけば、財政収支上の問題は余りないな、あるいはしばらく時間をかけてもいいねというのとは違うと私は思うんです。

 特に、ここに来ての給与所得のこういう現状等を考えたり、あるいはこれからさらに働く方が少なくなっていくということを考えれば、これはある意味では私ども、もっと前倒しで考えなきゃいけなかったことだとも思いますが、やはり後期高齢者医療制度の問題と並行してそれを示していかないと。特に中小企業の皆さんに対して、給料が下がっている中で、保険料は二、三年の間に今の八・二%が一〇%まで行きますよ、こういうメッセージを出しておく、これは私はいかがなものかというふうに思います。

 そういう意味でも、後期高齢者医療制度だけではなくて全般の医療制度の、特に財政収支面からの検討はやはり早急にやっていただきたいというふうに私は思います。

 そういう意味で、今回、国庫負担率について御質問させていただきたいと思います。

 国庫負担率、本則では上限二〇%になっておりますけれども、何で今回は一六・四%ということになっているんですか。

長妻国務大臣 これは本来は、本則では、国庫負担、協会けんぽ、かつては政管健保でしたけれども、それが一六・四から二〇%までの範囲内において政令で定める割合と書いてあったものを、平成四年以降、附則において、当時は景気の状況もあったんだと思いますけれども、当分の間、一三%ということで、国庫負担割合を下げたというような規定があったわけであります。

 そして、今回、かなり上昇するということにかんがみて、一六・四ということにさせていただいたわけでありますが、これは本則の中でも、一六・四から二〇という意味でいえば、その範囲内の一番低いところの国庫負担、それでも前よりは三・四%国庫負担を上げているということでございまして、これは国の財政の問題もありますので、こういうような形にさせていただいているというふうに承知しております。

加藤(勝)委員 要するに、国の財政が厳しいから中小企業の方の保険料は上げます、こういうことですね。

 今おっしゃるように、もともと、これは大臣は御承知だと思うんですけれども、何で一六・四なんて半端な数字が出てきているか。昭和五十六年の改正。そのときには、国庫負担率一〇%をベースに、保険料率が七・二%から〇・一%上がるのに並行して国庫負担率は〇・八%上がりますよと。当時の保険料率が八%でしたから〇・八上がっていますから、〇・八掛ける〇・八の〇・六四、したがって一六・四%。こういうふうになった経緯、それが今の一六・四%なんですね。

 それが、だんだん保険料率が一〇%に上がる、そうなってくれば、当然、二〇%、まずそれを実現する、それに全力を傾ける。しかも、今回、保険料率の上限を一〇%から一二%に引き上げるというのもこの中に含まれていますよね。それであるならば、当然、まず二〇%に上げるということに全力を傾注すべきだったのではないんですか。財政がないからその分を、中小企業の皆さん、給料は下がったけれども、そこから取りますよ、そういう判断になった、それが大臣の判断だということですね。

長妻国務大臣 先ほども申し上げましたように、平成四年、当時の政府の発想で国庫負担を引き下げて、そして、昨年もその前も苦しかったはずでありますけれども、それでも一六・四に戻さずにおられたわけでございます。今回は、一六・四、確かに、一六・四から二〇でありますから、その中では一番低い部類であるものの、本則に戻したということであります。そして、我々としても、大変厳しい中ではございますが、中小企業の皆様方にこの保険料について何とか御理解を得ようということで、広報に努めております。

 いずれにしても、医療費は、公費つまり税金か保険料か自己負担か、それで賄われるわけでありまして、全部を安くする、あるいはそのままとどめるという日本国の状況で今ないということも御理解いただきたいと思います。

加藤(勝)委員 一三%であったときには、保険料率というのはほとんど変わらず、八・二%で推移をしてきたわけであります。これから一〇%まで上がりますよという見通しを持ちながら、一番下限の一六・四。これはやはり違うんじゃないんですかね。

 やはり、先ほど申し上げているように、大臣おっしゃった保険料、公費負担、さらに言えば窓口の負担、これをどうバランスをとるかというのはあると思いますけれども、特に働く人から見れば、所得が下がっている中でさらに、先般の雇用保険のときも申し上げましたけれども、追い打ちをかけるようにそこからどんどんどんどん天引きをされていく。これはとても……(発言する者あり)今お話がありました、国民の生活を第一にと標榜する民主党政権として、それは違うんじゃないんですかという声を私は耳にするわけであります。

 これはやはり大臣として、それは財源の問題、財政の問題はありますよ。ありますけれども、しかし、まず、少なくとも二〇%である公費の負担を確保してくる、その努力をしっかりされるということがまず第一にあってしかるべきであって、それから先、今申し上げたような議論が出てくる、私はかように考えるわけでありまして、そういう意味では、十分努力をしていただけているとはとても思えないということを申し上げておきたいと思います。

 次に、後期高齢者支援金の算定方法が今回大きく変わって、特に健保連の皆さんからは相当な反発が出てきているわけでありますけれども、去年の十月以降の経緯をちょっとフォローしてみますと、平成二十二年度予算の要求、改要求というんでしょうかね、新政権になったから要求を見直されたわけであります。そのときは、たしか協会けんぽの補助率アップについては事項要求、こういう形になっていたと思います。その際には算定方式云々ということは一切なかったように記憶をしております。

 その後、十二月四日に、社会保障審議会医療保険部会に対して、算定方法自体を加入者割から総報酬割に全部変えよう、こういうのが提案をされたわけであります。その後、いろいろ議論があった中で、今回、高齢者支援金の三分の一について加入者割から総報酬割への変更、かようになったというふうに私は認識をしております。

 まず、大臣が新たな高齢者医療制度を検討している、ことしの夏ですか、秋でしたかね、それまでに結論をというお話があったと思いますが、それはやはり、高齢者医療制度の基本というのはどうやって高齢者の医療費を負担していくか、そこに基本があるわけでありますから、その基本中の基本であります算定方式だけを何であえてここで変更しようとされているのか、まずその理由を教えていただきたいと思います。

長妻国務大臣 今回の、今議論がありました協会けんぽの国庫補助率の引き上げと、そして今御指摘いただいた総報酬割の導入については、平成二十二年度、二十三年度、二十四年度までにおける、協会けんぽ財政再建のための特別措置の一環として今般の法律に盛り込んだということで、それがあくまで趣旨でお願いをしているところであります。

加藤(勝)委員 ちょっと質問の仕方を変えたいと思うんですけれども、大臣御自身、高齢者支援金、この算定については総報酬割の方がいいと考えているんですか、あるいは加入者割の方がいいと考えているんですか。どちらがあるべき姿だというふうに認識されているんですか。

長妻国務大臣 負担能力に応じた負担という意味では総報酬割ということだと思いますけれども、健保連に関しても、総報酬割で全部負担がふえたというわけではもちろんございませんで、その配下の組合の中には、これまでの加入者割よりも総報酬割にした方が負担が下がるということもあるわけでございますので、ある意味では、低所得の方々に配慮するという観点に立つと、総報酬割という考え方があるのではないかと思います。

加藤(勝)委員 というか、総報酬割の方が適当だ、こういうふうに考えているというふうに認識してよろしいですか。

長妻国務大臣 今回、今申し上げた協会けんぽの関連での話の筋として総報酬割を健保連にお願いした、それが適切ではないかという判断でお願いを申し上げたわけであります。

加藤(勝)委員 マクロ的に見たときに、結果的に被用者保険の負担割合は当然ふえていますよね。というのは、要するに国庫負担が減っているわけでありますから。その加入者割を総報酬割にしたということで、マクロ的な意味での被用者全体が負担すべき負担額がふえる、国庫負担が減る、これはどういうふうに関連づけて考えればいいんですか。

長妻国務大臣 これは、健保連にも一部の国庫負担というのが、この健保連配下の組合の一部については国庫負担が入っておりますけれども、この全体のマクロ的に見た伸びというのは、これはもう医療費の増大で健保組合のみならずほかの保険者もふえているということでありまして、そこだけが負担がふえているというわけではないと思います。

加藤(勝)委員 いやいや、そんな話をしているんじゃなくて、被用者保険全体のマクロベースで見たときには、結果的には国費、公費が減っているわけですから、当然、被用者保険全体の負担は上がっているわけでしょう。そうすると、どうして加入者割から総報酬割に変えただけでマクロ的に見た被用者全体の負担が上がらなきゃいけないんですか、こういう質問をしているんです。

長妻国務大臣 これは初めから、負担を中立というか負担を同じ、マクロ的な総額を同じということで中身の配分を変えるという議論ありきでしているわけではありませんで、先ほど申し上げましたように、今回の話の筋に関しては総報酬割ということで、加入者割である場合は低所得の方々に負担が重いというようなこともありますのでとらせていただいたということで、総量をどうするということでそれを維持するというような発想ありきで考えたわけではないわけです。

加藤(勝)委員 すなわち、財源を捻出するための手法で取り入れたということですね、今のお話は。要するに、公費負担をこの点に関しては軽減したいということでこういう措置をとられた、こういうこと。そういうふうにおっしゃっておられたわけですから、そういう形で、逆に、国費の負担を減らすために、トータルでいえば被用者全体の負担をふやした、こういう措置をとられた。その点は今確認をしていただけたというふうに思います。

 それでは、まだ幾つか質問させていただきたい点がありますので、聞かせていただきたいと思います。

 都道府県単位の保険料率、これについて、今年度は五%しか調整をしない、そして調整期限を平成三十年の三月まで延長する。当初、五年間でありましたから、さらに五年間ということになるんでしょうか。これは何でこういうことになったんですか。

外口政府参考人 協会けんぽの保険料率につきましては、医療サービスを多く受けている都道府県ではその分を適切に御負担いただくのが基本であるとの考え方がございまして、都道府県単位で保険料率を設定する制度を設けて、平成二十一年九月から導入しているところでございます。

 この際、激変緩和措置五年間を設けておりまして、その率を二十一年度は十分の一としたところでございます。

 さらに今般それを進めること、そうはいっても圧縮も必要である、こういった議論がございまして、これについては協会けんぽの運営委員会の中でも大分議論がありました。そういったことも参考にいたしまして、今回、乖離幅の調整を十分の一・五としたところでございます。

 あわせて、今回の法案におきましては、この措置につきましては平成二十九年度末まで延長する措置も盛り込んでいるところでございます。

加藤(勝)委員 だから、それは実態を言われたわけで、何で延長したんですか。本来、都道府県別にしていくというのは、今最初におっしゃったような機能を期待していたわけですよね。しかし、延長すればその期待がどんどんどんどん後ろ倒しになっていく、こういうふうに思うんですけれども、申し上げたように、何で先延ばししてしまったんですか、そこの理由を聞いているんです。

 済みません、これは政務三役にお答えいただけますか。

足立大臣政務官 これは委員はもう御存じのように、当初は五年の激変緩和であった。それは当然、医療費が高い都道府県と低い都道府県、低い都道府県の方はやはりそれはしっかり見てもらわなきゃ困るという意見はあったと思います。

 今のところ、十分の一でずっとやってきたわけですね。これを五年間で一遍に十分の十まで上げるというのは相当負担があるであろうということの中で、今回、十分の一・五ですけれども、これを十年間で十分の十に近づけるようにやっていきたい、そういう意味で、急激な変化が起きないようにというのが趣旨です。

加藤(勝)委員 そうすると、ここで五%にしたらこれは二十年になっちゃうと思いますけれども、基本的には、都道府県単位の保険料率をばらしていくということについては現政権でも是とする、こういうふうに考えてよろしいですか。うなずいていただいているので、そうさせていただきたいと思います。

 それでは、最後に一言お聞かせいただきたい。これは政令事項なんですけれども、低所得者の保険料軽減については応益割合を五割にしていこう、こういう考え方で、応益割合に応じて、その軽減を幾つかのブロックに分けていたわけでありますけれども、今回これは一本化にされています。これは、応益割合については五割を一応一つの基準とするという考えを撤回した、こういうふうに考えてよろしいんでしょうか。

 すなわち、財政状況のいい市町村においては、応益割合を下げて、低所得者の保険料の引き下げが行われる、こういうことになりますと、財政状況の多寡によって地域間格差がさらに拡大する、こういうことが想定されるわけでありますけれども、今回、あえて一本化にしたその考え方、背景を御説明いただきたいと思います。

長妻国務大臣 応能と応益が五対五、半々が標準であるということは、これは変わりません。ただ、これの考え方で今後も運用していくときに、やはり市町村から実情に応じた保険料設定ができるようにしたいという御要望も幾つかいただいておりまして、昨今、貧困問題等もございまして、低所得者等について応益保険料を七割軽減できるように改めさせていただいた。これはもちろん、市町村の判断、実情に応じてということであります。

加藤(勝)委員 ちょっと子ども手当について非常に時間をとって、また、非常に執行状況として、あるいは市町村にとっては判然としないということが明らかになったと思いますけれども、残余また国民健康保険法については質問させていただきますことを申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

藤村委員長 次に、坂口力君。

坂口(力)委員 医療保険制度の安定的運営を図るための国民健康保険法等の一部を改正する法律案につきましての議論をさせていただきたいというふうに思います。

 きょうはできるだけ本質的な議論をさせていただきたいというふうに思っておりますが、まず最初に一つだけは、具体的な話を少しお聞きしたいというふうに思います。

 先ほどからもいろいろお話がございましたが、今回の法律改正につきまして、健保連からはいろいろのビラが舞い込んでまいりまして、そして、この「高齢者医療のための国庫補助の削減をサラリーマンが肩代わり!?」、クエスチョンマークはついておりますけれども、そういうペーパーが来ております。

 その中には、「二十二年度の予算で、突然、協会けんぽの後期高齢者支援金に対する国庫補助を削減し、その負担を私たちサラリーマンに「肩代わり」させる法案を決定しました。」と書いてございますが、皆さん方は、これは結果的にはそういうことだというふうにお認めになるのか、それとも、いや、その書き方は違うというふうに思っておみえになるのか、一言お聞きをしたいと思います。

長妻国務大臣 私もその健康保険組合連合会のビラを拝見しておりますけれども、私どもはこういうつもりではございませんで、先ほど来申し上げておりますように、協会けんぽの現状にかんがみて、ある意味では応能負担、総報酬割という考え方を導入させていただきたいということについて、長浜副大臣も何度も健保連に足を運び、私も健保連にお邪魔をしてその御要請を申し上げ、そして今回、法律を提出し、審議をさせていただいているということでございます。

 先ほども申し上げましたけれども、健保連傘下の組合がすべて負担増というわけではございませんで、所得水準が低い組合については、加入者割から総報酬割にすることで負担が軽くなるところもあるわけでございます。ただ、全体のトータルでは、健保組合は御負担がふえるということもあり、我々も何度も説明、お願いにお邪魔をさせていただいたところでございます。

坂口(力)委員 私たちもこの法案につきましては修正案を出させていただきたいというふうに思っておりますが、きょうはこの法案だけに限ったことではなくて、もう少し幅広い議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 その前に、これは私の方がかねてから主張していることでございまして、参議院の方の予算委員会か何かでも大臣にお聞きをしている問題でございますが、高額療養費の自己負担限度額についてでございます。

 御承知のとおり、この自己負担額は、所得の多い人、一般の人、少ない人と三つに分かれております。上位所得者は月収五十三万円以上、それから低所得者は住民税非課税の人、こういうことになっておりまして、その中間の方を一般というふうに呼んでいるわけでございます。この一般のところの幅が少し広過ぎるというんですか、低所得層の住民税非課税と一般のところの境界はどのぐらいかといいますと、年収百五十六万ぐらいなところが限界線でございます。百五十六万といいますと、月割りしますと十三万円ですかね。それ以上、それで、上位所得者は月収五十三万円と書いてありますから、これも単純に十二倍いたしますと六百三十六万円ということになります。

 だから、百五十六万円を超えたところあたりから六百三十六万円ぐらいな間のところを一般と言っているわけでありまして、そして、ここは自己負担限度額は八万百円プラス医療費掛ける一%、こういうことになっております。少なくとも八万円出さなきゃならない。何カ月か継続して医療を受けておみえになるような場合、慢性の皆さん方は四万四千四百円、まあ半額になっていきますから。それでもなおかつ四万円出さなきゃならない。

 それで、この問題、私が提案させていただきました背景には、実は、ある女性が私のところに訪問していただきまして、その女性は、大体三十歳ぐらいの方でしょうか、東大の農学部を出られたまことに優秀な方でございまして、公的なところにお勤めになっていたわけでありますが、リウマチに罹患されまして、そしてやめざるを得ないのでそこをおやめになって、しかし優秀な方ですから、ある程度回復をしてきたので、御自宅で仕事をしながら、あるいはまた時々新しい企業に出向いていってお仕事をなすっている。

 余り具体的なことをお聞きするのも失礼ですから聞きませんでしたけれども、二十万そこそこぐらいの月収だろうというふうに思ってお聞きをしたわけでありますが、そういう方でありますと、住宅費を払い、食費を払って、そして四万円なり五万円なりのお金にしろ毎月々払うということが非常に厳しいということで、一般のところの低い層のところの人を何とかなりませんでしょうか、こういう話があって、私はそれで具体的に調べることになって、それから舛添大臣のときにもお願いをした、こういう経緯がございます。

 それで、五百万、六百万ある方は、これは私は、厳しいけれどもお願いをしなきゃならないというふうに思っておりますが、年収三百万以下ぐらいなところ、もう少し上の三百五十万以下ぐらいなところ、この辺のところの人にはもう一段緩やかな自己負担限度額をつくることができないだろうかと提案をさせていただきます。

 試算をいろいろしてもいただいてきたわけでありますが、三百万か三百五十万以下ぐらいでございますと、しかし年間の国の予算としてはやはり一千億ぐらいふえるということだそうでありまして、一千億なら何とかならないかということを言ってきたわけであります。

 しかし役所の方は、ここを一カ所動かしますと、そうするとほかにも影響してくる。ほかの低所得のところにも少し影響して、連動して下げなければならないとか、あるいは七十歳以上の高齢者のところも少しさわらなきゃならないとか、あちらこちら動かすような計算になってまいりまして、そういたしますと数千億のお金になってくる。これではなかなか、ここまでふえますと財務省がうんと言ってくれるわけはありませんので、非常に難しい。

 ですから、そんなに事は広げずに、一般のところをもう一段だけ、少しここに段階をつくることができ得ないか。できるだけほかに影響を与えないようにして、そして月の所得が十五万とか二十万とかの皆さん方の医療費というものを何とか守っていくことができないか、こういうお願いをずっとしてきたわけであります。

 これにつきましては、いろいろの関係のところとも御相談をいただかなきゃならないこともよくわかっておりますが、ひとつ御努力をいただきたいということのお願いでございまして、一言大臣の御所見をお聞きして、次の問題に移りたいと思います。

長妻国務大臣 今のお尋ねは、ことしに入ってからも参議院の予算委員会や衆議院の本会議、衆議院の予算委員会でも御党から御指摘をいただいているところでございまして、所得区分の一般を二つに分けたらどうかということでございます。

 これについては、今月から始まります平成二十二年度において、患者、保険者、医療関係者が入った社会保障審議会で議論をして、年内をめどに、どういう考え方ができるのかというのを取りまとめていこうというスケジュール観で今動いております。

 今おっしゃられたように、患者さん御自身の御負担というのもございますけれども、そのほかに、医療保険財政への影響なども考えながら議論をして、年内をめどに取りまとめというのをしていきたいと考えております。

坂口(力)委員 これはひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 さて、医療制度全般にかかわります問題でございますが、少子高齢社会が訪れまして、特に高齢化率が非常に進んでまいりました。これによって医療費は大変大きくなってきたということでございます。

 今まで、自公政権最終の段階におきましては二千億の抑制を続けてきた、こういうこともございました。これは、毎年二千億減らしてきたというわけではありませんで、自然に任せておきますと一兆円ぐらい伸びますので、その伸び率を二千億円抑制してきた、こういうことでありますから、毎年毎年医療費を減らしてきたわけではなかった。伸びるのは伸びましたけれども、伸び方を少しずつ抑制してきた、こういうことでございました。

 しかし、ことし、大臣のお考えだと思いますけれども、医療費を二千億削減するということはお取りやめになった。これは一方におきまして、医療機関にとりましては大変喜ばしいことだというふうに思っておりまして、私の同僚あたりも大変これはよかったと喜んでいるわけでございますが、一方、喜んでいるんですけれども、医療費がだんだんと高くなっていきますと、これは患者の側から見ますと、患者の負担額というのもまたふえてくるわけでありまして、そちらはそちらで、これはどこまでふえるの、こういう話になってくるわけであります。この辺のところをいよいよ本格的に一遍考えていかなきゃならない時期を迎えたのではないかというふうに思います。

 先ほど健保連のお話を申し上げましたが、組合健保、協会けんぽ、そして国保と、大きく分けまして三つに分かれているというふうに思ってもいいと思うんですが、収入からいいますと、やはり組合健保に入っている皆さんの収入が一番高いだろう。組合健保ないし共済ですね、国あるいはまた地方共済、職員の皆さんの共済ですね。こうしたところにお入りになっている皆さん方の収入は一番多くて、その次に協会けんぽにお入りになっている皆さんの収入で、そして一番少ない収入が、国保にお入りになっている皆さんの収入になる。こういう順番だろうと思うんです。

 ところが、保険料からいきますとどこが一番高いかといいますと、国保のところが一番高くて、協会けんぽで、そして組合健保のところが一番低い、パーセントでは低いということになっております。

 現在、一番最近のもので見ますと、組合健保が七%前後ぐらいでしょうかね。それから、協会けんぽが、今まで八・二だったんですが、今度上がりまして、九・三になりますね。国保の方の平均的な計算というのはなかなか難しいわけですけれども、市町村長会なんかが出しておみえになるものは、ちょっと前の数字でございますけれども、一〇・二という平均値をお出しになっている。そう多くは変わっていないというふうに思うんですが、大体そういう数字になっているのではないかというふうに思います。

 この医療保険制度をこれからどうしていくかということになってくるというふうに思います。皆さんは、年金の方の一元化というのは大変熱心におっしゃっている。私は、年金の一元化は難しいと思っている一人でございますが、しかし、国民健康保険の保険料を初めとする、まあ国民健康保険そのものと言ってもいいと思うんですけれども、ここの一元化こそやらなきゃいけないときを迎えているのではないかというふうに思っている一人でございます。

 しかし、物には順序がありますから、一遍にそれができるわけありません。ですから、まず、全体についての総論として、これからどのようにお考えになっているかということもお聞きをしたいと思いますし、それから、手始めに、先ほど申しましたように、保険料率ですね、所得に応じた保険料率をどう決めていくか、やはりこれをまず一元化していかないといけないのではないかという気がいたします。

 そういうお話をいたしますと、健保連の皆さん方やさまざまな皆さん方からも反応があると思いますし、国保の皆さん方からもいろいろの御意見があると思いますし、あるいはまた医療従事者からもいろいろの御意見があろうかというふうに思いますが、私は、まず最初にその辺のところから手がけていかなきゃならないのではないかというふうに思っておりますが、大臣のお考えを少し聞かせていただきたいと思います。

長妻国務大臣 今、年金の一元化とこれの一元化のお話がございましたけれども、私は、年金については一元化をするべきだという考え方なのは、保険者機能というのは年金はないんですね。保険者があって、予防医療などで努力をして、そして、例えば年金の受給額はその人たちだけ減らす、当然、年金はそういうものではございませんので、それは一元化になじむと私は思っております。

 そして、医療保険については、極端な例を言いますと、例えば、今言っていただいたそれぞれの保険者を全部一つにして、日本じゅうを一つの保険にする。そうすると、当然、保険料率も同じということになりましょうが、そのときに課題として残りますのは、保険者機能をどうきかすか。つまり、自分たちの保険に所属する組合員の方々に予防医療やあるいは医療の教育などをして、皆さんが健康でいていただくことによって、結果的に総医療費が下がる、そして結果的に保険料も上昇が抑えられる、こういうような一つのインセンティブという仕組みの中で、それを統合していくと目配りができなくなり、保険者機能が弱まっていくという議論も一方ではあると思います。

 そして、お尋ねは、まずは保険料率をそろえるべきではないのかというお尋ねでもあると思います。それについて直ちに私は否定するものではございませんけれども、今の時点ですぐにというふうになりますと、先ほど申し上げた保険者機能という意味でいえば、頑張っても頑張らなくても保険料率は同じだから、そのインセンティブというのはどう考えるのか、こういう論点も出てくると思いますので、それについては慎重な議論が必要だと思います。

坂口(力)委員 直ちに否定するものではないというのは、大分後向きですね。

 年金の話はこの次にやりますから、そのときまで先送りしたいというふうに思いますが、年金こそなかなか難しいと私は思っているんです。

 しかし、医療の保険料のお話は、それは、組合健保なら組合健保をそのままに置いておく、協会けんぽをまず置いておく、あるいは国保は国保として置いておくということは、まず最初はあってもいいと思うんです。しかし、この出します保険料率につきましては、もう少しこれは、先ほど応能負担という言葉がありましたけれども、やはり応能負担でやっていくべきだというふうに思っておりまして、ここはそういうふうにやっていかないと、これから医療費はなかなかもたない。

 今のように負担をばらばらにしておいて、そして、高齢者医療が足らないからその皆さん方の保険料をひとつ、組合健保なら組合健保から出してくださいよ、あるいは協会けんぽから出してくださいよという話になりますと、取った取られたの話になってくる。初めから応能負担にして保険料を払ってもらっておればそういう議論にはなってこないというふうに私は思っておりまして、そうした意味でも、一元化をまず進めていくべきだというふうに私は考えております。

 確かに、今大臣がおっしゃいましたように、それぞれの組合がいわゆる保険者としての機能を果たしていくということもこれは大事なことでありますし、いずれにしても、それはやっていただかなければならない。

 したがって、協会けんぽなんかも全国一律にしてはどうかという話もありましたけれども、それでは競争原理も働きませんから、これは、都道府県単位にして各都道府県でひとつその辺のところは競争をしていただくようにしよう、こういうことにしたわけであります。

 組合健保の方は、大きいのは何十万人と全国に散らばっておみえになるところがあるわけでありますから、そういう皆さん方を都道府県単位にするというのもこれはなかなか難しい話でありまして、ここはもう少し議論が必要だねというので今日に至っている、こういうことだというふうに思います。

 そうした分け方は分け方として、そしてまた、それぞれの保険の立場からの活動は活動として、しかし、若い人たちが寄っている組合だから所得に対して保険料率が低くてもいいよというのは、それは違うのではないか。やはり率は同じにした上で、それぞれの保険者としての活動をどうしていただくかということが大事ではないかというふうに私は思っているところであります。

 どうもここは大臣と少し考え方が違うようでありますから、きょうはこれぐらいにしておきますかね。ここは余り詰めないようにしておきますけれども、これはこれからしっかり詰めていきたいと思っています。将来の医療財源を考えていきますときに、ここはもう手をつけざるを得ない、手をつけずにいつまでもほうっておくことはでき得ないと私は思っております。

 それからもう一つは、国民健康保険ですね。国民健康保険を都道府県単位で一元化できないかというのはかねてからの主張でございますが、これもなかなか進まない。

 後期高齢者医療制度のことが議論をされ始めましたころ、私も参加をさせていただいておりましたが、そのときに、何とか都道府県単位でぜひやってほしいと。これは医療関係者も、前々から、都道府県単位に少なくともならないかという御意見がございましたし、それから市町村長さんも、ぜひここは一元化してほしいというような御意見であったわけでありますが、やはり全国の知事会がなかなかうんと言ってくれなかったので、ここがうまくいかなかった。ここがうまくいかなかったものですから、後期高齢者医療制度全体もなかなかうまいようにいかなかった。こういったことが起こってきたというふうに理解をいたしております。

 国民健康保険の問題についての一元化、これについての御意見をお伺いしたいと思うわけです。

 皆さんも後期高齢者医療制度を直すんだというふうに今おっしゃっている。どういうふうに直されるのかよくわかりませんけれども、そういうふうにおっしゃっていますが、そのときに一番中心の課題になってきますのは、やはり国保をどうするかという問題が大きな課題の一つになることだけは間違いないというふうに思います。これについての御意見をお伺いしたいと思います。

長妻国務大臣 まず、新しい高齢者医療制度を考えるときに、まずは国保の支援を強化するというのは、これは一つの論点になると思います。

 そしてもう一つは、今おっしゃられたように、保険者というのは非常に大きな財政的責任を負うわけでございまして、やはり保険者を広域化していく、市町村から広域化していくと、普通考えるとこれは都道府県ということになるわけでございますけれども、今言われたような事情で、後期高齢者医療制度は広域連合という半ばあいまいな主体になってしまって、広域化はしたものの、かえって責任の所在があいまいになったという課題もあると私は思います。

 そこで、私自身は都道府県単位で広域化する方向で検討をしていきたいというふうに考えております。今回お願いしている今の法案に関しましても、都道府県の関与を強めるということで、これは広域化等支援方針を策定できる、都道府県が地域の実情に応じて市町村国保の広域化を支援する方策をつくるということも法案に盛り込んでおりますし、高額な医療費については、一人一カ月三十万円を超える部分に再保険のような形をとっているわけでありますが、これは三十万という、金額も都道府県がある程度決められるようにしていこうということも盛り込んでおりまして、広域化の流れというのは方向性としては正しいのではないかと私は思います。

    〔委員長退席、中根委員長代理着席〕

坂口(力)委員 こちらの方は少しベクトルの方向は一致しているように思います。

 それで、これをうんと言っていただくためにどうするか。都道府県、やはり知事会にうんと言ってもらわなきゃできないことであります。

 知事会がなかなかうんと言ってくれない背景には、やはり財源の問題が絡んでいるんだと思うんですね。もしも都道府県がこれを受けたらまた都道府県が大変な苦しみをしなきゃならない、そのことが目に見えているからうんと言えない、こういうことなんだろうと私は理解をしております。

 表面的にはいろいろなことをおっしゃるんですよ。都道府県は、これは今の知事会の会長さんではなくてこの前の知事会の会長さんですけれども、その方と何回かお話をしたんです。子供の問題は都道府県がお引き受けいたします、しかし高齢者の問題は国がやってください、こうおっしゃるので、いや、その分け方も、しかしこれはいかがなものですかね、それでは十八歳を過ぎたら今度はどうするんですか、例えば障害者の問題、十八歳までは地方で見ていただいて、十八歳を過ぎたらそれは国が見るということになるんですか、それではぐあいが悪いですねというようなことを申し上げた経緯がございますけれども、なかなかうんというふうに言っていただけなかった。

 ですから、これはどういう計算になるかよくわかりませんが、もし都道府県に、国保は都道府県単位で一元化をして、引き受けてくださいということをお願いするためには、やはりそれ相応の財源を用意しなきゃならないということに最終的にはなってくるというふうに私は思います。

 それはここで、わかりました、財源を用意しますと大臣も言うことはできないと思いますけれども、しかし、そういう問題があるということも踏まえてひとつやっていただきますか。もう一言聞きたいですね。

長妻国務大臣 今おっしゃられたように、それが最大のネックになっているのではないかというふうにも思います。

 そこで、一足飛びにそこに行くということではなくて、やはり、今回の法案にもあるように、そして後期高齢者医療制度にかわる制度の議論でも一部出ておりますように、市町村国保と都道府県と、ある意味では共同的な運営、一体的な運営でまず広域化の趣旨の流れを踏み出していくということで、あとは、鳩山内閣全体としても、地方と国の役割分担、地方分権というのを議論しておりますので、その中での議論も見ながら、我々としても検討していく課題であると思います。

坂口(力)委員 話がここまで来ましたら、後期高齢者医療制度に触れないわけにいきませんから、そのことにつきまして一言聞いておきたいというふうに思います。

 皆さんが後期高齢者医療制度の改革を行うというふうにおっしゃっていますが、現在の後期高齢者医療制度の何が一番気に入らない、気に入らないというのは言葉は悪いですけれども、何が一番いけないというふうに思っておみえになるんですか。そこのところを私は余りお聞きしたことがありません。変えるんだ、変えるんだと言って、変えることはよきことなりというふうにも聞こえなくもありません。何が一番問題だというふうに思っておみえになるのか、そこはお聞きをしたい。

 ただし、先ほど申しました国民健康保険の問題は、そういう事情もあって、今非常に中間的な位置づけになっておることは私たちもよしとはしていないわけでありまして、ここは何とかもう一歩進めていかなきゃならないというふうには思っておりますけれども、そのほかのことにつきまして、どんなことをお思いになっているのかということをお聞きしたいというふうに思います。

長妻国務大臣 まず一つは、ネーミングの問題、あるいは七十五歳で切り分けの問題もありましたが、やはり、七十五以上のお医者さんにかかりやすい人を一つの保険にしたんですね。これを完全に分離して一つの保険にして、そして、ある意味では、お年を召して働いている方も強制的にそこにはめていったということが一つあったのではないか。そして、現実も、平成二十二年度におきましては、全く対応をとらなければ後期高齢者医療制度の方の保険料はかなりの上昇になるわけでありまして、我々は安定化基金とかいろいろな対応をとらせていただきましたけれども、やはりそういう状況になるわけでございます。

 そしてもう一点は、広域連合の観点でございまして、本当にそこが保険者機能を発揮するのかどうか。

 大きく言えば、この二つの論点があるのではないかというふうに考えております。

坂口(力)委員 名前はともかくとして、名前ぐらいなら変えても別にいいと私は思うんですけれども、七十五歳で切れている切れているというふうに皆さんはおっしゃるわけですね。しかし、若い皆さん方の組合健保なり協会けんぽから四割は御支援いただいているわけです。また、国庫負担として五割出しているわけです。この国庫負担も、これはどちらかといったら若い人が出してくれたものですよ。

 だから、四割と五割と、大体九割は、ほとんどが若い人たちが支援する体制ができているわけです。別に切れているわけではないんですね。これは続いている、継続している、若い人がそれだけ支援をしているんだから。これが、しないというんだったら、若い人からの支援はなくて、七十五歳以上の人たちだけで、どうぞ自分たちで出して自分たちでやってくださいという保険なら、それは皆さん方のおっしゃるのはそのとおりだというふうに思うんですが、そうではなくて、若い皆さん方のところからの支援をするという上に成り立っている、ただし、その支援をするのにどこかに線を引いて、そしてここから上の人をしますよということは、これは言わざるを得ない。

 あるいはまた、今度は給付の方におきましても、これはみんなを今の後期高齢者と同じようにはできない。だから、七十五歳以上の人にはこういうふうにしますよということを言わざるを得ない。それは、一つの区切りはつけなきゃならない。保険は一つになっているかもしれないけれども、中身は連続している。これは若い人の支援の上にでき上がっている。そこが、七十五歳で切れている切れているというふうにおっしゃる意味が私はよくわからない。それが一つ。

 それからもう一つ、医療費の問題は、これは後期高齢者というふうに切ってあっても切っていなくても、高齢者がふえてくればこれは要る話ですよ。だから、別にこの保険がなくて、前の老人保健ですか、ああいう状況で置いてあったとしても、七十五歳以上の人の医療費はどんどんどんどんふえてくるわけでありますから、もう七十五歳以上の人の医療費と七十五歳未満の人の医療費と、大体とんとんになってきているでしょう。これは、もうしばらくの間はまだもう少しふえるということがあり得るわけで、医療費がふえるというのは、この制度のためではなくて、高齢化という現象のために起こっているものだというふうに思います。

 それから、もう一つの広域性の話でありますが、ここは先ほどの国保のお話と共通する話でありまして、ここは私たちも、都道府県単位なら都道府県単位で一つにまとまった方がいい、何とかそれはできないかという気持ちがあったことも事実でありますが、そこはいささか中途半端になっているということは認めなきゃならないというふうに思っています。

 今大臣が御指摘になったような点でありましたら、そんなに急いでこれを変えなきゃならないようなわけではないという気がしますけれども、いかがですか。

 いや、その中身の、今ありますのを、より具体的なことで、ここはもう少しこういうふうにしたい、あるいは高齢者の保険料をもう少し下げるなら下げたい、あるいは、国からの出す分を五〇%にしていますけれども、公的な負担を五〇%にしていますけれども、これを五五%にしたいとか、そういうことがいろいろあれば、それは私はそういうことはあり得るというふうに思うんです。

 しかし、今できているこの制度を根っこからひっくり返して新しいものをつくるとおっしゃるその意味が、今大臣がおっしゃった理由からは余り読み取れないというのが私の率直な感想でございます。感想ですから、何かありましたら言っていただいても結構ですし、なければ、もう次の話に行きますが。

    〔中根委員長代理退席、委員長着席〕

長妻国務大臣 先ほど申し上げましたように、七十五歳以上を一つの保険にくくったということは、その先をお考えいただければと思うんですが、そうしますと、七十五歳以上のお医者さんにかかりやすい方々が一つの保険になると、保険料の上昇スピードでございますけれども、それは別の保険にしたわけでございまして、おっしゃられたように医療費は上昇トレンドでありますので、現役の方もお年を召した方も保険料は上がるという傾向は、これはもちろん私も否定をいたしませんけれども、別枠の保険にしたことで、七十五歳以上の方々の保険料の上昇スピードが、現役の方、七十五歳以上以外の方とスピードが異なってしまう。

 こういうことについて、七十五以上の方々は、何か差をつけられた、差別をされたというふうにお感じになっておられる方もいらっしゃるのではないか。できる限り保険料の上昇スピードについても分かち合っていくという考え方、保険を七十五以上で区切らない、こういう考え方が必要ではないかということであります。

坂口(力)委員 どちらのスピードが先へ進むかということは、これはなかなか具体的に見ないとわからない話だというふうに思います。もちろん、後期高齢者の皆さん方の人数というのはふえていくわけでありますから、その中で皆さん方がお互いに助け合っていただく割合がどうなるかということを考えていかなければなりません。

 若い世代の皆さん方は、これは人数が減ってくるわけでありますから、少なくなっていく人数の中で高齢者の四割を支えていくということになりますと、支える側の、やはり四割を出していただくこの組合健保なり協会けんぽの皆さん方の方の伸び率の方が私は高いというふうに理解をいたしております。だから、その辺のところはよく吟味をしていかないといけないというふうに私は思っております。

 きょうは総務省からも来ていただいて、また総務省も忘れてしまうところでありまして、済みません。せっかく来ていただいたのに申しわけありません。

 国民健康保険を都道府県単位にするということについて、総務省としてはどういうふうにお考えになっているかということを少しお聞きしたい、こう思っておりまして、うっかりして済みません、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。

小川大臣政務官 わざわざ御配慮をいただきまして、ありがとうございました。

 基本的な考え方としては長妻大臣が申し上げたとおりでございまして、御党の公約にも、たしか、一元的運用、一元化という記述がございますし、私どもも基本的にはそういう考えでおります。

 ただ、若干補足をいたしますと、おっしゃるとおり、知事会は全国レベルでという主張をしておりますし、それから、保険料水準です。少ない村と大きな村では最大五倍の格差がございます。これを例えば都道府県で一元化というときに、どういう手順でこの格差を是正していくかといったような、実務的にも大変難しい問題がございます。

 これらを念頭に置きながら、御指摘の点をよくよく検討してまいりたいというふうに思っております。

 ありがとうございました。

坂口(力)委員 今まで五倍ありましたのが、今、中間的な制度ではありますけれども、都道府県単位に大体一元化が進んできております。これを今、一元化で見ますと、五倍の開きが大体二倍ぐらいの開きになってきているということは事実でありますので、そこはひとつ御理解をいただいて、知事さん方がどういうお気持ちでおみえになるか、何をどう直せば理解をしていただけるのか、その辺のところを総務省の方もひとつお詰めをいただければというふうに思います。

 最近は、知事さんの中にも、京都の知事さんでありますとかあるいは福岡の知事さんでありますとか、そうした皆さん方の方から、やはり県の方で受けてもいいのではないかというような御趣旨の御発言もあるやに聞いておりますから、前とは少し変わってきたのかなという気はいたしておりますけれども、ぜひひとつ御検討いただいて、御協力いただければ幸いでございます。

 ありがとうございました。

 さて、残りました時間でございますが、後期高齢者の問題を少し議論させていただきましたが、最後に、健康保険と介護保険。これも、それはもちろん違いがあり、歴史的な背景もあって、そして別々にできてきたことは事実でございますが、最近、介護を受ける皆さん方の中には、医療を伴う介護の皆さんと申しますか、医療も必要だし介護も必要だ、あるいは介護の中に医療的なことをかなり含めないとやっていけない、そういう方々がふえてきていることも事実でございます。

 それで、皆さん方の方からすれば、これは健康保険、これは介護保険といって別々にしなきゃならない意味がありますかね、こういう意見も出てきている。医療従事者の中にも、面倒なことで、これは二つに分けなきゃならないものだから大変な事務量になってしまう、坂口さん、これも一つにならぬかねというようなお話があったりもする。

 そうした意味で、私は、今までの経緯もよく踏まえた上ではありますけれども、これから、今までのように別々だというだけで果たしていいかと。これは行く行く医療保険が一元化できてからの話でありますけれども、そのときには介護保険との関係も見直して、本当に一元化をしていってもいいのではないかというような気持ちに最近なりつつあるということでございまして、きょうはそうした意味で皆さんに御意見をお伺いしたい、こういうことでございます。

長妻国務大臣 まず、今のお尋ねの中で、医療そして介護が一体化しつつあるということはそのとおりだと思います。連携が非常に重要だということで、これについては、ちょうど二年後に介護報酬と診療報酬の同時改定という時期を迎えますので、そこで十分連携ができるような相互の報酬をつくっていきたいというのが一点。

 あとは、広域化、一体的に医療保険と介護保険の広域化というような趣旨だと思いますけれども、若干、医療と介護、地域性も異なると思いますのは、介護については、ある意味で、介護の世界でございますので、市町村の範囲の中で施設もあるいは居宅サービスも完結しているという、当然その境目というのはもちろんありましょうけれども、基本的にはそういう形ではないか。医療については、一次医療圏、二次医療圏、三次医療圏、いろいろな枠組みがあるのと同時に、やはり市町村ではおさまり切れない医療というのも十分にあるわけでございます。

 保険者というのは、先ほども申し上げておりますが、保険者機能という意味からすると、できる限り目配りができる範囲内で、支障がなければそこにとどめておく方が、あとは格差の問題については是正する必要はありますけれども、そこに住む方々や保険に入っておられる地域の方にも保険者が目配りをしていくということが望ましいという考え方に立てば、介護保険については、市町村である程度完結しているものを広域化する必要性というのは、医療に比べてそれほど高くないのではないか。むしろ目配りが届く範囲内におさめるということもサービスの向上に資するのではないかというような考え方を今持っております。

坂口(力)委員 サービスの方は、おっしゃるとおり、地域地域で違ったサービスも必要でしょうし、また、よくわかった人たちがそれを見ていくということも大事だというふうに思います。

 ただし、市町村ごとに今やっているものですから、市町村によりましては、介護を受けなきゃならない高齢化率の非常に進んだ市町村、そうしたところは、本当はもっと施設もつくりたい、そういうこともあるわけですね。ところが、施設をつくれば保険料が高くなる、そうすると、皆さん方の御支援をしていただくのも、それはまたかなり無理になってくるというようなことで、それぞれの市町村がたくさんの人を抱えながらあるということを知りながら、施設をつくらないというふうに頑固におっしゃるところも出てきている。これもやはり市町村の単位だけで考えていくと行き詰まってくるなと。

 国保が市町村では行き詰まってくる。一番小さいのは、九十何人という国保のところがあるというのを以前に聞きましたけれども、そんな小さいところでやっていけるわけがないわけですから、介護もいよいよ市町村単位でやっていけるかということもある。

 そういたしますと、サービスの方はそれぞれの地域でやっていただくというふうにしましても、保険料の問題はもう少し広域的にやっていかざるを得ない。そして、医療と介護の境界線もなかなか難しくなってきているといったこともありますから、そこにつきましては、これからもっと考えていく必要があるのではないかというふうに思います。

 政務官、先ほどから言いたくてもうむずむずするというような顔をしておみえになりますから、一言お聞きしたい。

足立大臣政務官 機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 かなり同感する部分がございまして、先ほどの大臣の答弁に加えて申し上げますと、午前中の議論でもありましたが、今、医療が必要な介護が相当ふえているとおっしゃいました。対OECDで出している統計は総医療費だと先ほど答弁がありましたが、これは介護の一部も予防医療もすべて入っているものでございます。ということは、それが日本の医療費だというようなとらえ方をすべきだと私は思っております。

 それから、四年前に一元化ということを申し上げましたが、今回、一元的運用とさせていただいたのは、一遍にはいかないだろうという意味合いでさせていただきました。ということをちょっと申し添えたいと思います。

 今、会議体をつくりながら、同時報酬改定に向けて、どうあるべきか、その仕分け、その役割、その区分についても議論をする、そういうふうな方向性で臨んでおります。

坂口(力)委員 ありがとうございました。

 それでは以上にしておきますが、仕分けの話は、この前申しましたように、働く場所がなくならないようにひとつ配慮をいただいて仕分けをしていただきたい。たくさん仕分けをしていただいたけれども、だんだんだんだん働く場所がなくなっていくというような仕分けでは、やってもらわぬ方がよほどいい、こういうことでありますから、それだけ申し添えまして、きょうの私の質問を終わらせていただきます。この次は年金ですから、今度はしっかりやりますから。

 ありがとうございました。

藤村委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 今回の法案は、国保、被用者保険あるいは後期高齢者医療制度など、医療保険にかかわる重要な中身が一括して審議に付されております。〇六年の医療制度改革のときも、たくさんの要素が一つに盛り込まれておりました。強行採決という大変残念な決まり方ではありましたけれども、あのとき野党が、民主党さんももちろん含めての野党が、さまざまな政策の違いを乗り越えて共同して頑張ってきたこと、指摘したことがかなり今の現実の政治で問われているのではないかと思います。また、与党の中にも、療養病床の廃止など不安の声が絶えなかった、それがあの当時の議論ではなかったかと思います。

 この医療の問題が、昨年の総選挙で政権交代に至る背景の中心的な課題の一つであったことは間違いありません。先ほど来の質問によっても、旧与党からは、なぜ後期高齢者医療制度がだめなのかと聞かれ、私たちからは、なぜ後期高齢者医療制度を廃止しないのかと聞かれて、それぞれの大臣の答弁を聞いておりますと、片方には、やはりだめなのだということをしきりに言い、我々に対しては、しかし維持をしなければならないことをおっしゃいますので、ちょっと矛盾が生じてきているのではないか。後期高齢者医療制度の先送り、これに対して国民の中に失望感が大きく広がっているという実態であります。

 本法案の審議に当たっては、まず十分な審議時間の確保、そして政府も、改善できるところはすぐに着手をする、軌道修正も恐れず取り組む姿勢をぜひ示していただきたいと思います。

 さて、本題に入りますが、まずきょうは、国保の負担の問題について伺いたいと思います。

 国保法の第四十四条第一項は、保険者は、特別の理由がある被保険者で、保険医療機関等に一部負担金を支払うことが困難であると認められるものに対し、一部負担金の減免または徴収猶予の措置をとることができると書かれております。私は、かねてから、この四十四条がもっと活用されるべきではないかと主張してまいりました。

 この間、医療機関の未収金問題などが大きく取り上げられ、二十年の七月には、検討会報告書において、生活困窮者への減免制度の活用や無料低額診療所の活用などが提起をされたと承知しております。

 これを受けて、昨年七月一日には厚労省医政局指導課長通知「生活に困窮する国民健康保険の被保険者に対する対応について」、また七月十日には「モデル事業の実施について」が発出されて、資料一につけておりますように、窓口負担の減免制度についてモデル事業を開始しました。

 そこで、その目的と、現在どのくらいの市町村で取り組んでいるのか、伺いたいと思います。

足立大臣政務官 モデル事業につきましては、平成二十一年度に全国三十自治体で実施しております。

 先ほど委員がおっしゃいました二十年七月の取りまとめでは、未収金の原因の主要なものは生活困窮と悪質滞納だということになっております。そこで、減免制度の話になるわけですが、一部負担金の減免制度と保険者徴収制度が活用されることを目的として、今モデル事業をやられております。五月に取りまとめをして、八月に基準を示したい、そのように今考えております。

高橋(千)委員 今、三十自治体というお話でございました。本当は、全国都道府県すべてのところで一以上の自治体を対象としていたと思っております。なぜそこにとどまったのか、非常に残念に思うし、多分それは、自治体の持ち出しがやはり大きいのかなということも考えております。

 今、五月に取りまとめをして八月に基準とおっしゃいましたけれども、要するに、その基準というのは、減免をやる際の基準ということだと思いますが、もう少しそこら辺を具体的に、どのような方向に持っていこうとしているのか、お知らせいただきたいと思います。

足立大臣政務官 申しわけないですけれども、今モデル事業をやっている中で、原因、そして何をやるべきかということはその中で取りまとめをしようと思っておりますので、現段階ではこの方向性でというのはなかなか申し上げにくいということでございます。

 しかしながら、減免が行われているのが平成十九年度で約十億円ということです。ある資料によると、病院の未収金というのは七百億円を超えるというふうに言われておりますから、減免がいかに少ないというか、その率が少ない頻度かということはもう一目瞭然でございますので、この基準の中で、大変申しわけございません、今それを明確に申し上げることはできませんが、取りまとめの中でしっかり示していきたいと思います。

高橋(千)委員 今、十億円という数字が答弁の中にあったと思うんですが、質問しようと思っていたんですが、先にお話があったので、あと私の方で資料の紹介をしたいと思うんです。

 資料の二枚目に今の十億円が出てまいります。平成十九年度の減免実績、世帯数四万四千七百三十六世帯で十億何がしということでありますが、これは最初に質問したモデル事業のことではなくて、国保法四十四条に基づいて減免条例を持っている市町村数、またその減免の実績ということで求めた資料でございます。これだけを見ますと、全市町村の五四%が制度を持っていることになるわけですね。これは足立政務官が野党時代にも同じような、四十四条の活用について質問されていたということを承知しております。

 ですので、本来であれば、まずこの四万四千七百三十六世帯の内訳がどうなっているかということが一つあると思うんですね。前にも私、これは何回もやりとりしたことがあるんですけれども、実際はほとんど、災害などのやむを得ない事情の人には減免している、だけれども、やはり経済的な困窮とかそういうことではなかなか適用になっていないというのが実態ではないか。

 ですから、先ほど三十市町村というお話がありましたけれども、そこのモデル事業も大事ですけれども、まずここでやられている減免を、条例を持っている自治体がどのように活用されているのかということをちゃんと調査をすればよろしいのではないかと思うんです。

 その上で、やはり利用できる制度は、ちゃんと法律にある制度はまずきちんと周知をして、そして活用できるということをやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

足立大臣政務官 ごもっともな御指摘だと思います。

 ただ、モデル事業の中では、正確に、どれぐらいの世帯を、どういう割合で入っておりますということは、内訳は把握しておりません、申しわけありませんが。しかし、それは、災害とか失業だけではなく、低所得世帯というものもそのモデル事業の中に入っておりますので、内訳は把握しておりませんけれども、対象としては入っておるということだけ御承知おき願いたいと思います。

高橋(千)委員 そこで、さらにお話をしたいんですけれども、今おっしゃったように、低所得ですとか病気の方ですとか、例えば今回のモデル事業の中でも、失業等により収入が著しく減少した世帯という形で一定の基準を設けているわけですよね。だけれども、ずっと言われてきているのは、ずっと貧困の方、生活が本当にずっと苦しい方は著しく減少していないので、もともと大変なので、何の減免制度にもひっかからないということが言われているわけなんです。

 そういうことも含めて、今回基準をつくりたいとおっしゃっていますので、ぜひ検討されたい。いかがでしょうか。

足立大臣政務官 十分受けとめさせていただきたいと思います。

 その四十四条の中で「特別の理由がある」ということを今おっしゃられているんだと思いますが、ずっと低所得である、低収入であるということについての配慮が足りないのではないかという御指摘だと思います。それはそのまま受けとめたいと思います。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 今回、非自発的失業者が新規に国保に加入するというときに、賃金の三割を基準額として負担を軽減する制度が始まります。

 私は、昨年の雇用保険法の改正のときに、このままでは大量に無保険者が出るのではないかということで、失業者への医療対策を求めてまいりました。藤村委員長が当時筆頭理事で、与党と調整していただき、失業者の医療対策を考慮すべきだということが附帯決議にも盛り込まれ、今回の提案という形になったことに大変感謝を申し上げたいと思います。

 そこでまず、必ず失業者が保険と結びつく仕組みをどのようにつくるのかについて伺います。

長妻国務大臣 今のお尋ねは、失業された方が、前年の収入のある意味では七割引き、三割を所得として国保の保険料を算定するというお話だと思います。

 直接この法律とは結びつかないものでございますけれども、これについては、非常に重要な制度でありますので、ハローワークできちっと、求職者、そこに御来所いただく方に広報をするようにしており、あらゆる手段を使ってそういう方に届くように、これは遡及といいますか、それを実施する前に失業された方にも一定の要件であれば適用されますので、それも十分PRをしていきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 ここは、私、必ず結びつく仕組みというふうな聞き方をしたのは、広報は当然やっていただきたいんですが、漏れがないようにということをお話ししたいんですね。やはり、相談の窓口に行ったら、必ず保険はどうなっていますかと聞いていただきたい。そして、必ず、こういう制度があり、国保に入れるのだということを徹底していただきたいということをお話しいたしました。

 当時、質疑をしていたころは、民主党さんが出していた法案というのは、任意継続の保険に対しての保険料減免であったと思います。今回は国保に一本化されておりますので、そういうことも含めて、結局、保険料がとても払えないから任意継続はとても無理だという方、まして国保なんかとても高くて入れないという方、そういう方たちがまず結びつけられるように、そこをきちっとやっていただきたいと思います。

 重い糖尿病などで派遣村の相談会にやってくるなど不安定雇用を続けていたり、あるいは路上生活をしていた方などは、何かしら健康を損ね、命の危険にさらされております。しかし、政府が取り組むセーフティーネットや訓練、住宅などの支援制度をしっかり活用して就労できるようになれば、みずから払える人になっていくわけですので、本来ならば、三割基準などという面倒な仕組みよりも、保険料と窓口負担の減免をさっとやれるように検討されるのが一番いいのではないかということ、これはちょっと要望にとどめたいと思います。

 資格書のことをぜひと思ったんですが、時間が万が一ないとあれなので、ちょっと順番を変えたいと思います。

 それで、六十八条の二ですが、都道府県は、国民健康保険事業の運営の広域化または国民健康保険の財政の安定化を推進するための広域化等方針を決めることができるとされました。

 資料の三にあるように、広域化とは何かみたいな資料をつけておきましたけれども、二つ目の丸のところに、「民主党マニフェストで盛り込まれた地域保険としての一元的運用の方向性及び地方分権改革推進要綱の趣旨を踏まえ、市町村国保の都道府県単位化を進めるための環境整備として、」云々というふうに書かれておりまして、まさに一元的運用への非常に重要な事項が、今回、この六十八条の二であろうと思います。

 そこで、この広域化等方針に何を盛り込み、どのような役割を果たそうとしているのでしょうか。

 資料の下の方にありますけれども、収納対策の共同実施とか医療費適正化策の共同実施という言葉がございます。これは、基金、特別調整交付金などを活用して、収納率、あるいは給付が高い、こうしたものに対する、実質ペナルティーが強まるということを意味するのでしょうか。あるいは、保険料の平準化についてどのように考えているのか、伺いたいと思います。

足立大臣政務官 ペナルティーとしての調整交付金の減額になるのではないかという点が、まずございました。

 都道府県の調整交付金は、端的に申しますと、条例によって定めるもので、特段の決まりはないわけでございます。広域化を図る中で、目標の収納率を定めた上で、達成状況に応じて都道府県の技術的助言や勧告をするということをやるわけですけれども、国としては、都道府県の調整交付金が減額されないように、それはこちらとしても要請をしたい、まずはそのように思っております。

 それから、保険料の平準化ということで、先ほどの坂口議員の質問と重なるところでございますが、やはり、市町村であれば五倍のところは、都道府県で見ると二倍以内におさまるということは事実でございますので、広域化を図るということは非常に大切なことではないか、そのようにとらえております。

高橋(千)委員 今のお答えは、都道府県の調整交付金が減額されないようにというようなお答えだったのかなと思うんですけれども、私が指摘をしたのは、都道府県が調整交付金を市町村に対して減額するなどを通じて、結果として、収納率、あなたのところは低いですよというところとか、給付が高過ぎますよという形で市町村を競わせる、そういう役割を果たすのではないかという意味でございます。

足立大臣政務官 その懸念ということですね。

 これは、都道府県の判断であることは間違いないわけで、達成状況がそのまま減額をしなきゃいけないということではないわけです。まさに都道府県の判断ということになるわけですので、今の議員の懸念が生じないように、国としてはやはりそこを要請していきたい、そのようにお答えするしかないのかなと思います。

高橋(千)委員 ここは、懸念が生じないようにとおっしゃいましたけれども、やはり〇六年の三位一体改革の中で、特別調整交付金を七%県に割り当てるということで、これがまさに県の裁量という形で、広域化へ向けての第一歩であったのであろうと。ですから、明らかにこれは国の意図だと思うんですね。国が直接手をかけなくても、あるいは国が直接お金をどうこうしなくても、県が市町村に競わせる、そういう仕組みが強まるのではないか、明確になるのではないかということを指摘したわけであります。これは何度言ってもそれ以上お答えできないでしょうから、指摘にとどめたいと思います。

 あとの保険料の問題でありますけれども、例えば合併が広域化の一つのモデルになる、既にそういう問題は起こっているわけですよね。ある山形県の大きな合併があった市ですけれども、旧町村の保険料が一・五倍になりました。これは、中心となる都市部と周辺の旧町村で見ますと、周辺の旧町村は、医療機関が身近にないために保険給付そのものが非常に少なかったわけなんです。給付が少ない、それで保険料も低かった。都市部はその逆でありますので、非常に給付も高い、保険料も高い。合併したのでその高い方に合わせられちゃう。これはもう踏んだりけったりの事態が起きるわけですね。ですから、そういうことが全県という単位で起こってくるわけです。一本化をしようとすると、当然そういうことが起こってきますけれども、どのように考えるか。

 これは今、一つの市で言いましたけれども、やはり保険者規模別で見ましても、収納率で比べると、町村部が九二・〇八%に対し、十万人以上の市部では八五・四九%、政令都市が八五・九七%という形で、都市部の方が収納率が悪いわけですよ。そういうことも含めて平準化をしていくということは、非常に条件が悪い、つまり医療提供体制がなかなかないけれども頑張っているところが逆に不利になっちゃうということをどう見るのか、どう支えていくのかということが一つであります。

 それから、一本化しようとするとどうしても、市町村独自の例えば子供医療費無料化など、そういう取り組みが影響を受けるおそれもありますけれども、この点についてどうお考えか、伺います。

足立大臣政務官 今の視点は、今までの保険料から上がるということと、各市町村で非常に不平等である、先ほど五倍という話がありましたけれども、それをどちらをとらえるかという感覚だと思うんです。

 私は、市町村による不平等を是正することの方がやはり重要だと思いますが、その中で、これは委員御指摘の医療提供体制が密接に絡む問題でありますから、都市部はネットワーク化を図る、そして医師の不足地域については、できるだけ施設を集める形にしないとなかなか平等に医療あるいは介護を提供されるという環境にはならないと思いますから、医療提供体制のことも含めて、まずは保険料の域内での平等性というものを重視したいな、そのように考えております。

高橋(千)委員 平等性という言葉で高い方に合わせられるというのはやはりしんどいぞということ、きょうはそこまでにしたいと思います。

 次に、高齢者医療制度改革会議の検討が今第四回まで進んでおります。

 資料の四に示しておりますけれども、これが政府案の土台になるのではないかと専ら言われている案でございます。六十五歳以上は全員市町村国保に加入し、高齢者の医療給付費を公費、高齢者の保険料、若人の保険料で支える仕組みとした場合、七十五歳以上は約五割ということで、これを前提の試算がございまして、厚労省が、宮武委員という方でございますけれども、その求めに応じて財政試算をしたものだというふうに聞いております。

 この間の議論をこうして見ますと、新制度へ向けての六原則では、年齢で区分するという問題、これはもう解消すると言われていたわけですけれども、やはり年齢で区分することになるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

足立大臣政務官 今、委員御指摘のように、これはある一委員の求めに応じてその試算を厚生労働省の方で提出したということでございまして、他に三案、合計四案があります。今、議論の過程の中で、費用負担のあり方、保険者としてのあり方等、これからまだ議論している過程ですので、おっしゃるように、この案では年齢に区分していることになるのではないかという御指摘は、それは正しいことだと私は思います。

 そこで、一つだけ付言させていただければ、先ほど坂口議員の中で、何が一番悪いのかと。これは、七十五歳以上の方だけの治療方針、あるいは診療報酬、あるいは健診を受ける機会とか、その区別があったのが一番いけなかったんだと私は思っておりまして、その点は現政権においてなくしました。

 そしてあと一つは、御党御指摘の適正化計画というものをどうとらえるか。医療費がかかれば、自分たち、そして若人も保険料負担がふえていく、このある意味ペナルティーのような仕組みが非常に不評を買ったのではないか、私はそのようにとらえております。

高橋(千)委員 ですから、そのことと今議論されていることがどう結びついていくのかなと思うんでありますよ。

 国保中央会のネットニュースでは、改革会議は、今回の案、というのは私が今示した案ですよ、それを軸とした中間報告を夏までにまとめると報じており、まさにこれが政府案の中心であるというふうなことを書いているわけですね。大枠はこうなっていくのではないのかと。

 今、四案出されましたとお話がありましたけれども、四案のうち、年齢区分を明確に取り払っているのは連合さんが出している案一つしかない。議論の中ではどうしてもそういう筋になっていくのではないかということをやはり言わざるを得ないわけです。

 それで、資料の四で下の方に書いてあるように、公費は九千億円減ることになります。そのうち八千億円を市町村国保に回すのかということが言われておりますが、要するに、市町村国保の負担がふえる分をここから回していくのかなというふうに書かれているし、国保中央会のニュースにも書かれております。国庫補助がふえるわけではない、むしろ減らすんだと。

 そうすると、全体として国保や医療保険の財政基盤を安定化するという思想、あるいは国庫補助は当然そのためにはふやすんだと思っていたわけですが、そうではないのかということを伺いたいと思います。

足立大臣政務官 先ほど答弁しましたように、これは、ある一案に対してこういう条件でと言われたものをつけたものでございます。それで、先ほど宮武委員とおっしゃいました。宮武委員の条件はこれ一つではございません。ですから、その場合は公費がふえるような試算になっております。

 ですから、数ある案の中の一つで、そのシミュレーションに沿ったらこうなったということでございますから、この案でということでは現時点ではありません。

高橋(千)委員 私が聞いているのは、この案ではそうだけれども、国としては、医療保険の安定化のために国庫補助をふやす考えがあるかということです。

長妻国務大臣 私どもは国保の支援を強化していくというような基本的方針がございますので、国庫補助を減らすということはないと思います。

高橋(千)委員 減らすことはないというお答えでしたが、少しでもふやす方向だということは明確になかったというのは非常に残念に思うわけであります。

 つまり、これは一つの案ですと政務官おっしゃいましたけれども、今出されている案の中でも、こうして公費が減っちゃうんだという議論がされるわけですよ。後期高齢者医療制度にしたことでもまた減ったわけです。そうすると、公費をこれ以上は出さないという枠の中で、ではまたどこかからもらいましょうという議論をしているからこそ無理が来ているし、今回の議論もまさにそうなわけです。そこで本当に医療を国として支えていくんだという思想が出てこないということにやはり大きな問題があるのだということを指摘しなければならないと思います。

 そこで、具体的に伺いますけれども、来国会に法案を提出する、後期高齢者医療制度にかわる新しい案について来国会に法案を提出すると大臣は繰り返し答弁をされております。そこで、どこまで法案に盛り込むのでしょうか。つまり、大臣は昨日、後期高齢者の皆さんの声を聞く会、アンケートですか、検討会を立ち上げたようでありますけれども、当事者の声を聞くということとスケジュールとの関係はどうなるのかというのが一つ気になっております。

 それから、民主党のマニフェストには、被用者保険との一元的運用というところまで書かれております。被用者保険との一元的運用となりますと、今、健保連を初め保険者団体からさまざまな意見が出されておりまして、これも含めて年内に決着というのは当然無理だろうと思いますけれども、どこまで盛り込むのか、伺います。

長妻国務大臣 法案の話でありますので、これは、夏に中間取りまとめを出した後、どこまで盛り込むのかも含めた検討事項になるというふうに思います。

 そして、今、高齢者の皆さんも含めた国民の皆さんの声を聞くということでございますけれども、これは、前の後期高齢者医療制度の反省に立ってきちっと聞かなければならないということで、二段階に分けて聞こうと考えております。まずは、夏の中間取りまとめが出る前に第一段階として御意見を聞く、そして、中間取りまとめが出た後にその案に対して御意見を聞いていくということで、一定の規模の調査手法を使って、広く専門家及び国民の皆さんの御意見も集約をできればありがたいと思っております。

高橋(千)委員 意見を聞く方はわかりました。それで、被用者保険との一元的運用については、来年目指している法案にはそこまで決着は見ないということですね。

長妻国務大臣 一元的運用というのがどこまでの意味なのかということがございますので、もちろん、国保と被用者保険を全く一つにするということは、そこまでは今のところ考えていないと思いますけれども、それを部分的に一体的に運用するというようなことについてはいろいろ議論があると思います。

 いずれにしても、先ほど申し上げましたスケジュールの中で議論をしていく課題だと思います。

高橋(千)委員 はっきりしない答弁でしたけれども、これはとても無理だと思うんですね。何か、一元化はもうしちゃうのかな、そういう議論をしているのかなということを思っていたわけですけれども、今回の法案の議論の中で、決してそうではないのだろうということがはっきりしてまいりました。

 そうすると、今回の法案は、いわゆる協会けんぽへの国庫補助積み増しのために、肩がわりなどという言い方をされていますけれども、健保組合から総報酬制によって負担を分かち合ってもらう、こういうことが盛り込まれているわけですけれども、この仕組みは三年間ですね。そうすると、三年間というのは、四年後の後期高齢者にかわる新しい制度ができる、始まるところまで続くわけです。そこまではまず決めている。

 問題は、被用者保険と国保との一元的運用まではまだ決着がつかないとすれば、この支援金に当たる部分、つまり、後期高齢者医療制度の支援金に当たる部分ですね、名前はどうなるかは別として、では、それをどうするつもりなのか。黙っていると、ますますふえることになりますよね。どうしますか。

長妻国務大臣 今おっしゃられた協会けんぽの絡みの総報酬制については今のスケジュール観でございますけれども、それ以降について、どういう形で総報酬制も含めて支援をしていくのか。それは、もちろん支援をするということは必要になるわけでありますので、それも全体の議論の中で決着を図っていくということであります。

高橋(千)委員 これもさっぱりしないわけですが、要するに、支援金か、老健のときは拠出金という言い方をしましたけれども、何らかの形でこれが残るとすれば、いよいよもって後期高齢者医療制度の基本的枠組み、これが新制度に移っても残ることにならないかということなんですよ。

 さっきから言っているように、年齢で区別するというのが、財政調整という形で若干残るだろうということが大体推測されています。しかも、この支援金、そのためには何らかの形で若人の保険料から支援を受けなければならない。そうすると、基本的な枠組みはやはり残る。それは、年齢が逆に拡大しちゃったりとか、そういうことはあったとしても、そこからやはり抜け出すつもりがないのかなということを言わざるを得ないわけですね。その点はどうなんでしょうか。

長妻国務大臣 先ほども、この後期高齢者医療制度、どこが問題だという議論があった中で、七十五以上に区分した一つの保険ということを申し上げましたけれども、それに伴って診療報酬も七十五以上、特別の診療報酬をつくったというようなことについていろいろ反発があったということも承知しておりまして、年齢で区分する保険はつくらないということであります。

 ただ、例えば、被用者の方々について、その方々が会社を退職された後々までもその保険に入っていくということについては、事務手続等々いろいろな問題があるということで、一定の年齢の方は別の保険になる、こういう考え方も理解できるわけでありますので、そういういろいろな論点を議論する中で新しい制度を決めていきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 まだいろいろ聞きたいことがあるのですが、きょうはここまでにいたします。

 結局、四年後と大臣が言ってきたけれども、四年後にはまだ決着がついていない問題がいろいろ残るということがはっきりしたんだと思うんですね。そしてやはり、表現は違うけれども、年齢で区別をするという考え方が残る可能性がある。

 そういう中で、やはりそれは、本当に医療制度をどのようにしていくのかというのはもっと時間がかかる問題なんだろうと。せっかく当事者の声も聞こうと言っているんだから、それは一定、時間をかけていいと思うんです。でも、そのためには、だったらもとの制度に戻すということを直ちにやるべきだ、それが国民の声なのではないか。そこから先については国民は何も了解していませんので、まだ何にもわからない新しい制度について、お任せしますとはだれも言っていないので、そのことをやはり重ねて指摘をして、きょうは終わりたいと思います。

 以上です。

藤村委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 質問をさせていただきます。

 この法案の質疑に当たって、私は、こういった問題の専門家でもありませんし、新人議員でもあります。それこそ、きょう立たれた坂口先生や今の高橋千鶴子先生や、そういったキャリアの方々と比べると、ある意味では素人同然の人間でありまして、この法案及び制度の仕組みの複雑さということについては、本当に勉強になったと同時に、理解するのに非常に時間がかかりました。

 今回、こういう形で、市町村国保の保険料軽減のための措置、そして協会けんぽに対するさまざまな措置、そして高齢者の保険料軽減のための措置ということで、三本柱で書かれているわけですけれども、特に、協会けんぽの国庫負担を健保組合とまた共済組合の負担でいわば肩がわりするというこのスキーム、非常に複雑でわかりにくいなというふうに感じました。

 どうしてこういうことになっているのかということを、何か素人質問みたいで恐縮ですけれども、まずちょっとお伺いをしたいと思うんです。どなたかお答えいただけますでしょうか。

長妻国務大臣 これは、諸外国、ヨーロッパ諸国を見ても、やはり一番初めの保険の成り立ち、共助ということで、助け合いでお金を出し合っていくというところから発展して、それぞれ長い歴史を持った制度でございまして、それを、ヨーロッパ諸国を見ても、きれいさっぱり横ぐしで切って全部一つの制度にしてしまう、機械的に明確にわかりやすく一元化するという国は私の知る限りないわけでございまして、事医療保険においてはそれぞれの生い立ちがある。

 年金と違って、これは保険者機能ということで、そこの集団である、ある意味では共同体のメンバーがお互い病気にならないように予防医療や健診にも力を入れて、そして保険者ごとに医療をしていく、こういう発想でありまして、ただ、そのまま、分立したまま自由にお任せすると当然格差が広がるということで、それを総合調整していく過程で、いろいろやりくりの中で複雑なやりくりが出てきているということが実態ではないかと思います。

 私は、そういう医療保険という保険者機能が必要だということにかんがみて、これをわかりやすく、何か、年金で我々が改革案を提示しているようにすぱっと一本化するのが必ずしもいいとは考えておりませんで、それぞれきちっと一つの考え方のもと調整をしていくということも必要だというふうに思います。

柿澤委員 特に協会けんぽについてですけれども、今回、平成二十二年度から二十四年度までの間について、事業年度ごとの財政収支の均衡の原則について特例を設ける。具体的には、平成二十一年度末の準備金の四千五百億を毎年千五百億ずつ減少させて、三年かけて収支の均衡を図る。単年度収支が六千億も赤字になってしまったということで、このような措置が講じられるわけです。

 こういう形で単年度で生じた赤字の返済の繰り延べが始まるわけでありますけれども、こういう形で生じた赤字の返済の繰り延べをやっていって、それが雪だるま式にふえてにっちもさっちもいかなくなってしまったという諸制度は、この健康保険に限らず、さまざま公的な世界ではあるわけであります。例えば地方交付税の特会なんかもそうかもしれません。

 とにかく、借入あるいは収支が合わなくなった部分の償還スケジュールをどんどんどんどん先に延ばして、結局積もり積もっていくということのこれが第一歩になってしまうのではないかということを大変懸念いたしますけれども、この点については今後どのようにしていくおつもりなのか、お伺いをいたします。

長浜副大臣 先生の御地元においては中小あるいは零細企業の大変多いところでありますから、お父様の時代から活動されている中においては、政管健保そして今回の協会けんぽに対しては御関心が高い分野だというふうに理解をしております。

 今御説明の中にありましたように、四千五百という数字が出ましたけれども、単年度の赤字は六千億になっておりまして、表現はいいのかどうかわかりませんが、千五百の積立金を食いつぶした後の状況の中においても四千五百の赤、こういう状況の見込みでございます。

 こういう状況の中で、二十二年度の保険料率について、先ほどから議論にありますように、八・二から九・九まで一・七引き上げるということが果たして、中小企業の現場の中において中小企業の社長さん及び従業員の皆様に対して可能かどうかということで大変悩んで、こういったスキームを考えたわけでございます。そのうちの一つが、先ほど先生が御説明になった、本来ならば単年度で解消すべきものを三年間に分けて、財政再建の特例措置を今回の法案の中にも入れさせていただいた次第でございます。

 この特例措置の中においては、これまた前の議員の質疑の中にもありましたように、一三%から一六・四%に国庫の補助率を上げるという議論がありましたけれども、大変大きな要素としては、実は、今御指摘があった、三年間の中においての償却ということ、償却といいますか、たまった部分に関しての解消を図っていく部分だというふうにも思っているわけでございます。

 さまざまな議論があるわけでございますけれども、今回、被用者保険という形の中における健保連と協会けんぽの皆様に御理解をいただきつつ、加入者割から総報酬割に改めて、大変財政的に厳しい保険者、これは協会けんぽのことのみを指しているわけではなくて、健保連の中にも三分の一の厳しい、こういう状況の中で分かち合おうということでございます。

 この三年間の状況の中において解消できなければどうしたらいいんだろうという事業者の御不安も大変あるわけでございますが、来年度といいますか、今年度から始まった事業の中で仮に単年度の赤字が出た場合においても三年間の中で償却をする、そういったスキームの中で解決を図っていこうと思っている次第でございます。

柿澤委員 ということで、この三年間の償却というか償還でこの措置を終わらせるという御決意をお話しいただいたんだと思います。

 これがそういうふうにならずに、いろいろな悪循環が生じていくということがいろいろな行政の施策で行われてきたことだというふうに思っております。そういう意味で、これが第一歩とならないように、ぜひこれからの措置を講じていただくことを希望いたしたいと思います。

 健保組合から、協会けんぽに対する肩がわりの法案であるということを言われていますけれども、しかし、肩がわりをさせられた側の健保組合が財政的に裕福なわけではない。多くの、九割を超える健保組合は赤字でありますし、また、二割近くの健保組合は保険料率が協会けんぽを超えているというような状況だというふうに聞いております。

 また、健保組合に関して言えば、高齢者医療制度に対する財政支援が健保組合の加入者に対する医療給付の比率でもう八割に達してしまっていて、間もなく組合員に対する医療給付より高齢者に対する財政支援が上回ってしまうというような状況になって、これは一体、社会保険なのか何なのかというような状況になっていくだろうというふうにも言われている。

 そういうことを考え合わせると、この健康保険制度というか公的医療保険の制度そのものが、今回の法案のような、本当に複雑であり、なおかつ、その場しのぎと言ったら恐縮ですけれども、パッチワーク的びほう策ではもうもたない状況になってしまっているのではないかというふうに思います。

 これまで、公的資金の投入と保険者間の財源調整によって帳じりを合わせる、厚労省主導の形によるある種のパッチワーク的政策が積み重ねられてきたと思いますが、今後、今回の措置を講じることによって、また今後の施策によって、このようなある種場当たり的なというか、その場その場の対応ということでしのいでいくということが終止符を打たれることになるのかどうか、これについて、ぜひ決意とともにお聞きをしたいと思いますが、いかがでしょうか。

長浜副大臣 率直に申し上げて、大変複雑な制度であることは事実でございます。今、協会けんぽあるいは健保連、組合健保の御質問をいただいているわけでありますが、国保に関しても大変継ぎ足し継ぎ足しで、その時々の必要性に応じてだと思いますけれども、財政措置、財政支援等が複雑に絡み合っている制度というのは事実でございます。

 そして、これも予算関連法案ということで御審議をいただいている次第でございますが、これも正直に申し上げれば、このための財源確保というのは、この間御審議をいただいて通過させていただきました予算案の中で財政的枠組みをつくりましたものですから、確かに、政権交代の間もない時期の中においての財源確保等々の中において苦労しながらこういったスキームをつくり上げていったことは事実でございます。

 そういう中において、今回、健保組合の財政状況をどのぐらい認識しているのか。協会けんぽは先ほど説明したとおりでありますが、健保組合の中においても、健保連の代表者の方ともお話を申し上げて、大変苦しい状況というのは伺っているところでございます。それも、百億単位ではなくて三千億単位、私が今認識している点では三千億単位の赤字、そして七割ぐらいが赤字になっているというのは先生の御説明のとおりでございます。

 こういった状況の中において、先生の言葉をかりれば、パッチワーク的な政策立案ではなくて、一元的、一体的運用に行く前段階での形での被用者保険のあり方をどう考えるかということは、大変重要な問題提起だというふうにも思っているわけでございます。

 当然、健保組合の関係者の方々からは、新聞広告を初めとしてさまざまな御指導をいただいているところでありますけれども、高齢者医療制度にかかわる納付金の問題も、この以前の質問者の中においても大変重要な指摘もあったわけでございますので、後期高齢者医療制度の改革とともに、この後期高齢者医療制度に関しての支援金とか、あるいは六十五歳から七十四歳までの、前期という分け方をしていいのかどうかわかりませんが、高齢者に対する支援のスキームもありますので、そういったことをあわせて、御指導いただいたような形での、恒久的に安定できるような制度に向かっての検討を続けてまいりたいと思っております。

柿澤委員 長妻大臣は、この点いかがですか。

 その場というか、非常に短期的な、財政的な帳じり合わせに終始してきたのがこれまでの制度の見直しの歴史だったのではないかと思います。その結果、そもそも被保険者が、一体何を幾ら払って、どういうサービスを給付できるのか、そして、自分が加入をしている健康保険制度は本当に財政的に持続可能なものなのかどうか、ある意味では予見可能性が非常になくなってしまっている、見えなくなってしまっている。そうした状況の中で、さまざまな社会保障に対する不安も生じてきていることだというふうに思っております。

 そういう意味で、長妻大臣も、この制度の今の非常に継ぎはぎ的あり方ということについては問題意識をお持ちでないかというふうに拝察をいたしますので、この点、ぜひお考えをお聞かせいただきたいと思います。

長妻国務大臣 やはりまず前提は、日本国は国民皆保険だということで、その部分については世界に誇ってもいいのではないかというふうに思いますが、漫然と皆保険と念仏を唱えているだけではそれは守れないということで、その意味で、それぞれの財政調整ということで今回の法案も御審議いただいております。

 その中で、先ほど来申し上げておりますけれども、保険者機能というのも医療の分野では非常に重要なことで、ある程度目配りできる範囲内で、それぞれの方に、御病気にならないような措置をする、健康診断も含めたことをするということでありまして、そこはやはり、成り立ちとその集団ごとに分立するというのは、私は一定のものというのは容認する必要があるのではないか。その中で、メッセージとしては、財源も含めて、将来的にも大変な状況になったときには、きちっと公的なお金、つまり公費を投入していくというようなことも明確に打ち出す必要があると思います。

 今、消費税については議論を始めるということで始めておりますけれども、我々は、永久に消費税を上げないと言っているわけではありません。鳩山政権一期の中では、消費税の議論はするけれどもそれは上げないで、ほかの税制、ほかの保険料の仕組みについては実行していくということを申し上げておりますが、今後、二期目以降については、持続可能性ある医療制度という中で、消費税ということにも触れざるを得なくなってくるのではないか。そのときに、負担と給付の仕組みを明確にお示ししていくということが重要ではないか。

 そして、個々の保険者については、今おっしゃられたように、自分が入っている保険者に払う保険料が具体的にどう使われて、どういうふうに給付に結びついて、それが無駄なくきちっと使われているかどうか、そういうような実感が持てるような制度にすると同時に、透明性も高めていく。

 こういうような形で、持続可能な制度であるという実感を国民の皆さんに持っていただくということも重要な論点であると思います。

柿澤委員 そういう点で考えると、例えば協会けんぽ、都道府県単位でありますし、また、組合に関しても、職域によっているものでありますので、基本的に、保険者は職業や居住する地域によって自動的に決まってしまう。国民は保険者を完全に自由に選択することができるわけではありませんので、そういう中で保険料率が決まっていってしまうということはどうなんだろうかというような気も私はしております。

 そういう問題を解決するために、私は、民主党が掲げている公的年金の一元化のように、医療保険についても、きょう、手元に資料としてお配りをしました管理競争という仕組みを参考に、そのファイナンスについて、ある程度の規模まで統合していくことが必要ではないかというふうに考えております。

 これは、こういう形で保険者を、民間を含めたというより、民間が基本的に保険者になり、それぞれが加入の自由を持って保険者を選択する。一方で、そうすると、お年寄りが多くてというところと、若い人が多くてと、状況に差が出てきますので、国がある種のその上に立つスポンサーとしてそれぞれの保険者のリスク構造を調整して、いわば地方交付税みたいな形で平準化をしていく。

 保険者それぞれが競争をし、一方で、しかし競争による弊害は国によってしっかりと管理をしていく、これが管理競争という言葉の由来でありますけれども、こうした形で、一つのインセンティブを働かせて、そして公的医療保険の制度を組み直していく必要があるのではないかと思います。オランダでは、この管理競争の考え方で二〇〇六年、制度改革を行って、今やヨーロッパの中で最も医療に対する評価の高い国になっているとも聞いております。

 こうした考え方に基づいて、まさに先ほど申し上げたような、今までのようなパッチワーク的改革ではない、本当に抜本的な改革を行って、将来にわたって、無駄に使われないと同時に安心な医療を低コストで提供する、そうしたメカニズムをぜひつくっていっていただきたいというふうに思いますけれども、最後に長妻大臣の御答弁をお願いして、終わりとさせていただきたいと思います。

 どうぞよろしくお願いします。

足立大臣政務官 議員の提出された資料をもとに御説明したいと思います。

 今、複雑という話がありましたが、以前、参議院の本会議で、元厚生労働大臣の尾辻さんが代表質問されて、答えられないと思います、私も大臣を経験したけれども答えられませんというふうにおっしゃっていました。それだけ複雑であるということです。

 この表に基づいていきますと、この中に、議員御指摘の一元化という考え方と競争で保険者を選べる、この二つがあると思うんですね。

 一元的運用ということになると、一元化だけではなくて、地域医療保険とそれから働く形態による保険を一元的に運用するというやり方も入ってくる、このスポンサーのところが国の仕組みだという考え方で、そのとおりだと思います。

 あとは、自由競争になった場合どうなるか。これは、一番懸念されるのは、その保険者だけがどんどん大きくなって拡大をして、保険者機能が働かなくなるという可能性が一点。それからもう一点は、健康な被保険者だけを囲い込むようになってしまう、これはアメリカのレディングの悲劇というのがありましたけれども、そのようなことになってしまう危険性がある。そのことは申し上げたいと思います。

長妻国務大臣 私は、一般論で言えば、社会保障の分野でも競争というのは必要だ、競争のないところは腐敗が起こるということはあらゆる分野で真実だと思いますし、競争のないところは効率性が落ちるというのも真実だと思います。一定のルールのもとで競争というのは必要だと思います。

 そして、今の御提案でありますけれども、やはり保険者機能をきかすということが重要でございまして、今、日本国では、生まれて、あるいは職業によって、保険者を選べないということ。これは逆に言うと、それがある意味では一つの組織と平仄を合わせているという部分、あるいは居住地と平仄を合わせている部分ということは、一定の共同体と表裏一体でその保険者があるというふうに考えておりまして、そこで一定の保険者機能などが働いているんだろう、皆保険も守られているんだろうと思います。

 今の考えというのは、競争ということは必要だと思いますけれども、ある意味では、恐らく保険料の安いところに人がいっぱい加入してきて、その保険者の方は、あらゆる方々が入ってこられて、そこで保険者機能を働かすインセンティブがその保険者に出てくるのかどうか。つまり、規模を拡大した方がインセンティブが働くということになると、これはまた別の問題が生じてくると思いますので、そこも注意深く見なければならないというふうに思います。

柿澤委員 足立政務官の御答弁にありましたレディングの悲劇というか、クリームスキミング的に、一部の収益の上がる被保険者だけが集められてしまうというようなことは、オランダの例でいえば、オープンエンロールメントということで加入を保険者は断ることができない、こういう形でクリアをしたというふうにも聞きますし、さまざまな技術的な課題がある、それは来年やれとか三年以内にやれとかいう話ではないことは私も承知をしております。

 しかし、これからの時代にあって、先ほど共同体の話が長妻大臣からもありましたけれども、一方で、人口の流動性が非常に高まっている、また、人生の中で何度も転職をする人が出てきて、それによって社会保険のさまざまな制度も変わってきているわけでありますので、そういう中で、こうした選択も一つの検討課題として視野に上ってくるのではないかと思っております。これについてはまた改めていろいろと議論をさせていただきたいと思っております。

 時間を超過してしまいました。大変恐縮でございます。終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

藤村委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る十三日火曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る九日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三分散会


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