衆議院

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第8号 平成22年4月16日(金曜日)

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平成二十二年四月十六日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 東  祥三君

   理事 柿沼 正明君 理事 北神 圭朗君

   理事 杉本かずみ君 理事 三谷 光男君

   理事 吉田おさむ君 理事 塩崎 恭久君

   理事 平  将明君 理事 佐藤 茂樹君

      稲富 修二君    太田 和美君

      笠原多見子君    金森  正君

      川口  博君   木村たけつか君

      近藤 洋介君    斉木 武志君

      柴橋 正直君    白石 洋一君

      田嶋  要君    平  智之君

      高松 和夫君    高邑  勉君

      花咲 宏基君    藤田 大助君

      松岡 広隆君    向山 好一君

      森山 浩行君    山本 剛正君

      柚木 道義君    梶山 弘志君

      近藤三津枝君    塩谷  立君

      高市 早苗君    永岡 桂子君

      西野あきら君    額賀福志郎君

      江田 康幸君    吉井 英勝君

    …………………………………

   経済産業大臣       直嶋 正行君

   内閣府副大臣       大島  敦君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   経済産業副大臣      増子 輝彦君

   環境副大臣        田島 一成君

   内閣府大臣政務官     田村 謙治君

   外務大臣政務官      西村智奈美君

   経済産業大臣政務官    近藤 洋介君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            藤木 完治君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          柴生田敦夫君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            平工 奉文君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房技術監) 秋山 義孝君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 岩井 良行君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  徳地 秀士君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十二日

 辞任         補欠選任

  谷畑  孝君     園田 博之君

    ―――――――――――――

四月十六日

 エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律案(内閣提出第三〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律案(内閣提出第三〇号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

東委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として文部科学省研究開発局長藤木完治君、経済産業省貿易経済協力局長柴生田敦夫君、経済産業省製造産業局長平工奉文君、防衛省大臣官房技術監秋山義孝君、防衛省大臣官房審議官岩井良行君及び防衛省運用企画局長徳地秀士君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森山浩行君。

森山(浩)委員 おはようございます。民主党の森山浩行です。

 大阪府の堺市選出、きょうが初質問になります。

 私自身、堺から日本の元気を取り戻すということで、「元気モリモリ」を合い言葉に国会に送っていただきました。(発言する者あり)はい、森山のモリモリなんですが、きょうは私の国会での初質問となるわけなんですが、政権交代をしたということで、日本の元気は出そうだなと実感できる力強い答弁をお願いしたいと思います。

 まず、伝統的工芸品産業における後継者の育成の課題についてお伺いしたいと思います。

 たくさんの人が世界から日本にやってくる、これは、観光、また成長戦略の一環としても話をしているところなんですけれども、日本にやってきて何がいいか。伝統的な工芸品、また文化、歴史、こういったものも非常に大きな魅力となると思うんですが、現在二百十一品目あります伝統的工芸品産業、これにおいては、昭和五十年代と比べまして、企業の数は二分の一、また従業員の数は三分の一、八万五千人ぐらいということで、減り続けているわけなんですね。

 私の選挙区であります堺、伝統的工芸品産業に指定されているのは堺打ち刃物というのがございます。国際的にも、実用的にもよい製品として、料理のプロなどの間で大変人気のあるものなんですけれども、戦国時代の鉄砲かじの流れをくむというようなことがございます。物の始まり皆堺というようなことで、たくさんの文化や文物、また工芸品というのを生み出してきたわけなんですが、最近では、大量規格製品、一般の人はそれを使うんだけれども、プロの料理人の方であるとか、世界的にもかなり人気のある商品の一つであります。

 その中で、先ほど減り続けていると申しましたけれども、手に職をつけたいというような若者が弟子入りしたいというケースも一方でふえているわけなんです。これは不況が原因にあるのかもしれませんけれども、単に就職をするんだということではなくて、職人としてきちんと腕を磨きたいというようなこと。

 このような世界的なブランドがあっても、伝統工芸士の職人さんが、例えば一人で今かじ屋さん、刃物を打ったりするかじですけれども、かじをしていて新規に人を雇うということになりますと、指導にもちろん時間がとられますよね。そして、そのまだ一人前にならない弟子のための食いぶちも稼がなきゃいけないというようなことで、中小企業であれば何人かで支えていってその中に新しい人を入れるということができるんですが、こういう個人でやっているような伝統工芸士さん、一人前になるまで育て切るのはなかなか難しいんだ。

 三年、五年というような歳月、なかなか育て切れなくて、やりたいという人もいる、そして指導したいという工芸士もいる、またブランド力もある、しかし新しい職人が育たないという部分に関して、伝統工芸品産業の支援策として、協会が伝統工芸士として認定をする、あるいは若手後継者については後継者育成事業などが行われていますけれども、新規に参入をしようとする人への支援策、事業内容と、また実績についてお伺いをしたいと思います。

松下副大臣 森山先生のところは堺、私は鹿児島県の薩摩半島、大島つむぎがあるんです。それから、私のところには川辺仏壇、同じような課題を抱えておりまして、どうやって解決していくか、本当に頭の痛いところでございます。

 私のところなんかは、仏壇は中国から製品が入ってきて、そして地場産業でつくってきたそのブランドの名前で売っている。地場産業が本当に力をなくしていくという、同じようなひどい状況になっていまして、全国二百十一の指定がございますけれども、同じような課題を抱えている、そう認識しております。そういうことで、従業者数も、御指摘のとおり、五十年代前半と比べて三分の一に減っている、事実でございます。

 これに対して、我が省では、伝統的工芸品産業の振興に関する法律がございますので、これに基づいて、産地の製造協同組合、ここが中期的事業計画に位置づけた後継者育成事業等に対して補助を行っております。

 今でも約三千九百万円ほどの予算を持っていますけれども、最近でも、京都の西陣織、あるいは京かのこしぼり、そういうところに絞って、学生とか社会人の希望者、そういう人たちを募集して、来てもらって、実地体験して、そして後継者育成なり、関心を持ってもらうというようなことに取り組んできておりまして、いろいろな形で振興に対して全力を尽くしていきたい、そう思っております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 ただ、今のお話を聞いておりましても、体験とか入り口とかいうところにとどまっているような感じがいたします。一人前の職人に育てていくんだという部分、ここが恐らく肝になってくるのではないかなと思っておりまして、三年あるいは五年というようなスパンで新しい人が入ってきて一人前になっていく。

 これは、中小企業でありましたら雇用のための助成金などというような制度も整ってきているようでありますけれども、伝統的な産業、これを育てていくのか、それとももうあきらめてしまうのかという、これは分岐点に来ていると思います。

 育てていって、そして日本のよさを発信していくんだということをぜひ決意していただいて、そして、一人前になるまでのきちんとしたバックアップ体制、これについて前向きに御検討いただきたいというふうに思います。よろしくお願いをいたします。

 次に、成長戦略としての水ビジネスにおける省庁連携についてお伺いをしたいと思います。

 今、日本の中の話をさせていただきました。外に対して、システムで稼ぐんだという、今経済産業省の中でもお話をいただいていると思います。我々経済産業委員会の中でも勉強会を重ねておりまして、特に、私は、水の問題、市議会や府議会をやっている中で、上下水道は別々の省庁が管轄をしている、あるいは水源等はまた別の官庁であり、工業用水になると経済産業省だというような話で、たくさんの省庁が絡んでいるという中で、水という問題は難しいなと思ってきたんです。

 二十一世紀、水の世紀というふうにも言われます。世界の人口の五分の一が一キロ以内から安全な飲み水を必要量確保できないという中、あらゆる命の源である水の問題は、命を守りたいという現政権のメッセージ、これに沿った形での重要な課題であると感じております。フランスなど先行する国や企業に対して、ようやく各省庁の縦割りを超えて、官民が協力をしてオール・ジャパンで水ビジネスの問題に取り組もうというのは、成長戦略の一環として大変有意義なことであると考えております。

 ただし、高度経済成長期に、工業製品、どんどんどんどん輸出をして、エコノミックアニマルというような形でののしられたこともあります。このようなののしられるようなやり方をやっていくというわけには片方ではいかないと思っています。

 売れればいいという形で無理をするのではなく、水インフラの整備というのは日本のビジネスにとっても重要でありますけれども、相手国の国民の生活を豊かにするものであるという基本、これをしっかり押さえた上で、相手国との信頼関係を持ってビジネスを継続するということこそが長期的にもビジネスの成功につながっていくものだと考えております。

 そこで、国として水ビジネスに取り組むに当たっての決意と基本的な考え方について、これは直嶋大臣にお伺いしてもよろしいでしょうか。よろしくお願いします。

直嶋国務大臣 今委員御指摘のように、これからやはり水の確保というのが多くの国で課題になってくるというふうに思っています。

 その際に、水をビジネスとして国際展開していくということで申し上げますと、今委員御指摘のように、契約相手先が、政府でありますとかあるいは自治体ということになります。もう一つは、そのプロジェクトが長期にわたるということもありますので、したがって、やはり相手国の信頼を得るということが重要でありまして、受注する側の政府の関与が大きなかぎになるというふうに思っています。

 経済産業省でも、水ビジネス国際展開研究会を開催いたしまして、先日、官民を挙げて水ビジネス分野での取り組み方針を取りまとめました。

 この中では、政策金融支援の重点化など七つの具体的行動計画を盛り込んでおりまして、特に相手国との信頼関係構築については、個々の案件における政府による働きかけはもちろんのことでありますが、戦略的に重要な国との間での水政策対話を設置することといたしております。

 今後は、こうした取り組みを我が国成長戦略の柱として位置づけまして、さらに検討を進めてまいりまして、御指摘のように、産業界とも連携をしながら、官民一体となって我が国の水関連産業の国際展開を推進してまいりたい、そのように思っております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 これは経済産業省としても、相手国との信頼関係が非常に大事だというお話の中なんですが、一方で水のインフラ整備というのは、今までビジネスではやってこなかったという部分なんですね。これまでは、国際協力あるいは援助というような形で日本から途上国への整備というのが続いています。自治体の皆さんもそのような形でかかわっている方が非常に多いというふうに聞いております。

 政府開発援助、ODA、各国で大変感謝されている活動でもありますけれども、あるところまでは援助、貧しいとき、またスタートアップのとき、そしてここからはビジネス、豊かになってきた、あるいはもっと高度なものがほしいというようなときに、ビジネスというような形での切り分け、あるいはビジネスの案件に援助で後押しをする、水道管を引くのはビジネスでやるんだけれども、そこに、例えば教育施設が欲しいんだ、セットでお願いをされたときなどは、では、援助の方も一緒に協力してやりましょうというようなことも含めて、さまざまなケースが考えられます。

 そこで、JICAでは、協力準備調査、PPPという事業の募集などをされていますけれども、援助とビジネスの役割分担、また協力関係について、きょうは、わざわざ済みません、外務省から西村政務官においでいただいていますので、お伺いをしたいと思います。

西村大臣政務官 お答えいたします。

 おっしゃるとおり、水のビジネスは非常に重要だと私どもも考えております。これがまず大前提でございます。

 率直に申し上げますと、援助とビジネスは、特にこの水分野に関して申し上げれば、なかなか範囲の切り分けというのができないものではないか、またあえてする必要があるものなのかどうかという思いがいたします。

 国連ミレニアム開発目標というのがありまして、二〇一五年までに世界じゅうで安全な水や保健施設にアクセスできる人をふやすというものがありますけれども、そういった途上国の開発では当然ODAということは必要だと思っておりますけれども、それのみならず、民間資金の果たす役割が非常に重要だと考えております。

 ODAによって日本企業の活動を側面支援いたしまして、途上国の開発効果を高めて成長を促進することは重要でありますし、今、外務省の中でこのODAのあり方に関する検討を行ってきておりまして、民間企業との連携強化を模索している、検討しているところでございます。

 そういった中で、委員が御指摘くださったPPPインフラ事業でありますけれども、国際的にもこのPPPのインフラ事業が拡大する傾向にあります。

 我が国でもこれに今着手をしておりまして、既存のJICA協力準備調査制度を活用するということで、年二回公募を行いまして、より多くの民間企業の皆さんから積極的な提案を今お待ちしていたところでありますけれども、初回の公示を三月三十一日に行いまして、四月の十四日で関心表明の締め切りを行いましたところ、七十三社より七十八の関心表明があったところでございます。今後これを検討してまいりたいというふうに、そして、JICAが第三者委員会なども活用して選定をしてまいることになっておりますので、ぜひこういった動きを私たちとしても加速をしていきたいと考えております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 これまでは援助でやってきたところ、ここにビジネスというパワーが加わってさらに大きな事業となっていくというふうに思いますし、それぞれが持っている情報や知識を出し合って協力すること、これはオール・ジャパンの水ビジネスを推進していく上で、官民でもそうですし、省庁間でもまさに一番大事な部分ではないでしょうか。

 たくさんの役所がかかわることで、船頭が多いだけでかえって実際には前に進まないというような事態にならないよう、水ビジネスに取り組むに当たっての具体的な省庁間の仕組みづくりについてお伺いをしたいと思います。

松下副大臣 大臣から基本的な考え方をお話しいただきましたけれども、今度ちょうどでき上がった水ビジネスに対する報告書の中で、この連携の問題はしっかりとうたわれております。

 まず地方公共団体、これが上下水道の実際的な工事施行から料金徴収まで含めてノウハウを持っている、そこを生かさなきゃいかぬということと、関係各省にそれぞれまたがっておりますから、厚労省の上水道、国土交通省の下水道、それから治山治水、農林省、そして経済産業省の工業用水、そして環境省の水質や環境保全、多岐にわたっていますので、これをしっかりまとめて一つの力としてドライブをかけて出ていく、この仕組みをつくってやっていくのが大事だ、そういうふうにうたって、成長戦略の柱としてやっていきたい、こう考えています。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 たくさんの省庁があるけれども、成長戦略の中に位置づけてきちんとやっていく、経済産業省がしっかりとリーダーシップをとっていただきたいと思っているわけですが、水の法律というのは余りにも多岐にわたっていて、これを、全体を統括するものがないのだという基本認識を私も持っています。

 ここの経済産業委員会の皆さんとも、また議員連盟も含めて、きちんとこれをバックアップしていきたいと思っておりますので、水の問題、日本の非常に大事な問題であり、世界に対しても貢献できる部分ということも含めまして、ぜひ前向きに取り組んでいただきますようお願いをして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

東委員長 次に、梶山弘志君。

梶山委員 自由民主党の梶山弘志でございます。

 この顔ぶれの委員会になってから初めて質問をさせていただきます。この数年間、経済産業委員会に所属をしておりまして、皆さんとの議論をしてまいりました。この委員会は、特に火の噴くような議論というか、対決の議論はそうはなかったと承知をしております。例外は解散間際のときだけだったと思っておりますけれども、今、こういう状況だからこそ皆さんが知恵を出し合って、この不景気を乗り切る、また国際競争に勝ち抜くというような、実りある議論がこの委員会には期待をされていると私は思っております。

 その上で、幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 今、森山委員からもお話があったんですが、水ビジネスの例をとって議論をした課題がございました。産業革新機構という、昨年できた機構、組織であります。これにつきましては、増子副大臣ともお話をしましたし、近藤政務官ともいろいろな議論をさせていただきました。また北神さんとも議論をした記憶がありますけれども、いつになったら第一号が出てくるのかなと思って、ない首を長くして待っていたわけなんですけれども、先日、三月三十一日に、第一号、アルプス電気ということで新聞報道がなされました。

 私、正直言うと、ちょっと期待外れというか、あれっという感じがいたしました。今、森山議員からお話があったように、水ビジネスをどうするんだ、世界の市場は物すごく大きい、そういったものをそれぞれの部分から切り離してきて、そういったものに資本を投下する、リスクマネーを投入する、そして、これからの日本の技術というものをつくっていこうじゃないかという議論が、その際されていたと思っております。

 このアルプス電気につきましても、新しい技術、これからの省エネ、また電気自動車やハイブリッドの自動車などにも使えるものだということで、かなり用途は広いものだと思いますけれども、アルプス電気一社でも、多分、ほかの民間会社を募ってこういった仕組みはできたのではないかなというような批判の記事まで書かれている経済誌もございます。

 まずは、このアルプス電気が第一号となったことにつきまして、中身についてお知らせをいただきたいことと、多分、産業革新機構ができ上がったのは、昨年の、解散間際のどさくさに紛れてと言ってはちょっと語弊がありますけれども、そのころであったと思っております。どんな顔ぶれなんだろうなということでお聞きしたことはありますけれども、正式に、どういう組織であるということと、どういう目ききの人がいるということもあわせて教えていただければと思います。

近藤大臣政務官 梶山先生にお答えしたいと思います。

 もう梶山先生、産業政策に大変お詳しい先生からの御質問で、答弁するのも若干緊張するわけでございますが。

 御質問の産業革新機構の案件でございますけれども、御案内のとおり、アルプス電気の新しい、中核の事業の一つである事業について、東北大学と共同で開発した革新的な技術について、これは電気自動車、スマートメーターに搭載される基幹部品の技術について切り出しをして、その部分について産革機構が出資をする、こういうスキームでございます。三月三十一日に第一号案件として発表させていただきました。

 この間、この産革機構の設立については、先生にも大変御尽力をいただき、また御心配をおかけしたわけでありますが、御案内のとおり、なかなか一号案件が出なかったわけであります。これも御存じのとおり、その間、例えばフランスの大手電機コングロマリットであるアレバ社のある部門についての案件であるとか、幾つか大型案件もございました。なかなか実を結ばなかったわけでありますが、結果として、この案件が第一号となったということでございます。この間、必要な内部体制の整備であるとか、案件の発掘に一定の時間がかかったんだろう、このように認識をしております。

 この産革機構は、投資ファンドなどの金融分野とメーカーなどの事業分野、双方からプロフェッショナルな人材を採用して、また外部の専門家とのネットワークも構築をしております。何といっても、やはり目きき能力がこの機構の肝だ、こう思っておりますので、しっかりした人材を持っている、このように認識しているところでございます。

 これも先生御指摘をいただいたわけでありますけれども、現在、産革機構では、委員御指摘の水ビジネスであるとか鉄道、さらには原子力といったインフラビジネス、こういった分野への対応に加えて、IT、エレクトロニクス、さらにはバイオ・ライフサイエンス、こういった分野を中心に投資を検討していると報告を受けているところでございます。

 いずれにいたしましても、オープンイノベーションの促進による国富の増大につながっていくことを期待しているわけでございます。

梶山委員 昨年の議論の中で、与野党が別だったわけでありますけれども、近藤先生そして三谷先生からもお話があって、こんなものじゃちょっと資本が少ないんじゃないか、もっともっと資本を入れたらいいんじゃないか、そして政府保証も入れたらいいんじゃないかということで、最終的には八千億円の政府保証もつけたわけでありますし、また、二十一年度の補正予算で四百億円少し足しまして、合わせて八百億円、あと民間の出資ということでありました。

 この民間の出資はどのくらいされたのか教えていただけますでしょうか。当初、かなり大きい額を想定していたと思うんですけれども、今の経済状況からすると、なかなかやはり民間の出資というところ、新たな出資ということには判断がつかない、決断がつかないということだと思いますので、幾ら入ったのか、私が聞くところだと多分百億前後だと思っているんですけれども、ちょっとお聞かせください。

近藤大臣政務官 お答えをいたします。

 これも委員御指摘のとおり、こういう経済情勢でございますが、現在、約百億、十五社程度、十五社、こういうふうに聞いております。

 失礼しました。十九社でございました。大変失礼いたしました。

梶山委員 その議論の際、幾つか形態が考えられる、幾つかのパターンに考えられるというような話がありました。

 一つ目は、事業化の初期段階。大学に分散する次世代技術を集約してライセンス化する、そして、次世代技術のプール化と言われるような事業、これには大体数億円単位で出資するんじゃないかということが言われました。

 二番目が、事業の成長段階。例えばバイオベンチャーの開発薬の治験を製薬企業とともに後押しするセカンダリーベンチャー型事業ということで、これには大体数十億円ということでありました。

 そして三つ目が、事業の再編段階。先ほど例を出しました水市場において、大企業等に埋もれていた膜の技術、水処理装置そして水道事業の運営ノウハウなどを切り出して、統合して新会社をつくるような前向き事業再編型ということで、かなり微に入り細に入り、具体的な水の事業を想定した議論がされたものと記憶をしております。

 そして、ちなみに申しますと、今、水市場は大体世界で六十兆円ぐらいの市場規模、そして、二五年ごろには多分百十一兆円ぐらいになるだろう、大分細かい数字でしたけれども、そして管理運営が百兆円、プラントが十兆円、素材が一兆円ということで、日本が今のように分離した形で企業が出ていると、素材の部分とプラントの部分、百十一兆円ある市場のうちに、全部とれたとしても十一兆円ぐらいしかとれないね、だから、やはり水道局などのノウハウ、知見を生かして、こういうものをつくって世界に打って出るんだ、そして、これがこれからの日本の経済を引っ張っていくんだというような話があったと思います。

 そして、多分、今検討中の中にこういったものも入っていると思うんですけれども、これは発表前に言いますとまたいろいろな影響が出てくるということですけれども、うなずく程度で結構ですから、こういったことも今検討されているのかどうか、これも含んで検討の俎上にのっているのかどうかということを答えられる範囲で答えていただきたいと思います。

近藤大臣政務官 先生御案内のとおり、世界の水市場は大変大きく伸びているわけでございまして、とりわけ、我々日本企業群としますと、日本といたしますと、民営化された市場をとりに行く、その中でもやはり運営の部分というのは極めて重要になる、こう考えておるところでございます。世界の水メジャーというのは、そういったところも含めて事業化に成功している。

 そういう中で、先ほど松下副大臣も御答弁されたとおり、さきの水ビジネス国際展開研究会の中でも、なかなか受注実績が今まで日本企業にないものですから、既に受注実績のある企業を買収するケースないしは海外企業とともに共同出資で会社をつくるケース、さらには地方自治体と特別目的会社をつくるというような三つの類型でビジネス展開を考えて、その中で、その報告書にも、産業革新機構が出資をするということも盛り込んだ報告書にしておるところでございます。

 以上、そういうことで真剣に取り組んでいるということだけ申し上げさせていただければと思っております。

梶山委員 先ほど少し触れさせていただきましたけれども、ある経済誌では「初案件は“大企業”支援 官製ファンドのお粗末」というような見出しで批判をしているものもあるわけであります。私はそうは思いませんし、また、これはお金を失うことにもつながりますから慎重に事を重ねてきたとは思うんですけれども、やはり鳴り物入りでこの機構ができたということでもあり、期待も大きかったことの裏返しではないかなという思いがいたします。

 いずれにしましても、こういう状況のとき、新たな日本を引っ張っていくビジネスは何なのかなということで今皆さんが知恵を出し合って議論をしているわけでありますから、これをつくっておいてよかったな、そして、さすが経産省だなと言われるような案件をこれから選んでいただきたいと思いますし、最終的には全責任は経済産業大臣に帰するわけでありますから、その責任を恐れずに、これからの次世代の食いぶちを稼ぐ、飯の種を稼ぐという思いでこの産業革新機構をうまく運用していただきたいと切望するものであります。

 そして、次の議題に移らせていただきます。

 前回、先週金曜日、一週間前ですけれども、私どもの平理事が、貸金業の改正の完全施行、六月十八日に予定をされているわけでありますが、そのことについて前回、前々回と触れて、金融庁の担当政務官との議論をいたしました。きょうは金融庁はお呼びしておりません。経産省の感覚、そしてどのように把握しているかをお聞きしたいと思って、きょうは金融庁は呼びませんでした。

 これも新聞記事で恐縮なんですけれども、日経新聞の記事ですけれども、「資金繰りに窮した経営者が、反社会勢力が営むヤミ金融に走るようなことがあっては本末転倒だ。同時に、まっとうな事業に必要なお金の流れが目詰まりを起こして景気の回復を妨げるような事態が起きないように、細心の注意が要る。」ということで三月末の日経新聞の記事に出ておりました。

 平議員の質問はいろいろ細かいこともありましたけれども、この言葉がすべてを物語っていると思うんです。百万円を月末十日間借りる、そのことによって月末の資金繰りは乗り越えられる、その金利は六千円だ、これが高いんですか安いんですかという話でありました。

 金利何%と皆さんは表現しますけれども、日歩何銭の世界、商売をやっている方は大体わかると思うんですけれども、元金百円借りて、一日当たり幾ら利息を払わなくちゃならないのかということであります。これは、百万円で六千円ですから、日歩六銭の世界なんですけれども、これを利率に直すと約二一%、今度の利息制限法からははみ出してしまうということになるわけであります。

 百万円というのは、何も利益の百万円ではなくて、仕入れで百万円払わなくちゃならないということで、入金が一日、二日おくれる、その間、今度はそれを払わなければ次の仕入れができないというようなこともあります。大分今は発行が減りましたが、手形でもやはり、例えば一千万払うのにも百万円足りない、五十万円足りない、五十万円足りなくても不渡りになってしまう、それが二度続けば銀行取引停止になってしまうということで、仕事と信用をなくしてしまうということになるわけであります。

 良質な高利貸しという表現は少しおかしいかもしれませんけれども、そういった仕組みもあって日本の商売というものも成り立ってまいりました。個人営業もあります。そして小さな会社もあります。小さな会社の場合は、社長が個人で借りに行って、そして数日間で返す。そして、百万円で六千円、数日間で、十日間で六千円というのは事業を続けるに当たって高いか安いかということなんですね。百万円で六千円、それが年利にして高いか安いかじゃないんですね。事業を続けられること、従業員の雇用を守ること、家族を守ること、それに対してこの六千円が高いか安いかという議論だったと思うんですけれども、これでは、制限法では高い方の分類になりますねという答えでありました。こういったことが地方の小さな商売の芽を摘んでいるということにつながっていくんだと私は思います。

 こういったことが起きないように十の施策をしているということでありますけれども、それには書類を提出するというような煩雑な部分もあります。幾ら簡略化するといっても、後に検査があるということになればやはり慎重にならざるを得ない。そして、当日急にお金が入ってこなくなった場合もある。そういったときに本当にこういうリスクを銀行は肩がわりしてくれるんだろうかといった場合には、月末の繁忙期にはなかなかやってくれないものだと私は思っております。

 こういったことで中小企業、個人企業が泣かないような、ましてや会社がつぶれないような、平議員は命を落とすこともあるかもしれないということを言いましたけれども、場合によってはそういうことも起こり得ることですので、そうならないような対策を中小企業庁、また経済産業省にしていただきたいと思いますし、できれば、この部分、こういう形で文章にしたから大丈夫だよ、指導したから大丈夫だよということだけで施行して本当に大丈夫だと思っているのかどうか、その辺の御意見を伺いたいと思います。

近藤大臣政務官 梶山先生にお答えいたします。

 今回の貸金業法は、本来は借り手が安心して利用できる消費者金融市場を形成することを目的にしたものである、このように承知をしております。ただ、一方で委員御指摘のような御懸念が広がっているということも十分認識をしているところであります。

 したがいまして、その完全施行に当たっては、小規模零細企業の方々の資金繰りへの影響などにも配慮して、さまざまな工夫をあわせて講ずることを金融庁を中心に検討しているわけでありますが、経済産業省としても、商工会や商工会議所における相談体制の構築、政策金融機関を含めた金融機関との連携など、我々としてもできる限りの協力を行う考えであります。とりわけ、中小企業を所管する役所として万全を期したい、このように考えているところでございます。

 先般も、大臣から、完全施行に当たって、本法の施行の状況をしっかり注視するようにという指示も政務三役は受けているところであります。委員の御発言、御指摘も受けて、しっかりと小規模零細企業の方々の資金繰りに万全を期すよう、景気対応緊急保証やセーフティーネット貸し付けといった資金繰り対策を着実に実施してまいりたい、このように考えているところでございます。

梶山委員 この完全施行について、例えば経産省の立場、中小企業庁の立場、そして大臣、副大臣、政務官の立場として、待ったをかけるつもりはありませんか。

近藤大臣政務官 大変心配だという御懸念は十分承っております。

 ただ、申し上げているとおり、本来、この法律は、借り手が安心して利用できる環境を形成することを目的に全会一致で成立した法案でございます。その法の目的にきっちり沿うように実行するのが我々の役割だろう、このように考えておりますので、万全を期したい、このように考えているところでございます。

梶山委員 原則と例外というものはあると思うんですね。決めたから全部やらなくちゃいけない、そのために犠牲になる人はやむを得ないということでは、私は、日本の中小企業、中小零細企業というのは成り立たないと思っております。

 本当に、例えばその日に駆け込んで手形が落ちなかった、手形の商売をしていない方はなかなか実感がわかないでしょうけれども、相手の手形が落ちなかった。また、手形を使っていなくて期日現金ということで入金なんだけれども、夕方になって、やっぱりちょっとあと一日待ってくれよというような話が来た。そのときに、自分はどうしても払わなくちゃならないという立場だったときに駆け込むところがあるかどうかということなんですよね。それに対して、今度は、書類を書いて、今からどうするという話になるのかどうか。

 そして、今までそういうことをやっていた人は、合法の中で、法律に守られた中でやっていたんですけれども、例えば貸す方ですよ、高利貸しと言われる人たち、個人で高利貸しをしている人たちもいます。でも、やはり法律に触れるのであればやめようということで、やめていく方が大変多いと聞いております。そういったことが町の活力というものをなくしたり、地方の活力というものをなくすことにつながるんじゃないかなということを思っています。

 実態調査も含めてやって、それで大丈夫だという自信を持ってやられるのなら、いいでしょう。でも、そうでなければ、少し待ったをかけるぐらいの思いを持って取り組んでいただきたいなと思っていますけれども、それについて大臣からちょっとお答えをお願いします。

直嶋国務大臣 今の梶山先生の議論も含めて、当委員会でもたびたびこの問題は議論されています。したがいまして、私自身も非常に難しい問題だなという認識は持っています。

 ただ、今例に挙げられたケースとは別に、別のところではさまざまな形で大きな問題が生じてきて、そしてこの法律の改正につながったということは事実でございます。したがって、やはりそういう経過もきちっと踏まえながら対処をしていかなければならないというふうに思っています。

梶山委員 多重債務者がふえて社会問題化した、そして、このことによってこういった課題が出てきたということも承知しておりますし、我が党でもこういう議論はしました。最終的に、多重債務者の救済ということを考えればやはり全会一致だなということになったわけですけれども、どうしてもそこの部分の疑問が残るんですね。

 そして、この高利というのは、数日間借りる、やはり日歩何銭の世界なんですよ、年利何%の世界じゃないんですよ。一日当たり百円借りて何銭だ、だから百万借りて幾らだという世界なんですよ。そういうルールが守られてきたからこそ、今、日本の商売というのがそれぞれで成り立っているということでもあるんです。

 そして、今、金融機能というのはだんだんだんだん弱体化しているんですね。銀行じゃなくてもいいんです。昔は問屋さんが金融機能を果たしていた。そういったことが、今度は、直接の売買になって、そういう金融機能をこなすところがなくなってしまった。そのことによって、小売業とか小さな商売をやっている人は撤退せざるを得ない、そこの市場から退場せざるを得ないということが起きているということであります。

 その辺に詳しい増子副大臣からも一言お答えをいただきたいと思います。

増子副大臣 お答えいたします。

 私も中小企業の経営をやってまいりました。資金繰りほど大変なことは経営者としてありません。梶山先生おっしゃるとおり、今目の前に、すぐ支払いしなければいけないお金が不足しているというとき、どうするか。こういう経験をしている中小企業、小規模零細企業はたくさんあると思います。目の前のことを考えると、駆け込むところがあれば大変ありがたいと思っています。

 しかし一方、私の経験からすると、これを繰り返しますと、麻薬のようになってしまって、ついなれっこになってくる。そうすると、これが、少しずつ傷口が大きくなってくるということも事実でありまして、それによって、結果的には大変な結果を招くということも、いっぱいそういう例を私は実際に見ております。

 そういう意味で、今回の改正を完全に実施するということ、大変厳しい結果かもしれませんけれども、私はやはり、こういうことはきちっとした方が、中長期的に見れば経営者にとってもいいのではないだろうかと。

 そういう観点から、逆に、一般市中金融機関、特に地域経済、中小、小規模零細企業に密着している信組やあるいは信用金庫、こういう方々を中心として、もう少し柔軟性のある、そういう対策に応じてもらえるような体制も私たちはこれからつくっていかなければいけないのかなというふうに私自身は思っております。

 いずれにしても、中小零細企業というものが日本のこの経済を支えていく底辺の一番大事なところでありますから、こういう方々が苦しまずに、安心してしっかりと頑張っていけるような体制をつくっていきたい。と同時に、今回の改正、大変つらいですが、私はやはり、きちっとこれは実施していくことの方が、むしろ、長い目で見れば、中小零細企業にとっても結果的にはいいことになるのではないだろうか、そんな気がしているところでございます。

梶山委員 信金、信組というのは金融検査の対象になって、やはりそういったものに対する是正をさせられているわけですね。それで、なかなかやはりべた貸しという、ずっと貸したままのものができなくなる、そのことによって金繰りが苦しくなるという循環がこの数年間起こってきたと思っております。

 信金、信組にその役目を投げるのではなくて、それであれば、商工会、商工会議所、保証協会、また公的な機関、そういったもので当面経過を見守る、監視するための経過措置としてどうするかということを打ち出してもらえれば安心をするのではないかなと思いますけれども、御検討いただけますでしょうか。

増子副大臣 今、梶山先生からお話があったこと、私どもとしても検討を少しさせていただきたいと思っております。

 いずれにしても、中小零細企業がしっかりと事業ができるような体制をつくっていくことが私どもの大変大きな責任であり、使命だと思っております。これは与野党一致してしっかりと頑張って取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

梶山委員 わかったとは言いがたいんですけれども、次の課題に移らせていただきます。

 次の課題は原子力に関してなんですけれども、今温暖化対策ということで、原子力をきっちり推進していこうということで政府の中でも意見が一致をし、そして国の中でもそういう方向性で進もうとしているところであります。

 これはもう何度も予算委員会等で確認をしていることですけれども、今連立政権に加わっている社民党さん、マニフェストの中での表現は「脱原発をめざし、核燃料サイクル・再処理を中止します。プルサーマル計画に反対します。」ということを書かれて、これを撤回していないんですね、撤回をしていない。しかしながら、内閣の一員である以上は内閣の方針に従いますという福島さんの言葉も聞いております。

 そういうことで、内閣が一枚岩になって進めていくという認識を経産大臣はお持ちだということでよろしいかどうか確認をさせてください。

直嶋国務大臣 鳩山内閣の方針として、安全性の確保を重要視しながらということでありますが、それを前提として、原子力については推進をしていくという立場でございまして、そのことは何度も明確に申し上げているとおりでございます。

梶山委員 その前提で議論を進めたいと思います。

 鳩山総理が、原子力の推進体制と規制の体制、一つの屋根の下にいるのは少し違和感があるということで、これについては見直していかなくちゃならないというような表現をされたと思います。そして、参議院の予算委員会においては、もっと一歩進んで、「もう前向きに推進すると言って四か月たったということでございます。」「これはやらなければならない話であります。」という表現までされているということであります。私どもも、原子力に関してはいろいろな議論を重ねてまいりました。これは、安全面を強調して、社民党の委員の方に対する答えであったと思っております。

 私自身の持論は、信頼性、やはり国民に信頼してもらうためには、一つ屋根の下に推進と規制がいたのではおかしいのではないかな。自分たちは大丈夫だよと言っても、それはきっちりと分離して、それぞれの役割を果たして、今も機能しているわけですけれども、それでも、やはり何も知らない人から見れば、一つ屋根の下に推進と規制がある、アクセルとブレーキがある、このことについては、どうも信頼できないなと思っている人というのは結構多くいるんですね。

 私は、原子力を進めていく立場として、いずれこういったものはやはり分けていった方がいいんじゃないかなという議論をしたんですけれども、我が党内では少数派でありました。福島の吉野先生等々と私はこういう勉強会を重ねて発言をしてきましたけれども、なかなかやはり受け入れてもらえませんでした。また、これは別の意味で社民党の方の質問に答えているんですけれども、総理がはっきりとこういった断言をしているということでもあります。

 普天間の例を引くまでもなく、やはり総理の言葉は重いということでありますから、このことに対して経済産業省としてどう取り組んでいかれるのか、お聞かせいただきたいと思います。

直嶋国務大臣 御指摘のとおりで、先生がおっしゃるように、推進する方と規制をする側と区分する方が見た目もわかりやすいというのは事実だと思います。それで、鳩山総理も、そういうことも踏まえて、先ほどおっしゃられたお答えをされたと思っています。

 ただ、私は、民主党の方で、マニフェストじゃないんですが、政策集の方にそういう記載もさせていただいておりまして、いずれにしても、原子力の安全性を確保する上でどういう体制がいいのかということと、もう一つは、やはり国民の皆さんの御理解を得るということも含めてこの問題は整理をしていかなければいけないというふうに思っています。

 ただ、ちょうどことしで例のジェー・シー・オーの事故の十年目になるわけですが、この原子力の安全規制については歴史的な経緯がございます。今の体制は、そのジェー・シー・オーの事故を契機に今の仕組みができたわけでありまして、なかなか御理解いただけないんですけれども、規制は、いわゆる原子力安全委員会も含めてダブルチェックシステムになっているということでありまして、保安院と安全委員会とのダブルチェックの仕組みをつくった、それで十年経過したということでございます。

 したがいまして、これまでの経過でどういうことをやってきて、そして、今の仕組みの結果としてどういう問題があるのかということを今整理しているところでございます。さらに、それに加えまして、諸外国、特に原子力発電に取り組んできたヨーロッパやあるいはアメリカの規制の仕方も含めて今議論をしているところでございまして、この議論を整理する中で答えを見出してまいりたい、そのように思っております。

梶山委員 この総理の発言に対して、原子力の立地地域は敏感に反応しているんですね。新聞記事を持ってきましたけれども、福島県、新潟県、茨城県、茨城の東海村ですけれども、そして、市町村のみならず県議会も、そうあってほしいというような発言もあるし、また増子副大臣の談話も出ている記事もございました。

 やはり地元で信頼を重ねていくというのは結構大変なことでして、国のお墨つきといっても、結局は同じ屋根の下で実務的には全部やっているんだろうというような見方をされてしまいます。その一方でまた、今度は規制が過剰で、これではとてもとてもやはり設備稼働率は上がらないねというものもあるわけでありまして、その辺も含めてやはりもう一回見直すべき時期に来ているんじゃないかなという気がいたします。

 三十年を超える高経年化をした原子炉がたくさん出てまいりました。六十年までいけるという前提で今補修をし、そしてまた使っていく、さらにはまたリプレースということで、その地にするのか新たなサイトを選ぶのか、そういったことも出てくるわけでして、この信頼というもの抜きには新しい原子炉の建設はやはりなかなか難しいんじゃないかなと、現実の問題として感じております。

 ですから、全般をもう一度、今までのままでいいというのであればそれも一つの結論として、やはりもう一回全部レビューしてみる、検討し直してみるということが必要なんじゃないかなという気が私はいたしますし、原子力の立地地域というのは、逆に、都会の人たちから見ると、交付金漬けになっているとか、そういう見方をする人たちもいる。でも、その立地地域の人たちにすれば、一々、何かしら事故があったとき、ささいな事故であってもやはりどきどきしながら暮らしているというのが現実であります。

 ジェー・シー・オーの事故も、私も、十キロ圏内、実質には七、八キロですから、戸を閉めてじっと家にいたわけでありますけれども、その間の情報が何も知らされないということで、大変不安な思いをした記憶がございます。それから防災無線も全戸につけましたし、また避難道路も拡充をした、またさらに県単位の避難訓練もしているということで、何があってもいい体制は逆にできてきたとは思っていますけれども、残念ながら、何名かの犠牲者の方が出たという痛ましい事故であったわけであります。

 ですから、規制はきちっとしなくちゃならない、そしてその上で信頼を得てつくっていく。そして、できれば別な信頼を得ることが皆さんから見てもっともだなということになると、もっと迅速にリプレースや新規の立地というものができるのではないかなと思っているわけでして、そういう観点から、ぜひ前向きに、いろいろなこと、原子力にかかわることをもう一度見直していただければなと思っておりますが、一言、どなたかお答えをいただければと思います。

直嶋国務大臣 先生御指摘のように、これから我々は原子力発電を推進していこう、核燃料サイクルも含めてやっていこうというふうに思っているわけでありまして、それを推進していく上でも、今、一つの、ちょうどそういう過渡期といいますか見直す時期に来ている、安全体制についてもそういう議論を改めてしてみる、そういう機会だというふうに思っております。したがいまして、先ほどもああいう答弁を申し上げたわけでありまして、決して今の体制でいいということを申し上げているわけではありません。

 ただ、過去の経緯の中で申し上げますと、例えば、保安院の位置づけについても、従来はエネルギー庁長官の指揮下にあったわけでありますが、既にそれを大臣直轄の形に改めたり、小さな工夫はしているわけです。しかし、国民の皆さんから見るとそれがなかなか目に見える形でわからない、こういうことではないかと思っていまして、私は、そういう面も非常に大事だというふうに思っていますし、各地方の知事さんを初めとして、いろいろな方から御意見をちょうだいしておることもよく承知いたしております。

 したがいまして、先ほど申し上げたとおり、これまでの経緯も含めながら改めて整理をして、その上でどういう方向に行くかという結論を出したいというふうに思っておるところでございます。

梶山委員 それでは、次の課題に移りたいと思います。

 同じ原子力で、先般、UAEで売り込みをしましたけれども、残念ながら、日本は売り込むことができませんでした。このことをとらえて、日本の体制がよかったのかどうかということを言われているわけでありますけれども、よく調べてみますと、直嶋大臣も皇太子に親書を持っていかれたということも聞いておりますし、社会資本整備についていろいろな条件も出しているという書類も見せていただきました。

 韓国においては、海外のプラント、プラントとして引き受けるのは初めてのことであり、どうしてもとりたいという強い意思があって、かなりのダンピングをしたと聞いております。ですから、そこまでダンピングをして、価格競争だけで日本がとるのがいいのかどうかというと、今回はいい反省材料として、これからの日本のコンソーシアムをどう組んでいくかということをもう一度練り直していく必要があると思います。

 また、十電力あるわけですけれども、電力が、どうしてもやはり今までの知見、データがあるわけですから、そういった電力の皆さんにも協力をいただきながら、日本には世界で一番安全な原発のシステムの売り込みというものをしていただきたいなと思っているんです。

 ただ、電力においては、それぞれの電力において原子炉の型が、PWRとBWRの違いがあるわけであります。一番大きな電力の東電さんはBWR、そして世界的にはPWRを大体皆さん売り込むということでされているということであります。

 ですから、そういった双方の知見を、会社と会社のつながりもあります、アメリカとの会社のつながり、フランスとの会社のつながりもそれぞれ重電メーカーにはあるわけですけれども、国として、それこそうまくそういう知見を組み合わせて、先ほどの産業革新機構じゃありませんけれども、そういったものがつくれないかなと思っている一人でもあるわけであります。

 先般のUAEの入札について、売り込みについて、話せる範囲で、こういう努力をした、こういう条件も出した、こういうくらいの金額の差があったよ、韓国は向こう六十年のファイナンスを政府がしたという話も聞いておりますけれども、それらも含めてどうだったのかという評価を大臣の口からお聞きしたいと思います。

直嶋国務大臣 このシステム輸出について、我々と同じような問題意識を持ちながら今発言されているなというふうに私は受けとめておりまして、今後ともよく議論もしながら、日本の将来のために推進をしていきたいというふうに思っています。

 UAEの件について、余り細部のことは申し上げにくいわけでありますが、私の判断として申し上げますと、政府としてもやり得るあらゆる努力はした。

 私自身も、今お話あったように、先方の殿下とお目にかかって、いろいろ御説明させていただいた。そのときは、この問題だけではございませんで、大臣として初めてUAEへお邪魔したものですから、さまざまな懸案も含めてお話をさせていただきましたが、このこともその中で話題になったことは事実でございます。

 そういう努力をしながら結局とれなかったということでありまして、ちょうどウォンが非常に安くなって、為替レート的にもあちらの方に風が吹いていたということは事実だと思うんです。

 ただ、その経過を見る中で、私どもとして反省をしなければいけないのは、果たして我々の側、日本の企業が先方のニーズにきちっとおこたえできる形で提案ができたのかどうか、あるいは、交渉の中でのやりとりについても、それを迅速に反映することができたのかどうかということについては、やはり反省をしなければいけないというふうに思っています。

 原発の運用経験のない国に原子力発電システムを売り込んでいくということになりますと、やはりその運用でありますとかあるいは燃料の今後の確保でありますとか、さまざまな部分についてノウハウを持っているところがきちっと、協力をいただくというよりも、むしろそういうところが主体になるぐらいのつもりで加わっていただいて、日本全体としてのシステムをきちっとつくって提案をしなければいけないというふうに私は思っていまして、今その努力をしているところでございます。

 それから、PWRとBWRのお話もございましたが、あらゆるものに対応できるという意味では、これは日本の強みだと思っているんですが、では、いざ最終的に選択をすることになると、国の中にライバルがいるということにもなるわけであります。今後具体的なビジネスの案件の中でこれを強みとしてどう生かしていけるかということはきちっと考えていかなきゃいけないというふうに私自身も思っておりまして、今、そのことも含めて、新たなシステムづくりに向けて議論をしているというところでございます。

梶山委員 ありがとうございました。

 原発の売り込みだけじゃなくて、今後、やはり環境を考えた場合には、再生可能エネルギーもうまく使わなくちゃならない、そのためにはまたスマートグリッド、スマートメーターというようなものも取り入れていかなくちゃならない、それらがまた、それぞれの電力にデータや知見が積まれているということですから、うまくこの辺を国として、力を発揮できるようなシステムをつくっていただければなと。このことがやはり我が国の国際競争力、これまで国内で実証をしてきたシステムでありますから、それについての国際競争力につながるものだと思っております。

 今申し上げましたように、やはり環境の話というのは原子力と再生可能エネルギーということになるわけなんですけれども、忘れてならないのが化石燃料ということでもあるんですね。

 脱炭素、ですから脱化石燃料化ということで、今度、次の法案が出てくる、この場ではありませんけれども、出てくると伺っております。それは、だれもが同じ思いを持って省エネをし、また二酸化炭素が出ないような努力をしていくということであります。

 日本の国は、残念ながら資源がありません。原子力を除けばエネルギーの自給率は四%ということが言われております。ですから、いかに海外の資源を獲得するかということで、これまで、民間の商社もそう、石油の会社もそう、そして国もそう、後押しもしながら、それぞれの役割分担をしながら腐心をしてきたわけであります。

 その中で、今回、地球温暖化対策基本法案というものが閣議決定をされて出てくるわけなんですけれども、その中に脱化石燃料化という文字が目的のところにあるんですね。脱化石燃料化ということを国としてうたってしまっていいものかどうか。

 原油が非常に高くなりつつあります。百ドルに届こうかというところまでまた参りました。そして、省エネ、例えばハイブリッド車、電気自動車、そういったものが出て、石油各社は、減産体制、スクラップを真剣に考えて、今企業の方針というものを決めつつあります。

 さらにはまた、石油というのはバランス商品ですから、精製する過程で出てくるものがうまくそれぞれに売れなくちゃならないということですけれども、一つでもバランスが崩れると、在庫がたまるということで、会社の経営を圧迫するということにもなるわけでありまして、これから資源を獲得していくために、私は、こういった言葉はもう少しやわらかく書いた方がいいのではないかなという気がいたします。

 というのは、やはり日本が買う力をなくしてしまうんじゃないかなという心配があるわけであります。量も少なくなってきた、そして、国として脱化石燃料化ということをうたっているということになれば、やはり売る側は将来にわたってきちっと買ってくれるところにいい値段で売るということになろうかと思います。日本が幾ら言っても、将来買ってくれないのであれば、なかなか権益も譲ってもらえない、そしてそこでの開発事業もできない、また、原油を買うこともできない、買おうとすれば高値につり上げられるということにつながると思うんです。

 これはいずれまた別の場で議論をすることなんですけれども、言葉で揚げ足はとりませんから、この言葉について大臣の感想を聞かせていただきたいと思います。

直嶋国務大臣 法律の中での議論で申し上げますと、脱化石燃料という言葉は、必ずしも石油を初めとする化石燃料を使わないということを意味するものではないということを定義したように記憶をしております。このところについてはまた法案の御審議の中で、ちょっと私も今法案を手元に持っていませんのでお答えできないので、そういう考えでその文言は使ったということを申し上げたいと思います。

 それから、先生御指摘のように、これからCO2対策をやっていくわけでありますが、基本的に環境とエネルギーの問題というのは、まさにコインの表と裏の関係で、イコールだというふうに私はとらえております。やはり化石燃料を効率的に使っていくということと、先ほど来御議論の原子力発電でありますとか再生可能エネルギーというものも、どれかを選ぶのではなくて、すべて上手に使っていくということで初めてこういう目標は達成し得るものだというふうに思っていまして、御指摘のとおり、化石燃料もまだその中心でありまして、これからも必要だという考え方を持っております。

 そういう中で、環境対応というのはやはり、もうちょっと突き詰めて申し上げますと、特に大きなエネルギーを消費します電力を、いかに効率よくCO2を排出しないように発電して、かつ、それを系統的にというかシステム的に効率よく使っていくかということが一番大事なポイントでありまして、そういう意味で、送配電の中で申し上げますと、スマートグリッド等をできるだけ早く、より有効なものを開発して実用化しなければならないということで取り組んでいるということでございます。

梶山委員 これはこれからいろいろな場で議論をされることだと思いますけれども、成長の活力をそいでしまうような法律であってはならないと思いますし、ロードマップであってはならないと思っております。それは、私どもが政権を担っていたときも族という言葉であらわされていたかもしれませんけれども、経産省側はやはりきちっと、国の成長力を阻害するものじゃないような形でやる、しかも、環境という面も当然頭に入れてバランスのとれたものにしていくということだと思っております。少し経済産業省はおとなしいような気がしますので、ぜひ大きな声を出してこういったものを、正論は正論としてきちっと言っていただきたいなと思っております。

 先般、ある大手企業の方とお話をする機会がありました。環境やまた成長戦略について御意見を伺う機会であったんですけれども、その方が冒頭に言ったのは、我が社は九〇年比三〇%以上二酸化炭素を減らしましたと。それは立派ですねと言いました。どうやって減らしたと思いますかと。工場を海外に移しましたということでありました。

 これは、やはり日本の国内では、世界展開している企業というのは、なかなか競争力を持った製品をつくり出すことができなくなってきているんですね。しかも、日本はもう大体絞りに絞って、よく例えで使われますけれども、乾き切ったぞうきんをまた絞っているようなもの。そして、これから国際競争力もつけろ、成長戦略も考えろというと、手足を縛られておもりもつけられて、オリンピックに出て世界新記録をねらえと言われているようなものだと私は感じております。

 ですから、余りにも教条的にならずに、そこはよく、やはり経済産業省の目として、雇用がつながっているんだ、そして日本の税収というものもつながっているんだ、そしてこれからの将来、未来の世代にもつながっているんだという思いでこの議論はしっかりとしてほしいんですね。

 ところが、やはりロードマップ、私たちにも情報は来ましたけれども、何周かおくれの情報かもしれません。もう新しいものが皆さんの手に届いているのかもしれませんけれども、環境大臣試案なるものが届いております。本当にこんなロードマップで大丈夫なの、経済産業省は何も口を挟まなくて大丈夫なのというような内容だと私は思っております。

 そのロードマップの中身、それぞれの分野についても見させていただきましたけれども、企業の事業計画のようなことまで書いてある。果たしてその企業が本当にそういう形で国内でやっていけるのかどうか。そういう設備更新をするときに費用もかかる、また、環境にもいいんですけれども、それであれば海外展開しようかなというようなことも考えてしまうかもしれない。

 ですから、グローバルサプライヤーからグローバルプレーヤーになりたいというような話をもう企業はしているわけなんですね。皆さんに供給するよりも、世界各地で、その場その場で生産をしていくことを考えているということを、おどかしじゃなくて、私はこれは真実だと思っております。

 先般、平議員と増子副大臣の間でも議論がありましたけれども、これはやはり聞こえてこなくちゃおかしいんですね、経産省で。聞こえてきたらそれなりに対応していく。そして、どうしたらいいのかということを内閣で話し合ってもらうために、経産大臣、政務三役が声を出していくということだと思っております。

 鉄鋼にしてもそうであります。鉄鋼も、やはり日本の鉄鋼製品は大変すぐれておりますから、今のハイブリッド車の鋼板として使われている。また、これからの環境の開発にもやはり日本の鉄というものは非常に期待をされているわけでありますけれども、どんどんどんどんそれらができない環境になってしまうということもあります。

 また、先ほどの韓国の例を引くまでもなく、韓国の企業というのは結構世界で頑張っているんですね。これは、けがの功名と言ったら怒られるかもしれませんけれども、アジア通貨危機のときに企業が集約をされた、そして自動車は一社になった、また鉄鋼もPOSCOが大きな形になった、またサムスンも電子機器で世界で頑張れるような規模になってきた。それには、やはり国内の一社当たりの市場規模というのが非常に大きくなっているんですね、韓国の企業は。

 日本は六社も七社もある。そして、海外から海外の資本が、スティールのようなところがMアンドAだということで押しかけてきたりする。また、自分たちの自己防衛というか、市場が小さくなってきますから、当然今度は合併をしようということで、この前のサントリーとキリンじゃありませんけれども、やってみるけれどもいろいろな障害がある。それは社風とか文化の違いもあるかもしれませんけれども、そこで障害になっているのはやはり独禁法ではないかなという気が私はいたします。

 企業結合のときの指標の部分、これらについては公正取引委員会が主管でありますけれども、主管大臣も違うと思いますけれども、産業政策としてどうしていくのかということをやはり経済産業省から力強く発信していかないと、グローバルプレーヤーとして活躍できる企業がなくなってしまうのではないかなと危惧しております。この件についての御意見を伺いたいと思います。

近藤大臣政務官 委員の御指摘、一つ一つしみ入るといいますか、ごもっともというふうに聞かせていただきました。

 とりわけ、環境省の大臣の試みの案として示された案でございます、試みの案で示された案でございますから、特段、我々として事前に御相談にあずかったわけではございませんから、その案について省としてきちんとコメントする立場にはないわけであります。

 しかしながら、世の中に出ているわけでございますし、きちんとそこは政府全体として成長戦略と整合性のとれた形でつくり上げていかなければならない、このような認識であるわけでございます。エネルギー基本計画も現在策定中でありますし、そうした中で、成長に資するものとしてロードマップというものを政府全体で形づくっていかなければいけない、このように考えているところでございます。

 また、競争政策についてのお話でございましたが、これは一般論として申し上げれば、まさに企業が自由に、もちろん消費者の利益は重要でありますけれども、世界標準の形でそうした企業結合ができるような形になるというのは重要なことでございますということだけにとどめさせていただきたいと思います。

梶山委員 先ほど、韓国の企業が集約をされて、アジア通貨危機の際にそういうことになったという話をしました。半導体であればサムスンとハイニックスになった、自動車であればもうヒュンダイだけになった、また鉄道車両であればヒュンダイロテムという会社だけになったということでありますけれども、日本はちょっと多過ぎるなという気もします。でも、まあ日本が得意な分野はいいとは思うんですけれども。

 これはちょっと聞きにくいんですけれども、自動車業界は、大臣、多いと思いますか。それとも集約した方がいいと思いますか。

直嶋国務大臣 御指摘のように、自動車はちょっと別におきましても、韓国は、基本的にそういう一社ないしは二社の体制をつくって、国内のマーケットを武器に、政府の応援も得ながら大きな発展をしているということは事実でありまして、我が国も、企業のあり方として、ではこれからどういうことが望ましいのかということはきちっと見直していかなきゃいけないと思います。

 それからもう一つは、やはりその際に、日本の企業の、いわゆるビジネスモデルと言われていますが、これまでのやり方が本当によかったのかどうか、これからどうすべきかということを見直していきたいと思います。

 それから、御指摘の自動車について申し上げますと、今の状況は、日本国内でどうするかというよりも、それぞれ今やっていますので、むしろ世界的な規模で全体の再編が、再編といいますか提携関係が実行されつつある、そういう認識を持っているということを申し上げたいと思います。

梶山委員 済みません、もう一問だけお願いをしたいんです。

 税に関することなんですけれども、税というのは、増税、減税あるわけでありますけれども、特に租税特別措置などは、特権をつくるというよりも、やはり国の富を生み出していくためにどうしたらいいのかということで知恵を出すものだと思っておりますし、我々もそういう教えを受けながら年末の税調というものをやってきた記憶がございます。

 ですから、今までやってきたものの中でも、減価償却制度を大幅に改善した、また研究開発税制をどうするか、こういったものは今の体制であっても考えていただけると思うんですけれども、ちょっと新聞記事で気になることがあったので、確認をしておきたいんです。

 法人税の下げというのは、これは大方がやはりそういうことを考えているということで、政府、菅さんたちも、財務大臣も言っているということを聞いております。一方で、これはもう収束した話かもしれませんけれども、総理が内部留保課税を検討するというようなことも言いました。これは相反することなんですね、競争力ということで考えると。

 ですから、こういったことについて経済産業省でひとつ考え方を、方向を示していただきたい。税に関しては財務省かもしれませんけれども、やはり経済産業省として、成長戦略、国際競争力をつけていくためにどうしたらいいのか。

 そして、皆さんが言うには、公平なグラウンドに立たせてくれ、野球をするのに、片方はでこぼこ、片方はきれいな芝生でやるんじゃなくて、やはり我々も同じ条件で戦わせてくれということでありますから、そういったものも含めて、内部留保課税は全然取り上げるに値しないことだと思うんですけれども、法人税に関しては、やはり積極的に進めていかないと海外に企業が出ていってしまうということになりますので、ぜひ御一考願いたいなと思いまして、最後に一言いただいて、これで質問を終わりにしたいと思います。

直嶋国務大臣 法人税については、税としての議論はいろいろあるんですが、私は、基本的に、これから日本は成長戦略を実行していかなきゃいけない、その成長戦略を実行していく上で、企業のビジネス環境として、今の税も含めて我が国の状況はどうかという目でチェックをしていきたいと思っています。

 企業にとっては、今の日本のこの状況は決してよくないと思っています。コストも高いし、税金も高いということは事実だと思っていまして、そういう視点で政府内でもこれから積極的に議論していきたいというふうに思っています。

梶山委員 ありがとうございました。終わります。

東委員長 次に、平将明君。

平(将)委員 自由民主党の平将明です。よろしくお願いをいたします。

 ちょっと冒頭お願いしたいんですが、大臣に質問しているときに、近藤大臣政務官が手を挙げて強引に答弁に立つということが目立ちますので、政務三役で役割分担があるのはよくわかっておりますが、その際は大きな議論を大臣としていますので、大臣から、細かい数字は大臣政務官から答弁させますと言っていただければ、では、政務官お願いします、もしくは結構ですということを言いますので、余り出張ってこないようにお願いをしたいと思います。

 あと、今、梶山先生から御指摘ありましたところをちょっとだけ引き継ぐと、これはぜひ経済産業省もしくは経済産業大臣としてお願いをしたいのは、やはりビジネスの世界で生きている人たちから見ると、どうも、鳩山政権は経済がわかっているのかなという心配があるんですよ。例えば、法人税減税すると言ってみたら、いきなり、共産党さんから内部留保金課税を検討してくださいと言われたら、検討しましょうみたいなことを平気で言っちゃうところ、そういうところはぜひ中で声を上げていただかないと、内部留保金ということがわかっているのかなとすら思いますので、ぜひそれはお願いをしたいと思います。

 それでは、質問に入っていきたいと思います。

 きょうは時間が余りありませんのでぱぱっといきたいと思いますが、私、毎回質問に立ちますので、納得いかなかったら何回でもやりますので、よろしくお願いをいたします。

 まず、貸金業法、これは引き続きですけれども、梶山さんからもありました。私は、ずっとここ何回か、具体的な問題点を指摘しています。それに対して、運用で何とかするとおっしゃっている。しかしながら、多分この議論を通じて、運用で何とかならないということはもう明らかだと思います。

 この間、大阪府の調査結果を見てほしいと。そのときはまだ発表していませんでしたが、たしか大阪府は、やはり一定の役割を果たしていると。結局、規制強化によってやみ金に流れてしまっているという現実が浮き彫りになったんだと思います。

 今、さまざまな議論をして、全会一致でやったんだから、全会一致で決めた法律だから、その法律のとおりいくんだと言っておりますが、これだけ問題が明らかなのに、しかも、絶対にこれは六月にやらなければいけないという時間的な、それは決めたスケジュールはそうかもしれないけれども、社会的要請がないにもかかわらずやるということですが、今までさんざん議論、また、小耳に挟んだところによると、民主党の中でもこれに対しては現場を直視した非常にまともな意見がかなりたくさん出ているやに聞いております。やるんですか、本当に。

田村大臣政務官 前回と同様の答弁でございます。やります。委員が御指摘のような混乱がないように運用面で最善を尽くしたいと考えています。

平(将)委員 子供の答弁じゃないんですから、ないようにということではなくて、こうこうこういう手だてをしますから大丈夫ですという答えをいただかないと、ああ、そうですか、信用しますという話にはならないんだと思います。

 もう何かすごい官僚答弁ですよね、皆さん。我々自民党のときは、霞が関の上に乗っかって、官僚答弁じゃないかとよく批判をされました。私も、そうだな、官僚答弁だなと思うこともたくさんありました。そういう政治を変えようとして政権交代をされたんだと思うし、そういう期待を背負っているんだと思うんですよね。だから、全会一致でやったからとか、だからやるんだ、スキームは変えませんと。

 これは、あれですか、亀井大臣だからできないんですか、大臣政務官。

田村大臣政務官 四年前の改正時にも、まさに、委員がずっとおっしゃっているような御懸念に関しては、そういう意見も当時からありました。

 そういう中で、当時はさまざまな空気もありますし、最終的には、全会一致はともかくとして、今回の総量規制そして金利の引き下げということをやるのが適切だという判断をしたわけですね。そして現在に至るわけですけれども、その懸念の声というのは当時よりはふえているんだろうというのは私も実感をしております。そして、民主党内でもそういう意見もあります。

 ただ、全体で見た場合に、要は、委員がおっしゃるように、全員が全員、委員と同じ意見で、明らかにおかしいというふうには私はなっているとは、私はというか、金融庁としてもなっているとは思っていません。それは、懸念がある人は声を上げているけれども、ただ一方で、やはり完全施行すべきだと主張している人もたくさんいらっしゃるわけでございまして、そこはまさに総合的判断として完全施行すべきという判断をしています。

 その中で、まさにそういう懸念を払拭できるように運用面では最善を尽くすとともに、もちろん貸金業の範囲以外でセーフティーネットとか、他省庁とも連携をしながら、さらにそういう対策を強化していくということを考えているわけです。

平(将)委員 四年前の議論もよく理解をしています。

 実際にこれがこの六月からやることが決まって、そのときから世の中が動き始めたわけですよ。いわば社会実験のようなことがこの四年間で段階的な規制強化で行われていたんです。その結果、その当時の議論と実際に出てきた現象は、思った以上に深刻だということが多分わかっていると思うんですよね。にもかかわらず、それを強行する、その理由がよくわからないですね。

 もう一つは、セーフティーネット、やったらいいと思いますよ。だから、それは、総量規制を入れます、上限金利を制限します、当然ビジネスとしてとれるリスクは狭まりますね。これは当たり前ですね。そのときに、民間業者、民間企業、民間金融機関はとれるリスクが少ないんだから、当然融資は縮小をする、当たり前の話ですよね。

 では、それをどういう公的手当てで補完するんですか。それは具体的に政策を示してくれないと、賛成している人がとか、反対している人がとか、頑張りますとか、何とか運用でそういうことがないようにしますじゃなくて、政策として、民間のマーケットが減ります、そこからやみ金に行かないように公的にこういうセーフティーネットを行います、そういう政策論を言っていただかないと意味がないと思うんですよ。

 だから、今までの経緯がどうのこうのじゃなくて、目の前にある現実を直視して手を打っていくのが政治じゃないですか。継続性というんだったら、まさに霞が関と一緒じゃないですか。今までこうやってやってきましたが、先生、できませんと言ってきたんでしょう。そういう政治から脱却して民主党政権はできたんじゃないんですか。

 もう一つ、僕が最初にやったとき、大塚副大臣が、この人は何にもわかっていないなと思ったのは、では、上限金利を下げます、総量規制も入れますと。彼の問題意識は、今までノンバンクが担ってきたけれども、何でそういうところに大手銀行、メガバンクがやってこなかったんだ、大手銀行の怠慢だ、だから、平さん、アイデアを出してくれと言われたんですよ。

 大手銀行はどうやったらこのビジネスができるんですか。小口ですよ、短期ですよ、無担保ですよ。このリスクをとってビジネスをやるインセンティブはあるんですか。私もいろいろな会社をやってきたけれども、できませんよ。できないものをやれと言う以上は、公がそれなりのインセンティブをつくらなかったらできないですよ。ぜひ、これがどうやったらできるのか。やれと言うのは簡単ですよ。やれと言ったってやりませんよ。

 それともう一つ。では、実際に、この規制強化で、貸金業者のアンケートを見ると、主婦とか事業資金は貸さないと言っているんですよ。なぜなら、リスクが大きいから、手間が大きいから。それは採算が合わなきゃやらないですよ。貸金業者ですらやらないものを、貸金業者は自分で資金調達をして自分のリスクでできますよ、しかしながら、銀行は預金を集めてやっているんだから、そんなもうからないものをやったら、そんな銀行に預金なんか預けませんよ。

 だから、あれやる、これやる、だから大丈夫だ、安心してくれと言っても、全然安心できないですよ。具体的な政策を教えてくださいよ。では、どうやったらメガバンクはできるようになるんですか。私は全くノーアイデアですね。できるとも思っていない。それは、小口、無担保、短期。どうやったらできるんですか。

 それと、実際に、貸金業者は貸さないと言っているんですよ。でも、そうならないようにしますと。では、具体的にどういうふうにやるんですか。気合いでやりますとか、誠心誠意やりますとか、そうじゃなくて、政策で答えてください。

田村大臣政務官 確かに、今委員がおっしゃるように、銀行等の金融機関がそういう無担保の小口の融資というのは余り手がけてこなかった。そういう中で、現在、そういう与信のノウハウがありませんから、現時点においては、確かにすぐに独自にやれというのは難しい。

 そういう中で、現在、徐々に行われてきているのは、貸金業者が保証して銀行等の金融機関が貸し付けるという、ある意味で、貸金業者の与信ノウハウに助けてもらいながらやるということが今行われていて、やはり短期的にはその分野に拡大していただくとともに、中長期的には、銀行等金融機関にも独自のノウハウというのをちゃんと得てもらって、そういう分野にも進出、そういう分野をより拡大してもらうというふうに金融庁としては考えていますし、それはPTの報告書にも書いてあるところです。

平(将)委員 では、ちょっと基本的な質問をしますけれども、貸金業者の保証料は借り手が借りるときに金利の中に換算されますか、されませんか。

田村大臣政務官 それは換算されると思います。

平(将)委員 そのとおりですよ。

 トータルの金利を下げてきているんですよ。では、大手銀行が貸しますと。リスクは変わりませんよね。今の話は、ノンバンクが全部一社で受けていたリスクを、では、銀行が原資を出します、ノンバンクが保証しますと。でも、トータルでとれるリスクの上限は一緒じゃないですか。それでどうやってやるんですか。

田村大臣政務官 いや、そこは、まさに現在日本の金融機関が手がけていない、将来的に期待をしているという話ですので、実際、ヨーロッパとかでは、例えばフランスあるいはドイツでは、銀行のような金融機関もそういった分野を手がけているというふうに承知をしておりますので、そういった姿を期待しています。

平(将)委員 だから、この間も言ったけれども、フランスやドイツは、保証料は上限金利の中に入っていないんですよ。日本は入っているんです。だから、今大臣政務官が言ったビジネスのスキームはフランスやドイツはできますよ、だって金利の外に保証料があるんだから。言っている意味がわかりますか。わかりますよね。だから、こうやったらできるんじゃないかという、ビジネスの現場を知らない人が思いつきで、だから大丈夫ですと。でも、今現実にないでしょう。やったってできませんよ。新銀行東京をつくるときにこれは失敗するなと私は思いましたけれども、自民党は余り悪く言えないけれども、これだって絶対うまくいきませんよ。

 しかしながら、うまくいくかどうかわからない。それはうまくいくかもしれないけれども。何のマーケットもサービスもないのに六月十八日に完全施行するんでしょう。今現実に借りている人には緩和措置はあるけれども、しかしながら、その担い手はいないんですよ。ある日突然金が借りられなくなるんですよ。

 さっき経産省の皆さんが貸さない親切みたいなことをおっしゃっていましたが、私は大きなお世話だと思いますよ。さっきの議論ではないけれども、月末に百万足りなくて、六千円利息を払ってビジネスが続けられるんだったら、それはへでもないですよ。それを、いやいや、その金利は高過ぎます、そんなのは健全じゃありません、だから、あんたも貸しちゃだめ、あんたも借りちゃだめと言って、お上のお世話にならなくてずっと一生懸命頑張ってきた個人零細の商売がそこでとまるんですよ。

 だから、現場を見ましょうよ。これは確かに理屈としては美しい議論なんですよ。それは金利が安いにこしたことはないんだから。それでもビジネスモデルとしてリスクがとれないんですよ。民間の企業がリスクをとれないものを公がやれと言った以上は、公が何かしらの補助を出すなりインセンティブを出さなければやらないですよ。それが民間だから。

 だから、それが何もわからずに、公的金融は用意しましたし、いろいろな拡充をしてきましたよ、でも、現実に民間が担っているのはリアルにあるんですよ。それをあしたからだめだということで排除してしまったら、そこに何かしら公がリスクをとる仕組みをとらなきゃいけないじゃないですか。十の緩和策に公がリスクをとる仕組みがありますか、大臣政務官。

田村大臣政務官 リスクという委員のおっしゃる範囲が明確ではありませんけれども、結局、まさにセーフティーネットを拡充していくという中で、そこは政府が、場合によっては公的資金を何らかの形で利用していくということになりますので、それもリスクに入るんだということであれば、含まれてくると思います。

平(将)委員 では、ぜひセーフティーネットを拡充してもらいたいと思いますが、今まで私が何回も指摘しているような、例えば造園業の皆さんのような、小口、短期、無担保、仕入れ資金が欲しい、今このスキームでやったら民間業者は貸しませんと。では、どこにどう行ったらこの公的スキームで、公的セーフティーネットでお金を借りられるんですか。

田村大臣政務官 金融庁で行いました貸金業制度プロジェクトチームでもいろいろヒアリングをしておりますと、それは全国的ではありませんけれども、地域によっては、商工会とか商工会議所が連携をして、かなりそういった分野にもアドバイスをしながら、ほかのいろいろな金融機関を巻き込んでやっているというケースもあると聞いています。やはりそういったケースをほかの地域にも全国的に広げていくということは、金融庁としてもあるいは政府としても推進をしていかなければいけないと考えています。

平(将)委員 今、金融のリスクの話をしているんですよ。だから、商工会議所や商工会が金を出してデフォルトリスクをとりますと言ったのなら貸しますよ。とらないんでしょう、相談に乗るだけでしょう、紹介するだけでしょう。紹介するところは金融機関ですよね。金融機関ということは、さっき言ったリスクをだれがとるんだという議論の解決に何にもなっていないじゃないですか。できないんだから、経済合理性上。しかも、この低金利でできないんですよ、デフレで。

 これが経済成長して、インフレ二%、三%、多分、成長戦略で名目三%を目指すんでしょう、皆さんは。今デフレですよ。十年間で平均、名目三%を目指したら、今、二、三年は多分だめだろうから、後半の方は四パー、五パーを目指さなきゃいけない、インフレ二パー、三パーを目指さなきゃいけないですよ。これ、どうやるんですか。

 だから、今のは、商工会議所や商工会がアドバイスして成功事例があるやに聞いているという答弁でしょう。どこに行ったらどうなりますか、じゃおれはどこに金を借りに行けばいいんだよという答えではないですね。にもかかわらず、だめだ、そういう金融はだめだといって、国家権力で強制的に禁止するんですよ。一回立ちどまって考えたらどうですか、大臣政務官。

田村大臣政務官 先ほど金融機関と申し上げましたけれども、その中には政策金融機関も含まれてまいりますので、やはりそこは、公的な金融機関もより機動的に対応できるようにしなければいけないというふうに考えています。

 あと、前回も申し上げましたけれども、委員が、ビジネスモデルとしてどうなんだ、あるいはリスクはどうだと。まさにおっしゃることは十分に私も理解をしているつもりでございまして、個人的には、今回の貸金業法について、それを完全施行するというのは総合的判断としていたしますけれども、まさに利息制限法の利率というのはもう五十年以上変わっていないわけでありますので、そこは欧米等を見ても明らかに議論が足りないというふうに考えています。

平(将)委員 結局は準備不足ということなんですよ。だから、四年前にいろいろな議論をしたけれども、いろいろな懸念も表明されました。しかしながら、多重債務者の問題があるからやってみようといってやって、段階的に来たわけですよ。そうしたら、思いのほか、やはり弊害の方が大きいということになってきたわけですね。

 だから、先ほど大臣も、確かに大きな問題はあった、多重債務者の問題はあったと。これは社会問題としてどう取り組むかといった処方せんとして、金利の上限を下げるということと総量規制というのを入れたんですよ。しかし、本当にその処方せんでよかったのか、実は違う処方せんなんじゃないか。

 だから、多重債務者の人にはもっとカウンセリングをして、それは社会保障のところで救ってやったらいいですよ。しかしながら、問題債権は全体の二割でしょう。だったら、残りの八割は規制する必要ないじゃないですか。二割のところに社会保障として手当てをしてあげる。外国なんかは教会がその役割を担っていたりしますよ。だから、処方せんが間違っていたんじゃないかといったことを、しかも具体的な対策がないじゃないですか、今聞いたら。

 だから、私は、これはもう本当に、民主党の皆さん、与党なんだから、党内でいろいろ議論があるやに聞いていますけれども、お願いしますよ。もう大臣政務官にこれ以上言ってもしようがないからやめますけれども、現実を直視してやってくださいよ、本当に。まだ間に合いますから。

 ぜひお願いをして、もう、これは十分ぐらいで終わる予定がここまで来ましたので、次の、もう一つありました、済みません。

 総量規制、三分の一の根拠を教えてください。これもよくわからない。

    〔委員長退席、北神委員長代理着席〕

田村大臣政務官 簡単に申し上げると、平均的な消費者金融の利用者層の一般的な返済能力を踏まえると、収入の一五%を返済に充てた場合に三年間で返済可能な金額というのが収入の三分の一だということであります。

平(将)委員 これもおかしな話で、平均値でしょう、平均値が何で上限になるんですか。思いませんか。平均値でしょう。何で平均値が上限、社会主義じゃないですか、大臣政務官。

田村大臣政務官 そこは平均的な数字を参考にするしかありませんので、やはり全体の総量そして金利を制限するという方向性の中では、それは基準としては平均値を使うしかないということだったんだと承知しています。

平(将)委員 政府は全然だめですから、与党の民主党の皆さんに期待をしたいと思います。

 次の質問に移ります。

 核安全保障サミット、これは大臣に質問をしますが、各国首脳がオバマ大統領と公式の会談をしていく中で、鳩山総理は、食事のときに十分間しか、会話しかできなかったということでした。

 結構この日米関係、政府はどういう見解か知りませんが、野党のみならず、国民の中にも日米関係大丈夫かといった不安の声も私はあると思います。こういった国防にかかわること、同盟関係にかかわること、こういうことというのは経済にかなり大きな影響があると私は思っています。

 経済産業大臣の立場として、日米関係またそれが経済に与える影響、どういう認識をお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。

直嶋国務大臣 日米関係については、私どもも、日米関係というか日米同盟関係といいますかについては、日本の最も基本的な外交の基軸であるというふうに思っています。

 そして、先ほど来議論がありました、日本が成長戦略を実行していく、特に、その中でアジアを中心としたさまざまな国と連携をとっていく、あるいは環境対応のためにこれから連携をとっていく、こういうことが必要なんですが、それを円滑にやっていく上でも、やはり日米安保体制に基づく日米同盟関係というのが基本的な、いわばインフラのような役割を果たすわけでありまして、極めて重要だというふうに思っています。

 今のこの普天間問題の日米経済面へ及ぼす影響ということでありますが、この点については、私は影響はないと思っています。

 日米間の経済関係というのは、もう非常にあらゆる面で相互依存的な経済関係ができ上がっています。したがって、民間中心に非常に強い関係にあるということと、さらに、政府間同士の話も、例えば私の所管のエネルギー、例えば原子力の協力でありますとかあるいはスマートグリッドの実証事業でありますとか、そういった面について、今幾つものプロジェクトが初期の協議から円滑に立ち上がって進行しているということでありまして、今のところそういう影響はないというふうに思っています。

平(将)委員 確かに、日米関係は、経済においても、民間においても非常にかたいきずなというか交流があって、多少のことではすぐに経済に影響が出てくることはないと私も思います。

 しかしながら、あるグローバルに展開する企業の経営者から話を聞いてなるほどなと思ったのは、今グローバル企業が世界に展開をする、特に中国に進出をする、もしくは中国で工場を動かしているといったときに、これは日米同盟や日米関係がいいか悪いかが日米経済にどう影響を与えるか以上に、日本企業が中国と何かビジネスをやる、もしくは中国に進出をしていくときに、彼らは、それは日米同盟がしっかりしているから安心して中国に進出ができるし投資ができるんだということなんですよ。

 ですから、日米関係は、日米の経済のみならず、私は、やはり経営者のマインドをかなり冷やすというか心配をさせるんだと思いますので、彼らもかなり、日本の企業で、やはり国防がベースですから、それで海外へ展開をしているわけですから、そういうところに影響が行くということをぜひ経済産業大臣として、当然御認識いただいていると思いますが、頭に入れておいていただきたいと思います。

 というのも、最初の話に戻りますが、やはりちょっと経済大丈夫かなとみんな思っていますから、総理についてですね、だから、いろいろな懸念を、やはり経済を成長、企業の立場に立って発言をしていただきたいと思います。

 もう、ちょっと時間がなくなりました。済みません、きょうCO2の話をしようと思っていました。あと一、二分だと思いますので、ちょっと問題意識だけお話をして、せっかく副大臣に来ていただいているので、最後にコメントをもらって終わりたいと思います。

 さっき、環境省が示しているのと経産省の示している将来像が若干食い違いがあると。それ以上に、CO2を二五%削減する、では真水が幾らなんだ、では、よそから買ってくるのは幾らなんだ、ここはまだ示されていない。あと、具体的にどういうふうな政策で実現をしていくのか。

 御承知のとおり、エネルギー効率は日本は世界一ですから、さらに追加投資となると、費用対効果でかなり厳しいことになるんだと思います。それがわからないと、企業のガバナンスとしては日本国内に新規の投資ができないですよ、正直言って。

 ですから、その辺は物すごい影響があると思っていて、これは一刻も早くやはりイメージを出してもらわなきゃいけないし、国民の意見も、開かれた議論もしてもらわなければいけないし、説明責任も果たしてもらわなければいけないと思います。

 もう時間が来ましたから、コメントだけ、続きは次回やらせてもらいます。

田島副大臣 御質問に端的にお答えを申し上げたいと思います。

 環境省といたしましては、この二五%削減の目標達成のための道筋を、去る三月三十一日に環境相の中長期ロードマップの試案として公表させていただいたところでございます。省エネ機器でありますとか、次世代自動車、そして再生可能エネルギーも含め、御指摘いただきましたこの日本の最先端の技術を最大限に導入して、チャレンジングではありますけれども、二五%削減を真水で実現することができるというふうに示させていただいたところでございます。

 経済のモデルの構造でありますとか、前提が異なるために、どのモデルやどの前提条件が正しいというのは、なかなか一概には言いにくいところではございますけれども、私どもとしては、経済の押し上げ効果もしっかりあるというふうに試算をしているところでもあります。

 今委員が御指摘いただきましたように、この日本のものづくりにとっても、やはり大きなチャンスとして、価格面だけではなくて環境面からもしっかりと生かしていけるような、産業の分野にも寄与できるように努力をしていきたいと思っております。

平(将)委員 最後、意見だけ言います。

 真水で二五%ですよね。あと十年ですよ。イノベーションといったって、十年ですよ。新しい技術じゃなくて、既存の技術で対応せざるを得ない。私は、二五%だったら、もう海外へ出ますね、間違いなく。議論の続きはまた次回にやらせていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

    〔北神委員長代理退席、委員長着席〕

東委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 今、平先生、自民党から御質問されまして、最後、日米同盟のことを言われましたけれども、私も、ぜひ経済産業大臣として御注意いただきたいのは、アメリカは国防から産業政策に結びつかなければいいんですけれども、やはり一連の流れの中で、アメリカの日本に対する見方というものが非常に不安定なものになってくることを我々としても非常に心配しております。

 私も、この分野以外で、今は外交、安全保障の党の部会長をしておりまして、年に二、三回は今までもワシントンに行っておったんですけれども、政権のスタンスとともに、やはり向こうは共和党、民主党ともに議会の意見というのも非常に無視できない、そういう状況に来ておるんだろうと思うので、日米関係に対してこの国防、安全保障の分野を中心に悪い空気が高まってくると、議員立法でどういう法律を出されてくるか、そこについてもやはり懸念しないといけないと思いますので、そこはぜひ、かたがた注視をしていただきたい。これは別に何の答弁も求めませんけれども、お願いしたいと思うわけでございます。

 その上で、きょうは、やはりすぐにでも今手を打ってもらいたいという問題について、何点か御質問をさせていただきたいと思うわけでございます。

 その一つは、ライターの安全対策の強化について、経済産業省並びに消費者庁の考えをお聞きしたいと思うわけでございます。

 委員の皆さんも御存じのとおり、最近、ライターを使った火遊びが原因と見られる火災で、幼い子供が命を落とすなどの悲劇が相次いでいるわけでございます。今月の二日に北海道で起きた車両火災で、生後七カ月から三歳の乳幼児四人が死亡いたしました。ライターのいたずらで出火し、逃げおくれたと見られているわけであります。さらには、三歳と一歳の姉妹二人が救出された四日の宮城県での車両火災でも、または川崎市で幼児らが死亡したマンション火災も、ライターが原因との可能性が疑われているわけでございます。

 私は、政府が安全対策に手をこまねいている間に、こういうライターによる火遊びで火災が多発し、幼い命が奪われていることをやはり注視しないといけない、そのように思うわけでございまして、ライターの安全規制の強化というのはまさに待ったなしではないのかな、そのように考えております。そういう問題意識から、何点か質問をさせていただきたいと思うわけでございます。

 そこで、共通認識を持ってもらわないといけないと思うので、まず、最近数年のライターによる事故について実態をつかんでおられると思われます二つの省庁から、ライターの事故がどのような実態なのか御説明いただきたいと思うわけでございます。

 一つは、経済産業省所管の独立行政法人の製品評価技術基盤機構、NITEがございますけれども、そこから情報がきちっと入っていると思いますので、経済産業省からまずは御答弁いただきたいと思いますし、続けましてもう一つは、きょうは消費者庁、内閣府で大島副大臣に来ていただいておりますけれども、消費者庁が消防庁と連携をして実態調査して、それを踏まえて注意喚起もされているんですけれども、そういうことも踏まえて、消費者庁から今ライターによる事故の実態がどうなっているのかということをあわせて御答弁いただきたいと思います。

松下副大臣 委員御指摘のとおり、NITEと言われていますけれども、独立行政法人の製品評価技術基盤機構の発表によりますと、五年間ですけれども、平成十六年度から平成二十年度に発生したライターによる事故は百三十二件です。そして直近では、平成二十一年四月から二十二年の二月末までに三十一件の事故が発生しています。やはり結構起こっているという認識です。

 具体的には、ライターの残り火、火が残っている、そのまま放置している、それから、意図しない着火、ライターのガス漏れによる事故、そういうものでございます。

大島副大臣 御質問ありがとうございます。

 消費者庁においては、先生御指摘のとおり、消防庁と連携して、先月末にライターの火遊びによる火災事故に関する調査を取りまとめました。

 この結果、平成十一年から平成二十年の十年間に、全国の市町村で火遊びによる火災が三万二千件発生しております。このうち、発火源がライターであるものの割合が約五割に上ることが明らかになりました。また、平成十六年から平成二十年の五年間に政令指定都市で発生したライターの火遊びによる火災について詳細な調査を行ったところ、特に五歳未満の子供が行為者であった場合、死傷者の発生率が甚だしく高いことや、発火源となったライターの種類として判明したもののうち、使い捨てのものが約九割に上ることが明らかになりました。

 消費者庁では、こうした実態を踏まえまして、先般、子供のライター使用に係る注意点について、政令指定都市並びに国民生活センター、各消費生活センターに対し、消費者への周知及び注意を喚起するように、まずは要請させていただきました。

佐藤(茂)委員 それぞれ、経済産業省と消費者庁から御答弁いただきました。

 松下副大臣からありましたように、経済産業省にこのNITEを通じて入っている報告は、全体の中では極めて限られているとは思うんですが、二〇〇四年から二〇〇八年まで百三十二件、その中で、要するに残り火、火が消え切らずに衣服などに引火したケースが百三十二件中三十八件、さらに、意図せず着火というふうに副大臣は言われましたけれども、知らないうちに火がついて燃え広がった、そういうケースが十六件、さらに、大きな炎、予想以上に炎が大きくなってやけどをしたというケースが十五件、そういう実態もあります。

 また、大島副大臣が消費者庁の報告を言われましたけれども、特に消費者庁は子供さんのかかわった事件というのを重視されていて、全体の三万二千百八件のうち、発火源がライターのものというのが一万七千百六十件で、全体として五割を超えているというお話だったと思うんですけれども、その中でも十二歳以下の者がかかわった事件というのが五百二十六件、その中で、八人が死亡されている、百四十五人が負傷されている。さらに、そのうち五歳未満の幼児によるライターの火遊びというのは百七件である、そういう数字を伺っておりまして、そういうことから、やはり今この時代に、きちっとした、消費者が安心して使えるライターというものを政府としても考えていくべきではないのかな、そのように思っているわけでございます。

 そこで、二点目にお聞きしたいのは、欧米では、ライターについては安全対策が日本よりも非常に進んでいるんですね。ライター自体の安全基準であるとか、あるいはチャイルドレジスタンス、CRというんですけれども、子供が簡単には火をつけられないようにする方法、こういう制度化というのが既に欧米では導入されております。例えば、私が聞いているのでは、アメリカではもう九四年から導入されておりまして、九四年から導入されて五年間だけでも、それまでの火災死亡事故は四三%も減少した、そういう報道もございます。

 ですから、まず、日本で今議論されていると思うんですが、欧米で既に導入されているライターの安全対策でどういう安全規制が行われているのか、これは経済産業省、御答弁いただきたいと思います。

松下副大臣 先ほどの件ですけれども、経済産業省に寄せられているNITEが集積しているものは、いわゆるライターの製品としての欠陥とか、そういうもので事故が起こるというものでございます。そこはよく先生も御承知のとおりだと思います。

 ライター規制については、確かに欧米の方が先に走っておりまして、アメリカでは、既に一九九四年に、ライターに対してチャイルドレジスタンスという規制を導入して、これは徹底していると聞いておりますし、EUの方では、欧州委員会が決定いたしまして、その決定に基づいて二〇〇七年から、ライターに対するチャイルドレジスタンス規制を導入したというふうに承知をしております。

 この規制は、子供が簡単に操作できないという機能をライターに付加しておりまして、それを義務づけるものということで、これを徹底しているというふうに聞いておりまして、こうした機能のないライターの販売を禁止しているということでございます。

 先ほど、委員長に一つ取り上げられたんですけれども、また持ってまいりました。ちょっと見てください、皆さん方で。チャイルドレジスタンスというのは、こういう、簡単に火がつかないように。

 どうぞよろしくお願いします。

佐藤(茂)委員 今、この委員会でつけるわけにいかないんですが。

 それで、私がやはり問題意識として懸念するのは、そういう動向を経済産業省としてもつかんでおられるにもかかわらず、欧米に比べて日本の対応は余りにも遅いと言わざるを得ないと私は思うんです。

 昨年十二月から、経済産業省の消費経済審議会で、ライターの問題について、規制を、安全対策を検討されている、そのように伺っているんですけれども、昨年の十二月から、今はもう四月、五カ月程度たってもなかなか結論が出ない。その間に、冒頭申し上げましたように、例えば、四月二日などは、北海道で、車の中で幼い乳幼児の方が四人も、多分ライターが原因だろうと疑いの強い、そういう火災でお亡くなりになっている。そういうことから考えますと、私は、行政の対応が後手後手に回ると、同じような被害の再発というのが防げなくなるんじゃないのか、そういう懸念を持っているわけであります。

 冒頭、民主党の森山委員も鳩山総理の言葉を引かれておりましたけれども、総理は、この一月二十九日の施政方針演説で、「命を守りたい。命を守りたいと願うのです。」と。また、今年度の予算は「いのちを守る予算」にするんだ、そういうようにおっしゃっていたわけですね。そういうことからすると、社会で出てきているこういう問題に敏感に反応していただいて、命を守ることに関係する施策については、やはり鳩山政権として、迅速に対応し、さらに意欲的に対策を打つんだ、そういう姿勢を所管省庁として示していただきたいと思うわけであります。

 先日、ある報道で読みましたけれども、直嶋大臣も敏感に反応されて、審議会の場で言われたのか会見で言われたのか、夏ごろの結論だというのを前倒しするんだ、そういうことを指示されたという報道も伺っておりますけれども、私は、夏といわずに、春先、もうこの四月中でも、ゴールデンウイーク前まででも努力して結論を出してもらいたい、そういう陣頭指揮に立って国民が安心できるような結論を出すべきではないのかな、そのように思うんですが、この安全対策の迅速な結論の必要性について、直嶋大臣の御見解を伺っておきたいと思います。

直嶋国務大臣 この問題は、先ほど委員の御指摘にもありましたように、欧米では九〇年代の前半ぐらいから既に規制が始まっているわけですね。先ほど、消費者庁の方からも、過去十年間の統計データのお話がありました。そういう状況を考えると、私は、やはり日本の政治の対応は欧米に比較して極めて遅いというふうに言えると思います。そういう意味では、悲惨な火災があって、国民の皆さんの関心も高まる中で、ようやくこういう議論がされているということであります。したがいまして、私自身もできるだけ早く結論は出したいというふうに思っています。

 ただ、さっきお話しのとおり、去年の十二月から議論を始めて、多分これまでの審議会のスケジュール感で議論をしていたんだと思うんですが、今お話あったように、私の方から、五月中にもということで指示もさせていただいて、申し上げさせていただきました。連休前ということなんですが、これはなかなか物理的なこともございまして難しいと思うんですが、とにかくできるだけ早く結論を出すということ。

 それから、私は、そういう対策とあわせて、消費者といいますか親、やはり両親に対しても、きちっと子供に対するしつけなり、これは余り政治からいうと言いにくい面もあるんですが、しかし、それはやはり親の責任として、きちっと子供にしつけていただく。我々の方は、制度的に、子供がなかなか使えないようなものをきちっと提供していく。この両面の努力が必要だというふうに思っておりまして、その点も政府内では何らかの対応を考えなければいけないというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 今、直嶋大臣の極めて前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 それで、私は、中身をどういう内容にしていくのかということも非常に大事ではないかなというふうに思っているんですね。先ほど報告いただきましたように、ライターの部分の九割ぐらいが使い捨てライターによるものであったというような話もありました。

 さっきの欧米の話をちょっといたしますと、ライターの点火レバーを、例えば一つかたくしたりとか、あるいは、同時に二つ以上の操作をしないと火がつかない構造にしたり、そういうさまざまな方法で、子供に火がつけられないように工夫をされている。さらに、最終的に、CR製品、要するにチャイルドレジスタンスの製品だと認定するかどうかは、例えばアメリカの場合、生後四十二カ月から五十一カ月の子供百人で点火テストを行って、八五%以上が点火できないものだけ販売を許されるというような、そういう極めてハードルの高い認定をされているんですね。

 私は、そういう意味で、まず日本の場合は、そういうことに倣って、法改正から必要であろうと。一つは、具体的には、ライターを消費生活用製品安全法の特定製品に指定して、そして例えば、経済産業省の定める安全基準を満たさない製品は販売を禁じる。そういうことをした上で、先ほど紹介したような、欧米の基準に合わせたような基準で、経済産業省として安全基準を満たしているかどうかを見ていただいて、できるだけ安全対策を徹底するには、漏れがないように、規制対象のライターの種類も多い方が望ましい、私はそのように考えているんです。

 政府として今議論されているんでしょうけれども、私は、欧米並みの安全基準を義務づけるべきであると考えるんですが、ライターの安全規制のあり方について、方向性だけでも結構ですので、経済産業大臣の今の御所見を伺えればありがたいと思います。

直嶋国務大臣 今、先ほどお話ししました審議会の方で検討させていただいております。

 これは、消費生活用製品安全法の中で、政令で指定した特定の製品について技術基準を満たすことを販売の条件とする、いわゆるPSCマーク貼付と言っていますが、この規制対象品目にライターを指定することについて、その規制の範囲でありますとかそういったことを今議論させていただいているということでございます。まさに今審議会で議論している内容は、そういう方向について、あるいはどこまでできるのかということについて議論をさせていただいているということでございます。

 そういう意味では、技術基準という形で何らかの規制をしたいということが念頭にあるということでございまして、その中で欧米の具体的な規制の仕方についても参考にさせていただいて、勉強して、その上で今議論をしている、こういうことでございます。

佐藤(茂)委員 審議会の議論を、まず、有識者の皆さんも入れて、業界の皆さんも入れてされているので、それを尊重せざるを得ないと思うんですが、人の命にかかわるそういう問題になっていますので、やはり最終的には、それを踏まえて、まさに政務三役以上の政治主導の賢明な結論を期待したいと思うわけでございます。

 そこで、大島副大臣に来ていただいていますので、最後に消費者庁の取り組む姿勢についてちょっとお聞きしたい。

 特に、先ほど大臣が言われました、両親のしつけというものも、もう一面で大事なんだということでいうと、啓発活動をやはりしっかりと強化していく必要があるんだろう、そういうふうに思うんですね。特に消費者庁は、消費者行政の司令塔として昨年九月に発足されたわけでございますから、このライター規制に関しても、被害の拡大抑止に司令塔としてやはりしっかりと積極的に私は対応していただきたいな、そのように考えているわけであります。

 先ほど答弁でもありました三月二十三日の書面も私は見せていただきました。ただ、内容的に事務連絡なんですね。各都道府県、政令指定都市消費者行政担当課であるとか国民生活センター、さらには各消費者センターあてに、「子供のライターの使用に関する注意喚起のお願い」、そういうものを出されているのを見ました。

 その中ではどうなっているかというと、「幼い子供のいる家庭での注意事項」として四点ほど書かれております。「子供の手の届くところにライターを置かない。」二つ目、「子供にライターを触らせない。」三つ目、「子供がライターで火遊びをしているのを見かけたら、すぐに注意してやめさせる。」四つ目、「理解できる年齢になったら、子供に火の怖さを教える。」そういうことの周知及び注意喚起を図るようお願いをされているわけです。しかし、私は、こんな通り一遍の事務連絡で、果たして一人一人の消費者、国民まできちっと徹底できるのかな、不十分じゃないのかなという懸念を持つわけです。

 例えば、国よりも先んじて東京都というのはさらに手を打っていまして、国が意識する前に、去年の十一月に、子供に対するライターの安全対策報告書というのを経済産業省と消費者庁に提出されて、今話題にしておりました、国に対してチャイルドレジスタンスの導入を求めるなどされ、国に求めるだけでなくて、一月十三日には、自分たちでライターの取り扱いに注意を促すリーフレットを七十万部作成されて、保育所とか幼稚園とか、各区市町村の保健センターなどで配布するというような啓発活動を具体的に行っておるわけです。

 そのことから見ると、通り一遍の事務連絡で各担当課だとか国民生活センター、消費者センターに流されているだけでは少し不十分じゃないのかなと。ですから、そういう注意喚起で終わらすのではなくて、もっと具体的に消費者庁としても啓発活動の強化を行っていくべきではないのかな、そのように考えますけれども、大島副大臣、御答弁をいただければありがたいと思います。

大島副大臣 御質問ありがとうございます。

 佐藤先生のおっしゃるとおりでございまして、私も、このライターについて一番最初に伺ったのが昨年の十一月なんですけれども、先生御指摘になりました東京都商品等安全対策協議会でライターの指摘があったということ。二月にも、ライターによってお子さんがお亡くなりになる非常に痛ましい事件がありました。そのときには増子副大臣のところにお伺いをして、こういう記事が出ているので一緒に対応を積極的にとっていきましょうということをお話しさせていただきました。増子副大臣からも、では大島、積極的にやっていこうじゃないかということをおっしゃっていただきまして、昨日は、消費者安全情報総括官会議といって、全省を集めた会議を消費者庁内において行いました。

 やはり先生御指摘のとおり、これからチャイルドレジスタンスの基準が設けられても、市場に出回るのはあと一年、二年かかると思うんです。聞きますと、全国の家庭で今六億個ぐらいのライターがあると伺っています。ですから、そのライターの使用について、やはり東京都さんのように積極的に啓蒙をしていくことも必要かなと思っていまして、総括官会議においても積極的に検討をしているんですけれども、先生の御指摘を受けまして、さらに検討を進めるというお約束をさせていただくということでよろしいでしょうか。

佐藤(茂)委員 問題意識としては共有できていると思いますので、ぜひ具体的に行動であらわしていただければありがたいと思うわけでございます。

 では、大島副大臣、公務もあろうかと思いますので、御退席いただいて結構でございます。

 次に、問題を変えまして、一つだけぜひお願いしたいことがあるわけでございます。それは、別に産業界の声を反映してということではないんですが、エコカー、環境対応車の補助金制度のことでございます。

 この制度は、昨年の春に自公政権のときに導入した制度なんですけれども、当初の制度の趣旨というのは、環境性能のよい新車の買いかえ、購入を促進することによって、一つは環境対策、もう一つは景気対策を効果的に実現することを目指すというのが制度の趣旨なんですね。

 昨年は、この制度が影響して、具体的には、本来なら新車販売にほぼ比例して発生する傾向にある廃車台数が、二〇〇九年は過去最高になりました。つまり、二〇〇九年の廃車台数というのは、前年比二万二千台増加して三百七十一万一千台、統計をとり始めた二〇〇五年以降では過去最高ということになったわけであります。特に、新車販売という点で見ても、最初、一月から七月というのは前年割れで不振が続いていたんですけれども、政府のエコカー補助金制度が浸透した八月から前年実績を上回り、十一月は四四%、十二月は三四%ふえてきたわけであります。

 新政権でも、当初、平成二十二年の三月三十一日まで、つい先日で期限切れだったこの制度を緊急経済対策で半年延長して、平成二十二年九月三十日まで延長されたことは私は評価したいと思うんです。しかし、他の制度とのバランスを見ましたときに、半年の延長というのはいささか中途半端な感じがするわけであります。例えば、もう一つの、補助金制度と相まって車の両輪であったエコカー減税。自動車重量税、自動車取得税の減免は、平成二十四年の四月三十日まで行われることになっております。自動車税のグリーン化による軽減というのも、平成二十三年度ですね、三月三十一日まで。

 私は、このエコカー減税とエコカーの補助金制度というものが車の両輪だと言ったのは、両制度の相乗効果が相まってこの一年間効果を出してきたのではないかという気がしているんですけれども、これが、片方は続けるけれども片方はあと半年で終わりですよ、そういうことになると相乗効果というのはなかなか発揮できないのではないかな、そういう懸念を持っているわけであります。ぜひ、エコカーの補助金制度もエコカー減税と同じ期限までやはり延長すべきではないか、そういうように思うわけでございます。

 新政権として、このエコカー補助金制度の効果についてどういう認識を持っておられるのかということと、制度の延長という点についてどう考えておられるのか、この二点について経済産業大臣の見解を伺っておきたいと思います。

直嶋国務大臣 エコカー補助金の制度のことでございますが、これは、委員御指摘のように、景気対策と環境対策ということであります。ただ、両面あるんですが、先ほどお話しのとおり、環境対策としてはいわゆるエコカー減税制度というのが実行されておりまして、そういう中でこのエコカー補助金は、景気対策の色彩がそういう意味では非常に強い制度だと受けとめております。

 先ほど来御指摘のように、この制度実施後、やはり経済効果は大きいというふうに私は思っておりまして、三月末で一たん締めた後、再度延長するということでございます。三月末のものについても、ほぼ予算を使い切る形になるのではないかというふうに見通しております。

 今回の延長についても、半年で二千六百億円という金額を緊急対策の中で入れさせていただきました。財政面の制約がある中で、いわば景気対策のための緊急措置だというふうに思っておりまして、そういう意味では、販売のピークであります夏の七月でありますとかあるいは九月までということで延長させていただいたわけであります。

 御指摘のように、これを延長したらどうかという御意見も確かに伺っておりますが、今申し上げたように、非常に異例の措置であるということでありまして、例えば今、電気自動車で、次世代自動車ということで補助金を出していますが、そういう普及レベルと今出ているこの対象車両とは、全く市場に出回る台数も異なっているわけであります。したがって、我々としては、やはり景気対策としての異例の措置であるというところを重視して、当面九月までということを申し上げているわけでございます。

 一言余分なことを言えば、やはり、国の補助金をもらって車を販売する、それが全体の中の七割ぐらいになるということが果たしてビジネスとしてどうなのか。これを一年半続けるわけでありまして、さらにそれを二年、三年と続けていくことが本当にノーマルなことなのかどうかということもやはり判断基準にしていかなければいけないのではないかというふうに私は今思っておりまして、今のところ、九月を一つの区切りにしたいというふうに思っているわけでございます。

佐藤(茂)委員 それでは、次のテーマに移らせていただいて、機械設備担保融資制度についてお伺いしたいと思います。

 これは、前回でしたか、法案審議のときにも、最後は時間切れになったんですが、中小企業にとっては、担保に活用できる不動産にはやはり限界があるわけであります。そんな豊かな中小企業というのは少ない。現在の大変厳しい経営環境のもとでは、やはりそういう面から資金繰りに絶えず頭を悩まされているわけでありまして、その一端として、売掛金債権であるとかあるいは在庫、棚卸資産の債権、こういうものを担保にして融資をしていこうという制度を切り開いてきたわけでございます。

 それに加えて、私は大阪なんですけれども、東京の話ばかりして申しわけない、平先生がいるからいいかもわかりませんが、東京都は、平成二十一年度の最後、具体的には三月三十日から新しい制度をスタートさせたんです。

 どういう制度かというと、従業員三十人以下の小規模企業を対象に、機械設備等の、設備等の中には車両とかその他の有形固定資産が入っているんですけれども、こういう事業用動産を担保として独自の融資制度を創設して、企業の資金繰りの選択肢を広げるとともに、二十二年度予算で一億一千万円を計上して保証料の全額補助を行い、利用者の負担軽減を図っているわけであります。

 具体的には、保証機関は、どこの機関がやるのかというたら、信金中金、信金中央金庫でございますが、これが担保物件の適切な評価、管理等を実施するために、保証案件ごとにリース会社と共同して保証を行います。融資条件は、信金中金による保証は限定根保証で、保証条件に沿った融資を一回だけ受けられる個別保証とは異なって、保証の枠内で繰り返し融資を受けることができる。保証金額は三百万円以上五千万円以下で、保証期間は五年以内、個人保証は不要、そのようになっているわけです。これが三月三十日にスタートしたんですけれども、小規模企業にとっては実にありがたい、つなぎ資金を確保できる、そういう制度ではないかなというふうに私は思っているんです。

 まず、経済産業省としてその御報告も受けておられると思うんですが、この東京都の取り組みについて経済産業省はどのように認識し、評価されているのか、伺っておきたいと思います。

増子副大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 今、佐藤委員お話しのとおり、この制度については、私は一定の評価をさせていただいております。

 不動産担保に過度に依存せず、中小企業が有する売り掛け債権や在庫等の資産を有効活用した融資、保証は、これまでも私どもも積極的に推進してきたところでございます。

 東京都が実施している機械設備を担保とした保証制度も、私どものそういう制度の趣旨に沿った制度であると認識をいたしているところでございます。

 当省としては、中小企業が有する売り掛け債権や在庫を有効活用した、保証協会の流動資産担保融資保証制度や日本公庫、商工中金による融資などについて、今後とも積極的に取り組んでいきたい、中小企業の資金調達の円滑化を図っていきたいと思っておるところでございます。

 これらの東京都の制度は、我々の趣旨に沿ったものだということで一定の評価をしてもいいのではないかというふうに私は思っております。

佐藤(茂)委員 それでは、あと二分ぐらいになったんですけれども、東京都に限らず、これを全国に広げていくためにはまだまだいろいろ問題がありまして、前回質問したときに政務官の方から御答弁いただいて、経済産業省としては、機械設備等は信用保証協会の一般保証でも一般論としては可能だ、そのようにおっしゃっていたんです。ただ、換金性が高いものであるとか比較的資産価値の高い場合についてはそういうケースもあるんじゃないかと言っていたんですが、現実問題として、信用保証協会で機械設備等の管理、処分などといっても、なかなか現実は難しいものがあるんだろうと私は思っているんですね。

 そこで、この機械設備担保融資制度を普及させるキーポイントは何かというと、中小企業信用保険法を改正して、機械設備等を流動資産担保保険の対象資産に追加するべきではないか、私はそのように考えるんですけれども、経済産業省の今のお考えをお聞かせいただければありがたいと思います。

増子副大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 私どもとしても、こういった制度は、先ほども申し上げたとおり、一定の評価はいたしておりますが、金融機関や動産等の処分会社で構成されるABL協会というものがありますが、ここで在庫等の動産を担保として融資するということを普及するための事例研究などを今いろいろとしているところでございます。

 そういった観点からも、中小企業の資金調達において有効に活用されることが必要だろうと思っていますので、これらをもう少し研究させていただきたいなというところでございますので、御理解をいただきたいと思います。

佐藤(茂)委員 先ほど申し上げましたように、東京都も三月三十日に始めたところですので、果たしてこれがうまく運用されるのかどうか、我々もしっかりと見守りながら、それが本当に、東京都だけでなくてほかの、全国的に展開できるものになり得るのかどうかも含めてきちっと我々も調査した上で、また今後、引き続き中小企業のために議論をさせていただきたいと思います。

 御答弁ありがとうございました。質問を終わります。

東委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私は、何度か武器輸出三原則にかかわって質問してまいりましたが、きょうもそのかかわりで質問したいと思います。

 先日、早期警戒衛星打ち上げ用のデルタロケットに搭載する主要機器である大型燃料タンクについて取り上げました。あのときに、直嶋大臣は、ロケットにしても、軍事用もあれば民生用もあるということでございまして、これらも含めて武器ということには慎重でなければならない、デルタの燃料タンクは汎用品だ、武器ではないという判断をしております、その判断は、形状とか属性に照らして慎重に判断している、こういうお話だったんです。

 最初に政府参考人に伺っておきますが、まず、三菱重工から経済産業省に武器輸出三原則に触れないかどうかという問い合わせがあったのはいつですか。

柴生田政府参考人 お答え申し上げます。

 三菱重工から経済産業省に対して、デルタ4ロケットの燃料タンク等を輸出したいということで御相談がありましたのは、一九九八年でございます。

吉井委員 九八年に相談があって、十一月には回答を出しているわけですね。

 どういう判断でオーケーということにしたんですか。

柴生田政府参考人 お答え申し上げます。

 理由につきましては、デルタ4ロケットは衛星打ち上げ用の汎用のロケットであるため、デルタ4ロケットの部品は汎用品であると判断したことによります。

吉井委員 文科省の方の参考人にも伺っておきます。

 一九九六年一月二十九日付の日経産業新聞などで紹介されましたけれども、後にボーイングが吸収することになったマクドネル・ダグラスという軍事産業から、デルタ3ロケットにH2ロケットの第二段エンジン、LE5を供給してほしいという話があったわけですが、この売り込み計画が結局できなかったのは、この技術の所有が当時の宇宙開発事業団、今はJAXAですが、であり、宇宙開発事業団法第一条の平和目的に限りという規定がありますから、JAXAの技術の軍事転用に歯どめがかかったということと、それから、一九六九年の国会決議によって、宇宙開発の平和利用原則もあったということで、軍事用ロケットへの売り込みはしなかったというのが当時の実態だったと思うんですが、確認しておきます。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘の点につきましては、私ども、三菱重工から具体的な輸出の提案等々について情報をいただいていたところではございません。当時の新聞記事等々で情報を把握してございましたけれども、そういった点は、三菱重工みずからでさまざまな御判断をされたものというふうに考えております。

吉井委員 これは、マスコミの皆さんも取材されて、宇宙開発事業団法第一条に触れる、それから、当時の国会決議、平和利用決議に触れるということで、軍事用ロケットへの売り込みはしない、できないということでありました。

 商用目的の衛星の打ち上げのためのロケットと判断したのか、デルタ4の場合、デルタ4のミッションというのは私は軍事ミッションを含んでいるものと思うんですが、まず、軍事ミッションを含んでいるものかどうか、これは経産省の方に伺っておきます。

柴生田政府参考人 お答え申し上げます。

 我々が得ている情報によりますれば、デルタ4ロケット、民生用それから軍事用、両方に用いられていると理解しております。

吉井委員 先日、この委員会で資料を配付しましたけれども、防衛省が三菱総研に発注した報告書にあったように、デルタ4で打ち上げた衛星は、二〇〇三年三月十一日のアメリカ空軍の軍事通信衛星とか、同年八月二十九日の空軍の軍事通信衛星、二〇〇六年十一月四日のアメリカ空軍の軍事気象衛星、それから二〇〇七年の十一月十一日にはアメリカ空軍の赤外線使用の早期警戒衛星、いわゆるDSPなどですが、これらは近代の戦争における武器そのものだと思うんですが、どうですか。

柴生田政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生申されました点については、必ずしも我々、具体的内容を承知しておりませんので、その点について、ロケットとの関係ではお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

吉井委員 いや、この軍事衛星、今挙げたのは軍事ミッションとして上げている分ですけれども、これは近代の戦争における武器そのものではないかという単純な質問をしているんです。

柴生田政府参考人 お答え申し上げます。

 発表された資料によれば、いわゆる民生のほかに軍事目的、軍事衛星ということで入っておりますので、何らかの軍の用途に利用されているということで理解しております。

吉井委員 それでは、そもそも武器とは何かという定義を伺います。

柴生田政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる武器と申しますと、いろいろな法令等によりましていろいろな解釈がございますが、我々が所管しております武器輸出三原則等における武器とは、軍隊が使用するものであって、直接戦闘の用に供されるものというふうにしております。

 具体的には、輸出貿易管理令別表第一の一の項に掲げるもののうちこの定義に相当するもの、このように考えております。

吉井委員 今おっしゃったように、武器とは、軍隊が使用するもので直接戦闘の用に供するものということですね。

 それで、さらに、これは九九年版防衛ハンドブックでも挙げておりますが、一九七六年二月二十七日の衆議院の予算委員会で当時の三木総理大臣の政府統一見解というのが示されております。今おっしゃった答弁に続けて、内容的には、「具体的には、輸出貿易管理令別表第一の第百九十七の項から第二百五の項までに掲げるもののうちこの定義に相当するものが「武器」である。」

 もちろん、項等は、何回か改正をやっていますから数字は変わってくるわけですが、「自衛隊法上の「武器」については、「火器、火薬類、刀剣類その他直接人を殺傷し、又は武力闘争の手段として物を破壊することを目的とする機械、器具、装置等」である」と解するものというふうにしておりますが、なお、「護衛艦、戦闘機、戦車のようなものは、右の「武器」に当たる」と考えているというふうにしております。

 きょうは資料で、資料一に、おっしゃった輸出貿易管理令別表第一を掲げましたが、この(九)にある「軍用航空機若しくはその附属品又はこれらの部分品」、これについて、この中には軍事衛星も軍事衛星打ち上げ用のロケットとその附属品も入ってくるのではありませんか。

柴生田政府参考人 お答え申し上げます。

 軍用航空機等の規定でございますけれども、現行では、その項に含まれるというふうには考えておりません。

吉井委員 軍事衛星とか軍事衛星打ち上げ用のロケットは、これは入らないということですか。

柴生田政府参考人 この項の軍用航空機ということでは考えておりません。

吉井委員 それでは、どの項に入りますか。

柴生田政府参考人 ロケット、特にミサイルにつきましては、軍用ということで、一の項の(二)に爆発物がございますが、これは一般的な輸送のロケットということではございません。

 それで、一般的な輸送手段ということでは、ミサイルという形で規定はされておりますが、それ以上の規定はございません。

吉井委員 それでは、これにかかわって伺っておきます。

 アメリカで開発した空軍のAWACS、写真を資料に載せておきましたが、E767、これは哨戒とか早期警戒管制機能を持っているものです。AWACSは、あらかじめレクチャーをいただいたときには、武器ですということでしたが、AWACSは武器ですね。

柴生田政府参考人 お答え申し上げます。

 AWACS機につきましては、その具体的な態様により異なりますが、いわゆる早期警戒管制機としてのAWACSは武器であると考えております。

吉井委員 早期警戒管制機E767は武器なんですよね。

 この本体を輸出しているのはどこですか。

平工政府参考人 お答え申し上げます。

 AWACS本体の輸出ということでございますと、米国ということになります。

吉井委員 これもあらかじめ経産省からいただいたんですが、E767について、経産省からいただいた資料では、本体部品の輸出は、輸出者は民間航空機株式会社、製造担当会社は三菱重工、川崎重工、富士重工の三社となっていますね。

 この民間航空機株式会社というのは、二〇〇九年三月の時点で、株主は三菱重工、川崎重工、富士重工の三社で、資本金は一千万円、社員十人、売上高は一千百三十八億八千百八十三万円、何年間もずっと経常利益も配当金もゼロと、いわば武器輸出を進めるためのペーパーカンパニーという状態ではないかと思うんですが、どうですか。

平工政府参考人 お答え申し上げます。

 今お問い合わせの民間航空機株式会社は、AWACSの部品を米国に輸出する会社でございます。その目的は、もともと、ボーイング767の日米伊の共同開発の主体として日本は参画をしておりましたけれども、その開発が終了し、産業化した段階で、日本として部品部分の製造分担をするという趣旨でこの会社が設立されたというものでございます。その株主は、先ほど先生がお話しになられたとおりでございます。

吉井委員 さっき、早期警戒管制機E767は武器だということだったんです。武器をつくっている、輸出しているというところが民間航空機株式会社で、今の状態なんですよ。ですから、日本は武器輸出をやっているというのが実態です。

 次に伺っておきますが、汎用品とは何ですか。

平工政府参考人 改めて御説明を申し上げますが、早期警戒管制機E767は、民間旅客機のボーイング767型機をベースにボーイング社によって製造されております。我が国企業は、このE767の部品を製造し、ボーイングに納入しておりますけれども、当該部品は、その仕様において民生用の航空機のための部品と何ら変わらないものでございます。

 その部品の輸出を民間航空機株式会社が行っておるということでございまして、この部品は汎用品ということでございます。いわば民生用にも軍用にも使われているというものでございます。

吉井委員 さっき、AWACSは武器だと答弁がされたわけです。AWACSの主要部品、機器は汎用品だとして該当しないというのは、軍事用ロケットの場合と同じように、これは本当におかしい話だと思うんです。

 実は、三木総理大臣の政府統一見解が示されたときには、あの見解からですと、軍事用ロケットというのは武器輸出三原則にひっかかるということで、これはできない状態だったんですが、今のお話のAWACSのために、一九九三年三月十一日の河野洋平官房長官の参議院予算委員会における政府統一見解で、「ボーイング社に対し、民生用航空機の部品として、胴体部分などを納入してきております。我が国企業がボーイング社に確認したところでは、今後ボーイング767型機が早期警戒管制機用に用いられることとなり、我が国企業がそのような早期警戒管制機用にボーイング767型機の部品を納入することとなる場合であっても、当該部品は、その仕様において民生用航空機のための部品と何ら変わりがないもの」、したがって、武器輸出三原則に照らして問題ないとしたのが、結局、三木総理の時代の政府統一見解からどんどんどんどん広げてしまって、AWACSは武器だというんだけれども、武器輸出は問題ないというふうになってきているのが混乱の大もとにあると思うんです。

 そこで、直嶋大臣に伺っておきたいんですが、やはり政権がかわったわけですから、河野官房長官の政府統一見解を、もとの三木総理大臣の見解に戻すべきじゃないかと思うんですが、どうですか。

直嶋国務大臣 今委員がお述べになった、平成五年の河野官房長官の政府統一見解は、三木内閣の政府統一見解の中で定義されている武器について説明をしたものでございます。

 政府としては、一貫して、当該貨物の形状、属性等から客観的に武器専用品と判断できるものを武器に該当するものとし、他方、いわゆる汎用品は武器輸出三原則等における武器には該当しないという考え方をとっておりまして、平成五年の先ほどの政府統一見解は、これを確認したものであるというふうに思っております。

 我が国としては、武器の輸出管理について、この武器輸出三原則等のよって立つ、国際紛争の助長を回避するという平和国家としての基本理念にかんがみ、慎重に対処する、その方針を堅持してきたところであります。

吉井委員 上の方に平和とくっつけたら便利なものだなと今思ったんですが、AWACSは武器だということ、これは先ほどもあったわけです。武器とは、三原則では、軍隊が使用するもので、直接戦闘の用に供せられるもの、そういうふうになっているわけなんですよ。その直接戦闘の用に供せられる、軍隊が使用するものについては武器なんですから、AWACSは武器なんです。分解すれば、ビスの一本ぐらいは、これはほかでも使うているやないか、そういう話にも、それはなるかもしれません。しかし、全体として武器なんですよ。

 その武器の、とりわけAWACSの主要部分、あるいは軍事目的の衛星打ち上げ用ロケットの主要部分、こういうものが武器の重要な部分なんですよ。それなしには成り立たないんです。しかし、これも汎用品だとして、武器輸出三原則の対象外と今しているわけですね。こういうやり方をすると、武器輸出というのは歯どめなくどんどんどんどん広がっていくということになるんじゃないですか。これは大臣、どうですか。

直嶋国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、武器専用品と判断される根拠は、属性とか客観的に判断できるものを武器に該当するというふうに申し上げております。

 したがいまして、今の御指摘の点については、これは汎用品である、したがって武器輸出三原則等の武器には該当しない、こういう判断をしているということでございます。

吉井委員 これは、相手国が民生用に使いますということを言ったら、信じて送り込んでみたら実は武器に変わるとか、そういう技術というのは今いっぱいあるわけですね。ですから、まず用途について、何に使うのか。AWACSという武器に使う武器の主要部分であれば、それは武器なんですから、武器輸出三原則にきちんとこれは触れてくるものだということで、最初の三木総理の見解の立場に立ち戻ってやはり考えるべきだというふうに思うんです。

 防衛省に伺っておきます。

 硫黄島の自衛隊基地で無人機の実験を行っておりますが、あわせて、JAXAの民生用の技術試験衛星「きずな」を使って、入間の基地に超高速インターネット通信で無人機の着陸状況の動画をハイビジョンクラスの映像で送信する実験というのを、ことし一月十八日から二十一日まで行っていると思うんですが、その行った事実を確認しておきます。

秋山政府参考人 お答えいたします。

 防衛省では、平成二十二年一月に、御指摘の超高速インターネット衛星「きずな」を利用した遠隔地からの映像伝送実験を実施しております。この実験では、硫黄島で地上で撮影した映像を「きずな」を用いて航空自衛隊の入間基地に伝送いたしております。

吉井委員 このことは、実は、日本がアメリカなどと並んで無人機を使った戦争の無人化を進めることができる技術内容の実証と言っても過言でない内容であったというふうに思うわけです。可視光カメラで写す、赤外線カメラで夜間でも写す、これで無人機で司令部に情報を送って哨戒機の役割を果たすこともできるわけですし、司令部の指示で目標をとらえて正確な攻撃もできるという、無人機というのはそういう性格のものなんですね。実際、防衛省の方から出されております資料を見ておりましても、大型無人機について論述があります。

 文部科学省に伺っておきたいんですが、JAXA法第一条の平和目的に限るとした条項に照らして、JAXAの「きずな」、つまり民生用技術試験衛星を防衛省の方で使った今回の実験というのは、これはやはり、本来のJAXA法一条に照らしてみても、JAXAのあり方としておかしいんじゃないですか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 先生、今JAXA法第一条とおっしゃられましたところは、旧NASDA法第一条を継承いたしました現宇宙航空研究開発機構法第四条に継承されておりますので、そちらの方だということで、その第四条におきまして、この宇宙航空研究開発機構は、宇宙に関する基盤的研究開発、人工衛星の開発などを、平和の目的に限り、総合的かつ計画的に行うことにより、宇宙の開発利用の促進を図ると定められておりまして、宇宙航空研究開発機構はこれに基づいて業務を進めているということでございます。

 ただいまお話のありました実験につきましては、ことしの一月、防衛省と独立行政法人情報通信研究機構が共同で行ったハイビジョンの伝送実験というふうに聞いております。

 今回の実験につきましては、これが、公募などにより、当該機能について広く一般の方々が実験を行い得る状態において、そして成果も公表する形で実施するものということで、利用が一般化しているというふうに考えておりますし、また、今回送ります映像はハイビジョン映像の伝送ということでありますので、これは技術レベルとしては商用衛星でも既に一般化している技術レベルであるということでありますから、今回、この宇宙航空研究開発機構法第四条の趣旨に照らしても問題は生じていないものと考えております。

吉井委員 今回の無人機研究システムの概要とかお話も伺いましたけれども、自衛隊装備年鑑でも紹介されておりますけれども、特に今日、状況が変わっているわけですね。航空無人兵器というのが、特に防衛装備年鑑でも詳しく紹介されておりますが、既にアフガンでもコソボ紛争でも、ただ偵察だけじゃないんですね。航続時間は二十四時間ぐらいあって、かなり大型の航空機で、それでずっと偵察をすれば、インターネット回線ですと、そのつかんだ画像は即座に司令部に届くわけですね。その画像を見ながら目標を特定して、そしてミサイルの発射を行うとか、そういう戦争の無人化の時代になってきているわけですね。

 まさにそういうことにこのJAXAの「きずな」が使われるということ、これは問題ありと考えていないのかどうか。単なる、汎用技術になっているからいいのだという発想なのか。この点だけ、簡潔でいいですからお答えください。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたとおり、今回の実験につきましては、広く一般の者が実験を行える状態で、成果も公表する形で実施するということでありますし、今回はハイビジョンの画像の伝送実験でありますので、その技術レベルとしては、既に商用衛星でも一般化しているというレベルのものでありますから、今回の実験に関しましては、先ほどのように、問題性は特段生じていないというふうに考えているところでございます。

吉井委員 今回のは、硫黄島へ着陸する映像を外側から撮ったものですね。要するに、その超高速インターネット通信の実験なんですよ。しかし、この無人機の可視光カメラあるいは赤外線カメラの映像を超高速インターネット通信でやれば、司令部の方で全部把握することができるわけですね。

 つまり、それを簡単に汎用技術だからいいんだということにして、さらには無人機の販売も、そこで大臣に伺っておきたいんですけれども、今、無人機というならば、農業用の農薬散布用の無人機もあるわけなんです。軍事目的なら、武器輸出三原則に照らして、本来は、汎用品だといっても、衛星も汎用品だ、「きずな」はもともと技術試験衛星だ、汎用品だ、技術も汎用技術だ、無人のヘリコプターにしろ無人機にしても、もう既に農薬散布その他で使っている汎用品だ、そういうことを言い出すと、これは本当に武器輸出三原則に照らしてみて日本は歯どめのない状態になってしまうんじゃないか。

 私は、そのことは極めて憂慮すべき深刻な事態を招くのではないかと思うんですが、それでも、今の武器輸出三原則、この見解以降は、もうどんどんやってもらっていいんですよということでいくのかどうか、それは本当に大事なところへ来ていると思うんですよ。大臣のお考えを聞いておきます。

直嶋国務大臣 これは、もともとは昭和四十二年の佐藤総理の答弁でこの武器輸出三原則というのは打ち出されたわけでありまして、その後、歴史的な経過の中で、その三原則の周辺部分についての解釈を政府がつけ加えてきたということであります。

 したがいまして、私どもとしても、現時点での解釈は、先ほど申し上げたように、いわゆる形状や属性から客観的に武器専用品と判断できるものが武器に該当する、こういう考え方でありまして、汎用品は該当しない、こういう解釈であります。

 この間の、例えばさまざまな技術進歩でありますとか、そういう中で、先生もおっしゃっているように、いろいろなものが変化してきています。武器だけじゃなくて民生品も変化してきているわけでありまして、そういうものをどう整理していくかということで申し上げますと、確かに、いろいろ議論をしていくことは必要だとは思っていますが、私は、今の段階では、この解釈で当面は対応するということであるというのが政府の方針だというふうに思っております。

吉井委員 もう時間が参りましたので、締めくくりに入ります。

 やはり三木総理のときは、もとのものよりも武器輸出三原則というのをグローバルに、地域的にも広げるとともに、厳しくしているんです。しかし、次々と穴をあけてきて、何か汎用品だったらいいみたいなことを言い出すと、農薬ですと言われたら輸出してもいいというふうになるわけですね。

 しかし、それは、行った先で何に使うかということについても輸出の時点できちんと把握して、そして、さっきのAWACSのように、あるいはその他の例に見られるように、軍事用に使われるものというのは、もともと武器とは、軍隊が使用するもので、直接戦闘の用に供せられるというものなんですから、送った先のところが国防総省であったりとか軍である場合、これは、やはり簡単に今のような拡大解釈を続けてやっていくというのは日本にとって極めて危険な事態になるということを申し上げて、時間が参りましたので、質問を終わります。

     ――――◇―――――

東委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。直嶋経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

直嶋国務大臣 エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 我が国経済社会が将来に向けて力強く成長していくためには、我が国の強み、とりわけ、我が国がすぐれた技術を誇るエネルギー・環境分野において新たな市場を開拓し、新産業を育成していくことが重要です。既に、太陽光発電設備や電気自動車、蓄電池等の開発、製造が本格化しつつあり、経済成長と雇用創出に貢献するものとして大きく期待をされております。一方で、こうした産業の育成については、各国がさまざまな公的支援を強化しており、国際的な競争が激化する中、我が国においても事業者に対する資金供給の円滑化など支援措置の拡充が必要となっています。

 また、中小企業を含む多くの企業が高効率ボイラーなどエネルギー・環境性能の高い設備を導入することは、こうした設備に対する需要を拡大するとともに、導入した企業の省エネルギー化やこれを通じた競争力強化に貢献します。このため、資金力に乏しい中小企業などであっても、初期投資費用を抑え、こうした設備を導入できるよう支援策を講じ、その導入を促進していくことが必要となっております。

 こうした状況を克服して、我が国経済社会の低炭素化への革新を図り、昨年十二月末に策定した新成長戦略(基本方針)を早期に具体化していくため、本法律案を提出した次第であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、太陽光発電設備のように非化石エネルギーを利用する製品や電気自動車のように環境負荷の低い製品などをエネルギー環境適合製品と位置づけ、これらの開発、製造を行う事業者に対し、株式会社日本政策金融公庫から民間金融機関を通じて低利、長期の資金を供給する制度を創設します。

 第二に、中小企業を含む多くの企業において高効率ボイラーなどのエネルギー環境適合製品の導入を促進すべく、これらの製品をリースにより調達する際の信用力を補完するための保険制度を創設します。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨です。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

東委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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