衆議院

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第18号 平成22年5月11日(火曜日)

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平成二十二年五月十一日(火曜日)

    午後二時八分開議

 出席委員

   委員長 川内 博史君

   理事 阿久津幸彦君 理事 小泉 俊明君

   理事 田中 康夫君 理事 橋本 清仁君

   理事 村井 宗明君 理事 岸田 文雄君

   理事 三ッ矢憲生君 理事 竹内  譲君

      阿知波吉信君    石井  章君

      加藤  学君    勝又恒一郎君

      神山 洋介君    川島智太郎君

      川村秀三郎君   菊池長右ェ門君

      熊谷 貞俊君    熊田 篤嗣君

      黒岩 宇洋君    小林 正枝君

      中川  治君    中島 正純君

      長安  豊君    畑  浩治君

      早川久美子君    馬淵 澄夫君

      三日月大造君    三村 和也君

      向山 好一君    森山 浩行君

      谷田川 元君    若井 康彦君

      赤澤 亮正君    金子 一義君

      金子 恭之君    北村 茂男君

      佐田玄一郎君    徳田  毅君

      野田 聖子君    林  幹雄君

      穀田 恵二君    中島 隆利君

      柿澤 未途君

    …………………………………

   国土交通大臣       前原 誠司君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   国土交通副大臣      馬淵 澄夫君

   外務大臣政務官      吉良 州司君

   経済産業大臣政務官    高橋 千秋君

   国土交通大臣政務官    長安  豊君

   国土交通大臣政務官    三日月大造君

   防衛大臣政務官      長島 昭久君

   国土交通委員会専門員   石澤 和範君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十一日

 辞任         補欠選任

  馬淵 澄夫君     森山 浩行君

  若井 康彦君     熊谷 貞俊君

同日

 辞任         補欠選任

  熊谷 貞俊君     若井 康彦君

  森山 浩行君     馬淵 澄夫君

    ―――――――――――――

五月十一日

 特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件(内閣提出、承認第三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 排他的経済水域及び大陸棚の保全及び利用の促進のための低潮線の保全及び拠点施設の整備等に関する法律案(内閣提出第一六号)


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     ――――◇―――――

川内委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、排他的経済水域及び大陸棚の保全及び利用の促進のための低潮線の保全及び拠点施設の整備等に関する法律案を議題といたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。菊池長右ェ門君。

菊池委員 民主党の菊池長右ェ門でございます。

 国会に来て初めての質問でございます。この機会を与えていただきましたことを大変光栄に存じております。

 最近、日本の近海周辺で、各国のいわゆる資源戦争の縮図のようなものが大変活発になってきておる状況は、皆さん御存じのとおりだと思います。例えば、韓国が竹島周辺で地質調査を始めるという発表をしたり、あるいは、英国の資源企業の幹部が、日本の排他的経済水域内で海底熱水鉱床の試掘許可を申請するために来日をしたという記事も載っておりました。

 さらに衝撃的なのが、つい一週間前、五月三日、我が国の測量船昭洋が、東シナ海の日中中間線付近の、しかも日本側の海上から中国の同じ海洋調査船に追尾され、結局追い出されてしまった。そういう表現がいいかどうかは別にいたしまして、そういう事例までが次々と出てきております。私は、この件については、本委員会において海上保安庁の方に事情を説明していただきたいと思いましたけれども、時間の制約もこれあり、割愛をいたしましたけれども、これらのことは、いかに我が国の周辺海域が資源に満ちた魅力あるものであるかの証左でもあります。

 そこで、私は、国の主権と権益確保及びその保全を図るという観点から、今回の法案について質問をさせていただきます。

 資源の乏しい日本にとって、海は資源を生み出す資産であり、前原大臣がおっしゃった、海洋国家日本の再生を果たすという御覚悟を体現するものであるとも感じさせるこの法案の趣旨と提出に至った経緯、そして、なぜもっと早く提出できなかったのかについて、前原大臣の御見解を伺いたいと思います。

前原国務大臣 菊池委員にお答えをいたします。

 海洋基本法というのを平成十九年の四月に成立をさせたわけであります。これは、自民党、公明党、民主党の有志で、超党派でこの法律をつくろうということになりまして、私もその動きに参画をしたわけでありますけれども、今まで海洋立国でありながら海洋基本法すらなかったということは、大変私は遺憾だと思っております。

 よく委員もお耳にされるように、日本は領土でいえば世界第六十一位の面積であるけれども、領海あるいは排他的経済水域を入れますと世界第六位の大国である。しかも、水産資源、海底資源、それから主権を守るために非常に重要だということと、あとは海上航行路、こういった、坂本竜馬いわく、島国じゃなくて、海を道として外へ出ていくための海洋国家という、能動的な意味での、シーレーンも含めてしっかりと日本の考え方を決めていこうということで、平成十九年の四月にこういった海洋基本法をつくって、そして海洋基本計画に基づいて、今回、排他的経済水域の保全あるいは利用を図るということ、そして、我が国の主権をしっかりと位置づけるための離島、これをしっかりと保全していこうということで、今回の法案提出に至ったということを御理解いただきたいと思います。

菊池委員 排他的経済水域、いわゆるEEZは、領海とは別に、沿岸から二百海里の海域を定めており、その海底や地下の水産物あるいは鉱物資源、これらの探査、開発をする権利を認められている、今大臣がおっしゃったように大変重要な資産であります。この資産のもととなる低潮線を保全するということは大変重要なことと認識をしておりますけれども、低潮線保全区域は、どういうところに、そして全部で何カ所くらい指定をされるのでしょうか。

長安大臣政務官 菊池委員にお答え申し上げます。

 低潮線保全区域は、政令にて指定をさせていただくこととなっております。具体的には、南鳥島、沖ノ鳥島等の離島の低潮線、また、北海道や本州等の本土の低潮線のうち、排他的経済水域の根拠となっているものを保全するために必要な海域を指定するということと考えております。

 また、低潮線と申しますけれども、基本的には、これはポイント、ポイント、低潮点になっております。それをつなげていくことによって線になるわけですけれども、これをまとめて一つの区域に指定するなど、具体的な指定の方法については現在検討しているところでございまして、できる限り早急に確定していきたいと考えているところでございます。

菊池委員 北方領土や竹島等、心ならずも、我が国の領土でありながら外国に実効支配をされているこれらの島々の低潮線は、どのようにお考えでございましょうか。

前原国務大臣 北方四島及び竹島については、現状において我が国の施政を行使することが困難な状況にあるというのは、委員も御承知のとおりでございます。そのために、我が国として講ずることのできる措置には制約がありまして、その結果として、我が国として当該地域において低潮線保全区域を定めるための海底の地形、地質その他の自然条件を調査によって確認することができません。したがいまして、本法案に基づく低潮線保全区域の指定は、北方四島と竹島においては行わないということになっております。

菊池委員 私は、実際には作業は行えないとしても、せめて低潮線保全区域の指定、これは日本の領土だという意味を対外的に示す意味においても必要なのではないのかな、指定しておくべきだと思いますが、いかがでしょうか。そしてまた、周辺国の中には日本の弱腰を見透かして色気を見せている国もあるやに聞いております尖閣諸島、ここは我が国の領土でありますから、当然区域指定はするものと考えますけれども、いかがでしょうか。

前原国務大臣 北方四島、竹島につきましてでありますけれども、この低潮線保全区域の指定及び当該区域における行為規制の運用を行うためには、我が国として、低潮線周辺の海底の地形、地質等の自然条件を調査によって把握することが不可欠でございます。しかしながら、北方四島及び竹島については、現状において我が国の施政を行使することが困難な状況にあることから、自然的な条件を確認できないために、今回、低潮線保全区域の指定は行わないということになっております。これは、本法律案の第二条第七項に書いてあるところでございます。

 他方、尖閣諸島というのは、これは我が国の固有の領土であり、実効支配をしております。これが、領土的な紛争があると我々は認識しておりません。したがいまして、この尖閣諸島の低潮線のうち、排他的経済水域の根拠として保全が必要なものについては、本土や他の離島の低潮線と同様に、低潮線保全区域として政令にて指定する際の対象に含まれるわけであります。具体的な指定区域につきましては、今後、低潮線周辺の海底の地形、地質その他の自然条件を踏まえまして、適切に行ってまいりたいと考えております。

菊池委員 次に、特定離島について伺います。

 特定離島を指定して海洋開発の拠点を整備していくことは、海洋立国日本にとっては極めて重要な政策であり、積極的かつ速やかに行動を起こすことを願うものであります。我が国は、島国という、さっき大臣もおっしゃいました形容のように、多くの島々で成り立っております。どこを特定離島として指定するのか、また、特定離島に指定された島々、当然、低潮線保全区域にも指定されると考えてよろしいのでしょうか。

長安大臣政務官 お答え申し上げます。

 特定離島とは、これまで十分に利用がなされていなかった排他的経済水域及び大陸棚において行われる天然資源の探査及び開発、海洋環境の保全等の活動を促進するため、拠点施設の整備を行う必要がある離島と考えております。

 具体的には、地理的に本土から遠隔に位置しているということ、また、天然資源などの周辺の排他的経済水域等の状況、港湾及び漁港その他の公共施設の整備状況などにかんがみ、南鳥島、沖ノ鳥島を政令により指定することを想定しております。南鳥島と沖ノ鳥島の低潮線に関しましては、これも低潮線保全区域として政令にて指定する際に含まれると考えております。

菊池委員 私は、海に関する我が国の管轄権の根拠になる離島については、例えば竹島のように不法に占拠されたり、あるいは海岸を掘られたり、そういうようなことのないように、巡視船におけるパトロールや、名前のない小島にもきちんと名前をつけて地図等に明示しておく、そういうことも必要ではないのかなと思います。

 御承知かもしれませんが、ロシアは二〇〇七年に北極海の海底に自分のところの国旗を立てて、大陸棚の延長を主張したと聞いております。国交省としても、このようなデモンストレーションも必要なのではないのかな、こういう思いが非常に強くございます。

 ところで、平成二十二年度の特定離島の予算、これは幾らぐらいを考えておられるのか。そして、先ほど南鳥島あるいは沖ノ鳥島という名前も出ましたけれども、これは両島同時に着工されるのでしょうか。

長安大臣政務官 お答え申し上げます。

 予算につきましては、平成二十二年度で、国費として七億円を計上させていただいております。中身といたしましては、南鳥島における港湾整備と、さらには沖ノ鳥島におけます港湾整備に向けた現地測量調査等に必要な予算額でございます。

 南鳥島の港湾整備につきましては、今申し上げましたように、この二十二年度の着工を目指しております。そのためにも今回御審議をいただいている法案が速やかに可決されることを願っておるわけでございますけれども、沖ノ鳥島に関しましては、既存の資料の分析結果や今年度行います調査結果に基づいて着工時期を検討していく所存でございます。

菊池委員 南鳥島についての平成二十二年度の着工は大いに評価をするものでありますが、私は、沖ノ鳥島の港湾整備もことしにぜひ着工していただきたかったな、こういう思いをしてございます。

 沖ノ鳥島は、今まで、国としても何度もこれの保全に取り組んでこられた涙ぐましい努力も承知しております。ただ、いっとき中国が、あれは岩だとか、島ではないというような理由で国連に提訴をするということがあったやに聞いてございますので、むしろ沖ノ鳥島の方を先にしていただきたかったなと思うんです。今の政務官のお話で、これからの工事に向けての調査が必要だということで、いたし方ないのかなと思いますが、いずれにせよ、日本の権益を守るという意味からも、一日も早く工事にかかってほしいのですが、大臣、いかがなものでしょうか。

前原国務大臣 御趣旨の点は全く私も同感でございまして、一日も早くしっかりとした港湾整備を行っていきたい、このように考えているわけであります。

 ただ、先ほど長安大臣政務官から御答弁したように、現地の、深い浅い、いわゆる深さの測量、あるいは波浪、波ですね、波や土質に関する調査を実施して、概略設計等の技術的検討をまず行う必要があるということで、平成二十二年度予算においては現地測量調査費及び概略設計費を計上したわけでありまして、既存の資料の分析、現地測量調査、そして概略設計等を踏まえて、整備スケジュール等を検討してまいりたいと考えております。

 整備内容としましては、周辺海域で活動する船舶の係留、荷さばき等が可能となる港湾の施設が必要であると考えておりまして、沖ノ鳥島の周辺海域における海洋資源の開発や海洋調査などを安全かつ安定的に行うことができるように、一刻も早く現地着工すべく最大限の努力を今後も図ってまいりたいと考えておりますので、引き続きの御支援をよろしくお願い申し上げます。

菊池委員 よろしくお願いをいたします。

 それでは、大陸棚についてちょっとお伺いをしたいんですが、先ほども海洋調査船の事件について言及をいたしましたが、我が国の調査船が他国のEEZ内に入るときには、許可を受けたり、あるいはそれに大変苦労し、あるいは臨検を受けることもある、このように聞いております。

 日本の確たる意思を内外に示すためにも、我が国の大切な資源であるEEZあるいは大陸棚における資源を確保するために、外国資本及び外国船舶による資源探査を規制する明確な法制定が必要ではないのかな、こう思いますけれども、いかがでございましょうか。

高橋大臣政務官 委員にお答えしたいと思います。

 委員が冒頭にお話をされたように、韓国だとかほかの国が沖合で調査をしているという事実がありますけれども、我が国は、国連海洋法条約で認められている排他的経済水域における資源探査及び科学的調査を管理するための法制度が未整備だというのは事実でございます。このため、諸外国が我が国の同意なしに資源探査や科学的調査を実施している場合がございまして、こうした場合に国内法に基づく措置をとることができない状況にございます。

 一方で、中国、韓国、ロシアなどはかなり厳しい規制を措置しておりまして、我が国としましても、自国の資源を適切に管理、開発するためには、この制度整備を進めることが大変重要だというふうに考えております。政府としましては、我が国の排他的経済水域におきまして、石油だとか天然ガスだとかメタンハイドレート、海底熱水鉱床等の海洋資源開発に向けた取り組みを強化していくという観点からも、自国内の資源を確保するために、早急に制度整備の検討を進めることとしていきたいというふうに考えております。

菊池委員 最後の質問にいたします。

 力強い御答弁をいただきましたので、ぜひ早くその制定に向けて御努力をお願いしたいと思います。

 最後に、特定離島における港湾整備を通じた海洋資源の開発あるいは海洋権益の確保、今後の大きな成長が期待される分野であります。私は、海洋政策を今後策定される新成長戦略の中にしっかりと位置づけて、政府一丸となって推進をしていただきたい、こう考えておりますが、大臣の御所見をお伺いして、質問を終わらせていただきます。

前原国務大臣 先ほど答弁をさせていただきましたように、排他的経済水域を含めた日本の主権の及ぶ範囲というのは世界第六位でございまして、この排他的経済水域や大陸棚には、豊富な水産資源に加えまして、先ほど御答弁がありましたように、メタンハイドレート、それから海底熱水鉱床、あるいはコバルトリッチクラスト、こういったさまざまな海底資源というものが豊富にございます。日本は資源小国だと言われておりますが、こういうものに目を転じると、極めて資源に恵まれた国である。

 要は、どう開発をしていくのかということでございまして、海洋基本法に基づく海洋基本計画は、おおむね平成三十一年、あと十年ぐらい先においては熱水鉱床とメタンハイドレートを商業化するということを位置づけているわけでありまして、それに向けて予算もつけて、今着々とやっているわけであります。

 今、菊池委員が御指摘をされたことは大変重要なことでございまして、これは国土交通省の成長戦略の五本柱の一つにも入っておりますので、しっかりと、海洋基本法に基づき、また海洋基本計画に基づいて着実にこの資源の開発を行っていき、予定どおり十年後の商業化に向けて努力をしていきたい、また新成長戦略に位置づけて努力をしていきたいと考えております。

菊池委員 大変心強い御答弁ありがとうございました。

川内委員長 菊池長右ェ門君の質疑を終了いたしました。

 次に、神山洋介君。

神山委員 民主党の神山洋介でございます。

 当選から八カ月目にして初めて質問の時間をいただくことができました。ありがとうございました。しかしながら、わずか十分ということでございますので、貴重なお時間ですので早速本題に入らせていただきたいなというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 今、同僚議員の菊池議員からも、この法案の意義であるとかそういった面についても質問させていただきましたし、前原大臣からも、極めて大事な法案であるというお話をいただきました。私も認識は全く同様であります。この日本という国がこれからどうやって国際社会で生きていくのか、食っていくのか、かつ、その中で、近隣のアジア各国のみならず、世界各国とどうやって競争関係を生き抜いていくのかということを考えていったときに、狭い国土のみならず、やはりこの広い海洋をどうやって生かしていくのかという観点が非常に大事であろうというふうに思っています。

 先日、チリで大地震が起きた後に津波がありまして、津波がどうなるかなということを、多分、恐らく皆様方も気にしてテレビを見ていらっしゃった方も多いかなと思いますが、あのとき津波の第一波が届いたのが、最初に出たのがたしか南鳥島だったかなというふうに思います。たしか十センチぐらいだったと思います。

 日ごろ南鳥島というのがそんなに日常生活の中では密接にはなっていないわけですけれども、ああいったところでやはりぽこんと出てくる。南鳥島が日本の東端に位置するということでありますのでああいう形で出てくるわけですが、この一つの側面だけとっても、やはり大事な離島の保全、活用ということではないかなというふうに思っております。

 海洋政策の経緯を、先ほど大臣からも海洋基本法に至るまでのお話をいただきました。大もとをたどれば、海はそもそも、みんなの海というところから始まっていて、みんなが自由に航行するというその基本スタンスは今でも生きていると思うわけですけれども、ただ同時に、海面であり、海中であり、海底というところの活用をこれからどうしていくのかということを考えていったときに、やはりそこに国と国、国家と国家の権益争いであり、またそこに対しての戦略的な競争関係というものも出てきているというのが現状ではないか。まあ、おくればせながら海洋基本法ができて、海洋基本計画ができて、そして今に至っているというふうに思います。

 このゴールデンウイーク直前、またゴールデンウイーク中も、日本のEEZ内で近隣国が、資源探査なのか調査なのかわかりませんけれども、そういった形で、いろいろな形で船を入れてきているという報道もあります。日本の資源を守っていく、開発をしていくというのは極めて大事なことであるがゆえになんですが、やはりこうしたニュースに触れるとどうしても、我々としては、この日本の海洋権益をどうやって守るのかというところにがあっと目が行きがちでありまして、それはそれで私は極めて大事なことであろうと思いますし、そのあらわれがこの法案なんだろうというふうには思っています。

 ただ、今、大陸棚の延長申請もしているわけであって、これから小委員会等々で各国の理解を得る中で、日本の海洋開発が近隣国を含めた世界各国の国益であり、国際社会の利益に合致するものであるということも一方では説得をしていかなきゃいけない。そういう局面であるということを考えると、私はここはすごくバランスが大事なんじゃないかなというふうに考えています。

 つまりは、日本は日本として独自の海洋権益を守る、一方で、日本がやろうとしているのは単に日本の利益を囲い込むという話だけではなくて、日本が海洋開発をすることが近隣国を含めて世界各国の共通の利益にもなるんだということを、やはり政策的にも、またアピールをする意味でも強調していく。この二つのバランスをとっていく中で、日本がこの恵まれた海洋環境、海洋資源というものをできるだけ有効に活用していくというふうに進んでいくのが、これからの日本のあるべき海洋政策の基本じゃないかなというふうに個人的には考えております。

 これまでの海洋基本法の成立過程等々の資料を見させていただきましても、基本的に大臣の認識はこういうものではないかなということも類推しつつではありますけれども、まず、この基本認識について大臣の御所見をお伺いできればと思います。よろしくお願いいたします。

前原国務大臣 神山委員にお答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、国家権益をどう確保するかということと国際公共財としてどう生かしていくのかという、両方のバランスというのは極めて大事な視点だというふうに思っております。

 今までは、国家権益という視点もかなり欠けていて、そしていわゆる海底の資源あるいは水産資源、こういったものもしっかり守ってこられなかったということが事実だろうと思いますし、これはこれでしっかりやっていく。

 同時に、先ほど委員のお言葉にもありましたけれども、基本的には領海以外は航行自由の原則なんですね。自由に通っていい、海はみんなのものなんだということでありますので、調査とかする場合には事前にもちろん通告をしてもらうということが大事でありますけれども、普通に航行する場合においては自由に航行していいということでありますし、また、これからは、地球環境への対応とか生物多様性の保全ということから考えると、お互いがお互いの海を知り合って、そして国際協力をしていくという観点も大変重要なんだろうと思います。

 そういう観点から、今委員が御指摘をされた両面にわたってしっかりと日本がグリップをして、そしてバランスのとれた海洋の活用というものを考えていくということは大変重要だろうと思っております。

神山委員 すぐに質問終了時刻三分前というペーパーが来てしまいました。また追って、これに関してはいろいろな形で議論させていただきたいなというふうに思っております。

 この質問の準備をしているさなかで、一つ、あっというふうに思い起こしたのが、前原大臣の恩師でいらっしゃいます高坂正堯先生が昔「海洋国家日本の構想」という本を出して、私も大学生のときに、たしか大学一年生ぐらいのときにその本を読んだなということを思い出しました。やはり日本にとって、海洋をどうやって生かしていくか、その海洋を踏まえた中で、閉じた国ではなくて、開かれた日本としてどうやってこれから生きていくのかという観点に立ってさまざまな政策展開をしていくということが大事であろうと思います。

 一方で、これは最後の質問になりますが、先ほど同僚の菊池議員がお話をされましたが、今後の、海洋基本計画にもあるさまざまな課題の残課題の一つの大きなところは、やはり資源探査に関しての法整備をどう進めていくかということではないかなというふうに思います。

 それに関しては先ほど御答弁もあったわけですが、もうプラスアルファで申し上げると、現状、科学的調査はフリーにやっていいという話になっている、資源探査は、そこはその国の許可がなければいけませんよという話になっている。資源探査はそれでいいとして、科学的調査に関してこれから法整備をしていかなきゃいけないんじゃないかという話になっているわけですが、科学的調査をやると言っておきながら、でも実は、それは資源探査をやっているという場合があるんじゃないかという話があります。

 これは、外から望遠鏡で船だけ見ていてもなかなかわからないんじゃないかなということも言われておりますし、じゃ、一体、どういう法整備をする、どういう制度を設ければいいのかということも含めて、これからの法整備の中で一つ大きな、大事な課題として議論をする必要があるんじゃないかなというふうに考えております。この点に関しまして最後にお聞かせをいただきまして、質問とさせていただきたいと思います。

高橋大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 先ほど菊池委員に答弁をさせていただいたように、この分野については法が未整備だというのは事実でございます。

 そういう中で、先ほど委員から御指摘があったように、科学的調査なのか資源探査なのか、外から見るとわからないわけですね。科学的調査を装って実際は資源探査をしているということもあるかもわからないということで、諸外国では、中国とか韓国とかロシアは、両方についてかなり厳しい規制をかけております。ヨーロッパだとかアメリカも、資源探査に加えて一部の科学的調査についても規制を措置しておりまして、日本としても早急に、自国の資源を守るということを考えれば、この部分についても整備をしていかなければならないというふうに考えております。

神山委員 ありがとうございました。終わります。

川内委員長 次に、林幹雄君。

林委員 自民党の林幹雄でございます。

 久々の質問でありまして、特に野党質問というのは十六年ぶり、当選一回のとき以来でございます。要領を得ないかもしれませんけれども、しっかりやりますので、よろしくお願いしたいと存じます。

 まず、先ほども議題になりましたけれども、低潮線の保全区域について伺いたいと思います。

 今ほど大臣答弁で、法の第二条第七項の規定に基づき、やむを得ない事情により、海底の地形、地質その他の低潮線及びその周辺の自然的条件について、調査によってその確認を行うことができないことから、区域指定をしない予定だという答弁であります。

 そこで、きょう外務省、見えていますか。北方四島、竹島について低潮線保全区域を指定しない場合、ロシアとかあるいは韓国、そしてまた、東シナ海の問題もありまして、中国やら台湾、こういった国々との関係で問題はないのかどうか、その辺をちょっとお尋ねします。

吉良大臣政務官 お答え申し上げます。

 今御指摘があったとおり、北方領土、そして具体的には竹島につきましては、御承知のとおり、我が国の施政を行使することが困難な状況にあるということでございまして、したがって、この法律の趣旨にもございます低潮線保全区域を定めるための海底の地形、地質その他の自然的条件を確認することができないということでございます。そのために、この法律に基づいての低潮線保全区域の設定は行わないことになるというふうに思っております。

 ただ、このことが我が国の、北方領土に対して、また竹島に対して、我が国固有の領土であるという基本線を変えるものでは決してないということでございまして、今、問題はないのかということでございましたけれども、我が国の領土であるという基本線は変えず、この点についてはロシア政府、そして韓国政府に対して申し入れしていくつもりでございます。

 以上です。

林委員 何か答えになっていないような気がするんですけれども、そこはもう政務官が答えているように、そもそも日本の領土だと言っているわけですから、ならば、この返還交渉は今どういうことをやっているのか、あるいはこれからどうするのか、その辺を聞かせてください。

吉良大臣政務官 お答えを申し上げます。

 ロシアに対しましても、そして韓国に対しましても、累次の機会、適宜適切に我が国の主張というものを申し入れているというのが今外務省としての立場、基本線でございます。

林委員 何か全然らちが明かないような感じで、それではこの低潮線の保全区域というのはいつになるか全くわからないじゃないですか。まあ、これをやっていると時間がなくなりますので、次に行きます。

 特定離島についてお伺いをいたします。

 本法案では、排他的経済水域の保全、利用のため、特定離島を政令で指定し、拠点施設を整備することとしているわけであります。特定離島としては、先ほど政務官の答弁がありましたけれども、南鳥島、沖ノ鳥島の二島を指定するというようなことだそうでございますけれども、尖閣諸島も本土から遠隔の地にありまして、周辺には資源も豊富である、加えて、その中で港湾施設もありません。ですから、EEZの保全、利用を促進していくためにも、南鳥島、沖ノ鳥島も大事かもしれませんけれども、私は尖閣諸島周辺海域も大変重要であるというふうに思っておりまして、そういう意味では、尖閣諸島を優先してといいますか、南鳥島に加えて特定離島に指定できないものかどうか、その辺をお伺いします。

長安大臣政務官 お答え申し上げます。

 今回特定離島として指定するもの、南鳥島、沖ノ鳥島ということを想定しているという答弁を先ほどさせていただきました。基本的には、特定離島に関しましては、地理的に本土から遠隔に位置していること、さらには天然資源など周辺の排他的経済水域等の状況、港湾及び漁港その他公共施設の整備状況などにかんがみ指定をするということを想定しております。

 そういう中にあって、現時点におきましては、尖閣諸島の特定離島の指定については想定をしていないということでございます。

林委員 今の政務官の答弁だと、どう考えても合致していますよね。

 それはともかく、私も平成十年、運輸政務次官当時、南鳥島を訪問しました。当時、気象庁、海上自衛隊、海上保安庁の三部隊が勤務しておりまして、調査活動をしておりました。そこで、いずれ尖閣諸島も特定離島に指定するという前提で私は提案をしたいと思うんです。ですから、例えばかつて南鳥島で行ったような調査観測を、気象庁を中心に尖閣諸島でやられたらどうかと思うんですね。それは領有権の主張となるわけでもありまして、戦略上大変有効な手だてだというふうに私は思って、ぜひ御検討をいただければというふうに思うんです。

 私が行ったときに、この三部隊はたしか二週間か三週間交代で勤務をしておりました。そのときにこの部隊の方々に何がお困りかというふうにお尋ねしたら、日本のテレビを見たいということでありましたので、帰りまして当時の郵政大臣の野田聖子先生にいろいろお願いをしまして、時間は三年ほどかかりましたけれども、三部隊にNHKの衛星放送が入ったということでありました。

 私が行ったのはサーブというプロペラ機で飛んだわけでありますけれども、硫黄島で給油をして行ったんですけれども、にじは真ん丸だというのをそのときサーブから見て発見したんですね。いろいろそういった感動もありましたけれども、せっかく大臣は今こういう担当大臣でいるわけでありますから、ぜひとも南鳥島を訪問していただきたいな、百聞は一見にしかずという言葉がありますから、ぜひお願いしたいと存じます。

 次にお尋ねしたいのは、排他的経済水域の利用について、つまりEEZでありますけれども、先ほどから話が出ているように、さまざまな海底資源が豊富にある、こういうふうに言われているわけでございまして、このため政府は二十一年三月に、十カ年計画、つまり海洋エネルギー・鉱物資源開発計画を策定したわけでございます。

 そこで、経産省、見えていますか。我が国の海底鉱物資源の開発技術ですけれども、世界の技術水準と比較してどんなものなんでしょうか、ちょっと教えてください。

高橋大臣政務官 お答えさせていただきます。

 我が国の産業界というのはいろいろな分野がトップ技術を持っているわけなんですけれども、海底鉱物資源の開発にも大変有効なものがたくさんございまして、その技術水準は世界的に見てもトップクラスと言っていいというふうに思います。

 例えば、過去に経産省がマンガン団塊の採取システムの研究開発プロジェクトを実施しておりまして、これで海底面の鉱物を採取して海上に引き揚げるための基礎的な要素技術というのが確立をしております。そのほかにも、民間企業で、遠隔操作でダムの土砂を取る、しゅんせつをしたりするロボットだとか、海底を歩いていくことができる、しゅんせつをしたりするようなロボットが海底鉱物資源の採掘に応用可能というふうに考えております。加えて、海底熱水鉱床は、我が国の秋田県の方でかつてありました黒鉱鉱床というものがございますけれども、これと同様の性質を海底の資源は有しているものですから、我が国の非鉄金属業界の有する製錬技術というのが応用可能だというふうに考えております。

 そのほかにも、深海底の海底熱水鉱床やコバルトリッチクラストの開発に実際に適用するためにはまだまだ大分研究しなきゃいけない部分もございますが、経産省としても、今後この技術開発に注力をしていきたいというふうに考えております。

林委員 今ほどもありましたけれども、海底鉱物資源ですけれども、私は、今答弁があったように、熱水鉱床あるいはコバルトリッチクラスト、これを主にとらえて今発言をしているわけですけれども、この開発は我が国の新たな産業になるのではないかと思うんですね。そういった意味で、これから大幅に予算を増額して、そして十カ年と言わずに前倒しして取り組むべきだと思うんですね。それこそ我が国の次の大きなステップになるわけですから、そういった意味では、もっとスピードアップすべきだと考えておりますけれども、いかがだろうか。

 同時に、スピードアップするためには、やはり、民間の資金だとか知恵だとかあるいは技術だとか、さまざまな力を導入して、そして官民共同で取り組むべきだというふうに私は思っているんですけれども、それも加えて御答弁願いたいと存じます。

高橋大臣政務官 ありがとうございます。

 この開発に当たりましては四つの要素がありまして、資源量がどれぐらいあるかという評価をする探査がまず要ります。それから、環境とか生態系に与える影響の評価ということの手法がまず要りますし、海底でとって、それを海上に揚げるという技術がまた要ります。それからもう一つは、製錬をするという技術の確立が要りまして、この四つを並行して進めていかなければならないというのは、もう委員も御存じのことだと思います。

 海洋エネルギー・鉱物資源開発計画に基づきまして、海底熱水鉱床について、現在、沖縄海域及び伊豆、小笠原海域で資源調査を実施中でございますけれども、資源量把握の加速をするということで、第二白嶺丸という船があるんですけれども、これはかなり古くて耐用年数を超しているものですから、今、新造船中でございます。あと一年半ぐらいでできるんですが、これができればかなりスピードアップできると思います。今は、試掘をしたものを一たんおかに持っていって、それをテストしてまた戻るというような、かなり手間のかかることをやっているんですが、これが完成すれば沖合で、ずっとそこでテストもできるということで、かなりスピードアップができるのではないかなと思っております。

 それから、もう一つの質問の民間の資金とか技術につきましても、これは、このことに限らず、官民一体となってオール・ジャパンでやはりやっていかなければいけないだろう、そういう考えで、この海底鉱物資源開発の取り組みにつきましても、民間と官が一体となってやっていくということを取り組んでいきたいというふうに考えております。

林委員 我が国は、原材料といいますか、そういったものは輸入をして賄うというようなことをずっとやってきました。先ほど前原大臣の答弁がありましたように、我が国近海にはそういったような資源が眠っている。これからは、やはり自給をするというか自主開発をする方向に転換すべきだと思うんです。

 一例を言いますと、非鉄金属の輸入ですけれども、二〇〇〇年には一兆円だったんですけれども、二〇〇七年には四・七兆円、五兆円近くに膨れ上がって、どんどん値上がりしていくわけです。ですから、やはりもうここらで、これだけの資源が身近にあるわけですから、きちっと方向転換をまずすべきじゃないかというふうに思います。

 例えば、携帯電話などの電子機器の部品の製造に不可欠なレアメタルなどが豊富に存在しているというふうにも聞いておりますし、我が国の成長に必要なエネルギーあるいは鉱物資源については、この利用と都市鉱山からのリサイクルをかみ合わせれば、今言ったような、輸入から自主開発へというふうに大きく転換すると思うんです。

 民間団体で日本プロジェクト産業協議会というのがございまして、JAPICというんですけれども、ここがEEZ内の資源開発の試算を出しているんです。そうすると、熱水鉱床で八十兆円以上ある、そしてまたコバルトリッチクラストで百兆円以上見込まれる、加えてメタンハイドレートでは百二十兆円以上あるだろうと。合計すると三百兆円以上になるわけでありまして、それを年間経済波及効果に直しますと、この三つの部門を合わせて八兆円規模になるということなんですね。そして雇用も、この八兆円で試算していきますと、十万人を超すというような試算が出ているわけでございます。

 そういった意味では、先ほども発言がありましたけれども、ここは、次の我が国のためにも、今政府が策定しようとしている新成長戦略に位置づけるべきだ。つまり、原子力開発あるいはまた宇宙開発と同様な位置づけをすべきではないか。これからの日本のありようを決める大変大事な事業ではないかというふうに思うので、大臣の見解をまずお尋ねします。

 その上で、これを具体化することが大事だろうと私は思っているんです。具体化するには、失敗を恐れないで、パイロット事業を打ち上げるということがいいのではないかというふうに思うんです。

 具体的には、先ほど経産省の政務官から話がありましたように、沖縄近郊にもあるいは小笠原諸島にも、いいと言われている場所がございます。そういったところを、例えば規模二百億円程度で、その海域を決めまして産業化を目指す。いわゆる探査と試削、採鉱、そして指摘されましたように環境影響評価も行うといったようなパイロットプロジェクトをぜひともやるべきではないか。しかも、ここに、先ほどから話をしている官民共同、民間の力も当然入れるという構えでいくべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

前原国務大臣 林委員おっしゃるように、宇宙と並んで海洋開発というのはまさにフロンティアでございまして、しっかりとこの基本計画にのっとって着実に進めていくことが大事だ、このように考えております。先ほど菊池委員の御質問にも答弁させていただきましたけれども、メタンハイドレートと海底熱水鉱床については、おおよそ平成三十一年にこれは商業化を目指して今取り組んでいるわけであります。

 メタンハイドレートというのは、要は天然ガスですよね。これは価格の問題がどうなるかというところが大事だと私は思うんです。つまりは、商業化した段階でまだ天然ガスが出ている、そして出ている天然ガスの方がまだ安ければ、安い天然ガスを買って、商業化できる技術は確立をしておく。そして、天然ガスがなくなった段階でこの日本近海の、あるいは天然ガスが高くなった段階で、商業化している方が安ければ、こういったものについて商業化の技術を高めておいて、そこから進めていくという戦略的な取り組みというのがやはり必要なんだろうと思います。

 海底熱水鉱床についても、私もそのとおりだと思います。先ほど委員がおっしゃったことで大事なことは、PPP、つまりは民間のお金も入れるような仕組みをつくっていくということは極めて大事だと思うんですが、民間のお金が入るためには、商業化をして採算がとれないと、民間というのはお金を入れませんよね。そこはまだまだなかなか厳しいものがあるんだろうと私は思っています。

 メタンハイドレートにしましても、それから海底熱水鉱床にいたしましても、コバルトリッチクラストにいたしましても、とにかく開発技術をしっかり確立するために、今政府がしっかりお金を入れて、そして商業化のレベルまで達して、そこが、先ほど申し上げたメタンハイドレートであれば天然ガスとの価格の比較によって、しばらくおいておいてもいいと思うんですよ、そういう事例というのはたくさんありますからね。例えばアメリカでも、石油が出るけれども、アラブから買った石油の方が安ければ、まずは自国の開発は横に置いておいて、アラブから安い石油を買うということがあってもいいと思いますけれども、大切なことは、商業化できる技術まで達しておくということが大事な点でございますので、今委員のおっしゃった新成長戦略にのっとって、商業化のための技術をしっかり確立するということにこれから注力をしてまいりたいと思います。

 また、予算のことについても大変力強い御発言がございましたけれども、これは、我々が野党のときに、自民、公明党と民主党、三党で、まさに超党派で海洋基本法というのはつくった法律でございますので、引き続き御支援をいただければありがたい、このように考えております。

林委員 今のお答えは非常にありがたい話でもありますが、実務は経産省ということになるわけでございまして、今の段階ではJOGMECがこれを実質的に進めているということなんです。先ほど質問をしましたけれども、これではなかなか歩みがのろいのではないかというふうに思います。やはり経産省挙げて実行していくということが大事なんだろうと思うんですね。

 そういった意味で、先ほどのパイロット事業に関して、経産省としてはどういうふうな取り組み方、どういうふうな考え方でいるのか、ちょっとお尋ねします。

高橋大臣政務官 林委員御指摘のとおり、これはなるべく急ぐというのは当然のことだろうと思うんです。昨年三月に策定されております海洋エネルギー・鉱物資源開発計画というのがございますが、これに基づきまして商業化に向けて、先ほど申しましたけれども、資源量の把握、環境影響調査、採掘技術、それから製錬技術、この四つの点につきまして必要な作業を進めていきたいというふうに思っております。

 特に、海底熱水鉱床の採掘技術については、本年度の予算で採掘要素試験機の開発を実施することが計画をされておりまして、具体的な取り組みを強化していきたいというふうに思っています。また、製錬技術につきましても、現在実施中の研究データがございますけれども、これを用いて、数年後に日量数十トン規模の実証プラントを建設して、商業化の可能性を検討する予定がございます。

 開発に伴う海洋環境や生態系の保全につきましても国際ルールがあるのですが、このルールへの十分な配慮をしながら、パイロット事業の実現に向けて前へ進めていきたいというふうに考えております。

林委員 先ほど大臣から指摘がありました、やはりリスクがあるときには民間がなかなか乗れないと。ですから、そのリスクは政府が、国が率先して、研究も含めてかぶっていく、そういった意味で失敗を恐れずという意味合いをしたのですけれども、経産省には、もうちょっと先ほどの前倒しというのを現実的に、我々は予算措置云々に関しても大いに期待しているわけでありますから、ぜひ取り組みをしていただきたいなというふうに重ねて要望をしておきます。

 大臣にもう一点お尋ねしたいんですけれども、今、この海底資源の探査に、例えばエネルギー庁、文科省あるいは海保が、みんな船を持っておって、いろいろな角度から、目的はまた若干違いますけれども、探査、調査を進めているわけであります。この際、海洋政策の一環として、一元化していくというのが効率的ではないかというふうに思うんですけれども、大臣としての見解はどうなんでしょうか。

前原国務大臣 今の御指摘も大変重要なポイントだというふうに思っております。例えば、我が国の深海底の探査能力を有する調査船をどこが持っているかということでお話をすると、先ほど委員がおっしゃったJOGMEC、独立法人の石油天然ガス・金属鉱物資源機構、資源エネルギー庁、それから今度は文部科学省所管の海洋研究開発機構、JAMSTEC、それから国土交通省所管の海上保安庁、これだけがこういった探査能力を有する調査船を持っている、こういうことでございます。

 したがって、効率のいい海洋調査を行うためには、こういった関連する府省、機関による連絡会議を設置するなどによって、調査計画、結果に関する情報交換、調査計画に関する必要な調整を今までも行っているところでございますが、私からするとこれはまだまだ活発化していないと思っております。一元化まで一足飛びに行くことがいいのかどうかという議論はございますけれども、少なくとも、この海洋調査関係府省等連絡会議というものをもっと活性化して、そして一体的な計画になるように、それこそ、ここにおられる経産の高橋政務官やあるいは文科省などとも連携をして、より効率的な、一体的な運用を図るために今後努力をしていきたい、このように考えております。

林委員 もう時間がなくなりましたので最後の質問にしようかと思うんですけれども、先ほどから申し上げているように、やはりこれから我が国の生きようを定めると言っても過言じゃないんじゃないか。だとすれば、やはりここは縦割り行政の枠を破って、先ほどから申し上げているように、原子力開発あるいは宇宙開発と同じような位置づけにして、そして、そのためには、今ほど大臣が申されましたけれども、一つのそういったセクションを設けてもいいのではないかというくらいの戦略を立てて進めてもらいたいなというふうに思うんですね。

 そこで、大臣は、十九年に制定された海洋基本法、三党で手がけたという御発言がありました。そういった意味ではかなり御理解をいただいていると思うんですけれども、やはり海洋立国を目指す我が国としては、海洋政策を戦略的に推進する必要があるのではないかというふうに思うんです。そういった意味で、担当大臣として、その抱負というか見解というか、これをお聞きして、質問を終わりにしたいと思います。

前原国務大臣 同僚委員にもお答えをいたしましたけれども、海洋基本法というのは、大きく四つの目的があります。

 一つは、水産資源。排他的経済水域の中の水産資源をどう我々として活用していくのかということ。

 それから二つ目が、大陸棚や排他的経済水域の下にある海底資源。先ほど委員も言及をされたメタンハイドレートやあるいは海底熱水鉱床、こういった資源をどのように開発し、そして商業化していく、活用化していくかということ。

 そしてもう一つは、今回の特定離島などにもありますように、しっかりと我々の主権というものを位置づけて、それを実効支配していく中で我々の主権をしっかり行使し、また、その主権に存在する、先ほど申し上げた海底資源とか水産資源というものをしっかりと開発していくということ。

 もう一つは、これは神山委員の質問にもありましたけれども、やはり開かれた海というものをしっかりと我々も認識をして、海上航行路というものをしっかりとオープンなものにしていく中で、他国との交流というものを海を通じてしっかりやっていく。

 この四つが海洋基本法をまとめた大きな目的でございましたので、今、委員からも御激励をいただきました。また、一元化をしろというような提案もございましたけれども、総合海洋政策本部というのがございますけれども、この本部機能というものをさらに強化し、他省庁との連携をしっかりとしていく中で、フロンティアというものをうまく活用できるような道筋をつけていきたいと思っておりますので、今後とも御指導いただければと思っております。

林委員 終わります。

川内委員長 次に、竹内譲君。

竹内委員 公明党の竹内譲でございます。

 私も引き続き質問をさせていただきます。若干重なる部分があろうかとは思いますが、御容赦をいただきたいと思います。

 本法案のもととなっているのは、先ほどからお話が出ていますように、平成十九年の四月三日にこの衆議院国土交通委員会におきまして、委員長提案で海洋基本法案が提案された、それで、超党派で同四月二十日に成立した、こういう背景でございます。

 同法に基づいて内閣に総合海洋政策本部が設置をされまして、初代本部長は当時の内閣総理大臣、初代の海洋政策担当大臣は公明党の冬柴鉄三大臣であった、こういうことでございますので、私どもも、この背景もよく理解をしておりますし、今回の法案が、我が国のEEZ、また大陸棚等を守るために提出された極めて重要な法案であるということも、認識をしている次第でございます。

 そういう意味で、これも先ほどからお話が出ているとおりでございますが、世界もさらなる経済成長に向けて周辺の海洋開発に乗り出している、また、中国、カナダなどでは国家的なプロジェクトを立ち上げている、こういうことで、日本としても総合的な海洋資源を生かす政策が不可欠だということを我々も共通の認識として持っておる、こういうことでございます。

 先ほどからお話が出ている大きなテーマは、大体、海底資源、鉱物資源、いわゆる非生物資源が多かったんですが、水産資源も注目をしないといけないというふうに思っております。生物資源につきましては、この海洋調査が水産庁とそれから地方自治体の水産試験場等によって行われてまいりまして、船舶による海洋調査が年間一万カ所、一万測点程度行われておるということでございます。独立行政法人の水産総合研究センターと各都道府県の連携でなされているということでございます。

 ところが、最近のデータをいろいろよく見てみますと、地方自治体の海洋調査予算が減っているというデータもちょっとございまして、かなり、あるところではこの十五年ぐらいで半分ぐらいに減っているというような都道府県もあるというのをお聞きしております。地方分権のもとで、どうしても後回しにされるおそれもある、こういうことで、きょうは水産庁には来ていただいておりませんので、懸念材料として、まず指摘をしておきたいというふうに思うわけでございます。

 もう一方の非生物資源の方でございますが、EEZ内の海洋調査、これはまことに、私どもも、この資源調査がまだまだ十分にはなされていないというふうに思っております。そういう意味で、予算も不十分であると思います。

 また、その体制といたしましても、先ほど大臣がおっしゃっていたように、資源エネルギー庁の独立行政法人であるとか、JOGMECというんですか、石油天然ガス・金属鉱物資源機構や、それからJAMSTEC、文部科学省の独立行政法人、海上保安庁が横の連絡をとりながら行っておるわけでありますが、どうしても巡視船の方が優遇されるというようなこともお伺いしておりまして、測量船等の充実が必要だというふうに思っております。

 そういう意味で、予算並びにこういう体制の充実が必要だと思いますので、まずこの点につきまして大臣の見解を伺いたいというふうに思います。

前原国務大臣 竹内委員にお答えをいたします。

 各省にまたがるさまざまな仕組み、これをいかに連携させていくのかということが大事だということは先ほど申し上げたところでございます。

 要は、目的は、先ほど来から何度も答弁をさせていただいておりますように、これは委員も言及されましたけれども、水産資源、海底資源、そして主権をどう維持していくのか、こういうことと、あとは、自由な海上航行というものを保っていく中で、物資の輸送というものが円滑に行われるような環境というものを日本として行っていくということ、これが大きな目的でございます。

 そういう意味におきましては、予算規模というのはなかなかまだまだ少ない面もございますけれども、しっかりと縦割りの弊害を除去しながら効率的な運用というものを行い、少ない予算でも最大限の効果を得るようにしていかなくてはいけないということがまず一つ。

 もう一つ、今、この仕事につかせていただいてフォローアップチームは退いた形になっておりますけれども、私がフォローアップチームでずっと言ってきたのは、予算をつけて、そして本当に物になるのということを私は非常に心配しておりました。また、今もそれは心配をしています。

 名前を出して恐縮ですが、石油公団というのがありました、JOGMECの前身でございますけれども。石油公団というのは、かなり予算をかけてやったにもかかわらず余り果実がなかったということで批判をされて、時の通産大臣が、堀内先生だったと思いますけれども、こんなものは要らぬということをおっしゃったこともあったわけであります。

 予算をつけて本当にその資源開発ができるのかといったところをかなり厳しく、これは我々もチェックをしますけれども、国会においてもチェックをしていただかないと、予算はつけてやったけれども実際問題成果が出ないということになると、これは多額の税金の無駄遣いになりますので、そういったところをしっかりフォローしていくということも、我々はしっかりと国会と連携をしてやっていかなくてはいけないのではないかと思います。そういった点も、竹内委員初め公明党の皆さん方にも厳しいチェックをぜひお願いしたい、このように考えております。

竹内委員 もちろん、厳しいチェックをやっていきたいというふうに思っております。しかし、これから質問もさせていただきますが、この測量船を初めとして他国の方がかなり激しい動きをしておりますので、まずは予算の方と体制の方もしっかりと押さえていただきたいというふうに思うわけでございます。

 きょうは、この法案に関連して、先日、五月三日に鹿児島県奄美大島の北西約三百二十キロの排他的経済水域で、海上保安庁の測量船昭洋が中国の国家海洋局の海洋調査船に接近され追跡された、こういう情報が出ております。測量中止を要請してきた、こういうことでございます。

 これは私どものEEZ内の範囲であれば全く問題のない話だと思うんですが、これは大変重要なことだと思いますので、まず海上保安庁に事実関係の報告を求めたいと思います。

三日月大臣政務官 お答えをいたします。

 今委員言われたように、五月の三日十四時ごろ、東シナ海の我が国の排他的経済水域内、EEZ内におきまして、場所は奄美大島南西約七十キロから西北西約三百二十キロの海域におきまして、海上保安庁の測量船昭洋が海洋調査を実施していたところ、この海洋調査とは海底の下の地質構造を把握するための地殻構造調査を行っていたところ、中国国家海洋局所属の海監51なる船がその測量船に接近をしてまいりました。その中国の海監51から十五時半に無線にて調査の中止の要求がありましたほか、約二時間余りにわたり測量船を追尾するという事案が発生いたしました。

 この中止要求に対しましては、当然のことながら、我が国海域内における正当な調査である旨の回答を行いまして、その事実関係につきまして我が国の外務省に連絡を行い、外務省は中国政府に対して抗議を行っております。

 また、調査については、海監51が追尾行動を執拗にとり続けたことから、この追尾を回避しつつ作業の順序を変更いたしまして、結果的には予定していた調査を完了したところです。

 今回、海上保安庁の測量船に対してこのような行為がとられたことは初めての事態であったんですけれども、国土交通省としては、我が国のEEZ内における必要な調査を着実に実施してまいりたいというふうに考えております。

竹内委員 外務省は中国政府に抗議したということでございますが、その抗議内容と、中国側の回答はいかなるものであったのか、お答えいただきたいと思います。

吉良大臣政務官 お答え申し上げます。

 今、三日月政務官からもございましたように、当該海域は我が国の正当なEEZ海域であり、かつ、日中の中間線の東側海域でございましたので、そもそも我々としては正当な活動であるということに基づきまして、四日午前及び午後、外交ルートを通じまして、中国政府に対して厳重に抗議をしたところでございます。あわせて、六日には、岡田外務大臣から程永華駐日大使を外務省に招致し、中国側の妨害は我が国の主権的権利を侵害しており、断じて受け入れられない、強く抗議するということを申し入れた次第でございます。

 これに対する中国側の反応は、まず、中国側としては、中国公船の対応は中国側の主張に基づく合法的なものであるという中国の立場を申し入れてまいりました。

 繰り返しになりますが、これに対して、日本側としては、中国側の妨害は我が国の主権的権利を侵害しており、断じて受け入れられないということで、強く抗議をいたしましたところでございます。

竹内委員 これは、やはり強く抗議をしておかなければいけない問題だと思います。

 そこで、もう一つ中国との関係で申し上げますと、先ほどもお話が少し出ていましたが、最近の尖閣諸島をめぐる動きについて、中国側の最近の政府及び民間の動きと発言について、いかなるものであるか、それに対して日本としてはどのような対応をとっているかをお答え願えますか。

吉良大臣政務官 お答えを申し上げます。

 釈迦に説法になりますけれども、尖閣諸島は我が国の固有の領土であるということで、また、かつ、我が国が有効に支配しているということで、尖閣諸島についてはそもそも領土問題は発生しないという我々の立場でございます。したがって、中国政府、また中国の民間団体がいかなる発言をしようとも、我が国としては、一々その主張に対して我々が反応する必要がないというふうに原則的にはとらえております。

 仮に、これが主張のみならず、中国政府または民間団体による具体的な行動に出た場合におきましては、先ほど言いました我が国の固有の領土であるという一貫した立場に基づきまして、万全の体制で警備に当たるという考え方でございます。

竹内委員 質問通告の中で、海上保安庁の対応、動き等につきまして報告をいただきたいと思います。

三日月大臣政務官 尖閣諸島に対する基本的な立場は外務省政務官から答えられたとおりでありまして、固有の領土であり、歴史的にも国際法上も疑いのないものであり、我が国はこれを有効に支配している。

 したがって、尖閣諸島をめぐり、中国を含む他の国との間で解決すべき領有権の問題はそもそも存在していないという立場から、尖閣諸島の領有権を主張する外国船舶等の活動に対応するために、海上保安庁では、平素から尖閣諸島周辺海域に常時巡視船を配備いたしますとともに、定期的に航空機による哨戒を行いながら、関係省庁とも連携して警備情勢に応じた警備を実施させていただいております。

 ちなみに、平成二十年十二月に発生いたしました、中国政府の海洋調査船が正当な理由なくこの領海内で、この尖閣諸島周辺で停留、徘回といった国際法上認められない航行を行った事案に対しましては、現場の巡視船により領海外への退去要求等を実施いたしました。

 また、領有権主張活動家の方々が尖閣諸島への上陸を試みようとする等の事案に対しましては、活動家の乗船する船舶に対して、警告の上、巡視船による規制措置等を実施いたしまして、周辺海域から退去をさせております。

 以上です。

竹内委員 日本の固有の領土であるというのであれば、実効支配をきちっとするということは大事なことだというふうに思います。

 また、一々反応する必要はないということでありましたけれども、やはり、中国も随分発展をしてまいりまして成熟をしてきたというふうに私も思いますし、私も、昨年十二月に中国に行ったときには、きちっと言うべきことは言ってきたつもりでございます。そのぐらい大人の関係になってきたんだろうというふうに思いますので、きちっと言うべきときには言った方がいいというふうに思っております。

 時間もだんだんなくなってきたんですけれども、これは法案とは直接関係ございませんが、同等に、最近の東シナ海のガス田開発をめぐるその後の対応について、最後に確認をしておきたいというふうに思います。

吉良大臣政務官 質問通告を受けておりますので、お答えを申し上げます。

 東シナ海の資源開発問題につきましても、御承知のとおり、東シナ海を平和、協力、友好の海にするという首脳間の共通認識が二〇〇八年六月にできております。これに基づいて協力を進めなければいけないということでございまして、この問題意識につきましては中国側の問題意識も一致しておりまして、累次の機会に、日中でいろいろなレベルで会合を持つ際には、この二〇〇八年の合意を大事にしていきたいということを確認しているところでございます。

 ただ、委員御承知のとおり、一方で、その合意形成後、現在に至るまで、それを具体的に移すための国際約束締結に向けた交渉が開始されておりません。

 これを急ぐべきだという立場で、つい先日、五月四日に外務省の齋木局長が相手側の局長級と実務レベルの協議を実施しておりまして、先ほど言いました国際約束締結に向けて早期に動かしていこうということを確認したところでございます。その中で確認をしたことは、この協議を継続していくこと、ともに努力していくこと、そして局長級での実務会合がお互いにとって有意義なものであるということを確認したところでございます。

 今後とも、この二〇〇八年六月の合意を実行できるように努力してまいる所存でございます。

 以上です。

竹内委員 このほかにも、中国の潜水艦等の艦隊の問題であるとか、質問通告をしておったんですが、ちょっと時間がなくなりました。

 いずれにいたしましても、EEZと関係して、ガス田も、中間線よりも西側であっても地下はつながっていますので、取り決めがやっと決められたころには全部なくなっていたというようなことでは何にもならないとも思いますし、その辺、着実に交渉を進めて、合意を早急に図っていただきたいというふうに思います。

 終わります。

川内委員長 竹内君の質疑を終了いたします。

 次に、穀田恵二君。

穀田委員 法案について質問します。

 一九八二年、国連海洋法条約の採択がありました。そして、九四年に発効したわけであります。その時点で政府は、我が国の排他的経済水域等の境界を根拠づける基線についての重要性をどのように認識して取り組みを行ってきたのか、これをお聞きしたい。特に、国際的な各国の取り組みと比較して御報告いただければ幸いです。

前原国務大臣 海洋国家といたしまして、管轄海域を構成する領海、排他的経済水域といった我が国の主権をしっかり守り抜く国家としての意思を確固として持ち続けることは大変重要でございまして、そのために、これらの管轄海域の根拠となる基線、とりわけ基線を有する離島は、御指摘のとおり重要なものであると認識をしているところでございます。

 他国の例をということでございましたけれども、また、他国の例については調べてお答えをさせていただきたいと思います。

穀田委員 私は何でこんなことを言ったかというと、一九八二年に国連海洋法条約は採択されている。それまでに、この問題についてのさまざまな交流や意見交換があったわけですよね。そして、今大臣もお述べになった排他的経済水域等の境界を根拠づける基線について、大体の認識がずっと高まってきたわけですよね。それを、主権との関係や離島との問題についてお述べになったわけだけれども、国際的には非常に大きな流れがありまして、それぞれの境界線をきっちり規定していくという取り組みが行われたというところが特徴があるわけですね。

 それが、今の段階で答えることができないというのはちょっと変な話で、要するに、どういう取り組みをされているかというのは、他国の取り組みがどうなっているのかということについては、いかがかと思うんですね。つまり、はっきり言って、ちょっと対応が遅いんじゃないか。これは、二〇〇七年に海洋基本法をつくっているわけですが、先ほど述べたように、八二年に海洋法条約採択、それから、発効が九四年ということであります。

 そこで、なぜ今まで基線の根拠となる低潮線の保全に取り組んでこなかったのか、この点についてだけお聞きしたいと思います。

前原国務大臣 他国の例はともかくとしまして、我が国がどういうことをやってきたかといいますと、平成八年六月に、先ほどおっしゃったように、国連海洋法条約を批准した、同年七月に、排他的経済水域及び大陸棚に関する法律、排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利の行使等に関する法律、海洋生物資源の保存及び管理に関する法律などの関係法を整備して、そして排他的経済水域等の設定及び漁業資源等の保全、利用を図ってきた、これはやってきているわけですね。

 それで、ただ、ほかのことについてはできてこなかったということでありますし、この海洋基本法ができたといっても、例えば、先ほど経済産業省の高橋大臣政務官が答弁されていたように、では、国連海洋法条約を批准して、海洋法条約に基づいてすべての項目について国内法が整備されているかというと、まだ整備されていないんですよ。

 ですから、そこはこれからやはり順にやっていかないと、条約上は批准をしているのに国内法の整備ができていないということは結構あるんですね。これは領海内においてもそのとおりなんです。ですから、ここがまだまだ私は通過点だというふうに思っておりまして、やはりさらなる整備をしっかり行っていかなくてはならないと思います。

 いずれにしても、今回のこの法律をしっかりと行うことによって、日本のいわゆる主権であるその基点をしっかりと決めるということと、あとは、離島の保全というものをしっかり行うことによって、排他的経済水域の水産資源、あるいは主権、また海底資源をしっかり確保していくということの意思を内外に示して、そして着実に進めていくことが大事だと考えております。

穀田委員 大事だという点では認識は一致しているんですよ。ただ、おくれている、はっきりおくれているということを指摘しているということですよ。

 経過はおっしゃるとおりで、もちろん、前政権のことだ、何となくそんな感じの顔をしているけれども、ただ、海洋管理のための離島の保全・管理のあり方に関する基本方針がありますよね。それを見ていますと、「排他的経済水域等の根拠となる基線は、国連海洋法条約において、沿岸国が公認する海図に記載される海岸の低潮線等と定められている。」こう述べているわけで、すなわち、海洋法条約が採択、発効したときからその重要性は明確だったわけですよね。だから、その点で対策がおくれたことは明白だということを私は指摘している。

 それは、何も私が言っているだけじゃなくて、当時、この問題の海洋基本法をつくっていく際の研究会ですら、「国連海洋法条約・アジェンダ21体制への対応が遅れている。」と指摘したほどなんですね。ですから、私は、ここをはっきりさせぬとあかんということを言っておきたい。

 しかし、今後の対応、対策についてはこの法案は必要だと考えておりますので、私どもは賛成したいと思っています。

 そこで、話は飛びますけれども、海洋における事故について少しお聞きしたいと思うんです。

 二〇〇九年度船舶海難隻数二千五百四十九隻のうち、プレジャーボートの海難隻数は一千十三隻と約四〇%、漁船の海難隻数は八百十二隻と約三二%を占めています。海上保安庁と国土交通省海事局や同じく省の運輸安全監理官室などが協力し合って対応せねばならないと思いますが、その実態はいかがか、お教えください。

前原国務大臣 プレジャーボートでございますが、それぞれの航行目的や航行進路がさまざまであることや、あるいは操船者の操船練度、知識等にも差がありますことから、おのおのの事情に応じたきめ細かな対策が必要だと考えております。

 このため、国土交通省では、船舶検査により構造、設備の安全性を確保して、操縦免許制度により知識、能力を担保しているほか、海難防止講習会、あるいは訪船指導、全国海難防止強調運動及び小型船舶安全キャンペーン等によりまして、海難防止意識の高揚、啓発を図ってきているところであります。

 また、気象、海象等の安全運航に必要な情報をプレジャーボート操船者に対してパソコンや携帯電話で提供し、海難の予防に取り組んでいるところでございます。

 このように、国土交通省といたしましてもプレジャーボートの安全対策に総合的に取り組んでおりまして、今後も、引き続き安全対策に万全を期していきたいと考えております。

穀田委員 万全な体制をとっていただきたいとは思います。

 そこで、私、資料をいただいたんですが、国土交通省大臣官房運輸安全監理官室が、「事故、ヒヤリ・ハット情報の収集・活用の進め方」というパンフレットを発行しています。海の事故を少なくするために、船舶事業者への指導が今の中心として活動されているようです。これは、それに資するパンフだと思うんですね。

 このパンフレットによると、ヒヤリ・ハット報告用紙というのがありまして、それにもプレジャーボートの、相手の船舶として、いわばどんなことが起こっているかということで掲げられています。

 そして、事例集では、一、場所別ヒヤリ・ハットでいえば沿岸地域が多いこと、二、相手別では漁船、プレジャーボートが六三%を占めている、そして、航行状態では横切りが多いことが特徴だと。これらの傾向に着目すれば、漁船とプレジャーボートへの指導が大切だということがわかると思うんです。

 先ほどありましたけれども、私は、こういうヒヤリ・ハットなんかも含めて、やはり教育過程だとか五年ごとの免許更新の講習などに組み込むことが必要じゃないかと思うんですが、簡単に、意見があれば。

前原国務大臣 それはそのとおりであります。これは国土交通省の大臣官房の運輸安全監理官室がつくっているものでございまして、しっかりと周知徹底をしていかないといけないものだと感じております。

穀田委員 続いて言いますけれども、プレジャーボートなど小型船舶の検査というのは三年ごとになっています。前回検査を受けたが、三年後に受けていない数が二万から三万件あると聞いています。検査を受けていない船舶への対応はどうしているか、お聞きします。

前原国務大臣 委員御指摘のように、小型船舶の総隻数が四十一万八千隻であります。平成二十年度に船舶検査を受検すべき隻数が約十三万三千隻でございましたけれども、そのうち適正に船舶検査を受検した隻数が約十万三千隻。ということは、約三万隻が船舶検査を受検していないということでございます。

 こういうふうに、三万隻の受検していない船があるわけでございまして、小型船舶安全キャンペーンなどによりまして、法令遵守が徹底されるように今後も指導してまいりたいと考えております。

穀田委員 今ありましたように、三万隻が受検をしていないと。結構な数なんですよね。これがまた放置につながりかねない問題があります。それで、放置された船が油汚染や事故の原因になりかねないと指摘されているわけであります。

 そこで、今度は、プレジャーボートの放置隻数、放置される原因について、どのように把握、認識しておられるか、お聞きします。

長安大臣政務官 この放置されるプレジャーボートについて、これはもう本当に問題が多いと認識をしております。

 現在まで、平成十八年度に国交省と水産庁で合同で全国実態調査を実施いたしまして、放置隻数について把握をしております。平成十八年度の調査結果では、港湾、河川、漁港というこの三つの水域における放置隻数の合計は十一万六千隻でございました。プレジャーボートの総隻数が二十一万七千隻でございますので、半数以上が放置艇となっているわけでございます。

 この放置の原因について申し上げますと、やはり施設の収容能力が絶対的に不足していること、さらには規制措置が不十分であったこと、また、所有者の意識が低かった等々が考えられます。

穀田委員 半分がいわば放置されているという現実なんですね。ですから、これは大変な問題になっていいわけですね。

 プレジャーボートを購入する際に、自動車の車庫証明のように、係留、保管場所を明確にする制度が必要じゃないかということで、例えば私が住んでいます京都府漁業協同組合なども対策を求めていますし、以前からそういう点は繰り返し指摘されています。最近でも、二〇〇七年、今後の放置艇対策についてということで、三水域連携による放置艇対策検討委員会が提言をしています。

 提言では、「放置艇問題を解消する抜本的な方策として、プレジャーボートの」「保管場所確保の義務化を図る制度の法制化が待たれている。」ということを指摘していますが、その検討はどこまで進んでいますか。

長安大臣政務官 御指摘の保管場所の義務づけということの重要性は認識しております。今、現状では、具体的に、義務づけを行うということまで決めているわけではございませんが、このように多くの放置艇があるという現実をかんがみますと、今後、鋭意検討していかなければならないと認識しておるところでございます。

穀田委員 その鋭意検討していかなければならないと思っていますという程度では、半分が放置されているという現実に、およそ、これをなくすためにまともに接近しているとはちょっと思えないんですね。だって、検討委員会の提言では、「法制化が待たれている。」「検討を推進し、」「早期にその法制化を図るべきである。」と述べているわけですよね。だって、二〇〇七年から提言をされているわけで、そこで実態調査もやられて、さっきの数字が出ているわけでしょう。

 しかし、調査では、確かに、前回、二〇〇二年の調査に比べて、放置艇は一万八千隻減少しているんですね。そこで、当時問題になっていた保管場所の絶対数が足りない、そういう事態からすれば、減ったことによって可能性はあるということをわざわざ指摘しているわけですよね。その指摘を踏まえたらそんな話にならないわけで、もう少し前に進める話をしなければ、幾ら長安さんといっても、それは前の提言のところの話を繰り返しているだけにすぎないということになりはしませんか。

 私は、せめて、ちょうど今年度、改めて実態調査をするんでしょう、そういうことも述べ、一つ私ども提案しておきたいんですけれども、やはり国の責任で保管場所の整備を進めること。高過ぎる保管料の問題というのも解決するというのが一つ。

 二つ目に、やはりこの際に、あわせて、保管場所確保を義務づける法制化の検討を直ちに開始する。

 次に、これはメーカーの責任も重大なんですね。売っているわけですから、売るときに大体どうするかという問題を、いよいよ、お互いのことで、これはだめよという話をやらなくちゃならぬわけですよね。それを求めるべきだと思うんですね。

 最後に、四つ目の提案は、水産週報などを見ていますと、賠償責任保険に加入しているプレジャーボートの事故発生率は低く、マナーもよい、こういう指摘もあるほどであります。したがって、プレジャーボートの責任保険加入の促進も一つ考えるべきだと思うんですね。

 ですから、私、四つの提案を今しているわけですけれども、それらの方向性について、では、最後に大臣、お答えいただけますか。

前原国務大臣 御提言は御提言として、謹んでお聞きをいたしました。

 いずれにしても、先ほど長安政務官からお答えをさせていただきましたように、三水域連携による放置艇対策検討委員会から提言がなされておりますので、この提言をもとに、何ができるかということをしっかりと我々も省の中で議論して、やれるところからしっかりやっていきたい、このように考えております。

穀田委員 やれるところからというわけですけれども、やるべきことは、二度の提言の中で書かれているのは法制化なんですよ。ですから、義務化をする、係留その他についての場所を確保して、そういうことについて車庫証明のような形での義務化をするということが求められているわけですよね。そこはもうはっきりしているんですよ。

 私は、それに加えて、今、謹んでということを言っていましたけれども、余り別に謹んでもらわなくてもいいので、現実的な問題として、そういうことに踏み出せば、我々、海洋国だとかいろいろ言うんだけれども、そこで起きている事態の事故を本気になって減らすということとの関係でいけば、そういう点も私は大事だと思うから言っているわけで、やはりそれはきちんと受けとめていただいて、次、この問題の調査が行われた暁にはいよいよそういうところに踏み出すべきだということを申し述べて、終わります。

川内委員長 穀田恵二君の質疑を終了いたします。

 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 私がラストバッターでございますが、みんなの党は外務委員会にも安全保障委員会にも委員のポストを持っておりませんので、きょうは外務政務官また防衛政務官にもお見えをいただいて、EEZに関する法案でございますので、直近の中国艦船の航行事例についてお伺いをしてまいりたいというふうに思っております。

 冒頭の菊池委員のお尋ねの中にもあったと思いますが、先月上旬に、沖縄海域を中国の艦船十隻、潜水艦二隻が宮古水道を航行し、そこから沖ノ鳥島に回って、沖ノ鳥島を一周して調査活動と称する活動をする、こういう事例がありました。この件については外務省からの抗議も行われているというふうに聞いておりますけれども、この直近の航行事例について、まず防衛省から、ぜひ事例についての御説明をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

長島大臣政務官 御答弁申し上げます。

 せんだっての四月の七日から九日におきまして、東シナ海におきまして、日中の中間線付近でありますけれども、中国の艦隊による演習が行われました。その後、潜水艦二隻を中心として十隻の艦隊行動が行われまして、四月の十日から十一日にかけて、沖縄本島と宮古島の間の水域を通過して、そして沖ノ鳥島西方海域におきまして訓練を行った。そして、四月の二十一日過ぎに、またもとの航路を戻って中国の港に戻った。これが一連の活動でございます。

柿澤委員 今回の活動というのは、時期からいっても、ちょうど日中首脳会談が行われる時期というようなこともあり、また、巷間言われている、中国のいわゆるこの海域における防衛線として設定をされているこうしたエリアについて、ちょうどコースとしてなぞっている、こういうことも言われておりまして、大いに脅威と感ずるべき事柄のように思います。また、最近、こういう形で中国の艦船が日本の排他的経済水域、EEZの中を航行して、そして、調査活動と称してさまざまな活動を行うという事例が多くあるように思われます。

 これまでの中国におけるかぎ括弧つきの調査活動、こうしたことがどのように行われているかについてお尋ねを申し上げたいと思います。

長島大臣政務官 お答え申し上げます。

 近年、我が国の近海におきまして、今、柿澤委員が御指摘になられました調査活動、それ以外にも情報収集活動あるいは今回のような訓練、こういう形で中国の海軍の艦艇が活動を活発化させている、こういうことは御案内のとおりであります。

 最近の事例を少し申し上げますと、今から二年前の〇八年の十一月には、駆逐艦一隻、フリゲート一隻、それに補給艦を含めて四隻の船が東シナ海から太平洋に進出をしております。それから、昨年の六月には、駆逐艦を初めとする五隻の艦隊が、東シナ海から太平洋、そしてまた太平洋から東シナ海へと帰ってきております。そして、ことしの三月には、これが六隻にふえまして、これまた東シナ海から太平洋、全行程十九日間ということが、中国側の解放軍報という中国の人民解放軍の機関紙に出ております。そして、今回、今度は潜水艦を中心とする十隻、これが四月七日から四月二十二日までの間、東シナ海、そして太平洋、そしてさらには東シナ海、こういう活動、これは主に訓練でございますけれども、続けて行っている。

 今、柿澤委員が御指摘になられましたように、今回は日中首脳会談が行われるというタイミングにある種重なった感はあります。しかし、最近の動きを見てみると、日中の首脳会談があろうがなかろうが、これからも含めて考えれば、こういう中国の艦隊活動というのはさらに頻繁に行われてくるであろう、私ども、こういう予測を持っているところであります。引き続き注目をし警戒をしていかなければならない、このように考えております。

柿澤委員 引き続き注目し警戒をしていくということであるわけですけれども、我が国が排他的経済水域として設定をしているはずのところに、中国の艦船がいわば勝手気ままに動き回るというようなことがあってはならないわけでありまして、これからもしっかりと取り組まなければいけない、やはり今まで以上に強く抗議をしていく必要があるのだろうというふうにも思います。

 また、これと連動しているわけでもないんでしょうが、この連休明けの報道にありましたのは、台湾の漁業調査船が東シナ海の日本のEEZ内を航行して、これに対して十一管区海上保安本部が、日本の同意のない海洋の科学的調査活動は国際法上認められないということをこの台湾の漁業調査船に無線で警告をしたけれども、応答なしということで、この同じ船が去年の十一月にもやはり久米島沖のEEZの中で同様の航行をして、このときには、ここは台湾のEEZだというようなことを主張している。

 こういう形で、中国のみならず、日本の排他的経済水域、そして海洋における権益保全における取り組みが、場合によっては甘いのではないかということを見越しているのか、こういう活動が大変活発になってしまっているわけであります。こうしたことを残念ながら招いてきたのは、別に政権がだれであろうとを問わず、政府の取り組みにやはり問題があったというふうに感じているところです。

 ところで、沖ノ鳥島というのは、実は東京都の小笠原村の島でありまして、私は都議会議員をやっておりましたので、ちょうど私の任期中に、石原知事が沖ノ鳥島についてさまざまな問題提起をされたということを記憶しております。

 こういうことについて、なぜ起きてきたかといえば、二〇〇四年ぐらいから、沖ノ鳥島が国連海洋法条約上に基づく島ではなくて岩だという主張を中国が始めたということがあります。今回、恐らく、中国の艦船が、宮古水道、沖縄を通って沖ノ鳥島をぐるっと一周するような形で、示威行動としか思えないような航行活動を行ったというのは、やはり沖ノ鳥島は岩であるという中国の主張をもとに、ここは日本の排他的経済水域ではありませんということをアピールしたかった意図もあったのではないかというふうに思います。

 中国が今、国際的な場で主張するようになってきている、沖ノ鳥島は島とは位置づけられず岩という存在である、したがってEEZの設定も認められない、こういう主張に対して、日本政府としてどのような見解をお持ちでしょうか。

吉良大臣政務官 お答え申し上げます。

 柿澤委員御指摘のとおり、中国政府は、沖ノ鳥島が島ではなく岩であるという独自の主張を行っておりますけれども、これに対して、我が国としましては、一九三一年七月の内務省告示以来現在に至るまで、沖ノ鳥島は我が国の島であり、かつ、有効に支配しており、したがって周辺海域に排他的経済水域等を設定してきている、このような立場でございまして、このような権限、そして、同島が島という位置づけにつきましては、既に確立しており、かつ、国際社会からも十分理解を得られている、このような立場を一貫して主張してきております。

 以上です。

柿澤委員 今、国際社会においても、一般的に沖ノ鳥島は島であり、日本の主張は認められているというような御見解がありました。

 ただ、この沖ノ鳥島というのは、まさに南海の孤島でありまして、しかも、長年にわたって波による侵食が積み重なって、非常に島としての存続そのものが危ぶまれるというふうな状況にあったことは、事実として経過があったと思います。それに対して、二百五十億ぐらいですか、投資を行って、島の周りの海面をコンクリートで固めて、そして波よけの施設をつくる、こういうような取り組みが行われてきたというふうに私は理解をしております。

 また、国連海洋法条約では、百二十一条三項において、「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩は、排他的経済水域又は大陸棚を有しない。」こういうことが書かれているわけでありまして、この人間の居住または独自の経済的生活を維持することのできるかどうかということについてでいえば、例えば沖ノ鳥島には港湾施設が存在をしないというようなことで、ある種中国のこういう勝手な国際法上の主張を許してしまう、そういう余地というかすきがあったのではないかというふうに思います。

 今回のこの法案で、まさにこの沖ノ鳥島、また南鳥島における港湾施設等々の整備が進んでいくわけですけれども、どのようなことをこのたびの法案の成立以降取り組もうとしているのか、これは国土交通省の管轄になりますけれども、お尋ねを申し上げたいと思います。

長安大臣政務官 今回法案に規定されております特定離島におきましては、海洋資源の開発や海洋調査など排他的経済水域等における活動が安全かつ安定的に行われるよう、活動する船舶の係留、さらには荷さばき等が可能となる岸壁、泊地等の港湾の施設の整備を想定しているところでございます。

 具体的には、これはもう写真をごらんになっていただいた方がわかりやすいかというようなものでございまして、港の岸壁と泊地、そういったものを整備させていただくということを検討しております。

柿澤委員 きょうは、長島政務官と吉良政務官にお見えをいただきまして、ここまでの直近の経過をたどりつつ、このEEZの海域というのがどれだけ、いわば周辺国にとって、縦横無尽にと言ったらあれですけれども、随分と好きに航行されてしまっているかというような状況を御説明いただきました。

 この質疑の最初の方で、前原大臣の御答弁でありましたけれども、日本の国土面積は三十八万平方キロなわけですけれども、この排他的経済水域は、やはり数多くの島を有していることがあって、四百四十七万平方キロ、排他的経済水域を入れれば世界第六位の大きさなんだということがお話としてあったと思います。

 しかし、この四百四十七万平方キロの世界第六位の大きさだと言っていながら、そのエリアに他国の艦船が日本の了解もなしに入り込んでいる、こういう実態は本当に憂慮すべきことだというふうに思っております。そういう意味で、これからの取り組みをぜひお願いしたいというふうに思います。

 外務政務官、また防衛政務官に関しては質問は以上ですので、どうもありがとうございました。

 また、きょうは経済産業省から松下副大臣にお見えをいただいております。

 このEEZに関しては、先ほど来質疑でいろいろと話が出ているとおり、大変海底資源の宝庫なわけであります。レアメタル、メタンハイドレート、またコバルトリッチクラスト、こういうものが出ている。特に南鳥島については、今、国防上の観点からも、こういう形で港湾設備の整備というものが進められることになるわけですけれども、ここの部分については、特に海洋資源の保全という観点からも非常に重要だというふうに言われております。

 そこで、経済産業省として、このEEZにおける海底資源の豊富さということに関する御認識をお伺いしたいというふうに思います。

松下副大臣 柿澤先生御指摘のとおりに、領海内、それから排他的経済水域内、これを我が国の周辺海域と申していますけれども、石油、天然ガスに加えまして、メタンハイドレート、海底熱水鉱床、それからコバルトリッチクラストなどの次世代資源も含めたエネルギーや鉱物資源の存在が確認されておりまして、宝庫だ、まさにそう言えると考えています。

 この周辺海域は、他国の資源政策や資源獲得競争に影響されてはならない、我が国にとって最も信頼できる供給源が新たに確保される可能性があるということを意味している、そう考えています。

 こうした中で、海洋基本法、それから海洋基本計画の基本理念に基づきまして、平成二十一年三月に、資源エネルギー庁が中心となって海洋エネルギー・鉱物資源開発計画を策定しております。この計画に従いまして、現在、我が国が持っております海洋の探査船、第二白嶺丸でございますけれども、これのボーリングによりまして、資源量の把握や開発に伴う周辺環境、生態系への環境影響に加えまして、海底資源を地上まで取り出す技術の開発に真剣に取り組んでいるところでございまして、今後もしっかりやっていきたい、こう思っております。

 今、二百億円をかけて新しい海底資源探査船を建造中でございまして、全力を挙げてやってまいりたい、そう考えています。

柿澤委員 この辺の大陸棚、EEZにおける海底資源の探査については、かつて、もう四十年ぐらい前から、ここに石油資源があるかもしれないというような指摘をされてきて、民間企業としては試掘を求めてきた歴史がある。しかし、政府は、二〇〇五年まで試掘権というのを認めてこなかったわけです。そうこうしているうちに、日中中間線で中国のガス田開発などが始まって、日本の権益が侵害されかねないというか、侵害されている、こういう事態に至ってしまっているわけです。

 そういう意味で、日本が海洋国家であることは今に始まったことではありませんし、ここにやはり豊富な鉱物資源が眠っている、こういう可能性があることはかねてから指摘をされてきたわけでありますけれども、こうしたまさにEEZ、大陸棚を保全、管理していくための十分な施策が行われてこなかった嫌いがあるように思われます。

 こういう点について、ぜひこの機会に、なぜこういうことになってしまってきたのか、そしてこれからどうしていくのかということについてお尋ねを申し上げたいと思います。

長安大臣政務官 お答え申し上げます。

 平成八年六月に国連海洋法条約を批准いたしまして、その後、先ほど大臣からも答弁させていただきましたけれども、関係法を整備して、排他的経済水域等の設定及び漁業資源等の保全、利用を図ってきたところでございます。

 しかしながら、委員御指摘のとおり、十分な排他的経済水域等の保全、管理が行われてきたというのは言えない状況にあると私どもも認識をしておるところでございます。このため、この根拠となる離島の保全、管理をするために、昨年十二月に、これは総合海洋政策本部で、海洋管理のための離島の保全・管理のあり方に関する基本方針を作成させていただきました。この方針におきまして法整備が必要とされた低潮線の保全、さらには拠点施設の整備を図るため、今般、この法案を提出させていただいたところでございます。

 この法律に基づきまして策定する基本計画の中に、排他的経済水域等の保全、利用に係る活動等を定め、排他的経済水域等の保全、管理に積極的に努めてまいりたいと考えております。

柿澤委員 大臣から御答弁をまだいただいておりませんので、最後に。

 今申し上げてきたさまざまな質疑の経過を踏まえて、日本は、みずから認める海洋国家であり、そして海域を含めると世界第六位。こんな広い経済水域を持っているにもかかわらず、そこに対して十分な管理、保全の取り組みを行わずに、むしろ、他国にそこに手を伸ばされてしまっているという状況になってしまってきた。こういうことに対する危機認識また問題意識は、前原大臣御自身が長らく持ってきたものではないかというふうに思いますので、これまでの経過を踏まえて、海洋政策担当大臣として、これからどうあるべきであるかということについてお尋ねをさせていただいて、終わりとさせていただきたいと思います。

前原国務大臣 過去のことは過去のこととして反省をしなくてはいけませんけれども、有志の自民、公明、民主の議員が、やはりこれではいけないということで、海洋基本法をつくり、海洋基本計画をつくって、そしてフォローアップチームというものもこの三党で行いながら、具体的な海洋資源や水産資源、あるいは今回法案を提出させていただいているような特定離島というものをしっかりと指定して、そして、お金を使って護岸をし、また港もつくっていく中で、実効支配を強めていくということでございます。

 したがいまして、柿澤委員におかれましても、過去の問題は過去の問題として反省を我々もしておりますので、今後どう、実効支配をするために、例えば、一元化の問題とか予算の問題とか、あるいはその計画の中身とか、そういった将来的なことでぜひ建設的な御意見を賜れればありがたい、このように思っております。

柿澤委員 時間も超過しておりますので。

 しかし、過去の経過があったからこそ今みたいなこういう状況が生まれていることも事実ですので、これからぜひ、そういう意味で、国際的に見て、やはり日本がしっかりとした、毅然とした姿勢で海の権益を守っていくんだということでお取り組みをしていただきたいということを最後に申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

川内委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十三分散会


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