衆議院

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第8号 平成21年3月30日(月曜日)

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平成二十一年三月三十日(月曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 船田  元君

   理事 大野 松茂君 理事 岡下 信子君

   理事 岸田 文雄君 理事 七条  明君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 仙谷 由人君

   理事 園田 康博君 理事 大口 善徳君

      井澤 京子君    猪口 邦子君

      浮島 敏男君    小野 次郎君

      近江屋信広君    大塚 高司君

      鍵田忠兵衛君    北村 茂男君

      小島 敏男君    佐藤  錬君

      平  将明君    玉沢徳一郎君

      土屋 正忠君    土井 真樹君

      永岡 桂子君    並木 正芳君

      西本 勝子君    宮腰 光寛君

      矢野 隆司君    安井潤一郎君

      泉  健太君    枝野 幸男君

      小川 淳也君    小宮山洋子君

      階   猛君    田島 一成君

      田名部匡代君    西  博義君

      桝屋 敬悟君    吉井 英勝君

      日森 文尋君    糸川 正晃君

    …………………………………

   議員           枝野 幸男君

   議員           小宮山洋子君

   議員           階   猛君

   経済産業大臣       二階 俊博君

   国務大臣

   (消費者行政推進担当)  野田 聖子君

   内閣府副大臣       増原 義剛君

   総務副大臣        倉田 雅年君

   経済産業副大臣      吉川 貴盛君

   内閣府大臣政務官     並木 正芳君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  福富 光彦君

   政府参考人

   (内閣官房消費者行政一元化準備室長)       松山 健士君

   政府参考人

   (内閣法制局第二部長)  横畠 裕介君

   政府参考人

   (内閣府国民生活局長)  田中 孝文君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 園田 一裕君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            飛田 史和君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           中尾 昭弘君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       寺坂 信昭君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           木村 雅昭君

   衆議院調査局消費者問題に関する特別調査室長    島貫 孝敏君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月三十日

 辞任         補欠選任

  鍵田忠兵衛君     猪口 邦子君

  亀井善太郎君     浮島 敏男君

  平  将明君     小野 次郎君

  とかしきなおみ君   安井潤一郎君

  中森ふくよ君     小島 敏男君

  田端 正広君     西  博義君

同日

 辞任         補欠選任

  猪口 邦子君     鍵田忠兵衛君

  浮島 敏男君     亀井善太郎君

  小野 次郎君     平  将明君

  安井潤一郎君     とかしきなおみ君

  西  博義君     田端 正広君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 委員派遣承認申請に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 消費者庁設置法案(内閣提出、第百七十回国会閣法第一号)

 消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出、第百七十回国会閣法第二号)

 消費者安全法案(内閣提出、第百七十回国会閣法第三号)

 消費者権利院法案(枝野幸男君外二名提出、衆法第八号)

 消費者団体訴訟法案(小宮山洋子君外二名提出、衆法第九号)


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     ――――◇―――――

船田委員長 これより会議を開きます。

 第百七十回国会、内閣提出、消費者庁設置法案、消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案及び消費者安全法案並びに枝野幸男君外二名提出、消費者権利院法案及び小宮山洋子君外二名提出、消費者団体訴訟法案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官福富光彦君、内閣官房消費者行政一元化準備室長松山健士君、内閣法制局第二部長横畠裕介君、内閣府国民生活局長田中孝文君、警察庁長官官房審議官園田一裕君、金融庁総務企画局参事官飛田史和君、厚生労働省大臣官房審議官中尾昭弘君、経済産業省大臣官房商務流通審議官寺坂信昭君、経済産業省大臣官房審議官木村雅昭君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

船田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

船田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大塚高司君。

大塚(高)委員 自由民主党の大塚高司でございます。

 本日は、野田担当大臣に加え、二階大臣までお出ましをいただきました。後ほど御質問させていただきたいと思っております。また、民主党の皆さん方にも御質問させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 最近の消費者を取り巻く環境といいますのは、国民生活にとって最も重要な安全そして安心にかかわる商品の偽装や不当表示等の問題、また製品の事故等々が本当に多発する、そんな一方で、高齢者やまた若者をねらうような悪質な商法が後を絶たない。そんな状況の中で、消費者問題はますます複雑化そして深刻化を増している、そんな気がするわけでございます。そういった中、このたび、従来の縦割りの行政から大きく変換をいたしまして、まさに消費者そして生活者が主役となるような、そんな社会の構築に向けての議論を今続けておるところでございます。

 そこで、御質問をさせていただきたいと思います。

 消費者の安全、安心を確保するために、中央に消費者庁というのを創設するだけでは意味がないわけでございます。そういった中、一番大切なのは、やはり現場の最前線で消費者と接する消費生活センターの役割が本当に重要だろうというふうに私どもは思っております。その中で、地方の生活センターや相談窓口の強化に向けてどのようなお考えでお取り組みか、お考えをお聞かせ願います。

野田国務大臣 大塚議員御指摘のとおりでありまして、今回は消費者庁をつくることが目的ではなく、やはり、地方でこれまで本当に絶えなかった消費者被害を一つでも減らしていく、最後には根絶していくというのが目標でございます。その中の最前線、担い手というのが地方消費生活センターであり、そこで頑張っていただいている相談員の皆様の充実した仕事ぶり、または満足な施設整備というのがやはり重要になってくると思っています。

 そんな中、まずは消費者安全法案、三法案のうちの一つですけれども、ここに消費生活相談等の事務を地方公共団体の事務として明確に位置づけました。苦情相談とかあっせんなどの事務の実施等の地方公共団体の果たすべき役割、そしてそれに対する国の支援等について規定をしているわけであります。また、相談員に対する適切な処遇については地方公共団体の努力義務規定を設けたところです。

 さらに、こちらからは国からの交付金として都道府県に基金を造成し、そして今申し上げた最前線の窓口たる消費生活センターの充実とか、ないところは設置していくわけですけれども、またそこにいらっしゃる相談員の皆様方のレベルアップ、そして拡充について取り組んでいただくことになります。

 国もみずから国民生活センターを最大限活用しまして、そこにおられる経験豊富な相談員の方を地方に派遣してそこでサポートしていくとか、また、これまでの研修というのが国センに来ていただくような形で、遠く地方にいらっしゃる方は交通費や宿泊費等々の問題があり偏在化してきたのをやはり反省しまして、地方でしっかり研修が受けられるような制度の充実をしていきます。

 さらに、地方の自主財源の拡充のため、これは地方の首長さんに頑張って自覚していただかなければならないんですが、平成二十一年度に、消費者行政に係る地方交付税措置の大幅な拡充を図ることにしています。

 いろいろな取り組みがありますけれども、これによって、今おっしゃった地方の消費生活相談体制の強化というのをしっかり図っていきたいと思います。

大塚(高)委員 ありがとうございます。

 相談窓口の強化についてお取り組みをいただいておるわけでございますが、各市町村には相談窓口がまだないというところもあるんですね。加えて申し上げれば、そういう消費者センターというところがどこにあるかということすら知らない市民の方がたくさんいらっしゃるわけですね。そういったところに関しましても、やはり広報活動なりをどんどんと広げていただきたいなというふうに思っております。

 次の質問に移らせていただきます。

 地方の消費者行政といっても、地域ごとに実情は本当にさまざまであります。その中で、地方公共団体が、地域ごとの特性を踏まえて主体的に強化していくことが重要であろうかというふうに考えております。そして、今回の政府の地方支援策は、どのように地方の創意工夫がなされて、その工夫がうまく引き出せるようにされておられるのかということもお聞かせ願います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 消費生活相談等の事務は、地域住民である消費者の声に真摯に耳を傾けてこれに丁寧に対応していくことを基本とするものですから、住民に身近な行政サービスそのものでございます。したがいまして、地域住民に日々接している地方公共団体の創意工夫を最大限に引き出すような支援の仕組みとすることが重要なことは、先生のおっしゃるとおりでございます。

 このために、地方公共団体の自主財源を拡充するために、消費者行政に係る地方交付税措置を平成二十年度の約九十億円から平成二十一年度には百八十億円へと拡充することといたしております。

 さらに、相談窓口の機能強化が緊急の課題であるとの認識に立ちまして、今後三年程度を消費者行政活性化のための集中育成・強化期間と位置づけ、国からの交付金により都道府県に基金を造成し、消費者行政活性化に主体的に取り組む地方公共団体を支援する、先ほど大臣が御説明したとおりでございます。

 その際、造成する基金におきましては、国が数値目標だとか地域ごとの事業を規定するのではなくて、地域の発意と創意工夫を最大限に引き出すために豊富なメニューを用意して、地方公共団体が地域の実情に応じて選択するメニュー方式としております。現在、八つのメニューを用意しておりまして、その中には消費者行政活性化オリジナル事業といって、地域独自の消費者活性化の取り組みを支援するという事業も用意してございます。

 また、事業の実施に当たっては、地方公共団体ごとに集中育成・強化期間を通じた目標とか、あるいは取り組み施策等を示した計画を示していただき、それに基づいて計画的かつ集中的に相談窓口の強化に取り組んでいただくことを考えております。

 各地方公共団体におかれては、都道府県と市町村が知恵を出し合って、地域の実情を踏まえた効果的で個性的な消費者行政活性化策を打ち出していただきたいと考えているところでございます。

大塚(高)委員 そういったお取り組みをしていただいていることを本当にうれしく思っておるわけでございますけれども、その中で、実績のなかったようなところをいかに取り入れていくかということもやはり大切であろうかと思っておりますので、そういったところにもまた観点を入れて頑張っていただきたいなというふうに思っております。

 続きまして、地方の消費生活相談体制の強化についてお尋ねをいたします。

 そこで働いておられる消費生活相談員の処遇の改善のことでございます。特に報酬の向上が必要不可欠であろうというふうに私は考えております。

 先般、多くの参考人の方にお出ましをいただきまして、いろいろな御意見をちょうだいしました。その中で、朝から晩まで苦情をずっと聞いて、その中で、場合によってはあっせんもしなければならない。そういった方々ばかりがたくさんいらっしゃるわけですね。お話を聞いておりますと、相談員の皆さん方は五年でようやく一人前だということも言われておるそうでございます。本当に現場というのは、それぐらい厳しいんだということだろうと思います。

 そこで、政府案では、来年度の地方交付税の算定において、相談員の報酬を約百五十万円から三百万円に増額をするというようなことも聞いております。地方交付税措置というのは、よく皆さん方御承知のとおり、あくまでも計算上の話であるわけでございます。これを実際に、どのように予算に結びつけていくかということが大事であろうかというふうに思っております。そういったことに関しまして御答弁願えたらありがたく思っております。

野田国務大臣 おっしゃるとおりで、この委員会でも、既に何人かの委員の方から同じような御指摘がございました。

 お金は用意したけれども、その使いでは、首長さんで、その人のさじかげんで、一般財源ですからどうにでもなると。実際には使われないんじゃないかという懸念があるということで、これはまさに、その地方それぞれの自治体の首長さんの意識改革をしていただかなければならないわけです。

 地方の消費者行政の活性化というのは、これはもう与野党超えて、すべてのここにいらっしゃる国会議員の皆さんの総意でありまして、ぜひとも皆様方にも、地元の首長さんのお顔を見るたびに、こういうお金がついたんだから必ず使ってくださいというようなことは常々おっしゃっていただきたいなということを心から願っております。

 私の方は、やはりそういう懸念がありますので、何度かにわたって要請をさせていただきました。要請しましたと言うだけではちょっと御理解いただけないかもしれないので、具体的には、昨年の十二月二十六日には、私の方から、地方の消費者行政の充実について、まず都道府県知事に依頼をいたしました。そして、ことしに入ってから重ねて、二月の四日ですけれども、私の方から都道府県知事に、地方消費者行政活性化のための基金の活用及び消費者行政に係る自主財源の拡充についての依頼をさせていただきました。さらには、市町村長さんにも、先ほどお話がありましたように、恐らくまだセンターすら設置していない市町村がたくさんある中で、そういうことが始まりますよということを周知徹底していただき、ぜひとも御活用いただきたい旨は、私の方から直接依頼を出させていただいております。

 ただ、まだまだ発信を続けていく中で、総務省とも連携して、実際に首長さんたちがその理解を深めていただき、消費者のためにそういう措置をしていただけるよう、さらなる努力を重ねていきたいと思っております。

大塚(高)委員 本当にそのとおりでありまして、我々も地元へ帰りましていろいろな意味でアナウンスもしていかなければならないし、そういったことの実効性についても、我々も先頭に立って努力をしていかなければならないというふうに思っております。

 それから、地方の消費者行政を実効的なものにしていくためには、消費生活センターに寄せられた情報を地方と中央に、法執行を担う部局につなげていくことが重要であろうかというふうに思っております。そういった意味において、大臣はどのようにお考えでしょうか。

野田国務大臣 地方の消費者行政を実効的なものにするためにはということですが、やはり、消セン、地方消費生活センターに相談した消費者に対する助言とかあっせんに加えて、そういうトラブルの解決に加えて、私たちは、そのトラブルの未然防止とか、または拡大の防止というのを図っていくことがこれから極めて重要だと思っています。

 ですから、そのために、センターに寄せられたさまざまな相談、苦情の情報をしっかり一元的に集約すること、そして、その情報を地方の法執行を担う部局において活用して、消費者に対する注意喚起とか事業者に対する処分等の措置を迅速かつ的確に行っていくことが重要だと思っています。

 特に、特定商取引法や景表法やJAS法などの法執行事務につきましては、私たち国だけではなく、地方の事案については都道府県も法執行の権限を有しているところでありますから、消費生活センターとの連携のもと、しっかりと地方の消費者行政が図られることが重要だと考えております。

大塚(高)委員 やはり何といいましても、情報が一元的に入ってくる、それをいかに集約していくかということが大切であります。これが今法案の大きな特色であろうかというふうに思っております。そういったことを踏まえて、これからもしっかりとやっていっていただきたいなというふうに思っております。

 次に、消費者庁の設置によりまして、さまざまな業界からいろいろな御意見をちょうだいしました。そういった影響というのは、この法案は大きいものがあるなという気がしました。特に事業所の方々が、この法案をすることによって、我々いろいろな商売をしているけれども、いろいろな意味で、こんな景気が悪いときにこういうことをされたら、特に関西人は、商売成り立っていかないんじゃないかというような声をよく耳にするわけでございます。そういったことに関して、やはり、いろいろな活動に対して萎縮を招かないかということが一つ懸念されると思うんですが、いかがでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、委員御指摘のとおり、消費者庁の設置によりまして事業活動に萎縮を招くのではないかという御懸念もあるわけでございますけれども、私ども、そのようには考えておりません。

 消費者庁の設置は、消費者の利益を守る体制を整備することはもちろんでございますけれども、同時に、法執行を、継続性、一貫性を持ってきちんと執行していくということを通じまして取引の予見可能性を高めていく、そういうことによりまして、事業者が安心して新商品、新サービス、そういったものを提供できる環境を整えていくということにもなりまして、産業活動を活性化させるものというふうに考えております。

 また、多様化、複雑化しました、成熟段階に入った日本経済がさらに発展をしていくためには、消費者の不安や不信を解消しまして、個人消費を活性化するということが何よりも必要であろうというふうに考えております。

 また同時に、我が国の国際戦略の観点から考えましても、消費者庁創設によりまして、日本企業の顧客第一、消費者第一の消費者志向の高さを内外に明らかにしていく、そういったことが国際競争の切り札にもなっていく、そのように考えているわけでございます。

 このような意味におきまして、消費者庁の創設は、消費者それから事業者双方に利益をもたらすものでございまして、日本経済によい影響をもたらすもの、そのように考えてございます。

大塚(高)委員 今さまざまなお取り組みをしていただいているというお話をお聞きしましたが、やはり消費者庁は、消費者には味方であっても事業者にとっては敵であってはいけないものですから、こういうところをきっちりとまとめ上げて、本当にフラットな関係にしていただきたいなというふうに思っております。

 続きまして、二階大臣にお尋ねをいたします。

 平成十八年七月に、パロマ工業株式会社の瞬間湯沸かし器により多くの方が亡くなられるなど被害が発生したわけでございますが、そのときの担当大臣であられて、本当に大変御苦労をなされたというふうにお聞きをしております。陣頭指揮をとられて本当に頑張っておられたということをお聞きいたすわけでございますが、その当時、やはりいろいろな面で情報が入ってこなかった、そういった話もよく耳にするわけでございますけれども、実際はいかがだったんでしょうか。

二階国務大臣 まず、大塚先生の御質問にお答えする前に、委員長のお許しを得て、一言発言をさせていただきたいと思います。

 それは、本日、御承知のとおり、パロマの事故でお亡くなりになりました上嶋さんのお母様が当委員会の傍聴席においでになっておられます。謹んでお悔やみを申し上げたいと思います。恐れ入ります。

 ただいまの御質問でございますが、あの当時、パロマ工業のガス湯沸かし器事故において、相次いでとうとい国民の命が失われたことは、今もなお、私にとりましては痛恨の思いであります。

 長期にわたって事故情報の把握が行われなかった大きな原因は、事故情報の収集・分析体制が十分でなかったことにあると思います。何よりも関係者の事故に対する認識と反省が足りないのではないかということを、私も再々当時の担当者にも申し上げてまいりました。社長も呼んでみました。

 しかし、そうしたことを繰り返す中で、具体的には、省内の事故情報の連絡・共有体制が十分に機能していなかったのではないか、厳しい反省がなければなりません。続いて、メーカー側からも十分な情報の収集が行われていなかったのではないかということは、まことに残念でなりません。

 このため、平成十八年度の十一月に消費生活用製品安全法を改正し、メーカー等に重大な事故の報告を義務づけ、公表する制度を創設し、平成十九年五月から実施に努めているところでございます。

 今日は、今先生からお尋ねのようなことに対して一応の体制は整っておる、そして、厳しい態度で、再びこのような惨事を起こすことのないように、メーカーの関係者の皆さんはもちろんのことでありますが、経済産業省としても十分配慮してまいりたいということをお互いに戒め合っているところでございます。

 今度は野田大臣のリーダーシップで消費者行政の法案が今こうして当委員会で御審議をいただけるようになったわけでありますが、私たちは、全省挙げて御協力を申し上げ、今後の各省との連携、そして現場との関係等に十分努力をして、亡くなられた多くの犠牲者の皆さんの霊にこたえる道を考えてまいりたいと思っております。

大塚(高)委員 本当にそういったことが二度と起こらないように、我々も、いろいろな意味での議論も重ねながら、これから対応策、そして、これから必ず起こらないようにしていく国会での審議ということも必要だろうというふうに思っております。そういう御努力をしていただいていることに感謝を申し上げたいというふうに思っております。

 野田大臣に御質問いたしますが、先ほどの続きでございますが、もしそのとき消費者庁ができていたら、消費者庁としてどのような対応がとられていたかということをお尋ねします。副大臣で結構です。

増原副大臣 個別ケースでございますので、私の方から御答弁申し上げたいと思います。

 先ほど経産大臣の方から御報告がありましたように、パロマ工業株式会社製造のガス瞬間湯沸かし器問題につきましては、既に二階大臣が申されたとおりのことでございまして、その後の改善措置も大分とられております。

 このたびのこの法案で消費者庁が創設されました後は、今回のような事故が発生した場合には、消費者の安全、安心を確保するために政府一体となった迅速な対応を行う上で、消費者庁が中核的な役割を果たすことになるというふうに思っております。

 具体的には、まず、消費者庁が消費生活用製品安全法における重大事故情報報告制度、これを所管することから、事業者から消費者庁に対しまして事故の報告がなされるとともに、消費者安全法に基づく重大事故等ということに該当しますものですから、情報が消費生活センターあるいは地方公共団体等から直ちに通知されることになっておりまして、これらの情報を消費者庁におきまして一元的に集約し、分析し、管理する。そして、この結果を、消費者庁としまして、メーカー名、型番等の必要な情報を公表しまして、消費者に対しまして注意喚起を促す、これが非常に大きなことだと思っております。

 さらに、消費者庁は、消費生活用製品安全法第三十六条に基づきまして、経済産業省と共同して原因究明のための調査を行い、必要な場合には、経済産業大臣に対し、消費生活用製品安全法第三十九条、これに基づきまして危害防止命令を発動するよう、消費者安全法第十六条に基づく措置を要求することになります。

 さらに、再発防止、これを図る必要もございます。その観点からは、消費生活用製品安全法第三条に基づく安全基準の改定、これを行うことが必要でありまして、消費者政策担当大臣から経済産業大臣に対しまして勧告をするなど、こういう措置も可能となってまいります。

 このように、消費者庁が設置されました暁には、同様の事故が発生した場合に、消費者庁は迅速な対応を図る上での司令塔としての機能を果たすことになる、そのように思っております。

大塚(高)委員 そういった機能が十分に発揮されることに相なりますように私は願っております。

 続きまして、民主党に御質問させていただきます。

 先般の二十六日でございます、参考人質疑において、松本参考人がおいでをいただきました。その中で、民主党は政権をねらう党と言っており、政権をとれば内閣に政治家をどんどん送り込むと言っている、それならば、内閣の外に権利院をつくるなどと言わないで、内閣の中につくればよいのではないか、このようにおっしゃっておられたわけですね。

 この見解に対しまして、権利院と民主党の政権構想はどのようにお考えか、お尋ねをいたします。

枝野議員 私ども民主党は、結党以来、消費者行政の重視をずっと訴えてきておりますし、私どもが政権を担わせていただければ、消費者権利院のような外部からのチェックシステムがなくても、しっかりとした消費者行政を担っていく自信を持っております。

 しかしながら、行政システムというのは、しっかりとした見識と能力を持った人間が常に権力を持つわけではないということを前提に、どんなケースであってもしっかりと機能するようなシステム、どなたが政権を担おうが、どなたが消費者担当大臣になろうが機能するシステムをつくるのが、行政権を持っていない立法府としての責任だというふうに思っています。

 私どもが政権を担い続けたとしても、例えば十年、二十年と同一の政権がもし続いていれば、消費者からの声があるいはなかなか入りにくくなることも考えられます。

 ですから、どういった場合でも行政がしっかりと消費者の視点に立った行政を行っていくために、どなたが政権を担ってでも機能し得るようなシステムをつくる、これが立法府の責任である、こういうふうに考えております。

大塚(高)委員 私はそういった理解というのはなかなか難しいなと思うわけでございます。

 その中で、やはり内閣というのは連帯責任があるからこそ、内閣の長である内閣総理大臣がいろいろな面で勧告するということが一番効果があるのではないかというふうに思うわけでございますけれども、そういったことを、大臣、どのようにお考えでしょう。

野田国務大臣 内閣の中か外かということでありますが、私たちは一貫して、やはり内閣の中にあらねばと思っています。

 その一つには、やはり、消費者目線とか消費者行政という政策が残念ながらこれまでしっかり根づいてこなかった反省を踏まえ、消費者庁をつくることによって、そういう事業者優先から消費者優先の新しい国づくりの中核を担う消費者庁というものをきちっと設置することで、まずは内閣の中の司令塔を定めて、それぞれ意識のない、どちらかというと意識が薄い各省庁への伝播というんですか、そういう啓蒙もしていかなければならない。

 また、それぞれが、今パロマの残念な、本当に気の毒な事故がありましたけれども、一つの役所での限界があるならば、やはり消費者側に立つ中立公正な司令塔によってしっかりとそれぞれの役所に対して権限を持ち、そこがたるんでいたりもたもたしている場合には、消費者にかわってしっかりと措置要求、命令ができるようなものをつくっていくことが、まずは、現実的に消費者政策を推進する意味では、この国にとっては必要であると思っています。

 内閣の中に置かれるからこそ、今の縦割り行政とかさまざま言われている行政のあり方を根本的に変えることができますし、これまで余り政治の中で語られなかった消費者目線という言葉を強く発信し、そこに立脚した行政というのを推進することが可能になると思います。

 いずれにしても、こういう組織をつくることで、国民の安全、安心を内閣が責任を持つという新しい時代をつくれる。逆に、外にありますと、今の日本では、残念ながらまだまだ国民の信頼を得るには十二分ではない環境にあるのではないかと思っているわけであります。

大塚(高)委員 ありがとうございます。

 先ほどもお話ありましたように、消費者の目線に立った消費者庁になっていただきたい。そのためには、その役割というのは本当にこれからも大きくなってくるものだろうと思います。消費者からの期待も本当に大きいわけでございますから、そういった省庁になっていただくことをお願い申し上げ、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

船田委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 この特別委員会も、きょう始まる姿を外から見ておりまして、随分マスコミの皆さんからも大きな関心を持たれるようになったなということで、審議をますます深めなきゃならぬ、こう思っているわけであります。とりわけ、この中身についてメディアの皆さんにもしっかり関心を持ってもらいたい、こう思うわけでありますが、先ほど同僚の大塚委員の方からお話があったテーマを最初に私も議論したいと思っております。

 きょうは、お忙しい中、二階大臣にもおいでいただきまして、本当に御苦労さまでございます。

 先ほどの議論のとおり、私も十八年のときはたまたま経済産業部会等の部会を担当しておりまして、パロマ工業の半密閉式のガス瞬間湯沸かし器の事故、まさに痛ましい事故、一酸化炭素中毒事件でありますけれども、覚えております。何点か私も確認をさせていただきたいと思います。

 大臣も、先ほど片りんを吐露されましたけれども、経済産業省全体として取り組みをしなきゃならぬということで、製品安全全般にわたってお取り組みをされて、総点検をやるんだといって、相当檄を飛ばされて、省を挙げて取り組まれたのを私も見ておったわけであります。

 ただ、先ほど大臣が何点かお話しされました、とりわけ、情報がなかなか集まらなかったと、情報収集の体制の不備について論及されたわけでありますが、あのパロマの事故については、事件については、単に情報だけでなくて、私自身はさまざまな問題があったなと。二度とああいう事件、事故は起こしてはならない、こういう思いを今もって持っているわけであります。

 もう一度、改めて大臣、あの事件、一酸化炭素中毒事故、パロマのあの湯沸かし器の事故を振り返って、これから、先ほど議論がありましたように消費者庁へ権限について移管されるわけでありますから、とりわけ、一たん整理をしておくということが必要だろうという思いを持っております。

 改めて大臣に、あの事件の問題がどこにあったのか、お示しをいただきたいと思っております。

二階国務大臣 桝屋議員も当時、公明党の代表としてこの問題の原因究明等に取り組んでいただいた日のことを思い起こしております。私にとっても、本当に残念であり、忘れることのできない痛恨事でございます。経済産業省が政策を遂行するに当たり、常に肝に銘じておくべき重要な問題であると認識をいたしております。

 少しお時間をいただいて、今の御質問にお答えさせていただきたいと思います。

 平成十八年の七月、警察から照会を受けて過去に同様の事故が発生していることが判明したときに、ちょうど私、御指摘のように、小泉内閣の経済産業大臣でありました。直ちにパロマ工業に対して、消費者の安全確保のために万全の措置を図るように厳しく指示を出したところであります。社長にももちろん来ていただきまして、問題点について厳しく申し伝えると同時に、再びこういう事故を起こさないように、企業としても責任を果たしていただきたいと。

 その後、私は、過去の二十八件の発生原因などについて省内で検証を進めることによりまして、それまでの対応がおくれた大きな原因はどこにあるか、事故情報の収集、分析の体制が十分でなかったことが判明し、まことに残念なことだと思っております。具体的には、省内の事故情報の連絡・共有体制が十分に機能していなかったのではないかという反省、メーカー等から十分な情報収集が行われていなかった等の問題点がわかってまいりました。

 こうした点を経済産業省としては厳しく反省をし、私の指示によりまして、平成十八年の八月でございましたが、再発防止に向けて三十一項目の対策を取りまとめた次第であります。これらの対策の一環として、平成十八年の十一月に消費生活用製品安全法を改正していただき、メーカー等に重大な事故報告を義務づけし、公表する制度を創設しました。平成十九年五月から実施に向けて努めているところであります。

 現在、このことを考えてみますと、こうした対策、対応はもっと早くにやっておくべきであったという私どもの残念な思いと同時に、反省の気持ちを持っておりますが、今後において、パロマの一連の事故を肝に銘じて、製品安全対策に省を挙げて取り組んでまいりたいと思います。

桝屋委員 ありがとうございます。

 今大臣から、総点検の実施、そして検討の結果など御報告があったわけでありますが、私も覚えておりますけれども、あのパロマの事故については、昭和五十五年、一九八〇年から平成元年、一九八九年でありますが、その時点で製造された半密閉式のガス湯沸かし器によって、昭和六十年から平成十七年、何と二十年ぐらいの間に次々に、とんびとんびに一酸化炭素の事故があった。

 それで、情報収集という話もありましたが、当然、その六十年から平成十七年にかけて、ガス事業者あるいはLPガス事業者から経産省への報告が全くなかったわけではないわけでありまして、十数件は経産省に報告されていた。しかしながら、それが、これは重大な事故だということで、それをいち早く経産省として察知し、業界指導もするし、何よりもまず情報を積極的に公開する、そして再発防止に取り組むということが必要だったな、こう思うわけであります。

 その点は、大臣が今おっしゃったように、省を挙げて総点検をされ、問題点について整理をされて、改善をされたわけでありますが、私は、今回、とりわけ消費者庁に権限が移るということもあって、本当にああした事故については二度と起きないという体制になっているのかどうか。とりわけ、今申し上げた、全く情報がないわけではない、経産省には情報は入っていたけれども的確な対応ができなかった、こういうことを真摯に受けとめなければならないと思っているわけであります。その点を私は一番、あの事故については念頭に置いているわけであります。

 そうした点で、今回、消費者庁を新しく設置をして、そして、とりわけ経済産業省所管の消費生活用製品安全法、これを改正しまして、重大事故に関しては、総理の方に報告が行って、いち早くそれは公開をする、こういうことに改正されるわけであります。これはどうでしょうか、本当にあの過ちが二度と繰り返されないんだ、今回消費者庁に権限を移すことによって、より重層的な体制ができる、こうおっしゃるのかどうか、そう言えるのかどうか。これはどっち側に、では、野田大臣の方から御答弁をいただきたいと思います。

野田国務大臣 少しお時間をいただきまして、しっかりと御説明を申し上げたいと思います。

 このパロマの事故につきましては、再三お話がありましたとおり、まず、事故情報の十分な共有がなされていない。そして、原因究明についても十分行われていない。さらには、問題が長期にわたって放置されてきたというようなことが主要な問題だったと理解しています。

 そこで、消費者庁が創設されますと、消費者庁に消費生活用製品安全法が移管された後にあっては、消費者庁が消費生活用製品安全法における重大事故情報報告制度を所管することになりますから、事業者から消費者庁に対して事故の報告がなされるとともに、これは新法ですが、消費者安全法に基づき、消費者等から重大事故等に関する情報が消費生活センター、地方公共団体等を通じ直ちに通知をされることから、つまり事業者と消費者と双方からの情報を消費者庁において一元的に集約して、それをもって分析することが可能になります。

 この結果、消費者庁として、メーカー名、型番等の必要な情報を公表し、消費者に対し消費者被害の発生または拡大の防止を図るため、消費者の注意を喚起することができるようになります。

 次に、消費者庁は、消費生活用製品安全法第三十六条に基づきまして、経済産業省と共同して原因究明のための調査を行い、必要な場合には経産大臣に対し、消費生活用製品安全法第三十九条に基づく危害防止命令を発動するよう、消費者安全法第十六条に基づく措置要求を行うことが可能になります。

 さらに、その先、再発防止を図るために、消費生活用製品安全法第三条に規定しております安全基準の改定を行うよう、消費者政策担当大臣から経産大臣に対して勧告をするなどの措置をとることも可能になります。

 このようなことから、消費者庁が設立された暁には、パロマのような、問題が長期にわたって放置されて発生する事故を防ぐことができるようになるものと考えているところでございます。

桝屋委員 重ねて大臣にお伺いします。

 その場合の重大事故というものについてはどういうふうに定義されているのか。今までの経産省が所管していたものと同様なものかどうか。

 済みません、これは通告をしていなかったから事務方でも結構ですよ。(野田国務大臣「消費者安全法ですか」と呼ぶ)そうそう、消安法。重大事故の報告制については消費者庁に移管をするわけでありますから、その重大事故とはというお尋ねでございます。

野田国務大臣 消費者安全法の第二条におきまして、「この法律において「重大事故等」とは、次に掲げる事故又は事態をいう。」「前項第一号に掲げる事故のうち、その被害が重大であるものとして政令で定める要件に該当するもの」、例えばこの場合、死亡、重症、一酸化炭素中毒等ということで挙げさせていただいているところであります。

桝屋委員 事務方でも結構なんですが、重ねてお伺いしたいと思います。

 先ほど私が申し上げたように、パロマの事故は、まさに昭和六十年から平成十七年にかけてとんびとんび死亡事故が出ている。そうしたものについて、これは重大事故情報だということがきちっとその事業者から本当に報告されるという状況なのかどうなのか。それは一気にどっと出てくれば、これは重大事故であるとだれだってわかるわけでありますが、パロマの事件は二十年かけて重大事故だということが認識できなかったわけでありますから、そこはどうなっているのかなというお尋ねであります。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど野田大臣の方から御答弁申し上げましたように、消費者庁の場合、経済産業省さんがこれまでおやりになっております仕組みに加えまして、消費者側から消費生活センターを中心に直接に情報が上がってくる、集約をするという立場になるわけでございます。

 そういう意味で、確かに、長期間にわたって断続的に問題が発生するときに、それを見過ごさないかという御趣旨かと思いますけれども、消費者庁につきましては、消費者安全法に基づきまして、消費者事故を、例えば一年間、どういう形の事故が多く発生したのか、どういう新たな問題が発生しているかというようなことを、具体的にはまだ決めておりませんけれども、四半期置き、ないし年度を通じてそういうことを集約、分析して、新たな傾向等につきまして敏感に把握するということを目標としているわけでございます。

 そうした努力を通じまして、こういう問題についても、これまで以上に迅速な発見に取り組むということを目指しているわけでございます。

桝屋委員 先ほど大臣が御紹介された今回の内閣総理大臣による公表、三十六条三項の話をされました。内閣総理大臣及び主務大臣は、第一項の規定による公表について、「消費生活用製品の安全性に関する調査を行う必要があると認めるときは、共同して、これを行うものとする。」

 私は、この共同というのは、メリット、デメリット両方あると思うんですね。共同してから、より強固になったということだけではない、共同ですから、お互いに責任のなすくり合いであったり、すき間ができるということはよくある話でありまして、そのために消費者行政を一元化するという今回の取り組みでありますから、私は、今お答えがありましたように、経産省だけでなくて消費者庁に一般の国民の皆さんからもあるいは事業者からもどんどん情報を上げていただく、この体制は大きな前進だというふうには思っているのでありますが、今回の議論の入り口にあったように、産業育成のセクションとそれを管理するセクション、ここはやはりなかなか難しい問題もあり、今事例がありましたように、少しずつの被害が長期にわたって続くというようなときに、本当に問題を的確に把握できるかどうか。

 野田大臣は、情報の共有と原因究明が大事なんだと今おっしゃった。それが本当に、今回消費者庁ができたことによって、共有は先ほどの説明でわかりました、そうすると、次は原因究明ということについて的確にスタート、キュー出しができるかどうか。これは必ず原因究明の対象として取り組まなきゃならぬという判断が的確になされて、実行されるかどうか。ここも心配なのでありますが、この点も重ねて、とりわけ原因究明ということについて、事務方でも結構でございますが、お答えをいただきたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 製品事故に関します原因究明につきましては、製品評価技術基盤機構、NITEとの連携と申しますか、NITEを適切に活用させていただく、これが非常に重要であるというふうに思っております。

 消費者庁が設立されました後に、消費者庁とNITEの関係がどうなるかということについて若干触れさせていただきたいと思います。

 先生御指摘のとおり、重大事故の情報がもたらされましたときに、消費生活用製品の安全性に関する調査を行う必要があるという場合に、消費者庁は、経済産業大臣と、経済産業省と共同しまして調査を行うということにされているわけでございますけれども、その際、経済産業大臣等製品の所管大臣は、NITEに対しまして、「消費生活用製品の安全性に関する技術上の調査を行わせることができる。」、先ほどの消費生活用製品安全法の三十六条四項の方でそのように規定をされております。

 このため、消費者庁にこの制度が移管をされました後でありましても、NITEは引き続き経済産業省等のもとで技術上の調査を行っていただくということになります。そして、消費者庁は、経済産業省等を通じましてNITEとの連携を緊密に図っていく、そういう形で原因究明に取り組んでいくことになるというふうに考えております。

桝屋委員 そうしますと、このNITE、独立行政法人の製品評価技術基盤機構、独法でありますけれども、この機能も非常に大事だという御答弁でありました。

 重大事故の情報が寄せられた、重大事故情報だと認識をし、そして、その原因究明に直ちに取りかかるという段階で、まさに今、NITEの役割というものが極めて大事でありますが、NITEは今回の法改正によって、消費者庁発足という体制によって、NITEの管理者あるいは責任ある立場、NITEへの指揮命令権というのは変わるわけではないと思っていますが、それでいいかどうか。

 例えば、経産省がぐずぐずしている、経産省は、だって、やはり業界の育成が大きな仕事ですから、なかなか出ない。そうした場合に、経産大臣を通じてNITEに消費者庁は物を言わなきゃならないのか、いやいや、これはぜひやってくれということで、消費者庁からNITEに直接要請をすることができるのかどうか、そこはどうでしょうか。

松山政府参考人 消費者庁とNITEの関係でございますけれども、先ほど委員もお触れになりました消費生活用製品安全法三十六条の第三項におきまして、経済産業省と消費者庁は共同して調査を行うということでございます。

 そして、そのもとで、NITEに対する所管関係と申しますか、これは現状のままでございますので、先ほど触れさせていただきましたように、消費者庁は、例えば、経済産業省所管の製品に関する原因究明に関しましては、経済産業大臣にNITEをこのように調査に参画させてほしい、NITEの方でやってほしいということを要請する立場でございます。

 ただ、この要請は、三十六条の三項に基づいて行われることになると思いますけれども、基本的には消費者庁の方で必要と考えて経済産業省にお願いをいたしますので、特段の事情がない限り、その方向に沿っていただけるもの、そのように考えております。

桝屋委員 特段の事情がある場合は要請を断ることができるかどうか、重ねてお尋ねをしたいと思います。

松山政府参考人 基本的にはそういう方針でやっていただけるものというふうに思います。

 ただ、例えば、たくさん調査事項を抱えておられて、今週はどうしても取り組めないとか、そういう物理的な制約がある場合には御相談せざるを得ないことがあるかもしれませんけれども、基本的には聞いていただける、そのように考えております。

桝屋委員 そういう事務的な答弁はやめてもらいたいなと思うんだけれども。特段事務的に忙しい場合は対応できない、命がかかわるような重大事故に対して対応するとなったら、私は、直ちに対応しない限り、パロマの反省は何ら生かされないということになる。

 野田大臣と二階大臣にもう一度。今回、私は、共同ということを生かしてもらいたい、大きな前進だと思っておりますから。今のような人命にかかわる問題について、仕事が忙しい、忙しくないというようなことが判断基準であったとしたら大変なことになるだろう、何のための共同かと思うんですが、重ねてお答えいただきたい。

野田国務大臣 つまり、これまでの行政組織というのは、消費者というのがすっぽ抜けているわけですね。消費者庁ができるということは、この国は消費者最優先なんだ、やはりそういう司令塔が誕生するわけでありますから、その精神に基づいて、今先生がおっしゃっていることは当たり前のことで、そういう意味では人命最優先という、これまでもそうは思っていても、やはりそれを高らかに担保する行政組織というのが明らかでなかったわけですから、この消費者庁によってそれが明らかになった今、経産大臣とともにしっかりやっていくことは当然のことだと思っております。

桝屋委員 とりわけ二階大臣にお願いしておきたいんですが、私はやはり、今回こうした体制になるということ、それをさらに、パロマの反省を踏まえて、二度とああしたことが起きないように体制を強化するということでなくてはならぬと思っておりますので、重ねて御答弁をいただきたいと思います。

二階国務大臣 ただいま桝屋先生のおっしゃるとおり、過去の反省の上に立って、経済産業省は気合いを入れてこの対応をしなきゃならぬというふうに考えております。特に、野田大臣の方と今後一層協力して、まさに消費者庁と経済産業省、一心同体の気持ちで対応していかなくてはならないと思っております。

 なお、先ほども少し触れさせていただいたかと思いますが、我々は、この総点検を過去にさせていただいたときに、三十一項目の反省点を列挙して、これに対して一々対応することにいたしておりますが、今度、いよいよ消費者庁の方へ我々の行政の一部を移管する際に、この際に、私は、三十一項目、一つずつ点検をして、これはここまで完成しています、これはまだ道半ばです、これはもう済んでおりますから必要ありませんというふうなことを一つ一つ精査して、申し送り事項といたしたいと思っております。

 なお、今度は法律が通ってからのことでありますが、準備期間の今、我々が考えていることは、経済産業省から約三十一名の職員をこの消費者庁の方へお譲りしてともに対応していこう、そして、お譲りをしたから、それで消費者庁のことだというふうな考えではなくて、先ほども議員からも御指摘のあったとおり、過去の反省を十分踏まえて、態度で、実行で示すべきだというふうに思っております。

桝屋委員 パロマの事故は、結果的に、亡くなられた方が二十一名、重体三名、軽症三十六名という痛ましい事故になったわけでありまして、しかも、長い期間を経てそういう被害が出たということでありますから、二度とそういうことが起きないように、今回の体制変更が大きな前進になるようにお願いしたいと思います。

 一点だけ、事務方で結構です、確認をしておきたいと思いますが、あの事故のときも議論になりましたが、製品安全について、いわゆる製品安全四法と言われていたと私は覚えているんですが、今回の改正によりまして、例えばガス事業法あるいは電気用品安全法は、同様の取り扱い、重大事故の報告と情報公開ということは法律改正しなくてよかったのかどうか。

 たしか、電気ストーブによる健康被害、化学物質の過敏症などの被害があのとき同時にあったような記憶があるんですが、そこは大丈夫なのかどうか、事務方、お答えいただきたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のガス事業法や電気用品安全法、それに基づく製品も対象になるのかという点でございますが、ガス事業法のガス用品でございますとか、電気用品安全法の電気用品、こういったものにつきましても、消費生活用製品安全法の消費生活用製品、これに該当するということでございまして、重大事故報告・公表制度の対象となるという整理になっているものと承知しております。

桝屋委員 ありがとうございます。

 いずれにしても、先ほど増原副大臣が御答弁されましたが、こうした消費生活用品について、事故等については消費者庁が中核的な役割を担う、こうおっしゃった。私はその方向が正しいんだろうと思っておりまして、共同される経産省と連携をして、いい体制がスタートするように、しっかりお取り組みをお願いしておきたいと思います。

 ありがとうございました。

船田委員長 次に、田名部匡代君。

田名部委員 民主党の田名部匡代でございます。

 きょうの質問の時間をいただきまして、実は先週の金曜日に、各役所の皆様方に大変遅くまで御迷惑をおかけいたしました。御礼と、あわせておわびを申し上げたいと思います。

 きょうは、悪徳商法による消費者被害とはちょっと違う視点で、私の地元青森県で起こった消費者被害というものを例に挙げて御質問させていただきたいと思います。きょうは、その地元での被害と、あわせてエステの問題、そして時間があれば霊感商法についての御質問をさせていただきたいと思います。

 ざっくりその経緯をお話しさせていただきますけれども、青森県の最大大手と言われる石油小売会社が経営破綻をいたしました。昨年の十月であります。ここの会社は、プリカや前払いの灯油券というものを発行していました。それを購入された方々が被害を受けているということなんですが、前払式証票の規制等に関する法律の規定によって、プリカを購入した方々は、半年以内であれば、会社が供託金を納めているのでその一部が還付される、しかし、これが、灯油券を買った方々は対象外だというふうに言われているんですね。

 これは、相談件数も、苦情や問い合わせを含むと青森県で五千件であります。この五千件、青森県は、県の相談窓口が四カ所、市の相談窓口が三カ所、合計七カ所しかないんです。地域的な隔たりもあって、大変遠くから、一時間も一時間半もかけて相談に来られる方々がいるというような現状です。この地域の現状というものを考えたときに、これまでも何度もこの委員会でいろいろ御質問があったとおり、地域の窓口の充実、相談員の確保、こういったものをしっかりと体制をつくっていくということが必要だと思います。

 ちょっと余談ですけれども、現場に行って話を聞いてみると、少ない人数の中で、非常にクレーマーのような相談が多いと。例を挙げますと、洋服屋さんに行ってジャンパーを買ってきたら、一カ月着ていたんだそうですが、襟が汚くなった、これを取りかえてくれという、まさに本当のクレーマー。でも、親切に、お店の人はその成分を調べて、これは汗の脂の成分だからお取りかえすることはできませんと、そういうことに相談員の方も物すごい時間をとられながら少ない人数で対応している、こういった苦しい現状だということも、私も足を運んで初めて知ることができました。

 こういった中で、悪徳商法ではないですし、破綻に伴う被害でありますので、そういった通常の手続の中で救済というものが行われていくんだと思いますけれども、なぜ今回このことに注目をしたかというと、百年に一度の経済危機と言われる中で、プリカだとか前払い式のこういう券というものを購入している方々は非常に多い、被害が拡大をするおそれがあるのではないかな。

 実際、全国で、この前払い式の証票の発行者は千七百者、発行額は十九年度で、何と十三兆円も発行されているんです。基準日未使用残高、つまりまだ使っていないというのが二兆円あります。莫大な金額がこういったことに使われているということでありまして、大事なことは、消費者が、こういったメリットに関しては実感をしているんだけれども、そこにリスクが伴うということを余りわかっていない、知る機会がないということだと思います。

 今のような、全国の非常に少ない体制の中で、どうやってこれを周知徹底して情報提供していくのか、また消費者に対する教育をしていくのか、そういう場を提供していけるのか。金曜日に遅くまで御迷惑をかけたとおわびしながら、いきなり通告外の質問をするのもなんなんですが、大臣、こういった消費者教育に関して、新たに消費者庁が設置されたらどのような取り組みをされるのか、御答弁願えますでしょうか。

野田国務大臣 通告を受けていないので、私見もまじると思いますけれども、今先生御指摘の灯油券、プリペイドカード法には該当しないというようなことで、トラブルが発生していると聞きました。

 このような、本当にありとあらゆる、消費者というのはすなわち消費をする人ですから、すべての物、サービス、何もかもがやはりそこで起きているわけで、そこで何らかの問題が発生すればそれはトラブルになってくる。それが法律になっているかなっていないかというのは、やはり、どんどん新たな手口が生まれれば、そこに法律の対応がなされていないというのが現状のあり方なんですね。

 ですから、消費者庁をつくるというのはどういうことかというと、まずはやはり、今もそうですけれども、このプリペイドの話を聞いていても、事業者優先の発想で、商売をうまく円滑に進めていくためにそういうのがあって、どうも、消費者にとって本当にいいかどうかという発想がかなり後ろになっているんじゃないか。そういう反省を踏まえて、すべてのこの国に存在する法律の頭に、消費者目線とか国民優先とか、そういうものをやはり持たなければいけないよねというところも、この消費者庁をつくっていく、一つの大きな政策転換だと思っています。要は、消費者庁という行政組織を新たにつくることによっての国民運動を起こしていこうというのも、これは一つのねらいだと思います。

 その中で、既にこれは平成十六年に制定されている消費者基本法の中の基本理念、第二条には、消費者の自立支援のために教育の機会が提供されるということがちゃんとうたわれているのです。

 そういうこともやはり踏まえた上で、消費者庁というのがそういう司令塔として、それぞれ、例えば消費者庁だけであればホームページの中でやっていくとか、でも、消費者庁ができることによって、その周辺の、さっき仲よくやれるのかどうたらという話もありましたけれども、そもそもが消費者優先とか消費者目線の発想を持ち得なかったそれぞれの行政が、消費者庁と一緒に共存することで、そういう新しい考え方を学び、それを取り込んでいかなければならない。新しい行政組織に生まれ変わる中で、やはり国民に対して、行政というのは、行政サービスの相手、お客様は国民ですから、そこに対してそういう思いが行き届いていくことも教育の一環ではないかと思っています。

 ですから、当然これはやっていかなきゃならないことだけれども、消費者庁ができることによってより一層、国民にとっても、そして国民の安全、安心を守るそれぞれの役所にとっても必須のことだという意識が芽生えてくることが非常に大切なことだと思っています。

田名部委員 これは同じ質問、こちらも同じく通告外でございますが、民主党はこの消費者教育についてどういう取り組みをお考えなのか、教えていただけますでしょうか。

小宮山(洋)議員 民主党は、消費者教育は非常に大切だと考えておりまして、私どもが提出している法案には、三カ所にこの消費者教育のことに言及してございます。政府案を拝見いたしますと、残念ながら、消費者教育には全く触れられていないということです。

田名部委員 ありがとうございます。

 この消費者教育も、今、大臣、消費者庁ができればまたそういった新たな取り組みということが行われるんじゃないかというお話でありましたけれども、やはり地方の窓口も含めてしっかりとした体制がつくられていないとなかなかこういった情報また教育といったことが国民に行き届かないのではないかなということを懸念するわけであります。

 それで、引き続きこの青森の話ですけれども、灯油券の被害、平均当たり十四万なんですね、最大で八十万。プリカも合わせると二億円。青森県で二億円の被害というのは非常に大きな被害で、この二億円というのも、相談者、窓口に相談に来られた方から聞いた金額が二億円ですので、それ以外の会員が二十万人いると言われていますから、被害総額というのは物すごい大きな金額になるだろうなということが予想されるわけです。

 この会社も、これは私が判断することではないので、会社がわざとだったか悪徳だったかということは今の段階では判断できませんけれども、しかしながら、灯油券においても一年券というのも実は出していたんです。では、一年券は、さっきのプリカ法に基づけば対象になるのかということなんですけれども、それが供託金を納めていない、つまり、これは届け出制なので、灯油券は、半年の有効期限である、供託金の対象外だという届け出を出して、会社がきちんとした届け出を出していなかったんですね。でも、実際は、半年の有効期限であっても継続してそれを使うことができたり、一年券が出ていたりというような複雑な裏側の事情もあるんです。

 こういったこと、これはまさに消費者にとっては消費者被害で、青森県なんかは、年間の所得というのは東京に比べると半分しかないし、この被害者の方々というのは、青森は冬が寒いですから、灯油やガソリンが上がった時期に、少しでも、一円でも安いものが欲しいということで、なけなしの年金を使って購入したという方々も非常に多くいらっしゃいました。まさに死活問題だということなんです。

 こういったプリペイドカードとか前払いの券というのは、まさに消費者と密接な関係、物すごい深いものであるにもかかわらず、今回この消費者庁の中にプリペイドカード法が入っていないんですね。これは、私、本会議場でも、四十三の法律が入っていないということをお伺いしたときに、大臣の御答弁では、必要に応じて各省庁に措置要求を行っていくということだったんですけれども、これだけ消費者とのかかわりの深いプリペイドカード法がなぜ今回入っていないのかということを御答弁願えますでしょうか。

野田国務大臣 プリペイドカード法がなぜ所管ではないのかということです。

 ちょっとその前に、先ほど教育の話で、舌足らずだったんですけれども、申し上げたように、消費者基本法にのっとって、それをしっかりとこの国で根づかせていくために必要な行政組織としての消費者庁がありますので、当然、基本理念の消費者の教育というのは、言わずもがな、わざわざ書かなくてもそれは当たり前のことなので、むしろ、それを円滑に進めていくためにこういう行政組織が旗を振っていかなきゃいけないよという御理解をぜひしていただきたいなと思います。

 それで、いわゆるプリペイドカード法というのは、プリペイドカードの発行者に対して登録制の規制を行い、その発行等の業務の適正な運営を確保することにより、プリペイドカードの購入者等の利益を保護するとともに、信用の維持に資することを目的としております。具体的には、この法律は、発行者についての届け出、登録、プリペイドカードの表示義務、発行保証金の供託、名義貸しの禁止等を定めている法律です。

 この法律は、購入者等の利益の保護をうたっていますけれども、プリペイドカードは決済システムの一部を構成するものであり、信用維持の観点から発行保証金の供託義務が設けられているなど、プリペイドカードの発行等の業務の適正な運営を確保することを主たる目的とするものでございます。

 こうしたことから、この法律は、相対的に、消費者の利益の擁護及び増進を任務とする消費者庁が所管することの妥当性、必要性が低く、消費者安全法に基づき、内閣総理大臣が金融庁長官に対して必要な措置を要求することなどによりまして対応することが内閣全体の役割分担として適切であり、かつ、効率的に消費者利益の保護を図ることができるという理解をしているところであります。

田名部委員 さっき大臣が御答弁でおっしゃっておられたように、企業側に立った視点なんだろうと私は感じたんですね、今回の事件を受けて。このプリペイドカード法の中で、消費者に対してきちんとした情報の提供だとかこういうリスクがありますよだとか、そういった話をする、そういう話を伝える機会というのは何にもないわけで、義務づけられていないわけで、何もわからないままそういった契約を結んできた。

 そして、大臣も今御答弁でおっしゃったように、今回私も青森の財務事務所に聞いたんですけれども、届け出なので検査権限がないということで、今回は、十月に営業停止、破綻をした後で、実際六カ月以上そういう使い方をしていただとか一年券があっただとかいうことを知ったんです、だから、会社からのそういう届け出がなかったのでわからなかったというお話だったんですね。

 では、二十万人もの人が使っていて、そういううわさがなかったのかな、仮にあったとしたらどういう対応をしたんですかと言ったら、仮にあったとしたら、そのことを会社に確認します、それで指導しますという話だったんですが、会社に確認するだけでは、結局本当のことを言っているのかどうなのかという、事実関係、実態がわからないわけで、まさにそれこそ消費者の立場に立って、何かがあったときにきちんと消費者が守られるのかどうかというようなことをやっていかなければならないんだというふうに思います。

 それで、では今回新たに消費者庁ができたときに、どういう権限を持って、こういった、所管していない分野に対して物を言っていくのか。本当に消費者庁のトップが強い立場で臨んでいかなかったら、片や産業を守る、産業育成を進めていく、片や消費者庁だと、何か一致しないところでかみ合わない議論、どちらも、いや、これも大事これも大事という話の中で、軽くあしらわれてしまうんじゃないかというような気がしてならないんですが、その辺はいかがでしょうか。

野田国務大臣 まず、消費者庁がどうなるかという前に、今の先生が御指摘の案件について、今お話を聞いていましたら、届け出事項をちゃんとしていなかったという話から始まっているとするならば、これは今の体制であっても金融庁においての監督責任というのがあるわけですから、まずそこがやはりしっかりやらなければならないということが一番大きい話だと思っています。

 それをしていただいた後、では、消費者庁ができました、消費者のためにどういうことができるかということなんですけれども、まずは、この事例だと、消費者の安全、安心を確保するため、政府一体となった迅速な対応の一環ということで、消費者の利益擁護の観点から関与することになってきます。

 具体的に何をするかというと、新法の消費者安全法に基づいて、それぞれ地方で、青森なら青森で、消費生活センター、お忙しいと聞いていますけれども、そういう関係行政機関等から、消費者から来た情報を収集して、そして集約して分析をいたします。そして、消費者庁は、その集約し分析した情報を消費者にわかりやすい形で公表させていただき、消費者に対して注意喚起をしっかりと行うということが可能になります。

田名部委員 冒頭申し上げたように、これは悪徳商法ではないので非常に難しい部分だというふうに思うんですね。言ってみれば、民主党が出している違法収益剥奪でもないので、こういった救済のしようもないということなんです。

 では、こういった件においては、消費者権利院としてはどういう対応がとれると考えられるのか、教えてください。

階議員 お答えいたします。

 今、プリペイドカード法に基づく権限が政府の場合はちゃんと行使されないんじゃないか、要するに、産業育成という行政の目的と消費者保護という行政の目的、二つある場合に、一方がおざなりに、この場合ですと消費者保護の方がおざなりにされてしまうんじゃないかということで、それに対して我々はどういうことができるのか。

 我々は、従来から繰り返し申し上げておりますとおり、まずもって、消費者保護の行政と産業育成の行政というのが矛盾するようなことはない、内閣の外から行政をコントロールしますから、矛盾することはないということでございます。

 そして、具体的に言いますと、今回のケースでいえば、プリペイドカード法に基づいて、ちゃんとその発行している業者が供託金を積んでいるか、供託金を積んでいればいざといったときにも払い戻しを受けられますから、供託金を積んでいるかというのを本当は行政がチェックしなくてはいけないわけですね。行政がチェックするときに立入検査権とかあるわけですけれども、それが今回は十分されていなかった。

 それに対して我々は、地方の消費者権利局あるいはその支局の方で、この業者がたくさんプリペイドカードを発行しているんだけれども、どうやら何か経営も危ないらしい、そういう情報を察知したら、いち早く行政に対して立入調査しろよという勧告を出します。

 それに対してもし立入調査すれば、事情が明らかになって、必要に応じて供託金を積み増ししてもらうなり、あるいはプリペイドカードの発行をやめてもらう、そういう対応はできるわけですけれども、仮に、消費者権利局が勧告したにもかかわらず、それに応じなかった場合は、もし緊急の消費者保護の必要があれば、その場合は、勧告したという事実を公表して世の中に注意の喚起をする、それによって消費者の皆さんはプリペイドカードを従来のように買い増したりしないということで、被害の未然の防止が図られるというふうに考えております。(発言する者あり)

田名部委員 今声があったように、破綻をするというのは、例えば経営状況が危ないから必ず倒産するとは限らないわけで、経営努力によってはまた持ち直すこともあるかもしれない中で、このケース、本当に難しいんだと思うんですね。では、そういうことを公表してしまったら、会社が、倒産しなかったかもしれないけれども、倒産してしまうかもしれないということも踏まえて考えたときに、この会社、ぎりぎりまで、営業停止をする前日とか前々日まで実際は灯油券を売っているんです。会社の従業員の方々は知らなかったから売っていたのかもしれないんですが。

 ただ、こういうことを、消費者庁になったときと考えると、やはり、内閣の中で企業を守りたい側と消費者の立場に立った側が、今言った、そんなことをしたら会社がつぶれちゃうよ、でも消費者の被害が広がっちゃうよという、これはなかなか一つにならない。だからこそ、私は、行政の外からきちんとしたチェックをして、適正な立入検査をして指導をして、そして必要なときにその情報を消費者にきちんと伝えていくというような体制が望ましいのではないか、必要なのではないかというふうに考えています。

 ぜひ、こういったことも多くの国民の皆さんに御理解をいただいて、真に消費者の立場に立ったというのはどういうことなのかということを御理解いただければなというふうに思います。

 きょう、経済産業大臣にもお越しいただいているので、ちょっと時間がなくなりましたので、一つ、次の話題に移りたいと思います。

 エステ、大臣はエステへ行かれたことがありますでしょうか。余りないですか。私も、まあ見ていただければ、無頓着で余りそういうことはしないんですけれども、経済産業省は、エステ業への実態調査、適正化に関する検討会、認証制度など、エステをいやし系サービスの中心ととらえ、これまでも取り組んでこられた。エステの業界の皆さんも、消費者への適切なサービスとか、信頼、安全というものをつくり上げるためにこれまでも取り組んでこられたんですけれども、非常にトラブルが多いんです。

 年間で一万件を超えるエステ業に関するトラブルがあって、それは、契約の問題もあるんですが、実際は施術を行ってあざができたとかやけどをしただとか、こういうことは、多分、聞いても、重大事故にはならないというお答えなんだと思いますが、ただ、特に女性にとっては、男性も同じかもしれませんが、やはり外見へのやけどだとかあざというのは非常に本人にとっては重大な事故になるんだ、私はそう思うんです。

 こういった一万件を超えるトラブルが報告されている中で、経済産業省としてどのようにこの業界全体の把握というものに努めて取り組んでこられたのか、また、必要なとき、この問題に対しての指導というものをしてこられたのか、お答えいただけますでしょうか。

二階国務大臣 エステは、御承知のとおり、男性も女性も問わず、健康と美しさを求めるということで、消費者の志向は、先ほどお話にありましたとおり、高まっておることは事実であります。

 エステティック業は、潜在的な成長力を持っておる有望な分野であることには間違いありません。しかしながら、エステティックサービスは、ただいま田名部先生からも御指摘のありましたように、直接体に触れて行われるサービスでありますので、安心、安全というものの確保、消費者の信頼を得るということが、この事業そのものの健全な発展に重要な要素だというふうに考えております。

 そのため、経済産業省では、消費者が安心してエステティックサロンを利用できるように、安全の確保をするために必要なエステ関係者の知識あるいは技能、安全マニュアルの整備等を含むエステティックサロンの認証制度ガイドラインを策定いたしました。続いて、このガイドラインを踏まえた認証制度のために、平成十六年でありますが、特定非営利活動法人日本エステティック機構が設立されました。平成二十年の一月の認証事業開始からちょうど現在に至るまで、四十九社、二百五十二の事業所が認証されております。

 経済産業省としても、この認証制度の充実と定着が図られることを期待しておるわけでありますが、今御指摘のようなことが事実であるとすれば、徹底的に調査をしてまいりたいと思います。

 同時に、先ほど、冒頭御質問ありました件で、エステティックの人たちの集まりの場に行ったことはありますが、まだ、中でみずからが体験したという経験は残念ながらありません。

田名部委員 二階大臣もエステに行かれたかどうかの御答弁をいただいて、ありがとうございました。野田大臣にお伺いしたつもりだったんですけれども。

 今は、実際、いや本当に、これは男性の被害がふえているのが現状なんです。男性も美意識が高まりまして、エステを利用して実際被害に遭われているので、決して笑い事ではない。皆さんもいつか行かれて何かあるかもしれませんから、そういうことを覚えていただきたいと思うんです。

 実際、今大臣から答弁があった、ちゃんと認可を受けているという以外にも、多分知らないところでたくさんのそういう営業をしている業者があるというふうに思うんです。その全体像が見えてこない、だから取り締まりができないということなんだと思います。

 あわせて、実はこれは、経済産業省だけではなくて厚生労働省もかかわってくる分野でありまして、厚生労働省では、美容レーザー脱毛に関して、これは医師法に基づいて、だめですよ、永久脱毛、毛根部分にやるのはだめですというのが医師法で決められているんです。一方、平成十四年に、経済産業省は、エステティックにおける美容レーザー脱毛、一定期間の除毛だとか減毛効果のための施術に関しては業界自身による基準の策定が必要なのではないかという見解を示しているんです。

 よく見ると、毛根と、一定期間の除毛の違いなのかなというふうに思うんですが、野田大臣、まさにここが、企業を育てていかなければいけない立場と、命や健康を守っていかなければいけない厚生労働省との見解の違いである。

 なぜわざわざ経済産業省がそういった見解を出したのかな、まあ、厚生労働省の意見も踏まえてというようなことが書いてあるんですけれども、これは、消費者庁になったら、こういういろいろな立場の役所と話をして消費者を守るという行政を実行しなければならないわけですが、大臣からは、なぜわざわざこういう見解を出されたのか、今の質問は二階大臣。

 そして、野田大臣からはぜひ、消費者庁になったら、こういったそれぞれの立場の違う省庁をどうまとめて安全を守っていく、こういった取り組みをするのか、教えていただけますか。

二階国務大臣 厚生労働省は、エステティックサロンで行われる施術が医師法に抵触し、健康被害が生じることのないようにとの観点から、平成十三年でございますが、脱毛行為等の取り扱いについての通達等により指導を行ってきていると伺っております。

 御指摘の報告書は、平成十四年に、厚生労働省の通達を踏まえ、エステティック業の振興の観点から、消費者が安心できる施術のあり方を整理するとともに、エステティックサロンや関連機器の事業者自身が取り組まなければならない設備環境や施術方法等に関する課題を明確にしたものであります。

 これらを踏まえて、経済産業省では、エステティック業界の自主的な取り組みにお役に立つように、平成十九年に、取引の適正化や安全面への配慮に関するルールを明確にしたエステティックサロンの認証ガイドラインを策定したわけであります。

 エステティック業界では、本ガイドラインを踏まえて認証制度が開始されておる今日でありますが、ただいま御指摘のような問題点について、よく、関係者に対して、責任ある立場の者から指導をさせたいと思っております。

野田国務大臣 御指摘のエステティックサロンでの身体被害、苦情相談というのは、国センの方でも年間六百件ぐらい寄せられていて、大変問題があろうかと思っています。

 では、消費者庁ができたら今のようなことがどう解決されていくかというと、まずは相談センターにさまざまな被害が寄せられる、その情報をしっかり一元的に集約して、そしてすべて分析をさせていただく中で、やはり消費者目線に立った、要するに、これから、まずは被害があったときに注意喚起をするようなことをやりつつ、やはりこれではだめだということであれば、企画立案を一元的に持たせていただいておりますので、そういう関係のところとお話をして、よりよいものをもう一度つくり上げていくということが、消費者庁では迅速に解決できるということが国民に対して提供できることだと思っております。

田名部委員 時間が足りなくなったことが大変残念で、民主党の提出者の皆さんに本来お聞きをしなければならなかったんですが、今までの、いろいろ御答弁をいただいてきたことを見ても、またこれまでの行政を見ても、連携をとるんだ、連携をとるんだと言いながら、なかなかそれは実現してこなかった、実行されてこなかったわけであります。また、それぞれ立場の違う省庁間で、それぞれの立場で物を話し合ったときに、どう考えたって消費者の立場からの消費者行政というのは行われないだろう、そんなふうに私は思っていて、やはり内閣の外から、一歩引いたところから、本当の意味での消費者の立場での消費者行政を行っていく必要があるということを申し上げ、最後、お越しをいただいた、もう一つ残っていた質問、関係者の皆さん、本当に済みません。これで終わります。

 ありがとうございました。

船田委員長 次に、枝野幸男君。

枝野委員 衆法の方の提出者ですので、内閣提出法案についてだけお尋ねをいたしますが、その前に、委員の皆さんにお問いかけをさせていただきたいんです。

 内閣提出法案と民主党提出法案と両案が出てきておりまして、ただ、残念ながら、与党の皆さんを中心に、民主党提出法案に対して、きょう一点だけ聞いていただきましたが、最初の岸田委員の質問以外ほとんど質問がございません。私どもとしては、当然、双方の意見が違っているんですから、特に与党の皆さんから相当厳しく我が党の問題点について指摘を受けるものと覚悟をして準備をしてきておりますが、質問がないということは容認をしていただいているというふうに受けとめるのが、世の中の常識だと……(発言する者あり)笑い事じゃないです。笑い事じゃないんです。

 問題だと思うんだったら、おかしいじゃないか、ここはここはということを、我々が今やっているように、野党に対して聞くのが当たり前であって、問題点を聞きもしないで、最終的に反対だとするんだとすると、これは余りにもアンフェアですから、おかしいと思っているんだったら、おかしいところをちゃんと質問の中で追及していただきたい。追及する能力もないのに反対だけするのは無責任だということだけ、まず冒頭申し上げておきたいというふうに思います。

 それから、他の野党の皆さん、ここで厳しい質問をしても野党共闘が壊れるだなんて思いませんから、どうぞ遠慮なく厳しい質問をしていただいて、最終的にどちらがいいかということを判断していただければというふうに思っております。

 質問に入りますが、順番をちょっと変えさせていただきます。

 先ほど来パロマの問題が出てきておりますし、まさに命にかかわるという問題では重要度が一番高いと思いますので、このパロマの問題からお尋ねをさせていただきたいというふうに思うんですが、今回の事故を受けて、先ほど経済産業大臣の御答弁で、消費生活用製品安全法に基づき、ここに重大事故の報告義務を課したと。私は、これは一歩大きな前進だろうというふうには思います。これを制度として導入をして、経済産業省の方には企業から、メーカー側から事故情報が入ってくる、消費者庁の方には消費生活センターを初めとして事故情報が入ってくる。

 そこまではよくわかるんですけれども、その上で、例えば消費者庁に入ってきた情報を、先ほどのエステの話でいえば、個別の法案の所管をしていないにもかかわらず、消費者庁は関係機関に対していろいろなことができるということをおっしゃっていますが、では、なぜ、消費生活用製品安全法については、経済産業省の所管から消費者庁も共管をすることに変わったのか。その本質的な理由を説明してください。

 政府委員は認めていませんから、大臣か副大臣か政務官。

並木大臣政務官 お答えいたしますけれども、共管に変わったということについてでございますけれども、消費者の方からきちっと上がってくる総合的な情報があるわけですけれども、それがしっかりと主務官庁に、消費者の目線から伝えられるということが重要であろうかというふうなところで、委員おっしゃるように、まさに官庁が事業者本意であったりとか、あるいはすき間ができるような、自分の管轄しか担当できないというようなところの現状をかんがみて、その辺についてはしっかりと消費者庁に移管して、そうしたところから対策を主務官庁に対しても講じられるように、そもそも論からすればそういうところだというふうに思っています。

枝野委員 済みません、今のではお答えになっていません。

 消費者庁に入ってきた事故情報、特に生命にかかわるような重大事故情報ですから、消費者安全法だけでも、必要があれば、もともとの所管である経済産業省に対して物が言えるんですよね。経済産業省は、経済産業省の独自の努力で法律を改正して、企業側からの事故情報は入ってくるし、入ってきた事故情報は自動的に、共管にしなくても、消費者安全法によって消費者庁に入ることになっているんです。事故情報の一元化は、いずれにしても、この所管の移動がなかったとしてもできるんです。できた上で、消費者庁は経済産業省に物が言える仕組みをつくっているんです。にもかかわらず共管にしたのはなぜなのかという説明をしてください。

並木大臣政務官 失礼しました。お答えします。

 もう一点、重要なところを欠いていたかというふうに思いますけれども、消費者庁そのものは直接的に情報を集めていく、こういったところも、基本的に消費者の安全、安心を図るため、そういうところが機能としてさらに強化されるんじゃないか、そのように考えております。

枝野委員 それでは、従来のように、つまり、パロマの事故を受けて、経済産業省所管の消費生活用製品安全法は、経済産業大臣のところにメーカーからの事故情報が集まるようにしているんですが、しかし、経済産業省に集まったのでは危ない、そこで何かごたごたになってしまうというふうにこの立法は考えている、これでよろしいですね。

並木大臣政務官 危ないかどうかというのは委員の御判断を加えたものかと思いますけれども、双方がきっちりとそうしたものに対応していく、そういうことが必要である。つまり力を合わせて消費者のために対応する、こういうふうなことであります。

枝野委員 では、何でガス事業法や電気用品安全法は共管にしなかったんですか。同じような危険があるんじゃないですか。ガス用品と同じように、少なくとも電気用品安全法に関しては。同じような仕組みにして同じように共管にしないと、なぜ、ガス用品だけ移したのか、消費生活用製品安全法だけ移したのかという説明に私はなっていないと。

 まさに大事なことですよ。パロマの事故で実際に人が亡くなっているという過去の失敗が具体的にある問題だから、このことに特に反応するのはよくわかりますが、過去においてはパロマのガス製品だったけれども、次はもしかすると電気用品安全法のかかわる分野かもしれない。次に何が起こってくるかわからないわけですから、可能性のあるものは全部同じようにしないといけないんじゃないですか。

並木大臣政務官 お答えします。

 いわゆるガス事業法とか電気用品安全法、こういうふうなものに関しては、ガス用品、電気用品でございますけれども、既に消費生活用製品安全法の消費生活用製品に該当して、重大事故報告・公表制度の対象となっていくということです。

枝野委員 今のを確認します。

 間違いないですね。ガス事業法や電気用品安全法にかかわって消費者にかかわるものは、全部、消費生活用製品安全法の対象製商品にもなっていて、抜けはない。いいですね、間違いないですね。むしろこれは経済産業省に聞いた方がいいぐらいなんだけれども、どちらが答えてもいいです。

並木大臣政務官 基本的には対象になっているというふうに考えております。

枝野委員 ガスそのものの瑕疵で事故が生じたときも消費生活用製品安全法で対象になるんですね。いいんですね、経済産業省。

増原副大臣 あくまでも消費用でございますので、ガスは工業用もあればいろいろありますよね。我々は、ガス器具、家庭用のガス器具について申し上げているのであって、そこがやはり消費者と直結すると言っているわけです。

枝野委員 今の並木大臣政務官と副大臣の、整合性をとってください。政府見解を統一してください。ずれています。ずれていますよね。

並木大臣政務官 お答えしましたとおり、ガス用品とか電気用品で、いわゆるガスタンクとかそういうところまで広げたような、そういった話ではございません。今副大臣もお答えしたようなところであります。

枝野委員 話がわかっていないですね。そんなことはわかっていますよ、ガスタンクは消費者と直接関係ないです。

 だけれども、ガスの瑕疵によって消費者に被害を与える可能性というのはゼロじゃないんですよ。可能性はあるんですよ。ガス用品、つまりコンロとかそういうものの瑕疵によって事故が生じるケースもあるでしょう、それからコードみたいなもののせいで事故が起こることもあるでしょう、だけれども、ガスの瑕疵によって消費者が被害を受けることが絶対にあり得ないだなんということはないんですよ。

 だけれども、先ほどの政務官の話は、ガス事業法や電気用品安全法にかかわるもので消費者に関係するのは全部対象になっていると言うから、違うと言っているんですよ。ガスは対象になっていないでしょう。ガスそのものの製品の瑕疵によって消費者被害が生じたときに、消費生活用製品安全法の対象になっていないでしょう。その可能性もあるんだから、何でそれを消費者庁の所管にしないんだと言っているんですよ。だれか答えてください。

並木大臣政務官 先ほどもお答えしたとおりでありまして、ガス用品とか電気用品というふうにお答えしております。ガスそのものというのは生産者の問題ですけれども、それについてはお答えしておりませんけれども、先ほどから。

枝野委員 では、答えてくださいよ。ガスの瑕疵によって消費者被害が生じる可能性はゼロですか。そんなことはないでしょう。

増原副大臣 枝野委員の御意見は、電気そのもの、電気の品質でしょう、ガスの品質でしょう。そういうものは事業法でやはりきちんと品質確保するわけでしょう。それが、そのものでもって消費者の被害が出ることがナッシングとは言いませんよ。ナッシングとは言いませんけれども、それを、具体的には委員はどういうケースを言われているんですか。

枝野委員 やはり、ここのところのずれがこの問題に対する基本的なずれだと思うんです。

 要するに、大体、パロマのような、ずっとガス湯沸かし器製品をつくってきた一流企業が、製品の瑕疵で人が何人も亡くなるだなんというケースをこんなに何年にもわたって繰り返してくるだなんということは、逆に言えば、常識的にはだれも思っていなかったからこんな事故が繰り返されたんですよ。

 ガスそのものだって、例えば、普通にガスの線に基づいて配給されているガスと全然性能、性質が違って、引火性が高かったりとか爆発力が高かったりというガスが供給されて家庭に届いてしまったら大事故になる可能性があるわけです。これは明らかに消費者問題ですよね。電気だって、百ボルトで供給されていると思っているけれども、これが突然五百ボルトが供給されたら事故が起こって人が死ぬかもしれないんです。可能性の問題を言っているんです。

 そういう意味では、可能性が低いから排除するということで消費者問題はいいんですか。可能性があるものについて、それについて、いや、ほとんどないですよ。ほとんどないから、仮に共管にしたとしても、消費者庁がやることはほとんどないかもしれません。でも、事故が起こる可能性があって、事故が起こる可能性があるときに経済産業省だけに持たせていたら心配だといって消費者庁と共管にするんでしょう。だったら、それについても共管にしておけばいいじゃないですか。何でしないんですか。

増原副大臣 おっしゃるように、万が一ないとは言えません。世界じゅうの森羅万象、皆そうですよ、それは。言えると思いますよ。

 ただ、そのときに、消費者で、今おっしゃったように百ボルトが五百ボルトとか、そういうことになりますと、これは消費者だけじゃないですよ。あらゆるところであらゆる膨大な被害が生じてくるわけですよね。ただ……(発言する者あり)ちょっと黙っておいてください。あなたは質問していないんだから。

 そういう意味では、ちゃんと、この消費者安全法において、ガス事業法なり電気事業法に基づく主務大臣がとるべき措置についてこれは措置要求をすることができる、ちゃんとそうなっていますから、今委員がおっしゃるような、万々が一にもそういうことが起きる危険性があるというのであればそういう措置をとらせていただきます。

枝野委員 パロマのガス湯沸かし器だって、消費者以外も使っているんですよ。事業所の中で使っていたケースがあるわけですよ、家庭用の湯沸かし器だって。だけれども、大部分は消費者の皆さんが……。事業者が事業所の内部で使ったら消費者じゃないですよ。そんな定義もわからないで審議しているんですか。個人が事業と関係なく使っているのが消費者なんだから、どこかの工場の中でパロマの湯沸かし器を、どこかの会社の事務所の中で使っていたら、これは消費者問題じゃなくなるんですよ。あらゆるもの、そうですよ。消費者問題というのは、消費者以外の者も使うかもしれないものも全部含まれているんです。

 そして、最後のところで本質問題を言いました。消費者安全法をつくって、そのことによってカバーをできているにもかかわらず、恣意的に二十九本だけピックアップをしたこと、それが一種の世論誘導で誤解を与えているにすぎないということを指摘しようと思って私は質問しているんですが、水かけ論をこれ以上続けてもしようがないので、一たん視点を変えます。

 消費者庁は、消費生活用製品安全法、パロマのような事故の場合において、消費者庁に入ってきた情報に基づいて重大事故の内容を公表すると言っていますが、関係府省の意見を聞いてと書いてありますね。関係府省が反対をしたら公表しないんですね。

増原副大臣 消費者庁は、消費者の立場に立っております。関係府省の中で意見調整が、今おっしゃったような形で十分できない場合であっても、事の重要性、緊要性があれば、それは当然のことながら公表することになると思います。

枝野委員 では、そういうことをちゃんと書くべきじゃないですか。関係府省の意見は聞いてもいいですけれども、わざわざ法律、これは法律上の要件なのか何なのかよくわからないような書き方をしていますけれども、そんなこと決めておく必要はない。当たり前のこととして、ガスのことだったら経済産業省のガスの担当のところに意見を聞いて、どうなっているんだとやるのは当たり前じゃないですか、こんなことを書かなくたって。

 にもかかわらず、わざわざ関係府省の意見を聞いてだなんて書いてあって、関係府省が、そんなもの絶対反対だ。可能性ありますよね。パロマの事件のようなケースでどうなるかわかりませんけれども、消費生活センターにはたくさん事故の情報が入ってくる、だけれども消費生活用製品安全法に基づく事故情報は経済産業省には入っていない、いや、そんな情報は入っていないね、そんな、たまたま偶然じゃないですかというような話で反対されたときに、でも、公表しなきゃいけないんですから、わざわざ要件として、関係府省の意見を聞いてだなんて入れる必要ないんじゃないですか。

増原副大臣 御指摘の点でございますが、これは、できるだけ内閣全体でしっかりとした対応をとろうということでありますから、関係省庁に入っている情報はすべて我々は集めて、そしてその中身についてきちっと分析をする必要がある、そういう意味で、関係省庁の意見を聞くのも当然のことだ、そのように思っております。

 あたかもその事業を所管している役所が、省庁が、その事業省庁だけのことを考えているというふうな前提で、どうも先ほど来質問されているんではないかという気が私はいたします。このたびの消費者庁の設置法での設置をもって、私は、これははっきり申し上げて、これまでにない大変な行政改革を推し進めることになる、そのように信じております。

枝野委員 今の最後の話は自己矛盾に陥っているんですよ、皆さんは。

 今までの行政官庁は業界の方を向いていたから、だから新たに消費者庁というのをつくって、消費者目線の役所をつくらなきゃならないといって消費者庁をつくろうとしているんでしょう。各役所がみんな、経済産業省だって農林水産省だって、別にどこにも、どこにも業者の側を向いて行政しろなんて書いていなくて、それこそ農水省か何かには、ちゃんと消費者のためにと設置法に書いてあるじゃないですか。経済産業省も書いてあるんじゃないですか。書いてなきゃ書けばいいじゃないですか。

 それで解決をしないとそこはお互いに思っているわけですけれども、まさに消費者庁をつくったからといって、経済産業省が別に消費者を無視しているわけではないけれども、入ってくる情報が業者サイドなわけですよ。消費生活用製品安全法だって従来から経済産業省に集まってくるということだし、まして、これまで専管で、共管されてしまったら、ますます経済産業省に入ってくるのは業者側からの情報ですよ。

 例えば、今回の件に戻りましょうか、パロマの問題に戻りましょうか。なぜおくれたのか。

 なぜおくれたのか。事故の情報そのものは広い意味での行政府には入っていたんですよね。事故があったということは入っていたでしょう。それは大分古いですよね、先ほどの議論の中でも。経済産業省にしろ、例えば警察にしろ消防にしろ、これは全部行政機関ですからね。だけれども、いずれも、最初のうちは製品の欠陥だと思わなかったわけでしょう。製品の欠陥ではなくて、たまたま一酸化炭素中毒事故が生じてしまったと思ったから、パロマの製品の問題として対応することはおくれたわけですよね。あるときに、こんなにあるんだからこれは欠陥じゃないかと初めて気づいて動き出したんでしょう。

 経済産業省という役所は、製品の欠陥の可能性があるとわかっていたとしても一件か二件だからと握りつぶすような、そんな官庁じゃ昔からないでしょう、大臣。

二階国務大臣 議員が御指摘のように、一件であろうが二件であろうが、人の命にかかわるようなこういう重大問題であります。徹底的に究明するのが本来の仕事であります。それが対応がおくれたということの反省の上に立って、今あらゆる対策を打ち立てたところでありまして、今後は、御審議の結果新しく消費者庁が誕生した上には、十分連携をとって対応していきたいと思っております。

枝野委員 いいですか、私も基本的に、我々民主党は霞が関とけんかをして闘っていると言われていますが、システムとしての霞が関がおかしいと思っているのであって、個々の官僚の皆さんが悪意を持って、まさに欠陥だとわかっていながらその情報を握りつぶすというようなことをやったケースというのはほとんどレアケースだろうと思います。まあ、そう信じないと世の中やっていけないということもありますが。

 今回のケースなども、たまたま、パロマの事故で亡くなった人が出たという情報を持った人が消費製品の欠陥だと思い至らなかったということなんだろうと思うんですね。その結果として対応がおくれていった、情報が集約されなかった。

 今度、ある程度は集約されるかもしれませんが、例えば、消費者庁にはそういう情報はたくさん入ってきました、だけれども、経済産業省の方にはそういう情報は入っていませんと。入らなくなりますよね。それはそれでいいんですけれども、別に入らなくても。

 さあ、重大事故で公表しなきゃならないということで、関係省庁ということで経済産業省へ相談をされた。そういう情報は入っていないし、当然のことながら、当然のことながらその段階で関係業者や関係業界にヒアリングしますよね。経済産業省はそうやって、いや、こういうことで公表しようと思っているんだと。そこで、指摘を受けたら、ああなるほど、うちの欠陥かもしれませんと、業者、業界がそう言えば、公表までしなくたって、そこで販売停止、事実上自粛をしますから、そこで問題解決しちゃうわけですよ。

 公表まで至るというか、公表しようと思う前には、消費者庁は行政指導的に、おい、こんな事故出ているんだから、ちょっとこれは販売をとめろよとかとやるじゃないですか。やるにもかかわらずそれに応じないから公表しなきゃならなくなるわけでしょう。公表して注意喚起しなきゃいけないわけでしょう。あるいは、任意で、これはうちの欠陥かもしれないから我が方で回収しますとか、我が方でそれこそ注意喚起しますとやってくれないから公表するんでしょう。

 ということは、意見を聞かれた経済産業省が関係業界や関係企業にヒアリングをかければ、いやいや、それはたまたまです、欠陥なんかじゃなくて多分これこれこういうことなんじゃないですか、こういう説明を受けるに決まっているんですよ、公表しなきゃならないということで関係府省の意見を聞くときには。だれも悪意はありませんよ。だれも悪意はありませんよ、その中には。

 だけれども、そこでそういう意見を聞いたら、おい、ちょっと待ってくれ、本当に欠陥なのか、欠陥じゃないのに公表なんかされたら業界に打撃を与える、企業に打撃を与えると経済産業大臣は当然言うじゃないですか。そこで時間がかかるじゃないですか。

 そういう仕組みでいいんですか。私はよくないというふうに思いますけれども、どうですか。

増原副大臣 ただいまの枝野委員の御指摘の中で、一つ落ちていると思うんですね。

 新たに販売禁止とかそういうものはさっき御指摘されました。ただ、その裏には膨大なストックがあるわけですね、ストックが。注意喚起をするというのは、そういう同じ種類のものを持っていらっしゃる方々に対して、これは注意して使ってくださいよ、原因がまだそんなに判明しているわけではないけれども、かなり身体生命に重大な影響を及ぼす事故が起きていますよ、こういうことをきちっとまず言うことが大事なんですよ。販売する台数よりも、既に市場に出回っているというか家庭にある台数の方が、はるかにこれはストックとしてボリュームが大きいわけですから。

 そういう点もあるわけで、具体的に中身を詰めて、これが製品的欠陥なのかどうか、これをもう少しさらに詰める、それを詰めているいとまがない事態がどんどん発生するというときのためにも、私は発表するということは大事だと思っております。

枝野委員 ちょっと具体的過ぎる話を出したせいでそこに陥ったのかもしれませんが、今のお話はわからないではないんですが、いずれにしても、欠陥があるかどうかはっきりしていないんだけれども、命を守るためには公表しなきゃならないと消費者庁が言うのに対して、こんなものは欠陥ではないことははっきりしているじゃないかというような話が関係府省から出てくる可能性が高いわけですよ。

 それぞれの業界、その事業をやっている人たちはこれまた、欠陥だとわかっていながら、わかっていながら少しぐらい人が死んでもいいやだなんて思って物を売っている人は普通はないですよね、よほどの悪徳業者じゃなければ。ちょっと心配だけれども多分大丈夫だろうぐらいのことはあるかもしれないし、パロマはもしかするとそういうケースか、さらにもうちょっと悪質なのかもしれない、そこはわかりませんけれども。しかし、そういう声を関係府省は聞いているところになぜ意見を聞かなきゃならないんだ。欠陥の有無なんかにかかわらず、これは膨大な被害が出るかもしれない、あるいは深刻な被害が出るかもしれないということの判断で公表するというんだったら、何も共管なんかにしないで、関係府省の意見を聞くと書く必要なんかないじゃないかというのが私たちの考えです。

 念のためにもう一点聞きます。

 今のような、公表するかどうかということなどに入っていくためにも、一種の原因究明にかかわるようなところは一定程度やらなければいけません。

 さて、今回、消費生活用製品安全法は、経済産業省から所管が基本的には消費者庁に移ります。何人移るんですか、経済産業省から、この問題にかかわる人では。

吉川副大臣 私の方からお答えを申し上げたいと存じます。

 消費生活安全法の重大事故の関係でよろしいですか。(枝野委員「はい」と呼ぶ)この関係は、現行が六名でございまして、そのうち移管をされるのは三名でございます。

枝野委員 三名で。

 この消費生活用製品安全法の対象になっている話というのは多様ですね。これについて、重大事故情報を集めてくるところまではそれなりに整理ができるかもしれません。さあ、もしかするとこれは欠陥商品によって人の命が失われているかもしれないということになったときに、消費者庁と関係府省は、共同して、重大事故の原因究明のための調査を行うとなっているんですね。これは余計な規定だというふうに思うんですよ。先ほどの経産省所管の独立行政法人、何で直接消費者庁長官が使えないんですか。あるいは、なぜ、そうした政府関係機関以外の、例えば研究所とか大学とか、そういうところに頼まないんですか。

 今まで経済産業省が所管をして、パロマのようなことが起こってしまった。経済産業省も反省を踏まえていろいろやってきたけれども、だけれども、それでは足りないかもしれないから消費者庁をつくろう、消費者行政の一元化をしようというふうにお考えになったんだから、まさに消費生活用製品安全の一番の肝になるところは、入ってきた、事故、重大情報に対して、これが商品の欠陥の可能性があるのか、それとも欠陥の可能性が全くないのか、そのことについては、まさにみずからの責任である程度のことができるようにしておくことの方がずっと機能するんではありませんか。違いますか。

並木大臣政務官 先ほどのお話ですけれども、公表ということでも、いわゆる現実に事故が起きていれば、こういうことで起きているという、その使用の方法ですね、そういうものについても公表する、いわゆる最初から欠陥であるかどうかということではなくて。そして、一義的には消費者庁がその判断に責任を持っていくということだというふうに思います、公表については。

 そしてさらに、でありながら、協議をしていく。それはもう専門的な知見を持った、今までやられてきた、そうしたところから聞いていく、そして協議していく。もちろん消費者政策委員会等もありますから、そういったところからいろいろなあれが入ってくることもありますし、そこから内閣総理大臣に勧告等が行われた場合は、NITE等、そういったところの機関が動く、そういうこともできるわけです。

 ですから、もちろん、さらにはそうした専門的ないろいろな研究機関とか、そういうところに聞くこともあるいはあるかもしれませんけれども、その手順として決して、スピードを持って対処するには間違っていないんじゃないかというふうに思っています。

枝野委員 私は間違っていると思いますけれどもね。

 いいですか。消費者庁が、例えば使い方がこういうふうに問題だからということを公表する場合であっても、単純に何の調査もなしにできるケースもあるかもしれないけれども、普通は、今どき、事故が起こって、ちょっと話を聞いたらこれは使い方の間違いだとわかるようなケースだったら、消費者だってマスコミだって、勝手に自分たちで判断できるケースがほとんどですよ。一定の調査をして、ああ、なるほど、こういう使い方が間違っている可能性があるから、これで事故が起こる可能性があるからとかという一定の専門的な、技術的な分析がなかったら進むはずないし、それ以外で、ちょっと考えれば、机の上で考えれば、紙を見ればわかるようなことだったら、逆に言えば、そんな大きな問題にならないケースが大部分だと思いますよ。

 ということは、やはりこの消費生活用製品の安全を確保するためには、事故情報などが入ってきた消費者庁が、まず一義的にどういうふうにその科学的な分析をするのかが問われているわけですよ。

 関係省庁のそれぞれ持っている力を利用することを否定するつもりはありませんよ。それこそ、消費者庁及び関係府省は共同して事故の原因究明のための調査を行うだなんて書くんじゃなくて、消費者庁は、原因究明の調査を行うに当たって関係府省に協力を求めることができる、これが、百歩譲ったって、消費者の立場から、ちゃんと、公表という仕組み、それに至るための分析をするということだったら必要なことじゃないか。

 結局は、これは別に二階大臣の責任だと思いませんけれども、各役所の権限争いの中で、これぐらいだったら渡してあげるということの中から二十九本ができてきているという経緯は皆さん御存じのとおりで、そういった中で、手放したくない、手放すと、それこそさっきのNITEですか、ああいうのだって将来的には手放さなきゃならなくなるかもしれませんものね、消費者庁の方に。

 というか、私は手放すべきだと思いますよ。NITEを解体して、半分ぐらいの機能は、消費者庁をつくるなら消費者庁のもとに一元化すべきだと思いますよ。だって、製品の安全などについての半分は消費者の視点で見るべきであって、半分は業者行政の視点で見るべきかもしれませんけれども、半分ぐらい、NITEを切り離して、むしろ消費者のところに、国民生活センターにくっつけるべきだと思いますが、そういう議論になっていってしまうと困るのでこういうことにしているんじゃないですかと指摘せざるを得ません。

 もう一点、NOVA。これはまず、経産大臣にお尋ねをしたいと思います。

 NOVAの中途解約事件、これは特定商取法に関する問題だと思うんですが、これが、事件が拡大したのは、経済産業省の対応がおくれたと世の中では見られていますが、そういう認識、自覚はあるでしょうか。

二階国務大臣 株式会社ノヴァは、平成十七年度から平成十八年度にかけて、店舗数の異常なといいますか、急拡大などもありまして、予約がとりにくいといったような状況などから、消費者とのトラブルが急速に増大したわけであります。

 このため、経済産業省は、平成十九年二月に立入検査を行いました。その結果、いつでも予約がとれるかのような虚偽の説明を行って顧客を大量に勧誘していたというその行為を中心として違反事実を認定し、同年の六月に、新規契約に対する勧誘、契約締結等を対象に業務停止命令を発出したものであります。

 本件処分は、立入検査後、鋭意調査分析を行い、四カ月で処分を行ったものであり、処分は適切に行われたと考えております。

枝野委員 処分は適切なんですか、おくれたという認識はないんですか。だったら問題ないですね、消費者庁なんかに移さないで、経済産業省でやってもらったらいいじゃないですか。違いますか。

二階国務大臣 問題が発生した事業だけを消費者庁に移すというようなことではなくて、今後、消費者の立場に立って、広く影響を及ぼすような事業に対しては消費者庁と共同してやっていこうというのがこの立法の精神だと理解をいたしております。

枝野委員 パロマの場合は、人命が失われている、こういう問題でもありましたから、さすがの経済産業省も反省をして対応してこられました。

 NOVAの話は、人命こそ失われていませんが、少なくとも政府全体としての対応としては、それは必ずしも経済産業省だけの責任と言うつもりはありませんよ。体制が整っていなくて、情報の集約、一元化が図られていなくて、対応に着手すべきタイミングがおくれた、ここが僕は本質だと思いますから。そもそも経済産業省に情報が入らない、十分に入ってこなかったというのは、立法であったり、あるいは全体としての行政システムの仕組みの問題であって、経済産業省だけの責任ではないというのはあり得るかもしれませんが、結果的に対応がおくれて、こういうものにちゃんと対応できなきゃいけないから、だから消費者庁をつくるんじゃないんですか。違いますか。

 うなずいておられるけれども、そうでしょう、野田大臣。違いますか。

野田国務大臣 まず初めに、今、経産大臣から御説明があったNOVAの事件につきまして、経産省の対応というのは、もう今お話があったように、複雑な状況の中で当時の経済産業省が対応したものであり、私自身は今その状況の中にいないので、評価は難しいわけでありますが。

 今大臣がいみじくもおっしゃったように、個別個別でいろいろ事案、事件が起きていますけれども、消費者庁ができるということは、そういう反省を踏まえて、未然にそういう消費者被害を防いでいくという大きな役割もございます。もう適切だったからいいだろうではなく、これからも何が起きるかわからない、しっかりと消費者が守られていけるか、消費者被害を食いとめていけるかということがまだこの今の行政システムでは明らかになっていない中、消費者目線、消費者行政最優先の新しい行政組織の号令下、それぞれの役所がそれぞれのこれまでの事案に対して適切な対応をしてきたけれども、それに怠ることなく常に意識を持っていただくために、私は、消費者庁というものをしっかり根づかせていくべきことがこれからの消費者行政にとってとても重要であるというふうに思っております。

枝野委員 今の相次ぐ御答弁は、消費者庁の欠陥をみずから露呈していただいたんですが、野田大臣をもってしても、経済産業省は、これは二階大臣も役人から言われて答えていらっしゃるんでしょうけれども、対応のおくれを認めなかったら、野田大臣も対応のおくれを認めるわけにはいかないわけですよ、内閣一体なんだから。だって、違うことを言ったら、経済産業大臣が対応のおくれはなかったと言って、野田大臣が、いや、対応はおくれたんじゃないですかと言った瞬間に、おお、閣内不一致だ、どうなっているんだという話になるわけです、内閣一体の原則ですから。

 だから、消費者庁は内側では機能しないんですよ。どこかの役所が、いや、おくれなんかありません、対応にミスはありませんと頑張っちゃったら、消費者担当大臣が、いや、あれはその役所の失敗です、おくれでしたなんと言ったら、閣内不一致になってしまうわけですよ。それでは機能しないということが我々の重大な問題意識なんです。

 この特定商取法が機能するのかどうかということで、特定商取法は、一応、その移管のところで、執行を消費者庁に移管すると言っておられますが、では、消費者庁に移管をされる特定商取法の執行のための人員は何人ですか。

吉川副大臣 特定商取引の執行を担当している現行の定員が二十五人おりまして、このうち二十一人を消費者庁に移管することにしております。

枝野委員 今のは一見、大部分が移っているように見えるんですけれども、特定商取法の執行を中央でやっている比率というのはどれぐらいあるんですか。ほとんどは地方経済産業局長がやっているんじゃないんですか。これは通告していないんですけれども、その辺、わかりますか。

並木大臣政務官 お答えします。

 実績として、平成十九年度のものになってしまいますけれども、業務停止命令とか、国で三十四件、都道府県では八十件、指示は、国で六件、都道府県で六十件ということで、都道府県や地方経済産業局、こういう連携をこれから行っていくことが必要であるというふうに考えております。

枝野委員 そうですね、地方で大部分のはずなんですよ。これは、執行といったときには、立入検査とか調査とかも全部この執行ということに入っているでいいのかな、大丈夫ですね、いいですね。

 それで、これは結局、地方における執行に当たっては、消費者庁は地方経済産業局長に権限の一部を委任すると言っているんですが、一部というのはどれぐらいなんですか。

並木大臣政務官 御存じのとおり、地域的にいろいろ分かれておりますから、そういった点で一部ということになりますけれども、実際上、権限としては立入調査等々できるというふうになってきます。

枝野委員 逆に聞きましょう。

 特定商取法を地方で執行するような体制になるんですか、消費者庁は。ならないでしょう。基本的には、ほぼ全部が、実質的な全部が地方経済産業局長に委任されるんじゃないんですか。違うんですか。

並木大臣政務官 現在ある機関を効率的に使っていって効果を出すというためにそうした形になりますけれども、指揮監督権というのは、これは御存じのとおり消費者庁の方で持っておりますので、そういった点ではしっかりと対応できるかと思います。

枝野委員 指揮命令はできるんですか。委任ですよ。では委任と書いてあるのは間違いじゃないですか。

 委任というのは、局長に委任をするだけで、局長に対してしか指揮命令できないんじゃないですか。委任をしてしまったこと、委任というのは、その執行について具体的に指図するんですか。

 委任という言葉はでは間違っているんじゃないですか。違いますか。

並木大臣政務官 経産省の方の規定を変えて、できるようになります。

枝野委員 内閣法制局、来ていますよね。こんなもの、委任なんですか。行政委任として、委任でいいんですか、内閣法制局。委任じゃないでしょう。

 委任といったら、局長にこれをやってくださいと頼んだら、答えが出るまで指揮命令権なんかないじゃないですか。それに対して、ちゃんと実行しましたという回答をするんでしょう。しないといけないということだけでしょう。そういうような具体的な指揮命令がありますか、委任で。もしそうだとしたら、委任という言葉の使い方が間違っている。

 内閣法制局、それでいいの、委任という法令用語。

横畠政府参考人 この改正案の具体的にどの条文を指してお尋ねなのかややわかりにくいのですけれども、一般論として、委任であるならば、まさに委任先にゆだねるという趣旨でございます。

 ただ、具体的の調査権、あるいは他の機関に一定の事務をゆだねるときに、依頼するもとの方で一定の指揮監督権というものを設定するという場合ももちろんございます。

枝野委員 基本的に、委任といったら相手先にゆだねるのを委任というんですよ。ちょっと言葉の使い方をもう一回整理してください、消費者庁の準備室。少なくとも法的に委任だと私は思いませんが、これはきちっと整理をしていただきたいんです。

 指揮命令権がある、それは知っています、制度として指揮命令権を入れているのは。

 では、人事権と予算の権限はあるんですか、消費者庁に。

野田国務大臣 予算と人事権ですね。

 消費者庁長官は、経済産業局長が必要な体制を確保しているということを前提として権限の委任を行うこととしておりますので、各経済産業局において、委任された権限を行うための必要な人員、予算は当然に確保していただけるものと考えております。

枝野委員 だから、金曜日、レクで言いましたけれども、例えば地方経済産業局長がいいかげんな調査しかしなかったりとかしたときに、こいつ首にしろとか、こいつ懲戒にしろと消費者庁長官はできるんですかと聞いているんです。

並木大臣政務官 お答えします。

 特商法の地方における執行に関して、消費者庁長官の経済産業局長に対する指揮監督権を明確に定めております。そうしたことで、指揮監督に従わないということは本来想定していないわけでありますけれども、もちろん、懲戒処分等あればそれは任命権者が行うことになるわけですけれども、それは経産大臣ということになります。

 いわゆる職務上の問題でありますけれども、消費者庁長官から経産大臣にそれを伝達していくというか、そういったことは、まさに先生おっしゃるように、内閣の中での連携ということもありますから、きちっとできるんじゃないかというふうに思っています。

枝野委員 役所に限らず、民間企業でもそうですけれども、どんな組織が、人事権を行使できなくて人を動かせるんですか。もちろん、大部分の公務員の皆さんは、言われたらまじめにちゃんとやっています。やっていますが、制度としての合理性があるのかどうかが問われているんです。本当に、少なくとも特定商取法の執行のかなりの部分は地方で行われて、その地方における執行は、結局は地方経済産業局にゆだねられているわけですよ。そこが機能しなければ、結局、消費者庁が執行権を持ちましたといったって、ほとんど意味がないわけですよ。

 そこが、執行の仕組みがちゃんと担保されているかどうか。だって、役所は言われたことをちゃんとやりますという性善説を信じるんだったら、消費者庁長官が経済産業大臣に委任をして、経済産業省の中で完結したって全然おかしくないじゃないですか。にもかかわらず、わざわざ消費者庁をつくって、消費者庁に執行権限を持たせるということを一生懸命アピールしている。だとしたら、消費者庁長官が人事権限を含めてちゃんと握れなかったら、そこがサボっていたりとかいいかげんなことをやっていたときに対応できないじゃないですかという制度論を聞いているんですよ。

 持っていませんよね、人事権を。

並木大臣政務官 現在、金融庁が地方の財務局を監督、仕切っておりますけれども、それも同じような関係になると思います。現状でしっかり機能していると我々は心得ております。

 それを全部一つの官庁に入れるというような、巨大な官庁をつくるということには、我々は、そういう方向にはありません。

枝野委員 まず、現在の金融庁が地方の財務局を出先として使っているのは機能しているのかどうか自体、私は大変問題だというふうに思っていまして、ここは認識の違いですから。現に地方で起こっている貸し渋りとか地方での貸金業法違反に対する対応のおくれとか、それに対して何とかしていこうといって中央で何か会議とかつくったけれども全然地方で機能してないとか、これはひとえに、金融庁が手足を握っていないから、持っていないからという、今の制度が完全に機能していない責任だというふうに私は思っていますが、それはきょうの本題と違うから置いておきましょう。

 その上で、だから私たちは大規模な省庁にしろだなんて言っていませんよ。結局はだれかにゆだねて、それがちゃんとやっているかどうかを管理監督するしか消費者庁長官はできないんですよ、消費者担当大臣はできないんです、本質的な部分は。

 だとしたら、内閣一体の原則で、内側で、隣の大臣が言っていることと違うことを言っちゃうと閣内不一致になってしまう中でやるよりも、そんなことを気にしないで、これはおかしいんじゃないですかということを外から遠慮なく言える仕組みの方がずうっと、行政にちゃんとやらせるという機能の意味では役に立つんじゃないですかということを提案しているんです。

 残りの時間、総務省副大臣か政務官にも来ていただいているので、この間、世の中が誤解をしていることをやろうと思っているんですが、地方交付税交付金問題です。地方の消費生活相談員の皆さんの待遇がよくなる、よくするということを一生懸命おっしゃっているんですが、全然うそですから、そのことを明らかにしたいと思います。

 地方交付税交付金の算定基準を見直したと言っておられますが、まず、そちら側の宣伝をしてください。どういうふうに、どう地方交付税交付金の算定基準を見直したんですか。

倉田副大臣 お答えいたします。

 具体的に申し上げますと、地方交付税の算定において、相談員の年間報酬を、これまで約百五十万円だった、これを約三百万円に引き上げるというのが一点です。

 もう一つは、相談員の人数の問題であります。これまで約二千七百人でありました、これを三千三百人程度に拡充する、こういう措置をとった。

枝野委員 多くの消費者関係の皆さんが、今のお話を聞いて、消費生活相談員の賃金が二倍になって、消費生活相談員の数が一・五倍になるんだと勘違いをしておられます。勘違いですよね。

 そのことをお尋ねしていきますが、では、今の算定基準が変わったことによって地方自治体に行くお金は幾らふえるんですか、全体として。

倉田副大臣 交付税全体のことをお聞きになっていると思いますけれども、これは、九十億円から約百八十億円に倍増いたします。

枝野委員 ちょっと待ってください。地方交付税交付金の全体の額ですよ、自治体に行く。つまり、消費者問題で行くのじゃないですよ……(倉田副大臣「全体ですか」と呼ぶ)全体。地方交付税交付金が幾らから幾らにふえるんですか。逆に言えば、今の額は純増ですかと聞いているんです。

倉田副大臣 全体のことでいいますれば、ことしは十五兆八千億円でございます。

枝野委員 それはどういう根拠で決まるんですか。今の、地方の消費生活相談員の単価を二倍に上げたことによって交付税交付金の総額がふえるんですか。そのことによって幾らふえているんですか、具体的に。わかって聞いているんですけれども。

 関係ないでしょう。地方交付税交付金の総額というのは、今の消費生活相談員の単価を二倍にしようが人員を一・五倍にしようが、算定基準にすぎなくて、地方交付税交付金の総額は別の要素で決まるんですよね。間違いないですね。

倉田副大臣 おっしゃることの趣旨はよくわかっておるんですよ。

 それで、要するに、地方交付税というのは使途を特定しない一般財源でありまして、基準財政需要額の一項目として消費者行政に係る経費を算定しているということにすぎないということでありますね。直接、何がどうという、縛るものではない、こういうことです。

枝野委員 要するに、消費生活相談員の単価を二倍にしたりなんとかしたというのは、トータルとしての地方交付税交付金の総額は別の要素で決定をします、別の要素で決定します。別の要素で決定した地方交付税交付金をどうやって各地方自治体に分けるのかという分配のときに、今のような、例えばそれぞれの地域ごとに必要な消費生活相談員の人数とその単価を計算する。それだけではありません、それぞれの地域で必要な道路とか、それぞれの地域で必要な、完全に自治事務なのは何だろうな、保育所なんかもそうなるのかな。そういったさまざまな要素に基づいて、ここは人口何人がいるからというようなことに基づいてそれぞれ積み上げられた算定基準に基づく金額の、それぞれの自治体ごとの比率で、トータルの金額を分けるにすぎないから、消費生活相談員の単価を二倍に引き上げようが、その人数を一・五倍に引き上げようが、そのことによってそれぞれの自治体に、これは消費者政策に使ってください、そういう地方交付税が具体的にふえて渡されるわけではありませんよね。間違いないですね。

倉田副大臣 おっしゃるとおりでございまして、標準額を決めて分配をしていくという、交付税を与えるわけです。

枝野委員 何度も説明しているんですが、私がそうなんだと説明してもだれもなかなか信じてくれないので、政府が正式に間違いないと言っていただくことが大事なので、今のはそれで結構なんですが、逆に、では、その算定の基準になっている、今回二倍にふえた消費生活相談員の単価、そして消費生活相談員の数、これも各自治体の規模ごとに基準の人数は何人ということがあって地方交付税額は算定されているんでしょう。それは地方自治体を縛るんですか。

 つまり、今回、消費生活相談員の一人当たりの人件費を二倍に伸ばしました。だから消費生活相談員の人がいる地方自治体は、それぞれの人たちの給料を二倍にふやさなきゃいけないんですか。あるいは、その算定基準で決められただけの人数を確保しなければいけないんですか。違いますよね、全く縛られませんね。

倉田副大臣 地方交付税の性格はあくまで一般財源の補てんということでありますから、それでは、基準をいろいろ計算した、人数を計算した、単価を計算した、単価というのは失礼ですが、賃金を計算したというのが、それがイコールそれぞれ地方を縛るということにはこれはなりません。

 しかし、しかしながら、やはり地方の消費者行政の体制強化を図っていくことは必要でございますし重要ですから、したがって、総務省としましては、この交付税の拡充措置について、具体的にはこの一月の二十日に行っておりますけれども、全国都道府県財政課長・市町村担当課長会議におきまして、内閣府と総務省両方から、先ほどの趣旨をよく周知してもらうようにやっているところであります。

枝野委員 要請をしたらふえるんですか。

 いいですか、この間、消費者行政に充てられている地方の支出は半減をしているんですよ。地方自治体の財政の厳しさというのはますます悪化をしているんです。そうした中で半減してきた消費者予算というものを、消費者担当大臣や総務省から少しばかりちゃんとやってねと言われたからといって、いや、さすがに総務省の顔を立てないと後でまたいじめられると困るから、五%ぐらいはもしかするとふやすかもしれませんが、では本当に、例えば夕張市でふやせますか。

 地方の疲弊している自治体が、少しでも地方交付税があったら、消費者行政のように、法律上も何も縛られていなくて、やらなければやらないで済んでしまう分野のところから削っていったんでしょう。ほかに法律でがっちりと固められているところは削れないところがほとんど。ほんの一部しか自由には使えない。自由に使えないところでは、それぞれの地域のめり張りで、ここをたくさんふやそうとか減らそうとかということをやっていく中で、どうしても消費者行政は後回しにされてきて、現に半減をしているという実態の中で、何とかふやしてくださいよと言ったから、本当に消費生活相談員の給料は倍になりますか。消費生活相談員の数は一・五倍になりますか。本当になると思っていますか、総務副大臣。

倉田副大臣 お答えいたします。

 先ほど申しましたように、内閣府、すなわち消費者庁ができれば消費者庁ということになりますけれども、一緒に、その趣旨に沿って交付税を使っていただくように、これは今後とも努力してまいりますし、お願いしていくわけでございます。(発言する者あり)

枝野委員 まさに、今やじが飛びましたけれども、例えば三年後に検証してみて、ほとんどふえていなかったらだれが責任とってくれるんですか。だれも責任とれないでしょう。(発言する者あり)

 今、後ろから大変いいやじがあったんです、責任とるのは首長だと。そのとおりなんですよ、そのとおりなんですよ。首長が、うちの自治体はほかにもっと大事なことがあるから消費者行政をふやせない。いや、ふやしたくてもふやせないんですよ、地方の大部分の自治体は。余裕があればふやしたいところがほとんどだと思いますよ。消費者行政なんかどうでもいいと思っている首長はそんなに多くないと思いますよ。しかし、ふやしたくたって税収が上がらない。これは減りますからね、来年度、再来年度、どんどん減りますからね。とてもじゃないけれどもそこに支出している余裕がないという中で、幾ら内閣の中でやれやれと言ったって、まさに地方自治体の首長と地方議会に権限が持たされているんですから、やる責任は地方にあるんですよ。

 ということは、国としては、やらないところがたくさん出てきても仕方がないという制度をつくっているんですよ。そうでしょう。

並木大臣政務官 実際の問題として、野田大臣から、昨年十二月そしてことしの二月に、地方公共団体の首長に対して、先ほど来のお話のとおり要請を行ったところであります。

 それに対して、地方公共団体から、処遇改善の取り組みについてその検討状況をいただいているわけですけれども、内閣府が把握しているところによりますと、現時点において、来年度、相談員の報酬引き上げを検討している、それが十五都道府県で検討されているというふうに承知しております。さらに、国民生活センターとかが複層的に地方を支援していくということで、かなり充実したものになるというふうに考えています。

枝野委員 だから、さっきも言ったじゃないですか。総務省からいろいろ言われているから三%や五%ぐらいは上げるかもしれないけれども、少なくとも一人当たりの人件費を二倍にふやすとか一・五倍も相談員の数がふえるだなんというような幻想を消費者に与えている、消費者関係団体に与えているにすぎない。違いますか。(発言する者あり)またやじがありましたけれども、医療を切り捨てているんですよ、金がなくて。市立病院が維持できなくて医療を切り捨てているところがたくさんあるんですよ。そんなところにやってくれやってくれと言うだけで、どうしてやりますか。少しはやりますよ。

 一方では、総務省だか国土交通省だかがやってくれやってくれと言って、地方、全部の自治体から、道路予算をふやしてくれとみんなに言わせているじゃないですか。言ったからといって、ではそれでやることになるのか。片方では、道路の予算をふやしてくれとみんな地方は言っているわけですよ。それはふえていないんですよ。では、地方交付税で一般財源の来たところは道路をふやそうとなるかもしれません。そんなことはやってみないとわからないわけです。

 少なくともこの十年、消費者行政が減ってきた、地方自治体がますます財政が厳しくなってきたという中では消費生活相談員の待遇がほんのわずかしかよくならない。絶対に全くならないとまでは言いませんよ、ほんの三%や五%はよくなるかもしれないけれども、今幻想を与えているような飛躍的なことにはならないということは自信を持って、確信を持って申し上げたいと思います。

 逆の聞き方で聞きましょう。

 何とか知恵を出して、そういう地方の疲弊の状態、財政的疲弊の状況の中で、我が党の案のように、形式的だけでも国家公務員にして国が給料を払うというやり方ではなくて、国が財政的に支出をしてそのお金がちゃんと地方の消費生活相談員の人件費に恒久的に回るように、単発じゃないですよ、三年、五年、十年と将来にわたって、そのお金が地方自治体にとって安心できる財源として、例えば十年単位で地方消費生活相談員の皆さんの数を確保しても大丈夫だと思えるような出し方で、国が地方自治体にその人件費を負担する方法があったら教えてください。あれば私たちの案は修正します。どうですか。

増原副大臣 ただいまの御指摘ですが、二十年度の補正予算でやったような基金を積むとか、そういうことであれば、これは確実に行くと思いますね、当該用途に向けて。あるいは、将来について言うのであれば、いわゆるひもつき補助金、そういうものでやっていく、当然これは補助金適正化法の規制を受けますので、目的外使用はできないわけですから、やっていくということになると思います。全くできないというわけではありませんが、いわゆる地方分権の流れの中でそのようなことをやるのがいいのかどうか、これはこれからの議論を要するところだと思います。

枝野委員 まさに、これは出そうと思ったら、補助金しかあり得ないんですよ。でも、補助金で恒常的人件費を出す例ってありますか、基本的に。あり得ませんでしょう、元市長さん。恒久的人件費を補助金で出すだなんて、しかも一〇〇%も出すだなんてあり得ないでしょう。前例がないでしょう。それはうなずいていらっしゃいますよね。前例が絶対ないかどうかはともかくとして、恒久的な人件費を国が補助金で出す、役人の人が首を横に振ってくれていますよ、あり得ないんですよ。

 百歩譲っても、百歩譲っても、補助金で出すということであればまさに分権と逆行するんですよ。

 いいですか、私たちの案が地方分権に逆行しているという御批判が一部にあるんですが、それは地方分権の本質を誤解していると私は思います。地方分権の本質というのは、地方が、地方でやるやらない、やるやり方についても自由にできる、そうしなきゃ意味がないわけですよ。地方に形式的に財源と権限が移りました、だけれどもいろいろな縛りがあって、北海道の何とか村でも、我がさいたま市でも、沖縄の何とか島でも、みんな同じことをやるんだったら地方分権じゃないんですよ。地方分権をするというのは、うちは、北海道の何とか村は、こういうことはやりません、でもこっちの町は一生懸命やります、そういう、めり張りがあっていいことをめり張りがつくように自由にしてくださいというのが地方分権なんですよ。

 ところが、全国一律どこでもちゃんと消費生活相談員の皆さんはいてくださいね、どこでも相談を受けられるようにしてくださいね、だけれども地方分権です、これは違うんですよ。全国どこにいても消費者被害があったらとりあえず駆け込む先があるというところを確保するまでは、これは国の責任なんですよ。だからこそ、一生懸命、内閣の皆さんの案でも、地方の消費生活相談員の皆さん、何とかしますと言わざるを得ないじゃないですか。

 地方分権だというんだったら、やる自治体があってもやらない自治体があっても構いませんと。我々としてはやってほしいと思いますけれども、地方の消費者政策なんかやらない自治体があっても構いませんというんだったら分権ですよ。でも、違うでしょう。ここはみんな一致しているわけですよ。どこの地域に住んでいてもちゃんとした相談が受けられる、こういう構造にしましょうということで一致しているということは、これは分権に対応する事務じゃないんです。

 国が責任を持って、北海道の何とか村でも、沖縄の何とか島でも、さいたま市のような都会でも、どこにいても、ちゃんと、消費者問題で困ったら駆け込むことができるようにするということは全国一律でやるんだから分権じゃありません。違いますか。

並木大臣政務官 今、自治体によって欠けたところがあるのは御存じのとおりでございますけれども、そういったところについては国民生活センターで支援をしていくという形になっているわけです。

 そして、養成とかでしっかりと国が支援していって、そうした方々が育っていくということにおいてはそれなりの報酬の対応も必要というふうになってくるわけですし、国の姿勢が明確に変わったということでは、地方にそれぞれの権限があっても、積極的な意味で地方の姿勢も変わって、首長さんもそうした消費者行政にしっかりと力を入れていただけるのが政治の本来のそういったプッシュじゃないかというふうに思っています。

枝野委員 いいですか、自治体の責任なんでしょう。自治体の首長が、消費者行政を一生懸命やりますという首長が選ばれる保証も担保も何もつくっていないんですよ。そして、地方の自治体の首長や議会が、おれは消費者行政なんかやらぬと言われたら、やらせる方法を持っていないんですよ、今の仕組みの中では。だけれども、分権だから国はやりませんと言っているんですよ。

 我々も、地方の自治体が、ほうっておいてもこれをやらざるを得ないんだということで、自由なやり方で、それぞれの地域が日本じゅうどこでもちゃんとやってくれるということであるならば、別に地方に全部お任せしてもいいですよ。現に違うじゃないですか。先ほど来声が飛んでいるように、地方自治体は医療ですら切っているんですよ。命ダイレクトの問題ですら、金がなくて切っているんですよ。そうした中で、新たに消費者行政をふやしなさいと、金もつけずにやるというのはどういう器量なんだと。私は、やろうとしていることが全くあべこべだと思います。

 私たちは、地方でこの間積み重ねてきた努力を否定するつもりは全くありません。うちの自治体は、地方の財源で、自主財源でちゃんとやってきているし、これからもやっていけるんだから、消費者権利院の地方局ができても、そんなところに消費生活相談センターを召し上げられるのは困りますから、独自にやりますと言われたら、それで全然結構なんです。うちは財政的に厳しいのです、ああ、助かった、これで相談員の皆さんの待遇もよくできるから、では国でやってください、そのかわり、ちゃんと連携しましょうねという自治体は、それでやってもらえばいいんです。ほとんどのところはないんですから、新たにつくるんです。地方の行政を召し上げようだなんて思っていません。両立し得るんですから、先回、仙谷委員が質問したとおり、労働行政の問題と同じように。あるいは、医療だってそうですよね。別に地方自治体に義務はないけれども、市立病院とかをつくってきたと同じように、一生懸命やっているところはやっていただくのを続けていただいていいし。

 消費者行政の中でも、消費者権利院は、中心になって、被害情報、相談情報の収集をします。これは、全国一律どこからでも情報が入ってこなきゃいけないんですから。何とか島で起きた事件だから、そこには消費生活センターがなくてその情報が入ってきませんでしたでは、一元化にならないんですから。全国どこからでもきちっと均等に情報が入ってこなきゃいけない。これは国が責任を持ってやる。

 もう一つは、準司法的機能ですね、相談センターの。仲介とか何とかをするという準司法的な機能、まさに準司法なんだから、これは国が責任を持ってやる。

 それ以外の教育とか啓発とかのことについて、権限事項には入っていますけれども、これはまさに、それぞれの地域事情に応じて地方自治体が、特に基礎自治体が中心になって教育とか啓発とかのある部分を担われるということで、全然否定をしていない。

 そういうところといかに密接に、では消費者権利院で連携できるんですかということを尋ねて、それでも連携できないから反対するんだったらわかりますけれども、どうやって連携するんですかと具体的なことについて何の質問もしないで反対をするのは私は明らかにアンフェアだということだけ申し上げて、まだまだ予定した質問の十分の一ぐらいしかできていない。野田さん、大丈夫ですよ、まだ十回ぐらい、あと十時間ぐらい質問させていただきますので、そのことを申し上げて、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

船田委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 一九九九年のことになりますが、電気用品取締法を電気用品安全法に変えるなど、このとき製品安全四法を改正して、国による事前チェックを廃止して民間業者による自主検査方式に変えたわけでありますが、家電製品の事故がそれから急増しているんですね。

 製品評価技術基盤機構に寄せられた家電事故件数が、一九九九年の二百六十八件から、七年後の二〇〇六年には千二百九十五件へ五倍にふえたということを、これは二年前の経産委員会でも示しましたが、このとき、寺坂商務流通審議官は、傾向としてはふえておりますということを率直に認めておられるわけです。

 そこで、きょう最初に政府参考人に伺っておきたいのは、現行の消費生活用製品安全法で、重大製品事故について報告義務というのがあるわけですが、二〇〇七年五月十四日以降、どのように実施して、幾らの事故が報告されたのか。これをまず最初に伺います。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御質問のございました消費生活用製品安全法の施行状況でございますが、平成十九年の五月十四日から施行しておりまして、二月二十七日現在、約二年弱たっているわけでございますけれども、それまでの間に重大製品事故として報告を受けた件数は二千四百八十八件でございます。

吉井委員 大体二年で二千四百八十八件という重大事故が発生しているということであります。

 そこで、野田大臣に最初に伺っておきたいのは、消費生活用製品安全法の扱いですね。これは消費者庁設置でどのように変わるのかをまず伺っておきます。

野田国務大臣 消費生活用製品安全法に基づく重大事故情報報告や公表制度が消費者庁に移管されることになります。

吉井委員 それで、経産省の参考人に引き続き伺っておきますが、消費生活用製品の定義というのは変更はないのではないかと思いますが、どうですか。

寺坂政府参考人 定義において変更はございません。

 一般消費者の生命または身体に対する危害が発生した事故、あるいは、消費生活用製品が滅失し、または毀損した事故でありまして、一般消費者の生命または身体に危害が発生するおそれのあるもの、このような定義で運用しているところでございます。

吉井委員 これで、別表で除外していますね。食品、食品添加物、洗浄剤などは食品衛生法の関係ですし、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器は薬事法、道路運送車両法にかかわるもの、船舶安全法などなど、これらは除外されていると思うんですが、これは定義は変わりますか。

寺坂政府参考人 お答えいたします。

 消費生活用製品に関します定義に関しましての変更はございません。

吉井委員 だから、これは野田大臣、一元化というふうに言っているんですけれども、対象とする消費生活用製品の除外規定はそのままなんですよ。一元化されていないわけですね。

 少なくとも重大製品事故報告の対象というのは、除外規定を削除して、すべての消費生活用製品というふうに変えていかなきゃだめなんじゃないですか。

野田国務大臣 今度予定されている新法の消費者安全法に基づきまして、今先生御指摘の消費生活用製品の定義から除外されているそれぞれの製品につきましても、各省庁から事故情報が消費者庁に集約されるとともに、必要な場合には各省庁に措置要求を行い、各省庁が措置を行えないすき間事案につきましてはこちらから命令等を行う根拠が付与されることになっております。こうしたことから、今の御心配、いわゆるすき間事案はなくなるものと考えております。

 また、重大事故報告・公表制度につきましては、消費者庁が創設された後、消費生活用製品以外の製品、食品、サービス、施設等の分野に対象を広げていくということを検討することとしているところでございます。

吉井委員 消費生活用製品についての除外規定というのは法律上は変えないわけなんです。それで、一元化といっても、いろいろお願いしたりとか、それはあるにしても、きちんとこれが報告されるということにはなっていないということをまず明らかにしておかなきゃいけないと思うんです。ですから、そういう点では、これまでどおりの縦割りといいますか、こういうものが残ってくる。

 次に、パロマ工業製ガス瞬間湯沸かし器事故について、参考人の方に最初に伺っておきます。

 一九八五年一月六日に札幌市で二人の方が亡くなられる事故があって、そして、二〇〇五年十一月二十八日の上嶋さんの犠牲まで、二十八件二十一人、死亡事故があったわけですね。それから、重体、重症が三人、軽症が三十六人など、たくさんの犠牲、被害者の方が出ております。

 経産省への報告は、LPガス保安課に、八五年の札幌事故から二十年間で十一件あったわけですね、つかんでいるものが。それから、同じく経産省のガス安全課で八件、日用品室で二件と、三課がばらばらに把握していて、同じ経産省の内部でさえ情報を共有していなかったというのが実態だと思うんですが、どうだったんですか。

寺坂政府参考人 お答えいたします。

 当時の製品事故に関します報告に関しましては、ガス事故に関するものにおきましてはガス事業者の方からの報告義務がございました。そういったものにつきまして、ガス事業者が把握したものについては担当のガス関係課の方に報告があったものでございます。

 また、メーカー等については、報告義務という制度がなかったわけでございますけれども、部分的にガス製品を担当しております課のところに報告があったということでございまして、先ほど委員が御指摘になりましたように、省内の幾つかの課に分かれてそれぞれ報告があった、また、全体二十八件の中では、報告そのものがいずれの課にも入っておらなかった、そういったさまざまなケースがあるのは御指摘のとおりでございます。

吉井委員 省庁間で情報が共有されないとか、ばらばらだという話はよくあるんですが、これは経産省の内部でばらばらなんですよ。最初に事故報告を聞いたら、これは人命にかかわる話なんですから直ちに対応して当たり前なのに、これをやっていないということがこの問題に非常に典型的に示されたことだと思うんです。

 経産大臣に伺っておきますが、経産省がパロマ事故の報告を得てから、八五年の一月から二〇〇五年十一月二十八日までの二十年間にやはり何の対応もしていない。これは本当にひどいと思うんですが、これは省庁が別々だという話でなかったということは今言ったとおりなんですよ。同じ経産省の中でも情報を共有していない。

 それから、もう既に十五年前になりますが、一九九四年に製品事故の拡大防止のためにPL法をつくっているわけですね。製品事故の拡大防止のために製造物責任原則を確立したはずなんですね。それなのに、その後もなぜパロマ工業製湯沸かし器だけで二十一人もの死傷事故が生まれたり、九二年には、パロマだけでも七件、他のメーカーでも多数発生していて、たった一年間でたくさんの事故が起こっていてもきちんと対応されていない。

 経産大臣に伺う前に、もう一つ気のついたことがあるんですが、実は、九二年には通達を出す方もばらばらだったんですね。九二年の二月十七日にはエネ庁のガス保安課長が通達を出し、二月二十九日には立地公害局の保安課長通達を出しているんですね。だから、情報を一元化しないだけじゃなしに、出す方もばらばらにやっておる。一体何をやっておるんだということになると思うんです。

 私はこの点で、一体何が問題なのか、どこに責任があったのか、そしてどうすれば解決できるのかということ、これはやはり、法律上ここが問題だとか、行政執行上ここが問題だとか、そこのところをきちんと解明して、そして対策を考えていくというふうにしないことには、これは何か一つ新たなお役所を設けたら解決するというふうな簡単な話じゃないと思うんですね。なぜこういうふうになったのかということについて、大臣に伺います。

二階国務大臣 パロマの一酸化炭素中毒事故に関しては、都市ガス、そしてLPガス、ガス機器等、それぞれ担当する省内の関係課において、日常的な連携連絡体制が整備されておりませんでしたので、情報共有が十分図られていなかったということが大きな原因だと思っております。このため、重大事故報告・公表制度の窓口を製品安全課に一元化した上で、省内において重大製品事故の情報共有を図っております。

 現在のような体制がもっと早くとれておれば、こういう痛ましい事故が次々に発生するようなことはなかった。返す返すも極めて残念で、また、申しわけないと思っております。

 また、保安・安全連絡会議の設置等によりまして、省内の関係部局間で事故情報処理体制を整備するなど、省内の情報を共有する体制を努めております。

 そして、先ほども申し述べましたが、三十一項目のこれからの整備また点検をしていくということについて、お互いに努力をいたしておりますが、こうした問題については、今度、この国会審議の結果、消費者庁の誕生に合わせて、我々経済産業省としては、過去の反省も含めて、申し送り事項としてきっちりと明記しておきたいと思っております。

吉井委員 私、情報の共有というのは当然のことなんですけれども、やはり最初のところで、その事故をどれぐらい重く受けとめるかという、その認識が本当にきちんとできていないんじゃないか。私は、原発事故とかコンビナート事故とかいろいろな災害調査に参りましたけれども、やはりそのことが非常に大事なことで、そこがきちんと出発点であれば、情報の共有なんて当たり前のことなんですよ。そこができていなかったということが大事なところじゃないかと思うんです。

 政府参考人に続けて伺いますが、重大事故情報として報告されたもののうち、リコール対象製品の未対策品による事故が二百九十八件もあること、それから、リコール品の回収率三割未満というのが過半数という、これが今日の状況ではないかと思いますが、伺っておきます。

寺坂政府参考人 リコール対象製品となりましたものにつきましても、その後、情報の周知徹底などが不十分、そういったことによりまして新たに事故が発生をしたり、あるいは対象製品の回収率について十分高くなっていないものがあるということについての御指摘は、そのとおりでございます。

吉井委員 この間もいろいろな法律が次々できてきながら、消費者安全、これは随分この間ずっと進んできたはずなんですよ。しかし、これが現実には機能していないんですね。

 例えば、ソニーのVAIOで最初に発火事故がわかったのが二〇〇五年の十二月です。二〇〇六年には、消費生活用製品安全法改正で重大事故報告が義務づけとなっているんですね。二〇〇七年八月に、顧客から問題が指摘されていた。しかし、二〇〇七年十一月に電気用品安全法と消安法を強化したはずなのに、やけどを負ったという者もあったというこのソニーからの報告は、まだないんですね。二〇〇八年八月に、ソニーが、VAIOの火災事故が世界で二百九件、国内で八十三件発生したと経産省へ報告したわけですが、何と、最初に確認した火災事故からだけでも二年九カ月ですよ。

 消費者被害拡大を防ぐ法律をつくっても、いろいろな仕掛けや法律をつくってきても、現実には消費者被害拡大を早期に食いとめることができなかったわけです。だからこそ、私は、先ほども言いましたが、一体なぜなのか、どこに欠陥があるのか、法律の不備によるものなのか、行政執行が不十分、あるいは不作為によるものなのか、規制緩和によって民間業者による自主検査方式の体制にすることによって検査体制が後退したのか、商品テストや相談活動のための予算の削減によるものなのか。

 一体どこに問題があるのかということを、これは経産大臣としても、特に経産省ではいろいろな法律をつくってきたんですが、一体どこに問題があったのかということを、精神訓話的なものじゃなくて、やはりきちんと究明することが必要だと思うんですが、大臣のお考えを伺います。

二階国務大臣 先ほど来たびたび申し上げておりますように、今度法律ができ上がった場合に、新しく発足する消費者庁に私どもの権限あるいは人員等の移管も行うわけでありますが、私は、それだけではなくて、過去、この重大な問題、積み残しの問題について、我々はいかなる対応をしてきたのか、いかなる対応をしようとしておるのかということを、明確に、反省を込めて、きちっとしたレポートをつくって新しい組織に申し送りたい。そして、それを経済産業省のいわゆる反省事項として、今後こうしたことが再び起きることのないように努力をしてまいりたいと思っております。

吉井委員 反省は大事なことなんですけれども、本当に一つ一つをきちんと究明するということが、本来、出発だというふうに私は思います。

 それで、きょうはもう時間が余りありませんから残念なんですが、個人情報保護とか内部告発者保護法とか、こういう仕組みが実は消費者行政の中で非常に大事な問題なんです。この点では、最後に、経産省の役所の情報公開について、私は大臣に伺っておきたいんです。

 情報公開がやはり消費者行政の出発点だと考えているんですが、閣議後に大臣が記者会見されますね。大体、閣議の後、記者会見される。閣議後の大臣記者会見の概要というのを経産省のホームページで見せてもらうことができるわけです。しかし、三月六日、十日、十三日、十七日、二十四日と続けて、こういうふうにあるんですね。「このほか、政治資金問題についての質疑あり(経済産業行政との関連がないため割愛)。」と書いてあるんですね。

 私は、答弁に立って、執行権限を持つ大臣の場合には、消費者行政であれ、政治と金の問題も含めて、すべての問題が行政とかかわってくるものですから、やはりすべて公開するのが当然ではないかと思うんです。これを大臣に伺います。

二階国務大臣 記者会見、公開の場で申し上げておることでありますから、もうその瞬間に公開されているのと同じでありますから、そうしたことがあるならば、よく私の方で調査をしておきます。

吉井委員 時間が参りましたので、質問を終わります。

船田委員長 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 まず、二階大臣に質問をさせていただきたいと思うんですが、今回の消費者庁設置関係三法案によって、経産省の所管のうち消費者に係る法律の多くが消費者庁への移管、共管というふうになっておるわけでございます。消費者行政については消費者庁に一元化されていく、これに伴って、これまで経済産業省で行ってきた消費者政策、これはどういうふうになっていくのかということと、消費者行政がうまく機能するために、消費者庁とそれからまた各省との連携。こういうものができていなかったから先ほどの答弁のようなことがあるわけですけれども、しっかりとその連携、連絡、こういう体制というのが重要になってくるわけですね。

 経産省として、今後、消費者庁とどういうふうな連携のとり方をしていくのか、また、消費者行政についてどういうふうに寄与をされていくのか、お考えをお聞きしたいと思います。

二階国務大臣 国民の皆さんの安心、安全を確保するということは、これはもう経済産業省とか消費者庁とかというだけではなくて、内閣全体の重要な政策課題であることは当然のことであります。

 経済産業省としては、これまでも、安全、安心の確保の観点から消費生活用製品安全法の改正や、悪質商法対策の観点から特定商取引法や割賦販売法を改正するなど、施策の立案、実施などに努力をしてきたところであります。

 今後は、経済産業省としては、政府一体として消費者行政の強化を推進するために、特に消費者庁と積極的に連携をしてまいりたいと思っております。

糸川委員 やはり、連絡が密になる、そして連携を密にしていくということに経産省がどれだけ取り組めるかだと思うんです。

 さまざまな問題、事件とか事故とかそういうものが起きると思うんですけれども、省内で何とか片づけようとかそういうことじゃなくて、やはりオープンにしていく。それで、消費者庁にどれだけの情報を渡せるか、また逆に消費者庁からどれだけの情報をもらうかだというふうに思っていますので、大臣、今そういうことをおっしゃられるんですから、しっかりと連携していただきたいと思います。

 特定商取引法についてちょっとお尋ねしたいんですけれども、英会話のNOVAの解約時の精算方法、こういうものをめぐって多くの苦情がある中、経産省はその合理性を認めたということで、その結果、最高裁で敗訴が確定して経産省が方針転換するまで被害が続いてしまった、こういう事例もございます。

 ちょうどその前後から、経産省による特定商取引法に係る行政処分件数は増加傾向にございます。平成十九年度で業務停止命令三十四件。平成十五年まではほとんどゼロに近いというんでしょうか、多くて二件でしたね、平成十四年で二件だというように思っています。これが、かつてゼロだったものが、最近増加傾向にある。

 都道府県の行政処分の数というのもどんどん今ふえてきまして、十九年、二十年、七十九件ということですが、大臣、これは何か変化があったんでしょうか。まず、ちょっとその辺、この数字の変化について。

二階国務大臣 経済産業省としては、これまで、累次の法改正を初めとして、政省令等の整備にも積極的に取り組んでまいりました。

 最近では、昨年に特定商取引法の改正を行った結果、これによって、規制対象を指定する方式を取りやめて、原則としてすべての商品等を適用対象とし、いわゆる過量販売については、契約の解除ができるよう民事ルールを整備するなど、抜本的な対策を行ったところであります。

 これからは、一層消費者庁と連携を密にして、こうした取り組みを進めていきたいと思っております。

糸川委員 そのことがこの件数が増加したことにつながっていると今おっしゃるのであるならば、もっと積極的にまた連携をしていただきたいと思います。

 先ほど、経産省で、これから法改正も含めて、例えばこういう特定商取引、そしてこういう事例で積極的に取り組むということをおっしゃられました。

 では、消費者庁にこれから優秀な人材を経産省の中から移して積極的にこういうものを取り締まっていくとか、そういうことを考えていらっしゃるのか。消費者庁の人材確保への協力体制、これは、大臣の、こういう人たちを出していくんだ、優秀な人材を出していく必要があるんだという熱意が伝われば、当然いい省庁ができ上がっていくと思いますので、大臣の御決意というかそういうものも、今後ほかの分野での人材の移行ということも含めてお伺いをしたいんですけれども。

二階国務大臣 いずこの省庁も同じでございますが、特に私ども経済産業省としては、人材というものに対して極めて重点といいますか力点を置いております。

 そこで、私どもの方の役人を他の省庁に移管するということに対しては、相当の決意を持って取り組む。いろいろなところにも、要請を受けたり、いろいろな話し合いの結果、省庁との連携等でいろいろな役人が出向したりしておりますが、それは、今糸川先生がおっしゃるように、優秀な職員、どこへ出しても恥ずかしくない、必ず相手の役所で活躍ができる人ということを人材を送り出すときの一つの要件として考えております。今度も、この法案が成立した上には、消費者庁に立派な役人を送りたいというふうに思っております。

糸川委員 あえて優秀なと言ったのは、その評価の基準というのは非常に難しいですよね。隠し事をしない人、やはりそういう人たちをどんどん送り込んでもらいたいんですよ。隠ぺい体質のない方。

 要は、経産省にとって優秀な方というのは、隠し事をする方なのか隠し事をしない方なのか、やはりそういうところをしっかりと大臣、評価していただいて、国民にとっての優秀な人というのは、一切合財全部見せる、出す、連絡を密にできるような人、こういう人だというふうに思っていますので、ぜひその辺、取り組んでいただきたいと思います。

二階国務大臣 日本国の経済産業省でもございますから、やはり国にとっても優秀な人材、役所にとっても優秀な人材、これはイコールであると思っております。糸川議員の御心配のようなことのないように努力をしてまいります。

糸川委員 事故の拡大とかそういうものを今まで見てくると、やはりそういう体質があったのかなということを懸念するものですから、今のような発言をさせていただきました。

 特定商取引法に基づく事業者の処分、これにつきましては都道府県も行うことができるわけでございますが、その効果というものが、域内というんでしょうか、そういうところにしか及ばない。ですから、処分された事業者というのは、また隣の県に行って同じようなことをしてしまうというような話もあるわけでございます。

 都道府県で処分された者について、ほかの都道府県で同じ消費者被害が発生しないように、情報提供ですとか連携して支援する体制、こういうものが必要になってくるんじゃないかなというふうに思いますが、効率的な悪徳事業者対策について、二階大臣と野田大臣はどのようにお考えでしょうか。

二階国務大臣 個別の条例の評価は差し控えたいと思いますが、地域住民の安全、安心の確保のために、地域の実情を踏まえて、各地方自治体が悪質商法対策について積極的な取り組みを行うことは、大変期待をするところであって、望ましいと考えております。

 消費者保護の観点からは、我が国全体を視野に置いた国の取り組みと、このような地方自治体の取り組み、この双方がともに重要だと認識をしております。

 今後とも、地方自治体との連携を重視してまいりたい。せっかく経済産業省の出先であります経済産業局が今度の法律に重要なかかわりを持つということであります以上、特に地方との連携を密にしてまいりたいと考えております。

野田国務大臣 消費者庁の方としては、特定商取引法に違反する事業者に対する法執行について、今お話がありました経済産業局、都道府県と連携協力することによりまして、これまでより効率的に、そしてより迅速かつ的確な立入検査の実施と行政処分を行うことができるように取り進めてまいりたいと思います。

糸川委員 ということは、野田大臣、各都道府県で処分された場合、処分された事業者が隣の県で同じような事業ができないということになるということなんでしょうか。

野田国務大臣 消費者庁が一元的に情報を集約する立場にありまして、PIO―NET等を見ますと、その広がりというのがきちっと把握することができるという前提です。

糸川委員 各都道府県にまたがって、こういう事例がどんどん進んでしまうものですから、もうちょっと本当は突っ込んでいただきたいんですよね。

 例えば、東京都でやった場合には、神奈川県では、同じような事業者、もしくは名前が変わった場合、これは代表者が同じ方であったりとかという場合には、当然その事業を行う上でも監視をしていくとか、そういうことも必要なのではないかなというふうに思っているんですが、その辺は大臣、どうでしょうか。

野田国務大臣 今のように県をまたがっての事業者につきましては、まさに国が執行権限を担うことになりますので、そのように図っていくと。

糸川委員 それから、飛び込みで商品、サービスを勧める不招請勧誘、こういうものが禁止される内容の条例づくり、これは秋田県で進められておりましたけれども、業界団体の反対で現在頓挫してしまっているというような話がございます。この条例自体の是非はともかくとして、この不招請勧誘、これがリフォーム詐欺とか悪質商法の被害の発端になっていることは事実ではないかなというふうに思うんですね。

 この不招請勧誘について規制をするということについて、二階大臣と野田大臣のそれぞれのお考えをお聞きしたいんです。

野田国務大臣 そもそも不招請勧誘という言葉自体、消費者に余り認知されにくい言葉なんですけれども、突然訪問されたり、多分電話もその中に入ると思います。

 私も、しばしばいろいろな勧誘、先ほど田名部さんの方からエステの勧誘のお話があったんですけれども、実際に最近多い電話は、エステの勧誘が電話で多く、非常に苦にしておりまして、私の場合は、留守番の者ですと偽って長い話をお断りするようにしている日常でございます。

 これにつきましては、一義的な定義というのは今はないんですけれども、断れない消費者をターゲットにして勧誘する傾向がございます。また、消費者トラブルをその中から発生させてしまう大きな要因の一つにも考えているわけでありまして、ただ、今糸川先生おっしゃったように、事業者の正当な営業活動への配慮というのが、今、その傍らで必要だと指摘されているところも承知しているところです。

 消費者の目線に立って幅広い分野を対象とした横断的な新法等を企画立案すること、これは消費者庁の仕事ですけれども、この規制のあり方については、私としては、消費者庁ができた折の重要な課題の一つになり得ると考えているので、検討をしていかなければならないと思っています。

二階国務大臣 一般の消費者の皆さんが被害を受けるというふうなおそれのあるいろいろな問題があると思いますが、私どもは今後、こうした問題に対しては、消費者庁と連携を密にして、先ほども申し上げましたように、地方の私たちの出先も活用して、しっかりした対応をしていきたいと思っております。

糸川委員 飛び込みの営業というんですか、こういうものは、正直言いますと、営業の自由とか経済の活性化ということを考えて、こういうものを規制していくというのは非常に難しいところではあるんですけれども、では消費者をどうやって守っていくのか。悪質なリフォーム業者であったりとか、そういうエステのような勧誘の例をどうやって守っていくのか。

 クーリングオフの説明にしても、こういうものも非常に難しいですよね。お年寄りがよく理解できなかったり、説明したと業者の側が言っても、消費者の側は聞いていないという例もありますよね。消費者保護の方に立って、業者に対して、クーリングオフをきちっと説明していかなければどんな罰則規定があるとか、いろいろな形でもうちょっと支援をしていかないといけないのかなというふうに思っています。

 次に、消費生活用製品安全法についてお尋ねしたいんです。

 昭和四十八年に公布されて以来、改正をされながら今に至っているわけですけれども、今回のこの整備法案で、内閣総理大臣が公表を行うこととされたほか、特定製品について、危害発生防止のため必要な技術上の基準を定める際に、総理大臣に協議しなければならないというふうにされたわけでございます。そもそも、消費者に特に危害を及ぼすおそれが多い特定製品を政令で指定する際、消費者庁というのはどういう関与をされるのかということについて、野田大臣にお尋ねしたいんです。

野田国務大臣 消費生活用製品安全法に基づいて、技術基準をあらかじめ定めてその基準適合義務等を課すことになる、これが特定製品で、現在六品目で、四月一日からは三品目追加されます。御参考までに申し上げると、家庭用圧力なべ・圧力がま、浴槽用温水循環器、乗車用ヘルメット、乳幼児用ベッド、登山用ロープ、携帯用レーザー応用装置、そして、追加されるのが、石油給湯器、石油ふろがま、石油ストーブ、そんなに多いものではございません。

 消費者庁は、この安全法に基づく事故情報報告・公表制度を所管いたします。消費生活用製品について、重大製品事故が発生した場合の報告を一元的に受けて公表することになるわけです。

 特定製品につきましては、主務大臣が技術上の基準を定める際には、消費者庁長官に協議しなければならないということにしておりまして、確実に消費者の視点を基準に反映できるものとしているところであります。

 さらに、特定製品の品目追加が必要とされる場合、これは、内閣府設置法に基づきまして、消費者政策担当大臣が経済産業大臣等に対して勧告することができるものと考えられます。

糸川委員 二階大臣にお尋ねしますけれども、この特定製品の指定等について、消費者庁と事前に協議する体制づくりについてどういうふうになっていくのか、二階大臣の御見解を。

二階国務大臣 大変大事な御指摘だと思います。

 消費生活用製品のうち、構造等から消費者に対して特に危害を及ぼすおそれのあるものについて、ただいま野田大臣から列挙されましたが、そうした問題について、私どもは、今日までの技術的な経験を生かしてしっかりした対応をいたしたいというふうに思っております。同時に、消費生活用製品の指定に当たっては、消費者庁の設置の後には、特定製品の指定について、消費者庁とも十分に連携をしながら対応していきたいというふうに思っております。

糸川委員 事前に協議できる体制、これは権利院であっても消費者庁であっても、やはり事前にしっかりと協議を進めていくということ、何においてでもなんですけれども、協議をしていただければというふうに思っています。

 もう余り時間がないんですが、一点、ちょっとNITEのことについて質問させていただきたいんです。

 現在、製品事故関係の原因究明機関としてNITEというものがございます。消費生活センターから商品テストを依頼してもなかなか結果が返ってこない、そういうような話も聞くんですが、あるいは人手不足なのかもしれませんけれども、今後、消費者の立場に立って事故原因究明を行う体制整備、これが必要になるというふうに思います。

 野田大臣が今このNITEについて検討されていることがありましたらお聞きしたいんですが、このNITEという独立行政法人に関しましては、人手不足だったら申しわけないんですけれども、資本金から考えると非常に大きいですよね、大きな金額の資本金のところなんじゃないかなと。これは、組織の案内を見ると百九十億円の資本金で運営されているところなものですから、そんなに人を削らなきゃいけないのかなというところ。

 ですから、こういう独立行政法人に関して言うと、やはり期待にこたえてもらいたい。ですから、消費生活センターから商品テストを依頼してなかなか結果が返ってこないのでは、期待にこたえられていないというふうにも言わざるを得ないので、その点について、大臣、野田大臣で結構なんですが。

寺坂政府参考人 NITE、製品評価技術基盤機構のことかと思いますので、経済産業省の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 NITEにおきましては、重大製品事故が経済産業省の方に報告がありました場合に、その事故の原因究明などにつきまして日夜業務を進めているところでございます。

 それから、あわせまして、消費生活用製品安全法の重大事故には該当しない非重大事故、俗にヒヤリ・ハットとか、そういう呼び方をしているものでございますけれども、そういったものにつきます事故情報に関しましては、NITEの方にメーカー等から報告が上がっております。

 そういったものも含めまして、日夜、製品事故についての原因究明に努力を重ねているところでございまして、人員面等あるいは予算面等、これからもできるだけ充実しながら、原因究明その他、製品事故の発生防止あるいは拡大防止、そういったものについて努めてまいりたいと考えているところでございます。

野田国務大臣 NITEにつきましては、我々の方は重大事故情報の公表等々の移管がされるわけですけれども、これについては経済産業省の方にそのままいるわけですね。

 ただ、最近、いろいろこの議論の中で、そういう調査というのを地方が見るべきか、やはり集約してきちっとやるべきかといういろいろな議論がありまして、先日も、国民生活センターがいささか心もとないとか、またNITEに関してもいろいろ話がある中で、消費者庁ができるということで消費者行政最優先だという国の旗印を掲げた折には、これまでとは違った視点でこれらの独法が見直されることは必至でありますし、本当に文字どおり消費者のナイトになってもらえるような、組織として経済産業省の高度な知見のもとで運営されること、そして、それで私たち消費者庁との密なる連携を持ってしっかりと対応していただくように、円滑に運べるような企画立案については消費者庁がまた助言をしていくことになろうかと思っております。

糸川委員 せっかく政府参考人がいらっしゃっているのでお聞きしたいんですけれども、消費生活センターから商品テストを依頼しても、なかなか結果の評価が出てこないという話ですけれども、依頼すると、大体平均してどのくらいでこの結果というのは返ってくるんですか。

寺坂政府参考人 お答えいたします。

 いろいろなケースはあるかと思いますけれども、数カ月、半年、そういった時間がかかる場合もあると承知してございます。

糸川委員 数カ月から半年かかって、大臣、今聞いていらっしゃって、そういう事故関係の、消費者庁は今度は迅速性を求めるわけですよね。この時間に関してはどういうふうに認識をされていらっしゃいますか。

野田国務大臣 まさに今日、商品テストにおいても、そもそも消費者行政というのがまだ、これまでこの国にあって、極めて重要な政策課題であるという意識、認識が、一部の消費者団体の方たちに支えられつつも、国民全般では、そうきちっと受けとめられていない証左が、やはりいろいろな形でこういうひずみを生んでいるのかな。

 国民生活センターにしかり、ここにしかり、それだけの人と物、装置ですか、そういうものがきちっと準備されていないということも踏まえた上で、やはり消費者庁というものをつくってそういうところをしっかりチェックしていく、監督していく、そして指導していくということが重要なんだということを改めて感じているところでございます。

糸川委員 私は、大臣、別にその答えが欲しかったんじゃなくて、時間的に、やはり半年とかかかってしまうということは迅速性に欠けると。だから消費者庁というのができて監督するということなのかもしれませんけれども。

 NITEというのは今後も経産省が所管をしながら進んでいくんだと思うんですね。原因究明までの間に半年とか数カ月とか、そういう時間がたってしまうと、やはりその間に被害者という方がふえてしまう可能性もあるんですよね。

 ですから、そういう意味で、では、その原因究明までの間どうするのかとか、そういうことを、対策を考えられるのが消費者庁だというふうに僕は思っているんですが、その点はいかがでしょうか。

野田国務大臣 まさに消費者の安全、安心のための商品テストというのは大変重要なことでありまして、消費者庁がリーダーシップをとって、一日でも一週間でもその商品テストの期間を短くできるようにするにはどうしたらいいかということを主体的に企画立案していく努力をしてまいります。

糸川委員 委員長、ぜひ、こういう問題、今議論していますけれども、これからももう少し、NITEとかそういうことを大臣にも質問してまいりますし、それから、きょう枝野先生からも御指摘いただきました。ですから、これから野党案についてもしっかりと質問させていただきたい、このように思っております。

 終わります。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

船田委員長 この際、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。

 各案審査の参考に資するため、来る四月六日月曜日、北海道及び兵庫県に委員を派遣いたしたいと存じます。

 つきましては、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

船田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、派遣委員の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

船田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、明三十一日火曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十一分散会


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