衆議院

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第10号 平成21年4月2日(木曜日)

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平成二十一年四月二日(木曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 船田  元君

   理事 大野 松茂君 理事 岡下 信子君

   理事 岸田 文雄君 理事 七条  明君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 仙谷 由人君

   理事 園田 康博君 理事 大口 善徳君

      井澤 京子君    猪口 邦子君

      遠藤 宣彦君    近江屋信広君

      大塚 高司君    北村 茂男君

      小島 敏男君    佐藤  錬君

      平  将明君    玉沢徳一郎君

      土屋 正忠君  とかしきなおみ君

      土井 真樹君    永岡 桂子君

      並木 正芳君    西本 勝子君

      宮腰 光寛君    矢野 隆司君

      安井潤一郎君   山本ともひろ君

      泉  健太君    枝野 幸男君

      小川 淳也君    小宮山洋子君

      階   猛君    田島 一成君

      田名部匡代君    田端 正広君

      桝屋 敬悟君    吉井 英勝君

      日森 文尋君    糸川 正晃君

    …………………………………

   議員           枝野 幸男君

   議員           小宮山洋子君

   議員           階   猛君

   法務大臣         森  英介君

   国土交通大臣       金子 一義君

   国務大臣

   (消費者行政推進担当)  野田 聖子君

   内閣府副大臣       谷本 龍哉君

   内閣府副大臣       増原 義剛君

   内閣府大臣政務官     並木 正芳君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  福富 光彦君

   政府参考人

   (内閣官房消費者行政一元化準備室長)       松山 健士君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 岡田 太造君

   政府参考人

   (内閣府国民生活局長)  田中 孝文君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局総括審議官)          大藤 俊行君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            細溝 清史君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          深山 卓也君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    倉吉  敬君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大野恒太郎君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    深田 博史君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           戸谷 一夫君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          金森 越哉君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           佐々木 基君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  和泉 洋人君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)           本田  勝君

   政府参考人

   (観光庁長官)      本保 芳明君

   政府参考人

   (運輸安全委員会事務局長)            柚木 浩一君

   参考人

   (独立行政法人国民生活センター理事)       田口 義明君

   衆議院調査局消費者問題に関する特別調査室長    島貫 孝敏君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二日

 辞任         補欠選任

  鍵田忠兵衛君     猪口 邦子君

同日

 辞任         補欠選任

  猪口 邦子君     安井潤一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  安井潤一郎君     山本ともひろ君

同日

 辞任         補欠選任

  山本ともひろ君    鍵田忠兵衛君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 消費者庁設置法案(内閣提出、第百七十回国会閣法第一号)

 消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出、第百七十回国会閣法第二号)

 消費者安全法案(内閣提出、第百七十回国会閣法第三号)

 消費者権利院法案(枝野幸男君外二名提出、衆法第八号)

 消費者団体訴訟法案(小宮山洋子君外二名提出、衆法第九号)


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     ――――◇―――――

船田委員長 これより会議を開きます。

 第百七十回国会、内閣提出、消費者庁設置法案、消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案及び消費者安全法案並びに枝野幸男君外二名提出、消費者権利院法案及び小宮山洋子君外二名提出、消費者団体訴訟法案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、参考人として独立行政法人国民生活センター理事田口義明君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として内閣官房内閣審議官福富光彦君、内閣官房消費者行政一元化準備室長松山健士君、内閣府大臣官房審議官岡田太造君、内閣府国民生活局長田中孝文君、金融庁総務企画局総括審議官大藤俊行君、金融庁総務企画局審議官細溝清史君、法務省大臣官房司法法制部長深山卓也君、法務省民事局長倉吉敬君、法務省刑事局長大野恒太郎君、外務省領事局長深田博史君、文部科学省大臣官房審議官戸谷一夫君、文部科学省初等中等教育局長金森越哉君、国土交通省大臣官房審議官佐々木基君、国土交通省住宅局長和泉洋人君、国土交通省自動車交通局長本田勝君、観光庁長官本保芳明君、運輸安全委員会事務局長柚木浩一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

船田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

船田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。とかしきなおみ君。

とかしき委員 おはようございます。自民党のとかしきなおみでございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。

 長丁場ではございますけれども、野田大臣、そして森大臣、枝野委員、小宮山委員、階委員、どうぞよろしくお願いいたします。

 消費者行政の充実強化について、消費者の視点に立った場合、消費生活センターを中心とした自治体との連携、これが不可欠であります。特に国民の方の視点から考えますと、消費者行政の組織が、上位が云々というよりは、むしろ、自分たちの身近にあるセンターがどういうふうに機能しているのか、相談をしたとききっちり対応してくれるのか、もしくは、危ないときは警告をきっちり発してくれているのか、そういった信頼の置ける窓口が身近にあることを多分望んでいらっしゃるかと思います。

 議論も大分煮詰まってまいりましたので、本日は、私もちょっと地元の消費生活センターの方に伺いまして最近ふえている事例を一つ拾ってまいりましたので、その具体例を交えながら質問させていただきたいと思います。

 以下、お話しさせていただきますのは、私の地元の大阪府吹田市の消費生活センターで伺った内容であります。

 被害者の方は、三十代のある精神的な病を抱えていらっしゃる方。最近の傾向では、こういった精神的に病を抱えた方が被害に遭う方が非常に多くなっているというふうにおっしゃっていました。内容は、過去に携帯のメールで懸賞のサイトに登録しておいたら、その後どんどんフリーメールが届くようになって、その中で、次の三つにひっかかってしまって、クレジットの決済をしてしまったそうです。

 まず一つ目、芸能人とメールができるとマネジャーから案内が来た。次は、大口の宝くじが当たっただれかさんがいて、その当せん金をあなたに譲渡したいと。その次には、不当な経営でもうけてしまった経営者の人がいて、そのお金をあなたに譲渡したいというような、ちょっと常識で考えればあり得ないお話なんですけれども、こういったことでメールにひっかかってしまいまして、その方はクレジットカードを使って決済をしたんですけれども、そのときにお母様のクレジットカードも使ったらしいんですね。そのために事件が発覚をいたしまして、そのお母様と本人が消費生活センターの方にいらして、どうしようかということで相談があったそうです。

 幸運なことにまだ口座から引き落としになる前だったので、何とか消費生活センターの方からクレジット会社の方に連絡をいたしましたら、クレジットカード会社の方は、やはり私たちには関係がないということで、それでしたら決済代行会社の方に連絡してほしいというふうに言われまして、結局決済代行業と交渉して、これは詐欺に当たるのではないかということで申し立てをしましたところ、いろいろやりとりはありましたけれども、半年ぐらいかかって一部返金に応じた。全額ではなかったそうです。

 そこで、森法務大臣にお伺いしたいんですけれども、このようなケースの場合は、これは犯罪に当たるのかどうなのか、不法なのでしょうか。その辺を教えていただけますでしょうか。

森国務大臣 お答え申し上げます。

 犯罪の成否は、捜査機関において収集された証拠に基づいて判断される事柄ですので、この事案についてのお答えは差し控えさせていただきます。

 なお、あくまで一般論として申し上げれば、人を欺いて財物を交付させた場合には、刑法二百四十六条一項の詐欺罪が成立し得るものと承知しております。

とかしき委員 ありがとうございます。法律上はきっとそうなるかと思います。

 このようなケース、今の具体的なケースをお話ししたのでわかると思いますけれども、不法なものと不当なものと正当なものとが何かごちゃごちゃになって、それで、その合間に消費者の方々が埋もれてしまって被害に遭うという。そして、消費者の方の権利の回復と、やはり不当にそうやって得られた利益、これを犯罪者から吐き出させる、こういったことが大切だと思うのですけれども、それについて今の制度の中ではどういった仕組みが対応できているのか、また森大臣、あわせてお答えいただけますでしょうか。

森国務大臣 まず、犯罪により取得された違法収益を剥奪するための制度でございますが、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律がございます。財産犯等の犯罪行為が組織的に行われた場合など、一般的、類型的に被害者による損害賠償請求権等の行使が困難であると認められる場合には、刑事裁判によりそれらの犯罪被害財産を犯人から没収、追徴することができることとされています。

 また、犯罪被害者に返還するための制度については、犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律に定められております。その概要は次のとおりでございます。

 まず、検察官において犯罪被害財産支給手続を開始する旨の決定をして、官報により公告するとともに、判明している被害者に通知する。次に、被害回復給付金の支給を受けようとする被害者は、申請期間内に資料を添えて検察官に申請する。そして、検察官は当該申請を審査して裁定した上、給付金を支給する。以上でございます。

とかしき委員 ありがとうございました。

 やはり、裁判所に訴えていろいろ闘っていくというのは、非常に大変なことであるということがわかるわけであります。

 こういった被害は、広くて薄くて、わざわざ裁判所に訴えるまでもないんですけれども、でもたくさんの方が被害に遭って、トータルで考えると大きな被害になっていく、こういうもので、やはり消費者の方々が泣き寝入りをしてしまうケースが多々あるかと思います。そういった被害者の方を救うために今回消費者庁の審議をしているんだと思いますけれども、やはり、このような現状を考えると、一日も早くこういった省庁ができることが必要だと考えます。

 そこで、野田大臣と衆法提出者の皆様、両方にお伺いしたいんですけれども、今お話ししたようなケースの場合に、それぞれの組織、消費者庁と消費者権利院、具体的にどういうふうに対応していただけるのか、消費者の視点で具体的にどう動いてみえるのか、教えていただけますでしょうか。

増原副大臣 具体的ケースでございますので、私の方からお答えいたします。

 お尋ねのような事案に対しましては、地方公共団体に置かれました消費生活センター、先生御指摘のセンターでございますが、これが自治体の他の部局と連携しつつ、消費者の目線に立ってきめ細かい相談に応じ、問題解決を図る、これが基本になっております。

 そして、あわせて、これらの相談窓口等を通じて得られた情報を一元的に集約する、ここが非常に大事だと思っておりますが、これを消費者庁が行いまして、情報を適切に分析した後、これを公表し、まさに注意喚起をしまして、被害の未然防止あるいは被害の拡大防止に当たることになっております。

 具体的に申し上げますと、消費生活センターにおける苦情相談の受け付けもしくは民生委員や社会福祉協議会など福祉関係者を通じて被害の状況を把握する。次に、民生委員などを通じて契約関係書類などの必要な書類を消費者から入手いたします。そして、さらに、聞き取りと関係書類をもとに消費生活センター相談員により問題の所在と解決の方策を把握するというところだと思います。そして、相談員から直接または民生委員などを通じまして助言をする、あるいは、必要に応じセンター相談員が事業者とのあっせんを実施するということになろうと思われます。先ほど先生の言われたとおりであります。

 消費生活センター相談員から民生委員や社協に対しまして、成年後見制度などの活用により地域での見守りの継続を依頼する。また、必要があれば、法的な対応が可能な場合などでありますが、消費生活センター相談員から事業者指導担当職員に対し適切な指導を実施するほか、法テラスとかあるいは警察などの関係機関と連携をするということになろうと思います。

 苦情相談状況に応じまして、集約された、分析されました典型的なメールの内容等の情報について、消費者にわかりやすい形で迅速に公表し、注意喚起を行う、このことが大事ではなかろうかと思っております。

小宮山(洋)議員 御質問ありがとうございます。

 消費者権利院の場合は、再三申し上げているように、全国津々浦々、どこでも消費者の権利が守られるように窓口を整備したいと思っておりますので、そこで、まず身近なところで、きちんと窓口で相談を受けられる。

 そして、私どもはしっかりと、多分、政府が考えていらっしゃるのとはけたが違う予算をここへ使いたいと思っておりますので、人員の拡充と待遇の改善、これは、そこで任期つきの国家公務員という形をとりました。私たちも、別に国家公務員にしたいと思っているわけじゃないんですが、これ以外に本当に津々浦々まで充実する方法がなかったからしておりますので、ほかのアイデアがあれば、ぜひ与党からもいただきたいと思いますが、そういう形で、以前のちょっとした相談とは違った、今回のフリーメールのような今の時代の新しい犯罪に対しても、親身に相談に応じることができます。

 そして、相談員の皆さんに伺うと、相談員の人があれしても、何だこんな、なかなか相手にしないみたいなところがあるわけですけれども、今回、相談員は消費者権利院の一員となりますので、消費者権利官、権利院の権威ある後ろ盾によりましてしっかりと交渉ができるというのが、まず当面の相談を受けたりするところです。

 それで、おっしゃったように、今政府の方でもいろいろ言われましたけれども、やはり少額で広い被害というのは、一人一人がなかなか裁判ができない。そこで、適格消費者団体がかわって行う。ただ、そのときに、やはり司法とどうかませるか、どういう支援があるかによって、その実現ができるかどうかということがございますので、今回は、消費者権利官が情報の提供ですとか訴訟の支援とかをして、適格消費者団体はなかなか今財政的にも苦しいので、国や地方公共団体が訴訟費用をちゃんと支援するようにという法文も入れてございます。

 恐らく、政府の今の御説明だと、いろいろなところから情報を集めるということですが、私どもは、地方の消費者権利局の方から、支局がございますので、そこから一元的に情報が上がりますし、その後は、消費者権利官、オンブズパーソンの支援によって適格消費者団体がかわって財産をしっかり押さえた上で、それを皆様にお返しすることができる仕組みだと思っております。

とかしき委員 ありがとうございます。

 今ちょっとお伺いしていて、少し次の質問もダブって先に答えていただいたんですが、今それぞれ対応をお聞きになって、消費者庁と消費者権利院の対応があると思うんですけれども、ここの部分が私たちの方がすぐれているとか、もしくは、この部分は評価すべきだなというようなところがありましたら、ちょっとここの場で、また双方御指摘いただければということで、よろしくお願いいたします。

増原副大臣 お答え申し上げます。

 個別事案に関連していることなので申し上げますと、民主党案につきましては、一つは消費者権利院の組織の問題があろうと思います。国の組織としてざっとやります、全国津々浦々やります、一方で、自治事務でもありますので、消費生活センターの方を引き続きやりたいというところはそのようにやっていただきますというふうにたしか答弁があったと思います。

 そういたしますと、地方自治体の他部局との連携、これが、先ほども私申し上げましたけれども、いろいろな知事部局との連携等もあるわけであります、そういったところが分断されてしまうのではないかという強い懸念を持っております。

 またさらに、被害者救済の方の面ですが、そもそも民主党の消費者団体訴訟法案における損害賠償等団体訴訟、これにつきましては、個々の消費者の意思に基づくことなく、損害賠償等団体訴訟の判決の効力が、勝訴、敗訴を問わず、除外の申し出をしなかった対象者にも及んでしまうものと理解しております。

 そういたしますと、これは、憲法上の裁判を受ける権利との関係が問題となる、さらには、そういう点もいろいろあるものですから、慎重な検討を要すると私どもは考えております。その意味で、直ちに消費者の利益の擁護及び増進につながるものと言えるかどうか疑義があるというふうに考えております。

小宮山(洋)議員 政府の消費者庁の法案は、再三ここで議論をしているように、地方の窓口に人件費が出せないんです。人件費を出せないで、給料を二倍にするとか人数を一・五倍にするといっても、それは四年目以降、自治事務になった場合にそれができない、三年間の基金であっても研修費しか出ない。人件費をきちんと国が担保しないでどうやって津々浦々までその窓口をつくるのか、そこが一番の問題点だと思っております。

 先ほども民生委員とかいろいろなところから情報をと言われましたけれども、それは組織立った情報ではないので、来るかもしれないし来ないかもしれない。そうじゃなくて、やはり私どものように一元的にやるべきだというふうに思っております。

 それから、団体訴訟の、消費者団体による損害賠償について、いろいろ今難点をおっしゃいましたけれども、そもそも、二年前の消費者契約法をつくったときに、私どもは損害賠償を入れた法案を出しまして、消費者団体の皆さんの、今回のこれだけ大きな消費者に視点を当てた改正をする中では、ぜひやはり予防をするだけじゃなくて、被害に遭った場合に救済して返してほしいという声がこれだけ強いわけですから。

 今御指摘のあったクラスアクション制度で、入りたくない人に手を挙げさせるということで、手を挙げなかったけれども次に訴訟をしたい人に不利益があるということは私も承知しておりますけれども、何もないよりも、まずスタートはクラスアクション制度でやりまして、先日私も申し上げましたが、将来はやはり父権訴訟と言われている行政がやるような訴訟に持っていければと私どもも思っています。

 今は立法上の壁が大き過ぎて、ですから、後で私も質問したいと思っているんですけれども、政府の方が今、二年たっても検討だけして、今回最初入れるはずだったのが入らないというのは、恐らく、その立法上の非常な壁があるからで、その壁を乗り越えるためには、多少デメリットもあるけれども少なくとも一歩前進ということで、私どもは今回の団体訴訟の法案を出しておりますので、政府の方よりも、そのことについては消費者の皆様の要望に近いと思っております。

とかしき委員 ありがとうございました。

 私も、今両方伺ってみたところ、やはり消費者の視点に立って消費者のために仕事をしていきたいという思いはすごくよく伝わって、もちろん組織上の細かいところはあるんですけれども、多分、思いは同じなのではないかなと思います。

 多分、一点大きく異なるのは、違法で収益したものをどう剥奪してくるか、ここの件に関してはちょっと大きく違うかなと思います。ただ、先ほど小宮山委員もおっしゃいましたけれども、やはり消費者の心理からすると、違法に取られたものを戻してほしいというのが気持ちとしてはあるだろうな。これをきっちり対応できなければ、モグラたたきのように被害を繰り返すことになって、泣き寝入りをしてしまう人が出てきてしまうということで、ぜひこの点は両者歩み寄っていただいて、またいいアイデア、完璧な制度はないと思うんですけれども、やはり大きなアクションを起こしていくことが私は大切だと思いますので、ぜひ両案が歩み寄っていただけたらありがたいかなというふうに思います。

 そして、今、事例でお話ししましたように、消費者行政の充実強化、特に連携の話が出てまいりましたけれども、私も、この連携の部分に関してはちょっと疑問がございまして、きょう、これからはその点について質問させていただきたいと思います。

 成功事例ということで、私もいろいろ調べてみましたら、北海道で地域消費者被害防止ネットワークというのをやっております。ここはすごく連携が上手にとれておりまして、消費生活センターと民生委員と自治会とヘルパーまで入って、そして福祉協議会、警察、関係機関の皆さんがすごくネットワークをしっかりと形成していて、情報収集や窓口の相談の内容をお互い周知徹底して、被害の未然防止、早期発見、掘り起こしということをしっかりやっております。

 私の地元の吹田市の方も聞いてみましたところ、昭和五十五年に消費生活センターを設立したんですけれども、さらにそれよりさかのぼって六年前に、行政の中に消費生活対策室というのをつくって、消費者からの苦情相談だけではなくて、事業者の指導や法の執行、そして苦情処理委員会の活用、条例などの企画立案につなげていくということで、地域における司令塔としてすごく機能していたようです。

 ところが、残念ながら、財政難の折、平成十九年に縮小になってしまいまして、生活対策課が市民生活相談室に吸収されてしまったそうなんです。するとどうなったかというと、司令塔がなくなってしまったために、非常に連携がうまくいかなくなって、なかなかうまく動かなくなってしまったというふうに、私も取材に行きましたら嘆かれてしまいました。

 ぜひ消費者庁を設立して、もう一度消費者行政が必要だということを国の方からメッセージを発信してもらって、こういった組織ができるように応援していただきたいということで、これは野田大臣にお伝えしてほしいと言われましたので、お話しさせていただきます。

 ということで、今回の地方支援策では、こうした地方の現場における連携、これをどういうふうに強化していくのかということが大切だと思います。地方自治体の中で幾つかの、先進的な成功事例というのはいっぱいあるかと思うんですけれども、ぜひこれを機会に野田大臣の口から、ここはよく頑張っているな、ここは評価してあげようよとか、そういうふうに褒めていただくと、多分、すごく背中を押されて、もっと頑張ろうと思うと思いますので、ぜひ大きな声でここで褒めていただければと思います。よろしくお願いいたします。

野田国務大臣 おはようございます。よろしくお願いします。

 事前にとかしき議員から、そういうよく頑張っているところについて具体的にこの場で報告してほしい、褒めてほしいということがございましたので、必死でおさらいをさせていただきました。幾つか御紹介をしたいと思います。

 まず初めに、御指摘の北海道の取り組みというのは、消費生活センターと関係者が連携をとることで、消費者被害の未然防止、早期発見や救済につながるものでありますけれども、都道府県レベルでの同種の取り組みとすると、例えば富山県、ここでは、くらしの安心ネットとやま事業として、関係行政機関、福祉関係団体、消費者団体等によるネットワークを組織し、情報交換会の開催、市町村レベルでのネットワーク形成の支援が行われているものと承知して、大変頑張ってくださっています。

 また、市町村レベルにおきましても同じような取り組みがございまして、滋賀県の野洲市、ここでは、民生委員、ケアマネジャー、ヘルパー、保健師、訪問看護師、行政職員により庁内ネットワークを構成し、警察、社会福祉協議会、医療機関とも連携をしていただきながら、先ほどもちょっとそういうお話がありましたけれども、とりわけ高齢者や障害者などの生活弱者の方々の被害発見と救済を行っていただいています。具体的には、ネットワーク構成員が発見した消費者被害を消費生活センターに通知し、同センターが対応いたします。

 また、静岡県の焼津市では、地域包括支援センター、これによりまして見出された消費者被害を消費生活相談窓口で対応し、解決に導いた後、地域包括支援センターの社会福祉士による定期訪問をすることによって見守りを続けていただいています。

 一方、消費者からの苦情相談処理というのは、個別消費者の支援等のみならず、適切な事業者指導等のためのセンサー機能というのを果たしています。

 例えば熊本県におきましては、消費生活センターに持ち込まれた食品表示に係る苦情相談を端緒として、食品衛生法担当課とセンターが連携することにより、保健所に対する適正表示の指導の徹底が通知された結果、改善が図られた事例があると聞いております。

 このような事例のように、消費生活センターと地方公共団体のそれぞれの部局や地域の関連団体との連携協力があって、地域社会形成の一環として消費者問題への対応が展開されていることは、まさに地方自治としての消費者行政のすばらしいモデルであると思っています。

 私たちは、こういう全国のさまざまな立派に活動している方たちの事例を幅広く御紹介することで、これから頑張るというところにも励みになっていただきたいし、お手本になっていただきたいと思っています。

 消費者庁がつくられるということは、議員も私も地方議員を経験しておるのでわかると思いますけれども、大概やはり県庁とか市役所とかそういうところのカウンターパートというのは国に必ずあるわけですね。土木だと国土交通省とか、農林だと農林水産省。消費者というのは、そういう一つの窓口がなかったというところが、やはり地方自治の中でも、相談相手もいない中、いろいろと戸惑いもあったと思うんですね。これからは、国にあっては消費者庁があるから、どの都道府県、地方自治体においても、何かあったらすぐに御相談ができるし助け合える、そういう新しい行政組織ができるということをやはり期待していただいて、ますます頑張っていただきたいと願っているところであります。

とかしき委員 ありがとうございました。

 きょう、事例ということで挙げてもらったところは多分すごい喜んでいると思いますけれども、こういった頑張っているところ、今すごく連携がよくとれているところはもっともっとこれから頑張っていただけるように、そして、消費者庁のこういった議論をしていることで、国民の皆様が、ああ、私たちのことを考えているセクションができるんだということをわかっていただくにはすごく私は有益な議論だと思いますので、これから消費者の皆さんが泣き寝入りをしないように、そして相談窓口、親身になってくれるところが充実することを祈っております。

 そして、私は、せっかく連携がうまくとれているんですけれども、これが今後うまく機能していくのかどうなのか、ちょっとそこが心配で、衆法の提出者の皆さんの方にお聞きしたいんです。

 今のお話のように、いい連携がとれているところがあるんですけれども、民主党案の方を拝見いたしますと、地方権利局や支局を新たに設置して、地方公共団体の消費者行政担当課や消費生活センターを存続したまま、両者を連携しながらやっていこうというふうになっているんですけれども、これは役割分担は実際どうなる予定なのでしょうか。

 さらに、都道府県の圏内に、市区町村の管轄内に司令官というところが必要だと思うんですけれども、一体これはどこが司令官を担うことになるんでしょうか。消費者行政担当課なのか、それとも地方権利局なのか、一体どちらが司令官になるのか、その辺を教えていただけますでしょうか。

階議員 お答えいたします。

 司令塔機能という場合に、二つの観点から考える必要があるというふうに思っております。

 まず一つ目は、消費生活相談、あっせんの部分で、従来の地方の消費生活センターか、あるいは我々がつくると言っているところの地方権利局あるいはその支局、両者の間でどちらが司令塔機能を担うべきかという問題が一つ。それから、地域で起きている消費者問題について事業者を規制する場合に、消費者行政の地方の部局が司令塔になるか、それとも地方権利局が担うべきか、そういう行政の部分と、二つの段階に分けるべきだと思っております。

 一つ目の、相談、あっせんの部分については、基本的には、相談を受けるという機能については主従の関係はないわけですけれども、ただ、その情報をどこが取りまとめるかという意味でのコーディネーター役というような意味合いだと思います、司令塔というよりは。そういうコーディネーターとしての役割は、やはり国が全体的な情報は管理すべきだと思いますので、そういう機能は地方消費者権利局が担うべきだというふうに考えております。

 それから、二つ目の行政機能の話ですけれども、基本的には、地方において規制の権限を持つのは都道府県の知事でありますから、その行政を執行する部分では知事が当然司令塔になる。ただ、地方消費者権利局というのは、知事だけではなくて、すべての消費者行政が適正に行われているかという監視機能も担うわけですから、その監視の部分については、地方消費者権利局が司令塔といいますか、そういうちゃんと目を光らせるという機能を担うということで、行政の部分ではそういう役割分担になるかというふうに思っております。

とかしき委員 ありがとうございました。

 今お聞きしていても、やはりしっかり組織が、どちらが権限を持つのかが私もちょっと今のところは納得ができないんですね。多分、これがこのまま現場に行きますと、案件案件によって混乱が起こる可能性がありますし、あと、私も地方議員だったことでよくわかるんですけれども、国の機関と地方の自治体のいろいろな機関というのは意外に連携がうまくいっていなくて、何でうまくいかないのかなと私見ていますと、心理的なバリアが物すごくあるんですね。あちらは国の機関だからちょっと自治体としてさわってはいけないという、この心理的バリアが実はすごく大きく作用しておりまして、連携をすごく阻んでくるんですね。ですから、ある程度組織を幾つも複雑に配置してしまうということは、現場でかなり混乱が起こる。

 私もヒアリングしておりまして、連携がうまくいっていればいっているところほど、実は、消費者権利院になったときに、逆に自分たちの今までの活動が阻まれるのではないかという不安の声を結構いただきましたので、ぜひこれは民主党さんの方もその辺の配慮をしていただけるとありがたいかなというふうに思います。

 もう時間がないので、最後の一つだけ、ちょっとお伺いしたいんです。

 民主党案の三十七条についてお伺いしたいんですけれども、三十七条の中に、権利官の申し立てによって、一定期間、事業者に対して禁止または停止を命ずることができるというふうにあるんですけれども、権利官が申し立てするというのはどういう事例について申し立てを行うのか。発生する、いろいろこういった事件が発生するおそれがある場合にというふうに規定してあるんですけれども、それはどういった判断基準、手続を踏んで対応なさるおつもりなのか、ちょっとここを教えていただけますでしょうか。

枝野議員 この条文は、まさにいわゆるすき間事案的な部分のところについての緊急対応措置でございます。

 ただ、我々の場合ですと、身体的な損害だけではなくて財産的な問題も含まれるという意味では、消費者安全法の停止等の措置とは違っている、そういった意味では広いと思っております。

 発生し、発生するおそれがある場合ということは、まさにすき間的事案に対しての対応ですので、ケース・バイ・ケースですべて状況は違っているというふうに思いますが、まさに消費者の立場に立ってこれをとめないと深刻なことになるということの判断を、ただ一般的には消費者権利官が行う組み立てにしておりますが、まさに重要ですので、合議体の五名の委員会で判断をして申し立てをする。しかも、自分たちだけの判断で、業者側にとっては、これは間違っているときは大変深刻な影響を与えますので、裁判手続を踏んで、司法の判断を踏まえて、もちろん、この司法はいわゆる仮処分的なやり方で早期に結論を出していただきますが、こういうやり方でチェックを二重にかけて濫用のないような形にした上で、ただしオールマイティーにできるようにした、こういう仕組みでございます。

とかしき委員 ありがとうございました。風評被害とかいろいろありますので、その辺の配慮もぜひお願いしたいと思います。

 両案とも、やはり消費者の気持ちに立って組織をつくっていこうということで、私は根っこの部分は同じだと思いますので、ぜひ、一日も早く消費者の立場に立ったこういった組織ができることを、現場の皆さんも願っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうはありがとうございました。

船田委員長 次に、永岡桂子君。

永岡委員 おはようございます。自由民主党の永岡桂子でございます。

 きょうは、野田大臣、連日委員会、本当にお疲れさまでございます。また、枝野議員も大変お疲れさまでございます。また、きょうは森法務大臣が御出席いただきまして、大変恐れ入ります。では、よろしくお願い申し上げます。

 まず初めに、野田大臣にお伺い申し上げます。

 日本では、この委員会で消費者行政の一元化につきまして審議が行われておりますが、各国とも消費者重視の観点からそれぞれの対応をしているものと思っております。アメリカはアメリカなりに、またヨーロッパはヨーロッパなりに、お隣韓国でも消費者行政を重視していると伺っております。先進国はもちろん、途上国でありましても、何がしか消費者保護につきまして法の整備をしていることと思っております。

 私としましては、消費者行政に、これでなければ絶対だめであるというような制度というものはなかなか難しいのではないかと実は思っているんですけれども、それぞれの国は、それぞれの国民性とか歴史的経緯を踏まえまして、それぞれの国情に沿った対応をしているのではないかと思っております。

 アメリカは、消費者保護に重点を置きます余りに、訴訟社会になり過ぎて、真の意味での消費者保護のための施策とはかけ離れた現象も一部に見られると最近は伺っております。

 政府が今回提出いたしましたいわゆる消費者三法は、諸外国の消費者の行政制度をも十分に調査研究いたしまして、そのメリット、デメリットも検討の上で、我が国の実情を考慮して、日本型の消費者行政というんですか、最もよいというものを提出していただいたと思っております。

 特に、野田大臣は先般、お隣韓国でその実情視察をされてきたと伺っております。そのことを含めまして、どういうお考えであるか、お聞きいたしたいと思います。

野田国務大臣 消費者行政一元化に向けた検討に際しましては、今お話があったアメリカ、またフランス、韓国、そして北欧諸国等、主要な先進国の取り組み、法制度についてこれまでしっかり調査したり、比較し検討してきたところであります。

 そんな中で、消費者庁関連三法案というのは、日本の国の行政の中で消費者や生活者が主役になるにはどうしたらいいかということを最優先に考えた折に、ここで何度も申し上げてきましたけれども、明治以来の産業優先の発想から、または縦割り行政になってしまって硬直化してしまっているとか、日本の固有の行政組織が抱えているさまざまな問題をも解決していくという意味で、十分に十分にやはり過去二十年にわたって議論を重ねていただけたものだと思っています。

 そういった意味で、今、日本にとって消費者行政を進めていくためにはこの関連三法案がベストな案だということを思い、提出させていただきました。

 今の韓国の話。たしか細川参考人でしたか、やはり韓国の消費者行政というのは日本よりはるかにすばらしいんだなんという話も出て聞いておりましたけれども、私自身、直接ソウルの方に行ってまいりまして、あちらでは消費者行政、政策を担当しているのは公正取引委員会、そこの委員長と直接会談をさせていただきまして、それぞれの消費者行政の現状につきましては意見交換をさせていただきました。

 韓国においてもやはり消費者行政の重要性というのは認識されておりまして、韓国でも、複雑高度化した消費者問題に対応するために、内閣の中に、みずから法律を所管し、そして消費者行政を一元的に所管する行政機関を創設したばかりで、これが極めて有効に動いているんだということを聞き、大変参考になったところであります。

 担当大臣としては、この韓国訪問を通じまして、やはり私たちも一日も早く消費者庁を創設することが何はともあれ消費者を被害から守ることであり、消費者の利益の擁護や増進につながるということを実感しておりますので、ぜひとも委員のお力をかりて一日も早く成立し、創設に向けて邁進させていただきたいなと思っています。

永岡委員 ありがとうございます。

 今、大臣の韓国での視察状況をお伺いいたしました。日本政府の担当大臣が直接韓国、外国に行きまして、自国の、つまり日本の政策のアピール、また海外の消費者行政の実情を肌で実感することで、国際的にもお互いに理解を深めることの重要性というものを非常に実感したわけでございます。どうもありがとうございます。

 では、次に移ります。

 さて、昨年は大きな問題となりましたギョーザ事件などの食品事故ですとか、またインターネットを使いました多国間にまたがります投資詐欺などの消費者被害、また事件が、今はグローバル化された社会ですので、国境を越えまして、そういう中での犯罪被害というものがふえているわけですけれども、諸外国との連携がより重要になると考えられます。

 OECDの消費者の紛争解決、救済に関しての勧告でもそういったことが示されているところでございますが、そうした意味におきましても、消費者保護を目的としている省庁をつくる意義というのは非常に大きいと考えております。副大臣、ぜひそのお考えをお聞かせください。

増原副大臣 お答え申し上げます。

 議員御指摘のとおり、経済のグローバル化、IT化、これによりまして、特に我が国などは食料自給率三九%でございますので、輸入食品というものが非常にたくさん入ってきている。また、インターネットを利用した取引などもふえてきておりまして、いわゆる国境を越えた消費者問題というものが増加してきております。

 諸外国におきましても、この国境を越えた消費者問題への対応が課題となっておりまして、先生御指摘のOECDのものもあれば、さらに国際会議の場などを通じて積極的に取り組んでおります。例えばでありますけれども、消費者の安心、安全を確保するために、国内での緊密な連携はもとよりでありますが、各国の消費者行政の法執行当局をメンバーといたします消費者保護及び執行のための国際ネットワーク、これはいわゆるまだ非公式の国際的協議の場ではございますけれども、こういうものに我が国も参加いたしまして、国境を越えた不正な取引行為を防止するための取り組みを推進することなどが重要であると思っております。

 いずれにしましても、国内、国外を問わず、消費者トラブルにつきまして、より効果的に対応することが可能となりますように国際的連携も図ってまいりたいというふうに思っております。

永岡委員 どうもありがとうございます。

 では、次の質問に移らせていただきます。

 日本ではよく、産業の振興を重視しているとか、業界優先などと言われまして、消費者対策は今まで軽視されてきたと言われております。けれども、ちょっと私も調べてみたんですが、消費者対策としての国の法律、こういうのはもう初めに、昭和三十年代にはできているんですね。農林省、通商産業省にはそれぞれ消費経済課というのが、昭和三十八年、三十九年にはできていますし、四十年代になりますと、経済企画庁に国民生活局というものが設置されております。四十年の半ばごろになりますと、消費者保護基本法が制定されまして、国民生活センターも発足したという経緯がございます。

 また、地方行政に関しましては、やはり四十年代の半ば、これは地方自治法で消費者からの苦情相談や消費者への情報提供など消費者行政を規定されまして、少しずつであっても対策は進んできたというところであるとは思っております。

 この間に消費者対策に熱心に取り組んでこられたというのは、やはり日本弁護士連合会と消費者団体の皆様方と思っております。日弁連はこれまで一貫して、消費者行政を一元的に推進する行政組織の創立というのを求めてまいりましたし、また、本当に消費者のために役立つ新組織の制度というのを実現するために、七十二団体の消費者団体が参加していらっしゃいますユニカねっとも、消費者行政を一元的に担う新組織の設立を強く求めてきたということになっております。

 これまで長らく消費者対策に取り組んで、行政組織のあり方などを初めとして、対応に、その問題点を一番肌で感じて、そしてよくわかっていらっしゃるのがこの消費者団体の皆さんだと思うんです。この代表的消費者団体の皆さんの要望をよく反映させて、これは消費者保護に重要なことだと思っているわけですけれども、改めてお伺いいたしますが、このいわゆる消費者三法は、消費者団体の皆さん方の要望を十分に踏まえたものとなっているかどうか、そして保護行政に効果的な役割を果たして果たすことができるようになっているのかということ、これをちょっとお聞きしたいと思っております。

増原副大臣 永岡議員御指摘の点でございますが、ユニカねっとなどの関係者の皆様にとって、我々が提案しております政府案、これは自分たちがつくった案との認識をお持ちの方も多いというふうに聞いております。それほど消費者関係団体の要望を十分考慮した上で作成したものであると我々は自負いたしております。

 ユニカねっと等からは、一日も早く同法案を成立させ、消費者のために真に働く消費者庁が創設されることを強く望みますという御意見もいただいております。もちろん、さらに幾つかの御提言もいただいておりますが、私どもとしましては、こうした消費者庁を一日も早く立ち上げまして、そうした期待におこたえしたいというふうに思っております。

永岡委員 どうもありがとうございます。

 今のお話を伺いまして、私も、大変安心し、またこの法案を早期に実現させるべきであると強く感じた次第でございます。

 それでは、きょうは森法務大臣がいらっしゃっておりますので、ちょっとお聞きしたいと思います。

 消費者をめぐりますさまざまな社会問題が頻発する中で、法務省におきましても消費者問題への対応が重要になっていると思われます。法務省が所管しております日本司法支援センター、法テラスと呼んだ方がわかりやすいかと思うんですけれども、法テラスにおきましても、これまで、消費生活センターなどの関係機関とどのように連携して、また消費者問題に対してどのような業務を行ってきたのか。また、新たに消費者庁が設置された後は法テラスはどのような姿勢で消費者問題に取り組むことになるのか、お伺いしたいと思います。

森国務大臣 お尋ねの日本司法支援センター、いわゆる法テラスでございますけれども、平成十八年十月の業務開始以来、コールセンターを設けまして、消費者問題を含むさまざまな法的トラブルに関して、相談者の相談内容に応じて、法的な紛争解決の制度内容や、また身近な相談窓口などを御案内してきたところです。

 相談受け付けの担当者としては、消費生活専門相談員等の資格を有する者を中心として配置して、消費者問題に対して適切なガイダンスができるように体制を整備してきております。

 相談者の御要望内容に応じて、訴訟など裁判所の手続による解決のために、お近くの弁護士会、司法書士会を御紹介いたします。また、経済的に余裕がない方に対しては、民事裁判手続等に要する弁護士費用等の立てかえを行う民事法律扶助業務も行っております。

 これらの業務を行う上で、消費生活センターなどの関係機関との連携協力は不可欠でありまして、これまでにも、消費生活センターから支援センターに民事法律扶助制度の利用を希望される方を紹介していただくことなどもしておりまして、消費者問題に適切に対応してまいりたいと考えております。

 なお、今後、消費者問題への取り組みはますます重要になると考えており、支援センターにおいては、これまでに行ってきた消費者問題への取り組みや消費者庁を初めとする関係機関との連携協力関係を強化して、消費者問題の解決に必要な情報やサービスの提供に努めていくものと期待をしております。

 なお、率直に申し上げて、この法テラスに関して一番頭の痛いことは、国民の皆様方の認知度が低いことでありまして、まだ三割にも満たないというところでございます。

 ぜひ委員の皆様方も、これだけ有意義な、また大変便利な機関でございますので、これのPRに一役買っていただきたいと思いますが、参考までにコールセンターの電話番号は、〇五七〇―〇七八三七四、オナヤミナシと覚えていただきたいと思います。

永岡委員 法テラスの宣伝、よくわかりました。ありがとうございます。

 では、次に移りたいと思います。国土交通省の方にお伺いしたいと思います。

 ことし一月の末に実は静岡県の住宅メーカーが倒産いたしまして、この会社は、全国に七十八支店、百四十四カ所の展示場を持ちます全国メーカーで、負債総額が六百億円を超えていると聞いております。家族のために、子供のためにマイホームを完成することを楽しみにしていたやさきに全く突然に倒産のニュースを聞きまして、この会社と請負契約をいたしておりました消費者、個人注文者ですけれども、お金は既に払ったものの家は完成しないということで、大変なショックを受けて途方に暮れております。

 会社が倒産して、工事途中の家を完成させるためには残った工事を別のメーカーに頼むことになりますし、新たにその分のお金も追加で必要になってきます。既にローンを組んで、それを一生かけて支払いをするわけですから、これ以上の負担というのは、本当に生きていく上で厳しいものがあると思います。

 今回被害に遭われた方の中には、契約時に多額の工事代金の前金を払ったり、また工事途中の出来高の水準を大幅に超えます代金を払っていた方がいると伺っており、社会問題にもなっております。工事の進捗状況に合わせて代金を支払っていれば被害もより少なくて済んだわけです。

 家をつくるということは、人生に一度あるかないかの大きないわゆる買い物になるわけですので、住宅建設業者との契約に当たっては消費者も慎重を期さなければいけないわけだとは思いますけれども、この教訓を糧に、二度とこういう不幸なことが生じないように、業界を指導するとともに、工事請負契約をするに当たっては、消費者に対しても、どういう方法でどういう時期に的確に支払うのが消費者としてベストであるかという啓蒙、教育などにも重点を置かなければいけないと思っております。さらに、会社が倒産したときのセーフティーネットなどの充実が安心、安全の実は源であるというふうに考えますが、国土交通省のお考えをお聞きしたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 ただいま先生御指摘いただきましたとおり、万が一、工事施工の途中で施工会社が倒産した場合等におきます施主の方の損害を少なくするためには、工事請負契約を締結するに当たりまして、できるだけ工事の出来高に応じた支払いとなるような契約を締結いたしましたり、任意の制度ではございますけれども、完成保証制度を利用することが考えられるわけでございます。

 今回の破産を契機といたしまして、各種の住宅生産関係団体で構成いたします社団法人の住宅生産団体連合会におきまして、この三月二十七日でございますが、工事の出来高に照らして合理的な支払いとする契約の締結、あるいは完成保証制度の利用等による適切な対応をとるということなどを内容といたしますガイドラインを策定いたしまして、構成団体及びその傘下企業等に周知していただくとともに、個人の注文者の方に対しましても、同様の内容をホームページにおいてお知らせするなどの取り組みを行っていただいているところでございます。

 また、住宅購入者の利益保護を目的といたしまして、住宅に関する紛争処理等の業務を行っております財団法人の住宅リフォーム・紛争処理支援センター、ここにおきましても、住宅の注文者の方に対しまして、できるだけ工事の出来高に応じた支払いとする契約を締結する、あるいは住宅完成保証制度についての周知、こういったものにつきまして、ホームページ等を通じて行っているところでございます。

 今後とも、消費者の方に対する周知に努めますとともに、住宅にかかわる消費者保護政策の充実に努めてまいりたいと考えております。

永岡委員 どうもありがとうございます。

 やはり一軒買うというのは相当なお金がかさみますので、これからも御指導、業界の指導も、また消費者に対しての啓蒙活動ですね、これもよろしくお願いしたいと思います。

 次に、文部科学省にお伺いしたいと思います。

 今伺いました建設会社の突然の倒産ですとか、そのほかにも、テレビ、新聞では連日のように消費者被害についての報道がされております。日本の消費生活センターは、年間百万件を超えます相談が寄せられると聞いております。このように多くの方々から相談があるということ自体、安心、安全な社会とはちょっとほど遠いかなというふうには思ってしまいますけれども。

 悪徳商法、それ自体には厳罰を科すなどして根絶に努めることがまずは重要であるとは思いますけれども、これは被害が出た後の事後的なことでありまして、被害者救済になるわけではありませんね。

 これまでも行政や多くの消費者団体の皆さんが消費者教育ということに熱心に取り組んでまいりましたが、消費者被害はふえる一方というわけです。被害は個人の判断において行った結果でありまして、個人が責任を他人に転嫁することはできないわけで、みずからの責任と甘んじて受けなければならないということになってしまいます。場合によっては人生を棒に振るような、取り返しのつかないようなこともあるわけですから、このような悲劇を繰り返さないためにも、まずは、重要なのは、消費者は被害者にならない、そうするために、消費者みずからが賢くならなければならないということだと思っております。

 悪徳商法がまかり通っている現状を考えれば、政府は消費者教育に力を入れる、消費者教育を強化するべきであると思っておりますが、お隣韓国では、消費者教育を受ける権利というのが法律に明記されていると聞いております。我が国におきましても、健全な消費者社会を実現するためには、まず学校での消費者教育の取り組みというのも重要だと思いますし、また卒業いたしましてからは生涯学習の充実が重要と考えております。

 今の状況と、それから今後の対応方針についてお伺いいたします。

金森政府参考人 社会における安全、安心の確保などさまざまな課題が生じている中、国民が消費者の権利と責任について理解するとともに、消費者として主体的に判断し責任を持って行動できるようにするため、消費者教育は極めて重要であると考えております。

 このため、学校教育におきましては、社会科や技術・家庭科等において消費生活や消費者問題について指導を行っており、教育基本法の改正等を受けて改正された新しい学習指導要領におきましても、消費者教育に関する教育内容の充実を図ったところでございます。

 また、社会教育施設におきましては、消費者問題に関する多様な学習機会の提供を行うよう努めているところでございます。

 今後とも、各学校現場等において消費者教育がしっかりと実施されるよう、必要な施策の推進に努めますとともに、関係省庁と連携を図りつつ、消費者教育の一層の充実に努めてまいりたいと存じます。

永岡委員 どうもありがとうございます。

 私も、小学校から中学、高校と、教科書に消費者教育の項目があるというのも拝見させていただきましたが、やはり文字で、教科書でというのはなかなか、実際に社会に出ていない子供たちにとりましては、読んでみるだけでは難しい、理解できないというのが実情だと思います。ぜひ体験的な指導などもこれからもよろしくお願いしたいと思います。

 では、次に参ります。

 次には、電話相談につきましてお伺いしたいと思います。

 消費者行政の一元化ということで、やはり消費者の皆さんにしてみると、わかりやすい行政サービスを期待していると思うんですね。特に窓口業務におきましては、その大部分が電話による相談ということになるわけです。この部分が、窓口を広げていく努力というのが求められていると思うんですけれども、先ほども申し上げましたように、年間に百万件を超えるほどの相談が寄せられるということでして、依然、消費者被害などに遭ってもどこに相談していいかわからない、一人で悩みを抱えてしまっている方も多く存在すると思っております。

 森大臣も先ほどなかなか認知度がないと言った法テラスのコールセンターの部分もその一端であるというふうには思っておりますが、より一層の周知、広報の努力を払っていただきたいわけですけれども、例えて言うならば、警察ですと一一〇番、そして消防、救急であれば一一九番ということで、これはもうだれでも知っている番号ですね。これは非常に重要だと思うんです。

 先ほどの法テラスのことも、全国どこからでも同じ番号でつながるコールセンターを設けて相談しているというふうに伺いました。それに倣いまして、消費生活センターも全国共通の番号があれば、より身近な相談窓口として定着するのではないかと思います。そういった、消費者にとっても敷居の低い、より使いやすい行政サービスの提供につながる取り組みというものをお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、国民生活センターなり消費生活センターの認知度というのはまだ低いものでございます。

 私ども、昨年の十二月に平成二十年度の国民生活白書というのを発表したのでございますけれども、そのために行いました調査の中で、消費者被害に遭われたときの相談先というのをお尋ねしたところ、三分の一の方が、三〇%を超える方がどこにも相談しなかったと答えておりますし、また消費生活センターとか国民生活センターに相談しましたという方は、一三・五%にとどまってございます。私どもの努力の不足とともに、まだまだ相談に結びついていない潜在的な消費者問題というのがあるんだということを実感したところでございます。

 さて、お尋ねのように、今、新しい仕組みの中では、この消費者庁構想の中では、消費生活センターなり国民生活センターをだれでもアクセスしやすい一元的な窓口と位置づけておるわけですが、だれでもが知らなければいけないということだと思います。その最も容易な方法の一つが、先生御案内のように、全国どこでも同じ番号でつながる仕組みをつくるということでございます。

 ただ、私どもは、それがコールセンターというところではなくて、同じ番号をどこでかけても、例えば、千葉市で同じ番号に電話した場合は千葉市の消費生活センターにちゃんとつながる、練馬区でかければ練馬区の消費生活センターに同じ番号でつながるというような仕組みを今構想しております。

 それだけではなくて、ただいま白紙で物が始まっているわけではなくて、既に消費生活センターがあって、人によっては既に使われている電話番号におなじみの方もいらっしゃる。したがって、その番号にかけてもきちんとつながる、そうした仕組みを整えながら、全国どこからかけても同じ番号という仕組みをつくろうということで、鋭意努力しているところでございます。

永岡委員 どうもありがとうございます。

 確かに今、県また市町村で設置されております消費生活センターは、それぞれの番号を持っておりますから、これと新しい番号との連携も非常に重要だということを伺いまして、ちょっと私もうれしくなりました。各省庁との連携が非常に重要な消費者庁の創立、ぜひ早期に実現させることをお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございます。

船田委員長 次に、階猛君。

階委員 民主党の階猛でございます。

 ふだん答弁席に座っておりますと、何か野球でいいますと守備みたいな感じで、エラーしてはいけない、零点に抑えて当たり前、そういう意識になります。質問をするときは、逆に攻撃ということで、ヒットを打てばいい。ただ、攻撃だと、さすがにいつもいつもヒットを打つわけにもいかないですけれども。でも、そういう意味では、やはり質問というのは非常に精神的にはいいかなと思っておりまして、野球と同じように、攻撃と守備、両方やられた方が大臣も非常にいいと思います。たまには政権交代でこちら側に来て、守備と攻撃、両方やられることをお勧めします。

 それで、きょう、いろいろと御質問を用意してきましたけれども、まず最初に大きな話といいますか、この法制の根本的なところをちょっとお聞きしたいんですけれども、まず、消費者安全法についてでございます。

 最初の定義の部分とかは、結構重要で、かつ多くの部分が政令に委任されているわけです。国会は、御承知のとおり、憲法四十一条で唯一の立法機関ということになっておりまして、余り重要な部分を、しかも多岐にわたって政令に委任するということは、国会を形骸化させることだと思いますので、我々は、官僚に任せるのではなくて、政治家主導でこういう法案をつくっていくべきだというふうに考えております。

 そういうことで、今回の法案、政令に多数かつ重要なところを委任されているわけでございますけれども、なぜ法律で規定を定めなかったのかということを、まずお聞かせ願えますか。

野田国務大臣 消費者安全法案においても、ほかの法律の場合と同様、その内容のかなめとなる部分については法律で規定をしております。細部は政令に委任するという方針のもとで規定しており、議員御指摘のように重要部分を政令に委任しているとは、考えておりません。

 具体的には、例えば、第二条第五項第一号、政令に規定する消費者事故等に該当するための生命身体への被害については、その被害の程度という技術的な細部を政令で規定するものでありますし、また、第二条第五項第三号の政令に規定する財産被害の要件については、消費者の利益を不当に害し、または消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある行為という範囲内において、新しいタイプの消費者問題についても適切に対応すること等を可能にするため、政令に委任することとしたものでございます。

階委員 それでは、その政令に委任された部分についてお伺いします。

 きょうもまた、こういう政令の、こういうものを定めますというのが回ってきておりますが、前回よりはちょっと膨らんだかなと。何か小出しにちょっとずつこういうものが出されてきて、早くちゃんとした形で出していただけると、我々も非常に審議しやすいわけでございまして、また、内閣法十一条を見ても、「政令には、法律の委任がなければ、義務を課し、又は権利を制限する規定を設けることができない。」と定められている中で、やはり委任された範囲を逸脱していないかどうかというのを我々はチェックしなくちゃいけないというふうに思っております。

 そういう意味で、見出しはだんだん膨らんできていますけれども、早くこの具体的な条文を出していただきたいと思うんですが、その点、いかがでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘いただきましたように、けさ、当委員会の理事会に「消費者安全法案の政令規定見込み事項」を提出させていただきました。前の御質疑でもお答えしたところでございますけれども、この政令の案につきましては、この法案の当委員会におきます御審議も踏まえて、当然のことながら、きちっと精査をして定めていく必要があるというふうに考えております。

 しかしながら、今委員が御指摘のように、この消費者安全法の委任の範囲を逸脱しているかどうか、これをきちんとチェックしていただくのは当然のことだと思っておりまして、前回から御指摘をいただきました、例えば、負傷、疾病についての考え方、これがどういう範囲であるか、それからまた、重大事故におきます重症というものの定義がどういうことであるのか、こういったことがまさに重要なポイントであるという御指摘はそのとおりだと思いまして、本日、そのチェックをしていただけるような形で提出をさせていただいたというふうに考えております。

 ただ、その政令案の条文そのものにつきましては、これは細かな詰めも必要かと思いますので、それについては現時点で提出することは差し控えさせていただいたということでございます。

階委員 今の点に関連して、もう一点だけお伺いします。

 そうすると、今この項目に出ている範囲のものが具体的に条文化されるだけであって、これ以上に何か項目が追加されるとかあるいは削られるとか、そういうことはないという理解でよろしいですか。これでもう項目は確定、これを条文の形に書きおろすだけだという理解でよろしいですか。

松山政府参考人 きょう提出させていただきました政令規定見込み事項の記述された項目について、削除をされる、また追加をされるというようなことがあり得るかという御指摘でございますけれども、削除をするということは基本的に考えておりません。ここに書きましたことはすべて政令案に盛り込む方針でございます。

 他方、例えば、お配りをしております第二条第五項第一号の「消費者事故等に該当する生命・身体についての被害の程度」という規定に関しましては、「一酸化炭素中毒等」というふうにその三つ目の項目として書かせていただいておりますけれども、この「等」の部分をどうするのかといったような点は引き続き詰めていきたい、そのように考えております。

階委員 あと、私、この消費者安全法で気になっているのは、すき間事案の部分なんですが、内閣総理大臣の権限発動の要件が私は不十分ではないかと思っています。

 といいますのも、これは消費者サイドに立った条文ではあるんですが、逆に事業者の側から見ると、営業の自由とか財産権の自由が極めて制限される、こういう内容でございますので、要件が不明確だと、基本的人権の侵害という問題も生じてくるかなというふうに思っています。

 それで、今回の条文を見ておりますと、抽象的な要件になっておりまして、このあたりで過度に営業の自由とか財産権を制限しているというふうに思えるんですけれども、この点についてお考えはいかがですか。

野田国務大臣 すき間事案に対する内閣総理大臣の権限は、被害の発生または拡大の防止を図るために実施し得るほかの法律の規定に基づく措置がない際に発動されるものでありますけれども、その権限にふさわしい要件を規定していると思います。

 まず、共通要件について申し上げますと、権限を発動するためには、商品等または役務が消費安全性を欠くことにより重大事故等が発生したことが必要であります。すなわち、商品等または役務が通常有すべき安全性を欠いていること、すなわち消費安全性が欠如していること。そして二番目には、消費者の生命または身体について重大な被害が発生したことまたは発生するおそれのあること、すなわち重大事故等が発生したこと。そして三番目には、消費安全性を欠くことと重大事故等が発生したこととの間に因果関係が存在すること、すなわち因果関係が存在すること。という三つの要件を満たすことが必要になるわけです。

 そして、個別要件になりますと、次にそれぞれの権限の発動に対しては、これに加えて、まず初めに、事業者に対する勧告を行う場合には、重大消費者被害の発生、拡大の防止を図るため必要であると認められること。そして二番目には、勧告内容の実施命令を行う場合には、勧告に係る措置を正当な理由なくとらなかった場合であって、特に必要であると認められること。そして三番目には、事業者に対する譲渡等の禁止、制限を行う場合には、重大消費者被害が発生、拡大する急迫した危険があって、特に必要であると認められること。そして、回収等の命令を行う場合には、譲渡等の禁止、制限に違反したことという要件を満たすことが必要であります。

 また、勧告内容の実施命令や譲渡等の禁止、制限を行うに当たっては、消費者政策委員会の意見を聞くことも要件になっておりまして、権限発動の判断の客観性をここで担保しております。

 すき間事案における内閣総理大臣の権限発動については、このような要件を定めておりますので、要件が不明確であるという御批判には当たらないのかなと思います。

階委員 今説明いただきましたけれども、我々がこの法案、我々の消費者権利院法案をつくるときに、やはり、この消費者問題に行政がかかわるということは、私的自治への介入という側面もあるわけです。ですから、そこで行政が権力の濫用にならないようにするためにどうやっていくかという中で、我々は基本的に、消費者権利院は行政の権限は持たない、監視機能がメーンである。さらに、業務停止命令とかあるいは財産保全命令という権限もありますけれども、それは権利院がみずから行使するものじゃないんです。裁判所に申し立てて司法の判断を仰ぐということで、我々は権限の濫用にならないようにそこに配慮しているということを、まずここで触れさせていただきたいと思います。

 次の質問に移りたいんですが、今回、消費者庁に移管される予定の法律、二十九本ということで、消費者行政推進基本計画、昨年六月に閣議決定されたときに、その移管する法律の考え方として、消費者に身近な問題を取り扱う法律を移管するんだ、こういうことでございました。それでその結果が二十九本ということでございましたが、移管されたもの、移管されないもの、それぞれについて、私は、ちょっと問題があるかなという見地から幾つか法律を指摘して、具体的にお聞きしてまいりたいと思います。

 まず一点目、これは消費者庁に移管されるものです、個人情報保護法。私、弁護士時代に金融機関で社内弁護士をしておりまして、そのときに結構この個人情報保護法はたくさん触れる機会がありまして、金融機関向けの試験問題なんかもつくったりしておりました。だから非常になじみのある法律なんです。

 今回、消費者庁に移管されるとはいっても、従来から内閣府の所管でございまして、余り大きな変動ではないのかなということは理解しております。今のところは、個人情報保護推進室というのが内閣府に置かれて、その中で六人の方が担当しているというふうにお聞きしております。ここが司令塔としての役割を果たすんじゃないかなと。つまり、この法律が業界横断的、全国的かつ統一的に運用されるように司令塔の役割を果たすように思えるというか、そうあらなくてはいけないと考えているんですけれども、実は、よくよく見ますと、業界ごとの縦割りあるいは地方と中央の断絶、内閣府と事業所管庁との二重行政、こういった問題があるというように考えております。

 この点を明らかにしながら、消費者庁ができることでそういった問題点が解消されるのかどうかということをまずお聞きします。

 個人情報保護法において、主務大臣というのは、法律上は事業を所管する大臣というふうに定義されております。この主務大臣は、相互に緊密に連絡、協力する義務を負う、これは三十六条三項にあります。また、内閣総理大臣及び関係する行政機関の長は、相互に緊密に連絡、協力する義務を負う、五十四条にあります。そういった条文があるんですけれども、現状、主務大臣あるいは事業所を所管する官庁同士でいかなる連絡、協力がなされているかということをお聞きしたいと思います。

野田国務大臣 まず、先ほどの事業者の営業活動の自由との関係でちょっと答弁漏れというか、こちらの方を申し上げなかったので、先に答弁させていただくと、事業者の営業の自由との関係につきましては、消費者安全法案に基づく事業者に対する措置については、いわゆる事前規制型のものではなく、事業者が供給した商品等によって消費者の生命または身体に重大な危害を与えるおそれがある場合に、事後的に当該商品等による被害の発生または拡大を防止するための必要最低限の安全性を確保しようとするものでありまして、これは、本来であれば商品等を市場に流通させるに当たって事業者が当然行っておくべき最低限の責務を果たさなかった場合にのみ発動されるものであります。

 いわば消費者の生命身体の安全を確保するための最低限の規制と言えるので、事業者のそもそもの営業活動の自由を過度に制約するものではないというふうに考えているところです。

 個人情報保護法につきましては、もう先生の方がお詳しいと思いますが、個人情報の適正な取り扱いに関する基本的な必要最小限度のルールを定めたものであり、御指摘のとおり、我が国におけるすべての事業分野に共通して適用されているものであります。

 その上で、法の規制の対象となる個人情報取扱事業者に対する監督については、本法の規律の実効性を確保する観点から、各事業者の行う事業を所管している各省庁が所管事業に関する行政の経験などを生かして指導監督を行うことが最も適切と考えられるため、事業を所管する大臣、主務大臣が行うとしてあります。

 また、個別の事業分野における法の解釈、運用についても、事業分野ごとに取り扱われる個人情報の内容や性質、取り扱われ方が異なりますから、各事業分野を指導監督する各省庁がそれぞれガイドラインを策定して、きめ細かくルールを定めております。そういういわゆる主務大臣制というのをとっております。

 このような仕組みをとっていることもあり、個人情報保護法においては、内閣総理大臣及びこの法律の施行に関する行政機関の長は、相互に緊密に連絡し、協力しなければならないこととされているわけです。

 このため、政府としては、内閣府事務次官を長とした関係省庁の局長クラスの職員をもって構成する個人情報保護関係省庁連絡会議というのを設置しておりまして、関係省庁の緊密な連携のもとに個人情報の保護の総合的かつ一体的な推進に努めるとともに、関係省庁、地方公共団体などから成る個人情報相談ネットワークの構築、これによりまして法に関する窓口を明確化しまして、必要に応じて相互に情報提供等を行っております。

 こういうことによりまして、関係行政機関におけます連絡調整の強化に努めているところであります。

階委員 この個人情報保護法というのは、利用する側というか事業者にとってみても、消費者にとっても、非常にわかりづらいんですね。

 何かといいますと、今大臣がお答えになったように、事業所管庁ごとにガイドラインが定められたり、あるいは、そもそも法律の七条に基づく基本方針というものもあったりします。それから、これは公的なものではないんですが、各業界団体が定める自主ルールというものもあって、規範が何重にもあるわけです。かつ、内閣府と事業所管庁がいわば二重行政のような状況になっている。

 場合によっては、私は、銀行であれば、個人情報保護法という場合に何を見るかといいますと、公的なものについては、まず法律を見ます。それから金融庁のガイドラインを見ます。それから、雇用の、雇っている人の個人情報の保護という関係でいえば、厚労省のガイドラインを見ます。最低でも三つ見ます。それから、経済産業省のガイドラインも参考にしておりました。さらに、業界のルールとかも見ます。

 こういうことで、非常に面倒くさい話になっているんですけれども、消費者庁ができた場合、こういうものを統一化して、また担当官庁も消費者庁がなるべく一元化するようにして、わかりやすい仕組みに変えることはできるのか。これは、消費者目線という行政をやるのであれば必要不可欠ではないかなと思っておりますが、この点についてはいかがでしょうか。

野田国務大臣 先ほどお答えしましたけれども、個人情報の保護につきましては、個人情報が取り扱われる事業分野の特性に配慮する必要がございます。ですから、基本的には事業分野ごとに運用していくことが必要であるわけですが、共通して取り組むことが重要と考えられる場合には、関係行政機関の間で連携協力をして一体的な取り組みをしていただくよう今努めているところであります。

 例えば、各省庁において事業分野ごとに策定している個人情報の保護に関するガイドライン、今ちょうど先生がいろいろおっしゃった、これについては、各事業分野の特性とか独自性による部分は除いて、可能な限り各ガイドラインの内容を共通化しようという今取り組みを行っているところです。

 個人情報保護法の消費者庁への移管後におきましても、事業分野ごとの特性に応じたきめ細やかな対応を基本としながらも、総合的かつ一体的な対応が必要な場合には、引き続き、今申し上げました個人情報保護関係省庁連絡会議とか個人情報相談ネットワークの活用を通じて、緊密な連携のもと、適切な個人情報の保護を図ってまいりたいと思っています。

 二重行政についても続けて。

 個人情報の取り扱いに関しては、民間事業者が守るべきルールに関する現行の法制度を構成する要素として、個人情報の保護に関する法律、いわゆる個人情報保護法ほか、基本方針、そしてガイドライン、これらがあるわけですが、これらの性格それから関係についてごく簡単に申し上げます。

 法律、政令というのは、国におけるすべての事業分野において民間事業者が守るべき必要最小限のルールを定めて、この法制の中核としているものです。

 基本方針、閣議決定しているものですが、この法の規定に基づいて、個人情報の保護に関する施策の総合的かつ一体的な推進を図るために政府が定めるもので、事業者から見れば、みずから取り組むべき指針としての意味はあるものの、それ自体が直接事業者に義務を課すものではありません。

 ガイドラインは、法律が全事業分野を対象としているもののため、個々の規定がある程度包括的、抽象的なものにならざるを得ない、そういうこともありまして、事業分野ごとの特性を踏まえて、法令の解釈とか運用の方向について具体的に示すもの、いわば法令を補完するものというふうになっています。

 このように、それぞれがこの法制度におきまして重要な役割を果たしているため、これらを一体化するというのは困難であろうと思います。

 しかしながら、このような制度体系となっていることを理由に、内閣府と事業所管庁との二重行政になりかねないのではないかという御心配ですけれども、この法律はいわゆる主務大臣制をとっておりますから、内閣府は個別の事業者に対する監督等の権限を有しておりませんので、そのようなことにはならないと考えています。

 なお、事業者が複数の側面を有する事業活動をしている場合には、主務大臣が複数存在し、事業者は複数のガイドラインを参照しなければならないことは、今御指摘のとおりだと思います。ただし、それぞれのガイドラインは事業者の活動についてそれぞれ異なる観点から定めているもので、同じ観点から二重の規制がかかっているわけではございません。

 この点については、事業分野ごとのガイドラインの規定のうち共通化できるものがあるのではないか、そういう御意見もありましたので、政府としては、できるだけわかりやすい制度になるよう、個人情報保護に関するガイドラインの共通化に向けては、繰り返しになりますけれども、取り組みを進めているところであります。

階委員 それと、中央と地方との間に断絶があるのではないかというお話をしたいと思うんですが、地方自治体においても独自に条例で個人情報保護の規定を定めている、中には自治体の中に存在する事業者の個人情報の取り扱いについて規制を課しているものもあるというふうに伺っております。

 内閣府においては、各地域の条例と個人情報保護法との整合性をどのように図っているのでしょうか。

野田国務大臣 日本におきましては、個人情報の保護の取り組みというのは国よりむしろ地方公共団体において先行された経緯がございます。個人情報保護法制においては、各地方公共団体の取り組みを尊重する体系となっているわけです。

 御指摘のとおり、地方公共団体における独自の規律を設ける必要性及び合理性がある場合は、法令に反しない限り、条例によりまして独自の規律を設けることができるわけです。

 法の施行状況調査における総務省からの報告によりますと、地方公共団体の定める個人情報保護条例の中には、みずからの保有する個人情報の取り扱いのルールにとどまらず、当該地方公共団体の区域内の事業者の個人情報の取り扱いについて独自の規制を課している例も見られます。もっとも、住民や事業者に混乱を生じさせないよう、国と地方公共団体が相協力することが重要であることから、地方公共団体が講ずべき個人情報の保護のための措置に関する基本的な事項として、個人情報保護法との整合性を担保するための考え方を基本方針において示しているところです。

 内閣府としましては、各地方公共団体の条例の内容と個人情報保護法との関係を積極的に検証してきているわけではありませんけれども、条例の制定や運用を行う上で参考としてもらうことを目的として、個人情報保護法の趣旨や内容を各地方公共団体が的確に理解してもらえるよう、法ができて今日に至るまで、適時適切な情報提供に努めてきているところでございます。

階委員 結構、地域によって解釈にばらつきがあるということもございます。学校のクラスの名簿とかをつくらないところもあったりとか、そういうばらつきもあったり、そこはやはり国がちゃんと全国的にそういう解釈とかを徹底していかないといけないということだと思います。

 それで、その法解釈の部分だけではなくて、この法律の施行令の十一条一項というものがありまして、地方自治体の長は、個人情報保護法上主務大臣に認められている権限、事業者に対する報告徴収の権限であるとか、助言、勧告、命令の権限、こういったものを行使することが主務大臣にかわってできるというふうになっております。かつ、これらの権限を行使した場合には主務大臣への報告が求められているわけです。

 これまでそういった実績があるのかどうかということをお聞かせ願えますか。

野田国務大臣 これまで内閣府に報告された例はないと。

階委員 つまり、情報が上がってこないという問題もあるわけです。そこに地方と中央の断絶があるのではないかというふうに思っております。先ほども条文を指摘しましたとおり、内閣総理大臣及び関係する行政機関の長は、相互に緊密に連絡、協力する義務を負うという規定があるわけですけれども、これが守られていないのではないかということを感じるわけです。

 消費者庁ができれば、国と地方との間の断絶が解消されて、緊密に連絡、協力するようになるのでしょうか、このことをお聞かせ願えますか。

野田国務大臣 これまでのところ内閣府に報告された例はないわけですが、この事実だけで直ちに国と地方公共団体の間における連携が不十分だと結論づけるのはやはり性急かなと思います。

 いずれにしても、国と地方公共団体の間での情報共有等の連携協力の必要性については、政府としては十二分に認識しているところであります。

 ですから、地方公共団体の長等が処理することとされている事務につきましては、まず事業所管の各省庁と地方公共団体の担当部局との間で引き続き緊密な連携協力を図っていただくことが重要であると考えています。

 内閣府におきましては、これまで、各市町村の職員も対象として、都道府県との共催による個人情報保護法の説明会を二年連続で全国四十七都道府県において実施しております。積極的なこういう広報啓発や情報提供を行っておりますし、努めて地方公共団体との情報共有に今頑張っているところであります。

 消費者庁への法律の移管後も、これらの取り組みを通じて、引き続き、地方の実態の把握とか自治体との情報共有その他の連携協力にはしっかりと努めていきたいと思っております。

階委員 消費者行政の一元化といった場合に、霞が関の中の、官庁の中の一元化ということのほかに、中央と地方の一元化ということもあるわけでございまして、我々は、そういう意味で、消費者行政については、消費者権利院とその支局が中央と地方に置かれることによって中央と地方の一元化も図っているということを申し添えたいと思います。

 最後に、個人情報保護法関係でもう一点だけお聞きします。

 資料をお配りしていますでしょうか。私の手元には来ていないんですが。一枚の表ですね。「個人情報の漏えいに関する裁判例」というのが、一覧表、三つほど事例が挙がっています。新聞などでも取り上げられていたかと思いますけれども、こういった事例の特徴としましては、まず、被害者が多数であるということと、一人当たりの被害額が小さいということが挙げられるわけであります。

 こういう問題について、司法といいますか裁判の手続は実際上は使えないわけですね。被害者が権利を行使しようと思ったら、裁判手続以外のところでやらなくてはいけない。そういった場合に、裁判手続といいますか、一人一人が裁判手続を利用するということではなくて、別な仕組みを考えなくてはいけない。そこで、我々は今回、適格消費者団体に損害賠償請求訴訟というものを認めて、こういった問題に対応できるようにしているわけです。

 政府案では、こういう多数の人に比較的少額の損害が生じた場合に対してどのような対応をとられるのか、このことをお聞かせ願えますか。

野田国務大臣 消費者庁は、消費者被害の未然防止及び拡大防止に加えて、もちろん消費者被害への体制を強化するものでございます。

 被害者に対しては、基本的には、それぞれの地元の消費生活センター等が中心となってあっせんまたは情報提供等の支援を行っていくことになりますが、これらの業務の重要性に比して、その法的な位置づけがこれまではあいまいでした。ですから、今回の政府案では、消費者安全法の第八条及び第十条において、地方の消費生活センターの設置及び義務を法的にしっかりと位置づけて、その実効性の確保をきっちり図ることにしております。

 また、被害者救済制度に関しては、昨年の通常国会におきまして、国民生活センターに重要消費者紛争に関する裁判外紛争解決機能、ADRを新たに付与する法改正をしておりまして、まさに今月、きのうからですか、施行されているところであります。これはまさに、同種の少額被害が多発するという消費者被害の特性にかんがみ、専門的知見を活用して迅速に紛争の解決を図ろうとするものでございまして、この新しい機能を活用することにより、消費者被害の救済が図られることになるわけです。

 消費者庁の創設後は、こうした制度の施行状況を踏まえながら、被害者救済制度のあり方についてさらにしっかりと検討を進めてまいります。

階委員 次に、金融庁と消費者庁の関係を法律の所管なども含めてちょっとお聞きしたいと思っております。

 まず、お配りした資料の二をごらんになってください。金融庁の企画課長の大森さんという方が書いた論文です。「金融財政事情」というものに載っておりますが、一番最後のページを見てください。一番下の段落ですね、最初のところ。「とはいえ、すでに金融消費者庁になっている私たちにとっては、余計なお世話と感じぬでもない。」ここは何を言っているかというと、消費者庁ができたとしても、既に金融庁はそういう消費者を保護する機能を持っているんだから余計なお世話なんだというふうに金融庁は認識していると読み取れるわけです。

 金融庁としては、消費者庁が不要というふうに考えているのかどうか、お考えをお聞かせください。

谷本副大臣 お答えいたします。

 金融庁は、元来、行政目的に三本柱がありまして、一つとして金融システムの安定や透明、そしてもう一つ、公正で活力のある市場の確立、それと並んで利用者保護、利用者利便の向上、この三つを三本柱にして常に各般の施策を実施しておりまして、消費者庁の構想についてもこれまで消極的な対応をとってきたことはございません。

 ただ、今委員御指摘の幹部の寄稿した文章の中で、私もじっくり読ませていただきました、確かに表現的に誤解を招く可能性はあるかもしれませんが、全体をじっくり読んで、その趣旨を見たところ、別の部分では、消費者庁構想の「目指す方向は時代の必然といってよい。」こういう表現もしておりまして、今までもしっかりやってきたんだという部分がそういう表現になってあらわれたのかと私は理解をしておりますし、これから、この金融庁とともにしっかり連携をして利用者保護に努めていく、この部分に変わりはないというふうに考えております。

階委員 これも、金融庁は、自分たちが金融消費者庁だと言って、何か自分たちが消費者を守る本家本元だみたいなことを言われて、さっきも金融ADR法の説明をまさにこの大森さんから受けてきたところなんですけれども、まさに、この消費者庁ができて、四月からは国民生活センターでADR機能が始まるというこの時期で、あたかもそれにぶつけるかのように金融庁でADRを設置するというような話になっていますから、その辺がやはり金融庁としては、自分たちの方こそ消費者保護の本家本元で、消費者庁というのは余計なお世話なんだなということを思った次第でございます。二重行政にならないように、また不毛な権限争いにならないようにしていただきたいなというふうに思うわけでございます。

 具体的な法律の方に移らせていただきますが、金融商品販売法という法律があります。金融商品販売法というのは、主に投資性の金融商品、こういうものを金融機関などがお客さんに販売するときに説明義務に違反したり、そういったことによってお客さんが損害を生じた、その場合の損害賠償責任のルールを定めた法律です。

 その金融商品販売法は、受信といいますか、お客さんがお金を出して金融商品を買う、こういう取引に関する勧誘行為を規制の対象としておりますが、与信、すなわちお客さんがお金を借りる行為、これに伴って行われる勧誘行為などは規制の対象とされていないわけです。

 ただ、最近、サブプライムローンの問題などにも見られますとおり、サブプライムローンというのは、将来担保価値が上がりますからあなたでも十分借金の返済ができますよと言って、甘言を弄して多額の借金を背負わせて、そして後々になって、担保価値が上がるどころか下がって、借金が返済できなくなる、よって破産するというような被害が生じているわけでございます。

 そういうことを考えますと、金融商品販売法に与信の部分についても取り込んでいかなくてはいけないのではないか、そういう改正の必要が消費者保護の観点からあるのではないかというふうに考えるんですけれども、この点について金融庁はいかがお考えでしょうか。

谷本副大臣 金融商品販売法については、今委員が述べられたとおり、一般投資家が自己責任原則によって投資を行えるように、元本割れとか元本欠損のおそれがある場合にその説明義務を課して、それをしなくて損害が生じた場合には損害賠償を行う、民法の特例として定めたものでございます。

 今、もう既に委員が述べられましたけれども、これは、事業者側が商品を売る、顧客の方がお金を出すというものについての法律でございますので、与信については、キャッシュフローの流れが逆になりますから、現在ではそれは対象にはされていない。それを含めるべきではないかという話なんですけれども、それにつきましては、今の法律と、その説明の範囲の違い、あるいは損害額の算定をどういうふうにするかという違いなど、抜本的に考え直さなきゃいけない点がございますので、これはかなり慎重な検討をしなければいけないというふうに考えております。

階委員 そこで、消費者担当大臣にお伺いしますけれども、今度、消費者庁は、この法律、金融商品販売法、共管になるわけです。立法を改正する、そういうこともできるようになるわけですけれども、消費者の立場からいえば、今言ったサブプライムローンのような問題、これも当然、被害救済のための手当てが必要ではないかと思うわけで、共管するんだったら、やはりそこは消費者庁としてはやらなければ、共管にする意味がないというふうに思います。どうでしょうか。

野田国務大臣 消費者庁ができました折には、消費者からの苦情相談の内容を踏まえまして、法改正が必要と判断する場合には、迅速に金融庁と協力し法改正を行っていく所存です。

階委員 ありがとうございます。

 あと、金融関係で、今回、消費者行政推進会議が移管の候補として示したんだけれども結局移管されなかったものに、振り込め詐欺救済法というのがあります。振り込め詐欺の被害に遭われた方がそのお金を犯人とおぼしき人の口座に振り込んで、その口座にお金が滞留していた場合に、お金を凍結させて、そこから被害回復を図っていくという振り込め詐欺救済法、これは実は議員立法でございまして、与党の方から原案が出され、民主党の対案を私が中心となって出して、そして国会で議論をして、多少修正して通ったというものでございます。

 これはなぜ移管の対象にならなかったのか。振り込め詐欺救済法というのは、まさに消費者を救済するもので、移管してしかるべきだと思うんですが、その理由をお聞かせください。

松山政府参考人 御指摘の振り込め詐欺救済法につきましては、委員、内容についてはもうよく御存じのとおりでございますので、なぜ消費者庁が移管ないし共管しなかったのかという点について直接申し上げます。

 もう御存じのとおりでございますけれども、振り込め詐欺は、詐欺行為を形成する純然たる犯罪であり、被害者との関係におきまして消費に関する問題とは必ずしも言えないということから、同法につきましては、直接的に消費者の利益の擁護、増進を目的とするものではないという判断でございます。そのような意味におきまして、消費者庁が所管をすることは適当ではないというふうに判断したものでございます。

階委員 あと、似たような法律で、これは法務省の所管なんですが、被害回復給付金支給法というのがございます。これは、振り込め詐欺などの犯罪によって被害が生じました、犯人が捕まって、裁判により犯罪によって得た収益を没収される、その没収したお金を被害者に配分するための法律。先ほどの振り込め詐欺の被害救済法は、これは口座に残ったお金を分配するということなんですが、同じ、振り込め詐欺などのような被害を救済するという似たような制度でございます。

 こちらの被害回復給付金支給法も、移管候補にはなったんですけれども移管されなかった。その理由を法務大臣にお願いできますか。

森国務大臣 今までも御答弁があったところでございますけれども、既に消費者庁に移管または共管することとされた二十九本以外の法律については、当面、消費者庁が所管することとはしないものと整理をされ、消費者庁発足後、消費者庁において移管された法律の執行の実態、消費者安全法等の実施状況、または経済社会の変化などを踏まえ、さらなる検討を行うことになると承知をしております。

 お尋ねの法律につきましては、当面、消費者庁が所管すべき法律として消費者行政推進会議が整理した法律に該当しないため、現時点では移管または共管とされなかったと理解をしております。

 法務省としては、今後、消費者庁における検討状況を踏まえ、所管する法律の移管または共管の申し出等があった場合には、その可否等について真摯に検討していきたいと考えております。

階委員 今取り上げた二つの法は似たような法律ですから、これは統一的な視点でもって、直すべきところは直すという役割が必要なのではないかなと。今のように、所管が法務省と金融庁に分かれていては、同じような法律が別々に存在して、場合によってはふぐあい、矛盾、不整合が生じるのではないかというふうに思うわけでございます。

 今、当面の対応として移管はされないんだという法務大臣のお答えだったんですけれども、消費者庁をつくるのであれば、こういった似たような消費者保護に関する法律、これはあわせて消費者庁に移管ないし共管として、消費者の目線に立って統一的な法制上の措置なりをとれるような体制に持っていくべきではないかと思いますけれども、消費者担当大臣、いかがでしょうか。

野田国務大臣 まず初めにやはり消費者に最も身近な法律ということで、推進会議を初め、消費者団体の皆さんのお答えもいただきつつ、二十九本の所管、共管がございまして、その後、推進会議の方から、今後消費者庁ができたときにやはり検討をするべきだという四十三本等々もあるわけでございまして、とにかく一日も早く、消費者庁ができた暁には、それが検討できる場所が生まれるわけですので、そういうことも踏まえてしっかりと検討できる場所をつくっていきたい。ぜひとも速やかな成立をお願いしたいと思います。

階委員 今、消費者に身近な問題を取り扱う法律は消費者庁に移管するという基本的な考え方を伺いました。

 そこで、法務大臣にお伺いしますけれども、消費者に身近な問題を取り扱うという意味では、私は、民法は絶対それに当たると思います。民法こそが一番消費者に身近で、普通、消費者問題を解決する上で民法は避けては通れないような基本的な法律ですから、なぜこれが移管ないし共管にならないのかというのは非常に疑問に思うわけです。この点について、理由をお聞かせ願えますか。

森国務大臣 法務省では、御案内のとおり、今後、民法の債権編を中心として抜本的な見直しを進めていこうと考えており、現在はその準備的な研究を行っているところであります。

 消費者保護という視点は、民法が制定されました明治時代には十分意識されていなかったものですから、今般の民法改正の検討に当たっては当然に考えていかなければならない重要な課題であると認識をしております。

階委員 多分ちょっと答弁がずれてしまったと思うんですが、今お聞きしたのは、民法はなぜ移管ないし共管の対象とならなかったのかという質問です。

森国務大臣 それは、繰り返しになりますけれども、民法につきましては、当面消費者庁が所管すべき法律として消費者行政推進会議が整理した法律に該当しないため、現時点では移管または共管とされなかったと理解をしております。

階委員 消費者に身近な法律の最たるものが移管されていないということを御指摘したいと思います。

 それから、貸金業法という法律があります。貸金業者を規制する法律でございますけれども、これは金融庁と消費者庁の共管になっています。それで、サービサー法という法律がございます。これは法務省の所管でございます。サービサー法と貸金業法というのは非常に共通する部分も多いわけでございまして、お金を貸して債権を回収するというのは一体的に行われるわけでございますから、この点についても、貸金業法を共管とするのであればサービサー法も当然共管として、そして両者を一体的に見られるような体制にすべきだと思うんですが、法務大臣、なぜサービサー法は共管とならないのか、お聞かせ願えますか。

森国務大臣 これも同じ御答弁になってしまうわけでございますけれども、当面消費者庁が所管すべき法律として消費者行政推進会議が整理した法律に該当しないため、現時点では移管または共管とされなかったと認識をしております。

 法務省としては、今後、消費者庁における検討状況を踏まえ、所管する法律の移管または共管の申し出があった場合には、その可否等について真摯に検討してまいりたいと考えております。

階委員 最後に、消費者担当大臣にお伺いします。

 今、なぜこれが移管になり、これが共管になり、これがそのままになりということをるるお伺いしてきましたけれども、こういう移管とか共管とかそのままとか、そういうことを議論していても余り意味がないように思います。結局のところは、権限をどうするかというよりは、その権限が適切に行使されるための制度をつくるということを考えた方が生産的なんだと思います。そこら辺で、我々は、やはり消費者の目線に立って、内閣の外から既存の消費者保護の行政の仕組みがちゃんと機能するようにコントロールしていくといいますか、すなわち消費者の目線に立って監視していく、そういうような仕組みをもってやろうとしているわけでございます。

 こういう移管とか共管、こういう議論について、大臣はどういう方向で今後考えられるのか、そこだけ最後にお聞かせください。

野田国務大臣 この場でも、二十九が多いか少ないかとか、その後の四十三がどうしてなのか、そういうやりとりが多いわけですけれども、まず、そもそも消費者庁をつくるに当たって、表示とか安全とか取引の中で二十九という広範な法律を移管、共管することで、しっかりと、これまで消費者が被害に遭っていた大半をみずからの法執行のもとで速やかに解決することができるということが大前提であります。

 なおかつ、まだまだいろいろあるじゃないかということにつきましては、ないからそれをやらないのではなくて、消費者安全法によってきちっとリーチできるように、それぞれの所管の大臣としっかりとリーチできるような担保の法律もしっかりセーフティーネットとしてつくってあるわけです。

 とにかく、いまだかつてない消費者目線の、消費者最優先の行政組織をつくるに当たって、スタートする第一歩として、巨大官庁をつくることが本来の消費者利益に資するのではない、やはりきっちりと自分の法律を持つことによってみずから執行していく、強いパートナーとして取り組んでいくことを決めさせていただいたわけでありまして、今後とも、別にきょうあるものがもうないというわけじゃなくて、消費者庁ができれば、必ずそこで、これはどうするという企画立案等ができる場所ができるということが極めて重要だと私は思っております。

階委員 ありがとうございました。これで終わります。

船田委員長 次に、小宮山洋子君。

小宮山(洋)委員 私も提出者でございますのでなかなか発言の機会が、けさは聞いていただきましたけれども、ないところなども含めて、きょうはせっかく法務大臣にお越しいただいているので、野田大臣と森法務大臣に伺っていきたいというふうに思っています。野田大臣にもしっかり聞かせていただきたいと思います。

 まず、消費者庁の仕組みと権限について伺いたいんですが、野田大臣は、再三、消費者庁は司令塔としての役割を果たすので、今の時代の中で、職員も予算も小さくしてやるというふうにおっしゃいましたけれども、本当に機能できると思っていらっしゃいますか。

野田国務大臣 本当に機能できると思っています。

小宮山(洋)委員 大体今まで、既存の省庁は、ほとんど業界指導という形で、なかなか消費者の方を向いてくれない。特に、内閣府が総合調整をするということで、そこに国民生活局が入ったことによって、かえって経済企画庁のときよりも消費者への対応が見えなくなってきたという消費者からの声もあるんですね。

 既存省庁がそれぞれの権限を持っている中で、新しく消費者庁という新しい庁ができて、既存の省庁に対してきちんと力を発揮できるのか。それは、もちろん行政の中で消費者を扱う部分が大きくなるのは私たちも必要だと思っているんですが、今の仕組みの中で、業界官庁と言っちゃいけないのかもしれませんが、既存の省庁と本当に渡り合えるのか、それはどういう根拠に基づいてそういう確信をお持ちになるのか、伺いたいと思います。

野田国務大臣 少し丁寧に御説明を申し上げますと、消費者庁は、今回、定員二百四名としておりまして、法案に盛り込まれた権限の行使とか、司令塔機能の整備や個別作用法の移管に伴う業務等に必要な経費として、二十一年度予算において約九十三億円計上しています。

 こうした定員、予算のもと、消費者からの相談情報の分析や困難事案への助言、専門的な知見を要する表示基準等の調査分析や法執行などの分野で非常勤職員を活用する、緊急時にはタスクフォースを設けて、各種事案に迅速かつ適確に対応する等の効率的、機動的な運営を行うことにより、消費者庁が消費者行政に関する政府全体の司令塔として機能することは可能と考えております。

 まさしく今議員がおっしゃったように、今のままでは消費者行政はできないんですね。ですから、消費者庁という新たな、環境庁に次いで約四十年ぶりの、消費者最優先の消費者行政をつかさどる責任官庁を行政組織として誕生させることで、これまで消費者行政がうまくいっていなかった理由には、一つの省で産業側に立つ側と消費者側に立つ側があって、そこのもたつきもあったろうし、複雑な商品、サービスの中でどこが受け持つかというたらい回しもあったろうし、そういうさまざまなもろもろの反省を踏まえて、一括で一元的にそういう被害を受けとめて、そしてそれに対して答えを出していく、そういう行政組織を内閣の中にしっかり持つことが大事なんだと。

 それで、各役所とうまくやっていけるのかという話ですけれども、こういうきちっとしたミッションを持っているわけですから。今まではどちらかというとあいまいなポジショニングにあったかもしれない、でも、今、消費者目線で、消費者のパートナーとして、そういう志のもと消費者庁ができるわけですから、当然そこに来る人は、各行政組織でそれを担当としていた専門性の高い人が来るわけですから、伸び伸びと、周りに気を使うことなく、消費者最優先というところでしっかりと、消費者事故に対しての未然防止、拡大防止について国家公務員として取り組んでいくんだ、それが消費者庁の、これからのあるべき官僚の姿だと思います。

小宮山(洋)委員 今、各省庁から来て伸び伸びととおっしゃいましたけれども、そうすると、そこに骨を埋める覚悟で、各省から来た皆さんは戻らないんですか。

野田国務大臣 確約はできませんけれども、私の方からは、その思いで来ていただくということをお願いしております。

小宮山(洋)委員 多分思いだけだと。もちろん野田大臣の熱意というのはよく私もわかっています。消費者団体の皆さんが期待していらっしゃるのもよくわかります。だけれども、思いや何かだけじゃ言うことを聞かない、権限がなきゃ無理だというふうに私は思うんですね。ですから、別にけちをつけるんじゃなくて、ではどうやったら消費者庁が機能をするかという視点で、また野田大臣には伺います。

 せっかく法務大臣においでいただいているので、法務大臣、先ほどの階議員へのお答えを伺っていても、ここは民法のことについても法務省がやるべきだとお答えになりましたけれども、例えば、消費者庁の方から、法務省管轄のこの法律について、ここはこうでだめだから消費者のことを守ってほしいと言われたときに、一〇〇%それに従う、違う異論は差し挟まないということでしょうか。

森国務大臣 私は、ここは法務省がやるべきだと力んだつもりはなくて、むしろ推進会議で整理された結果に基づいて、現状においては法務省で主管するということを申し上げました。消費者庁ができましたらば、消費者庁において検討がなされて、そこから何らかの意思表示がなされましたら、法務省としてもそれを受けとめて真摯に検討させていただくということを申し上げたつもりでございます。

小宮山(洋)委員 それは検討はなさるでしょうけれども、これは違いますという答えが必ず出てくる部分があるんだと思いますよ。

 それで、やはり権限をしっかり持たないと今までの省庁にきちんと言うことを聞いてもらうことはできないと思いますので、ちょっと仕組み上のことを、皆さんとうに御承知だと思いますけれども、内閣官房と内閣府の表をきょうは配らせていただきました。消費者庁設置法にもちょっとありますし、消費者安全法には具体的なところに必ず「内閣総理大臣は、」とあるんですけれども、この内閣総理大臣は、ほかの省庁に対して指揮命令ができる内閣総理大臣ですか、野田大臣。

野田国務大臣 政府が一体となって迅速な対応や再発防止の策定等に取り組むことができるよう、消費者安全法案により、各省庁に対して消費者事故等の情報の通知義務を課し、消費者庁がみずから収集した情報とあわせ、一元的な情報集約を行うとともに、それに基づいてみずから所管する法律を迅速に執行することはもとより、消費者庁の主任の大臣たる内閣総理大臣が各省庁に措置要求を行う等の権限が認められています。

小宮山(洋)委員 では、わかりやすい例としまして、消費者安全法の第十六条の規定による措置要求の権限で見てみたいと思います。

 今、内閣総理大臣は措置要求ができるとおっしゃいましたけれども、本当にできるのかどうか。この図を見ていただくと、結局、行政各部を指揮監督できるのは、内閣法に定められた内閣総理大臣、こちらの内閣官房の方の内閣総理大臣で、これは、閣議にかけて決定した方針に基づいて行政各部を指揮監督することができるんです。だけれども、この法案に書いてあるのは、こちらではなくて、内閣府の下に書いてある内閣総理大臣なのではないですか。

 この内閣府の機能というのは総合調整のみだと思いますが、措置要求の権限で見ると、これは多分、ほかの大臣が嫌だというのに措置要求を聞かせる指揮監督の権限はないというふうに思います。なぜかというと、ここは、内閣府の設置法十一条の二に基づいて、これは総合調整の権限というより他の大臣と対応の分担管理事務としての権限であって、実際はこれは消費者担当大臣が行うことになる権限なのではないですか。

野田国務大臣 消費者安全法案を所管する内閣総理大臣は、内閣府の主任の大臣として、本法に基づく権限を行使するものであります。

 消費者安全法第十六条の措置要求については、内閣の統括のもとに一体として行政機能を発揮できるようにするため、内閣の一員たる内閣総理大臣から、同じく内閣の一員たる各大臣に対し行うものでありますが、各大臣の任免権を持つ内閣総理大臣が行うものであることにかんがみれば、通常は各大臣はこれに応じることが期待されるものであります。

小宮山(洋)委員 期待されるものなんですよね。権限ではないんです。皆さん、ちょっとそこをよくお聞きいただきたい。

 なぜ私がそこにこだわるかというと、私どもが消費者権利院を内閣、行政の外につくらないとできないと思った、それに対して、それは閣内不一致になりますから、閣議など、実際には閣議の前の事務次官会議で、ほかの例えば法務省とか経済産業省とか国土交通省とかが、消費者庁のおっしゃることはまあ消費者の視点でしょうけれども、私どもはこういうことなのでそれはイエスとは言えませんといったときに、これは閣内不一致になるから消費者の権利は守られなくなってしまうんですよ。そういうふうに申し上げたときに、私のところに説明に来てくれた人が、いや大丈夫です、法律には内閣総理大臣とちゃんと書いてあるんですから、総理がちゃんと措置要求とか指揮ができますと言われたんですが、それは法律上違うんじゃないですか。

 今、野田大臣も御答弁の中で、内閣府に位置づけられた内閣総理大臣ですとおっしゃいました。内閣府の内閣総理大臣が持っている権限というのは、総合調整ということがあるので、ほかの横並びよりもちょっと〇・一とか〇・二上かもしれませんけれども、内閣府の中の内閣総理大臣は、ほかの横並びの省庁の大臣と同じ位置にあるのだと、法律上は思います。

 それを任命権のある内閣総理大臣と言うのは、それはこの別の表の内閣官房の方の内閣総理大臣を、同じ人だからというので急に引っ張ってこられたんですけれども、これは法文上はそうはなっていませんね。

野田国務大臣 いろいろと御見解を承りましたけれども、内閣は国務大臣全員で組織する合議体でありますから、内閣の施政については一体として責任を負うべきであることは当然のことでございます。

 閣議決定に至るプロセスにおいて関係大臣の意見が違うこと自体は当然あり得ることで、先般もいろいろ、事故米等々の取り扱いで、石破大臣と私は随分議論をさせていただきました。それぞれの大臣で最初から何でも意見が合うなんということはまたあってはならないわけで、やはりそこの議論のプロセスに違いがあることは問題ないと思います。

 ただ、これはいわゆる閣内不一致というものではないわけで、国務大臣が閣議決定した方針に反する言動、閣議決定したものに対して反したものに対して初めて閣内不一致という問題が生じ得るものと、私は大臣として理解しているところです。

 消費者庁設置法や消費者安全法に規定されている内閣総理大臣は、内閣の首長という位置づけではなく、各省大臣と同様に、行政事務を分担管理、総合調整でなく、分担管理する主任の大臣という位置づけでございますけれども、内閣総理大臣が他の各大臣の任免権を持つということを踏まえますと、内閣総理大臣が行政事務を分担管理する立場から各大臣に行う措置要求等にあって迅速な対応が求められるもの、その内容が適切であれば、通常は、各大臣はこれにしっかり応じられると考えられます。

小宮山(洋)委員 分担管理というのはよくわかっております。それは分担管理としての権限なので、先ほど申し上げたように、消費者の問題については、実際は、消費者担当大臣である、現在であれば野田大臣がなさることなんですよ。それと同じことなんです、内閣総理大臣と書いてあっても。

 ですから、恐らくそういうふうに従うだろうということは、これはやはり法文上の規定ではないんですね。期待なんですよ。だから、そういう意味では、内閣府設置法の中に総合調整機能があるので横並びの中でもちょっとは総合調整の権限はあるでしょうと私は申し上げたので、そういう意味では、先ほど第十六条で措置要求ができるとありましたけれども、措置要求を受け入れてくださいという総合調整ができることであって、これは、内閣法六条にある内閣総理大臣の、今度は内閣官房の方の内閣総理大臣の指揮監督権ではありませんね。そこは先ほどの御答弁を御訂正ください。

 先ほど、内閣総理大臣は十六条についても措置要求ができるとおっしゃいました、間違いなく。措置要求ができるんじゃありません。総合調整としてこの措置をしてくださいと言えるということじゃないですか。法律のどこにその権限が書いてありますか。

野田国務大臣 正確に法律を読ませていただきます。

 消費者安全法案第十六条、「内閣総理大臣は、第十二条第一項又は第二項の規定による通知を受けた場合その他消費者事故等の発生に関する情報を得た場合において、消費者被害の発生又は拡大の防止を図るために実施し得る他の法律の規定に基づく措置があり、かつ、消費者被害の発生又は拡大の防止を図るため、当該措置が速やかに実施されることが必要であると認めるときは、当該措置の実施に関する事務を所掌する大臣に対し、当該措置の速やかな実施を求めることができる。」

小宮山(洋)委員 それは求めることができるんですが、私が伺っているのは、内閣法第六条による指揮監督権ではありませんねと。

 先ほどから、内閣府の大臣としてのと言われましたから、内閣官房の長である内閣総理大臣の法に規定された権限ではありませんねと伺っているんです。

野田国務大臣 指揮監督権ではありません。

小宮山(洋)委員 結局、おわかりのように、消費者庁法案、消費者安全法案にある内閣総理大臣は、先ほどおっしゃったように、内閣府の中の総合調整権限でもなく、他の大臣と対等の分担管理事務としての権限で、実際は、内閣府設置法十一条の二に定められている、特命担当大臣を置き、当該事務を所掌されるものとするということで、消費者政策担当大臣が行っていることにすぎないわけです。

 ですから、それが内閣官房の長である総理大臣と同一人物であるから他の省庁に言うことを聞かせられるというのは、先ほどから、そうだと思う、そういうことを期待するというように、法律論ではなくて政治論の話なんですね。ですから、そうなりますと、これは、その総理のやる気次第、私が思いますと。こんなことでは、消費者庁ができても、消費者の権利を徹底して守ることはできないと私は思っています。

 こうしたことから、民主党は、行政の内部で難しくて、外に消費者権利院を設けて、消費者権利官、消費者オンブズパーソンが権威を持って実効性のある勧告などをするようにしたので、そうすれば、すき間が生じる心配もございませんし、消費者問題すべてに対応することができると考えています。

 これは一つ、問題点として指摘をさせていただきたいと思います。

 それからもう一つ、民主党は、違法収益を剥奪して、被害者が予防の差しとめ請求だけではなくて損害賠償も受けられる制度が必要という、これも消費者の皆さんから、今回の消費者に関する行政機関の大きな改正に当たって強く要望されている点でございますので、その声にこたえて、二年前の消費者契約法のときに出しました法案をさらにバージョンアップして、消費者契約法から切り離して、消費者団体訴訟法案として提出をしております。政府案にここの部分がないものですから、答弁席に座っていてもなかなか御指名いただけないので、きょうはちょっとこのこともここで議論をさせていただきたいと思います。

 当初は、政府案の中でも、違法収益を剥奪して損害賠償をするということが検討されていたと思います。院内集会や外の集会で森まさこ参議院議員から何度も私は伺っておりますが、それは、検討されたということは事実であるかということと、なぜ見送られたのか、野田大臣に伺います。

野田国務大臣 消費者庁は、消費者被害の未然防止及び拡大防止に加えて、被害者救済の体制を強化するものであり、被害者救済またはいわゆる違法収益の剥奪に関する制度を充実していくことも重要な課題と認識しています。

 しかしながら、消費者被害にもさまざまな事案があります。事案に応じてより適切な制度設計を考えるべきでありますし、違法収益を剥奪することにより違法行為の抑止を図るという側面と、個々の消費者の被害の回復という側面のどちらを重視するかによっても制度設計が異なってくるわけであります。

 被害者救済または違法収益の剥奪に関する制度としては、これは民主党案だと思いますけれども、損害をこうむった消費者の損害賠償請求権を代表して行使する方法も考えられますけれども、そのほか、課徴金として徴収する方法や、諸外国において見られるように、行政が主体となり民事訴訟を提起することによって違法な収益を剥奪し、場合によっては消費者に分配する方法等も考えられるところでございます。

 先日の参考人質疑の中でも、これらの制度を比較して、まだまだ十分に検討する必要があるという趣旨の意見が述べられたということを私は存じております。

 こうした検討課題があるからこそ、今回の政府案では、被害救済または違法収益剥奪に関する制度については盛り込んでいないということになります。

小宮山(洋)委員 消費者契約法改正のときの附帯決議でも、検討すべしということが入っていると思います。入れましたので、入っております。その後、二年たっているんですが、検討はどこまで進んでいるんでしょうか。

 私どもは、予防する差しとめ訴訟と被害の損害をきちんと救済する損害賠償とは車の両輪だと言ってまいりまして、消費者団体の皆さんは、まず第一歩はこちらと、つつましやかにそういう主張をされて二歩目を期待されているのに、何か二歩目がどこへ行っているのか見えないという感じなんですが。

野田国務大臣 この検討について、まず諸外国における制度の状況等について調査をすることから検討を始めています。具体的には、外部の有識者に対して、ドイツ、フランス、アメリカ等における消費者被害の金銭的救済手法の動向に関する委託調査を実施いたしました。

 また、適格消費者団体が損害賠償等を請求する制度を含めた集団的な消費者被害の回復に関する制度等について、関係省庁の協力を得つつ、有識者による研究会を開催させていただき、今現在検討を進めています。

 具体的には、消費者被害といってもさまざまなものがあります。そういうことから、その事例を整理していくとともに、関連する日本における現行制度及び諸外国の制度の内容及び運用状況について極力網羅的に調査研究をしています。ですから、アメリカ、ドイツ、フランスといった主要国だけではなく、デンマーク、ノルウェー、スウェーデンといった北欧諸国、ブラジルとか、これまで余り調査が及んでいなかった国々についても、可能な限り調査を行っていくこととしています。

 こうした作業を行っていくことによって、現行制度の限界や問題点を把握するとともに、制度のあり方として考えられる選択肢及び論点をしっかり整理し、これらを比較検討した上で、具体的な制度設計につなげていきたいということを考えております。

小宮山(洋)委員 これはちょっと質問通告していないんですけれども。とりあえず、まず予防ということで差しとめ訴訟が二年前にできるようになりましたが、これは本会議場でも申し上げましたけれども、適格消費者団体の認定要件が厳し過ぎて全国に七つしかない。一番北は埼玉です。そこから北、もっと北の人はどうするんでしょうか。一番南は広島です。こういう状況で、少なくとも差しとめの方はいいと思われますか。

野田国務大臣 やはり適格消費者団体という、消費者を代表する重責に当たられる立場にありますので、諸外国もそうでありますように、しっかりと実績を積んでいたり活動があったりとか、そういういろいろなことを勘案して、お任せできるためには要件はかなり厳しくしないと、逆に今、消費者にとって何だかよくわからない団体ということであってはならないということは、国としては責任を感じています。

小宮山(洋)委員 やはりすごく財政的なもので非常に困難をきわめているので、そこは私どもの法案の中でも、国や地方公共団体が訴訟の支援を財政的にもするとか、やり方によって各地で育てていくことはできると思うんです。私たちの法案でも、むやみやたらに変な団体をするのではなくて、十二項目のこういう団体は入れないというのもちゃんと規定してありますので、もっと差しとめの部分についてもやりようはあると思います。

 それで、この点について民主党案では、適格消費者団体が消費者権利官、オンブズパーソンの情報提供や訴訟支援、これはみずから訴訟に参加することもできるようにしておりますが、それと、今申し上げたような国や都道府県が訴訟の財政的な支援もする、その確保をせよということも定めて、損害賠償で被害者を救済できる制度としております。

 確かに、何回も議論されているように、これはクラスアクション制度ですから、入りたくない人が手を挙げるので、そこで負けてしまうと次に訴訟できないというデメリットはありますが、何もないよりはこれがあった方がいいと思って私たちは出しておりまして、恐らく、父権訴訟、この名前がおかしいということも私は言っていますけれども、行政が主体となる訴訟を将来は私たちもつくりたいと思っています。

 でも、第一歩として、これをつくったということは、消費者団体の皆さんも評価していただいているので、ここは今の消費者庁法案と組み合わせて、一緒にその修正なりなんなりで取り入れるというおつもりはございませんか。

野田国務大臣 民主党案の消費者団体訴訟法案、これは適格消費者団体による損害賠償等団体訴訟を導入しようとするものと認識しています。

 この損害賠償等団体訴訟は、大まかに言えば、適格消費者団体の資格取得を登録制にする、そして、個々の消費者の意思に基づくことなく適格消費者団体により提起された損害賠償等団体訴訟の判決効力が、勝ち負けを問わず、除外の申し出をしなかった対象消費者に及ぶものと理解しています。

 しかしながら、まず登録制については、形式的要件さえ満たせば登録されることになり、不適正な団体が登録されてしまうことによって制度の信頼性を損なうおそれがございます。次に、そのような登録制に基づいて登録された団体による損害賠償等団体訴訟の判決の効力が、勝訴、敗訴に問わず、除外の申し出をしなかった対象消費者に及ぶことについては、憲法上の裁判を受ける権利との関係が問題になります。

 ですから、現在の民主党案を導入することについては慎重に考えざるを得ないし、先日の参考人質疑においても同じような意見が述べられていたと認識しています。

 政府にあっては、とりあえずこれでいこうとか、やはりその間にそういう訴訟が起きて、それは恐らく民主党は勝つことが前提でお話をされているけれども、そうじゃなかったとき、とりあえずやらないよりやった方がましということが果たして適切なのか。政府としては、やはりそういう見解で損害賠償等団体訴訟を進めるわけには責任上できないということであります。

小宮山(洋)委員 とりあえずというのは失礼な言い方だと思います。二年前に……(野田国務大臣「おっしゃったでしょう」と呼ぶ)いやいや、それは今回、行政訴訟の父権訴訟にしなかったのがそうなんですよ。とにかく、二年前にこの法案をつくるときに、とっくに私どもは各国の調査というか、そのデータを持っています。それは、二年かけてそんな各国の調査をしているなんというのは甘過ぎます。

 ですから、それで、これは慎重に考えざるを得ないと私どもの提案を全部否定されると、これは修正というのは成り立たないということはよく御承知おきいただきたいと思います。

 次に、せっかく法務大臣においでいただいているので、法務省との関連について、先ほど階議員もいろいろ聞かれましたけれども、例えばADR法、裁判外紛争解決促進法は、訴訟によらず紛争の解決を図る手続、ADRを実施する第三者機関の認証と、この第三者機関を利用した場合の時効の中断などについて規定をしております。

 これは、本当に消費者と深くかかわるもの、第三者機関の認証などなのに、なぜ消費者庁に移管されなかったのか、移管されたものでも相当共管になっているものもあるのに、そこにも至らなかったのか。これは野田大臣、森大臣、双方に伺います。

野田国務大臣 裁判外紛争解決促進法、正確には裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律は、裁判外紛争解決手続についての基本理念、国等の責務を定めるとともに、民間紛争解決手続の業務に関し、認証の制度、時効の中断等に係る特例を定め、紛争当事者がその解決を図るのにふさわしい手続を選択することを容易にしようとするものでございます。

 同法の定める民間紛争解決手続を活用しようとする紛争当事者については、消費者に限られることなく、事業者、消費者ではない個人も想定されており、消費者利益の擁護及び増進という観点から、特別な民間紛争解決手続を用意するものとはなっていないところでございます。

 他方、消費者庁は国民生活センター法を所管し、本年四月より同センターに裁判外紛争解決機能、ADRを付与するとともに、消費者契約法に基づく消費者団体訴訟制度も拡充されるところであり、消費者庁はこれらを活用することとしています。

 したがって、同法は、消費者の利益の擁護及び増進を任務とする消費者庁が所管することの妥当性、必要性が低いと考えられます。

 また、必要に応じ、内閣府設置法に基づき、消費者政策担当大臣の勧告を行うなどにより対応することが内閣全体の役割分担として適切であり、かつ効率的に消費者利益の保護を図ることができるものと考えております。

森国務大臣 ただいま野田大臣から御答弁があったところでございますけれども、いかなる法律を消費者庁の所管とするかについては、消費者行政推進会議及び内閣官房において種々検討がなされ、私はその詳細を承知しているわけではございませんけれども、消費者利益の擁護及び増進を目的とし、また主たる規制内容としているなどの、消費者に身近な法律に該当するか否かについて検討がなされ、その結果、お尋ねの法律については消費者庁が所管することとはしないと整理されたと理解をしております。

 なお、法務省としては、今後、消費者庁における検討状況を踏まえ、所管する法律の移管または共管の申し出等があった場合には、その可否等について真摯に検討してまいりたいと考えております。

小宮山(洋)委員 先ほどから階議員も伺いまして、私も伺っておりますけれども、別に私は全部を持てと言っているんじゃないんですよ。全部持てと言ったらすごく大きなものになってしまうから、だから、私たちは外だと言っているんですけれどもね。そのとき何を持ってきて何を持ってこなかったか、その理念がはっきりしないと思っています。

 先ほどお二人の大臣の御答弁で、消費者行政推進会議が四十三本は今後でいいとおっしゃったように聞こえたんですが、本当にそうですか。最初はこの二十九本と四十三本全体が提起をされたけれども、各省庁がこれは自分のところで持っていると言ったものが持ってこられなかったんじゃないんですか。

野田国務大臣 これはまず二十九本がございまして、その後に、今後の消費者庁ができたときには検討してほしいという旨で四十三本の例示があったと承っています。

小宮山(洋)委員 これから検討の場を設けるとおっしゃいましたが、どういう場を具体的に設けられますか。

野田国務大臣 まずは消費者庁を設置、創設することでございます。

小宮山(洋)委員 違う違う。その次の段階として、次でいいと言われたから、そこを、検討する場を設けたいとさっきおっしゃったので、どういう場を設けられるんですかと伺っているんです。

野田国務大臣 消費者庁において検討いたします。

小宮山(洋)委員 そうするとぐるぐる回りになって、最初申し上げたように、新しい省庁の消費者庁が他省庁に言うことを聞かせるためには内閣総理大臣がやります、でも、内閣総理大臣は内閣府の内閣総理大臣なので、横並びの大臣でしかありませんということは、冒頭のところでわかりましたよね。

 先ほどから伺っていても、今までの各省庁の御答弁を聞いても、やはり省庁で握っているところはなかなか放してもらえないんですよ。そこをどうやってやるかがきちんとしないと、これは機能しないと私どもは考えています。

 そして、先ほど被害回復給付金支給法のことについて階議員からありましたけれども、組織的犯罪処罰法、被害回復給付金支給法、これは、やみ金融や組織的詐欺など刑事事件の対象となる事件で、犯罪被害財産を没収、追徴して、これを原資に被害者に被害回復給付金を支給する制度を定めた法律で、これも非常に消費者の被害回復に必要な法律ですけれども、消費者庁に移管されていないのはなぜですか、野田大臣。

野田国務大臣 組織的犯罪処罰法、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律は、組織的な犯罪に対する処罰の強化等について定めた法律でございます。

 この法律は、本来、暴力団等による組織犯罪に対して効果的に抑止するために犯罪収益の没収等を定めたものであって、消費者利益の擁護及び増進という観点から直接に規制等を設けているものではございません。

 また、被害回復給付金支給法、犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律は、財産的被害を受けた者に対し、組織的犯罪処罰法に基づき没収された犯罪被害財産等により被害回復給付金として支給する手続を定めているものです。

 被害回復給付金の支給については、没収、追徴等の刑事裁判が確定した後、支給手続が始まり、かかる支給手続は検察官によってとり行われることとされています。また、この手続については、支給を受けようとする者の属性によらず公平に行われる手続が設けられており、特段、消費者の利益の擁護及び増進を図る必要はないものと考えられます。

 したがって、いずれの法律につきましても、消費者の利益の擁護及び増進を任務とする消費者庁が所管することの妥当性、必要性が低いと考えられます。

 また、必要に応じ、内閣府設置法に基づき、消費者政策担当大臣の勧告を行うなどにより対応することが内閣全体の役割分担として適切でございまして、かつ効率的に消費者利益の保護を図ることができるものと考えています。

小宮山(洋)委員 いや、私は、再三言うように、全部持ってこいと言っているんじゃないんです。ただ、持ってくるものと持ってこないものがあって、持ってきたものも共管だとかもとの省庁の権限が強いとかいうと、本当に、せっかく熱意を持って、皆さんも期待をされてつくられる消費者庁が働けないんじゃないですかと心配をしているわけです。

 では、法務大臣にもちょっと具体的に今の件について伺いたいんですが、例えば五菱会のやみ金融事件。これは、昭和六十三年ごろから平成十五年ごろまで違法な高金利でやみ金融業を行っていた事件で、被害者は全国に数万人とも言われています。収益の一部、五十八億円ですが、スイスの金融機関に隠匿されていましたが、その半額がスイスから返還され、現在、被害回復給付金支給法に基づく手続が行われています。けれども、非常に時間がかかっていると思うんです。

 こうしたケースで、現在と消費者庁ができてからどう対応が変わるか、これは法務大臣に伺いたいと思います。

森国務大臣 今の五菱会やみ金融事件につきましては、小宮山委員から概要の御説明がありましたけれども、犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律にのっとりまして、犯罪被害財産支給手続は検察官において実施することとされております。

 五菱会やみ金融事件につきましては、現在、東京地検において犯罪被害財産支給手続を進めておりますが、消費者庁が設置された場合であっても、検察官において適切に対処するものと承知しております。

小宮山(洋)委員 消費者庁ができても検察官が対応する、変わらないという御答弁だったかと思います。

 もう一つ、エビ養殖詐欺のワールドオーシャンファーム詐欺事件、これは、平成十三年に設立されたこの会社が、フィリピンにエビを育てる養殖場があるということで、十日ごとに出資額の約〇・〇五%を分配する、一年後には十倍になると、一口十万円で出資金を募って、全国四万人から六百五十億円に達すると見られる資金を募っていました。

 これは代表者などが組織的詐欺罪で逮捕されていますが、野田大臣、消費者庁ができたら、これはどう対応できるんですか。

増原副大臣 個別案件でございますので、私の方から御説明いたします。

 消費者庁が設置されますと、いわゆる先ほどのケースでございますが、まず第一に出資法、そして第二に特定商品預託法、第三に特定商取引法、これを所管することになります。そして、経済社会の変化にいち早く対応し、適切な法令を整備すること等により、消費者被害の未然防止の体制に努めることになっておりますが、消費者庁は、みずから所管する消費者安全法等の執行を通じて、消費者被害の未然防止及び被害の拡大防止に関し、実効性のある対応をとろうと思っております。

 この具体的なケースでありますが、何度も説明しておりますように、消費生活センター等からの相談情報が消費者庁に届けられますので、それを受けて、その集約、分析を行った後に、消費者に対して注意喚起を行う。その際、典型的な勧誘形態等を公表し、出資に際しての慎重な判断やトラブルが発生した場合の消費生活センターの利用等を促すことになると思います。このほか、出資法違反、詐欺の事実が強く疑われることから、同法違反または詐欺の事実を認めた段階で警察に告発を行うことになると思います。

 以上です。

小宮山(洋)委員 消費者庁ができても、それぞれの省庁は今までと同じ、やりますというような、さっきの御答弁のようなことになるのではないかと危惧をしております。

 次に、ちょっと実例を挙げて、私どもが提起をしている消費者権利院と消費者庁とどちらが迅速に広範に消費者の被害を救済できるかを検証してみたいと思います。

 たびたび出ているコンニャクゼリーのことですけれども、これは、平成七年から二十年までの間に窒息事故で二十二人、特に小さいお子さんや高齢者が死亡されています。なぜ十三年間もその原因の究明や販売禁止などの措置ができなかったのか。これは、野田大臣が大変御奮闘なさっているのはよくわかって、応援をしておりますけれども、こういういわゆるすき間事案と言われるようなものが、消費者庁ができればどれだけ迅速に対応できるのか。

 いつも後ろ時間切れで答弁が私どもできなかったので、私からちょっと、民主党の権利院ならどうできるかを先に言わせてください。

 民主党の消費者権利院法案では、事故の情報はすべて消費者権利院に報告しなければならないと第三十二条に規定しておりまして、消費者権利院に各地の権利局やその支部のところから上がるようになっております。

 消費者権利官は、事故の原因を究明するために、官民を問わず専門的知見を持つ国の研究機関や大学などに協力を依頼して分析を行い、原因の究明に努めます。これは第五十三条の第一項です。また、第三十七条の規定によりまして、消費者権利官は、裁判所にコンニャクゼリーの販売禁止の申し立てを行うことができます。さらに、消費者権利官は、コンニャクゼリーの販売を規制する法律がないこと、すき間事案であることが問題だと考える場合には、法律案について具体的な立案を行い、内閣及び国会に意見の具申を行うことができると第五十二条に定めております。

 また、行為の禁止、停止命令は幅広く適用することができます。この事案についても、被害の甚大性、広がりがあれば、立入検査などをした上で、その販売、譲渡を禁止する措置をとることができまして、被害の拡大を迅速に防ぐことができると私どもは思っておりますが、政府案でこれ以上の方策がとれるか、具体的にお答えいただきたいと思います。これは大臣にお答えいただきたいと思います。

 ここをこうやってと細かい個別のことを言っているんじゃないんですよ。どちらが迅速に対応できるかを、これを例に言っているだけなので、全体像の問題ですから、大臣にお願いします。

野田国務大臣 消費者庁は、コンニャク入りゼリーの誤飲による死亡事故のような問題が発生した場合、消費者の安全、安心を確保するため、政府一体となった迅速な対応を行うに当たり、中核的な役割を果たすことになります。

 具体的には、新法であります消費者安全法等に基づき、重大事故等に関する情報として、情報の一元的集約ルートをたどって、事故情報が地方公共団体等から消費者庁に直ちに届けられます。

 消費者庁は、ゼリーの形状、大きさ、摂食状況、摂食者の年齢等、集約、分析された情報を消費者にわかりやすい形で迅速に公表し、消費者に対し、以前から同種の事故が多発していることを周知するとともに強い注意喚起を促します。

 必要な場合には、事業者に対し、行政指導として、製品の自主回収を促す、あるいは消費者庁が指定する基準を満たす注意喚起表示の張りつけや店頭等での購入者に対する危険性周知、かたさや形状等の品質改善といった被害拡大防止措置をとるように促します。同様に、行政指導を行うよう農林水産省に促すことも考えられます。

 また、消費者安全法に基づき、命令の前提として、注意喚起表示の張りつけや店頭等での危険性周知のなされていない商品の譲渡等の禁止を勧告することが考えられます。

 さらに、被害拡大または同種事故発生の急迫した危険性があり、消費者安全法の要件を満たす場合には、同法に基づき、譲渡、引き渡しを禁止し、消費者の口に危険な食品が入らないよう措置を講ずるなどの対応を行います。

 必要な場合には、消費者安全法に基づき、みずからまたは地方公共団体が立入調査を行います。

 迅速です。

小宮山(洋)委員 これを比較してお聞きになって、どちらが迅速に被害者の権利を守れると思われるか、お考えいただきたいと思います。

 もう一点、中国製の冷凍ギョーザ、これについては、私は民主党の対策本部の事務局長をしておりましたけれども、結局、一年以上たって、何にもわかっていないじゃないですか。

 消費者権利院法案では、行政機関の長、地方公共団体の長が、消費者問題が発生するか、または発生するおそれがある事実があれば、この事実を消費者権利官に報告しなければならないと第三十二条に規定しています。そして、報告義務を果たすために消費者問題の情報を収集して集約する体制を整備することが求められるので、この後、最後に伺いますが、地方の窓口にもしっかりと国が財源を確保したいと思います。

 したがいまして、消費者権利院が設立されれば、こうした事故状況は保健所から地方公共団体、そして地方消費者権利局に通知されまして、国と地方の一元的な組織で迅速に情報を共有できます。

 また、消費者権利院は、集約された事故情報をもとに、輸入禁止などを勧告する行政処分ができるということを第三十五条に定めています。

 さらに、消費者権利院が輸入元の事業者を相手方として裁判所に製品の販売禁止の緊急命令の申し立てをすることができると第三十七条に規定しています。

 一年以上たって何にもわからない今の状況の中で、消費者庁ができると、今私が申し上げた以上の迅速な対応ができるでしょうか。

野田国務大臣 何にもわかっていないという、犯人を見つけることが消費者庁の主たる仕事ではなく、その間でも消費者がさらなる被害の犠牲者にならないようにしっかりと対応していくことというのが消費者行政の根幹ではなかろうかと思っています。これにつきましては、警察も頑張っておりますし、事中国での捜査ですので、それはそのまま進めていただくとして、その間にあっても消費者がそういうものの被害をこうむらないようにするというスキームをしっかりとつくり上げることが、消費者庁、とても大切なことだと思っています。

 では、どういうことになるかという場合は、仮に冷凍ギョーザ事件と同様の問題が発生した場合、消費者の安全、安心を確保するため、政府一体となった迅速な対応を行うに当たり、中核的な役割を果たすことが消費者庁の役割です。

 具体的には、消費者安全法等に基づき、重大事故等に関する情報として、情報の一元的集約ルートをたどって、事故情報が地方公共団体などから消費者庁に直ちに届けられます。

 消費者庁は、集約、分析された情報を消費者にわかりやすい形で迅速に公表し、消費者に対して注意喚起を行います。

 また、消費者政策担当大臣の指示のもと、緊急対策本部を開催することなどにより、厚生労働省や農林水産省、さらには警察庁、外務省等の関係各省庁間での緊密な連携協力を図り、当該省庁に対し、業者に対する自主回収要請を含めた行政指導、所管する法律に基づきとり得る行政処分及び外交ルートを通じた情報収集を含めた迅速な対処等を促します。

 さらに必要な場合には、関係大臣に対し、所管する法律に基づきとり得る行政処分等を行うよう措置要求を行います。

 こうした対応により、消費者行政の司令塔として政府全体の調整を行います。

小宮山(洋)委員 先ほどから伺っていると、消費者庁ができる対応のまずスタートは、情報が上がってくるということですね。ところが、その情報が上がってくるためには地方の窓口が津々浦々になければいけないというふうに思います。

 それで、地方の窓口、それがかぎなんですけれども、これはもう審議の中で再三出てきています。政府案では、自治事務のため、きちんとした財源の保障がない。そうすると、大体ヒアリングでも参考人もおっしゃったように、相談員は五年で一人前なのに、三年、五年で雇いどめという現実が一方である。

 三年間基金を手当てしていらっしゃいますが、これも研修費には充てられるけれども、人件費には充てられない。これをぜひ人件費に充てられるようにしてほしいという声が、きのうもヒアリングした方からありました。これを人件費に充てられるようにするつもりはありませんか、野田大臣。

野田国務大臣 地方の消費生活センターを充実させていくということは私たちにとっても最重要課題でございます。

 ただ、情報がそこだけではなく、やはり津々浦々、保健所とか警察とかさまざまなところの情報を一元集約するというのが今回の消費者庁法の法律の大事なところでございますので、そういうところとの連携強化というのもしっかりさせていかなきゃなりません。

 政府の地方支援策では、地方公共団体の自主財源を拡充するため、消費者行政に係る地方交付税措置を大幅に拡充するとともに、都道府県に基金を造成して、市区町村を含めて消費者行政活性化の取り組みを支援することにいたしました。この基金は、人を採用し、人を育成する際にも活用が可能になっています。

 具体的には、消費生活センター等で実務経験を積み重ねる中で相談技能を養成していくことのための研修にも活用ができ、その参加者には日当相当を支給することができるようになっております。

 さらに、相談窓口の機能の格差を是正する観点から、国みずからも、国民生活センターを活用して、過疎地域を含め相談員が少ない窓口等に経験豊富な相談員が……(小宮山(洋)委員「時間が少ないので、聞いたことにだけ答えてください」と呼ぶ)これは大切なことなので。巡回指導を実施し、レベルアップの機会を提供、相談員養成講座を新たに地方の都市において実施し、地方において人材を育成などの地方支援事業を実施することにしています。

 私としましては、今おっしゃっている、地方公共団体が政府の地方支援策を効果的に活用していただくために、トップの意識を消費者重視に変えていく必要が一番大切だと考えております。数次にわたって地方公共団体に対して働きかけを行っております。

 ですから、まさに地方のトップがそういう理解をしていただくためにも、国の行政組織の中でその役割を担う消費者庁の創設というのが大変重要なことだと思っております。

小宮山(洋)委員 もちろん野田大臣の意気込みはわかります。だけれども、地方のトップの意識を変えたいといったって、それも先ほどの、権限がないけれども期待したいと同じことなんですよ。地方は財源がなかったら人を採用できないんです。それがなかったら今回の法律は機能しないんです。それを再三申し上げているんですよ。

 四年目以降は地方交付税で、再三これも議論されているように、数を一・五倍に、年収を二倍にといったって、これはかけ声だけで、自治事務である限り、これに使われるという保証はないわけですよ。

 私は、この自治事務であることを、当面これを、私たちは緊急避難と言ったらしかられましたけれども、とにかく本来自治事務であるということは全く否定していないんです。だけれども、津々浦々まで本当に消費者窓口に相談員を配置するためには何とかお金を出さないと、気持ちだけじゃ首長さんできないんですよ。

 ですから、せめてその方法を一緒に考えましょう。それも拒否されるんだと、これは修正議論なんて全くなくなっちゃいます。

野田国務大臣 国家公務員という立場になればにわかに相談員がふえるわけではなく、むしろ、基金三年間というのは強化期間ですよ。全くいないところも地方はたくさんあります。この三年間、そういう人材を育てるということが極めて重要で、人がいなければ相談窓口をつくったって何もできやしないわけですからね。その人が足りないところで、まずは研修とかそういうところを地方でと。今までは、どちらかというと研修も国センで集中的に行われる、その結果地方にそういう研修を受けた人が少ないというところで、担い手がいないという問題もある中で、地方公共団体が、消費者庁という国の行政機関ができたことによって首長さんの意識を変えていただくこととともに、これはいかに重要であるかということを認識していただいた上で、この基金を使って、まずは人を育ててくれということに充てる中で、同時的に、並行的に、そこには日当相当が使われるわけですから、そういう意味では両方をかなえることができるのではないかと。

小宮山(洋)委員 あと四十秒ほどですので締めますけれども、もちろん研修に使えるのもいいんです。だけれども、人が足りないの。窓口に人が足りないのに、だから研修に使えるのを否定していません、だけれども、意欲だけでは、人件費も出さなかったら採用できないんですよ、首長さんは。

 ですから、私たちは別に国家公務員にしたくてしたんじゃないんです。今の自治事務になっている中で、地方に国がお金を渡すのには身分をそうしないとできないから。だから、別に、そこで何か連携が悪くなるとか言われますけれども、決してそういうことではなくて、地方にちゃんとお金を出せる方法をぜひ一緒に考えたい。

 書かれた答弁書ではなくて、その意欲でもって何とかいい法案をつくり上げるように、こちらの意見を聞くところは聞いてくださいとお願いをして、質問を終わります。

船田委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 大和都市管財事件とか信託等金融商品、あるいはやみ金による問題など、次々と消費者被害が生まれています。特に金融商品被害は金額が大きくて、高齢者の老後の生活設計を狂わせてしまうなど、大変深刻な問題を起こしております。こうした問題について、やはり違法収益の剥奪とそれから消費者被害の救済というのは今重要な課題だというふうに思うんです。

 最初、法務大臣の方に伺っておきたいんです。法務省は、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案を二〇〇六年に出しております。その検討過程で、これは十年も前からずっと検討を法制審などでやってきておりますが、法律を出される少し前ぐらいの二〇〇五年十月十六日の法制審の議事録を見ておりましても、部会においては、犯罪被害者の救済のためには、本制度とは別に犯罪被害者による民事上の被害回復を容易にするための施策を検討すべきであることとする意見などがあったものの、いずれについても政府の関係機関にまたがる多角的な見地からの検討が必要な問題であり、本部会における検討にはなじまないのではないかという指摘もあり、部会においては本格的な検討を行うには至りませんでしたが、そのような意見があったことをあわせて報告させていただきます、これはそのときの部会長の話ですね。

 そこで、法務大臣に伺っておきたいんですが、その後、違法収益の剥奪について、政府の関係機関ではどのような多角的な検討を行ってこられたのか、その中で法務省はどのようなイニシアチブをとってこられたのか。これを伺います。

森国務大臣 まず、平成十一年に制定されました組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律は、一定の犯罪行為により得た財産等を犯罪収益とし、違法な収益を犯人の手元に残さないため、これを没収、追徴することができるとしつつも、犯罪収益が、被害者のいる場合ですね、犯罪被害財産であるときは、被害者による損害賠償請求権等の実現を優先するため、没収、追徴することを禁じていました。

 しかしながら、被害者が損害賠償請求権等を十分に行使することができないような事案においては、結果として犯人に犯罪収益を保有させかねない事態が生じていたことなどから、平成十八年の改正によりまして、犯罪収益を生じさせた犯罪行為が組織的に行われた場合など、被害者による損害賠償請求権等の行使が一般的、類型的に困難であると認められる場合には、犯罪被害財産を没収、追徴した上で、これを被害回復給付金として被害者に支給することのできる制度を設けました。

 検察当局においては、個々の事件において、犯罪収益の剥奪等、効果的な被害回復が行われるよう、適切に対処しているものと承知をしております。

 なお、委員御指摘の点は、こういう刑事手続に乗らないような場合の救済のあり方に関する問題であるというふうに思いますけれども、この点に関しましては、現在、内閣府において、集団的消費者被害回復制度等に関する研究会が設置されまして、消費者被害回復のための制度のあり方について幅広く検討を行っているところでございます。

 当省といたしましても、オブザーバーとしてその研究会に参加し、議論に協力する形で取り組んでおります。

吉井委員 要は、ずっと考えっ放しということなんですよね。

 それで、野田大臣に伺っておきたいんですが、違法収益の剥奪と被害救済の重要性についてどのように認識しているかということと、政府は、今回先送りしているわけですが、どのように取り組んでいこうというお考えなのか、これを伺っておきます。

野田国務大臣 消費者庁は、消費者被害の未然防止、拡大防止に加えて、被害者救済の体制を強化するものでございます。具体的には、消費者契約法、製造物責任法等を所管しておりまして、これらの法律の適用により、消費者被害の一定の救済が図られることになります。また、経済社会情勢の変化に対応して、民事ルールの迅速な整備に当たることとなります。

 さらに、被害者救済制度に関しましては、昨年の通常国会におきまして、国民生活センターに重要消費者紛争に関する裁判外紛争解決機能、ADRを新たに付与する法改正をしておりまして、この四月から施行されております。これは、同種の少額被害が多発するという消費者被害の特性にかんがみ、専門的知見を活用して、迅速に紛争の解決を図ろうとするものでございます。この新たな機能を活用することにより、消費者被害の救済が図られることになります。また、消費者団体訴訟制度を、消費者契約法だけではなくて、景品表示法または特定商取引法に拡大して導入するといった法改正もあわせて行いました。

 消費者庁の創設後は、こうした制度の施行状況を踏まえながら、被害者救済制度のあり方について、さらにしっかりと検討を進めさせていただくことになります。

吉井委員 いろいろおっしゃったんですけれども、現実にPL法で本当に救済されているのか、救済されるのかという問題がやはりあるわけですから、これは今後も引き続き深く検討し、取り組んでいかなきゃいけないと思うんです。

 民主党案の枝野提案者にお聞きしたいんですが、違法収益の剥奪にはさまざまな手法があると思いますが、民主党が提出している消費者団体訴訟法案の方法もあると思うんです。

 それから、参考人質疑では、弁護士の紀藤参考人が提起された行政官訴訟、いわゆる父権訴訟もあるわけですね。今回、行政官訴訟でなく消費者団体訴訟法案を提出された理由について、それぞれの法理論構成の特徴とメリット、デメリットについてお考えを伺いたいと思います。

枝野議員 私どももいわゆる行政官訴訟についても検討をいたしました。私自身は、理論的に、我が国の憲法下といいますか、行政システムのもとにおいても十分導入は可能であるというふうに思っておりますが、ただ、残念ながら、行政は中立であるとか民事の争いに直接には介入しないという古典的な行政観が我が国はまだ根強く残っているという状況の中では、なかなかそこを乗り越えて早期に大きなコンセンサスを得ることは困難であろう。

 行政官訴訟と団体訴訟は必ずしも両立しないものではないというふうに思いますので、現状を考えるなら、まずはハードルの低い、コンセンサスの得やすいと考える、これは、団体訴訟の場合は民民の争いにおける民間の一方の利益をある人たちに代表させるということですから、従来の行政概念のもとでも問題なく導入することができる制度でありますし、現に差しとめ訴訟ではやっている制度でありますから、これならば与党の皆さんを含めて幅広いコンセンサスを早期に得ることができるという考え方から、まずはできることからということで、この制度を導入、提案いたしているということであります。

吉井委員 消費者の皆さんの願いというのは、圧倒的に情報不足の中で、消費者金融の被害にしても、悪徳業者などによる、高級商品を売りつけられたり危険な食品を食べさせられたりする、こういう被害の未然防止、そしてそれらによる被害の救済、そのために、違法、不法手段で業者が集めた収益を没収して被害の回復につなげていくということ、これが被害者の皆さんの一番の願いだというふうに思います。

 そういう点では、消費者行政の強化のためには、やはり合理的で現実的な仕組みをつくり上げていくということが大事だと思いますので、この問題は引き続き議論を続けていきたいというふうに思います。

 次に、地方消費者行政について伺いますが、地方消費者行政の強化、中でも消費生活相談員の待遇改善の問題です。

 きょうは政府の補助金について質問しますが、野田大臣に伺っておきたいのは、今回の補助金について、消費生活相談員の人件費に使えるようにしてほしいという要望が消費者団体や地方団体から出されております。これは地方消費者行政にかかわる関係者の総意と言っていいと思うんですけれども、この点についての大臣の認識というものを伺っておきたいと思います。

野田国務大臣 この消費者庁関連三法案、検討していく中で、ややもすると霞が関にできる行政組織に注目が行きがちなんですけれども、実のところは、この目的というのは、全国津々浦々、地方の消費者行政を充実させていき、どの地域にあっても消費者が安全、安心に暮らしていけることを、地方の住民サービスというか義務としてきちっと位置づけていくことがやはり一番大事だというところが柱になっていると思っています。

 そんな中で、現在は、あっせんとかいろいろ地方消費生活センターでやっていただいていますけれども、きちっとした位置づけもなく、ある意味ボランティア精神、仕事というよりも、本当に人を助けたいとか守ってあげたいという、そういう相談員の心あふるるお気持ちから相談活動が行われている実態も教えていただいております。

 そして、その人たちが非常に雇用の状況も厳しく、そして報酬も非常に少ないということも聞いていて、できればそういうところも、地方自治にあって、何度も申し上げているんですけれども、せっかく地方分権の中でいろいろなことが地方で主体的にやれるようになった中で、やはりそれぞれの地域に合った消費者行政サービスというのを繰り広げていただきたい。先ほども幾つか事例を出しましたけれども、そういうところが一つでも二つでもふえるように、国としては、地方自治ということをしっかりと守りながら、地方自治のやはり一番の柱である消費者行政サービスというのをよくしていただきたいという支援をしていきたいと思っています。

 そんな中で、まずはとにかく、都市部はいいんですね、たくさん、相談員の資格を持っていらっしゃる方とか。ただ、先ほど申し上げたように、国民生活センターで自主的にそこで研修をしてきたという経緯の中で、どうしても地方にあっては、そういう専門知識を持った方も少ないし、これから一気呵成に全国区で良質な消費者行政をするに当たっては、そういうトレーニングを受けた人も少ないということもありましたので、この三年は都道府県に対して、強化期間ということで、まずはそういう窓口をつくるということ、または、そこに置く専門性を持った人を育てていただくということで基金を、さまざまな形で、その地方自治の必要に応じてメニューの形でつくっていただく。国からこうせいああせいではなく、この地域ではこういうことが必要だということに柔軟に使っていただこうということでセットさせていただいたところであります。

 人件費につきましては、経常的な事務に係る経費を国が負担するということは、住民サービスに係る受益と負担の関係を希薄にさせてしまうことになり、地方公共団体がみずから自主的に消費者行政をやっていただく、その地方分権に反するのではないかと思っています。

 ですから、それも踏まえて基金をつくって、その中には、直接報酬を支援の対象にはしておりませんが、やはり何といっても相談員の人がいないというこの中にあって、人を採用し人を養成するためにはぜひ活用いただきたいということを申し上げているわけで、具体的には、消費生活センター等の現場での相談実務に携わりつつ、実地研修ですが、必要な法律や制度に関する知識の習得を図る座学研修という、この相談員の養成のための人材育成スキームというのが用意されていて、その際には、研修参加者には日当相当の支給をすることが可能というふうになっております。

 また、地方の自主財源拡充のためには、平成二十一年度に消費者行政に係る地方交付税措置の大幅拡充を行いました。これが実際の消費者行政予算の充実や相談員の処遇改善に活用されるよう私も何度も申し上げておりますし、やはり消費者団体の皆さんのお力もかりて、しっかりと各地域地域で首長さんが意識改革をしていただくことについて努力をしてまいりたいと思っております。

吉井委員 地方交付税というのは、御存じのように一般財源ですから、カウントをする上では、計算上は入るんですけれども、実際にそれがそのまま地方の方たちの人件費に使われるというふうには、必ずしもなるというものではありません。

 ただ、法律や制度で、これは人件費に使えない、この補助金が人件費に使えないということは、今度の補助金ですね、それはないんですよね。「自治事務と法定受託事務について」「自治事務と経費負担について」という文書がありますけれども、「例えば、介護保険の介護給付及び予防給付は自治事務だが、その実施に要する経費は、地方財政法第十条により国が負担すべき」であると。「地方分権推進委員会勧告を受けて閣議決定された「地方分権推進計画」でも、経費負担と事務の分類は直接連動するものではない」、こういうふうにしていますね。

 実際、スクールカウンセラーの配置というのは、これは国費で支援体制を充実しているわけでありますし、人件費に係る補助金、交付金を交付しているものは、このほかにも、都道府県農業会議会議員手当等負担金もあれば、婦人相談所に係る婦人保護事業費の負担金もそうだし、それから植物防疫事業、麻薬取締員費等交付金その他あるわけですね。だから、国は、人件費に係る補助金、交付金についてでも示しておりますが、自治事務であっても人件費を出している例はあるわけです。

 ですから、補助金が人件費に使えない理由というのは、実際には法律や制度上はないわけですから、大臣は、自治事務だから人件費には使えないという趣旨のことを今も答弁されましたが、結局、それは大臣の政策判断によって使わない、使えないということにしているのかどうか、伺います。

野田国務大臣 地方公共団体に対する補助について、経常的な経費に国費を充当し続けることは、住民サービスに係る受益と負担の関係を希薄化させることにつながる、地方公共団体が真に住民に必要な行政サービスをみずからの責任で自主的、効率的に選択するという地方分権の方針に反する、そういう理解であります。

吉井委員 地財法十条で言う婦人関係の、例えばドメスティック・バイオレンスにかかわるもの、一時的に出すこともあれば、十六条にかかわる、例えばスクールカウンセラーなどのように継続的に出すというものもあるわけで、ですから、これは自治法上も、制度、仕組みの上では別に問題ないわけですね。

 ですから、そういう点では、大臣が何か地方自治事務だから人件費には使えないというふうにしているとすると、やはりそれは大臣の政策的判断によるものということを言わざるを得ないと思うんです。だから、自治事務であってもそういう出している例があるわけですから、やはりその立場でもっと柔軟に考えていくということが必要だと思います。

 あわせて伺っておきたいのは、消費者問題を担う人を国家公務員にすることもできるわけですが、同時に、例えば警察庁と自治体警察のように、国家公務員で地方に出向している職員もいるし、自治体職員としての警察官もいるわけですね。地方では一緒に仕事をしているという例もあるわけです。もっとも、捜査費も自治体分と国費捜査費分があって、余談になりますが、これは北海道警や愛媛県警の裏金事件につながった問題もありましたけれども。いずれにしても、そういう形もあるんです。

 それから、国民生活局や各省庁から移管する人などは国家公務員で、地方では、消費生活相談員を初めセンター機能を強化して商品テストを充実させるなど、これは、政令など基準を置いて示すことはあるにしても、補助金であっても人権費にも使えるわけです。

 ですから、それは国が財政支援についてもきちんとすれば実現することはできるので、やはりここは政策判断にかかってくるんじゃないかと思うんですが、どうですか。

野田国務大臣 まずは、この消費者庁創設に伴い、地方で取り組まなければならないのは、きちっと法律で地方消費生活センターの仕事ぶりが位置づけられてくる中で、やはりそこを担う専門性を持つ相談員を育成しなきゃいけない。

 ただ、繰り返しになりますけれども、実は、そういう人材がほとんどいない地方というのは随分多くて、まずはそこに着目して、お金をいきなりつけたからといってそこに相談できる人がいるとは限らないわけですから、まずは、この三年は強化期間ということで、研修目的で多くの人たちにかかわっていただく中で、専門性の高い相談員をこの三年の間にしっかり育てていこうということで考えているわけであります。

 そもそも、相談を担える人がいない、確保できないというのが地方自治体の大きな声であることと、もう一つは、国家公務員にという話がありましたけれども、この消費者庁をつくり、地方の消費者行政を進めていく中で、もう既に、先ほど幾つかの事例をお出ししましたけれども、長年にわたり、地方の中で、地方ならではの地方消費者行政というのを育ててきている地方自治体もたくさんある中、そういう先頭に立っている人たち、または相談員の人からも、消費者庁を創設するに当たって、相談員等々が国家公務員になることを決して望んでいない、そういう御見解もいただいていたことも参考にしております。

吉井委員 私は、国家公務員にすることはいいとか、全部地方公務員にすることはいいとか、それを別に今決めつけて言っているんじゃないんです。いろいろな方法というのがあり得るじゃないかと。

 その中で、新しい人を養成していく、研修してもらう、それは、おっしゃることはもちろんよくわかるんです。しかし、現に今頑張っている人たちの七割の方が、大体年収二百万円に満たないワーキングプア状態で頑張ってもらっている。その人件費をきちんと解決するということは、仮に補助金でいくにしたって、自治事務だからだめというものじゃない。これは法律制度上もやっている実例もほかにもあるんだ、やはりそのことを踏まえて臨むということになりますと、要は、これは政策判断にかかってくる問題じゃないかと。

 そこのところをきちんとすることによって、今の深刻な消費生活相談員の方たちの現状も解決するし、それから、もちろん体制の弱い自治体はありますから、そういう自治体についてもっと充実させていく、その道筋というのが開かれるんじゃないかということで伺っているわけです。

野田国務大臣 何といっても、今頑張っておみえになる相談員の人たちの処遇、待遇改善というのは重要なことだという思いは先生と共有しているところでありまして、きょういろいろお伺いしましたので、しっかりと頭に入れておきたいと思っています。

吉井委員 要するに、人件費に出して全く問題ないのに使えないようにしているという発想が、これは、野田大臣が、人件費に使うことが政策判断として望ましくないという判断に立っているのか、あるいは使えないというふうに勘違いをしていらっしゃるのか、どちらかがやはりあるんじゃないか。だから、人件費に使うことは法律上可能であるわけですし、人件費に使えないようにしているのは、むしろ、使えないようにする必要があるという野田大臣の判断による部分がかなりあるんじゃないか。

 そこは、もっと柔軟な発想を持つことによって、まず消費者庁をスタートアップさせることが必要だというお話ですから、そうすると、その目玉の一つがやはり地方消費者行政の体制強化ということであれば、なおさら、人件費を補助する、支援する、その立場で、では現実的、合理的にどう判断し、解決していくのかということが大事だと思いますので、そのことを大臣に改めて伺って、大体時間が来たようですから、最後に質問しておきたいと思うんですが。

野田国務大臣 勘違いしているつもりはございません。

 繰り返しになりますけれども、今、しっかりと先生の御意見を踏まえて勉強させていただきたいと思います。

吉井委員 要するに、政策判断というのをもっと柔軟に持って、要は、消費者被害を受けた方たち、消費者のいろいろな取り組みをしている人たちの期待にこたえる道をやはり切り開いていく、そういう立場で臨むべきであるということを申し上げて、質問を終わります。

船田委員長 次に、日森文尋君。

日森委員 消費者庁を設置するに当たって、法務省との関係では、出資法、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律、これだけが共管事項になったというふうになっているわけです。取り締まりに関する法律なんですが、これだけを共管にしたということの意味、意義、それぞれ御意見はあると思いますが、まず最初に、野田大臣からお聞かせいただきたいと思います。

野田国務大臣 消費者トラブルの中で、利殖商法、和牛商法、現物まがい商法などと言われているいわゆる悪徳商法につきましては、場合により、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律、出資法違反として取り締まることができます。また、これらの取引と類似した取引形態に適用される法律として、ネズミ講を禁止する無限連鎖講防止法、預託取引を規制する特定商品等預託取引法、連鎖販売取引等を規制する特定商取引法がございます。このため、これらの法律を消費者庁が所管することにより、それぞれの法律の適用関係を踏まえて迅速かつ適確に法執行を行うとともに、必要に応じて法改正など法律の企画立案を図ることが可能になります。

 このように、消費者被害の拡大防止、未然防止を図るためには、消費者トラブルの多いこれらの取引について、実態を踏まえ、効果的な消費者利益の擁護及び増進を図っていくため、無限連鎖講防止法、特定商品等預託取引法、特定商取引法とあわせて出資法を所管することとしたものでございます。

日森委員 法務大臣の側から見て、これを共管にしたということの意義について。

森国務大臣 出資法については、まず、出資や金利等に関係する一般的な刑罰法令であり、このような基本的な刑罰法令については法務省が担当するのが相当であるほか、金利の規制等に関しては、金融の円滑化という観点からの検討も必要であるわけでございまして、従来、法務省及び金融庁の所管とされてきたところです。

 一方、出資法に触れる事案の中には、一般的な経済取引を装って消費者から多額の金銭を集めるなどする事例もあり、効果的な消費者利益の擁護及び増進のための施策を検討していく観点から、同法につき消費者庁においても所管するものとされたというふうに理解をしております。

日森委員 関連して、これはさまざまなところで触れられているんですが、消費者行政推進会議が、今後消費者庁の関与について検討すべき例として、総合法律支援法とか利息制限法とか借地借家法、被害回復給付金支給法などなど、六つの法律を挙げているわけです。実際、今後どういう段取りでこの推進会議が提起をした課題について取り組まれようとしているのか。

 例えば、ゼロゼロ物件といいましたか、敷金ゼロ、何とかゼロ、家賃を一日払わないとかぎを取りかえられてしまうというような話があって、これは消費者といいますか国民にとっては大変大きな被害が生まれているわけで、法律の専門家によると、借地借家法違反じゃないかというようなことも今随分言われているわけです。こういうことを考えていくと、やはり消費者の権利利益を守る消費者庁として、推進会議が提起した課題について早急に方向性を示していく必要があるんじゃないかというふうに思うわけです。

 これについて、今後どのような段取りで検討されるのか、お聞きをしたいと思います。

増原副大臣 御指摘の点でございますが、御答弁申し上げたいと思います。

 これまで何度も、四十三本の、消費者行政推進会議が将来検討すべき法律の例として挙げておりますことについて議論がございました。これらの法律はあくまでも例示でございまして、先ほど民法というふうな話も出ましたが、消費者利益の擁護及び増進、これを目的とし、また主たる内容とするなど消費者に身近な法律に該当するかどうか、このあたりはしっかり見ていく必要があると思います。

 具体的にどうかというお話がございましたが、その前に一つ申し上げておきたいのでありますが、これらの四十三本の法律であっても消費者庁が必要に応じて関与できるように、消費者安全法に基づく措置要求等の権限を規定しておることにつきましては御理解賜りたいと思います。

 さらに、この二十九本以外の四十三本、さらにはプラスアルファもあろうかと思いますが、消費者庁発足後移管された法律の執行の実態や消費者安全法等の実施状況、社会経済の変化などを踏まえてさらに検討を行うことになると思いますが、そのときには、新たに設けられます消費者政策委員会、このあたりの御意見もしっかり聞いて、各省の意見も調整しながら対処してまいりたい、そのように考えております。

日森委員 きょうの質問にもありましたけれども、法務省のホームページに法テラスへのリンクが張られていると。

 法テラスは、ホームページによると、総合法律支援法に基づいて設立された独法になっているわけですが、この支援に関する事業を迅速かつ適切に行うということが目的になっているようです。

 先ほど大臣は、どうも認知度が低い、こうおっしゃっていて、全国一律のコールナンバーまでお話しになっておられましたが、認知度が低いというのは、大体こういうのはそうなんですが、要するに、利用者にとって本当に役に立っているのかどうなのかということもあって、ここに言うと何でもできるぞみたいな話になると、かなり利用度も高くなって認知度も広がっていくと思うんです。

 それはともかくですが、消費者問題についての問い合わせなどもたくさんあるようです。これは恐らく統計などとっているんですが、法テラスの意義、趣旨について、ちょっと最初にお聞きをしておきたいと思います。

深山政府参考人 今お話にありました法テラス、日本司法支援センターが担っております総合法律支援制度というのは、司法を国民により身近なものとするために、あまねく全国において、民事、刑事を問わず、法による紛争の解決に必要な情報やサービスの提供が受けられるような総合的な支援体制の整備を行おうとする制度でございます。この法テラスは、この制度の中核的な運営主体として、総合法律支援法に基づいて今御指摘のとおり設立された独法でございます。

 この支援センターでは、司法を国民により身近なものとするために幾つかの事業を行っておりまして、消費者問題に関係するところを取り上げますと、法による紛争解決に資する情報提供業務、それから、経済的に恵まれない方が裁判等の手続を利用する際に弁護士費用等を立てかえる民事法律扶助業務、それから、弁護士等の法律専門家が少ないために、これらの者によるサービスの提供を受けることが困難な地域に、支援センターが直接雇用する弁護士を配置してサービスの提供を行う司法過疎対策業務等の業務を行っているところでございます。

日森委員 例えば消費者庁が設置をされた場合、ここの法テラスに来た相談などとリンクをする必要があるのか。それはどれぐらい意味があるかというのはよくわかりませんけれども、その辺について、野田大臣、要請があればやるということなんでしょうけれども、ここをもう少し強化して、ちょっと聞きますとアンケートなどをとっているようですから、リンクをさせることは考えられているのかどうか、お聞きをしたいと思います。

森国務大臣 法テラス関連のことでございますので私から御答弁を申し上げますと、日本司法支援センターは、平成十八年十月の業務開始以来、コールセンターを設けて、先ほど申し上げましたように、消費者問題を含むさまざまな法的トラブルに関して、相談者の相談内容に応じて法的な紛争解決の制度内容や身近な相談窓口などを御案内してきたところでございます。

 これらの業務を行う上で、消費生活センターなどの関係機関との連携協力が重要であって、これまでにも、消費生活センターから支援センターに民事法律扶助制度の利用を希望される方を紹介していただくなどして、消費者問題に対応しているところでございます。

 今後、消費者問題への取り組みはますます重要になると考えておりまして、消費者庁の設置後には、支援センターにおいては、これまで行ってきた消費者問題への取り組みや関係機関との連携協力関係を一層強化して、消費者問題の解決に必要な情報やサービスの提供に努めていくものと考えております。

日森委員 二十九の法律について所管、共管することになるわけで、そうすると、消費者庁と各省庁との協議、連携というのは大変深めていかなければいけないということになるんだと思います。

 その際、どういう形で各省庁と消費者庁との連携、協議の場を設置していくのかというのが大変大きな問題で、それぞれの担当部署とやっていくのか、それとも、私どもは、各省庁にも、消費者目線でしっかりと仕事をしているかどうかちゃんとチェックできるようなと、ちょっとオーバーかもしれませんが、そういうセクションが必要ではないかと思っているわけです。

 そういう意味では、各省庁の中にも、消費者目線で行政をきちんと考えていけるような、そして消費者庁と連携をとっていけるような、そういういわばミニ司令塔が必要ではないかということも考えているわけですが、そうでないと、何か縦割りがなかなか打破できないんじゃないかという気持ちもあります。

 そういう意味で、省庁横断的な、各省庁の中にも司令塔があるんだという意味で、そういう機関を設置するとかいうことについては何かお考えがありますでしょうか。

増原副大臣 お答え申し上げます。

 私も事故米問題をやったときに感じたのでありますが、各省それぞれ、その当該案件について担当課がはっきりわかっているところというのは、その担当課及びそれを担当する審議官、局長ということになろうかと思います。

 ただ、一つの省庁に複数あるということも十分考えられるわけでございまして、そういう意味では、それぞれの省の官房の方に、まずは第一義的な窓口というものは設置をしてもらわなくてはいけないと思います。

 それと、そのときそのときに応じまして、必要な担当部局も出てきて、政府一体となった取り組みができるような、今は総括官会議というのをやっておりますけれども、そういうものを設けていくことになるのではないかというふうに思っております。

 特に重要案件につきましては、これは責任窓口をはっきり決めまして、消費者庁を挙げて対応することになろうというふうに考えております。

日森委員 法務省の方はどうでしょうか。今、秘書課と言いましたかね、官房秘書課が担当されているとかという話を聞きましたけれども、こうした法の番人といいますか、しっかりと守るという立場の法務省としては、協議の窓口みたいなものについてはどうお考えでしょうか。

森国務大臣 まさに法務省の基本的な使命は国民の権利擁護でございますので、消費者の利益を守る消費者庁とは密接に連携していかなければならないと考えております。

 法務省では、他省庁との連絡調整や内局部課との連絡、総合調整を行う部署をやはり大臣官房秘書課に置いております。したがって、消費者関連の問題について法務省がかかわる場合には、この担当部署において消費者庁と連絡調整を図りながら、省内各局部課との間で緊密に連携、調整して対応することになると思っております。

日森委員 最後に、まとめてちょっとお聞きをしたいと思うんです。

 各省庁の出向者数というのは、もう既に全部確定をしているのかどうか。それから、その際、出向させるに当たって、それはもう各省庁の御都合にお任せしますということで、消費者庁は今ありませんけれども、内閣府の方で何か文句じゃないですけれども御意見は言っているのかということ。それから、消費者庁として、今後、人事についてどういうふうに展望を持ってお考えになっていらっしゃるのか。

 三点まとめてお願いしたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、消費者庁に対します各省庁の出向者数ということでございますけれども、消費者庁の定員を決めます際に、定員につきましては、例えば内閣府でございますとか公正取引委員会、経済産業省、法務省からも定員を振りかえていただいております。その意味では、一つのメルクマールはございますけれども、しかしながら、実際の人事に関しまして、消費者庁に各省庁から何人の方が来られるのか、これはこれから決めていく話でありまして、必ずしもそのとおりになるというわけではないというふうに考えております。

 それから、各省から出向される方に、人材と申しますか、どういう方に出向してもらうのかという点でございますけれども、これにつきましては、消費者庁発足当初から、表示、取引、安全等の広範な分野にわたりまして専門性を有する人材にお越しいただく必要があるというふうに思っております。それからまた、何よりも、消費者の利益の擁護、増進、こういったことを当然のことながら第一に考える、消費者庁の任務を踏まえて対応していただけるような方にお越しいただくということだと思います。

 その意味で、消費者庁の人事当局といいますか、総務課になるわけですけれども、そういうところから、消費者庁にこういった方をいただきたいというようなことを申し上げていくことになるのではないかというふうに考えます。

 それから、最後に、消費者庁の人事をどのようにしていくつもりなのかという点でございますけれども、先ほど大臣からも、御答弁の中で、消費者庁に骨を埋めるくらいの覚悟を持って仕事をしてもらう必要があるということで、各省からももちろん、民間の方も含めまして、出向でお越しになる方がたくさんおられると思いますけれども、そういう覚悟で仕事をしていただく。また、時間の経過とともに、消費者庁を中心にローテーションしていくといいますか、キャリアを積んでいく方、いわば消費者庁プロパーというような方が徐々にふえていくのではないかというふうに考えております。

 なお、自然科学系統の、例えば技官の方ですとか専門家の方などにつきましては、消費者庁の定員全体でも二百四人、そういう技術系の方のポストと申しますか、そういうのは一定数限られておりますので、そういう意味で、人材育成、キャリアをきちんと形成していただくという意味では、外部との交流ということも非常に重要になってくる、そのように考えております。

日森委員 枝野さん、小宮山さん、済みません。来週は必ず、勉強して、我々も全く否定しているわけじゃありませんで、支持しているところもあるわけですから、お聞きをしながら、ぜひ一緒に、いい消費者庁をつくるために頑張っていきたいと思っています。

 どうもありがとうございました。

    ―――――――――――――

船田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 各案審査のため、来る七日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

船田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十一分開議

船田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。井澤京子君。

井澤委員 自由民主党の井澤京子でございます。

 きょうは、質問の時間をいただきまして、また、限られた三十分でございますので、いろいろとお伺いさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、野田大臣、そして民主党の提案者の皆様方も、連日本当にお疲れさまでございますと、一言申し上げたいと思っております。

 さて、三月の十七日にこの委員会でそれぞれ提案理由説明が行われて以降、法案質疑で二十四時間、参考人八人の方々を迎えて約十二時間、きょうの午前中までを含めますと合計三十六時間に及ぶ審議が繰り広げられているということを、私も今質問するに当たり、改めて確認いたしました。

 今回の質問に当たりまして、この三十六時間どんなことが審議されたのか、議事録とかを読み返しますと、例えば、新組織のあり方や法律の所管について、あるいは地方消費者行政の位置づけ、また被害者救済についてなど、多くの審議が行われておりました。いろいろと審議を見る中で、繰り返し審議をされている部分もありますが、きょうまた私の新たな視点で質問あるいは提案をさせていただきたいこともありますので、よろしくお願いいたします。

 きょうは、間もなく私の地元からも京都の消費者団体の皆様方が上京されまして、今ちょうどこちらに向かっていらっしゃるかと思います。委員会を傍聴していただいておりますと文面にはありますが、お待ちしておりますので。

 消費者団体の方ともいろいろと意見交換の中で、皆様方の本当の一つの思いというものは、与野党が協力して何とかこの国会で新たな組織をつくってもらいたいという一点に尽きると思います。そして、きょうここに、大臣のほかにこれだけ多くの方々がいらっしゃいます。法案に携わられる内閣官房や内閣府の関係者の多くの皆様方が同じような思いで、消費者行政の一元化に向けて、連日不眠不休で御尽力いただいていることかと思います。本当にありがたく思っております。そのような思いを踏まえ、きょうは質問をさせていただきたいと思っております。

 午前中の質疑の内容と少し重なる部分もあります。午前中に小宮山委員や吉井委員も触れられましたADRについてお伺いいたします。

 ADRは、わかりやすく言いますと裁判外紛争解決手続というもので、信頼の置ける第三者が間に入って、法律が関係してくる問題を含むトラブルを解決してくれるという、消費者にとっては一番身近で大変便利なものでなければならず、手続が簡単で、そして費用も安く、短期間で解決ができる救済手段であります。そういう身近な救済手段として、ちょうどタイムリーに、昨日、四月の一日から、国民生活センターでも紛争解決委員会を新たに設け、ADRを本格的に始められたと伺っております。

 最近の新聞記事などを読みますと、ちょうど二月二十五日の朝日新聞にこんな見出しで、消費者トラブルが民間で解決をされる、消費者団体が実績を上げて、第三者の仲介で解決を図るADRに関心が高まっているというような記事でした。

 そこで、きのうからスタートした国民生活センターによるADRがどのように消費者の身近な救済のよりどころとして使ってもらえるようにするのか、これまでのADRの国民への広報活動または今後の広報体制をどのように強化されるのか。先ほどの午前中の審議の中で十分答え切れなかった部分もあるかと思いますので、大臣の方から御答弁願いたいと思います。

田口参考人 お答え申し上げます。

 国民生活センターにおきましては、ただいま先生御指摘のとおり、昨年の法改正を受けまして、今月から裁判外の紛争解決手続を実施することとしております。

 このADRでは、先生御指摘のとおり、裁判に行くには敷居が高い、かといって、きちんと解決をしてほしいという消費者の方々の御要望を踏まえまして、さまざまな消費者トラブルを簡易迅速に解決していく、こういう趣旨で設けられたものでございます。この制度が広く活用されていくということが現在極めて大事なことと考えておりますが、そのためには、新しいADRの仕組みに関しまして、広く消費者の方々へ周知を図るということがまさに現下の重要課題であるというふうに考えております。

 こうした国民への広報を行っていくために、これまで、当センターの出版物、ホームページ、テレビ、記者説明会等を通じまして、ADR実施のための紛争解決委員会の仕組みでありますとか、手続、問い合わせ窓口などについて周知を図っているところでございます。昨日の紛争解決委員会の開催を経まして、ちなみに、けさのNHKニュースにおきましても、国民生活センターのADRの仕組みにつきまして報道がされていたところでございます。

 また、こうした制度の内容を解説したリーフレットを作成し、全国の消費生活センターや弁護士会を通じまして広く配布を行っているところでございます。

 今後も引き続き、記者説明会や当センターの各種媒体等を通じまして積極的な広報活動を進めてまいりたいと思っております。

井澤委員 ありがとうございました。

 ADRという名前もちょっとなじみにくい部分があるかと思いますので、さらに広報、国民の皆様方への周知徹底をお願いしたいと思っております。

 ようやく地元の方から、京都の消費者団体の皆様方、お待ちしておりました。よく審議を聞いていただきたいと思っております。

 次に、ADRについても、消費者に知られなければ意味がない、広報活動が重要であるということを今御答弁いただきました。

 皆様、こういう広報が出ているのを御存じでいらっしゃいますでしょうか。昨年の秋に、政府広報として内閣官房から、「消費者が主役となる「国民本位の行政」に大きく転換します。」という、消費者庁設置に向けてのパンフレットがございます。あと、最近ですと、自民党が「消費者の味方、「消費者庁」開設へ。」、こういう冊子を配っております。このような形で、消費者庁について十分に消費者に周知徹底されているかといえば、これが現実問題、いかがなものかなと思っております。

 実は、私ごとですが、先月地元で十カ所ほど活動報告会をさせていただきまして、その中で、消費者庁設置について聞いたところ、知らない方がほとんどでした。例えば中国ギョーザ、あるいはコンニャクゼリーの問題、またエレベーターの事故などについてお話をしますと、ああ、そういう事故があったなということを思い出していただくんですが、消費者庁設置というか、消費者問題に我々政府が取り組んでいるということとうまくリンクをしていかないんですね。

 三月の十七日以降の新聞記事、どんなものが今、国会で審議をされているのか、記事を探してみますと、記事の量も非常に少ない。まして、今週に入ってからは、私が見つけた主要紙だけでも二つか三つぐらい、小さな記事で載っている。私たち、この委員会で三十六時間も審議をしているということが、なかなか国民の皆様方には伝わらないのではないかと思っております。そこは、大臣の思いがなかなか伝わらないという部分とつながっていく部分かと思います。

 野田大臣、そこでお伺いいたします。政府として、今後、どのように全国民に消費者庁設置についてわかりやすく周知してもらうのか、お考えをお聞かせください。

野田国務大臣 私も、井澤先生同様、これだけ重要法案を、三十時間を超える審議をしているのに、どうも新聞、テレビの扱いはささやかだなと、非常に残念なんですけれども、そもそも、ニュースとかそういうたぐいのものは、変わっていないと、普通だと取り上げてもらえない傾向があり、この消費者庁というのは、つくって当たり前、やって当たり前ということなんで、まとも過ぎて余り取り上げていただけないのかな、そういういい意味で理解をさせていただいております。

 今後の周知徹底につきまして、一番の周知徹底のかぎは、一日も早い消費者庁そのものの創設にあると思います。やはり行政組織ができるということが一番のPR。

 その次には、やはり消費者庁ができて何よりも消費者、国民にとって幸せなことは、何かあったときの相談窓口がすぐ身近にある、アクセスできるということが最大のセールスポイントですから、これにつきましては、先ほど御質疑の中にもあったと思いますけれども、全国統一の、だれもが覚えやすい番号をきちっとつけて、何かあったらこの番号にということで周知徹底していこうと。

 それをしかけていく中で、利用者が、非常によかった、迅速にいろいろな被害のあっせんをしてくれた、注意喚起をしてくれたという、国民のそういう口コミなんかがやはり最終的には大きなPRになってくると思うので、いろいろな媒体を使うことは当然のことでありますけれども、何はともあれ、まずは消費者庁というそのものを現実のものにすることが最大のPRだと思っております。

井澤委員 現実のものにすることが最大のPRである、もうこれ一言に尽きると思います。

 続きまして、先ほども、あるいは今までも、消費者の相談員について、人件費の問題とかいろいろと審議がありましたけれども、私は、今大臣からもお話がありましたように、政府が国を挙げてこういうものをつくっていこうというときに、法案や政策が始まるときに、では実際だれが当事者なのか、だれがだれに何をするのかというその具体的なイメージ、それが動き出したときにどういうことが起こってくるのかということを常に考えるようにしております。

 そこで、改めて、相談員についてお伺いいたします。

 聞くところによりますと、消費生活相談員については、その資格が統一されておらず、また、その人数についても、相談に対して対応するにはまだ足りない、非常な人材不足であるということが今言われております。

 資格を持っていても、企業のお客様の相談窓口で働いていたり、資格だけ持っている方々も多いと思います。こうした潜在的な有資格者がどれぐらいいるのか、大変気になるところでございますが、そういう方々も含めて活用することを、私は、早急に検討すべきだと思っております。都市部では有資格者が多くて、地方では相談員が少なくて、地域的にも偏在をしているところがあると聞いております。

 そこで、まず、現在の消費生活相談員の資格の種類や正式な名称及びそれぞれの人数、性別や年齢などの属性について、わかる範囲でお教えください。そして、相談員の資格が実施機関ごとに各種ばらばらで縦割りになっていることが問題であり、消費者行政の一元化をするだけではなく、相談員の資格という部分もやはり統一されて、相談員の一元化というものも考えていくことが必要ではないかと思っております。

 御答弁、よろしくお願いします。

増原副大臣 ただいま井澤委員の御質問でございますが、お答え申し上げます。

 今、消費生活相談の資格に関しましては、まず、行政において消費者相談にかかわる相談員の能力、資質の向上等を図るものとして、国民生活センターが認定する消費生活専門相談員というものがございます。それから二つ目に、地域のリーダーとして、消費者問題の専門家を養成するものとして、財団法人日本消費者協会が付与する消費生活コンサルタントというものがございます。それから、消費者と企業のかけ橋となる人材を養成するものとして、経済産業大臣が認定する消費生活アドバイザーというものがございまして、三つあるというふうに承知いたしております。

 それぞれの資格者につきましては、消費生活専門相談員は全国で約四千名、それから消費生活コンサルタントの方は約二千四百名、それから消費生活アドバイザーは全国で約一万二千名というふうに承知いたしております。

 有資格者の属性につきましては、平成二十年度の資格取得者の数においていいますと、消費生活専門相談員は、男性が二五%、女性が七五%、それから消費生活コンサルタントは、男性が二〇%、女性が八〇%、消費生活アドバイザーは、男性が五二%、女性が四八%というふうになっております。

井澤委員 ありがとうございました。

 今のような数字をしっかりと把握していただいて、今後も、資格が一元化できるのか、あるいはどういう形で人員を確保そして増員していくのかについて、積極的に取り組んでいただきたいと思っております。

 なお、今伺いますと、女性の割合が非常に多くと聞いております。また、女性の新たな働く場としてもお考えをいただきたいと思っております。

 今の質問に関連して、もう一問お伺いいたします。

 消費者庁として、来年一元化をして消費者庁がスタートするに当たって、今の数、実態把握をした上で、今後どれぐらいの相談員を確保、養成していく必要性があるのか、御答弁をお願いしたいと思います。

増原副大臣 数につきましては、このたびつくります基金等でもって、各地方自治体の実態をもう少ししっかり見てからということだと思いますが、もう一点の資格の統一、これにつきましては、地方公共団体や関係団体等からも意見を聞きながら検討しなければならないと思っております。

 特に、統一的な国家資格ということになりますと、業務独占とかあるいは必置、名称独占などの規制を伴います。消費生活相談という業務にどの程度それがなじんでくるのか、そういうものも含めまして、今後、消費者政策委員会等の場で御議論を賜っていきたい、そのように思っております。

井澤委員 ありがとうございました。

 では次に、今までとは違った視点で、雇用対策という視点からお話を伺いたいと思っております。

 私、実は厚生労働委員会にも所属をしておりまして、雇用保険の見直しに始まり、雇用問題というのは昨日も委員会の中で繰り返し質疑がございました。今お話をいろいろと伺いながら、その最前線を担う消費生活相談員の数が絶対数足りない、まだ市町村ごとに把握し切れていないというような問題がある中で、一方、昨今の、何か派遣切りというような言葉が連日新聞などで報道されて、そういう方々のニュースが生々しく私たちの目にも飛び込んでまいります。居場所も働き場所もないというような方が多くいる。労働市場のミスマッチが起きているのは皆さんも御承知のとおりだと思っております。

 一昨日、厚生労働省が発表した二月の雇用情勢について見ますと、完全失業者数は二百九十九万人、完全失業率は四・四%で上昇、有効求人倍率は〇・五九と低下をし、今は十人に六人の人しか仕事につけないという厳しい現状です。この雇用問題解決の方法の一つとして、職を失った人の新たな職場としていろいろと取りざたされているこういう職場として、人材不足の介護の現場や担い手がいない農業分野への労働力の移動ということはいろいろと話題にもなったりしておりますが、これからは、資格を取り消費生活相談員として働いてもらうといった、新たな労働市場としてこういうことは考えられるのじゃないかと思っております。

 雇用対策の切り口で、例えば消費生活相談員というのではなく、少し片仮名を入れてコンシューマーアドバイザーですとかコンサルタントというような職業に命名をして、若い方から、あるいは四十代、五十代の方も多いと聞いておりますので、年齢を問わず、新たな職業として、雇用の創出につなげることができるのではないかと思っております。

 その件についてのお考えと、また、相談員不足にも対応できる、これは新たな労働市場、雇用対策だという部分で、野田大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思っております。

野田国務大臣 井澤先生御指摘のとおりですけれども、相談員一人当たりの相談件数というのは大変ふえているわけですね。やはりいろいろなサービス、物も多種多様になってきて、複雑になってきておりますから。

 だけれども、御承知のように、相談員数というのは不足傾向ということで、その中でもっと詳しく調べてみると、消費生活相談に関する有資格者、先ほど副大臣から数を申し上げましたけれども、何と大都市圏に約七五%が集中している。地方では、消費者庁の関連三法案で地方消費者行政は大切だと言っておるんですけれども、そもそも相談を担える人もいないという地方があるわけですね。そういう状況の中にあって、消費生活相談に係る労働市場においても、大変なミスマッチが起きているというふうに認識をしています。

 また、相談員の方たちのことですけれども、ちょっとやそっとでは相談員になれるわけもなく、さまざまな相談が、電話なり窓口にいらした折に、やはりかなりの専門的知識を持っていなきゃいけないですし、それが食品から金融からサービスから、ありとあらゆることを、消費者は別に選んで来るわけではありませんので、そういうことに対応するために、知識の習得はもちろんですけれども、窓口、現場での実習、研修というのは極めて重要になってくると思っています。

 とりわけ、今度消費者庁をつくって、関連三法をつくって、それまでの地方消費生活センターでの相談員の仕事というのはあいまいとしていた、あっせんしてくださったり相談に乗ってくださったりいろいろなことをしていたことは、地方の仕事というふうにあいまいなところがあったけれども、今度は法律でちゃんと位置づけて、だからしっかり国も支援しますよというふうになっているわけで、相談員の方の責任も重大というか、しっかりとした位置づけもなされるわけですから、やる気も出る。

 そういうことも踏まえて、このたびは政府においては、都道府県に造成する基金を活用していただいて、消費生活センターなどの現場での相談実務に携わりつつ、これは実地研修になるわけですけれども、また、必要な法律や制度に関する知識の習得を図る、座って勉強する座学研修というんですが、こういう相談員養成のための人材育成のスキームというのを用意させていただいております。

 これは相談員を確保して、まず、相談員がいないところというか、相談窓口をつくっても、そこで専門性があって相談に乗ってくれる人がいないと、窓をつくっても意味がないわけですから、そういうところにとっては、この基金を活用して、今申し上げたようなことで、必要な技能を研修で身につけていただくということで、効果的に養成をしていただけるのではないかというふうに思っています。

 消費生活相談員として働く意欲のある方にとっては、実務的能力のある相談員となる職業訓練の機会が提供され、また機会費用を生ずる観点から、研修期間中の日当相当の支給をさせていただきますので、この間の生活保障はちゃんと行われるわけであります。ですから、座学にせよ実習にせよ、安心して研修に打ち込める環境を確保されるという側面を持たせていただいております。

 以上です。

井澤委員 ありがとうございました。

 新しい雇用の創出という視点と、そしていつまでも現役でベテランの相談員としても働ける職場として、この消費者相談員という職業を育てていっていただきたいと思っております。

 さて、時間が限られております。最後に、民主党の提案者にお伺いをさせていただきます。

 一昨日の三月三十一日の委員会において、近江屋議員より、民主党案の消費者権利局に関する枝野議員の趣旨説明と階議員の答弁の矛盾について質問がありました。

 枝野議員からは、言葉足らずでおわびしたいと言われつつ、地方自治体が消費生活センターをそのまま維持したいという希望があればそのまま続けていただきたいと答弁されました。また、消費生活センターについて、国ができるんだったら、自治体によっては国への移行の希望があるのではないかというような、何か矛盾した印象を受ける答弁がありました。その点について一点だけ具体的にお聞きをいたします。

 考えてみますと、地方自治体の中には、従来どおり、続けてきたように、自分たちで消費生活センターを維持していきたいけれども、相談員の報酬、待遇の改善や人員の拡充ということも上げられない、やりたいけれどもなかなかやれないという厳しい財政事情の市町村、自治体も実際にあるわけです。このような自治体の場合、民主党案では、国の責任で相談員の待遇を確保するということができないのではないか。これまで長い間地方の事務として行われてきたことを考えれば、財政状況は苦しくても、何とか引き続き消費生活センターを維持したい、国に譲ることなく自分たちで、自治体でやっていきたいと考える自治体は多いのではないかと思っております。

 このような形で、自治体が引き続き自分のところで続けていきたい、相談員の待遇も改善できない、そういうジレンマがあると思います。このような自治体に対して地方権利局はどうするのか、以下、二つのうちでお答えいただきたいと思っております。

 相談員の待遇改善をできない自治体は、消費生活センターを地方権利局に移行するのか。そして二つ目が、それとも、待遇改善はできないけれども消費生活センターは引き続き地方自治体でやってもらうのか。どうお考えでしょうか。

階議員 ありがとうございます。

 確かに、今、地方の財政状況が厳しいので、自前で消費生活センターを維持するのは大変になっていくと思います。一方で、我々の案でいけば、地方消費者権利局それからその支局に国の責任でもって相談員を配置していくということですので、その相談員を配置されたところの機能で十分ということであれば従来の消費生活センターはそちらに移行していただくということは、十分地方自治体の判断によって行っていただけるものと思います。

井澤委員 今のお答えですと、引き続き地方自治体でやってもらうというようなお答えだったかと思います。それでは、その自治体の消費生活センターの相談員の待遇は改善できない、人員も拡充できない。何か先ほどの議論の中で非常にまた矛盾が矛盾を生んだというような印象を持っております。

 民主党案は、まだまだ疑問が多く、具体的なイメージが抱けない、矛盾、矛盾というような印象を今ここにいらっしゃる皆様方が受けられたのではないかと思っております。現実的なことをよく精査した上で、とにかく、ここにいらっしゃる皆様方が望んでいる消費者庁一元化に向けて審議を続けていただきたいと思います。

 以上、質問を終わります。ありがとうございました。

船田委員長 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口でございます。

 きょうは野田大臣、そして金子大臣、さらに民主党の先生方、よろしくお願いをしたいと思います。

 まず、消費者政策委員会は、内閣府の主任の大臣たる内閣総理大臣、消費者政策担当大臣及び消費者庁との関係において独立性を有するか。消費者政策委員会と消費者庁長官は対等なのか。また、金融庁設置法第九条には、証券取引等監視委員会の委員長及び委員は独立してその職務を行うとありますが、消費者政策委員会の委員長及び委員等は、権限を行使する上で独立性を有するか。野田大臣にお答え願います。

野田国務大臣 消費者政策委員会は、消費者庁と上下関係にあるものではございません。また、委員会は、諮問、答申や意見具申を行うに当たり、何らの制限も加えられるものではなく、独立して職務を遂行するものでございます。

大口委員 私の問いに対しては、独立、そして対等、それから権限の行使も独立性がある、こういうことでございました。

 次に、民主党の方にお伺いさせていただきます。

 まず、野田大臣もいろいろ答弁をされておりましたけれども、我々はやはり地方の消費者行政を充実させていかなきゃいけない、これが今回の法案の、要するに一番のかなめなわけであります。

 野田大臣も答弁されていますように、五年ぐらいかかるかもしれないけれども、まず相談員をしっかり養成していく、そしてそのこと自体、全国のばらつきがないように、これが一つ。それから、私の願いとしても、全市町村に相談窓口が設置されて、それで職員がいて、相談員がいて、PIO―NETの端末があって、そして過疎地については国民生活センターだとか県がちゃんとフォローしていく、こういうものにしていかなきゃいけない。三番目に、相談員の待遇の改善、平均百六十五万では余りにも少な過ぎる、こういうことであると思うんです。

 そういう点で、私どもは、地方財政法上としては地方消費者行政は自治事務でありますけれども、やはり相談員の人件費も含めて、国による財政支援という可能性を、本当にこれは与野党超えてしっかり勉強をして、答えを出していきたいなと思っておるわけでございます。

 そういう点で、国が責任を持って地方の消費者行政を充実させるという点におきましては、政府案と民主党の案の間に認識の違いはないわけでありますが、民主党の案のように、今もちょっと関連する質問がありましたが、国直轄の相談員と地方公共団体の相談員の併存を認めますと、国の相談員と地方公共団体の相談員の間に、当然待遇の格差というものが生じてきます。その場合、地方の最前線の消費生活センターから地方消費者権利局及びその支局に人材が流出するという可能性があるんです。国民生活センターに首都圏の消費生活センターの方が移るという場合もあるわけなんですね。

 そういうことで、小宮山議員の、地方公共団体が自主的に消費生活センターや相談員をふやしたりするのは望ましいとの発言と、民主党の併存状態における人材の流出ということの間にそごがあるのではないか。また、現行の地方の消費生活センターにおいて実行されている相談業務と並行して国の直轄の地方における相談、あっせんということがありますと、これは地方自治に基づく地方の消費者行政に混乱を与えるのではないかなという感じがいたします。

 この併存について、いろいろ地方の御意見も聞かれたのではないかと思うんですが、そういうことも含めてちょっとお伺いしたいと思います。

小宮山(洋)議員 委員がおっしゃるとおり、やはりとにかく地方の窓口にしっかりと人が必要だということでは、政府案も民主党案も変わらないと思います。ですから、政府の方によりよい、津々浦々にしっかりつくれる仕組みができるのであれば、それは伺いたいし、それは話し合いをすればいいと思うんです。

 ただ、私たちが一年以上かけてつくってきた限りでは、今の自治事務の関係で、ここでも再三言われているように、政治の判断で、最初の基金が人件費には使えるという話が午前中ございましたけれども、四年目以降、今度は交付税にした場合には、これはこれに充てなさいと言えないから、そうやる以上はやはり国がしっかり財源を見るべきではないかということと、それから、最近やはり相談の質が変わってきて、一つの自分の都道府県内に限るものではありませんね、東京で悪いことをしていた人が例えば神戸に行って、そこで相談に乗ったときに、何で兵庫の県民税でやらなきゃいけないのかという話もまた別次元であるんだと思います。

 いろいろな意味でしっかりとその内容に対応することと、人材を確保すること、そのためにはやはり国が財源を見なければいけない。それを自治事務になっている中でどうやるかという、苦肉の策というか、考えに考えた策が今の私たちの任期つき国家公務員ということ。ですから、地方の権利局の中に入るといっても、場所は別に移ってこなくたって構わないわけですね。今までの場所で身分保障をすることも考えられる。

 それで、併存するというのはちょっと意味がよくわからないんですけれども、地方自治でちゃんと人件費も出してやっていらっしゃるところ、そこはそれでいいんだと思いますよ。ただ、例として、国の方のあれですと例えば年収三百万なら三百万になるけれども、地方の場合は二百万にしかならないということであれば、そこのところの差額をどうするかとか、研修などは地方自治体でやっていてもやはり国が見ればいいと思います。

 それで、実際に今でも、県が設置する消費生活センターと市町村が設置する消費生活センターとは情報を共有しながらやっているという例があるわけですね。それが急に、国になった途端に何で遠くなるという発想になるのか。それはいろいろな方法論があるから、いろいろな多様なアクセスができた方がいいじゃないですか。別に身分が国家公務員になったからといって、その人たちが偉そうな顔をしてほかの地方の人と一緒にやらないなんてことは、現場からしたら考えられないことだというふうに思うんですね。

 ですから、併存するとそごを来すというのがどうもよくわからないと思います。

大口委員 地方の声をよく聞いていただきたいと思います。ちょっと今の先生のお考えとは感覚が違うようでございます。

 それでは、金子大臣にお出ましいただきましたので、お伺いをさせていただきます。

 三月三十一日の当委員会でも、小川議員の方から質問がありました。また、新聞報道でもありました。東京都港区の竹芝のマンションで、都立高校生、二年生の市川大輔さん、当時十六歳の方がエレベーターに挟まれ死亡した事故、平成十八年の六月三日で、三月三十日、二年十カ月弱ぶりにやっと書類送検、こういう形になったわけで、この場をかりてお悔やみ申し上げます。そして、この書類送検の中で、メーカー側、それから独立系の保守管理会社、そしてメンテナンス担当社員が業務上過失致死ということで書類送検されたわけでございます。

 この高校二年生の市川大輔さんの痛ましい死をもたらした竹芝のエレベーター事故は、平成十八年六月三日に起きたわけでありますが、国交省が現地の調査をしたのは、二年半後の昨年の十二月の三日になるわけであります。

 この現地調査というのは警察の捜査との関係があってなかなか難しい状況もあったと思うんですが、その後、京都市左京区のマンションにおける骨盤骨折事故の場合は、昨年十二月八日に発生して、十二月十日には、警察の協力のもとに国交省や昇降機の専門家が立ち会っている。それから、東京都新宿区の帝都典礼ビルの事故、これがことしの二月十六日に発生したわけでありますが、その同じ日に、国交省の昇降機等の事故対策委員会の委員の立ち会いのもとで新宿区が立入調査をする。あるいは、ことし二月二十五日発生の姫路市の食品会社の工場におけるエレベーターの死亡事故。これも二月二十五日、当日にやはり国交省委員が立ち会い、そして姫路市も立ち会って、二十六、二十七も、また三月三日も立ち入っている。

 こういうことで、やれば現地調査も警察の協力を得てすぐできると思うわけです。この件につきましては二年半かかったということについては、国交省としてどう考えておられるか。

 そして、事故の原因調査と刑事の責任を問うということはある意味では重なる部分もありますが、別個のことでもあるし、また、事故原因を究明していろいろな施策を講じていかなきゃいけないということからいきまして、やはり、この事故原因の調査については、国交省、できるだけ早くこれを調査してそれを公表するということが大事ではないか、こういうふうに思いますが、この点について国交省の見解をお伺いします。

和泉政府参考人 お答え申します。

 御指摘の事故、大変痛ましい事故でございまして、市川大輔さんに心からお悔やみを申し上げます。

 国土交通省としましては、この事故の発生直後から、社会資本整備審議会の中で、想定される問題点を踏まえて再発防止策に取り組んでまいりまして、累次にわたって政省令の改正等基準の強化を図ってまいりました。

 しかしながら、今先生も御指摘のように、警察との連携が不十分であり、その結果でございますが、実地調査が極めておくれてしまった、こういった御指摘を賜っておりまして、この辺は反省すべき点と思っております。

 そういったことを踏まえまして、二月でございますが、社会資本整備審議会の中に、こういった問題に対応するための常設の委員会としまして昇降機等事故対策委員会を設置しまして、専門の先生方に集まっていただきまして、再発防止について万全を期す、こういう体制を整えましたし、加えまして、警察との連携をさらに強化する意味で、今後は、事故があった場合については、事故現場に特定行政庁あるいは私どもの職員、並びに今御紹介しました委員会の専門家、こういった方々が素早く現地へ入って調査を行い、そして再発防止等について万全を期す、こういった体制を整えたところでございます。

 今後ともこの委員会をフルに活用しまして、今後はそういったものについて素早く対応するような体制を整えてまいりたい、こう考えております。

大口委員 新聞報道によりますと、あるいは前回の小川議員からもありましたが、業界関係者の話として、エレベーターメーカーは安い価格でエレベーターの設置の契約を結ぶ、その後、保守点検を系列会社に担わせて利益を上げている。メーカー側にとっては独立系の保守点検会社はライバルであり、取扱説明書や設計図など保守点検に必要な情報が引き継がれないことが多いと言われています。ある独立系会社の幹部は、メーカー側に故障情報を求めても門前払い、ひどい場合は修理に必要な部品すら売ってくれないこともあった、こういう証言をしているわけです。

 平成十四年七月、公正取引委員会でこの大手エレベーターメーカーによる独立系の保守点検業者への業務妨害に対し排除勧告を行っているということが前回の委員会でも明らかになっているわけでありますけれども、私は、大手のエレベーターメーカーと独立系の保守点検業者との関係、業界の実態、これは構造的な問題がある、こういうふうに思っておる次第でございます。

 そういう点で、国交省に、こういう昇降機等の事故対策委員会というのをせっかくつくったわけでありますから、このような業界の実態というものを早急に調査すべきではないか、私はこういうふうに考えますが、大臣の御答弁をお願いいたします。

金子国務大臣 私も、改めまして、お亡くなりになられました市川大輔さんに、御遺族に、心からお悔やみを申し上げます。

 今委員御指摘の問題というのは、本当にそのとおりだと思っております。独立系、メーカー系、これの保守点検会社の実態調査はやった方がいいと思っています、やる必要があると思っておりますので、昇降機等の事故対策委員会にやってくださいと申し上げようと思っています。

大口委員 大変前向きな答弁、ありがとうございます。

 このエレベーター事故というのは、私も国交省に聞きましたら、大体、エレベーターで保守点検をやっている台数が六十六万四千三百四台あるということでございます。それで、人身事故でございますが、平成十五年八月から平成二十一年三月三十一日まで、一般利用者の人身事故は三十四件なんですね。そうしますと、二カ月に一回こういう人身事故が起こっている、こういう状況にあります。

 これは、エレベーター事故の調査等のために、私は、法律に基づき、運輸安全委員会のような調査権限を有する独立した調査機関を設置すべきではないかなと思うわけです。

 鉄道事故は高速で水平に動くわけです。不特定多数の人が利用する。エレベーターの場合は上下に高速で動く。これも不特定多数の方が利用されるわけです。そういう点では、私は同じような扱いをすべきではないかなと思うわけですが、よろしく御答弁をお願いします。

和泉政府参考人 委員の御指摘の点でございますが、まず冒頭申し上げたいことは、委員も十分御案内のように、建築行政の場合には特定行政庁が一義的に責任を負っておりまして、いわゆる運輸安全委員会が持っておりますような立入調査あるいは報告徴取、是正命令等、そういった権限を行使しているわけでございます。そういった意味で、私ども、そういった特定行政庁の権能が十全に発揮されて所期の目的を達成されるように、技術的な助言等々を通じて御支援申し上げている、こういった立場でございます。

 そういう中で、先ほど御答弁申し上げましたが、常設の委員会としまして、まさに国の機関である社会資本整備審議会の中に昇降機等事故対策委員会を設けまして、ここで十全に、情報の収集、現地の調査あるいは再発防止策の検討、こういったことをする体制をこの二月に整えたばかりでございます。

 今後は、まずはこの委員会を十全に活用してどこまでやれるかというようなことをしっかりと見きわめた上で、御指摘の点につきましても引き続き検討してまいりたい、こう考えております。

大口委員 被害者の方からも多くの署名が出ております。国交省としてもしっかり対応していただきたいと思います。

 次に、静岡県に本社があります、これは関東から東海そして近畿圏まで七十八支店を設け、百四十四カ所の住宅展示場に出店していました個人用の木造住宅ハウスメーカーの富士ハウスというのがあります。ここが、ことしの一月二十九日、東京地裁に六百三十八億円の負債で自己破産の申し立てをしたわけでございます。この富士ハウスの破産というのは普通の破産ではなくて、多くの消費者が被害を受けている、こういうことを国交省あるいは弁護団からも聞いているわけでございます。

 特に、着工前、全く着工していない物件について見ますと、手付金の支払い状況ということ、全く未着工は八百四件あるんですね。これについて言えば、二千万以上受け取っているのが二件、一千万以上受け取っているのが十件、五百万を超えて一千万以下が七件、そして三百万円を超えて五百万円以下を受け取っているのが三十六件。こういうふうに、未着工なのにこれだけのお金を受けている。

 そしてまた、着工済みのものにつきましても、加工前、刻みを入れる前の棟上げ前の場合、五十六件あるんですが、そのうち七割以上支払っているのが十八件。それから、加工済みで棟上げ前が八十五件のうち七割以上支払っているのが五十六件。あるいは、おおむね、四、五割完了している棟上げ後大工工事完了前、三百三十七件のうち全額払っているところが五十九件、こういうふうになっているわけでございます。

 これにつきまして、ことしの十月一日から例の住宅瑕疵担保履行法の施行が始まります。新築住宅に欠陥が見つかった場合に備え、補修や建てかえに充てる資金をあらかじめ確保するために保険とか供託で販売業者とか建設業者に義務づけをする、これが十月の一日から施行するわけでございます。これは倒産ということがあってもということなんですが、今回のように工事途中にハウスメーカーや工務店が倒産した場合、完成保証制度があるわけですね。富士ハウスの場合はほとんど完成保証制度に未加入であったということで、消費者が救済を受けられない。全く着工されていないのに二千百万円も借金がある、かわいいお子さんがいて、自殺も考えたという方々がいらっしゃるわけですね。

 消費者保護の観点から、完成保証制度を、広報を徹底的にするということとともに、場合によって、これは義務化ということも検討できるんじゃないか。あるいは、社団法人の住宅生産団体連合会が、ことしの三月二十七日、請負工事代金の前払いを受ける場合、できるだけ工事の出来高に応じた前払いになるように徹底するという内容の自主的なガイドラインを発表していますが、これも法的な規制が必要ではないか、こう考えるわけですが、国交大臣の御答弁を願います。

金子国務大臣 大口委員がおっしゃるような考え方、完成保証への義務づけ、一つの課題だと思っております、あるいは考え方だと思っております。将来そういう方向でやるべきなのかどうか、少し議論させていただきたいと思っています。

 ただ、現在、住宅完成保証制度というのが今できています。必ずしも利用率が高くないんだけれども、どこにその問題があるのかという点検も含めて、今の制度で、何かコストが高過ぎるのか、あるいは何か使い勝手さがあるのか、こういうものも少し検討してみる必要があるなと。

 あわせて、先ほど委員御指摘のように、住宅関係の業者の皆さんが、ガイドラインをつくっていこうということで先般出されました。これを、今度は大手だけじゃなくてもっと中小のメーカーにも広げて、今のガイドラインをどの程度、今委員が御指摘のようなことにならないように広げられるのか、あるいは、このガイドラインの中で相当の強制力を持てるようなものにできるのかどうか、それも含めて検討してみたいと思っております。

大口委員 あと、金融機関の対応も問題があるんですね。金融機関は、富士ハウスの請負工事代金の支払い方法の異常性について特に指摘することもなく、富士ハウスの約定に従って多額の融資を実行。建物の登記完了前は抵当権設定登記はできないものですから、本融資ではなく、つなぎ融資が行われるのが通例ですが、つなぎ融資ではなく本融資を行っていたケースもあります。

 それから、特に、近畿圏のある銀行ですが、地盤改良が終了したにすぎないケースで、破産直前に住宅ローンの全額融資を実行し、しかも、富士ハウスの口座に直接融資金を振り込んでいたということが確認されたわけです。

 金融機関の富士ハウス関係の融資のあり方について、私は問題があるというふうに思うわけでございます。金融庁として、これについてどういう対応をされるのか。弁護団も、きょう、そういう被害者の側の実情について説明をしているようでありますけれども、御答弁願いたいと思います。

谷本副大臣 お答えいたします。

 金融機関による融資やその返済条件については、一般的には、金融機関みずからが、個人や企業の借り手の資産や経営状況あるいは資金の使途、回収可能性等を総合的に勘案いたしまして、みずからの経営判断で、借り手との交渉等により決定されるものと認識をしております。

 このように、個々のケースにおける金融機関の対応は、基本的に経営判断によるというものではありますけれけども、本日委員からの御指摘があったことも踏まえた上で、金融庁としては、金融機関に対して、顧客の実態を十分把握しつつ、真摯に協議を行うなど、きめ細かい対応を行うように監督指導してまいりたいと思っております。

大口委員 しっかり監督指導していただきたいと思います。

 この富士ハウスは、国交省から、長期優良住宅のモデル事業の対象となっていました。富士ハウスは、二百年住宅、国交省認定、超長期住宅先導モデル事業認定、国で認められた先進の住まいなどの広告を大々的に打ち出し、モデルハウスでは大きな垂れ幕をかけ、国が認めているから絶対大丈夫といううたい文句を使っていました。

 この二百年住宅の政策というのは非常に大事な政策だと思うんですが、国交省のモデル事業の採択を受けた企業であるからと、信頼して発注した消費者もいるんですね。国が富士ハウスにお墨つきを与えたことになり、消費者の信頼を裏切った結果ともなっているわけでございます。

 こうした企業への信頼を与えてしまったことについてどう考えておられるのか、何らかの消費者救済策を検討できないのか、お伺いします。

和泉政府参考人 委員御指摘のように、この富士ハウスは、超長期住宅先導モデル事業、こういったものの採択を受けております。しかしながら、これは委員も十分御案内のとおり、いわゆる住宅の長寿命化につきましてモデルとなるような提案を国土交通省が募集しまして、それを第三者の評価委員会が評価して、技術的に、すなわち耐久性、耐震性等々、そういった意味ですぐれたものについて支援することによって住宅の長寿命化を進めていこう、そういった趣旨の事業でございまして、まさに今委員御指摘のように、その企業自体の経営の健全性等についてお墨つきを与えたものではございません。

 しかしながら、こういった事態になりまして、私ども、財団法人の住宅リフォーム・紛争処理支援センター、こういったものを十全に活用して、今困難な状況に陥っている方々に対する相談、あるいは各県弁護士会による相談会の開催等について努めさせていただいている、こういった状況でございます。

大口委員 同じように、消費者を取引の相手とする企業へ、補助事業というのはいろいろ行われているわけです。企業が国から補助を受けたということを消費者にPRするということも多いわけであります。例えば、省エネのためのリフォーム工事や耐震改修工事の補助においても、国庫補助事業の対象工事を行っていることだけをもって優良企業であるかのような宣伝をするような企業も少なくないと思われますので、やはり、悪質リフォームやリフォーム詐欺に利用することがないように、このあたりもしっかり国交省は見ていただきたいと思います。

 そういう中で、悪質リフォーム等の犯罪的な行為が発生する場合、この被害を未然に防止することが一番大事であるわけです。同じような被害を拡大させないということが重要です。

 財団の住宅リフォーム・紛争処理支援センターでは、リフォームに関する相談件数が年間二千件を超えているということでございます。こうした相談のうち、悪質な事案については、被害の拡大防止の観点から、悪質な事案の企業名や事案を早期に公表すべきではないか、そのために、財団の住宅リフォーム・紛争処理支援センターの業務を法律上規定している品確法に公表の根拠規定を措置する等、積極的な公表を行うことを可能にすべきではないか、こういうふうに思うわけでございますが、いかがでございましょうか。

金子国務大臣 御指摘の財団法人の住宅リフォーム・紛争処理支援センター、ここで、リフォーム事業者に関する情報の提供、一方で収集も行ってきているわけであります。

 御提案につきまして、法律上の措置も含めて、内容、方法について、今後検討してまいります。

大口委員 最後に、民主党さんにもう一問お伺いさせていただきます。

 民主党の案では、適格消費者団体について、現行の認定制から登録制に変更することとしています。現行の認定制としているのは、差しどめ請求権という重要な権利を付与されるにふさわしい法人を適切に選定し、制度の信頼性を確保するためでございます。

 現行の認定要件との違いとして、申請者の活動実績に関する要件が削除され、法人の目的が、消費者の権利利益の擁護を図るための活動を行うことを主たる目的としない法人でなければ登録を拒否されないこととしています。これでは、それまで何ら消費者の利益擁護を図るための活動を行ったことがない法人であっても、定款の目的さえそのように変えれば登録が拒否されないことになるわけでございます。それでも適切に差し押さえ請求や損害賠償に関する訴訟をすることができるとお考えなのか。暴力団の排除規定はありますけれども、私は暴力団ですと言ってやるところはないんです。

 そこら辺、御答弁願います。

小宮山(洋)議員 御指摘のとおり、民主党の案では、申請者の消費者団体の活動実績の要件を排除しております。また、これまでNPO法人、一般社団、財団法人に限定していますけれども、民主党案は、生協などほかの非営利法人に拡大もしております。

 御懸念の点でございますけれども、今の適格消費者団体の数は、再三申し上げるように七つしかなくて、余りにも要件が厳し過ぎる、差しとめ請求権の行使さえ今十分に行われない状況だ。これは厳格に認定し過ぎているせいではないかと思いまして、どこに着目をしたかといいますと、そこの団体が、今適切に差しとめ請求や損害賠償等団体訴訟を行うことができるかどうかということをチェックすればいいと考えまして、そのためには過去の活動実績が二年なきゃいけないとかいうのはちょっと、そういう要件を課さなくても、適切にできる団体であればいい。

 そのために何が必要かということで、訴訟を行うことの許可要件として、適格消費者団体が適切に訴訟を行うことができると認められることというふうに規定をしてございます。それからまた、適切に損害賠償等団体訴訟を行わないときは、訴訟を行うことの許可決定を取り消すことができるというふうにもしております。そして、配当手続について、損害賠償請求権等の管理または配当を適切に行っていないときは、その適格消費者団体に対する指定を裁判所は取り消すことができるとしております。

 さらに、消費者権利官が情報提供や資金援助、訴訟参加というこの三つの方法で訴訟援助をすることによって適切に訴訟が行えるように支援をするということを、この法案の四十八条、三十六条、四十九条で規定をしておりますので、適切に差しとめ請求や損害賠償等団体訴訟が行われるように今のような指定を置いておけば、委員の御懸念は当たらないと考えております。

大口委員 ドイツでも、連邦最高裁が、定款の定めのみを基準にしたのでは法律の意図に反して提訴権が広がってしまうということで、登録制といいながら、やはり実績を問うということをやっているわけでございます。

 裁判所に何でもお任せということであれば、これは裁判所も大変でございます。そういうことも御理解を賜りたいと思います。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

船田委員長 次に、園田康博君。

園田(康)委員 民主党の園田康博でございます。きょうは金子国土交通大臣をこの消費者特別委員会にお招きをいたしまして、国土交通省所管のさまざまな案件についての御質問ということをさせていただきたいと思います。

 ちょっと個人的な話になるかもしれませんが、金子大臣、そして野田大臣、両大臣を前にして私がまさか質問をする機会になろうかというふうには思っておりませんでした。地元に帰れば、右を見れば野田大臣の選挙区、左を見れば金子大臣の選挙区ということで、地元では肩身の狭い思いをしておりますけれども、ここ国会では対等な、対等といいますか立法府である国会でございますので、いわばきょうは野田大臣、そして金子大臣に対して、しっかりと今の案件についても御質問をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 私も、まず最初に、先ほど大口委員もお取り上げなさいましたこのシンドラーのエレベーター事故に関しまして御質問をさせていただきたいと思います。

 やはり市川大輔さんの御冥福をお祈り申し上げるとともに、御家族の皆様方にお悔やみを申し上げたいと思っております。

 そこで、金子大臣にお伺いをしたいと思います。先ほど少し大臣もお触れになりましたけれども、そしてまた、この事件が起きてからずっと、新聞等報道機関あるいはさまざまなマスコミ等でも御指摘があったわけでございますし、また先般の委員会でも御指摘がありました。事件が起きてから国土交通省として調査に入ったのが、やはり二年半もかかってしまったと。そして、逮捕、送致、書類送検というところまでは二年九カ月、十カ月近くかかってしまったという反省にやはりしっかりと立っていかなければいけないんだろうなというふうに思っております。

 民主党の法案提出者であります階議員からも答弁の中で触れていただいておりましたけれども、家族の方々からすれば、この事件、事故が起きたということに対しては、やはり真相、真実は何であったのかということをきちっと把握したい、そして、二度とそういった事故が起こらないように、それを再発防止という形で、その対応をしっかりとしてほしいということだろうなというふうに思うわけでございます。

 したがって、まず書類送検がなされたわけでありますけれども、しかしながら、それがまだ事故の原因そのものが断定をされたわけではないのではないのかな。さまざまな報道はあります。ブレーキの摩耗があった、そしてその摩耗の報告をしっかりとしていなかった、あるいはそれがずさんな管理体制であったというようなこと等々、言われております。

 警察庁からもそのような御発言はあったわけでございますが、国土交通省として、この調査に入っていただいて、そしてその調査の結果、この原因は一体何だったというふうにお考えだったでしょうか。お聞かせください。

金子国務大臣 お地元では大変お親しくおつき合いいただきまして、本当にありがたく御礼申し上げます。

 私からも、改めて、大変痛ましい事故でお亡くなりになられました市川大輔さんの御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族に心からお悔やみを申し上げます。

 今回の件につきまして、ブレーキライニングの摩耗、不適切な保守管理といったことが指摘されておりますが、捜査当局との協力のもとに、社会資本整備審議会の専門委員により行われました事故の調査においても、同様にブレーキライニングが摩耗していたということが確認をされております。これが物理的な面での直接な事故の原因ではないかと考えております。

 ただ、まだ結果、結論がすべて出てはおりません。昨年十二月の調査結果も踏まえて、この委員会で、保守と管理、物理的な部分だけではなくて、保守管理の面も含めました事故原因の解明を進めていきたい。その結果、適正な管理のあり方などにさらに問題があれば、速やかに措置を講じてまいりたいと思っております。

園田(康)委員 速やかにまた適切な判断といいますか原因、結果についての追求をしていただきたいというふうに思っております。

 そこで、きょう、皆様方にお配りをさせていただきました、今大臣にもお触れいただいておりますけれども、社会資本整備審議会の建築物等事故・災害対策部会における資料として御提示をさせていただきました。

 このエレベーター事故でありますけれども、先ほどお話し申し上げた平成十八年六月三日に起きた事件が二ページ目にございますが、これよりも以前に、まず、一ページ目にございますけれども、平成十七年一月二十七日、岡山県のエレベーターにおける死亡事故、あるいは、平成十七年五月七日、神奈川県内におけるやはりエレベーターによる死亡事故という形で報告があるわけでございます。

 この報告は、報告がきちっとなされているということはわかっているわけでありますけれども、エレベーター事故に関しての報告義務というのは、今までどのようになっていたでしょうか。事務局からお答えをいただきたいと思います。

和泉政府参考人 今の点でございますが、いわゆる建築基準法に従って、特定行政庁に義務を課すという形での根拠規定はございませんが、既に平成八年から、技術的な助言をもって、こういった事故が起こった場合については、特定行政庁は速やかに国土交通省に報告するよう求めておりまして、今御指摘の事件についても、そういった趣旨で、特定行政庁から国交省に報告がなされております。

 以上でございます。

園田(康)委員 そうしますと、やはり建築基準法上の根拠規定がないということがまず明確になったというふうに思っておりますし、今局長が答弁していただいたのは、平成八年の、この当時は建設省でありますけれども、これは住宅局の建築物防災対策室長からの通知という形でなされているわけであります。

 これだけの死亡事故例において、このような通知だけで終わらせておくというのは、やはりもう少し考えていかなければいけないのではないのかなということをまず御指摘をさせていただきたいと思っております。

 そこで、次の質問でありますけれども、では、この報告義務において、特定行政庁への報告義務がなされるということがわかっているわけでありますけれども、では、この平成十八年の六月三日のマンションの事故において、これは死亡例ということではありますけれども、今までに、この死亡事故が起きる前までにふぐあいあるいは苦情、そういったものの報告というものはなされていたでしょうか。

和泉政府参考人 委員御指摘の件は、港区で大変痛ましい事故が起きる前にいろいろなふぐあいがあった、それがきちんと報告なされていなかった、こういった御指摘かと思います。

 おっしゃるとおり、港区は、事故発生前にそういったふぐあい情報について、当時の指定管理者でございました財団法人の港区住宅公社から報告を受けておらなかった、こう聞いております。

園田(康)委員 死亡事故例においてはこのような通知があって、そして特定行政庁にきちっと報告義務が課されるというか、なされているわけでありますけれども、しかしながら、ふぐあい情報であるとかさまざまなトラブル、そういった苦情についての報告がきちっとした形で義務化されていないという問題がまずあろうかというふうに思っております。

 したがって、いわばこのときに、指定管理者においての報告というか、そういった苦情的なものはいろいろあったわけでありますけれども、そこからきちっと港区、特定行政庁という形に対する報告が、そこがまず連携がとれていなかったというのがこの問題の一つのポイントではないのかなというふうに私は考えておるところでございます。

 そしてもう一つ、局長、済みません、これに関して、特定行政庁に上がってきたその死亡事故例、義務化されている報告事例ですね、それからふぐあいあるいは苦情といったものが今回から上がってくるということでありますけれども、その特定行政庁から国土交通省への把握というものはどのようになりますか。

和泉政府参考人 まず、この痛ましい事故が起きる前に、特定行政庁から死亡事故としてエレベーター関係で私どもに報告があったのは二件でございます。

 今、委員、そういった死亡事故以外にふぐあい情報というのは非常に大事であるという御指摘をいただきましたが、平成八年の通達以降、平成十七年に再度技術基準を発出しまして、死亡事故ではなくても、他に対する波及のあるような事故情報については速やかに上げてほしい、こういったお願いをさせていただきました。

 また、加えて、今回の事故を踏まえまして、いわゆる定期報告の制度を改善しまして、単に定期報告の際に検査した項目だけじゃなくて、定期検査をする資格者が、過去一年分あるいは半年分について、そういったふぐあい等がなかったか、あるいは苦情等がなかったか、こういったことについても建築主や管理者から話を聞いて、そういったものについても定期報告の一環として特定行政庁に上げるように、こういった制度の改善もさせていただいておる、こういったことでございます。

園田(康)委員 それが、今皆さんのお手元にお配りをしました資料の五ページ目でありますけれども、ここにおけるこれが、ことしの二月二十六日に行われました社会資本整備審議会における対策部会、ここの資料として出てきているものであります。この昇降機等の事故対策委員会において対応がどういう形でなってくるのかというところで、いわばこれはふぐあい発生においても、特定行政庁から国土交通省への年一回定期報告という形できちっと義務化をされるという流れになってきたということだろうと思います。

 しかしながら、これはこの図からいくと、正確には、この左の重大事故発生、それから右のふぐあい発生、両者とも直接両方に行くような、つまり、特定行政庁と国土交通省、両方に直接行くような図柄に見えますけれども、これは違いますよね。特定行政庁にまず行って、そしてその特定行政庁から国土交通省に情報が上がってくるという形で理解をしてよろしいんですよね。

和泉政府参考人 建築行政の基本としましては、今委員御指摘のように、まず特定行政庁に情報が行き、その後に特定行政庁から国土交通省に来るというのが基本でございますが、当然のことながら、各種のメディア等の情報も含めまして、私ども、特定行政庁だけに依存するのではなくて、こういった情報については幅広く集めていきたい、こう考えております。

園田(康)委員 したがって、情報をいかに収集していくかというのが大変重要な状況でありまして、それがスムーズに行われなければ、この事故のように途中で情報が滞ってしまうようなことがあったりすれば、それに対する対応ができない、そういう形になっていくわけでありますので、その反省をしっかりと踏まえた上で、速やかに対処をする形を今後とっていかなければいけないというふうに思うわけであります。

 もう一つ、大臣にちょっとお伺いをしたいと思うんですが、社会資本整備審議会において、一つ、平成十八年九月、事故後において、この事故における問題点、そして今後どのように改善をしていくかという審議がなされまして、そこで幾つかの御指摘がありました。

 その中で、先ほどおっしゃっていただいた、原因の一つでもあるいわゆる戸開走行防止装置の義務化、すなわちブレーキをきちっとつけていくようにしなければいけない、二重にしていくんだというような指摘がまずありました。

 それからもう一つ、その審議会の中で言われていることが、やはりリコール制度、車等と同じように、何かふぐあいのようなものがあったら、きちっとそれにリコールを勧告する、あるいは業者から自主的にリコールをしていく、そういう形の仕組みがエレベーターに関しても必要ではないのかということがこの審議会の中で指摘をされていたわけであります。

 それについての対応といいますか、御検討の形はどのようになっていらっしゃいますでしょうか。

金子国務大臣 前者の、委員御指摘の戸開走行、これに対しまして、乗客が挟まれる前に自動的にエレベーターを制止させるという安全装置、これを義務づけるということを、本年の九月二十八日から安全装置の義務づけ化をさせていただく予定になっております。

 後者の、いわゆるリコール的なということにつきまして、先ほど住宅局長と園田委員とやりとりをしていただきました。こういう情報、ふぐあいの情報等々が昇降機等事故対策委員会に上がってきます、寄せられます。そこの委員会におきまして、寄せられた情報というのを調査検討し、事故の再発防止に活用していくということで考えさせていただきたいと思っております。

園田(康)委員 でも、活用といっても、確かに、それは活用しないということにはならないんだろうなと思うわけでありますけれども、やはり制度としてそういうリコール制度というものがあれば、これから、ずっとこの消費者庁の法案をいろいろ審議させていただいている中で、やはり行政にどこまできちっと措置要求が権限としてあるのか。むしろ、そういう事故や危険な状況、ふぐあい情報があったときに、速やかにそういった措置がとれるような形、やみくもに何でもかんでも措置をしろという話をするつもりはありません、しかるべき検査体制があって、そしてそこの中できちっと調査をして、そして、これはリコールさせなければいけないということであるならば、そこにきちっと行政の権限として入っていくという制度は考えられてしかるべきではないのか。

 すなわち、これだけ事故が起きている、皆さんのお手元にお配りしたのも、ごく一部であります。先ほど大口委員からも御指摘がありましたけれども、三年間でしたか、三十四件も事故があるというような形にも出てきているわけであります。

 したがって、そういう何か危険を先に察知し、そして、それに対して客観的にきちっと正確な調査をして、それに対する措置というものが行われるようにしていかなければいけないのではないのかなというふうに思うわけでございます。

 そこで、次の質問に移らせていただきますが、この今の指摘をさせていただいた対策部会の中間報告の中で、もう一つ、ホームエレベーターの指摘があったわけでございます。お配りをさせていただきました資料でいきますと四ページ目になります。これは昨日国土交通省からいただいた資料でありますけれども、全国でホームエレベーターがもう十万台を超えているわけであります。十万件を超えているそのホームエレベーターの設置でありますけれども、ここに対する報告が義務化をされていないというところが問題ではないのかという御指摘もあったわけでございます。

 このホームエレベーターによる事故情報の報告はどのように把握していらっしゃいますでしょうか、また、これが定期検査の対象になっているかどうか、そのことを確認させてください。

和泉政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、ホームエレベーター、高齢化の進展に伴ってふえてございまして、二十年三月三十一日時点で、累計で約十万三千台でございます。

 また、ホームエレベーターに関する人身事故でございますが、特定行政庁からの報告等により把握に努めておりますが、過去五年間においてホームエレベーターの事故についての把握は、今のところございません。

 また、安全対策でございますが、これは建築基準法におきまして、一般の乗用エレベーターと同様、ホームエレベーターについても基準がございまして、どこが違うかというと、当然のことながらたくさん人が乗りませんので、積載荷重を緩和しているということ以外は、基本的には一般の乗用エレベーターと同様の基準となっております。

 また、今御指摘の定期検査の関係でございますが、法律制度上は、特定行政庁が指定をすれば、ホームエレベーターも含めて定期検査報告の対象になり得るわけでございますが、何しろちっちゃなものでございまして、そういったことがある関係で、私どもが調べた限りにおいては、大阪府及び大阪府内の特定行政庁だけは定期検査報告の対象としておりますけれども、その余につきましては、現時点では、特定行政庁がホームエレベーターを定期検査の報告対象として指定しているところはございません。

 以上でございます。

園田(康)委員 まずここで指摘をさせていただきたいのが、ホームエレベーターに関する事故については把握はしておりませんというおっしゃり方をされました。これは定期報告の対象となっていないものですから、当然ながら情報が上がってきていないんだろうと思うんです。私もいろいろ調べましたけれども、今のところ、大きな死亡事故につながるような事故例というのはないであろうということは想像はできております。

 しかしながら、これがきちっと報告の義務化の対象になっていないわけでありますから、本当にこのホームエレベーターによるけがであるのかどうか、あるいはこのホームエレベーター自体に何か問題があったかどうかということは、法律の報告の対象になっていないわけでありますから、当然ながら、把握していないのは当たり前であろうと。

 今度、では、先ほどおっしゃっていただきました特定行政庁が、各市町村がそれを報告対象と指定すればそれが報告対象になってくるということで、私もいただいた資料でいくと、大阪府と大阪府内の特定の行政庁、市町村が十七市あるだけで、ほかのところは全くそれに対して手がつけられていないというのが現状だということです。

 したがって、これからもっともっと特定の行政庁に対しても、やはりこれをきちっと把握するように努めるべきではないのかということはきちっとやっていただきたい。すなわち、先ほど局長からもおっしゃっていただきました、高齢世帯からすればこれからもっともっとふえる可能性が出てくるわけでございますので、そういった点では、やはりきちっとこの部分も、危険情報、何かふぐあい情報があるかないか、これはやはりこれから事前に察知をしておかないと、また第二、第三の大きな事故を招く可能性も秘めているんだということはきちっと把握をしておいていただきたいなと思っております。

 そこで、ここまで申し上げてきましたけれども、野田担当大臣にちょっとお伺いしたいんですけれども、このホームエレベーター、今申し上げたように、対象には残念ながらまだなっていない。なかなか動きづらいところもあるみたいなんです。

 事務方の方々にお話を聞けば、先ほど来、例えば大きなデパートであるとかマンションであるとか、そういったところのエレベーターと、後でちょっと話題に出しますけれども、エスカレーターなどは、そういった公共の施設の中で多数の方々が利用される、だからこれは報告義務やらさまざまな厳しい基準を設けてその規制の対象にしているんだというふうにおっしゃっていただいているんだけれども、しかし、このホームエレベーターに関しては、それはいわば個別のものでしょうというのがどうやら根底にはあるようなんです。したがって、そこまではまだ踏み込めない。

 でも、先ほど申し上げたように、大阪府さんなんかはきちっと当初から対象にして、そしてさまざまな報告の義務を課しているという状況があるわけです。でも、まだ全国にそれが広がっていないというところからすれば、今後、もし仮に消費者庁というものの中で、こういったものも全部調査対象にしますよ、あるいは、国土交通省がやらないということであるならばみずからそういった形で調査対象としていく、何かそういった危険な情報が入ってきたらきちっとやるということが言えるかどうか。その点、野田大臣、いかがでしょうか。

野田国務大臣 消費者庁ができたらということで、消費者庁は、消費者安全法案第二十二条第一項において、消費者安全法の施行に必要な限度において、事業者の事務所、事業所等に立ち入り、必要な調査等を行うことができることが規定されています。

 また、消費者安全法案においては、死亡事故に至らず被害が必ずしも重大でない事案や、さらには実害の生じていないいわゆるヒヤリ・ハット、そういう情報についても、消費者事故等に含むものとしてこれらの情報を一元的に集約、分析して、必要な対応を講ずることとしております。

 専ら消費生活センターに情報が寄せられることになると思うわけですが、このため、死亡事故が発生する前においても、軽微な事故やヒヤリ・ハット情報などを得た段階において、必要な限度で立入調査を行うことができるとしております。

園田(康)委員 二十二条の立入調査の権限をおっしゃっておられたわけであります。しかしながら、これは副大臣でも結構なんですが、消費者庁の関係で、例えば、今大臣が二十二条によって必要に応じて立入調査をしますよというふうにおっしゃっていただいたんですが、消費者庁に例えばエレベーターに関する調査をする能力は実際にあるものだというふうに理解をしてよろしいんでしょうか。

増原副大臣 ただいまのはエレベーターのお話でございますが、たまたまそのときにエレベーターに関する専門知識を持っている者が消費者庁自身にいないということもあろうかと思います。そういう意味で、関係省庁と連携してこれはやっていくということになろうと思います。

園田(康)委員 国土交通省からの出向組ではありませんけれども、消費者庁そのものに国土交通省からいらっしゃる方というのは何人かいらっしゃるんでしたかね。住宅の建築に関するものはありましたけれども、このエレベーターに関するものは恐らく入っていないんだろうなというふうに私は少し今頭の中で思ったわけでありますけれども。

 では、今度、国土交通省にお伺いをします。

 先ほどの資料の昇降機等事故対策委員会でありますけれども、いわばこのホームエレベーターもきちっと対象になっているかどうかということと、それから、ここにおける対策委員会の権限、例えば、調査がどこまで可能であるのかということ、事業者に対する直接的な調査が可能であるのかどうか、あるいは、逆に言うならば、今度この対策委員会が、国土交通省、本省に対して何かやりなさいよということを直接勧告をするところまでの権限を有している委員会なのかどうか。これもあわせてちょっと御答弁をいただきたいと思います。

和泉政府参考人 まず、昇降機等事故対策委員会の対象でございますが、ホームエレベーターを含めまして、いわゆる建物の中の動く施設、これが結構ふえておりますので、こういったものを幅広く対象にしていきたいと思っております。

 その上で、建築業者におきましては、いわゆる確認、いわゆる入り口規制並びに事故等があった場合の報告書、立入検査、是正命令等、特定行政庁が直接的な権能を持っておりますが、それをバックアップする意味で、国土交通省が技術的助言、あるいは、こういった社会資本整備審議会の委員会を通じた技術的な助言、こういったことを、全面的に特定行政庁を支援して、現場に入る場合についても、先ほども御説明しましたが、特定行政庁とこの委員会の専門家並びに私ども職員が共同で現場に入り、速やかにそういった再発防止策等につなげられるように努力していく、こういったことがまず一点目でございます。

 加えて、これは社会資本整備審議会のもとにおる委員会でございますので、国土交通省に対しまして、私どもが諮問をして回答をいただくこと以外に、建議等の形を通じて不足の点があれば私どもにそういった示唆を与えていただくというようなことも十分考えられると思います。

園田(康)委員 そうしますと、やはりこれは審議会でありますので、諮問に基づく答申という形でまず審議会はお答えをするということですね。その審議会に対してこの対策委員会は報告を上げていくという形の構図だということで、当然ながら、八条審議会等々はそうでありますから、それだというふうに理解をさせていただきました。

 そこで、民主党の場合は確かに、外に置くということでありますから、所管は幅広くというか、その辺は限定させていただいていないというところがまずあります。

 そして、事業者に対して直接的な調査、立入調査というもの、これも当然にできるものだというふうに私は理解をさせていただいておりますけれども、こういう場合は、権利院という形の状況ではどのようなものが権限として想定されるか、それをお答えください。

小宮山(洋)議員 消費者権利院法案の二十七条に消費者問題というものを規定させていただいておりまして、その規定に当たれば、すべて消費者権利院による調査の対象となります。

 ここで消費者問題と規定しているのは、事業者による詐欺、強迫、不実行為等の不当行為、また欠陥商品、この中には不動産も含みますけれども、欠陥商品、役務の提供、また虚偽表示、そのほかの消費生活における問題であって、多数の消費者の生命、身体、財産を不当に侵害する一切のものが対象になるとしておりますので、エレベーターやエスカレーターはもとより、今議論をされているホームエレベーターにつきましても、この製品が非常に多数出回っている場合、そして多数の消費者の生命身体に被害を及ぼすおそれがある場合には、同様に消費者問題に該当いたします。

 いずれも、消費者権利官が、国交省、自治体、警察などの行政機関に資料の提出を、これは三十一条によりまして求めることができ、三十三条によりまして、必要な調査を要求できます。また、独自に立入調査を行うこともできると三十四条に規定をしておりますので、迅速に必要な調査が行えると考えます。

 また、消費者権利院法案では、国民生活センターを消費者権利院の組織に取り込んでおりますので、現在は予算が削減されたりしまして余りテストが行われていないと聞いておりますけれども、商品テストも精力的に行うことができる、これは二十九条二項に定めています。

 このほか、官民を問わずに関係の専門的知見を有する国の研究機関や大学などに協力を依頼して、分析を行い、原因の究明に努めることができる、これは五十三条一項に定めております。

 こうした調査によりまして原因の究明ができれば、消費者権利官はそれに基づいて行政処分などの勧告を行うことができる、これは三十五条で決めております。

 それに加えまして、何らかの立法的措置が必要と判断した場合には、消費者権利官から国会及び内閣に対して立法提言も行うことができると五十二条に定めておりますので、ほとんどすべてのものが対象になりまして、このように多角的に迅速に対応ができると考えております。

園田(康)委員 ありがとうございます。

 そしてまた、幾つかほかの事案もあったんですが、皆さんのお手元にお配りをしております資料で三ページ目でありますが、エスカレーター事故、これは事実関係だけちょっと国土交通省からお答えをいただきたいんです。

 平成十九年の十月十六日に神奈川県の平塚で起きたエスカレーター事故がありました。アクリル板に挟まれて重傷を負ったという事故でありましたけれども。これの以前に、三ページ目にあった、平成十七年の八月二十四日、東京都内におけるエスカレーター。やはりスーパーで、女の子が一階から二階に上るエスカレーターの手すりを抱え込むように上がっていって、二階付近にあった転落防止のためのアクリル板にぶつかって、四メートル下の一階床に転落した。このときは頭蓋骨骨折の重傷を負ったわけでありますけれども、これに対する国土交通省の対応はいかがだったでしょうか。

和泉政府参考人 済みません、今の御指摘の事故の対応について、ちょっと資料を持ってこなかったんですが、先生御指摘の十九年十月十六日の関係につきましては、原因は、今先生が御指摘になったアクリル板、これは保護板でございますが、これが基準法の規定の長さを満たしていなかった、こういったことでございました。

 そこで、これにつきましては、翌日、直ちに全国のエスカレーター六万台の保護板についての点検をお願いしまして、足りないものについては修繕してもらう、こういったことをしましたのと、さらに加えて、定期検査のときにそういったことをちゃんと見るように、定期検査のチェック様式についても改正をさせていただきまして、今後そういったアクリル板、いわゆる保護板が足りなくて挟まれる事故がないように措置をしてきたところでございます。

園田(康)委員 今局長が御答弁いただいたのは、平成十九年の事故のときですね。ところが、この資料でも、社会資本整備審議会の中で、平成十七年の時点で同じような事例がやはりあるんですよね。ここにおいて国土交通省が対応しておけば、先ほどおっしゃったように全国のエスカレーターの緊急点検をして、基準に達しているか、していないか、きちっとその点をチェックしておけば、恐らく平成十九年に起きた事故というものは起きなかったのではなかろうかということを私は指摘しておきたいというふうに思っております。

 きのうのレクを受けた段階では、ここで指摘をさせていただいた平成十七年の事案については、国土交通省は何もやっていなかったという返答を私はいただいております。

 一言、どうですか。

和泉政府参考人 済みません、先ほど対応を御説明した件は、保護板が足りなくて、結局保護板に気がつかなくて挟まれちゃった、こういったケースですが、今委員御指摘の十七年八月二十四日の件は、保護板の問題というよりは、エスカレーターの手すりを抱え込むように上がってしまった、そこで当然保護板が当たりまして、その保護板にぶつかって落下した、こういう事故でございました。したがって、この件に関して言うと、基準法違反ということではなくて、そういった、乗っかってしまったという不幸な事故だったと思います。

園田(康)委員 いずれにしても、そういう事故がいろいろな状況で起こり得るんだという情報をきちっと把握すれば、何らかの対応ができたのではないのかということだけは指摘をさせていただきます。

 そこで、きょう、済みません、運輸安全委員会の方にもお越しをいただいておりますので、その方から、今の運輸安全委員会、先ほど出ておりました飛行機、それから鉄道、そして港湾、この三つが対象となって、三条委員会として勧告権を持ってやっていらっしゃるということでありますけれども、その点だけ短く御答弁をいただければと思います。

柚木政府参考人 お答えいたします。

 私ども運輸安全委員会は、今先生御指摘のとおり、航空事故、鉄道事故、それから船舶の事故、この三つの交通モードにつきまして、事故と、その事故の兆しに当たります、我々は重大インシデントと呼んでおりますけれども、こういったものについて原因究明をし、再発防止に資するということを目的としてやっております。

 御指摘のように、いわゆる三条機関として設けられておりまして、公正中立な立場から調査を行って、何とか再発を食いとめたいということでやっているところでございます。

園田(康)委員 すなわち、こういった事故に関して、三条委員会、強い勧告権をやはり持っているんですね。立入検査、あるいはそこから是正勧告と改善命令、そういったところの勧告権が、三条委員会であるならば、きちっと政府内でも何らかの形で機能するのであろうというふうに思います。

 そこで、民主党の方にお伺いをしたいんですけれども、権利院のその役目を、エスカレーター、エレベーター、あるいはきょうは取り上げることができませんでしたけれども、自動回転ドア等々の事故に対するこれらの施策を、きちっと外からどのような形で権限を持って行うことができるのか。今の運輸安全委員会と同時に、外からその勧告権を持った意義というものがあれば教えていただきたいと思います。

小宮山(洋)議員 回転ドアの事故につきましても先ほど御紹介したような手順できちんと対応することができますし、それで、運輸安全委員会につきましても、消費者権利院は基本的に内閣の外側から消費者行政全般について監視をする、そういう機関ですので、事業者に対して何らかの行政処分が必要と考える場合には、処分を行うことを所管の行政庁に勧告を行うということを基本としているわけです。

 同時に、消費者権利院法案では、消費者問題による被害の程度が著しく、かつ、緊急の必要があると認める場合には、消費者権利官の申し立てによって、裁判所が事業者に対して行為の禁止、停止命令を発することができるとしております。この命令の対象はあらゆる消費者の事故に及ぶということから、運輸安全委員会の調査対象によって広範な事故についてカバーをすること、これもできると考えております。

園田(康)委員 時間が参りましたので、もう少し金子国土交通大臣には御質問をさせていただきたかった案件があったわけでございますが、時間がなくなりましたのでこれで終わらせていただきますが、それぞれ、やはりきちっと国土交通省の中で先ほど申し上げた対策委員会の仕事をしていただきながら、しかしながら、その中で先ほどあった運輸安全委員会のような権限を持たせる、そういったところにこういったエレベーターやエスカレーター、自動回転ドア等々の部分も、その権限のある形へとつくっていく必要があるのではないかというふうに私はこの委員会をおかりして大臣にはお伝えというか指摘をさせていただいた上で、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

船田委員長 次に、泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。きょうも長時間の質疑、大臣も御苦労さまでございます。

 私は、園田委員の方がシンドラーのことを扱いましたけれども、国土交通大臣も来られているということで、ゲートウェイ21ということの問題についてお伺いをしたいというふうに思っております。

 これはいわゆる留学の仲介業者が破綻をしたというような事件でありまして、被害者の数が千三百人、そしてまた被害総額が十二億ほどまで膨らんでいるという状況で、簡単に言えば、集めたお金が運転資金に使われて、最終的には破綻をして、契約が履行されない方が大量になってしまったということでございます。

 この問題について、まず国土交通大臣、どのような御見解をお持ちでしょうか。

金子国務大臣 泉委員御指摘のゲートウェイ21、これはまた、将来、みずから活力を持ってやっていこうという若い人が主に対象になっているわけでありますから、そういう意味では非常に、国交省が所管する旅行業法に関連いたしますが、消費者の利益を害する、そういう意味では看過できない事件であると認識しております。

 それから、旅行業法上の監督官庁、ゲートウェイ21は第三種だったと思いますけれども、東京都が監督官庁でありますが、関係省庁で情報を共有しながら、旅行業法に基づく営業保証金の弁済制度による対応を図ってまいったところであります。

 これからも、今回消費者庁が新しく創設されるわけでありますけれども、リーダーシップ、消費者庁のもとに、こういう海外留学、研修ツアーが安全に実施されるように取り組んでまいりたいと思っております。

泉委員 消費者担当大臣にお伺いをしますが、これは、今ちょうど消費者庁の審議をしているという中で、いわゆる重大事故あるいは消費者事故等には当たりますでしょうか。

野田国務大臣 倒産ということですので、個別事案を調べなければわかりません。

泉委員 調べて、場合によっては消費者事故等にも当たるということでよろしいですか。

野田国務大臣 その中に不当な勧誘とかがあれば、あり得ると。

泉委員 それで、こうした被害が広がって、これは実はやはり所管官庁がない。先ほど金子大臣からも少しありましたけれども、旅行業としては、留学のあっせん、仲介ということについては一部かかわってくるわけですが、留学の仲介そのものは監督官庁がないということも大変問題になっておりました。

 外務省や文部科学省もきょうお越しをいただいておりますが、文部科学省、例えばこれまでこういった留学業界に対して何か対策というか策を講じてこられたことはございますでしょうか。

戸谷政府参考人 このゲートウェイの件でございますけれども、私どもといたしましても、希望する方々にとって多大な被害が出たということについて、大変遺憾なことだというふうに思っております。

 あっせん業ということにつきましては、最前来からもお話がございますように、所管ということについては必ずしも明確になっておりませんけれども、学生が適切に留学をするということにつきましては、私どもの場合でございますと、大学生あるいは大学院生等が海外の大学で学位等を取る、そういったようなことを基本的には支援をしているわけでございます。

 そういった中におきまして、一義的には、学生さんみずからが、やはり教育上の観点からもみずからが基本的には手続をとるということを推奨しているわけでございますけれども、いろいろな事情によりまして、もし留学あっせん業者等を利用するといった場合につきましては、これまでもさまざまなトラブル例等もございましたものですから、学生支援機構のホームページ等を通じまして、留学あっせん業者を利用する場合についての留意点として、これまでの事例からこういったようなことがあるということにつきましては、大学生あるいは大学院生等に対しまして注意喚起をしているということでございますけれども、ちょっと、業ということにつきまして直接のあれは特にしておらないという実情でございます。

泉委員 外務省にもお伺いをいたします。

 留学ということで、やはり日本の多くの若者が世界に旅立たれるということで、この留学に関してもかかわりが深いと思いますが、外務省はこの件にどのようにかかわっておりますでしょうか。

深田政府参考人 外務省といたしましても、このゲートウェイ21社の業務停止を受けまして、海外における邦人保護の観点から、昨年九月二十九日の時点で、同社による留学あっせん先を管轄している在外公館、これは主にカナダ及びオーストラリアが中心なわけですが、そうした地域の在外公館に対して、同社あっせんを経て留学中の邦人学生等から何らかの相談がある場合には、必要かつ可能な支援を行うように指示をいたしました。

 これを受けまして、在外公館の方では、実際に現地の受け入れ団体及び代理店に対して留学の状況あるいは留学継続上の支障の有無等を確認いたしまして、それに応じて、場合によっては必要な支援を行うという形で対応を行ってきたところでございますけれども、直接こうした関係者の方から在外公館に相談に来るというのは非常に限られている、これまでのところ限られているところでございますが、今後とも、留学生本人あるいは家族等から相談があれば、それに応じて必要な対応を行ってまいりたい、かように思っております。

泉委員 今、各省からそれぞれ話がありましたが、繰り返しになりますけれども、やはりこれは所管官庁がないというようなことであります。一方で、これだけの方々が被害に遭われたということについて、今後、消費者行政に期待をしている向きもあるのではないかなと私は思うんですね。

 野田大臣、消費者庁が仮にできて、今後同種のものが出てきた場合にどんな対策が、これは実は、国民生活センターの方からは、平成十七年に「増加する「留学等斡旋サービス」トラブル」という報告が出ております。いわゆる記者説明会資料ということでいただくわけですけれども、この中にも、既に事例の一つとして、「雑誌で見て、語学留学斡旋を依頼した。費用を全額支払った後に入学許可証が届くはずだったが、なかなか届かなかった。九月から留学するつもりであったので、準備等のため勤務先に辞表を既に出しているが、事業者倒産の通知が届いた。返金してもらえないか。」これは恐らくゲートウェイじゃない事業者ですが、同様に、平成十七年の報告書の時点で、事例としてこういうのが出ていたわけですね。

 ということは、今後もこれはあり得なくはない話でありまして、消費者庁ができたとき、果たして何がどうできるのか、ちょっと御説明をいただけますでしょうか。

野田国務大臣 ゲートウェイ21が、今お話にありますように営業停止し、その後破産したことにより、留学予定者が前払いした金額が返還されないほか、既に留学していた方にも影響が生じているということを承知しておりまして、このように営業停止から破産に至った場合における被害者の権利関係の処理は、基本的には破産法等の倒産手続によって対処することになると考えられますけれども、消費者は、倒産手続についてよく知らないことが多く、また留学費用などの支払いに信販会社を利用していることもあると考えられています。

 そこで、消費生活センターでは、破産手続開始決定がされた時点で破産手続への対処について情報提供していくこと、営業停止された時点で、信販会社への支払いに関し割賦販売法に基づき支払いを拒否することができる場合にはそのことを消費者に助言し、場合によっては信販会社との紛争解決のあっせんをすること等により被害者救済を図ることが考えられます。

 また、被害者救済制度に関して、昨年の通常国会において、国民生活センターに重要消費者紛争に関する裁判外紛争解決機能、ADRを新たに付与する法改正をしておりますので、もう今月、四月から施行されています。これは、同種の少額被害が多発するという消費者被害の特性にかんがみて、専門的知見を活用して迅速に紛争の解決を図ろうとするものであり、消費者被害の救済制度の一つとして活用を期待されているものであります。

泉委員 今のお話をお伺いしますと、破産に関する相談、そしてまた支払いの拒否についてのやりとり、またADRというようなお話でありましたが、これはいずれも、支払い拒否といっても、恐らく、こういった留学あっせん業というのは、大体一年前ぐらいに先にお金を支払って、そして後から留学等の準備をして、そして留学に旅立つということですので、お金はもう払われてしまっているわけですね。ですから、これは実は余り役に立たないんじゃないかという気がします。

 そしてまた、確かに国民生活センターは、重要紛争の解決ということでADR機能があるわけですが、これは残念ながら、恐らく事業者に対する強制力はないんじゃないのかなというふうに思います。そういった意味では、根本的な解決あるいは予防が果たしてどこまでできるんだろうかというようなことを今感じたわけです。

 民主党の方の提案者にもお伺いをしますが、民主党案、この消費者権利院の案では、どのような時点で、どのような被害救済、あるいはこういった問題への対策を図ることができるでしょうか。

枝野議員 お答えの前に、午前中のとかしき委員からの質問にお答えした点に若干間違いがございましたので、訂正をさせていただきたいと思います。

 裁判所による命令に対して権利官が申し立てをするに当たって、消費者権利委員会を経てということを申し上げました。一般的には、我が党の案では、重要事項についてはそうすることになっているんですが、裁判所の命令を求める申し立ては裁判所のチェックが入るということなので、これについては、迅速性を優先して、権利官だけで申し立てできるということでございましたので、訂正をさせていただきます。申しわけございません。

 今の泉委員の質問にお答えをさせていただきますが、実は、この件、特にゲートウェイ21の場合は、破綻状態にあるところで営業停止が出たと思われますので、我が党では、裁判所による保全命令というやり方で被害をできるだけ回復できるようにという手段を持っておりますが、これが十分機能したかどうかというのは、なかなか難しい案件だったかもしれません。ただ、少なくとも保全命令から破産までの間の財産の散逸というのは若干でも抑えられるのではないか。つまり、これはおかしいということで営業停止をかけるに当たっては、同時に保全命令をかけておくということが可能になるという点では、若干でも救済が広くなるのではないかというふうに一点思います。

 それからもう一点は、今委員の御質問の中にもございましたとおり、こうした留学をめぐるトラブルについては、国民生活センターを初めとして、今回のゲートウェイ21の問題の前から、これほど広範ではなかったにしても、それなりに情報が集まってきていたということはどうやら間違いないようでございます。

 これを、全国的に網の目のように張りめぐらせたネットワークの中から情報を集約していれば、あるいは、そうでなくても、多分国民生活センターは、先ほどの報告が出ているような段階では、いわゆるすき間事案で、どこも事実上監督をしていない、責任が持てていないという状況を把握できたはずであります。そうしたときに、内閣の外側にある我が権利院であれば、どこの役所にということではなくて、内閣と国会に対して、こんなすき間でいいのか、こういうところでトラブルが起こったときにどうやって救済ができるんだということについて、事実上の勧告ができる。

 国会に対しては、国権の最高機関ですから、強制力は持ちませんけれども、少なくとも国会に対して立法を促し、内閣に対して、旅行業法を適用するのか、それ以外の方法をとるのか、いずれにしても実質的な対応をしろということをかなり早い段階でできたと思われますし、またそれができる仕組みを組んでいるというふうに思っておりますので、すべての被害を防げるかどうかはともかくとして、相当早い段階でこれを制度問題として取り上げて、是正に持ち込むことができたのではないだろうかと考えております。

泉委員 今の両案の比較をさせていただくと、政府案の方は、やはり事後どのような対応をするかというところに主眼が置かれていたのではないかなと思います。問題が起こってから何ができるのかということをおっしゃっていただいた。一方で、民主党案の方は、予防というか、事前にどのように防ぐかということ。

 これは、先ほど取り上げた国民生活センターの記者説明会資料です。平成十七年五月十日の段階で、一番下の紙には珍しく「参考」という四角書きのものが書いてあります。「本件に関する行政への要望について」ということになっているわけですが、「本件については、法律がないこともあって明確に所管する省庁は存在しない。」。次、二つ目は除きますが、「よって、今回は「行政への要望」は行わず、関係機関への情報提供とするが、今後も苦情件数の動向を注視し、トラブルが減少しない若しくは深刻化するような状況になれば改めて検討し、要望する方針でいる。」ということが平成十七年に書かれておりました。

 国民生活センターさん、この平成十七年以降はどのような留学トラブルに関しての対応をとられてきたでしょうか。

田口参考人 お答えを申し上げます。

 留学あっせんサービスに関しましては、委員御指摘のとおり、従来から不適切な勧誘行為や高額な解約料等のトラブルが見られておりましたことから、平成十七年五月に、それらの問題点を整理して、消費者へのアドバイスを取りまとめ、また、記者公表を行いますとともに、関係行政機関や業界団体等に情報提供を行ったところでございます。

 また、その後も、国民生活センターのホームページに留学あっせんサービスに伴う問題点などを掲載いたしまして、消費者への注意喚起に努めてきたところでございます。

泉委員 今話がありましたとおり、この十七年以降は国民生活センターのホームページに注意喚起をしてきたのみだったということでございました。このときの情報提供先は、内閣府国民生活局消費者調整課、そしてまた国土交通省の旅行振興課ですとか、文部科学省の学生支援課等々に情報は提供されているわけですね。しかし、残念ながら、先ほどの答弁を聞いていただいたとおり、どこも我々が主体として取り組む官庁ではないというようなことで、結局今に至ってこういった形でまた倒産が繰り返されてしまった、そして大きな被害が生まれてきたということであります。

 先ほどの両案の御答弁を聞いている中で、事前に何ができたのかというところはやはり大きな違いではないかなと思います。例えば、円天ですとかそういった問題も、今回のゲートウェイの場合は、確かに、事業破綻ですから、悪質性ということについてはまだ非常に難しい状況ではありますが、しかし、トラブルの件数が徐々にあるという状況の中で、何かしら事前に対応はできたのではないか。先ほど枝野提案者の方からは、例えば旅行業法に基づく立入調査も含めてということも含めて、これはすき間事案ですよということを内閣に対してしっかりと言っていくことができるのではないかということをおっしゃられました。

 金子大臣、改めてですけれども、旅行業には立入調査が制度として入っております。これを使われることは国土交通省で検討はされなかったんでしょうか、事業破綻に至るまでの間。

本保政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、旅行業法に基づいて立ち入りは可能でございますので、悪質な事案あるいはそういうおそれがある場合には情報収集をしっかりして立ち入りをしていく、こういうことが必要だと思っております。

 ちなみに、このゲートウェイの案件につきましては、いわゆる三種業者ということで、この場合は東京都に登録されている団体なものでございますので、我々としては、旅行業協会の会員でありますのでここからの情報に基づいてやらなければいけなかった、こういうことだと思いますが、そういう意味では、もう少し子細な注意をして情報に敏感に反応すべきだと思うところでありますけれども、具体的にこういう問題があるというものが上がってきていなかったことも事実でございます。

泉委員 今ちょうど、第三種で東京都のというお話がありましたが、野田大臣、通告をしていないのでわかればで結構ですけれども、消費者安全法の十六条のところで、内閣総理大臣は、「通知を受けた場合その他消費者事故等の発生に関する情報を得た場合において、消費者被害の発生又は拡大の防止を図るために実施し得る他の法律の規定に基づく措置があり、」ということがありますが、この措置というのは、都道府県の持つ措置も含まれるわけでしょうか。

野田国務大臣 まず初めに、先ほど、予防が全然なされていないじゃないかという話がございまして、まず、消費者被害等の認定、例えば不当勧誘であったりした場合には、もちろんこれは、情報を収集しまして、注意喚起をさせていただくということが可能になります。

 あともう一つ、例えば国センの方にいろいろな情報が上がってきて、今は消費者庁がありませんから、行政に担当がなければやむを得ないという判断だったけれども、今後は、消費者庁ができることになれば、そういう行方不明の案件に関しては消費者庁が一元的に情報を集約することになりますので、そこで分析調査する中で、まず担当大臣として緊急対策会議というのを設置することができまして、これについて関係の、今だと外務省も、いろいろ御答弁がありましたけれども、そういう人たちに集まっていただいて、連携のもとで何ができるかという対応が可能になります。その上に立って、やはり必要な措置が、法律が必要であれば企画立案し、みずから法案を提出する、そういうことが可能になるというのが予防の話であります。

泉委員 これまでの御答弁の中でも、そういった仕組みは持っている、そういったことはできるというようなことをおっしゃられるわけですが、では、このゲートウェイ21の場合において、本当にそこまで皆さんがかじを切れたのかどうかというところが非常に問題ではないかなと私は思うんですね。

 緊急会議を開かれるには恐らくさまざまな情報を集めなければならないわけですが、やはり事業者側に与える影響の大きさだとかということも恐らく考慮される中で、ずるずるとおくれてしまう可能性があるのではないか。ここはお互い予想をし合いながらのことですから、それ以上は生産性が余りないかもしれませんが、そういったことも含めて、やはり耳と目と、とにかくさまざまな感覚を研ぎ澄ます。これは各省庁においてもそうです。

 ですから、先ほどの国土交通省の立ち入りについても、やはりなかなか、ほかの省庁の権限も含めて、余り使われていないものが大変多いんじゃないのかなと思ったり、あるいは使われていても、件数だけが上がっていて形骸化しているような立ち入りも大変多いと私は思いますので、そういうのを一つ一つ見直していかなくてはいけないなというふうに思います。

 国土交通大臣は、これで結構でございます。

 このゲートウェイの問題については、もう一点だけ消費者担当大臣にお伺いをしたいんですが、いわゆる消費者団体以外も、例えば今回のケースでいうと、留学協会ですとか海外留学協議会、あるいは日本旅行業協会等々、その業態にかかわる分野の団体というのがございます。こういうところが、今回の場合、例えば相談業務だったり、いろいろなことをされているということで、消費者団体ではないけれども、こういったそれぞれの業界における、さまざまな被害者を時には支援するような団体との連携、こういったものについてはどのようにお考えでしょうか。

田口参考人 お答え申し上げます。

 平成十七年五月の、留学あっせんサービスについての、先ほど申し上げました記者公表を行いました際には、社団法人日本旅行業協会に対しまして、発表資料にございますような情報提供を行ったところでございます。

 また、例えば、今般のゲートウェイの経営破綻の事案につきましては、経営破綻が報道されたことに伴い、相談が大変多く寄せられましたことから、社団法人日本旅行業協会より同社に関する情報の収集に努めたところでございます。

泉委員 次の論点に移りたいと思います。

 これまでも何度か出てまいりましたけれども、消費者政策委員会についてであります。

 設置法の九条五項において、委員を非常勤とするということが明確に書かれてあります。これについては糸川委員への答弁の中でも少し触れられておりましたけれども、その後、参考人質疑がございました。野田大臣は参考人質疑を聞かれたかどうかわかりませんけれども、少しそのことに関係する部分を読ませていただきたいと思います。

 例えば、三月二十六日、松本参考人、従来の国民生活審議会と余り変わらない多人数でございますから、これを例えば食品安全委員会のようにうんと小人数にして、さらに常勤委員を一部含める、場合によっては、常勤委員については、国会同意人事として権威をつけて十分な行動ができるようにするということも考えられるかと思いますと。

 紀藤参考人、今の国民生活審議会がほとんど私は実際上機能していないと思うんですけれども、そういう意味から見ると、斬新な部分としては少ない部分が大きいんじゃないかと思います、その最大の理由の一つに、委員が十五人という、やはり規模が大き過ぎるということがあります、具体的な実動委員会ということになると、委員は五人程度で十分じゃないかと思いますと。

 そして、細川参考人、十五人以内の非常勤という形ですよね、そういうイメージだとすると、その中で本当に迅速に消費者の視点で何か意思決定というのができるのかな、そういう疑問を一つ持ちますと。また、飛びまして、しかも、日本というのはそういうものは必ず非常勤でやってきて、結局、事務局にリーダーシップをとられてしまって、何か事務局が決めた路線を追随するような御用委員会になってしまうというようなことが非常に多いんですね、審議会行政というもののあり方ですねと。ほかにもあるわけですが、こういった御意見が多数寄せられました。

 改めて、この委員の数十五人、そして非常勤。実は、野田大臣が答弁をされた、常勤にすると委員のなり手が少ないということをおっしゃったわけですが、これは全く根拠がないんですね、実は。申しわけないですが、どなたかから吹き込まれたかわかりませんけれども、これは残念ながら根拠がございません。全く根拠がない。

 確かに委員を探すのはより大変というぐらいの話であって、非常勤じゃないと見つからないという状況は、我々が少なくとも消費者団体や弁護士会や研究者、専門家の方から聞いている中では、一切あり得ない、そんななり手は幾らでもいますよというようなことでございますが、それ以外の理由、何かございますか。

野田国務大臣 人数と、あとは常勤、非常勤というお尋ねでありますけれども、非常勤にした理由は、非常勤と常勤のそれぞれ、いい点、悪い点というのがあるんですが、私もほかの担当大臣をしていて、例えば常勤と定められているときに、なかなか、やはり今まさに一線でお仕事を持っている人が、一応やめていただくのが原則ですから、そのキャリアを放棄して数年の常勤委員になってくださるというのは、私自身のこの数カ月の大臣の経験からも、そんなに容易ではなかった事実もございます。

 別に人から吹き込まれたのではなく、私自身が、いろいろな委員会でこの人はというと、まだ今まさに、例えば大学の中で四十代、五十代であったりすると、先がありますので、そのキャリアを途中で放棄してまで常勤の委員になることは困るとか、そういうのを実際に私も受けとめてきたので、人さまざまだと思いますけれども、逆に、まさに消費者行政のしゅんで頑張っている人たちが、その自分の仕事もしっかりやりつつ、この中でも最大限頑張っていただくためには、非常勤という形をとった方が動きやすいのではないかな、そういうことを思っているわけでございまして、常勤だからとか非常勤だからというよりは、やはり非常勤のよさというのを御理解いただきたいなと思っています。

 十五人以内にした理由というんですけれども、少しちょっと細かく話させていただくと……(泉委員「時間がもったいないですから」と呼ぶ)今お尋ねになった点だけちゃんと答えます。

 消費者政策委員会が扱う事務は、消費者利益の擁護及び増進に関する基本的な政策に関する重要事項等の基本政策に加えまして、食品表示の基準、食品安全に関する基本的事項、特定商取引法等取引関係の政令、個人情報保護に関する基本方針、消費者安全の確保に関する基本方針等多岐にわたる上、極めて広範な分野を対象としているところです。委員会としての機能を発揮するためには、ある程度の人数の委員が必要だと考えます。

 一方で、いわゆる従来の審議会の機能と異なり、消費者安全法第二十条に基づく意見具申などにおいて機動的な意思決定を行う必要があるにもかかわらず、人数が多過ぎると委員会の運営に支障を生じかねないという懸念があるわけです。

 その双方の要請を両方じっくり熟慮、勘案しまして、委員の数を十五人以内と規定させていただきました。

泉委員 大臣、今の御答弁ですと、だれから吹き込まれたわけでもない、私がそう思うと。これは大臣が決めたんですか、非常勤にするというのは。そうじゃないですよね。理由があるはずですね。その理由を知りたいわけですよ。大臣の価値観のお話じゃなくて、ちゃんとした理由が知りたいんです。どういう理由で非常勤にされたんですか。これは明確に言っていただかなきゃならない。そして、先ほどから申していますとおり、なり手はいっぱいおりますからね。なり手はいっぱいおります。

 もう一つ追加で質問をしますけれども、ちょっと聞いておいてくださいね、大臣、大丈夫ですか。追加で質問しますが、これはその十五人で、大臣がおっしゃるように、非常に多岐にわたるさまざまな審議会から消費者政策委員会に審議を移すわけですね。そうなってくると、イメージとしてはどんなほかの審議会をイメージすればいいのか。例えば、国民生活審議会のようなものをイメージすればよいのか、それとも、情報公開の関係の審議会をイメージすればよいのか、ちょっと見当がつかないんですね。例えば食品安全委員会なんかでいえば、専門調査会的なものがいっぱいできるというような形をとっておりますし、情報公開・個人情報の審議会なんかは、そもそも全体会は開催しない、こういう形式もいろいろあるわけですね。

 野田大臣、どんな組織体を目指されているのか、これをもう少し明確に言っていただけますか。野田大臣の冒頭のことについても答弁があると思いますので、お願いします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今、二つ御質問があったわけでございますけれども、まず第一の、消費者政策委員会の委員の十五名以内、それから非常勤、これがどういうプロセスで決定をされたかという点でございますが、確かに、消費者行政推進会議の取りまとめ、これにおきましては、この点に関しては余り議論がございませんで、そこまで固まっておりませんでした。

 しかしながら、一つには、政府といたしましては、来年度の二十一年度の予算に向けた概算要求を夏にいたしますので、そのプロセスでどういう形で予算要求をしていくか。実は、その段階でもちょっと幅がございまして、その上で、九月に三法案を閣議決定させていただきましたけれども、その際に、総理のところに大臣が行かれた際ですとか、また大臣のもとで検討を行いまして、十五名以下、非常勤ということにしたわけでございます。

 それからもう一つ、消費者政策委員会がどういう形の審議会になるのか、どういうタイプかという御指摘でございますけれども、国民生活審議会のように、基本的事項に関する企画立案、これも消費者政策委員会は行います。しかし、他方で、例えば個別法に基づきます行政処分について、これを消費者政策委員会の意見を聞いて決定する、例えば消費者安全法等でございますけれども、そういう機能も持っております。したがいまして、かなり新しい形といいますか、そういう総合的な検討と基本的な検討と、個別の法律の検討ですとか行政処分の検討、両方をやるということでございます。

 したがいまして、その両方をやるために、消費者政策委員会本体を十五人以内というふうに考えているわけですけれども、そのもとに部会を幾つか、内部的には五つぐらいは必要ではないか。例えば表示、それから取引、安全、そして国民生活にかかわる分野、それから基本的な、例えば基本計画でございますとか食品安全基本法に基づく基本的事項、こういったものも検討するような企画部会というものも必要ではないかということで、五つぐらいの部会が必要というようなことでございます。

 そうしたこともあって、十五名以内程度というようなことを決めたということでございます。

泉委員 ありがとうございます。

 さらに詳しくといきたいところですが、またそれは次回にちょっと回させていただきます。

 一方で、民主党の提案者の方にもお伺いをしたいと思うんですが、民主党の方は、常勤の方がおられて、かつ同意人事という形でつくられておると思います。この理由についてお聞かせいただけますでしょうか。

枝野議員 私どもの消費者権利委員会は、いわゆる審議会という位置づけというよりは、物事を決めていく。消費者権利院の持っている権限行使に当たっては、特に社会的影響が大きい問題に対しては、一人で権利官が決めるということではなくて、合議体で意思決定をする。

 日本において、実は一人で物が決められる職務権限を持っているところというのはほとんどなくて、内閣もそうですけれども、大体合議体で決めるということになっておりますので。そうした権利官が日々消費者問題について情報を収集し、それに基づいてさまざまな処分等あるいは勧告等を行っていくに当たって、日々判断をしていかなきゃならない、そのことに当たって合議体を構成していくメンバーでございますから、臨機応変に集まってというか、多種多様な問題を抱えて、日々いろいろなことが起こっているわけですから、当然のことながら兼職でやれるような状況ではないであろうし、また大人数過ぎても意思決定ができないだろうということで、権利官、権利官補含めて五人の常勤という形にさせていただきました。

 また、権利官と権利官補は、権利官までだったかな、権利官は国会の議決に基づいて決めるということでございますが、委員についてはそこまで権威は強くなくてもいいだろうと思いますが、まさに消費者の立場に立ってしっかりとした権限行使をする。人事官にしろ、会計検査官にしろ、国会同意人事でございますので、それに倣えば、大きな重要な意思決定をする委員が国会同意人事というのは当然のことであろう、こういうふうに考えました。

泉委員 野田大臣に最後にお伺いしますけれども、この基本計画の中では、消費者政策委員会の設置の項目のところで、「事務局は消費者庁が担当する。」ということが書いてあります。

 政府の消費者行政のイメージという一枚のポンチ絵でも、消費者政策委員会事務局と下に別個で書かれてはおりますけれども、これは、いわゆる消費者庁の事務局とこの消費者政策委員会の事務局は二つそれぞれ別々であって、また業務も基本的には別であるということでよろしいですか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者政策委員会の事務局は、法律の規定に基づいて、消費者庁本体とは独立して設置をされるということでございます。

泉委員 今のは導入部分ということで、またさらに詳しく今後詰めていきたいと思います。ありがとうございます。

船田委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民主党の田島一成でございます。大変お疲れさまでございますが、よろしくお願いいたします。

 金子国交大臣にも同席をいただいておりますので、国土交通省と今回の消費者政策との関連性に、とりわけ私、今もなおリコール件数等々が横ばいもしくは決して減少傾向にはないという、自動車の問題を事例にとらえながら質問させていただきたいと思います。

 もちろん、この自動車また自動車の関連部品、用品についてのトラブルや故障は今もなお大変多く続いているところであり、その苦情処理等は明らかに消費者問題だというふうに私も認識しておりますし、大臣も恐らくその認識のもとで消費者政策に取り組まれていくんだろうと思います。

 もう当たり前のことですから、あえてこれは質問はいたしませんけれども、今日まで消費者のいろいろなトラブル情報、これは実は経産省の外郭団体であるNITE、独立行政法人製品評価技術基盤機構が随分頑張って担ってきていらっしゃいました。製品区分別の事故情報の収集、これは平成十九年から自動車に関しては国土交通省の方で取り扱われるということになりまして、残念ながらNITEの製品区分別の事故情報の収集のリストからは自動車関連が外されているところが現実であります。

 過去のNITEの品目別の事故情報件数の統計を見ても、平成十七年、十八年は、こんろであるとかストーブといった家電製品等に次いで、四番目にこの自動車部品や用品の事故情報というのが集まっていたんですけれども、残念なことに、平成十九年以降、国交省の方に所管が移ってしまったために、この統計の中からは自動車の状況というのがつかめなくなりました。改めてまた国交省のデータ等々を分析しないとわからないというような状況があり、情報自体の一元化という消費者庁が目指そうとしている現状と随分かけ離れているような印象を私は持ったわけであります。

 平成十九年以降、国交省の方で、それこそ自動車装置に該当するからという理由で、この自動車部品、用品、また自動車のトラブルについては道路運送車両法の所管だということで担っていらっしゃるというふうに思うんですけれども、これまで国土交通省の方ではどこが専門的にやっていらっしゃるのか。

 それと、国土交通省の中で設けていらっしゃる自動車不具合情報ホットライン、この自動車不具合情報ホットラインで収集した自動車のふぐあい情報というのは、国センで扱っているPIO―NETと共有をしているのかどうか。この点について国交省の方からお答えいただきたいと思います。

本田政府参考人 お答えを申し上げます。

 自動車、あるいは厳密に言いますと原動機付自転車というものがございますけれども、それに取りつけられることを前提として製造されました製品、具体的に言いますと、一番わかりやすいのが、タイヤでありますとか、あるいは昨今ではチャイルドシートといったものがございます。そうした製品につきましては、元来、道路運送車両法に基づく自動車の装置という位置づけがされておりまして、その安全に対しての対策も道路運送車両法に基づいて講じてまいって、その一環として、先生今御指摘の事故情報、そういったものの収集も行っております。

 今お話のございました自動車不具合情報ホットラインというものも、実は平成十二年度に設置をさせていただいておりまして、一般のユーザーの皆さんが使ってみてどうもふぐあいがあるといった情報については、積極的に私どもへお寄せいただくといった体制をとらせていただいております。

 次に、PIO―NETと私どもの自動車不具合情報ホットラインとの関係でございますが、自動車不具合情報ホットライン、全国各地のユーザーからちょうだいしましたデータ、これを整理して、私どものホームページで常に掲載させていただいております。そういう形で、PIO―NETの関係者の方もいつでも御利用いただけるような状態にしてありますし、PIO―NETからいただくデータにつきましても、国土交通省にPIO―NETの端末が置いてありますので、そこからちょうだいしたもので、これはちょっと何だか疑いがあるといったものについては、それを我々の行政で活用させていただく、そういった運用を今させていただいておるところでございます。

田島(一)委員 つまりは、このホットラインで集めた情報とPIO―NETというのが、それぞれで結局自動車事故情報等々が入ってきているというわけで、一元化ではないということなんですね。いえ、いいですよ、うなずいていただいたらそれで結構なんです。

 やはり情報の一元化、共有というものは、PIO―NETもこの自動車不具合情報ホットラインも一体化を本来していくべきものだと思うんですね。自動車だけ別個にしてやる、もちろん専門が国交省だからというのも理解できなくはないんですけれども、消費者行政という立場から見るとこれはやはり問題があるんじゃないかなと私は思うんですが、野田大臣、率直な御感想をぜひ聞かせてください。

野田国務大臣 消費者庁ができたときの情報の共有、一元化というのは、PIO―NETにすべてが集まるということでなしに、消費者庁そのものがありとあらゆる情報を、しっかりと法律に基づいて直ちに情報をいただいて、それで、それをもとに分析したり調査したりして対応するということだと理解していただきたいと思います。

田島(一)委員 つまりは、二本立てでも別に構わないやということなんですね。

野田国務大臣 つまり、PIO―NETがすべての情報を集める道具ではなくて、その一つであって、消費者庁がやはりすべての情報を集約するという仕事をするということだと思います。

田島(一)委員 何らかの形できちっとした、受けとめるところがあることはもちろん重要と思いますし、その点については抜かりないんだろうというふうに思うんですけれども、ただ、PIO―NETにも自動車のそういうふぐあいの情報が入っている、片やホットラインの方にもある。何かやはり、消費者といいますか、消費生活センターの相談員等々からすると、私は非常に使い勝手が悪いんじゃないかなという印象を実は持ちました。

 その点はもう一度その状況を見ていただいて、縦割りの弊害という部分がもしあらわれているというふうにお感じになるのであれば、やはりこれは見直していただくか、手を加えていだたく。もちろん、国交省の中にもPIO―NETの端末がある、これはちゃんと見ていらっしゃるのは事実として受けとめますけれども、やはり一元化ということをおっしゃるのであるならば、この点の問題意識はぜひ大臣にもお持ちいただかないと困るなと私は思って、今提案をさせていただいたところです。

 実はきょう、事例として一つ、ある事例を引用させていただきたいと思います。

 両大臣も、御出身が岐阜でいらっしゃいますから、私、隣の滋賀県でございますので、冬場は雪で覆われるという経験も随分あるでしょうし、その中を自動車が走られる経験はもう、金子大臣のところはもっと深過ぎるから関係ないかもしれないんですけれども。

 起こった事件は、実は一年前の二月のことでした。滋賀県内で、雪が解けかかった道路を運転されていた外車の事件であります。

 当日は、雪が圧雪になっていたんですけれども、徐々に解けかかっていて、路面全体がシャーベット状になっていた、そんな道路であります。水たまりこそなかったんだけれども、時速二十キロで走行していたら、いきなりエンストをしたというA社の車であります。イメージだけしてください。

 おかしいなと思いながらも、レッカー車で牽引して、修理してもらった結果、空気の吸い込み口である吸入口から雪であるとか水が入ってしまって、それによってエンジン内部の部品が故障したんだということで、修理業者も直してくれたそうなんです。明らかにこれは部品交換をして、新車で購入したわけでありますから、保証期間の三年以内で、通常は無償の修理となるはずなんですけれども、残念ながら、輸入元の本社が、大量の水が入ってくるというのは、これは原因不明であって、雪道を走った本人の責任だから、無料修理はできないという回答をしてきたんですね。

 修理業者の見解を伺うと、吸入口の形状であるとかその位置づけが、余りにおかしなつき方をしている。要は、吸入のカバーも何もついていなくて、そこから全部雪や水が入ったんだから、これはほうっておくと、改善しないと同じ事件がまた起こってくる可能性があるよねというような見解であるんですけれども、こういう事件が起こっていて、ではどのように解決されたのかという事例を、ちょっと振り返りながら、皆さんと共有をしてみたいと思います。

 先ほども申し上げたように、輸入元の会社と交渉するんだけれども、それは自己責任だと。あげくの果て、欠陥があるというなら証明してこいということまで言われたそうであります。今、こうした事故、故障があったという、相手の輸入業者が言うように欠陥を証明する、消費生活センター等々でいういわゆる商品テストになりますけれども、この商品テスト、事故を証明するテストを行う機関というのは、国土交通省の中にはあるんでしょうか。

本田政府参考人 ただいま先生の方からお話のありました、ちょっと個々の案件について事情を承知しておりませんが、先ほど御紹介をいたしました自動車不具合情報ホットライン、年間で五千件を超えるような情報が私どもに集められてきております。

 その中で、あちこちでかなり頻繁に同じような類型の事故が起きている、あるいは件数が少なくてもすぐ生命に影響があるような重大なものにつきましては、私ども、二通りの対応をしておりまして、その自動車の型式がわかれば、メーカー、輸入車でありますとまさに輸入事業者の方に、こういう情報が多く来ておるけれども、実態を調査してほしいという形で、まずメーカー自身に検証を促しております。

 と同時に、メーカーによっては必ずしも協力してくれないケースもありますので、私どもの関係の独立行政法人で、交通安全環境研究所、そこにリコール技術検証部というのが置かれておりまして、そこの担当官で技術検証官といった者がおりますので、場合によっては、その担当官を現地に派遣して状況を確認するなり、あるいは、その情報が、いただいた中身についてどういった問題が考えられるかといった二通りで、事故に至る原因などについての検証をさせていただいておる、これが実態でございます。

田島(一)委員 今の説明ですと、生命に影響がある場合というふうに限定をされました。

 消費者問題というのは、当然、人命にかかわる重大事案もあれば、自分が買った自動車がふぐあいでというような、いわゆる修理代金をめぐるトラブルもあるわけでありますから、もちろん、小さな一件一件までそんなの対応し切れないとおっしゃるのかもしれませんけれども、では、先ほどおっしゃった交通安全環境研究所に問い合わせたらきちっとテストしてくださるんですか。すべてがそういうわけではなさそうに私は今受けとめたんですけれども。

本田政府参考人 自動車の設計あるいは製造過程の原因かどうかといったような問題については、ある程度、幾つかの事故事例、私は生命と申しましたが、必ずしも生命だけの問題ではなくて、重大な事故につながるような危険性の高いものを優先してそういう検証を行わせていただいておるということでございますが、一般論として、行政相談という範疇の中で、非常に問題がある、あるいは不安に思われるということであれば、まさにこのホットラインも通じて私どもに御相談いただければというふうに思います。

田島(一)委員 暴くつもりはないんですけれども、これは実は消費生活センターから問い合わせをされた事例の一件なんですね。

 ところが、その処理の経過を申し上げますと、国土交通省のいろいろな窓口に相談をされました。自動車製造物責任相談センターにも問い合わせをされたら、当方は欠陥についてはタッチできない、修理代金を減額交渉するぐらいのお手伝いならやりますよ、こういう対応だったらしいです。

 さらにもう一つ、不具合情報ホットラインのところにもおっしゃったら、ここでは、自動車を含めて国土交通省では商品テストは一切していない、あくまで情報収集だけだ、ふぐあいデータベースに登録します、情報提供ありがとうございました、こういうつれない対応だったそうであります。

 もう一つ、国交省の所管であります財団法人日本自動車研究所、こちらの方に問い合わせると、自動車の欠陥を証明するなど、いわゆる商品テストは一切やっていないと。

 だから、きょうのきょうまで交通安全環境研究所というものが、結局、ホームページ等々をたどっていっても、なかなかたどりつかないわけなんですね。これは、一体どうしてこういうような事態が起こるんでしょう。

 例えば、自動車不具合情報ホットラインのホームページにも、「不具合が生じた場合はどこに連絡をしたらよいのですか」というコーナーがあります。「整備に関するもの」「販売店の対応、契約に関するもの」「商品性に関するもの」「製造物責任に関するもの」「車検に関する問い合わせ及び車検場でのトラブルなど」と五つの項目に分かれて、それぞれ連絡先を書いています。それも先がいろいろと分かれていますね。

 自動車に関しては、一元化どころか、問題が起こったその内容について、しかも、ぱっと一般の方が、ユーザーが製造物責任に関するものと言われてわかるでしょうか。にもかかわらず、問題の中身に応じて、その問い合わせ先が事細かくいろいろと書いてある。フリーダイヤルもあれば東京〇三のところもある。

 そういう意味では、消費者庁で情報の一元化とかワンストップサービスとおっしゃっていても、事自動車に関しては非常にわかりにくい。ましてや、先ほど参考人がおっしゃってくださった交通安全環境研究所なんというのは、どこにも上がっていないんですね。

 一体、この事実、大臣は率直にどう印象を持たれましたか。

野田国務大臣 私、実は大臣になって初めて視察に出かけたところが滋賀県の消費生活センターであったわけですね。恐らく、そのときにその話を聞きました。

 だから、消費者庁というのをつくって、しっかり、お目付役というんですか、消費者行政の司令塔として、たくさんの役所がたくさんの出先を持っていて、たんとやってくれているんだけれども、どうもまだ消費者優先というか消費者目線の自覚がないらしいので、やはり事に当たっては、消費者庁という行政組織がどんと中核的な役割を担うことで、今は、どちらかというと、上の方では一生懸命そうやると言っていても、なかなか先の方まで意識が行き届いていない消費者行政に対して、そういう注意喚起をしてほしいというようなリクエストをいただいたことを改めて思い出した次第です。

 ですから、今は、そういうふぐあいがいろいろ生じていることも踏まえて、だからこそ、やはり消費者庁がしっかりと、そういう行政組織のお目付役として、消費者の側に立って注意して監督していくということも一つの役割だと私は信じているんです。

田島(一)委員 金子大臣、通告していないんですけれども、今申し上げたように、自動車のトラブル対応の窓口が国交省の中でも非常に多岐にわたっていてユーザーにもわかりにくい、また、消費者問題としての認識がこれで本当にあるのかなと疑問に思わざるを得ないような状況があるんですけれども、大臣として、これからどのような指導や内部で統一等を図っていこうとお考えか、お聞かせください。

金子国務大臣 今度御指摘いただいた御疑問はもとよりであると思っておりまして、この消費者庁が設置されて、今度は消費者庁が窓口になってずっと誘導してくれるという仕組みができ上がるものと思っております。

田島(一)委員 まず、国交省の中で、とりあえずこの自動車のトラブルに対してどうするのかというところをきちっとやはり押さえていただかないと、消費者庁が言ったって、結局、肝心の国交省が窓口これだけばらばらですよというような状況であれば、全然、笛吹けど踊らない状況になると思うんですよ。肝心の国交省が本当にこの消費者庁と連携するよということを私どもも聞かせてもらわないと、やはり不安でならないなと思うんですが、いかがですか。

金子国務大臣 そこを少し整理して、きちんと行き届くように、再構築すべき必要なことがあれば対応していきたいと思っています。

田島(一)委員 自動車の問題だけではない、もちろん多岐にわたっているわけでありますが、とりわけ、このNITEからデータ収集は国交省へお戻しになられたという事実等も考えていくと、一元化の問題はこれからやはり避けられないんだろうなと思います。

 消費者行政推進会議の方でも、この道路運送車両法をぜひ消費者庁の方に移管した方がいいんじゃないかというようなリストの中にお示しになっていたんですけれども、やはり移管をするか、もしくは少なくとも共管にするべきだったんじゃないかなと私は思うんですが、なぜこれはされなかったのか、御見解をお聞かせいただけないでしょうか。

金子国務大臣 自動車の安全、環境にかかわる消費者の利益を保護する、特にこの安全と環境の問題、それから、自動車ですから、製作時の型式の認証、新車の検査、登録、もう田島委員先刻御存じのことを申し上げていますけれども、使用過程における継続検査及び点検整備、それから、今御指摘のリコール等の制度、さらには、国際基準というのもありますので、衝撃に耐えられるように、そういう国際的な調和といったような、こういう制度というのをやはり一体的に運用して執行していくことが自動車の安全の問題では大事だと思っております。

 同時に、これらの業務を執行するために、自動車交通関係、検査機能も含めたいわば幅広い組織というのがないと、実務部隊が必要であることは言うまでもありません。そういう意味で、そういうことを総合的に考えまして、道路運送車両法というのは、現行どおり国土交通省が所管することとされたものであります。

 なお、消費者安全法では、道路運送車両法に基づく措置であっても、消費者被害の発生または拡大の防止を図るため、必要な事項を速やかに実施しろ、そういう必要があるというときは、内閣総理大臣が国交大臣に対して当該措置の速やかな実施を求めることができる。

 そういう意味で、消費者庁が今度設置されてきますと、国交省は何だよ、国交省がやっていない、国交省が速やかな対応を怠っているというようなことがない、あるいは、どこに行けばいいかわからないということはないようにしていかなければいけないというのは、今度の消費者安全法でもきちんと対応しなければいけないと思っています。

田島(一)委員 自動車の問題はこれぐらいにさせていただきたいと思います。

 大臣、御用がありましたら、どうぞお引き取りください。

 やはり、一番身近なところで製品のテストができるのは、地方自治体が抱えている消費生活センターの商品テスト部門ではないかと思います。過日の委員会でも、大臣はお寒い状況だというふうにおっしゃいました。残念ながら、寒いか暑いかというようなレベルの問題じゃなくて、これは、本当にどうしていくのかという明確な方向を示していただかないと、お任せしていいのかどうか、私どもも決めかねるところがあります。

 地方公共団体における商品テストを担当する職員の数、内閣府の調査結果をひもといてみますと、平成九年二百二十七名だったのをピークに、十年以上たった平成二十年には九十八名と、半減どころか、もう百名を切ってしまった状況にあります。

 消費行政担当の職員全体が減少する中で、商品テストを担当する職員というのはわずか一%、こんな状況の中で自治体が行っている商品テストの衰退というのは、もう機能衰退は明らかだなと私は思っておりますが、大臣はこの地方自治体の消費生活センターにおける商品テストの必要性、どのように認識されていますか。

野田国務大臣 これも滋賀県の消費生活センターの商品テスト室に視察に行ったときに、本当に、心優しき男性職員の方なんですけれども、とにかくお金がないということで、いろいろな商品テストをしてみたいけれども厳しいんですよねとおっしゃっていたのが今でも私の思いの中に強くありまして、商品テストというのは、本当に、先生御指摘のとおり、安全、安心の確保や、危害、危険の再発防止、また消費者教育の観点からも重要な役割を担っているということはもう承知しております。

 地方の消費生活センターにおいては、消費者からの商品事故などに係る消費生活相談のうち、その原因を究明するテストや技術的な助言を必要とする場合や、寄せられたさまざまな商品等のトラブルをもとに消費者の啓発の一環として必要と考える場合に、みずからもしくは国民生活センターやほかの原因究明テスト機関との連携により商品テストが行われているわけです。引き続き、そうした関係機関と十分連携しながら、地域の実情に応じて商品テスト機能を強化していきたい。

 大変、本当に底なんですね、今状況が。今回、都道府県に造成させていただく基金というのを御利用いただきますと、商品テストの実施の強化に係る事業はきちっと支援することが可能になっておりますので、そういうところからまた頑張っていただきたいなと思っております。

田島(一)委員 この商品テスト、とにかく自治体の消費生活センターではとてもじゃないけれども対応し切れない。そういうときに、やはり最終的に頼りになるのが三つの独立行政法人であります。国民生活センター、そしてNITE、そして農水省が所管をしているFAMIC、この三つではないかなというふうに思うんです。

 先ほど申し上げた自動車に限らず、さまざまな商品テストを実施して、いかに早く結果を導くかが何よりも大事なんですけれども、過日同僚議員からの質問で、NITEの結果が、それこそ半年、商品テストの結果がわかるのに半年もかかっているというお話があったとおり、やはり、定員の削減であるとか予算の削減、自治体の商品テスト部門の衰退はもちろんのこと、最終のとりでとなっているこの三つの機関ですら大変厳しい状況があります。

 果たして本当にこの商品テストの重要性というものを認識していらっしゃるのかなと、全体を見渡しても私は疑問に感じるわけであります。もちろん、NITEは経産省、それからFAMICは農水省と、所管が違うからという逃げもできるんでしょうけれども、商品テストは、今まで消費生活センター等がかかわってきていた重要なセクターでありますから、無視はできないわけであります。

 さて、こういうところに対する予算拡充であるとか定員の増加に対して、大臣としてどのような働きかけをされてきたのか、私はお伺いしたいと思うんですが。

野田国務大臣 商品テストは本当に大切な仕事でありまして、今までどちらかというと話題にならなかったので、どんどん知らず知らずに削られてきた不幸な歴史があるわけで、今まさにここで消費者行政の議論をする中で、この商品テストの重要性を多くの皆さんが共有していただければ、また国民の御理解のもとでいろいろなことをやっていかなきゃいけないなと思っていますが、具体的には、消費者行政推進基本計画において、国民生活センターは、消費生活センターとともに一元的な消費者相談窓口と位置づけられ、全国ネットワークを構築するとされるとともに、国の中核的実施機関として商品テスト等を拡充することとされました。

 これを踏まえまして、平成二十年度の補正予算及び平成二十一年度の予算におきまして、所要の事業費を計上いたしました。予算につきましては、平成二十年度の約三十億円であったものから、平成二十年度の補正では約九十八億円の思い切った追加を行うとともに、平成二十一年度予算におきましては三十二億円の予算を計上したところであります。このうち、平成二十年度補正予算におきまして、商品テストの実施に必要な施設、機能の更新、整備に係る経費約三億円を計上し、商品テスト機能の強化を図ることとしております。

 一方、国民生活センターの定員につきましては、独立行政法人についての政府の基本方針がございまして、それに基づき、総人件費につき中期的な抑制努力を継続する一方で、非常勤職員の採用を行って所要の人員の確保をすることとしています。

 また、NITEとか農林水産消費安全技術センターとの連携につきましては、平成十九年十二月二十四日閣議決定の独立行政法人整理合理化計画によりまして、国民生活センターは関係機関との連携を強化することとされており、独立行政法人であるNITE、農林水産消費安全技術センターとの間で、それぞれ情報共有、技術協力、商品テスト等についての連携協力をまさに行っているところでございます。

 今後とも業務運営の改善に努めつつ、関係機関との連携、外部委託の推進、非常勤職員の採用などにより必要な商品テストを確実かつ効率的に実施されるよう、まずは国民生活センターにしっかりと働きかけてまいります。

田島(一)委員 最後に、時間がなくなりました、民主党の消費者権利院構想の中で、この三独法機関の商品テストのあり方についてどう考えているのか、簡潔にお答えいただきたいと思います。

枝野議員 私どもは、国民生活センターを消費者権利院そのものにしてしまうというふうに考えております。独立行政法人ではなくなりますので、独法横並びでいろいろかかっている制約を気にせずに充実、拡充をすることができる。

 確かに独法改革で、行政改革が必要であることは間違いないんですけれども、それは無駄な人員や経費を削減すべきということなのであって、実際にテストなどを行う現場の人間の数を減らせということは、私も党の行革の責任者もやってきていたりしますが、そんなことは我々は一度も言ってきていないので、わけのわからぬ、仕事をしていない中間管理職を削れと言っているのであって、あとは上の方の天下りの役人を減らせと言っているのであって、そこは権利院にすることによって、少なくとも横並びのところから外れるので、充実させることができる。

 その上で、NITEなどの他の独立行政法人との連携でありますが、一点、私どものやりやすいところは、特定の主務官庁に基づく独立行政法人ではなくなりまして、あらゆる行政についてどこでもできるということですので、例えばNITEが所管をしているような商品テストであろうが、先ほどの自動車であろうが、そこがちゃんとやっていなければ自分たちでやってしまうということもできるし、また、ある意味ではやるべきであろうと。

 それぞれの独立行政法人は、それぞれの事業監督官庁の他の目的を持ちながらの商品テスト的な側面を持っているということでありますので、もちろん、そこで将来的には仕分けをきちっとするということは必要かもしれませんが、特に先ほどの自動車のお話などを伺うと、まずは消費者権利院で直接商品テストをできるようにしてしまう方が早いのではないかというようなことも含めて、幅広に充実させることができるというふうに思っております。

田島(一)委員 ありがとうございました。

 また次回は、基金の運営要領をいただきましたので、その点についてじっくりやりたいと思います。ありがとうございました。

船田委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私は、きょうは、製造物の責任ということにかかわって幾つかの角度から質問していきたいというふうに思います。

 それで、消費者庁はもとより、消費者政策委員会、ここで、事故原因とかあるいは製造物の事故原因にかかわる、どこに原因があったかとか、そういうものをきちんと究明して、そして、それに対応する体制とか、あるいは事故の責任追及とか製造禁止措置などの勧告、命令の権限というものがあるのかどうかということ、これを最初、大臣に伺っておきたいと思うんです。

野田国務大臣 消費者政策委員会の所掌事務ということになるわけですが、消費者庁設置法第六条第二項では、消費者政策委員会の所掌事務が定められております。第一号においては、消費者の利益の擁護及び増進に関する基本的な政策に関する重要事項等について調査審議を行うこととされております。第二号におきましては、当該重要事項について、消費者政策委員会みずからが意見具申を行うこととされております。第三号においては、個別法の規定によりその権限に属せられた事項を処理することとされており、例えば、JAS法や食品衛生法等に基づく表示基準の策定、特定商取引法等に基づく政令の制定、改廃等の際に消費者政策委員会の意見を聞くこととされているところです。

吉井委員 製造物の欠陥とか問題は、設計上の問題もあれば、製作上の問題も出てくるし、それから、本来、設計段階から、こういう形で維持管理をしてくださいよということを言っておかなきゃいけないこととか、逆に問題があればそれをフィードバックしてきて設計、製造過程できちんとそれを正していくこととか、そういうことを含めて、本当にきちんとした調査で製品の欠陥が究明される、そういうことがあってこそ、本来、勧告をしたり禁止その他の措置を講ずることができるわけですね。

 そこで、これは最初に国交省の政府参考人に伺っておきたいと思うんですが、具体的に見ていくと、シンドラー社製のエレベーター、その他の会社のエレベーターなども、随分事故というものがありました。最初の事故発生以降のリストをお持ちだと思うんですが、その中で製品の欠陥はどこにどれぐらいあったのかとか原因は何だったのか、どれぐらい究明をしておられるのか、これは政府参考人に伺います。

和泉政府参考人 御指摘のエレベーター事故の件でございますが、事故直後の六月十五日から社会資本整備審議会で検討を始めまして、この時点では、捜査等が終了してございませんので、エレベーターの事故の原因がどこにあったかということについてはまだ不十分な状況でございましたが、考えられる可能性を念頭に置いて、その再発防止をするためにどういった方策が必要かとまず検討いたしました。その結果、九月二十九日に中間報告をまとめられ、それを踏まえまして、いわゆる戸開走行防止のダブルチェック化、あるいは定期検査報告制度の充実、さらには建築確認においてマニュアル等の添付を義務づける、こういったことをしたわけでございます。

 その上で、先月三十日に関係者が警視庁によって書類送検されましたが、その見解によれば、ブレーキラインの摩耗や不適切な保守管理、こういったことが指摘されてございますし、警察庁の協力を得て昨年十二月に行った社会資本整備審議会の専門委員の現機の調査におきましても、ブレーキラインの摩耗等が確認されておりますので、そういったことが物理的な原因ではないかと思っております。

 しかし、そういった状況を踏まえまして、さらに、常設としての委員会として設けました昇降機事故対策委員会、こういったものでそのような状況を検証し、従来行っておった対策で十分かということについても検証して、必要なことがあればさらに充実を図ってまいりたい、こう考えております。

吉井委員 今言うてはったようなことは、大体、きのう内閣委員会でも質問がありまして、政府参考人からお話がありました。

 問題は、こうした事故もそうですし、同時に製品そのものの欠陥についても、やはり設計上の問題、製造上の問題とか、それから、さっき言いましたように、維持管理に本来何をなすべきか、問題が起こればそれをすぐフィードバックして、どのように製品の欠陥を正していくかとか、そういうことをきちんと解明されてこそ、これはまともな調査というふうに言えると思うんです。長い間、警察が何か押さえているからということでもってずるずるきていたわけでありますが、だから、そういう点では、事故の原因解明というのはこれからということになっていますね。

 そこで、警察の方は保守点検における過失というふうにしているわけですけれども、私は、国交省としては、エレベーター自体、製造物自体に欠陥が、どこに問題があったのかということ、そのことを視野に入れた解明というものをきちんとやっていかないと、国交大臣、これは本当の解明ということにはならないと思うんですよ。

 大臣はどういうふうにお考えかを伺います。

金子国務大臣 そこは御指摘のとおりであろうと思っております。

 設計、製造及び、特にエレベーターの場合には、御指摘のように管理という問題も当然に大きな要因になってくるんだと思っております。今、昇降機事故対策委員会では、警視庁はブレーキライニングの摩耗、保守管理の問題の両点を指摘しておりますけれども、これをさらに解明していきたいと思っております。

 これを踏まえてどういうことをやってきたかということをちょっと御報告させていただければ、昨年九月には、建築基準法施行令を改正しまして、エレベーターのいわば戸開走行、あいたまま動く、これを防止するための新たな安全装置を義務づけまして、これはことしの九月二十八日から施行する。それから、昨年二月の建築基準法施行規則の改正等に伴いまして、定期検査報告制度についての検査方法の具体化というのを、これは昨年四月でありますけれども実施されている。さらに、昨年十一月の、建築基準法施行規則でありますけれども、これを改正しまして、保守点検に必要な内容、いわゆる保守点検マニュアルというものでありますが、これは確認申請に当たって添付する書類の一つとして提出を義務づけるということをやってまいりました。

 そういう意味で、御指摘いただいた、この事故対策委員会、関係省庁と連絡をとりながら、さらに必要な対策が、必要性が明らかになれば、速やかにさらなる追加措置は講じてまいりたいと思っております。

吉井委員 私はこれからの問題をきちんと取り組むのは当たり前のことだと思うんですけれども、やはり問題は、まず出発は事故とか製品の欠陥がどこにあったのかというこの解明からでしょう。だから、航空機事故なんかの場合ですと、これは運輸事故調査委員会が入って、警察が押さえているから物が見られないとか見られるとかいうような話じゃなくて、きちんと調査するわけですね。建物になると昇降機等事故対策委員会、建築基準法にかかわるものであれば何かそこでというふうなことで、製造物そのものについての調査というのはきちんと加えられないというのは、やはりどう考えてもこれはおかしいわけですね。

 ですから、これだけ長い期間にわたって、これからの対策のお話はあったけれども、要するに、これはエレベーターとなりますと、エレベーターのかごの問題もあれば、ドアの問題もあれば、モーターも、鋼製のロープも、ガイドレールも、自動制御回路等電子機器ですね、それから、時にはベアリングなどの個々の部品も問題になってくるでしょうし、とりわけ、今日のように超高層ビルの時代になりますと、これは超高層階になりますと、長周期地震動によって数メートル規模で動くんですね。そういう時代のエレベーターなんですよ。そのときに、製品の問題についてきちんとした調査研究をしておかなかったならば、とりあえずの対策というような話では私は済まされないと思うんですね。

 この間、これは検察庁が起訴したからということで終わりという話じゃなくて、実際のところ何もまだ解明というのはないわけですから、なぜこういうふうに長く解明もされずになっているのか。そこにあるのは、大臣に法律上の権限がないからなのか、あるいは、担当する大臣のお気持ちが、余り熱心でないというか気持ちがないのか、まさかそこはないだろうとは思うんですけれども。そもそも、事故を調査、解明する、製品を解明する仕組みそのものが、つまり運輸事故調査委員会のような、そういう解明をする組織そのものが、仕組みがないのかどうか。

 一体なぜこういうことになっているのかということについて、大臣のお考えを伺いたいと思います。

和泉政府参考人 幾つかの点を御指摘賜ったわけでございますが、まず一点目、建築物に関しましては、特定行政庁が定期検査、立入調査あるいは是正命令等、こういった権限を持っております。

 しかしながら、当然のことながら、今委員御指摘のようにエレベーターは非常に高度な技術でございますので、そういったものについてさまざまな解明をするということで、社会資本整備審議会の中に昇降機等事故対策委員会をつくりました。この中には、いわゆる建築系の専門家だけじゃなくて、エレベーターの専門家等に入っていただきまして、さまざまな事故の教訓を踏まえて、技術基準の改正等が必要であればそういったものについて検討を行う、こういったことでございます。

 また、調査になかなか入れなかったことについては御指摘のとおり反省すべき点でございまして、これについては、大臣からも答弁がありましたように、ことしの二月に、警察庁及び国土交通省から通達が出ました。実質的には去年の六月からお互いに申し合わせをしておりますけれども、今後は、重大事故の場合につきましては、警察と同時に特定行政庁、この昇降機等事故対策委員会の専門家、あるいは私どもの職員が現地に入りまして、より速やかに事故原因の解明並びにその公表、再発防止対策の検討に努める、こういった対策を今まとめておるところでございまして、今後ともしっかりと対応していきたい、こう考えております。

吉井委員 自動車事故の場合ですと、リコール制度とともに、かつてと違って、今は被害者の方が立証責任を持たなくてもいいように、国の研究所の方で検討するということに大分なってきていますね。

 今度のような問題については、国交省の方は建築基準法の世界にあって、そして製造物となってくると経産省の世界になってくるとか、そういうことであいまいになってしまって、結局、運輸安全委員会のような体制とか、それから権限とか独立性というものがない。こういうところをきちんとしなかったら、これは問題を消費者庁に移そうがどこに移そうが、同じような問題が続くわけですよ。

 だから、私は、これを機会に、国交大臣、これは国交省の世界では建築基準法でしか考えられませんという話じゃなくて、やはりこういう問題について、建物の中にあるからとりあえず国交省でも別に構わないんですけれども、どこにあろうと、とりあえずきちんとした、事故安全調査委員会といいますか事故安全委員会といいますか、そういう体制をつくり、権限を持たせ、しかもそこは独立した機能をきちんと果たす、そういうことを考えていかないことには、やはり本当の意味での解決にならないと思うんですが、これは国交大臣はどういうふうにお考えですか。

金子国務大臣 先ほど申し上げましたように、建築基準法施行規則の改正。これは、従来なかった定期検査報告、あるいは検査方法を具体化、中身をかなり具体化している、明確化している、それから特定行政庁への報告の内容の充実、さらにはエレベーターのふぐあい情報の報告の義務づけといった建築基準法の改正が行われている。さらに、先ほどちょっと申し上げましたような戸開走行の防止、このためのいわばソフト、ことしの九月までに二重化するということ。あるいは、保守点検マニュアル、これをきちんと添付すること。そういういわば大きな三つの改正を今回とらせていただいたわけであります。

 それともう一つ、二月の六日と十九日、国交省から、あるいは警察庁から、特定行政庁あるいは都道府県警察に対してでありますけれども、前回のシンドラーで大変歯がゆい思いをした、警察庁が、あるいは警視庁が先に点検をする、原因究明といいますか調査をするということについて、今度は警察庁から、建物等に対する死傷を伴うような事故の調査において、関係機関との協力、つまり同時に入ってもいい、入ってもらうということ、こういうある意味、関係機関の通達あるいは関係機関の了解というのも出ました。

 ですから、そういう前回起こった事故の反省を踏まえて、体制あるいは建築基準法の施行規則等々を整備しておりますので、そういう意味で、まず、先ほど来申し上げています昇降機の事故対策委員会を、これは常設にしました。従来は臨時だったんですけれども、常設にさせていただきましたものですから、それを最大限活用してまいりたいと思っております。

 ただ、これはやはり消費者庁ができた機会に、より対応を広げていかなければいけないことは私も同じ思いであります。そういう意味で、今後の対応の中で検討すべき事項が生ずれば、抽象的に申し上げれば、さらなる対応も検討してまいりたいと思っております。

吉井委員 今後の話は、きょうずっとお聞きしたんですよ。

 それで、実際にシンドラーのエレベーターで死亡事故が起こったわけですから、そうすると、本来それは、これから建築基準法をどうします、こうしますだけじゃなしに、経産省がかかわっている製品という部分、エレベーターという製品の部分だけに着目すれば、製造物の欠陥についてきちんと調査をするということがやはり当たり前だと思うんですね。

 そうすると、今後の話はわかりましたけれども、最後に、もう時間が来たようですから、一点だけもう一度伺っておきますが、製造物について、事故もそうなんですけれども、製品そのものの欠陥については、きちんと調査委員会なり体制をつくって調査をしていくのかどうか。消費者庁に移せば、野田大臣はそれをされるのかどうか。いずれでも、大臣の方から伺っておきたいと思います。

和泉政府参考人 エレベーターにつきましては、委員御承知のように、建築基準法で一元的にやっておりますので私どもの責任でございますから、今回できました昇降機事故対策委員会において、今回警視庁の方でわかったことも含めまして、しっかりと御指摘の点については調査をし、今まで講じた再発防止策が十分であるかどうか検証し、足らざる面があれば、今大臣が答弁しましたようにさらに追加の措置を講じてまいりたい、こう考えております。

野田国務大臣 消費者庁ができましたら、このような事案を踏まえて、まずは、やはり緊急対策本部というのを速やかに立ち上げることによってさまざまな情報を集めて、そして、今先生御指摘のようなことも含めて企画立案していくということが可能になってまいります。

 そういった意味では、当初、みずから立ち入りすることもできることになっていますし、先ほどの消費者政策委員会からもそういう意見具申をいただくことになっており、大切なことは、やはりこれまで、明治以来の役所というのは、産業振興に集中していたゆえに、まだ消費者行政とか、消費者優先とか、消費者第一ということに対して、感度が非常に低いと思うんですね。そういうことを、やはりこれから消費者庁ができることによって、常に目の前に、三百六十五日二十四時間、消費者行政、消費者優先ということを発信する役所ができるということでそういうところをしっかりと見詰め直していただくし、結果として、そこでそういうものが必要であればどんどん検討し直していただくということが可能になってくると信じております。

吉井委員 事故調査委員会に相当するものをやはりきちんとつくって、解明して、そうしてこそ消費者庁として、あるいは政策委員会として勧告するということができますから、そういう体制をとるべきであるということを申し上げまして、時間が参りましたので、質問を終わります。

船田委員長 次に、日森文尋君。

日森委員 国交省から、住宅品確法、宅建業法、旅行業法が消費者庁との共管になったということでございますが、国交大臣として、この三法が共管事項になったことで消費者庁にどんな役割を期待されているのかということと、それから同時に、これは消費者庁とかなり緊密な協力体制を組まなければならないというふうに思うんですが、金子大臣として、協力体制をどう築き上げていくのか、決意と方針をお聞かせいただきたいと思います。

金子国務大臣 今、日森委員御指摘の三法について、何よりもやはり消費者被害等に関する情報の共有というのが大事なんだろうと思います。

 そういう意味で、情報の共有を図りながら、消費者行政全般の司令塔として消費者庁が役割を果たすこととなると思っておりますので、国交省としても、積極的に連携して、国民の安心、安全の確保に努めてまいりたいと思っております。

日森委員 ぜひ、先ほどもあったように、安心、安全のために協力体制をしっかりつくっていただきたいと思います。

 二〇〇五年に構造計算書の偽装問題というのがありまして、大変大きな社会問題になりました。この責任の所在というのはまだ係争中のものもあって、愛知県でしたか、裁判で責任を問われたということもありましたが、しかし、なかなか責任の所在が入り組んでいて、まだ明確になっていないということもあるんです。

 その中で、国が、保有水平耐力というんですか、〇・五未満のマンション等について支援策を講ずるということをお決めになりました。この支援策を、どんな観点から支援しなきゃいけないということをお決めになったのか、これについてお聞かせいただきたいと思います。

和泉政府参考人 当時の考え方でございますが、構造計算偽装問題によって危険だと判断されたマンションへの対応につきましては、速やかにその居住者に移転していただく。マンション自体危険ですから、速やかに解体して、周辺住民の安全を確保することが大事だ、これが一番の課題でございました。

 本来、売り主でございますディベロッパー、たまたまこのマンションはすべて瑕疵担保責任期間に入ってございましたから、その責任を果たすべきではございますが、当時の状況では売り主が本来の責任を果たすことができない、こういった緊急な状況でございました。

 加えて言うと、この案件が、御案内のように、建築確認審査という公の事務の中で、結果としてその偽装を見過ごしていたという側面もある。こういった観点を踏まえまして、これを純然たる民民間の問題として、あとは裁判に任せればいいんだということでは済まないんじゃないか。

 最終的に、今委員も御指摘のように幾つか裁判が行われておりますけれども、そういう状況の中で、いわゆる類似の過去の財政支出、例えば災害があったときの財政支出等とのバランスを考慮しながら、国として最大限の支援を行うことが必要であろう、こう考えて、マンションに対する支援を行いました。

 現時点でございますが、今委員御指摘の水平耐力〇・五未満のマンション、十二棟ございましたが、二十一年四月一日現在で、八棟が建てかえまたは耐震改修工事が終わりまして、現在四棟が工事中でございます。

 以上でございます。

日森委員 責任の所在がまだ明確にならない、しかし、特定行政庁を含めて行政側の責任もこれは免れないだろうという判断で、特に住民の方々の安心、安全、ここに力点を置いて建てかえなどについて支援をしてきたということだと思うんですね。これは大変重要なことで、一定評価をしているわけですが、そういう意味では、消費事故などについても同じような観点がとられるべきだというふうに思っているわけです。

 きょうも損害賠償なんかを含めていろいろ議論がありましたが、これは一般論になって申しわけないんですけれども、大臣として、今のような観点からの支援策も実はあったりするわけで、消費者が被害を受けている、しかし被害を与えた者が損害賠償をする能力を持っていない、ヒューザーなどはそうだったんだと思いますが。

 救済のあり方について、ちょっとお考えをお聞きしておきたいと思います。

田中政府参考人 御指摘いただきましたように、消費者被害が発生した場合に、既に加害者に損害賠償をするだけの資力がなくなってしまうという不幸なことが起こることがございます。

 これに対する対応策としては、先ほど住宅局長の方からも御言及があった中にありましたように、個別法で資力確保措置を事業者に義務づけるということが一つの方法でございます。特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律で、新築住宅の請負人や売り主に資力確保措置を義務づけるということが二十一年十月から施行される予定と承知しております。

 また、前回の本委員会で御議論がありましたプリペイドカードなどの場合にも、事業者に供託を義務づける。あるいは、もう御存じだと思いますけれども、預金保険法などでも、そうした預金保険といった制度で担保をするということがございます。

 そうしたことがない場合に、一般論としては、基本的には破産法による倒産の手続で対応するということになりますけれども、もちろん、中には、悪徳な事業者で、被害発生を拡大させる一方で、その資産を意図的に散逸させたり隠匿したりするというようなことがあります。こういうものに対しては、とにかく早期発見、早期対応というのがなすべき第一のことでございます。

 消費者庁では、このために、地方の消費生活センター等からの相談情報や他省庁に寄せられた苦情情報を集約することなどによって、問題を早期発見する。それから、消費者安全法第十五条に基づきまして、集約、分析されました情報を消費者にわかりやすい形で迅速に公表して、消費者に対して注意喚起を促しまして、被害の拡大防止、未然防止に努めていくということでございます。

 また、今度、消費者庁は、みずからが行政処分を持つ法令を所管することになりますので、これを迅速に確実に行うことによって、そうしたやり得のインセンティブをそいでいくということが重要かと考えてございます。

日森委員 時間がないものですからちょっとはしょりますけれども、何度も問題になっているシンドラー、これは逮捕者が出たということなんですが、大臣がお見えなので、改めて。

 事故を受けて建築基準法の改善が行われたということですが、これはどういう中身なのかということと、その当時、警察が取り調べをしていて十分な調査などができない段階でこれが行われたということになっているわけで、これは本当に事故に対応した適切な内容であるかどうか。もちろん、そうですとおっしゃるんでしょうが、そういう段階での改善点でこれは十分なのかどうかというのがちょっと心配なものですから、お聞きをしておきたいと思います。

和泉政府参考人 あの痛ましい事故の直後から社会資本整備審議会で議論をしました。この時点で、今委員御指摘のように捜査も終わっていない段階でございました。ただし、再発防止という観点から、やれることは目いっぱいやろう、こういった趣旨でございまして、大臣からも何度か答弁しておりますけれども、三点やりました。

 一点は、定期検査報告制度の明確化、充実化でございます。もう一点は、いわゆる戸開走行が痛ましい事故の原因でございましたので、それの二重ブレーキ化。三点目が、保守点検に問題があったんじゃないか、こういった指摘もございましたので、そういったマニュアルをきちんと建物の所有者が把握できるように、建築確認申請に際してそういったものを義務づける、こういったことをしたわけでございます。

 ちなみに、今委員御指摘の、捜査結果も出ていない段階でやったことが十分だったかどうかということでございますが、例えば戸開走行保護装置について言いますと、一応その当時の基準法でも一つのシステムはついてございます。しかしながら、そういったことを専門委員の方々が議論したときに、例えばそういう一つのシステムであれば、電磁ブレーキが故障する可能性があるとか、あるいは戸開を検出するスイッチが故障する可能性があるとか、あるいはそういった機械的な部分が動いておったとしても、いわゆる制御に関するプログラムにバグ等があって故障している可能性がある。そういうことを考えると、その時点で、まだ結果がわかっておりませんでしたが、こういった戸開走行を間違いなく防ぐということを考えれば、これを二重ブレーキ化するというのが一番ふさわしいんじゃないかと。

 こういう中で、先行して、こういった委員会での検証結果を踏まえて、とりあえずの再発防止について、考えられることをすべてやったということが実態でございます。

 大臣からも何度か答弁していますように、捜査も終わり、また書類送検され、警察庁の協力を得て私ども専門委員会の専門家も見ておりますので、そういったものをもう一回昇降機等事故対策委員会に持ち帰りまして、その当時考えた、すべてのケースを想定してやったつもりでございますけれども、その後の状況を踏まえて、まだやるべきことがあるかどうかについては十分検証し、その結果、さらに追加してやるべきことがあれば、速やかに対応してまいりたいというのが基本的なスタンスでございます。

日森委員 ぜひそのことが必要であって、先ほど吉井委員の質問にもございましたけれども、徹底した、しかも総合的な、全面的な原因究明ということが必要になるし、それをやるための組織ということについても、ぜひ改めて御検討いただきたいと思っています。

 事故対策委員会が設置をされたわけですけれども、この役割と、それから、こだわっているわけですが、こういうところで得た情報と消費者庁はどういう関連があるのか、協力関係というのがつくられていくのかということについて、お伺いしたいと思います。

金子国務大臣 昇降機等事故対策委員会の役割でありますけれども、事故情報、ふぐあい情報、事故原因究明に係る調査、それからこれを踏まえました再発防止策を検討する、こういう目的で、本年二月、常設の組織として社会資本整備審議会のもとに設置されたものであります。

 消費者庁と本委員会について、事故に係る情報を共有するということを行いながら、消費者庁と密接な連携協力をし、先ほどの御質問でありましたように、消費者行政に積極的に、消費者安全のために積極的な協力を行っていきたいと思っております。

日森委員 警察の捜査が先行するということで、事故対策委員会なども大変御苦労されると思うし、特に運輸安全委員会なども、対警察との関係で、警察が証拠物件をみんな持っていっちゃうから調査できないというふうなことがあって、覚書などを結んで警察と一緒にやっていくことになった。例えばアメリカのNTSBなどは、警察よりもはるかに権限を持っていて、我々が先に調べるんだというふうなことで証拠がわからなくなってしまうようなことはしないということになるので、今度のエレベーターの問題でも大変大きな問題がありました。

 そういう意味では、警察の捜査が終わるまで何もできない、できないといっても、やったんでしょうけれども、これから十分にやりますという話ですから、ここは何かうまいぐあいに、協力関係あるいは連携の協力関係みたいなものをきちんとやっていく必要があると思うんですが、そこはどうでしょうか。

増原副大臣 ただいま日森議員の御指摘の点でございますが、まさにごもっともでございまして、先ほど両大臣からもおおむねそういう方向でのお話をさせていただいているところであります。特に、事故の真相解明に資する情報の共有、それから類似事案の発生の未然防止という観点からの連携協力を図っていくことが極めて大事であると考えております。

 まず、真相解明につきましては、消費者庁といたしましては、消費者安全法に基づく情報集約ルート、これにより集めた情報の分析、この情報を、事故の発生の事実に関する情報を把握している警察に対しましてもしっかり提供して、協力をしていくことになると思っておりますが、加えて、類似事案の発生の未然防止という観点からは、消費者庁が中心となりましてその体制づくりを進めていくことが必要であるものと考えております。

 具体的には、消費者庁、関係省庁と警察との間の密接な連携、消費者庁と専門性の高い関係機関との円滑な協力関係を構築する、そして、これにより迅速かつ専門的な原因究明を行い、事故の未然防止のため必要な改善項目を洗い出す、こういったようなことになろうと思います。

 ただ、原因がわからなくても状況から見て事故が拡大する危険性があるというような場合には、集めました情報につきまして、注意喚起の観点からきちっと公表させていただきたい、そのように考えております。

日森委員 これは具体的な問題の中でいろいろ出てくると思いますので、また議論はしていきたいと思います。

 自動車ふぐあい情報というのは、いつだったか忘れましたけれども、この前もちょっとお話をいたしました。これは、ユーザーからの情報も全部載せて公開するということで大変使い勝手がいいということになっていて、NITEの情報なんかよりもはるかにユーザーの情報が多いということも聞いているわけです。検索できるわけで、その情報を見た事業者がみずからリコールを申請してくるとかいうふうなことで、かなり大きな意味を持っていると思います。

 その辺について、大臣、どういう評価をされているのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

金子国務大臣 今の自動車不具合情報ホットライン、日森委員から今大変御評価、それなりに御評価をいただいておられるなと思います。平成十二年からこの自動車不具合情報ホットラインを設置しておりまして、情報収集させていただいております。

 やや宣伝になりますけれども、国交省のホームページ、二十四時間音声受け付け電話、フリーダイヤルの三つの手段によりまして受け付けておりますけれども、年間約五千件の情報をいただいております。

 寄せられた情報については、ユーザーが公表しないことを希望した場合を除いて、自動車の車名、通称名、ふぐあいの装置、ふぐあいの発生時期、ふぐあいの内容などをホームページで公表させていただいておりまして、車種別、装置別に検索ができるように今なっております。

 さらに、リコール検討会でありますが、このリコール検討会におきまして、自動車のふぐあいに対するユーザーの関心を高めるという観点から、不具合情報ホットラインで得られました情報の統計的な分析を行いまして公表するべきとの御指摘を受けたところでありまして、さらなる改善に努めてまいりたいと思っております。

日森委員 しつこくて申しわけないんですが、これは野田大臣になんですけれども、その情報を一元化して、特に公表するときに、このシステムというのはある意味大変参考になるんじゃないかと。消費者庁は、まさに開かれた庁であるし、むしろ、要するに、消費者にどれだけ期待されるというか要望にこたえるかということが基本的な任務だと思いますので、この辺、ぜひ参考にしていただきたいような気がするんですが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 平成十九年の六月に取りまとめられました国民生活審議会意見において、事故情報を一元的に収集するために、国民及び関係機関が情報を自由に入力できるシステムをインターネット上に構築すべきとの提言がなされたことに基づきまして、去年の秋からずっと内閣府において、関係省庁と連携をして事故情報データバンクの構築に向けた取り組みを進めているところです。これは、前回ちょっと御報告申し上げました。

 事故情報データバンク内の情報の取り扱いについては、全般的な事故動向や重大な事故に関する分析情報等を公開するとともに、個々の事故情報についても、内容の確認等を行った上で、事故の対象物、事故発生の状況など、一定の範囲で公開を行うことを予定しております。

 個々の事故情報の公開に当たりましては、被害拡大防止や同種、類似の事故発生防止のためにできるだけ広範な情報が求められる一方、被害者の個人情報等の保護や風評被害の防止等の観点からも検討は必要だと考えております。

 いずれにしても、しっかりと検討してまいります。

日森委員 ありがとうございました。

船田委員長 次回は、来る七日火曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時六分散会


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