衆議院

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第11号 平成21年4月7日(火曜日)

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平成二十一年四月七日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 船田  元君

   理事 大野 松茂君 理事 岡下 信子君

   理事 岸田 文雄君 理事 七条  明君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 仙谷 由人君

   理事 園田 康博君 理事 大口 善徳君

      井澤 京子君    遠藤 宣彦君

      近江屋信広君    大塚 高司君

      鍵田忠兵衛君    亀井善太郎君

      北村 茂男君    小島 敏男君

      佐藤  錬君    平  将明君

      土屋 正忠君  とかしきなおみ君

      土井 真樹君    永岡 桂子君

      並木 正芳君    西本 勝子君

      宮腰 光寛君    矢野 隆司君

      泉  健太君    枝野 幸男君

      小川 淳也君    小宮山洋子君

      階   猛君    田島 一成君

      田名部匡代君    田端 正広君

      吉井 英勝君    日森 文尋君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   内閣府大臣政務官     並木 正芳君

   参考人

   (社団法人日本経済団体連合会経済法規委員会競争法部会部会長代行)

   (パナソニック株式会社法務本部顧問)       齋藤 憲道君

   参考人

   (明治学院大学法学部准教授)           圓山 茂夫君

   参考人

   (日本弁護士連合会消費者行政一元化推進本部本部長代行)

   (弁護士)        中村 雅人君

   衆議院調査局消費者問題に関する特別調査室長    島貫 孝敏君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 消費者庁設置法案(内閣提出、第百七十回国会閣法第一号)

 消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出、第百七十回国会閣法第二号)

 消費者安全法案(内閣提出、第百七十回国会閣法第三号)

 消費者権利院法案(枝野幸男君外二名提出、衆法第八号)

 消費者団体訴訟法案(小宮山洋子君外二名提出、衆法第九号)


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     ――――◇―――――

船田委員長 これより会議を開きます。

 第百七十回国会、内閣提出、消費者庁設置法案、消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案及び消費者安全法案並びに枝野幸男君外二名提出、消費者権利院法案及び小宮山洋子君外二名提出、消費者団体訴訟法案の各案を議題といたします。

 本日は、各案審査のため、参考人として、社団法人日本経済団体連合会経済法規委員会競争法部会部会長代行・パナソニック株式会社法務本部顧問齋藤憲道君、明治学院大学法学部准教授圓山茂夫君、日本弁護士連合会消費者行政一元化推進本部本部長代行・弁護士中村雅人君、以上三名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。参考人各位には、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 それでは、議事の順序について御説明申し上げます。

 まず最初に、参考人各位からお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。委員の質疑時間は限られておりますので、お答えはできるだけ簡潔明瞭にお願いいたします。

 なお、念のために申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を受けることになっております。また、衆議院規則の規定により、参考人は委員に対して質疑することはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 それでは、まず齋藤参考人にお願いいたします。

齋藤参考人 おはようございます。日本経団連経済法規委員会の齋藤憲道でございます。

 消費者問題に関する特別委員会にお招きいただきまして、発言の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。

 私はパナソニック株式会社に勤務しておりますが、本日、すべての業界にかかわる消費者関連法案を審議する場ということですので、さまざまな業界の声を反映する日本経団連の一員として発言させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 消費者問題は日常生活のどこにでも発生し、国民のだれもが当事者になり得ると考えております。消費者と事業者が建設的に協力し合って、より生活しやすい社会になることを願っております。

 まず、消費者と事業者の基本的なかかわりを見てみたいと思います。

 総務省の二〇〇六年のデータによりますと、我が国には五百九十一万のさまざまな事業所がございます。それから、企業数は百五十一万社です。この多くが直接間接に商品やサービスを取り扱っているわけであります。

 商品、サービスに関する消費者の相談や苦情の大半は、通常、まず取引した店舗などの事業者に寄せられます。国全体で見ると、一億人以上の消費者と事業者の間の直接対話の件数は膨大なものになります。大規模な事業者の中には、一年間に百万件以上のお客様相談を受けている者もございます。この当事者間の直接対話で円満解決に至らなかった事案を含む年間百万件強の苦情相談が、消費生活センターや国民生活センターに寄せられているわけです。その中には、振り込め詐欺のような本当にひどい事案もございます。

 昔から、優良企業はお客様の声に素直に耳を傾け、経営の改善に努めています。企業が存続するのはお客様があってのことであり、多くの企業が社是にお客様第一を掲げております。

 お手元に、黄色い冊子でありますけれども、経団連の企業行動憲章の冊子をお届けしております。その第一条に「社会的に有用な製品・サービスを安全性や個人情報・顧客情報の保護に十分配慮して開発、提供し、消費者・顧客の満足と信頼を獲得する。」と書かれています。詳しくは、後ほどごらんいただければ幸いです。

 また、日本経営品質賞という、すぐれた経営を表彰する制度がございます。これは、顧客本位に基づく卓越した業績を生み出すモデルとなる企業を表彰しまして、その考えを広く共有することを目指しております。このように、多くの企業がお客様志向で研さんしています。

 それでも、商品やサービスが満足できないとしてお客様からクレームをいただくことがあります。その際、これを前向きにとらえて、次の商品開発のための大切な情報源にして経営に生かす企業と、それができない企業では、市場競争力に大きな差が出てきます。製造業もサービス業も、このことは同じであります。

 しかしながら、現実には偽装表示、事故や中毒、詐欺、それからリコール隠しなどの不祥事が頻繁に報道されています。信用を築くのには長い年月がかかりますけれども、崩れるのはほんの一瞬です。このようなことのないように、企業内ではさまざまな取り組みが行われています。

 近年、意思決定が適正に行われるように、ガバナンスや内部統制に関する会社法などの法令が整備されました。これに関し、多くの企業がコンプライアンス確保のために担当部署を設置し、専任者を配置し、基本方針、規程を制定し、それからヘルプラインや相談窓口を設置し、社内啓発、教育活動を行っています。

 また、業界団体としての取り組みもあります。広告宣伝等に関しては、一般用医薬品の広告自粛申し合わせ、審査基準のような団体コードや、新聞広告掲載基準、放送基準などの媒体コードを関係企業が共同で定めて自主規制しています。重大な事故が発生すると、業界を挙げてその原因を解明し、製品やサービスに関する基準、規格等を厳しく改定し、検査等も厳しくしたりします。

 一方、不祥事に関する情報は企業の中に隠ぺいされ、外からわかりにくいことが多いので、社会のために内部情報を外部に通報させることを促す公益通報者保護法や、独禁法のリーニエンシー制度などが制定されております。最近、多くの不祥事がこの内部告発で発覚したと言われています。

 現在の社会は、発見した不祥事を公表して再発防止策を論じた企業よりも、それを隠ぺいした企業に対してはるかに大きな非難を浴びせます。この点に着目し、企業の社会的責任、CSRの重要な要素に位置づけて取り組んでいる企業もあります。

 このように、企業内では、社会に信頼していただくための多角的な取り組みが行われているのです。

 以上、事業者サイドのことを申し上げました。

 次に、事業者と消費者の間のトラブル相談及び対応について見ますと、事案の性質に応じて多くの種類の窓口が設置されています。消費生活センター、国民生活センター、消費者団体はもとより、有害食品などの健康、生命に関する事案については病院、保健所も貢献されています。それぞれが専門的な知識、経験に基づいて対応されていますが、警察の一一〇番や消防の一一九番のように、全国どこにでも通じる窓口に一本化されることが望まれています。

 さらに、総合法律支援法に基づいて全国各地に設けられた法テラスでは、弁護士や司法書士の方々が法制度や法手続面のサポートを行っております。そして、刑事事件になると警察、検察が関与してまいります。このように、トラブルの相談と対応は多くの方面で充実して準備されております。

 他方、紛争解決手段も多様化してきました。三年前に改正された消費者契約法に基づいて適格消費者団体が認定され、活動が始まっています。消費者と事業者の間でトラブルが生じて解決しない場合には、裁判所で解決する道がありますが、専門的な知識や経験を持つ者が中立的な立場で調停などを行う裁判外紛争解決手続、ADRが多数設置され、利用されています。銀行、保険、証券、住宅、自動車、家電、その他多くの業界のADR機関が多数の案件を受理し、仲裁、調停、あっせんなどを行っています。先週四月一日には国民生活センターでもADRが発足し、地方の消費生活センターなどから紹介された事案を解決に導くことが期待されているところです。最近の裁判では、不祥事を指示、黙認した企業のトップに罰金や懲役刑などの刑事罰が科せられることも間々あります。

 このように、相談対応窓口とそれから紛争解決手段の両面で基盤の整備が進んでいます。これらの多様な施策がうまくかみ合って相乗的な効果を発揮すると、一層の成果が上がると期待されます。

 このたび、衆議院にこの消費者問題に関する特別委員会が設けられ、高い総合的な見地から消費者問題が検討されております。消費者基本法の第三条から第七条に規定されています、国の責務、地方公共団体の責務、事業者の責務等、それから事業者団体の努力、消費者の努力、これらについて十分に吟味されまして、着実によりよい社会が形成されるように導かれることを願うものであります。

 さて、ただいま審議されている法案についてですが、政府の消費者関連三法は、消費者目線に立って、消費者、事業者、それに国と地方の行政のあり方を多角的に検討されたものであり、評価できると考えております。消費者庁には勧告、執行、企画立案の機能が妥当な方法で付与されています。

 この法案をさまざまな業界の消費者窓口や法務部門の方々と読んでみましたが、これについて、これは困るという声は聞かれませんでした。

 法案を読む前は、懸念も示されておりました。例えば、安全にかかわる商品については、開発段階から市場への投入まで長期間にわたって社内外のチェックがある、公的な審査も義務づけられているものもある、このような機能をすべて消費者庁に一元化することは本当に適切なのかと懸念する、こういうことであったわけですけれども、現在の法案はその点にも配慮されていると思います。

 ここで、運用面を含めまして御配慮いただければありがたいと思うことを四つ申し上げます。

 一つは、一つの法律を二つの官庁が共管するということになりますと、相談、指導の窓口が二つになるのではないかということを、特に規模の小さい企業の方々が気にしておられます。窓口が二つになっても担当者を二倍にする余裕はないのです。外から窓口が一つに見えるように、効率的な運用をされることを望みます。

 第二は、新制度が実際にうまく機能するかどうかは、問題が発生する現場の対応力にかかっていますので、これを強固なものにするということです。消費者から相談窓口がはっきり見えるようにすること、それから地方の消費生活センターの体制整備及び相談員の確保、充実をお願いいたします。

 第三は、今後、重大な被害の拡大を防止するために、原因である疑いが極めて濃厚な段階で疑わしい事業者名等を公表して消費者に注意を促すケースがふえる可能性がありますので、万一、後日それがぬれぎぬだと判明したようなときには、既に倒産したものも含めて、何らかの形で救済する仕組みをつくることであります。O157事件のように、特に零細事業者が経営危機に陥るのを救済する仕組みであります。

 第四は、今回新制度が導入されて実施された段階で、実績を評価し、所期の目的の実現と定着を確認することです。その際、我が国は貿易立国ですから、この制度が外国企業からどのように評価されているかという視点も加えていただければと思います。

 以上、四つ申し上げました。

 なお、悪質な事業者が違法に獲得した収益を剥奪するという案がございますが、個々の被害者の権利との関係、それから、その他民事訴訟に係る広範な検討が必要だと思います。まだ十分に詰められたようには見受けられません。

 最後になりますが、合理的に行動する消費者と、お客様第一に徹する事業者が、適度な緊張関係を保ちつつ共存するようになれば、社会はよりよくなります。今回の新制度導入を機会に、事業者も創業の原点に立ち返って、お客様第一の実現について自問自答することが大切だと考えております。

 以上で、私の発言を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)

船田委員長 ありがとうございました。

 次に、圓山参考人にお願いいたします。

圓山参考人 明治学院大学法学部の圓山でございます。本日はお招きくださり、ありがとうございます。

 本日、私は、地方の消費者行政を国の責任で運営し、自治事務から法定受託事務などに転換をして、しっかりとした枠組みのもとで強化する必要性を申し上げたくて、衆議院に参りました。

 最初に、私の経歴を申し上げます。

 法学部を卒業して、一九八三年西宮市役所に就職し、広報課で消費者センターを取材したときに、当時豊田商事と闘い始めていた市役所の消費者センターの仕事をしたいと思いました。その後、兵庫県の採用試験を受け直して合格し、一九八四年から二年間は農林水産部で農業構造改善事業の係に配属されましたが、一九八六年、希望がかなって兵庫県立神戸生活科学センターで消費者相談の仕事につくことができ、主に契約トラブルの苦情あっせんを担当しました。一九九六年から四年間は、県庁の消費生活室で、当時の訪問販売法など十個の事務を兼務しました。二〇〇〇年から再び消費者相談の現場に戻り、二〇〇七年公務員を退職して、大学の教員をしております。

 第二に、地方消費者行政の経緯を簡単に述べます。

 国及び都道府県の消費者行政が始まったのは、一九六〇年代前半、昭和三十年代後半です。一九六五年、昭和四十年、消費生活センターとしては全国で初めて、兵庫県立神戸生活科学センターが開設されました。私の以前の職場です。

 一九八五年、昭和六十年、金のペーパー商法の豊田商事が摘発されました。ちょうどこのころ、消費生活センターの相談は苦情相談の方が問い合わせ相談より多くなり、また、取引の苦情が製品の苦情より多くなりました。そして、二〇〇九年、消費者庁法案、消費者権利院法案の国会審議が始まりました。

 この約四十五年間の歴史の中で、前半の二十年、つまり一九八五年、豊田商事事件までの時期と、後半の二十四年、豊田商事事件以後の時期では、消費者行政の性質が大きく変わったと体験的に感じております。

 第三に、前半の二十年です。昭和四十年にセンターが開設されたところから、ここでは昭和四十年体制と呼んでおきます。消費者行政の任務は、1、いわゆる賢い消費者を育てることでした。相談は問い合わせが中心で、梅干しの漬け方や害虫駆除の方法など暮らしの知恵を尋ねられました。啓発も、食品添加物の知識や家電製品の選び方、使い方など生活知識の普及が中心でした。

 そうして、ここが大事なのですが、2、相談も啓発も、市町村内、都道府県内で完結をするものがほとんどでした。完結するというのは、市内の住民が市役所に生活知識を尋ねて、市役所が住民に情報を提供して終了する、市境、県境を越えず、域内で完結するということです。

 このため、消費者行政の体制は、3、交通便利なターミナルビルにセンターを設置して消費者に来てもらって、4、電話番号は自治体ごとに決める。今現在、消費生活センターの電話番号は、下四けた〇九九九の電話番号が多く使われていますね。これはキューキューで救急車じゃないんですね。〇をオーと読んで、九九九は九が三個、つまりオクサンと読みます。〇九九九は、奥さん相談電話というところからネーミングされています。

 5、住民向けの情報サービスなので、センターは地方自治法二百四十四条の公の施設に位置づけられ、ここから地元の消費者協会などに民間委託することになりやすく、最近では、コストカットのため指定管理者制度が導入されているところもあります。

 6、センターの職員は、地方公務員法三条三項三号、地方自治法二百三条の二の特別職非常勤職員が中心。というのは、地元の婦人会の推薦で専業主婦の奥様がやってきて、奥様向けの相談をしていたからなんですね。特別職非常勤職員は、地方公務員法では非専務職であって、出勤した日の報酬は支給するが生活給としての給与は支給しないという位置づけです。

 これを支える法制度は、7、市民税、県民税の地方税で運営される。このため、ほかの市やほかの県の消費者にサービスすることは断ります。

 8、旧地方自治法二条の固有事務に消費者保護が列挙されていました。これは、二〇〇〇年の地方分権一括法の施行で現地方自治法二条の自治事務ができたときに、そのまま移行しました。

 このため、消費者庁構想でも、自治事務だから国の恒久的な財政支援ができず時限的なものだけとか、自治事務だから国は経常経費や人件費は支援できないという情けない話になっています。また、自治体の裁量に任されていて、予算、人員を自由に削減できますし、今のような弱体化が随分前からわかっていても、国が放任してきた理由になりました。

 第四は、後半の二十四年間です。

 豊田商事事件前後からセンターの任務が変化してきたのに体制が変わらないために、矛盾が噴出しています。

 1、消費者がセンターに求めるものは、取引や製品の苦情を持ち込めば被害を救済してもらえる、生活の安全、安心の拠点に変わりました。

 2、その結果、相談は、市町村の中、都道府県の中では完結しなくなりました。市民、県民から相談を受けてそれを解決するためには、相手の企業と交渉しなければなりません。その企業の大半は東京、大阪にいます。私は、兵庫県で苦情相談の継続案件のあっせんを主に担当していましたので、ほとんど一日じゅう、東京、大阪に市外電話をかけて、相手の事業者に、下手に出たり強く出たり、法律を持ち出したり、監督官庁に話を聞いてもらったり、あっせん交渉をし、お金を返してもらい、請求ストップしてもらいもしていました。市外電話料金がかさんで、たまりかねたセンターの経理係から時々市外通話の制限命令が出ました。

 私が在職中ずっと疑問だったのは、なぜ兵庫県のセンターが兵庫県の県民税と職員を使って、このあっせんを行わなければならないのかでした。兵庫の消費者に迷惑をかけてきたのは、東京や大阪の業者です。業者は東京や大阪で納税をしています。なぜ東京都庁や大阪府庁がお金と職員の応援をしてくれないのかと。

 しかし、よく考え直してみると、東京都庁や大阪府庁に経費をよこせと言って都道府県同士でけんかするのもおかしいんです。本来、都道府県をまたがる業務は国が処理をするのが行政の原則であったはずです。消費者トラブルの解決の仕事が、被害者側つまり消費者の居住地の自治体の自治事務だというのは、そもそも間違っているんではないでしょうか。現代の神話、例えば銀行は絶対に倒産しないといったたぐいの神話ではないでしょうか。

 最近の主な消費者問題を見ても、中国産冷凍ギョーザは東京の輸入業者が中国から輸入して、千葉と兵庫で被害が出ました。コンニャクゼリーは群馬などで生産されて全国各地で被害者。ガス瞬間湯沸かし器の事故は、愛知の業者が生産して全国で被害者。消費者行政は、もはや国の事務と位置づける行政分野となったと思います。

 しかし、後半の二十四年間、第三で申し上げた3から8の体制に変化はなかったです。わずかに特別職非常勤職員の一部が月給制の一般職非常勤職員になれたことくらいです。しかし、非常勤職員の枠内にとどまっている限り、ワーキングプアは改善されません。また、常勤職員は大幅に減らされました。このため弱体化し、さまざまな問題が噴出していることは御審議のとおりです。予算、人員の削減や非常勤職員の待遇問題だけではありません。お配りしました私の資料の十八ページ以降の地方消費者行政の現状報告と改善提案レポートを後ほどごらんください。

 第五は、今後の改革のあり方です。先に任務を明らかにしてから組織の仕組みを考えるべきです。

 まず、任務です。

 1、相談内容は取引や製品の苦情が中心で、センターには被害救済機能が求められ、生活の安全、安心の拠点、啓発も被害の予防が目的というのは変わりません。

 2、相談は市町村内、都道府県内で完結しないものがますますふえて、さらに海外の業者と話をすることもふえてきています。さらに今後は、消費者新組織の理念によって、重い任務と責任を背負うこととなるはずです。センターは、国の消費者新組織を地域で支える拠点となるからです。

 センターの任務は、「消費者行政推進会議取りまとめ」によれば、消費者が何でも相談でき、だれもがアクセスしやすい一元的な消費者相談窓口、全国ネットワーク、窓口では苦情相談受け付けから助言、あっせん、紛争解決まで一貫して対応するワンストップサービス、共通の電話番号、三百六十五日対応、地方の消費生活センターを法的に位置づけ、都道府県等の消費生活センターは中核センターとして、また市区町村の消費生活センターは消費者に最も身近な最前線の窓口として、新組織、国民生活センターと連携しつつ、ともに一元的な消費者相談窓口として機能するということを実現する、そのための仕組みを考える必要があります。そのためには、昭和四十年体制を転換しなければなりません。

 3、センターの設置場所は、県庁や市役所の規制行政部局と連携をしやすい場所、つまり、県の庁舎や市の庁舎の一階が適当です。

 4、相談受け付け電話番号は、みんなが覚えやすい全国共通電話番号制にする。これは、二十一年度予算でこの秋から実施されると聞いています。

 5、改革後の任務に対応するためには、すべての市町村に一つずつセンターを設置する分散型ではなくて、集中型、つまり、一つのセンターに数十人のいろいろな専門分野の職員が働く強力なセンターが必要です。

 五十九ページ以下のイメージ図をごらんください。これは、私が、人口三十万人から四十万人の地域に一つのセンターを置いてみたときに、幾つかの都道府県を地域割りにしたものです。こうしますと、センターから遠隔地、遠い場所が当然できますので、その場合には町役場や市役所の支所などに取次業務を頼みます。また、消費者と面談する必要があれば、電話あるいは取次所から連絡があれば、公用車を運転して消費者宅を家庭訪問します。今の一人や二人の消費生活センターでは、電話番だけで家庭訪問ができません。数十人いれば機動的に家庭訪問ができると思います。

 私の案は、政令指定都市、中核市、保健所設置市は規制行政部局を市役所の中に持っていますので市立のセンターとしますが、これ以外は県立のセンターに移行するという案にしております。ただ、このほかにも広域連合でやりたいとかいろいろな案が出ていると思いますので、深く御検討いただければ結構だと思います。

 このような消費生活センターは消費者行政新組織のセンサーなので、地方自治法の公の施設から行政機関に転換させます。すると、民間委託は取りやめざるを得ず、行政直営で運営します。

 6、職員は、今のように非常勤相談員と行政職常勤職員にすき間があって風通しの悪い状態ではなくて、常勤職員に一元化します。理科系、家政系、文科系、さまざまな専門を持つ職員が一緒に働きます。この職員は、地方公務員法三条二項、地方自治法二百四条の一般職の常勤職員です。

 資料の五十八ページのイメージ図をごらんください。これは、改革がうまくできた場合の五年後の消費生活センターの職員録を、私が仮想というかバーチャルで考えたものです。現在消費生活相談員の方あるいは学生の新卒採用、ほかの部局で働いている方が組み合わさって働くような図になっております。これらの職員の採用は、看護師、保健師、栄養士と同じような技術系の職種として、消費生活主事という職を創設することを御提案します。

 ここで参考になるのは児童相談所だと思います。私の資料のほかに、一枚物の児童福祉法の抜き刷りというのを別に持ってきていますので、それもごらんください。

 児童相談所は、子供の福祉と権利を守るということです。消費生活センターは消費者の権利を守るところです。任務はよく似ています。児童福祉法の十二条の三あるいは十三条は、児童相談所で相談や調査に当たる職員に児童福祉司の資格を求めています。資格の要件も法律あるいは施行規則で詳しく定められています。私が申し上げている消費生活主事もそういう位置づけです。

 そして、年齢制限のない職員採用試験をします。今非常勤の相談員も、知識経験が高いので合格するでしょう。ただし、今までの非常勤勤務がうれしい人はこのまま勤めていてもよいようにします。

 この職員の人員の基準は、センターでは管内人口二万人当たり一人の消費生活主事、都道府県の本庁では管内人口十万人当たり一人の消費生活主事が任務を担います。この人数を国の基準で決めます。そして、学校の先生が近くの学校に転勤するように、近くのセンターに転勤しながら昇進をしていきます。もちろん雇いどめはなくなり、定年まで勤めます。このような改革は、自治事務の位置づけのまま自治体の勝手に任せていてはできません。

 7、第四で申し上げたように、消費者行政は国の仕事と考えた方がよいので、国が責任を持ち、国税で運営します。

 8、すると、事務の性質は、自治事務ではなく、国の仕事を自治体に頼んでやってもらうのなら、地方自治法二条九項一号の法定受託事務です。それとも、消費者権利院法案の国の直轄事業と位置づけて、国の責任で地方消費者行政を立て直すということになります。

 法定受託事務について少しお話をします。旧地方自治法の機関委任事務を整理して、自治事務に移行するものと法定受託事務に残すものに分けたときに、法定受託事務は抑制するという方針がありました。地方分権一括法附則第二百五十条に規定されているそうです。これが役所の常識でしたが、最近、逆にどんどんふえています。

 昨年、政府の消費者安全法案を読んで、もうびっくり仰天しました。消費者安全法案は法定受託事務だったからです。消費者安全法案二十二条は、事業者に対する報告徴収や立入検査権限を定めています。この権限は、二十三条で消費者庁長官から都道府県知事または市町村長にも委任されています。第二十四条、事務の区分を読み上げます。「前条第二項の規定により地方公共団体が処理することとされている事務は、地方自治法第二条第九項第一号に規定する」「法定受託事務とする。」。消費者安全法案附則の三項は、地方自治法を一部改正し、別表第一の法定受託事務リストに消費者安全法第二十三条第二項の規定により地方公共団体が処理する事務を追加するというのが消費者安全法案です。

 地方消費者行政の事務の中で、消費者安全法案の対象となるのは一部です。それは、消費者安全の確保に関して、苦情に係る相談、苦情処理のためのあっせん、調査分析、消費生活センターの設置、事故情報の通知、PIO―NET入力含むの範囲です。一方、それ以外の、消費者安全の確保に関するもの以外の分野は外れますし、問い合わせ相談、高齢者等の見守り、さまざまな法律、条例の執行事務は外れています。

 消費者安全法案の対象となる事務も、それ以外の事務も含めて、現在は全部自治事務です。その中で、報告徴収と立入検査だけを法定受託事務にするため地方自治法を改正しようとしているんです。もうわけがわかりません。なぜこれだけを法定受託事務にするのか、また、特商法の報告徴収や立入検査は自治事務に分類されているのに、消費者安全法案の報告徴収や立入検査をなぜ法定受託事務にするのか。

 話を戻します。

 上記第五の7、8を実施する、つまり、地方消費者行政の全体を国の責任と関与で運営するには、次の七項目をすべて満たすことが不可欠の条件と考えます。

 (1)、新法に法定受託事務である旨を規定し、国が財政負担をすることを明記します。

 (2)、地方自治法別表第一の法定受託事務リストに、消費者行政の全体を追加します。

 (3)、新法の条文に、消費者行政を担当する職員は消費生活主事の資格を持つ者に限るなどと明記します。児童福祉法十三条の前後の条文を見習います。

 (4)、新法の政令で、業務量の具体的な基準を定めます。資料の七ページに消防行政における消防力の整備指針をつけております。この指針の後ろの方には表がありまして、人口何万人当たり消防車何台を備える、消防士何人を置くなどの数値が入った表がついて、消防力の基準となっています。こういうやり方を見習います。

 (5)、新法の政令で、先ほど6でお話をした消費生活主事を配置するための職員定数の基準を定めます。これは、資料の十六ページに警察法の施行令をつけております。警察法施行令の別表第二、別表第三、都道府県別の警察官の定数を定めております。これを見習います。

 (6)、基準を満たさない自治体には、国が是正の指示をします。地方自治法二百四十五条の七の規定を使います。

 (7)、地方財政法十条の四を改正して、消費者行政を追加します。読み上げます。地方財政法十条の四「地方公共団体が負担する義務を負わない経費」「専ら国の利害に関係のある事務を行うために要する次に掲げるような経費については、地方公共団体は、その経費を負担する義務を負わない。」現在、ここに九つの事業が規定されていますが、それに消費者行政を追加して、国の財政負担を法制化します。

 この七つの制度改革ができないというのであれば、私個人の経歴からは市役所や県庁に一抹の愛着や郷愁はありますが、消費者の権利利益を第一に考えるとしたら、地方消費者行政を地方自治から国の直轄事業に移行させ、そこでこれらの制度改革を実現してもらうこともやむを得ないと考えます。

 現在出ている政府案、つまり、内閣官房消費者行政一元化準備室の力ではできなかった地方消費者行政の改革、それをなし遂げるのは国権の最高機関である国会のお力しかありません。審議に期待をしております。

 御清聴どうもありがとうございました。(拍手)

船田委員長 ありがとうございました。

 次に、中村参考人にお願いいたします。

中村参考人 二十年前から消費者庁の創設を言っている日弁連でございます。よろしくお願いします。

 私は、日弁連に消費者委員会というものができる以前からたくさんの消費者被害事件にかかわっておりまして、日弁連が二十二年前に消費者委員会をつくるときの創設にも関与いたしました。そして、日本弁護士連合会人権擁護大会というのを毎年やっておりますが、二十年前に松江で開いた大会で、この消費者行政の一元化、消費者庁の創設を提言しました。そのときの提言の取りまとめにも関与し、現在、日弁連で消費者行政一元化推進本部本部長代行ということで、この創設に向けて努力させていただいているわけです。

 日弁連がこの消費者庁の創設をなぜ言い出したかというところを、もう一度ちょっと説明しておきたいと思います。

 私たち弁護士というのは、日常、たくさんの相談を受け、そして消費者の被害を何とか救済しようということでたくさん取り組むわけでありますが、私が弁護士になったのは三十五年前ですが、そのころから二十五年ぐらい前までは、いろいろな取り組みをしてもなかなか思うようにいかない。何でこの被害を受けた方が救われないんだろうか、そして、悪徳な商法をやっている業者が何で利得を懐に入れたまま返さないんだという思いを非常にしました。裁判に訴えてみても、裁判官もなかなか理解しない。行政はどうなっているかということで、行政庁を見てみますと、これもなかなか規制を発動してくれない。そういう中で、私たちは、たくさんの不合理、矛盾というものをいっぱい集めて感じておりました。

 そういう弁護士が全国にたくさんおりまして、やがて消費者委員会をつくり、そして、消費者行政を何とかしよう、消費者の現状を何とか救う方法はないものかということで、シンポを開いたのが二十年前でありました。

 このときに私たちがやった手法は、世界の国々は一体どうなっているんだろうか、日本のことを見るときに、外から一回見てみようということで、海外の調査に参りました。アメリカ、ヨーロッパ、それからオーストラリアとか韓国などにも行きまして、皆さん、一体どんな方法で消費者被害を実現しているのかというところを研究したわけでありました。

 そのとき一番感動いたしましたのは、やはり、アメリカの消費者運動家、ラルフ・ネーダーさんとお会いしたときです。ネーダーさんはこういうことを言いました。私も、昔、弁護士になりたてのころ、消費者被害に取り組んだけれどもなかなか思うようにいかない、なぜだろうと考えたときに、実は、自分が大学の法学部で学んだ法律というのは、すべて産業保護育成の時代に産業保護育成をやりやすいようにつくられていた法律だ、そうなるとやはり消費者にはなかなか使いにくい法律であるということに思い至った、それで、自分は消費者保護に邁進しようという決意をされたというお話を聞きました。

 私は、これだ、日本もまさにこの点が今の大きな問題なんだということを感じ、本当にあのとき目からうろこが落ちる思いをいたしました。それで、日弁連の人権擁護大会にもネーダーさんをお呼びしてお話をいただき、そして自信を持って私たちは消費者庁の創設を提言したわけであります。

 私たちの国の法律も、思えばやはり、明治の殖産振興、富国強兵政策の中で、まさに国を富ませる、欧米列強に追いつけ追い越すために法制度を欧米から輸入して整えていったわけでありまして、省庁もそれを執行する行政としてそれぞれ立ち上がっていった。

 ですから、産業保護育成については、私は一定の成果を果たしたんだろうと思いますが、その省庁がやがて、本来の業務ではなかったものを、消費者政策を取り入れて、消費者安全課とか消費者保護に関する部署を少しずつふやしていって、担当されるようになりました。

 しかし、やはり、そもそもの生まれが産業保護育成の省庁でありますので、そこが同時に消費者保護を担当してみても、なかなか思うようにいかない、法改正も、私たちの希望するほどスムーズに進まないという時代がずっと続いたわけであります。

 そこで、私たちは、ネーダーさんの言われるように、やはりここは、産業保護育成省庁から切り離して、独立した、消費者目線で消費者のことを専門に考える行政機関、そういうものが一つ要るんではないかということに思い至ったわけであります。

 それが諸外国にはあったんです。消費者庁あるいは消費者省、あるいは、地方自治においても、地方行政の中にも独立した消費者部門、消費者行政部門というのがあるんです。そういうことを日本でも取り入れるのが必要だろうということを感じて、我が国の消費者行政の見直しを提言したわけです。

 私たちの二十年前の提言は、もちろんそれだけで救えるというつもりで言ったのではなくて、司法の場においても立法の場においても消費者目線で活動するようにということを、あわせてあのときは提言しております。

 あれから二十年たちました。この間、消費者関連のいろいろな法律ができ、あるいは改正がなされておりますが、私たち日弁連は、そういう法案等に対する意見を言う都度、必ず、消費者行政の一元化ということを念頭に置いて、消費者目線から行政の一元化をあわせて行うということを、各法案の改正意見を申し述べるたびに、常に触れさせていただいてきたわけであります。以来二十年言い続けてきたというふうに御理解いただきたいと思います。

 このたび、ようやく、政府筋あるいは政党筋から、いろいろな消費者行政の一元化の方策について法案が出され、この場で議論されているわけです。私どもから見れば、まさにきょうまでの審議の中で、ずっと傍聴しておりましても、与野党を問わずすべての政党の方々から、消費者行政の今の問題点、そしてこれを是正するために必要な一元化の方策、こういうことを口々にそろっておっしゃっている、この状況は、私たちからすれば本当に感動物でありまして、ようやく時代がここまで来たんだと、時代の大きな変化を感ぜざるを得ません。

 私たちは、そういう消費者庁創設を主張してきた立場から、現在、内閣提出の消費者庁設置法案ほかの三法案につきまして意見を述べさせていただきたいと思います。

 特に、現在この審議が大分大詰めを迎えまして、修正協議も取りざたされる時点に参りましたので、そういう意味で私どもは、その修正のポイントを御紹介するという意味合いを含めまして、きょうは何点か御指摘させていただきたいと思います。

 私たちは、既に、昨年の九月二十九日に消費者庁関連法案が国会に提出され、その後、臨時国会ですぐ審議が始まると思っておりましたので、十一月の十九日にはこの政府提出法案の検討をして意見書を取りまとめております。本日お配りした資料一と二、この二つの意見書を添付させていただきました。さらに、三でポイントを述べた一枚物にし、四でポンチ絵にしたものをあわせて添付しておりますので、御参照いただけたらと思います。

 この意見書を述べてからも、もう五カ月たちましたけれども、本日その内容をここでお話しできるという機会がようやく訪れ、ほっとしているところであります。参考人質疑もずっと続いておる中で、なかなか日弁連の出番がなかったんですけれども、最後にお呼びいただいて大変光栄に存じます。(発言する者あり)最後にしてください。

 私どもは、政府提出法案につきましては、内容としては、消費者行政を一元化しようという方向性、それから消費者庁という行政機関を創設するということなど、基本的には日弁連の主張に沿うものであり、賛意を表します。

 しかし、組織づくり、制度づくりに関するものですから、一たんつくってしまうと、そう簡単に変えることはできません。スタートしてから機能しにくいものになってもいけません。

 そこで、発足に当たって、少なくとも次の点は修正していただきたいという意見であります。詳細は、本日お配りした二つの意見書のとおりでありますし、また日弁連のホームページでもごらんいただくことができます。

 時間の関係でポイントのみ申し上げたいと思います。

 第一点であります。条文に消費者の権利をうたい、消費者庁が消費者の権利擁護のための行政機関であることを明確にする修正を求めます。

 世界の国々は、憲法の中に消費者の権利や環境権を位置づけている時代です。こういう時代に、日本が法律にすらうたえないというのでは情けないのではないでしょうか。既に法律レベルでも、消費者基本法には第二条、三条、四条、五条に四回も「消費者の権利」という文言は登場しております。今国会でも、議決権を有する議員の皆様方からは、消費者の権利をうたうことについて反対の意見は一つも聞いておりません。

 ただ、一つ、担当大臣の答弁が気になりました。所掌事務に消費者利益の擁護があり、消費者基本法を所管するからそれで足りるのではないかという御答弁だったと思います。

 しかし、それではわかりにくい。消費者庁は国民にわかりやすく、消費者目線に立った行政の推進を目的としているのですから、やはり設置法にも消費者の権利をうたい、わかりやすくしておいていただきたいと思います。

 次に、消費者政策委員会です。ここは今法案のつぼだ、こういうふうに私たちは思っておりまして、この消費者政策委員会の権限強化、独立性、専任制をぜひ確保していただきたいということで、いろいろ申し述べております。

 消費者政策委員会というのは、消費者庁が真に消費者を主役とする組織たるべく、消費者目線で消費者庁を監視、補完する組織として位置づけられるものであります。このために、法案における委員会の権限についても、消費者庁の監視組織たるに十分な権限として規定していただきたいということを求めておるわけです。

 法案だけを見ますと、この委員会は内閣総理大臣に対する意見具申の権限が規定されておりますが、単なる意見具申だけでは、消費者庁に対する監視、補完の権限として不十分ではないでしょうか。

 特に、この法案の中に、第十六条に、内閣総理大臣の担当大臣に対する措置要求の権限が定めてあります。それから、すき間事案についての、内閣総理大臣の事業者に対する各種権限、大変目覚ましい権限が十七条から十九条にうたわれております。これらの権限というのは、縦割りでの産業育成省庁による間接的、派生的消費者保護に対する根本的な改善策としての最重要権限の一つであります。

 このため、内閣総理大臣の措置要求権限及び事業者に対する各種権限、さらに消費者庁が所管する法令に基づく権限が適切に行使されていない場合には、監視組織たる消費者政策委員会が、実効性を持ってこれらの権限発動を要求することが必要になります。したがって、委員会の権限として、内閣総理大臣の措置要求権限及び事業者に対する各種権限についての勧告権限、及び当該勧告に対する内閣総理大臣の委員会に対する対応内容等の報告義務、こういうものを追加して定めていただきたいと思います。

 また、委員会の監視機能の実効性を確保するためには、委員会の意見具申権限及び勧告権限の行使のために、関係行政機関または事業者に対する資料提供、説明要求権限を規定すべきであります。

 さらに、内閣総理大臣が委員会から意見具申または勧告を受けた場合及び勧告に対する報告を行った場合には、内閣総理大臣はその内容についての公表をする義務があることも定めるべきだと考えております。

 ぜひ、この消費者政策委員会の機能強化、監視機能の強化については、万全を期していただきたいと思います。

 それから、被害防止のために情報を集約して、それを分析し、活用するということが重要でありまして、それぞれ規定がなされておりますけれども、まず私たちは、事故情報、消費者被害の情報、こういうものは、やはり情報を持っている人、持っているところから広く漏れなく集めたい。そして、それらを調査分析し、行政の執行、消費者保護のために活用するという当たり前のルールをここで徹底していただきたいと感じております。

 情報の収集に関しては、行政機関の長、都道府県知事、国民生活センターの長がその義務として報告をしなければならないことになっておりますが、これだけで果たして十分集まるかという視点で見ますと、甚だ心もとないばかりでありまして、私たちは、情報を一番持っているところはどこか、こう考えたときに、やはり、消防、警察、そして病院、保健所等、こういうところに多くの事故の情報が入っていくわけですね。こういうところからどうやって情報を集めたらいいか。ここはぜひ、情報を持っているところに義務を課して集めるという改正をしていただきたい。

 さらには、物をつくった事業者は、多分自分のものに関する情報を一番たくさん持っているはずです。こういう事業者からも情報が集められるように改正をしていただきたいと思います。

 ここで私は思い出すんですが、平成六年、製造物責任法の国会審議があったときにもずっと傍聴させていただきましたが、あのとき、時の通産大臣、まだ経済産業省になっておりませんで、通産大臣の畑英次郎さんという方が、こういうことをおっしゃいました。製品事故に関する情報は国民の共有財産だ、共有財産なんだから、極力情報を公開して、みんなで共有すべきである、こういうことを国会審議の場で繰り返し言われております。

 私は、そのとおりだと思います。まさに、製品事故に関する情報というのは、国民の共有財産、メーカーが持っていれば済むというものでもないし、一部の行政機関が隠し持っていればいいというものでもないんです。やはりオープンにして、国民と共有する、あらゆる行政が共有する、そういう中で、間違いのない消費者被害救済の行政がとり行えるものと確信しております。

 それから、本法案、消費者安全法の中には重大事故という規定がございます。この中には、いわゆる取引被害というものが入っていないというところを大変懸念しております。

 御存じのとおり、消費者被害として国民生活センターや消費者センターに参る苦情の大半は、実は、製品事故の方よりも、むしろ取引被害、悪徳商法、そういうものが非常に多いわけでありまして、そこが重大被害を起こすということも、今回の国会でもいろいろ取りざたされている大和都市管財とかエル・アンド・ジーとか、いろいろなああいう大型被害を見ておわかりのとおりでありまして、そういうものも事故情報を集めて、そして被害救済に活用するという視点をぜひ取り入れていただきたいと考えております。

 それから、地方消費者行政に関しては、組織づくりの点だけ意見を申し述べておりまして、都道府県が行う事務として「広域的な見地を必要とするもの」と規定されておりますけれども、ここにもう一つ、専門的な見地という言葉も加えて、この地方消費者行政が担う責務を明確化していただきたいと思います。

 それから、消費者センターの設置義務についてでありますが、市町村レベルですべてというのがなかなか大変であれば、ぜひ市町村の共同設置ということを可能にする条文立てにしていただきたいと考えております。

 それから、この先は、私どもが、法案の修正ではなくて、新たにつけ加えていただきたいという条文を二つお願いしているところであります。

 その一つは、消費者あるいは消費者団体が申し出権があるという形をぜひつくっていただきたいということであります。消費者から消費者庁への申し出、それに対する応答、消費者団体から消費者政策委員会への申し出、こういう制度をぜひ設けていただきたいというのが一点。

 それから、二つ目は公益通報であります。公益通報というのは、私どもは、いろいろ議論して、今回は消費者庁と国民生活センターに消費者窓口を設置したらどうかということで提言しております。

 消費者の保護は、これを未然に防ぐ一番手っ取り早い方法というのは、実は内部通報なんですね。これから、工場でつくった違法な添加物、あるいは偽装した食品が売り出されようとする前に社員が内部告発してくれれば、事前にとめることができる。そういう意味では、公益通報、内部告発というのは、消費者被害の未然防止に最も手っ取り早くて、しかもコストがかからない方法でありまして、ここの公益通報の保護ということを図ることが、未然防止には非常に重要なわけであります。

 そういうわけで、この法律の中に、公益通報の窓口を設置するところが消費者庁にあるんだ、国センにもあるんだということをアナウンスする意味は非常に大きいと思います。

 それから、ここでもう一つつけ加えたいのは、今回、消費者庁は公益通報者保護法という法律も所管することになります。今まで余り触れられておりませんが、この意味は非常に大きいと私は思っております。この公益通報者保護法という法律は、実は使い勝手が余りよくない。通報するならばまず社内でやれとその自浄作用に期待し、それがだめなときに監督官庁に通報しなさい、それでもだめなときに初めてマスコミ等の外部に通報しても保護しましょう、そういう構造になっております。非常に使いにくいです。それから、通報事実も、罰則を伴う法律違反だけ保護の対象にするとか、問題を抱えております。

 ただ、この法律の附則に五年後見直し規定がございまして、今ちょうど四年目であります。消費者庁が所管して、消費者目線を徹底して、公益通報者保護法の改正ができたらすばらしいことだと思います。それが今、現実のものになりつつあり、法律を所管することの威力を発揮するものと期待しております。

 最後に、消費者関連法案は、昭和四十三年の消費者保護基本法以来、ほとんどすべて全会一致で成立しております。産業界と消費者利益との対立構造が残る中で激しく応酬が繰り広げられた製造物責任法も、あるいは政党間で多少意見が違った消費者契約法も、最後は全会一致で成立しました。消費者問題はまさにすべての国民に関することですから、党派を超えて国会の総意で立法されるのは、この国が実に健全であることのあかしであると思います。このよき伝統を引き継いで、新しい消費者行政を生み出そうとする本法案についても、所要の修正を加えた上で、全会一致で御承認いただくことを切に希望いたします。

 以上です。(拍手)

船田委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

船田委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。七条明君。

七条委員 まず、三人の参考人の皆様方、きょうは、こうして貴重な御意見を御提言賜りましたことに感謝申し上げます。本当にありがとうございます。

 時間が限られておりますから入らせていただこうと思うわけでありますが、我々も、今この消費者特別委員会で、三月の十七日に趣旨説明をして、きょうこうしてやって約四十時間を過ぎ、今週末まで全部いきますと、五十五時間九分という形になってくるんではないかと思います。

 そういう意味では、そろそろ一つの道を見出して、先ほど来、日弁連さんの方からは修正をするポイントなどというようなことも御指導いただいたり、あるいは事業所別の中から、経団連の方からも要望も含めて御指導いただいた。あるいは圓山先生からは、非常に貴重な提言の中から私が今感じておりますのは、法定受託事務、いわゆる地方自治体の法定の消費者行政の受託事務化というような話も、一つの参考として御意見を賜っておきたいと思います。

 きのう、圓山先生もおられた神戸に実は地方公聴会で行ってまいりまして、現場の皆さん方の御努力を聞いてまいりました。もちろん、先生のおられたセンターにも行ってまいって、その中でいろいろお聞かせをいただいたのでありますけれども、まず圓山先生に、政府案あるいは民主党案、両方ありますけれども、この政府案についてどう思うのか。特に、消費者目線で行政の一元化をしていくということがいいんだというようなことを現場の方々が言っておられたわけでありますが、これに対して圓山先生はどうお思いになられるのか、ちょっとお聞きしたい。

圓山参考人 お答えします。

 昨日の公聴会では、センターを視察されたのは、神戸市立の生活情報センターを視察されたとお聞きしています。私は兵庫県立の神戸生活科学センターですので、お隣のセンターを見に行かれたということになると思います。

 消費者目線の件につきましては、私も、県のセンターに在職中に特に国の省庁の方によくお電話することもあったんですけれども、やはり、自分の範囲のところだけ、それで、法律に基づいてこれはできないとか、いや、これはこの程度までだとか、この業者は無登録業者だから指導できないとかという、余りいいお答えをいただけなかった気がいたします。

 ですから、今回の消費者庁の構想の中でも、昨年四月に国民生活審議会が生活安心プロジェクトの報告書をまとめられて、そこで、先ほど中村参考人もおっしゃっていましたけれども、産業育成から生活者主役というところの中に、公務員の方々が消費者の目線に立つようになるために、例えば消費生活センターの第一線で研修をするなどというふうな、つまり、国、地方を通した公務員全体の意識改革につながるような発想が強く出ていて、私は大変共感しました。

 ただ、それが法案になってみると、今の政府案にそういう仕掛けとか動機づけというのがないように思います。

 ですから、政府案に対して、幾つかの法律を持った省庁を集めているだけだというふうな批判があるということも存じていますけれども、今のままで終わってしまうとそういう批判も多少当たってくると思いますので、そういう、政府全体というのは消費者庁だけでなく、すべての省庁が国民目線に立つための仕掛けを、今あるのは措置要求などがあるわけですけれども、公務員みんながそういう気持ちになるためという仕掛けをぜひつくっていただきたいなというのが、雑駁な感想ですけれども、私の感想でございます。

七条委員 では、次に齋藤参考人にお聞かせをいただきたいのであります。

 我々も今、政府案がすべて正しいというふうには思っていない、政府案の足りないところがあれば修正をしてもいい、そしてこの法案をできるだけ早く成立させたいと思う気持ちがあるわけであります。

 その中にあって、特に、先ほどからいろいろな形で、ADRの話や法テラスの話、トラブルの話もいろいろ出てまいりましたし、国と地方の責務の話もしていただいたし、あるいは、二重行政の窓口をうまくやってほしいというような要望もあったのではないかと思うのでありますが、経団連として、政府案の中に入っておりますが今の消費者政策委員会、この権限の強化についてどう思われるか。特に、構成員として今十五人以内というような形になっておるところもあるのでありますが、この辺も含めて、何か御意見があればお聞かせをいただきたいと思うわけであります。

齋藤参考人 私の考えを申し上げます。

 その委員会は、一応中立的な目線でいろいろなことを指摘できるということが重要であると思いますが、今の法案でかなりの機能を果たせるのではないかというふうに私どもは考えております。

 問題は、その中のメンバーをどうするかということでありますけれども、これは、今度、行政側の目線が現場を動かす目線になっているかということが大切だと思いますので、いろいろな識者、経験者を集めた集団である方が望ましいのじゃないかというふうに思っています。でないと、これでいこうというふうに決めた施策が、今度は、現場におろしてみると別な翻訳のようなことが要るということになっては、時間ばかりが経過する。急ぐこともありましょうから、最初の段階からそういうメンバーを中に入れておく方がいい、こういうふうに思っています。

七条委員 では、今度は日弁連の中村参考人にお聞かせをいただきたいのであります。

 先ほど聞いておりましたら、もう二十年前、人権擁護大会の松江大会のときに決議をして、そして、行政の一元化、消費者庁の提言という、今の政府案が最もベターだという話ではなかったような気がいたしますけれども、修正するならばこの政府案を中心にして修正をする方がいいとお思いなんだろうと思って聞いておりましたが、確認のために、簡単明瞭にちょっと答えていただけますか。

中村参考人 先ほど申し上げましたが、消費者庁の設置というのは日弁連が願っているところでありまして、消費者庁設置を踏まえた政府提出の法案、これをさらに修正して機能をもっと強化して、本当に役に立つもの、最初のやはり制度づくり、組織づくりというところは本当にかなめでありますので、そういう意味で修正を申し上げて、政府案に賛意を表した次第です。

七条委員 では、もう一度中村さんにお聞かせいただきたいのは、一番ポイントのところ、これのつぼというのは政策委員会のあり方だ、さっきこういうふうに言っておられましたけれども、これを強化していく、あるいはこの独立性を担保していくというような話をする、あるいは今度の政府案の法律の中にこれを明文化していくというふうにするならば、どういうところがあるのか。先ほど意見具申の話も含めて参考の意見を述べていただいておりますが、もう少しその辺、ちょっとだけ具体的に御指摘をいただければ。

中村参考人 きょう私のお配りした資料では、消費者安全法案に対する意見というものの、十八ページにここら辺を、この十五の具体的な枠の中に条文の修正の仕方まであわせて書いておりますので、詳しくということであれば、その四項目を御案内したいと思います。

 この法案の第二項の中に「消費者政策委員会は、内閣総理大臣に対し、前二条の規定に基づく要求、措置、勧告又は命令等を行うべきことを勧告することができる。」という条文をきちっと加えていただきたい。

 二つ目には、三項に「消費者政策委員会は、第一項又は前項のために必要な限度において、自ら又は消費者庁長官を通じて、関係行政機関又は事業者に対し資料の提供又は説明その他の措置を求めることができる。」ということも加えていただきたい。

 三つ目には、四項に「内閣総理大臣は、第二項の勧告を受けた場合には、消費者政策委員会に対し、当該勧告に基づいてとった措置及びその理由並びに何らの措置をとらなかった場合にはその理由について報告をしなければならない。」ということを加えていただきたい。

 四つ目に、五項として「内閣総理大臣は、第一項の意見又は第二項の勧告を受けたとき、及び前項の報告をしたときは、その旨及びその内容を公表しなければならない。」という条文の修正をお願いしているところです。

七条委員 我々も、もしこれを修正するならば、今述べていただいたようなことも参考にしなければならないと思っている一人ではあります。

 特に意見具申については、各省の対応をどういう形で報告させるのか、あるいは、各省の資料の提出等の協力を規定の中で何か定めていってやらなければならないことが出てくるのではないか、その辺はどうあるべきかということも考えてみなければならないと思っているところで、参考にさせていただけることがあればと思うところであります。

 では、もう一つ、日弁連さんにお聞かせをいただきたいのでありますが、我々の今推薦をしようとしている政府案の中には、消費者教育だとか、あるいは消費者被害に対する救済制度というのがほとんど位置づけられていない部分もあるわけでありますが、こういうものについてはどういうふうにお考えなのか。

中村参考人 消費者教育は本当に重要なパートでありまして、日弁連も、消費者委員会の中に十ほどの部会がありますが、その中の一つに消費者教育の部会をちゃんと持っておりまして、この必要性は痛感しております。

 消費者庁設置法の中に必ずしも明記されていないところは非常に残念なのでありますが、ぜひこの消費者教育も堂々ととり行える行政機関にしていただきたい、こう考えております。

七条委員 では、同じように、齋藤参考人にお聞かせをいただきたいのであります。

 今お話が出てまいりました政府案の中で、被害者の救済制度、これがもう少し足りない部分ではないかと私は思ったりはするのでありますが、今後これを検討するに当たっては、例えば経団連さんとしたら、時間をかけてやるべきだと思っておられる趣旨のことをさっきちらっと聞きましたけれども、具体的にこういう制度がなければならないと思う一人でありますが、もし御意見があれば、もう少し具体的にお聞かせいただけますか。

齋藤参考人 先ほど最後に申し上げたくだりだと思いますが、損害賠償請求とかいうようなことが議論されておると承知しております。

 こういったことを制度化するに当たっては、例えば、個々の消費者の意思に基づくことなく提起された訴訟について、敗訴したときに判決の効力がどこまで及ぶのかとか、それから、個々の消費者の裁判を受ける権利との関係をどうするのか、それから、判決の効力が及ぶ消費者の範囲をどうするか、それから、個別に損害を認定するというようなことを具体的にどのようにしていくのかというような、いろいろな検討すべき課題があろうかと思います。

 さらに、適格消費者団体が、不特定多数であることが多いと思うんですけれども、一般の消費者に適切な配分を行うことがどのようにしてできるのか、こういうことについて、まだ明確なイメージが持ち切れておりません。

 例えば、損害の額を算出するということになりますと、対象になる行為を限定するのかどうか、偽装の場合にはどういうふうに損害が認定されるのかとか、それから、事故米の事件がございましたけれども、事故米のような、五百社が絡んでくるというようなときには、どこからどこまでがだれの損害なのかとか、あるいは、以前、北海道それから埼玉でもあったと思いますが、西友だったと思いますね、輸入牛肉を国産として販売したことが問題になりまして、それに対して払い戻しをしますというときに、たくさんの方が押し寄せて、結局販売した金額の何倍にもなったところで打ち切らざるを得なかった、これも残念なことなんですけれども、そういったときにどのように認定するかとか、いろいろなケースがあろうと思います。

 具体的な解決がとられたものとして、組織的犯罪処罰法が改正されまして犯罪収益の規制が行われているわけですが、そのように具体的にイメージできるようになると議論もしようがあると思いますが、そのような議論がまだなされていないと考えております。一般的に決めて、それを裁判所に全部判断を任すのだというのでは予見可能性がなくなりますので、ここのところはあらかじめ明確にしておく必要があるのではないかというふうに考えておるわけです。

七条委員 もうそろそろ時間が来てしまいましたが、では、最後に圓山参考人に。

 先ほど地方組織の支援の意味で、我々も、この支援の充実強化をしていかなければならない、国の資金をどういう形で待遇改善につなげていくかということを考えていかなければならない、こう思っているのでありますけれども、人口三十万ないし四十万に対して一カ所センターを設置したらいいというような内容のことをお書きいただいていたと思いますが、これはこれからの資金をうまく、税金を無駄遣いしないように使っていくという方法の中も含めて、非常にいい方法であろうと思いますが、もう少し具体的に、今進めていくときに、ここで何か御意見があればお聞かせをいただきたい。

圓山参考人 私がこういうふうに考えつきましたのは、私が勤務していました神戸生活科学センターですけれども、いろいろな専門分野の大学を出た職員がともに働いていたわけですね。私が法学部出なので契約担当、農学部を出た方は食品担当、工学部を出た方が機械、家電製品担当、家政学部を出た方が住居担当などということで、五人、六人の小さな世帯でしたけれども、それぞれの相談が来たときにはそういう職員がずっと担当して働いていくということがございました。

 今、例えばすべての市町村に一つとかということになりますと、非常勤の相談員が一名いるかいないかということになると、今のこの幅広い消費生活の相談には、スーパーマンではないわけですので、そんなオールラウンドには対応できないわけですね。ですから、ある程度の常識は持ちながらも自分の専門を持つという人がやはり十人、十数人いないといけない、それが協力してやっていくというイメージでございます。

 それはやりようによっては大変うまく働きますし、マンパワーがありますので、消費者宅のところまで訪問するとか、その辺のイメージは、さっき出しました児童相談所のケースワーカーの方も、学校に行ったり少年裁判所まで行ったり、いろいろな付き添い活動というのをやっておりますので、そういった形で消費生活相談の一貫したワンストップのサービスということができると思います。そういう形であれば、各市町村にばらまき的に窓口を置くということではなくて、強力なセンターで、全国津々浦々で消費生活相談の対応ができるというふうに思っております。

七条委員 少し話が戻りますけれども、我々のところでは、先ほど、被害者の救済制度、もう一つは、消費者教育という問題は、今後の検討課題として足りない部分を何かの形で補っていかなければならない部分がたくさんあろうと思いますし、当然、今お話をいただいた消費者政策委員会の考え方も、これから委員の数だとか、あるいは事務局の体制を民間登用なども含めてもう少し有効に資金を使っていけること、あるいは待遇改善をしていくということを本当に早急にやらなければならないものだと感じているところでございます。

 きょうは、御意見を聞かせていただいたことに感謝を申し上げて、私の御礼にかえさせていただきます。

 きょうは、ありがとうございました。

船田委員長 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口善徳でございます。

 本日は、齋藤参考人、圓山参考人、中村参考人、お忙しいところ、ありがとうございます。

 この委員会も四十時間を超える審議をやってきたわけでございますけれども、やはりその中で論点がかなり明確になってまいりました。そのことにつきまして、これから御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、日弁連の中村参考人からお伺いしたいんですが、消費者政策委員会のことにつきましては、今、付与すべき権限につきましてはお伺いさせていただきました。やはり消費者の目線でしっかりと監督、チェックをしていくということでございますので、そういう御提案の権限というものは今回非常に参考になる、こう思っております。

 そういう中で、条文の中に、例えば金融庁の証券取引監視委員会ですとか公取委員会等々、委員長あるいは委員が独立して権限を行使する、こういう条文がいろいろとあるわけでございます。過日、野田大臣に確認いたしましたけれども、内閣府の主任の大臣たる内閣総理大臣、あるいは消費者担当大臣、また消費者庁及び消費者庁長官との関係で、消費者政策委員会というのは独立であり、また消費者庁と消費者政策委員会とは対等である、こういう確認もいただきましたし、また権限行使の独立性も確認したわけであります。

 そういう中において、これから、条文の問題として、こういう独立して権限行使というようなことについてどうお考えになるのかが一点。それから、消費者政策委員会につきましては、今八条委員会であるわけですけれども、これを三条委員会という声もございます。このあたりについて、日弁連のお考えをお伺いさせていただきたいと思います。

中村参考人 私ども日弁連の意見書をつくるスタンスというのは、現在、内閣府のもとに国民生活審議会というのがあって、かなり類似のことを扱っておられるのですが、ここの現状、日弁連の委員長も歴代入っておりますので実情をわかっておるのですけれども、これと同じ程度ではちょっと困るなというのが強い思いでありまして、そのための独立的な権限の行使とか機能の強化、そういうところにポイントを置いて修正を求めておるわけです。

 今委員がおっしゃったように、国家行政組織法上の三条がいいのか八条がいいのかというところは明言しておりません。そこら辺はまた国会の方で十分お考えいただきたい。

 私どもは、どういう権限を持った、どういう機能を果たせる部署にしていただきたいかというところで御提案を申し上げるのが限度でございます。

 以上です。

大口委員 そうしますと、今、国民生活審議会と同じではいけないという場合に、例えば、メンバー、構成員を消費者政策委員会の場合はどう考えていけばいいのか。それから、これは常勤、非常勤というようなこともありますね、専任制ということもおっしゃっているわけですけれども、専任制ということと、もう一つ、幅広くいろいろな分野の意見も入れなきゃいけない、このあたりのことについてどうお考えでしょうか。

中村参考人 法律には十五人以下としか書いていないので、以下であるとはどこまでを言うのかよくわからないんですが、規模に応じてまたその中のメンバー構成も当然変わってくると思いますけれども、やはりここは消費者目線で、消費者庁がちゃんと動くように、そのためのチェック機能を果たすという意味合いがありますので、そういう消費者目線を持った人が重点的に入ってこないと機能しなくなる、そういうことは心配しております。

 具体的にどういう肩書とか役職とか地位の方がいいかまではちょっと言及できませんけれども、とにかくやはり消費者目線を持って、常に消費者行政を監視して、権限を十分に発揮させる、そういう目線から動いてくださるような方にできるだけ大勢入っていただきたいと考えております。

大口委員 ちょっと今、専任制の部分についての御説明がいただけなかったものですから。

中村参考人 そこに入る委員は常勤がいいのか非常勤がいいのかということもよく議論されていますが、私たちはできれば、個人的に思うんですが、非常勤の人が時々集まってというのはまさに今の国民生活審議会の状態でありまして、それだけではなかなか難しいんじゃないかということを感じております。ですから、全員とは言わないまでも、一部でも常勤で、常に。

 やはり、日弁連の修正案に基づきますと、この法律で消費者政策委員会の役割というのは非常に大きくて、月に一回集まる程度じゃとても無理だろうと。だれか常勤がいて、もちろん事務局も独立して、消費者庁の職員とは別の事務局をきちっと立てて、そこで恒常的に活動するという必要が当然出てくるんだろうと思います。そういう意味で、全員が非常勤というのは困ります。

 ただ、全員が常勤でなければならないかというと必ずしもそうでなくて、日常いろいろな分野で働いておられる方が現場の感覚を持ち寄ってくるという視点も必要だと思いますので、常勤と非常勤は混在してもいいのではないかと考えております。

大口委員 次に、違法収益の剥奪の問題につきましてお伺いしたいんですが、齋藤参考人は、国民生活審議会の消費者団体訴訟制度検討委員会で、経団連の委員としていろいろと消費者契約法の改正に携わってこられたわけであります。そういう点で、差しどめ請求が認められたという段階で、次に損害賠償請求まで拡大をするということが一つの大きな論点であるわけですね。

 それともう一つ、適格消費者団体は、認定を受けるのに書類がこんなにあって、最近簡素化された、一部軽減されたといいますけれども、非常に大変だ、だからこれは要件緩和もしてもらいたいという考えもあります。

 それから、民主党さんのように登録制にして、過去の消費者運動の実績を問わなくても、目的にきちっと書いてあれば、定款に書いてあれば登録を拒否できない、こういうような考え方もあるわけでございます。

 そこで、適格消費者団体の今の活動についてのお考えと、それから、適格消費者団体のこれからの認定あるいは登録制の問題についてどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。

齋藤参考人 最後に二つおっしゃられましたが、その前に損害賠償についての件があったと思いますので、それについても、先ほど述べましたので簡単に申し上げますが、差しとめ請求は妥当であるということで、前回も、消費者契約法を改正する際に、最終的に入れることにも賛成しております。

 ただ、損害賠償につきましては、先ほど述べましたように、どこからどこまでの範囲を対象にするのかとか、請求する方法、アメリカ型のクラスアクションなのかとか、当時いろいろ議論がございましたので、全くイメージがわかないということで反対いたしました。検討するのは結構ですけれども、イメージがわかないことには議論もできないということでありましたが、これについてこのたび議論するということであれば、民事訴訟の詳しい方とかも集めて、全体的に日本の民事訴訟制度がどうなるのかということも含めて検討すべきだ、こう考えております。

 それから、適格消費者団体でありますけれども、認定制度よりもむしろ登録制度にしたらどうか、それから、現在の活動をどう考えているかということであります。御苦労されながらやっているというのは私も重々承知しております。かなりボランティア的によくやられているなと。その点には敬意を表する次第です。現在、七つ認定されて、活動を開始しているというふうに承知しておりますけれども、それぞれが訴訟案件を掲げながらやっと緒についてきたということではないかな、こう思います。

 これを登録制度にしてはどうかというお尋ねでありますけれども、登録制度にすることについては疑念がございます。

 企業などで取引するときに、暴力団と取引をしないようにしようということで、暴力団排除条項というのを規約の中に最初の段階で入れようということ、これは国を挙げて推し進めて、後押ししていただいているわけです。導入した企業もたくさんございます。

 なぜそういう後押しまで要るか。何も会社としてはつき合いたくもないわけですね。しかしながら、ここは大丈夫だろうと思って始めたところが、一年、二年たったときに実はそうだったと。そのときにはちょっともう引くに引けない状況に担当者が陥っているというようなことがあったりしましたので、会社を挙げて、あるいは国を挙げて、全部で後押ししてそういうものを排除しよう、こういうことであります。

 したがって、そういうものが適格消費者団体として認定されるようになりますと、どんな事態が起こるかということは容易に想像がつくわけでして、以前の総会屋とかいったような露骨なことはやってこないとは思いますが、陰に陽にいろいろな支障が出てくるのではないかということを強く懸念しているわけです。

 したがって、最初の段階でかなり透明なものに限定して、一応それをクリアしたものだけについて権限を与えるということにしてはどうか、こういうふうに思っています。

大口委員 次に、圓山参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。

 先生のパッケージとしての構想、非常に意欲的な構想だと思います。また、先生は現場のことをよく知っておられますから、そういう点でも先生の構想自体も傾聴に値すると思います。

 ただ、今、相談員の方が三千人もいない、それで、相談員を育成するのに五年ぐらいかかる、こういうこともありまして、この相談員の方をどう育成していくか、これが非常に大事だと思います。そして、もちろんこれから地方消費者行政の財政的な支援ということもさらに国としても考えていかなきゃいけないと思うんですが、例えば過疎地の方でもいろいろな被害に遭われるわけですね。そういう点では、千八百の地方自治体における体制をどうやっていくかということが非常に大事でして、そういう点では、県がセンターになって、サテライト型のもので、三十万人単位ぐらいですね、そういうものをつくって、そしてバックアップしていくということを、実際に京都でありますとか、いろいろなところがやっていますね。そういうことも非常に大事だな、こういうふうに考えております。

 そういう中で、先生は地方消費者行政の事務を自治事務から法定受託事務に変えるべし、こういうふうにおっしゃっているわけですね。それは財政的な観点からそういうふうにお変えになるのか。ただ、地方分権の物の考え方というのは、できるだけ自治事務でやっていこうというのが一つの大きな考え方なわけですね。そうしますと、地方分権の流れからすると、財政的な理由があって法定受託事務にするということは、目的と手段が逆転しているんじゃないか。

 それから、三番目に、自治事務であっても、これは国が財政的支援を人件費も含めてできるわけですね、地方財政法上は。そういうことからいきますと、自治事務ということで、なおかつ財政的な支援を考えるという方が、地方分権という大きな流れからいって正しいのではないかな、こういうふうに思うわけでありますが、御意見をお伺いしたいと思います。

圓山参考人 私がお話を申し上げました提案は、昨年二月二十七日に自民党の消費者問題調査会のヒアリングに呼ばれまして申し上げましたものと基本的に同じなんです。

 私が法定受託事務を言い出しましたのは、昨年の七月、八月ぐらいの「消費者行政推進会議取りまとめ」がいよいよ政府案の作成にかかったあたりで、自治事務だから人件費が出ないということがしきりに言われ始めましたので、自治事務が言いわけに使われていると思いました。だから、そこの障害をなくするためには、法定受託事務というふうに整理をすればその障害はなくなると思ったわけです。ですから、私のポイントは財政と人員なんですね。その障害をなくするために法定受託事務に整理したいというのが考え方です。

 少し例え話をさせてもらってよろしいですか。私が言っておりますのは、ずっと用水路をつくってほしいということなんですね。農業かんがい排水のような用水路です。

 村の真ん中を川が流れていまして、農業が盛んな地域なんですね。その東側には畑があるんですね。教育畑、福祉畑、消防畑、警察畑。ナショナルミニマムを守る大切な畑です。西側に消費者行政畑があるんですね。東側には川から用水路ができていて、川の水が流れ込んで農業ができるわけです。西側の消費者行政畑には用水路がなくて、雨水をためて農業をしているんですね。今私が用水路と申し上げているのが、事業量の基準であったり、職員数の基準であったり、職員の資格であったり、常勤職員であったり、国の財政負担というふうな構築物とか制度を申し上げているわけです。

 それで、地方財政の悪化で雨が降らなくなったんですね。教育畑、福祉畑、消防畑、警察畑は、用水路のおかげで干ばつの被害は大丈夫なんです。消費者行政畑は用水路がないので、予算、人員の削減という直撃を受けて作物が枯れる寸前なんですね。これが今の状況です。

 そこで、私は昨年から川の水を引っ張ってほしいということを言っていまして、消費者行政推進会議の取りまとめでも、国の財政支援、つまり一たんは川から水を引くことにしたんです。しかし、それが消費者行政活性化基金という今のものになり果てまして、水は三年間しか来ない、しかも人件費は出ないので、用水路じゃなくてホースでちょろちょろしか出ない。これでは桃栗三年柿八年のよい人材というのが育つわけはないし、苗木を植える気にもならないんですね。

 それで、用水路ができなかったかわりに、何か地方交付税で消費者行政経費に充てろというふうな話がありますが、地方交付税は自治体の自由に使い道ができるわけで、地方交付税を幾ら言っても消費者行政に回ってこないというのは地方公務員のみんなの常識なんですね。地方交付税というふうな、言ってみれば雨ごいの呪文のようなものを唱えろという話になりつつあるわけです。だから、私は、しつこく用水路をお願いしたい。

 その用水路の要所要所にセメントを固めて、用水路がつぶれないようにするためというのが、法定受託事務、それから消費生活主事、業務量の基準、職員定数の基準、国の是正指示、地方財政法というセメント工事をして、ぜひ持続可能な地方消費者行政の仕組みというのを御審議いただきたいと思っております。

大口委員 私は、やはり地方に、きのうも地方公聴会、神戸に行ってまいりましたけれども、例えば滋賀県の方でスーパー相談員という方がいらっしゃる。本当に八面六臂で、少ない人数で、また、地方行政と一体化して、多重債務問題とかも含めてやっています。

 そういう点で、圓山参考人にもう一つ、この相談員について。これは国家公務員にするという考えもあるんですが、その点についてだけ、ちょっと一言お伺いしたいと思います。

圓山参考人 相談員の皆さんの声を聞いてみますと、もうとにかく何でもいいから今の悲惨な状態を何とかしてほしいという声が切実です。

 ただ、国家公務員というのは民主党案なんですけれども、どれぐらいの給料水準で、どのぐらいの待遇で、週何日働いて、常勤か非常勤かというちょっと細かなところが出ていないので、今いろいろな相談員さんが、民主党案に賛成して、もし今より下がったらどうしようとか心配があるわけです。それから、常勤職員になりたい人が半分以上いると思うんですけれども、非常勤というのが出ていますので、ああ、民主党案でも非常勤かとかというふうに思っている方がたくさんいらっしゃると思います。

 ですから、私がさっき申しましたように、個人的には、常勤職員であれば地方でも国家でも役割を果たせると思いますし、それから、相談員さんたちの印象というか比較検討、自分はどうなんだろうという点からいっても、もう少し民主党の方で細かなイメージを出していただいて、現状と国家公務員になった場合にどうなのかというような判断材料を提供していただければそれぞれ御判断できると思いますけれども、今、判断材料がないので、非常に不安に思って、国家公務員アレルギーというのが強いというふうに思います。

大口委員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

船田委員長 次に、仙谷由人君。

仙谷委員 まず、齋藤参考人にお伺いいたします。

 企業のCSRといい、顧客満足度ナンバーワンの企業をつくるんだと日夜頑張っていらっしゃる、よくわかるんです。企業ガバナンスの問題あるいは企業マネジメントの問題として、顧客満足度第一、あるいは、こういう事態といいましょうか、こういう大衆消費社会というような状況の中で、特にメディアが発達というか進展してきますと、そこに背を向けては企業も生きてはいけないというのはわかるんです。

 ただ、そのことは、時価総額主義と株主本位制という大きなグローバリゼーションの流れの中で、企業が生き抜く、あるいはもっと言えば利潤を上げるための、そういう大目的に向かってのCSRであり、顧客満足度ナンバーワン、こういうことだと思うんですよ。おのずから、そこは収れんされている最終目的が全く違うのではないかと私は思っているんです。消費者が満足すれば企業は損してもいいなんという、そんな甘っちょろい経営者では成り立っていかない、これははっきりしていると思うんですよ。

 クルーグマンというノーベル賞の大学者が「格差はつくられた」という本を書かれています。アメリカの保険会社というのは、保険会社の利益を上げるために、なるべくリスクの多い人は保険に入れない、保険に入った人もなるべく保険金を払わない、そのために八兆円の費用を保険会社総体として使っているんだ、こういうことを書いていらっしゃいます。なるほどと、私はそう思いましたね。

 つまり、合法的にやるために八兆円かけて、弁護士から医者から薬剤師から専門家を雇い込んで、探偵というか調査員とかなんとかを雇い込んでどんどん調べて、なるべくリスクの多い人は入れない、それから、保険に入った人もなるべく保険金を払わないようにするということをするのが企業存立の大テーマだと。

 私、これは、企業の本能的な部分として、そういうものがあると思うんですよ。消費者の利益と全く対立、対抗する部分があるからこそ、消費者問題というのは起こる。これは必然性の問題であるから、社会総体として社会安定性を得るためにこれをいかにうまく解決していくシステムをつくり出すかというのが一番大事な話だと思うんですね。

 そこで、経団連加入企業のまことに衝撃的な保険の話について、一体全体この消費者行政をどう進めるべきかという問題と関連して、参考人の御見解を伺いたいんです。

 実は、平成二十年七月三日に、多数、多額の支払い漏れが発生した生保十社に対し、業務改善命令がなされた。これは、十九年の二月に生保会社に対して報告徴求がなされて、これは特約等の支払い漏れ案件です、こういうことがあって、合計三十七社、百三十五万件、九百七十億円、こういうものが、金融庁から業務改善命令が出されて、保険契約者に払われた。

 損保は損保で、十七年の九月に損保全社に対して報告徴求があって、十一月に損保二十六社に対して業務改善命令、これは五十万件、三百八十億円。その次、火災保険料等の取り過ぎがあって、二十年七月四日、中間結果を自主的に公表、百五十三万件、三百七十一億円、こんなことがあったんですね。

 金融庁のこのやり方、あるいは、こういう案件は消費者問題で本来はどういうふうに解決すべきであったか、お考えをちょっと賜りたいと思います。

齋藤参考人 私の考えを申し上げますが、ただいまの事案については私もニュースで知っている程度でありますので、中身がどこまで雑なものであったのかとかひどいものであったのかというのは承知しておりませんけれども、ちょっとこういう企業もあるのだということを御紹介したいと思います。

 その会社で以前大きなトラブルを起こした不良品、欠陥品を玄関入ったすぐのところのショールームに展示している、これをお客さんにも見ていただき、自分たちを戒めるんだ、みずからを本当に戒めるために展示している立派な企業なんです。我が社ではありませんけれども、そういう企業もある。それが、結局、長い信頼をかち得るんだという信念でやっていらっしゃるわけですね。

 それから、大きな会社がやっていると思うんですが、当社は以前、不良でこういうダメージをこうむった、消費者から信頼を失った、こういうことを二度とやっちゃならぬのだということで教育するという会社もたくさんございます。そういうところをいかに大きくしていくかというのが大問題、長い目で見ると、それが一番きいてくるというふうに思っております。

 今言われた案件については、恐らくそういうものを剥奪するのだとかいうような議論になっていくのかなと思いますけれども、それは、具体的にどのように制度をつくっていくかとかいうような議論が一緒にないと、ちょっと議論しにくいなというのが私の思いです。

仙谷委員 さっき、ADRの話をされました。これは、まだまだ実績もほとんどありません。ようやくこれから損保も生保も銀行も、昨年の暮れから、ADRをつくってやっていこうという程度の話です。実績はありません。つまり、ここも、圧倒的な情報格差と経済力の格差で、消費者に弁護士がついても勝てない領域なんですね。ところが、金融庁がどんと報告徴求をして入ったら三百五十万件出てくるとか、私は、こんなばかなやり方はあり得てならないという気がしてしようがないんですよ。お上にだけ弱い民間の会社なんということがあってはならないんですね。

 つまり、コンプライアンスというか、適正な法に基づいて会社が運営される、そのことに、CSRなのかコンプライアンスなのか知りませんけれども、同じぐらいやはり消費者に対しても、あっ、これは間違っていましたと。権威ある仲裁機関というか、オンブズマンでもいいんですが、イギリスであれば金融オンブズマンですね、そういうところが入れば、それはADRでもいいですよ、これは間違っていましたということで、ああ、やはりこれは損害認定が、査定が厳し過ぎたとか、そういうことで解決していくというのが正常な社会だと思うんですよ。一挙に三百五十万件出てくるというのは、どこか異常だと思うんですね。

 私は、企業社会も、特に経団連の加盟会社などは、実は何でもかんでも自分の会社で取り込もうと思って苦労されている部分が多過ぎると見ています。さっき暴力団の話が出ました。これもそうです。なぜ日の当たるところで、公正な場で、そちらに解決をお任せしようという動きにならないのか不思議でしようがないんですね、これは金融関係のみならず。割と裁判に係るのを嫌がって、さっきも団体訴訟で損害賠償がわけわからぬとかなんとか。こんなものは、ちゃんと公的なオープンの場で議論をして、裁判所に決めてもらえばいいだけなんですよ。

 損害額なんというのはやってみないとわかりません。我が徳島の日亜の特許訴訟だって、あれだけ額が違って、あれだけで和解できたんですよ、ということをもう少しお考えをいただきたいと思います。

 時間がないので、次に日弁連の中村参考人にお伺いします。

 日弁連さんは、現場で働いている方々がこの場に来られて異口同音に、違法収益の剥奪、あるいは悪質業者の財産といいましょうか、違法に消費者から取り上げたといいましょうか、財産を保全する、これを皆さん割と一線でやられている方は要望されるんですが、日弁連さんは、もうこれはあきらめたんですか。

中村参考人 あきらめてはおりませんで、とことんやっていただきたいんですが、私ども、もともと、こういう違法収益の事案に対して本当に歯がゆい思いをいっぱいしてきていて、何とか消費者被害の集団的な救済に関する法制度ができないものかということをかねがね検討してまいっておりまして、昨年の六月十九日に意見書をこの関係でまとめております。それは、そういう消費者被害の集団的救済のための紛争解決制度を創設してほしいということでありまして、決してあきらめてはおりません。

 これは、言い出してまだ一年たっていないわけですから、そんなに簡単にあきらめるわけではありませんし、この中で、いろいろ検討をしていまして、難しい問題がまだまだいっぱいあるので、きちんとした条文の形で、こういう条文にして制度導入をしてほしいというところまで言うには至らなくて、中間報告という形で昨年の意見書はまとめさせていただきました。

 これから、やはり、どういう対象をこの訴訟の対象物にするかとか、どういう主体が担うかとか、あるいは集めたお金の配分方法とか、当事者をどうするかとか、さらには、私たちいつも悩むのは、こういう悪徳商法が必ず破綻して破産という場面を迎える、そういう中で、破産配当という形で違法な収益を吐き出させるしかない場面が往々にしてあるんですが、そのときに、横から国税庁がさっと来てそのお金を持っていってしまうということをたびたび経験しておりまして、ここら辺の国税との関係をどうするかとか、あるいは、そもそも論でいろいろ訴権論とかを言う方もある。

 要は、今の日本の法制度全体の中で、この新しい訴訟制度、被害者救済のための団体的な救済制度、こういうものをはめ込むのは、いろいろなところの配慮、工夫が要るのではないかということで、完全なる条文化まで至らなかったわけですが、今引き続き検討しておりまして、決してあきらめたわけではございません。

仙谷委員 中村参考人に続けて聞くわけでありますが、この消費者安全法案の十七条以下がいわゆるすき間事案に対する対応ということになっておるわけですけれども、きょうお持ちいただきました資料の中での十三ページの下側に書かれておりますが、いわゆる生命身体に対する重大な事故ということに限定をされておりまして、経済的な取引等々についてはこの十七条、十八条、十九条が適用にならない。我々は、そんなんじゃ、これはくその役にも立たないと、まあ、くその役にも立たないというのは言葉が汚いですけれども、ほとんど現場の九割以上を占める経済取引の事案について適用にならないのであれば、何の役にも立たないと思うんですが、日弁連の御意見、いかがでしょうか。

中村参考人 この点は、言葉遣いはともかくとして、私どもも取引被害を何とかしなきゃいかぬという思いは同感でありまして、日弁連の修正意見の中には、この重大事故の中に取引被害も含めてほしいということを、修正を求める提案をしているわけであります。

仙谷委員 続いて中村参考人にお伺いするんですけれども、実は、この十六条ですが、措置要求で、所管が消費者庁に移ってきていない、四十三本とか、あるいはもっともっと規制権限法律はあると思うんですが、措置要求ができるからいいんだ、こういうことを答弁されているんですね、野田大臣以下も。

 ところが、措置というのは、その概念次第ですけれども、何でもできるというのであれば、措置の中に何でも含むのであれば、それはそれでもいいのかもわかりませんが、どうも措置という法律概念は、よく考えてみると、処分の勧告とかあるいは結論部分の勧告ということになるのではないか。つまり、資料の提出の要求が措置の中に入るのか。あるいは、情報提供、資料の提供等々をその所管の省庁の専門部局に対してすることができるのか。つまり、措置要求をする前段階の権限が一切ここに書かれていないんですよ。それで、条例なんかを見ても、随分、資料提出要求から始まって、指導から、県知事あたりができる、あるいは政令指定都市の市長ができる権限として事細かに書かれているんですね。

 これは、この十六条というのはやはり、何か措置要求ができると書いてあるだけで、はね返されるというか、その前段階の詳しい事情を調べる権限がないと余り機能しないんじゃないかと思うんですが、その点いかがですか。

中村参考人 私どももそういう考えのもとにこの修正を求めておりまして、やはり調査等ができるようにしなきゃいけませんし、それから、措置要求を受けた担当大臣は速やかにその措置を実施しなければならないという条項も、もう一つあった方がいいのではないか。先ほどおっしゃったように、言われて、はい、聞きましたという、聞きおくだけで終わる懸念を私どももしております。

 それからもう一つ、措置要求をされた後にどういうふうにしたかということをきちっと、あるいはする気がないのならないで、応答する義務、こういうものもあわせて規定することで、もう少し委員の御心配のような懸念が払拭できる条文になるんじゃないかと考えております。

仙谷委員 時間に限りがありますので、圓山参考人にお伺いするんですが、この自治事務と法定受託事務という概念規定というか、これはやたらとわけがわからなくなるんですね。今おっしゃった、消費者安全法で法定受託事務というふうに書き込んだと。

 ちょっと金融関係だけ見てみましたら、振り込め詐欺救済法というのが最近できておりまして、この四十二条でも、この法律により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法に規定する第一号法定受託事務とすると。それから、例の特商法は、県知事に委任した分については自治事務であると。ところが一方で、地方経済局に今度消費者庁の長官がまた再委任か何かするわけですが、これはこれで国の直轄事務として、地方の経済局が職員をして、例の資料提出要求から立入検査から、何から何までやる、あるいは特商法に盛っている事業停止までの処分もできる、こういうことになっていると思うんです。

 つまり、消費者、現場で生活している者から見たら、別に直轄事務で経済局がやろうが、都道府県知事が自治事務でやろうが法定受託事務でやろうが、要するに、悪徳商法を早く摘発して早くやめてくれる、被害が広がらないということの方が大事だと思うんですが、こういう事務区分の問題というのは、現場から見てどういうふうにお考えになりますか。

圓山参考人 現場から見ましたら、余り関係ないと思います。一番大事なのは、事業量の義務づけと、それから国の財政負担なりなんなりの予算、人員の義務づけです。

 昨年の消費者庁構想が始まりましたときから、私も県職員OBですし、幾つかの県の職員と意見交換してきましたけれども、共通して出てきましたのは、今、地方自治体が自由裁量でできるので、財政悪化に伴って、財政課、人事課がどんどん削減している、なので、事業量と人員の義務づけが必要だろうと。

 それは、福祉、教育、消防、警察などではそれができていますから、さっきの用水路の例えではありませんけれども、維持できていて、それで国全体で向上、発展もできているわけです。そこが一番大切だと思います。それができれば、自治事務であろうと法定受託事務であろうと、国の直轄であろうと構わないと私は思います。

仙谷委員 時間が参りましたので終わりますが、要するに、政治といいましょうか、国が優先順位をどうつけるか、消費者行政をどう位置づけるか、この問題だということでよろしゅうございますね。

 どうもありがとうございました。

船田委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 きょうは、三人の参考人の皆さんには、大変お忙しいところ、ありがとうございます。

 私は最初に齋藤参考人にお伺いしておきたいんですけれども、実は、この間、この委員会でも取り上げたかと思うんですが、経団連であるとともにパナソニックの方でやっていただいておりますから、同業の他社の話でお話ししにくいかもしれませんけれども、例えばソニーのVAIOの火災事故、世界で二百九件、国内で八十三件というのがありました。

 私、これはPL法をつくるときにもやはり製造物責任ということで随分議論をしたのを覚えているんですけれども、あのときにも、やはり業界組織としても、それから裁判外でいろいろ処理していく上で努力される点では、日本電機工業会とか家電製品PLセンターなどをつくってというお話なども伺っておったんです。

 なぜこういう問題が長く放置されてきたのかということについては、やはり業界として事故情報を共有して検討していらっしゃるのかどうかとか、それから経産省への報告とか消費者の皆さんへの報告とか、あるいはこういうふうに対応してくださいという話を業界としてどれぐらい議論をして深めていらっしゃるのか、これを最初に伺いたいと思います。

齋藤参考人 きょう、たまたま持っているのですが、ホームページをたたいていただきますと、温水洗浄便座協議会というのがございまして、温水便座、これは電気製品であるので、注意して電気製品として扱ってくださいと。

 これは、二年前、法律ができまして、再点検した。そうすると、こういうものが業界で結構共通的なトラブルとして出ている、ではどうするかということで、一定の基準がつくられた上で、事故情報をお知らせし、その防止のためのお願いということで、一般に啓発活動を今一生懸命やっているところというものであります。

 これは一つの事例ですけれども、ある事故がありまして、それが共通的だというような認識を持つに至りますと、業界で共有するようになります。その方が力強い発信ができます。

 それから、では、こういうものを官庁等に報告しているのかというのがございましたけれども、個々の事案については報告していると思います。事実関係はわかりませんけれども、通常、一定の基準を超えると、それぞれの会社が管轄官庁に報告するというようなことになっていると承知しております。

吉井委員 私は、どんな法律をつくっても、これはやはり国の方もその法律を本気で執行しないことには生きてきませんし、同時に、業界の皆さんも、PL法、電安法、消安法といろいろな法律ができるたびに、それに応じてやはりきちんとした対応をするということを経団連としても周知徹底していただくことが、今回、消費者問題について、消費者の安全を実現する上でも大事なことだというふうに考えているものです。

 次に、経団連として、当然、業界の意向を反映して、法律にはこういうことをやってほしい、そういう御意見を出されるのは普通のことだと私は思っているんです。ただ、同時に、やはり政官業癒着と見られるようなことは避けないと、業界あるいは団体としての意向によって法律がゆがめられたりとか予算がゆがめられたりしてはいけませんから、そこはきちんとすべきことではないかというふうに思っているんです。

 私、この点で、十六年ほど前になりますが、国会で、政治改革特別委員会がありましたときに、小沢さんのゼネコン選挙というのを取り上げたことがありますけれども、きょう伺っておきたいのは、ことしの三月の二十七日に、宏池会、川崎二郎さんのお名前で、「拝啓、二十一年度予算案の審議、採決も愈々本日となり、何かとお忙しいことと存知ます。 さて、各先生方の選挙区、又はその周辺でパナソニック グループの工場がございましたら、下記に書いて宏池会へご返送下さい。 パナソニックに各先生へのご支援をお願いします。」と回っているんです。

 企業の社員の方も、個々の人ですから、だれを支持しようとそれは勝手なんですよ。しかし、企業として支援を要請されて動くということになると、これはやはり政官業癒着の中で法律がゆがむということになってはいけませんから、ここはきちんと、パナソニックとしても姿勢を正されるし、経団連としてもそういうことのないようにされることがあるべき姿じゃないかと思いますが、お考えを伺っておきます。

齋藤参考人 ただいま政治活動の件についてお話がありましたが、きょうは消費者関係のお話、こう承って私が参っておりますので、その件についてはちょっとらち外でありますけれども、民間企業からも、いろいろな政党から立候補して通っている議員もいるのも、これまた事実であります。

吉井委員 私が申し上げておりますのは、特定の企業に特定の選挙をお願いに行く方もあれですけれども、その選挙の応援をしてもらうことによってやはり政官業癒着ということが出てきますから、それが立法行為の中でも実は公正さを失ったり、本来、企業とそれから消費者の方たちとも、一緒に安全を守るという点では共通なんですけれども、利害が違うわけですから、お互いに緊張関係がある中でこそうまく機能していくようになるものだというふうに思っておりますから、私は、そういう点でもこうした立場をきちんと貫かれることを求めておきたいと思います。

 次に、圓山参考人にお伺いいたします。

 地財法によって、本来補助金を人件費に使っている例もありますし、またできるわけですね。それから、もちろん法定受託事務にすることも、それはやることができるわけですし、ですから、要は、どういうふうにして地方の消費者相談活動の第一線にいらっしゃる方たちが最も仕事がしやすいようにするか、このことが一番大事なことで、ある意味では政策判断によっていかようにもできる。

 一番根本的なことは、基礎にあるのは、消費者の利益をどうすれば実現できるか、この根本に立った発想で取り組むべきことであり、それによって財政問題も解決の道が開かれるんじゃないかと思うんですが、お考えを伺います。

圓山参考人 大変おっしゃるとおりでありまして、消費者行政の受益者は消費者なわけですから、消費者の利益を第一に考えるということが大切だと思います。

 それで、この参考人に、私も呼ばれていますけれども、いろいろな団体の代表者などが来ておられますが、やはり団体を背負ってしまうと、何か言いたいことが言えないというところがあると思うんですね。ですから、それは現場で頑張っている相談員もそうですし、できれば、消費生活センターに相談したけれどもうまく相談に乗ってもらえなかった、それで私はこういう被害が救済できなかったという消費者の方、探すのは大変だと思いますけれども来ていただいて、どこに改善点があるのかというふうなあたりの議論もお願いをしたいなと思います。

吉井委員 それから、国家公務員でやっていくのがいいのか地方公務員でやっていくのがいいのか、この議論もあるわけですけれども、これは、金の問題さえ解決した場合、財政問題を少し横に置いてと言ったら変ですけれども、本来国の果たすべき役割と、それから地方の方がいろいろな行政機関と連携してやりやすい問題とか、さまざまな形もありますから、うまく組み合わせてと言ったら変ですが、身分という点からいいますと、例えば警察庁の職員は国家公務員であり、しかし警察庁から自治体警察へ出ていっている職員もおり、自治体警察としてはそれで自治体でやっている。それから、成田空港の警備隊のように、年間百億円ぐらい人件費が地方自治体に補助金として出ているという例もあるわけです。

 ですから、財政問題を横に置いたら、実はこの問題もかなり、消費者の立場からしてどういう仕組みをつくるのが最も合理的かという立場で解決する道があるのではないかと思うんですが、お考えを伺っておきます。

圓山参考人 ですから、私、最初は民主党案を大変すばらしいと思いましたのは、今の予算、人員の全く保障されていない中で地方自治体に任せてもだめだという本質をつかれていて、国家でやりますという発想は大変いい発想だと思います。

 ただ、私が経験していました地方自治体とかあるいは接してきた国の方々の印象だけのもので申しわけないんですけれども、私も四九対五一ぐらいで、地方か国家かというあたりで悩んでいるわけですが、現在の国の機構それから地方の機構ということを前提に考えました場合、つまり消費者庁構想で国全体が生活者主役の国になり変わった後はまた別ですけれども、現在の省庁縦割り、産業優先、省庁が力を持っているという国の機構の現状で移行することを考えた場合に、どうしても、国家公務員になりますと、国交省、経産省、厚労省とまた別の消費者庁という、それなりの縦割りの省庁の職員だということになって、総合的な視野といいますか、そういうのがしにくいような気がいたします。

 その点、市役所、県庁などの市の職員、県の職員というのは、市役所一括、県庁一括で採用されまして、それで知事、市長から辞令をもらって、各部局をまたがって転勤をしますので、市役所内、県庁内、すべてに友達がいたり先輩がいたりとかして、住民の生命財産を守るというのがミッションだというふうに教えられております。

 どうしても国の省庁だったら、我が省の利益とか我が局の利益というところがぬぐい切れない中では、だから私は、四九対五一の五一分は地方自治体でやる。それで、国が地方自治体の知事さん、市長さんたちがサボらないように、事務量、人員、予算というのをしっかりと枠組みをつくって、必要な資金等は地方自治体に供給していただいて、地方自治体で運営するという方がいいかなと思っています。それは、自治体の庁舎も使えますし、それから総務系統の職員も、自治体のものはすべて、新しくつくることなく、その中で使えますので、効率的でもありますしと思っております。

吉井委員 次に、中村参考人の方に伺いたいと思います。

 もともと消費者保護基本法であったものが消費者基本法になる中で、保護という言葉が消えて、主体としての消費者といいますか、そういう発想になっていっております。

 それはそれでいいですけれども、しかし、圧倒的に情報量とか、企業の側にはありますけれども、あるいは業者の側にはありますけれども、消費者の方には、そんないろいろな知識、いっぱい持っているわけじゃないですから、やはりどうしても、圧倒的な情報量の差とかあるいは安全性についての知識の差とか、そういった差があるもとで、どうして消費者の安全なりを守っていくかということになりますと、保護という言葉は使わないにしても、消費者の、それを主権と呼ぶならば、消費者の主権をどう実現していくのか。

 このことをやはり基本的な理念なり目的にきちんと明らかにして、それに合った具体的な内容を持つものを考えていかないと、実のところ、非常に弱い立場と言ったら変ですけれども、現実に弱い立場に置かれている消費者を守るということにはならないのではないかと思いますが、お考えを伺います。

中村参考人 今御指摘の情報問題というのは、まさに消費者問題の根本が情報の格差でありまして、圧倒的に劣後しているのが消費者の立場、ここを何とかしなければいけないというのは当然のことでありまして、消費者基本法に権利はうたったけれども、日本の法制度全体がその目線で見直しされたかというと、まだまだだと思っております。

 今回、消費者庁ができて、消費者安全法がいろいろ新しいところを取り込んでおりますけれども、ここでもまだ弱いのは、情報格差の是正が不十分であると私は感じておりまして、やはり消費者被害の情報、そういうものをいち早く国民全体、消費者も含めて共有する、企業だけが独占するのではない、あるいは行政機関だけが持っているのではない、国民と一緒に事故情報等を共有する中で消費者も身の対処の仕方をちゃんと学べる、そういう状態が理想的なんだというふうに考えております。

 情報の収集に当たっては、今回、消費者安全法の中で、報告義務を広げようということで、事業者あるいは消防、警察、病院等にも、事故の関連情報を知ったら消費者庁の方に報告するというシステムをぜひつくってほしいと言っております。

 ただ、さらに言うと、ではそれぞれの部署の情報が上手に監督官庁あるいは都道府県知事等にも集まる仕組み、これもきちっと整えないと、条文の中には、行政機関の長、都道府県知事、国民生活センター長に一応報告義務があるとしても、その下からちゃんと情報が集まる仕組み、こういうものができているかどうかというところがもう一つ重要であります。

 その点、一つ参考になるのが、消費生活用製品安全法で製造業者と輸入業者に重大製品事故の報告義務を課しておりますが、これがあらゆる製品、例えば食品、医薬品等も含めて他の分野の製品も関係大臣に報告義務が法律上課されているかというと、そうはなっていないのが今の制度です。

 それから、自治体の長といいましても、あらゆる情報が知事のところに集まる仕組みが各地方自治体でできているかというと、そこもやはりおぼつかない状態でありますので、そういうところの法整備を全部整えて、本当にすそ野からずっと消費者庁にあらゆる消費者情報が集まり、そしてそれを今度は消費者庁が国民と共有するという視点で公表していくという仕組みがつくられることが理想だと思っております。

吉井委員 中村参考人に引き続いて伺っておきたいと思うんですが、消費者政策委員会というのが今提起されているわけですけれども、専門調査会等下部機関を置くとされております。

 例えば、スリーマイル島原発のときの、多くの弁護士の皆さんも入ったケメニー委員会のような大統領直轄の事故調査委員会ですね、やはりそういう強力な権限を持った事故調査委員会を設けて、そういうところの調査に基づいて提起し、それに基づいて政策委員会が機能するというふうにしないと、これは、形は整えたけれども、今、通常ある審議会と余り変わらないものになってしまうんじゃないか。

 そういう点では、どのようにこれを強化するかが問われているときだと思うんですが、これについてのお考えを伺って、時間が来たようですから最後にしたいと思います。

中村参考人 消費者政策委員会の強化は、先ほども説明させていただきましたが、本当にこの法律の肝だというふうに感じております。

 今まさに委員がおっしゃった調査権限ですが、消費者庁に幾ら情報が集まってきても、それをきちっと調査分析できて、活用して、初めて消費者被害の救済、防止につながるわけですね。そこの調査分析のところが、この全体の仕組みの中で、おっしゃるとおり必ずしも十分ではありません。

 例えば、エレベーターで事故が起こったといっても、鉄道や航空機には運輸安全委員会という事故調査委員会、相当な権限を持った、あれは三条委員会のようですけれども、そういうものがあります。しかし、エレベーターにはない。そういう中で、三年もたっても原因究明もいまだなされないという現状が現にあるわけですね。

 こういうことがほかの分野でも十分考えられるわけですが、そういう意味では、事故調査、調査分析をする仕組みをどうつくるかというのが、この消費者庁については残された次の宿題だと思っております。

 そこら辺について、日弁連はまだ明確な、こんな構造というところまでは提言しておりませんけれども、個人的に申し上げていいとするならば、やはりあらゆる製品分野、あらゆる事故に対して、国民の命、健康を守るんだという視点から、直ちに調査研究できる権限のあるそういう機関の設立というのはぜひ必要なんだろうと思います。それが、恒常的がいいのか、または緊急時に即対応できる仕組みをとりあえずつくるというのがいいのか、その辺はまた今後御議論いただきたいと思います。

 以上です。

吉井委員 終わります。どうもありがとうございました。

船田委員長 次に、日森文尋君。

日森委員 最初に中村参考人にお聞きをしたいと思うんですが、先ほど来、情報の問題について幾つか質問がございました。私も、情報の一元化とこれをどう公表するかというのは大変こだわっておりまして、先ほど消費者庁の肝だというふうにおっしゃっておりましたが、まさに同感です。そういう意味では、情報の一元化というのをどう実現していくかというのは大変大きな課題だと思います。

 ちょっとお聞きしたいのは、この委員会でも大分議論になったんですが、パロマの湯沸かし器の事故について、日弁連が三月六日にシンポジウムを行いました。その資料は拝見をさせていただいたんですけれども、役所の方もいろいろ反省点を挙げているようなんですが、どうもまだまだ不十分ではないかという気がいたします。このシンポジウムの中での経過や問題点というのが大分整理されてまとめられているようですが、どこに基本的な問題があったのか、改めて検証する必要があるんじゃないかというふうに思っているわけです。

 中村参考人は被害者の代理もしておられるという話も聞いておりますので、ぜひ、今までパロマの事件についてはいろいろ議論がありましたけれども、そうした審議の中身も含めて、どこに問題があったのか、改めてお聞きをしたいと思います。

中村参考人 今御質問のパロマの事件で、かねがね言われているのは、平成十八年の八月に経済産業省が総点検取りまとめを発表した中に言われているように、まず、湯沸かし器、ガス事業等を所管する経済産業省の中で情報が一元化されていなかったという問題が指摘されています。

 あの問題は、どうしてそういうことが起こるかというそのそもそもの原因をもう少し掘り下げて見ていただきたいのですけれども、経済産業省にはガス事業を所管する部署があって、資源エネルギー庁の中にございますが、都市ガスはガス事業の保安課、それからプロパンガス、LPガスはLPガス対策室、同じエネ庁の下に二つの部署があって、一方、LPガスの方は液化石油ガスの法律で所管している、それからガス保安課の方はガス事業法という法律で所管している。

 要は、法律と所轄の部署が別で、言ってみれば、経済産業省にとってはプロパンガスと都市ガスというものは全く別物。ところが、私たちが使っているガス湯沸かし器、ガス器具、すべて形は、外見上は同じなんですね、都市ガスであろうとプロパンであろうと。

 ところが、このパロマの事件も、北海道でプロパンガスの機種で被害が随分あった。それは、だから、LPガス対策室には情報が入ってくる。ところが、ガス事業をやっている保安課の方には入ってこない、都市ガスの方には全く連絡がない。そして、後に都市ガスでまた同じような事故が起こる。

 これは要するに、全く別物だと扱うところに問題がありまして、それは、言ってみれば消費者目線がないわけですね。私たち消費者からしたら、姿形が同じ、ガスの材料が違うだけで、湯沸かし器は湯沸かし器なんです。行政にとってはこれが別物になるところにそもそも問題がある。これはやはり、消費者目線で考えてもらったら、到底別物と見るわけにはいかない物質なんですね。

 そういうところを、まず消費者のためを思えば、プロパンで起こっていたら都市ガスでも起こるんじゃないか、当然こういう発想を持って行政を実行していただきたい。そこら辺ができていなかったというのが今回の一つの問題です。

 さらに、経済産業省の中には製品を所管する製品安全課もありました。そこにも製品の事故としての情報が一定入ってくる。それから、昔の通産省の外郭団体、通産検査所から今はNITEになっておりますが、そちらの方にも事故情報が一部入ってきている。同じ経産省の中のこの四つの部署にばらばらに入ってきている情報が共有化されていなかったという、省内の共有化がまず大問題だったということが今回指摘されているわけです。

 それともう一つは、今パロマの事件は、刑事事件で続々と証人調べをやっておりますが、この中でわかってきたのは、パロマという会社の中でどういうことが行われていたかというと、各パロマのサービスショップというのに修理をやらせているんですが、修理をしたら、その伝票情報はすべて本社に上げることになっております。言ってみれば、本社としては全国の修理情報、事故情報は一元的に所有しているわけです。ところが、一事業所から見ると、自分のところはたった一件の事故があっただけだというので上げている。まさか合わせて二十八件もあったという認識がなく、日常の業務を行っている。そういう状態で、本社は情報を持っているけれども、末端のサービスショップに情報が共有化されていなかったという点で、次々事故を重ねてしまったという面もございます。要するに、企業の中でも共有化されていなかったという問題があります。

 もちろん、消費者に注意喚起するために、この機種の湯沸かし器ではこんな事故があるから、皆さん、こういう使い方はしないようにとか、注意しましょうという呼びかけも全くできていなくて、消費者、国民との共有など全くなかったというところに、この問題が大きく被害者がふえていった原因がある。

 要するに、やはり、情報の共有化というところが、行政だけではなく企業の中でも、あるいは消費者も含めて国民全体で事故情報を共有することで初めて安全が守れるんだと思っております。

日森委員 続いてで恐縮なんですが、役所の中でも会社の中でも、本来共有されて、危険を消費者に直ちに知らせなければいけないような情報が一元化されていない、それぞれシステムはあっても、全然横のつながりがなくて、どうしようもない状態になっていたことが二十一名もの死者を出してしまったという結果を招いたんですが、何でこんなことが起こったんでしょうか。

 実際には、原因をしっかり分析する、先ほど齋藤参考人からも、企業が責任を持って、後でちょっとお話を聞きたいと思うんですが、原因をしっかり分析すればこういうことにはならなかったんじゃないかという気がするんですけれども、その辺はいかがお考えでしょうか。

中村参考人 原因分析をしなきゃならないと思うきっかけが企業にはなかったんだと思うんですが、やはり、人が一人死んでいる、二人死んだ、三人死んだという、その一人一人の消費者には一つ一つの人格があるということをしっかりと認識して、一人の人でも我が社の製品で殺してはいけないという視点から直ちに原因を分析すべきです。

 それを、例えば、修理業者が勝手にやったんだろうとか、使い方が悪かったんだろうというふうにして、同じ修理状況でたくさんの被害があるのに自社製品のせいだと思っていないというところが非常に問題です。

 やはりメーカーというのは、生み出した製品は自分の子供と同じですから、自分の子供がどこかへ行って悪さをしているんじゃないか、そうすると悪さをさせないようにきちっと直していかなきゃいけない、そういう親の気持ちで、製品に愛情を持って、売り出した後、使われている間もずっと終始監視していただきたい、そういう消費者目線を持ってやっていただきたいと思っております。

日森委員 そうすると、ますます消費者庁が情報を一元化するということが重要になるわけですが、消費者安全法で言う情報一元化というのが本当にうまくいくのか、本当に消費者の立場に立って一元化したものを公表してちゃんと役に立っていくのかということについて、これは、政府案に立ってというお話がございましたので、どうなんでしょうか、安心して任せて大丈夫なんでしょうか。

中村参考人 こういう問題は、私、先ほどちょっと引用しましたが、製造物責任法の国会審議で畑英次郎さんが言われた、事故情報は国民の共有財産だというこの視点で立ち臨んでいただかないとなかなか直らない。そういう意味では、これを言った通産大臣のおひざ元の経済産業省でパロマのああいう失態が演じられたというのはまことに残念でありまして、一体、製造物責任のとき以来、経産省は何をやっていたのかと言いたくなるくらいであります。

 やはり、こういうことをきちっとやる前提として、情報の一元化のために一つ非常に重要なのは、警察あるいは消防の情報です。今、多くの事件では、火災が起きたとか死亡事故が起きたというと、まず最初に飛んで行って、縄を張って、独占的に証拠収集するのが警察であり、消防なわけですね。そこに一番の情報があるわけです。

 ところが、これを例えば製品の所管官庁はなかなか共有させてもらえない。エレベーターの事件がいい例です。国土交通省は、警察が持っていっちゃったから見ることができなかったといって、二年数カ月も全く原因の究明もしなかったということがあったわけですが、そういうことではいけないわけでありまして、やはりこの警察情報をいかに共有できるかというところが大きな課題だろうと思っております。

 消費者庁の情報収集のシステムの中に、消防、警察、そして病院等の事故情報がきちっと集まるシステムはぜひつくっていただきたいと思います。

日森委員 ちょっとしつこくて恐縮なんですが、それはそれで私も全くそのとおりだと思って、何度もこの場でも質問させていただきました。なかなかそうだと言っていただけないので、これはやはり修正があるとすれば、ここはしっかりとやっていかなきゃいけないというふうに思います。

 同時に、事故を未然に防止するとか拡大を防止するとかいうことが大変大きな課題なんですが、行政機関や都道府県知事のところで情報がきちんと集まっていく。きのう、実は、和歌山県の知事さんが地方公聴会においでになっていろいろお話も伺ったんですが、そういうこともきちんとやっていかないと、すそ野を広げて本当に全体の情報をつかむということができないんじゃないかというふうに思うんですが、その辺はどういうふうにお考えなのか、簡単にお答えいただきたいと思います。

中村参考人 先ほど吉井議員の質問に対してもお答えしましたが、まさにすそ野から情報がきちっとトップに上がってくる、そういう法制度をつくってないといけない。

 今、例えば警察、消防等は自治体だといっても、都道府県知事が警察、消防の情報を、事故情報を全部掌握しているかというと、そうはなっていない。そのあたりを今度は消費者目線で、全部消費者庁に上げるために、警察も知事を通じ、消防も知事を通じ上げるんだ、あるいは警察庁を通じて消費者庁に上げるんだ、そういう仕組みを法的にも備えていただきたい。報告義務化という形で、数々の製品に関して、仕組みとして自治体あるいは国の情報が上がる、法的な義務づけられた報告、ぜひそういう形をつくっていただきたいと思います。

日森委員 私も全く同感です。

 では、齋藤参考人に重大事故の関係でお伺いしたいんですが、先ほど業界で原因究明などをきっちりやっていくんだというお話がございました。ただ、いろいろな事例を見てみると、業界で原因究明をするんだけれども、原因不明とかいう結論がどうも多いような気がしてならないんですよ。具体的に、例えばこの問題ではこういうふうに原因究明をして、そして消費者の利益を守る、事故の拡大防止などに役立ってきたという事例がございましたら、もし御存じでしたら御紹介いただきたいと思うんですが。

齋藤参考人 固有名詞を挙げたような事例は余り承知しておりませんが、例えばパナソニックの中でどのような情報のシステムになっているか、どのような手を打っていくかということを御紹介しますと、お客様相談センターというのがございます。朝九時から夜八時まで三百六十五日、二十四時間ではないのですけれども、これにフリーダイヤル、ファクス、Eメール等を加えまして、たくさん相談をいただきます。年間三百万件ぐらいございます。(日森委員「万ですか」と呼ぶ)万です。

 恐らく他の企業におかれても、この数量はわかりませんが、相当な数の相談があると思います。このうちの大半、半分が商品の使い方なのです。あとは、また半分近くが、お客様が買い物をするときにどのような商品がいいだろうかという買い物相談のようなものになっております。残りの本当にごく一部が、本当の商品クレームということになっております。

 問題は、これへの対処の仕方です。ふぐあいについてはすぐ修理等措置しますし、法的な手続が必要であれば、その手続に乗って情報を官庁の方に届け出るというようなことになります。

 それで、問題は、改良すべき点、冒頭に私御説明いたしましたけれども、そこでそれを糧として次の商品をよりよくしていくか、これが企業の発展につながっていくわけですけれども、そこに新製品企画とかいうようなものがどれだけ関与してくるかということで企業の力というのは決まってくると思います。これが車の両輪のような格好になる。

 問題は、ふぐあいが出たときに、技術部隊が重要な案件については総出でいろいろチェックしますけれども、これだと原因を突きとめたつもりになって、材料等々、それから仕様、設計、こういうものをチェックして原因を突きとめたつもりになって、今度は再現実験をします。そうすると、同じような、これで再発するはずなんだがというのが、なかなか再発しなかったりします。その間に第二件目の事故が起こるとかいうようなことが一般的には多分あるのではないかなと。

 では、それに対してどうするかということですが、もうこの十年来、二十年来定着してきているという企業が多いと思うのですが、そこを何とかしておけとかいうことで上司あるいは社長がとどめると、今度、それが第二回目の事故、第三回目の事故に結びついていったときには、最近の裁判では刑事犯ということにもなってくる、こういうことでありますので、情報をそこでとめるということは、もうほとんどそういう意識はなくなってきているのではないかな。問題は、スムーズにアクションがとれるかどうか、そこにあるような気がしております。そのシステムが社内で構築されているかということです。

 それで、もしこれが構築されていないと、適格消費者団体から例えば差しとめ請求があったりするというような場合、これはいろいろなパターンがありますけれども、事故のケースだけじゃなくて取引関係もあるわけですが、そういったものが全国ネットワークを張っている会社において情報が記録されていない、一元化されていないとなると、今度、適格消費者団体の方はあちこちから情報を入手できる、国民生活センターからもいただけるとかいうようなことがございますので、対応できなくなる。したがって、会社の中ではその仕組みづくりが進んでおるというふうに認識しております。企業によって若干ばらつきがあるかもしれません。

日森委員 関連して、齋藤参考人の方は、どうも最近、重大事故などが、事例がたくさんあるんですが、内部告発といいますか、これで明らかになっている事例が多いというふうにおっしゃっておりました。

 企業にもよるんでしょうけれども、なぜ内部告発でしか商品の欠陥だとかあるいはさまざまな問題が明らかにならないのかというのは、一般論で結構なんですが、どこに原因があるのか、何が足りないのか、事業者としてこれから何をしていかなきゃいけないのかというお考えがありましたら、お聞かせいただきたいと思います。

齋藤参考人 一般論でありますけれども、隠ぺいする、これは隠しておこうというような雰囲気が漂ってくると、最近、全従業員が隠ぺいしようというようなことには多分ならないと思いますので、内部告発というのが必ず出てくる。それはそれで社会のためには私は大いに結構だと思いますし、それを隠ぺいするような企業はマーケットから追放されるということであろうと思います。

日森委員 それから、先ほどあった、相談センターに三百万件。それで、いろいろ精査をしていくと、ごく少数が製品の欠陥とかいろいろな問題につながっていくということをおっしゃっておりました。

 この集まった情報はどういう形で公表されているのか。例えば、ユーザーの方がすぐ検索できるような、その情報がパナソニックの例でしたらパナソニック自体からとることができたり、そういうことまでおやりになっているんでしょうか。

齋藤参考人 いろいろな内容の情報がございます。

 例えば、一つの事案を取り扱うときに、そういう案件になれた、外部の方で結構なんですけれども、例えば弁護士とかが見ればある程度勘が働く、あるいは、相当のその技術の経験者が立ち会っていれば勘が働くというようなことがあるかもしれませんけれども、その原因を追求するというのには少し時間がかかることがありますね、一般的に。先ほどの再現実験まで行きますと、なかなか時間がかかる。

 何もないというようなケースもその中にもあるわけです、使い方の方が本当に悪かったというようなことがあろうかと思いますけれども、事故に結びつく原因がありというときには、今度、一般にオープンにして、すぐ手を打たなければなりません。材料手配から何から、全部交換をするとかいうようなことを行います。そういったものは緊急時には速やかにやらなきゃならないんですけれども、そのあたりに時間がかかったりとかいうようなことも一般的にはあるような気がしております。

 ただ、最近は、時間の余裕というのは許されなくなっておりますので、恐らくどこの会社も、重要な事故については相当、幹部の方が対策本部長というか、そういう形ですぐ手を打つということになってきていると認識しています。

日森委員 時間になりました。圓山先生、申しわけございません、ちょっと地方の話を聞きたかったんですが、また何かの機会に教えていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

船田委員長 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 本日は、三人の参考人の皆様方、大変お忙しい中、ありがとうございます。大変貴重な御意見もありがとうございます。私、最後の質疑者でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、三人の参考人の方にそれぞれ質問したいんですけれども、本来、消費者と企業、これは対立するものではない。ただ、実際には、保険金の不払いであったり、企業の利益優先、消費者軽視、こういう体質があらわになってしまう事例もあるわけですね。

 例えばクレーマー問題とか消費者側の過剰な要求、こういうものが問題となってしまうケースもございます。これは、消費者側に企業の不正と闘うための実効性のある法律的な武器がない、そういうことが原因で、消費者と企業の間に適当な緊張感とか距離感とか、そういうものが保てていない、こういうことも一つの原因ではないかなというふうに思っています。

 まず、消費者と企業の関係を対等で良好なものとするためにどのような仕組みが必要なのかということを、それぞれお聞きしたいというふうに思います。齋藤参考人から。

齋藤参考人 高邁な質問ですので幅広く申し上げたいと思いますが、長い目で見ますと、消費者と事業者が同じ常識を持っているということが一番重要ではないかなと思っております。

 例えば、これは消費者だけではなくて、事業者と事業者の取引においてもそうなのですが、つくる方はこれが当たり前だと思っている、ところが、それを使う方はそんなこと知らなかったということで、旧来のというか、全く別の使い方、思わない使い方をしてしまう。そこで、つくる方は、意地悪テストとかいうのもやって、想定外の使用まで考えてつくるんですけれども、それでもなおかつ、思わないことがやはり出てくる。

 例えば経年変化なども問題になったりしますけれども、ピラミッドやスフィンクスも今の写真を見るとかなり崩れている、つくったときには崩れないとみんな多分思っていたと思うんですが、崩れる。

 そうすると、今の耐久消費財というのはどうなんだとかいうようなところで、つくる方と使う方が同じような常識を持ち合えば、かなり避けられることがあるんじゃないかなと思っています。

 これも、教育とはいいますけれども、家庭教育あり、学校教育あり、それから事業者側が一生懸命啓発活動することありというのが組み合わさっていかないと、なかなか同じ常識は持ち合わせることができないような気がしております。

圓山参考人 具体的に申し上げますと、今おっしゃったような消費者と企業との間の調整をするというのが、まさに消費生活センターの役割だったと思います。それは、消費生活センターの相談の職員が消費者のいろいろな相談の内容を聞き取って、どこに企業に改善をしていただくような内容があるのかということを整理して、企業にお伝えするということが大切なんですね。その消費生活センターの相談の職員が消費者の話を聞いて企業にお伝えをするということを、あっせんと呼びます。

 今問題なのは、地方の疲弊に伴って、あっせん率が劇的に下がっているわけですね。かつて一〇%ぐらいあったんですけれども、三%に落ちて、今五%までにしか回復していないわけです。ただ、熱心な消費生活センターには、あっせん率が六割だとか四割だとかというふうにやっている消費生活センターも中にはありますが、押しなべて、あっせんをもうやめてしまっているわけです。

 あっせんをやめてしまったらどうなるかというと、今クレーマーというお言葉をお使いになりましたけれども、私はそうは思っていなくて、熱心に要求する人で、ただ、そこを分析すると、企業に参考になることも中に入っているんですね。それは十年先、二十年先の話かもしれないけれども、製品の開発だとか対応の改善、そういう光るものもあるわけです。

 そういう消費者の相談を、消費生活センターは、今あっせん率が劇的に下がっているので、助言自主交渉ということで、企業に直接言いなさい、あなたの不満を企業にぶつけなさいということしか言えなくなっているわけです。そうなると、消費者対企業が整理がつかないまま生でぶつかり合って、企業の方も大変困っていらっしゃると思うんです。

 だから、そこを、消費生活センターを充実して、消費者の相談をよく聞き取って、ああ、これは企業に提案すべきことだとか、ここは企業に直してもらおう、ただこの部分については消費者の方もちょっと言い過ぎなので言えないんじゃないでしょうかという整理をしたあっせんをするということを消費生活センターで復活をさせて、強化してどんどんやっていくということが、今お尋ねになった企業と消費者の間の関係がうまくいくということのお答えなのじゃないかと私は思っております。

中村参考人 企業と消費者が対等な関係になるには、やはり一番の問題は情報の格差にあるわけですから、そこをどう是正できるかというところが大きいと思います。

 私ども、いろいろな相談を受けまして、企業側が持っているたくさんの情報を要求しましても、なかなかお出しにならないことが多いんですが、これを出していただくと、割合、納得されたり、あるいは解決の道筋が見えてくることが多いんですね。そこを隠し持って、やれるものならやってみろみたいな態度でやられますと、だんだん双方が熱くなって、紛争がどんどん火が大きくなっていくという形になります。ですから、企業側は、まず、消費者が持っていない情報をきちっと開示する、そして説明をしてあげる。さらには、どうしてこんな事故が起こったかというところの事故原因の究明をきちっとしてあげる。

 ところが、現状は、事故の原因を究明するから製品をよこせと持っていかれても、特に問題ありませんでしたとか、原因はわかりませんでしたで突っ返されてしまうんですが、いやいや、よく調べればわかるような話がいっぱい出てくるわけです。そういうところを納得させるときには、原因究明にも消費者目線で、消費者サイドも一緒に立ち会わせるとか関係者を差し向けるとか、そういう、隠れたところでやらないで、やはりオープンにしていただいて情報を共有化する。そうすると、物事は割と片づきやすい。

 一般の事件でもそうなんです。被告も原告も、双方が情報を出し合って共有化すると、意外に解決というのはすとんと決まるということが多いわけです。情報の格差をどう是正するかというところに意を注いでいただければと思います。

糸川委員 ありがとうございます。

 やはり、事故が起きてしまうと、どちらも対立してしまって、自分に不利益になるようなものは隠したがるという体質もあると思いますので、そういうものを出し合っていかれればいいのかなと。

 そしてまた、政府も地方も含めてですけれども、例えば消費者庁というものができた、権利院というものができた、そういうときには、被害者側にも、消費者の立場にも立ち、企業側の立場にも立ち、あっせんができればなおいいのかなと。そういう意味で、今度、スピードを持って対応をしていく必要があると思います。

 中村先生に一点お尋ねしたいんですけれども、例えば、それこそ事故の問題なんですが、二〇〇六年の六月三日に港区で発生しましたシンドラーのエレベーターのことについてお尋ねします。

 四月二日の当委員会でも、国土交通大臣が、現段階で言える事故原因は、ブレーキライニングの摩耗により扉が開いたままかごが上昇する、いわゆる戸開走行であるというふうに説明をされました。対策として、建築基準法の政省令を一部改正し、ことしの九月から安全装置を付加することとした、建築確認申請時に修理マニュアルを添付させるようにした、また、ことしの二月には昇降機事故対策委員会というものを設置し、事故直後から立入調査ができるようにした、このような三つの対策をとったというふうにおっしゃっています。

 例えば、こういうものがスピード感につながったりするのか、今のこの対策というのが十分なのか、御意見をいただければというふうに思います。

中村参考人 私も、国交大臣あるいは国交省の方々のその答弁を聞いておりまして、まだ消費者目線が足りないなという感じを受けました。

 一つは、安全装置のブレーキを二重にするという改正をことしの九月からするとおっしゃっていますが、あれは、今後新築した建物あるいは新規に設置するエレベーターに関する対応でありまして、今既に日本全国で使われている七十万台のエレベーターをどうするのかというところが全く抜け落ちております。危ないのは、むしろ今走っているエレベーターなんですね。そういうところが抜けているので、そこをどうするかということも言わずに対策を講じましたと言うのはいかがなものかという感じを受けました。

 それと、建築基準法の政省令の一部改正で、建築確認時に修理マニュアルを添付させるようにした。

 これは、まさに今回の事故の大きなポイントでありまして、シンドラー社が、自分のつくった製品だから自分が修理マニュアルを持っているのは当たり前なんですが、自分の会社が修理、保守をやっていた時代には自社のことだからよくわかる。ところが、港区が入札制度で入札をかけたところ、他社が落札して、シンドラー以外の保守点検会社が保守点検を始めるようになった。しかし、そのときに修理マニュアルも引き継がなかったし、言ってみれば、意地悪をしているようなものなんですね。それから、今まで自分が修理した履歴あるいはふぐあいの状況、どういう修理をしたかという履歴も一切渡さず、さらの状態から次の方が保守点検に入る、こういう事態が発生したわけです。

 ですから、確かに、今まで引き継ぎがなかったから、建築基準法を改正して今後は修理マニュアルも申請時に出させる、そうすると、建築主がちゃんと持っているから、港区なら港区がどなたに保守点検をやらせてもそのマニュアルをちゃんとお見せできるようになるという工夫だろうと思うんですが、これもことしの九月からの施行でありまして、ことしの九月に新築された建物あるいは新設されたエレベーターから初めて適用して、現在走っている七十万台には全く適用されない。ここら辺も、よくこんな大変恐ろしいことで対策をやったなと思うわけであります。

 三点目に言われた、昇降機等事故対策委員会の設置によって事故後直ちに立入調査ができるということですが、これはまさに、先ほども言いましたけれども、警察や消防が独占していた証拠を、今度は国土交通省も関与できることになったというんですが、これも、私たち、事故調査というとやはり航空機とか鉄道を思い出しまして、運輸安全委員会のように、直ちに警察と一緒に事故の直後に、この間、羽田でもすぐ入りましたけれども、ああいう状態をイメージしておりましたら、この国土交通省の昇降機等事故対策委員会は、法律上の根拠がそもそもない。運輸安全委員会は、運輸安全委員会設置法という法律に基づき数々の権限が与えられています。ところが、そういうものがないんです。

 ここの位置づけは、国土交通大臣の諮問機関である社会資本整備審議会、その下に建築分科会というのがあるんですが、その中のさらに下に委員会や部会が数々ありまして、建築物等事故・災害対策部会というのがあり、さらにその下に今回の昇降機等事故対策委員会ができている。言ってみれば、地下四階にあるような、そういう審議会の下の下の組織でしかない。そういう法律上の根拠もないものとして位置づけられているので、鉄道や航空機のような期待は到底できないのではないかというふうに考えております。

 このエレベーター事故に関しましては、被害者の市川さんやそれを支援する赤とんぼの会というところが、まさに航空機並みの事故調査委員会を法律上の権限を持った独立した機関として設置してほしいということを要望しておられます。ぜひそういう形に今後仕上げていただきたいというふうに思います。

 それから、国交省が今、こういう事故情報についての収集制度を始めましたが、まだ全然公表されていません。ほとんど集まっていない。これも、仕組みとして、情報を持っている人から情報を上げるという法律上の義務化をしていない、任意に集めようとしてこのような事態になっているということ、ここも深く反省していただかなければいけないところだと思っております。

 以上でございます。

糸川委員 ありがとうございます。

 やはり情報を共有化して、今現存している七十万台の稼働しているエレベーター、こういうものをこれからどうしていくのか。それから、市川さんのお母様が、事故原因を究明して二度と同じ事故を起こさないということが私たちの使命だというふうにもおっしゃっていますから、やはり一度事故が起きてしまったもの、それをどう対策していくか、今あるものも含めてどう対策していくかということがこれから求められるのかな。

 そして、消費者庁をつくるということは、そういうことにつながらなければ意味がない。結局、一つ事例が起きたことを、どう対策を踏んでいくかということがしっかりと明確にされなければ、消費者庁もただ単に形だけになってしまう可能性もあるというふうに思っております。

 そういうことも踏まえまして齋藤参考人にお尋ねをしたいんですけれども、では今度は企業側から、経団連というお立場でも企業の法務担当としてでもいいんですが、消費者庁ができると、例えばいろいろな規制とか監視とか、プレッシャーがかかってくるということもあると思うんですけれども、自由にこれからまた営業活動を進め、消費者の立場に立って有益なことができればということで活動されると思うんですね。

 ただ、この消費者庁に対して何か懸念があれば、もうほとんど時間もございませんけれども、最後に、企業側に立った消費者庁に対する懸念、こういうふうにしてもらえたらもう少しいいのではないかなという点があれば、お答えいただければと思います。

齋藤参考人 最初に申し上げたとおりですが、窓口が二つになったような仕事の進め方は避けていただきたいと思います。窓口が二つになりますと、どうしても言うことも違ってきます。

 したがって、中で連携するのは大いに結構なんですが、見たときに一つの窓口になっているように機能していただくというのが私の望むところです。

糸川委員 齋藤参考人、今シンドラーの例を言いましたけれども、パナソニックの製品でも、例えば、これから消費者庁から、こう改善した方がいいのではないかとか、いろいろ一緒になって研究をして、改善した方がいいのではないかとか、そういうものがあったときというのは、やはり企業側は、努力義務なのかどうかわかりませんけれども、率先して情報を提供したりとかということは可能になってくるんでしょうか。それとも、先ほど参考人の方がおっしゃったように、隠すというんでしょうか、そういう体制に引き続きなってしまうのか。一般的に、企業としても、やはり情報を出していただかなければ消費者庁というのは機能しないと思うんですけれども、そのあたりは、消費者庁に対する企業の気持ちというのはどういうあれなのかなと。

 できることはいいことだというふうに皆さん思われると思うんですけれども、いざ、何か事柄が起きて、自分のところを調査されるとかということになると、どうしても、イメージダウンしないように囲ったりということになると思うんですけれども、そのあたりはどうでしょうか。

齋藤参考人 消費者庁ができるからということで大きく懸念するというような声は、各企業の消費者窓口の方々、それから法務の方々なんかと何回もディスカッションすることがあるんですけれども、その懸念は聞いたことがありませんね。今の御時世ですから、先ほどから申し上げていますように、隠そうとすると、隠そうとすること自体が今度は問われるということになりますので、それも皆さん意識しているということだと思います。

 ただ、どこまでも全部オープンかというと、境目がちょっとグレーがあると思うんですけれども、事故の現場にまつわるのは、皆、外から見てもわかることであると思いますが、その内側の開発状況とかということになると、本当の事故とは関係のないところと日常一緒に仕事をしているというようなところもあったりしますので、その辺は、範囲がある程度特定できて、こういう情報ということで合意できれば、そう隠すということにはならないんじゃないかなと思います。事故が重なった場合には、むしろ積極的に開示したいと思うケースもあると思います。

糸川委員 きょうは貴重な御意見、大変ありがとうございました。また今後の審議に役に立てたいというふうに思っております。

 どうもありがとうございました。終わります。

船田委員長 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。

 参考人各位には、御多用中のところ、まことにありがとうございました。委員会を代表して御礼申し上げます。(拍手)

 次回は、明八日水曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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