衆議院

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第5号 平成24年7月26日(木曜日)

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平成二十四年七月二十六日(木曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 阿久津幸彦君

   理事 井戸まさえ君 理事 櫛渕 万里君

   理事 樋口 俊一君 理事 和田 隆志君

   理事 竹本 直一君 理事 永岡 桂子君

   理事 相原 史乃君 理事 大口 善徳君

      磯谷香代子君    打越あかし君

      小原  舞君    緒方林太郎君

      勝又恒一郎君    川村秀三郎君

      工藤 仁美君    斉藤  進君

      玉木 朝子君    道休誠一郎君

      中屋 大介君    永江 孝子君

      仁木 博文君    野田 国義君

      福田衣里子君    藤田 憲彦君

      水野 智彦君    宮崎 岳志君

      森山 浩行君    矢崎 公二君

      和嶋 未希君    あべ 俊子君

      北村 茂男君    後藤田正純君

      野田 聖子君    福井  照君

      吉野 正芳君    加藤  学君

      川島智太郎君    小林 正枝君

      吉井 英勝君    吉泉 秀男君

      山内 康一君

    …………………………………

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            松原  仁君

   内閣府副大臣       後藤  斎君

   経済産業副大臣      牧野 聖修君

   経済産業副大臣      柳澤 光美君

   内閣府大臣政務官     郡  和子君

   経済産業大臣政務官    中根 康浩君

   経済産業大臣政務官    北神 圭朗君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  福永 哲郎君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            遠藤 俊英君

   政府参考人

   (消費者庁次長)     松田 敏明君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中西 宏典君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           後藤  収君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            新原 浩朗君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      糟谷 敏秀君

   参考人

   (東京電力株式会社代表執行役社長)        廣瀬 直己君

   衆議院調査局第三特別調査室長           仲川 勝裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月十八日

 辞任         補欠選任

  樋高  剛君     加藤  学君

同月二十日

 辞任         補欠選任

  青木  愛君     川島智太郎君

同月二十六日

 辞任         補欠選任

  川口  博君     川村秀三郎君

  斉藤  進君     小原  舞君

  山口 和之君     道休誠一郎君

  柴山 昌彦君     あべ 俊子君

同日

 辞任         補欠選任

  小原  舞君     斉藤  進君

  川村秀三郎君     打越あかし君

  道休誠一郎君     水野 智彦君

  あべ 俊子君     柴山 昌彦君

同日

 辞任         補欠選任

  打越あかし君     矢崎 公二君

  水野 智彦君     勝又恒一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  勝又恒一郎君     山口 和之君

  矢崎 公二君     川口  博君

    ―――――――――――――

七月二十五日

 消費者安全法の一部を改正する法律案(内閣提出第三四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 消費者安全法の一部を改正する法律案(内閣提出第三四号)

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件(東京電力の家庭用電気料金値上げ問題)


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     ――――◇―――――

阿久津委員長 これより会議を開きます。

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件、特に東京電力の家庭用電気料金値上げ問題について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として東京電力株式会社代表執行役社長廣瀬直己君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣参事官福永哲郎君、金融庁総務企画局審議官遠藤俊英君、消費者庁次長松田敏明君、経済産業省大臣官房審議官中西宏典君、経済産業省大臣官房審議官後藤収君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長新原浩朗君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長糟谷敏秀君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

阿久津委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

阿久津委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森山浩行君。

森山(浩)委員 おはようございます。民主党の森山浩行でございます。

 ちょうど、きのう、経産省におきまして東京電力の料金値上げ八・四六%が認可をされました。当初一〇・二八%の申請を各所で審査し、東京電力より再申請をされたというものですけれども、この過程で、まず、消費者の意見はどのように反映をさせられたでしょうか。

松原国務大臣 御答弁を申し上げます。

 消費者庁では、今般の料金値上げ申請については、検討チームを初めさまざまなチャネルを通して、消費者の意見を踏まえ、消費者目線で検討を行ってまいりました。

 具体的には、六月十五日から七月十七日にかけ計五回、構成員の半分以上が消費者団体、約七団体の委員で構成され、さらに、そこに学者、公認会計士など専門家も加わった検討チームを開催し、検討を重ねてまいりました。また、七月十三日には消費者との意見交換会も開催し、広く一般から御意見を伺ったところであります。

 これらを踏まえ、経済産業省から協議があった査定方針案について、消費者目線から妥当なものとなっているか等、検討チームによって作成したチェックポイントを活用し、評価を行い、消費者庁としての意見を提出したところであります。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 消費者庁としては目線を入れられたということなんですが、経産省さんがチェックポイントをつくるに当たって、電気料金の適正性について、五月から六月にかけて「国民の声」という形で意見募集をされているということなんですが、二千三百三十六件の意見が寄せられたということです。どのような内容、状況でありましょうか。

糟谷政府参考人 「国民の声」でございますが、五月十一日から六月二十九日まで募集をいたしまして、先生御指摘のように二千三百三十六件の御意見をいただきました。

 一通当たり複数の御意見もありますけれども、それを大きく分けますと、人件費に関する意見が千二百一件ということで、過半数でございました。その次に、法的整理、それから経営合理化、経営責任に関する意見が七百三十一件などとなっております。

 ちなみに、人件費に関する主な内容は、賞与、ボーナスを支給すべきではないとするものが六百三十一件、給与水準を引き下げるべきとするものが五百四十二件等であります。

森山(浩)委員 それでは、特に意見が多かった、過半数ということですけれども、人件費についてはどのような基準で査定をされたんでしょうか。

糟谷政府参考人 人件費につきましては、まず、経済産業省で電気料金の審査専門委員会というのを設置いたしまして、ここで有識者の先生方に委員になっていただいて、合計十回にわたって、全てオープンな形で議論をいただきました。

 この委員会で査定方針案、たたき台をまとめていただいたわけですが、人件費につきましては、常用労働者千人以上の企業の平均値を基本とするといった審査要領の基準に照らして判断すべきだということでございました。

 その後、消費者庁との協議の中で、電力の安定供給とか、賠償の迅速かつ適切な実施の確保に支障を来さないということを前提に、消費者目線、それから、ほかの公的資金投入企業の事例を踏まえて徹底的に経営合理化を図るという観点から、さらに深掘りをいたしました。

 具体的には、人件費について、管理職の年収を震災前と比べて三割超引き下げる。その結果、三年間の全社員の平均年収で見ても、近年の公的資金投入企業は最大が二三・六二%の削減でございましたが、これを上回る削減率二三・六八%ということになるわけでございます。

 それから、福利厚生費につきましても、健康保険料の企業負担割合、これは、申請では六〇%ということで出てまいりましたが、法定負担割合である五〇%にするということ。それから、一般福利厚生の中のカフェテリアプラン、ここにおける余暇、レジャーメニューの執行を停止する。

 そういったことを追加的に議論した上で、最終的に政府として決定をし、昨日認可に至ったということでございます。

森山(浩)委員 管理職給与については、JAL、りそなよりも深掘りをしている、あるいは厚生費、これは、五〇%というのは法律で定められた下限だということでございますけれども、こういう具体的な指摘をされた上で、東京電力さん、最初一〇・二八%で申請をされています。この理由と、八・四六%を受け入れることができた理由についてお答えいただけますか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 このたび、電気料金を値上げさせていただく申請をいたしました。一〇・二八%ということでございますが、これは、御存じのように、原子力発電所が全てとまっておりまして、それを火力発電所で代替して発電をしているということで、その燃料費が圧倒的な部分を占めております。それを、私ども可能な限りコストダウンを反映し、その上で一〇・二八%というのをお願いしたところでございますけれども、その中では、先ほどもございましたように、人件費のカットを九百十一億円、既に織り込んで申請をさせていただきました。

 この段階で、私どもとしては、今、損害賠償についても、それから原子力発電所、福島での安定化対策につきましても、社員が本当に頑張っております。そうした高い使命感であるとかモチベーションを維持するために、これはぎりぎりの線だなということでお願いした次第でございます。経済情勢が厳しい中でこうしたお願いを差し上げること自身、大変心苦しいところではございますけれども、お客様にぜひ御理解いただくべくというふうに考えまして申請をさせていただきました。

 その後、いろいろ、審査委員会であるとか消費者委員会であるとか公聴会であるとかの議論を経て査定をいただき、きのう認可をいただきましたけれども、八・四六%という大変厳しい査定になったというふうに正直なところ受けとめております。

 この中では、特に人件費が、先ほど電気・ガス部長からもお話ありましたように、二三・六八%の、これまでに資本注入を受けた会社よりもさらに踏み込んだ査定、人件費のカットとなっておりますので、本当に厳しいものだというふうに受けとめておりますけれども、とにかく今現在は、認可をいただいた料金のもとでしっかり社員のモチベーションを維持して、高い使命感をこれまで以上に維持していくというのが経営にとっての最大の課題だというふうに思っておりますので、これをしっかり受けとめまして、このいただいた電気料金のもとでお客様サービスに最大限努めていくのが、今、私どもの使命だというふうに思っております。

 以上でございます。

森山(浩)委員 全ての責任をとって、それで会社を潰してしまったらいいとか、あるいは電気がとまってしまってもいいという話にはなりませんので、しっかりと仕事はしていただく、そのラインでお願いをしたいと思います。

 これは、指摘をされた部分ではなくて、最初の申請から変わっていない部分でありますけれども、広告費があります。マイナス八八%となっています。地域独占なのに広告費は要るのか、いかがなものかという指摘もあったところでありますけれども、残りの一二%という広告費、これは何に使われるのでしょうか。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 この一二%に相当する部分でございますけれども、これは、東京電力として、電気事業を営む上でお客様にどうしてもお知らせしなければいけないいろいろな情報がございます。引っ越しする際の手続の件であるとか、あるいは、今回のように電気料金の値上げをお願いする場合には、その御説明等々で相当な書類やインターネット等のメディアを使う必要がございますので、その分、必要最低限のものというふうにお考えいただきたいと思います。

 以上でございます。

森山(浩)委員 節電の呼びかけなんかは、これでされたりしませんか。

廣瀬参考人 申しわけございません。もちろん、節電の呼びかけもやらせていただいております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 しっかりとこれをやっていただくという中で、今回、家庭用に使用する電力料金、規制分といいますけれども、これと企業用の自由化分の値上げ幅に違いが出ているかと思います。この理由についてお答えください。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、規制部門、いわゆる家庭用の部門ですけれども、この値上げ率は、きのう認可いただいた八・四六%でございます。同じく、私ども、自由化のお客様にも値上げをお願いしておりますが、この値上げ率は一四・九%でございます。

 値上げ幅で申しますと、家庭用の方は一円九十七銭、一キロワットアワーお使いになる部分について値上げをさせていただきます。一方、大口のお客様、自由化部門のお客様は二円二十四銭となっております。これは、燃料費が今回の値上げの最大の原因でございますので、それを反映したということで、一円九十七銭と二円二十四銭ということですので、余り大きな違いはございません。

 ただ、御存じのように、電気料金は燃料費の部分が約半分ぐらいで、それから人件費等々が残り入っておりますので、どうしても、私ども、今の段階で、人件費であるとか修繕費であるとか、そうした削れるものを一生懸命削ってコストダウンに努めております。ところが、一方、家庭用の部分は発電所から御家庭までいろいろな設備やいろいろな人手を介しますので、そうした部分でコストダウンを今相当一生懸命やっておりますので、その部分がどうしても家庭用の方に大きくきいてしまうということで、この二十数銭の差が出てきているということでございます。

 一方で、値上げ率の方は、もとより自由化部門のたくさん電気をお使いになる工場とかビルの方がもともとの値段がお安く設定してございますので、同じぐらいの値上げ幅を上げさせていただきますと率としてはどうしても高くなるということで、一四・九%とそれから八・四六%の差が出てきてしまっているということでございます。

森山(浩)委員 設備を利用する、その設備の量が多いか少ないかということで燃料代の部分が大きくきいてくるということなんですが、半分が燃料代ということです。

 これは経済産業省さんですか、燃料代の引き下げの努力、これは、東電さんにやっていただく、あるいはそれぞれの企業でやっていただくというほかにも、例えば国全体で値下げの交渉に行くとか、ほかの外国ではやっているような話ですけれども、そのような形で燃料代を安くする、ほかから買ってくるときに交渉していくというような努力というのは可能でしょうか。

糟谷政府参考人 燃料代が今回の値上げの非常に大きな要因を占めておるわけですが、この燃料代、特に天然ガスにつきましては、原油価格とリンクをしておるということがコストがかさんでおる一つの大きな理由でございます。

 もちろん、燃料を調達する契約というのは、五年から十年、場合によってはもう少し長い長期契約でありますので、直ちに引き下げるということができる性格のものではないわけでありますが、具体的に考えられますのは、原油価格リンクではない値決めの方式の天然ガスを調達できるようにする。具体的には、北米のシェールガスを調達することによってより価格を下げていく、そんなことが考えられるのではないかと考えております。

 電力会社、ガス会社を含め、民間セクターでもいろいろ取り組んでおりますけれども、経済産業省としましても、シェールガス等の資源の安定的な確保のために、資源外交でありますとか、それから、JOGMEC等によるリスクマネーの供給といった支援を通じて我が国企業による北米のシェールガス開発を支援するなど、燃料調達コストの低減に向けて取り組みを行ってまいりたいと考えております。

森山(浩)委員 私はカタールとの議員連盟の事務局長をしていまして、量については相談に乗るよというのは常におっしゃっていますけれども、値段についてはなかなかというところで、今シェールガスをおっしゃいましたけれども、例えば南太平洋の方でほかにガスが出るよとか、あるいは、今回、二百海里水域、経済水域が広がっていますので、海底におけるメタンハイドレートの問題であるとか、いろいろなもの、たくさんの選択肢の中から選んでいくんだというようなことも含めて値段交渉、また、政治、政務を含めてやっていっていただくというようなことでお願いをしたいと思います。

 また、このタイミングなんですけれども、七月から再生エネルギーの買い取り制度がスタートをしています。さらに値上げ、負担になっているわけですけれども、この負担の決め方はどのようになっておりますでしょうか。

新原政府参考人 お答え申し上げます。

 再生可能エネルギー特別措置法は、再生可能エネルギー発電事業者からの調達価格、調達期間について、通常要すると認められる費用を基礎として、毎年度、当該年度の開始前に定めるように求めております。今般定めたものは、したがいまして、ことし七月一日から来年三月末までに参入される方の価格でありまして、来年四月以降に参入される方の価格については、費用を見直してまた新たに定めるということになります。

 さらに、定めるに当たりましては、国会の同意人事を得た委員で構成される調達価格等算定委員会の意見を尊重するように法定されておりまして、今般、これを尊重して価格を決めさせていただいたところでございます。

 賦課金についてですが、その上で、それをベースにして形式的に計算して定めることになっておりまして、具体的には、まず、定まった調達価格に基づきまして、当該年度における再生可能エネルギーの買い取り見込み額、二千五百億円とことしは出ておりますが、これを算出して、そこから、電気事業者が再生可能エネルギーの調達に伴って発電を取りやめて支出を免れた費用、これが一千二百億円ございますが、これを引いた上で、法施行後、当該年度において電気事業者が供給すると見込まれる電気の量、これが六千億キロワットアワーでございますが、これで除して算出をいたしております。

 その結果として、今年度の賦課金の一キロワット時当たりの額については〇・二二円となっておりまして、先ほど申し上げましたように、ここは毎年見直してまいりますので、今年度、実際、設備の設置に幾ら要したかというのは事後的に経産省に報告させることを義務化しまして、その情報をもとに来年度参入の方の調達価格の見直しに反映していくようなことで、賦課金の負担が過重なものにならないように運用していきたいと思っております。

森山(浩)委員 これはちょっと消費者問題を超えてしまいますけれども、この買い取り制度、事故の前に決めてきた話です。大きく変わった。それは、原子力が四五%というのを前提として、CO2マイナス二五%ということでスタートしたわけですけれども、これを変えていくという中で、やはり、CO2マイナス二五%が所与のものとしてある中で議論が進んでいるということには危機感を私も覚えております。

 ですので、世界の地球温暖化問題には貢献をする、技術を移転していくことなども含めてしっかり発信をしていかなきゃいけませんが、今、本当にことしから来年にかけてさらにこれをやっていくのかということは議論が必要だなと思っております。

 さらに、昨年成立をしました原子力損害賠償支援機構法の附帯決議の四番、ここで、賠償に関しては国民の負担を最小化することとあります。福島の原子力発電所については、どこまで今回の料金負担の中に入っておりますでしょうか。

糟谷政府参考人 まず事故処理の費用、それから賠償の費用、二つに分けて御説明したいと思います。

 まず事故処理の費用でありますが、事故の処理のために瓦れきの処理ですとか投資をするもの、これは特別損失ということで処理をされておりまして、原価には入っておりません。他方で、安定状態に移行した後、たまっております水の処理ですとか、それから防護服のような消耗品の費用、こういう安定状態の維持に係るランニングコストについては、料金原価に含めております。

 続きまして賠償でありますが、賠償金そのものにつきましては、これは、交付国債を通じて、原子力損害賠償支援機構を通じて国が資金を供与しますので、原価には含まれておりません。他方で、賠償の支払いに当たる人件費でありますとか委託費、これを原価の中に含めている。

 大ざっぱに言うとそういう考え方でございます。

森山(浩)委員 料金に含まれるということは、東京電力管内で東京電力の電気を使っている人たちが使用するということです。税金を使うということは、東京電力管内以外の人たちのお金を使うということになります。十社体制です。今、この十社の体制の中で電力をやっていくというところで、本当にこの中でおさまっていかないというような部分がありますが……

阿久津委員長 時間になりましたので、簡潔にお願いいたします。

森山(浩)委員 はい、済みません。

 今回のシステムをどうしていくかということがありますが、大臣、先ほど手続の話をしていただきましたが、今回しっかり消費者の意見を反映されたか、また、安定供給と料金のバランスを考えると、もちろんこれで終わりとはなりませんけれども、今後の決意について、最後、一言お願いをいたします。

松原国務大臣 消費者の意見を全て反映させることはできなかったわけでありますが、今回の査定のプロセスにおいて粘り強く議論、調整を行い、さらなる合理化による値上げ幅の圧縮、継続的なフォローアップ審査について、レートメークに関する検証を行うべく、一キロワットアワー当たりの原価構成、人件費等諸費用等を含む適切な情報開示のあり方の検討及び実施、今後の消費者参画の拡大など、消費者目線が一定程度適切に反映されたと考えております。

 以上であります。

森山(浩)委員 ありがとうございました。

阿久津委員長 次に、竹本直一君。

竹本委員 自民党の竹本直一です。

 きょうは二十六日ですが、消費者特として、東電の料金問題を審議する委員会を開きました。しかしながら、事前の理事懇でも、野党の皆さんから意見が多数出ました。私は野党の筆頭理事をやっております。その責任上、どういういきさつでこういうことになったのか、これをまずただしたいと思っております。

 我々の経験というか記録からいいますと、先般、我々自民党の十人近くの国会議員が松原大臣を訪れまして、東電の料金問題は非常に重要だ、しっかり担当大臣として頑張れと。わかりました、わかっていますと。野田聖子元関係大臣が、閣僚の中においても相手の閣僚と衝突するぐらいのことがなきゃいけない、私は当時の農林大臣を首にしました、こういう話まで言って、我々は、しっかり頑張ってくれるものだと十八日の日には思っておったんです。消費者庁に大臣を訪ねたんです。

 ところが、その翌日、両大臣、経産大臣とで合意をし、二十日には関係閣僚会議の了承まで得ている。何という手早さか。何のために我々が行ったのか。あほらしくてやっていられない。

 本当に笑い事じゃないんですよ。余りにも我々国会の委員会ということを、今の政府・民主党、大臣一人が悪いわけじゃない。なぜならば、この東電問題は非常に重要な国民生活にかかわることであり、どうするのかという関心もあり、ぜひ国民の代表である国会できっちり議論する場をつくらなきゃいけないということで、私は野党の筆頭理事として、与党筆頭理事の和田さんに、必ず認可をする前に委員会をやれと。彼も、やりますと言っておったんです。ところが、実際このざまは一体どうしたのか。

 まず、松原大臣、何でこんなことになったのか。そして、わかりました、頑張りますと言って、翌日ちゃんと合意をしている、一体これは何なのか。あなたらしくないね。拉致問題担当大臣として、あなたは本当の担当、私はシャドーの大臣だけれども、一緒にやっておりますよね。その真摯な姿から見て、役所のペースに完全にはめられている。もっと自分のリーダーシップを発揮しなさいよ。どうしてこういうことになったか、まず釈明してください。

松原国務大臣 七月十八日に、先生初め自民党消費者問題調査会の方々にお越しいただきまして、東京電力株式会社による電気料金値上げに関する御要請をいただきました。極めてその内容も受けとめさせていただいて、今回は、経済産業大臣とも協議をしたところであります。

 今回の認可申請のタイミングに関して、経済産業省といいますか、全体の枠組みの中でいきますと、総合特別事業計画に基づき、金融機関の責任の一環として追加融資を行わせることとしておる中で、早急に金融機関に意思決定させるためには、東電から料金認可後の正式な収支計画を速やかに提示する必要があるということが一番肝でありました。

 先週、七月二十日の物価問題関係閣僚会議において査定方針が了承され、それを踏まえて修正された東電の申請によって実質的な審査は終了していたということでありますが、率直に申し上げて、今申し上げたように、早急に金融機関に意思決定をさせるということが極めて重要であるという認識は、電気の安定供給という観点からは排除できなかったというところでありまして、私としては、その中で、消費者の目線が反映されるべく、かなりぎりぎりの折衝をしたつもりでありますが、先生からごらんになってまだまだ不十分であったというところに関しては、今後そういったことがないように、きちっとさらなる対応をしていきたいというふうに思っております。

竹本委員 民間の銀行に融資をしてもらうわけですけれども、やはりそこは話し合いで、ちょっと国会の都合があり、一週間待ってくれないかというぐらいの話がどうしてできなかったんだろうか。

 それで、実は、きょうのこの委員会をセットするのに、事前に理事懇を開きました。その場で、私以外の公明党の先生からも、こんなのやったって意味がないじゃないかと。委員会でいろいろさんざん議論を三時間やって、違うことがあって、それで認可の中身が変わるのかといったら変わらないわけですよ。では何だ、気休めじゃないか、こういうことになるわけですよ。

 そして、そのとき、では何でそれを了承したのかというと、これはまた担当の与党の筆頭理事もつらかったと思いますが、こういう説明ですよ。

 まず、二十五日の認可がどうしても必要だ。それには、銀行融資団五十行からの借りかえをしてもらわなきゃいけない。そのためには手続に二日間かかる。それで、きょう、二十六日に収支計画表を提出して、二十七日金曜日そして三十日月曜日、この二日間で審査をして、銀行の審査ですよ、そして、三十日に認可を前提に決裁、三十一日に実行する、こういう話だということであります。

 加えて、社長がおられるけれども、七月三十日は社債の償還一千億がある。金がないから払えない。だから、どうしてもこれが必要だと。

 そうすると、我々としては、国会軽視はまかりならぬとはいうものの、それで東電が債務不履行になっちゃ困る、なら仕方ないな、それじゃ、認可の済んだ後で、気休めの委員会にはなるけれどもやりますかという話で、優しい私だからやったんだけれどもね。

 松原大臣、銀行の融資団に、こういう事情があって、国会で、国民の前できっちり議論をして、それから融資をお願いしたい、何とかお願いするというぐらいのことがどうして言えなかったんだろうか。もう一回お答えください。

松原国務大臣 今回の仕組みの中では、我々消費者庁の立ち位置は、直接東電と議論するのではなく、我々はあくまでも経済産業省との間の議論をするという立ち位置になっておりまして、東電から先の部分の、今先生おっしゃる部分に関しては、私の立場としては発言できないというのが実態でありました。

 そうした中で、今回、こういった委員会は私は非常に重要だと思っておりまして、もちろん数字の話は数字の話、認可というものはありますが、同時に、フォローアップ体制で先ほどレートメークの話等も申し上げましたし、また、その他の、いわゆる規制部門と自由化部門に関するさまざまな扱いに関しても、いわゆる料金認可申請命令等を出すような仕組みを別のところで構築をしておりまして、こういった事柄の確認をきょうこの場でしていただくということは、消費者目線から考えて極めて意味があるというふうに認識をしております。

竹本委員 役所の方としては、例えば経産省は、料金値上げに関しては料金審査専門委員会を開いて、そして対外的には公聴会を開き、または国民の声を聞くという場を開いて、全部一連の手続は終わっているんですよ。今まで、昔だったらこれで全部オーケーだった。だって、外の意見も聞きながら法に従ってきちっとやっているわけです。しかも、法律では、国会の委員会での質疑が前提だなんということは何にも書いていないから、それはそれでいいんですよ。役所はそれでいいんだ。

 だけれども、今の世の中、国民の代表として国会議員を出しておって、しかも、特別に消費者問題の委員会をつくっているわけですよ。そこを、一番重要な料金問題について何ら質疑もさせないで認可を与えてしまう、そんな軽々しく国会を考えちゃいかぬですよ。

 私は、あなた一人が悪いと言っているわけじゃない。民主党政権は、今の国家機能の本質についての、仕組みについての理解が極めて不足していますよ。だからこんなことをやるんですよ。

 ちゃんと、きちっと国会の了解を得て、それをもって国民から理解を得られたという格好にして、そして認可をするというのは当然ですよ。そうしたら役所もやりやすいわけですよ。私も役所の機構の中にいた人間だけれども、どうしてそんな簡単なイロハのイがわからないのかと、本当に腹立たしくて仕方ない。しかも、そこに私が嫌いでないあなたがいたということは非常に、もっと努力しなきゃいけない。友人として忠告しますよ。

 それで、次に、きょうは東京電力の社長、御苦労さんでございます。

 私は、今回一〇・数%の料金値上げを申請した、それが、いろいろな協議の結果、八・四七%の値上げに落ちついた。どこが削られたかというのは先ほどの森山先生のお話でも出ておりましたけれども、これは、やむを得ないとして了承されたのか、これではやりたいことが全部できない、再度の値上げも申請しなきゃいけない、こういう気持ちがあるのか、正直なところをまずお答えいただきたいと思います。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 八・四六%、我々の申請、お願いは一〇・二八%でございましたが、この一・八二%の査定というのは、正直申し上げまして大変厳しいというふうに思っております。先ほどもございましたが、人件費カットは大変厳しく、そうした中でどうやって社員を引っ張っていくかというのは本当に難しいところだと思っております。

 とは申しましても、お客様にそれだけの御負担をお願いするということがございますので、今回認可いただきましたこの八・四六%という値上げ幅でしっかり経営をやっていくということでございまして、ゆめゆめまた値上げをというようなことがないようにしっかりやっていきたいというふうに思っております。

竹本委員 ちょっと確認します。

 これで、約束したことはきちっと実行できますか。ちょっとお答えいただきたいと思います。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 しっかりそれをやっていかなければいけないというふうに考えております。

竹本委員 今回の値上げで、燃料代が半分以上を占めるということですけれども、原発の補償は含まれていないと先ほどのところでありました。

 除染はどうなのか、瓦れき処理費用なんかはどうなのか、この料金値上げの中に入っているのか、お答えいただきたいと思います。

廣瀬参考人 除染費用であるとか瓦れき処理の費用であるとかというのは、一切入ってございません。

竹本委員 人件費を大幅に切り詰めた、九百億円以上だという話ですけれども、この人件費というのは東電本社の人件費なのか、それ以外に、関連会社四百社あると聞いておりますが、その関連会社についても賃金の引き下げを実行しているのかどうか、そこをお答えください。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 先ほどの数字は、東京電力の社員の数字でございます。人件費、九百十一億で申請をして、さらに百億の査定をいただきましたので千十一億ぐらいになっておりますけれども、これは東京電力の社員だけでございます。

 一方で、いわゆる子会社、関連会社、東京電力には百十九社ございましたが、その後、四十五社を売却し、九社を清算しておりまして、五十九社になりますけれども、この会社の人件費につきましても、私ども、取引等々を通じてコストダウンを今厳しくやっておりまして、当然、子会社、関連会社に対する人件費についてもしっかり指導していきたいと思いますし、当然彼らも、本体の我々がこれだけ今回人件費を削ることになっておりますので、それに倣ってしっかりやっていただくものと思っております。

 以上でございます。

竹本委員 社長、関連会社と言われますが、百十九社からさらに減らしたということで、雑誌等によると四百社と書いていましたのでそう申し上げただけですが、関連会社の定義はどういうことなんですか。

 五割以上の資本金を持っておって、ガバナンスが届く範囲が関連会社なのか、あるいは、たとえ一〇%でも株を持っているのも含まれているのか、そこをちょっとお答えいただきたいと思います。

廣瀬参考人 いわゆる子会社と私ども呼ばせていただいているのは、株式を五〇%以上私どもが所有している会社でございます。

 関連会社というのは二〇%以上でございますので、二〇%から五〇%までの保有率の会社を関連会社と呼ばせていただいております。

竹本委員 それ以下の出資比率のところは何社ぐらいありますか。二〇%以下。

廣瀬参考人 申しわけございません。今、即答できません。申しわけございません。

竹本委員 それは後日お知らせいただきたいと思います。それで結構ですが、結局、関連会社についても東京電力本体と同じような対応を国民はしてほしいと望んでいるんだと思いますが、この点についてはどうお考えですか。

廣瀬参考人 おっしゃるとおり、お客様にこれだけの電気料金の値上げを御理解いただくために、関連会社、子会社も含めて、いわゆる東京電力グループとして、しっかりコストダウンに努めていかなければいけないと思っています。

竹本委員 コストダウンは当然ですが、私が申し上げたいのは、関連会社の人たちも東京電力本社の職員と同じような待遇というか、そういうことで対応して初めて、対応としては立派というか、当然だというような声が非常に強いんですよ。そういう声に対して、関連会社への対応はどうされますかというのが私の質問です。お答えください。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 関連会社、子会社の人件費につきましても、しっかり指導していきたいというふうに思っております。

竹本委員 江戸時代の末期に、和歌山県で稲むらの火という言葉で語られる事件がございました。

 これは、当時、和歌山県の村長さんだった浜口さんという人が、大地震が来て津波が押し寄せてくることがはっきりわかった。ところが、村民は知らない。そこで、自分の稲むらに火をつけて、山の上に大火事があったと見て村人が全部山へ駆け上がってきた、そこで人命が救われたという有名なエピソードがあるんです。

 これは、お金持ちの村長さんが自分の財産を処分して失うんだけれども、それでも人の命を救いたい、こういうことでやられた行為で、非常に褒められているんですね。だから、企業の本当にチャンピオン級である東電は、そういうことをされた方が、やはりさすが東電だなということで、私はその方がいいんじゃないかと前々から思っております。

 結局、物を売り買いしてもうけているだけの零細な企業とは東京電力は全然違います。公的な関与があり、そして国民に対しても責任を持っている企業だと私は思います。

 ガルブレイスが昔、新産業国家論というのを書きましたけれども、あれは、大企業はそれなりに、国家について、社会を発展させる責任を持っているという議論なんですね。私はそういう説の信奉者なんですけれども、当然、チャンピオン級である東電もそういう責任はあるはずだし、自覚もしていると思いますよ。ならば、それなりの対応はやはりあるべきだと思うんですよ。

 今回の問題が起こったとき、大事故で、損害賠償がいっぱいあるんですね。そうすると、資産を全部処理しても払い切れない。だから、普通なら倒産だ、債務整理だ、こういうようなことで、自民党でも半分以上そうだったんですよ、ほとんど。だけれども、私は、公的な役割を果たしている企業だから、そうすると公的役割を誰が果たすのか、また新たな担い手を探さなきゃいけない、これは大変なことになる、だから東電は存続させるべきだというのが私の考えでした。なぜかというと、社会的責任を持っているからなんですよ。

 それにしては、十三兆円もの資産をいまだに持っておって、どこかの、東京都の副知事だったかな、誰かが雑誌に書いていましたけれども、六本木の裏に保養寮があるとか、何か保有施設があるとか書いていました。そんなものはこの際きちっと整理をして、ここまで身を細めて頑張りました、しかし自分の力では足らないから国からも応援をいただきました、それで迷惑をかけた皆さん方にきっちりと償いをさせてもらいますと言って初めて、東電は将来また、さすが、あのときの対応は立派だったなと歴史的に褒められることになると思うんですよ。その基本のところをけちるから、国民がいろいろなことを言い出すんだというふうに私は思っております。

 ですから、もう一度、企業の、東京電力の存在感、ましてや、東京電力一つが一株式会社として問題を起こしているわけじゃない。その対応は、ほかの電力会社も皆同じ対応を迫られると思うんですよ。

 そういう意味においても、私は、国民の生活を守る、そして継続してもらわなきゃいけない。東京電力、まあ関西電力、皆そうですけれども、日本は停電の回数はほとんどありませんね、国際的に見ても。それは立派なものですよ。新幹線なんか全然時刻どおりに行く。こんなものは世界じゅうにないんです。それも立派なものですよ。その立派なものを守る責任が公的企業としてあるからこそ、今回、国民の税金で一兆円の出資をするんじゃないですか。

 そういうことを考えますと、やはり立ち居振る舞いを、もっと紳士であり、ナイト的でなきゃいけないなと私は思っておりますが、御所見をお聞きいたしたいと思います。

阿久津委員長 廣瀬社長、簡潔に御答弁をお願いいたします。

廣瀬参考人 先生おっしゃるとおり、おっしゃったことを肝に銘じて、これからもしっかり社会的責任を果たしつつ、賠償をしっかりやり、安定化をしっかりやり、その上で、電気を安定的にお届けするというのをしっかりやっていきたいというふうに思っております。

竹本委員 結構です。私はこれで終わりますが、どうぞ精いっぱい頑張っていただきまして、後世にその名が残るような活躍をしていただければ、国民のためには有意義なことになるのではないかと思います。

 終わります。

阿久津委員長 次に、あべ俊子君。

あべ委員 自由民主党、あべ俊子でございます。

 本日は、特に家庭用の電気料金の値上げに関して質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 消費者庁から出たペーパーが私の手元にございまして、七月二十四日のものでございますが、この七月二十四日のいただきましたペーパーの中に、特に、人件費の部分、調達の部分、さまざまございますが、今回の電気料金の値上げに関して、減価償却費、安定化維持費用、賠償対応費用について料金改定原価に算入する、これによって、賠償、原子炉の廃止措置、電気の安定供給同時達成に支障が生じないようにするべきという説明が経済産業大臣より行われたということでございます。

 松原大臣、経済産業大臣は電気料金は上げないということをおっしゃっていた記憶はございませんか。

松原国務大臣 電気料金を上げないということを経済産業大臣がおっしゃっていたという記憶は、今、ありません。

あべ委員 実は何度もおっしゃっておりました。

 そうした中にあって、今回、電気料金の値上げ。東京の住民は、やはり福島の被災地の方々を考えたときにこれはある程度やむなしと考えている方もいらっしゃいます。しかしながら、東京電力の管轄下にある茨城県、これは特に、被災地でありながら電気料金も上がっていくということに、なかなか複雑な思いをしていらっしゃる方もたくさんいらっしゃるわけであります。

 そうした中にあって、今回、見直しをする前に、私は、電気料金そのものに対してやはりもう少し見直しをすることによって電気料金を上げないで済んだのではないかというふうに思いますが、松原大臣、そういう思いは全くございませんでしたか。

松原国務大臣 委員の御指摘は、今すぐの部分の議論と長期的な部分の議論があると思っておりまして、現状においては、先ほど竹本委員の御質問にお答えしたように、この段階におけるさまざまな東京電力に対する金融団の意向等も含めると、今のこのぎりぎりの選択があったのだろうと思っております。

 既に申し上げたように、例えば、今後は継続的なフォローアップを行って、レートメークに関する検証を行い、一キロワットアワー当たりの原価構成、人件費等の諸費用等を含む適切な情報開示、これは今までなされておりませんでした、この情報開示を通し、実際に、むやみに利益が出ているかどうかも判断しながら、そういったことをし、今後の消費者参画の拡大をするということで、今後においてはさまざまなことができる方向性が今回の議論の中で実現したというふうに認識をいたしております。

あべ委員 消費者の立場に立たなければいけない大臣でございますから、そこはしっかりと御自覚をいただきたい。

 きょうは柳澤経済産業副大臣にいらしていただいておりますが、電気料金の値上げに関して経済産業大臣が言及したことはあったでしょうか、なかったでしょうか。電気料金を上げないということを、あったかどうか、記憶をしているかどうか、教えてください。

柳澤副大臣 お答えします。

 私は記憶にございません。

あべ委員 非常に記憶力がよろしいのかどうか、私はよくわかりませんが、電気料金は上げないという発言が何回もあったということは事実でございます。

 そうした中にあって、総括原価方式、私、特に、委員会の中で、その総括原価方式に関しての見直しを早くしてほしいということは申し上げました。経済産業の方から副大臣が出ていらっしゃいまして、特に、先年度中、すなわち三月末までにそれをやっていきたいということを言われたと思いますが、何でこんなにおくれおくれになっているのか、教えていただきたい。撤廃をするということが今回の中に出ておりますが、その撤廃に関していつまでにできるのか、教えていただきたいと思います。

柳澤副大臣 私は原子力災害の現地本部長で、きょうの午後も入りますので、こちらの会議にはなかなか出られなかったんですが、一つは、見直しに伴う電力システム改革については、総合資源エネルギー調査会に設置した電力システム改革の専門委員会において、消費者代表の委員にも入っていただき、プレスの方も入っていた公開の場で、毎回百名以上の方々に傍聴いただいて、八回にわたって精力的に検討を進めてきました。

 三月十三日に取りまとめた電力システム改革の基本方針では、小売全面自由化を実施し、競争の進展に応じ、一般電気事業者の供給義務や料金規制、いわゆる総括原価方式を撤廃するということが決められました。

 今後、自由化によって、競争の中でさまざまな事業者による多様な料金メニューが提供されることを期待しておりますが、消費者の利便が損なわれることのないよう、最終保障サービスなど自由化の代償措置の制度設計について、引き続き、公開の委員会において年内をめどに詳細の設計をしようというふうに思っております。

あべ委員 そういう点におきまして、総括原価方式の撤廃、私のところにもございますが、電力システム改革の基本方針概要のところにも出ておりますが、今、副大臣がそのままペーパーをお読みになったとおりでございます。

 そうしますと、総括原価方式に関しまして撤廃をしたときに、その選択肢として、インセンティブ型の規制の部分に料金体系を変えていくということでよろしいんでしょうか。

柳澤副大臣 済みません。先ほど、七月十三日を三月十三日と言い間違えてしまいまして、訂正をさせてください。

 そのことも含めて、年内に、具体的な議論、制度設計を検討させていただきたいというふうに思っております。

あべ委員 その総括原価方式に関しましては、支出の認められる費用項目であれば非効率の支出も認められるという、費用削減をするインセンティブが全くないということが大きな問題でありました。

 しかしながら、効率のいい経営をしていくというインセンティブを与えることは、それだけではなくて、やはり効率性の間接的なベンチマークも入れていかなければ、本当に効率性を追求してきたのかどうかが全くわからないというふうに言われている方式でございますが、副大臣、これに関してはいかがでしょうか。

柳澤副大臣 御指摘のように、あらゆる観点から、ベンチマーキングも含めて、よりよくなるような検討をしなければいけませんし、あべ委員の方からもまたいろいろな御指摘もいただければなというふうに、今後、その辺を十分踏まえて検討を進めたいというふうに思っております。

あべ委員 今回の中には、広告費さらには寄附金、いろいろなものを外すということの選択がされたわけでございますが、私は、これだけではまだまだ足りない。特に人件費の部分、福利厚生の部分でございますが、皆さん方で出されました、人件費の部分の、特にこの部分だけではなく福利厚生の、健康保険料の企業負担割合を法定負担割合である五〇%とするということが明記されているわけでございますが、すなわち、これまでは法定負担率の五〇%ではなかったということだと思います。

 きょうは東京電力の方から廣瀬社長がいらしておりますが、健康保険料の企業負担割合はこれまで何%だったんですか。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 会社の負担率は六〇%とさせていただいておりました。

あべ委員 それはすなわち、給与という形、収入という形にはならないけれども、そういう形で、福利厚生の恩恵がこれまでほかの法定割合よりも高目に設定されていたということで、社長、よろしいでしょうか。

廣瀬参考人 おっしゃるように、五〇%というのは法定の最低限度額でございますので、今回そこまで落としたということでございますが、これまでは会社の経営も普通でございましたので、会社の負担率は法定の限度額よりは高く設定していたということでございます。

 先ほど六〇%と申しましたが、六〇%というのは、今回、私どもが電気料金を申請させていただくときに申し上げた数字でございます。

 以上でございます。

あべ委員 会社の経営が普通だったという普通が、私はどれぐらいが普通なのかよくわからないですが、特に、今まであった電気料金の総括原価方式における事業報酬部分というのがございまして、事業資産の価値、すなわちこれはレートベースでございますが、報酬率が三%になっていました。

 なぜ、このレートベース方式を入れているかということは、内部留保の必要性、効率的な資金調達の促進という観点でございますが、今回の総括原価方式の見直しの中のこの報酬率三%は、そのままなんでしょうか。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 査定をいただきまして、二・九%になっております。

あべ委員 二・九%で、微々たる下げだと思いますが。

 ちなみにお聞きいたします。内部留保は今どのぐらいお持ちですか。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 今、会社がこういう状況でございますので、全くございません。

あべ委員 そうしますと、今回の二・九ということは、これまでの内部留保、さらには効率的な資金調達の促進という観点から、ここの部分を、ちょっとだけ下げた二・九ということを維持する意味というのは何なんでしょうか。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 御存じのように、電力会社は物すごい設備産業でございます。こうした設備を維持していくためには、そうしたレートベースをお認めいただかないと維持できないという観点から、今後三年間、二・九%の分をいただいているということでございます。

松原国務大臣 今の部分の三%についてもさまざまな議論があったところでありますが、事業報酬については、東京電力は当分配当を行わないとしておりますが、原子力損害賠償支援機構法に基づく公的資金を投入された企業であることから、事業報酬から得た利益について人件費への流入などは行われず、最大限特別負担金に充てることを確保するべく、毎年の主務大臣の認可の際に厳密にチェックを行うことが同法第五十二条において明示されている。それに加えて、主務大臣としても必ずこのことを毎年確認するということを、今回、一応議論の中で確定させているところであります。

あべ委員 それは読ませていただいてわかっているところでございますが、今回のいわゆる電気料金制度・運用の見直しの有識者会議の報告書の中においては、正当な理由なく著しく低い稼働率となっている設備は、レートベース対象資産、この事業報酬の算定の基礎となる資産の対象外となっているとなっているわけであります。

 すなわち、レートベースからは外れたけれども、今の参考人の答えだと、報酬率の中でここのところの著しく低い稼働率になっている設備の部分を見るという返事に聞こえたのですが、参考人、いかがですか。

廣瀬参考人 今回、おっしゃっているのが福島第一原子力発電所の五号機、六号機、あるいは福島第二原子力発電所のレートベースという意味であれば、私ども申請はいたしておりません。その分は外してございます。

あべ委員 今回の電気料金の値上げに関してでございますが、特に、国家戦略室のエネルギー・環境会議では、二〇三〇年時点における電気料金、標準家庭で一万二千円から二万一千円に達するという形の試算になっているわけであります。そうしますと、今回、東京電力の値上げということが出てきたわけでございますが、松原大臣、これ以外の電力会社の値上げということに影響しますか、しませんか。

松原国務大臣 今回、消費者庁では、今般の料金値上げ認可申請については、さまざまなチャネルを通じ、また検討チームの議論を含め、検討を行ってきました。

 東京電力以外の電力料金の値上げ申請があった場合には、今回得られた経験に基づき対応してまいりたい、このように思っております。

あべ委員 何かよくわからない答えだったんですが、波及をできるだけ抑えようと、消費者の立場に立った大臣としてどのように対応していくか。やはりこれは東京電力だけの問題だと考えるのか、それとも全国の電気料金に乗っかっていくのかということを明確にお答えください。

松原国務大臣 私の答弁は、ここでつくった一つのルール、例えば、それは料金の部分だけではなくて、さまざまなルールのことを先ほど申し上げました、フォローアップ体制も含め。これは当然、東京電力以外の全ての電力会社に対して波及していくものと思料いたしております。

あべ委員 昨年度以来ずっとこのことは言われていることでございますが、特に総括原価方式に関して、いろいろ考えてみたいという曖昧なお答えを柳澤副大臣はされたわけでございますが、経済産業省として、電気料金の計算方式というのは実は余り数があるわけではないわけでございます。そうすると、議論するときに特にどこに焦点を当てるかということは、今回撤廃をすると言った総括原価方式以外の方法は何が具体的に挙げられているのか、副大臣にお尋ねいたします。

柳澤副大臣 東京電力はもう積立金がありません。ほかの電力会社も、値上げを抑えるために使い切ると、値上げをしないと維持ができない。

 私は、一月から、サウジアラビア、アブダビ、ドバイ、クウェート、オーストラリア、原油とLNGの確保に歩きましたが、倍以上の価格で、これも二兆円以上の大きな金がかかる。あるいは、再生可能エネルギーもかなりのコストになります。その辺を踏まえて電気料金というのは検討していかざるを得ないだろうというふうに考えております。

あべ委員 電気料金が上がるということに関して、また、今現在福島にいらっしゃる被災地の方々の問題、本当に切り離して考えなきゃいけない部分とそうじゃない部分といろいろありまして、特に、福島の方々にお聞きすると、ふるさとに帰りたい、本当に帰りたいんだけれども、どのようにして自分たちの将来設計を立てていいのか、スキームが政府が余りにも曖昧であると。特に、今、固定資産税で評価されている賠償問題に関しても、家の問題じゃないんだ、それは、自分たちの家族が持っていた将来に対する全てのことがもうゼロになってしまった、どう考えていいんだろうか、これからの家族の生活が見えないというところが非常に大きいわけでございます。

 ですから、そこのところはしっかり対策を早目に立てていただいて、曖昧な、場当たり的な対応をしていくということでは、本当に福島の方々、昨日も自民党の方で、福島の方々の風評被害に遭った農産物を販売いたしました。自分たちだけで食べる以上にできている福島の農産物、本当に売れない中で、では、東京にいる私たちが自民党の中で売りながら、一緒に食べることで福島の方々を応援したいということであります。

 ですから、電気料金に関して、値上げは仕方がない、しかしながら、値上げをした後の対応が明確になっているのか、松原大臣は消費者のことをしっかり考えてやったのか。元気がいいだけで大臣が務まるわけでないこともわかっております。しかしながら、やはり消費者の立場に立って、消費者のことを守ってくださるんだということを、私は、野党から見ていてもぜひお願いしたいというわけでございます。

 特に、福島原発に対しての賠償対応費用に関しては、明快かつ合理的な説明というふうには私は思っていません。ここのところがよく見えないから、私ども自民党の中でも、野田聖子部会長を初めとして消費者の関係者が集まりまして、今回の電気料金の値上げ、我々は消費者としてどう考えるかを何度も何度も何度も議論をしてきたわけであります。

 ここに至ったときに、やはり明快かつ合理的な説明ということをこれからしていくことの覚悟がおありかどうか、松原大臣、教えてください。

松原国務大臣 今回、協議の過程において、枝野経済産業大臣との議論の中で、福島第一原発の第五、第六号機及び福島第二原発に係る減価償却費について、会計上の扱いとしては、事業者が現段階では正式な廃炉の決定をしていないということも言っておりましたが、一番重要なことは、原価算入せず会計上資産価値の減損が行われた場合、一兆円の公的資金の投入等財務基盤の強化によって賠償、原子炉廃止措置、電気の安定供給の同時達成を図る枠組みに支障を来すおそれがある。また、福島第一の一―四号機の安定化維持に係る費用及び賠償対応費用については、こうした費用が原価算入されない場合、東電としての原子炉廃止措置、賠償といった責務が果たせなくなるとともに、そのことが国民全体の負担によらざるを得なくなると。

 こういった議論があって、これを、私は苦渋の中で合理的な説明としてあえて受けたということでありまして、委員のおっしゃる部分の思いも、私としては理解するところであります。

あべ委員 いずれにしても、今回の賠償は、足りない部分はどうしても電気料金もしくは税金という形で出していかなければいけないわけであります。

 福島県の方々、本当に将来が見えない中にあって、やはり私どもも支援しなきゃいけないという気持ちは確かにたくさんあるわけでございますが、しかしながら、電気料金の総括原価方式のもともとのあり方、さらには、これの見直しをことしをめどにといういいかげんなことを言っておりますが、ことしをめどにではないわけであります。値上げしたからには、いつまでにこれを見直しして、電気料金体系が本当に透明性がある、国民にも理解できるものになっていくかということは、私は非常に重要なことだと思っております。

 福島の被災地の方々を私は応援、みんな応援したいと思っておりますが、しかしながら、不透明な電気料金体系に関して、これはやはりしっかり物を申していかなければいけない。今回、ことしをめどにと柳澤経済産業副大臣はおっしゃいましたが、ことしをめどではなくて、もっとはっきりしっかり出していただきたい。選択はそんなにないわけでありますから、十二月中に出すのか出さないのか、目途とかめどとかわけのわからない、曖昧ではなく、今はっきり言っていただきたい。解散があるかもしれないけれども、言っていただきたいと思います。

柳澤副大臣 福島の現地に入っておりまして、ようやく賠償の基準が出ました。これからは総論ではなくて各論で、一人一人の方の相談に乗って、東電も一万人の人員体制、二千から三千の専門家、コールセンター、それから現地本部、復興庁、復興局、再生事務所、全員で今説明に当たる。

 ただ、この賠償はあくまでも賠償であって、その後の支援策をどうつくるか。そこに電気料金も踏まえて、どれだけスピードアップをして決めていくかというのは、先生御指摘のとおり、大変大事なことだというふうに思っておりますので、精いっぱい努力をさせていただきたい。

 ただ、私の立場で、いつまでというのはなかなか言いにくいところがありますので、御理解をいただければと。精いっぱい頑張らせていただきます。

あべ委員 精いっぱい頑張って、今まで一年四カ月、一体何で、この電気料金に関しても、最初から総括原価方式の問題点とか東京電力の体制の問題とかずっと出ていたにもかかわらず、ここまで放置してきたことは、まさに私は政治家の責任であると思っております。

 私ども、何度も何度も、このままではいけないということはずっと申し上げてきた。福島の被災地の方々に関しても、賠償のスキームをもっともっと明確化していけということも何度も何度も申し入れをしてきた。

 本当にこの一年四カ月、毎日毎日、涙がとまらない。家族を亡くしたということは、一年たったって癒やされることではないんです。ここのところは、将来設計がしっかり立てられるという希望が早く与えられることが大切であります。しかしながら、その将来設計を皆さんに立てていただきたいということに便乗して電気料金の部分を曖昧にしてきたのは、これは政治家の責任でもございますから、透明性を、力いっぱいといいながら期限も全く言わずにやっていることに対して、副大臣、しっかり責任を持ってやっていただきたいと思います。

 ということで、私、時間になりましたので、質問を終わらせていただきます。

阿久津委員長 次に、後藤田正純君。

後藤田委員 まず、今回の東電の値上げ問題につきまして国民が大変憤りを感じていますのは、まさに人災と言われた、調査会でも明確な発信がございました、人災と言われた経済産業省と東電さんが、まさに国民の議論のないままに今回の値上げを決めたということに対して、国民全体と東電管内の利用者の皆さんと、そして何よりも被災者の皆様が大変疑問に思い、また憤りを感じていると思います。

 この点について、まず松原大臣、どのようにお考えですか。

松原国務大臣 今の委員の御指摘でありますが、やはりそこに、極めて合理的にして、そして明快にして、そして共感のできる説明は極めて重要であり、必要だろうというふうに思っております。

後藤田委員 重要だと思うということですが、今回はしっかりなされたとお思いですか。

松原国務大臣 この段階において精いっぱいなされたというふうに認識をしております。

後藤田委員 きのうの会見で、東電の社長は、値上げのことと同時に、二〇一四年三月期で黒字化を目指すということをおっしゃられたようでございます。このことについても、国民、利用者、被災地の方々は、いまだに瓦れき処理も進まずに、またこれからあらゆる除染、賠償、廃炉、さまざまなコストがかかるという問題、さらには新潟の柏崎の原発がどうなるかということも明確な方針がなされていない中で、まず経営の話が先に来るというのは、私は本末転倒だと思いますよ。

 先般も、新潟の知事さんに、経営が大事なんですか、安全が大事なんですかと問われたときに、それはもちろん安全だと答えるのは当たり前でありますけれども、さまざまなまだ課題が残っているときに、一四年三月期に黒字にする、こういうのが先に出ること自体、このたびの震災、福島原発事故の重要性、これについて、私はまだ全く自覚がないと思いますが、その点について、社長、どう思いますか。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 私ども、今回、この事故を踏まえて、これからの経営、もちろん安全を最優先の課題として取り組まなければいけないというふうに思っております。

 一方で、私ども、総合特別事業計画という計画のもとで、これから事業を立て直していこうということになっております。その総合特別事業計画における数値目標として、今先生の御指摘のものが中に入ってございます。

 そうしたことで、総合特別事業計画をしっかり達成していくというのも私どもの使命だと思っておりますので、これをしっかり両立させていくということだというふうに思っております。

後藤田委員 今回、いろいろな、まだまだリストラを初め関係会社やまた合理化をやる必要があるではないかというのは、さまざまなところからもまだ言われているわけでございます。その上での値上げでございますけれども、私は、今回は経産省と東電の茶番劇だと思っているんですね。まず値上げの数字を言って、そして経産省、政治主導なんでしょうけれども、ちょっと下げさせた、何とか努力をしたということをお見せになったようでございますが。

 先ほど私は申し上げましたが、今後の値上げの可能性の大きな要因として、除染、賠償、廃炉、瓦れき処理、こういった問題にどれだけのコストがかかると推定されておりますか。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 除染につきましては、まだ明確な時期、それからそれぞれ一つ一つのやり方等々、今詰めておるところでございますので、除染について総額幾らかかるかというのは、今、なかなか合理的に見積もるのは難しいというふうに思っております。

 賠償につきましては、二十三年度の決算におきまして、私ども、二兆六千四百五十億近い賠償費用を合理的に見積もって、今、会計上計上しております。これは、ただこれでおしまいということでなく、今後も必要があれば見直していくということになると思います。

 廃炉費用につきましては、これも決算上では、福島第一の一号機から四号機までの廃炉費用として九千一億円を計上して、債務、特別損失としておりますけれども、これについても、そうしたことで、これからまた一生懸命やっていかなければいけないところでございますが、今の見通しはそういうふうになっております。

 瓦れき処理については、申しわけございません、私どもは、どういうふうになるのかというのはわかっておりません。

後藤田委員 瓦れき処理は、国がやるということだから、東電は関係ないということですか。

廣瀬参考人 瓦れき処理、本当にどこからどこまでの部分なのか、そうしたことも含めて、まだ私どもとして総額を見通せておりませんという意味でございます。

後藤田委員 今お聞きになってわかったように、まだまだ不明確なところがたくさんあるんですよ。ですから、先ほど同僚議員の質問の中でも、これからの再値上げはないんだのような御発言をされていましたけれども、相当矛盾するんですよね。

 経営計画も、除染、賠償、廃炉、瓦れき処理、さまざまな問題がまだ、今御回答されたように不明確なところばかりでございますよ。どうやって経営計画を立てられるんですか。お答えください。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 おっしゃるように、先ほど申しました総合特別事業計画、私ども、今それにのっとって経営を進めていくわけでございますが、その中には、今おっしゃったような費用をどうするかということについての織り込みがされておりません。したがいまして、今後、私どもとして、事故の原因者としてしっかりそれは対応していかなければいけないと思っておりますが、細かな資金繰り、負担については、まだ計画にできていないというのが現状でございます。

後藤田委員 先ほど来、総合計画というお話を出しますけれども、それは計画になっていないですね。このような重要なテーマがないんですよね、まだ。明確になっていないのに、どうして計画と言われるんですか、それが。

 もう一つ、先ほどの、柏崎の原発の再稼働、稼働するのが大前提というのが今回の値上げの条件になっているようでございますが、それは正しいんですか。稼働するという前提なんですか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 電気料金を計算する上で、原価を積み上げなければいけませんので、その際に、原子力発電所の比率というのを仮置きさせていただいております。その中で、柏崎原子力発電所の再稼働というのを仮置きさせていただいております。

後藤田委員 仮置きということでありますが、誰が柏崎の稼働を認めるかということは、これは不確定要因ですよね。経営判断でできませんよね。誰が判断するんですか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 柏崎刈羽の再稼働の仮置きというのは、電気料金算定上に必要だったためにやらせていただきましたが、一方で、実際に柏崎の発電所を動かすということにつきましては、私ども、福島の事故のまさに原因者、当事者として、しっかり福島の事故の検証をし、そこからどうした対策を打っていかなければいけないかということを明確にし、それを新潟県の皆様、新潟県の技術委員会等々で御説明させていただいて、御了解をいただけない限り再稼働はないというふうに思っております。

後藤田委員 今聞いて皆さんおわかりのとおり、いわゆる原発事故、被災地の方々への対応も含めた、これから本当に大きなお金のかかる除染、賠償、廃炉、瓦れき処理、これがまだ不明確。そしてまた、これから東電が経営していく、また安定供給していく、そして値段をどうしていく、こういった問題における原発の稼働問題もまだ不明確。こういう中でまだまだ値段は上がるんじゃないですか、社長。どう考えたって。お答えください。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、たくさんの変動要素というのはございますけれども、そうした中でもしっかりと経営の合理化、コストダウンに努めて、昨日認可いただいた電気料金のもとで我々しっかりやっていくというのが今、私どもの最大の使命だというふうに思っています。

後藤田委員 それは全くいいかげんな答弁なんですよ。

 先ほど来の質問の中で、経産省に当時提示した値上げ幅を下げられた、それでもう大変だ、きゅうきゅうしていますとおっしゃっていますよね。それで、先ほど来、新たにまだ不明確な除染、賠償、廃炉、瓦れき処理、原発稼働問題、これがあるので、さらにコストがかかるのは当たり前じゃないですか。それで、今社長は、まだ頑張れますと言うけれども、それは矛盾していると思いませんか。もう一回お答えください。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 おっしゃるように、まだまだ解決しなければいけない問題はたくさんございます。それ一つ一つについても、私どもとしてできる限りの経営努力をして、社員一丸となって取り組んでいく所存でございます。

後藤田委員 今のお話は全く説得力がないんですよ。数字もわからない、不明確なところが多い、コストがどんどん積み上がる、でも今の値上げはぎりぎりだ、だけれども、まだこれから頑張ります。こんないいかげんなことで社長をやってもらったら困るんですよ。

 先ほど金融の話がございました。経営を安定化するときには、早く決断をしたのは、松原大臣がさっき、金融機関の了承を得るということですよね。

 きょう金融庁を呼んでいると思うんだけれども、金融機関には善管注意義務というのがありますね。善良な管理者がしっかりと貸出先の経営を管理するという義務がなければ、投資家なり預金者保護は守れない、こういうことでございます。私も金融庁政務官時代、このことは皆さんと一緒にやってきたつもりでございます。

 今回値上げして、一つ乗り越えたとお思いでしょうが、今東電の社長が答えたように、不明確なところがたくさんある。こういう中で、金融機関の善管注意義務が果たされているとお思いですか、金融庁。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 善管注意義務ということで一般論としてまず申し上げますと、株式会社の役員は、会社法、民法の規定に基づき、会社に対して善管注意義務を負っている。預金者との関係においても、預金の受け入れは一般に消費寄託契約とされておりますので、この場合、商法に基づいて、受託者である銀行は寄託者である預金者に対して善管注意義務を負っているということになります。

 また、銀行法でございますが、銀行法は善管注意義務という形の規定はないんですけれども、銀行業務の健全かつ適切な運営を期すことを目的としており、銀行が業務の健全性の確保、維持に努めるべきことは当然だというふうに考えております。

 そういうことで、各金融機関が適切なリスク管理のもとで適切な経営判断を行うことが重要であるというふうに考えておりますけれども、今回の東電の個別融資について善管注意義務違反に該当するか否かということに関しては、個別の経営判断の話でございまして、コメントを差し控えさせていただきたいと思いますが、金融庁といたしましては、貸し出しに伴う金融機関のリスクモニタリングを行う中で、引き続き金融機関のリスク管理状況はしっかり注視してまいりたいというふうに考えております。

後藤田委員 銀行が金を貸すんだったら、これは国営化しかないですよ、社長。もう民間で頑張る必要はないと思うんですけれども、何で民間にこだわるんですか、社長。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 原子力損害賠償支援機構法に基づきまして、支援機構から一兆円の融資を、今度の三十一日までに御融資いただくことになっております。これによりまして、私どもの株主構成は、原子力損害賠償支援機構が過半数を占めるという状態になります。

 これによりまして、これを国有化と呼ぶか、あるいは国営と呼ぶかという議論はあろうとは思いますけれども、私どもはこれまでずっと電気事業をやってきた中で、そうした経験なり技術をこれからもしっかり果たして、お客様の皆さんにしっかりと電気の安定的な供給をし、産業やお客様の生活を守っていきたいというふうに引き続き考えております。

後藤田委員 ここは消費者委員会ですから、改めて消費者の視点に戻しますと、消費者というのはやはり情報がない、そして供給者に対するいわゆる立場も弱い。これは借り手と貸し手、そして労使の問題、そういうことも含めて、我々は当時、与党時代も、野田聖子さんを会長に、私も事務局長で、消費者調査会から消費者庁をつくろうという歴史的な流れがございました。

 消費者というのは、やはり安全で安くてよいものを求めるんですよね。これに対して、やはり政治が、行政がそれを守っていくということであります。

 世の中に競争というものがあれば、いいものと安いものと安全なものというのは生まれてくるんです、競争の活性化によって。しかし、競争がないものについてこれを維持するということが、今回の東電の事故の問題でこれから大きな政治的課題になったと私は思うんですね。これは東電さんだけではなくて、ほかの各電力会社もそう。そして、先般この委員会でも申し上げましたが、通信もそう、航空、鉄道もそう。そしてまた、いわゆるマスコミ、テレビ局もそうだと思います。そして金融もそうだと思います。

 公共料金と言われている消費者負担の会社は、いわゆる公益企業という形をとっています。それは競争がない地域独占であり、業務独占の企業であります。それが自由競争下の中のほかの民間企業と同じ上場市場で扱われているということ自体に問題があると思っているんですよ、僕は。これは金融庁に聞きたいけれども、もう時間がない。

 こういう曖昧な資本市場をどうしていくかということも、私どもは、消費者という観点もそうでありますが、成長戦略という観点からも必要であって、これだけ東電さんがおかしくなって、おかしくなってから関連企業の売却とかをしていますよね、社長。

 しかし、おかしくなる前は、皆さん、総括原価方式ですから自然にもうかってしまうものだから、関連会社百三十社ですか。(廣瀬参考人「百十九社でございます」と呼ぶ)百十九社。そして総資産十三兆ですか。(廣瀬参考人「電気事業に関連する設備は十三兆でございます」と呼ぶ)こんな、焼け太りしちゃっているんですよ、はっきり言って公益企業というのは。

 例えばサーバーの会社なんか、今はもう情報化時代ですから、サーバーというのはやはり必要なんですよ。日本で一番大きな会社は、ぶっちぎりでサーバーの会社があるんですけれども、社長、どこですか。お答えください。

廣瀬参考人 存じ上げません。

後藤田委員 それじゃ、社長はやめた方がいいよ。

 アット東京という東電の子会社でしょう。それは御存じなかったですか。大問題ですよ、それを知らなかったら。

廣瀬参考人 申しわけございません。アット東京は私どもの関係会社でございます。

後藤田委員 この程度なんですよ。

 松原大臣、こういうことをまだ平気でぬけぬけと言う人が社長をやっていて、それで、人災と言われた調査会のまんまなんですよ。だから、松原さん、頑張らないとだめですよ。経産省と東電がまた焼け太りですよ。

 そのアット東京という会社はまた、四十億しか利益がない。四十億もか。これをまた八百億円で売り飛ばそうというので今いろいろなことをやっているようでありますが、こんなのは氷山の一角。

 これは、東電、ここがこうなったから売るんだけれども、はっきり言って、ほかの電力会社も、あと、もっと言えばJRもそうですよ。JRだって、二十六兆円の借金を棒引きにしているんですよ、国民負担で。それを、ホテルは関連会社でやるわ、キオスクはやるわ、ショッピングセンターはやるわ。それでまた、事故が起こったら終わりのリニアモーターカーやりますなんてばかなことを言っているんですよ。それを皆さん認めているんですよ、今の政府は。

 だから、そういう公益企業のあり方というのを根本的に変えなきゃだめですよ。民活すること、再民活、そうするとニューマネーが入り、コストも下がり、サービスもよくなり、さっき言った、消費者目線で言う安くてよいもので安全なものが競争によって出てくるんですよ。だから、今回、東電の問題そして値上げの問題とかで済ませたら、消費者大臣、あなたは小さな大臣になっちゃいますよ。

 この視点からいかに消費者行政に切り込んでいくか、また成長戦略に切り込んでいくかという観点からいえば、公益企業というもの、そして公共料金というもののあり方をしっかりやらなきゃいけない。我々が政権とったら、それをやりますよ、JRにしたって。京急なんか見てください。品川駅にある売店は、セブンイレブンの売店ですよ。そういうことも含めて、私は、皆様方にこの消費者問題をしっかりそういう切り口でやっていただきたい、そう思います。

 そして、最後に、消費者は、先ほど来申し上げておりますように、安全でよいもので安いもの。いわゆる安い、値段については先ほどもいろいろ質問させていただきました。では、安全なものということでございますが、世の中によく、経済学的にも、許された危険という言葉があるんですね。これは、いわゆる自動車だとか飛行機だとか鉄道だとか。自動車だって、走る凶器ですよね。何だかんだ年間四千人以上死んでいるんですよ。ピーク時は一万六千人ですね。鉄道事故も痛ましい事故が起こりましたよ。

 そして、原発、これも許された危険と言えるのか、廣瀬社長、御見解をお願いいたします。

廣瀬参考人 許された危険というものの定義、正確には存じ上げておりませんけれども、原子力に限っては、これは安全が最優先でございますので、全くそれに当たらないというふうに思っております。

後藤田委員 松原大臣、生レバーはすぐ消費者庁は禁止するんですよ。あれも許された危険だけれども、自己管理の範囲内で、僕は、はっきり言って、あそこまでする必要があったのかなと思いますよね。そんなのは自分で管理しろと。でも、そういうのはぱっぱぱっぱやるんだけれども、原発というのは許された危険であるかどうかというのは、大臣、どういう見解ですか。

松原国務大臣 その前に、委員の公共料金や公共事業に対する……(後藤田委員「公益企業」と呼ぶ)公益企業に関しての御発言は、非常に傾聴に値すると思って聞いておりました。

 現段階においては、この七月二十日に一部改定の閣議決定が消費者基本計画で行われましたが、少なくともこの段階において、競争がなかなか行われていない段階においては、消費者目線を反映させるために三点のことを申し上げたことをここで報告しておきたいと思います。

 一つは、所管省庁における公共料金等に係る情報公開の実施状況のフォローアップ。さっき言った、いわゆる実際どのぐらいまで一キロワット当たりが利益を上げているか、こういったことを後できちっと調査し、そして報告をさせるということを明記する。また、公共料金等の決定過程で開催される公聴会や審議会に消費者参画を実質的に確保する。そして、据え置きが続いている公共料金等を含め料金の妥当性を継続的に検証する具体的方法の検討と実施ということを取り決めて、これから具体的に肉づけをするところであります。

 今の御質問の部分でありますが、今、生レバーのお話でございますね。生レバーの生食の禁止は、食品衛生法十一条一項の規格、基準の改定により、厚生労働省が行ったものであります。これは、御案内のとおり、腸管出血性大腸菌が存在することが生レバーに確認された中で、現時点でこれを安全に食べることの予防対策が見出されていないという国民の健康保護の観点から決定されたものと認識をいたしております。(後藤田委員「原発の話です、ポイントは。許された危険か」と呼ぶ)

 原発に関しては、私は消費者担当大臣でありまして、原子力、原発そのものに関して、これをどうするかという議論は私の所掌外でありますけれども、これは、今政府の方でさまざまと議論をしているところだというふうに認識をしております。

後藤田委員 消費者の視点で、原発反対、今各デモも盛んに行われていますけれども、これはやはり競争がない地域独占だから、みんな引っ越せないんですよ。そういう、引っ越せない、仕方ないで許されない危険だと私は思いますよ、原発は。そういう消費者の立場に立ったときに、大臣、どうされますか。

松原国務大臣 申し上げましたように、原子力発電に関しては、さまざまな議論が国民的に行われているところでありまして、その議論の中で一番いい方策が見出されるというふうに私は思っております。

後藤田委員 では最後に、消費者目線でいうとよいものということですけれども、電力でよいものといったらやはり自然エネルギーですよね。

 これは、私どもと同じような経済国家のドイツが大変な決断をしましたよ。やはり我々もそういう議論をしっかりしなきゃいけないと思います。きょう経産省は来ているのかな、政治家じゃなくていいや。

 今、世界の自然エネルギーの成長率というのは二〇%なんですよね。原子力というのはそんなに伸びないですよ。しかも、労働集約的ではなくて、つくったらもう終わり。そう考えたときに、私、やはり大きな転換として自然エネルギー、そしてまた成長戦略、そして雇用戦略からしても、ドイツ・モデルは大変参考になる、そのように思っているんですよ。

 これはやはり今後の選挙の争点になっていくんであろうかな、このように思っておりますけれども、きょうは国家戦略は来ているのかな、来ていないのかな、そこら辺についてどうお考えですか。

福永政府参考人 先生御指摘のとおり、原発にかわるエネルギーとして再生可能エネルギーの導入拡大は非常に重要で、政府としても、原発からグリーンへという基本的考え方のもと、政策を体系づけて、総動員して再生可能エネルギーに関する消費や投資を促進する考えでございます。

 御指摘のドイツでは、再生可能エネルギー法により導入目標を提示し、固定価格買い取り制度を導入し、再生可能エネルギー導入初期リスクを低減するといった形で一定の政策体系をしっかり築いてやってまいりました。一方で、近年、中国の安価な太陽光パネルの普及でドイツのパネルメーカーが破綻するといった意味で、経済に影響が出ているというような指摘もあります。

 我が国としても、いかに一過性ではなく、継続的なビジネスも行えるモデルをつくるのかといった点も含めて、グリーン成長戦略というものを今策定しておりまして、年末までにそういった政策体系をまとめていく予定です。

後藤田委員 原発をどうするか、そういったいろいろな議論は、国民的議論、政治的な議論、さまざまございます。きょうわかったことは、東電の値上げ、そしてまた東電の経営体質、そしてそれにかかわる金融機関も含めて、非常に曖昧な中で動いているということですよ。

 除染、賠償、廃炉、瓦れき処理、何度も言いますよ、これは全く不明確、原発をどうするかも不明確のままで値上げ。そして、今もう血の一滴も出ませんというぐらいやっているはずが、いやいや、この不確定要素についてはまだわかりません、だけれどもそれは何とかできますというまたいいかげんな答弁を社長がしているぐらいですからね。これに対して、また金融機関が金を貸している。もう本当にこれはいいかげんだなということを改めてきょうはわかったということで、質問を終わります。

 ありがとうございました。

阿久津委員長 次に、相原史乃君。

相原委員 国民の生活が第一・きづなの相原史乃でございます。

 多くの国民の皆様は、今回の電気料金値上げに納得しておられないと思います。また、私自身も非常に疑問に思っておりますので、党の名前のとおり、国民の生活が第一という理念を実践していくため、本日は、東京電力の家庭用電気料金値上げに疑義を呈する立場から質問させていただきます。

 野田政権は、消費税も増税する、電気料金も値上げすると言っております。我が党は、増税をする前にするべきことがあると申し上げておりますが、電気料金についても声を大にして申し上げます。電気料金を値上げする前にするべきことがあるのではないでしょうか。

 消費税は二〇一四年四月に八%、二〇一五年十月に一〇%に増税するということでございますが、東京電力の電気料金は九月に八・四六%値上げすると言われております。政府は、消費税も上げる、電気料金も上げると、国民の生活を無視した政策を立て続けに提示しております。国民の生活への影響を具体的にどのように試算しているのでしょうか。

 国民の可処分所得は減少の一途をたどっております。今後、納豆や豆腐などの大豆食品、食用油、トウモロコシといった食料の価格の高騰に伴い、食料品の値上げが大きな問題となっております。

 さらに、国民の皆様の給与水準の低下も追い打ちをかけ、今や、厚労省の調査によりますと、現在労働者全体の二四・五%がワーキングプアと呼ばれる年収二百万円以下の方々であり、苦しい生活をやりくりしているのです。

 民主党の原点はまさに国民の生活が第一であり、国民の皆様の可処分所得に着目し、子ども手当や高校授業料の無償化など直接家計を助ける政策を約束し、国民の皆様の支持をいただき、政権交代をしたのだと思っております。

 質問させていただきます。

 電気料金が八・四六%値上げされますが、消費者を守る消費者担当大臣の立場としまして、今の苦しい家計というものを念頭に、値上げをしないという可能性はなかったのかどうか。松原大臣、恐縮ではございますが、簡潔によろしくお願いいたします。

松原国務大臣 この値上げ申請の理由として、徹底した経営合理化の取り組みをもってしても、火力発電の燃料費等の増加により、現行の電気料金収入では電気の安定供給に必要な費用を賄い切れないという説明があったところであります。

 今委員御指摘の点でありますが、消費者の目線からいけば、こういった厳しい不況のときに電気料金を上げるべきではないというのは、私はそのとおりだと思います。しかし、一方において、こういった安定供給の観点も踏まえたときに、どこがぎりぎりかということで、今回の一つの結論になったというふうに考えております。

相原委員 ありがとうございました。

 国民の間には、電気料金の値上げだけでなく、大飯原発再稼働に対する怒りが充満しております。私も、毎週金曜日に首相官邸前で行われます原発再稼働反対の集会に参加しまして、何万人もの方々の心の叫びを聞いております。原発は再稼働する、電気料金も上げる、これでは国民は納得できません。せめて脱原発を実現できるなら、そのための値上げは仕方がないのではないかと思われる方も多いのではないかと思っております。

 今回の総括原価には、柏崎刈羽原発など東京電力管内の原発を再稼働することを計算に入れていると聞いております。

 北神政務官にお伺いいたします。柏崎刈羽原発は二〇一三年四月から再稼働するのでしょうか。簡潔にお答えをお願いいたします。

北神大臣政務官 お答えします。

 柏崎刈羽原発につきましては、今回の料金の査定は料金の原価が適正かどうかという査定でありまして、再稼働の判断とは別だということが一つ。その再稼働につきましては、当然安全確保が大前提でありまして、今度規制庁、規制委員会が立ち上がりますので、その中で厳正に審査をするというふうに思っております。

 以上です。

相原委員 国民の皆様がこれだけ原発に対して敏感になっているときに、再稼働は許されないことであると私は思っております。原発をどうするのかというビジョンが不明確なこの時期に、国民の生活を一層苦しめ、取れるところから取るというやり方に対しては納得できません。

 なぜ今この時期に値上げをしなければならないのか、明確な答えを経産省からよろしくお願いいたします。

北神大臣政務官 なぜ今の時期かということですが、これは当然、我々としては、値上げというのは、さっき松原大臣が話したとおり、非常に厳しい状況の中で本当はしたくないというのが正直なところでありますが、東京電力からことしの五月十一日に申請がありました。

 その理由は、これも大臣がさっきおっしゃったように、原子力発電所がとまっている中で海外から燃料というものを購入しないといけない、その燃料の値段のかさ上げの部分について、電力を安定的に供給するためには値上げをしたい、こういう申請がありました。その後に、いろいろな専門家の委員会とか公聴会とか国民の声を聴取したりして、それで今回認可することになりました。

 時期につきましては、当然、我々としては、この申請があったら、電気事業法に基づいて、要件を満たした場合には判断をせざるを得ない。逆に言えば、電気事業法には、電力の安定供給を確保しなければいけない観点から、申請があって要件を満たしたら認可しなければいけないと政府が義務づけられておりますので、そういった視点で今回認可することになりました。

相原委員 次の質問に移ります。

 値上げ料金の率について、報道でも既に国民の知るところとなっておりますが、当初、東京電力が申請してきた値上げ率は一〇・二八%でした。それが経産省の段階で約九%になりました。一体、そのとき何を削減したのでしょうか。また、経産省と消費者庁との間で八・四七%に減りました。そのとき何を削減したのでしょうか。さらに、きのう、最終的に八・四六%に減りました。そのとき何を削減したのでしょうか。それぞれ具体的に経産省の御担当者の方からお答えをお願いいたします。

糟谷政府参考人 まず、経済産業省では電気料金の審査専門委員会というのをつくりまして、ここで規定に従って厳格に審査をいただきました。この過程で、例えば、先行投資をしていてまだ直ちには電気の供給には使われない送電線、送電の鉄塔でありますとかそういう類いのもの、それからあと、競争入札をやることで合理化できる費用、そういうところを勘案して大体五百億円程度削減をしたところであります。

 続いて、消費者庁と協議をいたしまして、その中で、先ほど来お話がありましたように、人件費をさらに厳しく見まして、管理職の人件費を三割超削減し、これまでの直近の公的資金投入企業のいずれの企業も上回る削減幅にするとか、それから、関連会社からの調達費用についてさらに深く深掘りをするというふうなことをやりまして、それで八・四七程度ということで一旦したものであります。

 実際、それに従って具体的に数字を精査したところ、最終的に八・四六%ということで、八・四七から四六は数字の精査の過程での変更でございます。

相原委員 ありがとうございました。

 次の質問に移ります。

 原発関連費用をなぜ総括原価方式の原価から外さないのでしょうか。松原大臣、原発関連費用を総括原価の中に入れないように枝野経済産業大臣と交渉されたと聞いておりますけれども、最終的になぜ妥協してしまったのでしょうか。

松原国務大臣 これは先ほど来申し上げておりますように、原価算入をせずに会計上資産価値の減損が行われた場合、一兆円の公的資金の投入等財務基盤の強化によって賠償、原子炉廃止措置、電気の安定供給の同時達成を図る枠組みそのものに支障を来すおそれがあるというのが一つであります。

 同時に、福島第一原発の一―四号機の安定化維持に係る費用及び賠償対応費用についても、こうしたものが原価算入されない場合、東電としての原子炉廃止措置、賠償といった責務が果たせなくなって、国民全体の負担にならざるを得ないということが、最終的に苦渋の判断をするときの一つの基準になったわけであります。

相原委員 大変残念に思っております。消費者の代表としてもっと頑張っていただきたいというふうに思っております。

 それでは、北神政務官にお伺いいたします。

 なぜ、原発関連費用を総括原価の中に入れることにこだわったのでしょうか。

北神大臣政務官 今回の電気料金の査定の基本方針において、専門委員会での審議、検討、あるいは、今、松原大臣から話がありましたが、消費者庁との協議を踏まえて、一つは、電気の安定供給、これがやはり経済社会のために非常に重要だ、あと、原子力損害賠償の迅速かつ適切な実施の確保に支障を来さないことを前提に、消費者の目線や、ほかの公的資金投入企業の事例を踏まえて、徹底的な経営合理化を図った上での対応を行うこととしてきました。

 福島第一原発五号機、六号機及び福島第二原発に係る減価償却費については、会計上の取り扱いとして、事業者として正式に廃炉の決定を行っていない以上、原価算入を認めることはやむを得ないというふうな判断でございます。

相原委員 ありがとうございました。

 それでは、廣瀬社長にお伺いいたします。

 電気料金の値上げは、国民に原発賠償の支払いを肩がわりしていただくものでございます。安易に考えていただきたくないとは思っておりますけれども、電気料金を値上げしない、むしろ、電気料金を下げる方法というのはないのでしょうか。総括原価方式を見直したり、送配電分離などの制度の改革を行うということは検討されているようですけれども、東電として総括原価方式は廃止するのでしょうか。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 電気料金の値上げ申請の仕組みは、経済産業省令に基づいて、電気料金算定規則というのにのっとってやらせていただくことになっておりますので、これからどういうふうな形で電気料金を決めていくのかということに対しては、私どもとしてお答えできる立場にないと思っております。

 もとより、電気料金、しっかり安定的にこれからもしていかなければいけませんし、もちろん、できることならば電気料金を引き下げるということで、三十二年ぶりの電気料金の値上げであったわけですが、この間に、実にたくさんの電気料金の値下げもしてまいったわけでございますので、これからも一生懸命やって、電気料金の値下げができるということになれば本当にありがたいというふうに思っております。

相原委員 諸外国では、電力料金を安くすることを目的としまして、電力の自由化が行われております。産業用だけでなく、家庭用に対しても自由化をするべきではないでしょうか。総括原価方式では、効率化のインセンティブというものが働かないのではないかと思っております。

 物価上昇率の変動に合わせて価格設定の上限を決める仕組みで、NTTが採用しておりますプライスキャップ制、または、事業者ごとに収入の上限を規制当局が決める仕組みであります、ドイツにあります送配電事業に採用されているレベニューキャップ制などを導入することによりまして、どれくらい電気料金を抑制できるのかといった試算はあるのでしょうか。廣瀬社長、よろしくお願いいたします。

廣瀬参考人 今おっしゃったような新しい制度に基づいてどういうふうな電気料金になるのかという試算はしておりません。

相原委員 ぜひ、国民の皆様の負担を減らすために御検討いただきたいというふうに思っております。

 今、政府に求められていますのは、国民の生活が第一というスタンスで、電気料金を値上げしないことでありまして、値上げする前にするべきことがあるというふうに思っております。電力会社の経営努力が不十分であることも指摘しなくてはなりません。

 震災後に火力発電向けに需要がふえております液化天然ガスのLNG価格の設定に対しまして、日本向けの原油平均価格とリンクをさせるという仕組みを長年見直してこなかったという問題があるというふうに思っております。その結果、北米でのシェールガスの増産によりまして下落したスポット価格と比べ、一説には二倍も高いLNGを購入しているという現実もあります。

 このような問題のある制度をまず改善してから電気料金の値上げに踏み切るべきではないでしょうか。まさに、電力料金値上げの前にやるべきことがあるというふうに思いますけれども、廣瀬社長の御見解をお聞かせください。

阿久津委員長 廣瀬社長、簡潔にお願いいたします。

廣瀬参考人 私どもといたしましても、経営の合理化あるいはコストダウン等々を一生懸命やって、福島の方々への賠償であるとか、それから原子力発電所の安定化であるとか、加えて従来どおり電気をしっかりお届けするという大きなミッションを今いただいておりますので、しっかりやってまいりたいというふうに思っています。

相原委員 まさに、消費税が増税される時期に、さらなる経営合理化も図っていただきたいと思いながらも、その中でのさらなる電気料金の値上げというものが重なってしまうのではないかという心配を非常にしております。

 国民の負担増に対する怒り、そして原発再稼働に対する恐怖、民主党政権に対する失望、こういったものを私たち政治家は重く受けとめなければいけないというふうに思っております。

 国民の生活が第一は、脱原発を訴えております。国民の皆様の脱原発という強い切実な声をこれからも具現化するために頑張ってまいりたいと思っております。

 私の質問はこれで終わります。ありがとうございました。

阿久津委員長 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口でございます。

 それでは、家庭用の電気料金の値上げ問題についてお伺いをしたいと思います。

 昨日認可をされた。九月一日から値上げをする。三十アンペア、二百九十キロワット時でいきますと、昨年二〇一一年の二月、六千二百三十四円であったものが、この九月には七千五百四十八円と、千三百十四円上がる。非常に生活を圧迫するものである、こういうふうに認識をしております。そしてまた、家族の多い家庭、例えば五十アンペア、四百五十キロワット時でいきますと、一万二千五百五円。千四十円、九・一%上がる。

 あるいは、小さな工場ですとか商店、これは十二キロボルトアンペア、九百六十キロワット時、二万九千二百八十七円。三千二百九十四円上がって、一二・七%ですよ。こういう商店ですとか小さな工場の経営あるいは生活に与えるものは非常に甚大である、私はそう考えているわけであります。

 だから、平均ですと、三十アンペア、二百九十キロワット時で、五・一%で七千三百三十二円。三百五十九円上がる。平均すると八・四六だということでありますけれども、三段階方式をとっておるし、あるいは、そういう商店ですとか小さな工場ですとか、そういうものはもっと大きな負担になるということも我々は認識しなきゃならない。

 それに加えて、再生可能エネルギーの固定買い取り価格、これでも上がりますし、また、通常の燃料費の高騰によって、やはり燃料費の調整制度で上がっている、こういう状況であるわけですね。

 ですから、消費者担当大臣、松原大臣、そういうことも受けて、そして、国民の声、また消費者、消費者団体の声も受けて、プロジェクトチームをつくって、あるいは消費者委員会も頑張っていただいたわけですが、本当に今回しっかりそういう声が反映されたのかというと、私は疑問に思うわけでございます。

 東京電力の申請の値上げ幅が一〇・二八%、これが、電気料金の審査専門委員会では九%の前半、そして今回八・四六%、八百四十億ですか。五百億、その専門委員会の段階で、案としては原価算入をしない。そして、消費者庁との折衝の中で八百四十億を算入しない。ただ、これも、五兆七千六百二十四億円の総原価からいきますと一・四五七%ということであります。

 大臣、今回の決定についてどう思われますか。満足していますか。

松原国務大臣 御答弁申し上げます。

 今大口委員の御指摘の部分は極めて重要なことでありまして、電気使用量が多い家庭やまた場所においては、八・四六ではない、もっと高い数値になるということで、三段階の議論があるわけであります。

 実際、今回、そういったことで、先ほど来の議論があるように、さまざまな今の枠組みを崩さないという中においてはこういった数値になったわけでありますが、同時に、その他の部分では、例えば、継続的なフォローアップによってレートメークに関する検証を行う、一キロワットアワー当たりの原価構成を含む適切な情報開示のあり方の検討、実施、消費者参画の拡大ということを申し上げました。

 例えば、今言ったようなことで、結局、たくさんの利益が、高い方で使用があって、実際一〇%、一一%、一二%という、逆に上がってしまうようなところで、そのことによって利益が上がる場合、そのことをフォローアップで詳細にチェックして、次にそれを反映させるということも今回の消費者庁と経済産業省との議論の中で行われたところでありまして、そういった意味においては、幾つかのことは消費者目線からもかち得た、消費者目線としては資するものをつくったというふうに認識をしているところであります。

 ただ、これが満足かということを言われれば、例えば原価算入のところでは、先ほど言ったような状況の中で苦渋の判断というか、苦渋の決断として了解をしたという部分があるわけであって、私としては必ずしも十分ではないというふうには思っております。

 ただ、現状においてはぎりぎりだったのではないかというふうに認識をしているところであります。

大口委員 「国民の声」、ここで二千三百三十六件、そのうち過半数、千二百一件が人件費を切り込め、こういう声であったわけでございます。結果はどうかといいますと、管理職については三割超の減、それから三カ年の社員全員においては二三・六八ということで、近年の公的資金投入企業の二三・六二よりは上回っているということでございました。

 しかし、消費者庁としては、管理職も一般職もひっくるめて正社員の年収の少なくとも三〇%程度の削減、賞与の削減、そして、特に管理職の率先した削減、これを求めてきたわけであります。ここにはかなり大臣としてのこだわりがあったと思うんですね。それと今回の結果の乖離をどう思われるのか。

 それともう一つ、今廣瀬社長からお話ありました、要するに、子会社や関連会社について、本体がこうやったから同じような水準の指導をしていきますということでありますが、これは当然、子会社あるいは関係会社も出資しているわけですから、配当があるわけですね。それに人件費というのは直結しているわけですから、これは厳しくやはり貫徹すべきであると思います。

 この二点、お伺いします。

松原国務大臣 いわゆる人件費に関しましては、三割チェックということで我々は主張してきたわけであります。公的資金が投入されている状況を踏まえてということでありまして、三〇%程度の削減、賞与の削減、特に管理職の率先した削減というものは、一つこれは行われたわけでありますが、他の部分に関しては、委員御指摘のとおり三〇%というところまでは至らなかったわけであります。

 しかしながら、これは申し上げるまでもなく、公的資金投入企業、従来は最大二三・六二%であったものは、二三・六八%で、それを上回る切り込みをしたというふうに認識をしているところであります。また同時に、例えば先ほど来議論になっております事業報酬に関して、例えば事業報酬から得た利益について人件費への流入が行われないようにするということも、これは経済産業省との間の合意文書の中で確立をしているところでありまして、そういった意味においては、人件費削減に関しては、十分とは言えなかったかもしれませんけれども一定の成果を得て、国民の皆様に御理解いただける水準になったのではないかと思っております。

 五〇%のいわゆる健康保険に関しては、従来、東京電力は七五%であったというのは、当時、申請のときは六〇パーだったのを五〇%にした。そういった意味で、こういったところにも切り込んだつもりでありますが、調達に関しては……(大口委員「そこはまだ聞いていませんから。調達は後でいいです。人件費のことを今言っていますから」と呼ぶ)

 以上であります。

大口委員 子会社、関係会社についてはどうですか。

松原国務大臣 子会社、関連会社に関してでありますが、消費者庁の検討チームで取りまとめたチェックポイントを活用し、経済産業省の審査専門委員会による査定方針案について検証し、意見を述べたところであります。

 その結果、随意契約については原則一〇%の削減を求め、未達分は減額した上で、子会社、関連会社との随意契約取引について、一般管理費等のコスト削減が可能と見込まれる費用について深掘りをするとしたところでありまして、同時に、枝野大臣とは、入札可能なものは全て入札を行うことを目指すとの原則を確認しているわけであります。

 こうしたことを通して、子会社における委員御指摘の人件費等についても、結果として一定の成果を得られることになるだろうというふうに思料いたしております。

大口委員 そうしますと、その随意契約の一〇%ということはそうなんですが、今回の子会社、関係会社については、東電本体と同じ削減率になるということですか。それを前提とした計算なんですか。

松原国務大臣 そこの部分にはきちっとした部分の議論がなされてはいないわけでありますが、当然、委員御指摘のようなことはこういったことを通して実現できるように働きかけていきたいというふうに思っております。

大口委員 大臣、責任を持ってこれは、牧野副大臣もいらっしゃいますが、では、牧野副大臣、この子会社、関係会社についても、本体と同様、人件費削減、本体の水準は必ず実現するということを御答弁願えますか。

牧野副大臣 お答えさせていただきます。

 一兆円になんなんとする国費を投入して国家管理になっていくわけでありますから、もちろん今まで以上に、国民目線、国民の生活、あるいは中小企業等の経済活動にそごを来さないように、あらゆる面に目を配りながら、適正な価格、しかも、消費者庁ともよく連携をしながら納得のいく数字を出していくように努めていきたい、こう思っています。

松原国務大臣 所管は経済産業省でありますので、消費者担当大臣としては、今まで申し上げました合意文書の中で、少なくともそういった数字になることを強く期待したいと思います。

大口委員 廣瀬社長、今のを受けて決意を述べてください。必ずそうするということをお答えください。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 もとより、関係会社、子会社も含めてそうした指導をし、しっかり原価低減、コストダウンに努めていきたいというふうに思っております。

大口委員 では、調達についてお伺いしたいと思います。

 消費者庁は、競争入札比率については、一〇〇%を競争入札にすべきだということを主張されて、五年を待たずに可能な限り早期に、少なくとも六〇%を実現すべきである、こう主張し、そして、一定期間ごとに、契約別の情報、金額、件数、理由等を公表する仕組みを早急に構築する必要がある、こういうことで、七月十九日も、三大臣の会談の後、東京電力に対して、五年かけて競争入札比率を六〇%というのは余りにものんびりし過ぎている、やはりできるだけ早く競争入札率を六〇%にする、また競争入札の導入状況を公開するということを大臣も発言しているわけです。

 廣瀬社長、いつまでにこの競争入札比率六〇%を達成するか、お伺いしたいと思います。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 五年で六〇%というのは私が電気料金審査専門委員会で申し上げた数字でございますが、それでは不十分という御指導をいただいております。

 御存じのように、電力会社の持っている設備の中にはかなり特殊なものもございまして、そうしたものは、つくったメーカーがメンテナンスまでずっとするというようなケースが多うございます。したがって、そうしたものをメーカー以外のほかの会社でもメンテナンスできるというような技術をある程度持っていただかないと、競争状態にならないということもございます。

 したがいまして、時間のかかるもの、それからすぐにできるもの、いろいろございますが、とにかく御指導をいただいたとおり、それを今、前倒しにすべく、これから一生懸命やってまいりたいというふうに思います。

大口委員 では、その前倒しは大体どれぐらいですか。

廣瀬参考人 申しわけございません、今こちらで数字を申し上げられるまで詰まっておりませんが、とにかく少しでも多く、早くやっていくということで取り組んでいきたいと思っております。

大口委員 次に、事業報酬でございますが、これについて、二十四年から二十六年で平均二千八百十五億円ということであるわけですね。

 ただ、特に自己資本の部分について言えば、当面配当を行わないということですから、資金調達コストは、実はゼロなんです。だから、丸々一千七百億円というのは利益となるわけですね。そしてまた、他人資本におきましても、今回の基準よりは低いレベルになってくる。そういうことで、この事業報酬はしっかり利益としてつくわけですね。それが人件費等に流れていくということがあってはならない、こう思うわけです。

 特別負担金というのは、御案内のとおり、これは賠償の機構が賠償を交付国債という形で出して、それでやっていくわけですが、特別負担金でしっかりそれを賄っていくということであるわけですね。

 そういう点でいえば、やはり特別負担金の拠出の計画をちゃんと立てて、経営を合理化して計画を立てて、そして会計上もそれを区分していくということが私は大事だと思うんですが、社長はどうですか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、利益が出ればそこから特別負担金として賠償資金を返していくという仕組みになっております。したがって、それは主務大臣にいただいた計画のもとでこれからやっていくというルールになっておりますが、御指摘いただいたようなことも含めて検討していかなければいけないというふうに思っております。

大口委員 特別負担金を幾らどう返済するのかということは、目標をちゃんと立ててしっかりやっていただきたい、こういうふうに思います。

 次に、福島第一原発の五、六号機、それから福島第二原発の四基、この減価償却費でありますが、これは四百十四億円があるわけです。

 これについては、消費者庁は、当初、明快かつ合理的な理由に至っていないということで、原価に算入すべきでない、こういうふうに主張されたわけであります。ところが、今回、それが、原価算入は苦渋の選択としてやるということになって、理由を先ほど来述べておられるわけであります。

 しかし、福島県知事もあるいは県議会も廃炉ということを決議したり表明したりしておりまして、再稼働の可能性というのは事実上ない、こういうふうに考えているわけですね。これはもう常識になっているわけです。そういうことで、東電も、レートベースについては、その資産には算入しないということで、レートベースの資産に入れないということで、資産性はないということでやっているわけです。ただ、減価償却費については原価に算入すると。

 これは論理的に矛盾しているんじゃないんですか。大臣、どうでしょう。

松原国務大臣 今の委員の御指摘も、実は検討会でも議論になったところでありまして、非常に傾聴に値する部分もあろうかと思いますが、繰り返し申し上げますが、原価算入をしないで会計上資産価値の減損が行われた場合、結果として安定供給それから賠償等々に関する同時達成を図る枠組みに支障を来すおそれがあるというこの一点が、やはり結果として、我々が当初、原価算入するべきではないと言っていたことの中で、苦渋の判断の中で、一応、合理的説明という認識に至ったところでありまして、大変苦しい答弁でありますが、委員の言っている意味も含め議論があったこともここで申し上げておきたいと思います。

大口委員 これは、減価償却費が四百十四億円ですね。ですから、三年分で千二百四十二億円です。大臣は、これを減価償却費と認めない場合は一兆円国民負担が増になるとおっしゃいましたが、この関係性はどうなんですか。

松原国務大臣 申し上げましたのは、おっしゃっている一兆円というのは、一兆円の公的資金の投入等財務基盤の強化によって賠償、原子炉廃止措置、電気の安定供給の同時達成を図る枠組みに支障を来すということでおっしゃったんだと思いますが、今申し上げたとおりであります。

大口委員 ですから、この一千二百四十二億円を、要するに、消費者、利用者の方になぜ負担させるんですか。

松原国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、こういったものを負担させることは不適切であるという認識は、我々は十分に説明を聞かないと了解できなかったわけでありますが、申し上げたように、電気の安定供給と賠償がきちっと行われるという枠組み自体に大きな影響を与えるという、その判断の中で苦渋の判断をしたというふうに申し上げているところであります。

大口委員 苦渋の判断とかですね。賠償をやらなきゃいけないのは当然ですよ。安定供給も当たり前なんです。ただそういう簡単なフレーズでこのことを、要するに、明快かつ合理的な説明があったと認めるというのはおかしいんじゃないですか。もっと計算をして、緻密に、国民の皆さんに、こうこうこういうことだから、こういう影響があるからということが説明されなきゃいけないと思いますが、そういうふうになっているんですか。

松原国務大臣 この問題に関しては、申し上げるまでもなく、東京電力に対するさまざまな金融支援の枠組みに対する影響がどうなるかということでありまして、そこの判断はそれぞれの金融の関係の会社が判断することであって、その判断の中で、これは難しいのではないかという報告といいますか、そういった説明がありまして、それを了としたということであります。

大口委員 では、その明快かつ合理的な説明を消費者庁として発表してください、詳細に、文章で。そしてまたホームページに。また記者会見で。お願いします。

松原国務大臣 繰り返しの御答弁になって恐縮でありますが、福島第一原発五、六号機及び福島第二原発に係る減価償却費について、会計上の扱いとしては、事業者として正式に廃炉の決定を行っていないということが一点あります。また、原価算入せず会計上資産価値の減損が行われた場合、一兆円の公的資金の投入等財務基盤の強化によって賠償、原子炉廃止措置、電気の安定供給の同時達成を図る枠組みに支障を来すおそれがあるということに尽きているわけでありまして、このことを申し上げているところであります。

大口委員 それで国民の皆さんが納得するのか、特に料金を値上げされている方が納得するのか、私は大変疑問だと思います。もっと丁寧な説明が必要です。そういう簡単なフレーズで説明できるんだったら苦労しませんよ。だから、消費者委員会も、消費者のプロジェクトチームの方も、それだけでは納得しないと思いますよ。まあ、その程度にとどめておきます。

 そして、福島原発の一から四の安定化費用、それから賠償対応費用、これも当初、原価に算入をすべきでない、こういう主張であったわけですが、これも認めるということであります。これは特別損失にすべきではなかったんですか。

松原国務大臣 これに関しても、検討会含め、委員御指摘のような議論もあったわけでありますが、申し上げましたように、こうした費用が原価算入されない場合、東電としての原子炉廃止措置、賠償といった責務が果たせなくなるとともに、結果として国民全体の負担にならざるを得ないということの説明を受けて、一応、苦渋の中で了としたということであります。

大口委員 特別損失ということは考えなかったんですか。

松原国務大臣 検討会の議論の中では、そういった議論もあったところであります。

大口委員 これは、安定状態への回復まで九千億の特別損失という扱いをしたわけですね。それと、これまでの、要するに原発で、通常の廃炉過程の場合の維持とは違うんですね。事故を起こさなければこういう費用は出なかったわけですから。そういう点では特別損失の扱いにすべきではなかったんですか。大臣、どうですか。

松原国務大臣 先ほどの五号、六号の減価償却、これよりは、委員御指摘のような要素というのはこちらの方があるのかもしれないという議論もありました。ありましたが、結果として今申し上げましたような結論になったところであります。

大口委員 次に、東電病院についてお伺いします。

 先ほど、八・四七が八・四六になった、これについては、東電病院の費用について、人件費だけじゃなくてそれ以外も認めないということでそうなったんじゃないですか。牧野副大臣、お願いします。

牧野副大臣 お答えさせていただきます。

 申請原価においては、人件費の十一・九億円と、それから設備関連費四・五億円と、病院運営費等の一・五億円、合計十七・九億円等が盛り込まれていたところは委員御指摘のとおりでありますし、先般、関係閣僚会合で了承された査定方針では、福利厚生費に対する査定の一環として、設備関係費を全額カットするとしていたわけであります。

 その後の報道等を踏まえて、売却が行われる可能性があることを考慮して、人件費等につきましてもカットすることにした、こういう次第でございます。

大口委員 そうしますと、十七億円ぐらいの費用はもう原価に入れない、こういうことになったわけですから、東電の病院を維持するということになると、利益からこの経費を出すことになるわけですね。やはり、利益というのは特別負担金に回さなきゃいけないものですよね。そういうことからいきますと、当然、東電病院は即刻売却しなきゃならない、こう思いますが、いかがですか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 もとより、東電病院のあり方につきましては、この事故が起こる前から私ども検討を始めてきております。どうしたらしっかり役割を果たしつつコストダウンできるかといったようなことでございます。

 今回、事故が起こった後も、福島第一原子力発電所で働いている協力企業の皆さんを含む、頑張っている人間の医療支援という役割も今担っておりますので、そうしたことを踏まえながら、これからどうやっていくかということについて、至急検討していきたいというふうに思っています。

大口委員 ただ、今回の査定で原価に入れないわけですね。そうすると、東電病院のいろいろな経費は、一切利益から出すということになりますね。それはおかしいんじゃないですか。

 そして、料金には影響しないけれども、利益から出すということは、そういうためのお金があるのであれば、もっと実は電気料金を下げることになるんじゃないですか。下げられるわけでしょう。おかしいんじゃないですか、社長。ここはもう即刻、今から売却するということを宣言していただかないと、納得できません。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 おっしゃるように、原価に算入いただいておりませんので、その費用につきましては、先生おっしゃるようなところからひねり出さなければいけないということになりますので、大至急検討を進めて、また、売却するということになれば、当然しっかりとしたお値段で売却しなければ、私どもの資産でございますので、それらも踏まえて検討していきたいというふうに思います。

大口委員 検討じゃなくて、売却するとここで宣言していただいて、それから具体的な方法について検討してください。どうですか。

廣瀬参考人 繰り返しになりますが、今、福島の医療支援という役割も担っておりますので、それも踏まえてどうしても検討していかなければいけないというふうに思っております。

大口委員 猪瀬副知事もおっしゃっていますけれども、それこそ一人行く程度だというようなことも明らかになっています。今の社長の説明は全く納得できません。これでは、利用料金を、電気料金を上げられている人は納得しませんよ、今の答弁では。

 どうなんですか。医療支援はそんなにやっているんですか、具体的におっしゃってください。

廣瀬参考人 こちらから出向いて医療支援するというのもございますし、そこで働いている人間が病院に来るという支援もございますので、とにかく、御指摘のとおり、今のままではいかないというのは認識しているところでございますので、しっかりやっていきたいというふうに思っています。

大口委員 今回、消費者団体の方々も大変熱心にやっていただいたわけです。電気料金の審査専門委員会に消費者代表を、これはオブザーバーで出ておられるわけですが、正規の委員として参加をしていただくようにしなきゃならない、こう思いますが、経産副大臣、お願いいたします。

牧野副大臣 お答えをさせていただきます。

 今回の最終的な認可に当たりましては、公聴会や「国民の声」による意見募集を行うとともに、消費者庁との協議を行うことにより、消費者の意見も十分に反映してきたもの、こういうふうに考えておりますが、さらに適切な消費者の参画の拡大を図っていきたい、こういうふうに思っています。

大口委員 では、正規の委員として入れるということでよろしいですか。

牧野副大臣 それを含めて、できるだけ国民の生の声を反映できるように努めていきたいと思っています。

大口委員 いずれにしましても、三十分の質疑があったわけですが、これで本当に電気料金の値上げというものに対して、政府が本当に説明責任を果たしているのか、また、東電といたしましても、東電病院について、政府として今回、査定で認めないと言っているにもかかわらず、まだ検討すると。これで本当に電気料金の負担をされている方が納得できるのか。私は納得できないと思っております。

 しっかり、またこれからフォローアップ等も厳しくやっていかなきゃならないと思いますけれども、見ていきますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、私の方からは以上でございます。ありがとうございました。

阿久津委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 きょうは東電社長の廣瀬参考人に来ていただいておりますので、最初に廣瀬参考人の方に幾つか伺いたいと思います。

 まず、値上げ申請をやったその主な理由は、福島事故による原発停止で、火力のたき増しで経費が上がったということが大きな理由になっています。ですから、値上げと福島原発事故は直結しているわけですね。

 実は、この問題について、三・一一福島第一原発事故以前に、もう何年も前から国会で、地震と、それから津波については、今回、押し波が中心ですが、押し波と引き波によって全電源喪失から炉心溶融に至る、この問題と、引き波が大きくなればそもそも機器冷却系の冷却水がとれなくなって冷却機能を失うという問題など、繰り返し指摘してきました。

 しかし、TEPCOの方はこれに全く対応しませんでした。二〇〇八年には東電内部でも敷地内部で十五・七メートルの波高を想定していたわけですが、これは対策経費がかかるということを理由にして、三・一一以前にとるべき対策をとらなかった、措置をとらなかった。

 この点では、想定して考えていたこと、考えるべきこと、考えられたことをやらなかったということが問題ですから、まず最初に廣瀬参考人に伺っておきたいのは、この事故は人災ですね。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 幾つかの今回の事故の調査報告書、今出そろったところでございます。それらも含めまして、事故の原因を徹底的に究明して、こうしたことが二度とないようにしていくのが私どもの務めだと思っております。

吉井委員 務めはわかっているんです。人災ですねと聞いているんです。

廣瀬参考人 あれだけの大きな津波を想定し得なかったということによって今回こうした事故が起こったということで、大変残念に思っておりますが、人災か天災かということに関しましては、これから、事故調査の報告も出そろったところでございますので、しっかり、とにかく対策をしていかなければ、二度とああしたことを起こさないようにということの観点から考えていかなければいけないというふうに思っております。

吉井委員 想定外とか余り寝ぼけたことを言ってもらっちゃ困るんですよ。超党派で、国会で事故調査委員会をつくったんです。国会事故調の報告がきちんと出ているんです。これは、幾つかあるうちの一つの話じゃないんですよ。国会としては最も権威のある報告書であるわけなんです。この国会事故調では、想定外の津波主因説は誤りだ、自然災害でなく明白に人災だとしているんです。

 あくまで自然災害だとして、何かTEPCOも被害者であるかのような話で値上げするようになったというお考えなんですか。

廣瀬参考人 私ども、今、福島県を中心に大変多くの皆さんに、一年四カ月を超えて、なおかつ今なお大変な御迷惑、御心配、御不便をおかけしておりますことについて本当に申しわけなく思っておりまして、それの賠償や事故の復旧に今当たっているところでございます。

 とにかく、私どもとして、こうしたことが二度と起きないようにしていくというのが最大の使命だというふうに思っておりますので、しっかり事故の原因も究明しつつ対策をとっていきたいというふうに思っております。

吉井委員 国会を余り軽く見てもらっちゃいかぬと思うのですよ。

 国会事故調報告では、想定外の津波主因説は誤りだ、自然災害でなく明白に人災だとしているんです。ですから、今いろいろ被害者に補償したり賠償したりやっているというお話ですけれども、これを人災としてきちんと自覚して取り組むのか、何か自然災害に自分も巻き込まれたかのごとく理解してやるのかというのは、基本的スタンスが全然違ってくるんですよ。私は、国会というものを、国権の最高機関である国会が設置した事故調査委員会の報告書というものをもっと真面目に受けとめて考えてもらわなきゃいかぬと思うんです。

 次に伺っておきますが、最新のTEPCOの発表したものを読んでいますと、燃料費申請額は、二〇一二年から一四年の三年平均で二兆四千五百八十五億円、そのうち、火力燃料費で二兆四千四百七十五億円となっておりまして、原発停止により、三年間平均で四千五百四十七億円の火力燃料費の大幅な増高が主因ということになっています。

 ところで、火力の中で石油を減らして天然ガスをふやすというわけですが、そのガスが一兆七千七百六十四億円ということになっているんですが、同じガスでも、二〇一二年五月の直近のデータを見てみますと、LNGの単価が輸入LNG受け入れ揚げ地ごとに大きく違いますね。

 例えば、サハリンから袖ケ浦基地に荷揚げしたものは、トン当たり三万一千七百十九円。ところが、同じ千葉県にある富津の基地ではトン当たり七万四千九百七十五円、川崎の扇島の基地ではトン当たり六万一千百四十七円と、ばらばらですね。二倍も違う。

 価格交渉をやって袖ケ浦並みに安くする努力をすれば、今円高による効果も生まれているわけですから、値上げ申請額というのはもっと安くなるんじゃないですか。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 先生御存じのとおり、LNGの輸入は長期契約に基づくものがかなりの部分を占めておりまして、その長期契約の中で価格を決定するフォーミュラというのがございまして、その辺をしっかり見直していきませんと、なかなか価格の構造に踏み込んでしっかりとしたコストダウン、燃料費の削減をしていけないというふうに思っております。

 私ども、これからもしっかり、スポットも含めて、短期契約も含めて、一方でその安定調達というのが必要でございますので、産地もいろいろ分けてしっかりやっていきたいと思っております。

吉井委員 私、今、産地別の話をしたんじゃないんです。

 私も、ちょうどまだ建設中だったサハリン・プロジェクトを鳩山邦夫さんらと一緒に調査に行ったことがあるんですよ。そこから出ている同じサハリンからのLNGで、なぜ二倍も価格が違うのかと。これは、積み出した時期というのは余り変わらないわけですね。こういう不透明なことを曖昧にしたまま、何か金がかかるから当然みたいな顔をして値上げ申請というのはおかしいと思うんですね。これらをやはりきちんと公開しなきゃいけないと思うんです。

 LNG供給側の商社と組んだ企業にも、東電が出資している商社がありますね。この商社が購入側の東電と価格交渉すれば、商社が高い燃料にすれば、高い燃料で商社ももうけるが、東電も利益が出るわけですね。購入燃料の方は、燃料費調整制度と総括原価方式のために、東電の電気料金の値上げで転嫁すれば別に東電は困らないわけですよ、TEPCOは困らないという仕組みですね。

 燃料費調整制度というのは、燃料費抑制への企業努力の誘因がなくなり経営が安易に流れると、これまでから指摘されてきた問題ですよ。ですから、この燃調制度というあり方にメスを一つ入れなきゃいけないんです。

 そこで伺っておきたいんですが、実は、TEPCOトレーディングという会社が三菱商事と共同出資して、セルトという、これは日本法人ですね、セルト社をつくっていると思うんですが、これは間違いありませんね。

廣瀬参考人 御指摘のとおり、間違いございません。

吉井委員 このセルト社というのは、オマーンからのLNGの購入と販売権を持つ商社ですね。この会社はそういう企業ですね。

 ここからTEPCOはLNGを購入しておりますが、ガス年鑑という皆さん方の業界誌によると、東電向けのものについては原油価格にリンクすると。JCCで購入しますから、二〇〇八年のデータで見れば、百万BTU、イギリスの熱量単位であらわすわけですが、十四ドルですね。一方、一緒に共同出資している三菱商事の方は、アメリカ向けに売る方は、これはヘンリーハブにリンクするということになっておりますから、同じ百万BTU当たり二ドルですね。七倍も価格が違いますね。

 TEPCOトレーディングが三菱と一緒につくった企業が、東電にはアメリカに売るよりも七倍も高い価格でLNGを売っている。これは誰が考えてもおかしいと思うんですが、これが実態じゃないですか。

廣瀬参考人 おっしゃるような、三菱商事と一緒につくった会社がそうしたトレード、売り買いをしているということでございますけれども、一つ一つの中身につきましては、守秘義務契約がございまして、私ども、存じ上げておりません。

吉井委員 しかし、こんなもの、LNG価格の、日本の購入価格が幾らでアメリカは今幾らかというのは、もうこれは国際的にデータとして公表されているじゃないですか。これは守秘義務の話じゃないと思うんですよ。

 そんなことを言って、わざわざ東電が出資した会社から、アメリカには二ドルで売り、東電は七倍の十四ドルで買う。燃料費が高くなるのは当たり前じゃないですか。なぜそれを、国民に電気料金として値上げを押しつけるのか。これは誰が考えてもおかしいじゃないですか。

 やはり、こういうことをちゃんとしないで値上げ申請をしているということは、私は本当に許されない事態だと思うんですよ。燃料費調整制度に甘えているから、アメリカは二ドル、日本は十四ドルでLNGを買っても、燃料費調整制度で幾らでもそれは転嫁できるんだ、この発想が企業としての経営努力を甘くしてしまったと思うんですよ。

 最後に、福島原発事故で外部にまき散らした放射性物質により汚染した財物の問題について伺いますが、東電はこれを無主物と言っているんですね。しかし、国会事故調で、被害を受けた双葉町の井戸川町長より、とんでもないと怒りの発言がありました。

 社長として、やはり被害者にきちんと謝罪して、この無主物という言葉はもう撤回するとやるべきじゃないですか。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 無主物という言葉は、あるゴルフ場の訴訟の中で用語として使ったということでございます。先生も御存じのとおり、その意味は、フェアウエーの芝生の上におりてしまった放射性物質については、放射性物質だけを取り除くということはできませんので、そういう状態になってしまった放射性物質について無主物という名前を使ったというふうに聞いております。

 確かに、福島の皆さん、放射能で今困っていらっしゃる皆さんにとって大変不愉快な言葉だというふうには思っております。これは法律の訴訟の中で使われたということでございますが、このようなことのないように、これからもしっかり指導していきたいというふうに思っております。

吉井委員 私、これはゴルフ場の芝生の問題だけじゃないと思うんですよ。

 福島の原発周辺の人たちが車を路上にとめておいた、ボンネットの上に放射性物質がたまった、余りにも線量が高いために乗れなくなった場合、あれは無主物だ、そんなふうに言われてしまったら、放射能汚染にさらされて被害を受けた人にとっては、これは全くたまったものじゃないと思うんですよ。だから、私は、双葉町長の怒りは当然の声だと思うんです。

 最後に、財物を放射能汚染させた責任はやはり東電なんだということを肝に銘じてやっていただきたいということを申し上げた上で、松原大臣に伺っておきます。

 消費者庁のもとでのチェックポイント検討チームをつくりましたね。その査定方針案に対する評価において原価に算入すべきでないとしてきた、一Fの五、六号機と二Fの一号から四号機の減価償却費、それから安定化維持費用、賠償対応費用、そして、そもそも原発が停止して電力を買うことのできない日本原電の電気を、電気を買ってもいないのに買ったことにして購入電力費として、これら全てを原価に算入してしまっているんですね。これが大幅値上げとなっているわけです。

 これについては消費者からも随分さまざまな声がありましたが、この消費者の声は単なるガス抜きという扱いで、消費者庁のもとのチェックポイント検討チームの査定方針案に対する評価においても原価算入すべきじゃないと言ってきたこと、それを全部原価に算入して大幅値上げ、これは、消費者行政を預かる大臣として一体どのようにその責任を考えているのか、伺っておきたいと思います。

松原国務大臣 消費者庁では、古城誠氏を座長として、チェックポイント検討チームをつくってきたところであります。

 経済産業省による最終的な査定作業において、人件費について、料金原価算定期間、三年間、各年における管理職の年収を震災前と比べて三割引き下げる等、消費者庁からの意見が一定程度反映されたものがあるとも認識をしております。また、今回一番重要なことは、先ほどから議論がありますように、フォローアップにおいて料金の適正性を継続的に確保していく仕組みの整備等は、消費者庁の意向を踏まえ、経済産業省側と同意をしたところであります。

 その一方で、今、委員御指摘のように、従来我々が原価算入するべきではないと言ったものを、大幅に原価算入を認めざるを得ないことになったところであります。

 その意図は、このことを原価算入せず会計上資産価値の減損が行われた場合、一兆円の公的資金の投入等財務基盤の強化によって賠償、原子炉廃止措置、電気の安定供給の同時達成を図る枠組みに支障を来すおそれがある。仮に原価算入せず会計上資産価値の減損が行われた場合、一兆円の公的資金の投入等財務基盤の強化によって賠償、原子炉廃止措置、電気の安定供給の同時達成がまさに支障を来されるということでありました。

 また、一千三億の日本原電の方の議論も今先生の方から出たわけであります。

 これに関してもさまざまな議論があったところでありますが、対象となっている原発が東北電力や日本原子力発電と東電との共同開発と認められること、したがって、その人件費、修繕費や減価償却費等について自社電源同様に負担する必要があるとの説明がありました。

 他方で、減価償却費や固定資産税など効率化努力の見込めない費用を除く修繕費や委託費などで三十七億円を削減する等、当庁からの意見も踏まえての対応がなされたということでありまして、最終的には、原価算入に関して、こういったことを踏まえ、総合的に判断をしたところであります。

吉井委員 時間が来たという札が来ましたから終わりますけれども、日本原電というのは地域独占の外にあるわけですね。どういう資本構成であるにしても、いわば事実上、発送電分離をやっている企業なんですよ、一民間企業なんですよ。そこが電気をつくって東電が買うならば、これは他社購入電力費と同じように当然原価算入するのは普通だと思うんですけれども、そもそも原発がとまって電気が売れないんですよ。電気を買ってもいないのに、その分まで東電管内の消費者の皆さんに電気代値上げの中に入れて押しつけるというのは、とんでもない発想だ。

 私は、やはり消費者担当大臣として消費者の立場で働かなきゃいかぬ、このことを申し上げて、時間が参りましたので質問を終わります。

阿久津委員長 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社民党の吉泉秀男です。

 質問時間十分という非常に短い時間でございますので、簡潔に質問をさせていただきたいと存じます。

 まず初めに、廣瀬社長の方にお伺いをさせていただきます。

 普通の企業であれば、不良品なり欠陥商品を出して事故を起こす、こういった場合については、まさにその回収や賠償の問題、それは全て会社の責任でやるのが筋でございます。しかし、今回の電気料金について、安定供給という名のもとに、さらには燃料費そのものの大幅な使用といった部分の中で、全ての部分について電気料金の値上げの根拠になっているわけでございますけれども、なかなかそのことについては認められる状況にはならない、こういうふうに自分は思っております。

 その中において、なぜ、今の福島の原発事故の安定維持の費用、さらには減価償却費、こういった部分を入れて申請をしたのか、一つお伺いをさせていただきます。

 それから二つ目は、今の自由化部門の関係の中においての考え方でございます。

 それぞれ、今もう既に値上げをして、そして中小企業の方から相当の反発なんかもあるというふうにも聞いております。今回、規制部門の中において、人件費なりそういうものが全て総括原価方式の中で見直されたわけでございますけれども、このところの状況について、自由化部門の値上げをしたその影響、さらには今回の規制部門の中でなった根拠、こういうものも入れて自由化部門の値下げという部分は考えているのかどうなのか、これが二つ目でございます。

 それから三つ目として、マンションの共同部分の電気料金について、相当、マンションに居住をしている人方の方から、共用部分、エレベーターなり廊下の問題なり、ここのところが今、家庭用ではなくて自由化部門、企業の方の料金で徴収をされているわけでございますけれども、それぞれマンションというふうになれば全て家庭用電気料金でやるべきだろう、こういうふうに私は思っております。このことについて、どういう考え方を持っているのか。

 三点、お願いします。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 福島第一原子力発電所一号から四号の減価償却費につきましては、御存じのように、廃炉費用そのものは私ども特別損失として計上しておりますので電気料金には入れておりませんが、今なお、安定的に維持していくために、残念ながら長い時間がかかりますけれども、経常的に費用がかかっております。したがいまして、その経常的な部分について電気料金でお願いを差し上げたという次第でございます。

 二つ目の自由化部門についても、今回の電気料金の見直しを受けてという話でございましたけれども、当然、四月から自由化部門のお客様に値上げをお願いしているのは、ある意味、燃料費の部分だけを取り急ぎお願いをしたということがございまして、それ以外の人件費であるとかもろもろの部分については、今回、しっかり査定をいただいて、家庭用も含む会社全体の費用を改めまして見直しましたので、それに基づいて自由化部門のお客様も電気料金を見直しました。

 その結果、四月からお願いしておる電気料金よりも一キロワットアワー当たり二十五銭程度安くすることになりましたので、新しく二十五銭下がった部分で今度、自由化部門のお客様には電気料金をお願いすることになりますし、なお、四月から二十五銭高い電気料金でお支払いを既にしていただいているお客様については、その部分を十月の電気料金でお戻しするということと、それから、いわゆる金利相当分ということで一銭を加えまして、一キロワットアワー当たり二十六銭を十月分でお返しするということになっております。

 それから三つ目でございますけれども、マンションの共用部分の電気料金でございますけれども、これは高圧で受電をされておりますので自由化部門の扱いになっておりますが、今回、値上げ率がそちらの方が高くなってしまうのは燃料費の調整が主でございますので、規制部門も自由化部門もほとんど同じような電気料金の値上げ幅になっております。ところが、高圧で受電をされているマンションの共用部分などはもともと電気料金がお安くなっておりますので、率としてはどうしても高く見えてしまうことになります。

 したがって、家庭用の電気料金をそうした共用部分に適用しますとむしろ電気料金が高くなってしまいますので、何とぞ御理解をいただきたいというふうに思っております。

吉泉委員 私ども社民党本部の中においても、今、早い段階でこの値上げの問題について担当者が来まして、まだ契約していない、こういう状況がございます。その中で、先ほどから言われているような契約の更新、こういった部分が進むのかどうなのか、丁寧な対応をお願い申し上げたい、こう思っております。

 次に、経産省の方にお伺いをさせていただきます。

 大変、消費者大臣の方とのいろいろな意見のそれぞれ調整があったというふうにも思っております。七月に経産省で出した申請に係る査定方針の中にも出ているわけでございますけれども、実質、今社長から出された福島原発の関係なんですけれども、経産省としては、このところの減価償却なりを入れたということについては、やはり廃炉という部分についてきちっと今の段階で言えないのかどうなのか、そのところをまずお伺いさせていただきます。

中根大臣政務官 経産省でございます。お答えを申し上げます。

 もちろん、再稼働ありきということではありません。福島第一原発の五号機、六号機及び福島第二原発につきましては、会計上の扱いとして、正式に廃炉の決定を行っていない以上、原価算入を認めることはやむを得ないものと考えております。

 仮に、原価算入を認めず会計上資産価値の減損が行われた場合、原子力損害賠償支援機構法に基づき一兆円の公的資金の投入等財政基盤の強化によって賠償、原子炉廃止措置、電気の安定供給の同時達成を図る枠組みに支障を来すおそれがあるという考え方のもとでございます。

吉泉委員 そのことがちょっとわからないんですよ。今のああいった状況を見れば、もう廃炉しかない、こういうふうに思うんですよね。だから、それはやはりきちっと言う。そのところについてどういうふうに進めていくのか。その部分を、今の電気料金の関連をどういうふうに整理しながら消費者の方にお願いするのか。こういった部分をしていかないと、ただ、今の公認会計士とか会計上の問題ということで逃げてはいけないんだろう、私はこういうふうに思います。

 もう一度考え方をお伺いします。

中根大臣政務官 これは消費者担当大臣の方からもお話があったかとは思いますけれども、万が一、万が一といいますか、仮にこういったものを原価算入しない場合に、一兆円という公的資金の投入ということでは足りなくなってしまって、最終的に国民負担増ということに及びかねないおそれがあるということはぜひ御理解を賜りたいと思います。

吉泉委員 あと時間がなくなりました。消費者大臣の方にお伺いさせていただきます。

 大変、この間のマスコミ、さらには大臣がとった言動については、私は率直に評価をしたい、こういうふうに思います。

 その中で、また、あす金曜日でもございます。それぞれ再稼働の問題、いろいろな部分が今、何かしら策がされているようなそういう状況もございますけれども、国民から見れば、絶対再稼働はあり得ない、こういう立場で運動が進んできておるわけでございますけれども、消費者の立場に立って、これからの、料金の問題も含めながら、今の原子力発電の、さらには再生エネルギー等々の問題も含めて、大臣としての見解をお伺いさせていただきます。再稼働に対する見解。

松原国務大臣 先ほど来御答弁を申し上げておりますように、消費者担当大臣としては、消費者目線がこういった価格決定において原価算入というレベルで生かされるかどうかについて、所掌の中で精いっぱい汗を流すということになろうかと思っております。

 今委員御指摘の部分に関しては、消費者庁を超えた国民的議論の中で、政府全体で扱うべきものというふうに認識をいたしております。

 以上です。

吉泉委員 重々わかります。しかし、ぜひ大臣としての、一つの自分のモチベーションの中で頑張っていただきたい、こういうことをお願いして、時間が来ましたので終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

阿久津委員長 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 ラストバッターになりますと、用意してきた質問、大体前の委員に聞かれてしまいまして、ちょっと同じ質問になったりするかもしれませんが、別の角度からお答えいただければと思います。

 最初の質問はスキップさせていただきます。二番目の質問から始めます。

 東電の子会社あるいは関連会社のコスト削減ということについて、先ほど公明党の大口委員からも同様の質問がありましたけれども、子会社、関連会社のコスト削減はまだまだ不徹底ではないかというふうに思います。報道でも、割高な調達を行っているんじゃないかというような指摘もあります。恐らく、東電の本体はこれまである程度コスト削減の努力をしてきたと思うんですけれども、子会社、関連会社、それから孫請とか、どんどん奥に行けば行くほど見えにくくなって、コストの監視というのは難しいと思います。

 私は、ここ一年半ぐらい衆議院の経産委員会の委員をやっておりますが、経産省という役所を見ていると、いつも産業界、企業の側の視点に立って、全然国民の視点に立っていないという印象を受けます。経産省に対して、私は非常に不信感を持っています。

 その点、消費者庁は、これまでの議論を見ても、非常に消費者の目線、国民の視点で頑張っていただけているというふうに思います。最後はちょっと、かなり経産省に押される形になったかもしれませんが、松原大臣、健闘していただいたと私も評価しております。ぜひ、松原大臣には闘っていただきたいと思います。経産省と闘う、国民のために経産省と闘う消費者庁になってもらいたい、そういう期待を込めて質問をさせていただきます。

 消費者庁は、これまで東京電力の電力料金がどうとか、それほど深く関与してこなかったと思いますが、ぜひこれからは、コストの削減などについても消費者の目線を踏まえた上で電力料金が決められるように、経産省だけに任せてはだめだと思いますので、経産省ではなくて消費者庁がもっと前面に出てもらいたいと思います。その点について、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

松原国務大臣 経済産業省と闘うのではなくて、経済産業省と協議をしながら、消費者目線を確立していくということが重要だろうというふうに思っております。

 今委員御指摘の点におきましては、今回は八・四六ということになりましたが、そのフォローアップに関してさまざまなデータや情報を出すということを決めましたり、また透明性確保や消費者の参画という点から、先ほども御議論がありました、消費者の委員がそういった委員会に入るということも前向きにきちっと考えるというふうなことも経済産業省との間の取り決めで行われたところでありまして、こういったことを通して消費者目線が反映されるようにしていきたいし、今回のことを通してそれがまた実現をしていかなければいけないものであるというふうに思っております。

 結果に対しては、私は、はっきり言って、十分な、満足をするものではありませんが、これからの課題をまた積み重ね、そして消費者目線を確立する上での一つの塚にはなったのではないかというふうに思っております。

山内委員 経産省と東電というと、もう何十年もべったりの、まあ癒着と言ってもいい関係がありますので、消費者庁という新しい、手あかのついていない省庁のトップとして、松原大臣にはぜひ闘っていただきたいと思います。野党時代の松原大臣のいいところは闘う姿勢だったと思いますので、大臣になってもその姿勢を失わずにいていただきたいと思います。

 次に、東京電力に質問をさせていただきます。今の関連会社の問題と関連しますけれども、天下りの自粛ということで質問します。

 きのう、経済産業委員会で枝野大臣に聞きました。東電の役員が、福島の事故の後やめた人がたくさんいる、やめたのはいいけれども、また関連会社に何食わぬ顔で天下っている、これはおかしいんじゃないかと質問しましたら、枝野大臣は、民間企業のやることですので、政府としては余り口出しできないという趣旨のお答えがありました。

 普通の民間企業が自分の関連会社に役員を天下らせる、これは、ある意味、全然問題ないと思います。自分たちで利益を上げて、自分たちの会社のことですから、政治家がとやかく言う筋合いはないと思います。しかし、東京電力の場合は、純粋な民間会社では決してありません。地域独占を許されて、総括原価方式のもとで市場の競争にさらされていない。そういう市場競争とは無縁の公益事業をずっとやってきたわけですから、一般の民間企業というよりは、むしろ公務員のような行動規範というか倫理規範が求められるんじゃないかと思います。

 そういった観点からいうと、三・一一以降に東電の幹部の役員が関連会社に天下る、これは国民の目線から見ておかしいと思います。その点について、東電はどのようにお考えなんでしょうか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 私どもの役員が退任後に他の会社に再就職するということは、もちろんございます。その場合も、当人のこれまでの経験なり知識なり、そうした技術なりを請われて、相手先の会社様から就任要請をいただいてやらせていただいているというところがございます。

 ただ、先生御指摘のように、皆さんの御意見なり、そうしたお考え、目線等々をこれからしっかり受けとめまして、考えていかなければいけないというふうに思っております。

山内委員 大体、中央省庁の官僚の天下りも、一応、形の上では請われてということになっているんですけれども、実際にはそういうものじゃないのは多くの人が理解しているところだと思います。本当に技術等を請われている人も中にはいるかもしれませんが、恐らくは、いろいろな利害関係のもとで、長年のおつき合いとか、そういう目に見えないことで天下っていると考えるのが常識的な判断ではないかと思います。

 特に、経営責任を問われて、勝俣元会長などは退任されました。退任じゃなくて解任されてもおかしくないような人が、日本原電の取締役にさっとなられている。こういったことを第三者が見ると、どう考えてもおかしいんじゃないかと思います。経営責任を問われている、問われるべき人たちが技術力で来てくださいと言われているとは、正直言って思えません。

 そこら辺の説明をもう一度お願いします。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 私どもの役員の再就職先の多くは、これまで当人が東京電力の中でいろいろ技術を磨いて経験を積んでという部門に関連する会社に就職するケースが多うございますので、まさにそうした技術なり知見を求められているんだろうなというふうに判断しているところでございます。

 もちろん、御指摘のように、事故が起こった後の消費者の皆さん、社会の皆さんの厳しい目というのもこれからしっかり意識して、一つ一つちゃんと見ていかなければいけないなというふうに思っております。

山内委員 恐らく、東電の元幹部がみんな天下っている子会社や関連会社に、もっとコストを削減しろとか、なかなか現役の社員は言いにくいと思いますから、こういったところを改めていただかないとコストの削減は進まないと思います。問題があると思いますので、ぜひ反省をしていただきたいと思います。

 今の答弁を聞いていると、全く東京電力は反省していないんじゃないかと、この三時間の質疑を聞いていて思いました。そこは政府として、松原大臣、しっかり御指導いただきたいと思います。

 次に、時間がないので最後の質問になると思います、消費者庁に質問したいと思います。

 総括原価方式を改めるというのは政府の方針としてもう既に決まっていることと思います。新しい電力料金の決め方をこれから検討していくと思うんですけれども、今後、もちろん消費者の代表をその決定の委員会のメンバーに入れるというのは、当然必要だと思います。しかし、料金の決め方を決める委員会の決め方も、やはりオープンな議論、国民の参加のもとで決めていく必要があるんじゃないかと思います。

 その点について、松原大臣、どのようにお考えでしょうか。

松原国務大臣 この決定過程のプロセスの透明化、そしてまた消費者の参画、納得というものは、これは、特にこういった公共料金の場合、極めて重要な要素だろうと思っております。

 先ほど申し上げましたように、今後とも、検討内容に応じ、消費者代表者を正規の委員とするなど適切な消費者の参画の拡大を図るということは明記をされているわけでありますが、今委員御指摘の点も含め、消費者庁においても、これからさまざまな議論をし、さまざまな主張をしていきたいと思っております。

山内委員 もう質疑時間は終わったようなので、最後、質問というよりも意見ということで、ぜひ消費者庁、何度も言いますけれども、国民の側、消費者の側に立って働く官庁というのはこれまで日本にはなかったんだと思います。そういった意味で画期的な消費者庁ですから、ぜひ余り経産省と仲よくせずに闘っていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

阿久津委員長 参考人の方、もう結構でございますので、御退室をお願いいたします。

     ――――◇―――――

阿久津委員長 次に、内閣提出、消費者安全法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。松原国務大臣。

    ―――――――――――――

 消費者安全法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

松原国務大臣 ただいま議題となりました消費者安全法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。

 消費者被害の発生または拡大を防止するために、消費者庁設置と同時に、消費者安全法が制定され、消費者の被害に関する情報の消費者庁による一元的な集約体制と当該情報に基づく適確な法執行の確保が図られたところであります。

 しかしながら、生命身体分野の消費者事故等の原因を調査究明し、再発または拡大の防止につなげる知見を得るための調査を行う体制は、十分には整備されておりません。社会が複雑化し、科学技術が進化した現代社会においては、消費者一人一人が注意するだけでは、生命身体被害に係る消費者事故等を避けることができない実態にあります。広く消費者が遭遇する事故等について、当事者の責任追及とは別に、その原因を科学的、専門的に調査究明し、再発または拡大の防止につなげることが消費者の生命身体の安全確保にとって重要であります。

 また、財産分野についても、依然として既存の法律では対応できない、いわゆるすき間における財産被害はなくなっておらず、迅速な対応がなされている状況にあるとは言えません。すき間において消費者の財産被害が発生または拡大し、事後的に行政として対応することの繰り返しであり、すき間を狙った悪質商法との闘いが消費者行政の歴史であったと言えます。

 このため、生命身体被害に係る消費者事故等を調査する機関を設置し、事故等原因の調査等に関する制度を整備するとともに、財産被害の発生または拡大防止のために内閣総理大臣が事業者に対して勧告等の措置をとることができるようにするため、この法律案を提出した次第です。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、消費者庁に、消費者安全調査委員会を設置します。消費者安全調査委員会は、生命身体に係る消費者被害の発生または拡大防止を図るため事故の発生原因や被害の原因を究明することが必要であると認めるときは、みずから立入検査等の権限を行使して調査を行うとともに、他の行政機関等によって行われる関連する調査等の結果の評価を行い、必要に応じて意見を述べ、活用することとしております。事故発生の際の被害の軽減を含め消費者被害の発生または拡大防止のために講ずべき施策及び措置について、調査や評価の結果に基づいて内閣総理大臣に対し勧告をし、あるいは適時に内閣総理大臣及び関係行政機関の長に意見具申を行うことができることとしております。

 なお、被害者に向き合うという姿勢が重要であるとの観点から、被害者等への回答制度を含む事故調査の申し出制度を設けるとともに、被害者等に対し適時適切に情報提供を行うこととしております。

 第二に、いわゆるすき間事案に関し、事業者に対する行政措置を導入します。消費者の財産上の利益を侵害することとなる不当な取引により多数の消費者に財産被害を生じさせる事態であって、すき間事案の場合には、消費者被害の発生または拡大防止のために内閣総理大臣がみずから事業者に対し勧告をし、命令をすることができることとしております。

 また、消費者庁と関係行政機関等との連携をさらに実効性あるものとするために、内閣総理大臣が消費者被害の発生または拡大の防止を図るために相当であると認めるときは、関係行政機関等に、消費者被害の発生または拡大防止に資する情報を提供することができることとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。

 以上です。

阿久津委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十五分散会


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