衆議院

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第6号 平成24年8月1日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十四年八月一日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 阿久津幸彦君

   理事 井戸まさえ君 理事 櫛渕 万里君

   理事 樋口 俊一君 理事 和田 隆志君

   理事 竹本 直一君 理事 永岡 桂子君

   理事 相原 史乃君 理事 大口 善徳君

      磯谷香代子君    緒方林太郎君

      川口  博君    工藤 仁美君

      桑原  功君    斉藤  進君

      高井 崇志君    橘  秀徳君

      玉木 朝子君    中屋 大介君

      永江 孝子君    仁木 博文君

      野田 国義君    橋本  勉君

      福田衣里子君    藤田 憲彦君

      水野 智彦君    宮崎 岳志君

      森山 浩行君    谷田川 元君

      山口 和之君    湯原 俊二君

      吉川 政重君    和嶋 未希君

      今津  寛君    小渕 優子君

      北村 茂男君    後藤田正純君

      近藤三津枝君    柴山 昌彦君

      平井たくや君    福井  照君

      松野 博一君    森山  裕君

      吉野 正芳君    加藤  学君

      川島智太郎君    小林 正枝君

      吉井 英勝君    重野 安正君

      浅尾慶一郎君

    …………………………………

   参議院消費者問題に関する特別委員長        山本 博司君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            松原  仁君

   内閣府副大臣       後藤  斎君

   内閣府大臣政務官     郡  和子君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    舟本  馨君

   政府参考人

   (消費者庁次長)     松田 敏明君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    川口 康裕君

   衆議院調査局第三特別調査室長           仲川 勝裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月一日

 辞任         補欠選任

  斉藤  進君     湯原 俊二君

  玉木 朝子君     水野 智彦君

  仁木 博文君     高井 崇志君

  宮崎 岳志君     桑原  功君

  山口 和之君     谷田川 元君

  後藤田正純君     小渕 優子君

  野田 聖子君     森山  裕君

  吉野 正芳君     松野 博一君

  吉泉 秀男君     重野 安正君

  山内 康一君     浅尾慶一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  桑原  功君     橋本  勉君

  高井 崇志君     仁木 博文君

  水野 智彦君     吉川 政重君

  谷田川 元君     山口 和之君

  湯原 俊二君     斉藤  進君

  小渕 優子君     後藤田正純君

  松野 博一君     吉野 正芳君

  森山  裕君     野田 聖子君

  重野 安正君     吉泉 秀男君

  浅尾慶一郎君     山内 康一君

同日

 辞任         補欠選任

  橋本  勉君     橘  秀徳君

  吉川 政重君     玉木 朝子君

同日

 辞任         補欠選任

  橘  秀徳君     宮崎 岳志君

    ―――――――――――――

七月三十一日

 特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四八号)(参議院送付)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 消費者安全法の一部を改正する法律案(内閣提出第三四号)

 特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四八号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

阿久津委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、消費者安全法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局長舟本馨君、消費者庁次長松田敏明君、消費者庁審議官川口康裕君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

阿久津委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

阿久津委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。緒方林太郎君。

緒方委員 民主党、緒方林太郎でございます。

 この消費者特、二回目のバッター立ちでありまして、当てていただきましてありがとうございます。

 この消費者安全法の一部改正法律案でありますが、これまでのさまざまな消費者事案に対する対応ということで、今回のこの一部改正ということになっているんだと思います。

 まず大臣にお伺いをいたしたいと思うのは、この法律の改正案の目的、狙い、経緯等についてお聞かせいただければというふうに思います。

松原国務大臣 お答えいたします。

 生命身体分野の消費者事故等の原因を調査究明し、再発または拡大の防止につなげるための知見を得るための調査を行う体制は、十分に整備されておりません。こうしたことを背景に、広く消費者が遭遇する事故等について、当事者の責任追及とは別に、その原因を科学的、専門的に調査究明し、再発または拡大の防止につなげることが本改正の目的であります。

緒方委員 ということで、消費者安全調査委員会というのが新しくこの法律によって設けられるということであるわけですが、消費者行政ということで広く見ますと、私のイメージからすると、今回新しく、八条委員会という、審議会等ということでこの委員会が設けられるわけでありますが、既に内閣府の八条委員会ということで消費者委員会が存在し、そして、消費者庁の八条委員会ということで今回この安全調査委員会ができ、そしてさらには、国民生活センターという組織もある。これは既にもう方向性が消費者庁の方で出ているとは思いますが、現時点においてはまだそういった組織が残っている。

 非常に組織が複雑化、ふくそう化して、権限が入り組んでいるような印象があるわけでありますが、今、行政改革等々進められる中、消費者行政に少なくとも四つの組織が存在していることについて、大臣、いかがお考えでしょう。

松原国務大臣 御指摘のことはそのこととして、今回の八条委員会でありますが、こうしたものができることによって、やはり、消費者の生命身体にかかわる事案に関しての真相究明ができる、再発防止、拡大防止ができるということは意味があると思っておりますが、委員の御指摘の部分も、消費者目線の観点から、それは今後の一つの検討課題としていきたいと思います。

緒方委員 消費者の行政で、なぜ例えば消費者委員会ができたかというと、これは、野党時代の民主党の強い希望によって、消費者権利院という流れから、独立性の高いものということでの八条委員会としての消費者委員会ということだと思いますし、今回も一定程度の独立性を確保した上での安全調査委員会ということでありますが、独立性を確保するということは、言い方は失礼ですけれども、そもそもの本体の消費者庁のところに何か独立性を担保した別の組織を設けなくてはいけないかのような、その機能に疑義を生じせしめているのじゃないかというようなうがった見方をすることもできるわけであります。

 つまり、本当に消費者目線に立った行政が消費者庁単体でやれるということであれば、何も、政策立案をする消費者委員会であったり、今回、安全調査をする委員会であったりというものが必要かどうかということについては、もしかしたら、消費者庁で単体だけでやれるという議論もあるのではないかというふうに思います。

 もう一度、そういった意味で、消費者庁とそれぞれの委員会であったり、国民生活センターも含めてですけれども、ゆめゆめ行政の肥大化につながることはないのだという大臣の強い決意をお伺いいたしたいと思います。

松原国務大臣 例えば国民生活センターについては、国への一体化という中で、今さまざまな検討がもう二十回に近い回数加えられているところであります。今委員御指摘の問題意識については、やはりこれからの一つの課題としてそれらを取り扱うことになるだろうというふうに思っております。

 いずれにしても、二年前に消費者庁が誕生して、今過渡的な状況の中で、一番いい形がどういう形なのかを模索していきたい、このように思っております。

緒方委員 おっしゃるとおりだと思います。まだ萌芽期にあるというか成長期にある消費者庁でありまして、現在、若干の試行錯誤も含めて、いろいろな組織のあり方というのが今後も不断の努力として行われるべきだというふうに思います。

 ちょっと今言った話と若干矛盾するところもあるんですけれども、少しテーマをかえたいと思います。

 今回の消費者安全調査委員会というのは、国家行政組織法上の、八条、審議会等ということでの八条委員会であります。逆に、今回の安全調査委員会の権限の範囲のところから、運輸の関係の運輸安全委員会についてはこの権限を除外するということになっているわけでありまして、しかしながら、こちらの運輸安全委員会については三条委員会である、非常に独立性の高い三条委員会であるということであります。

 それぞれ広い意味で安全という観点から設けられている、国土交通省関係の運輸安全委員会が独立性が高くてよくて、そして、今回の消費者安全調査委員会については、これは独立性が低くていいと判断したかどうかはともかくとして、国家行政組織法上は一段独立性の低い組織として誕生しようとしている。

 この違い、なぜこのような違いが生じるんでしょうか、大臣。

松原国務大臣 今の委員の、運輸安全委員会との関係で申し上げるならば、運輸安全委員会は、国土交通省がまさに運輸行政を所管する事業所管省庁であるために、独立性の確保の観点から三条機関としたものと承知をしておりますが、消費者庁は消費者行政を所掌するものであり、いわゆる事業所管省庁でないために、今回、三条委員会ということにしていないわけであります。

 以上であります。

緒方委員 なかなか、ああ、そうなのかという印象を受けたわけでありますけれども、これは恐らく、独立性という観点から、消費者団体の方等々からも、逆にその違いのところだけが物すごくクローズアップされて、実は独立性が担保されていないんじゃないかとか、これは消費者庁のもとにある組織でありますので、本当に委員会としてよかれと思うものが実は役所から横やりが入ってとか、そういうことを懸念することもあるんだと思いますね。

 もう一度、独立性、そして独立性の担保という観点から疑義を生じせしめることはないのだ、きちっと、八条委員会というステータスであって、審議会等ではあるけれども、その独立性に疑義を生じせしめることはないのだということを大臣の方からお言葉をいただければと思います。

松原国務大臣 申し上げたように、八条委員会でも独立性は担保できると思っておりますし、申し上げたいことは、今回は、消費者安全調査委員会は、事故調査を行い、提言するという機関であります。事故調査やその結果に基づく勧告等の権限は八条委員会で十分に対応できるというふうに考えているところであります。

緒方委員 ありがとうございます。その方向でのさらなるこの委員会の発足、発展というものを期待するものでございます。

 少しまたテーマをかえたいと思いますが、実は、この消費者安全法という法律で所管の大臣として名前が出てくる者というのは、内閣府特命担当大臣ではございません。内閣総理大臣の名前で、全て主語が内閣総理大臣はこれこれの措置をとるということになっております。これは内閣府のいろいろな権限関係に伴うものだというふうに思いますけれども、なぜこのような法律の仕立てになっているのでしょうか、消費者庁。

川口政府参考人 法令技術的な観点でございますので、私から答弁させていただきます。

 消費者庁の主任の大臣は内閣総理大臣でございますので、消費者庁の権限関係については全て、具体的な権限を定めるときには内閣総理大臣という権限のもとで法律に規定するということにしております。

緒方委員 内閣府の大臣としての内閣総理大臣がこの消費者安全法を担当しているということでありますが、それは内閣の長と捉えるか内閣府の大臣と捉えるかというその違いだろうというふうに思うわけです。かつて防衛庁もそうだったと思いますが、閣議に上げるときも、消費者行政関係は恐らく全て、内閣府の大臣としての内閣総理大臣から内閣の長としての内閣総理大臣への閣議請議を行っているというふうに理解をいたしております。

 何かこれは本当にいびつだなと私は思うんですね。担当しておられる松原大臣がそこにいるにもかかわらず、松原大臣が直接閣議請議をしたり、実際の権限を行使したりすることができないということ、一つ内閣府の大臣としての内閣総理大臣を経由しない限りにおいて、さまざまな権限を行使することが難しいという今の状況、これは消費者安全法だけにとどまらないと思いますけれども、大臣、率直な感想をお聞かせいただければと思います。

松原国務大臣 私は内閣府特命担当大臣でこのことをやるわけでありますが、やはり、各省庁に対して、ある意味で消費者の立場から強く物を言うという点においては、実際は、内閣総理大臣がそういったことに対して発言を持つというのは極めて重要なことだろうと思っておりまして、そういう認識を持っております。

緒方委員 そして、この消費者安全調査委員会の権限にもう一回戻っていくわけでありますが、内閣総理大臣に対しては、勧告そして意見具申をする権限をこの委員会は持っております。しかしながら、関係行政機関の長に対する権限の行使ということでは意見具申のみ、意見を述べるのみということになっております。

 関係行政機関の長に直接この委員会は物を申すことができないということでありますけれども、そもそも、これは何でそのようになっているんでしょうか。

松原国務大臣 繰り返すような御答弁で大変恐縮ですが、やはり内閣総理大臣の権威といいますか、その立ち位置の中において、各省庁の受け入れやすい環境も生まれるんだろうというふうに認識をいたしております。

緒方委員 そうなんですね。この委員会は、意思決定をした後、それを後で勧告というか措置要求をするとかいったことの次元のときは、今度は、消費者庁の主任の大臣である内閣総理大臣に一度話を持ち上げた上で、そこからばんと言わせなきゃいけない。安全調査委員会が直接勧告をしたりすることができない。

 これは恐らく、先ほどの八条委員会であるということともかかわりがあるんだろうというふうに思いますが、それ自体、そのストラクチャー自体を私は別に否定するものではございません。内閣府の大臣としての内閣総理大臣がそういった権限を行使するということ、これもありかなと。

 本当は、私は実は調査委員会から直接各省の大臣とかにばんばん物が言えた方がいいのではないかなというふうに思うわけですけれども、ただ、法律のストラクチャーとしてそういうふうになっているということを一概に否定するものではありませんが、ここからなんですけれども、私もお役所の経験がございます。内閣総理大臣に何か物を言わせるというのは、これは、お役所からすると、大臣に物を言わせるということよりもはるかにハードルが高いですね。

 内閣府の大臣としての内閣総理大臣から物を言うんだ、別に内閣の長として言うわけじゃないんだということであったとしても、内閣総理大臣から一発、勧告でばんと言われてしまえば、もうはっきり言って言うことを聞かざるを得ないし、事実上、命令に近い効果を持つであろうというふうに思います。

 であるがゆえに、役所の中に、ここまで総理に言わせるかなという判断というのが、常に行政機構の中での意思決定として出てくるのではないかというふうに思います。そうすると、これは本当はちょっと各省の大臣、厚生労働大臣、農水大臣にがんと言いたいけれども、総理に言わせるかな、委員会はこう言っているけれども、委員会からこんな感じで上がってきているけれども、総理にこれを言わせるかなということで、そこに萎縮効果が働くんじゃないか、そういう懸念を持つわけであります。大臣、いかがお考えでしょうか。

松原国務大臣 それは、逆説的に申し上げますと、最後は総理から言われるかもしれないということのその意味というのがあるわけでありまして、関係各省に対する意見具申は、実際に発生した消費者事故に基づき、今申し上げました安全調査委員会がこれを意見を付して行うわけでありまして、通常は、各省庁はこれに応じることが期待される。

 最後は、今、緒方委員が言ったようなことが起こり得るわけでありまして、したがって、そのことを持った抑制効果の中で、各省庁は、我々が、八条委員会である消費者安全調査委員会が出したものに対して、それを真摯に受けとめて行動するだろうというふうに私は考えております。

緒方委員 つまり、伝家の宝刀である、最後はこれが来るぞということで、もう既に恐らく安全調査委員会で審議をされている段階ぐらいから、おたくは、ちょっと振る舞いが悪ければうちのボスから言わせますよというぐらいの感じになるという、そこでの抑止効果が働くということなんだろうと思います。

 こういった、最後は総理大臣からいろいろな意見を、内閣法に基づく指揮命令をするという権限というのは実は結構幾つか法律にございまして、内閣府設置法の中にも、特命担当大臣にもこの権限が与えられているし、ほかの復興関係であるとか行政評価であるとか、こういったところにも最後は総理に一言がつんと言ってもらうというのがあるわけですが、なかなかこれは本当に発動されるケースがないんですね。

 やはり本当に、繰り返しになりますけれども、直接、安全調査委員会からの勧告の権限がない中、総理にきちっと話が上がり、そして、内閣府の大臣としての総理から各省に対してきつく改めるべきところは改めるべしと言うことは、これは大臣の方からも、決してそこは萎縮効果を働かせることなく、そういう自由に物が言いやすい職場環境というのをつくっていく、これは大臣の職務だと思いますけれども、いかがでございますでしょうか。

松原国務大臣 申し上げましたように、萎縮というよりは、伝家の宝刀があるということによって、そこは一つのバッファーになるわけであって、事前に、各省庁もまた事業者も自省をし、消費者の側に立った判断をすることが期待されているところであります。

 そうした中で、実効性あるものをつくるために、消費者庁の中がこういったものに対して極めて前向きに取り組むように、私もそういった環境をつくっていきたいと思っております。

緒方委員 ありがとうございます。

 そして、これは今回の法律のもう一つの軸でありますが、すき間事案の関係にもかかわるんですけれども、すき間事案の関係も、事業者に対する措置要求とかいった話というのは、これは全て内閣総理大臣からの措置要求なわけでありますが、例えば消費者安全法の第十五条には、注意喚起を行い、そして第十六条には、措置要求をするという権限が既存の権限として存在しているわけでありますが、この注意喚起をこれまでに行ったことというのは歴史的に九回注意喚起を行い、そして、第十六条に基づく措置要求というのはこれまで一度もない。

 こういったレコードを見るときに、きちっとした、内閣総理大臣から、既存の権限の中でも注意喚起ですら九回、そして、措置要求についてはこれまで実績が一つもないということになると、本当に大丈夫かなという、すき間事案だけではないんだろうと思いますけれども、そういう疑義を持つ懸念もあるわけですが、もう一度よろしくお願いいたします。

松原国務大臣 委員御案内のように、こういったいわゆる注意喚起も年々今非常にふえてきておりまして、ことしになって五件ということであります。

 したがって、そういった意味では、萎縮をせずにどんどんと必要なものはやっているというふうに認識をしておりますし、また必要とあれば措置要求も当然これは行うことになるわけでありますし、今回の新しい改正によってこういったものがさらに充実することになるだろうというふうに思っております。

緒方委員 ありがとうございました。

 これから新しい組織ができ、そして消費者行政にさらなる厚みと発展を遂げていくきっかけになることを御祈念申し上げたいと思いますし、我々国会議員もそれを支える立場として頑張っていきたいというふうに思います。

 すき間事案のことについて触れることがほとんどできませんでしたが、本当に今ひどい事案がたくさんございます。イラクのディナールを買いませんかとか、実体のない権利を買いませんかとか、そういうイタチごっこのところが消費者行政、本当に、世の中、ある意味頭がいい人がこんなにいるんだなと感心するぐらい、いろいろな事例というのはあるわけであります。

 そういった頭をひねってけしからぬ事案について今回すき間事案でぴたっとふたをして、そして、そこに対して消費者庁、特命担当大臣、さらには最終的には権限を発揮する内閣総理大臣、皆でこういったある意味賢い人たちに鉄槌を下せるような、そんな消費者行政であっていただきたいということを願いまして、私の質問を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

阿久津委員長 次に、永岡桂子君。

永岡委員 おはようございます。自民党の永岡桂子でございます。

 消費者庁には年間一万六千件もの事故情報が寄せられております。今回の法律改正によりまして消費者事故などの調査機関として設置されます消費者安全調査委員会が期待に応えられるかどうかということは、事故原因の調査の対象とする生命身体事故の事案の選定にかかっていると私は思っております。

 年間一万六千件、大変多いですね。さまざまな事故案件の中から調査委員会は年間百件程度を対象として調査をし、また評価をするということになっております。対象とします事案についてはどのような基準で選ぶのでしょうか。大臣にお伺いしたいと思います。

松原国務大臣 御答弁申し上げます。

 消費者安全調査委員会は、被害の発生、拡大を防止するために、事故等原因を究明する必要性が高い事案を優先的に選定し、事故等原因調査等を実施してまいります。

 調査事案の選定について、消費者安全調査委員会があらかじめ定める選定指針に基づき、調査委員会自身が専門的知見に基づいて行うこととしております。現時点で想定される選定指針としては、公共性、単一事故の規模、多発性、消費者自身による回避可能性、被害の程度、弱者への集中等がありますが、いずれにせよ、調査委員会の有識者の知見に基づいて決められるべきものと考えております。

 以上であります。

永岡委員 指針を策定していただけるということでございます。

 大臣おっしゃいましたように、公共性であるとか単一事故の規模、多発性そして消費者自身による回避可能性、被害の程度などを挙げられていらっしゃるわけでございますが、必要な調査の評価が漏れなく行われるという仕組みとすることが本当に重要だと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 また次に、調査委員会の設置前に発生しました事故についてお伺いしたいと思います。

 例えば、設置前に発生しました事故であっても、その原因がずっと放置されておりますと、これは同じような事故の再発を防ぐことはできないわけですよね。コンニャクゼリーの窒息事故のように過去に発生した事故におきましても、調査委員会の設置後、法案ができましてから発生した事件でも調査の必要性や重要性は変わらないと思いますので、生命身体事故などの再発防止の観点から、調査が行われなかったものについても委員会はその対象とするように、法律上に明らかにすることが必要なのではないかと思いますが、いかがでしょう。

松原国務大臣 御答弁申し上げます。

 消費者安全調査委員会に関する規定については、新法の方が一般国民に有利であり、既得権益を侵害するものでないため、施行の日前に発生した事故も調査することとなります。

 しかしながら、法律の施行前に発生した生命身体事故等が事故等原因調査等の対象となるかは、消費者、事業者、いずれにとっても重要な関心事であり、法施行前に発生した事故についても遡及して適用されることを明らかにする意義はあると考えております。委員のおっしゃるとおりであります。

永岡委員 本当にそのとおりだと思います。

 また、新たな知見が利用可能となった場合の再調査のことについてもお聞きしたいと思っております。

 これは、事故が起きて、非常にそれはきちんと調査をされた。しかしながら、時がたつにつれていろいろな知見が明らかになった、明らかに違う結果をもたらすような証拠が出てきた、そういうようなことがあると思うんですね。その場合、被害の発生や拡大の防止のためにもう一度その事故の原因を再究明する、そういう必要があると思うんですが、改めて調査をするということ、これはどういうふうにお考えになっているでしょうか、お聞きいたします。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者安全調査委員会は、事故等原因調査等を完了した後でも、新しい証拠や知見を得た場合であって、これを利用して再度事故等原因を究明することが被害の発生、拡大を防止するために必要であると認められる場合には、改めて事故等原因調査等を行うことになるというふうに考えられます。

 これらの取り扱いにつきましては、委員会の規則等で明らかにすることの意義はあると考えております。

 以上でございます。

永岡委員 ありがとうございます。

 また、調査委員会が法案について期待されるということは、消費者事故の原因の調査を行うために、その体制が非常に重要になってくると思います。その体制が適切に設置、設計されているか、確保できるかということを確認したいと思います。

 消費者委員会は内閣府に置かれております。しかしながら、今回の消費者安全調査委員会は消費者庁に置くことになっておりますが、これはなぜなんでしょうか、大臣。

松原国務大臣 御答弁申し上げます。

 消費者安全の確保に関する事務は、消費者庁の根幹にかかわる重要な事務であります。そして、事故調査に関する事務は、まさに消費者安全の確保に関する事務の一環であることから、生命身体事故等の原因等を究明するための調査機関である消費者安全調査委員会は、消費者庁に置くこととしたところであります。

 消費者安全調査委員会を消費者庁に置くことで、消費者安全法により消費者庁に一元的に集約される事故情報を、事故調査に効率的に活用することができるわけであります。また、調査委員会の調査で得られた知見が、消費者庁の消費者行政の司令塔機能を通じ活用されることができ、効果的に消費者の安全を確保することができると考えております。

 消費者安全調査委員会を、日々、消費者事故情報が集約され、各種の被害の発生または拡大の防止のための措置を講じている消費者庁の傍らで、その熱が伝わる位置に設置することにより、機動的、効率的に事故調査を実施し、その知見も活用して、効果的な施策、措置へとつないでいくことが可能になると考えております。

 以上であります。

永岡委員 それでは、調査委員会は、製品、食品、施設、役務など、幅広い生命身体分野の消費者事故を調査の対象としていることでございますね。その委員には、網羅的に専門性を確保することが求められます。また、調査に当たりましては、被害者などの視点を積極的に取り込むことが必要と思います。

 委員会の委員の選定基準はどのようなものになるのでしょうか、お聞きいたします。

松原国務大臣 お答え申し上げます。

 法案では、消費者安全調査委員会の委員として、調査委員会の所掌事務の遂行につき科学的かつ公正な判断を行うことができると認められる者のうちから、内閣総理大臣が任命するものと規定されております。具体的には、工学、医学、心理学などの分野に通じた有識者を想定しております。

 また、あらかじめ、生命身体等の調査に関係する各種の専門分野から多くの専門委員を発令し、幅広い分野の専門性を確保して、事案ごとに当該分野の専門家に担当専門委員として事故調査に参画していただくことを考えております。専門委員は、消費者安全調査委員会の調査対象となる幅広い分野の専門性を確保するためにも、少なくとも数十人規模の人数を想定いたしております。

永岡委員 私がお聞きしていたところによりますと、委員会の委員、これは非常勤七名ぐらいという話になっておりましたけれども、変わったわけですか。

松原国務大臣 非常勤の委員が七名でありますが、そのもとに専門委員という者がおりまして、専門委員が、今申し上げましたように数十名規模、場合によったら百名を超えるかもしれない、このようにも思料しております。

永岡委員 そうしますと、正規の委員、これは非常勤ですけれども、七名。その下に専門委員がいらっしゃる。専門委員もこれは非常勤なんでしょうか。

松原国務大臣 専門委員も非常勤でありまして、事例としては、食品安全委員会のところに設置された専門委員と同じようなイメージというふうに捉えていいと思います。

永岡委員 ありがとうございます。

 正規の調査委員会、これは年間百件程度の調査、評価を行うという予定になっていらっしゃるようです。非常に多岐にわたりますね。先ほどおっしゃいましたように、数十人程度の専門委員が必要であるということでございますけれども、これは本当に幅広い事故、案件があるわけですね、分野的に幅広いということですけれども。おのおのの事故情報ですとか調査結果の集積から製品の問題点が明らかになることも考えられるわけですね。長期的にも、これは総合的な事故原因の分析の体制というものが非常に大事だと思っております。

 数十名程度の専門委員がいましても、非常勤の委員さんが七名。これは、運輸安全委員会と比べますと、非常に規模が少ないです。調べましたところ、大体、人数でも十分の一ということでございます。これで本当にしっかりやっていけるのかなというのが、実は私、ちょっと心配なところなんですね。

 この機能を十分に発揮させるためには、人数も心配なんですけれども、事務局体制、これも実は非常に心配をしております。事務局の体制というものは、この法律上、置かれていないんですよね、実は。それはどういうことなのか、ちょっと副大臣にお伺いしたいと思います。

後藤副大臣 先生御指摘のとおり、今回の法律の消安法の改正の中には、事務局体制の設置というものは盛り込んでおりません。

 これは、先生も御案内のとおり、平成十一年、今から十三年前になりますが、審議会等の整理合理化に関する基本的計画という形の中で、審議会等の組織に関する指針ということが決定をされています。この中では、「特段の必要性のある場合を除き、独自の事務局を設置しないものとする。」と、極めて抑制的に事務局の設置というものが審議会等を設置する場合にはあるということであります。

 このため、今回の消安法の改正の中での消費者安全調査委員会の運営の機能は、事務局を設置するということではなく、消費者庁の中に事故調査室というものを置きながら担当するということにしました。

 この事故調査室は、数は先生から見れば少ないかもしれませんが、二十名程度を現在予定しております。さらに、先ほど大臣からも御説明をしたように、この調査委員会の大半の業務は、事故等の原因調査等の実務、そして報告書等をまとめるという作業。そういう意味では、調査対象に応じた専門性を有する専門委員、先ほど、数十名規模、場合によったら百人を超えるかもしれないという専門性のある先生と、そして、事故調査室ということでありますが、職員二十名程度を組み合わせて、専門性と効率性を確保しながら対応してまいりたいというふうに考えております。

 ちょっと一点だけ補足をさせてもらいますが、先ほど大臣からも、運輸安全委員会が今、三条委員会だろうということでありましたが、これも、先生御案内のとおり、昭和四十九年の一月から平成二十年の九月までは、航空事故調査委員会からスタートして、八条委員会からスタートして、そして二十年の、大きな鉄道事故があって以降、三条委員会に格上げと言うとおかしいんですが、また組織を大きく強化したということで、ある意味では小さくスタートする部分はあるかもしれませんが、やはりそれぞれの行政ニーズに応じて、強く、それをベースに対応していくことが私は必要だというふうに考えています。

永岡委員 ありがとうございます。

 小さく産んで大きく育てようと。消費者庁ができたときのことをちょっと思い出してしまったんですけれども。

 しかしながら、やはり事務局の体制の充実は本当に必要だと思います。副大臣、いかがですか。やはり思いますよね。

後藤副大臣 徐々に消費者庁の事務局も、今だと定員が二百七十までふえてまいりました。そのうち、スタートの時点では各省から人を集め、また新規採用を補って、二百人弱からここまでようやく来たなということで、当然、人数は多ければ多いほど仕事は充実できるということは私もそう思いますが、ただし、やはり先ほど大臣もお答えをいただいたように、全体の行政改革という一つの大きな縛りとどういう整合性をとってやるかということも行政の中では一つの課題だということで、これからも大臣と連携をしながら、できるだけ、人的拡充ということについては最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えております。

永岡委員 ありがとうございます。

 では、次に行きます。

 事故調査は消費者庁の業務の一部であると思います。例えば、四十五条の職員による報告、立入調査などがありますね。消費者庁と調査委員会の役割分担はどのようになるのでしょうか。

 これは、ちょっと考えますと、茶のしずくの石けんのように、あなたでしょう、あなたでしょうと、それぞれ消極的権限争いというんでしょうか、そういうことが起きないように、まさにすき間事案が発生してしまうようなおそれがあるのではないかとちょっと心配しております。副大臣にお伺いいたします。

後藤副大臣 先ほど、これも大臣が概略的に御報告をしておりますように、消費者安全調査委員会は、生命身体事故等の原因及びその被害の原因を科学的に究明するということを主眼に置いて、生命身体事故等の発生、拡大の防止及び被害の軽減のために講ずべき施策または措置について、消費者庁に対して勧告または意見具申を行うということであります。

 そして、これを踏まえて消費者庁は、消費者安全調査委員会からの勧告または意見具申を受け、外部の有識者の知見に裏づけるということにもちろんなりますから、一つとして、事故の発生防止等の対策の確立及び執行、さらには消費者への注意喚起、三つ目には関係省庁への措置要求、さらには事業者に対する勧告、命令など、これは先生おっしゃるようにすき間事案も含めて、消費者被害の発生または拡大の防止のための必要な措置を効果的に行えるようになるということで、表裏一体という表現は適切でないかもしれませんが、消費者安全調査委員会の勧告、意見具申をきちっと実行していくということが消費者庁に与えられた役割だというふうに考えております。

永岡委員 ありがとうございます。

 消費者庁、そして調査委員会、手を合わせてしっかりと対応していただきたいと思います。

 この法律が施行されますと、商品テストを実施している国民生活センターに対して、事故調査に必要な実験ですとか分析、これを委託することが想定されるのかなとは思うのですが、副大臣、いかがでしょう。

後藤副大臣 先生おっしゃるとおり、現在の枠組みの中では独立行政法人になっております国民生活センターに、消費者安全調査委員会の事故調査の流れの一つであります実験、分析というものを、部としては商品テスト部に多分依頼をしていくことになるというふうに思っています。

 商品テスト部は、現在の人員は非常勤の方を含め三十八人という部分であります。

 具体的には、事故調査のための行政権限等に基づく事実の確認、二つ目には再現実験や物性・成分分析等の実験、分析、三つ目には同種事故情報の傾向分析、四つ目には事故調査報告の取りまとめという多分流れになるというふうに思っておりますが、特にこの実験、分析について、国民生活センターの商品テスト部で対応が可能なものについては依頼をできるではないかというふうに考えております。

 ただ、今、先ほど大臣も、二十回近くにわたって、国民生活センターの国への移行を踏まえた消費者行政の体制の在り方に関する検討会というところで検討をいただいております。仮に、国民生活センターが国に移行されるということが結論として出た場合においても、消費者庁に置かれたこの消費者安全調査委員会と、国に移行した国民生活センターの商品テスト部と、密接な協力関係をさらにある意味では強力に強化をしていくということができるというふうに思っていますし、これが事故調査体制の一層の充実につながっていくというふうに考えております。

永岡委員 御答弁、ありがとうございます。

 ただいま、後段の方で、国民生活センターの機能を国へ移行するというお話の中で、これの調査も非常に連携がとれるというお話がございましたが、自民党は、残念ながら、国民生活センターの機能を国へ移転するということは反対をしております。実は、もう既に、松原大臣の前の大臣でありました山岡大臣のときにもしっかりとその申し入れをしていますので、そこのところもちょっとここで御披露させていただきまして、大臣に新たな認識として持っていただければというふうに今思いました。

 次に伺います。

 平成十九年末から翌年にかけて起きました中国製の冷凍ギョーザの中毒事件、また、平成二十二年度以降問題が顕在化いたしました茶のしずく石けんのアレルギー事件では、行政の対応のおくれや連携の不足が指摘されました。もし、調査委員会設置後にこの二つの事件と同様の事件が起きた場合、ほかの行政機関と迅速に連携をして、事故の原因調査を行う機関をどのように決めて、また、事故情報の収集、分析から調査の完了までの具体的経過はどうなるのだろうか、そういうことをちょっと伺いたいと思っております。

 この法律案では、ほかの行政機関などの調査結果を得ることが見込まれる場合は、その機関が調査を行うということになっております。NITEですとか、保健所、そして消防当局、既存のさまざまな分野の事故調査機関との関係を整理して、そして、事前に各連携機関との調整、必要であれば取り決めなどを交わしておく必要があるのではないかと思います。

 この取り決めというのは、運輸安全委員会、これがちゃんとしっかりと取り決めをして、各関連の機関と連携しているということでございますが、その取り決め、交わしておく必要があると思いますが、いかがでしょうか。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的に、ある事故が起きた場合に、関係省庁、関係機関が連携するということは非常に重要なことというふうに認識しております。

 本消費者安全法の改正法案では、消費者安全調査委員会では評価という仕組みを設けておりまして、この評価という仕組みを設けることにより、別の目的で実施される他の既存の事業所管省庁等による調査等を活用するというふうにしております。これにより、二重行政とならないよう配慮するとともに、事業者等に無用の負担をかけないようにしております。

 先生御指摘のとおり、消費者安全調査委員会がこれらの仕組みを円滑に実施する、具体的な事件、事故が起きたときに円滑に実施することができるためには、他省庁との間で日ごろより、それぞれの所管分野における調査の目的、行政権限、具体的な調査結果などの内容を把握し、整理しておくことが必要だというふうに考えております。

永岡委員 ありがとうございます。

 この取り決め、しっかりと交わしていっていただければと思います。

 調査委員会は、警察などの捜査機関とも並行して協力しながら、例えば事故の現場の検証ですとか原因関係者からの物件の収集が必要となってまいります。これらの客観的な証拠を捜査機関と相互に利用することができる体制、これも構築することが必要と考えますけれども、捜査機関との調整はどうなっていますでしょうか。消費者庁、お願いいたします。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 事故調査と刑事手続は、一方が他方に優先するという関係にはなく、双方がそれぞれの目的に沿って支障なく円滑に実施されることが重要であるというふうに認識しております。

 そのため、運用面におきまして、調査委員会と捜査機関がそれぞれの役割、責務を尊重し、必要な協力や活動の調整を行っていくことができるよう、本法案の成立後、制度開始までに、消費者庁と警察庁との間で必要な検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

永岡委員 事故調査機関によります事故の関係者への事情聴取の結果が刑事事件のきっかけとなることによって、事故の関係者に心理的な圧迫を与えて、事故原因の究明に大きな障害となることが予想されます。このため、刑事手続において利用制限を明確にすることなどを求める意見もあると伺っております。

 事故の原因調査において確認した事実ですとか事故原因を記載した報告書は、刑事手続上、どのような取り扱いになるのでしょうか。警察庁と消費者庁からお聞きしたいと思います。

舟本政府参考人 お答えいたします。

 警察は、刑事訴訟法の手続にのっとりまして捜査を行っております。そして、警察捜査の実務の基本を定めております犯罪捜査規範におきましては、捜査を行うに当たっては、犯罪に関する有形または無形の資料や諸般の情報など確実な資料を収集し、これに基づいて捜査を進めなければならないとされておりまして、警察では、これを踏まえ、捜査において各種資料の幅広い入手に努めているところであります。

 このような観点から、消費者安全調査委員会の事故調査結果につきましても、捜査に必要と認められる場合には、これを当該事故の捜査に使用することもあり得るところでございます。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者安全調査委員会は、みずからの調査の結果を報告書としてまとめ、内閣総理大臣に提出するとともに、公表するというふうにしております。

 あくまで一般論として申し上げれば、刑事訴訟法所定の要件を満たす限り、報告書も刑事裁判所の証拠となり得るものと承知しております。

 もっとも、消費者安全調査委員会における事故調査の結果は、刑事責任の有無を判断するものではなく、あくまで事故や被害の原因が何であったかを明らかにするものでございます。したがって、報告書の作成に当たりましては、事故調査や報告書作成の目的が刑事責任の追及にあるとの誤解が生じないよう、表現や記載方法等にも十分留意する必要があるというふうに考えております。

永岡委員 そこのところが大変微妙になってまいりますので、しっかりと、刑事訴追のためにやる調査ではないということを認識していっていただきたいと思います。

 この法律案の二十八条には、調査委員会は、重大事故の被害者などから事故等原因調査、評価が必要である旨の申し出があった場合において、事故等原因調査、評価を行わないとしたときは、その旨を速やかに当該被害者などに通知しなければならないとされております。しかしながら、その理由は通知しなくてもいいんですね。やらないよということを通知すればいいということになっております。

 私は、被害者の方が調査をしてくれと申し出ているわけですね。そういうことを考えますと、やらなかった場合、なぜやらないか、やらない理由などもあわせて通知してあげた方がよいのではないかと思いますが、大臣、いかがでしょう。

松原国務大臣 本規定における被害者への通知の趣旨は、十分な事故の原因究明を行うために被害者等に協力していただくことの重要性に鑑み、消費者安全調査委員会が被害者等に真摯に向き合うという姿勢を明確にすることであります。

 今議員から御指摘をいただいた、重大事故の被害者に対しては、事故等原因調査等を実施しないとしたときに理由も付して速やかに通知することは、この趣旨を一層明確にするものと考えております。

 以上であります。

永岡委員 ありがとうございます。

 やはり被害者に寄り添う、消費者に寄り添う消費者庁の法律としては、理由もぜひつけ加えていただきたいと思っております。

 また、この法律案の三十七条でございます。こう書いてありますね。何人も、調査委員会による立入検査や質問などの処分に応ずる行為をしたことを理由として、解雇その他の不利益な取り扱いを受けないこととされておりますけれども、事故原因の調査協力者が社会的な不利益を受けることがあってはならないわけですね。これはそうなんですが、調査委員会による事故等原因調査の目的が十分に達成されるためには、この法律案ではちょっと不十分かなと思っております。不利益取り扱い禁止の範囲に、事業者の従業員が申し出を行う場合を加える必要があるのではないかと思っております。

 次の点をお伺いしたいと思います。

 従業員による申し出が公益通報の要件を満たして行われた場合には、申し出者は公益通報保護法による保護の対象となるんですね。そもそも、公益通報保護法についての認識というのは、しかしながら非常に低い状況があります。中小企業者によります制度の整備は進んでいない。大企業でもなかなか、オリンパスのことなんかありまして進んでおりませんけれども、進んでいない状況なんですね、特に中小企業者。この状況を踏まえますと、法の周知や啓発、通報窓口をつくることが必要と考えますが、大臣、いかがでしょうか。

松原国務大臣 改正案三十七条に定める不利益取り扱いの禁止は、調査委員会ないし内閣総理大臣の権限に基づく調査に応じる場面、報告徴収、立入検査、質問、物件提出等でありますが、において、原因関係者である雇用主からの不利益取り扱いを恐れて調査への協力をちゅうちょすることが特に危惧される場面であることから、不利益取り扱いが禁止されることを確認的に規定したものであります。

 これに加え、事故等原因調査等の申し出の場合にも不利益取り扱いが禁止されることが明確にされれば、事業者の従業員が申し出をちゅうちょすることもなくなり、円滑な事故等原因調査等に資することになると考えておりまして、委員御指摘のとおりだと思っております。

永岡委員 ありがとうございます。

 それでは、今度は多数消費者財産被害事態についてお伺いいたします。

 この法案では、多数消費者財産被害事態が新たに定義されまして、取引関係のすき間事案について、その取引の取りやめなどの勧告、命令を事業者に対して行うことができるとされております。

 昨年出されました研究会報告書では、多様かつ新たな手口による被害が後を絶たない状況を踏まえると、行政措置の対象は幅広く捉え、ある程度抽象的な要件を定めることが望ましいとしながらも、事業者の予見可能性の確保のため、行政措置の対象は客観的に明確化する必要がある、こういうふうにも書いてあるんですね。

 多数消費者財産被害事態の具体例といたしましては、実体のない利用権の取引ですとか、換金できない外国の通貨の取引などが挙げられております。また、近年では、クレジットカードのショッピング枠の現金化についても大変事例が多くなっているようでございます。

 多数の消費者の重大な財産被害を未然に防止する観点からも、新たな行政措置の対象となり得るさまざまな事案をきちんと整理して明らかにする、そういうことが非常に重要だと思っております。大臣にお伺いしたいと思います。

松原国務大臣 今回の法改正による行政措置の対象となる事案の典型としては、委員御指摘のような、実体のない温泉つき有料老人ホームの利用権の事案や、換金困難な、いわゆるイラク・ディナールとかスーダン・ポンドとかいうことでありますが、外国通貨取引事案などが存在しております。

 それ以外には、これまで消費者庁が消費者安全法に基づく注意喚起を行った事案の中から申し上げれば、実体のない風力発電の開発計画に係る土地の権利をめぐる投資勧誘事案、実体のない天然ガス施設運用権と称する商品の勧誘事案などが多数消費者財産被害事態に該当し、すき間事案として本改正法案の対象となり得ると考えているところであります。

永岡委員 しっかりと案件の整理をしていただきたいと思っております。

 消費者の財産被害に係りますすき間事案につきましては、この法案では多数消費者財産被害事態と定義されております。これですと、本当に多数の消費者被害が生じなければ対象とならない、そういう印象を受けてしまいます。

 多数とはどれほどなのか、どのぐらいの数を想定していらっしゃるのかとお聞きしたいと思いますし、実際に多数の消費者に被害が生じたような案件しか対象とならないのでしょうか。これは消費者庁にお伺いいたします。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 改正法案第二条第八項に多数消費者財産被害事態を定義しておるわけでございますけれども、ここにおいては、「多数の消費者の財産に被害を生じ、又は生じさせるおそれのあるものをいう。」こういうふうに書いてございまして、ここにおける「多数」につきましては、相当数を意味するもので、具体的な数値基準で判断されるものではないが、同種の取引に係る消費生活相談の件数、急増度、地域的な広がり等も考慮して、個別事案ごとに判断していくこととなるというふうに考えてございます。

 実際に発生した被害が多数と言えない、少数であっても、当該取引によって多数の消費者の財産に被害が拡大するおそれのあるものであれば、多数消費者財産被害事態に該当し得るというふうに考えております。

永岡委員 運用面でしっかりと対応していただきたいと思います。

 ただいまの多数消費者財産被害事態を生じさせた事業者に対して、その被害に係る取引の取りやめを勧告できるとされておりますが、勧告の法的な性質をお聞きしたいと思います。事業者は勧告に従わなければならないのでしょうか、消費者庁。

川口政府参考人 勧告の法的性質ということについてのお尋ねでございますが、事業者に対する勧告は、事業者の権利義務を直接制限するものではなく、行政手続法の定める不利益処分ではございませんで、この分類によれば、同法第二条第六号の行政指導に当たるものというふうに考えております。

永岡委員 また、この法案では、「消費者の財産上の利益を侵害することとなる不当な取引の取りやめその他の必要な措置をとるべき旨を勧告することができる。」とされております。

 不当な取引の取りやめを勧告するのは当然でございますけれども、その他の必要な措置として、具体的にはどのような内容を考えていらっしゃるんでしょうか。消費者庁にお尋ねいたします。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 取りやめ以外のその他の必要な措置につきましては、消費者被害の発生または拡大の防止のためにとらせる必要があるかどうかの観点から、事案ごとに必要な措置を勧告することができるように規定しております。

 例として申し上げますと、今後同様の行為を行わないということ、あるいは勧誘に用いたパンフレットを破棄させるということなどを勧告するということが考えられるというふうに考えております。

永岡委員 勧告を受けた事業者が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において、特に必要があると認めるときは、その勧告に係る措置をとるべきことを命じることができるとされております。

 「正当な理由がなくて」の正当な理由とは、どのようなものを想定していらっしゃるのか、消費者庁にお伺いいたします。

川口政府参考人 正当な理由につきましては、多数消費者財産被害事態による被害の発生または拡大の防止を図るという観点から、事案ごとに判断することになるというふうに考えております。

 正当な理由の例といたしましては、勧告がなされた後、勧告内容とは異なりますが、消費者被害の発生または拡大の防止のための代替措置を事業者みずから講じているため、改めて勧告に係る措置を講じさせる必要性が見出せない、そういった場合が考えられるというふうに思っております。

永岡委員 また、「特に必要があると認めるとき」とは、どのようなときを想定していらっしゃるのでしょうか。またお伺いいたします。

川口政府参考人 勧告に従わない場合の命令の要件として、「特に必要があると認めるとき」というふうに規定しておりますが、これは、多数消費者財産被害事態による被害の発生または拡大の防止を図るために、事業者の権利あるいは自由を直接に制限する不利益処分に当たる命令、この命令をすることが特に必要があると認めるときということを意味しているわけでございます。

 「特に必要があると認めるとき」に当たるか否かにつきましては、事業者が勧告に従わない事情等もあわせ、なおも財産被害の発生または拡大の防止を図るため事業者の権利を制限する必要があるかという観点から、個別具体的な事案に応じて判断をするというふうに考えております。

永岡委員 これらの要件を課すと、必要な命令ができなくなるんじゃないかな、そういうふうに感じてしまうんですね。勧告の実効性も担保できなくなるのではないかと心配いたします。勧告を前提としないで、直接命令を行うことも検討すべきだと思いますが、大臣はどうお考えでしょうか。

松原国務大臣 勧告の実効性ということに関しても今お話がありましたが、本改正法案における行政措置の目的が、いわゆるすき間事案における財産に係る消費者被害の発生、拡大の防止のため、特定の事業の取引にかかわらず、横断的かつ迅速な行政措置を行うことにありまして、この行政措置を機動的に対応し、行うということから、こういったことになっているところであります。

 もちろん、その事業者が正当な理由なくその勧告に従わない場合には、罰則で実効性が担保されている命令をなし得ることとすることで、その実効性を確保しているところであります。

 今お話がありました、勧告せずに直接命令も検討すべきではないかということでありますが、今の議論ともあわさるところでありますが、今回の改正法案において、事業者に対する措置として、勧告を前置し、勧告に従わない場合には命令ができるとしたことは、緩やかな措置である勧告により申し上げたような迅速性を確保しつつ、罰則つき命令により実効性を確保するというこの二段構えにあるわけであります。

 勧告せずに直接命令ができる制度については、本法は対象となる取引の種類を限定せず、事業者にとって具体的かつ明確な行為規範を定めているものではないので、過度な規制になるおそれがあります。また、行政処分である命令の事前手続が必要であることから、すき間事案への迅速な対応が確保できるかという問題があり、勧告によって事業者の取り組みを促した上で、改善が見られない場合に命令を下すという処分が適切と考えたところであります。

 以上であります。

永岡委員 ありがとうございます。

 消費者への注意喚起については、国センや消費生活センターなどがさまざまな情報提供を行っております。

 消費者庁は、消費者の財産に対する被害の発生、拡大の防止のために、消費者安全法の第十五条に基づきます消費者への注意喚起を行った実績は、非常に少ないです。先ほど民主党の委員さんからも言われておりまして、少ないですね。また、消費者庁は、消費者の財産に対する被害の発生や拡大の防止のために、消費者安全法の十六条に基づく関係省庁に対する措置要求を今までに行ったことは、少ないのではなくて、ありません。ゼロでございます。

 そうしますと、この法律案によりまして新たに導入されます財産事案における事業者への勧告、命令、関係行政機関への情報提供などの措置についても十分に活用されないということも懸念されるわけでございます。

 消費者安全法十五条、十六条に基づく注意喚起ですとか関係省庁に対する措置要求の実績と、まあ実績がなかった十六条もございますけれども、これはなぜなのか、お伺いしたいと思います。なぜこんなに少ないのか。

松原国務大臣 実績の中身をまず申し上げたいわけでありますが、消費者安全法第十五条に基づき、事業者名等を公表し、注意喚起をこれまで九件実施しているところであります。ただ、先ほど申し上げましたように、この注意喚起、最初は少なかったんですが、ことしはもう既に五件ということで、そういった意味では、注意喚起も極めて積極的にしているところであります。

 また、消費者安全法第十六条に基づく措置要求については、これまで措置要求の要件を満たすとの判断に至らなかったため、発動はしてこなかったところであります。

 ただし、消費者庁は、消費者の安全、安心を確保するため、寄せられた消費者事故等情報について、各事案の内容に応じ、消費者への注意喚起、事業者、事業者団体への働きかけ、関係省庁への具体的な対応要請を行ってきたところであります。

 以上であります。

永岡委員 そういえば、ことしになりまして、大分件数はふえております。消費者庁には、ぜひ、消費者行政の司令塔、そしてエンジン役としての役割を十分に果たしてもらいたいと思っております。

 言いにくいですけれども、この法案の前、この改正法が検討されているころだと思いますけれども、茶のしずく石けんの問題ですとか安愚楽牧場の問題で消費者庁の対応が大変おくれたことを考えますと、新たに導入される措置はもちろんのこと、注意喚起や措置要求についても、運用しやすく工夫することなどによりまして、積極的に、効率的に活用していくべきではないかと思います。大臣には頑張っていただきたいと思います。

 次に移ります。

 この法案では、多数消費者財産被害事態を発生させた事業者に対して、不当な取引の取りやめなどの勧告、命令の措置ができることになっております。悪質な事業者に対して勧告、命令の行政措置だけで実効性があるのか、懸念をしております。

 昨年の研究会の報告書では、今後の課題として、消費者の被害回復を目的とした原状回復命令の導入ですとか、措置に対して任意に従わない事業者に対しても金銭的負荷を課す制度の導入などが挙げられております。

 消費者庁は、悪質な事業者を撲滅するという強い姿勢を示すためにも、悪質な事業者に対してこういう行政措置の導入について、本当に速やかに検討していただきたいと思うのですが、大臣、いかがでしょう。

松原国務大臣 今、委員御指摘のような部分に関しても、現在、消費者庁の中でも検討を進めているところであります。

永岡委員 対応をよろしくお願いいたします。

 消費者安全法に新たに財産事案における事業者への勧告、命令の行政措置を導入する前提といたしまして、人員の増員など、十分な調査を可能とする体制の整備が、先ほども質問させていただきましたけれども、必要だと思っております。

 また、勧告、命令に至るまでに消費者の被害が拡大するおそれがあるほか、悪質な業者が、調査が行われるとすぐに、あっという間に所在不明となってしまう、そういう可能性もあります。迅速な調査ができる体制の整備が本当に必要だと思います。

 また、実体のない利用権の取引ですとか、先ほど言いましたけれども、換金できない外国通貨の取引、こういったすき間事案につきましては、消費者からの相談が短期的に集中して、また、これが全国的に拡大をしているということが特徴として挙げられております。迅速かつ機動的な調査を行うというのが本当に必要であると思います。

 重要な財産被害に係る措置などに係る規定は、平成二十五年四月から実行するとされておりますけれども、法律のすき間を突く悪質な事業者による消費者の財産被害に少しでも早く歯どめをかけるためには、速やかに体制整備を行って施行を早めることが必要なんじゃないかと思います。

 消費者庁は、体制整備について具体的にどのようにしていくおつもりでしょうか。副大臣にお尋ねいたします。

後藤副大臣 先生おっしゃるとおり、法施行、国会の方で成立をした場合、来年四月から実施をされるということで、その間どうするかということも含めてだと思います。

 現行法でも、先生御案内のとおり、財産事案についての情報集約や分析、そして、消費者への注意喚起というものや関係省庁の措置要求というものは現在でも行っております。ただ、今回の法改正によって新たに付与される、事業者に対する調査、勧告、命令等の執行体制という部分では、人的にも、必ずしも十二分な体制になっていない、私もそう思っています。

 それをどう解決するかというのは、先ほどもお話をしましたように、行革といういろいろな問題意識はあるものの、やはり必要なところには必要な人数をつけていくということで、概算要求以降、関係省庁にも働きかけを進めていく中で、一方で、先ほどもお話をしたように、消費者庁自体、全体で今定員が二百七十人。このすき間事案というのは、多分、消費者政策課が担うということになりますが、三十数名ということでは、実質的な部分では非常に難しい。それに何人かを付加しても難しい。

 一方で、今の現行法の二十三条二項でも、消費者安全法上の調査権限については、同意に基づきというのが前提でありますけれども、都道府県知事等に委任をすることができるということで、やはり地方自治体とどう連携するかということだと私は思っています。現在では、三十一県、八政令市が、同意に基づいて対応をしていただいております。これをできるだけ全都道府県、できるだけ多くの部分に調査権限の委任について同意していただけるように、きちっと御説明をしながら、やはり地方自治体とも連携していくということが一番肝要な一つだというふうにも思っています。

 いずれにしても、先生おっしゃるように、適時適切に必要な執行体制ができるような整備というものを関係地方自治体とも連携をしながら進めていきたいというふうに考えております。

永岡委員 確かに、情報が上がってくるのは各自治体からの情報が中心になるわけでございますので、これからそういう方向でしっかりと検討、対応していただきたいと思っております。

 制度をこの法案で改正したといたしましても、消費者自体がその内容を知らなければ、消費者被害を防止することはできないわけです。消費者に対して制度をしっかりと周知する必要があると思います。消費者庁としてはどのような周知をしていくのか、政務官、お伺いいたします。

郡大臣政務官 お答えいたします。

 一般的には、消費者庁のウエブサイトでの周知ということになろうかと思いますけれども、今ほど後藤副大臣からも答弁をいたしましたけれども、調査権限の委任をさせていただく各都道府県の皆さんたち、また、各消費生活センターへの周知を図っていく。そしてまた、消費者団体等への説明会などを開催させていただいて、施行を待たずに、広く国民の皆様方に知っていただくように努めてまいりたい、そういうふうに思っています。

永岡委員 消費者がわからなければ、全く役に立たない法律になってしまいますので、ぜひ消費者の方への周知徹底をよろしくお願いしたいと思います。

 最後になるんですけれども、消費者の生命身体の安全、安心を確保して財産被害をなくすことは、これはもう非常に消費者庁としても、政府としても重要な責務であると思っております。以前は、茶のしずくですとか、政府が対応できない事態がいろいろとございました。この消費者安全法の改正法案、今後はこのような事態が生じないようにしっかりとしていかなければならないわけでして、この立法は非常に重要だと思っております。

 執行が伴わなければ意味がありません。この消費者安全改正法の成立に向けた大臣の意気込みと、また成立後の執行に対する意見、決意をお聞かせいただきたいと思います。

松原国務大臣 委員御指摘のように、すき間事案というものはたくさん発生し、被害が拡大をしてまいりました。

 このすき間事案については、事後的に行政としての対応をすることが従来繰り返されておりまして、すき間を狙った悪質商法との闘いは消費者行政の歴史でもあるというふうに認識をいたしております。

 今回の改正項目は、消費者事故の調査機関の設置と、消費者の財産被害に係るすき間事案への行政措置の導入の二つでありますが、改めてその意義を申し上げたいと思います。

 まず、消費者事故等の調査機関の設置については、消費者庁に消費者安全調査委員会を設置し、生命または身体の被害に係る消費者事故等の原因について調査等を行い、被害の発生または拡大防止のために講ずべき施策や措置について、内閣総理大臣や関係行政機関の長に対し勧告や意見具申を行うものであります。

 現行制度のもとで消費者庁に集約されている消費者事故情報を活用し、新たに科学的に事故原因を究明し、それに基づいた再発、拡大防止のための知見を得ることで、より効果的な事故の再発、拡大防止対策につなげることができるようになると考えております。

 また、消費者の財産被害に係るすき間事案への行政措置の導入については、財産分野の消費者被害の中で、既存の法律で対応できないいわゆるすき間事案について、消費者の財産に対する重大な被害が発生している場合、こうした被害を生じさせる事業者に対して勧告、命令の措置を講ずるようにしたものであります。

 これにより、財産分野の消費者被害の発生、拡大の防止のため、行政全体としてすき間のない対策を迅速に講じることができるようになります。

 いずれの改正項目も、消費者被害の発生、拡大防止という消費者安全法の目的達成のために必要不可欠なものであり、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願いしたいと考えております。

 また、いずれの改正項目についても、消費者被害の発生、拡大防止の観点から的確に執行すべく、体制整備に最大限努力を払ってまいりたいと思います。

 以上であります。

永岡委員 終わります。ありがとうございます。

阿久津委員長 次に、川島智太郎君。

川島委員 国民の生活が第一の川島智太郎でございます。

 松原大臣とは、民主党時代、東京都連という中で、国民の生活が第一を目指し、一緒に政治活動に取り組んでまいりました。尊敬する松原大臣にこのような形で質問の機会を与えられる、本当にありがたく思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、今回の消費者安全法の改正案の大きな柱の一つである消費者安全調査委員会の設置についてお伺いいたします。

 この調査委員会の新組織は七名の非常勤ということですが、コンニャクゼリー、エレベーター事件など、幅広い生命身体分野の消費者事故などを調査の対象にしていますので、この委員の人選には網羅的に専門性を確保する必要があると思われます。

 当然、どういう分野からどういう人を選んでいくかというイメージがあると思われますが、どのように委員会を運営し、選定基準などをどう考えているのか。また、臨時委員、専門委員を必要に応じて任命とありますが、この人数で本当に網羅できるのかどうか。お考えをお聞かせくださいませ。

松原国務大臣 法案では、委員御指摘のように、消費者安全調査委員会の委員として七人以内を、調査委員会の所掌事務の遂行につき科学的かつ公正な判断を行うことができると認められる者のうちから、内閣総理大臣が任命するものと規定されております。具体的には、工学、医学、心理学などの分野に通じた有識者を想定いたしております。

 また、この七人以内の委員とは別に、生命身体事故等の調査に関係する各種の専門分野から多くの方に専門委員に就任いただき、事案ごとに当該分野の担当専門委員として事故調査に参画していただくことと考えております。専門委員は、消費者事故という幅広い分野の専門性を確保するためにも、少なくとも数十名規模の人数を想定いたしているところであります。

川島委員 ありがとうございました。

 この法律案では、調査委員会は、事故調査に関し、例えば新聞報道やいろいろな情報提供などにより、みずから調査するとともに、保健所や消防など他の調査機関による調査結果を評価し、それが不十分だと判断した場合、必要に応じて意見、調査権限を行使するということですが、各関連機関との情報提供また調整など事前の取り決めが必要だと私は思っておりますが、どのようにお考えでしょうか。

松原国務大臣 御答弁申し上げます。

 消費者安全調査委員会では、評価という仕組みを設けることにより、別の目的で実施される他の既存の事業所管省庁等による調査等を活用することとしております。これにより、二重行政とならないよう配慮するとともに、事業者等に無用の負担をかけないようにしているところであります。

 御指摘のとおり、消費者安全調査委員会がこれらの仕組みを円滑に実施することができるためには、事前に、他省庁との間で日ごろより、おのおのの所管分野における調査等の目的、権限、具体的な調査結果の内容を把握し、整理しておくことが必要と考えております。

川島委員 ありがとうございます。

 消費者安全調査委員会は、独立性の強い運輸安全委員会などの三条委員会ではなく、審議会などの八条機関で、独立した事務局は置かれず、消費者庁消費者安全課事故調査室が事務を行う予定と聞いております。

 消費者庁は各省庁からの寄り合い世帯と聞いておりますが、出身官庁に対し遠慮なく意見が述べられるのか、また、この調査委員会が各調査機関に対し強い指導力を持って対応できるのか、もっと明確にする必要があるのではと私は思っておりますが、お考えはいかがでしょうか。

松原国務大臣 お答え申し上げます。

 消費者安全調査委員会は、評価の結果、消費者安全の確保の見地から必要があると認められるときは、他の行政機関の長に対し、事故原因の究明に関し意見を述べることができるとされております。

 その意見において、追加的な調査を求めたり調査関連情報の提供を求めることが考えられますが、消費者安全調査委員会は第三者の有識者から成る審議会であり、職権行使の独立性を示されていることから、当該省庁に対して独立的な立場から意見を述べることに困難があるとは考えていないところであります。

川島委員 次に、もう一つの柱である重大な財産被害に対する措置について質問をいたします。

 この法律案で、多数消費者財産被害事態が新たに定義され、各省庁の個別法、個別業法では対応できないすき間事案について、取引の取りやめなどの勧告、命令を事業者に対し行うことができるとされております。

 この多数消費者財産被害事態の具体例として、実体のない温泉つき有料老人ホーム利用権の取引事案、また、換金困難な外国通貨、イラク・ディナールなどの取引事案など何点か挙げられていますが、このほかにどのような事案を想定しておりますか。また、今後新たな事案が発生した場合、どのように対応していくのか、お伺いします。

松原国務大臣 御指摘の事案以外には、これまで消費者庁が消費者安全法に基づく注意喚起を行った事案の中から申し上げれば、実体のない風力発電の開発計画に係る土地の権利をめぐる投資勧誘事案、それからまた、実体のない天然ガス施設運用権と称する商品の勧誘事案など、これが多数消費者財産被害事態に該当し、すき間事案として本改正法案の対象となり得ると考えております。

 また、新たな手口等による消費者の財産上の利益を侵害することとなる不当な取引が行われるという事態が生じた場合に、機動的に対応できるようにするため、当該取引の類型を政令で定めることができることといたしております。今後、現在規定している多数消費者財産被害事態で捉えられないような新たな手口等によって多数の消費者の財産被害が生じ、行政措置をとるべき事態が生じた場合には、これらに迅速に対応できるよう政令で定めてまいりたいと考えております。

 以上です。

川島委員 このすき間事案の措置によって、現在、苦情、相談が寄せられている処理できない事案のうち、大体どのぐらい網羅できていけそうなのか、ちょっとお考えを教えてください。

松原国務大臣 御答弁申し上げます。

 消費者庁には、消費者安全法に基づき財産分野の消費者事故等の情報が集約されるが、特定商取引法などの消費者庁が所管する法律に基づく対応が可能な事案については、それらの法律を厳正に執行して対応しているところであります。また、他省庁が所管する法律に基づく対応が可能な事案については、当該法律を所管する大臣への措置要求を行うこととなります。

 そして、本改正によって、従来よりあった生命身体分野に加え、財産分野における消費者の財産について重大な被害で、いわゆる多数消費者財産被害事態でありますが、他の法律により対応できないいわゆるすき間事案について、消費者庁がみずから事業者に対して措置をとることができることとしております。

 今回の改正は、現在寄せられている苦情、相談を精査した上で要件を定めたものであるので、現時点において、要件に該当しない具体的な事案は想定されておりません。これまでの権限にあわせ、本改正により付与される権限により、消費者被害の発生または拡大防止のため、行政全体としてすき間のない対応を講じることが可能になるものと考えております。

 以上であります。

川島委員 ありがとうございます。

 悪質な事業者に対し十分な調査を可能とするため、人員の増員など体制の整備が必要となると思われますが、具体的に消費者庁はどのように検討しているのか、お願いします。

松原国務大臣 御答弁申し上げます。

 現在の消費者庁においては、消費者安全法の財産分野の消費者事故等について情報を集約、分析し、消費者への注意喚起や関係省庁への措置要求を行うための体制はしかれておりますが、今回の法改正により付与される事業者に対する調査、勧告、命令等を執行できる体制は、現在整備されておりません。来年度に予定されている本法案のすき間事案の部分の施行を目指し、今後、必要な人員の確保を含め、消費者庁における体制整備について検討を進めてまいりたいと考えます。

 また、消費者安全法上の調査権限については、同意に基づき、先ほど後藤副大臣も指摘をしていたところでありますが、都道府県知事等に委任することができることになっております。財産事案については機動的な調査が重要であり、地方自治体と連携を図りながら、執行体制を整備していくことが重要であります。多くの都道府県知事等に調査権限の委任について同意をしていただけるよう、必要な周知を行ってまいりたいと考えます。

 いずれにしても、改正法で定義される多数消費者財産被害事態であってすき間事案が発生した場合には、消費者安全法に基づく措置が適時的確にとれるよう、必要な執行体制を整備してまいりたいと思います。

 以上であります。

川島委員 今回の法律案の改正によって、消費者庁はどの程度の予算措置を考えているのか、お伺いいたします。また、増加した予算分を、消費者庁としては、その分どこか予算を削るような努力をされるのかどうなのか、そのことも聞かせてください。

松原国務大臣 平成二十四年度消費者庁一般会計予算において、本法案の関連予算として、消費者安全調査委員会を設置し、生命身体分野の消費者事故等について幅広く事故原因の究明と再発、拡大防止に向けた提言を行うため、約八千五百万円の経費を計上いたしております。この予算は、本法案の施行予定日が十月一日とされているため、平成二十四年度後半の経費が計上されているものであります。

 また、委員御指摘があった、どこの予算を削る努力をしたかという御質問でありますが、今年度の消費者庁予算において、庁内各部局にわたり、過去の予算の執行実績などを踏まえ、幅広く削減努力を行って予算を計上いたしました。その結果、本法案の実施に必要な経費を十分措置することを含め、消費者行政全体の機能強化を実現しつつ、一般会計の予算総額を平成二十三年度に比べて一・九%削減しているところでございます。

川島委員 今、我が党は、増税の前にやるべきことがあると訴えております。国民に負担をお願いする前に、もっと行政の無駄を省くことができる、自助努力でやれると考えております。今回のように国民生活に必要なところへの増強は、もちろんやぶさかではありません。しかし、その増加した分、どこか無駄なところをしっかり削っていくという努力をしなければならないと考えております。

 今回のこの予算措置は、予算全体から見ると小さいものかもしれませんが、立法府の国会が無駄を相殺するよう行政府をチェックしないと、どんどん予算規模だけが大きくなり、赤字国債の増大、そして増税へとつながりかねません。新しい政党ではありますが、国民の生活が第一の原則を貫き、国民が自立と共生の理念のもとで、安心、安全かつ安定した生活を送り、みずからの将来に夢と希望を取り戻し、誇り高く暮らせる日々を実現することを目標としてまいります。

 これからも国会議員として、ぜひ国民の生活が第一を目指し、私ども頑張ってまいりますので、大臣、これからも御指導のほどをよろしくお願い申し上げまして、質問とかえさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

阿久津委員長 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口でございます。

 それでは、この法案について御質問をさせていただきます。

 パロマガス湯沸かし器事件、あるいはコンニャクゼリー窒息事故、シンドラー社エレベーター事件、ジェットコースター死亡事故、こういうことが繰り返されているわけであります。やはり事故原因を徹底的に調査して、そして再発を防止していく、そのために国が事故調査の体制をしっかりやっていかなきゃならない、そういうことから、消費者庁設置法関連三法案のときの附帯決議で、参議院で、この事故調査体制をしっかり構築していくということが大きな流れとなってきたわけでございます。

 今回創設される消費者安全調査委員会は、生命身体事故が発生した場合において、生命身体被害の発生、拡大の防止を図るため事故等原因を究明することが必要であると認めるときは、事故等原因調査、評価を行い、講ずべき施策について内閣総理大臣への勧告権や関係大臣等への意見具申の権限を有する、消費者安全の根幹を担う組織と言えるわけでございます。

 そういう点で、委員を誰にするか、これが一番重要なポイントである。原発の問題で、規制委員会の人選が今国会でも話題になっておるわけでありますけれども、いろいろ、何とか何とか村というような枠の中で、このように立派な肩書を持っているけれども、本当に消費者そして被害者の視点に立った運営ができるのかどうか。そういう点では、この人事を見て松原大臣の思いということがわかってくる、こう思うわけでございます。

 先ほど、この委員の持つべき資質、能力等についても御答弁がございました。科学的、公正な判断ができる、工学、医学、心理学等々についての見識を持った方々ということでございますけれども、やはり被害者の皆さんから納得性を得られるメンバーでなきゃいけない。そういう点では、独立性や公正性、そして網羅性や責任性ということをしっかり確保していかなきゃならない、こう思っております。

 この点について大臣に、人選について、自分はこういうふうにするんだ、そして、本当に被害者の方々は、ある意味では、事業者に対する不信感もありますが、やはり行政に対する不信感もあるんですね、そういうものを払拭するような人選の基準というものをどうお考えなのか、お伺いしたいと思います。

松原国務大臣 既に、きょうの議論の中でさまざまな議論を申し上げてまいりました。科学的かつ公正な判断を行うことができると認められる者から内閣総理大臣が任命することであるとか、また、当然、これは広く生命身体事故等の調査全般に通じる知見を有する者である、さまざまな議論があったところであります。

 そうした中で、今、特に委員の御指摘の部分で私が思うことは、改正法第二十二条において、事故等原因に関係があるおそれがあり、あるいはそのようなおそれがある者と密接に関係を有する委員等は調査や会議に参加できないとする職務従事の制限の規定を盛り込んでいるところでありまして、こういったところを徹底することによって、御指摘の独立性、公正性、網羅性、専門性、納得性という観点を満たしていきたい、このように考えているところであります。

大口委員 また、委員は七人以内、全て非常勤とされているわけですね。

 同じ事故調査機関である運輸安全委員会は、十三人のうち八人が常勤、こうなっているわけです。やはり常勤で、しっかり腰を据えてやっていただくということが大事だろうと思うんですね。ですから、小さく産んでというお話がありましたけれども、やはり将来的に委員の一部は常勤化していく、例えば委員長等は常勤化していくということが必要であろう、私はこういうふうに思っております。

 専門委員の方は数十名、あるいは場合によっては百を超えるかもしれない、あるいは臨時委員というものも置くわけでありますけれども、しかし、やはり七人以内の委員がしっかりとした体制でなければならない。そういう点で、委員の一部を常勤化することについてどうお考えなのか、お伺いしたいと思います。

松原国務大臣 実は、基本的に、そこの問題意識は私も委員と共有するところがあると思っております。

 御答弁申し上げますが、平成十一年四月二十七日に閣議決定された審議会等の整理合理化に関する基本計画において、委員は原則として非常勤とするとされております。また、消費者安全調査委員会の事務を遂行するため、同委員会が所掌事務と権限が法定された常設の機関であれば足り、必ずしもその構成員である委員等が常勤である必要性はないと考えておりますが、私は、おっしゃるような委員の問題意識も共有しておりまして、小さく産んで大きく育てるという、これはきちっとした消費者目線の確立のためには必要ではないかと考えているところであります。

大口委員 ぜひとも、これは附帯決議案でも入れさせていただいているところなんですけれども、しっかり対応をお願いしたいと思います。

 次に、何といいましても、こういう調査委員会というのは事務局体制が極めて大事でございます。そういう点でいいますと、今回、事故調査室で二十人程度でやられるということで、独自の事務局は持たれない。また、予算についても八千五百万ということがありました。年間でも二億円に満たないということですので、運輸安全委員会の独立した事務局は百七十六人、予算も二十一億、十分の一程度になっているわけですね。

 この事故調査というのは、報告徴収、立入検査、質問、物件提出・留置、物件保全・移動禁止、現場立入禁止、こういうことを行い、そして被害者の支援、そして申し出への、本当に被害者に寄り添う形での対応、こういうことで多岐にわたっているわけであります。そういう点から、やはり事務局体制を強化すべきである、私はそう思っております。

 そういう点で、今、行革の観点からの御答弁がございましたけれども、後藤副大臣は小さく産んでというところまではおっしゃったんですが、大きく育てるというところまではおっしゃらなかったんですね。やはり、この事務局体制についても、大きくといいますか強化をしていくということについて、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

松原国務大臣 委員御指摘のように、消費者安全調査委員会の事務局機能を担う事故調査室は二十人規模の体制で立ち上げることを予定しております。また、予算規模も、二十四年度は半年分で八千五百万円を計上しているところであります。

 消費者安全調査委員会を消費者庁に置くことで、消費者庁に一元的に集約される事故情報を事故調査に効率的に活用することができると考えているところでありますが、私も、委員御指摘の部分というのは、やはり見合いで見ると、いわゆる運輸安全委員会との比較において我々は今小さくスタートをするわけでありますが、実績を積みながら、またさまざまなトレーニングをしながら、こういったものに関しては、一定の消費者目線に応える規模のものは私は将来的には必要だろうというふうに認識をいたしております。

大口委員 今回、消費者庁にこれは置かれる。そして、これまでの委員の質問にもありましたけれども、内閣府の外局として、独立性の高いいわゆる三条委員会とする必要があるんじゃないか、こういうことが提起されているわけです。

 今回、消費者庁に消費者安全調査委員会を置く、密接性もあるということで、これはこれでいいんだ、こうおっしゃったんですが、しかし、独自の事務局体制の問題もございます、委員の常勤の問題もあります。そういうことからいって、もし今回の消費者安全調査委員会というものが十分機能しない場合は、やはり内閣府の外局に置いて三条委員会とすべきだ、こういう声が非常に高まってくると思うんですね。その点についてどうお考えなのか、お伺いしたいと思います。

松原国務大臣 三条委員会でなくて八条委員会でということに関して、先ほど民主党議員との間でも質疑があったところであります。

 私は、八条委員会で、この権能をもって消費者目線は基本的に確立をできるのではないかということで頑張っていきたいと思っておりますが、委員御指摘のようなことも含め、将来の課題としてはあるのかもしれないと思っております。

 ただ、一方における行政の流れというものもこれまたあるわけでありますから、そういったものを総合的に勘案しながら見ていかなければいけない。大事なことは、実際にこの組織がきちっと、さまざまな権限を生かし、消費者被害をなくすことができるかどうか、その実績を見ながら我々は判断していくべきだと思っております。

大口委員 次に、今回の安全調査委員会の調査、評価件数というのは、予算の計上があるということで、年間百件程度を見込んでいるということでございますが、なぜ百件程度なのか、その根拠。

 そして、やはり必要な調査、評価が漏れなく実施されるということが大事でございます。そういう点では、必要性があれば百件ということにこだわらないという思いというのも大事でありまして、予備費でありますとかそういうことも活用できるわけでありますから、そういう点で、必要な調査、評価は漏れなく行うんだ、百件にはこだわらないということについて大臣の御答弁をいただきたい。

 とともに、今回の選別の指標について、何を対象とするかについて、公共性、単一事故の規模、多発性、消費者自身による回避可能性、被害の程度等を挙げておられるわけでありますが、特に、その単一の事故の規模が小さいから調査しないとか、あるいは、消費者自身による回避可能性があるから調査しないとか、こういうマイナスの観点でこれを捉えられると困ってしまうんです。

 そういう点で、何を対象とするかという基準を、基本方針をしっかり立てていただいて、そして、安全調査委員会が選別基準については指針を策定するということであるべきだと思いますが、お伺いさせていただきます。

松原国務大臣 まず、百件ということの根拠でありますが、例えば、従来、事故情報分析タスクフォースでは十一のテーマについて事故情報の分析、原因究明を行ってきた。その大体十倍が百なんでありますが、ただ、私は、百ということに当然とらわれるものではなくて、必要であれば百を超えてもやるというのは当然のことだというふうに思っております。

 後段の指針の分野に関しては、委員御指摘のように、これは新しくつくられる消費者安全調査委員会で決めるというふうに私は認識をいたしております。

大口委員 その上で、この基準について私がちょっと御質問しましたね。その点についてはどうですか。

松原国務大臣 この基準についてでありますが、基準は、今委員御指摘のようにこの調査委員会で議論するわけでありますが、基準については、何でしたっけ。

大口委員 では、もう一回。

 ですから、選別の指標について、大臣が、公共性とか単一事故の規模、多発性、消費者自身による回避可能性、被害の程度ということを挙げられましたけれども、例えば単一事故の規模あるいは消費者自身による回避の可能性というものを、これを道を閉ざすマイナスの方向で判断してもらっては困る、こういうことを言ったわけです。

松原国務大臣 当然、委員御指摘のように、それは道を閉ざすわけではなくて、必要なものに関してはきちっと取り上げるということであります。

大口委員 次に、今回の法案で、他の行政機関等の調査の評価の結果、必要に応じて、安全調査委員会がみずから調査を行う、こう規定されているわけですが、このみずから調査を行うその基準についても明確にしていただきたいと思うわけであります。そうやって、必要な調査は漏れなく行われる仕組みというのを構築していかなきゃならないと思うわけであります。

 それから、事故調査等の申し出制度を規定されているわけですが、安全調査委員会または他の機関の調査結果に対し不服がある場合、安全調査委員会に対し再調査を求めることも可能とすべきである、こういうふうに考えますが、いかがでございましょうか。

松原国務大臣 消費者安全調査委員会は、他の行政機関等による調査等の結果を評価し、消費者安全の確保のために必要な事故調査が十分なされているとは言えないものについては意見を述べ、また、必要があると認めるときは、みずから調査を実施するところであります。

 また、消費者安全調査委員会は、事故等原因調査等を完了した後でも、新しい証拠や知見を得た場合であって、これを利用して再度事故等原因を究明することが被害の発生、拡大を防止するために必要であると認められる事案については、再調査を行うこととしております。

 特に、以前の調査結果に基づき実施された施策とは異なる対策が必要となる可能性があるような場合には、再調査の必要性は高くなると考えているところであります。

大口委員 次に、医療分野に係る事故調査についてでございますが、これについてはどのようにお考えなんでしょうか。

松原国務大臣 お答えいたします。

 医療事故についても、消費者事故等に該当するものについては、消費者安全調査委員会の調査対象となり得るわけであります。もっとも、医療分野の消費者事故については個別性の高い事案も多く、消費者安全調査委員会はこうした事情を考慮しながら、優先的に取り組むべき事案かどうか判断を行うこととなります。

 その意味では、医療事故の中で、例えば医療器具のふぐあいによる医療事故や家庭で患者がみずから使用する医療機器等に関する事故などは、調査委員会による原因究明を再発、拡大防止につなげる余地が比較的高い事案であると考えられます。

 なお、美容関係のトラブルの中には医療行為にかかわるものもあると承知をいたしております。

 医療事故に関しては、現在、厚生労働省が検討部会を立ち上げ、医療事故に係る調査の仕組み等のあり方の検討を進めているものと承知をしております。これは運輸安全委員会のようなものになると思料されております。

大口委員 今回法案の修正案でも出させていただきましたが、やはり施行前の事故についても、これは当然、事故等原因調査対象とすべきであるということ、これはもう各委員も指摘しているところでございます。

 次に、平成二十三年の保育施設における死亡事故が全国で十四件あったんですが、自治体が管理監督する施設において事故は多数発生しています。こうした事故に対して、自治体が独自に第三者機関を設置し、調査することもあるわけですね。

 本法律案では、法律あるいは法律に基づく命令の規定による自治体の調査等は評価の対象とされていますが、法律の規定によらない自治体の調査に不足があるというようなときはどう対応いたしますか。

松原国務大臣 法律の規定に基づく調査ではない、地方自治体が第三者による事故調査委員会を設置して調査等を行った場合、消費者安全調査委員会は、その調査を評価するのではなく、みずから調査の対象として取り扱います。

 なお、消費者安全調査委員会は、地方自治体が設置した第三者委員会と同じ調査を繰り返すのではなく、その調査結果を活用しながら、みずから調査を進めてまいります。そのため、地方自治体が設置した第三者による事故調査委員会の調査に不足があったとしても、消費者安全調査委員会がその不足分も含めてみずから調査を行うこととなります。

 以上です。

大口委員 次に、被害者等に向き合う事故調査の必要性を指摘したいと思うんですね。

 被害者等への情報提供、説明のための常設の対応窓口の設置、被害者等に配慮した事情の聴取、被害者の視点を生かした調査、申し出制度、事故の記憶の保存、こういうことが検討会の取りまとめでも提案されているわけであります。

 本法律案において、申し出制度や被害者等への情報提供については規定があるわけでありますけれども、被害者支援策についてどのように今検討しておられるのか。例えば、事故報告書もわかりやすいものにしなきゃいけない、また、メールでの情報提供ですとかホームページの積極開示ということもあるんですが、きめ細かくやっていただきたいと思いますが、いかがでございましょう。

松原国務大臣 そもそも、消費者目線という観点から、委員御指摘の点は極めて重要なことであるというふうに認識をいたしております。消費者安全調査委員会が十分な原因究明を行うために、被害者等の協力を得て行うことが必要であり、被害者と向き合う事故調査という姿勢が重要であります。

 このため、事故等原因調査等の実施に当たっては、被害者等の心情に十分配慮しながら、当該事故等原因調査等に関する情報を適時適切な方法で提供してまいります。

 また、事故等原因調査の結果を取りまとめた報告書はホームページで公開するほか、被害者等には、その求めに応じ、報告書の内容をわかりやすく説明してまいりたいと考えております。

 また、事故等原因調査等の申し出に当たっては、窓口に消費生活センターの相談員等の経験者等を配置するなどして、申し出方法や申し出に関する相談に丁寧に対応していくことと考えております。

 以上であります。

大口委員 今回修正案でも出させていただきましたけれども、重大事故について、被害者等による調査の申し出に対してその調査を実施しないとしたときは、やはり、その旨を通知するだけじゃなくて、その理由についても通知すべきだ。

 私は、やはり、大臣がおっしゃったように、消費者、被害者重視ということからいえば、当然理由についての規定も入っていなきゃおかしいと思うんですね。それが抜けていた。今回修正で出させていただきましたけれども、その姿勢はもう一度反省していただきたいというふうに思っております。大臣が決裁された法案ですから。このことを指摘しておきます。

 次に、勧告及び意見具申についてでありますけれども、今回、調査等が完了した後に被害の発生、拡大の防止のため講ずべき施策、措置を求める内閣総理大臣に対する勧告権と、消費者安全の確保の見地から、調査完了以前でも随時行うことができる内閣総理大臣または関係行政機関の長に対する意見具申、これが安全調査委員会の権限として規定されているわけでありますが、これについて、被害の発生、拡大の防止のために、この権限は積極的に行使されることが望ましいわけであります。

 勧告を受けた内閣総理大臣の場合は、講じた施策については安全調査委員会に通報をしなければならない、こういう規定があって、こういう形でやりますということが通報されるわけですが、早急に対応が求められる意見具申についてこういう規定がないわけです。

 私は、やはり内閣総理大臣、関係行政機関の長が、意見具申についても、これを尊重し、真摯にかつ速やかに対応し、そして、求められるのを待つのではなく、みずから積極的に安全調査委員会への通報をすべきであると考えますが、大臣、いかがでございましょうか。

松原国務大臣 委員と思いは全く同じでありまして、意見具申にかかわる広範な内容を含めることから、法律上、委員会への通報義務は設けていないところでありますが、意見具申を受けた機関が積極的にみずから講じた施策または措置について調査委員会に通報していただくことは望ましい、極めて望ましいと考えております。

 仮にみずから調査がなされなかったとしても、消費者安全調査委員会は、関係省庁に対して必要な協力を求めることができるとしております。そこで調査委員会は、通報義務規定がなくても、関係省庁が意見具申に基づきどのような対応を行ったかについて報告をするよう求めることができることとなっております。

 委員御指摘のとおり、報告を求めるまでもなく、こういったものについて報告がなされることを私たちは望ましいと考えております。

大口委員 大臣の今の答弁をしっかりこの委員会が受けとめてもらえる、こういうふうに期待をしております。

 次に、事故調査と刑事捜査との調整についてお伺いします。

 もちろん、目的は、事故調査は事故の原因を究明して予防、再発防止をする、刑事手続については刑事責任の追及、こういうことで目的は相違するわけでございます。そういう中で、この安全調査委員会の事故調査と刑事責任追及のための刑事手続が競合する場合の両者の関係については、法律上規定されていないわけでございます。

 運輸安全委員会は、平成二十年九月五日、警察庁と国土交通省が、犯罪捜査と運輸安全委員会が行う事故調査が競合する場合の総合調整について合意をしているわけでございます。私もその合意の文書を持っているわけでございますけれども、こういう合意につきまして、消費者庁は警察庁と、消費者安全委員会の事故調査と犯罪捜査の総合調整について、単なる申し合わせではなくて文書による取り決めをするのか、そしてその内容は運輸安全委員会のものと同様なのか、お伺いします。

松原国務大臣 結論としては、そういったものも含め検討しているというところであります。

 事故調査と刑事手続は、一方が他方に優先するという関係にはなく、双方がそれぞれの目的に沿って支障なく円滑に実施されることが重要であります。そのため、運用面において、調査委員会と捜査機関がそれぞれの役割、責務を尊重し、必要な協力や活動の調整を行っていくことができるよう、制度開始までに消費者庁と関係省庁との間で必要な検討を進めてまいりたいと思います。

 今委員御指摘の、運輸安全委員会と警察庁との間のお話がありましたが、これを参考にして、ほぼ同様の事項について取り決めを行うべく、警察庁と調整を進めてまいりたいと考えております。

大口委員 附帯決議案に私どもは提案させていただきましたが、やはり、消費者安全調査委員会が、事故等の原因調査に必要な事故の現場の検証やあるいは生命身体事故等の関係者からの事情聴取について、刑事手続との関係で制約されることなく十分に実施されることができるよう、よく考えていただきたい、こういうふうに思う次第でございます。

 次に、多数消費者財産被害事態についても質問をさせていただきますけれども、なかなか時間がないものですから、そういう点では一、二点お伺いさせていただきたいと思います。

 やはり、今も御指摘がありました、注意喚起ですとかあるいは措置要求についてはほとんど実績がない。注意喚起あるいは措置要求について実績がない中で、果たして、今回のすき間財産事案についての事業者への勧告、命令や、あるいは関係行政機関への情報提供の措置というものが、十分迅速で機動的な対応ができるのか。体制整備が大事だと思うんですね。

 都道府県の関係で、これまで三十一県、八政令指定都市が、これまでの消費者庁の委任について同意を得たということなんですが、やはり四十七都道府県、全ての政令指定都市にこれが同意していただけるよう、なぜ、どういうところをきちっとやればそれが御理解いただけるのか、そこら辺も含めてお伺いしたいと思います。

松原国務大臣 今御指摘のように、九件と少なかったというお話もありました。こういったことも含め、消費者庁自体ももちろんこれからさらに積極的に行ってまいるわけでありますが、人員等の問題もありました。そこで、地方自治体との連携というものも必要になってこようかと思っております。

 そういった意味で、地方自治体等の同意が三十一ということでありましたが、四十七全てそういったものをつくるべきではないか、全くおっしゃるとおりでありまして、そういったことも含め、消費者庁の存在感を出しながら、消費者庁が何をやっているか、消費者目線で今何が問題か、こういったことを安心、安全のアクションプランということで、これからさらに進めていきたい、このように思っているところであります。

大口委員 多数消費者財産被害を発生させた悪質な業者に対して、やはり不当な取引の取りやめなどの勧告、命令の行政措置だけでいいのかということがあるわけですね。

 そういう点では、泣き寝入りになってしまうことが多い消費者被害を一括して救済する新たな訴訟制度でありますとか、また、そういう利益を得させないということが大事でありまして、集団的消費者損害回復に係る訴訟制度、あるいは行政による経済的不利益賦課制度及び財産の隠匿、散逸防止策、こういうことを検討していただいているんですが、特に、集団的消費者被害の訴訟制度については今国会で出されると。私どももそういう対応をしておったんですが、今回出されない。これも、本当に消費者団体の方々も失望されているんです。

 今回、この多数消費者財産被害については、こういう法案を、消費者安全調査委員会の設置という形で、また、すき間事案について対応するということで出されたわけでありますけれども、今宿題となっているこの課題についてどうなのか、お伺いしたいと思います。

松原国務大臣 いわゆる集団的消費者被害回復に係る訴訟制度というのは極めて重要な法案であると思っております。

 現在検討中のものに関しては、我が国の民事訴訟制度の大きな例外であり、他の分野にも前例がない制度であったり、また、いわゆる仮差し押さえ、御案内のように、率直に中を言いますと、最初の第一段階の前に仮差し押さえという、これが従来と違う枠組みになろうかと思っておりまして、こういったところのさまざまな法的な実証や整備に時間が非常に求められているのは事実でありますが、これはもうきちっと近いうちに、この国会に仮に間に合わなくても出すということで頑張っていきたいと思っておりますし、また、そういったことも含め、我々は消費者目線を確立させるということで、さまざまなことをこれから取り組んでいきたいと思っております。

 先般、内閣において、総理大臣が全体を取りまとめる中の政策会議も行われて、いわゆる安心、安全のアクションプランということも指示が総理からあったところでありまして、こういったことも含め、消費者の目線を確立し、委員御指摘のようなことを現実にするための施策は全力で講じていきたい、このように思っております。

大口委員 時間が参りましたので、これで終わります。

 ありがとうございました。

阿久津委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 今回議論する法案についてはまず私は賛成する立場なんですが、もともと、自公政権時代で民主党が野党の時代に私たちも一緒になって議論して、最終的には超党派的にこの法律を実現したわけですよね。あのときにやはり問題になった一つは、もともと、すき間事案をなくすために、解決するために、消費者安全法と消費者庁設置関連法を実現しようということで取り組んだわけですね。

 ですから、本来ですと、シンドラーのエレベーター事故にしろ、コンニャクゼリーの問題にしろ、あるいはパロマの製品事故など、こういう事故が起これば直ちに事故調査委員会を立ち上げて、消費者事故の原因の究明と対策に取り組むということが法成立のときに多くの人が期待したことだと思うんですよ。

 そういう点では、問題になったこれらの事案について、原因究明と、そしてそのために調査する委員会を立ち上げて、究明と解決に道筋をどのようにつけてきたのか、このことを最初に伺っておきたいと思います。

松原国務大臣 御答弁申し上げます。

 消費者庁においては、これまで専門家十名から構成される事故情報分析タスクフォースを設置し、生命身体事故の分析、原因究明を行ってまいりました。本棚の転倒事故を初めとする十一案件について原因究明を実施し、適宜必要な事故防止対策を講じてまいりました。

 このほか、コンニャク入りゼリーによる窒息事故事案について、平成二十二年九月にこんにゃく入りゼリー等の物性・形状等改善に関する研究会を発足させ、専門家や製造事業者の協力を得て、同年十二月に研究会報告書を取りまとめ、事故防止に努めてまいりました。

 以上です。

吉井委員 それで事故防止に取り組んできてやっているんだったら、別に改めて法律をつくってやらなくても、今までつくってきた法律を徹底的にやり抜くということで本来いけるはずなんですよね。それが、今回の法律改正を考えるということになっているわけです。

 消費者庁が扱ってきた人命にかかわるぐらいの重大事故が年間約七百件ありますが、これまでの事案についての調査分析と、そこで得られる研究成果や新たな知見を生かして取り組むことが大事だと思うんです。新しくつくる消費者安全調査委員会は年約百件ぐらいを予定して取り組むようですが、そこで、どのようにこれまでの問題、解明してきた対策を生かしていくのかということを次に伺っておきたいと思います。

松原国務大臣 消費者安全法第十二条第一項に基づき通知された重大事故等については、毎週の定期公表を行った後、その後の通知元及び関係機関等における原因究明及び対策の実施状況について確認を行い、年四回程度、公表を行ってまいりました。

 消費者安全調査委員会は、このように消費者庁に蓄積された事故情報データを活用して事故等原因調査等を行う、例えば、事案選定の際に端緒情報として活用し同種事故の発生状況を調べたり、事故等原因調査の一環として同種事故の傾向分析を行ったりすることが想定をされているところでございます。

吉井委員 同種事故の調査分析というお話もありますけれども、しかし、さまざまな形で次々出ているんですね。例えば、一九九八年からの電動シャッターの事故でも、これまでに十人の方が亡くなっているんですね。それから、腕を切断ということになった人を含めて、重軽傷者が十四人出ている。こうした問題について、これまで、事故は起こっているんだけれども、一体どういうふうにこれまでの法律のもとで事故調査に取り組んで対策を考えてきたのかということは、やはり大事だと思うんですよ。

 そのときに、エレベーターのときもそうでしたけれども、その後、少し状況はある程度変わったようですけれども、警察の方からすると、刑事訴追という立場で証拠保全を図る。しかし、消費者の側からすれば、こういう事故を繰り返さないために、事故原因の究明と、そして再発防止の対策という角度で必要になるわけですね。

 そうすると、これまで、例えば法十六条に基づいて、被害の拡大防止、安全対策を図るために、当該措置の実施に係る取り組みを、措置の要求を関係大臣にすることができるんですね。「総理大臣は、」という主語があっても、実際は総理一人でできませんから、だからこそ各大臣が事務分掌をしているわけですから。

 松原消費者担当大臣は、同時に国家公安委員長でもあるわけですね。だから、あなたがあなたに命令すれば、こういう消費者事故の事案の解明について、直ちに警察は証拠を抱え込むんじゃなくて消費者庁の方で取り組むというのは、要するに原因の究明ですから、そして再発防止ですから、そのためにきちんとやれと自分で自分に命令をするということでやっていけると思うんですが、どういうふうにやってこられたのかを伺っておきます。

松原国務大臣 消費者安全法第十六条に基づく措置要求に関してのお話が冒頭ありましたが、この実績は現在ございません。ただし、消費者庁は、消費者の安全、安心を確保するため、寄せられた消費者事故等情報について、各事案の内容に応じ、消費者への注意喚起、事業者、事業団体への働きかけ、関係省庁への具体的な対応要請は行ってまいりました。

 なお、今、事故調査における警察庁との所掌のことについてのお話がありましたが、事故調査と刑事手続は、一方が他方に優先するという関係にはなく、双方がそれぞれの目的に沿って支障なく円滑に実施されることが重要であると認識をしておりまして、そのため、運用面において、調査委員会と捜査機関がそれぞれの役割、責務を尊重し、必要な協力や活動の調整を行っていくことができるよう、制度開始までに消費者庁と関係省庁とで必要な検討を進めてまいるところでありまして、私もその観点からまたさまざまな部分でそれを強く見守っていきたい、このように思っております。

吉井委員 自分で自分に命令したらいいわけですから、余りかたいことを考えないでやっていくということが大事だと思います。

 これまで、消費者に注意喚起したり関係省庁への措置要求だけで、約七百件の重大事故があるわけですが、その中で幾つかの類型的な問題、直ちに調査するべき問題について、十六条に基づいて関係大臣に松原消費者担当大臣の方から措置要求、事実的な勧告ですね、これを行った例はありますか。

松原国務大臣 既に御答弁申し上げたように、現段階ではございません。

吉井委員 私は、この問題については、やはりきちんとした取り組むに当たっての体制をつくって、そして必要な措置要求をきちんと行っていくと。大体、七百件の重大事故がありながら、松原大臣の方から関係大臣に措置要求をした例が一件もないということ自体が余りにもおかしいんじゃないか。

 私は、いろいろな事故の例がありますが、注意しなきゃいけない一つに、ヒヤリ・ハット事例、ひやっとした件数はほっておくと重大事故につながるわけですよ。そういうものを非常に重視していく上でも、まず体制を強化しなきゃいけないということを申し上げておきたいと思うんです。

 それで次に、国民生活センターで扱った放射能測定器の相談件数とテストを実施した件数について、まず、調査をする具体的な入り口の取り組みから伺っておきたいと思うんです。

松田政府参考人 お答えを申し上げます。

 この震災を契機といたしまして市中に放射線測定器が出回っておるという中で、国民生活センターは、これまで三回にわたりまして商品テストの結果を実施しております。

 基本的に、PIO―NET、いわゆる全国消費生活情報ネットワークというデータベースに登録されたこの関係の相談件数は八百四十八件にわたっておりまして、これの結果に基づきまして、今申し上げましたように、商品テストの結果で、二十二銘柄で実施しているところでございます。

吉井委員 八百四十八件、そういう相談が寄せられた。その主なものは大体どういうものですか。

松田政府参考人 やはり、数字が全然動かないとか、買ったものが本当に壊れているんじゃないかとか、それから、一年間の保証つきだったけれども動かない、ゼロから動かないけれども業者に連絡がとれない、あるいは、どこで測定しても同じ値になるので信用できず、解約、返金を申し出たが拒否された、使い方がわからなくなって販売店に聞いてもわからないといったような情報が寄せられておるところでございます。

吉井委員 実は、昨年の三・一一から七月末までで三百九十一件の相談が寄せられ、さらに十一月末まででとると六百八十件の相談が寄せられ、さらにその後の新しいもので八百四十八件。ですから、相談はどんどんどんどんふえているんですね。

 そうすると、どういう内容のものであるかということについて、購入金額が異常に高過ぎるとか、精度が出てこないとか、やはりそういう内容についてきちんと調査をするということが大事だと思うんですが、どうも今のお話を伺っておりますと余りはっきりしないんですが、実際には、例えば食品の汚染について暫定規制値以下なのかどうかということを調べるにしても、測定器自体が、精度が必ずしもばらつきがあってよくわからない、そういうふうなものが現実にはあるんじゃないですか。

松田政府参考人 お答えを申し上げます。

 国民生活センターのこの結果、中身につきまして、今注意喚起をしているところでは、まさにそういった食品の放射能との関係をチェックするに至るところまでの精度はないというものが、商品テストの結果で大半のものがそういうものが見受けられるという、非常に誤差の激しいものでありますとかそういったことが指摘されておりまして、十分その辺を踏まえた上で購入されるようにという注意喚起を国民生活センターから行っているところでございます。

吉井委員 消費者にとって食品安全というのは物すごく重要な課題なんですよ。それを検査する機器が、今のようなお話ですと、何だか余り、測定はいろいろあちこちでやっているんだけれども、信頼できるものなのかどうかわからない。これはやはりきちんと正していく方向性というものを消費者担当大臣として指示してもらって、取り組んでいかなきゃいけないんじゃないでしょうか。

松原国務大臣 今の質疑を聞いておりまして、委員の御指摘というのは極めて理解できるものでありますので、さらにそのことに関しては深掘りをして、実際どうなのか等々も検討していきたいと思います。

吉井委員 実は測定器といいましても、測定値が正しいかどうかですね。先ほどのセンターの方の調査の中にも、購入してから二カ月間ぐらいは動いておったんだけれども、そこからさっぱり動かないものとか、そもそもデータが信頼できるかどうかわからない。あるいは、こういう測定器のことですから、一定の期間ごとに校正といいますかキャリブレーションですね、これをきちんとやらないと、そもそも測定したデータが信頼できるかどうかわからない、こういう根本問題があると思うんです。

 例えば産業技術総合研究所の方でも、校正定数で補正後の数値がどうなるかとか、こういうものをきちんと研究したりしているんですが、そもそも、センターの方では、ただ、購入した機器の価格が高過ぎるとか、あるいは二カ月で壊れてしまったという苦情受け付けだけじゃなしに、日常的に、例えば半年に一回とか、どこできちんと校正をしなさいよ、どこへ行ったらやってもらえますよということを教えてあげないことには、買った方は信じ込むわけですよ。

 そして、これから、内部被曝にかかわる方ももちろんそうなんですけれども、除染作業をどんどん進めていますね。除染に行く人が線量計を持っていって、それで自分で累積線量を計算できるわけですよ。累積線量がこれぐらいだったら大丈夫だと思っておったら、実は測定器が狂っておった、まだ大丈夫かと思ったら、実際にはその何倍か浴びておったということもあり得るわけですね。

 だからこそ、こういう放射線測定器の校正ということについて、やはりきちんとした体制、対応をとっていくということが大事だと思うんですが、どういうことをやっておられますか。

松田政府参考人 委員御指摘のとおりで、いろいろなテストをやっておるのは大体数万円ぐらいの機器、シンチレーションサーベイメーターですと数十万円、誤差はあるんですけれども、それにしてもいかがなものかと先ほど申し上げたところでございます。

 それで、今、キャリブレーションの御指摘かと思いますけれども、御指摘のとおり、個人線量計は経年劣化等で測定値がずれてしまう、定期的に校正を行わないと正確な計測ができなくなってしまうという性質をそもそも持っておるというふうに認識をいたしております。一般消費者により個人的に使用されるというよりも、むしろプロで業務用に使うという前提で、ある意味、定期的にピアノの調律のように校正をするといったようなことが、意外に使用者側に理解されておらないというようなことであろうかと認識をいたしております。

 それで、東日本大震災後、被曝への国民の関心が高まりまして、消費者が容易に個人線量計を購入できるようになっているものの、この校正につきましての説明が十分になされていないという認識でございます。先ほど申し上げましたように、国民生活センターがいろいろな注意喚起を行っているわけですけれども、五月のテスト結果では、購入する際に校正済みの製品であるか等を確認してから購入すること、それから、継続して使用する際は、定期的に校正を依頼するなどの管理を行う必要があることなどを消費者にまずアドバイスいたしますとともに、販売する際にちゃんと個人線量計の用途を正しく消費者に説明するように、販売事業者側に要望も行っているということでございます。

 消費者庁といたしましても、個人線量計の機能に即した使い方や校正の必要性につきまして、消費者へのさらなる注意喚起等を行うよう検討しているところでございまして、事業者等への要望もあわせて検討しているところでございます。

吉井委員 消費者側に理解されていないというお話もありましたけれども、多くの人はもともとみんな知らないんですよ。ですから、それは消費者側の責任じゃなくて、やはり販売するときには、こういうことをきちんきちんとやらなきゃいけませんよということ。

 それから、校正する、そういう仕組みというものをつくっておかないと、多くの人は、特に住んでいる方たちは、被曝線量、自分はまだこの地域だったら大丈夫だなと思ったら随分多かったりとか、あるいは、ボランティア活動で行った人が、線量計を持っていったんだけれども、線量計がそもそもだめだとよくわからなかったりとか。あるいは、これから国も自治体も大規模に除染しようというわけでしょう。除染作業にかかる人たちが余分な被曝をすることがないように。

 やはりこれは基礎的な問題ですから、そういうことについてきちんと取り組んでいただくこと、そういうことは、別に新たな法律をつくらなくても本来やらなきゃいけないことなんです。本来やらなきゃいけないことをやらないで、次々と新しい法律をつくれば何か事足れりという考え方だけはやはり改めた方がいい、このことを申し上げまして、時間が参りましたので終わります。

阿久津委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正でございます。

 与えられた時間が十分という限られた時間でありますので、答弁の方も、ひとつしっかりしていただきたいなと思います。

 きょうは四点ほど質問しようと思っているんです。まず第一に二十三条に関連して質問をいたしますが、消費者や消費者団体等、この法案の早期成立を願う声は大変多いと聞いておりますし、我が社民党もこの法案に基本的に賛成でありますが、何点か懸念される点もありますので、その点について逐次質問をしてまいります。

 二十三条には、「ただし、」として、「消費者安全の確保の見地から必要な事故等原因を究明することができると思料する他の行政機関等による調査等の結果を得た場合又は得ることが見込まれる場合においては、この限りでない。」こういう文言がございます。この部分は、消費者安全調査委員会の独立性、公正性、中立性に疑念を生じさせかねない部分と私は見ています。

 というのも、過去に食品安全委員会が厚生労働省の資料に基づいてアメリカ産牛肉の輸入再開を決定したときのようなことが起きるのではないか、こういうことがありました。あのときは、食品安全委員会プリオン部会を辞任した委員まで出て、食品安全委員会の信用は地に落ちたと言われました。

 そこで、科学的原因究明ではなく、政治的結論を出すようなことが起こる懸念はないか、この条文によって調査委員会の公正性や中立性が阻害されることはないのか、まず聞いておきたい。それからまた、事故原因を究明することができると見込まれる場合は原因究明調査はしないとしていますが、「見込まれる場合」とはどのようなことをいうのか、答弁を求めます。

松原国務大臣 二十三条一項で言う「他の行政機関等による調査等の結果を得た場合又は得ることが見込まれる場合」とは、他の行政機関等による調査や検査の結果が、実質的に、消費者安全の確保の見地から必要とされているだけの事故等原因の究明をなし得ている場合のことであります。

 消費者安全調査委員会は、二十三条一項ただし書きの場合は、他の行政機関等による調査等の結果の評価を行い、みずからの判断に基づき他の行政機関等に意見を述べ、必要に応じて不足部分についてみずから調査を行えるものでありますから、消費者安全調査委員会がその趣旨をしっかり踏まえて事故等原因調査等を行う限り、独立性、公平性、中立性に疑念を生じることはないと考えております。

 申し上げますが、不足部分について、不足であるという場合には、みずから調査を行うということになっているところであります。

重野委員 次に、二十五条の委託について聞いておきたいんですが、第二十五条の調査の委託も懸念が残ります。

 調査委員会の委託先がどういったところになるのか、きちんと消費者目線で調査を実行できることが大切だと考えるんですが、この点についてはどうですか。

郡大臣政務官 二十五条の委託についての御質問ですけれども、一般的に、事故等の原因調査の手段は、現場に行って調査を行って、それに基づいた事実確認、それから再現実験、物性・成分分析等の実験、分析、それから同じような事故などの傾向分析を経て報告書を取りまとめるというふうになるものと考えられますけれども、このうち、実験、分析につきましては、この委員会自体が実験を行える研究施設を持ってはおりませんものですから、それを実施する能力を有する者に委託することができるということを規定させていただいたものでございます。

 委託先といたしましては、科学的知見をもとに、その事故調査の趣旨をよく理解した上で、公正中立な立場から分析や実験を行うことのできる機関、これに選定をしてまいりたいと思います。具体的には、国センのテスト部門ですとか、それからまた大学等の研究施設等が考えられようかと思います。

重野委員 次に、これは縦割り行政の弊害の除去という点でありますが、第二十四条三項では、第一項の評価の結果、さらに調査委員会が事故原因を究明するために調査を行う必要があると認めるときは、事故調査を行うものとするとの規定が設けられているんですね。

 縦割りが浸透している行政機関の中にあって、調査委員会が事業所管庁の行った調査に異議や疑義を申し立てるというのはなかなか難しいのではないか、このように思料するのでありますが、各省庁のあつれき、これはどのように克服していくのか、その点についても聞いておきたい。

郡大臣政務官 消費者安全調査委員会は第三者の有識者から成る審議会でございまして、第十七条に、職権行使の独立性、「調査委員会の委員は、独立してその職権を行う。」というふうに定められてございまして、当該省庁に対して独立的な立場から意見を述べるということに困難があるとは考えておりません。

重野委員 問題は、そういうふうに言いますけれども、しかし、現実問題としていろいろあるんじゃないですか。それはしっかり認識しておかないと、これが動き始めて、そういうふうな疑義が、あるいは不安が持たれるようではいけませんから、そこのところはしっかり踏まえておいていただきたい。

 終わりに、二十四条一項について、これは評価の問題でありますが、二十四条一項では、他の行政機関による調査等の結果を得たときは、その評価を行うものとするとされています。この評価とは一体、具体的にどのようなものなのか、それが一点。それから、事業所管庁が準備した資料や書面を審査するだけになる疑念がありますが、そうにはならないのかどうか、そのところを説明してください。

郡大臣政務官 お答えをいたします。

 評価の具体的な手法につきましては、これから消費者安全調査委員会におきまして御検討いただくことになるわけでございます。例えば、これまでも御説明させていただきましたけれども、背後要因や複合要因の解明、それから事故の発生や被害の拡大を防止するための措置等の実効性の検証、また類似の生命身体事故等の情報の傾向分析、それから消費者の使用実態を踏まえた事実調査、これらに留意をいたしまして、その原因を究明しているかどうか、この調査委員会において検証されることになるものというふうに思います。

 そして、今、重野委員からお示しがされました懸念というものを払拭できるように、応分の対応をとらせていただきたいというふうに考えているところでございます。

重野委員 消費者安全法という法律、極めて重要な法律だと思います。問題は、この法律に対する国民の信頼をどうかち得るかということだと思います。それは、これを実行する各省庁の行い方、そのことは国民が見ているわけですから、そこのところをしっかり認識しながら、これから法律の執行をお願いしておきたいと思います。

 以上で終わります。

阿久津委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

阿久津委員長 この際、本案に対し、井戸まさえ君外二名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の三派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。永岡桂子君。

    ―――――――――――――

 消費者安全法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

永岡委員 ただいま議題となりました消費者安全法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 修正の趣旨は、第一に、消費者安全調査委員会は、重大事故の被害者等から事故等原因調査等が必要である旨の申し出があった場合において、事故等原因調査等を行わないこととしたときには、速やかに、その旨に加え、その理由を当該被害者等に通知しなければならないこと。

 第二に、何人も、事故等原因調査等が必要である旨の申し出をしたことを理由として、解雇その他の不利益な取り扱いを受けないこと。

 第三に、この法律の施行前に発生した生命身体事故等も、事故等原因調査等の対象となる旨を明記すること。

 以上が、本修正案の趣旨であります。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

阿久津委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

阿久津委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、消費者安全法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、井戸まさえ君外二名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

阿久津委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

阿久津委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

阿久津委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、井戸まさえ君外三名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、国民の生活が第一・きづな及び公明党の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。大口善徳君。

大口委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明いたします。

 その趣旨は案文に尽きておりますので、案文を朗読いたします。

    消費者安全法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 一 消費者安全調査委員会は、事故等原因調査等を完了した後に、究明した事故等の原因(事故については、事故に伴い発生した被害の原因を含む。)に変更を生じる可能性のある新たな証拠又は知見が利用可能となった場合において、生命身体被害の発生又は拡大の防止を図るため当該生命身体事故等に係る事故等原因を再度究明することが必要であると認めるときは、事故等原因調査等を改めて行うこと。

 二 消費者安全調査委員会は、必要な調査等が漏れなく行われるよう、生命身体事故等の中からその対象を選定するため、「公共性」「単一事故の規模」「多発性」「消費者自身による回避可能性」「被害の程度」等の観点を踏まえ、指針を策定すること。

 三 消費者庁は、消費者安全調査委員会の委員の一部を常勤とすることを検討すること。

 四 消費者安全調査委員会が、事故等原因調査に必要な事故現場の検証や生命身体事故等関係者からの事情聴取について、刑事手続との関係で制約されることなく十分に実施することができるよう、必要な措置を講じること。この場合、警察等の捜査機関にあっては、消費者の利益の確保と再発防止を図る観点から、積極的に資料提供に協力すること。

 五 消費者庁は、多種多様な生命身体事故等に係る事故等原因調査等や、申出制度・情報提供等における被害者支援を消費者安全調査委員会が十全に行えるよう、その事務局機能の充実強化を図ること。

 六 消費者庁は、消費者の財産被害の発生又は拡大の防止を図るため、消費者安全法に基づく消費者への注意喚起、各大臣に対する措置要求の権限とともに、関係行政機関の長等に対する情報提供、多数消費者財産被害事態に係る事業者に対する勧告及び命令の権限を、積極的かつ実効的に活用すること。

 七 消費者庁は、多数消費者財産被害事態を発生させた事業者に対し、必要な調査等を迅速かつ十分に行うことができるよう、体制の整備に努めること。

 八 消費者庁は、財産分野における消費者被害の更なる救済等を図るため、集団的消費者被害回復に係る訴訟制度、行政による経済的不利益賦課制度及び財産の隠匿・散逸防止策の検討を早急に進めること。

以上でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

阿久津委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

阿久津委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。松原国務大臣。

松原国務大臣 ただいま御決議いただきました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重してまいりたいと思います。

    ―――――――――――――

阿久津委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

阿久津委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

阿久津委員長 次に、内閣提出、参議院送付、特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案は、参議院で修正議決の上送付されたものでありますので、まず政府から趣旨の説明を聴取し、引き続き参議院における修正部分の趣旨について説明を聴取いたします。松原国務大臣。

    ―――――――――――――

 特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

松原国務大臣 ただいま議題となりました特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 近年、相手方を訪問して物品を購入する取引に伴う被害が増加しており、このような取引を行う事業者が不当な勧誘を行っていることや、一旦こうした契約を結んでしまうと売り主がその申し込みの撤回等をすることができないこと等が問題となっております。

 これらの問題を克服し、高齢者の方々を初めとした国民が安心して暮らせる社会をつくるためには、新たな対策を講ずることが必要不可欠であります。

 こうした認識のもと、訪問購入に係る取引を公正なものとし、その取引による被害を未然に防止するため、この法律案を提出した次第であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、物品の購入を業として営む者が営業所等以外の場所において行う、政令で指定する物品の購入を規制の対象とします。

 第二に、訪問購入に関して、契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘や、契約の締結、契約の解除の妨害、または物品の引き渡しのために不実のことを告げる行為及び威迫して困惑させる行為等の不当な行為を購入業者が行うことを禁止します。また、訪問購入に係る契約の内容を明らかにする書面の交付を購入業者に義務づける等の措置を講じます。

 第三に、訪問購入に係る売買契約について、売り主は、一定の期間その申し込みの撤回等ができることとします。また、売り主は、その期間中は、購入業者に対し物品の引き渡しを拒むことができるほか、購入業者に物品を引き渡し、その物品が購入業者から第三者に引き渡された場合においても、一定の条件のもとで当該物品を取り戻せるようにする等の措置を講じます。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨でありますが、本法律案につきましては、参議院において修正が行われたところであります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

 以上です。

阿久津委員長 次に、参議院消費者問題に関する特別委員長山本博司君。

    ―――――――――――――

 特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案の参議院修正

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

山本(博)参議院議員 ただいま議題となりました特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案の参議院における修正部分につきまして、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 本修正は、近年急増しております訪問購入に係る取引による消費者被害の実態を踏まえ、その被害を未然に防止する上で、消費者にとってより実効性の高い措置を講ずる必要があることから、行われたものであります。

 本修正の内容の概要は、次のとおりであります。

 第一に、政令で定める指定物品に限定されております訪問購入の規制の対象となる物品につきまして、原則として全ての物品を対象とすることといたしております。

 第二に、購入業者は、訪問購入に係る売買契約の締結についての勧誘の要請をしていない者に対し、営業所等以外の場所において、当該売買契約の締結について勧誘をし、または勧誘を受ける意思の有無を確認してはならないこととするとともに、購入業者は、訪問購入をしようとするときは、その勧誘に先立って、その相手方に対し、勧誘を受ける意思があることを確認しないで勧誘をしてはならないこととする、いわゆる不招請勧誘の禁止等に関する規定を新設することといたしております。

 第三に、購入業者は、売買契約の相手方から物品の引き渡しを受けた後、第三者に当該物品を引き渡したときは、いわゆるクーリングオフ期間を経過した場合を除き、その旨及びその引き渡しに関する事項を、遅滞なく、その売買契約の相手方に対し通知しなければならないことといたしております。

 第四に、購入業者は、売買契約の相手方から物品の引き渡しを受けた後、クーリングオフ期間中に第三者に当該物品を引き渡すときは、当該物品に係る売買契約に関し、クーリングオフをされることがある等の旨を、その第三者に対し通知しなければならないことといたしております。

 第五に、附則において、政府は、訪問購入に係る売買契約の申込者等がクーリングオフをした場合において、当該申込者等が物品の占有を確実に回復し、または保持することができるようにするための制度について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする規定を新設するとともに、施行後五年を経過した場合とされております見直しの時期を、三年とすることといたしております。

 以上が、本修正の趣旨及び内容であります。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

 以上です。

阿久津委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十九分散会


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