衆議院

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第7号 平成24年8月7日(火曜日)

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平成二十四年八月七日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 阿久津幸彦君

   理事 井戸まさえ君 理事 櫛渕 万里君

   理事 樋口 俊一君 理事 和田 隆志君

   理事 竹本 直一君 理事 永岡 桂子君

   理事 相原 史乃君 理事 大口 善徳君

      磯谷香代子君    打越あかし君

      緒方林太郎君    川口  博君

      工藤 仁美君    斉藤  進君

      田中美絵子君    高野  守君

      玉木 朝子君    中屋 大介君

      永江 孝子君    仁木 博文君

      野田 国義君    福田衣里子君

      藤田 憲彦君    宮崎 岳志君

      森山 浩行君    山岡 達丸君

      山崎 摩耶君    和嶋 未希君

      今津  寛君    北村 茂男君

      後藤田正純君    近藤三津枝君

      柴山 昌彦君    野田 聖子君

      平井たくや君    福井  照君

      吉野 正芳君    加藤  学君

      川島智太郎君    小林 正枝君

      吉井 英勝君    吉泉 秀男君

      山内 康一君

    …………………………………

   参議院議員        大河原雅子君

   参議院議員        金子 恵美君

   参議院議員        斎藤 嘉隆君

   参議院議員        島尻安伊子君

   参議院議員        木庭健太郎君

   参議院議員        福島みずほ君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            松原  仁君

   内閣府副大臣       後藤  斎君

   内閣府副大臣       中塚 一宏君

   内閣府大臣政務官     郡  和子君

   政府参考人

   (消費者庁次長)     松田 敏明君

   衆議院調査局第三特別調査室長           仲川 勝裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月七日

 辞任         補欠選任

  斉藤  進君     打越あかし君

  中屋 大介君     山岡 達丸君

  野田 国義君     山崎 摩耶君

  山口 和之君     田中美絵子君

同日

 辞任         補欠選任

  打越あかし君     斉藤  進君

  田中美絵子君     高野  守君

  山岡 達丸君     中屋 大介君

  山崎 摩耶君     野田 国義君

同日

 辞任         補欠選任

  高野  守君     山口 和之君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四八号)(参議院送付)

 消費者教育の推進に関する法律案(参議院提出、参法第二六号)

 消費者基本法の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第二七号)


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     ――――◇―――――

阿久津委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として消費者庁次長松田敏明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

阿久津委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

阿久津委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大口善徳君。

大口委員 公明党の大口善徳でございます。

 特定商取引法改正案についてお伺いいたします。

 これは参議院で修正をされました。そして、六月二十日に可決をされて、来たわけでございます。私も修正協議にかかわらせていただきましたものですから、それを踏まえましてお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、除外物品の指定関係、五十八条の四についてお伺いをいたします。

 購入業者による取引の対象となる物品は、貴金属のみならず、価値のあるもの全てとなることが考えられるため、消費者被害の未然防止のため、参議院の修正によって、政府原案で示された指定物品制をとらず、原則として全ての物品を対象とすることにしました。売買契約の相手の利益を損なうおそれがない、または流通が著しく害されるおそれがあると認められる物品については政令で除くこととし、消費者の利益の保護を図るものとなっています。

 訪問購入に係る取引の十分な実態調査と適切な審査のもと、実態に即した除外品指定を行う必要があるわけであります。どのような実態調査を行い、この法律の施行日、これは公布の日から六月を超えない範囲において政令で定める日となっていますが、その施行日までに具体的にどのような物品を政令で除外しようと考えているのか。また、近年、消費者と事業者との取引形態、商品の多様化、複雑化の中、規制の後追いにならないようこういう形になったわけですけれども、実際の運用に当たっては、常に実態の把握、トラブルの解明を行い、除外物品の変更を行う必要があると考えますが、この二点について大臣からお伺いしたいと思います。

松原国務大臣 御指摘の、どのような物品を政令指定するかについては、今後しっかりとした実態調査を行い、消費者の利益を損なう等のおそれのないものを指定してまいりたいと思っております。

 また、御指摘のような規制の後追いといいますか、つまり、適用対象外物品になったものに関して、悪質な販売購入業者がさまざまな活動をしないよう、被害の実態については適用対象外物品についても政令等で機動的に現状を見、また、見直してまいりたい、このように考えております。

大口委員 具体的にどのような物品を政令で除外しようとしておられるのか。検討中になると思うんですが、もう少しそこら辺について御答弁ございますか。

松原国務大臣 本法案を可決いただいた後に今後検討していく段階にあり、現時点では不確かなことは申し上げられないということで御理解いただきたいと思っておりますが、いずれにしても、しっかりと実態を踏まえ、消費者の利益を損なう等のおそれのないものを指定してまいりたいと思っております。

大口委員 次に、不招請勧誘禁止の関係についてお伺いいたします。

 これまでの訪問購入に関する消費者トラブルの多くが、業者にいきなり自宅を訪問され、強引に貴金属などを買い取られるというものでありました。訪問購入の場合、当事者にとって思い出のある唯一の品を取り戻せなくなるおそれが強く、また、不当に安い値段で買い取られるなどの被害実態を見ますと、訪問販売と異なる特別の規制を定めることが適切であると考えたわけです。

 そうした理由から、この修正によって、訪問購入について、いわゆる不招請勧誘禁止と、勧誘に先立って勧誘を受ける意思があることを確認しないで勧誘することが禁止されました。これまでの訪問購入に係る消費者被害の実態を踏まえ、これらの規定は意義があるものと考えますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

松原国務大臣 訪問販売であれば、消費者の側に損失があったとしてもその損害は金銭的なものであるのに対し、訪問購入の場合は、委員御指摘のように、みずから所有していた唯一の物品が取り戻せなくなる可能性があるなど、訪問販売とは異なる訪問購入トラブル特有の事情について熱心に御議論をいただきました。

 その結果、あらゆる手だてを講じて消費者保護を最大限手厚くするべきとの立法判断により、不招請勧誘禁止規定の導入に踏み込んでいただいたものと承知をいたしております。

 以上です。

大口委員 五十八条の六の第一項により、購入業者は、売買契約の締結についての勧誘を要請していない者に対して、その者の自宅を含め営業所等以外の場所において、対面で勧誘することと、勧誘を受ける意思の有無を確認することが禁止されている。

 また、五十八条の六の第二項によって、購入業者は、訪問購入の勧誘に先立って、その相手方に対し、勧誘を受ける意思があることを確認しないで勧誘をすることが禁止されることになり、消費者から売買契約の締結についての勧誘の要請があり、それで訪問している場合であっても、また電話による勧誘の場合であっても、訪問購入しようとするときは、その勧誘に先立って、勧誘を受ける意思があることを確認しなければならない、こういう修正になったわけであります。

 この規定について、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

松原国務大臣 修正案において、購入業者は、訪問購入の勧誘に先立って、その相手方に対し、勧誘を受ける意思があることを確認しないで勧誘することが禁止されることとなります。これにより、消費者から売買契約の締結についての勧誘の要請があり、訪問している場合であっても、訪問購入しようとするときは、その勧誘に先立って、勧誘を受ける意思があることを確認しなければならないことになります。

 かかる規定は、みずから所有していた唯一の物品が取り戻せなくなる可能性があるなど、訪問販売とは異なる訪問購入トラブル特有の事情が認められることから、特別の規制をかけることが適当と判断されるため、訪問販売より、より厳しい義務を課されたものと承知をいたしております。

大口委員 訪問購入については勧誘を受ける意思の確認が義務づけられていますが、特商法における訪問販売については努力義務とされています。同法上の他の取引類型に係る規制との整合性がとれないのではないかという指摘もあるんですが、消費者被害が特に認められる訪問購入のような取引類型については、訪問販売とは別の特別の規制を及ぼすことが必要だということでこういう修正になっているわけであります。

 この点について、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

松原国務大臣 既に御答弁申し上げましたように、まさに訪問販売とは異なる訪問購入トラブル特有の事情があるという委員御指摘のようなことから、特別の規制をかけることが適当と判断されるため、訪問販売より厳しい義務を課したものというふうに承知をいたしております。

大口委員 また、電話によるアポイントメントの後に訪問買い取りに至ったケースが一定程度あるところであります。参議院でもこのことが議論されたわけであります。

 電話による勧誘についても、法施行後の状況を注視した上で必要な検討を行うべきであると思いますが、大臣、いかがでございますか。

松原国務大臣 御指摘のように、参議院の附帯決議において、本法の施行状況の検討とあわせて、訪問購入に係る不招請の電話勧誘を禁止することの是非について検討を行い、必要な措置を講ずることとされました。

 実際の訪問購入に係るトラブル事例において、電話による勧誘を経たケースは現時点では少ない、まあ一〇%ぐらいですね、そのようなケースもあることは認識しており、改正特商法の施行後、電話による勧誘の実態についてしっかりと把握した上で検討を行ってまいりたいというふうに考えております。

大口委員 次に、相手方への通知、五十八条の十一でございますけれども、物品の売り主にとって、売却した品物が誰の手元にあるのかという情報は、クーリングオフをして物品を取り戻すに当たって重要な情報であることから、購入業者は、クーリングオフ期間中に物品を第三者に引き渡した場合に、主務省令で定める事項を売買契約の相手方に通知しなければならないということになっているわけですね。

 主務省令で定める事項として転売価格や転売先などが考えられますけれども、どのような事項を定めることを検討しておられるのか、お伺いいたします。

松原国務大臣 既に今委員からもお話がありましたが、具体的な内容については、今後の検討が必要でありますけれども、物品の引き渡しを受けた第三者の氏名、連絡先、引き渡し価格等が想定されているところであります。

大口委員 事業者の通知義務違反については、主務大臣による指示の対象となるとともに、訪問購入に関する業務停止等を命ずることができるということでありますが、このことの実効性についてどうお考えでしょうか。

松原国務大臣 御指摘のとおり、訪問購入業者が売り主への通知義務に違反した場合、指示または業務停止命令といった行政処分の対象となります。さらに、行政処分に違反した場合には、罰則が科せられることとなっております。

 特商法違反行為に対しては、御指摘の通知義務違反を含め、地方経済産業局や都道府県と連携して厳正に対処してまいりたいと考えております。

大口委員 また、修正では、売却情報の重要性に鑑み、政府案にある「売買契約の相手方の求めに応じて、」という文言を削除したわけですね。この修正の意義についてもお伺いしたいと思います。

松原国務大臣 政府案では、売り主がクーリングオフを行使し、かつ売り主が求める場合に限り、第三者への引き渡しについて売り主に通知が行くこととなっております。これに対して、修正案では、クーリングオフ期間中は、売り主によるクーリングオフの行使の有無にかかわらず、また売り主の求めの有無にかかわらず、物品が第三者に引き渡された場合はすべからく売り主に通知が行くこととなります。

 物品の売り主にとって、みずから売却した物品が誰の手元にあるのかという情報は、クーリングオフをして実際に物品を取り戻すことを担保するに当たり重要な情報でありますが、修正案は、この実効性をさらに高めるものであるというふうに認識をいたしております。

大口委員 第三者への通知、五十八条の十一の二についてお伺いします。

 購入業者が売買契約の相手方から引き渡しを受けた物品のクーリングオフについて、善意無過失である第三者に引き渡した場合は、その第三者に所有権を主張することができない。そこで、第三者に対して所有権を主張することができるようにするため、参議院の修正によって、クーリングオフの期間中、購入業者が第三者に物品を引き渡した場合、その第三者に対しクーリングオフについて通知することを義務づけたものであります。このことにより、第三者が善意無過失である場合を生じなくさせ、さらに、第三者による取得自体を消極的にさせる効果が期待されます。

 事業者の通知義務違反に対して、主務大臣による指示の対象となるとともに、訪問購入に関する業務停止等を命じることができるわけでありますけれども、これらの規定の実効性についてお伺いしたいと思います。

松原国務大臣 御指摘のとおり、訪問購入業者が第三者への通知義務に違反した場合、指示または業務停止命令といった行政処分の対象となります。さらに、行政処分に違反した場合は、罰則が科されることとなっております。

 特商法違反行為に対しては、御指摘の通知義務違反を含め、地方経済産業局や都道府県と連携しつつ厳正に対処してまいります。

大口委員 特に、このことについてはしっかり対応していただきたいと思います。

 そして、第三者への通知義務があることを事業者に周知徹底していただきたいんですね、事業者にこういう通知義務があるということを。そして、その通知方法についても、確実に第三者に伝わるような、そういう指導をする必要があると考えておりますが、いかがでございましょう。

松原国務大臣 後の方から答えますと、訪問購入業者から第三者に対する通知の方法については、主務省令で定めるところによることとされております。第三者がクーリングオフされる旨を明確に認識できるよう、必要な検討を行うことといたしております。

 その上で、第三者に対する通知の趣旨及び内容についても、消費者庁のウエブサイトへの掲載、警察で研修を受けている古物商への周知、小規模の購入業者に対する問い合わせへの対応や、貴金属業界、宝飾業界等業界団体への説明等、多様なチャネルを通じて広く周知徹底することにより、本規定の実効性を確保したいと考えております。

大口委員 次に、指示の対象となる不適当な勧誘行為ということで、五十八条の十二についてお伺いしたいと思います。

 訪問購入に関して高齢者の被害が目立つところであります。また、判断力の不足に乗じた勧誘の事例も報告されているところであります。

 五十八条の十二第三号では、売買契約の相手方の利益を害するおそれがあるものとして主務省令で定めるものを主務大臣による指示の対象とすることができ、購入業者が指示に従わない場合は、罰金や業務停止の対象とされます。

 訪問販売における同様の規定では、迷惑勧誘や判断力不足に乗じた契約等を禁止していますが、訪問購入に関しても消費者庁はこのような勧誘行為を主務省令で禁止することとするのか、お伺いしたいと思います。

松原国務大臣 訪問購入に係る消費者トラブルの実態については、高齢者等を対象とした被害が多く見られることから、訪問販売と同様に、高齢者等の判断力不足に乗じて不当に契約を締結する行為を禁止する旨について省令で定め、行政処分、指示、まあ業務停止等が含まれますが、その対象とすることを検討いたしております。

大口委員 これは当然対象になると思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、五十八条の十七の第二項の関係についてお伺いします。

 この規定によって、政令で定めるものに該当する訪問購入として訪問購入に係る諸規制が適用除外される取引態様について、これは参議院で答弁されていますけれども、例えば定期的に自宅を訪れる事業者がリフォームと買い取りの双方を継続して行うことによって消費者との取引上の信頼関係が構築されるもので、具体的に今後検討していくということの答弁があったわけですね。

 もう少し具体的にどのようなものを想定しておるのかをお伺いしたいとともに、この定期的というのはどの程度の間隔をいうのか、例えば自動車の買い取りと販売のように数年置きのものも対象となるのか、お伺いしたいと思います。

松原国務大臣 定期的にの解釈については、訪問販売においても同様の除外規定が置かれているところでありまして、訪問販売では一定の間隔を置いてという意味と解しており、一律にその長さを定めることはできず、取扱商品ごとの取引の実態によって異なるため、個々のケースに応じて判断を行っております。

 訪問購入について定期的にとお答えしたのも一定の間隔を置いてという意味でありますが、訪問販売と同様に、その間隔については一律に定めることはできず、個々の取引実態に応じて判断をされるところになります。

 いずれにしても、政令の策定に当たっては、訪問購入の取引の実態を踏まえ、適切に対応してまいります。

 また、御指摘の自動車の下取りということについてでございますが、本法案を可決いただいた後、消費者庁において政令を速やかに検討していくことになっており、現時点では不確かなことは申し上げられないわけであります。

 いずれにしても、訪問購入の取引実態についてよく調査等を行い、また、消費者の利便性なども踏まえ、慎重に検討してまいります。

大口委員 ここは、自動車の下取り等、非常に一般的な取引形態でありますので、注目をしております。しっかり対応していただきたいと思います。

 次に、附則第四条の関係でありますけれども、本法律案において、押し買い被害の防止、救済のため、第三者への所有権の主張やクーリングオフ期間の引き渡しの拒絶の規定、第三者に転売された場合の通知義務の規定などによって消費者の保護が図られているわけでありますが、それでも、相談事例を見ますと、高齢者等においては、買い取られた物品を取り戻すことが困難な場合が生じると考えられます。

 そこで、クーリングオフ期間、事業者に転売禁止の義務づけを求める意見も、参議院において我が党の山本香苗議員が主張したわけです。そして、なぜ、このクーリングオフ期間中の第三者への転売禁止ができないのか、その理由を問うたのに対して、消費者庁の方は、転売禁止とすると、その間の購入業者の金利負担というような、著しい負担を購入業者に強いることになる、こういう答弁があったわけでありますけれども、この答弁は、消費者の利益を第一に考える消費者庁の発言とは思えないと思います。

 もう一度、導入できない理由についてお伺いしたいと思います。

松原国務大臣 修正案において、売り主に対し、クーリングオフ期間中の物品の引き渡しを、拒絶権を付与することに加え、訪問購入業者に対して、クーリングオフ期間中に第三者に物品を引き渡す際の売り主及び第三者への通知義務を規定し、物品をより容易に取り戻すことができるような措置が講じられたところであります。

 しかしながら、なお、売り主にとって唯一の物品を取り戻すことが困難な場合も生じ得ることから、附則の規定が措置されたと承知をいたしております。

 今後は、修正案に盛り込まれた民事規定の効果を検証した上で、制度のあり方について検討してまいりたいと思います。

大口委員 そのために附則の第四条を私どもの主張で入れさせていただきましたので、しっかり対応していただきたいと思います。

 次に、消費者被害の防止のためには、都道府県の執行体制の強化や各自治体の相談体制の充実も必要であるわけですね。

 地方消費者行政活性化基金の終了後について、七月二十日、消費者政策会議において野田総理から、地方消費者行政へのしっかりとした支援が指示されたところでありますが、この地方消費者行政への新たな財政的支援が期待されております。

 消費者基本計画には、地方支援のための財源確保の検討について実施時期は明確に書かれていませんが、来年度概算要求も迫っています。既に具体的な形になっていると考えますけれども、この地方消費者行政への具体的な財政支援についてお伺いしたいと思います。

松原国務大臣 今委員御指摘のように、先般、消費者政策会議において野田総理から、地方消費者行政の重要性についてあえて言及をいただいたところであります。そのことも含め、今の委員の問題意識を私も共有し、地方消費者行政のさらなる充実は必要であると思っております。

 地方消費者行政については、消費者にとって身近な相談窓口の充実を図っていくことが重要な取り組みであることから、これまで地方消費者行政活性化基金を活用して充実強化を推進してまいりました。

 一方、小規模な自治体は基金への依存度が高く、自主財源の確保が困難な状況にあり、今後も持続的な消費者行政の充実を図っていくためには、基金終了後の地方消費者行政の財源の確保が大きな課題となります。

 平成二十五年度以降において、地方消費者行政に積極的に取り組む地方自治体を引き続き支援し、自治体における基礎的な取り組みの下支えができるよう、財源の確保に最大限の努力をしてまいりますし、今、する予定であります。

大口委員 私も常々これは申し上げているところでありますので、しっかり対応していただきたいと思います。

 あと、高齢者等に対する周知啓発活動というものを今回の改正についてはしていかなきゃいけないと思いますが、この点、どのように行われますか、お伺いしたいと思います。

松原国務大臣 高齢者に積極的に周知するに当たっては、参議院での附帯決議を踏まえつつ、消費者団体のほか、高齢福祉関係団体や障害者関係団体等、高齢者を含め地域住民に日々接している警察等を通じ、わかりやすい説明の仕方を工夫するなどして情報を提供し、特に高齢者に対して重点的に周知啓発を努めてまいります。

大口委員 時間が参りましたので、これで終わります。

 ありがとうございました。

阿久津委員長 次に、藤田憲彦君。

藤田(憲)委員 民主党の藤田憲彦でございます。本日、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 特定商取引法の改正案ですが、これはもう既に参議院で審議されておりますので、いろいろな審議の過程はあったかと承知をしておりますが、衆議院での質疑でありますので、そもそも、今回の法律の改正に至った押し買い、この押し買いの実態について、これは一体どういうものなのかということ、基本的質疑ですが、まずお願いいたします。

松田政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、消費社会やリサイクル社会の成熟化に伴いまして、家庭にある使用済みの物品を売り渡すという態様が広がりつつある一方で、金の価格が高騰し、中古の貴金属等の価値が高まっておりまして、これらを背景に、訪問購入のトラブルに係る相談が全国的に急増しておるところでございます。例えば、事業者が消費者宅を不意打ち的に訪問し、身につけている指輪などの貴金属を意に反する形で買い取っていったなどといった相談が女性や高齢者から多く寄せられているところでございます。

 平成二十二年度以降、相談件数が急に上がりまして、二十一年度は百件余であったところ、二十二年度は二千四百件余、二十三年度は四千百件余という急増状態にありまして、依然として深刻な状況であるというふうに認識をいたしております。

藤田(憲)委員 既にいただいた資料で、平成二十三年では三千八百九十四ということでしたが、平成二十四年になって、四千百件余ということで、これもまたふえているということであります。

 押し買いというのは後でまた質問いたしますけれども、これはほとんど、家に訪問をして、そしていわゆる貴金属類を、ほぼ有無を言わせぬような圧力と、あるいは脅迫に近いような状態で持っていくというわけで、はっきり言って、一言で言えば強盗だとか窃盗だとかという犯罪類型にも極めて実態としては近いものがあろうと思っております。その意味で、この法案の改正によって押し買いに対する規制をかけるということの意義は私も理解をいたします。

 その上で、今まで、消費者問題に関しての消費者行政、あるいはその規制のあり方というのは常に消費者というものが購入者という立場でありましたが、今回、この訪問購入、いわゆる押し買いに関しては消費者が売り主となる場合においての行為規制ということで、そういう意味では、新しい規制のあり方ということでさまざまな課題も起きているんだろうと理解をいたします。

 次には、今回のそもそものこの法律案の改正に至った押し買いの実態について伺いましたが、私も、今、民主党で行政改革調査会に所属をしておりますけれども、平成二十三年三月、昨年の三月に行われました規制仕分け、いわゆる行政刷新会議で行ってきた仕分けの中で、貴金属等の買い取り業者による自宅への強引な訪問買い取りということがテーマとして挙げられて、それがこの法律の改正に至った経緯であるというふうに理解をしております。

 行政改革というものは、とかく、特に仕分けというふうに名前がつきますと、常々、予算の削減ですとか、スリム化、効率化ということばかりがテーマに上がりがちでありますけれども、行政改革というのは必ずしも予算の削減等々だけが行政改革ではなくて、いわゆる法律のすき間の問題ですとか、あるいは、今行われているさまざまな問題の中でいわゆる脱法的なものがあるものについてもきちんと網の目をかけていこうということ、あるいは、逆に網の目をかけ過ぎていて自由がきかないところについては規制改革をしていこうというような点は、これは行政改革としても大変重要だと思っております。

 そこで、昨年三月に行われました規制改革仕分けで、貴金属等の訪問買い取りにおいてどのような議論が行われたのかということについて、中塚副大臣にお伺いしたいと思います。

中塚副大臣 今先生から御指摘いただきました、貴金属等の買い取り業者による自宅への強引な訪問買い取りということでありますが、昨年の三月七日ですけれども、行政刷新会議の規制仕分けの中で取り上げられました。

 そのときの議論ですけれども、ポイントは三つございました。まず第一に、被害実態を早急に把握する、消費者への啓発活動等、現行制度上可能な措置を講じるべきということがまず第一点であります。第二点目は、法的措置については特定商取引に関する法律の改正を軸に検討するべきであるということが二つ目。三つ目には、具体的には、同法に訪問買い取りの類型を加えるべし、クーリングオフ規定の導入について検討するべし、そういう指摘がなされたところでございます。

藤田(憲)委員 ありがとうございます。

 そういう意味でいいますと、規制仕分けの中で指摘された事項というものが今回の法律案の中にもかなりの程度反映されているというふうに思いますが、この規制仕分けの結果、これは法律の改正も含めた措置を早急に検討するというようなコメントが取りまとめのコメントでありましたが、そこから本法律案の改正にどのようにつながっていったのか、この経緯について消費者庁にお伺いしたいと思います。

松田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御答弁ございました平成二十三年三月の規制仕分けの議論を受けまして、その後、その翌月の四月に閣議決定されました規制・制度改革に係る方針におきまして、貴金属等の買い取り業者による自宅への強引な訪問買い取りから消費者を保護するための法的措置について、被害実態の正確な把握に努めつつ検討し、結論を得る、こういうこととされたわけでございます。

 これを受けまして、消費者庁は、同じ二十三年の七月から貴金属等の訪問買取りに関する研究会を開催いたしまして、十二月には中間取りまとめを行ったものでございます。この取りまとめにおきまして、貴金属等の訪問買い取りによる法的措置は、まさに特定商取引法の改正によって対応すべきとされたところでございます。

 訪問販売等の規制が規定されております特定商取引法に新たに訪問買い取りの類型を設けるというような形で考えまして、二十三年度内でございます本年三月に、特定商取引法の新しい類型といたしまして訪問購入を加える本改正案を提出したところでございまして、規制仕分けの議論が本改正案という成果につながったものと承知をいたしております。

藤田(憲)委員 今ありがたい御答弁をいただきまして、規制仕分けの成果が本改正につながったということを明言していただきましたけれども、これも、ある意味一つの行政改革の成果ということ、成功例の一つに挙げられるべきものであると思っておりまして、この法案の成立というものは、いわゆる消費者を守るという本来の趣旨、それが行政改革から始まったということは、行政改革に携わる私としても大変これは喜ばしいと思っているところでございます。

 それを前提に、残りの時間で若干法案質疑に入ってまいりたいと思います。

 今回、この法律は参議院で審議をされて、参議院での修正がなされているというところがあります。先ほど大口委員の方から法案の内容についてるる御質疑がありましたので、重複を避けるために、参議院においての審議の中で修正された内容で非常に重要なのは、いわゆるクーリングオフというものが設定され、クーリングオフ期間中に買い取り業者が第三者に転売をした場合には、それを売り主に対して通知するといういわゆる規制が加えられました。

 この点に関しては、もちろん消費者側を保護するという意味では重要な条項であって、それは先ほどの質疑の中で行われましたが、一方で、貴金属類というものがこの主要な内容を占めるのであるといたしますと、貴金属は御存じのとおり、例えば指輪にしてもネックレスにしても、これは容易に加工しやすい。例えばダイヤのネックレス等々であれば、それだけを外して指輪にかえるとか、いろいろな加工がしやすいというようなこともあろうかと思います。

 そうしますと、やはり悪質な買い取り業者は常に法の抜け道、網の目から逃れる方法を考えますので、だったら、転売をする前に加工してしまって、実際には戻せないようにしてしまおうというようなことも当然考えられる余地はあるかと思います。

 この辺が、新しい改正案の中でいうと五十八条の十二からのいわゆる購入業者における行為規制の類型にも当たってくるのかと思いますけれども、こういった加工によって原状回復が難しいようなものについてはどうやって規制の網の目をかけていくのかという点について、これは参議院の提出者からお伺いしたいと思います。

斎藤参議院議員 藤田委員御指摘のケースのように、物品を引き渡してしまった場合に、売り主がクーリングオフをしたとしても、もとの状態のまま物品を取り戻すことができないという可能性があることについては、これは修正案においても政府案と同様であるというふうに認識をしています。

 このようなケースを防ぐためにということで、クーリングオフ期間中については、原則として、物品を売り主の手元に置くことですとか物品の加工等を禁止することも考えられますけれども、そのためには、クーリングオフを伴う契約の法的性質の整理等、さまざまな検討が必要になるというように認識をしています。

 そこで、現時点では、訪問購入に係る被害に迅速に対応していくために必要な規定の修正を行うこととしまして、御指摘のようなケースを防ぐため、訪問購入の売り主がクーリングオフをした場合に、物品の占有を確実に回復し、または保持することができるような制度については、附則の四条において政府に検討を義務づけるということとしまして、必要な措置が講ぜられるようにしたということでございます。

藤田(憲)委員 まさにこういった点については既に参議院でも問題意識としてはあって、そして附則の四条において政府に対して検討を促すということになっておりますけれども、ここがまさに立法のところと行政の執行の問題のいわゆるつなぎの問題でありまして、私たちも、さまざまな法案を成立させる過程の中で、政府に検討を求めるということはたくさんあります。その検討が最終的には主務省令等々で定められるという過程のところまできちんと見ないと、本当の意味での消費者保護につながってこないわけでありますから、これは当然立法府としても、どういった主務省令が定められるかというのは、さまざまな党の会議ですとか、あるいはこの国会の場で検討していく必要があろうかと思います。

 私は、この押し買いの問題に関しましては、こういった規制の網の目を抜けるような、いわゆるずる賢い悪徳業者というものが絶え間なく発生する可能性があると思っておりますので、新しい類型ですからまだ想定し得ないようなさまざまな事情があるかもしれませんが、ここはぜひ松原消費者担当大臣にしっかりと指示をしていただいて、消費者保護につながるような行政をしていただきたいと心から願うものでございます。

 そして最後に、私たち行政改革調査会の中で仕分けも含めてさまざまな行政改革をやっていると、今大きくテーマになっているものは何かといいますと、まさに省庁の縦割り行政の中で、どのように省庁間で連携をしていくかということが実は大きなテーマになっています。連携が図られていないから各省庁間で重複したような事業が存在をするということが、ことしの民主党版の事業仕分けにおいてもさまざまに指摘をされてまいりました。

 そして、まさに今回のような訪問買い取り、いわゆる押し買いの問題につきましては、消費者を保護するという行政上の立場からは当然こういった法の成立というものが必要なのでありますけれども、冒頭私が申し上げましたとおり、これは窃盗ですとか強盗、詐欺、住居侵入というような、いわゆる刑法犯罪に類するところもあろうかと思っておりますし、被害者の方、先ほどの消費者庁の説明で高齢者の方が多い、あるいは女性の方が多いということでいいますと、そういった刑法犯罪に該当するんだというような知識を持ち合わせていない、しかも、自分としては何がしかのお金をもらったから、盗まれたとかおどされたというような意識を持ちにくい。すなわち、これは犯罪行為として実際該当するにもかかわらず、なかなか顕在化しにくいという問題が生じると思います。

 そうしますと、ここはまさに消費者行政としての消費者庁と、刑法でいわゆる刑罰行為を科してそれを規制していくという警察との連携が、実際に消費者を保護するためにおいては非常に重要になってきますし、参議院の審議の中においては、民主党の松浦議員を初め、警察との連携についてはどうなのかということについても質疑されているところと承知をしております。

 そこで、ここは松原大臣に踏み込んでいただいて、どういうふうに消費者行政と警察との橋渡しを、同じく兼務されている大臣がどのように連携を図っていくのかということを力強くメッセージをいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

松原国務大臣 従来においても、特商法の執行過程で、詐欺を初めとする刑法犯に該当するケースが発覚した場合、必要に応じ警察に情報提供を行う等、連携を行ってまいりました。

 本改正案が可決され、訪問購入が特商法上規制される取引類型として新たに扱われることになった場合も、刑法犯となり得る特に悪質な訪問購入の事案については、引き続き警察と連携を行い、厳正に対処してまいりたいと思います。厳正に対処してまいります。

藤田(憲)委員 余り力強くなかったような気もしましたが、そこはふだんの松原節を炸裂していただいて、立派な消費者保護につながるような行政を期待いたしまして、私の質疑を終了いたします。

 ありがとうございました。

阿久津委員長 次に、加藤学君。

加藤(学)委員 国民の生活が第一の加藤学でございます。

 本日は、この法案は参議院で既に修正されて可決されているということでありますので、もともとの政府案と比べて大幅に修正された点、この点について、政府案からの修正でどういうふうに改善されたのかということを明確にするために幾つか質問をしていきたいというふうに思っております。

 まず最初に、修正の重要なポイントとして、五十八条の六で、訪問購入業者の不招請勧誘の禁止になったこと、そして、政府案では努力義務であった勧誘意思の確認が義務になったことがあります。

 まず、この修正案の提案者にお伺いいたします。

 勧誘の要請をしていない者に対して勧誘してはならないというふうに書いてあるわけですけれども、例えば営業の世界で、これを売ってくださいと言えないような状況の中で、果たして営業の自由というのがあるのかどうなのか。例えば選挙で、家を訪ねながら私に投票してくださいと言えないみたいな、何か中途半端な感じがして、非常にイメージが湧かないんですけれども、どういった行為をこの不招請勧誘の行為として考えるのか、あるいは、どんな目的でこれを禁止しているのか、具体的にちょっと御説明していただければと思います。

島尻参議院議員 加藤委員にお答えをさせていただきたいと思っております。

 これまでの訪問購入に係る消費者トラブルの多くは、業者にいきなり自宅を訪問されて、強引に物品を買い取られるというものでございます。訪問販売等の場合は、消費者側に損失があったとしても金銭でございますが、訪問購入の場合は、みずからが所有する唯一の物品を取り戻せなくなるおそれが大きいということでございます。

 したがいまして、不当に安価に買い取られやすいなど消費者被害が特に認められる訪問購入のような取引及び被害実態については、訪問販売等とは別の特別の規制を及ぼすことが適切であり、勧誘に先立って勧誘を受ける意思を確認することを努力義務として課している政府案の規制では不十分であります。

 したがって、立法政策として、より消費者保護を手厚くすべき観点から、訪問購入における勧誘を要請しない者に対しての訪問による勧誘等を禁止することとするものでございます。

加藤(学)委員 具体的には、例えば、鉄くずを買いたい業者がやってきて、いろいろな鉄くずを見つけた、それで、これを売ってくださいとその家に言ったとか、あるいは農家の家に訪ねていって、このリンゴを一箱下さいと言った、これはこの不招請勧誘というのに当たるんでしょうか、当たらないんでしょうか。

島尻参議院議員 恐れ入ります。もう一度具体的にお願いします。

加藤(学)委員 例えば、鉄くずを集めている業者は、いろいろ方々を回って、鉄の古い車とか農機具とかそんなものをあさって、それをどこかに転売するわけですけれども、そういった人が家を回ってチェックしています。そして、ピンポンとやってきて、訪問購入みたいなものですけれども、これを売ってください、幾らで買わせてくださいと頼んだ場合とか、あるいは農家なんかでも、リンゴがいっぱい実っていて、それに目をつけた人が、売り物にならないような傷ついたものをちょっと安く譲ってくれないかといってその農家の家に尋ねたとします。

 これについて、これは売ってくださいと言っているわけですから、この不招請勧誘に当たるのかどうなのかということをちょっと教えていただければと思います。

島尻参議院議員 いろいろなパターンが考えられるというふうに思うんですけれども、今回、この法の修正に関しましては、不招請勧誘を禁止するということなので、あくまでも消費者の側から、こういうものがあるので買い取り、あるいは値踏みといいますか、それをお願いしますと消費者の側から言った場合についてはオーケーということでありますけれども、いきなり業者がそのおうちに訪ねていくというのは不招請勧誘の禁止に当たるということになると思います。

加藤(学)委員 今、話を聞いて、実際にどういうものが不招請勧誘に当たるか、なかなかまだイメージできないのでございますけれども、今度は政府側にちょっとお聞きしたいと思います。

 実際に、今の話にあったとおり、これは売り主側の受けとめ方によって大きく違うというふうに思うんですけれども、もともと、政府案では不招請勧誘の禁止の規定というのは入っていませんでした。

 政府としては、当初、こういった条項を検討しなかったのか、どういった理由で検討しなかったのか、修正案に対して、この禁止条項が入ったことについてどのように評価するか、あるいは効力はあるというふうに考えているのか、その辺について政府側の答弁をお願いいたします。

松原国務大臣 御指摘の不招請勧誘禁止規定については、金融商品取引法及び商品先物取引法において一部の取引について例があります。

 しかしながら、その対象となっているのはデリバティブといった高度な専門知識が必要である取引であって、プロの事業者相手に顧客が相対で行うものであったり、少額の証拠金に対し、その何倍もの損得が発生する極めてハイリスク・ハイリターンの取引であるなど、いずれも入念な消費者保護が必要な取引でありました。

 そこで、政府案は、立案過程で、訪問購入について、金融商品取引法等の不招請勧誘規定の対象となっている取引ほどの危険性、複雑性はないこと、また、訪問購入に係る約四千件に及ぶ相談をつぶさに分析し、さらに、消費者庁内の研究会の議論も踏まえ、再勧誘禁止規定や不実告知禁止規定など現行の訪問販売取引において講じられている措置を講ずれば、訪問購入のトラブルにも、訪問販売と同様、十分に対応できると判断したことにより、不招請勧誘禁止規定を盛り込まなかったものであります。

 一方で、政府案の修正過程においては、訪問販売であれば、消費者側に損失があったとしてもその損害は金銭であるのに対し、訪問購入の場合は、みずからが所有している唯一の諸物品が取り戻せなくなる可能性があるなど、訪問販売とは異なる訪問購入トラブル特有の事情について熱心に御議論をいただきました。その結果、あらゆる手だてを講じて消費者保護を最大限手厚くするべきとの立法判断により、不招請勧誘禁止規定の導入に踏み込んでいただいたものと認識をいたしております。

加藤(学)委員 わかりました。

 次に、五十八条の十一の、第三者への物品の引き渡しに関する売り主及び第三者への通知義務についてお聞きいたします。

 政府案では、クーリングオフがされた場合、売り主の求めに応じて通知する義務を規定していましたけれども、修正案では、クーリングオフの行使にかかわらず、また売り主の求めの有無にかかわらず、第三者への物品の引き渡しの情報を売り主に通知する義務を規定しています。また、購入業者が第三者に物品を引き渡す際も、クーリングオフの行使やその可能性について通知する義務も規定されております。

 これは大きな修正のポイントだというふうに思うんですけれども、政府側として、どのような事態を想定し、どのような目的で通知義務の強化をされたのか、この辺についてお答えください。

松原国務大臣 この五十八条十一は、訪問購入業者が第三者に物品を引き渡した場合に、売り主、まあ消費者でありますが、に対し、その旨を通知することを義務づける規定です。

 この規定の趣旨は、売り主にとって、みずから引き渡した物品が誰の手元にあるのかという情報は、クーリングオフをして実際に物品を取り戻すことを担保する上で極めて重要な情報であり、訪問購入業者がクーリングオフ期間に第三者に物品を引き渡した場合に、一定の事項を売り主に通知することを義務づけたものであります。

 政府案では、売り主がクーリングオフを行使し、かつ売り主が求める場合に限り、第三者への引き渡しについて売り主に通知をすることとなっております。これに対し、修正案では、クーリングオフ期間中は、売り主によるクーリングオフ行使の有無にかかわらず、また売り主の求めの有無にかかわらず、物品が第三者に引き渡された場合はすべからく売り主に通知が行くことになっております。

加藤(学)委員 今、趣旨として、売り主が売っちゃったものを、大事なものを取り戻すことが担保できるようにするというのが一つの目的としてあるというふうにお伺いしました。

 この通知義務によって転売先をトレースすることができるという考えのようなんですけれども、法案では、転売先に対しては、第三者に対して販売業者が、クーリングオフする可能性がありますよ、あるいはクーリングオフされましたよという情報を通知する義務があるんですが、もし第三者がほかの人に売ってしまったら、第四者というのか、その次の人に対して通知義務はこの規定では全くありませんので、もしその辺がぐるになって、一人かませて転売して転売した場合は、最終的に受け取った方は、クーリングオフされたとかクーリングオフされる可能性があるというような通知を受けていませんので、いわゆる善意無過失ということが成立してしまうわけでございます。

 そうすると、転売されて転売された場合には、売り主の所有権というのは対抗できなくなるという事態が発生するわけです。そうすると、今言った趣旨の、トレースして取り戻すことができることを担保するということにはならないと思うんですけれども、この辺について、これでは私は不十分だと思っているんですが、どのように政府としてはお考えでしょうか。

松田政府参考人 お答え申し上げます。

 訪問購入業者に課される通知義務の内容といたしましては、訪問購入業者が直接引き渡した第三者に係る情報まででございます。

 確かに、消費者保護を図る観点からは、売り主、まあ消費者でありますけれども、が転売先をどこまでも追うことができる仕組みであることが望ましいわけでございますが、民事上、所有権は、直接引き渡した第三者に限られることはなく、その先の第三者についても主張すること自身は可能でございます。

 ただ、行政上、訪問購入業者に通知義務という規制をかけるに当たりましては、訪問購入業者がみずからの直接の引き渡し先である第三者より先のさらなる第三者について確実に知ることは現実には困難であるということから、当該第三者を突きとめてこれに通知することを強制するような制度設計をとることはできない、困難であるということを御理解いただきたいと思います。

 いずれにしましても、この訪問購入の制度自身が、渡してしまった場合にはやはり取り戻せない場合が生じ得るということで、引き渡さないで、クーリングオフ期間中、手元に置いておける、そういったような制度設計も、そうしたことも含めまして設計しているところでございます。

加藤(学)委員 いずれにしても、今、不十分だということが明らかになったので、この辺についてはこれから附則の中で検討していくということでございますので、これからいい方法を探していただきたいなというふうに思っているところでございます。

 次に、この法案の改正についてちょっとお聞きしたいんですけれども、もともと、この特定商取引に関する法律については、平成二十年に大幅な改正があって、訪問販売については、それまでの対象物品の指定物品制度から原則全ての物品に変わった、このような、今のような形に変わったというような大きな経緯がありました。

 そういった経緯があるにもかかわらず、今回の法改正においても、政府案は、最初、指定物品制を持ち出して、それを今度、参議院の修正によって、全物品を対象としてネガティブリストをつくっていくという形に結局修正することになったんです。

 この二十年の改正を考えれば、二十年でわざわざ指定物品制をやめているわけですから、今回も、政府案として最初から全ての物品だというふうに言ってくればいいのではないかなと考えてしまうんですが、政府が当初、指定物品制を出してきた理由と、今回の修正案についての評価をお聞かせください。

松原国務大臣 訪問販売において何を販売するかについては、供給側の立場にある販売業者が自由に選択することができます。このため、規制対象となる商品以外の商品に容易に切りかえることができることから、原則全ての商品を規制対象としております。

 他方、訪問購入においては、通常の家庭にあるもので使用済みのもの、その使用済み物品について換金が容易なリサイクル市場が成熟をしていること、ある程度の価値があるものといった要件を満たす物品でなければ、現状の立法事実からは購入の対象となると考えにくいことから、規制の対象については具体的な政令で指定することとしました。

 他方、現状で消費者トラブルが生じていない物品であっても、価値のある物品はすべからく購入業者の取引対象となり得、将来、消費者トラブルを起こす可能性が否定できないことも事実であります。

 今般、参議院で御審議いただいた修正案は原則として全ての物品を対象とするものであり、これにより消費者の一層の保護が図られるものと考えております。

加藤(学)委員 また次に、二十年度に特商法が改正された際には、附則において、五年後に見直しを行うということが書かれております。そうすると、二十六年には見直しになるということなんですが、この新たな見直しについてはいつ行う予定であるのか、あるいはまたどのような内容の見直しを検討しているのか、その辺について教えてください。

松原国務大臣 平成二十年の前回改正の際、その附則において、改正法の施行後五年を経過した場合において、改正法の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずると規定されております。

 個別具体の検討は今後行われるため、現時点で不確かなことは申し上げられませんが、いずれにしても、今回の改正法案に施行後三年の見直し規定が修正案で置かれることを踏まえつつ、特商法の施行状況及び消費者被害状況等を十分分析した上で検討を加えてまいりたいと思います。

加藤(学)委員 最後に、この法案の周知徹底あるいは啓発についてお伺いしたいと思います。

 これはいろいろなところで問題になっておりますが、特に、この法案の重要なところは、まず、不招請勧誘の禁止、それから物品の引き渡しを拒絶できるということ、そして引き渡しに関する売り主への通知とか、あるいは第三者へクーリングオフに関する情報を通知するとか、訪問購入特有の規定がいろいろちりばめられているわけでございまして、非常に、これまでのいわゆる取引とは違った新しい面がいろいろあるわけでございます。

 本当にそれを被害に遭っているようなお年寄りの方々が理解したり、あるいは業者の方々も、それほど悪意を持ってやっていなくても、例えば、訪ねていって売ってくださいと言ったら、売り主の方が法律を知っていて、おまえ、そんなことを言うのかとかいって訴えられたりしたら、これもまた大変な話でございまして、いろいろなところでこれからトラブルや混乱が起きることが予想されるわけでございますが、そのためには正しく理解していただくということが本当に必要だというふうに考えております。

 そのための具体的な措置として、今、政府側はどのような形で、法律は公布後六カ月以内に施行ということになってしまうわけですから、もう時間は限られているわけでございますけれども、その間にどうやってこれを周知徹底させて広めていくかということを考えているのか、教えてください。

松原国務大臣 本改正の内容については、経済産業省や警察と協力しながら、消費者庁としてあらゆる手段を通じて周知に努めてまいります。

 具体的には、消費者相談に対応する消費生活センター、高齢者を含む地域住民、消費者団体ほか高齢福祉関係団体や障害者関係団体等に対し、わかりやすいパンフレットの提供や説明会の実施による情報提供のほか、消費者庁のウエブサイトへの掲載、警察で研修を受けている古物商への周知、小規模の購入業者に対する問い合わせへの対応や、貴金属業界、宝飾業界等業界団体への説明など、多様なチャネルを通じて広く周知徹底したいと考えております。

加藤(学)委員 特に心配なのが、古物商などの今ちゃんとした商売をやっているところは、そういった情報も入っていって、いろいろな業界を通じて情報が届くと思うんですが、私が思うには、そういったちゃんと営業所を持っている業者だけではなくて、フリーランスというか、ちょっと手間請で向こうに行って買い付けしてこいやとか、ちょっと小遣い稼ぎに、先ほど言ったように鉄くずを買いに行くとか、何か金目のものを、蔵に入っているようなつぼをちょっとお願いして買ってくるとか、そういった、ほとんど趣味なのかあるいは小遣い稼ぎなのかわからないような人がたくさんいるような気が僕はしているんですけれども、そういった人たちにどうやって周知徹底していくかということは非常に難しいと僕は思う。

 あるいは、お年寄りの側としても、一番大事なのは、八日間の間は物を渡さなくていいんですよということ、ここが自分を守る一番大事なところだと思うんですが、その辺のところを理解していただくというのは非常に困難かと思うんです。

 もっと具体的な周知徹底するやり方をぜひとも検討していただきたいということを思うと同時に、一つのアイデアとして、例えば玄関先に、パンフレットだけではなくて、訪問買い入れは受け付けませんよというようなシールを張らせるとか、いろいろな方法があると思いますので、あらゆる方法を検討してやっていただきたいということで、最後、このことについてしっかりと取り組むという意思をもう一度お示しいただければと思っております。

松原国務大臣 あらゆるチャネルを使い、あらゆるアイデアを使い、周知徹底、そして消費者被害の抑制のために努めてまいります。

加藤(学)委員 よろしくお願いします。

 それでは、質疑を終わらせていただきます。

阿久津委員長 次に、永岡桂子君。

永岡委員 自民党の永岡桂子でございます。

 今質疑をしております訪問購入の規制の対象となる物品につきましては、政府原案では指定物品制とされておりましたけれども、参議院によります修正によって、原則として全ての物品が対象となるということになりました。しかしながら、売買契約の相手方の利益を損なうおそれがないもの、または流通が著しく害されるおそれがあると認められる物品は政令で除かれることとなりました。

 過剰な規制によりまして、円滑な日常取引を阻害したり無用の混乱を生じさせるということがあってはならないわけですね。しかしながら、消費者保護の観点から、必要な物品については、今回の改正で規制に確実に服させることが必要となると思います。政府が政令で規制の対象とならない物品、その取引形態を指定する場合には、無制限にその指定を広げることがあってはならないと思います。消費者保護の観点を十分に反映させる、それが重要なことだと思っております。

 また、参院の消費者特委で審査のときに、改正法施行までの短い間、この法律ができましてから六カ月のうちにはしっかりと実施されるわけでございますので、その対象とならない物品をどのように列挙するのかという課題があると考えているという答弁がございました。

 修正を受けまして、施行までの期間が短いわけですから、既にいろいろな検討というものがされていると思っております。訪問購入の規制対象、例外的に政令で除外されるものが指定されることになるわけでございますが、今の段階で、この指定の基準ですとか指定される物品の表記方法、どういう状況で検討なさっていらっしゃるのか、大臣にお伺いしたいと思います。

松原国務大臣 修正案では、訪問購入の規制対象とならない物品を政令により指定することといたしております。

 その考え方として、原則として全ての物品を規制の対象とすることにより、規制の後追いを避け、消費者被害の未然防止を図ることを旨とし、例外的に、売り主の利益を損なう等のおそれがないと認められた物品を対象外とするものと承知をいたしております。

 除外物品の検討に当たっては、訪問販売等について、原則全ての商品、サービスを規制対象とした平成二十年の特商法改正が参考になると考えられますが、修正案が可決された場合には、関係省庁とも協議しつつ、具体的に政令で指定する物品を検討してまいります。

 なお、指定に当たっては、消費者委員会及び消費経済審議会への諮問が義務づけられており、厳しいチェックを受けることから、消費者保護は十分に担保されると考えております。

永岡委員 ありがとうございます。

 それでは、具体的にどのような物品が定められるということを検討されているのかもお聞きしたいと思います。

松原国務大臣 本法案を可決いただいた後に今後検討していく段階にあり、現時点では不確かなことは申し上げられないわけでありますが、いずれにしても、しっかりと実態を踏まえ、消費者の利益を損なう等のおそれのないものを指定してまいりたい、このように思っております。

永岡委員 残念ながら具体的には御答弁いただけなかったわけでございますけれども、私は、国会議員というわけではなくて、普通の主婦の考えですと、これは全ての物品でいいんじゃないか、例外がなくてもいいんじゃないかと単純に思ってしまうというのが私の今の気持ちでございますので、検討がされている現段階では、それこそ慎重に慎重に検討していただきまして、例外の物品を定められますようにお願いしたいと思っております。

 さきの六月の二十日になりますが、参議院の消費者特での審議の際に、修正案どおり全ての物品を対象とする場合に、リサイクル社会の構築を阻害する懸念があるということを答弁されたと思います。参議院での修正後の法案は、どのような観点からリサイクル社会の構築を阻害すると考えていらっしゃるのでしょうか。仮にリサイクル社会の構築を阻害すると考えるのであれば、また何らかの対策をとる必要があると思われます。消費者庁はどのようにして、どういうような対策を考えているのか、これは大臣にお伺いいたします。

松原国務大臣 御指摘の懸念としては、一般に、家庭で不要となった物品の買い取りビジネスは、物品の二次利用や再資源化に寄与する側面があるので、訪問購入に係る規制の内容によっては、そのようなビジネスの推進を妨げることになり得るとも考えられます。

 しかしながら、今般の改正においては、こうした懸念があることも配慮しつつ、自宅における購入を一律禁止するという規則ではなく、勧誘行為や契約締結などの適正化を目指すこととしたものであります。不要物品の買い取りビジネスを行う事業者が本改正案に基づき取引適正化のためのルールを遵守しながら事業を行っていただければ、リサイクル社会の推進の阻害にはならないものと考えております。

永岡委員 ありがとうございます。

 それでは、次に行きます。不招請勧誘の禁止についてお伺いしたいと思います。

 訪問購入に係る不招請勧誘の禁止の規定が参議院の修正によって設けられました。勧誘の要請をしていない者に対し、営業所等以外の場所において売買契約の勧誘をしてはならないと規制をされております。不招請勧誘が禁止される「営業所等以外の場所」とは具体的にどのような場所を指すのか、消費者庁にお伺いいたしたいと思います。

松田政府参考人 お答え申し上げます。

 この「営業所等以外の場所」の「等」の方でございますけれども、これは、訪問販売と同様に、営業所のほか、主務省令で代理店などを具体的に規定することとしておるところでございます。

 また、「営業所等以外の場所」そのものはどういう意味なのかということでございますが、これは、まさに訪問購入でございますので、消費者の自宅、居宅、これが基本となりますが、脱法的に、居宅近くに呼び出して、車の中でありますとか喫茶店でありますとか、そういったことがありますので、居宅だけではなくて、「営業所等以外の場所」というふうに規定をしているところでございます。

 いずれにしましても、先ほど申し上げました「等」の関係の省令改正の検討に当たりましては、消費者トラブルの実態に沿ったものとしてまいるよう留意してまいりたいと考えております。

永岡委員 ありがとうございます。

 政府案でも修正案でも、不招請の電話勧誘、これが禁止されてはおりません。訪問購入に係りますトラブルの相談件数のうち、電話勧誘によるものが見られることは皆さん方も御承知のことと思います。

 実は、私の東京の家にも数回、要らない着物はありませんかとか、要らない貴金属はありませんかとか、そういう電話がかかってまいりました。午前中、委員会がなかったときにかかってまいりましたけれども、当然私、昼間はいませんからお断りいたしましたし、要らないものはありませんのでお断りしたわけなんですが、訪問購入に係るトラブルの件数のうち、電話勧誘、これは本当に多いと思うんですよね。私でさえいただいているわけですから。どの程度あるという認識がございますでしょうか。消費者庁にお伺いいたします。

松田政府参考人 お答え申し上げます。

 政府案の立案過程におきまして、訪問購入に係る約四千件に及ぶ相談を分析いたしましたところ、訪問業者が電話であらかじめアポを取りつけた後に訪問買い取りを行ったようなケース、これが全体の約一割あったところでございます。

永岡委員 結構多いですよね。四千件のうちの一割ということでございますから。後は突然、特攻的におうちを訪ねて、勝手に上がり込んで、その指輪いいですかなんて言って買っちゃうわけですよね。そういうことで認識もしていらっしゃるわけでございます。不招請勧誘の規制の大きなすき間とならないよう、訪問購入に係ります不招請の電話勧誘についても禁止をした方がいいのじゃないかと私は考えております。

 政府案ではなぜ電話による不招請勧誘を禁止しなかったのか、電話による不招請勧誘を禁止することによって弊害となりますこと、そして消費者の利益をどのように比較検討なさっているのか、大臣にお伺いしたいと思います。

松原国務大臣 修正案の条文上、不招請の場合は、自宅などの営業所等以外の場所における勧誘が禁止される規定となっております。これは、実際の物品を見た上でなければ、通常、買い取り価格が決まらないため、消費者の自宅での勧誘を経て契約の締結に至るという訪問購入の特徴を前提としているからであると考えられます。

 そのため、自宅などで勧誘を禁止すれば、物品の実物を見ることができない電話での勧誘を禁止しなくとも、訪問購入に係る消費者被害は防止できるものと判断されたと承知しております。

 ただし、実際の訪問購入に係るトラブル事例において、電話による勧誘を経たケースが現時点では少ないとはいえ存在していることは認識しており、改正特商法の施行後も、電話による勧誘の実態について注視をしていく必要があると考えております。

永岡委員 ありがとうございます。

 三年後の見直しも期待されることでございますので、これから、この法案ができまして施行されてからのことをしっかりと見て対応していただきたいと思います。

 また、参議院によります修正では、営業所等以外の場所において売買契約を締結することが通例であって、かつ、通常売買契約の相手方の利益を損なうおそれがないと認められる取引の形態で政令で定めるものに該当する訪問購入について、不招請の禁止を定めた第五十八条の六第一項の規定を適用しないこととしております。

 過剰な規制によりまして円滑な日常取引を阻害したり、無用の混乱を生じさせることのないようにということでございますが、具体的にどのようなものを想定していらっしゃるのか、大臣にお伺いいたします。

松原国務大臣 不招請勧誘禁止の適用除外の対象として、消費者利益を損なうおそれがないと認められる取引形態を政令で指定することといたしております。

 そのような取引形態に該当するものとしては、例えば、定期的に自宅を訪れる事業者が商品の販売やサービスの提供と買い取りの双方を継続して行っている場合などが考えられるところであります。

永岡委員 それは、具体的に言うと、例えばどういうものをおっしゃっているんでしょうか。ちょっと想像がつかないので、お聞きしたいと思います。

松田政府参考人 これは、いろいろなサービス、お得意さんサービスというような考え方であろうかと思いますけれども、訪問販売の場合は、例えば某有名な薬売りのところとか、年に何回か来るのがもう決まっているといったような例がございます。こういった場合が訪問購入の場合でもあり得るのではないかということで、消費者利益を損なうおそれがないと認められる取引形態、こういう形で適用除外になった修正案となったというふうに理解しております。

 今申し上げましたような、定期的に自宅を訪れる事業者がどんな形でやるか、私どももその実態を、例えばこれだというのを今申し上げるのがちょっと難しいものですから、そういったことも含めまして、半年間の施行までの間に実態調査をいたしまして、しかるべく指定をできるものは指定をする、そういった考え方でございます。

永岡委員 今現在、具体的な訪問購入の形態がわからないということでございます。不招請勧誘の禁止規定の適用を除外しないこととする、全ての物品を不招請勧誘の禁止の対象にしてもいいんじゃないかと思うんですが、しないとどういう問題が起きるでしょうか、お聞きしたいと思います。

松原国務大臣 仮に、定期的に自宅を訪れる事業者が商品の販売やサービスの提供と買い取りとの双方を継続して行っている場合を適用除外しなかった場合、消費者と取引上の信頼関係が構築されているにもかかわらず、販売、訪問販売について勧めることができる一方、その場で買い取りについて勧めることはできないといったような、消費者の利便性を損なう可能性もあります。

 いずれにせよ、どのような取引形態を政令で適用除外にするかについて、今後、実態を踏まえ、検討してまいりたい。

 なお、政令の指定に当たっては、本法の規定により、消費者委員会及び消費経済審議会への諮問が義務づけられておりまして、厳しいチェックを受けることから、こういったことに関しても消費者保護は十分に担保されると考えております。

永岡委員 なかなか見つからない取引形態ではございますが、やはり無理無理探すことなく対応していただきたいなというふうには思っております。

 それでは、次に移ります。

 PIO―NETに寄せられた訪問購入の苦情、相談の中では、高齢者、女性、家事従事者、つまり、昼間おうちにいらっしゃる方の割合が高くなっております。これら高齢者などの保護について、規制をする必要があるんじゃないかと私は思っております。

 社会とかかわりの少ない、特に高齢の方などは、判断力が不足しがちでございます。断りたくても断り切れない、何だか言われるままに契約しちゃう、そういうようなことも考えられます。悪質な訪問購入業者はそういう消費者を狙って勧誘行為を行っているのが本当、現実なんですよね。それに、突然来られて、いい指輪をおばあちゃんはしているけれども、もう要らないから買っちゃうよ、買ってあげるよ、高くするからということもなかなか断りにくいというのが高齢者の特徴ではないかと思っております。

 判断力の不足に乗じて、通常の判断力があればしっかり断れるわけですけれども、そういうことができない、契約させることを禁止する規定が高齢者の場合に必要ではないかと思います。それはいかがでしょうか、大臣。

松原国務大臣 御答弁申し上げます。

 本法案において、訪問購入に係る売買契約を締結させ、もしくは解除を妨げるため、または訪問購入に係る物品の引き渡しを受けるため、訪問購入業者が売り主を威迫し、困惑させる行為等を禁止しております。これに加え、威迫、困惑に至らなくても、迷惑を覚えさせるような方法による勧誘や、高齢者などの判断力不足に乗じ不当に契約を締結する行為について、今後、省令で規定し、行政処分の対象とすることを考えております。

 いずれにせよ、本法案の施行後、高齢者を初めとした消費者に対する不当な勧誘行為に対し、厳正に対処してまいります。

永岡委員 しっかり対応していただきたいと思います。迷惑や困惑を起こさせるような業者については、本当に省令でしっかりと対応していただきたいと思います。

 訪問購入において、売り主である消費者は、クーリングオフにより、第三者が善意無過失のときを除いて第三者に対抗することができる、これは民法の特則となる規定が設けられております。

 しかし、消費者が、クーリングオフの期間中、訪問購入業者に物品を引き渡してしまった場合、このときは、購入業者が善意無過失の消費者に物品を転売してしまえば、売り主である消費者は対抗できないことになっております。また、訪問購入に係る物品について、事業者間で転売が繰り返されてしまいますと、最終的な転売先は善意無過失である可能性が本当に大きいと思います。

 このような事態が想定される以上、訪問購入業者は、クーリングオフの期間中、物品を転売してはならないとすべきではないかと思いますが、大臣はいかがお考えでしょう。

松原国務大臣 転売禁止規定を導入すべきかについては、購入業者の大部分は零細な事業者であることから、仮に転売を禁止した場合であっても、消費者から買い取った物品を適切に分別管理することは期待できず、必ずしも売り主に同一の物品が返還される保証はないと考えられます。

 したがって、改正特商法では、クーリングオフ期間は物品の引き渡しを拒むことができる権利を付与することとし、売り主が物品を手元に置いておくことにより、物品の返還が確実なものとなるような制度設計を行ったところでございます。

永岡委員 今大臣も答弁がありましたけれども、消費者は、クーリングオフ期間中、訪問購入に係る物品の引き渡しを拒むことができるという特別な規定が盛り込まれております。

 しかし、購入業者に自宅を知られております。強引で怖い、そういう状況下であるということもあります。実際に物品の取引を拒める消費者はどのぐらいいるのかなと、ちょっと私、考えてしまうんですね。また、購入業者があっという間に物を買い取ってしまったり、また、物を引き渡してくれれば本当に高く買うよ、きょうは本当に高く買うからさ、そういうことを持ちかけると、やはり引き渡してしまうという可能性は大きいと思うんですよね。消費者が手元に物品を置いたままでは契約をさせない手口が、私が考えただけでもこれだけ簡単に想像されるんです。

 つまり、こういう現実を踏まえますと、クーリングオフの期間中に消費者が物品の引き渡しを拒むことができるという規定は実効的なものと言えるのかどうか、ここについて大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、ちょっとお聞きしたいと思います。

松原国務大臣 修正案附則第四条第一項において、売り主がクーリングオフをした場合、物品をより確実にみずからの手元に戻すことができるような制度については、先ほど委員さまざま御指摘なさいましたが、今後検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講じることとされております。

 先ほども第三者から第四者へというふうな議論もありましたが、こういったことも含め、いろいろと所要の措置を今後また考えなければいけないと思っておりますが、これを踏まえ、本法案の効果をPIO―NET等を通じて検証するとともに、制度のあり方について、諸外国の規制等を調査し、検討してまいりたいと思っております。

 なお、今委員が御指摘をなさいました物品引き渡しの拒絶規定の実効性でありますが、当該規定の実効性を担保するためには、売り主が物品の引き渡しを拒むことのできることを認識することが重要であります。

 そのために、訪問購入業者の義務として、クーリングオフ期間中は売り主が物品の引き渡しを拒絶できる旨を書面に赤枠、赤字ということで、目立つようにして記載をする、購入業者が物品の引き渡しを受けるとき、売り主へ告知をする、そして、故意に売り主に告げないことを禁止する等の規定をしたところであります。

 加えて、経済産業省や警察と協力しながら、消費者団体等に対するわかりやすいパンフレットの提供や説明会の実施等により、消費者に対し、物品の引き渡しを拒むことができる旨の周知を図ってまいります。

永岡委員 いろいろと考えていただいていらっしゃるようで、安心ということにはなりませんが、しっかりと周知徹底していただきたいと思います。

 訪問購入を規制することにしても、これを取り締まることができなければ意味がないわけですね。現状の特定商取引法の執行実績、そして執行体制はどうなっているのか、ちょっと消費者庁の方にお伺いしたいと思います。

松田政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者庁では、平成二十四年度現在、本庁では三十人、それから権限を委譲しております地方経済産業局で、他の業法、割販法でございますけれども、この併任を含めまして百三十七人という体制で特定商取引法の執行に取り組んでいるところでございます。

 また、消費者庁及び地方経済産業局は、都道府県との間での執行の連携や法解釈の共有により、執行体制の強化を図ってきたところでございます。

 その結果といたしまして、平成二十三年度の数字を申し上げますと、特定商取引法に基づく執行件数、いわゆる行政処分の件数でございますけれども、消費者庁、地方経済産業局を合わせまして四十三件、それから、都道府県は自治事務として行っているわけでございますが、都道府県ベースで八十二件となっております。

永岡委員 ありがとうございます。

 このように、地方とそして国の方と行政処分の件数が出ておりますけれども、新しく新設されます訪問購入については、年間何件程度の措置をとると見込んでいらっしゃるのでしょうか。随分とこちらの方が被害が多いのではないかなというふうに感じておりますけれども、その措置のための体制についてどのような検討をなさっているのでしょうか。副大臣にお聞きしたいと思います。

後藤副大臣 これから法律が成立をし、執行段階になって、具体的に何件と言うことはなかなか難しい部分もあると思うんですが、いずれにしても、先ほど次長からお答えしたように、現行の特商法の執行体制を、経産省そして地方自治体ときちっと連携していくことだと思います。

 一点だけ、ボリューム感を先生にお答えしたいと思いますが、平成二十二年度で、PIO―NETで貴金属等の訪問購入を行っている事業者数というのを、件数が大体二千四百二十四件で、事業者が二百八十八事業者。二十三年度が、PIO―NETの相談件数が四千百三十八件で、五百強の事業者だというふうに言われています。そういう意味では、PIO―NETに相談をしたという事業者のボリューム感があるので、この部分が一つ対象になるのではないかなというふうに思います。

 いずれにしても、執行体制の強化というのは、すぐいろいろな人数をふやせとかそういうこともできませんけれども、きちっと地方経済産業局や都道府県との執行の連携を行いながら、悪質な事業者に対して厳正に対処していくということに尽きるというふうに思います。

永岡委員 ありがとうございます。

 消費者被害を未然に防ぐというのが、消費者行政の大切なところだと思っております。住民に身近な地方消費者行政の充実が必要だと思います。

 地方におけるこの法律の執行体制の強化のために、地方自治体に対してどのような支援を講じていくのか、副大臣にお伺いしたいと思います。

後藤副大臣 先ほども大臣との御議論の中で先生からも御指摘があったように、ある意味では、もっときちっとわかりやすい形で消費者の皆さん方にこの法改正の目的、趣旨をお伝えするということや、クーリングオフの期間にはどのような対応が消費者としてできる、いろいろなものをきちっと、まず法解釈の共有や執行の連携というものを今まで以上に図っていかなければいけないというふうに考えております。

 法解釈の共有ということでは、昨年、都道府県の方を中心に、初任者研修で百人程度、執行専門職の研修で九十人程度、合わせて二百人弱の研修を行っていますが、こういう研修の機会を通じて、都道府県の執行担当者等の能力アップ、また、研修者のニーズというものが都道府県にどうあるのかということもきちっと踏まえながら情報提供を国から行う、また、地方自治体からも御意見をいただきながら、執行体制の現場での、また消費者庁自身でのスキルアップというものを図る必要があるというふうに考えます。

永岡委員 先ほど副大臣から、PIO―NETに寄せられております貴金属などの訪問買い取りにかかわる相談件数、数のお話がありました。

 平成二十二年は二千四百二十四件、平成二十三年、昨年ですけれども、これは四千百三十八件。平成二十二年はわっと多くなっているようですね。私が調べたところによりますと、平成二十二年の前の年の平成二十一年は、百三十八件の被害が報告されております。そうしますと、平成二十二年で二千四百二十四件、大きくなりました。そして、昨年は四千件以上の被害届があるようでございます。

 それが、ことしに入りますと、これは年度の途中でございますから、調べた数ですと四百件台。昨年同期と比べますと、昨年は七百件以上の相談件数があるということで、昨年に比べまして、ことし同期は四割減の相談があるということでございます。

 これは、ちょっと見ますと、既にトラブル発生のピークを過ぎてしまったのではないか、そういうふうに見受けられるわけですけれども、仮にピークを過ぎているということであれば、訪問購入の規制のタイミングが遅きに失したのかな、そういうことになるのではないかと思います。法律の改正に時間がかかるのは仕方ないことなんですけれども、トラブルがふえていることに気づいてからこれまで、消費者庁は何をしていらっしゃったのかなということを考えてしまいます。

 大臣にそこのところをちょっとお答えしていただきたいと思います。

松原国務大臣 本法案については、法律公布後六カ月以内の施行を予定しております。また、本法案が成立した場合には、迅速な施行を目指し、準備を進めてまいりたいと思いますが、今委員御指摘のように、このことに何でこんなに時間がかかったか。例えば、規制仕分け及び規制・制度改革に係る方針の閣議決定の結果を受けてから、なぜ法案提出まで一年かかったか、こういうことを御質問なんだろうと認識をいたしております。

 貴金属等の訪問購入に関するトラブルについては、平成二十三年三月の規制仕分けで議論され、この議論を受けた平成二十三年四月の規制・制度改革に係る方針の閣議決定において、被害実態の正確な把握に努めつつ、平成二十三年度中に検討、結論を得ることとされておりました。

 消費者庁では、貴金属等の訪問購入に関する消費者トラブルを防止するに当たり、被害実態を正確に把握し、その上で有効かつ実効性のある規則内容を検討するため、平成二十三年七月より、消費者庁長官の私的研究会として、貴金属等の訪問買取りに関する研究会を設置し、同年十二月に中間取りまとめを行い、これを受け、本年三月の段階で本法律案を提出したところであります。

 貴金属等の訪問購入に関する消費者被害の防止のため、本法律案の速やかな成立をお願いしたいということでありまして、確かに、タイミングが遅過ぎるという委員の御指摘もあろうとは思いますが、こういったことで粛々と進めてきたということも御理解いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

永岡委員 ありがとうございます。

 一般論といたしまして、新たな規制が実施される場合には、その直前に駆け込みの現象が発生するという場合があります。本件に関しましても、改正法の施行に際して、悪質な勧誘が駆け込み的にふえることが予想されるのではないでしょうか。

 駆け込み的な被害を防ぐためには、政府がどのような対策を必要としていらっしゃるのか、これは政務官にお伺いいたします。

郡大臣政務官 お答えをいたします。

 御指摘のように、法施行までの間の駆け込み的な勧誘、この対策をどういうふうに考えているのか、大変重要な御指摘だろうというふうに思っています。

 この法律が、一般消費者の利益の保護を目的としていて、迅速な施行が望まれるということがある一方で、今回、書面交付義務、また新たな民事ルール、それから刑事罰の導入ということを図りますために、一定の期間、それを周知する期間を置く必要があるということもございます。

 この双方の要請を勘案しながら、施行までの間、六カ月というふうに予定をしているわけでございますが、いずれにいたしましても、成立後、施行までの間におきまして、消費者庁といたしましても、改正内容等の周知を図ると同時に、訪問購入業者の勧誘の実態というのを消費者の皆様方に説明いたしまして、注意を喚起してまいりたいと思います。

永岡委員 ありがとうございます。

 ただいま政務官の方からお答えがありましたように、この訪問購入に係るトラブルの相談件数が多いことを考えますと、この改正内容については、消費者、訪問購入の業者に対しては速やかにこの法律の周知徹底を図る必要があると思います。

 訪問購入による消費者被害を未然に防止するため、特に訪問購入に係るトラブルの件数が多い高齢者、あとは家事従事者に対して、具体的にはどのような周知、そして啓蒙活動を行っていらっしゃるのか、これも政務官にお聞きしたいと思います。

郡大臣政務官 大臣からも、先ほど大口委員、また加藤委員からの御指摘にもお答えをいたしましたけれども、消費者庁としては、あらゆる手段を講じて周知に努めてまいりたいというふうに思っております。

 特に、御指摘のあった、高齢者は被害が多いわけですけれども、高齢者を含む地域住民、また消費者団体ほか高齢福祉関係団体や障害者関係団体等、わかりやすいパンフレットをつくって提供するということですとか、説明会の実施などによって情報提供してまいりたいと思いますし、また、消費者相談に対応する消費生活センターでも対応してまいりたいというふうに思っております。

 また一方、事業者に対してですけれども、消費者庁のウエブサイトへの掲載、また警察で研修を受けている古物商への周知、それから小規模の購入業者に対する問い合わせへの対応や、貴金属業界、宝飾業界等業界団体への説明など、多様なチャネルを通じて広く周知徹底を図ってまいりたいというふうに考えているところです。

永岡委員 ありがとうございます。

 やはり、消費者の方、つまり高齢者ですとか家事従事者、女性、おうちにいる方々には特にしっかりとした対応、周知徹底をよろしくお願いしたいと思います。

 この特商法の改正法案は、訪問購入、いわゆる押し買いの被害から消費者を守るためのものでございます。法律をつくって終わりというものではなくて、この法律は、消費者や事業者への周知に加えまして、違反行為を行う事業者を取り締まることによって初めて消費者を守るという役割を果たすことになります。また、駆け込み的な悪質な勧誘による被害を防ぐ観点からは、施行までの間の対策も含め、的確な対応が求められるわけでございます。

 ここで最後に、この特定商取引法の改正の成立に向けた大臣の意気込み、そして、この法案の成立後、執行に対する大臣の決意、これをお聞きしたいと思います。

松原国務大臣 本改正法案は、高齢者の方々を初めとした国民が安心して暮らせる社会を構築するため、訪問購入に係る取引を公正なものとし、その取引による被害を未然に防止するために提出したものであります。

 また、先般の参議院における精力的な御審議により、消費者保護を一層図るべきとの立法判断から、政府案よりさらに踏み込んだ案を可決していただいたところであります。

 改正法案について採決を賜ることができれば、速やかに施行準備を行い、施行の暁には、訪問購入のトラブルから消費者を守るため、改正法の執行に万全を期してまいりたいと強い決意を持っております。

永岡委員 強い決意をお聞きして、ありがとうございます。

 大変時間は余ってしまいましたが、これで永岡の質問を終わります。どうもありがとうございます。

阿久津委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 今回の法律なんですが、もともと一九七六年につくられた訪問販売法は、たびたび法律の改正を行って、今、特商法というふうに呼ぶわけですが、最近で見ましても、二〇〇四年の改正と、大きな改正は二〇〇八年にも行われました。

 そこで、いろいろな問題があって、豊田商事事件だとかいろいろな事件があって、そのときそのときに消費者行政を強化していくということでやってきたわけですが、まず最初に伺っておきたいのは、既支払い額が一円以上の相談件数というのは、二〇〇四年の改正以降、どのように推移しているのか。大体のこの傾向というものを最初に政府参考人に伺っておきたいと思います。

松田政府参考人 PIO―NETで私ども相談の状況を把握しておるわけでございますけれども、訪問販売の件数でございますと、二〇〇九年が四千二百件余でありましたところ、二〇一一年度には三千八百件程度でございます。また、訪問販売以外の金融商品に係る被害実態を追いかけてみますと、既支払い額が一円以上ある金融・保険サービスに関する相談を対象として動向を見ますと、二〇〇九年度の二万一千件余から二〇一一年度は二万五千九百件余となっておりまして、増加をいたしておるところでございます。

 これを販売購入形態別に見ますと、店舗購入は、二〇〇九年の六千件余から二〇一一年の五千六百件へと若干減少。それから訪問販売も、四千二百件から三千八百件余へ減少。通信販売は逆に、二千七百件余から四千二百件余へ増加。電話勧誘販売は、三千八百件から六千九百件余へ増加をいたしております。

 それから、既支払い額の動向を見てまいりますと、金融・保険サービスでは、〇九年度の総額九百四億円から二〇一一年度は千五百七十六億円、一件当たり四百二十八万から六百八万円というふうに増加をいたしております。

 それぞれ販売購入形態別に見ますと、店舗購入は二百六十三億円から二百八十六億円、訪問販売は二百六十六億円から二百五十八億円、通信販売は三十八億円から二百五十一億円に、これは増加です。それから、電話勧誘販売が百五十六億円から四百二十二億円と増加をいたしておるといったようなことでございます。

 既支払い額一円以上の金融・保険サービスに関する相談の中で多いのは、フリーローン、サラ金、未公開株、公社債、ファンド型投資商品でございまして、特にファンド型投資商品は大きく増加しており、〇九年度の千八百九十二件から二〇一一年度は七千八百三十一件となっておりまして、これは和牛オーナー制度を運営していた事業者に係る相談も入っておりますけれども、そういったことは留意する必要はありますが、大幅にふえておるところでございます。

 消費者庁では、関係省庁と連携いたしまして、いろいろ詐欺的商法に関するチームで対応策を取りまとめるほか、未公開株、社債の勧誘に関する注意喚起といったようなことを公表いたしておるところでございます。

吉井委員 消費者庁の方から資料をいただいているんですけれども、二〇〇四年の改正に続いて二〇〇八年にも改正したわけですね。二〇〇四年のころですと、相談件数でいきますと、既支払い額一円以上の相談で十八万六千件ぐらいなものですね。それが現在二十万一千件、これは二〇一一年度ですけれども。

 要するに、せっかく法律を改正して、法律を改正したら本来ならば減らなきゃいけないのに、逆に、敵もさることながらといいますか、知恵を使ってくるんでしょうが、相談件数がふえているというのが実態だと思うんです。

 今、いろいろな場合の例を聞かせてもらいましたが、同じく二〇〇四年の改正以降、二〇〇四年から二〇〇八年の場合と、二〇〇八年以降と、大体同じ時期で比べることができるんですが、既支払い額合計とそれから平均額、これは大体どういう傾向にありますか。

松田政府参考人 申しわけございません。今、二〇〇四年以降と比較というデータをちょっと持ち合わせておりません。申しわけございません。

吉井委員 目の子勘定ででもいいんですけれども。要するに、二〇〇四年から二〇〇八年までで、合計支払い額でいきますとこれは千三百八十四億円ぐらいですか、一件当たりの平均額でいきますと七十四万円ぐらい。今、これが二千六百九十七億円、平均額でいきますと百三十三万円と、二倍ぐらいにふえるというふうに、せっかく法律をつくったんだけれども、こういうふうに消費者相談に来られる方たちの被害件数も金額もふえているというのが実態だと思うんです。

 問題は、もう少し中身をよく見ておいた方がいいと思うんですけれども、七十歳以上の方の被害相談件数と二十歳未満の方の被害相談件数の推移、これはどういうふうになっていますか。

松田政府参考人 今、手元にデータはございませんが、まさに先生のおっしゃるとおり、七十歳以上の高齢者の方で、それなりの資金、金融資産をお持ちの方、それから、二十、若年層で、まさに成人になりたてのところでいろいろな勧誘に遭う。この被害のケースが、全般的な平均値より、この二層におきまして比較的大幅に高いという傾向を示していることは承知いたしております。

吉井委員 七十歳以上の相談件数というのは、かつて、二〇〇四年、五年ぐらいは大体三万件ぐらいあったんですけれども、今は三万九千件を超える。それから、二十歳未満は若干減っているというふうな傾向もありますけれども。

 私、思うんですが、二〇〇九年に消費者庁をつくって、消費者行政の強化と一元化ということを目指したはずなんですが、しかし、高齢者と低年齢層で消費者被害がふえている。特商法を何度も改正してきたんだけれども、随分取り組んだはずなのに、なかなかそうはいかない。

 最近では、さっきも出ておりましたが、貴金属の訪問購入ですね。相談件数が二〇〇七年には三十件だったのが、今年度は減少する傾向ありといえども、昨年度で四千百三十八件ですから、四年間で百四十倍にふえているんですね。四年間で百四十倍にふえているという情報はもうつかんでおられたわけですよ。そうしたら、これは当然対応を早くやらなきゃいけないですね。敵もさることながら、悪徳業者というのは、押し買いからもう次の手を考え出しているんですね。

 ですから、大臣、こういう事態を早期に食いとめるためには、今ある法律を徹底的に使う。必要な場合には、私は、余り必要な法律改正もなしにやり出すと強権的になったりしますから、これは問題ありと思っているんですけれども、しかし、今ある法律を徹底的に使って、政令による対処を強化するとか、それでも足りなければ法律改正というものを迅速に行っていく、こういう取り組みが大事だと思うんですが、大臣のお考えを伺っておきたいと思います。

松原国務大臣 委員御指摘のように、今ある政令等を徹底的に、法律も駆使して行う、その上でということでありますが、まさに今回御審議をいただいております新たな類型を特商法に入れることも含め、今委員御指摘の点も含め、重層的に、完璧に、こういったことによる消費者被害を抑制するために頑張っていきたいと思っております。

 御指摘のように、なかなかイタチごっこの中で消費者被害の実態が増加をしているという御指摘、真摯に受けとめて、このことの解決というか、消費者被害を食いとめるためにさらに頑張っていきたいと思います。

吉井委員 やはり消費者被害を食いとめるという点では、法律改正も大事なことなんですが、この法律改正というのは、消費者の相談に当たられる相談員の方たちにいわば武器を持ってもらうということに相当するわけなんですよね。幾ら武器を準備しても、相談員の方をちゃんと体制をとると。法律をつくったときには、相談員をふやすこととか身分保障の問題、それから研修などの強化を図る、こういうことを、あのとき全会派一致して申し合わせをしたわけです。

 そして、このときに活性化基金を設けたわけですが、基金は今年度で一応終わるわけですね。来年度以降、この基金をどのように継続して、さらにもっともっと相談員の方の体制を強化して、相手の方は法律の抜け穴をくぐっていろいろ知恵を使うんだから、やはり相談員の方も、研修の機会をふやして実力を高めないことには対応できないわけですね。

 来年度以降、どうされるのかを伺っておきます。

松原国務大臣 今委員御指摘の点、極めて重要なことだと思っております。例えば、その被害を防止するために、さまざまな事柄の周知徹底や対策を強くする。その両者において、地方消費者行政等も極めて重要になってくるわけであります。

 地方消費者行政については、消費者にとって身近な相談窓口の充実を図っていくことが重要な取り組みであることから、これまでも、地方消費者行政活性化基金を活用し、充実強化を推進してまいりました。平成二十一年から二十三年度の三年間で、消費生活センターは二百二十カ所増加をし、相談員は五百五十五人増員をいたしました。また、相談員の処遇改善として、延べ三百程度の自治体で報酬引き上げとなるなど、効果が着実にあらわれております。

 一方、小規模な自治体は、基金への依存度が高く、自主財源の確保が困難な状況にあり、今後も持続的な消費者行政の充実を図っていくためには、基金終了後の地方消費者行政の財源の確保が大きな課題であります。

 平成二十五年度以降においても、地方消費者行政に積極的に取り組む地方自治体を引き続き支援し、消費生活相談員のレベルアップも含めた自治体における基礎的な取り組みの下支えができるよう、財源の確保に最大限努力をしてまいります。このことに関しては、先ほども申し上げましたように、消費者政策会議において総理からもきちっとした指示を承ったところであります。

 また、いわゆる雇いどめというお話もありましたが、このことに関しましても、総務省とともに、地方消費者行政の充実・強化のための指針ということのメッセージを出しておりまして、実態として非常勤職員の行う業務の中にも恒常的な業務があること、任期ごとに客観的な能力実証を行った結果として、同じ者を再度任用することは排除されていないことについて総務省と認識を共有していることも明らかにし、各自治体に対して、再度任用の回数に関し一律に制限を設けることなく、専門性に配慮した任用と処遇が図られるよう積極的に働きかけることもしてまいりたいと思っております。

吉井委員 要するに、活性化基金を活用して前進した面があるわけですね。この活性化基金が消えてしまうと、これはすぼんでしまうと困るわけですよ。

 ですから、最後に一言伺っておきたいのは、大臣として、財政面でどのようにきちんとこれを強化していく、取り組んでいくのか、このことを伺っておきたいと思うんです。

松原国務大臣 先ほど申し上げました消費者政策会議におけるさまざまな議論も含めて、基金終了後の地方消費者行政の財源が確保できるように取り組んでいきたい、このように思っております。

吉井委員 いろいろな調査会、審議会でいろいろな人の意見を聞くのは大事なことなんですけれども、要するに、大臣自身がこれを前進させるんだという強い決意を持って財政を確保する、その立場で臨んでいただきたい。このことを申し上げて、時間が参りましたので質問を終わります。

阿久津委員長 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社会民主党の吉泉秀男です。

 質問通告していた内容について、多くの委員の方からそれぞれ質問があったものですから、その点について少し重複することについては御了解をいただきながら、質問させていただきたいと存じます。十分でございますので、簡潔に行わせていただきたいと存じます。

 今回の法律について、この改正案、社民党としては賛成という立場でございます。

 ただ、一つ、訪問購入、この関係についてでございますけれども、訪問購入でき得る業者、さらにはその者について資格なりそういう規定は、今、訪問購入者ということについては、制約なり、さらには何の資格というものもない、こういう状況になっているわけでございます。その中で、高価な貴金属、さらには衣類、着物、こういうところが、非常に安く、おどし的なものも含めながら取引がされる、その中において被害が多く出ている、今こういう現状だろうというふうに思っています。

 だとするならば、訪問購入者というものについては、やはり鑑定の資格なり、購入者という訪問ができ得る者、業者については一定の縛り、こういうものが私は必要なんだろうなというふうに思うんです。

 この辺について、訪問購入者、業者、何もない中で、ただこういう枠を法律の中に書いてあるということについて少し疑問を持つわけでございますけれども、この辺の経過なり、訪問購入というものに対する一つの、業を営む者、この規定について縛る意思はないのか、その辺ちょっとお伺いさせていただきます。

松原国務大臣 今回の法律案において、買い取り業者に関して、買い取る場合、訪問購入に関してさまざまな規制を設けているところでありまして、基本的には、こうした規制をきちっと設け、そして実行し執行することによって消費者被害は抑制できるだろうというふうに考えているところであります。

 その上で、委員御指摘のような要素が必要であるという判断をした場合は、またそういったことも含め、検討していきたいと思っております。

吉泉委員 被害の多くは、鑑定なりそういうものの資格、さらには、そういう知識がないままに、そういう業者、訪問者との取引に応じるというケースが私は多いんだろうというふうに思っております。

 だとするならば、やはり古物商の人方なんかも含めながら、それぞれの知識、さらには今のそれぞれの鑑定の仕方、そういうものの勉強もなされているわけでございますから、そういう面から含めて、良識的な古物商も悪徳なんだみたいな、そういうものに置きかえられるようなことであってはならない。

 だとするならば、訪問をして購入するわけですから、それなりに、全然知識のない人たちが訪問してやるということについては、私は大きな問題があると。だから、訪問購入というものについての一定の枠組み、縛り、こういうものは必要なんだろう、私はこういうふうに思っているところでございます。このことについては意見として申し上げさせていただきたいと存じます。

 次に、五十八条のところにおいて、勧誘の意思の確認に努めなきゃならない、こういう状況に法的になっているわけでございますけれども、そのところについては、電話での意思確認、これが業者から見れば非常に便利であって、非常に効率的だ、こういう一つの方法なんだろうというふうに私は思っているところでもございます。しかし、その中においてトラブルが発生をする、こういう面が私は多くあるというふうに思っております。

 例えば、電話で言葉巧みにアポをとって、そして、取引をする際に、電話の中であなたは、放してもいい、売るというふうに言ったんじゃないかみたいな形で強制をされる、そういう状況も私はあるんだろうというふうに思っております。

 参議院の段階において、それぞれ、大臣なり、相当この電話勧誘の問題について議論がなされたというふうにも聞いております。大臣として、この電話勧誘の禁止の問題については、これは禁止はしないと。しかし、電話でのアポのとり方、こういった問題について、やはりトラブルの一因になる可能性もあるというふうに私は認識しておりますけれども、この点についての認識を再度お願いします。

松原国務大臣 訪問買い取りにおいては、通常、実際の物品を見た上でなければ買い取り価格が決まらないため、消費者の自宅での勧誘を経て契約の締結に至るという特徴があります。

 そのため、自宅などでの勧誘を禁止すれば、物品の実物を見ることができない電話での勧誘を禁止しなくても訪問購入に係る消費者被害は防止できると考えられるため、修正案において、不招請の場合は、自宅などの営業所等以外の場所における勧誘が禁止されることとされたと承知をいたしております。

 ただし、実際の訪問購入に係るトラブル事例において、電話による勧誘を経たケースが現時点では少ないとはいえ存在していることは認識しており、改正特商法の施行後も、電話による勧誘の実態については注視していく必要があるものと考えております。

吉泉委員 意思の確認の仕方、このところについては、実効性のあるというふうになればやはり電話が一番手っ取り早いということで、このことについては進むんだろうというふうに思いますけれども、その電話でのやりとりについてきちっと踏まえていかなきゃならない、こういうふうに思っております。

 それと同時に、警察の関係なんかも含めて質問がなされたわけでございますけれども、法をつくって、そして、実効性の確保、この実効性がなければ何にもならないわけでございますから、この法律が通った後の対応の仕方、特に業者、さらには消費者への徹底なり、こういったところについてどういうふうに考えているのか、対策についてお伺いいたします。

松原国務大臣 法をつくった上での実効性の確保ということでございます。

 消費者庁においては、消費者保護の観点から、悪質な事業者に対して厳正に対処しているところであります。

 平成二十三年度の特商法に基づく処分件数は、消費者庁及び権限を委譲している地方経済産業局では合計四十三件、自治事務としている都道府県で八十二件となっております。

 執行に当たっては、地方経済産業局及び都道府県との間では執行での連携や法解釈の共有、さらに、警察との間では捜査に係る法解釈の対応や情報交換等により、これまでも執行体制の強化や連携を図ってまいりました。

 訪問買い取りについても、地方経済産業局、都道府県や警察との連携の強化を通じて、悪質な事業者に対しては厳正に対処してまいりたい、このように思っております。

吉泉委員 ありがとうございました。

 悪質な取引が一日でも早く少なくなる、そういう政府としての構え方、さらには対応の仕方、よろしくお願いを申し上げながら、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

阿久津委員長 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 最初に、消費者庁と修正案の提出者、両方に同じ質問をさせていただきます。規制強化の行き過ぎの防止ということについて質問をします。

 みんなの党の基本的な立ち位置は、規制強化には反対という立場です。しかし、市場の失敗が存在する場合、安全、環境、こういった場合は例外的に規制強化もやむを得ないというスタンスでおります。

 今回の改正案の提出のきっかけとなりました訪問購入で問題になっているケースを見ると、いわば情報の非対称性というようなものが存在し、消費者側が非常に弱い立場に置かれ、消費者の利益が守られていないという事例が多々あります。したがって、今回のような改正案であれば規制強化もやむを得ないと考えて、賛成する考えであります。しかし、基本的には規制強化に反対という立場ですから、条件つきの賛成という立場と言えると思います。

 では、条件つきといいますが、条件とは何かといえば、それは行き過ぎた規制強化は避けるべきであるという点です。過剰な規制にはいろいろな弊害があります。

 当初の政府案では指定物品制となっていたものを、参議院の修正で全ての物品が原則として対象になりました。しかし、例外として規定されているのが、売買契約の相手方の利益を損なうおそれがないと認められる物品、または訪問購入の規定が適用された場合流通が著しく害されるおそれがあると認められる物品であって、政令で定めるものを除くという例外規定がつきました。この例外規定についてお尋ねをします。

 どのような場合にこの例外措置の対象となるんでしょうか。具体的に説明をしていただきたいと思います。それから、その例外措置をどういうプロセス、どういう基準で認定するのか。その点について、政府と修正案提出者、両方にお尋ねします。

松原国務大臣 例外規定に関してということですので、そこのみ御答弁申し上げますが、条文上、訪問購入による取引が行われても消費者の利益が害されるおそれがない物品、または訪問購入に係る規則の対象とされた場合流通が著しく害されるおそれのある物品について、政令により対象から除外することとされております。

 具体例については、修正案可決後に検討していく段階にあり、現時点では不確かなことは申し上げられませんが、一方、政令を定めるに当たっては、消費者委員会及び消費経済審議会への諮問を行うことになっており、その答申を尊重するとともに、パブリックコメント等を通じて外部の意見にも十分耳を傾け、しっかりと実態を踏まえながら進めてまいりたい、このように思っております。

島尻参議院議員 山内委員にお答えしたいと思います。

 御指摘のように、この議論の中でも、規制強化の行き過ぎに関してはかなりの議論がございました。

 参議院における修正では、全ての物品を訪問購入に係る規制の対象とした上で、訪問購入による取引が行われても消費者の利害が害されるおそれがない物品や、訪問購入に係る規制の対象とした場合に流通が著しく害されるおそれのある物品については、政令により規制の対象から除外をするということにしております。したがって、消費者の利害を害する等のおそれのない取引については訪問購入に係る規制の対象とはせず、過剰な規制とはならないようにしております。

 また、いわゆる不招請勧誘の禁止についても、消費者保護が担保されている取引態様として政令で定める取引については、不招請勧誘の禁止に係る規定の適用を除外することにしております。よって、消費者保護が担保されている取引態様により取引を行う事業者の勧誘活動が著しく阻害されることとはならないというふうに考えております。

山内委員 現段階では具体的なことは答えられないというのがお答えのようですけれども、ぜひ、これまで真っ当な商売をやってきた人たちがこの規制のせいで商売上がったりということにならないように、ちゃんと配慮していただきたいと強く主張したいと思います。

 次に、高齢者あるいは障害者等への強引な勧誘の禁止について、消費者庁にお尋ねをしたいと思います。

 悪質な訪問販売や訪問購入の被害者というのは、大体、高齢者あるいは知的な障害のある方、こういった方が多いと思います。そういった人たちを守るための配慮ということについて、この法案に関連して、あるいは一般的でも結構ですけれども、そういった高齢者、障害者を守るための措置についてお尋ねをしたいと思います。

郡大臣政務官 今回のこの改正では、訪問購入業者に対して規制強化をするわけですけれども、勧誘に当たりまして、具体的には、業者名、勧誘目的等の明示を義務づける、再勧誘の禁止、不実告知の禁止、それから、相手を威迫、困惑させる行為の禁止などを規定しているところでございます。

 また、修正案では、消費者の一層の保護という観点から、勧誘の要請をしていない者への勧誘の禁止、不招請勧誘の禁止ですね、それから勧誘を受ける意思の確認の義務づけ等が盛り込まれておりまして、消費者の意に反する勧誘行為を防止するための措置が幾重にも手当てされているところでございます。

 そして、御指摘がありましたように、障害者やあるいは高齢者が多くこのトラブルに巻き込まれているというふうなこともあるわけでして、訪問販売と同じように、高齢者の方々への判断力不足に乗じて不当に契約を締結する行為を禁止する旨についても省令で定めさせていただきまして、行政処分の対象とすることを検討しているところでございます。

山内委員 消費者庁の担当の方に聞いても、いろいろな、これまでもこういう政策をやってきました、こういう対策をやってきましたという説明を受けるんですが、それでもやはり高齢者の被害が減っていないということを考えると、さらに、さっきの規制強化の話と矛盾するように聞こえるかもしれませんが、少なくとも高齢者の利益を守るということに関しては今以上に何らかの手当てが必要ではないかと思いますので、ぜひ御配慮いただきたいと思います。

 次に、法案とは直接関係ありませんが、消費者庁の情報提供のあり方について、消費者庁に質問します。

 消費者庁の情報あるいは国民生活センターの情報というのは、非常に有益な情報がたくさんあります。私もたまに丹念に読むと非常に興味深い通知なんかもあるんですけれども、残念ながら、いい情報があって、いいレポートを出されているんですけれども、それが必要な消費者にきちんと届いていないということがありまして、もう少し工夫が要るんじゃないか、情報発信あるいは周知徹底のやり方で工夫が要るんじゃないかと思います。

 例えば、先月、七月二十七日付で、消費者庁、国民生活センターが、「首掛式の乳幼児用浮き輪を使用する際の注意について」という注意勧告を出しています。

 これは、ちっちゃい子供をお風呂とかプールに入れるための浮き輪なんですけれども、大変ヒット商品で十万個以上売れております。この子供用の浮き輪が実は危ないという報告を消費者庁が出しているんですけれども、これをプリントアウトすると十四ページもあって、子育て中の若いお母さんたちがその十四ページの詳細な注意勧告の文書を読むとはとても思えません。しかも、なかなか、普通の主婦とか子育て中の若いお母さんたちが消費者庁のホームページをしょっちゅうチェックしているとも思えません。

 もっと広く、必要な人に必要な情報が届くようなやり方を工夫する必要があるんじゃないかと思いますが、その点についてお尋ねをします。

松田政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から御指摘のとおり、消費者庁といたしまして、消費者に向けて製品の使用等に関して注意を呼びかける際には、ホームページ掲載あるいは報道機関への資料提供、これが基本となりまして、それに加えて、情報が消費者に広く伝わるようなさまざまな工夫を私どもとしてはいたしておるつもりでございます。今先生からの御指摘では、なお足りないということかと思います。

 今御指摘のございました、七月二十七日に公表いたしました「首掛式の乳幼児用浮き輪を使用する際の注意について」につきましては、報道機関への説明の際に、商品テストの映像でありますとか、あるいは写真を配付いたしまして、多くの報道で取り上げられるよう努めてきたところでございます。

 それから、私ども、子ども安全メールfrom消費者庁というのを毎週配信いたしております。これは、携帯電話等に登録されたお子様の保護者様に直接お届けしておりまして、今二万一千件余の登録があるわけでございますが、こうした子供の事故予防に関する直接のルート等も工夫をいたしておるわけでございます。

 なお足りないというようなことも今御指摘かと思います。私ども、注意喚起の対象となる層に対して、どういうターゲットでさらに知らせていくかというふうなことは大いに工夫をいたしてまいりたいと思いますけれども、報道でございますので、広告となりますとなかなか財政事情が厳しいものですから、いろいろな情報提供という形で、よりきめ細やかな工夫をいたしてまいりたいと存じます。

山内委員 なぜあえて乳児用の浮き輪のことを取り上げたかというと、実は私も買ってしまったんですね。ママ友の間ですごい大人気で、十万以上売れている。一年間に生まれる子供が百二十万人ぐらいですから、すごい割合で売れているんですけれども、もしこの消費者庁の情報を事前に知っていたら、僕は絶対買わなかったと思います。

 ですから、今、お金がないということですけれども、場合によってはそういう広告費を取るといったことも含めて、ぜひ必要な情報が必要な人にちゃんと届くような仕組みづくりに努めていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

阿久津委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

阿久津委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

阿久津委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

阿久津委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、井戸まさえ君外二名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。大口善徳君。

大口委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明いたします。

 その趣旨は案文に尽きておりますので、案文を朗読いたします。

    特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 一 本改正の趣旨及び内容について、消費者及び事業者等に対し十分な周知徹底を図ること。特に、訪問購入に係るトラブルの相談件数の多い高齢者に対し、分かりやすいガイドラインの作成、説明会の実施等周知、啓発活動を行い、消費者被害の未然防止に万全を期すこと。

 二 本改正の実効性を確保するため、必要な体制の整備を行うとともに、不招請勧誘の禁止及び物品の引渡しの拒絶等の規定の内容を通達等により明確化すること。また、関係省庁、地方自治体、警察及び消費者団体等の一層の連携強化を図り、購入業者に対する業務の是正又は改善の指示等の措置を厳正かつ機動的に講ずること。

 三 消費者被害の未然防止のためには住民に身近な地方消費者行政の充実が必要であることに鑑み、都道府県における本法の執行体制の強化を始めとした地方消費者行政に対する国の支援を早急に講ずること。また、本法に基づく差止請求訴訟を担う適格消費者団体への支援についても適切な措置を講ずること。

 四 訪問購入に係る規制の対象とならない物品及び不招請勧誘の禁止の規定の適用除外となる取引の態様を政令で定めるに当たっては、規制の隙間が生じないようにするとともに、消費者委員会の意見を十分に尊重すること。また、本法の施行状況を十分に踏まえ、適宜適切な見直しを行うこと。

 五 訪問購入に係るトラブルの相談件数のうち、電話勧誘によるものが一定割合を占める状況に鑑み、本法の施行状況の検討と併せて、訪問購入に係る不招請の電話勧誘を禁止することの要否について検討を行い、必要な措置を講ずること。

 六 商品、役務及び取引形態等の多様化及び複雑化に伴い、今後も規制の隙間を狙う新しい商法による消費者被害が発生するおそれがあることを踏まえ、消費者被害の未然防止のための制度全般にわたり、点検及び必要な見直しを行うこと。

以上でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

阿久津委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

阿久津委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。松原国務大臣。

松原国務大臣 ただいま御決議いただきました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重してまいりたいと思います。

    ―――――――――――――

阿久津委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

阿久津委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

阿久津委員長 次に、参議院提出、消費者教育の推進に関する法律案及び消費者基本法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 発議者から趣旨の説明を聴取いたします。参議院議員島尻安伊子君。

    ―――――――――――――

 消費者教育の推進に関する法律案

 消費者基本法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

島尻参議院議員 ただいま議題となりました消費者教育の推進に関する法律案及び消費者基本法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の趣旨及び主な内容を御説明申し上げます。

 まず、消費者教育の推進に関する法律案について御説明申し上げます。

 消費者基本法第七条第一項において、消費者には、消費生活に関する必要な知識の修得や必要な情報の収集等自主的かつ合理的に行動することが求められておりますが、こうした消費者の自立を支援するとともに、消費者被害の予防に資する有効な取り組みであるのが消費者教育です。

 同じく、消費者基本法第十七条には、国の講ずべき施策の一つとして消費者教育の充実が明記されておりますが、学校教育では十分な授業時間が確保できておらず、また、高齢者を初めとする成人を対象とした社会教育についても効果的な取り組みがなされていないことなどがこれまでにも指摘されてきたところでございます。

 消費者教育につきましては、平成二十一年の消費者庁設置関連三法案の国会審議においても議論がなされており、衆議院では、消費者安全法に定める国及び地方公共団体の責務に「消費生活に関する教育活動」を追加する等の修正が行われました。

 参議院では、消費者問題に関する特別委員会において、消費者教育について参考人質疑を行ったほか、消費者庁設置関連三法案に対する附帯決議において、消費者庁が消費者教育推進の司令塔機能を果たすことや、消費者教育に関する法制の整備について検討を行うこと等を明記いたしました。

 なお、消費者教育に関する法制の整備については、平成二十二年三月に閣議決定された消費者基本計画にも盛り込まれております。

 また、東日本大震災の際に、消費者による食料品やガソリンなどの買い急ぎや買いだめが行われ、主に首都圏において生活関連物資が品薄状態となる事態が発生したことは記憶に新しいところでございます。

 こうした非常時に、消費者が必要な情報を得て、自主的かつ合理的に行動するためにも、消費者教育を充実させることは急務の課題であると言えます。

 消費者教育の推進に関する法律案は、ただいま申し上げました経緯、また、消費者教育が、消費者と事業者との間の情報の質、量及び交渉力の格差等に起因する消費者被害を防止するとともに、消費者がみずからの利益の擁護及び増進のため自主的かつ合理的に行動することができるようその自立を支援する上で重要であることに鑑み、消費者教育の機会が提供されることが消費者の権利であることを踏まえ、消費者教育を総合的かつ一体的に推進するために必要な事項を定めようとするものであり、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、消費者教育及び消費者市民社会について定義することとしております。

 第二に、消費者教育について、七つの基本理念を定めることとしております。

 第三に、消費者教育の推進のための国及び地方公共団体の責務、並びに消費者団体、事業者及び事業者団体の努力について定めることとしております。また、政府に対し、必要な財政上の措置等を講ずることを義務づけるとともに、地方公共団体は、必要な財政上の措置等を講ずるよう努めなければならないこととしております。

 第四に、政府は、消費者教育の推進に関する基本的な方針を閣議決定すること、また、地方公共団体は、この基本方針を踏まえ、消費者教育推進計画を定めるよう努めなければならないこととしております。

 第五に、学校、大学等、地域における消費者教育の推進及び事業者等による消費者教育の支援等について定めることとしております。

 第六に、消費者庁の審議会等として、消費者、事業者及び教育関係者、消費者団体、事業者団体その他の関係団体の代表者、学識経験者並びに関係行政機関等の職員で組織する消費者教育推進会議を置くとともに、地方公共団体は、消費者教育推進地域協議会を組織するよう努めなければならないこととしております。

 なお、この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 また、附則において、法施行後五年を目途として、この法律の施行状況について検討を加え、必要があると認めるときは見直しを行うこととしております。

 次に、消費者基本法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。

 本法律案は、政府から国会に対し、毎年、政府が講じた消費者政策の実施の状況を報告しなければならないことを定めようとするものであり、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、両法律案の提案の趣旨及び主な内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。

阿久津委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

阿久津委員長 両案につきましては、質疑、討論ともに申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、参議院提出、消費者教育の推進に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

阿久津委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、参議院提出、消費者基本法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

阿久津委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

阿久津委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

阿久津委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十分散会


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