衆議院

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第3号 平成27年5月12日(火曜日)

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平成二十七年五月十二日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 鴨下 一郎君

   理事 穴見 陽一君 理事 後藤田正純君

   理事 武村 展英君 理事 とかしきなおみ君

   理事 堀内 詔子君 理事 大西 健介君

   理事 重徳 和彦君 理事 古屋 範子君

      小倉 將信君    尾身 朝子君

      大塚 高司君    大西 宏幸君

      岡下 昌平君    鬼木  誠君

      加藤 鮎子君    金子万寿夫君

      金子めぐみ君    木村 弥生君

      小島 敏文君    小林 史明君

      田畑 裕明君    武井 俊輔君

      津島  淳君    中谷 真一君

      中村 裕之君    比嘉奈津美君

      前川  恵君    前田 一男君

      三ッ林裕巳君    宗清 皇一君

      山田 美樹君    田島 一成君

      中島 克仁君    中根 康浩君

      山尾志桜里君    木内 孝胤君

      吉田 豊史君    浜地 雅一君

      吉田 宣弘君    梅村さえこ君

      清水 忠史君

    …………………………………

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            山口 俊一君

   内閣府大臣政務官     松本 洋平君

   政府参考人

   (内閣法制局第一部長)  松永 邦男君

   政府参考人

   (消費者庁次長)     川口 康裕君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    岡田 憲和君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    菅久 修一君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    服部 高明君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           福島 靖正君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           長谷部正道君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           高田 修三君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           佐々木 良君

   衆議院調査局第一特別調査室長           古田 義祐君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月六日

 辞任         補欠選任

  上西小百合君     井上 英孝君

同月十七日

 辞任         補欠選任

  井上 英孝君     木内 孝胤君

五月十二日

 辞任         補欠選任

  大塚 高司君     中谷 真一君

  加藤 鮎子君     宗清 皇一君

  金子めぐみ君     三ッ林裕巳君

  田畑 裕明君     金子万寿夫君

  武井 俊輔君     中村 裕之君

同日

 辞任         補欠選任

  金子万寿夫君     田畑 裕明君

  中谷 真一君     大塚 高司君

  中村 裕之君     津島  淳君

  三ッ林裕巳君     金子めぐみ君

  宗清 皇一君     尾身 朝子君

同日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     加藤 鮎子君

  津島  淳君     武井 俊輔君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件


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     ――――◇―――――

鴨下委員長 これより会議を開きます。

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣法制局第一部長松永邦男君、消費者庁次長川口康裕君、消費者庁審議官岡田憲和君、消費者庁審議官菅久修一君、消費者庁審議官服部高明君、厚生労働省大臣官房審議官福島靖正君、農林水産省大臣官房審議官長谷部正道君、経済産業省大臣官房審議官高田修三君、経済産業省大臣官房審議官佐々木良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小倉將信君。

小倉委員 自由民主党の小倉將信です。

 大臣所信に対する質疑の先頭バッターで立たせていただきましたこと、委員長初め委員の皆様方に改めて感謝を申し上げたいと思います。

 過去、消費者問題は、事業者や企業にとりましては、なるべく目をつけられたくないもの、あるいは、なるべくなら避けて通りたいものという印象で捉えられてきたかと思います。ただ、昨今では、消費者に対する安全性、機能性、科学的根拠といった要素は、消費活動や経済活動を大きく左右する、事業者にとってはある種の付加価値を生み出す分野になっております。

 ですから、各企業でも、ユーザー対応やクレーム対応の窓口には細心の注意を払っているものと思われます。数年前まで空前の成長を遂げていたある大手外食チェーンが、食品への異物混入によって、たった数カ月のうちに大赤字に転落するということも最近ございました。

 GDPの約六割を国内消費が占めております我が国経済で、アベノミクスによる経済の好循環をより確かなものとするためには、まず消費者が安心して消費できる環境をつくり、その環境が今度は健全な市場や企業を育て、そして健全な市場や企業の存在がさらなる持続可能な経済成長を導いていく、この好循環をいかにつくり出していくかという観点が非常に重要であるというふうに考えております。

 そこで、まず山口大臣に、改めて、消費者行政の役割や消費者中心の経済を形づくる上での意気込みをお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

山口国務大臣 ただいま小倉委員からもるる御指摘をいただきました。まさにそのとおりであろうと思います。

 消費者行政というのは、安全な商品、サービスが市場に提供されて、消費者の皆さん方が正確な情報をもとにして安心して消費活動を営むことができる社会の実現を目指すというふうなものであります。

 この消費者の安全、安心の確保というのは、消費の拡大、ひいては経済の好循環を達成するためにも大変重要な役割を担っておるというふうなことでございます。すなわち、安心をして消費ができてこそ、賃金の上昇といったものが個人消費の拡大に結びついていくというふうなものでもありまして、消費者の皆様方に安全で安心な環境の中で消費をしていただく上で、消費者行政の果たす役割というのは大変大きなものがあると考えておるところでございます。

 国民お一人お一人の安全で安心な暮らしに貢献のできる消費者行政を目指して、今後とも全力を挙げてまいりたいと考えておるところでございます。

小倉委員 大臣、御丁寧な御答弁、また力強い御発言をありがとうございました。

 大臣のこの前の所信の中で、安全で安心な暮らしは何よりも重要であって、その確保のために、消費者庁は消費者にとって身近で頼りになる存在であらねばなりません、国民一人一人の安全で安心な暮らしに貢献できる消費者行政を目指しますというお話がございました。

 今回、消費者ホットラインがこれまでの十桁から三桁、一八八に移行することは、消費者に身近で頼りになる存在に向けての大きな一歩になり得ると確信をいたしております。

 これまでの〇五七〇から始まる十桁の番号をそらんじられる人は、ほとんどいないと思います。それが三桁になれば、一一〇番や一一九番のように、広く周知ができるかもしれません。

 ただ、一一〇番や一一九番の語感と比べると、一八八番は、まだ語呂が悪く、覚えにくいように感じます。語呂合わせの工夫も、既に募集されているようですが、これも必要なんじゃないかなというふうに考えております。

 また、一一〇番や一一九番は二十四時間体制で通報を受け付けていますが、消費者ホットラインは、東京都を例にとりますと、平日の午前九時から午後五時まで、国民生活センターのバックアップ回線は午前十時から午後四時までと、利用できる時間帯が非常に狭い印象を受けます。

 番号が身近になっても、窓口が身近にならなければ、消費者にとって本当の意味でのホットラインにはならないのではないでしょうか。

 そこで、窓口業務の拡大への取り組みについてどのようにお考えか、お尋ねをしたいと思います。

服部政府参考人 お答えさせていただきます。

 消費者ホットラインは、消費生活センターなどの消費生活相談窓口の存在や連絡先を御存じでない消費者の方にもお近くの消費生活相談窓口を御案内する、このことによりまして、消費生活相談の最初の一歩をお手伝いさせていただくものでございます。

 今御指摘ございました三桁番号一八八による運用開始を本年七月に予定しており、消費者ホットラインの認知度向上が期待されることから、消費者の相談増加も見込まれるところでございます。

 私ども、地方消費者行政推進交付金を活用しまして、消費生活センターの設立、消費生活相談員の配置の促進など、地域における相談体制の強化を支援してまいる所存でございます。

 また、土日祝日、こうしたところの対応でございますが、地方公共団体による相談窓口の開所、実際の相談対応に資するよう、国民生活センターによる土日祝日相談に特化した対応マニュアルの作成、配付、こうしたものも今検討して、バックアップしていきたいというふうに考えているところでございます。

小倉委員 どうもありがとうございました。

 身近な存在に向けて、さらに努力をしていただきたいと思います。

 企業が提供するサービスの多様化に伴いまして、消費者問題も多様化をしていると思います。すなわち、新たなサービスの誕生は、これまで存在しなかった新しい消費者問題を生み出すリスクもはらんでおります。

 そこで、近年急速に拡大をする遺伝子解析ビジネスの問題について、関係各省に御認識をお伺いしたいと思います。

 遺伝子検査と聞くと、ある特定の病気の因子が含まれるかを検査するという医療分野のものを思い浮かべるかもしれません。

 二〇一三年に、女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが遺伝性乳がんの遺伝子検査の結果をもとに乳房の予防的切除をしたことが日本でも大きく取り上げられました。このニュースによって、遺伝子検査によって病気になるかどうかのリスクを把握することができて、その病気の予防にも活用できるという認識が広まったと思います。

 医療分野のものと同様に、個人消費者向けの遺伝子解析サービス、いわゆるダイレクト・ツー・カスタマーズと言われるDTC検査も広まってきております。インターネットやテレビ通販だけではなくて、コンビニやクリスマスのプレゼント売り場でまで遺伝子検査キットが販売されるやに聞いております。

 DTC検査では、消費者に対して、例えば、あなたの遺伝子型は飲酒で顔が赤くなりやすいタイプですといったものから、あなたの遺伝子型だとがんや脳梗塞を発症するリスクが日本人平均の一・五倍ですといったシリアスなものまでございます。しかし、いずれも曖昧な結果で通知をされております。この結果の解釈がわからないまま、消費者が、自分はがんや脳梗塞になってしまう、あるいは、自分はがんや脳梗塞には決してならないと信じ込んでしまうリスクもあるわけです。

 また、遺伝子情報は、個人の知らない権利を侵害するものだとも懸念をされております。検査をする主体の個人が本当は知りたくなかった情報を知ってしまう危険性はもちろんのこと、遺伝子情報は、当然、検査した個人の親や子供などにもほぼ共通しているものと考えられますので、自分は知るつもりがなかったのに、兄弟が検査をした結果、自分自身の遺伝子情報について負の面を知る羽目になったということも起こり得るわけであります。

 商業的に遺伝子検査が行われるときに、果たしてそういったリスクや科学的根拠についての説明、いわゆるインフォームド・コンセントがなされているのか、そのためにどのような制度が必要なのか、消費者保護の観点から、所管官庁の取り組みが求められていると思います。

 例えば、私が先日、とある遺伝子医療の最先端でお仕事をされている医師にお伺いをしたところ、医療行為における遺伝子検査においては、遺伝子について専門的に学んだ医師が一時間から一時間半の時間をかけてまで丁寧にカウンセリングを行っているとのことでした。

 以上申し上げてきたように、遺伝子解析ビジネスは、新たなイノベーションを起こす可能性を秘めた、善意に活用されれば我が国の健康福祉の増進に大きな助けになる分野でもありますが、一方で、極めて先進的な分野であるがゆえに、非常に難しい消費者保護の問題も抱えていると思います。

 そこで、先ほど申し上げたDTC遺伝子検査を所管されております経産省と医療目的の遺伝子検査を所管されている厚労省に、それぞれどのような取り組みを現状なされているのか、お伺いをしたいと思います。

高田政府参考人 委員の御質問にお答えいたします。

 遺伝子検査ビジネスにつきましては、とりわけ分析の質の担保、それから科学的根拠がきっちりしているか、それから情報提供の方法、こういったものが適切に行われているかということが大事かと存じます。

 とりわけ消費者との関係におきましては、まさに委員御指摘のありましたように、情報の提供の方法について、どのように管理されているかということは極めて大事かと存じます。

 個人情報保護、消費者保護の観点から、経済産業省としてどのように取り組んでいるかについて御説明させていただきたいと思います。

 遺伝情報を含む個人情報の保護につきましては、個人情報保護法において、目的外使用の原則禁止、本人の同意を得ない第三者提供の原則禁止など、個人情報を取り扱う事業者の義務が規定されており、当該ビジネスについても、同法により個人情報の保護が図られています。

 加えまして、経済産業省におきましては、同法に基づき個人遺伝情報保護ガイドラインを作成いたしまして、インフォームド・コンセント取得の手順などを含め、個人遺伝情報を取り扱う事業者の義務などについて、より詳細に規定しております。

 加えまして、遺伝子検査ビジネスを行う事業者向けに、検査の質の担保や検査結果の解釈の科学的根拠の基準なども含めた事業者としての遵守事項を取りまとめますとともに、消費者向けに事業者選定チェックリストを取りまとめ、公表することで事業の適正な実施を図っております。

 また、遺伝子検査ビジネスの事業者などから構成されるNPO法人個人遺伝情報取扱協議会が、経済産業省のガイドラインなどに沿った形で自主基準を作成し、現在、その遵守状況について、個別事業者の認定を行う制度の導入を検討しているところでありまして、経済産業省としましても、同協議会の取り組みを支援しているところでございます。

 このように、引き続き、当該ビジネスにおける個人情報保護、消費者保護の確保にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

福島政府参考人 医療におきます遺伝子検査についてお答えをしたいと思います。

 まず、医療法におきましては、医師等の責務として「医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない。」こういうふうになっております。また、医師法におきましては、「医師でなければ、医業をなしてはならない。」と定められておりまして、特に診断は、医師でなければ行ってはならないということになっております。

 医療における遺伝子検査におきましても、このような法令にのっとって行われるべきものというふうにまず考えております。

 一方、遺伝子検査におきます課題につきましては、平成二十六年度の厚生労働科学特別研究事業におきまして、国内外の遺伝学的検査の実施の状況、海外における法律及びガイドラインによる規制の実態等に関する調査を行っておりまして、課題の抽出それから整理を行うこととしておるところでございまして、今月中にその報告書がまとまる予定になっております。

 こういう調査の結果を踏まえながら、抽出した課題に対してどういう対応が必要なのか、そういうことについて検討してまいりたいと考えております。

小倉委員 御回答ありがとうございました。

 経産省さんも厚労省さんも丁寧に進めていらっしゃるということで安心をしましたが、例えば、DTC検査の場合の業界の自主規制ガイドラインがございますけれども、参加企業が二十数社ということで、実際にDTCビジネスをやっているのが千社を超えているという話もございますので、果たしてこの自主規制に任せていていいのか、千社にまでふえた中で新しい問題が発生しないかどうかということについても、重ねて検討をお願いしたいと思います。

 また、医療の分野におきましても、これは見解もまちまちかもしれませんけれども、私が伺ったドクターの話では、遺伝の勉強をしていないドクターは素人に毛が生えた程度の知識しか持っていないというような話もございますので、この遺伝子カウンセリングをしっかりとできるような医師をどのように育成するかということも取り組んでいただきたいと思います。

 最後に、消費者庁におきましては、この全てに消費者保護という観点からかかわる省庁でございますので、何か問題が発生する前にプロアクティブに検討をしていただければなというふうに思っております。

 次に、この四月から始まりました食品の新しい機能性表示についてお伺いをしたいと思います。

 つい先日も、国立がん研究センター、東大のグループが、コーヒーや緑茶を定期的に飲むことによって死亡リスクが低減するとの調査結果を公表いたしまして、これが新聞やテレビ等に再三取り上げられたかと思います。これも、より健康な生活を送りたい、そのために健康に関する情報を広く収集して、より体によい商品を手にとりたいとの消費者の根源的な欲求をあらわしているものだと思っております。

 しかし、これまでは、例えば、いつまでも元気に歩きたい方へなど、何となく体にいいような表現をしながら、それでも奥歯に物が挟まったような表現しかできず、事業者にとっては、どのように規制にひっかからない表現を編み出すかという、いわば非生産的な努力を強いられてまいりました。

 今回の機能性表示制度がうまく機能すれば、明確に体のどの部分に機能するのか、消費者がその情報を手に入れられるようになります。このことは、より低コストで自社製品の魅力を伝えることができる中小事業者のみならず、商品を選択する消費者にとっても歓迎すべきことであると私は考えております。

 そこで、せっかくできた新しい制度がうまく機能するために何が必要かという観点から、幾つか御質問をさせていただきたいと思います。

 今回の制度の設計に当たって、アメリカのダイエタリーサプリメント制度を参考にしたと伺っておりますが、アメリカの場合は安全性の問題があったり虚偽表示の問題があったりと、問題が全くなかったわけではないと伺っております。アメリカの制度を単に模倣しただけでは、アメリカと同様の問題が起きてくることは明らかだろうと思いますが、アメリカの制度を参考にしながらも、その結果を改善できるような制度設計を今回行っているのかどうか、消費者庁に改めてお伺いをしたいと思います。

岡田政府参考人 お答えいたします。

 アメリカのダイエタリーサプリメント制度との違いということで御質問があったかと思いますけれども、アメリカの制度におきましては、届け出が原則事後というふうになってございます。それからまた、今回の制度をつくりましたときの検討会の報告書によりますと、アメリカのDS制度の場合には、製品の有効性に関する表示の内容の根拠について届け出、開示の対象ではないということになってございます。したがいまして、消費者が根拠情報にアクセスできない可能性があるというふうな指摘がございました。

 こういった問題点を踏まえまして、今回の制度におきましては、商品販売前に消費者庁に届け出を行う、それから、安全性や機能性の科学的根拠に係る届け出情報を消費者庁のウエブサイトにおいて公表するなど、消費者にわかりやすく的確な情報の提供を促す仕組みといたしまして、消費者の自主的かつ合理的な商品選択に資する制度というふうにしたところでございます。

小倉委員 ありがとうございました。

 しっかりと事業者に事前に届け出を行っていただいて、それをホームページで責任を持って公開するというのは、事後のチェック機能を働かせるためにも、また悪意ある届け出をやりづらくするという意味でも、重要な改善点であると思います。日本弁護士連合会や主婦連合会からもそういった点について懸念が表明されたと伺っておりますが、消費者が最も気になる点は安全性であり、また機能性の科学的根拠であろうと思います。

 そこで、本制度の肝であります事後チェックを有効に機能させるポイントは、公開された論文について、行政にかわって専門家やオンブズマンといった民間の方々がしっかりとチェックをしていけるということになろうかと思いますが、消費者庁としてこれらをどのように支援していくと考えていらっしゃるのか、お伺いをしたいと思います。よろしくお願いします。

岡田政府参考人 御指摘のとおり、機能性表示食品制度につきましては、届け出後の事後チェック制度をしっかりと機能させることが前提となっておりまして、安全性、機能性の科学的根拠に関する情報を公開することで寄せられる疑義情報も活用して、安全性、機能性に関する科学的根拠等について、食品表示法に基づく事後監視をするということにしてございます。

 したがいまして、専門家、消費者等の関係者の方々のチェックを直接支援する支援策はございませんけれども、そういった方々がガイドラインなどの制度について理解を深めていただくことが重要と考えておりまして、わかりやすい形で、個別の品目に関する届け出情報の周知や制度全般の内容の普及啓発を図っていく必要があるというふうに考えております。

 具体的には、事業者は、個別品目に関します安全性や機能性に関する科学的根拠につきまして、商品販売の六十日前までに消費者庁に届け出を行うとともに、届け出情報を消費者庁ウエブサイトにおいて公表する。それからまた、個別品目に関する届け出情報につきましては、一般消費者向けの概要情報も含めまして消費者庁ウエブサイトにおいて公表する。そしてまた、機能性表示食品制度を含む新たな食品表示制度に係る全国説明会の開催や、機能性表示食品制度に関する普及啓発などの取り組みも行ってまいりたいというふうに考えております。

小倉委員 御答弁ありがとうございました。

 この事後チェックに関しては、科学的根拠といっても、かなり専門性の高いものになろうかと思います。これを一般の消費者に判断をしてもらおうとしても、なかなか、一般消費者にとってみれば、判断できるだけの知識がなかったりいたしますので、実際に、専門家とかそういう団体、このような中間団体をいかにうまく活用するかがこの機能性表示のポイントでもあると思っておりますので、さらなる一層の御支援をお願いしたいと思います。

 また、届け出制である以上は、形式的に書類が整っていれば、消費者庁として不受理ということは難しいと思います。先日も、特保の申請では安全性が疑問視されて不許可となった成分が、今回の機能性表示の中では届け出がなされたというような報道もあります。

 届け出を受理した後に何らかの論文の間違いや不正が明らかになった場合、消費者庁としてどのような対応をとり得るのか。例えば、それが既に商品として市場に出回っていた場合に、ほかの法律等によって回収の指示や罰則を迅速に科すことが可能なのかどうかをお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

岡田政府参考人 お答えいたします。

 本制度は、届け出後の事後チェック制度をしっかり機能させるということが前提となってございまして、消費者庁は、開示資料を端緒として寄せられる疑義情報も活用して、届け出情報の公表後に、安全性や機能性に関する科学的根拠等につきまして、食品表示法に基づき事後監視を行うというふうにしてございます。

 具体的には、消費者庁におきまして、機能性表示食品に係ります疑義情報の内容を確認の上、必要に応じ事業者に確認をした上で、科学的根拠に基づかないものであることが明らかになった場合には、当該食品は機能性表示食品としての要件を満たしていないということになりますので、事業者に対しまして撤回届の提出を求めることになろうかというふうに考えております。

 そして、その上で、撤回届の提出がなく、当該食品を機能性表示食品として販売しようとする場合には、必要に応じ、食品表示法に基づく指示や回収命令を含む命令等の行政措置を行うことになろうかというふうに考えてございます。

 なお、こういった機能性表示食品の監視につきましては、消費者庁と全国百四十一カ所の保健所等の保健衛生部局が連携をいたしまして、適正な表示が行われるよう対処する体制を整えたところでございます。

 こうした取り組みによりまして、科学的根拠に基づかない表示がなされた食品の流通を防ぐべく、制度を運用してまいりたいというふうに考えております。

小倉委員 御答弁ありがとうございました。

 今回の機能性表示制度によって、中小企業を初めとする参入がしやすくなるということは、もちろん、届け出がなされる商品の数も多くなるということを意味します。

 届け出の数が多くなるということは、それに伴って誤りや不正の可能性も高くなるということでありますので、恐らく、これまで以上に体制の整備を進めていかなければ、何か問題が起こった後の迅速な対処というものもできなくなるんじゃないのかなと思いますので、これまでの体制でうまくいったからいいではなくて、より一層の体制の強化をお願いしたいと思いますし、こういったものは、一つでも二つでも不正が発覚をして、それが放置をされてしまうと、制度全体の信頼性というか信憑性が失われてしまいますので、緊張感を持って、消費者庁あるいは保健所の皆様方には御対応をいただきたいというふうに思っております。

 先ほど、特保、特定保健用食品という制度のお話をさせてもらいました。

 特保の開発には数億円かかるというふうにも言われております。特保は、申請の前に臨床試験や安全性の確認をすることはもとより、申請をされた後に、消費者庁が消費者委員会、食品安全委員会、厚生労働省といった関係機関に諮問や意見照会をするので、事業者にとっては、完全に第三者の専門家による検証を得ることになっております。ですから、開発する事業者の側もかなり真剣に厳密な試験を行うというふうに言えます。

 だからこそ、それなりの経費がかかるわけですけれども、今回の新しい機能性表示については、いわゆる第三者による機能性の評価というものは受けないということになっております。

 新しく機能性表示についての制度が設けられた今、特保という制度をどのように運用していくのか。消費者にとっても、特保でも新しい制度による表示でも受ける印象が変わらないというのであるならば、事業者にとって、わざわざ大金を投じて特保をとるメリットがないという判断にもなりかねません。

 そうなれば、せっかくここまで育てた特保という制度が衰退していくのではないかという懸念を私は持っておりますが、この新しい制度と特保という制度をいかに共存させていくのか、これについて、消費者庁としてどのようなイメージを持っているのか、お伺いをしたいと思います。

岡田政府参考人 お答えいたします。

 機能性表示食品制度と特定保健用食品制度については、食品の機能性を表示できるという点においては同様の制度でございますけれども、機能性表示食品制度の場合は、企業等の責任において機能性を表示する制度でございまして、消費者庁による個別審査が行われたものではない旨の表示を付すということとされてございます。

 一方、特定保健用食品制度は、国による個別の品目ごとの安全性及び効果の審査を経た上で、消費者庁により許可されたことを示すマークを付すといった違いがございます。

 こうした違いを踏まえた上でどちらの制度を利用されるかは、各事業者の判断によるものというふうに考えられるわけでございます。

 それからまた、特定保健用食品制度、その他、この新しい制度も含めた違いをしっかりと理解していただくことは大変重要でございます。その理解増進を図っていくことにつきましては、本年三月に閣議決定されました消費者基本計画においても明記されているところでございまして、機能性表示食品制度を含む新たな食品表示制度に係る全国説明会の開催や、機能性表示食品制度に関する消費者向けの普及啓発資料の作成などの取り組みを行っているところでございます。消費者の方あるいは事業者に対しまして、機能性を表示するそれぞれの制度への理解の促進を図ってまいりたいというふうに考えております。

小倉委員 御答弁、どうもありがとうございました。

 機能性表示と特保の制度がそれぞれの役割を発揮して、消費者にとってより選択の幅が広がっていくようなものとなるように対応をお願いしたいというふうに思います。

 最後に、機能性表示のメリットについて一つお伺いをいたします。

 安倍総理がスピーチの中で、農産物の海外展開を視野に、諸外国よりも消費者にわかりやすい機能性表示を促すような仕組みも検討したいと思いますと述べていらっしゃいますが、これから日本の農産物を海外に展開していく中で、付加価値を高めるためにも、科学的根拠に基づく機能性の表示というのは非常に有効になるだろうと考えております。

 そこで、農水省にお伺いをいたしますが、農産物の海外展開に関して今回の機能性表示がどのように有効に働くと想定をしているのか、また、日本国内で機能性表示が認められたものがそのまま海外でも同様の表示ができるのか、そのあたりの見通しについてお伺いをいたしたいと思います。

長谷部政府参考人 お答えいたします。

 我が国の農林水産物、食品の輸出拡大につきましては、平成二十五年に国別・品目別輸出戦略を策定いたしまして、輸出総額一兆円という目標を掲げ、官民一体となって取り組んでいるところでございます。

 また、昨年六月に輸出戦略の司令塔として輸出戦略実行委員会を創設し、品目別に輸出拡大方針の策定や輸出団体の育成などを進めているところでございます。

 このようなさまざまな取り組みの結果、昨年の輸出額は、おかげさまで、六千百十七億円と史上最高額となったところでございます。

 今後とも、各国における輸入規制の緩和、撤廃等の輸出環境の整備を進めつつ、米や牛肉など、それぞれの品目の輸出を推進し、一兆円目標をより早く、より大きく超えて達成できるよう取り組んでまいりたいと考えております。

 御指摘のございました機能性表示食品制度による表示につきましては、直接、海外の消費者に機能性を訴えることを意図したものではないと承知しておりますが、輸出環境の整備の一環といたしまして、輸出先国においてどのような規制があるのか調査した上で、可能であれば機能性表示などの付加価値をつけていくことも考えられると考えております。

 今後の輸出促進に当たっては、我が国の農林水産物、食品の魅力を積極的に訴えていくことが重要と考えておりまして、さまざまな切り口や方法で輸出促進の取り組みを進めてまいりたいと考えております。

小倉委員 御答弁ありがとうございました。

 参考人がおっしゃったように、農産物の輸出拡大というのは我が国の喫緊の課題でもございまして、農産物の海外展開なくして、縮小する国内食品市場の中で日本の農業の未来はないと思っておりますので、農水省には、この機能性表示を他人事とせずに、このようなものをどのように活用していけるかということをさらに省内で検討していただきたいというふうに思っております。

 時間が来たのでもうここら辺で質問は終わらせていただきたいと思いますけれども、せっかくできたこの新たな機能性食品が、鴨下委員長いわく、気のせい食品にならないように、せっかくの新しい取り組みが無駄にならないように、真面目に取り組んでいる事業者がばかを見ないように、しっかりと運用をお願いしたいということを最後に述べて、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

鴨下委員長 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 公明党の吉田宣弘でございます。

 本日は、山口大臣の所信表明を受けて質問をさせていただきますこと、まず心から感謝を申し上げたいと思います。

 早速質問に入らせていただきます。

 山口大臣は、先日、三月二十六日の所信表明演説におきまして、本年度から、新たに策定をした消費者基本計画に基づき、高齢化に対応した消費者政策を着実に推進する旨、表明をなされました。

 そこで、私のここでの質問におきましては、高齢者の消費活動の保護という観点から、幾つか質問をさせていただければと思っております。

 資料の一をごらんいただければと思います。何やら表がたくさん並んで見づらいのですけれども、なるたけわかるように御説明を申し上げたいと思います。

 資料の一番最初の黒ポツのところ、年齢階層別人口というものに、年齢階層の割合というのが一番右側に書いてありますけれども、平成二十六年の十月一日現在、六十五歳以上の人口が二六%の割合でございます。

 次の黒ポツ、年齢階層別人口の将来予測という表がございますけれども、これに将来の人口というものが、予測が載っております。一番右側に割合が同じく載っておりますけれども、六十五歳以上の方の割合、これが平成三十一年で二八・八%、四十七年では三三・四%、平成七十二年、少々先ですけれども、三九・九%と、確実に高齢者の方の人口割合がふえていくというふうな予測がなされております。

 また、次の黒ポツで、世帯主六十五歳以上の単独世帯数の推移という表がございます。昭和六十年から単独世帯数という数字が載っておりますけれども、着実にふえております。将来予測ですが、平成三十二年には六百六十七万九千世帯、これはお年寄りがお一人で暮らしているという世帯を示しております。

 加えて、資料の一の最後ですけれども、最後の黒ポツに、全国の消費生活センター等に寄せられた消費生活相談件数というものが表示されております。

 これは、平成二十年度を一〇〇とした指数からわかるのですけれども、相談件数そのものは、昨今まで若干減少傾向にあります。ちょっと平成二十五年度にふえておるようですけれども、これはむしろ、消費者行政が功を奏した、一生懸命頑張って、相談窓口等の設置を多くしたりとか、一生懸命施策に取り組んだ結果、それを利用する方がふえたというふうなことが一つの要因かと私は考えております。

 また、いわば取引の形態というのも、例えば最近では、健康食品を勝手に送りつけてくるような商法であったりとか、また、インターネット取引というのも高度化していて、それに基づくような相談件数が若干ふえているという現象に基づく増加というふうなことかと思いますけれども、総じて減少傾向にあるのかなとも私は思っております。

 一方で、六十五歳以上の高齢者の相談件数というのが、平成二十年度を一〇〇としたところ、平成二十五年度で一六五・五という指数が出ている。高齢者人口そのものの指数を見てみると、一番右側なんですが、平成二十年度を一〇〇としたところで一一三という指数。すなわちこれは、高齢者の人口がふえていくのを超えて相談件数は増加しているということを物語っているわけでございます。

 そういう意味におきましても、国の消費者保護行政というのは、これから高齢者の活動に特化した形での施策というのもかなり中心的な役割になっていくのかな、そういうふうに私は思っているのです。

 そこで、まず、高齢者の消費者トラブルというものの内容を類型化したり、その情報を分析していったり、しっかり対策につなげていかなければならないのではないかと私は考えておりますけれども、その点、当局におきましてはどういうふうなお取り組み、お考えをお持ちなのかをお聞かせいただければと思います。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、高齢者の相談といいますのは、高齢者の人口の伸びを大きく上回るペースで増加しているところでございますが、高齢者の消費者被害の防止に当たりましては、その実態をしっかり分析する、これが第一歩でございます。私どもといたしましても、販売購入形態別あるいは商品別分類の傾向などその特性の分析も行っているところでございます。

 例えば、販売購入形態別に見ますと、高齢者の場合、訪問販売や電話勧誘販売の割合が大きいという傾向にございまして、訪問販売でいえば、二〇一三年度、六十五歳以上は一五・三%である一方、六十五歳未満ではこの数字が六・九%にとどまるという特徴がございます。

 また、御指摘いただきましたように、一人で暮らす高齢者の世帯数も増加しております。このような世帯では、周囲の目から隔離され、消費者トラブルに巻き込まれやすいというだけではなく、誰にも相談せず、問題を一人で抱え込む結果、問題が深刻化するという問題も指摘されているところでございます。

 このように、消費者被害の内容を類型化し、その情報を分析した上で対策につなげていくということは重要なことと考えているところでございまして、高齢者の消費者被害の防止に対しましては、例えば、そういう視点から消費者白書などで努力をし、また、法律、消費者安全法の改正なども行っていただいたところでございます。

 今後とも、消費生活相談の内容に応じた適切な注意喚起など、対象と内容に対応した取り組みを推進してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

吉田(宣)委員 丁寧な御答弁、本当にありがとうございます。

 さて、高齢者の消費活動の保護というものは、一口で申し上げまして、いろいろなケースというものが考えられるのではないかなというふうに思っております。

 例えば、消費活動を契約の観点から捉えるならば、取引時における保護対策であったりとか、また、法適用の場面における保護対策であったりとか、そういったものが考えられるのではないか。また、取引の目的の種類に応じた保護対策であったりとか、取引範疇から若干外れてしまうかもしれませんけれども、犯罪被害を受けてしまいそうな場面での保護であるとか、予防的保護とでもいっていいのでしょうか、そういったいろいろな保護があるのかなというふうに考えております。

 特に、もう何年も社会問題化している問題、振り込め詐欺やオレオレ詐欺というふうなものが随分問題化して、現在積年の課題になっているのかなというふうに思います。

 ちなみに、この振り込め詐欺というものを含めた特殊詐欺というものは、これはほとんどが電話をきっかけに実行行為が始まっているわけでございます。そこで、この電話自体をシャットアウトするような対策というものもやはり一つ考え得るのではないか。

 例えば、神奈川県の相模原市というところでは、迷惑電話チェッカー事業というものを実施しております。それが資料の二及び三になるわけですけれども、二については、仕組みについて、電話のシステムについて書いてありますが、主に市の取り組みとして概要が書いてあるのは資料三になります。ちょっとごらんいただければと思うんです。

 この施策は、我が公明党の県会議員が、振り込め詐欺被害の深刻な状況を捉えて、県警や地元相模原市の同じく公明党の市会議員と連携をとる中で、またその公明党市会議員が議会で質問として取り上げるなどして、公明党の連係プレーの中で実施が始まりましたモデル事業でございます。

 この事業は、消費者行政においても大変に私は参考になるのではないか。すなわち、オレオレ詐欺等の電話がかかってこなくなるということでございますので、非常に実効性もあるという意味では、大変に参考になるのではないかなと思うんです。

 その上で、今申し上げましたような切り口といいますか類型といいますか、取引時における保護や法適用の場面における保護、また、取引目的や、振り込め詐欺のような特殊詐欺からの保護など、消費者庁においてどのような対策を基本計画の中でお考えなのかを御教示いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきました相模原市の取り組みでございますが、これは、振り込め詐欺撲滅を目指した事業として、迷惑電話を色と音で警告しブロックする迷惑電話チェッカーという機器を貸与するものというふうに承知しております。これは、悪質電話による高齢者の消費者被害の防止の観点からも大変参考になるものと考えております。

 消費者庁といたしましては、いろいろな都道府県、市町村でさまざまな取り組みがなされておりますので、そうした先進的な取り組みをしっかり集めまして、他の自治体にも提供していくことに努めたいと考えております。

 また、ほかの取り組みでございますが、二十七年三月に消費者基本計画を閣議決定しております。この中で、高齢者の消費者被害防止の観点から、幾つかの施策を盛り込んでいるところでございます。

 まず、高齢化の進展など消費者を取り巻く環境の変化に対応を図るということから、幅広い商品、サービスを対象にした民事ルール等あるいは行政ルールである特定商取引法あるいは消費者契約法の見直しを行う、これが一つ目でございます。

 それから、消費者安全法に定められたものでございますが、高齢者等の地域の見守りのネットワーク、これを施行に向け構築し推進していくということ。

 それから三つ目でございますが、判断能力が不十分な者を保護、支援する成年後見制度、これを活用していく。

 それから四つ目といたしまして、高齢者向けの住まいに関するいろいろな問題がこれから出てくることと予想されますので、例えば老人福祉法に基づく届け出の促進など、こうした施策を盛り込んでいるところでございます。

 消費者庁だけでできるところではないものもございます。関係省庁とも連携しつつ、高齢者の消費者被害の防止に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

吉田(宣)委員 ありがとうございます。

 これまで公的な見地からの保護というふうな意味で質問をさせていただいて、非常に十分な答弁をいただけたものと思っております。

 公的な保護というほかにも、いわゆる共助という観点から、高齢者が居住する近隣地域にお住まいになる地域住民やNPO法人などの民間団体、また民間企業にも協力を要請し、高齢者の消費活動を保護できれば、これはますます高齢者の保護に資する施策となっていけるのではないかなというふうに思っております。

 この点、福岡県の大牟田市というところで高齢者等SOSネットワーク事業という取り組みが行われております。その資料がお手元にあります資料の四になりますけれども、ごらんいただければと思うんです。

 この高齢者等SOSネットワークというのは、認知症の高齢者が行方不明になったときに、家族が警察署や市を初め、消防署、公共交通機関、郵便局などのネットワークの加入団体に行方不明者の情報を発信して、各団体が捜索に協力する体制のことを言っております。

 そして、高齢者等SOSネットワーク機能を充実させるために、行方不明者を発見したときに声かけをしていただくことが大変重要になってくるんですけれども、なかなか、今のこの現代社会というのは、人と人とのきずなが薄くなっているといいますか、やはり相当意識をしないと、お年寄りが例えばふらふらと一人で歩いていても、何か少し気味が悪いなぐらいの感じで終わってしまうような、そういった世の中になってしまっているような気もするわけでございます。

 その点、この大牟田市では、年に一度、徘回模擬訓練というものを実施しているところに大変大きな特徴がございます。具体的には、資料四の方にも書いてありますけれども、昨年度の実績で、大牟田市の全体、全二十一小学校校区で約三千名が参加をして、お年寄りの徘回役が百七人、声かけをしてくださる役割の方を千五百人、かなり大規模な訓練を行っているというふうなところでございます。

 こういった訓練によって、人と人とのつながりというものが現実に太くなって、地域のつながりというものが密になることによって、悪質な訪問販売や詐欺被害など、そういったものに対する未然の防止にもつながるのではないか、資するところが大きいのではないかというふうに私は感じる次第でございます。

 そして、このSOSネットワーク運動も、これは我が党、公明党の市会議員が議員になる以前からずっと取り組んでいる施策でございまして、関係のNPOの、今ちょっと市会議員をやっておりますので外れておりますが、議員になる前から取り組んできたという意味では、我々公明党も大変積極的に力を入れてきた分野でもございます。

 このような地域共同型の高齢者見守り活動という事例は、国としても大いに参考にすべきだというふうに私は思うんですけれども、高齢消費者の保護行政の体制整備においても、この大牟田市のような地域共同型の取り組みというものを考えて、例えばシステムとして拡充するような施策が何かないかと思いまして、もしございましたら御教示をいただければと思います。

服部政府参考人 答弁させていただきます。

 今後、高齢化がより一層進行し、認知症の高齢者がますます増加することが見込まれる中で、認知症の方を含めた高齢者等の消費者被害に対応するためには、高齢者の皆様方等を地域社会全体で見守ることが極めて重要であると認識しているところでございます。

 昨年六月に成立しました改正消費者安全法におきましては、高齢者等の被害防止のためのいわゆる地域の見守りネットワークの構築を図ることとされております。私ども、今、この構築に向けて尽力しているところでございます。

 議員から御教示いただきました大牟田市でございますが、認知症高齢者の安全を確保するため、行政、民間の幅広い機関が連携して取り組んでおり、大変注目すべき取り組みであると認識しております。

 高齢者等の消費者被害を防止する際にも、先生御指摘ございました共助の観点から、高齢者等と日常的に接触のある、例えば病院や介護関係者、商店街、コンビニ、農協、宅配事業者、町内会、自治会、またNPOといった幅広い機関に参画していただき、先ほど申し上げました見守りネットワークを構築していくことが重要と考えております。

 御指摘いただきました大牟田市のような先進事例を参考にし、引き続き、地方消費者行政推進交付金を活用するなど、高齢者の消費者被害の防止に向けた見守りネットワークの構築に向けた各地の取り組みというものを支援してまいりたいと考えております。

吉田(宣)委員 大変に十分な御答弁、本当にありがとうございます。

 さて、高齢者の保護というのは、私は、今も申し上げてまいりましたが、今後の消費者行政におきましてはその中心的課題になってくるのではないかなというふうに確信をしております。

 少々私ごとになってしまいますが、私も一人母親がおりまして、熊本の荒尾市というところにひとり暮らしをしてもらっております。随分以前ですけれども、ひとり暮らしを始めてしばらくして、一式八十万という布団を買いました。すぐ近くに住む妹がびっくりして私に連絡をしてまいりまして、すぐクーリングオフをしたのですけれども。

 やはり、お年寄りというのは、特に私の実家というのは田舎でございますので、ふだんから性善説で生活をしているんですね。今でも多いのかもしれませんが、近所は家の鍵もかけずに生活をしています。出かけても、うちの母親も鍵をかけなかったりすることも多いんです。私も、こういうふうな危ない世の中だから、しっかり鍵をかけなさいと言って、ようやく最近は鍵をかけるようになってくれたんですけれども、そういったおおらかな地域でございます。

 そういった純朴な地域に住んでいるようなお年寄りをターゲットにして、狙い撃ちするといいますか何といいますか、犯罪被害に陥れるような悪い人たちも、残念ながらこの世にはいるのではないかなというふうに私は思いますし、そういった方がいる以上は、何とかそういった方からお年寄りの皆様を守っていかなければならない。それは、国家として、これから高齢化社会の中で大変大切な役割になってくるのではないかなというふうに思います。

 高齢者の相談件数というのが、高齢者の人口割合に比べても、それを超えた加速度的な勢いでふえていっている現状もございますので、そういった意味におきましては、私が先ほど紹介した相模原市や大牟田市の取り組みについて、山口大臣から、せっかくの機会でございますので、ぜひ、今までの質問を受けてどのような御感想をお持ちになられたかも含めまして、総括的なお話をお聞かせいただければとお願いいたします。

山口国務大臣 先ほど来吉田委員御指摘のとおり、これからもっともっと高齢のとりわけおひとり住まいの方々がふえていくわけでありまして、しかも、実は私の地元も、ほとんど皆さん鍵をかけておりません。そういった御高齢の皆さん方あるいは地域の住民の皆さん方のおおらかな気持ちというんですか、性善説、そういったところにつけ込んでの犯罪というのは、本当に許しがたい話であろうと思っております。

 これまでも、いろいろな形で注意喚起等々やってきておるわけですが、いかんせん、なかなか減らないというか、むしろ増加傾向にあるというのは非常に歯がゆい思いがするわけであります。

 ただいま、委員から御指摘をいろいろいただきました地方公共団体、とりわけ相模原市とか大牟田市、この迷惑電話チェッカーみたいなものもさらにバージョンアップもできると思うので、そこら辺も、我々としてもいろいろとお力添えもさせていただきたいし、同時に、しっかりとそういったことも参考にしながら、さっきも参考人から答弁を申し上げましたけれども、地域の見守り、そういったことを通じながら、適切なさらなる注意喚起、あるいは関連する制度の見直しなどの取り組み、これに積極的に努めてまいりたい、そして、高齢者の皆さん方が安心して暮らせる社会を築くように努力を重ねていきたいと考えております。

吉田(宣)委員 力強い答弁を本当にありがとうございます。

 繰り返しになりますけれども、高齢者の保護というものがやはり施策の中心になってくると私は考えてもおりますし、先ほど申し上げた私の母も、幸いなことに、地域の皆様に支えてもらって、ことし七十五歳で後期高齢者医療制度に仲間入りをするわけですけれども、元気に暮らさせていただいております。そういったお年寄りの方が、たとえ一人で暮らしていても、自分が住みなれた地域で安心して安全に暮らしていけるような町づくりというものが大切になってくるかと思います。私も、そういった地域づくりにしっかり力を尽くしていきたいとも思っておりますし、また、そのことをお誓い申し上げたいと思います。

 少々時間は早うございますけれども、以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 民主党の大西健介でございます。

 きょうは、所信質疑ということですので、冒頭、大臣の政治資金についても一問お聞きをしたいというふうに思います。

 お手元に資料を配らせていただいていますが、消費者の信頼を大きく揺るがした事件として、二〇〇八年に、中国産のウナギかば焼きを愛知県三河一色産と偽装して販売したという事件がありました。

 ちなみに、この一色というのは、我が党の中根委員の地元でもありますし、今はいらっしゃいませんが、重徳理事の地元でもある一色であります。

 この新聞記事にもありますように、産地偽装を主導したウナギ輸入販売会社魚秀、そして水産卸売業神港魚類、これに加えて、魚秀の親会社である徳島魚市場も不正競争防止法違反容疑で書類送検をされております。

 この記事の裏面を見ていただきたいんですけれども、これは、大臣が代表を務める自由民主党徳島県第二選挙区支部、平成二十五年分の収支報告書の抜粋であります。印をつけてあります四つの会社、今お話をしました徳島魚市場株式会社を含む、いずれも吉本隆一氏が代表を務める四つの会社から二十万円ずつ、合計八十万円の寄附を受けられています。先ほどの記事の中にも吉本氏の発言等が引用されていますけれども、献金の状況を見ると、吉本氏と山口大臣は親しい関係にあるのかなというふうにも推察されるわけであります。

 かなり時間がたっておりますけれども、現在食品表示の責任者である山口大臣と、かつて大規模な産地偽装事件を起こした関係者の関係、これは、消費者から見ると不安を感じるところがあると言わざるを得ないというふうに私は思います。

 そこで、大臣にお尋ねしますけれども、大臣は、この中国産ウナギかば焼き産地偽装事件のことを知った上で寄附を受けられたのか、もし知った上でということであれば、ためらい等はなかったのか、この点についてお答えいただきたいと思います。

山口国務大臣 当然、知った上でということはあり得ないわけでございまして、大西委員から質問の通告をいただいて、過去に消費者の不信を招くような寄附を受け取ったことがあるかというふうなことで、実は昨晩、胸に手を当てながらいろいろ考えてみたわけでありますが、それぞれ、その時々で最善の措置をしてきた。

 この件につきましても、今委員から御指摘いただきましたように、実は私も、古い仲間といいますか、私が県会議員のころからのおつき合いでございまして、大変いい方でございまして、本当にこの事件が発覚をしたときには驚きました。ただ、私も大変信頼しておった方でございますので、当時、弁護士の方にもお話をお伺いしたりして、弁護士の方のお話では、貸しておった、管理不行き届きということはあるんだけれどもというふうなお話もございました。

 そういったことで、判決が出るまでは私はじっとしておったわけでありますが、判決が出て、当然、法的には問題はないというふうなことは理解をしておったんですが、やはり政治家として襟を正すべきであろうということで、当時、お返しをさせていただいたということがございました。

 いずれにしても、消費者の皆さん方の不信を招かないように、まさに大西委員の御指摘を受けまして、拳々服膺、これからもしっかりやっていきたいと思っております。

大西(健)委員 法的には問題もありませんし、少し時間がたっていることですので、私もこれ以上申し上げたくはないと思いますけれども、消費者行政の責任者として今後も気をつけていただきたいということだけ申し上げておきたいと思います。

 次に、商品先物取引の不招請勧誘禁止の緩和についてお聞きしたいと思います。

 そもそも、二〇一一年にこの先物取引の訪問や電話による勧誘を法律で禁止したのは、一九九〇年代から、商品先物取引事業者から一般消費者に対して熱心な勧誘が行われるようになり、取引にふなれな消費者が多くの損失を出して、深刻な消費者被害が広がった。当時は、もう不招請勧誘を禁止するよりほかに方法がないんだろうというのが共通認識で、これは議員立法でこういうことが行われたということであります。

 そもそも、先物取引のような投機性の高いハイリスクな取引というのは、プロ投資家が情報を収集して、これならと狙いを定めてやるような、そういう性質のものであって、私は、一般消費者が勧誘されたからといって参加をすべき性質のものではないというふうに思います。ですから、今回、市場活性化だといって、取引にふなれな一般市民をプロの世界に引き込む、そのこと自体がそもそも私は必要がないんじゃないかと思っております。

 そこで、大臣にお聞きしたいと思いますけれども、例えば大臣のお子さんとか奥様が商品先物取引をやりたいんだけれどもと言われたら、大臣はどうされますか。賛成されますか。

山口国務大臣 お問いかけのお話でございますが、実は私もやったことはございません。しかも、六十五歳が来ておりますので、今回のさまざまな基準から除外をされると思いますが、当然、家内とか娘、もしそういう話があったら、私は個人的にやったことがありませんので、やめておけと言うだろうと思います。

大西(健)委員 大臣から率直な御答弁をいただいたと思います。私も、もし家内が、先物取引の勧誘があったのでやろうと思うんだけれどもと言ったら、反対します。ですから、大臣もやられたことはないということですけれども、私もやったことはありませんし、まさにそういうことだと思うんですよね。こういう先物取引というのは、投資のプロみたいな人がやるものであって、一般の人を電話で誘い入れてやるものじゃないと私は思うんです。

 ですから、市場活性化だといって、今回、そういう投資とかこういう取引にふなれな一般市民をそこに誘い込むというのは、少なくともこの消費者特別委員会、消費者保護を目的とする消費者庁の立場からは強く反対をしていただきたいというふうに私は思っております。

 そして、今大臣から六十五歳云々という話がありましたけれども、この部分についても私は問題があると思っていまして、勧誘と説明、どこが違うんだ、勧誘と説明の違いということについて、次にお聞きしていきたいと思うんです。

 経産省は、監督指針では契約を目的とした一切の行為が勧誘と定義されている、こう言っているんですね。今回やろうとしていることでも、その定義は変えないんだ、ですから契約を目的とした一切の行為は勧誘なんだと。では、今回省令でつけ加えたのは何かというと、勧誘の意思を確認すると同時に、業者が顧客と契約を結べる条件を説明して確認すること。ですから、契約を目的とした一切の行為は勧誘と言いながら、その前段階として、勧誘の意思を確認すると同時に、業者が顧客と契約を結べる条件を説明して確認するということを省令でつけ加えているというんですね。その条件の中に、例えば、今大臣が言われた六十五歳云々という話があるわけです。しかし、現実には、勧誘と説明を線引きするのは私は難しいと思っています。

 例えば、業者が顧客と契約を結べる条件を説明して確認することが可能になれば、業者は、無差別に電話や訪問をして、あなたは六十五歳ですか、六十五歳未満ですか、どうですかということを、電話、勧誘できることになっちゃうんです。その際に、先物取引とは何かということを説明する機会ができてしまいます。必ずもうかる取引ですなどという言葉を織りまぜながら先物取引の紹介をすることは、勧誘の始まりにほかならないんです。例えば、六十五歳以上ですか、六十五歳未満ですかと聞いたら、もし相手が、私は六十五歳以上ですと言われた場合には、では、もしこれ以上この話を聞きたければ、自分から勧誘を希望してくださいと差し向ければいいんです。

 だから、結局、何が言いたいかというと、さっきの迷惑電話チェッカーでしたか、あの話もありましたけれども、不招請勧誘禁止の核心部分、ポイントというのは、業者と消費者を直接話をさせないということ、これに尽きるんですよ。ですから、ここを緩和してしまったら何の意味もないというふうに私は思っています。

 この点、説明と勧誘行為が一体的に行われる可能性が高い以上、今回行われようとしていることは、不招請勧誘禁止の例外を定めるということじゃないんです。そうじゃなくて、不招請勧誘一般を解禁した上で適合性要件の具備の確認や説明義務の履行をさせるものであって、まさに、省令で法律の例外を定めるんじゃなくて、省令によって法律の規定を骨抜きにするという、私は、これはもう違法な行為だというふうに思っています。

 勧誘と説明の線引きが実際に難しいこと、その結果、不招請勧誘の法律上の禁止規定を省令でもって実質的になきものにするというこの違法性について、大臣の御見解をお願いします。

山口国務大臣 先ほど、私はやりませんし、家内も娘も、相談があったら、やらない方がいいというふうに申し上げたわけでありますが、また同時に、やはり市場の活性化のためには、事業者等のプロだけではなくて、さまざまな主体が市場に参加できるというふうなことも一方においてあるんだろうと思います。ただ同時に、それが野方図にやられることはあってはならないというふうなことで、今回、例外規定として、さまざまな条件をつけながら認めていくわけであります。

 お話しの勧誘についてでありますが、経済産業省及び農林水産省の商品先物取引業者等の監督の基本的な指針、監督指針におきましては、「商品取引契約の締結又は契約締結後の個々の取引の委託等の意思形成に影響を与える程度に商品デリバティブ取引を勧める行為」というふうにされておるわけでありますけれども、説明につきましては、勧誘に当たらない一般的な説明を指すものというふうに理解をしておるわけであります。

 今回の見直しにつきましては、事業者は、勧誘を行う前に、勧誘が認められる基準の説明とか、あるいは勧誘を受ける意思があるかの確認をするというふうなことが義務づけられておりまして、この定められた説明を行わない、基準を満たさないことが判明をした者に勧誘を行うといったことは法令違反になるというふうなことで、今回の場合、法律の規制を骨抜きにするものではないというふうに理解をいたしております。

大西(健)委員 先ほども御指摘しましたけれども、例えば、これでもう電話がかけられちゃうんです、訪問することができちゃうんです。六十五歳未満ですかどうですかと聞いて、六十五歳以上だった場合には、では今度は、もしこれ以上聞きたかったら、そちらから言ってくださいというふうにしむければいいんです。

 ですから、さっきも言いましたけれども、電話をさせない、そういう悪質な業者と接触させないことにこの規制の意味があるんですよ。そのために、これしかもう方法がない、余りにも消費者被害が広がって、これしか方法がないというから、二〇一一年にこれをつくったのに、解禁してしまったら、結局は、まさに大臣が言われたように、野方図な勧誘にいってしまうんじゃないか。それから、やはり、例外を定めるんじゃなくて、これでは、省令で法律を変えるようなものなんです。それ自体が、日弁連を初めとする多くの法律の専門家の皆さんが問題視をしているということを改めて主張しておきたいというふうに思います。

 ちょっと時間がありませんので、次の、ノンアルコールビールの特保認可についてお聞きをしたいと思います。

 ノンアルコールビールは、ビールとはいっていますけれども、アルコールが含まれていない以上は清涼飲料水である。しかしながら、アルコールの入り口になりかねない危険があるために、年齢確認をしなければならないという売り方をしている。そもそも、そこまでしなきゃいけないものになぜ特保のお墨つきをわざわざ国が与えてあげなきゃいけないのかというのが私の正直な感想です。

 ただ、それはきょうはおいておいて、その前段階として、今回、そもそも、諮問の範囲について、消費者庁と消費者委員会の間に見解の相違があったんじゃないか。

 消費者委員会が、ノンアルコールビールについて、国民や消費者全体に対して食生活の改善が図られ、健康の維持増進に寄与することが期待できるものではないと判断したのに対して、当初消費者庁は何と言ったかというと、機能や安全性について客観的に検討してもらうというのが諮問の趣旨であって、健康の維持増進なんということは消費者委員会に判断をお願いしていないんだ、消費者委員会が余計なことを言ってきているんだ、こういう言い方をしたんです。しかし、後になって、消費者庁の川口次長が、消費者委員会の審議すべき範囲を制限するものではないと説明をされました。私は、川口次長の説明が正しいというふうに思っています。

 まさに、最初の消費者庁の、消費者委員会は聞いていない余計なことを言ってきたんだという説明は非常に問題があって、私は、改めて消費者委員会の専門家の皆さんに消費者庁として謝罪すべきじゃないかと思いますし、この範囲について制限を加えるものではなかったということを改めて大臣に確認したいと思います。

山口国務大臣 お話しのとおりでありますが、今回、もう御案内のとおり、いわゆる安全性及び効果について消費者委員会の方にお願いをしたわけでありますが、当然、消費者委員会としては、いろいろな議論、いろいろなお考え方があろうと思います。

 ですから、そういったいわゆる安全性及び効果以外に、例えば、今回の答申にもありますように、飲酒を誘引するおそれがある云々、これはもう委員会としては当然の御判断であろうし、それをどう判断して、特保として認定をするかどうかというのは、これはまた消費者庁の問題でありますので、そういうふうな整理でやっておったものだと理解をしております。

大西(健)委員 だから、最初の消費者庁の説明は、聞いていないことに消費者委員会が答えている、余計なことをするなみたいなことを言われていたんです。これは私はひどいというふうに思います。本来は謝罪をすべきだというふうに思いますけれども、改めてそのことは強く申し上げておきたいというふうに思います。

 もう一つ。今、結果として、今回のように専門家としての消費者委員会の判断と消費者庁の最終的な判断がずれてしまった。これは、できればずれない方が私もいいと思いますけれども、では絶対にずれないかというと、時にはずれることもあるんだろうと思います。そのときにどうするかということなんです。

 消費者委員会が専門家の立場からいろいろ意見を言っても全く無視されるというのだったら、これは、消費者委員会の存在意義自体がなくなってしまいます。そこで、今回のように、消費者庁が最終的に消費者委員会の判断と違う結論を出そうというときには、皆さんからはそういう判断をいただきましたけれども、こうこうこういう理由で違った判断をしますよということをもう一度消費者委員会に説明して理解を求めるというような、こういった丁寧な手続が必要なんじゃないかというふうに私は思います。

 今回のように消費者委員会と消費者庁の最終判断がずれる場合の手続のあり方について、大臣の御答弁をいただきたいと思います。

山口国務大臣 特保の審査における消費者委員会等への意見聴取、これは、許可に必要な科学的知見を補完するというふうな趣旨でありますが、消費者委員会等における安全性及び効果の判断と、消費者庁長官による許可基準に合致をしているかどうかの判断、これにつきましては、主体の異なる独立した判断というふうなことになる、これはもう先生御案内のとおりであります。

 ただ、一般論として、いわゆる諮問機関の答申というのは、処分庁の判断を法的には拘束するものではありません。しかし、処分庁は答申の趣旨を尊重して処分すべきものというふうにされておるわけでございまして、今回も、御指摘のとおりの中身でありますが、消費者庁において、食品安全委員会及び消費者委員会の答申の趣旨をしっかり踏まえ、これを尊重して、健康増進法に基づく許可処分を行うということが一般論としては適当なんだろうと思います。

大西(健)委員 私は、より丁寧に、違った場合にはもう一度、違った判断をすることになりますけれども、こうこうこういう理由ですというのを説明されるようにするべきではないかというふうに思います。法的には大臣の御答弁のとおりだと思いますが、そうしなければ、幾らいろいろ言っても完全に無視されるということがあったら、委員会の存在意義というのはなくなってしまいますので、今回のことを教訓に、ぜひ今後、やり方を私は改めていただきたいというふうに思います。

 きょうは本当に限られた時間でありましたけれども、お話をお聞きした先物取引の不招請勧誘の話であったり、このノンアルコールビールの特保認可の話であったり、あるいは、先ほど来出ている機能性食品の新たな表示の問題あるいは詐欺的商法の問題、消費者委員会が所管している事項というのはさまざまな課題を抱えておりますので、今国会は法案はありませんけれども、ぜひこの国会の場でまた大臣と議論をさせていただきたいと思います。

 時間になりました。終わらせていただきます。ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、中根康浩君。

中根(康)委員 民主党の中根康浩でございます。

 二十分間与えていただきました。

 今、大西委員からも取り上げていただきました、先物取引の不招請勧誘の問題について議論をしていきたいと思います。

 改めて言うまでもないんですが、現在は、商品先物取引において、自社と継続的取引関係にある顧客に限って許容されている不招請勧誘を、年齢、資力等一定の要件を設けて、他社との契約者や先物取引未経験者にも認める省令の改定が本年一月二十三日に公布され、もう間もなく、六月一日から施行されることになっているということでございますが、私は、今、大西委員もいろいろと問題視をされた点を踏まえて、この省令の改正というものは六月一日から施行すべきではないというふうにも思っておるところでございます。

 そもそも、商品先物取引法では、顧客の適合性の確認を含む商品取引契約の一切の行為を勧誘と定義づけていて、顧客の適合性確認のために電話をかけたり訪問したりすることは不招請勧誘として法律で禁止されている、大西委員が指摘したとおりであります。これを省令で緩和することは、法を逸脱したものであり、違法な省令であるということになるのではないかと問題意識を持っております。

 これについて、私、四月一日に経済産業委員会で宮沢大臣と質疑をいたしました。その際に、宮沢経済産業大臣はこのように述べておられます。「法律的に問題ではないかという話につきましては、申し上げたとおり、しっかりと内閣法制局で審査を受けておりまして、法律的な問題は一切ないということは申し上げられると思っております。」という御答弁であったわけでありますが、改めて、その後、いろいろと聞いてみますと、内閣法制局設置法というものがあって、その三条に規定されている内閣法制局の所掌事務というものには、政令案の審査は含まれているということでありますけれども、省令案の審査は含まれていないというようになっているということでございます。

 宮沢大臣が四月一日に、この省令について、内閣法制局の審査を受けておりますという御答弁をされたことというのは、これはどうも事実であるかどうかが疑わしいということであろうと思いますけれども、事実関係を具体的に説明していただけないでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えさせていただきます。

 四月一日の衆議院経済産業委員会におきまして、委員から不招請勧誘規制について、法律で禁止したことを省令で例外を定めることの是非についてお尋ねがあったということだと承知しております。

 御案内のとおり、法律の条文の中で、「委託者等の保護に欠け、又は取引の公正を害するおそれのない行為として主務省令で定める行為を除く。」ということで、法律の適用除外を省令で定める旨、法律で規定されております。このように、省令で不招請勧誘規制の例外を認めることにつきまして法律で明示されておりまして、こうした点について内閣法制局の審査を受けたということだと理解をしております。

 四月一日の御指摘の宮沢大臣の御答弁は、この旨を御答弁されたものだというふうに考えております。

中根(康)委員 ちょっと難しい御答弁で、すぐには理解できないんですけれども。

 つまりは、内閣法制局設置法というもので規定されている所掌事務にないことも、必要に応じてといいますか、時には審査を求めることもあるということなんですか。今回はそれに当てはまったということですか。当てはまったというか、そういうことをしたということですか。

佐々木政府参考人 お答えさせていただきます。

 省令の規定につきましては、所管省庁において審査を行って決定するものでございます。

 今回につきましても、この省令の所管省庁でございます経済産業省と農林水産省の方で原案を作成いたしまして、その上で消費者庁等と相当慎重な調整を行いました上で、重層的な顧客保護の仕組みを設けさせていただきました。

 法律の委任の範囲の省令であるということでございまして、省令自身について法制局の審査ということは受けておりません。

中根(康)委員 では、四月一日に宮沢経済産業大臣が、しっかりと内閣法制局で審査を受けておりまして、法律的な問題は一切ないというふうに御答弁をされておられるんですが、宮沢大臣はこれは答弁を間違えた、事実誤認をしたということですよね。省令については内閣法制局の審査を受ける必要はないんですが、大臣は、この四月一日、内閣法制局で審査を受けておりましてと答弁をされて、我々を納得させた、説得した、こういうことであるんです。

 繰り返しになりますけれども、法制局の審査を受けた事実はないということであれば、大臣の四月一日の御答弁は訂正をしていただかなくてはいけないということになりますけれども、これはどなたがお答えいただけるでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えさせていただきます。

 大臣の方は、法律の中で省令でこの例外を定める旨を規定している、この法律につきまして法制局の審査を受けたというふうに御答弁されたものと理解しております。

中根(康)委員 私と宮沢大臣との議論だったものですから、私が質問したことは、この省令について違法ではないか、省令で法律を逸脱する、乗り越えることはおかしいのではないかという文脈の中でお答えになった大臣の答弁が、違法ではありませんよ、省令については法制局のチェックもちゃんと受けていますよ、こういうことだったわけで、この省令について法制局のチェックを受けたという文脈の中でのお話なんですよ。

 しかし、後でよく調べてみると、法制局の所掌事務の中に省令についての審査は含まれていないということでありますので、含まれていないことを法制局が普通やるわけがないわけで、やはりこれは、別に大臣が悪意を持ったとか、悪意とか善意とかそういうことではなくて、事実誤認があったということについては認めていただいて、答弁の訂正をしていただかなくては後でおかしなことになっちゃいますよ。法制局がやらなくてもいいことをやったということが残ってしまいますので。

佐々木政府参考人 お答えさせていただきます。

 大臣は、法律について法制局の審査を受けたというふうに答弁されたものでございまして、省令について審査を受けたということで答弁されたということではないと理解しております。

中根(康)委員 だけれども、もう少し前を読み上げますと、「最初からお話がありました、法律的に問題ではないかという話につきましては、」つまり、行間をつけ加えれば、この省令が法律的に問題ではないかという話につきましてはということなんですね。大臣の御答弁を続けると、申し上げたとおり、法制局の審査を受けておりましてということになりますので、普通これを読み取ると、省令について法制局の審査を受けておりましてということになるし、そのときには、私もそういうふうに受けとめて、なるほどと、この議論をおさめたわけなんです。

 だから、法律を法制局のチェックを受けているというふうには、あのときの文脈でいえば、とてもおかしな話で、省令についておっしゃったわけでありまして、これは……(発言する者あり)大臣とやってくれという話になりますか。では、大臣に答弁の訂正をお勧めされた方がいいと思いますよ。

 繰り返しの答弁になりますか。

佐々木政府参考人 お答えさせていただきます。

 大臣の方は、御答弁させていただいた中で、「そういうことで、法律に根拠のある省令でございます。」という御答弁をされたというふうに承知しておりまして、省令自身について法制局で審査を受けたというふうには答弁させていただいていないというふうに理解しております。

中根(康)委員 ちょっと納得できない御答弁なんですが、またいずれ議論させていただくということで、経産委員会に私は所属をしておりますので、また大臣に聞いてみたいと思いますが、これは訂正の必要があると思います。恐らく大臣は省令について言及をされた御答弁だと思います。

 もう一つ、この省令について、附則二条二項というのがあるんですけれども、「主務大臣は、この省令の施行後、商品先物取引業者又は商品先物取引仲介業者による勧誘の実態が著しく委託者の保護に欠ける状況にあると認めるときは、前項の規定にかかわらず、速やかに所要の措置を講ずるもの」という附則があるんですね。

 ここで確認したいのは、委託者の保護に欠ける状況というのはどういうものを指すのかということを確認したいと思います。

山口国務大臣 当然、今回の省令の改正におきまして、いわゆる消費者保護の観点から重層的ないろいろな措置をしておるわけですが、ハイリスク取引の未経験者への勧誘につきましては、年齢とか収入あるいは資産等の基準によって勧誘できる対象を限定したり、取引のリスクを理解しているかをテストで確認するとか、あるいは収入、資産等に応じた投資上のいわゆる上限額を設定する、こういった仕組みを盛り込んでおるわけであります。そういったことに反するとか、あるいは、それ以外に、当初我々が考えておったより以上にしっかりルールが守られておらない等々のことが出た場合に措置をするというふうなことであろうと思います。

中根(康)委員 もう一つ確認をしたいんですが、おそれがある。大臣も四月一日にもこのように答弁されておるんです、委託者保護に欠け、または取引の公正を害するおそれのない行為については不招請勧誘禁止の対象外だということをおっしゃっておられるんですが、言い方をかえると、おそれがあれば許容されないということになるわけで、今回の省令改定によって不招請勧誘が解禁をされた結果、例えば一件でも二件でも委託者保護に欠ける事案が発生した場合は、この附則二条の二項の要件を満たすということになって、速やかに所要の措置を講ずるものということになるのかどうかということを確認したいと思いますが、いかがでしょうか。

山口国務大臣 今回、こうしたさまざまな顧客保護をしっかり機能させていくというふうなことが大変重要でありまして、当然、主務省、これは経産省と農水省でありますが、これにおいて、全外務員への研修とか、あるいは事業者に対する重点検査、監督検査をしっかり行ってもらうというふうなことであります。

 もともと、施行一年後をめどに実施状況を確認して、必要に応じて見直すというふうなことになっておりますが、ただ、今御指摘いただきましたように、顧客保護という部分に著しく欠ける状況、これがあった場合には、一年を待たずして速やかに所要の措置を講ずるというふうなことであります。

 ですから、著しく欠けた状況、これをどう判断するかにかかってくると思いますが、そのときの状況に応じてしっかりとした判断をするように努めていきたいと思います。

中根(康)委員 もう一つ確認をしたいと思います。

 不招請勧誘の解禁というのは、消費者保護を置き去りにして商品先物取引市場の拡大を目指すものであって、ある意味本末転倒の省令改正であるという今までの議論を含めて、踏まえてと言ってもいいかもしれませんけれども、今大臣もお話をされましたこの所要の措置ということの中には、委託者保護に欠けるいろいろな被害が生じた場合には、六月一日から始まる省令について廃止をするということも含めたものと考えてよろしいでしょうか。いかがでしょう。

山口国務大臣 まずその前に、この施行後の状況等については、これは経済産業省あるいは農林水産省の方から消費者庁の方にも報告をしてもらうというふうなことにもしておりますし、消費者庁としても、センター等への相談の状況、これをしっかり注視して、問題が生じておれば、経産省、農水省に申し入れを行うというふうなことになるわけであります。

 そのときの状況を判断し、やはり主務省とさらに相談をさせていただくというふうなことになりますが、どういう部分が欠けておったのかとか、こういったところがないがしろにされた、スキーム全体の中で、そこら辺の分析もしっかりして対応していくというふうなことになろうかと思います。

中根(康)委員 もう一度確認したいと思います。

 所要の措置の中には、今回の省令の改正の廃止を含むかどうか、含む可能性があるかどうか。いかがでしょうか。

山口国務大臣 先ほどもお答えをしましたように、やはりこれはいろいろな段階、いろいろなケースがあると思うんですね。その中で判断をしていくことになりますが、スキーム全体がこれはもう機能しないというふうなことになった場合には、先生のおっしゃるような部分も当然最終的には含まれていく可能性はあるんだろうと思います。

中根(康)委員 先物取引における消費者被害が拡大をして、再勧誘の禁止であるとかいろいろと行われて、それでもなおかつ被害がまだまだ根絶できない。それで、二〇一一年にこの不招請勧誘の禁止というものが導入をされた。それまでも、いろいろな規制によって被害は減りつつあった。そして、ある意味、最後の決定打としてこの不招請勧誘の禁止が導入をされた。この立法意思というものは尊重をされなければならないわけであります。

 僕は、先物取引市場の規模の拡大というものを否定しているわけじゃありません、これは否定しているわけじゃありませんけれども、消費者保護を目的とした法律やあるいは省令というものを、商品先物市場の拡大という全く違った目的のために改定することがおかしいということを申し上げているわけであります。

 消費者担当大臣として、大臣、この先物市場拡大のために消費者保護が置き去りにされるということについて、もう一度御答弁いただけないでしょうか。

山口国務大臣 当然、先物取引の市場を活性化するために消費者の利益あるいは安全というものが脅かされる、これはあってはならないことでありますので、私としては、そういった立場から、少なくとも、今回つくってきたスキームがしっかり守られるように注視をしていきたいし、当然、主務省の方にはその都度お話を申し上げていって、まずは消費者の立場からしっかりと取り組んでいくというふうなことに尽きると思います。

中根(康)委員 今回、この案件につきましては、経済産業省、農林水産省あるいは消費者庁と、ある意味うまく連携がとれたと自己評価をされておられると思いますけれども、私は、消費者庁の役割というか存在感が問われるようなものであるということは申し上げなければならないと思っております。

 消費者庁が消費者保護、消費者目線で行政に取り組んでいくということをさらに期待しながら、この省令については、六月一日、施行されるべきではないということを改めて申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 民主党の中島克仁です。

 消費者特別委員会に所属するのも初めてでございまして、質問ももちろん初めてとなります。

 本日は、大臣所信に対する質疑ということでございます。私からも質問させていただきますが、初めてということで、まず、山口大臣、所信において、消費者庁、消費者問題をめぐるさまざまな課題、取り組みについて述べられておられましたが、改めて消費者庁の理念というか、大臣が最も、これが最大の目標なんだ、これを果たすために消費者庁があるんだといったことは何なのか、冒頭にお尋ねをさせていただきたいと思います。

山口国務大臣 消費者庁の創設時の理念というものは、消費者を主役とする政府のかじ取り役として、消費者の不安と不信を招いた個々の事件への政府全体の対応能力の向上を目指すのみならず、明治以来の日本の政府機能の見直しを目指すというふうなものでございました。すなわち、各府省庁縦割りの仕組みの中で、事業者優先の発想のもとで行われてきた過去の国の行政、これを改めて、消費者、生活者が主役となる社会を実現する、まさに国民本位の行政に転換をするための拠点になる、これを期待されていたものというふうに認識しております。

 今お話がございましたように、消費者の生命身体の安全、安心の確保、これは消費者行政の最重要分野でございまして、まさに消費者庁設立の理念の根幹をなすものと考えておるわけでございます。今申し上げました創設時の基本理念、これを常に念頭に置きながら、国民お一人お一人の安全で安心な暮らしに貢献できる消費者行政を目指して、全力で取り組んでまいりたいという思いでございます。

中島委員 大臣がお答えになっていただいたように、私もやはり、今のお答えの中で、消費者保護と安心、安全な環境の整備、そういったことが第一の目標、その結果、頂点に来るのは、やはり消費者である国民の健康そして命を守るというところが最大の、一番目に来るべきだと思います。

 そんな中で、消費者問題を取り巻く環境というのは本当に多岐にわたってきていて、所管の省庁も多岐にまたがるということも多くて、課題等に根本から取り組むのも大変難しい部分もあるかと思いますが、先ほどから申し上げているように、私も、職業は医者でございまして、国民の健康と命を守るということをしっかりと旗印として、各省との連携は当然のことながら、リーダーシップを発揮して取り組んでいただきたい。大臣にも今そのようにお答えをいただきましたので、私も、本日そのような観点から御質問させていただきたいというふうに思います。

 私からは、まず、危険ドラッグの今までの取り組みと今後の課題等について御質問をさせていただきたいと思います。

 これも、大臣も御承知のとおりだと思います。昨年の六月に、当時脱法ドラッグと呼ばれておりましたが、六月の末に池袋で、脱法ドラッグ、脱法ハーブですね、吸引直後に死傷事件が起きた。もちろんその前から事件は続いておったわけですが、そのことも境に、その後も死傷事件が相次いだということで、危険ドラッグというふうに改名をされました。

 私も、その池袋の事件があった直後、池袋の現場へ行きました。そして、直前に吸引をされたという店にも行ってきたわけですが、もう既に閉まっておりました。

 その後も、池袋、そして上野とか、当時たくさんあったと言われている危険ドラッグ店、何店か行ってまいりました。そうしますと、大学、学校の目の前に危険ドラッグ店が、堂々と店頭に置かれていたりとか、そして、私の地元山梨ではございますが、山梨にも何軒かあった。そして、ネットを調べると、いつでもどこでも手に入るような、これに大変危機感を感じました。

 閉会中ではあったわけですが、当時、厚生労働委員会閉中審査も行い、そして、昨年の臨時国会では、議員立法として、危険ドラッグ禁止法とも呼べる薬事法の改正が行われたということで、今までの経緯であります。

 そして、恐らく、薬事法の改正から、これは厚生労働だけではなくて、警察庁そして消費者庁としても、さまざまな取り組みの中で成果も出ているのではないのかな、それが今の現状ではないかなというふうに思います。

 私の地元の精神科の病院に行って、昨年の夏から秋にかけては、本当にこの危険ドラッグは大変なんだ、救急搬送で運ばれる方も非常に多く、また、何物かよくわからない、その治療をどうしたらいいのかわからないという悲鳴のような声も聞いておったわけですが、先月、その精神科の病院へ行きましたら、救急搬送による患者さんは大分減っている、昨年からのさまざまな取り組みが非常に、現場では効果が示されているんじゃないかなということも話を聞きました。

 ただ、一方で、危険ドラッグの一つの特徴でもございます依存性、そして常習性、これだけ蔓延した危険ドラッグが本当に陰に潜んでしまうのか、一旦影を潜めてしまっただけなんじゃないか、また再燃するんじゃないかということも非常に危惧されています。

 先ほども言ったように、薬事法の改正から、消費者庁としても取り組まれて、一定の効果は現状では出ているところだとは思いますが、現在の取り組み状況と課題といったところについてどういう御認識をされているか、お尋ねをいたします。

山口国務大臣 中島先生御指摘のとおり、危険ドラッグ、当初は脱法ハーブという何となくイメージがいい名前で通っておったわけですが、これはゆゆしき事態であろうと思っております。まさに、これは人生を破滅させ、同時に、非常に多くの巻き添えも生じる可能性があるわけで、その乱用はもう絶対に許さないということを、私どもとしても、国民の皆さん方に正しく御認識いただいて、これを根づかせていくというふうなことが大変重要であろうと思っております。

 政府としては、昨年の七月に危険ドラッグの乱用の根絶のための緊急対策を取りまとめて、啓発強化、あるいは取り締まりの徹底、規制のあり方の見直しに取り組んできておるところでございます。

 消費者庁としても、この緊急対策に基づきまして、消費者に対する危険ドラッグの危険性に関する啓発とか、関係機関のさまざまな相談窓口を周知するとか、あるいは、平成二十六年の八月でありますが、危険ドラッグの通信販売サイトのうち、特定商取引法上のいわゆる表示義務に違反をしておるおそれのある七十七のサイトの運営業者に対しまして、表示の是正を要請いたしました。

 そのうち、平成二十六年十二月までに、六十三のサイトが閉鎖をして、三つのサイトが通信販売を中止、六つのサイトについては表示が是正をされたところであります。

 ただ、表示が是正をされなかった五つのサイトがございますが、これに対しましては、平成二十七年三月二十四日に行政処分を行ったところでございます。

 今後とも、関係省庁と連携をしながら、この危険ドラッグ対策にはしっかりと取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

中島委員 危険ドラッグに対する緊急対策によって、所管それぞれ取り組みがあったと思いますが、今お答えになっていただいたように、消費者庁としては、通信販売サイトの特定商取引法上の表示義務違反の取り締まりが中心だったのではないかというふうに思います。

 これは、主に通信販売業者を対象に、事業者名や所在地の住所など、特定商取引法に定める通信販売の広告に係る表示義務に対する取り締まりの強化ということだと思いますし、先ほど大臣からも答弁いただきましたように、昨年の十二月にその通告をされたというふうになっております。

 この件に関して、昨年の臨時国会、維新の党の井坂議員が、特定商取引法について、住所が不明または虚偽であることが明らかな事業所に対する公示送達の是非について、これは昨年の十二月に先駆けて、十月の終わりだったと思いますが、御質問があった。

 その議事録を見ますと、消費者庁の是正、削除要請によってサイトの閉鎖に応じたとされる業者が別のアドレスやツイッターなどで営業を再開している事例があるとの指摘に、当時の有村大臣からは、イタチごっこの現状が続いている、イタチごっこと言われながらも、それを一つ一つ消していく努力でたゆみなく歩んでいくしかないというふうに答弁をされて、その時点では、消費者庁として、特定商取引法に規定がないことから、公示送達に否定的な見解をされていたわけです。

 その後、先ほど大臣から答弁をいただきましたように、昨年十二月二十二日には、裁判所に民法第九十八条の第一項の規定に基づく公示送達の申し立てを行っています。そして、三月の二十四日には、危険ドラッグ等の通信販売を行っていたサイトの運営業者に対して、これは資料の一枚目でございますが、公示送達によって、応じなかった五サイトに関して違反行為の是正をしたと。これは、特商法の行政処分を公示送達によって行うのは初めてということでございます。

 これは確認なんですが、当初は、特商法上の指示処分について、住所がわからない、でたらめの住所を記載したなどの業者に対して個別の定めを置くのは難しいという見解を有村大臣もされておったわけですが、今回、特商法の中でこのような場合の個別の定めを設けた、そのような理解でいいのか、確認をさせていただきたいと思います。

山口国務大臣 中島委員御指摘のとおりでございまして、昨年の十月ですか、特別委員会の質疑で、確かに、なかなか難しいというふうな答弁をさせていただいておるわけでありますが、これはもう御案内のとおりで、民法に基づく公示送達は裁判所の許可が必要で、その判断によるというふうなところでございますけれども、今回も、実は事業者名も居所も不明である、この相手方に対する行政処分につきまして、東京簡易裁判所から公示送達の許可がおりたというふうなことは、今後の法執行に大変役立つというふうに私どもは理解をしております。

 そういった思いで、消費者庁としましても、危険ドラッグに限らず、累次の指導を行っても違法状態を改めないなどの悪質業者に対しては、公示送達も大変有効な手法として活用させていただいて、今後とも厳正な法執行に努めてまいりたいということであります。

中島委員 この後もお聞きしようと思ったんですが、その前に、昨年の臨時国会での質疑の中で、このときの答弁の内容は、行政手続法十五条の三項に基づく公示送達による処分はできないのかという井坂議員の質問に対して、特商法には個別の定めが置かれていないため、公示送達による不利益処分はできないと大臣が答えられていたんです。その後に、先ほどから申し上げているように、五件に関しては民法九十八条一項に基づいて公示送達の申し立てを行っていると。

 これは、行政手続上の解釈から、根拠法を民法に置きかえられたという理解でいいのかどうか、もう一度確認させていただきたいのです。

山口国務大臣 御指摘のとおりでございまして、やはり、昨年の委員会の御指摘以降もさまざまな検討を積み重ねてきまして、何とかならないかというふうな思いで、こういうことで公示送達というふうなことに踏み切ったわけでございます。

中島委員 では、先ほどの質問にお答えになっていただいたことなんですが、今回は、危険ドラッグ、誰が見ても悪質だとわかるものに対して、しかも、削除要請をたびたびした結果残った五サイトに関して、その根拠法を民法に置きかえてやったと。ぐいっとやったというふうに思えるわけですが、今後、この件に関して、これは危険ドラッグに限定してのことなのか、それとも、それ以外の事例に関しても根拠法を民法に置きかえて対応していくのか。今後の対応はどのようになるのか、お尋ねいたします。

山口国務大臣 先ほども若干お答えをさせていただいたわけでありますが、これは危険ドラッグに限らず、累次の指導を行っても違法状態を改めない、まさに悪質な事例に関しましては、当然、私どもとしては、消費者の立場からしっかり対応するという意味合いから取り組んでいきたいと思います。

中島委員 私は何が言いたいかというと、これは昨年の六月、さっきから経緯をお話ししましたように、大変広がってきたこの危険ドラッグの特徴というのが、麻薬や大麻、覚醒剤と大きく違うのは、非社会的勢力と接しなくても手に入れられる。私も行ったときに、これは絶対吸入しないでください、これは合法ですと。そして、インターネット上でも、検索しますと、かなり減ってはきておりますが、いまだにサイトに載っている。そういう販売業者もあるわけです。

 そういった中で、今大臣は悪質と言いましたけれども、何をもって悪質と判断するのか。昨年も、今回も三月に至ってようやくと言ったら失礼ですが、ぐいっと、これはもう明らかに悪質だ、これは消費者庁じゃなくても、一般の方から見ても、誰が見ても悪質なわけです。そういうことになってからこのような根拠法をもとに対応するのではなくて、もっと振り返って言ってしまいますと、その当時から民法の方を根拠としてやっていればできたはずだったと私は思うわけです。

 危険ドラッグ、先ほども言ったように、依存性、常習性から考えていきますと、一時的には影を潜めておりますが、今後、またどんな手法を使ってくるかもわからない。先ほど言ったように、非社会的勢力と接しなくても手に入る、これが危険ドラッグの特徴の一つです。

 そうなってくると、消費者庁の、冒頭にお聞きしました、国民の命、そして健康を守ると。この危険ドラッグ、規制を逃れるためにさまざまな添加物、薬物を介したために、売っている方もやっている方も一体何物かさっぱりわからない、むしろ覚醒剤、大麻よりも非常に脅威、モンスタードラッグと呼ばれるような薬になってしまった。そういったことを鑑みますと、やはり根拠法、先ほども言ったように、誰が見ても悪質なものだ、それは誰でもできると思うんです。しかし、この特性を、この教訓というか、生かして、ぜひ根拠法の明確な基準というものをしっかりと示して今後対応していく必要があると思いますが、大臣の御見解をお願いいたします。

山口国務大臣 御指摘のとおりだと思っております。

 消費者庁におきましても、そこら辺をさらに検討して、考え方をしっかりと方針として取りまとめておきたいと思っております。

中島委員 先ほども言ったように、インターネットを介して、危険な薬物が平気で売られてしまう。ちょっと資料等出していませんが、今も、大臣、検索していただければ、非常に怪しいお店がまだ残っている。もしかしたら、これからまたふえていくかもしれない。

 そういった中で、やはりサイトに関しての取り締まり、これは恐らく厚生労働省もやっておりますし、警察庁もやっていることだと思いますが、監視していく上でどういう方法が今後必要になるのかということ。

 今現在、今回三月に公示送達した五業者に関しても、プロバイダーを介さない、俗に野良サイトと呼ばれるものになっておりますが、今後監視していく上で、全てを国が監視していくのはなかなか難しいのではないか。当然ながら、今は影を潜めておりますが、今後、プロバイダーに、住所の記載や、不正があるものに関して、今もその指示は出しておられますが、法的にも管理をしっかりと義務づけていく必要があるんじゃないか。そうすれば、国は俗に言う野良サイトをしっかり監視していく、それ以外はプロバイダーに法的に監視を義務づける。

 そういったことも今後法的な、特商法の中でやっていくのはなかなか難しいとは思いますが、むしろ今のインターネット社会の中で特商法がもう対応し切れていないということも言える中で、やはり、今回の危険ドラッグ、どうして蔓延してしまったのか、そして一般の高校生や中学生までも手を出せるような状況になってしまったのか等考えますと、特商法の改正も含め、もしそれがテクニカル的に難しいのであれば、新たなくくり、新たな法整備が必要かと私は思うわけですが、最後に大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

山口国務大臣 当然これは総務省等々ともかかわる話でありまして、恐らく特商法のみというのは非常に難しいんだろうと思いますが、ネット販売のあり方等々を含めて、大きな枠組みで少し検討した方がいいのかなと私も思いますので、御示唆、大変ありがとうございました。

中島委員 ぜひリーダーシップを発揮していただいて、取り組んでいただきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、吉田豊史君。

吉田(豊)委員 初めて質問させていただきます。維新の党の吉田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 富山県富山市の方から出ておりまして、同じこの委員会に自民党の田畑さんがいらっしゃいますけれども、田畑さんが勝って、私が負けて、北信越の比例復活で出ておりますので、地元では、A級の田畑さん、B級の吉田さんね、こう言われておりますが、質問はB級でなく、しっかりA級になるように頑張ってまいりますので、御指導いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 維新の党は、御存じのように、今週末に大阪都構想という非常に大きな節目の動きがあるわけですけれども、私も先週ずっと大阪の方に行っておりました。

 消費者特別委員会という委員会に所属させていただくに当たりまして、私は何がキーワードかなと思ったんですけれども、やはり大事なことは、情報、そのわかりやすさ、そして何かあったときの救済、レスキュー、この三つが消費者特別委員会では非常に重要な言葉ではないかなと私なりに考えております。

 そこで、消費ということからすると、有権者の皆様、住民の皆様からすれば、大阪都構想という一つの政治の動きについても、生産であり消費である、こういう捉え方もできると思います。その意味で、ぜひ、せっかくの機会ですから大臣から、この大阪都構想をどのように見ていらっしゃるか、お聞きしてみたいと思います。よろしくお願いいたします。

山口国務大臣 余り消費者とはどうなのかなと思いますが、いわゆる大阪都構想、これは、大都市地域特別区設置法に基づきまして、大阪市を廃止して特別区を設置することによって、いわゆる二重行政の解消とか、あるいは住民自治の拡充を図ろうというふうなことでやっておられるというのは承知をしておりますし、実は、私も当時、自民党の政調の中でいろいろと議論に参画をしたこともございます。

 いずれにしても、やはり住民の皆さん方が決めることであろうというふうなことで、当時も住民投票の提言もさせていただいたわけでございますが、いよいよ十七日に迫っておるわけでございます。住民の判断をしっかり見ていきたいと思います。

吉田(豊)委員 ありがとうございます。

 おっしゃるとおりでして、大事なところは、言葉がどうのこうのと今ちょっと入りましたけれども、そういうことではなくて、私が思うのは、やはり情報ですとか、それからわかりやすさ、そして判断する、こういう部分ではないかなというふうに思っておるところでございます。

 それでは、入らせていただきます。

 まず、私自身、消費者の方々のわかりやすさということを考えると、この委員会でのさまざまなやりとりを聞いていらっしゃっていて、そして、ああ、それはそういうことなのかと納得していただく、これは非常に重要なことだろうと考えています。

 改めて、消費者庁の創設における基本理念ということを、この委員会に午前中おるだけでも、皆様からお聞きしていて、そして大臣のお考えも伺っておりますが、私が申し上げた観点から、わかりやすさ、そして情報、この点についても、ぜひ改めて消費者庁の意義についても確認させていただきたいと思います。お願いします。

山口国務大臣 消費者庁の創設のときの理念というのは、消費者を主役とする政府のかじ取り役として、消費者の不安と不信を招いた個々の事件への政府全体の対応能力の向上を目指すのみならず、明治以来の日本の政府機能の見直しを目指すものでございました。すなわち、各省庁縦割りの仕組みの中で、事業者優先の発想のもとで行われてきました過去の我が国の行政、これをしっかりと改めて、消費者、生活者が主役となる社会を実現する国民本位の行政に転換をするための拠点になるということが期待をされておるものでございます。

 こうした理念のもとに消費者庁が設立されてからもう五年以上経過をしたわけでありますが、この間、関係各位の御尽力によりまして、消費者行政の体制整備も大分進んでまいりましたし、長年にわたり懸案とされてきた多くの法律を成立させていただくなど、かなり大きな成果を上げつつあるというふうに認識をしておるわけでございます。

 しかし一方、新たな制度の中にはこれから施行されるものもありますし、今後、それらが円滑に導入されるように取り組んでいく必要があろうかと思っております。同時に、高齢化等々さまざまな環境変化、これはグローバル化もあるでしょう、そういったさまざまな状況にしっかり対応していくことが求められておるというふうに理解をいたしております。

吉田(豊)委員 おっしゃるとおりでして、消費者庁というのは、やはり最終的には住民の皆様、国民の皆様のためにどのようにこれを進めていくのかという部分が一番大事なわけですから、そのために何かの動きをしなくちゃいけないと、実際の消費者庁は五年間かけて進んできている。

 その中で、本年度に新たに消費者基本計画を策定した。これは、やはり今までの、大臣がおっしゃった五年間の積み重ねの上に存在する消費者の基本計画だろうということで理解しますので、具体的に、その観点から、何が盛り込まれて、何が重要だと考えているかということを確認させていただきたいと思います。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者の安全で安心な暮らしを実現するためには、委員御指摘のキーワード、三ついただいておりますけれども、ほぼ同様でございますが、消費者が商品、サービスを自主的に選択するために正確で十分な情報を入手でき、取引が適正に行われること、それから、仮に被害が生じた場合でも、速やかに被害の拡大、再発防止が行われ、被害の迅速かつ公正な救済が図られることということで、情報、救済などの環境を整備することが重要であるというふうに考えております。

 このような環境の整備のためということで具体的に盛り込まれた内容でございますが、幾つか申し上げますと、消費者事故等の情報収集体制の充実と、これに基づいた適切な消費者への注意喚起、事業者への措置の実施ということ。それから、的確かつ迅速な事故原因の究明調査、再発防止。三つ目でございますが、特定商取引法、消費者契約法の見直し等による取引の適正化。四つ目でございますが、消費者に身近な相談体制の整備と消費者ホットライン、一八八と定められましたが、消費者ホットラインの三桁化による相談窓口の活用促進。これらの施策を三月に閣議決定した消費者基本計画に盛り込んだところでございます。

 消費者庁としては、消費者の安全で安心な暮らしの実現に向け、消費者政策の一層の推進に取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

吉田(豊)委員 今ほどの説明の四番目にありました、消費者に対するわかりやすい救済措置、そのための消費者ホットラインというところなんですが、ここを少し私は確認させていただきたいと思います。

 消費者庁ができて、そして三桁による消費者のホットラインの番号というのは、一番、改めて国民の皆様、消費者の皆様に消費者庁の存在を意義づけるだろう、こういうふうにも考えるわけです。

 まず、三桁になる前、既に存在している消費者ホットライン、これの五年間の利用状況について確認させてください。

服部政府参考人 お答えさせていただきます。

 平成二十二年一月から運用を開始いたしまして、過去三年間の利用状況といたしましては、平成二十四年度は約二十四万件、平成二十五年度は約三十一万件、平成二十六年度は約三十四万件と、年々増加しているところでございます。

 ちなみに、二〇〇九年度、これは一月から三月でございますが、約六万六千件、二〇一〇年度に約二十三万件、二〇一一年度、約二十三万六千件でございます。

吉田(豊)委員 そして、今回、このホットラインを新たに三桁にして、より利用する機会、わかりやすいものにしようということだと思いますけれども、どうやって国民の皆さんにこの番号があるよということを知っていただくことを進めているのか、これを確認させてください。

服部政府参考人 私ども、消費者の方々に消費者ホットラインをさらに活用していただきますように、関係府省と連携して三桁化に関する広報活動を行うとともに、地方消費者行政推進交付金などを通じて、地方公共団体における広報活動を支援してまいりたいと考えております。

 また、冒頭、議員から、わかりやすさが重要という御指摘をいただきましたが、消費者ホットラインの三桁番号一八八につきましては、覚えやすく親しみやすい番号になるように、その語呂合わせを三月十八日より四月二十日まで募集させていただきまして、百八十五件の応募をいただいたところでございます。

 現在、御応募いただきました語呂合わせの内容を確認しておりまして、覚えやすく親しみやすい、皆さんに使っていただけるような語呂合わせを早急に決めて広報していきたいと考えております。

吉田(豊)委員 ちなみに、お聞きしてみますけれども、この一八八という番号を決めるに当たっては、当然、例えば一一〇番があったり一一九番があったりとか、レスキュー関係というのはそういう番号が既に存在するわけで、この一八八というものも、消費者からすれば、助けてくださいという部分に使われる意味の番号なわけですよね、何かの問題を解決していきたいと。

 そのことからすると、これは、最初に一八八という番号ありきだったんですか。それとも、何かいろいろな検討がなされた上で一八八という番号にたどり着いたのか。その経緯についてお知らせいただければと思います。

服部政府参考人 総務省の方で幾つか案を御提示いただいた中から、こちらの番号を活用させていただきたいということでお願いさせていただいたものでございます。

吉田(豊)委員 この一八八ですけれども、少し具体的にイメージしてみたいんです。

 例えば、先ほど午前中、私でない吉田さんの方から質問がありました。お母様のことですよね。八十万という高額の布団の話でしたけれども、そういうことがもし現場で、ううんとかと思っているときにこの番号にかけると、受けた人はどんな対応になるんでしょうか。それを教えていただけますか。一八八にかけたら、かかってきたその対応は、まずどういうふうなものが、流れということを確認させていただいていいですか。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 一八八にかけますと、その後、具体的には、最寄りの消費生活センターあるいは消費生活相談窓口につながるという仕組みとなっております。

 そこの消費生活センター等には、消費生活相談員という方がいらっしゃるというのが原則でございます。ここにおきまして、お年寄りの御相談内容については、内容を聞き出す、理解する上でも大変御苦労だというふうには聞いておりますけれども、内容を把握した上でアドバイスをする。

 アドバイスをするということが相談でございますが、お年寄りの場合におきましては、具体的に相談をし、アドバイスをする、助言をするだけでは十分でないと思われる場合もございますので、こういう場合には、あっせんということでございます。

 あっせんというのは、当該問題となっています事業者に消費生活センターの方から直接連絡をとりまして、内容が公正、妥当な解決が図られるように事業者にかけ合って、それで消費者問題を解決していくということでございます。

 相談にとどめるか、あっせんまで行くかについては、個々の具体的なケースに応じて消費生活センターの方で対応するというふうに理解しております。

吉田(豊)委員 そうしますと、改めてもう一回確認しますけれども、電話があるという状況とすれば、目の前によくわからない状況があって困っているので一八八にかけるということも想定されるんでしょうけれども、とにかく何かよくわからないけれども被害に遭ってしまったですとか、何か困ったことになってしまったとか、そういう場合にも一八八にかける。

 それによって、今の話であれば、具体的に説明ができるところにつなげていくということだと思うんですが、目の前で困っているんだよという場合をちょっと私は想像してしまうこともあるんですけれども、これについてはどのように対応されるかということを改めて確認させてください。

川口政府参考人 消費生活センターへの御相談でございますが、具体的に、もう既に被害に遭ってしまった、お金も払ってしまったという場合、これは被害でございますが、だけではなくて、どうも事業者の方の説明が不審である、納得がいかない、本当に契約していいんだろうかという場合でも、相談に応じてアドバイスをされるというふうに伺っておりますので、いろいろな場合があり得る。

 それから、お年寄りの場合ですと、当事者、お年寄り本人が御相談するのが難しい場合があるということでございまして、そうした場合につきましては、御家族からの御相談もお受けするというふうに聞いております。

吉田(豊)委員 非常に安心できます。

 やはりさまざまなケースが想像されますし、何よりも、困っている方々、いろいろなパターンのときに、とにかくまず受けとめる、そして、適正なところにその相談をつないでいく。そういう意味で、一八八というのは、つないで、そして、それをしっかりとした対応ができるところにつなぐ、そういう番号なんだというふうに私は今理解させていただきましたので、そういうことが国民の皆様にわかりやすく理解されるように、ぜひ周知活動、広報活動を進めていただきたいと考えます。

 あっという間に時間が過ぎてしまいます。

 消費者ホットライン一つとっても、具体的には、やはり困っている人をどう助けていくかというところから話は入ってくることになると思うんです。

 消費者の安全で安心な暮らしというところについての基本計画があって、それから、一番わかりやすいのは消費者ホットラインだろうと思って今回私は質問させていただきましたけれども、そういう消費者ホットラインというものをつくる一方で、きょうの委員会でのやりとりをお聞きしていましても、さまざまな、消費者に対して消費者庁というもの自身がどのような立ち位置で対応していかなくちゃいけないのかという中にあって、不招請勧誘の話ですとか、あるいは特保の話とかも出てきています。

 これは明らかに、私自身の理解では、やはり消費者庁が、今大臣からずっと、最初にお聞きしていましても、立ち位置というものは、とにかくさまざまなことを進めていこうという、生産と消費というところからすれば、生産についてではなくて、実際の消費について何が起こってくるか、そして、起こってしまったことについて、事後対応も含めてですけれども、これを丁寧にやっていく、そして、困った状況にはしておかない。そのことからすれば、当然、生産と消費は同じくらいあるところからすると、消費者庁というものが果たすべき役割、それから見なくちゃいけない範囲というのは物すごく大きいだろう、こういうふうにも考えるわけです。

 そういうことからして、改めてもう一度大臣に、消費者というものの救済、それから、そのためにはさまざまな、わかりやすさ、情報、しつこいようにきょう三点言わせてもらいますけれども、これをどのように消費者庁として認識して、その上で、今回の消費者ホットラインというものが、消費者庁というものがあるんだよということを含めて、国民の皆様に非常に重要なチャンスになってくるんだというふうに思いますので、この意気込み、それから考えを確認させていただきたいと思います。大臣、お願いいたします。

山口国務大臣 吉田委員御指摘のとおりでございます。

 やはり、消費者庁はこういうことをやっておるということももっと幅広く広報していく必要があるでしょうし、先ほど来御質問いただきました、せっかく三桁になります、一八八になったわけで、これはどういう語呂合わせになるかわかりませんが、しっかりアピールできるような語呂合わせ、あるいは標語等々を利活用しながら、もっともっと消費者の皆さん方に活用してもらいたいと思っておるわけであります。

 同時に、先ほども少し申し上げたんですが、非常に消費者庁の役割というのは、もっともっと大きくなっていくんだろうと思っております。とりわけ、環境変化に伴って消費者のトラブルの内容変化、こういうのもあります。これにやはり対応していく、まさに不断の努力というものが必要になってくるのであろう。そして、国民お一人お一人にしっかり寄り添いながら、安全で安心な暮らしに貢献できる消費者行政を目指していくということが大事なわけでございます。

 おかげで、法律とか体制等々を整えつつあるわけでありますが、やはりその役割を果たしていくというのが本来の目的でありますので、それをしっかり肝に銘じながら、消費者行政、頑張ってまいりたいと思っております。

吉田(豊)委員 大臣、ありがとうございます。

 やはり、環境、状況が変わってくる。消費者として今迎えている問題が、時代の流れ、簡単に言うと、高齢化とか情報化ですとか、それから、子供が少なくなっている、そういうことも含めて、全ての環境が変わってきている。ここは非常に大事なことでして、それについて、問題が起こる理由は、実は、わかりやすさではなくて、反対のわかりにくさを使って悪いことが起こるんだろうと僕は思っていますので、それを、改めてわかりやすさというところできちっと対応していただく。そのために、しつこいですが、三桁の電話がかかってくる、運用されたときに、かけてよかったと思っていただける、そういうのをまず心がけていただきたい、このことをお願いしまして、きょうは質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

鴨下委員長 次に、木内孝胤君。

木内(孝)委員 維新の党、木内孝胤でございます。

 消費者庁が発足してから五年八カ月が経過いたします。設立された直後に、私、消費者委員会に所属していたものですから、約一年間所属しまして、四年八カ月ぶりに委員会に所属をさせていただいております。

 先ほど大臣からも消費者庁の理念の御説明がありました。消費者が主役としてのということと、体制も大分整備されたという話でございます。私も、消費者、生活者の目線で、消費者行政を統一的、一元的に推進するための強い権限を持つ強い組織という、こうした進め方、離れていた間も実はそれなりにいい形で進化しているのではないかというふうに評価させていただいております。

 設立した直後心配されていた点は、やはり各省庁との連携。縦割り行政の弊害が出やすい省庁かなというふうに感じておりましたけれども、きょうもいろいろ議題がありました、布団の話あるいは振り込め詐欺の話、本当に消費者の問題というのは多岐にわたります。私も、地元で最近振り込め詐欺の事案がありましたし、あるいは六千万円くらいあったある高齢者の方が、非常に高度なというか複雑な金融商品を、私から見たら明らかに売りつけられて、それがもう七割ぐらい損をさせられた事案があったりとか、本当に多くの事案が生じております。

 そこで、きょうは、いろいろな事案が出ましたけれども、私は、食の問題について幾つかお話をお伺いしたいと思っております。

 食に関しては、例えば、TPPの問題もありまして、遺伝子組み換え作物の安全性などについての心配の点、あるいは原発事故の後に放射性物質の検査体制がどうなのかということ、一昨年はホテルやレストランなどの表示問題など、本当に継続的にさまざまな問題が生じております。

 その中で、本日質問させていただきたいのは、四月一日に食品表示法が施行されました。これは現行の三法、JAS法、食品衛生法、そして健康増進法、農林水産省とか厚生労働省、違う省庁にまたがっているものを、三つの法律を一つにまとめたということでございますけれども、例えば義務表示の部分を一つにしたりということで、私はこの動きを非常に評価しているものの、一方で、割と告知期間が短かったりとか、やはり、事業者の方からもあるいは消費者の方からもまだ浸透していない部分、そういうのがあろうかと思っております。

 本件につきまして、実効性をどういうふうに高めていくのか、あるいは各省庁との連携、各地方自治体との連携、こうした体制の整備、強化についてお伺いをいたします。

    〔委員長退席、とかしき委員長代理着席〕

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 食品表示法が施行されまして、その表示の監視をしっかりしていくことが重要かと考えております。

 その監視体制につきましては、まず、消費者庁の食品表示対策室におきまして、景品表示法、健康増進法なども含めました食品表示に関係する法令の一体的な執行を行ってきているところでございます。今年度はこれらの業務に要する定員を九名から十四名に増員いたしまして、体制の強化充実等も行ってきたところでございます。

 また、食品表示につきましては、消費者庁のほか、農林水産省、財務省、都道府県、そして保健所設置市等も監視、取り締まりを行う体制をとっております。

 消費者庁は、食品全般の横断的な監視、取り締まりをみずから行いますが、それに加えまして、地方出先機関を有し監視業務についてのノウハウを有しております農林水産省や財務省と、また、地域的な事案でありますとか保健衛生に係る事案を所掌します都道府県や全国の保健所と連携いたしまして、効果的、効率的な法執行に努めているところでございます。

 また、執行体制の整備を図る観点から、関係省庁や地方公共団体と食品表示法の一体的な運用を行うために、行政処分指針なども作成、公表いたしましたし、また、消費者や事業者等に対しますワンストップサービスを実現するために、食品表示に関する相談、また疑義情報の受付窓口を一カ所で公表するということも行ってきているところでございます。

 また、こうした取り組みを通じまして、本年の五月には、賞味期限の書きかえにつきまして、熊本市の保健所から食品表示法に基づく指示も既に行われているところでございます。

 こうした不適切な表示を監視して適切な措置をとるために、引き続きこうした取り組みを進めていきたいというふうに考えております。

木内(孝)委員 相談窓口が一本化されるとか、消費者にとっても利便性が増すということかと思いますけれども、新法のポイント及び私たちの暮らしに与える影響というものをもう少しお聞かせください。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 食品表示法は、まさに、既にこれまでは三つの法律に分かれて食品の表示のルールが規定されていたわけでございますけれども、それを一つのルールに統合したということでございます。統合の過程におきまして、さまざまな問題についても議論をした上で、改善したルールができているということでございます。

 また、それとともに、法律の執行につきましては、先ほど御説明したとおりでございますが、消費者庁に加えまして、各関係省庁の連携を強化して、総合的にしっかりとした取り締まりも行う、それによって適切な表示が推進されていくということを期待しているところでございます。

木内(孝)委員 御案内のとおり、日本の食文化というのは非常に高い信頼性を有しております。私も外地に約十六年間ほどいた関係で、日本の食文化をできるだけ海外に展開させていきたいという思い、あるいは海外の食文化を日本に持ってきたいという思いから、私はもともと投資銀行にいたわけですけれども、その傍ら、海外にレストランを出店したり、あるいは海外のレストランを日本に出店したりということなどを続けてまいりました。

 日本の食文化といいますか、食への信頼性というのは、日本にいると余り気づかないところであろうかと思いますけれども、例えば中国に行きますと、日本の白菜が百元ぐらい、千六百円ぐらいで売られているという、それだけ日本の食品というのは何かすごいものだ、信頼があるものだと。あるいは、熊本に味千ラーメンというラーメンのチェーン店がもともとございまして、そこが香港あるいは中国を中心にアジアに展開しているんですが、ここの会社も、香港に会社を上場させて、今では千店舗以上出店をして、時価総額もいっとき二千億円ぐらいになる。

 本当に日本の食文化の信頼性というのが非常に大切な中で、一方で懸念されておりますのが、非常に有名なホテルあるいはレストラン等でメニューの表示、一昨年ございましたけれども、そこが、我々からすると非常にショッキングな形で、日本の信頼を失うのではないかと懸念されるような状況がございました。

 一方で、その年の末に、世界無形文化遺産として日本の食文化が遺産登録をされました。

 こうした中で、なかなか、こうした事業者に対するさまざまな報告の義務化とかあるいは規制の強化とか、それをやるとかえって現場を混乱させるという部分と、あるいは信頼を回復させる部分、相反することを両立させながら実現させるというのは非常に難しい問題だと思っております。

 その点、私は、今の消費者庁というのは、消費者の保護、利益の拡大、それを十分に図りつつも、事業者のことなんかも非常に配慮をしながらバランスのとれた行政を行っているという理解ではございますけれども、一方で、一昨年以来、昔はウナギの偽装があったり、昨年のがあったり、その間、では、体制が十分に強化されているのか否かという点になると、若干まだ心配な点がございます。

 この点につきまして、どういう点を強化して、どういう点を厳しくして、罰則を強化したのかしないのか、あるいはこういうことを講じたからこういうことは再発されないだろう、そこの点を御説明いただきたいと思います。

    〔とかしき委員長代理退席、委員長着席〕

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のいわゆる食品表示等問題が発生いたしまして、これを受けまして、消費者庁におきましては、個別の事案、違反事件に対しまして措置命令をまず行ったということでございます。

 さらに、それに加えまして、平成二十六年三月二十八日には「メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方について」というガイドラインを公表いたしまして、また、事業者向けの説明会が数々開催されましたけれども、そうした説明会へ当庁の職員を講師として派遣いたしまして、そのようなことを通じまして、景品表示法の普及にも引き続き努めてきたということでございます。

 また、平成二十六年には、二度にわたりまして景品表示法の改正も行われました。これによりまして、事業者が講ずべき表示等の管理上の措置の導入でありますとか、行政の監視指導体制の強化、そして景品表示法への課徴金制度の導入も成立しております。前者二つにつきましては既に施行されておりますが、課徴金の導入につきましては、公布から一年半以内に施行ということで、現在準備を進めているところでございます。

 現時点におきましては、表示等問題が発生した当時に比べますと落ちつきが見られるというふうに考えておりますが、その一方で、残念ながら、散発的にレストラン等において不当表示事案も発生しているところでございます。例えば、平成二十六年十月には株式会社木曽路などに対しまして、また、本年の二月には株式会社ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツに対しまして、それぞれ景品表示法に基づく措置命令を行ったところでございます。

 消費者庁といたしましては、食品分野を含めまして、景品表示法に違反する不当表示に対しましては今後も引き続き厳正に対処いたしますとともに、違反行為を未然に防止するための景品表示法の普及啓発、このための説明会で講師として説明をすること、そうしたことにも引き続き努めていきたいというふうに考えております。

木内(孝)委員 エビの種類とかあるいは肉の種類が違う、そういうのも大変残念な状況ではありますけれども、もう一つ気になっておりますことがアレルギーの表示の問題についてでございます。

 アレルギーの表示がしっかりなされていないと、これは命等にもかかわる問題でございますし、そういうのを非常にいつも気にしながらという、信頼性が損なわれると、非常に気にしながらということになろうかと思います。

 このアレルギーの表示のあり方について、その点、もう少し踏み込んで御説明をいただけますでしょうか。

菅久政府参考人 お答えいたします。

 アレルギーの表示、いわゆるアレルゲンの表示につきましては、食品表示法案の議論の中でも議論がありまして、その中で法案の修正もありまして、アレルゲンということが表示されて、これについて、その後、具体的な表示の方法というのが議論されてきたところでございます。今般の表示基準の府令の作成に当たりましても、さまざまな議論を経た上でこのアレルゲンの表示についても新たに定められているところでございます。

 このアレルギーの表示というのは、衛生及び保健に関する事項でございますので、これについての不当表示がありますと、安全にも関する問題でございますから、これにつきましては、消費者庁に加えて全国の保健所がこの表示については担当し、引き続きしっかりと監視をしていくということになっているところでございます。

木内(孝)委員 ちょっと質問を一つ変えてなんですが、先般、日米首脳会談が無事に終わりました。その中で、TPP交渉につきましても一定の進展があったと報道されています。

 過去、当委員会におきましても、TPPに関する質問は何回か出ていると理解しておるんですが、TPPの場合、交渉の内容とか経緯について開示できないということもあり、質問しても、答えようがないというような回答があるので、若干いろいろ聞きづらいわけですけれども、今後、TPPが成立した場合、中身がわからないとはいいながら、恐らく、海外の例えば牛肉、和牛と称した海外のオーストラリア産あるいは米国産の肉が輸入されたりとか、あるいは日本の食品が海外に展開することもふえてくるのではなかろうかと思います。

 現時点で、中身を我々は見ることができません。しかしながら、一部の報道等によりますと、アメリカの議会、アメリカの議員は、シークレットルームというところがあって、そうした文書を一定の制限のもとに閲覧することができるというふうに聞いております。それに対して内閣府の西村副大臣は、前向きに調整をするというようなコメントをなさっています。

 これはちょっと質問通告にはない話でございますけれども、同じ交渉をしていて、アメリカの議員はその文書を閲覧できる、一方で日本の議員はできない。私、極めて不思議というか、大臣は政府の立場でもありますけれども、一国会議員として、米国の議員が見られて日本の議員が見られない状況、これは私は非常におかしいんじゃないかなと。今からいろいろな形で食品の問題が動き始める前に、何かとそういう不都合を事前に察知して交渉の中で訴えたいとしても、中身がわからないのでコメントすらできない。

 今の状況、TPPの文書の閲覧すらできない、片やできるということについて、大臣の個人的な意見というので結構でございますので、御意見をお聞かせいただければと思います。

山口国務大臣 余り個人的意見というふうな立場にはないわけですが、恐らく条約上のいろいろな約束事等々があるんだろう、私もそう思っておるところで、ただ、立場上、例えば食品表示にしても、遺伝子組み換えの表示等々、どうなんだというふうな話も記者さんから問いかけられるわけでありますが、私の立場としては今の段階ではお答えのしようもありませんし、情報も入っておりません。

 ただ言えることは、やはり消費者の立場に立って、今申し上げた食品表示も含めて、しっかりと消費者の皆さん方の安全、安心を守るために頑張っていくということでございます。

木内(孝)委員 消費者庁の理念が消費者が主役という話でございますので、ぜひ、消費者が主役というのにふさわしい交渉のあり方、私は、片方の国だけが見ることができて、日本の国民だけは見ることができないという、これを国民が放置している状況というのは、私は、大臣みずから先頭に立って、開示させるべきではないかというような働きかけを政府内部でも期待をしているところでございます。

 最後にお伺いいたしますけれども、いろいろきょうは食品の問題等についてお伺いをいたしました。食に関連する部分におきましての消費者行政、体制強化あるいは取り組みその他につきまして、大臣の御所見をお伺いいたします。

山口国務大臣 いろいろ御質問いただいたわけでありますが、食品に関する表示、これは、消費者の皆さん方が食品を摂取する際の安全性の確保及び自主的かつ合理的な食品の選択、この機会の確保に関して大変重要な役割を果たしておるわけでございます。その中で、平成二十七年四月一日に施行された食品表示法の的確な執行というのが極めて重要であろうと考えております。

 この表示の監視体制につきましては、消費者庁が横断的に取り締まりを行いつつ、地方の出先機関を有して監視業務についてのノウハウを有する農林水産省とか財務省、そして都道府県、保健所ともしっかりと連携をして、効果的、効率的な執行によって食品表示の不適正事案に関して適正に対処をする中で、まさに消費者の安全、安心を守っていきたいと考えております。

木内(孝)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、梅村さえこ君。

梅村委員 日本共産党の梅村さえこでございます。

 この委員会での質問は初めてとなります。貴重なお時間を本当にありがとうございます。

 まず、四月からスタートをした機能性表示食品制度について伺いたいと思います。

 この新制度ですが、わずか一カ月で既にさまざまな懸念や不安が広がってきております。現在のところ、消費者庁が届け出を受理した商品は二十一件。その中に、特保の審査過程で安全性が確認できていないとされる成分が含まれていたものがあり、食品安全委員会が五月に正式な評価書をまとめる予定と聞いております。

 しかし、特保で根拠が疑念視される成分が機能性表示食品では受理される、これは、消費者の立場で見るならば全く理解できない、消費者を混乱させ、表示をかえってわかりづらくさせ、食の安全への不安を大きくすることになるのではないかと思います。

 まず初めに、山口大臣の御認識をこの点でお伺いできればと思います。

山口国務大臣 この機能性表示食品制度につきましては、企業等の責任において、食品の機能性及び安全性の科学的根拠に関する情報について消費者庁に届け出を行いまして、当該食品に係る機能性表示を可能にするものでございまして、届け出を受けた消費者庁では、資料のいわば形式的な確認を行った上で、届け出内容を消費者庁のホームページで公表するというふうな仕組みになっております。

 これは、届け出後の事後チェック制度をしっかり機能させていくということが実は前提になっておるわけでございます。

 そういった意味で、具体的には、消費者の皆さん方の安全を確保するために、例えば、事業者は安全性とか機能性に関する科学的根拠について商品販売の六十日前までに消費者庁に届け出を行うとか、あるいは、開示資料を端緒として寄せられる疑義情報を活用して、届け出情報の公表の後に、安全性とか機能性に関する科学的根拠等について食品表示法に基づく事後監視を行うとか、あるいは健康被害に関する情報の収集体制をしっかり整備していく、さらには、食品衛生法上の危害が生じた場合は、必要に応じて、厚生労働省または都道府県等が同法に基づいて廃棄等の命令を行う等々のことを行うようにしております。

 こうした取り組みによって事後チェックをしっかりやっていくということで、科学的根拠に基づかない表示がされた食品の流通を防ぎ、消費者の安全が確保されるように制度を運用してまいりたいと思っております。

梅村委員 スタートからこうした問題が起こるのは、特保や栄養機能食品については国の規格基準の適合が必要なのに、新しい機能性表示食品については事業者の届け出で表示する制度にした。やはり、こうした制度があれば、今回のようなことはまた起こってくるのではないかと思いますが、この点は、消費者庁、いかがでしょうか。

岡田政府参考人 お答えいたします。

 今回の制度は、事前審査でございませんで、事後のチェックの制度でございます。

 したがいまして、事前に特定の食品につきまして審査してはねるという性格ではございませんけれども、あらかじめ届け出をしていただきまして、科学的根拠あるいは安全性に関する根拠についても届け出をいただいた上で、それを消費者庁のウエブサイトにオープンにして、チェックしていただける、こういう制度に仕組んだところでございます。

梅村委員 その仕組みそのものはわかるんですけれども、私が質問しているのは、特保では疑念視されながら、機能性表示食品では表示可能になる、そこは消費者から見たらやはり不安が助長されるのではないかというところを聞きたいと思ったんですけれども、その点はいかがでしょうか。

岡田政府参考人 個別の商品のことについては差し控えさせていただきますけれども、一般論として申し上げれば、機能性食品制度につきまして、事前審査ではございませんので、あくまで、届け出を受けて、その情報をしっかりとオープンにさせていただくということが重要かというふうに思っております。

 その後、問題点がございましたら、あるいは疑義情報を入手すれば、必要に応じまして、それについて事業者からヒアリングなりをする、調査などをいたしまして、その食品についての根拠情報が十分なものかどうかというのを確認するというような手続をとろうかというふうに考えているところでございます。

梅村委員 届け出制であれば、その後チェックして是正すればということであれば、やはり国民、消費者は最初から安全なものを表示の上でも求めているわけなので、そういう余地が残るような制度というのはやはりしっかりと慎重に検討すべき必要があるのではないか。とりわけ、スタートからそういうことが起こっているということが、今回はもう少し重視をして考えていくべきではないかということを要望しておきたいというふうに思います。

 そもそも、この機能性表示食品、食の安全の問題、健康食品の問題ですけれども、近年の健康に対する関心の高まりなどを背景に、健康食品は、多くの消費者にとって身近な食品として、その市場は一兆円とも二兆円とも言われております。市場がやはり拡大してくる中で、健康食品が広がる中で、相談もふえてきている、比例をしてきた歴史的経過があるかなというふうに思います。

 全国消費生活情報ネットワークシステム、PIO―NETの集約では、二〇一三年には年間四万六千七百六十件、この五年間を総計すれば実に十一万七千七百五十一件にも上る相談が健康食品をめぐってあるという事実はやはり直視しなければいけないと思いますし、特に内閣府消費者委員会の直近のアンケートでも、約五割の消費者が行き過ぎた宣伝、広告が目立つと回答しており、虚偽、誇大なものが目立つとの指摘もされてきているわけです。

 ですから、このような中では、本来、健康食品表示や広告の適正化に向けた取り組みの強化、消費者の安全、安心を広げることが求められるのではないかというふうに思いますけれども、この点はいかがでしょうか。

岡田政府参考人 お答えいたします。

 健康食品を含めまして、いわゆる機能性を表示する食品、これについての各種の制度がございます。特定保健用食品もございますし、今回の機能性表示食品制度、さらにまた、既に栄養機能食品制度というのもございますので、そういった制度をどういうふうに理解していただくかということが大変重要だと思っております。

 消費者の理解増進を図っていくことにつきましては、消費者の自主的かつ合理的な商品選択を確保する上でも重要であるというふうに考えておりまして、本年三月に閣議決定されました消費者基本計画においても明記されているところでございます。

 消費者庁といたしましては、機能性表示食品制度を含めました新たな食品制度に係る全国説明会の開催や、機能性表示食品制度に関する消費者向けの普及啓発用の資料の作成などの取り組みを行っているところでございまして、今年度の予算におきましてもこういった資料を作成するための予算を計上しておりまして、こういった予算も活用しながら、今後とも、機能性表示食品制度を含む新たな食品制度につきまして普及啓発に努めたいというふうに考えております。

梅村委員 そういう説明をいただきました。

 それで、機能性表示食品の問題については、届け出制で、先ほどから事後チェックが非常に大事だという話がありました。

 そこで、ホームページで事業者の商品などについて既に公表が始まっております。大臣初め消費者庁は、消費者も、根拠になっているホームページでごらんになっていただいて、みずから意識しながら消費をしていただくことで、お役に立つ制度になると思うというふうに強調しておられます。

 しかし、私自身、このホームページを見させていただきましたけれども、大臣初め消費者庁がおっしゃる、ホームページを見、意識しながら消費をしていただくということでいうと、中身は非常に難しいんですね。もちろん、情報提供はホームページで非常に積極的な面を持っていたと思います。しかし、まず今回の問題でいえば、商品名があり、そして、一般向け公開情報、有識者向け公開情報とあり、有識者向け公開情報の中には基本情報、機能性情報、安全性情報があり、それぞれPDFでどんどん開いて本当に先に先に進んでいかなければ、その知りたい情報に届かない。

 ただ、事前届け出制ですから、やはり消費者庁にとってみれば、それだけしっかりとした情報を消費者に与えなければいけないということで丁寧に書いていると思うんですけれども、しかし、あれを全部のみ込んで消費者がお買い物をしていく、チェックをしていくということでいえば、まだまだ大きな改善が必要なのではないかなというふうに思います。

 しかも、皆さん、買い物をするときに、ホームページをチェックしながら買うかといえば、日常的には、多くの消費者の皆さんは、テレビや新聞広告、CM、店頭に行ってやはりパッケージで判断をしていくことが多かろうというふうに思います。

 そして、先ほど高齢者の皆さんの被害の問題がありましたけれども、この間の健康食品の相談でも非常に高齢者の皆さんの質問が多い。では、高齢者の皆さんが、ネット環境があり、ああいう内容が見られるかといえば、なかなか、判断しながら高齢者の皆さんが買っていくということでいえば、この分野でも努力が必要だというふうに思いますし、また、さまざまな成分について書かれていますけれども、かなり専門的で難しいこともあると思います。

 そういう意味でいうと、安全かどうか、選択は消費者任せ。選択が広がりました、どうぞ自己責任で選んでくださいというのであれば、消費者の食の安全、安心は守れないのではないかなというふうに思います。

 その点では、ネットで情報公開される企業からの情報だけに求めるやり方では非常に危険であり、国、消費者庁はネット環境にない方々を念頭に置いた対策を企業任せにせず行うべきだと思いますが、この点はいかがでしょうか。

岡田政府参考人 お答えをいたします。

 今回の制度におきましては、消費者庁のホームページで個別情報については開示をするということにいたしておりますけれども、そのほかにも、事業者の連絡先も届け出情報として公表しておりまして、事業者において一般消費者からの問い合わせに適切に対応していただくことも期待しているところでございます。こういった連絡先も記載するというのは、ほかの食品についてはございません。今回の機能性表示食品制度に特に設けた仕組みでございます。

 また、ネットについての御指摘もございましたけれども、私ども、一般消費者向けの概要情報をわかりやすくするということは大変重要だと認識しておりまして、ガイドラインにおきましても、誤解を生じさせない範囲で平易な言葉に置きかえて記載すること、過度な長文にならないようにすること、あるいはまた、安全性に関する基本情報は、喫食実績、既存情報を用いた評価あるいは安全性試験による評価内容を中心に要約すること、あるいは、機能性に関する基本情報につきましては、最終製品を用いた臨床試験、または最終製品もしくは機能性関与成分に関する研究レビューについて、わかりやすい抄録として記載するということを定めておるところでございます。

 こういったことによりまして、消費者の皆さんにわかりやすく情報が伝えられるように努めてまいりたいというふうに考えております。

梅村委員 それでは、事後の専門家や消費者団体などのチェックがどのように機能していくのか。先ほど来、事後チェックが大事だというお話がありました。そして、被害が起きた場合に、消費者庁に速やかに報告するとあるけれども、いかなる義務も罰則もないのかどうか、この点を伺いたいと思います。

岡田政府参考人 お答えをいたします。

 御案内のとおり、本制度は届け出後の事後チェック制度をしっかり機能させることが前提となっておりまして、消費者庁は、開示資料を端緒として寄せられる疑義情報も活用して、届け出情報の公表後に、安全性や機能性に関する科学的根拠等について、食品表示法に基づき事後監視を行うということとしております。

 また、市場に流通する機能性表示食品を実際に購入いたしまして、その表示が適正かどうか、機能性関与成分が届け出どおりに含有されているかどうか等について調査分析を行うことも検討しておりまして、そのために必要な予算も計上しているわけでございます。

 機能性表示食品の監視につきましては、消費者庁と全国百四十一カ所の保健所等の保健衛生部局が連携いたしまして、適正な表示が行われるよう監視する体制も整えたところでございます。

 こうした取り組みによりまして、科学的根拠に基づかない表示がなされた食品の流通を防ぐべく、制度を運用してまいりたいというふうに考えております。

梅村委員 体制の強化ということですけれども、新しい制度が始まって、体制的にはどのように強化をされるんでしょうか。

岡田政府参考人 お答えをいたします。

 平成二十七年度の消費者庁の定員ということでございますけれども、監視体制の強化といたしまして、食品表示法や新たな機能性表示制度の施行のための執行体制の構築ということで五名の増員をいたしたところでございます。

梅村委員 あのような情報を表示していく、チェックしていくということでいえば、五名でできるのかどうかというのはいろいろな議論もあると思いますけれども、ぜひその点、拡充をしていただきたいなというふうに思います。

 次に、時間の関係もありますので、トランス脂肪酸表示の問題について御質問をしたいというふうに思います。

 これの表示義務化に踏み切らなかった理由として、世界の摂取量、その一%未満を下回っているという考え方があることは参議院の方での議論でもあったかというふうに思います。

 しかし、子供たちがよく食べるマーガリンでも十三グラム、菓子パイ七・三グラムと、非常に大きく基準を超えている一部の食品もあるわけですけれども、一%を下回っているでは説明にならないのではないか。これらを食べ続ける子供たちへの影響、それをどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

岡田政府参考人 お答えいたします。

 食品表示法に基づく栄養成分表示につきましては、消費者における表示の必要性、事業者における表示の実行可能性、それから国際整合性の全てを満たすものにつきまして義務表示といたしたところでございます。

 御指摘のトランス脂肪酸につきましては、脂質の多い食品に偏った食事をしている場合はその摂取量が高くなる可能性があるとされているわけでございますけれども、日本人の大多数のトランス脂肪酸の摂取量はWHOの目標を下回っておりまして、食品安全委員会の食品に含まれるトランス脂肪酸評価書におきましても、通常の食生活では健康への影響は小さいというふうにされており、消費者全体への表示の必要性は必ずしも高いとは考えられないという整理をしたところでございます。

 また、食品中の栄養成分の含有量の合理的な推定を行うための書籍、文献等も必ずしも充実していないということから、事業者の実行可能性も高いとは考えられないということでございます。

 さらに、国際整合性につきましては、コーデックス委員会の栄養表示ガイドラインにおきまして、摂取量の水準が公衆衛生上の懸念となっている国では表示を検討すべきとされておりますけれども、さきに述べましたとおり、我が国では公衆衛生上の懸念とはなっていないという状況でございます。

 以上のことから、トランス脂肪酸の表示につきましては、義務ではなく任意表示といたしたところでございます。

梅村委員 これは、世界ではもう義務化が当たり前となってきております。

 一%を下回っていると言いますけれども、それは平均であって、子供たちに毎日御飯をつくっていれば本当に実感だと思うんですけれども、プロセスチーズでも一・一グラム、ナチュラルチーズでも一・五とか、マーガリン十三グラム、ショートニング三十一グラム、クッキー三・八、カレールーも一・六、ハヤシルー四・六。

 やはり子供たちが今の食生活の中で毎日口にするようなものに多く含まれてきているわけで、だから、子供たち、お母さんたちが一日も早く表示をしてほしいと望んでいるわけです。主婦連もそれを望んできております。ですから、義務化しない理由がないというふうに思います。

 このお母さんたち、子供たちの未来の体を守っていくためにも、ぜひ世界と同じように義務化することを求めまして、質問を終わっていきたいと思います。

鴨下委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十九分散会


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