衆議院

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第4号 平成28年4月27日(水曜日)

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平成二十八年四月二十七日(水曜日)

    午前八時四十分開議

 出席委員

   委員長 江崎 鐵磨君

   理事 穴見 陽一君 理事 武村 展英君

   理事 永岡 桂子君 理事 原田 憲治君

   理事 堀内 詔子君 理事 井坂 信彦君

   理事 中根 康浩君 理事 國重  徹君

      小倉 將信君    大塚 高司君

      大西 宏幸君    岡下 昌平君

      加藤 鮎子君    金子めぐみ君

      鴨下 一郎君    木村 弥生君

      小島 敏文君    小林 史明君

      後藤田正純君    田畑 裕明君

      武井 俊輔君    比嘉奈津美君

      前川  恵君    前田 一男君

      小熊 慎司君    田島 一成君

      西村智奈美君    水戸 将史君

      柚木 道義君    古屋 範子君

      吉田 宣弘君    梅村さえこ君

      清水 忠史君    丸山 穂高君

    …………………………………

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            河野 太郎君

   内閣府副大臣       松本 文明君

   経済産業副大臣      鈴木 淳司君

   政府参考人

   (消費者庁次長)     川口 康裕君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    井内 正敏君

   政府参考人

   (経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 松尾 剛彦君

   衆議院調査局第一特別調査室長           大野雄一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十七日

 辞任         補欠選任

  金子 恵美君     小熊 慎司君

同日

 辞任         補欠選任

  小熊 慎司君     金子 恵美君

    ―――――――――――――

四月七日

 特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)

 消費者契約法の一部を改正する法律案(内閣提出第四五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)

 消費者契約法の一部を改正する法律案(内閣提出第四五号)


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     ――――◇―――――

江崎委員長 これより会議を開きます。

 議事に入ります前に、委員会を代表して一言申し上げます。

 このたびの平成二十八年熊本地震による被害でお亡くなりになられた方々とその御遺族に対しまして、深く哀悼の意を表します。

 また、被災者の皆様に衷心よりお見舞いを申し上げる次第であります。

 これより、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。

 全員の御起立をお願い申し上げます。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

江崎委員長 黙祷を終わります。御着席ください。

     ――――◇―――――

江崎委員長 内閣提出、特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案及び消費者契約法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。河野国務大臣。

    ―――――――――――――

 特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案

 消費者契約法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

河野国務大臣 ただいま議題となりました特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案及び消費者契約法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。

 まず、特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。

 近年、高齢化の進展を初めとした社会経済情勢の変化及び違反事業者の手口の巧妙化、複雑化等により、特定商取引を取り巻く環境は大きく変化しております。特に一部の悪質事業者が繰り返し消費者被害を発生させる事案が問題となっているとともに、依然として、高齢者が深刻な消費者被害に遭う事例も報告されています。

 こうした状況を踏まえて、主務大臣の法執行に関する権限の強化等を図り、特定商取引における取引の公正及び購入者等の利益の保護を図るため、この法律案を提出した次第です。

 次に、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、悪質事業者への対策を強化するため、主務大臣は、販売業者等に業務の停止を命ずる場合において、当該販売業者等の役員等に対し、停止を命ずる範囲の業務を新たに開始すること等の禁止を命ずることができることとしています。そして、この業務の禁止を命ずる期間については、業務の停止を命ずる期間と同一の期間とすることとしておりますが、業務の停止を命ずることのできる期間の上限をこれまでの一年から二年に引き上げることとしています。

 第二に、所在等が不明な事業者に対して迅速に行政処分を行うことができるようにするため、公示送達に関する規定を設けることとしています。

 第三に、主務大臣は、本法律に違反する行為によって財産的被害を受けた購入者等の利益の保護の観点から、処分事業者に対して必要な指示を行うことができるよう、規定の整備を行うこととしています。

 第四に、電話勧誘販売において通常必要とされる分量を著しく超える量の商品の売買契約の締結について勧誘すること等を指示等の対象とするとともに、購入者等が当該契約の解除等をすることができることとしています。

 また、通信販売においてあらかじめ承諾や請求を得ていない相手へのファクシミリ装置を利用した広告の送信の禁止、従来は訪問販売等の規制の適用対象となっていなかった権利の販売に対する規制の拡大、意思表示の取り消し権の行使期間の伸長を行うほか、罰則の法定刑を全般的に引き上げる等の措置を講ずることとしています。

 なお、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしています。

 続きまして、消費者契約法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。

 近年、高齢化の進展を初めとした社会経済情勢の変化等により、ひとり暮らしの高齢者に対し、過量な商品等を店舗で購入させる事案など、高齢者の消費者被害が増加しております。こうした事案の中には、現行法では十分な被害救済を図ることが難しいものもあります。また、平成十三年に施行された消費者契約法についての裁判例や消費生活相談事例が蓄積しており、その傾向等も踏まえ、適切な措置を講ずる必要があります。

 こうした状況を踏まえ、消費者の利益の擁護を図るため、取り消しの対象となる消費者契約の範囲を拡大するとともに、無効とする消費者契約の条項を追加する等の措置を講ずることとするため、この法律案を提出した次第です。

 次に、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、消費者契約の締結過程に係る規律として、消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、過量な内容の消費者契約であることを知っていた場合において、その勧誘により当該消費者契約の申し込みまたは承諾の意思表示をした場合は、これを取り消すことができることとしています。また、消費者契約法の規定による取り消し権の行使期間については、追認をすることができるときから六カ月間行わないときは時効によって消滅するとされているところ、当該期間を一年間に伸長することとしています。

 第二に、消費者契約の条項に係る規律として、事業者の債務不履行により生じた消費者の解除権を放棄させる条項を無効とすることとしています。

 このほか、所要の改正を行うこととするとともに、一部の附則規定等を除き、公布の日から起算して一年を経過した日から施行することとしています。

 以上が、これら二法律案の提案理由及び概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。

江崎委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

江崎委員長 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として消費者庁次長川口康裕君、消費者庁審議官井内正敏君及び経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長松尾剛彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江崎委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中根康浩君。

中根(康)委員 おはようございます。民進党の中根康浩でございます。

 まず、きょう、やっとこの消費者契約法と特商法の質疑に入ることができたわけでありますが、今も大臣から提案理由の説明があったわけなんですが、いわゆるお経読み、趣旨説明に引き続いて直ちに質疑を行う、こういうことは異例中の異例であります。熊本地震の被災状況を鑑みて、河野大臣が防災担当大臣でもある、こういうことも考慮してこの例外をあえて認めさせていただいたということでございますので、今後の先例としないということは、ぜひこの委員会の冒頭、確認をさせていただきたいと思います。

 それで、そのことも含めてなんですけれども、きょうは水曜日ですから、各常任委員会も行われております。私自身も、厚生労働委員会と経済産業委員会がこの後同時進行していく、この消費者特と合わせて三つが同時進行していくということになりまして、この消費者特に理事としていないといけませんので、ほかの二つの委員会には行けないということになってしまうわけであります。この水曜日、常任委員会の定例日に行われるということもまた例外である、これもまた、熊本地震の被災者の皆様方に対する対策が最優先である、こういうことの中で理事会であえて決めさせていただいたということも冒頭申し上げておきたいと思います。

 それで、なかなかこの委員会が開けなかったということ、そして例外的な運営をしなければならなかったということの最大の理由の一つは、河野大臣が消費者担当大臣であるのと同時に防災担当大臣であるということなんです。河野大臣は、そのほか、国家公安委員長や行革担当、国家公務員制度担当、規制改革担当、こういうことで、合わせて六つの担当大臣を兼務しておられるというわけであります。

 防災、災害というのは、何もなければもちろん何もないで、それにこしたことはないんですけれども、しかし、危機管理ということでいえば、いつ何が起こってもいいように備えておくというのがやはり危機管理であったり防災、災害対策であるということでいえば、防災担当大臣が余りにも多くの担当を兼務するということ自体が危機管理上不適切な状況ではないかというふうに思うわけであります。災害が発生すれば、ほかのことはさておき、まず災害対策に専念をしなければならないお立場になるわけでありまして、その場合に、例えば、この消費者特のように、速やかに審議しなければならない法案等が国会にかかっていても、それに速やかに対応できないということになることが今回実証されてしまったわけであります。

 河野大臣、御自身が六つも担当を兼務しておられるということは適切なものであると御自身は思っておられるのかどうか、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

河野国務大臣 きょうの委員会でさまざま、委員長、理事あるいは委員の皆様に御配慮をいただいたこと、改めて感謝を申し上げたいと思います。

 今の御質問でございますが、全く問題ないと思っております。

中根(康)委員 それは、大臣、もう少し違う答弁を想定していたんですけれども、全く問題がないとすると、そもそももう問題が生じているんですよ。この消費者問題特別委員会が本来開かれるのは先週だったり先々週だったりしたのが、河野大臣が防災担当でそちらに専念する、あるいは、我々もそのことに対して専念していただきたい、最優先していただきたいということでここに至ったわけで、全く問題がないとは言えないと思うんです。全く問題がないということだと、非常に納得できない御答弁ということであります。

 防災担当大臣はなるべく、いざというときに備えて兼務を最小限にしておく、もしくは兼務をしないでそこに専念する立場にいなければならないのではないかというふうに思いますけれども、全く問題がないということは、本当にそういうふうに思っておられるんでしょうか。改めてお伺いします。

河野国務大臣 国会の配慮につきましては感謝を申し上げたいと思います。国会の運営につきましては、国会でお決めになることでございますから、私が何かコメントすることは控えたいと思いますが、少なくとも行政府の中につきましては何の問題も生じておりません。

中根(康)委員 たまたま何も問題が生じていないということは百歩譲って事実だと認めたとしても、しかし、今ここに、きょう消費者問題特別委員会に在席をしていなければならないということ自体が、場合によっては、一分一秒を争う災害対策に対して影響を及ぼしているかもしれないじゃないですか。

 今、それこそ車の中で寝泊まりしなければならない、そこでエコノミー症候群というもので最悪の場合お亡くなりになってしまうような方が多発をしているというような状況の中で、何か政府としてやれることはないかとか、あるいは自治体や自衛隊とかに支援を求めることはないかということをお考えになれないわけですよね、ここにいたら。

 全く問題がないというふうに御答弁されると、議論がここから前に進めなくなってしまうわけでありますけれども、本当に問題がないのかどうか、全く問題がないのかどうか、やはりこれはまた事後的に検証させてもらわなければいけないというふうに思います。

 例えば国家公安委員長と兼務をしていることだって、どこかで、今暴力団の抗争が大変心配な状況だとも言われておりまして、何か事件があったら、そちらにかかわっていかなければならないということになったりすることもあるわけであります。熊本に対する対策、あるいはそういう国家公安委員長としての仕事、そして消費者問題担当大臣としてこういう重要な法案の審議にかかわっていくということ、全く問題ないというのはやはり納得できないということを申し上げておかなければならないと思います。

 それと、もう一つこの問題に関して申し上げると、現地の対策本部長という方がいらっしゃると思うんですが、今、この方はどなたになりますか。

河野国務大臣 酒井大臣政務官が、きょう現在、現地対策本部長でございます。

中根(康)委員 酒井政務官もこの消費者問題特別委員会の担当の政務官だったんですね。そのことにおいても、兼務をしておられるということがやはり何らかの支障を与えていると言わなければならないと思います。

 今は酒井さんなんですけれども、当初はどなたが現地の対策本部長だったんですか。

河野国務大臣 松本副大臣です。

中根(康)委員 松本副大臣だったんですよね、きょうもお越しいただいておりますが。

 松本副大臣から早々に酒井政務官に現地対策本部長が交代したというのはなぜですか。

河野国務大臣 当初、一週間ぐらいの予定で行ってもらっておりました。総理の視察がなかなか、余震もあり、行うことができなかったものですから、総理から、現地の状況を、報告を受けたいというお話がありましたので、それを機会に、時期も適当でございましたので、副大臣から政務官に交代をいたしました。

中根(康)委員 当初、一週間の予定だった。大臣はお時間がもうないようですので内閣委員会の方に行かれて結構なんですけれども、当初一週間の予定だったということを辞令か何かで、当初から一週間の予定だったということが明らかになるようなものはありますか。

河野国務大臣 私が口頭で指示いたしました。

中根(康)委員 そういうものは、現地対策本部長というのは大体口頭で辞令を発令するものなんですか。

河野国務大臣 前日の夜九時半過ぎだったと思いますが、大きな地震が起きましたので、副大臣には直ちに現地に入ってもらう、そういう指示をして、用意をしていただいたところでございます。

中根(康)委員 これは、報道以上に、もう既に松本副大臣御自身からも一連の経緯についてお話もあるわけでありますけれども、必ずしも当初から一週間で、その後、酒井政務官にかわるというものではなかったはずでありまして、ここでは詳しく申し上げる時間はありませんけれども、いろいろと松本副大臣の言動に不適切なものがあって、事実上の更迭ではないか、こういうことも言われているわけでありますが、この議論はここまでにさせていただきたいと思います。

 そのほか、大臣に直接お問い合わせしたいことがあったんですけれども、時間の都合上、ここまでとさせていただきます。

 消費者契約法について質問をしてまいりたいと思います。

 消費者契約法の四条の四項、過量取り消し権のところであります。

 この四条四項が「消費者は、」というところで始まっておりますけれども、これまで民進党としても消費者庁から説明をいただいておる中では、今回の改正案は、高齢者などが合理的な判断をすることができないことによる被害を防ぐため改正が必要だという説明を受けているんですね。きょうも、大臣の提案理由の説明の中に、「近年、高齢化の進展を初めとした社会経済情勢の変化等により、ひとり暮らしの高齢者に対し、過量な商品等を店舗で購入させる事案など、高齢者の消費者被害が増加しております。」こういうことが改正の理由だということが明記をされているわけでありますが、この提案理由の説明をそのまま受けとめれば、「消費者は、」で始まるというよりも、むしろ、合理的な判断をすることができない事情にある消費者はというように、わかりやすく限定明記したような書き方、書きぶりにしてもよかったのではないかというふうにも思うわけであります。

 「消費者は、」としたことで、今回の改正は、ひとり暮らしの認知症の高齢者だけではなく、家族と暮らしたり、健康な若者等も取り消し権を認められるという解釈でよいのかどうか、お尋ねをしたいと思います。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの消費者契約法第四条四項は、事業者が消費者に合理的な判断をすることができない事情があることを利用して契約を締結させた場合、消費者が契約を取り消すことができるようにするものでございます。

 消費者契約一般を適用対象とします消費者契約法におきましては、消費生活相談の現場でも消費者契約法が十分活用されるようにするとともに、事業者の予測可能性を確保するため、できる限り客観的な要件をもって適用範囲を明確に規定する必要があると考えた次第でございます。

 また、消費者委員会の消費者契約法専門調査会におきましても、要件が不明確であれば取引実務の混乱を招きかねない等の指摘がございまして、規定を設けるにしましても、できる限り客観的な要件をもって明確に定める必要があるとされ、報告書におきましても、過量な内容の消費者契約を対象とした取り消し権を設けることが適当とされたと承知しております。

 以上を踏まえまして、消費者に合理的な判断をすることができない事情があることを客観的にあらわすために、過量な内容の消費者契約、すなわち物品その他の消費者契約の目的となるものの分量等が当該消費者にとっての通常の分量等を著しく超えるものであることを要件としたわけでございまして、第四条第四項の冒頭の「消費者」につきましては、合理的な判断をすることができない事情にある消費者はとの規定ぶりにはしておりません。今申しました要件に適合すれば、取り消しができるということでございます。

中根(康)委員 改めて確認なんですが、これは、年齢とか性別とか、あるいは障害の有無だとか病気の有無だとか、そういうことにかかわりなく、全ての消費者が過量販売の取り消し権を持てるということでよろしいですか。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおりでございます。

中根(康)委員 次に、第四条の四項で、過量であるということを示すものとして「通常の分量等を著しく超えるもの」とあるわけでありまして、では、通常の分量等であるかどうかの判断基準、判断要素は何かということでありますが、これは括弧の中に、消費者契約の目的となるものの内容、取引条件、消費者の生活の状況、消費者の認識が挙げられているわけであります。

 この中で、消費者問題というのはやはり極めて個別具体的な、日常生活に日々展開されることでございますので、あえて具体例をお示しするわけなんですが、例えば、ちょっと前になりますが、お花見のシーズンということになれば、近くの酒屋さんあるいはコンビニとかでビールとかを一度に大量に購入するというようなこともあるわけであります。

 こういうケースのような場合に、消費者の通常の生活の状況に照らせば通常の分量を超えるということになりますけれども、お花見のような、日常生活の中には当然年中行事として入ってくるけれども、ある意味特別な事情があってたくさん購入するというようなことも想定されるわけであります。

 こうしたケースは過量契約の取り消し権が行使されるということになるのかどうかということなんですが、もしそういうことが過量契約の取り消し権の行使の対象になるとすると、これはコンビニのレジの方も酒屋さんの店主の方もお仕事上大変混乱してしまうということになりかねないわけであります。

 つまり、消費者の生活の状況という文言は、消費者の日常生活を指すのみならず、お祭りのような特別な事情のある場合にはその特別な事情をも加味した生活の状況というように解釈をするということでよろしいのでしょうか。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおりでございます。

 消費者の生活の状況には、消費者の世帯構成人数、職業、交友関係等の日常的な生活の状況のほか、たまたま友人が家に遊びに来る等の一時的な生活の状況も含まれると考えております。したがいまして、お祭りのような特別な事情も消費者の生活の状況に含まれると考えております。

中根(康)委員 引き続き、お花見のようなことをちょっと例に挙げて質問していきたいと思います。

 お花見に行きたい、行こうと思って、通りがかりのコンビニでお酒やビール、あるいはおつまみやお弁当をたくさん買うというようなケースの場合に、例えば、店内に、お花見には何々ビールが最高だ、お花見にはこのビールがうまい、こういうポップというかポスター等が掲示をされてあって、それを見てなるほどと思って消費者がそのビールなどをたくさん購入した場合には、もし、こういうポスター等を見てそのビールを選んだということになるとすると、それは勧誘に当たるということなのかどうなのかということでございますが、いかがでしょうか。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 コンビニのように、消費者がみずから大量のビールを持ってレジに来るというような場合は、そもそも勧誘とは消費者の契約締結の意思の形成に影響を与える程度の勧め方をいうというものです。お尋ねのような消費者がみずから商品をレジに持参した事例では、事業者から何の働きかけもなされておらず、消費者の契約締結の意思の形成に影響を与えるような勧誘はなされていないということでございます。したがいまして、御指摘の事例では取り消しは認められないということでございます。

中根(康)委員 通常という言葉も、先ほど御紹介申し上げましたように、通常という言葉があったり、通常とは何か、あるいは過量となる分量、回数、期間とはどんなものか、こういうことがやはり実際のビジネス上大変問題になってくると思うんですね。

 いずれにいたしましても、こういう取引の現場において、実務において、消費者にもあるいは事業者にも不利益や混乱が生じないように、丁寧な解説や周知がこの法改正後、成立した後は当然必要になってくると思いますけれども、消費者庁としてはどのような取り組みをしていかれるお考えでしょうか。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘をいただきましたように、改正法の内容につきましては、成立の暁には、しっかりと逐条解説等において丁寧に解説をしていくことが重要と考えております。

 同時に、消費者、事業者、消費者行政担当者向けの説明会を積極的に開催することや、全国各地の消費生活センターで相談業務を担う消費生活相談員向けの研修も開催することによって、しっかり周知してまいりたいと考えております。

中根(康)委員 消費者契約法について幾つかお尋ねをしてきたわけなんですけれども、消費者契約法の改正案においても、あるいは特商法の改正案においても、いずれも出てくる文言が過量ということでありますけれども、今、逐条解説的に消費者や事業者にも丁寧に説明をしていくお取り組みをする予定だという御答弁をいただいたわけなんですが、もう一点だけちょっとお聞きをしたいと思います。

 消費者契約法にある過量という言葉と特商法にある過量という言葉には、その判断基準には違いがあるのかどうか、こういうことであります。特商法では訪問販売と電話勧誘販売の過量契約が取り消せるようになって、消費者契約法でも過量販売を取り消せるということになっておりまして、消費者契約法では過量であることを事業者が知って勧誘したという要件が加わる、こういうことでもあります。

 この二点の質問なんですけれども、消費者契約法と特商法の過量という言葉に違いがあるのかどうかということと、もう一点聞きたいのは、消費者契約法では過量であることを事業者が知って勧誘したという要件が加わる、これは特商法との違いは何かということについて、この二点について重ねてお尋ねしたいと思います。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 特定商取引法の過量販売解除は不意打ち性のある訪問販売及び電話勧誘販売を対象としており、過量とは、契約の目的となるものの分量等が日常生活において通常必要とされる分量等を著しく超えることとされております。これは、商品等の性質、機能や消費者の世帯構成人数等の個別の事情に鑑み、個別の消費者にとって社会通念上必要とされる通常量を著しく超えた取引が行われている場合を規定したものでございます。

 これに対しまして、消費者契約法は、取引類型や商品、サービスのいかんにかかわらず、消費者契約全般に適用される法律であるため、より具体的かつ明確な規律としております。こういう観点から、過量とは、契約の目的となるものの分量等が当該消費者にとっての通常の分量等を著しく超えることとした上で、その判断に当たって考慮する要素を具体的に列挙しているという書き方になっております。

 二つの法律における過量の要件については、それぞれの法律の趣旨に従って解釈されるものと考えられます。文言が異なるため、厳密には過量の概念も異なると考えられますが、ただし、結果的に過量性が認められる範囲には大差がないというふうに考えている次第でございます。

 同時に、消費者契約法の場合、過量であることを事業者が知って勧誘したということでございますが、これは、消費者契約法は消費者契約一般、全てにかかわってくるというものでございますので、その際には、その内容、行為の悪質性というものを要件にするということが消費者委員会からの答申でも受けておりまして、それをもってこういう形に規定しているということでございます。

中根(康)委員 特商法では知っているということが要件になっていないのはなぜかということについて、もう一回お尋ねしたいと思います。

井内政府参考人 特商法の場合には、訪問販売、電話勧誘販売につきましては、不意打ち性というものがございます。それで、取引類型がその形でやはり消費者にとって問題となることが起こる、そういう観点から、既に規定の内容としては今のような形になっているということでございます。

 特商法の方では不意打ち性、消費者契約法の方では知りながらという悪質性というものを入れている、その違いがあるということでございます。

中根(康)委員 特商法では不意打ち性が悪質な場合は取り消しの対象になる、消費者契約法では知っていて必要以上に売りつけた場合は取り消しの対象になる、自分の言葉で言うとそういうことになるのかなということで、よろしかったでしょうか。はい。

 第十条についてお尋ねしたいと思いますけれども、無効な契約条項の例示として、消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申し込みまたはその承諾の意思表示をしたものとみなす条項を追加しておりますが、この条項が必要となった立法事実を教えていただければと思います。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 法第十条の前段が規定している内容は、消費者契約の条項が任意規定、これは、法令の規定で、当事者が当該法令の内容と異なる意思表示をすれば排除することができるものということでございますが、それに比べて、消費者の権利を制限し、または消費者の義務を加重する場合をいうものでございます。

 ここで言う任意規定につきまして、建物賃貸借契約における更新料条項の有効性が争われた事例で、最高裁は、「明文の規定のみならず、一般的な法理等も含まれる」と判示しました。しかし、現行の法第十条の文言では、それが必ずしも明らかでございません。そのため、一般的な法理等と比べて、消費者の権利を制限し、または消費者の義務を加重する条項を法第十条前段に例示することによりまして、最高裁判例の趣旨を明らかにする必要があると考えられます。

 そのような条項のうち、消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申し込みまたはその承諾の意思表示をしたものとみなす条項による被害の実例が見られましたことから、これを例示することとしたものでございます。

中根(康)委員 消費者が何もしなかった場合に契約の申し込みをしたとみなす条項は消費者の利益を一方的に害する条項の例となる、こういうことでありますが、この第十条の新たな消費者契約、例えば、ある雑誌とかの定期購読の場合なんですけれども、連絡がない限り、この定期購読は有効に継続し、毎月お届けします、こういうケースはこの例示に該当するかどうかということ。

 これは、今までもいろいろな、部門会議とか民進党の会議で、ウオーターサーバー等は該当すると。ウオーターサーバーをまずお試しに置いた場合に、何も連絡をしない場合はそのまま契約されたものとみなすというようなことがこれに該当するという説明を受けたような気がしますけれども、このウオーターサーバーと雑誌の定期購読とはどう違うかということはいかがでしょうか。

井内政府参考人 例につきましては、例えば、ウオーターサーバーを購入した際に、その条項の中に、健康食品を今後送るということで、その場合、断る意の意思表示がないとその後ずっと送られてくるというような場合であれば、これは、前段とともに後段の信義則と両方が当てはまった場合に無効となるということで、そういう場合には無効になる。

 あと、定期購読の件でございますけれども、前段に当たるような定期購読というのは、定期購読契約に一定の期間が定められており、当該期間が終了しても消費者から連絡がない限り契約が更新されるという条項である場合には、当該条項が第十条前段の例示には該当すると考えられます。

 ところが、通例のビジネスとして、消費者にとっても便利であるようなこのような条項については、後段の信義則には当てはまらないと考えられるのが通例でありますので、その場合には無効にならないということでございます。

中根(康)委員 つまりは、雑誌の定期購読等は、現在消費者が享受している利便性が維持される、こういうことで、これは通常のビジネス上否定されるものではない、むしろ、消費者の利便性からいうと、肯定的な位置づけになる。連絡がない限り毎月お届けしますというような形態は、健全な事業者であれば消費者の利便性に寄与するということにもなるわけで、この第十条は、あくまでも消費者が予期しない悪質なものを想定して無効とするのであって、通常ビジネスで利用されているサービスを想定したものではないということで解釈してもいいということですね。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、この第十条は前段と後段がございます。その両方が満たされたときに無効になるというものでございます。

中根(康)委員 これは最後の質問になると思いますけれども、特商法の方でございます。

 附則第六条に施行後五年後の見直しという規定がなされておりますけれども、現状の社会情勢の変化のスピード感からいって、五年先はどんな新しい商法が生じているか全く見通せないような、科学技術の進展の度合いとか、あるいはさまざまな売買形態の変化ということもあるし、あるいは高齢社会もさらに進展というか助長されていく、こういう状況の中で、五年先の見直しということであってはちょっと時代についていけなくなる状況が生じてしまうのではないか、せいぜい三年後ぐらいの見直しにすべきではなかったかというふうにも思います。

 五年の見直しは長過ぎるような気がしますが、この点についていかがお考えでしょうか。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 改正法附則第六条でございますが、これは施行後五年を経過した場合における施行の状況についての検討を求める規定でございます。

 ただ、これは五年を経過しないといわゆる見直しを行うことができないという旨の規定ではございませんので、改正法の施行状況、あるいは消費者のトラブルの状況、あるいは先生御指摘のような経済社会の変化等を見ながら、消費者委員会からの答申を十分踏まえつつ、見直しを行う必要が生じた場合には適切な対応を行っていくという前提での規定でございますので、御理解いただければ幸いでございます。

中根(康)委員 まだ一分ほど時間がありますので、当初大臣にお尋ねしたいと思っていたものを松本副大臣がお答えいただければと思って質問するわけなんですが、奨学金の話なんです。

 時間がありませんので余り長々とは申しませんけれども、奨学金は滞納するとブラックリストに載せられてしまって、これが若者にとって大きな負担が長続きしてしまう。クレジットカードもつくれない。返したとしても、五年間はブラックリストに載り続けるわけなんですね。

 この状況は余りにも若者にとって過酷じゃないかというふうに思うんですが、最低でもブラックリストに載るということはやめてもらえないかというふうに思うんですけれども、この点いかがでしょうか。

松本副大臣 日本学生支援機構において貸与された奨学金の延滞者のうち一定の基準を満たす者については、延滞者への各種ローン等の過剰貸し付けを抑制し、多重債務への移行を防止するため、当該延滞者の情報を個人信用情報機関に提供しているという状況は承知をしているところであります。

 日本学生支援機構では、あわせて、さまざまな事情により奨学金の返還が困難な者に対しては、毎月返還額の減額や返済期限を猶予するなどの救済制度を設けております。奨学金借入者の多重債務化への移行を防止するという観点から、奨学金返還困難者に対する救済制度について、より一層の周知が図られるということが重要だ、こう考えております。

 また、学生の経済的負担の軽減については、給付型奨学金などについても所管省庁で検討が行われているということでありますが、さらによい制度となることを期待しております。奨学金の猶予ということを設けておるところでありまして、今後の十分な検討課題ということだと考えております。

中根(康)委員 質問したことは、ブラックリストに載せないようにすることだけでもできないかということを河野大臣から関係機関に働きかけていただきたい、こういうことを申し上げたかったんですが、まあ改めて、これは改めます。

 時間が参りましたので、終わります。

江崎委員長 次に、水戸将史君。

水戸委員 民進党の水戸将史でございます。

 きょうはたっぷり民進党に時間を割り振っていただきましたものですから、私の方からも、二番目としてお話をさせてください。

 今回の法改正の案は、やはり高齢者に一定の配慮をしているということが散見されるわけでありますが、ますます我が国日本は高齢化、高齢社会ですよね。平成二十七年度の高齢社会白書によりますと、六十五歳以上の高齢者人口は三千三百万人を数えまして、総人口に占める割合も、はや二六%、過去最高になっております。人口問題研究所の推計によりましても、今後とも高齢者人口は二〇二〇年までは急速に増加をいたしまして、その後はおおむね安定的に推移するとされています。総人口の減少傾向が進展する中、高齢化率は上昇を続け、二〇二〇年には全体の二七・八%に達するであろうことが予測されています。

 これは誰しもがわかっている話でありますけれども、そこで、まず第一の質問では、こうしたいわゆるいろいろな推計値も含めて、高齢化の進展に伴って、昼夜自宅にいることが多いと思われる高齢者が、訪問販売や電話勧誘販売を受ける機会が比較的多くなると思いますけれども、この現状分析、これをどう捉えていらっしゃるのか。そして、今回の法改正はこれに対してどのような対応をされるのか。簡潔にでいいです、まず冒頭ですから。

川口政府参考人 私から、前半部分の現状についてのみ御報告いたします。

 六十五歳以上の高齢者の方についての消費生活相談件数でございますが、先生御指摘のような高齢者人口伸び率を大きく上回った伸びとなっておりまして、私どもが把握しているだけで、二十六年度、相談件数は二十七万件ということでございます。

 被害の背景には、御指摘のような社会的孤立、判断力の低下なども潜んでいるということでございまして、高齢者の判断力の低下等に乗じまして大量に商品を購入させるといった過量販売の被害事案も発生しているということでございます。

 現状については以上でございます。

松本副大臣 消費者被害の未然防止のための措置と事後的な救済の措置の両方が重要だ、こう考えておりまして、具体的には、未然防止の措置として、業務停止命令を命ぜられた法人の役員等に対する業務禁止命令制度の創設、違反行為に対する刑事罰の抜本的強化といった措置を考えております。そしてまた、事後的な救済の措置として、消費者契約法の一部を改正する法律案において、過量な内容の消費者契約の取り消しの措置を講じているところであります。

 未然に防ぐということと事後の措置を徹底する、この両方を組み合わせて、高齢化の進展や悪質事業者の手口の巧妙化といった課題に対応をする、こういう考え方であります。

水戸委員 総論的に、未然の防止と事後のいわゆる救済措置、これを今回の法改正に盛り込んでいるということは了解いたしました。

 そして、その中でも、やはり認知症を抱える高齢者、これもどうしても多くなるだろうという話でありますから、二〇一五年で六十五歳以上の約一割を占めていますね、今。さらにその割合は上昇していくと思われます。

 いわゆる認知症、判断力に非常に問題があるとされる高齢者はますますふえるということが、深刻な状況をこれから呈してくるわけでありますが、こういうことに関しても、今回の法改正はどのような形で対応されるのか。これも総論的に、簡潔にお答えください。

川口政府参考人 法改正における対応という意味では先ほど副大臣から御答弁したとおりでございますけれども、この法案は、いわば消費生活センターなどに本人ないし周りの方が相談をするという仕組みと相まって機能するものというふうに考えておりまして、見守りネットワークの仕組みですとか、消費生活相談員のしっかり研修をするとか、そういう制度と相まって、先ほどの特定商取引法の改正あるいは消費者契約法の改正というのを盛り込んでいるところでございます。

水戸委員 総論的に、今、二問質問をしました。これはまた後から、改めて、このことをまず認識を私たちもしながら、法改正をどのような形でしているかに関して問いただしていきたいと思っています。

 ちょっと話題をかえます。

 電力の自由化、これが四月からスタートいたしました。電力の小売会社、新電力というんですか、料金の安さとか独自のサービスを展開しているようでありますけれども、現時点におきまして、こうした電力の自由化、四月以前もいろいろな形で業者が販売攻勢をしかけているわけでありますけれども、契約先が変更になった、要するに、顧客の方として、新しい電気会社、新電力を選ぶというようなことも当然今までの中であったと思われますけれども、現状どのような形で変更がされているか、それをお答えしてください。

鈴木副大臣 現在、契約先の切りかえ、スイッチングでありますが、その申込件数は既に六十八万件以上、四月十五日時点でありますが、となってございます。

 この申込件数は、一般家庭、商店などの今般自由化された需要家、約六千二百六十万件ございますが、そのうちの約一・一%に相当するものでございます。

 なお、三月の時点でございますが、消費者の約八割が契約先の切りかえを検討する意向を示しておりますので、今後、契約先の切りかえがさらに進むものと考えております。

水戸委員 これは欧米にも見られる傾向でありますから、また新しい商品を、安いもの、よりサービスのいいものを選択していくというのは、これは消費者の選択の基準になりますから、この件数がふえてくるということは当然予測されるんですけれども、こういうような形で、消費者がその選好、いわゆる選択肢がふえればふえるほど、やはり同時並行的に消費者問題というのは出てくるものであります。これは開始以前からもいろいろと取り沙汰されておりますけれども、実際に実害も出ていると聞いていますが、具体的にどんなような被害が出ているんでしょうか。

川口政府参考人 電力小売自由化に関連いたします消費生活相談でございますが、二〇一四年四月から、関連するという意味では千二十五件の相談が寄せられております。これは消費生活センター等でございます。

 件数の推移を見ますと、事業者の営業活動が本格化した本年一月以降急増をしておりまして、一月から三月では、私どもが承知している限り、八百十件ということでございます。

 内容でございますが、消費者に対する説明が不十分な営業行為と見られる相談がございます。

 それから、電力自由化に便乗して、電力そのものではなくて、他の商品、サービスの営業を行うというものについての相談も寄せられておりまして、被害が疑われるというところまでのものはほとんどないわけでございますけれども、例えば、電力自由化になるので売電価格は下がらないといった虚偽の説明をして太陽光発電システムの契約をさせたとか、電力自由化で間違いないと言われて購入した株が暴落したとか、そういうようなものが具体的な被害がうかがわれるものでございます。

水戸委員 これからますますそういう苦情とか相談件数がふえてくると思いますから、しっかりとした監視機能を高めていって、電力の自由化に余り支障のないようなことをやはり行政としても取り仕切っていっていただくことを期待します。

 当然、こういうことが進めば、やはり訪問勧誘とか電話勧誘が、この電力の自由化に関して、また新たな商機となるというか障害となりまして、不意打ち的に勧誘による消費者被害がふえる可能性があるということも十二分に考えられますけれども、こうした悪質な勧誘に関しまして、今回の法改正はどのような形で被害を防止しようとすることになるんですか。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法改正につきましては、罰則の強化等も図っておりますし、あと、行政処分をしやすいような改正もしております。法執行の面でしっかりと対応するということと同時に、先ほども御答弁がありましたように、この法改正だけではなくて、見守りネットワークを使ったり、そういうようなことと相まってしっかりと対応していきたいというふうに考えております。

水戸委員 今の御答弁、非常に不十分であります。もちろん、悪質な勧誘に関しましては、今回の法改正ではなかなか措置できないということはよくわかりました。

 電力自由化に伴っての監視体制ですけれども、今、電力取引監視等委員会が設置されていますよね。しかし、引き続き来年四月には、電力のみならずガスも、都市ガスの販売も自由化される予定でありますが、エネルギー分野に関して、エネルギー分野の専門的なこうしたことを取り扱うことに、やはり消費者の苦情というのはいろいろな形で寄せられてくる可能性がありますから、それに対応する紛争解決の機関の設置も、これから専門的に、特にこうしたエネルギーの消費というものに関する自由化が進めば進むほどということで、こういうものの必要性はどういう形で認識されていますでしょうか。

松本副大臣 これから電力を初め小売の全面自由化ということが行われるわけでありますが、一番大切なことは、消費者の皆さんがおのおのの自分のニーズに合った電気事業者なりガス業者なりということの選択ができる、料金メニューを選択できる、あるいはサービスを選択できるための十分な状況が提供されるということだ、こう考えております。

 このため、電力の場合、電源構成等の必要な情報が消費者にわかりやすい開示方法で提供されるように、これまでも経済産業省に対して働きかけを行ってきたところであります。

 消費者には、消費者の選択が社会を変えるんだということもよく御認識をいただければ大変ありがたい、こう考えているところであります。

 消費者庁におきましては、情報開示が進んで消費者が応援したい事業者を選択できるように、引き続き経済産業省に強くお願いをしていく、今そういう状況にあります。

水戸委員 言っている意味が違うんですけれども。ちょっと済みません、そこには書いてないかもしれませんけれども、私が言っているのは、これから電力の自由化、ガスの自由化が進んでくるんだからこそ、消費者問題も同時並行的にふえてくる可能性がある、その危険性があるからこそ、やはり、エネルギー分野を専門的なものとして、いわゆる紛争解決とか消費者の苦情に対応するような機関を消費者庁としても設ける必要があるんじゃないかと言っているんです。どうですか。

川口政府参考人 御指摘の電力小売全面自由化ということについては、消費者への影響も大きいということでございまして、消費者にもいろいろな問題が発生し得るということでございますので、現時点では、全国七百八十余りある消費生活センターでしっかりこの相談を受けられるようにということで、まず消費者には、一八八、「いやや」という番号を宣伝いたしまして、消費生活センターでしっかり相談をするということ、それを国民生活センターが集約いたしまして、私どもにも情報をもらいまして、それをさらに注意喚起していくということをやっております。

 さらに、国民生活センターの方では、経産省の電力取引監視等委員会と連携協定を締結いたしまして、しっかりと連携をしまして、電力小売全面自由化に向けたトラブル防止体制をつくっている、そういうことが現状でございます。

水戸委員 現状を聞いているんじゃないんですよ。これから、今後どうするんだという話をしているんですね。もうちょっとそれは検討してください。答弁になっていませんよ。

 さっき副大臣も言ったように、電源構成開示、要するに、どんな発電所から電気を仕入れているかを消費者に知らせるという、いわゆる電源構成の開示ですよね。購入する立場の消費者として、例えば、原発から出ているのか風力から出ているのか、そういうもののどこの電気を我々自身が使っているのかということを知らせるという、そうした開示ですよね。

 現状、どの程度新電力が実施しているのか、これに対して経産省のスタンスはどういうスタンスですか。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生お話ございました電源構成の開示、これにつきましては、私どもといたしましても、電気の消費者の選択の機会の拡大、これを実現していく上で非常に重要であるというふうに考えております。他方で、規制は極力廃止しまして、事業者の自由な創意工夫に委ねることで活発な競争を促すということもこのシステム改革の趣旨でございます。

 そういった中、そもそも電気と申しますのは、御案内のとおり、商品の性質としまして、発電所で発電された電気は送電網でまざってしまいますので、需要家の方からいたしますと、どの発電所から発電された電気かということがその品質には影響してこない。こういう中で、どの程度の厳しい要請をしていくかということが議論かと思っております。

 こういった中で、私ども、審議会での御議論を経まして一月に指針を設けまして、この中で、電源構成の表示を望ましい行為と位置づけまして、表示の仕方のルールを定めますとともに、事業者の自主的な取り組みを促す努力義務をかけたところでございます。

 この後、事業者向けの説明会を開催しまして内容の周知を行いますとともに、現在、今まさにお話ございました開示状況の調査を行っているところでございます。開示が進みますよう、しっかり取り組んでまいりたいというふうに思っております。

水戸委員 また後から聞きます。

 消費者の立場として、きょう、消費者庁に答えてもらいたいんだけれども、結局、どのような方法で発電された電気を販売して、それを購入していくかという情報は、やはり、消費者が電力会社を、購入先を選ぶに当たって重要なファクターだと私は思うんですよ。自分はこれに貢献している、例えば風力や太陽光等々、こうした自然界のエネルギーを自分は使っているんだ。消費者の立場に立てば、その方がいい。原発はだめだから原発からは要らないよというふうな、そういう人もいるかもしれない。

 そういうことでございますから、消費者の立場、目線に立っていくならば、やはりそういう内訳を知るのは消費者の権利だと思うんですよ。これは権利じゃないですか、どうですか、大臣。

川口政府参考人 一般的に、消費者が事業者から十分な情報をいただいて、それを選択することができるということは、消費者基本法等で消費者の権利というふうにされているところでございます。

水戸委員 そういうふうな認識だから、これでは消費者庁もだめですね。

 結局、経産省も電力をこういう形で自由化して、売る側の立場は、それはそれでいいんだけれども、やはり、これを受ける側というか、それを購入する立場からもこれはやっていく必要がある。

 欧米はもう義務化しているんですよ。別に欧米のことが全ていいとは言いませんけれども、やはり消費者の選択のための情報の提供は、もちろんこれは、経産省マターからいっても、地域の再生可能エネルギーを選択することにつながっていきますし、地方創生に基づく雇用の創出とか地域経済に寄与するのではないかというふうに十二分に思われるわけでありますから、やはり、事業者によって表示の内容や条件が異なることのないように、表示のルール化、先ほど若干触れましたけれども、または事業者間でも比較できるような、そうした形で、全ての電力小売事業者に表示を義務づけるということをこれから検討課題として十二分に、これはヨーロッパのことを参考にしながらやるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

川口政府参考人 消費者の方からしますと、もっと環境に優しい発電を応援したいという場合には、再生可能エネルギーで発電した電気に力を入れている会社と契約をする、また、地元の地域創生を応援したいという場合は、地元で発電された電気を供給しているという会社と契約をする、そういう消費者が応援したい事業者を選択するということができれば、それは、事業者を選ぶことを通じて消費者が社会を変えることにもつながる、そういうのが消費者庁の認識でございますので、こうした選択ができやすい環境をつくっていくという方向で経産省にも働きかけをしてまいりたい、今までもしているところでございます。

水戸委員 その働きかけは積極的にやっていただいて、いわゆる統一的な形、消費者が選択しやすいようなことを、やはりそれを開示できるような環境が私は必要だと思うんですよ。

 ぜひ、経産省もきょう来ていますから、そういうことを踏まえていただいて、双方で連携をとって、やはり消費者の目線から取り組んでいただくことを強く要望したいと思っています。

 話題をかえまして、PIO―NET情報について若干お伺いしたいと思うんです。

 今回の法改正に当たりましても、PIO―NET情報というものが、こういうデータに関しての信頼性がどうのこうのということが議論されたと聞いております。

 そもそも、PIO―NETという情報がどれだけの存在意義があるのか、また、その活用実績につきまして、簡潔にお答えいただけませんか。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 全国消費生活情報ネットワークシステム、通称PIO―NETでございますけれども、国民生活センターと消費生活センターとをオンラインネットワークで結んだシステムでありまして、蓄積されたPIO―NET情報を地方公共団体における消費生活相談員が共有し、相談業務へ積極的に活用しているものでございます。

 また、PIO―NET情報は、消費者被害の把握に有効であることから、注意喚起や法執行等を担当する国の行政機関等において利用されるとともに、弁護士会や警察への法令照会にも活用されるなど、消費者行政において重要な役割を果たしております。

 また、さらに、蓄積されたPIO―NET情報は、これを分析することにより、消費者庁その他の府省庁等において、法改正のために有益な資料として活用されているところでございます。

水戸委員 今、有益とか有用とか、消費者にとっては非常にいい、消費者が寄せる情報としては非常に有益で有用であるという話を何度もされましたよね。

 法改正のために貴重な、今言った有益な、有用な情報源となるはずのPIO―NETというものですけれども、仄聞するところ、いろいろな寄せられた苦情件数の中に、今回の特定商取引法の適用除外となるような商品や役務に対する苦情とか、勧誘には該当しない苦情が含まれているのではないか、また、苦情ではなく問い合わせも含まれているんじゃないかという形で、非常に疑いが、このPIO―NET情報のいわゆる信憑性が非常に揺らいでいるようなことも聞くんですけれども、この実態はどうでしょうか。

松本副大臣 御指摘のPIO―NET情報でありますけれども、これは相談者からの申し出情報ではありますが、専門性を有する相談員が事実関係を聴取、チェックした上でシステムに入力をしております。その後、それを地方公共団体職員が精査、決裁をした上で登録をされていることから、相応の信頼性を有するものだと考えられます。

 また、同種の相談情報が多数登録された場合は、真実性がより高いものとなると考えております。十分に信頼性を有すると判断されることから、これまでも、登録された情報を法改正に役立ててきたところであります。

 今後も、PIO―NET情報を法改正に一層活用できるよう、登録情報のさらなる精度向上を地方公共団体に依頼するとともに、情報を利用する際の精査やシステムの改良についてもしっかり取り組んでまいりたい。

水戸委員 法改正に非常に資するような形でPIO―NET情報を今までも活用されてきたという副大臣の御答弁がありましたよね。

 しかし、今回の特定商取引法の改正に当たりましては、こういうことが事業者から出ております。どういうことを言われているかというと、PIO―NETのデータが消費者苦情の傾向や問題性の高い特定の事業者の動静を知る上で参考資料として活用可能であるとしても、立法事実を検証する重要な局面においては、慎重な精査が行われていないままに使用されることについては適切ではないと考える。

 結構手厳しい形で事業者からPIO―NET情報についてのそうした御批判がありますけれども、この事業者側の批判というのは当たっているんですか、当たっていないんですか。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の特商法の改正におきまして、内閣府の消費者委員会の専門調査会で、事業者側の方からもそういう御指摘があったということは承知しております。

 先ほども副大臣の方から御答弁がありましたように、各地の消費生活センターで専門の相談員の方が入力しているわけでございますけれども、その中に入っている相談の内容についてしっかりと分析をする、一つずつその内容を法改正のときには精査するという作業が必要であって、そのためには、今後も、どのような分析の仕方、あるいは、現場の相談員の方には負担になるかもしれませんけれども、どういうような形で入力していただくのがいいか、引き続き検討が必要ということでございます。

水戸委員 もう一回聞きますよ。

 さっき副大臣は、これは法改正に有用な情報源で、活用してきたと言っているんですよ。もう一回聞きますよ。でも、今回の法改正に当たりましては、事業者側から、こうしたデータの信頼性、情報の事実が立法事実にはたり得ないと明確に言われているんですよ。

 今回の法改正に当たって、この情報というのは立法事実にたり得なかったんですか。

川口政府参考人 PIO―NETの情報は年間約九十万件ほどございます。十年で一千万件ぐらいになるわけでございますが、この情報は、消費者庁のみならず、各省の法改正においても立法事実の重要な根拠として使われることの多い重要な資料でございます。ですから、信頼性に足る情報であると私どもは考えております。今回提案している法改正についても活用しております。

 ただ、データそのものは信頼性に足りる情報でございますが、それをさらに精査して立法事実に煮詰めていって、どういう法改正をすべきかというところまでの根拠にはなるわけですけれども、その精査の作業が十分できているかといったことについては、消費者委員会でさらに検討すべきことは検討するということで、今回の法改正には盛り込まれていないということでございます。

 一般的には信頼性に足りるわけですが、それを前提に消費者庁なり消費者委員会での精査の作業が十分行われたというものが、今回、法改正ということで提案されているということでございます。

水戸委員 時間がないのでこれはこのくらいにしますけれども、結局、そういういろいろな御批判があることは、それが当たっているか当たっていないかは、消費者庁の言い分もありますし、また事業者側の言い分もあると思うんですけれども、やはりそうしたすきを見せないような形で、しっかりしたいわゆる精査、いや、集めた情報は信憑性があるけれども精査の仕方はちょっと、それはもともと当局の失態じゃありませんか。しっかりとした分析とか追跡調査を精査しなきゃいけないというのは、これは消費者庁の仕事ですよ。

 そういうことをしながら、やはり、せっかくいいことをやろうとしている法改正でありますから、これに法改正を結びつけることは当然でありますから、今回のことを踏まえて、それを大きな反省材料としていただいて、今後、前向きに取り組んでいただきたい。強く要請したいと思っています。

 そういう中で、先ほど、若干、高齢者向けの傾向の話もいたしましたけれども、具体的な話をします。

 特定商取引法の話の中で、ドゥー・ノット・ノック・ステッカー制度、ドント・ノック・ステッカー、こういう制度はもう各自治体も取り入れている制度ですよ。この制度は、訪問販売お断りシールを住宅にぺたぺた張って、訪問販売を禁止する制度であります。もう既に各自治体でも条例をつくって実施しているケースがあります。

 しかし、現状において、ドアに張って、訪問販売お断りということのシールの法的な効力はありません。事実上、こちら側、いわゆる住人側の拒絶の意思を示しているだけなんですよね。

 この現状をどういう形で把握されていますか。各自治体のやっている取り組み状況と、消費者庁はそれをどう受けとめているのかということです。簡潔に。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十六年度に消費者庁が調査を行っておりまして、条例において、訪問販売に関して勧誘を拒否する意思を表示した消費者に対する勧誘を禁止する規定を置いている都道府県は十九ございました。

 このうち、いわゆる訪問販売お断りステッカーを掲示する消費者宅を訪問して勧誘することが、条例上の規制対象となり得ると回答した都道府県は八ございました。このほか、市町村レベルでは、堺市等において、訪問販売お断りステッカーについて同様の扱いをしているというふうに承知しております。

 いわゆる訪問販売お断りステッカーの効果につきましては、これらの自治体における利用者から、お断りステッカーを張ったことで勧誘が減った、勧誘を断りやすくなったという声や、特に変化がないという声、ステッカーを無視した勧誘を受けたという声等、いろいろな声が寄せられているものと承知しております。

 一方で、このような各自治体における勧誘に関する条例上の取り組みによってどのように問題解決が図られたのか等、定量面も含めまして精緻に示した分析等は、現在のところ存在していないというふうに承知しております。

水戸委員 地方公共団体、地方議会の話はまた後からしますけれども、これらの議論、ドゥー・ノット・ノック・ステッカー、いわゆる訪問販売お断りシールですね、こういう議論に対しても、やはり消費者もいろいろな形で関心を持っているのは当然なんですよ。

 いろいろな形でヒアリングをしているようで、これは仄聞したところでありますが、事業者側からはヒアリングを行っているようだけれども、消費者団体や高齢者、社会福祉団体からは意見を聞く機会を持っていなかったというような事実経過があるんですが、それは事実でしょうか。もし事実だとしたら、なぜ事業者側からしかこうした意見聴取をしていないんですか。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者庁が、事業者からアンケートというのを、今承知しておりますのは、短期間に聞いたということはあると承知しておりますけれども、正式に、消費者団体等も含めて、どのような状況かということについて聴取等をしたということはないというふうに記憶しております。

水戸委員 だから、それはなぜですか。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどのお話は、内閣府の消費者委員会におけるヒアリングということでございます。それであれば、事業者からヒアリングを行ったということでございます。

水戸委員 だから、消費者から行っていないから、結局、片方しか行っていないから、消費者から意見を聞く必要があったんじゃないかという話をしているんです。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣府の消費者委員会においては、委員の方々の中に消費者団体の出身の方というのが複数名入られているということで、その中で鋭意御意見を伺う機会があるということで、そのような形でヒアリングが内閣府の方で行われたと承知しております。

水戸委員 意図的にしたとは私は言いませんが、内閣府の委員会の中にメンバーがいるからほかの消費者団体から聞く必要はないなんというのは、それはちょっと余りにも言い過ぎだと思っているんですよ。

 やはり幅広く、事業者レベルから聞くのなら、当然、同時並行的に消費者レベルからも聞けばいいんですよ。そんなの、聞くことに関しては別にそんなに時間がないわけじゃありませんから。やはり双方の方たちに、フラットな感覚で、今どうなっているのか、どういう形で訪問販売が行われているかに関しまして、それに対してどういう形で、事業者側もそうですし、これを受けとめる、いわゆる訪問を受ける側、消費者もどうなんだという状況は、やはりつぶさに把握をした方がいいですよ。きつきつこうした苦言を申して、お話をしますけれども。

 先ほど言ったように、条例では、お断りステッカーを張ってだめですよと言っているにもかかわらずそこを訪問してしまった、そうした違反をしても、いわゆる勧告とか氏名公表のペナルティーしかなく、効力が弱いというのは、もう皆さん御承知のとおり。

 だから、これも、今後の議論の検討課題といたしましては、やはり何とかして法制化をして、行政処分などの対応に資することが急務の課題ではないのか、また今回の積み残しの課題ではないかと私は思っているんですが、これについてはどうでしょうか、大臣。

松本副大臣 消費者委員会特定商取引法専門調査会というのがございますが、そこにおいて訪問販売にかかわる勧誘規制の見直しについて議論を行われたところでありますが、法改正による勧誘規制の強化及び現行法解釈の見直しの必要性について、それぞれの委員の間で共通認識がいまだ形成されるに至っていないということがあったために、いわゆる訪問販売お断りステッカー導入の適否というところまではいまだ十分に議論されるには至らなかった、こう聞いております。

 しかし一方で、同委員会においては、現時点において対策を行うべき点として、法執行の強化、再勧誘の禁止等の法令遵守の徹底や勧誘受諾意思の確認の励行等の自主規制の強化、その他各種の取り組みを推進していく点については意見が一致したところであります。まずはこれらの取り組みを進めていくことが重要だという認識であります。

 引き続いて、消費者委員会からの答申を十分踏まえて、消費者トラブルの状況等の現状を見ながら適切に対応を行っていくつもりでございます。

水戸委員 急務の課題だと私は思っているわけでありますから、ぜひ、もちろん、委員の中には消費者側に立つ人、事業者に立つ人がいるから、意見なんかまとまりませんよ。やはりこれは、大局的な判断は、行政がするんだったら政治的な判断が必要だと思いますから、ぜひ副大臣、大臣にもしっかり言ってもらって、政治的な判断をもって、政治的な指導力を発揮して法制化することを強く求めていきたいと思います。

 これと同時に、ドントコール制度というものがあります。これはもう諸外国でもかなり導入が進んでいますけれども、このドントコール制度というのは、電話による勧誘を受けたくない人に事前に国の機関に登録してもらって、そして登録された電話番号への電話勧誘を禁止する制度ですね。これはドントコール制度。自分がそうした電話勧誘されたくないということを事前に国に届け出して、自分の自宅にはそういうコールがかかってこないような、いわゆる未然にこれを防止する制度なんですね。

 これは事業者側からすれば営業の侵害だという意見もあるようですけれども、そもそも、勧誘を受けたくない人に勧誘をする自由なんかあるわけないと私は思っているんですよ。実際、諸外国で導入されている制度ですけれども、諸外国の実施状況について、どのような形で、今、消費者庁は把握されていますか。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆるドゥー・ノット・コール制度は、電話勧誘を拒絶する意思を登録した消費者に対して事業者からの電話勧誘を禁止するものでございますが、アメリカやイギリス、フランス等の欧米諸国や韓国、オーストラリア等において、こうした制度を採用していると承知しております。

 国や地域によって事情が異なるため、一概に比較はできませんが、実施状況について消費者庁が確認した範囲では、各国ともおおむね消費者からの登録数は増加傾向にあり、登録をしたことで勧誘が減少したと感じている消費者が相当数存在する一方で、発信者情報を偽る電話への技術的対応、あるいは登録された消費者リストに関する個人情報の扱い等、さまざまな課題が存在しているものというふうに承知しております。

水戸委員 いろいろな国々でこのドントコール制度というのは、隣国韓国でももちろん実施済みでありますけれども、行っているんですね。先進諸国の中で日本はちょっとおくれているのではないかということを諸外国からも言われているような気がします。やはり、勧誘を受けたくない人に対して勧誘をしない、これはもちろん消費者の権利でありますから、こういうことも含めて消費者はもっともっと追求していくべきだと私は思っています。

 そういう中において、先ほど言ったステッカー制度もそうでありますね、訪問販売お断りシールもそうでありますし、こうしたドントコールという制度につきましても、いろいろな形で検討したようなことを私はちょっと聞いてはいるんですけれども、なぜ今回の法改正でこういうものについて全く触れられていないのかについて、どのような御感想でしょうか。

松本副大臣 消費者委員会特定商取引法専門調査会において、電話勧誘販売にかかわる勧誘規制の見直しについて議論が行われましたが、法改正による勧誘規制の強化及び現行法解釈の見直しの必要性について、委員会で共通認識が形成されるに至らなかった、そのために、ドゥー・ノット・コール制度の導入の適否まで十分に議論されるには至らなかったと承知をいたしております。

 しかし一方で、同委員会において、現時点において対策を行うべき点として、法執行の強化、再勧誘の禁止等の法令遵守の徹底や自主規制の強化、その他各種の取り組みを推進していく点については意見が一致したと承知しております。

 まずはこれらの取り組みを進めていくことが重要だ、こう認識をしておりまして、引き続き、消費者委員会からの答申を十分踏まえながら、消費者トラブルの状況等を見ながら適切に対応を行っていく所存であります。

水戸委員 大臣、来た早々申しわけありません。

 今までの一連の議論の中におきましても、これからの様子を見ながら的確な、適切な対応をしていくということはそれでいいと思うんです。しかし、やはりこれはある程度形が見えなければ、思いだけでもなかなか難しい部分はありますから、先ほど言ったように、お断りシールは、効力は弱いけれども、条例対応で今一応自治体もやっていますよね。しかし、ドントコールみたいな制度は、やはり国が所管として、なかなか自治体だけでは対応できない、やはり国が主導的な形でやるべき事項ではないかと思っております。

 また、この二つに関しましても、昨年の十月、十二月の地方議会からもいろいろな意見書が消費者庁に寄せられていると思うんですよ。こうした地方議会の、本当に現場、生で地域を歩いている議員の皆さんのそうした思いを集約した意見書にも、速やかなる形でこうした制度の充実化を求めるというようなことも今まさに寄せられているわけであります。

 また、先ほど若干触れましたとおり、諸外国でも既に導入済みでありますからこそ、ドントコール制度、さらにはお断りシール、ドント・ノック・ステッカー制度、こういうものに関しても、大臣、やはり大臣の政治的な手腕だと思うんですよ。政治的な指導力を発揮して、先ほど言ったように、先ほどいらっしゃいませんでしたが、あえて申し上げますけれども、やはり委員会レベルでやっても、事業者と消費者が相拮抗しまして、これはなかなかまとまりませんよ、こんなに委員会の中で議論をしても。

 やはりこれは政治的な主導として、大臣や副大臣がやはりこれは必要性があるんだということで認めるならば、前向きに進めていくべき検討課題だと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 この件につきましては、消費者委員会がまだ引き続き御検討されるということでございますから、検討の様子はしっかりと見ていきたいと思いますが、その中で、今委員おっしゃったように、この中で意見の対立があってまとまらないというようなときには、これは政治決断も必要になってくるかなというふうに思っております。

水戸委員 大臣、もう一回言うけれども、では、あなたはどの程度この必要性を感じているんですか。

河野国務大臣 まず、消費者委員会の議論をしっかりと拝聴してまいりたいと思います。

水戸委員 まだ自分の意思は固まっていないようですね。

 それでは、最後に聞きますけれども、先ほど言った特定商取引法の話なんですけれども、また、さっき若干、中根委員からもお話がありました消費者契約法の改正も、先ほど、高齢者、認知症がこれからふえてくる、ますますふえてくるからこそ、それに対して未然の防止とか事後的な救済措置を、やはりこういう方々にも幅広く手を差し伸べていくための、こうした地方議会からもさまざまな形で、これは三月議会、つい昨年度、年度末の議会からもいろいろな話が上がっているわけであります。

 こうした地方議会の、地元を歩いて、生の声を肌で感じていらっしゃるそうした地方議員の人たちがまとめた意見書について、どういう形でこれからそれを受けとめて、そして、できれば前向きにこれに対してお応えしていこうというつもりなのか、それについて、大臣、また答える方がいれば、これについてどういう取り組みをしていくのか、お話をしていただきたいと思います。

河野国務大臣 さまざまな意見書を頂戴しておりますが、今回のこの法改正の後押しをしていただいているというふうに思っております。

 また、この法改正の中で盛り込まれていない部分につきましては、今後の改正の中でしっかりと検討してまいりたいと思います。

水戸委員 検討、検討、まあ検討はいいけれども、やはり前向きに進めるならば、形で示していただくことを私は強く要望したいと思っています。

 私は、もちろん、消費庁が頑張っていただくことを、応援団ですから、やはり消費者の立場に立った上で、一つ一つこうした問題解決を、未然に防ぐんだ、未然に防ぎ切れない場合は事後の救済措置をしっかりとした形でやっていただいて、やはり消費者の権利を一定以上保持し、また高めることについては、私も、それはそれとして期待をしたいと思っていますので、どうぞ今後とも、皆さんのそうした活動に、注意深くこれから見守っていきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 本日はこの程度で終わります。

江崎委員長 河野大臣から発言を求められております。

河野国務大臣 けさ、中根委員からの御質問に対しまして、私、全く問題ないというふうにお答えをいたしましたが、明らかに、国会の審議にさまざまな御迷惑をかけているのは明白でございますので、先ほどの全く問題ないという答弁は、おわびをして、撤回をさせていただきたいと思います。

 国会との関係においては、いろいろ御迷惑をかけているのが明らかでございますので、そこのところはおわびを申し上げ、皆様の御協力に感謝申し上げたいと思います。どうも申しわけございません。

江崎委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民進党の田島一成でございます。

 今、大臣から、誠意ある答弁の撤回とおわびがありました。私も、先ほどのやりとりを聞いていて、余りここで肩に力を入れない方がいいだろうになと実は思っていたところでありました。良識のかけらに私も敬意を表したいと思いますし、今回、防災担当という非常に大きな責務も兼務で受けていらっしゃること、これは、私、被災地の皆さんに対する思い等々からすると、河野大臣が消費者行政も担当しながら、さりとて、こうして大きな災害が起こったこと両方を背負わなきゃならないということに対する同情の声とあわせて、やはりどちらかに専任をされていただきたいというのが、正直、同じように国会の中に身を置く者として案じるところでもあります。

 しかしながら、こうして防災会議の合間を縫って、この消費者問題の委員会にお運びをいただきました。この貴重な時間を私も有効に使わせていただいて、多くの国民の皆さんの不安に応えていただきたいと思っておりますので、冒頭、質問の順序を変えますけれども、大臣にお尋ねをさせていただき、その後、また災害対策会議の方にお戻りいただけるように配慮をさせていただきたいと思っております。

 一番最後の、消費者被害の迅速かつ適切な解決を図ることに対してのお考えを大臣にお答えいただきたいと思います。

 何よりも、消費者被害の迅速かつ適切な解決を図っていくことが重要であることは、役所の皆さんも、国会に身を置く我々も、また消費者の皆さんも、消費者団体の皆さんも感じていただいていることだと思います。そのためには、国民生活センターや都道府県、市町村における相談、あっせん業務の充実と強化が何よりも必要となります。

 一番最後の質問です。たしかローマ数字二番と入れていると思います。通告させていただいております。

 このことは、消費者庁が誕生するときからずっと議論をし続けてきたことであり、今なお努力はしていただいているのだろうと思いますが、なかなか大きな改善というものが見られていない課題であります。

 さらには、地方消費者行政の充実強化のために、地方消費者行政活性化交付金、これは平成二十一年から始まりましたけれども、その後の平成二十七年から始まりました地方消費者行政推進交付金を充実させていくこともやはり大切だというふうに思います。

 さらには、消費者行政の担当者や消費生活相談員に対する十分な研修体制をつくっていくこと、消費生活相談員の処遇改善などによる有能な人材確保を今後さらに充実させていかなければならないと考えるものであります。

 この議論は消費者問題の議論のたびに必ず出てきている問題でありますから、恐らく答弁書等々をごらんになられなくてももう覚悟はしていらっしゃるだろうというふうに思うわけでありますが、今後、こうした今年度の予算と照らし合わせていただいて、昨年度との違い、どのようにお考えになっていらっしゃるのか、その点について、まず冒頭、大臣にお伺いをしたいと思います。

河野国務大臣 消費者行政というのは、それぞれの地方で頑張っていっていただいているわけで、国としては、交付金をしっかりと確保して、それを後押しするということでずっとやってまいりました。

 本年度も同じように予算を確保し、地方をしっかりとバックアップしてまいりたいと思いますが、消費生活相談員を今度は法律的に専門の職として位置づけたわけでございます。こうしたことを通じて、相談員の皆様のキャリアパスというのがきちんとつくられると同時に、処遇の改善というのにつなげてまいりたいというふうに思っております。

 高齢者を初め、いろいろな被害に遭う方が大勢いらっしゃるわけでございますから、やはり地方政治の中でこれを一つの大きな問題として位置づけていただいて、地方議会、あるいは、もっと言えば地方選挙の中で、こういう問題をどうするのかというのがきちんと争点として取り上げていくようになれば、いい相談員をきちんと確保しよう、そのためには予算をそれぞれの自治体で確保していかなければならなくなりますし、いい相談員さんをその自治体に集めるということが必要になってくれば、当然に処遇の改善ということにもつながってくるんだろうというふうに思っております。

 私といたしましては、今この消費者問題というのが非常に大きなテーマになっている、特に御高齢の方についてはその被害もふえているわけでございますから、これを地方の政治の大きな課題として取り扱っていただけるように、しっかりと全国に周知してまいりたいというふうに思っているところでございます。

田島(一)委員 もう一問だけおつき合いください。

 先ほど私も申し上げましたが、平成二十七年度からスタートしていただいている地方消費者行政推進交付金、この内容についてなんですけれども、対象となる事業が平成二十九年度までに実施される事業に限定されているという点、私、この点は、交付金として活用が非常に難しくなってきているなというふうに問題提起をさせていただきたいと思っています。

 平成二十九年度までに実施予定の事業に限定されているということについては、今後、その後の財政支援のめどが立っていないということを意味します。そのことによりまして、地方の消費者行政にあっては、相談員を増員したいんだけれども、二十九年度までというふうに切られてしまうと、その後どうやって財源を確保しようかという点で結局おっくうになってしまい、増員の一歩が踏み出せていないという実態がやはりあるんですね。

 自主財源をそれぞれ自治体で確保しろ、それはそれで大切な呼びかけかもしれませんけれども、現実的に言えば、なかなか自主財源を確保できるような宝箱は見つかってはおりません。

 これから先も国の支援というのはやはり必要になってくるんだと思いますけれども、こうした実施事業の年度限定等々が地方の消費者行政に大きなブレーキをかけているという御認識をお持ちなのかどうか、さらに、今後どのような対応、見直しをやっていこうと思われているのか、覚悟と決意をぜひお聞かせいただきたいと思います。

河野国務大臣 さまざまな声が寄せられておりまして、処遇の改善をしてほしいというと、いやいや先立つものがという話が必ず出てくるわけでございます。

 この消費者問題というのは、平成二十九年度でなくなるわけでは決してありません。今の高齢化社会を考えれば、むしろ問題は大きくなってくる。そのためには、もちろん自治体にも御努力をいただかなければいけませんが、国として、全部これは自治体ですというわけにはいかないのは明白でございますから、何らかのメッセージを自治体にしっかりと出していくと同時に、今後の財源について、自治体が、相談員の処遇改善につながる、あるいはさまざまな施策を前向きにやっていただけるような何らかのメッセージを今後出していきたいというふうに思っております。

川口政府参考人 事実関係のみ申し上げますが、現時点での制度は、二十九年度までに新規事業として始めれば、その後、最大三十九年度まで使えるということにしておりますので、二十九年度で一切なくなるというスキームではございません。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 やはり、この辺の事実関係を誤解されている自治体もまだまだあるんですね。それはすなわち、消費者庁からきちっとしたこの交付金の仕組み、スキームが伝わっていない証拠だろうというふうに思います。そこは厳に反省をぜひしていただいて、三十九年度まで使えるんだということをすれば、これからまだ可能性、余地はあるわけです。

 どうぞ、地方でのやる気や、そして盛り上がりをくじくようなことは絶対あってはならないですし、そういった情報がきちっとやはり伝わっているということが何よりも肝要ですから、そこの部分については中でしっかりと各自治体等と連携をとっていただきたい、そのことをお願い申し上げたいと思います。

 大臣、お忙しいと思いますので、どうぞ次の方へ進んでください。どうぞお体を御自愛ください。

 では、続けさせていただきます。

 先ほども申し上げたとおり、対象となる事業が二十九年度までにとにかく立ち上げればよいということで、一定の安堵をさせていただいたところでありますが、これで地方の消費者行政の充実が約束されたと言い切れるものでもありません。

 どうぞ、大臣もお話をいただきましたけれども、しっかりとした消費者庁からの安心してさらに取り組んでくれというメッセージをしっかり自治体に発信していただくよう強く要望させていただいて、法案の核心の部分についての質問に移らせていただきたいと思います。

 まず、今回の消費者契約改正法案の中での第四条、先ほどからも質問に幾つか出ておりましたが、できる限り重複を避けるようにして質問させていただきたいと思いますが、過量な内容の消費者契約、申し込み等の意思表示の取り消しについて、私からも改めてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 今回の法改正で、取り消しできる消費者契約の対象の中に、過量な内容の消費者契約が新たに追加されることとなりました。そもそも、過量な内容の消費者契約の過量とは、通常の分量からどれほど超えることが当たるのか、明確かつ客観的な基準が今回定められているわけではなく、受けとめる方々によって相当解釈に差が出てくるだろうというふうに考えております。

 この判断をする過量の基準についてはどのように御認識か、お答えください。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 過量な内容の消費者契約とは、物品その他の消費者契約の目的となるものの分量等が当該消費者にとっての通常の分量等を著しく超えるものをいうとしております。

 当該消費者にとっての通常の分量等につきましては、まず一つは、消費者契約の目的となるものの内容でございます。二つ目は、取引条件。三つ目としまして、事業者がその締結について勧誘をする際の消費者の生活の状況。四つ目としまして、その消費者の生活の状況についての当該消費者の認識。これらを総合的に考慮に入れた上で、一般的、平均的な消費者を基準として、社会通念をもとに規範的に判断されるものとしております。

 また、当該消費者契約の目的となるものの分量等が当該消費者にとっての通常の分量等を著しく超えるか否かにつきましても、一般的、平均的な消費者を基準という形で、社会通念をもとに規範的に判断されるというふうにしております。

田島(一)委員 御答弁いただいたのは、多分、予定されていた答弁書でのマニュアルに沿った形での答弁だったんだろうと思います。それを否定する気はないんですけれども、ただ、通常の分量を著しく超えるというその日本語というのは、やはりなかなかうまく伝わらないと思うんですね。

 例えば、一例を出しましょう。私が毎月二十四本のペットボトルの水を購入しているとしましょう。ワンケース大体二十四本だったりしますよね。このワンケースの通常の量、超えるのは何ケース分だというふうにお考えですか。示せますか。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの要素として四つ挙げておりますけれども、そのうち、分量とかそういうことについては数としてありますけれども、そのほか、その消費者の生活の状況とか、あるいは価格とかの取引条件とか、それを総合して判断するということになりますので、今言った、一人何本でという形で判断できるという形には、これは民事ルールでなっておりません。

田島(一)委員 余りに具体的過ぎて数字が示せないのかもしれませんけれども、しかし、消費者の多くというのは、きっと、この通常の分量よりも著しく超えているかどうかは、やはり数字で示されないとぴんとこないんじゃないかなと私が思ったところですから、水を引用して今お尋ねをさせていただきましたが、消費者庁としても、その数量的なものについては、著しく超える分量というものが明示できないという状況であることは確認をさせていただいたと申し上げておきたいと思います。

 ただ、この判断基準が正直ない中で、政府が今後この基準なるもの、過量とはどういう量なのかというようなものを作成していくという意思があるのかどうか、さらに、もしつくるとするならばどういうお考えで作成しようというふうにお考えなのか、お答えいただけますか。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 この過量性の判断について、どういう形で、今言ったような要素があるということで考慮していくということを詳しく、逐条解説とか、あるいはパンフレットとか、そういうものをつくって説明していきたいと思いますし、また、この当てはめ等につきまして、実際に使われる消費生活相談員の方々とかの御意見を聞きながら、どのような形でこの法律の内容をお示しするのがいいか、しっかりと検討してまいりたいと思っております。

田島(一)委員 今お話もありました、この過量な内容の消費者契約に限定をして改正案では規定を設けるということでございますけれども、この規定の中で、高齢者の消費生活に関する被害の未然防止にどれほど効果を発揮して、被害事案数の改善にどれだけの効果を発揮するのかという点については、私はいささかまだ不明でありますし、疑問を感じているところでもあります。どのようにお考えなのか、まずお答えいただけますか。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 高齢者が加齢や認知症等により判断力が低下したことにつけ込まれて過量な内容の消費者契約を締結させられた被害事例の救済は、現行法上では一般的な規定に委ねられております。これは、主なものは公序良俗違反による無効ということで、民法第九十条によるものですけれども、これは要件が抽象的であり、どのような場合に適用されるか、必ずしも明らかでないものと考えております。

 これに対しまして、本規定では、先ほどお示ししました具体的な要件のもとで過量な内容の消費者契約の取り消しを認めておりまして、被害の救済に一定程度資すると考えております。被害救済の幅が広がるというふうに認識しております。

 また、本規定につきましては、適格消費者団体による差しとめ請求の対象にもなるため、被害の予防にも資するというふうに考えております。

田島(一)委員 今回の消費者の取り消し権が認められる新たな規定が設けられること自体は、私は歓迎をしております。

 しかし、過量販売以外の不当行為にも着目をして、判断能力が衰えている御高齢の消費者を保護するという観点から、やはり取り消し権は広い範囲で認定されるべきというふうに考えているんですけれども、どのようにお考えか、お答えください。

松本副大臣 先生、とにかく被害者を守りたいという強い思いを持って審議をお願いしているわけでありますが、消費者庁といたしましては、現在御審議をいただいている特定商取引法、消費者契約法の改正案のほかにも、さまざまな取り組みを行っております。

 まず、被害を未然に防止することが重要であるという観点、高齢者への消費者被害の防止のための注意を喚起することを、平成二十五年九月から、警察庁、金融庁と連携して、政府広報を活用した高齢者の消費者トラブルの未然防止に関する注意喚起を実施したり、また、どこに住んでいても質の高い相談、救済が受けられるように、地方消費者行政推進交付金を活用した地方公共団体による相談体制の整備等の支援、お近くの消費生活相談窓口を御案内する消費者ホットライン、一八八、三桁化といったこと。

 さらに、高齢者はトラブルや被害に遭っているという認識が低い場合などがあるわけでありますから、周囲の方による見守りといったこと。このために、四月一日に施行された改正消費者安全法に基づいて、認知症等により判断力が不十分となった方などの消費者被害の未然防止に向けて、地方公共団体及び地域の関係者が連携して、地域の見守りネットワークの構築を推進する。

 こうした多くの取り組みの合わせわざといいましょうか、そうした努力を重ねながら高齢者の消費者被害の防止に努めてまいりたい、こう考えているところであります。

田島(一)委員 今、何のお答えをされているのか、聞きながら非常に戸惑ってしまいました。全く違いますよ。質問をちゃんと聞いてくださいよ、手を挙げられるんだったら。恥ずかしいですよ。

 広い取り消し権が認定されるべきだというふうにお尋ねしたんです。もう一度お答えのチャンスを与えます。副大臣、どうぞ。

松本副大臣 先生のおっしゃっている広い取り消し権、これについては、基本的にはそうあるべきだと考えます。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、消費者委員会消費者契約法専門調査会における審議では、事業者が合理的な判断をすることができない事情につけ込んで契約を締結される事例のうち、今回の過量の内容の消費者契約以外の類型について規定を設けるということについては、この一月にいただいた答申の中では、コンセンサスが得られないということで、過量取り消し以外は盛り込まれておりませんでしたけれども、消費者委員会としては引き続き検討を行う、今の過量の被害事例以外にも、明確かつ客観的な要件をもって類型化することができるような被害については、救う観点から広げることを検討していくというふうになっておりますので、その検討について、消費者庁としても積極的に協力をしていきたいというふうに思っております。

田島(一)委員 松本副大臣が答弁を言い直されて、広い取り消し権が認定されるべきだということに御同意をいただきました。

 だったら、広い取り消し権を認定した法案を出してくるべきじゃなかったんですか。何で出さなかったんですか。お答えください。

松本副大臣 消費者委員会の答申、検討、これをしっかり待って、私個人といたしましては、先生のおっしゃられることに基本的に賛成でありますが、しかし、やはり、消費者委員会の答申、今後の検討課題として引き続き今検討をいただいているさなかでありますから、その検討結果を踏まえながら対応してまいりたい、こう考えております。

田島(一)委員 何かいじめているみたいに見えますので、もう私もこれぐらいで終わらせていただきますけれども、お認めくださるんだったら、やはりそれを検討した足跡をきちっと答弁の中でおっしゃってくださらないと。何か気持ちだけは野党に寄り添っている、消費者団体等に寄り添っているみたいなことをおっしゃるんですけれども、現実、全然認められていないんですよね、今回の改正の中には。そこのところの違いをきちっと明確にしてくださらないと、なぜ盛り込まれなかったのかという不安、疑問が一切払拭されないわけであります。

 今度、改正がいつ出てくるのかもわからない、そういった中で、今後、この広い取り消し権の認定についての不安の声は一向におさまらないというふうに思います。過量販売以外の不当行為にどれだけ真剣にこれから取り組んでくださるのか、審議会の方で議論をされても、この改正がいつ次に出てくるのか、非常に気の遠いような話になってきますが、どんどんどんどんその間にもいろいろな事案が出てくるわけであります。

 そう考えたときに、ころころころころ、そのたびそのたびに法改正なんてやっていられないわけですよ。多分、出せないでしょう。だからこそ、今思い切って、もう一歩、二歩踏み込んだ法改正をやはりしていくべきではないのかという、私は非常に積極的な意味での提案をさせていただいているわけであります。

 私の気持ち、思いに別に寄り添っていただかなくて結構ですけれども、今回の法改正、正直、十分かなと言われれば、疑問が残っているという点、特に、過量な内容の消費者契約の取り消しだけではない、広い取り消し権をやはりきちっと認定していくということをしっかりともう一度、前向きな姿勢、今後取り組みを進めていくんだということだけお答えください。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 しっかりと検討に取り組んでいく所存でございます。

田島(一)委員 次の質問に入らせていただきます。

 取り消し権を行使する要件として挙げられる一つ、過量な内容の消費者契約であることを事業者が知っていたかどうかというものがございます。質問の二番目に入っています。

 これを立証する責任は、消費者、事業者、どちらにあるとお考えか、簡潔にお答えください。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 立証責任は消費者側にあります。

田島(一)委員 消費者にあるというお答えでございました。想定どおりでもあります。

 事業者が不必要な商品を購入させたり、必要量を超える量の商品を購入させる相手は、ひとり暮らしの高齢者や認知症の高齢者の判断力の低下した人たちにつけ込んでいるわけですから、さらに負担を押しつけることになりはしませんか。お答えください。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 立証責任についても消費者委員会の専門調査会の方で御議論がありまして、立証責任の転換をする話とか、いろいろな御議論がございました。

 事業者の方から、転換をするのであれば負担が非常に重くなる、あるいは、立証するということで企業の持っている秘密等が外に出てくるというような御懸念を述べる方もいらっしゃいまして、ここについては、引き続き消費者委員会の方で御検討が続くというふうに認識しております。

田島(一)委員 現実問題として、認知症の御高齢の方だとかがそのような当事者になられたときに、やはり本当に負担が大きくなっていくということを考えると、企業の秘密が漏れるからだとかというようなそんなへ理屈で何で議論が収束されてしまったのか、私は非常に疑問で仕方がないんですね。

 事業者が知っていたかどうかの立証責任を消費者に与えるというならば、やはり、消費者の中でもとりわけ弱者と言われている高齢者や認知症を患っている方々に対する配慮というものはしっかりと解決をしてから、今回お出しになられるのが筋だったんじゃないかなと思うんですけれども、どうお考えですか。

川口政府参考人 先ほど立証責任ということでお答えをいたしました。立証責任というのは、民事訴訟法で、両当事者が情報を出し合って、最終的によくわからないというときに、どっちが負けるか勝つかといったことのぎりぎりの判断が立証責任ということでございます。

 ただ、裁判実務あるいは消費生活相談の現場というふうに考えますと、認知症は、大体は、相談自体が御家族からの御相談ということが多いわけでございます。御家族が消費生活センターに御相談があったということは、相談を受けたセンター側がしっかり記録をしています。その記録等を証拠として提出するということで、認知症の方の場合は、御本人が必ずしも裁判所で証言をするとかそういうことではなくて、周りの方が消費生活センターに相談をした、その記録自体を証拠として認定していきますので、実情に即した認定がされていくだろうということですけれども、最終的に真偽不明になったときに誰が勝つか負けるかということで、立証責任ということでお答えをいたしました。

田島(一)委員 多分来るだろうなと予想もされているでしょうけれども、最近のひとり暮らしの御高齢者の率の高さは、恐らく御承知のことだろうと思います。

 家族がいらっしゃる高齢者、認知症を患う方々のところに、悪質業者なんかは多分行かないでしょう。ひとり暮らしの御高齢者を狙っているという実態等々を把握すれば、家族の方がいるから大丈夫ですなんて、そんな無責任な答弁はやはりよくないですよ。この事実だけは、私、ほかの質問も抱えていますので、もうこれ以上追及しませんけれども、そういう曖昧な、現実を直視していない認識で、立証責任を認知症を患う高齢者に押しつけるということはやはり問題であるということだけはきちっと指摘をさせていただきたいと思います。

 申しわけございません、時間もございませんので、次の質問に入らせていただきます。

 取り消し権の行使期間の伸長についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 今回、消費者契約法における取り消し権の行使期間は、法改正で、追認をすることができるときから六カ月間だった短期の行使期間が一年に延長されました。

 行使期間が延びたこと、手をつけられたことについては、私は素直に評価をいたします。

 しかし、御承知のように、民法と比べますと、民法は短期でも五年。民法の五年に対して、延びてやっと一年。まだ五倍の開きがありますね。まだまだ短いです。しかも、長期にあっては、民法が二十年であるのに対して、消費者契約法は五年。短期の行使期間は延びたんですけれども、長期の行使期間は五年に据え置かれたままであります。四倍の開きがあります。

 この民法との期間の差をなぜ放置されたのか、許容されたのか、その理由をお答えください。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 短期だけではなく、長期の行使期間につきましても内閣府の専門調査会の方で御議論がございましたけれども、こちらにつきましては、事業者の資料の保管等の負担とかいろいろあるということで、その期間について延ばすというような御答申はなかったということでございます。

田島(一)委員 よくわからない答弁なんですけれどもね。

 短期の六カ月というのは、そもそも大きな問題が各地から指摘をされてきたことであり、一年に延ばしたと胸を張りたいところなんでしょうけれども、やはり現実、民法と比べると五倍の開きがあるということを先ほど私も申し上げました。せめて、今回の見直しで伸長されるときに、三年程度に延ばしましょうというふうな話は多分出てきていたんだろうと思うんですけれども、なぜこの五倍の開きをもっと埋めようというふうにならなかったのか、お答えいただけますか。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 短期については、追認をするときから現状では六カ月の間ということでございますけれども、それを一年に延ばしております。

 消費者契約法につきましては、民法と比べますと取り消しの要件等が明確になっていて、消費者にとって取り消しがしやすくなるということになっております。

 一方で、事業者サイドからは、やはり取引の安定性、そういった問題がございますので、その中で今回六カ月から一年に延ばすということにつきましては、事業者の方も参加する中で一年に延ばすということについての合意ができたということで、その答申を踏まえて改正をしたということで……(田島(一)委員「三年の議論はあったのかなかったのか」と呼ぶ)延ばすという議論はございました。ただ、それが何年でということについてはちょっと承知しておりませんけれども、その議論自体は、もっと延ばすという御議論はあったと承知しております。

田島(一)委員 やはり、この民法との差を短期にあっても長期にあっても埋めていく努力というのは不断にやっていただきたい。そうすることが消費者を守っていくことにつながるんだということは絶対忘れないでいただきたい。もうこれ以上、このテーマでやっていると本当に時間がないので、済みません、先に移らせていただきますけれども、そのことだけは強く、今後、期間の延長についても真摯に議論を進めていただきたいということだけ申し上げておきたいと思います。

 次に、法の第九条、消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効の項目についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるものについてでありますが、今回の改正案の、第九条第一項では、当該超える部分は無効というふうになっております。この当該事業者に生ずべき平均的な損害の額及びこれを超える部分については、平成十八年の十一月二十七日、最高裁判決で、事実上の推定の働く余地があるとしても、基本的には消費者が立証責任を負うものとの判断がなされました。御承知のことだと思います。

 事業者の平均的な損害額を消費者が立証するとのことでありますが、立証するための資料は事業者側の手元にあり、消費者側の手元にはございません。まさにこの立証不可能な環境を打ち砕かない限り、消費者が負うべき立証責任というのは果たせないというふうに意味していると私は考えます。

 そこで、必要になってくるのが事業者による情報提供でありますが、事業者の全てが協力的であるわけではございません。本法第三条第一項に基づく事業者の情報提供に関する規定では、残念ながら、義務規定ではなく努力規定にとどまり、情報提供に事業者が協力しなくても、契約申し込みなどの意思表示を取り消すなどの行為に強制力は発生いたしません。言いかえましたら、これまでの立証責任に係る消費者の負担は従前と何ら変わっていないということを意味していると私は考えます。

 政府は、この事業者の情報提供、この法改正でどのように進むと想定していらっしゃるのか、お答えください。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 事業者による情報提供というのは非常に重要なことでございまして、委員御指摘のように、消費者契約法第三条第一項が契約締結時における必要な情報の提供を事業者の努力義務として定めているところでございまして、同規定は、事業者と消費者との間に情報、交渉力の格差があることを踏まえまして、消費者の理解を深めるために設けられたものでございます。

 この規定に照らしますと、事業者と消費者との間で平均的な損害の額が問題となった場合にも、事業者は消費者に対して必要な情報を提供するよう努めなければならないものと解されます。

 消費者委員会の消費者契約法専門調査会の報告書では、この消費者契約法第三条第一項の解釈を逐条解説において記載する等により、事業者、消費者、消費生活相談員等に周知することが適当であるとされておりますので、消費者庁といたしましても、逐条解説等において記載すること等によりまして、事業者においても適切な情報がなされるよう周知に努めてまいりたいというふうに考えております。その効果が出ることを期待しております。

田島(一)委員 先ほど私が引用させていただいた最高裁の判決、事実上の推定の働く余地があるとしても、基本的には消費者が立証責任を負うものという判断、これを政府がそもそもどのように受けとめているのか。さらには、事業者に立証責任を負わせるかどうか、どこが責任を負って対応すべき問題だというふうに御認識でいらっしゃるのか、まずそこを明確にお答えください。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども触れさせていただきましたけれども、この立証責任については、今回の一月の消費者委員会からの答申には、このような形でという形でいただいてはおりませんけれども、引き続き検討する課題というふうにされておりますので、その検討を待つとともに、消費者庁としても協力できることはしっかり協力していきたいというふうに思っております。

田島(一)委員 先ほどから申し上げております事業者の情報提供に関する努力規定でありますが、やはりここはしっかりと見直しを図っていただかないとだめだなというふうに私は思っております。

 努力規定の見直し、もちろん経過等々を横目で眺めながらというふうにお答えになるのかもしれませんけれども、今後この見直しを図っていくということについて前向きにお考えかどうか、そこだけ簡潔にお答えください。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣府の消費者委員会において御議論いただけるということですので、それを受けて答申が出ましたら、今回一月に答申を受けて、現在、法案化するような作業もありますので、どのような答申がいただけるかということによりますけれども、消費者庁としても、消費者委員会からの答申に対しましてしっかりと対応していきたいというふうに考えております。

田島(一)委員 次に質問を移らせていただきます。

 事業者側からのグレーゾーンの部分について、冒頭、中根委員の方からも質問がありましたけれども、一部割愛をさせていただいて、用意していた二問目の質問をお願いしたいと思います。

 今後、より一層の消費者保護というものを実現していくためには、今回の法改正に至らず残された検討課題についてもやはり早急に検討していく必要があるんだろうと思います、先ほど申し上げた課題も含めて。

 しかし一方で、これらの検討課題が残ってしまった背景というのは、いろいろな論点において、悪質事業者への対策を超えてしまって、健全な活動を行っている企業の実務に広範に影響するという懸念が寄せられているなど、議論がなかなか前に進まなかったということがあったというふうに私も認識はしております。

 消費者委員会の消費者契約法専門調査会において今後検討課題とされた各論点、一つ一つつまびらかにはしませんけれども、もう御認識いただいていることと思います。消費者相談事例など消費者生活相談の実務実態の調査や分析を速やかに行っていくとともに、健全な企業活動の実務への影響ということも確認をすることで、消費者と事業者双方の理解を得て、必要な見直しというものがやはり迅速に行われていくようにするべきだというふうに考えますけれども、どのようにお考えか、まずお聞かせください。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者の方と健全な事業者の方がいわばウイン・ウインな形になるようなことが重要だというふうに考えておりまして、消費者の方の利益というのももちろんでございますし、一方で、健全な事業者の方の健全な事業活動が不当に阻害をされるようなことがないようにということが極めて大事であります。

 そういうような観点から内閣府の消費者委員会にも御検討いただけると思いますし、消費者庁で検討する際にもそういった姿勢をしっかりと持って取り組んでいきたいというふうに考えております。

田島(一)委員 法律の専門的な知識がない方々も随分いらっしゃいます。こういった方々にもやはり理解しやすい解説をどの程度まで深掘りしてやっていくか。専門用語等々をできる限り簡略した一般的な用語等々で置きかえて説明していくか。それは、先ほど申し上げた過量というイメージが、著しく超えるだけではぴんとこない消費者等々にしっかりお伝えをしていくということがやはり大事なんですね。

 この点についてはほかの委員からも質問がありましたので繰り返しませんけれども、どうぞそういったわかりやすい解説をつくっていくことに全身全霊を傾けていただきたい、そのことをお願いだけしておきます。

 さて、時間もなくなりました。最後の質問に入らせていただきたいと思います。

 次なる法改正、見直しについて、ちょっと気が早い話かもしれませんけれども、私が今回質問で取り上げさせていただいた課題というのは、検討事項としてまだまだ積み残しがいっぱいあるぞということの警鐘を鳴らさせていただいたつもりであります。大臣、副大臣も、わかっていらっしゃるのかどうかわかりませんけれども、その気持ちはありますみたいなことを御答弁いただいたので、これはちょっと副大臣が指揮をとってでも、相当スピードを上げて、次なる法改正、見直しの検討のスケジュールに入らなきゃいけないと思います。なぜならば、御承知のように、消費者契約約款等々も見直しをしなければなりませんね、修正作業に入らなきゃならないということがあります。

 そう考えますと、検討スケジュールをしっかりとお示しをいただいて、それに対して、私どもも、いろいろな課題が積み残されて今回の法改正が行われているけれども、次なるところに期待しようということで、この採決にも判断の資料にさせていただきたいと思っているんですが、判断材料の肝として、次なる法改正の時期についてはどのようにお考えか、明確にお答えください。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 恐縮ではありますけれども、現在、内閣府の独立した委員会で、今回一月に第一次答申、消費者契約法についてはいただいております。速やかに内閣府の消費者委員会においても検討に入られるということでございますので、それに協力するとともに、その答申をいただきましたら、消費者庁としても速やかに、今回のように対応していきたいというふうに考えております。

田島(一)委員 答申が早く出ることももちろん期待をしたいところではありますが、答申を待たずして作業は幾らでも入れると思います。

 今回、私が指摘したのは答申ではなくて、私たちが問題だと思っていることの指摘であります。どうぞ、国会を重視していただくというのであれば、この委員会の中で議論されたこと、そして課題として積み残されたことをポイントに置いて見直しに入っていただく、それが法案を提出されている政府側としての誠意ある本来の答弁だというふうに思います。

 最後の最後までちょっと残念な答弁であったことは大変否めませんけれども、以上で私からの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

江崎委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 民進党の井坂信彦です。

 本日は、特定商取引法それから消費者契約法について質疑をさせていただきます。

 まず、今回の法改正で、特に消費者側から、入らなくて残念だったと言われている大きな一つが、再勧誘規制であります。これは平成二十年の特定商取引法の改正で、消費者が、例えば一遍、家に訪問販売が来て、説明を聞いて、うちはそれは要らないです、もう次からは売りに来ないでください、勧誘に来ないでくださいと明確に意思表示をすれば再び勧誘するのは禁止、こういうことになったわけでありますが、それではまだ不十分ではないかという声が多いです。

 そこで、まず副大臣にお伺いいたしますが、平成二十年の特定商取引法の改正、再勧誘の禁止、これは効果は出ていますでしょうか。

松本副大臣 平成二十年の特商法改正によって、訪問販売について再勧誘の禁止の規制が導入されました。

 その効果については、平成二十二年度から二十六年度の最近五年間で、再勧誘禁止違反として国及び都道府県で九十四件の処分を行ったところであります。これは、全ての処分のうちの約三割に相当するものであります。

 また、内閣府消費者委員会特定商取引法専門調査会において消費者庁が示した事業者アンケートの結果によれば、回答した事業者の約八割が再勧誘禁止を遵守する措置を講じているとの結果も出ているところであります。

 したがいまして、平成二十年改正によって導入された再勧誘の禁止の規制は、改正後の特商法の事件処理及び事業者による自主規制の実施に当たって有効に機能しているものと認識をしております。

 引き続いて、再勧誘禁止違反に対して厳正に処分を行ってまいります。

井坂委員 この再勧誘禁止に関しては、いろいろ指導も件数が上がってきているということであります。

 しかし、副大臣、一方で、強引な勧誘に関する相談件数というのは法改正の後も減っていない、むしろふえているのではないかというふうに思います。

 当時の消費者担当大臣は、規制の効果が上がっていないことが明らかになれば、これはさらなる法改正も考える、こういうふうにおっしゃっていたわけであります。

 重ねてお伺いいたしますが、指導の件数は、ちゃんと規制のルール、再勧誘規制を平成二十年につくったんですから、それをちゃんと運用はしているということでありますが、一方で、実際の強引な勧誘に関する相談件数というのは、そんな、数百件ではなくて桁違いに多い、しかも平成二十年以降ふえている。

 これは私は、平成二十年の改正だけではやはり不十分だ、さらなる法改正が必要だという一つのデータだというふうに思いますが、さらなる法改正は必要だと考えておられるかどうか、お伺いをいたします。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の今、さらなる法改正ということについて、不招請勧誘、言うならば消費者が望まない中で事業者の方が訪問等をして勧誘をするということを事前にということにつきましては、今回、内閣府の消費者委員会からの答申が出る前に専門調査会の方でいろいろ御議論があって、現在、入っていないという状況になっております。

 私どもとしましては、内閣府の消費者委員会の答申等も受けとめる中で、勧誘の規制につきましては、まず法執行の強化あるいは自主規制を強化していただくような取り組みを働きかける、あるいは消費者教育の充実、相談体制の拡充等、こういうことをオール・ジャパンで委員会の中ではしっかりとまず取り組んでいくべきだということでしたので、その一致した御意見に沿ってしっかりと取り組んでいこうというふうに考えているところでございます。

井坂委員 きのう、担当の職員さんともこの点を議論させていただいたんですが、やはりそれは消費者委員会でいろいろ激論があった末に、今回、さらなる法改正には踏み込まなかった、事実としてはそうだと思います。

 ただ、本日、せっかくこういう場で議論をさせていただきたいのは、そうはいっても消費者庁ですから、消費者の立場に立ったら、これはやはり、今高齢の方もふえて、再勧誘規制なんというのはごくごく限られたケースですよ。一遍、訪問販売の人が来て、説明を聞いて、明確にそれを、もう二度と来ないでくださいとお断りをしたら次は来てはいけませんという話でありますけれども、今おっしゃったような、そもそも高齢の方は、うちに訪問販売に来てもらっても、怖いし、何か間違って契約したら嫌だし、訪問販売自体勘弁してほしい、こういうおうちも多いわけであります。また、電話でも、ドントコール規制という話もほかの委員からも出ておりました。

 やはり消費者庁ですから、あるいは消費者大臣、消費者副大臣でありますから、委員会の結論は仕方ない、現実そうなってしまった、ただ、相談件数も減っておりませんし、実際、普通に考えても、高齢の方に対してこういう仕組みが一定必要だということは恐らく現状認識、御理解いただいていると思いますので、今後も再勧誘規制については法改正を目指して議論をしていきたい、これぐらいは消費者庁としては言っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

松本副大臣 先生おっしゃるとおりで、ますます高齢社会が進んでいく中で、そういう事例、悪質な事例といいましょうか、そういうものがふえていくということが予想されるわけであります。

 しかし、さはさりながら、そこにきちっと地方自治体の皆さんの協力をいただいて、見守り体制の中でひとり暮らしの高齢者等々の生活をどう支えていくかという課題の中で、そういった消費者行政も進めていかなくちゃならぬ、こういうふうに思っております。

 当然、調査会の先生方も、それぞれの立場の委員の先生方も、今国会の御議論をきちっと伺った上で検討が重ねられる、こう思っておりますし、各自治体から現場の声、これも反映をして、さらに法改正に、どういうふうに、いつの時期に、どういう内容にするかということを、日々研さんを重ねて、御期待に沿いたいと考えるところであります。

井坂委員 ありがとうございます。

 現場の、特に地方の協力も必要だというふうに今おっしゃったので、参考人にお伺いいたしますが、むしろその地方から、今、地方議会の意見書というような形で、こういうことを国はいいかげんやってくれ、踏み込んでくれというような意見書が随分上がってきているんじゃないですか。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、今回の法改正の動きに沿いまして、消費者庁にも、自治体から、事業者の方からの勧誘等を事前に拒否するというような形での表示がされた場合にはそれを禁止するというような形での御要望もいただいているところでございます。

 そうした中で、先ほどの繰り返しになって恐縮ではございますけれども、今副大臣からも御答弁がありましたように、規制だけではなくて、現在の法律の執行を強化するとか見守りとか、全て使った上で、その状況をしっかり見て、また、その状況を見る中で、トラブルの状況が改善しないとかあるいは着実に減らないというような状況であれば、またしっかりと検討しなきゃいかぬというふうに考えております。

    〔委員長退席、永岡委員長代理着席〕

井坂委員 ぜひ、消費者庁は消費者委員会の運営事務局ではないと思いますから、もちろん、業者、産業界側の意見は当然あると思います。それは、産業界側の意見と消費者側の意見でしっかり消費者委員会で闘わせていただけばいいわけであって、むしろ、全省庁の中で、この消費者庁あるいは消費者大臣、副大臣だけは消費者側に立つということで、意思を持ってこの件を進めていただきたいということをお願いいたします。

 もう一件、高齢の方の被害を防ぐという観点からお伺いをいたします。

 今回、過量販売、要は、必要以上にたくさん物を買わされてしまう、こういう過量販売について、いろいろ法改正で強化をされました。必要以上のものを間違ってついつい勢いで買わされてしまった場合は、これは、販売業者を処分の対象とするとともに、買ってしまった、買わされてしまった側も、申し込みの撤回または契約の解除ということでできるようにするという改正案、よいことだというふうに思います。

 ただ、一点、これでいいのかなと思う点がありますのは、この契約の解除期間、これは一年以内というふうに定められているわけであります。

 もちろん、余りいつでも、三年たっても五年たっても解除できるということであると、これはこれで売った側がたまらないということで、よくわかるのであります。

 ただ、本来の趣旨、高齢の方が、これは大体高齢の方です、ひとり暮らしなのに高級羽毛布団を何か五組も六組も買わされてしまったり、こういう高齢の方の被害が予想される中で、契約解除期間が一年。そうすると、買った側も、買ったときは、うちもやはり羽毛布団は五、六組必要かなと思って買うわけですよ、そのときは。何となくそのまま、これは過量販売なんじゃないか、買わされ過ぎたんじゃないかと気づかないまま一年たってしまえば、もう当然、今のルールですと、今回の法改正ですと解除ができないということになります。

 これは、一年以内で本当にこういう具体的な高齢者の被害が防げるのか、高齢者の利益保護にとってこれで十分なのかということについてお伺いいたします。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者による過量販売解除権の行使は、事業者からすれば解除されるリスクと位置づけることができることから、取引の安全とのバランスから、適切な期間に設定する必要があるというふうに考えております。

 このため、現行の特定商取引法におきましては、訪問販売において過量販売解除権を行使できる期間を一年間としております。これは、過量販売解除権が実際に主張される事案としては、消費者自身が気づく場合のほかにも、判断能力が不十分な高齢者の独居世帯において過量な商品等が存在していることについて、お盆とかあるいは正月等、一年における節目に親戚の方などが帰省する等の機会に気づく場合も想定されます。そういうことで、一年あれば十分であるというふうに判断したところであります。

 そのようなことから、今回、特定商取引法の改正案におきまして導入することにいたしました電話勧誘販売型においても、このような考え方を踏襲したところであります。

井坂委員 これは今回法改正で新たに加えられた部分ですので、私は一年で本当に十分かなというふうな疑問を持ちますが、実際、今回法改正でやってみて、一年以内にほぼ全員がこの解除権を行使できて、買わされ過ぎたけれども、気づいて、一年以内にちゃんと返すことができたということであれば、私の懸念は杞憂に終わったということでよいと思いますし、実際やってみたら、どうも一年以内に気づかない方が結構な割合で出たということであれば、この期間についてはぜひ延長をお願いしたいというふうに思います。

 次に、今回、行政調査において、販売業者の社員さんや関係者に質問をすることができる、それを断ったら罰則が科されるということで、調査権が強化をされました。ここについてお伺いをしたいんです。

 ところが、この報告、質問する、あるいは立入検査、この対象者の範囲がやや狭いのではないかというふうに考えています。対象者に入らないのは、例えば、外部の業務委託の会社ですとか、あるいは取引先の中の製品の卸の業者さん、そういうところは対象外ということであります。

 ふだんはそれでもいいんですけれども、最近はいろいろなビジネスモデルがありますから、当該の、調べに行く会社だけじゃなくて、実はその後ろ側にいる会社の方が実質的ないろいろな決定権を持っていたり経営に深く関与していたり、こういうケースがいろいろ考えられます。

 そこでお伺いいたしますが、この報告徴収、あるいは立入検査の対象者の範囲、これをやはりその会社の業務の実態に合わせて、この業者と密接な関係を有する者というような形で、政令で定める範囲を拡大する、広くとる必要があるのではないかというふうに思いますが、これは細かい話なので、参考人にお伺いいたします。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 特定商取引法におきましては、直接消費者と取引を行った事業者に対して立入検査等の調査を行うことができるほか、当該事業者と密接な関係を有する者として政令で定める者に対しても、立入検査等の調査を行うことができるとされているところでございます。

 消費者委員会における議論においては、この密接関係者について、複雑化、巧妙化する違反事業者の手口に対応するため、その範囲を広げるために政令改正を行う必要があるとされております。

 当該事項は政令事項であることから、本法案においては特段の措置を行っておりませんけれども、本法案が成立した暁には、消費者委員会の答申、さらには委員の御指摘も踏まえた上で、その後の関係政令の整備の中で、既存の条項との関係を整理しつつ、対象や規定ぶりが適切なものとなるよう、具体的な内容を検討していくこととしております。

井坂委員 今後、その範囲は、政令ですのでそこで決めていくということでありますから、ぜひお願いをしておきたいのは、最初から政令で狭い範囲をとってしまうと、申し上げたような、最近出ているいろいろなビジネスモデル、ここだけ調べても何もわからないというようなケースがたくさんあると思います。ですから、政令は、やはり調査の対象はなるべく広くとっていただいて、別にそれを全部調査するということではなくて、ルールは広くとっておいて、実際の検査対象、質問の相手、これは各業者の実態に合わせて、一番聞くべきところに限定して聞く、こういう運用でいいのかなというふうに思いますから、ぜひ、政令、対象者の範囲を狭くとり過ぎないようにということをお願いしたいというふうに思います。

 次に、今度は地方の問題でありますけれども、ある都道府県で消費者の問題で行政処分を受けた業者、これが、ある都道府県で行政処分を受けた後に、別の都道府県、隣の都道府県に行って同じような違反行為をするということが現状では可能になっています。

 そこでお伺いいたしますが、複数の都道府県にまたがる被害事案に対しては、また新しい仕組みが必要ではないでしょうか。

松本副大臣 現在の特定商取引法におきましては、全国的に被害が及んでいる事案等については国が対応する、県域レベルの事案については都道府県が対処するということが基本になっております。そして、都道府県による行政処分は自治事務として行われるものであって、当該都道府県の区域内にのみ処分の効力が及ぶということで整理をされている。

 結果、先生御心配のようなことが現実に起こりつつあるという中で、特定商取引法専門調査会では、このような状況を踏まえて、都道府県知事による行政処分の効力を当該都道府県の区域を越えて及ぼすべきではないかとして議論がなされたところであります。

 その中では、一部の委員から、都道府県の行政リソースの活用等の観点から、非常に積極的な御意見もありました。一方で、処分のために必要な情報を広域的に収集、分析して執行する体制を充実させる必要などを指摘される意見もあり、さらに検討を進めるとされたところであります。

 また、昨年十二月に閣議決定された平成二十七年の地方からの提案等に関する対応方針においては、複数の都道府県にまたがる消費者被害事案への対応については、内閣府消費者委員会特定商取引法専門調査会における議論を踏まえた上で、都道府県知事の行政処分の効力のあり方について検討し、平成二十八年中に結論を得る、その結果に基づいて必要な措置を講ずる、こうされたところであります。

 消費者委員会の答申や当該閣議決定を踏まえて引き続き対応してまいりたい、こう考えておるところであります。

井坂委員 この件、私は神戸の選挙区なんですけれども、関西広域連合から、おっしゃったようなこういう広域的な執行体制に関して、この事務をもう関西広域連合に移せないかというような提案が出て、今おっしゃったように、昨年末の閣議決定で、ことしじゅうにはきちんと議論をして結論を得るということになっておりますから、そもそも地方の側からも提案があったことですので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 次に、もう一つ、地方の問題なんですけれども、地域間格差についてであります。

 最近十年間における都道府県ごとの行政処分の執行件数、これは、全体では国の執行件数を上回っておりますから、国がやっている仕事というより、地方も今頑張ってこの法律に基づいてやってくださっているということであります。

 ところが、各都道府県別に見るとこれは大変なばらつきがありまして、業務停止命令あるいは指示処分、これを過去三年間で一件も行っていない都道府県というのが二府十八県ある。要は、やっているところはたくさんやっている、もう国以上にやっている、ところが、全体の半数近くの都道府県は一件もこういう仕事をやっていない、あるいはできていない、こういう格差があるわけであります。

 そこで、まず参考人にお伺いいたしますが、この執行件数、仕事の実績に地域間格差があるということについて、今政府はどのように認識をし、そして、実際、ゼロ件というような都道府県に対しては今後どのような対策を打っていくのか、お伺いをしたいと思います。

川口政府参考人 御指摘の都道府県ごとの特定商取引法に基づく行政処分でございますが、多いところ、最多は東京都でございますけれども、少ないところで、実績がないというところもあるわけでございまして、こうしたばらつき、地域間格差というのは適当でないものと思っております。

 これを改善すべく、消費者庁において、年二回、全都道府県向けの研修を実施しているところでございまして、特に、私どもの方から見て処分実績の少ない県に対しましては、これはブロックごとに経産局がございまして、経産局長を消費者庁長官は指揮できるというふうになっておりますので、この経産局に各県の立入検査に立ち会いをしてもらう、執行担当者へのノウハウの伝授を行うということをしているところでございます。

 研修ですとか立入検査、こうした機会へのさらなる積極的な参加を各県に働きかけてまいりたいというふうに思っておりますし、それから、そもそも県ごとの執行体制というものがございますので、これにつきましては、先ほど来御議論がございます地方消費者行政推進交付金において体制整備を図っていただくということを働きかけていきたいということでございます。

 以上でございます。

井坂委員 今おっしゃった経産局がやるときに、こういうふだんやっていない府県にもお声かけをして、うちがやるので一緒に来ませんか、一緒にやりませんかということで、ノウハウが実際現場の職員さんに身につけば、次からは、ではこういう消費者被害が出たらうちの県単独でちょっと動いてみようということになる。

 これは一つの工夫だと思いますが、ただ、これはもう既にやっておられることじゃないですか。いろいろやっておられて、なお二府十八県では消費者対策の仕事が行われていないということ、執行がされていないということでありますから、そこで、やはりさらなる、これまでされたことは私は否定しません、いい工夫だと思います。ただ、それでなお二府十八県ができていない、やれていないということでありますから、これはさらに追加で対策が必要だと思いますけれども、具体策はまだないにしても、副大臣、いかがですか。

 現状、今の答弁は、やった上でなお二府十八県が執行実績ゼロだということであります。

松本副大臣 先生御指摘のとおり、まだそうしたことが十分できていない、そういう府県があるということは事実であります。そのことを私どもとしては厳しく受けとめて、それぞれ二府十八県に対して、消費者行政について積極的に取り組んでいただくように強い要請を繰り返してまいりたいと思います。

井坂委員 副大臣、ありがとうございます。

 特定商取引法についてはあと一点だけ、インターネット通販についてお伺いをいたします。

 インターネット通販、今、使う人もどんどんふえております。私も、一昨年のこの委員会において、当時、危険ドラッグの禁止法というものを出して、実店舗は実際潰せたわけでありますが、今度ネット上の、危険ドラッグのネット通販がなかなか最後まで撲滅できないという中で、公示送達というやり方、法改正を当時提案して、それは今回法改正に入れていただいたことについては感謝をしております。

 これは一歩前進でありますけれども、しかし、今後も、このインターネット通販というものは、かつては一部のコンピューターなれしている人たちだけがネット上で物を買う。今は、もう本当に、スマホでも服が買える、そして高齢の方でもパソコンで本を買ったり、こういうことは当たり前になってきている時代に、さらにネットの消費者保護ということで、例えば、虚偽、誇大広告に関する契約取り消し権、ネットはもう結局ネットの画面だけ見て買うか買わないか判断しますから、激安とか、とても品質がいいとかホームページに書いてあって、それで買ってしまってということは、普通のお店よりもさらにあるわけであります。

 こうしたインターネットならではの問題に対する被害防止、救済措置が今後さらに必要だというふうに思いますが、副大臣、総論でお願いいたします。

松本副大臣 先生が、厚生委員会だったでしょうか、この問題に熱心に取り組んでいただいていたときに御意見を拝聴しておりまして、私もインターネット通販の被害者の一人でありまして、お金を払い込んだんだけれども商品はいまだ届かないというような事例、こういったことに遭遇しております。

 したがいまして、インターネット通販を含む通信販売に関する事項、これについて対応しなきゃならぬ、こういう思いは強く持っております。

 そして、調査会において、通信販売における虚偽、誇大広告に関する取り消し権の付与について議論をしていただいたわけでありますが、全体としていまだ意見の一致を見なかった。私としては大変残念でありますが、そういう状況にあります。

 消費者庁といたしましては、こうした専門調査会の結論を踏まえて、今回の法改正には盛り込むことができなかった。

 今後は、特定商取引法に基づく表示義務の徹底、虚偽、誇大広告に対する厳格な執行、今回導入することとしている公示送達による処分、これなどによって悪質なインターネット通販事業者への対応を強化していかないといけないという強い思いを持っております。

 また、今後の規制のあり方につきましては、その執行状況やトラブルの推移等、しっかり注視しながら、将来必要が生じた場合には、必ず必要が生じる、こう思っておりますが、しっかりと対応を検討してまいりたいと考えております。

    〔永岡委員長代理退席、委員長着席〕

井坂委員 副大臣御自身もネット通販で理不尽な目に遭われたということでありますから、非常に力のこもった、並々ならぬ熱意を答弁から受けとめましたので、消費者委員会で結論を見なかったのは私も残念だと思いますが、これはもう社会の趨勢で、今後副大臣と同じ目に遭われる方も激増すると思いますので、ぜひ、ネット通販に関するいろいろな実効性ある施策をよろしくお願いしたいと思います。

 次に、消費者契約法に移ります。

 まず、そもそも論ですが、消費者とは何かということであります。

 PIO―NET、この相談受け付け件数のうち、自営業の方からの相談が全体の五・三%を占めている。しかも、そのうち六十歳以上の自営業の方からの相談も一・九%あって、この五年間減っておりません。

 しかし、この消費者契約法、保護すべき対象の消費者とは何かというと、個人事業主ではない人、それから企業、法人ではない人が消費者である、最初からそういうふうにくくられてしまっているんです。

 ところが、もちろん個人事業主は商売でやっているものですから、例えば、八百屋さんが何か間違って変な野菜をつかまされました、これは確かに消費者被害とは呼べないと思います。商売人同士の取引ですから、八百屋さんがちゃんと注意をして、この野菜はいい野菜かどうか、よく見て買うということであります。過量販売、何かきょうはニンジンばかり買わされ過ぎた、こういうことも、八百屋さんに関しては、これは消費者被害とは呼べないと思います。

 でも、特に高齢の自営業者の方、大臣の御地元にも多いと思いますけれども、例えば高齢の八百屋さんが、ある業務用パソコンの販売員が来て、これからはパソコンの時代でっせ、八百屋さんでもパソコンで売り上げ管理をすれば、こうなってこうなって、売り上げが倍増ですよといって、全く詳しくないパソコンを買わされてしまった。しかも、何か保守契約まで結ばされて、毎月毎月結構な金額を取られてしまう。こういうようなケースは、幾ら個人事業主とはいえ、これはむしろ消費者として保護すべき事案なのではないかというふうに私は思います。

 この消費者とは何かということ。特に私が今申し上げたような、高齢の個人事業主が、全く詳しくないまま、業務用といって、詳しくないジャンルのもの、パソコンとかインターネットとか、そういうものの契約をさせられてしまう、長期契約をさせられてしまう。こういう場合は個人事業主であっても消費者保護の対象にすると、私は、もう法律にそこははっきり線引きを書いてはどうかというふうに思うわけでありますが、副大臣、今の話を聞いていただいて、いかがでしょうか。

松本副大臣 先生御承知のとおり、消費者契約法においては、消費者とは、事業としてまたは事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く個人、こう表現をされております。

 事業としてまたは事業のために契約の当事者となるかどうかにつきましては、外形的基準、実質的基準に従って、個々の具体的事案に即して判断をされる、こう承知をしております。

 こうした基準に従って判断した結果、お尋ねの事案において、消費者として消費者契約法が適用されることとなる場合もあります。

 したがって、先生、大切なことは、こうした事案が起こったときに、その年老いた、パソコンを十二分に使うことのできない八百屋のおじさんが、ちゃんと相談員のところに行って、こうこうこういう事例なんだけれども、ひど過ぎるじゃないか、金を返してもらってくれよ、こうおっしゃったときに、それに適宜適切に対応し、相手と交渉をしという能力をしっかり相談員に身につけていただく、ここが一番肝心なところだと私は考えております。

井坂委員 確かに、おっしゃるように、相談員の方が、相談に行ったのに、いや、あなたは個人事業主だからだめですよなんて言ったら、これは元も子もない話でありますから、そこは副大臣のおっしゃるとおりだと思います。

 ただ、私が今回申し上げたいのは、法律では、やはり事業として買ったものに関しては消費者として保護しませんよということなんです。先ほどの例で言えば、高齢の八百屋さんであっても、事業のためにパソコンを買ったということにはなろうかと思います。

 もちろん、実態をよく見て、まれに、事業として買ったパソコンでも消費者として保護されて返金を求められるとか解約できる、裁判までやればそういうケースもいろいろ出てくる。裁判までやれば、企業であっても消費者として保護された例も過去にあります。

 ですから、私が申し上げたいのは、今、法律の線引きは、個人事業主なのかそうでないのかという、そこの線引きにこだわった表現になり過ぎていると思います。本来の消費者保護の趣旨である情報の非対称性、売り手と買い手で持っている情報も契約の力量も違い過ぎる、これが消費者保護の原点であります。

 八百屋さんが野菜を買うときは、非対称性はないんです。商品知識もありますし、契約交渉能力もありますから、保護する必要はありません。ただ、八百屋さんは、幾ら業務のためとはいえ、パソコンを買うときは、非対称性は一般消費者と同じぐらいあります。パソコンのことを知りませんし、値段の交渉もできません。そういうときは消費者として保護をする。

 こちらの本来の線引き、情報の非対称性があるのかないのか、そこでこの消費者保護の対象を線引きすべきだと思うんです。いかがでしょうか。

松本副大臣 個人名で事業主がパソコンを買った。八百屋さんがパソコンの知識、高齢者の方が一番新しい時代のパソコンの知識があるとは思えない。

 売る方が、このパソコンを入れると商品管理が楽になりますとか、いろいろな魅力的な話をして導入をされる。しかし、結果的に使いこなすことができない。そこに、売ったメーカーの方が一週間も二週間も、そのおじいちゃんに使ってもらうために講習をするというか、使い方をお手伝いに行く。お互いの誠意といいましょうか、そういうものが成立している場合もある。言いたいことだけ言って、買ってもらって、お金をもらって、はい、さようならという非常に不親切、悪質な業者もいらっしゃるはずです。

 それをどう見分けるかというのが大変難しいところでありまして、そのことについて、司法の場で、個人事業主が、事業を行う商店名ではなく個人名でパソコンを購入している場合、使用時間のうち、事業目的で使うものではなく個人的な趣味のために使う方が長いといったような場合は消費者に当たるということもあると考えられておりまして、実態をどう把握するかというところが一番肝心なところだと考えております。

井坂委員 今副大臣がおっしゃったその実態、要は、どういう使われ方をしているか、あるいは業者さんがちゃんと使えるように誠意を持って教えに来てくれたか、これは大事な要素ではあると思うんですけれども、しかし、微妙に論点、線引きがずれてくると思うんです。

 要は、幾ら誠意を持って教えに来てくれたとしても、別に買わなくていいものを知識がないままに買わされてしまったということであれば、やはり問題だというふうに思います。あるいは、趣味に使う時間よりも仕事の時間の方が多かったかどうか、これも使われ方の実態という意味では一つのチェックすべき点だとは思いますが、しかし、では、そもそも趣味でもパソコンは使わないですよ、多分。買ったパソコンで時々何かチラシをプリントアウトするのに使うとか、そうすると、仕事にしか専ら使っていないというパソコンになるわけで、やはりそういう線引きでもないと思うんです。

 消費者は本来何かという話をすれば、やはり、業者さん、売り手と比べて余りにも知識がない、交渉力がない、だから保護をする必要があるというのが原点であるというふうに思います。事業性があるかないかとか、事業に使っているかどうかではなくて、まさに力の差がある、だから保護をする、ここの原点に沿った法律の線引きに変えるべきではないかというふうに思うんですが、いかがですか。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者契約法立法時から先生のような御議論がございまして、消費者とは何かについては、まさにもう十年、二十年という議論があるところであります。

 ですから、消費者法を専門にする学者の先生方には、消費者についてもう少し広目に議論をすべきということで、まさに交渉力、情報力の格差に着目した立法をという立法提案もあるところでございます。

 私どももそういう動きは承知しておりますが、先ほど副大臣から申し上げましたように、消費生活相談の現場はかなり柔軟に対応をしております。

 そもそも論ですが、まず、八百屋さんでいえば、八百屋さんは隣の肉屋に行けば消費者であるというのは、これは消費者法の一番最初にいろいろなところで言っております。

 ですから、一旦、個人事業主でも、その契約の場面ごとに消費者になったり事業者になったりということをまず前提といたしまして、その上でさらに実際の契約場面でどっちか、ボーダーラインが結構ありますので、その場合を、事案に応じて、パソコンとかファクシミリの機器とか、そういう場合がまさにボーダーラインになりますので、その運用については、実質基準、形式基準、両方見ながら運用すべきということを消費生活センターに説明をして、まさにそれで運用してもらっているということでございます。

 消費者庁としてできることはその辺が限界かなというふうに思っているところでございます。

井坂委員 海外では、消費者的事業者とか、そういう中間的なカテゴリーを持って対処している国もあるようであります。やはりそこの、要は消費者性があるかないか、事業を営んでいるかどうかではなくて消費者性があるかないかでしっかり対応を分けていただきたいというふうに思います。

 最後、時間があと一分ぐらいあるんですかね。もう一点だけ、端的に……(発言する者あり)もうないですか。ごめんなさい、紙が来ましたので。

 そうしたら、本当にこの契約法については、まさに何を消費者として見るかというのは当初からある一番大きな論点だというふうに思いますが、現状、まさに高齢の事業主というものがふえている中で、ひとつ大きな穴にならないようにお願いを申し上げまして、本日の質疑を終えたいと思います。

 どうもありがとうございます。

江崎委員長 井坂委員、時間厳守ありがとうございます。

 次回は、明二十八日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十分散会


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