衆議院

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第8号 平成23年11月24日(木曜日)

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平成二十三年十一月二十四日(木曜日)

    午後三時四十二分開議

 出席委員

   委員長 古賀 一成君

   理事 大島  敦君 理事 近藤 洋介君

   理事 田嶋  要君 理事 中川  治君

   理事 橋本 清仁君 理事 谷  公一君

   理事 額賀福志郎君 理事 石田 祝稔君

      石井  章君    石津 政雄君

      石原洋三郎君    石山 敬貴君

      磯谷香代子君    市村浩一郎君

      太田 和美君   菊池長右ェ門君

      沓掛 哲男君    斉藤  進君

      斎藤やすのり君    階   猛君

      白石 洋一君    菅川  洋君

      玉城デニー君    辻元 清美君

      中野渡詔子君    長尾  敬君

      畑  浩治君    藤田 憲彦君

      森本 和義君    谷田川 元君

      山尾志桜里君    山口 和之君

      若井 康彦君    若泉 征三君

      あべ 俊子君    秋葉 賢也君

      井上 信治君    小里 泰弘君

      加藤 勝信君    梶山 弘志君

      橘 慶一郎君    長島 忠美君

      吉野 正芳君    高木美智代君

      高橋千鶴子君    柿澤 未途君

      園田 博之君

    …………………………………

   総務大臣         川端 達夫君

   財務大臣         安住  淳君

   文部科学大臣       中川 正春君

   厚生労働大臣       小宮山洋子君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   経済産業大臣       枝野 幸男君

   国土交通大臣       前田 武志君

   環境大臣

   国務大臣

   (原発事故の収束及び再発防止担当)        細野 豪志君

   国務大臣

   (金融担当)       自見庄三郎君

   国務大臣

   (東日本大震災復興対策担当)

   (防災担当)       平野 達男君

   内閣府副大臣       後藤  斎君

   内閣府大臣政務官     郡  和子君

   総務大臣政務官      福田 昭夫君

   政府参考人

   (内閣法制局長官)    梶田信一郎君

   政府参考人

   (林野庁長官)      皆川 芳嗣君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     関根 正博君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十四日

 辞任         補欠選任

  階   猛君     山尾志桜里君

  白石 洋一君     磯谷香代子君

  畑  浩治君     藤田 憲彦君

  柳田 和己君     石井  章君

  小野寺五典君     橘 慶一郎君

  加藤 勝信君     あべ 俊子君

  吉泉 秀男君     服部 良一君

同日

 辞任         補欠選任

  石井  章君     玉城デニー君

  磯谷香代子君     白石 洋一君

  藤田 憲彦君     畑  浩治君

  山尾志桜里君     階   猛君

  あべ 俊子君     加藤 勝信君

  橘 慶一郎君     小野寺五典君

  服部 良一君     吉泉 秀男君

同日

 辞任         補欠選任

  玉城デニー君     柳田 和己君

    ―――――――――――――

十一月二十四日

 復興庁設置法案(内閣提出第八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災復興特別区域法案(内閣提出第一号)


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     ――――◇―――――

古賀委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、東日本大震災復興特別区域法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣法制局長官梶田信一郎君及び林野庁長官皆川芳嗣君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古賀委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小里泰弘君。

小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。早速、法案についてお伺いをしてまいります。

 今回、初めて災害復興におきまして特区という手法を導入することになります。阪神・淡路大震災では、復旧の段階までは、国が主体的に、積極的にこれに絡んでまいりました。ただ、復興においては、どちらかというと地方が主体的になってこれを進めた、政府は、国はそれを側面から支援した経緯であったかなと思うところでございます。今回は、この震災の特異性、甚大性であるとか広域性であるとか、あるいはまたその他特質性に着目をしまして、私どもも、これは特別な配慮をしていかないといけない、従来にない対策を打っていかないといけないということで、各種の提案を行ってきたところでございます。

 そこで、改めてお伺いをする次第でございますが、今回の大震災のこれまでの震災との違いは何か、そして、今回の大震災からの復興に当たりまして特区という手法を導入するその理由について、政府の見解をお伺いします。

平野国務大臣 今回の東日本大震災の特徴、これを一口で言うのはなかなか難しいんですけれども、まず、もう委員御承知のように、大きな地震の後に大きな津波が来まして、その被災の範囲が非常に広く、また被害も甚大だったということでございます。それから、その地震と津波によって原子力災害がそこに乗っかったという意味において、本当に大きな災害になっているということであります。

 このため、今回の震災への対応に当たりましては、復興への取り組みも前例や既存の枠組みにとらわれてはできない、そういう観点で、地域限定で思い切った措置が必要である、そういうことで特区制度をまずつくったということでございます。

 被災の状況や復興の方向性は地域によってさまざまであり、地域の創意工夫を生かしたオーダーメードの仕組みが必要であったということも、この大きな理由でございます。

 それからあと、迅速な復興のためには、縦割りを排して、規制、税、財政、金融上の特例措置をワンストップで総合的に運用する仕組みが必要であるということも大きな理由であります。

 それから、復興基本法においても、復興特別区域制度の導入のために必要な法制上の措置を講ずる旨定められたところでありまして、被災地域の意見も伺いながら制度設計を行いまして、今回の復興特区法案を提出させていただいたということでございます。

小里委員 御答弁にありましたように、今回の災害の特異性ゆえに地域から人が流出をしていくんじゃないか、また企業が大量に流出をしていくんじゃないか、これを何とか食いとめないといけない、そういった観点から、例えば二重ローン救済法もそうでありましたけれども、各種の対策を提案し、これがまた打たれつつあるところでございます。

 思い出しますのは、私が、被災地に何度かお伺いをしましたが、特に、五月の連休に、岩手県山田町だったと思いますが、お伺いをしましたときに、町長さんが、高台に引っ越したい意向は持っているんだ、しかしながら、国がどういう支援をしてくれるかわからない、どういうふうに財源をつくってくれるかわからない、したがって、復興計画をつくれないんだ、住民の皆さんに説明もできないでいるんだという嘆きの声を聞いたことを今でも鮮明に思い出すわけであります。

 そういったことをもとにしながら、我々も、予算委員会をまず手始めにして、この復興特でもそれぞれの対策を提案してきたわけであります。以来、半年です。半年にしてやっとこのメニューがそろったわけであります。いかにも、当時のことを考えますと、遅きに失したなという思いは今さらながらするわけであります。かくなる上は、しっかりと、これが適切に、確実に、実効あるものとして被災地に届いていきますように特段の取り組みをお願いしたいと思います。

 そういった観点から、また質問を重ねてまいりたいと思います。

 与野党協議で特に課題になったと聞いております。地方がこの制度に基づいて特例を要望しても、所管官庁がこれに抵抗を示して、その実行が難しい場面が出てくるんじゃないか、こういったことが議題に上がったと聞いております。まずは、被災地の立場で、復興庁が、復興大臣がしっかりとその先頭に立って調整を図っていくべきであると思いますが、その姿勢を大臣にお伺いしたいと思います。

平野国務大臣 まず、復興の主体は被災した地域の住民の方々、そしてその地域の市町村である、そういう前提でこれまでのさまざまな制度設計をしておりますし、今回の法案もその前提で提出させていただいております。したがいまして、本法律案では、本法施行後、地域において必要性が認められた特例につきましては、地域の提案に基づき、国と地方の協議会での協議を経て、迅速に追加、充実する仕組みを導入することとしております。

 まず、今の法案の中では、この法案を提出するに当たって、被災自治体でどういう制度の特例が欲しいか、どういう税制が必要か、そういったことをさまざまな観点で、頭の体操をしながら、できるものは入れるということで制度を仕組んでおりますけれども、それでもまだ、これから地域が復興をやるに当たって、この特例が欲しい、あるいはこういった規制緩和が欲しいといった要望がある場合には、この国と地方の協議会の協議を経て、それで迅速に追加、充実するという仕組みをとっているということでございます。

 こういう場合、復興庁ができた場合には復興庁、今は復興本部でございますが、基本的には、被災自治体の立場に立って、それで関係省庁と調整をし、できるだけその地域の要望に即した制度ができるように、あるいは仕組みができるように引き続き努力をすると同時に、今回復興庁ができますと、関係省庁に対し一段高い立場から勧告権等々ができますので、強力なリーダーシップを発揮してまいりたいというふうに考えております。

小里委員 同じ課題について、引き続きお伺いをしてまいりたいと思います。

 条例で法律上の規制を取り払えるようにしよう、いわゆる条例による法律の上書きでありますが、これを可能にしたらどうかという意見もあったように聞いております。むべなるかなと思うところでありますが、しかしながら、憲法上の問題がありそうです。同時にまた、被災自治体が、事務量がただでさえふえているところに、その条例をつくったりする余裕があるのかといったような指摘もあったようでございます。

 そういったことから、国会がこれを是正できるようにする、おっしゃった国と地方の協議の中で地方の意向が無視されるような、あるいは軽んじられるようなことがあった場合に、国会がこれを是正するような仕組みをつくろうという方向で修正協議が進んでいるように聞いているところでございます。

 この方向性について、お伺いをいたします。

平野国務大臣 御指摘のように、地域の創意工夫が可能な限り生かされる仕組みとすることが重要でありまして、国政の場に被災地の声が届くことについては意義あるものというふうに認識をしております。

 現在、この部分の法案につきましては、その修正について政党間協議を行っていることは承知をしております。政府としましては、法案を国会に提出した以上は、その修正については国会での議論にゆだねるものと考えており、その政党間の協議の結果を見守ってまいりたいというふうに考えております。

小里委員 せっかくつくった制度がしっかりと被災地に届かないと意味がないわけであります。国会も関与する形で、しっかりと、そして責任を持って実効あるものになるように我々も努めてまいりたいな、そのように思うところでございます。

 続きまして、与野党協議の論点として、復興交付金の自由度の問題というものもあったように聞きます。すなわち、復興交付金を、基幹事業との強い関係性を求め過ぎますと、結局、地方が本当に必要な事業が行えなくなるんじゃないか、そういう懸念があります。

 我々は、震災発生以来、いろいろな形で党を挙げての議論をしながら、自民党が持てるノウハウをすべて提供していこうという観点から提言をしてまいりました。五百七十七項目に及ぶ提言をしてまいりました。

 その第一次提言の段階から、被災者が安心して再生に頑張る、そしてまた自治体が自由に、機動的に復旧復興に取り組めるようにという観点から、いわゆるきずな基金、最初は思いやり基金と言っておりましたが、きずな基金、そして災害臨時交付金の制度を提案してきたわけであります。特にまた、災害臨時交付金については、議員立法によりまして、いわゆる礒崎法案としてこれが姿をあらわしてきたわけであります。

 我々のそういった提案を生かす形で今回の復興交付金の制度が創設をされたんだろうなと思うところでありますし、さらにまた、その修正協議が図られていると認識をするところであります。

 その修正協議の方向性、どのような状況になっているか、お伺いをいたします。

平野国務大臣 まず、復興交付金につきましては、二階建てになっておりまして、いわゆる一階建てについては、さまざまな復興に必要なハード事業の補助金を自治体が自由に使えるようにするという制度、二階の部分は効果促進事業ということになっておりまして、今の委員の御質問は、効果促進事業の自由度を高めるためにどのようにするか、特に法制上どのようにするかという御質問でございますけれども、法制上の問題につきましては、今、これは与野党間の協議でございますから、私の方でコメントすることはちょっと差し控えたいと思いますが、効果促進事業につきましては、今委員からさまざま御指摘ございましたけれども、自民党さんからも、早い段階から、自由度の高い交付金を創設すべきだ、こういった提言をいただいております。

 また、参議院で通過した法案の趣旨、考え方、そういったことを見ながら一応制度設計をしたつもりでございまして、できるだけ使い勝手のいい補助金にするよう、今、制度設計の細部を詰めておるということでございます。

小里委員 修正協議の結果を踏まえて、成立の暁にはしっかりとその対応を図っていただきたい、実効あるものとなるように、被災地にしっかりと届くように、対応を図っていただきたいと思います。

 第三次補正予算におきまして、復興交付金、瓦れきの処理を含めて、地方負担分は復興特別交付税でこれを全額手当てするということであります。しからば、二十四年度以降がどうなるのか、復興に関する地方負担は、引き続き同じようなスキームで国が負担をしていくことになるのか、念のため確認をさせてください。

福田大臣政務官 答弁をいたします。

 震災復興特別交付税については、先生御承知のとおり、まず一つは、特別に財源を確保して対処するということにしたことと、もう一つは、地方負担分を、地方債により措置するのではなく、地方交付税の増額を行って、事業実施状況に合わせてその全額を措置し、財政負担をゼロとする、こういうことで決めたものがこの震災復興特別交付税でございます。

 先生御指摘のとおり、平成二十四年度以降も、集中復興期間中、平成二十三年度から二十七年度でありますが、その復旧復興事業にかかわる地方負担が新たに生じる場合には、震災復興特別交付税の別枠での増額を図って、被災団体に対し同様の措置を講じてまいりたい、そのように考えております。

小里委員 引き続き次年度以降も年度内でしっかり手当てをされる、地方債をあえて立てる必要はない、そういう認識でよろしいわけですね。では、うなずかれましたので、そのように受けとめさせていただきます。

 復興交付金を使い勝手のよいものにしていかなければなりません。復興計画、これからまた事業計画、そして事業実施と進んでまいります。三次補正による事業が、これが数年かかっていくということが想定をされるわけであります。一方で、何年も繰り越せるかとなると、難しい部分があろうと思います。そこで、年度間の調整のために、地方に基金を設置したらどうかという考えも出てきているかに聞いております。

 その方向性がどのようになっておるか、お伺いをいたします。

平野国務大臣 復興交付金は、使い勝手をよくするという意味の中に、やはり、手続の簡素化、それからあと、年度内で使われなかった場合にどうするか、こういったことのきちっとした対応も必要だというふうに考えております。

 今後、詳細な制度設計を進めるに当たりましては、交付申請手続や提出書類の簡素化、これをしっかりつくってまいりたいというふうに思っておりますし、年度間の流用、事業間調整等の弾力的な執行などについても検討を進めてまいりたいと考えておりまして、その中で、特に効果促進事業につきましては、基金化ということも視野に入れて制度設計を今進めております。

小里委員 しっかりと、地方が使い勝手のいいものになるように、これから先も安心して復興計画、復興事業に取り組んでいけるように、政府としてきめ細かい対応を図っていただきたいと思います。

 続きまして、これは農林水産大臣にお伺いをしてまいります。

 被災地におきましては、災害に強い地域づくりの考え方に基づきまして、住宅地等を内陸部などの農地へ移転することが想定をされます。復興のためには迅速な対応が必要であるということは論をまたないところであります。

 その一方では、被災地の農業の重要性、特に、被災地域が農林水産業を基幹産業としているということなどを考えますと、農業の復興に必要な農地をいかに確保していくか、また、食料安保の観点からも、これをどう両立させていくかということが大きな課題になっていくと思います。

 その観点から農水省としてどういう対応を図っていかれるか、お伺いをいたします。

鹿野国務大臣 小里委員からは大変重要な御指摘をいただきましたけれども、現行の農地制度では優良農地の転用は原則不可とされているわけでありますけれども、災害に強い地域づくりの観点から住宅地等を内陸部の農地に移転することには、支障を来すおそれがあります。

 他方、被災地の農業は地域の基幹産業でありまして、雇用や暮らしの面で大きな役割を果たしているということから、農業の復興に必要な農地を確保するということも重要なことでございます。

 このために、復興整備計画に基づきまして実施する住宅地等の移転の対象地域が、農用地域内の農地等の優良農地であったとしても、復興のために必要かつ適当であり、住宅地等の跡地を農地として整備するなど、被災地の農業の健全な発展に支障がない場合には転用を可能とする特例措置を講じているわけでございまして、これらの措置によりまして、住宅地等の内陸部の農地への移転と農業の復興上必要な農地の確保というものは、両立を目指していかなきゃならない、こういうふうに考えております。

小里委員 代替地の方はどんな考えですか。

鹿野国務大臣 当然、代替地というふうなことの中で、今申し上げましたとおりに、住宅地等の跡地を農地として整備する等々、こういうふうなことで、まず、農用地域におけるところの農地の確保というふうなものも一体的に取り組んでいかなきゃならない、こういうことでございます。

小里委員 必要最小限にする、そしてしっかりと代替地を確保していくということが大事な要素であろうと思います。

 同じような観点から、今の質問または御答弁が、面的な、ゾーンとしてとらえた場合の一つの観点であったろうと思いますが、次に、この農地の転用問題、点としてとらえた角度から確認をさせていただきたいと思います。

 被災地においては、水産加工場等が甚大な被害を受けております。内陸部の農地に移転したいというニーズが強いとも伺っているところであります。被災地の復興のためには、こうしたニーズに的確にこたえていく必要がある。しかし、一方で、申し上げましたように、農地は、食料の生産基盤として、また食料安保の観点から、しっかりとまた確保をしていかないといけないわけであります。

 いわゆる復興推進計画における農地法の特例につきましては、食料供給施設に限定してその対象として考えるべきであると思いますが、この点、どんな方針か、確認をさせていただきたいと思います。

鹿野国務大臣 今御指摘のとおり、農地は食料の生産基盤としては非常に重要でありまして、被災地を食料供給基地として復興していくためにも、優良な農地というものは可能な限り守っていくということが必要であります。

 おっしゃるとおり、このような観点から、いわゆる集団的な優良農地の転用につきましては、ほかに転用適地がないということ、周辺の農業に支障がないということなどを要件とするとともに、対象施設も、農林水産物の加工販売施設、バイオマス施設等の食料の供給または農林水産業の復興に資する施設に限定する、こういうふうな考え方でございます。

小里委員 復興は地域主体であるべきだと思います。ただ一方で、食料安保というものは、国が最後まで責任を持つべき最たるものであると思います。その点はぜひ基本に据えて対応をしていただきたいと思います。

 続きまして、土地改良についてお伺いいたします。これは質問通告していなかったかもしれませんが、可能な中でお答えをいただければと思います。

 被災地の農業の復興を図るためには、区画整理や農地造成等の土地改良事業を早急に進めていく必要があります。しかしながら、今回の津波によりまして、農業者は甚大な被害を受けまして、本来の農業者の申請によった事業の実施というものは困難となる場合が想定をされます。本来、土地改良事業というものは農業者の申請によるわけでありますが、これがなかなか困難である場合が想定をされるわけであります。

 また、被害が極めて広範囲にわたっておりまして、復興にかかる費用は地方公共団体の財政力をはるかに超えている状況にあります。この費用につきましては、土地改良法の改正によりまして、また今回のこの復興特区法の適用によりまして、大分この問題は解消をされつつあるわけであります。

 その前段の、農業者の申請によった事業であるべきを緩和しないといけない、申請がなくてもこれをやっていく仕組みをつくらないといけないと思いますが、その点、確認をしたいと思います。

鹿野国務大臣 委員からも御指摘いただきましたとおりに、この大震災によりまして、農業者におきまして多大な被害が発生したことから、農業者の申請を待って土地改良事業を行うということは非常に困難な場合も想定されるところでございます。

 このために、今回の特区法案におきましては、土地改良事業に関しましては、地方公共団体の負担につきましては復興交付金での手当てを行っているということに加えまして、農業者の申請がなくとも、県みずからの判断により実施することができる旨の特例を設けているところでございます。

 このことによりまして、大変な被害を受けた農業者においてもいわゆる土地改良事業というものを実施していくことが可能になるもの、このように考えておるところでございまして、この特例を活用しながら、復旧復興に向けて取り組んでいきたいと思っております。

小里委員 しっかりと被災農業者の事情に思いをいたした対応を図っていただきたいと思います。

 これも質問通告をしていなかったかもしれませんが、若干時間があるようでございます。基本的なことをお伺いしてまいります。

 申し上げました、いわゆる災害に強い地域づくりに当たりましては、都市計画、農用地区域等のゾーニングを変更することが想定されていくわけであります。他方で、現行制度におきましては、都市計画、農用地区域等の変更に係る縦覧期間はまちまちであります。被災地の迅速な復興の観点から、ゾーニングの変更に係る縦覧期間を統一すべきであります。また、その一方で、住民からの意見聴取は丁寧に行っていかなければならないわけでありますが、この点、農水省の対応をお伺いしたいと思います。

平野国務大臣 今回は、いわゆる農振法とか都市計画法、こういったものについては、省庁の壁や所管の壁を越えて一元的な土地利用調整をしていこうということで、今の復興特区法案の中では、復興整備計画というものをつくっていただきまして、例えば、市街化調整区域の中に宅地がどうしても必要だというようなケース、あるいは、農振地域の中に食料供給基地みたいなものをつくりたい、そういった計画があった場合には、復興整備計画の認定をもって、事実上、手続の簡略化をするという仕組みになっております。

 そこで、今、委員の御質問の中に、縦覧の期間について統一するべきだということだったと思いますが、済みません、今ちょっと準備していなかったもので、後ほど調べまして、どういうことになっているかについては御報告をさせていただきたいというふうに思います。

小里委員 当然、統一をすべきと考えます。その方向で進んでいると確信をいたしますが、届きましたか。

平野国務大臣 どうも失礼しました。二週間公衆の縦覧に供しなければならないということで、二週間に統一をしております。

小里委員 続きまして、水産関係についてお伺いしてまいります。

 今回の法案には、漁業法の特例としまして、地元漁業者主体の法人、七人以上となっておりますが、この地元漁業者主体の法人に対して、県知事が、直接、特定区画漁業権についての免許を付与できるとなっているところであります。

 ただ、一方で、我が国の沿岸漁場におきましては、地域が、特に漁協が主体となりまして、地域の話し合いの中でルールを定めてきた。ルールをしっかりと話し合いで定めることによりまして、操業上のトラブルの回避、あるいは資源の管理、地域の秩序の維持というものを図ってきたわけであります。例えば、当然、どの漁業者も、いい場所で漁業をやろう、いい場所で養殖場を構えたい、そういう要望があるわけでありまして、そういったところを地域の話し合いで調整を図ってきたわけであります。

 ところが、今回のこの特例が導入をされますと、同じ漁場で違うルールが存在するということになりかねないわけであります。その結果として、地域のコミュニティー、秩序というものが破壊をされるんじゃないか、あるいは、地域の漁場の管理というものが、資源の管理というものがどうなっていくのか、危ぶまれることも考えられるわけであります。

 復興に向けて、引き続き、漁業者が一体となって取り組んでいかなければならないこのときに当たって、こういった問題についてどう対処されるか、お伺いをいたします。

鹿野国務大臣 今、小里委員から申されたことは大変重要なことで、私どもも、この点も十分頭に入れながらというふうなことで今日まで取り組んでまいりました。

 ですから、被災地の復興というものは、地元漁協のもとで地元漁業者による復興を支援するというのが基本であるわけでありますけれども、しかし、今回の大震災は非常に深刻な事態でありまして、地元漁業者のみでは資金あるいは担い手の確保というふうなことが大変困難だというようなところもあるのではないか、こういうようなことから、いわゆる復興のための一つの選択肢として、本法案の中に漁業法の特例を設けることにいたしたわけでございます。

 そういう中で、当然のことながら、今までの長い歴史の中で、お互いが話し合ってやってきた。そういう中で、きちっと漁業をやり、資源管理もやり、地域を守ることができたというふうなことからいたしまして、いわゆる知事に対して直接の免許というふうなものを付与するということになるわけでありますけれども、この知事の免許審査要件の中に五つございまして、特に五番目のところに、いわゆる他の漁業者との協調に支障が生じないことなどの基準を設けておるところでございまして、こういう中でしっかりと話し合いをしていくというような要件が含まれておるわけでございますので、そういう地元漁業者の話し合いという中で、免許権者である県知事が適切に対処するものと思うところでございます。

小里委員 特に、今大臣が触れられましたところの五つ目の要件、他の漁業者との協調に支障がなければという要件でございました。

 本来、現行制度でも、地域の話し合いがつけば、例えば企業がマグロ等の養殖ができるようになっているわけであります。そこにあえてこの特例を設ける必要があるのかなと、私個人的には思うところであります。

 しかしながら、せっかくこうやってスキームができ上がりつつあるわけであります。その中でしっかりと、国が、浜全体の調和を考えて、浜全体の秩序の維持、そしてまたコミュニティー、資源の管理ということを考えて、その調整、管理に国が責任を持って取り組んでいく必要があろうと思います。

 改めて、大臣の見解をお伺いします。

鹿野国務大臣 確かに、小里委員のおっしゃるとおりに、現行法でもできるのではないか、こういうことでございますが、今回の復興構想会議におきましても特区のお話が出ておりましたし、また、今回、宮城県知事から、漁業法の特例の規定というものの創設が求められておるというふうなこともございました。

 しかし、何といっても大事なことは、まさしく、この地域におけるところの漁業の、その地域社会をいかにして守っていくか、資源管理がきちっとできるようにしていくかということでありますから、我々も、この知事の免許権というふうなものについてはきちっと五つの項目にわたってそれが盛り込まれておるということでございますので、そのようなことを注視しながら、やはり国もきちっとこの責務を果たしていくべく、関係者とも、あるいは県とも話し合っていきたいと思っておるところでございます。

小里委員 まだ若干時間がありますので、多少、細目をお伺いしてまいりたいと思います。

 復興対策として税制上の特例を創設する、これは当然のことであります。例えば、新規立地の法人に対して、法人税の五年間無税の措置が行われるところであります。ところが、要件が厳しいとか、十分な効果がこれだけでは期待できないんじゃないか、そういった声があるのも事実であります。例えば、既存の企業にも、給与の控除あるいは償却のところ、さらには研究開発等々におきまして国が支援をしていくべきじゃないか、そういったところも指摘をされてきたところであります。

 この点、どんなふうな内容になっていくのか、確認をしたいと思います。

平野国務大臣 税制の特例についても、小里委員初め自民党さんからさまざまな御提案をいただいておりました。

 今回の特区法では、被災地における投資や雇用を促進する観点から、さまざまな税制上の特例措置を講ずることとしておりますけれども、今委員から御指摘があったように、新設企業につきましては、立ち上げ当初の経営が安定していないと考えられることから、五年間無税という特に大胆な措置を講ずることとしているところであります。

 当該措置につきましては、本店等の地域要件、投資要件、雇用人数要件等の要件を設けておりますけれども、これは、活発な事業活動を行う法人に、東日本大震災により雇用に著しい影響を受けた地域においてしっかりと活動してもらうことを確保し、当該地域に特例の効果を十分生じさせるためでございます。

 一方、既存企業につきましても、事業用設備を取得した場合の即時償却、これはかなり大きな措置でございますけれども、それから被災者を雇用する場合の税額控除、研究開発税制の特例等の適用を受けることが可能でございまして、こうした措置によって既存企業による投資や雇用が促進されることを期待しております。

小里委員 最後になります。

 今回の復興特区の対象として、二百二十二市町村がそこに上がってくるわけであります。しかしながら、個々の特例を見ていきますと、すべての市町村が活用できない特例があります。特例を活用できない市町村がむしろ多いんじゃないかなと思います。例えば、隣の町は適用されたけれども、我が町が適用されないのはなぜなんだ、そういった声も上がってくるんだろうと思います。地域で被害の質が違うし、また被害の範囲も違います。したがって、その対応策が違ってくるのは当然であろうと思います。

 すなわち、何のための今回の制度であるか、何のための交付金であるかというところを、要するに、復興のための交付金であるということをしっかりと説明を図っていく必要があろうと思います。

 時間になりましたので、この点は一応確認にとどめさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

古賀委員長 次に、吉野正芳君。

吉野委員 自由民主党の吉野正芳でございます。

 私たちの福島県に、八カ月たった今でも全国から多くの方々の御支援をいただいております。この場をおかりして感謝を申し上げる次第です。

 まず、細野大臣、おられます。細野大臣、毎月のように休日を利用して福島県に入られて、私は、福島県の県民という位置づけで細野大臣を見ております。本当に感謝を申し上げます。

 今週の月曜日、衆議院の環境委員会が除染を視察してまいりました。そこで、モデル事業、飯舘村に行ってきたんですけれども、ここで村長さんの言葉に私は愕然としたんです。実は、モデル事業、飯舘村で六億円使われる予定です。ある程度の面的、四百メーター、四百メーターの除染をするわけですけれども、宅地に植わっている植木とか大きな松とか、これもある意味で切らねばならない。そこに対する補償がこのモデル事業では出ないんだということなんです。

 これは、除染チームが福島県に住んでいるわけですね。除染チームがもう何カ月も住んでいるんです。村長が我々に、ここの部分は出ないんだ、何とかしてくれという陳情を受けるようでは、何のために除染チームが福島にいるんだ、また、大臣も何回も福島に入られてここまで気がつかなかったのか、この点はちょっと私は唖然としたんですけれども、いかがなんでしょうか。

細野国務大臣 飯舘村を初めとした、避難をされている区域のモデル事業が今スタートをしておりまして、さまざまな取り組みをいたしております。

 今の植木の話なんですけれども、私もお話を伺いまして、現在確認をしているところでございます。もちろん、例えば植木もそうですし、かわらのようなものも時々取り外すかどうかという議論があるんですけれども、まずは現状を守りながら、どれぐらい除染ができるのかというのをやる必要があるだろうと思っております。

 ただ、その一方で、例えば植木を切らないと除染ができないというようなところの場合には、そういったことも必要だというふうに考えております。そういった場合は、実は財務当局との間でまだ話をしている最中でありますけれども、除染をする手段として植木は切らなければならないということであれば、それは私は本来は補償の対象にすべきだろうというふうに思いますので、そういう調整をしてまいりたいと思っております。

 きょうも改めて環境省の方に言いましたのは、除染は、これまでの補助金とか、国がお金を出しているから最低限という発想ではだめだと。国が責任を持ってやるべきところなのでありますから、そういった意味で、こちらからお願いをして入れていただいて除染をしているわけでありますから、そういう発想に立てばおのずと答えは出てくるのではないかというふうに思っておりますので、引き続いてそこはしっかりと努力をしてまいりたいと考えております。

吉野委員 全くそのとおりですよ。

 村長が我々に、補償対象にならないんだから、個々の説得、もしくは村で出さなきゃならない。こんなことでモデル事業なんか進まないんですよ。何のために常駐しているんですか。ですから、現場に権限ときちんとしたお金を与えないからなんですよ。何のために福島に住んでいるんですか。このためなんでしょう。復興局もつくる予定になっているんでしょうけれども、本当なんです、現場に権限と予算を与えないと、こんな形になってくるんです。

 また、モデル事業も、私、環境委員会でも質問しましたけれども、菅野村長はまさしく言いました。国はデータを集めるんだ、まさしくそうなんですけれども、私たち福島県民にとっては、もう八カ月たっているので、帰れるか帰れないか、大いに迷っているんです。このモデル事業の結果を見て、もう帰れない、あきらめた、第二の人生を歩む、判断をしちゃうんです。ですから、このモデル事業は勝負なんです。そこのところを理解して、百億円では足りないんですけれども、もっともっと大きな予算で、勝負なんだという意識でモデル事業をお願いしたいと思います。

 次に、今度の三次補正、また特区法案等々、もう八カ月たって今できたんです。

 具体的な例を言います。福島県のいわき市です。民間で造成した団地が地すべりで崩れています。これを救うためには、大規模盛土造成地滑動崩落防止事業。適用例は一件です。国が四分の一、被災者が四分の一、市が四分の一、県が四分の一、あれでは基金を使ったんですけれども、たった一件なんです。市としてはこれを使いたいんですけれども、余りにも市の財政負担が大きい、また被災者にも迷惑をかける。だから、これを使いたいんだけれども使えなかったんです。

 そして、何をやったか。道路の災害復旧なんです。これで何とかその団地を直したいということで、直せる率は六割なんです。ここを道路災で、もう国の査定まで受けて、なかなか難しいところも無理にお願いして、土羽を災害査定で認めてもらった。そこまで汗かいて、地元説明会をやったんです。でも、かゆいところに手が届かないんです。せいぜい五割から六割なんです。残り四割は全部自己負担なんです。だから、文句が出るんです。

 それで、ここに来て、この大規模を大きく修正した造成宅地滑動崩落緊急対策事業ができたんです。これはすばらしいんです。これを使えば、何も無理して道路災で直す必要はないんです。二重の手間暇なんです、もう八カ月たって。なぜ、ここの民間の団地の地すべりはこういう方向でいくからという打ち合わせがきちっとできなかったのか。全く無駄なんです。

 民主党政権は無駄を省くという形でやっていますけれども、二重の手間暇なんです。こちらの新しい方がいいんです。ですから、今まで汗をかいてきた努力、市役所の職員の努力が水の泡になっちゃうんです。ここについてお答え願いたいと思います。

前田国務大臣 吉野先生がそうやって現場でも御指導いただいているわけですが、後半の、新しい造成宅地滑動崩落緊急対策事業の方については何とか使えるじゃないかという評価をいただきましたが、前半の方、これはもともとあった事業でありまして、今回、一件その適用をしようとして、実は四分の一しかないものだから、道路災で何とか拾ったけれども四割は負担があるということでございました。

 その辺は、今までのスキームというもので対応できるというふうに当初は考えていたのかもわかりません。しかし、現実には、今回の場合にはなかなかこれでは、もちろんこれも使えるところは大いに使っていただいたらいいわけなんですが、ぐあいが悪いなということで、運用でやろうとしても限度があると。

 特に、これは基本的には、公共施設が宅地の崩落によって公共目的が果たせなくなるからこういう制度をつくっているという枠組みがあるものですから、その運用の範囲というものでは、市町村、初めての経験ですから、これじゃなかなか難しいねということで新たにこの制度をつくったということで、今までのが全く役に立たないということではないというふうに、当初はそれで対応できると考えていたところに多少甘さがあったかもわかりません。

 しかし、こうやって新しい制度をつくったわけですから、負担も二分の一ということにいたしましたし、ぜひこれを大いに使っていただければありがたい、こう思います。

吉野委員 だから、遅いから道路災害でやるしかないんですよ。八カ月も黙ってなんかいられませんよ、みんな困っているんですから。遅いから、道路災害で何とか五割から六割は直せますので、直す努力をしたんですよ。全く遅いんですよ。

 中越地震で特例を設けたんですよ。災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業、防災がけ崩れ対策事業、特例措置を設けたんですよ。八カ月たって、同じ内容ですよ、今。何で、中越地震で特例を設けたものが、三月十一日の時点で、これはオーケーだよと通知を出せなかったんですか。

前田国務大臣 吉野先生の御指摘については、なぜかと言われると、私もまことに対応はその面では遅かったなと思います、中越でも確かに同じような対応をしているわけですから。しかし、今回の場合には、余りにも範囲が広くて、共通しての基準というのがなかなか把握できなかったということもあったかもわかりません。その部分では、遅くなったということについては、これは大いに反省もしなければならないと思います。

吉野委員 きちんと被災地の市町村に、文書でも何でもいいですから、申しわけなかった、このくらいのことはしてくださいよ。

 次に行きます。

 福島県の人口が減っているんです。六月三十日で、県外に避難している方が四万五千人です。八月十一日、五万一千人。十日後の二十五日、五万五千人。十一月二日現在で五万八千人なんです。原発は今、第二ステップを何とか迎えようとしている。本当に原発はひところからすれば爆発の危険が薄らいだということで、本来であれば人口が戻っていいんです。ところが、どんどんどんどん人口が減っているんです。これは避難している方。

 企業も出ていっているんです、風評被害で。福島県という冠がついただけで、もう要らない、取引しないというのが現実の姿です。ここのいわゆる出血、短期的に、目先、どう人口流出を食いとめ、企業の県外脱出を食いとめるか、ここの施策が全く今なされていないんです。中長期的に、原発がおさまった場合、除染し終わった場合、どうインセンティブをかけて福島県に企業誘致をするかという形では考えていますけれども、今現在、出血をとめる止血政策、これがないのであります。

 ですから、まず、血をとめるということをどういうふうにすればいいのか。私もわからないんです、いろいろ考えていて。でも、福島県に立地していた方が企業として得なんだという金融、税制、財政、財政も補助金政策は余りやると自立の心を奪われますので、今そこも私たち、くれていいのか、自立の心を摘んでしまうというところもあるので、できた製品、売れなかった製品を買い上げるとか、こんなところも止血政策の中で必要ではないかと思っているんですけれども、大臣、いかが考えているんでしょうか。

平野国務大臣 吉野委員御指摘のように、福島からの人口流出、県外への避難については歯どめがかかっておりません。むしろ御指摘のようにふえておりまして、今委員から御指摘がございましたけれども、十一月二日時点では五万八千七百六十九人という、本当にたくさんの方々が今避難しているという状況になっております。

 被災直後は、私の記憶しているところでは四万二千人か三千人ぐらいだったというふうに聞いておりますから、そこからここまでふえているということについては、一つはまず、お子さんが放射能におびえる中で、やはり県外に避難した方がいいと判断されるお母さん方がおられるということ。あるいは、県外移転をした企業も、そんなに多くはございませんけれども、何社かあると聞いております。また、県外移転を検討しているという企業があるとも聞いております。

 こういった大きな原因は、やはり放射性物質に対する不安というのが大きいのだというふうにまず考えなければならないと思っています。

 そのため、まず、細野大臣が先頭に立って除染を今やっておりますし、また、これからモデル事業も始まります。こういった除染の徹底。それから、あわせて住民の健康管理のための施策が必要でございまして、放射線モニタリングなどについての正確な情報の発信、学校や通学路、公園を初めとする生活圏における除染の徹底、十八歳以下の全県民を対象とした甲状腺超音波検査等の健康管理、医師、心理士による心の相談などの健康相談、そういった実施に取り組んでおります。

 あわせて、今三次補正予算では、企業立地のための助成金というものを約二千億円ぐらい計上しておりまして、こういったものの活用によって、企業の流出もとめると同時に、できるだけ企業立地を促進したいというふうに考えております。

 あわせて、中長期的には、こういった施策、特に除染等々を徹底すると同時に、今特別立法というのを検討してございますけれども、何とか企業流出をとめると同時に、それからあと新規立地を促すための特例措置、今の復興特区法にさらに上乗せしたような措置というのを講ずることができないか、今鋭意検討中でございます。

吉野委員 まさにそれは、短期的な止血政策よりも、除染が終わり、また落ちついた後、どう福島県に企業なり人々を呼び込むか、そういう政策だと思います。

 今出ている復興特区法案等々は災害区域だけに全部適用されるわけですけれども、私たちの福島県は、それだけでは足りないんです。ですから、それに上乗せをかけた、今大臣おっしゃってくれた、新しい、特区の中の特区的なそういう福島再生特別法、仮称でありますけれども、こんな法律もやはり私は必要だと思います。

 例えば法人税、五年間ゼロにするなら福島県は十年間する。また、所得税については、今度の特区法案では企業の税金だけは一割安くすると書かれていますけれども、それではやはり福島県に来てくれる人々はいないんです。所得税もただになる、十年間はただになるという形で所得税減税もやらないと、福島県に若い方々が働きに来てくれない、こんなこともありますので、もう一度、そこについての御意見をお願いしたいと思います。

平野国務大臣 今、税制を含めまして、あるいはほかの規制改革等々を含めて、さまざまな観点から検討中でございます。また、福島県からも税制それからさまざまな措置について要望を受けておりまして、きょう、福島県の佐藤知事が総理に直接面談をいたしまして、要望したと聞いております。

 また、今の委員の御指摘も踏まえまして、何ができるか、これをしっかり検討してまいりたいというふうに思っております。

吉野委員 厚生大臣に聞きます。

 医師不足なんです。医師不足というよりもお医者さんがもういないんです。私の福島県いわき市総合共立病院、ここは研修医制度なんです。十二名受け入れています。最初、十二名来ました。今は十二名中たった二名です。お医者さんの数も、ひところ百二十六人いたんです。今現在、九十一名なんです。お医者さんが避難しているんですね。これはいわき市の例ですけれども、南相馬もそうだし、福島県全体でお医者さんが避難している。

 ここについて、緊急的にでいいですから、やはり国として、福島県の医療、特に子供たちの健康、大きな大きな問題を抱えていますので、ぜひ福島県に医師を派遣していただきたい。お願いしたいんですけれども、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 福島県での医師の確保の問題は大変重要だというふうに考えています。

 福島県全県で見ると医師の数はマイナス二%というふうに聞いていますけれども、特に、緊急時避難準備区域の中にある六つの病院では、四十八人だったものが三十三人と、三割も減っているというふうに実態を把握しています。

 このことについては、一つは、地域医療再生基金、これを被災県には最高額の百二十億積み増して、そしてまた、三次補正で七百二十億積み増しをいたしました。この中では、医師の派遣とか医療従事者の確保にこのお金を使えるようにしています。

 それからもう一つは、全国の医療関係団体で構成します被災者健康支援連絡協議会の協力を得まして、医療機関ごとのニーズに合わせた医師などの派遣を行っていまして、九月から十一月の間で福島県で延べ三十七人派遣をしています。

 さらに、緊急時避難準備区域であった相双地域には、厚生労働省相双地域医療従事者確保支援センター、これを十月七日につくりまして、厚生労働省からも人を派遣して、何とか医師の確保のコーディネートができるようにしております。

 これからも、医師の確保、医療従事者確保については、現地としっかりと連携をとって、全力を挙げて努めていきたいと思っています。

吉野委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 次に、私たちが議員立法でつくった原子力事故被害緊急措置法、これは、ことしの七月二十九日に成立をしたわけであります。ここで、国による仮払いであります。この目的、なぜ国は仮払いをしていくのかという目的を大臣はどう理解しているか、お聞かせ願いたいと思います。

中川国務大臣 この法律に基づきまして、紛争審査会の中間指針ではっきりとうたわれているんですが、東京電力が迅速に支払う見通しを立てられないとしている損害、これをやっていくわけですけれども、その中でも、法律制定時の国会の附帯決議がありまして、東京電力が国の求償に応じることを事前に確認する手続を行うということを前提にして、東京電力が支払っていない部分についてこの仮払いをしていくというふうに理解をしています。

吉野委員 そうなんです。中間指針、ここで賠償するべきだと書かれています。だけれども、東京電力が払わない、支払いがなかなか進まない、これについて国は仮払いをしていくべきだというのが私たちのつくった仮払い法案なんです。

 では、ここに、第十番目、財産的損害と載っかっています。財産的損害、東電は一切払っていませんし、請求も受け付けておりません。これは対象になると思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

中川国務大臣 これも中間指針ではっきりとうたわれていまして、賠償対象となるという旨が示されております。

吉野委員 今大臣から、財産的損害も、東電がなかなか払えない状況にある、そして、中間指針にはきちんと損害賠償せよと明記されているので、仮払いの対象になり得るという答弁がございました。

 では、なぜ財産的損害を仮払いの対象にする政令をつくらなかったんでしょうか。十一月一日に路線価格が出たんです。これは国が出したんです。まさに二十キロの中、倍率ゼロです。一円の価値もないんです。これは相続税とか何かの、国の課税の基本になる価格です。固定資産税もここでかかってくるんです。倍率ゼロ。ですから、国はきちんと土地の評価をしているんです。土地の評価をしているんですから、国の仮払いの対象にぜひしていただくようにお願いしたいんですけれども、いかがでしょうか。

中川国務大臣 先ほど御指摘のように、税制上の手続という観点からは価格をゼロとしていくということがはっきりしてきていますが、もう一方で、現実の財物価値についてやはり改めて評価するということが必要であるということ、これが一つの論点であります。

 それからもう一つ、いわゆる原発の二十キロ圏内の財物価値の喪失等について、これはできるだけ速やかに損害額を合理的に算定していくということが必要だと私も思っております。しかし、現時点で考えていくと、後、どういう形でこれが決着されていくかということですね。戻っていくためにはどれぐらい時間がかかっていくか、あるいは、最終的に戻れるのか戻れないのかということも含めて、早急にその視点をつくっていかなきゃいけない、その基準をつくっていかなきゃならないという局面があるということであります。

 冷温停止に向けて今手続が進んでいますが、この辺が落ちついた時点で、そうした線引きをした上で、この補償措置も含めてトータルで考えていって、その中で、いわゆる現物価値がどのように評価されるかということをやっていくという手続になっていくんだというふうに思っておりまして、その手続に向けてしっかり進めていくということであろうかというふうに思います。

吉野委員 大臣、今の答弁は東京電力の社長の答弁です。法の趣旨をきちんと理解しておりません。そういうものだからこそ、東電が評価できない、難しい、だからこそ国が仮払いする制度なんです。わかっていないんですか。もう一度答弁をお願いします。今の答弁は東京電力の社長の答弁です。国の答弁じゃありません。だからこそ国が仮払いするんです。概算払いで、アバウトでいいんです。

中川国務大臣 概算払いをする場合も、さっき申し上げたような形で、今後、避難等対象区域の見直しであるとか、あるいは除染計画において定められたその結果も踏まえていかないと、なかなかここの部分が一つの概算としても出てこないという現実的な問題があるということでありまして、それが方向性が出てきた時点では、中間指針を踏まえて東京電力自身も速やかに賠償を行うべきであろうかと思いますし、それが、東京電力自体がそうした形でまだ逡巡しているということであるとすれば、そのときには、仮払いという形で私たちの出番があるんだというふうに思っています。

 できる限り速やかに避難等対象区域の見直しをしっかりしていく、ここの指針をしっかり出していくということから始めていくということだと思っています。

吉野委員 三・一一時点での相続税の評価額は国として出るはずです。倍率ゼロなんです。その分だけは国として払うことはできるでしょう。時価は関係ないです。国の把握している金額は払えるでしょう。なぜ払えないんですか。

枝野国務大臣 これは本賠償とも絡んできますので私の方から御答弁させていただきたいんですが、もし財物価値が本当にゼロということで、そのゼロを前提にして仮払いをするということは、まさにその土地を国が買い上げてお金をお支払いするということとイコールに経済的な意味としてはなってしまいます。

 土地については、まさにこれから、お帰りになれる地域となれない地域と、お帰りになられる意向のある方とない方と、いろいろなケースが出てきます。お帰りになられる場合でももちろん財産価値は下がっているわけですけれども、そこをどう埋めるのかという話とか、逆にお帰りになられない場合には、それは全体としてその土地を買い上げるのか、それともお帰りになられるまでお借りをするのかとか、今いろいろなことを議論しているところでございまして、特に土地については、まさにそうしたこれからの帰還計画と全部かかわってくる問題でございまして、概算ということでも、率直に申し上げて、今しろというのはなかなか、そちらに全部影響してしまうということを御理解いただきたい。

 ただ、不動産、土地以外の財産的毀損については、これは払えるところから払っていけと東京電力に指示をして、具体的にさせているところであります。

吉野委員 だから、法案には五割を下らない額と書いてあるんです。ここを理解していないんです。五割を下らない額を払うと書いてあるんです。全額払えじゃないんです。できないんですか。

枝野国務大臣 これは本賠償がどうなるかということと絡んでくる話でありまして、そもそも、五割どうといったときの何が特に不動産についての損害かということについては、それは、値段が下がりましたから、その値段が下がったところにこれからも住み続けるので、値段が下がった分についてのその半額なのか、それとも、この土地にはもう住めません、あるいは住みませんということですから、国なり東京電力が買い取れということで、まさに震災前の価格で買い取れといった場合の半分の場合と、それから、早い段階で御帰還をいただいた場合の、その住めていなかった期間のことをどう想定するのか。

 そもそもの、二分の一するにしてもその分母のところが余りにも大きな違いがあって、そのこと自体が、まさに地域として帰還をしていただいて復興するのか、それとも、残念ながらそういうことが難しいのかということがもう間もなく整理できる状況でございますので、その上でさせていただきませんと。

 個々の皆さんのお気持ちは非常によくわかるんですが、まさに、その地域全体としてこれからどうしていくのかということと全部結びついてきてしまうということは、ぜひ御理解いただきたいと思います。

吉野委員 枝野大臣も東電の社長と同じですよ。だからこそ国が仮払いするんですよ。幾らの損害になるかはわからないんですよ、本払いは。おっしゃったとおりに、どこの時点で切るかでも違いますよ。だから国が出るんですよ。迅速な払いをするんですよ。

 法の趣旨を、本当に皆さん、わかっていないよ。だから我々はつくったんですよ、仮払い。もう法律は成立しているんですから、きちんと法を理解してこの運用をやっていただきたいと思います。

 次に、二重ローンに行きます。

 産業復興機構、国が二千億、今、岩手県、茨城県でつくられています。今度の事業者再生支援機構、約五千億、二重ローン対策でこれも予算計上する。そういう形になっていますけれども、窓口なんですね。我々被災した者が再生したいという形で飛び込む窓口が、あなたはこちらに行きなさい、こちらがいいですよという形でどう仕分けしてくれるか。この二つの機構が二つの窓口では私はいけないと思います。一つの窓口にしてほしいと思います。

 そして、もう一つは、グループ化補助金等々、先ほどの立地補助金も含めて、かなり補助金が来ます。補助金と過去債務とニューマネーとの総合的なバランスを考えたワンストップサービスをぜひ二重ローン対策でやるべきだと思うんですけれども、この辺についていかがでしょうか。

枝野国務大臣 既に動いている産業復興機構の方の所管でございます私の方から御答弁させていただきますが、新しい支援機構の方の法案の附帯決議、参議院においてですが、「両制度の利用しやすさを第一に考え、業務運営における密接な連携等を確保すること。」とされております。当然、被災者の皆さんの便利さということを考えてやっていかなければならないと思っております。

 ただ、一方で、きちっと独立して、議員立法で支援機構をつくったので、きちっとその看板を掲げて独立性を持った窓口も要るのではないかという御意見もあるようでございますので、いずれにしても、その具体的な窓口が一つになるかということは別としても、間違いなく両者の間で緊密な連携をして、たらい回しなどということのないように、どちらに行ってもきちっとした相談が受けられてというようなことになるようにしてまいりたいと思っております。

 それから、グループ補助金などを初めとした各種支援策との関係でございますが、既に産業復興相談センターでは、そういった対応、つまり、個々の相談内容に応じて、各支援策について、その内容や、別の窓口が必要ならそこを紹介するということもしておりますし、補助金の交付決定を再生計画の策定等にしっかりと反映させる、連携させていくということもやっております。これについても、議員立法でつくっていただいた支援機構についても同じようなことができるように、しっかりと連携をさせてまいります。

吉野委員 ぜひ、窓口を一本化して、簡単な手続をお願いしたいと思います。

 最後に、個人ローン。

 被災者の話を座談会等々で伺うと、一番はやはり個人ローンの話なんですね、住宅。私のところで、たった一晩で三千万、一泊三千万の部屋に泊まったという方がいるんです。新築して一泊三千万かけて、もう津波で流されてしまったという方。この方はやはり住宅を再建したいんです。

 ですから、私的整理ガイドラインがございます。これは、債務を帳消しにしてくれる。と同時に、新しい家をつくりたい、つくれるニューマネーを入れる。ここがリンクしていないんですね。

 被災を受けて、会社をやめて失業した方、所得がない方、この方々はニューマネーを入れるということは当然無理だと思いますけれども、きちんと今までどおり所得があって、住宅ローンも払えるようになっていて、そういう方で被災を受けた方々に対して、私的整理ガイドラインはガイドラインでまた別個、新しく住宅を求める方はこれはまた別個。過去債務をゼロにするためには自由財産九十九万。九十九万しか財産のない方であっても、ちゃんとした所得があれば住宅支援機構等々から借り入れができて、新しい家が建つか。

 新しい家を建てるという、ここに目線を当てて、きちんとした所得がある方には例えば土地くらいはある意味で自由財産という形で認めるとか、何か方策はないのかなと思っているんですけれども、ここはいかがでしょうか。

自見国務大臣 吉野議員にお答えをさせていただきます。

 今、個人版私的整理ガイドラインの話でございましたが、ガイドラインにおける自由財産の範囲は破産法に則した取り扱いとされておりまして、今般の震災において、先生御存じのように、義援金と被災者生活再建支援金等については、さきの通常国会において、破産法上の自由財産として議員立法が成立したことから、ガイドラインによっても同様の取り扱いがなされたところでございます。

 その他、破産法の規定によれば、個々の債務者の状況を踏まえて、裁判所の運用によって自由財産を拡張することが認められており、先般公表された仙台地方裁判所の裁判官の論文によれば、例えば地震保険金についても、一定の場合、自由財産として認めることが考えられるとされております。

 ガイドラインの運用に当たっては、今先生、ニューマネーという話もありましたけれども、そういったことも、ぜひ、被災に遭われた方、それぞれの個々の状態はいろいろございますけれども、こうした裁判実務の動向を参考にしつつ、債務者の実態を踏まえたきめ細かな対応をしっかりしていきたいというふうに思っております。

吉野委員 ぜひ前向きに、新しい自宅が再建できるような、そんな方向で政府も考えていただきたいと思います。

 これで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

古賀委員長 次に、秋葉賢也君。

秋葉委員 自由民主党の秋葉賢也です。

 震災から八カ月たちまして、ようやくこれから復旧復興の指針となる具体的な特区法案が出てきたなというふうに思いますが、できれば夏ぐらいまでにこういった法案ができていれば、各地元の県あるいは市町村の復興計画とリンクさせてくることができたんじゃないかなと、つくづく残念に思う面もございます。

 と申しますのも、今回のこの特区法案は、全体で三つの計画を市町村がつくらなければなりません。恐らく、復興への推進計画というのは、事実上、各自治体がつくっているものと軌を一にするのではないか、こう考えておるところでございますけれども、やはり国の方向性とリンクしながら自治体が対応できるということが本来なら大事だったんだろうと思います。ですから、今後のこの法案の運用の中で、やはり基礎自治体に過度な負担をかけないように国としても十分配慮していっていただきたいと、まず冒頭、関係大臣の皆さんにお願いを申し上げておきたいと思います。

 そういう中で、まず、法案の中身に入る前に、きょう、朝日新聞の朝刊を見て非常に驚きました。一面に、被災土地高く買い上げますということで、五年後、整備して、地価が少し戻ったのを見計らって買うんだ、こういう記事であります。

 この委員会でも何度となく私は、集団移転事業あるいは内陸の宅地被害の救済策、平野大臣初め関係大臣の皆さんと議論をさせていただいてまいりました。

 今回のこの特区の枠組みでは、いわゆる交付金などを使っての自治体に対する支援ということ、あるいは従来の対象を少し緩和するということはございましたけれども、基本的に被災者に対する支援策ということでいいますと、従来のとおり、住宅ローンの利子補給、これは少し増額をいただき、総額で七百八万だったでしょうか、大変感謝は申し上げたいと思いますけれども、それと引っ越し費用、これも七十数万円が出るわけですが、前も申し上げましたように、地元の被災者の皆さんからは、全部流されて持っていくものがないんだから引っ越し費用をもらっても余りありがたくない、こういうことを言われてまいりました。

 そして、私は何度も、この年内に、年を越す前に、被災者の皆さんにやはり直接負担軽減となるような支援策を国が発表すべきだということを訴えてきたんですね。ところが、政府側の答弁は、現行のスキームだけだということで、時価での買い取りだ、こういうことだったわけです。

 きょうは国交大臣にもおいでをいただいております。きょうのこの新聞記事というのは、国交省として正式に決めたことなんでしょうか。

前田国務大臣 お答えいたします。

 全く、ちょっと認識に違いがあるようでございますね。委員の御指摘のとおり、私もこれを見ていて、「被災土地高く買い上げ」、こういうことはあり得ません。

 委員も御承知のように、防災集団移転促進事業等において、移転元の土地というのは、公共事業用地を取得する場合の考え方に準じて地方公共団体が評価決定するわけであります。したがって、契約締結時における正常な取引価格で取得する、こういうことになっております。

 事業主体である地方公共団体が適切な不動産鑑定評価などを参考に評価決定するわけで、何度か私もここで答弁しておりますが、そこにやがて、復興事業等いろいろ公共施設なんかも整ってきて、移転元の土地自体が、あるまちづくりができてきた、これは公共施設等が中心になるんだろうと思うんですけれども、そのときに想定されるべき価格というのを不動産鑑定士が鑑定して、それを現在価格に引き戻すということでありまして、これは一般の公共用地の取得のあり方と何ら変わるところはございません。

 ただ、ちょっと誤解をされているのは、課税等のために、三月十一日の被災直後の価格というもの、課税の公平だとかそういうことでほとんどゼロみたいな評価をしている場合があるわけですが、そういうものと比較するのにちょっとごっちゃになっているところがあるのかなというような感じはいたします。

秋葉委員 今大臣から明確に答弁いただいたとおり、集団移転事業というのは市町村の事業でありますから、買い取ったところは市町村の所有地になるのが基本なわけで、この記事によれば、それを、市町村の用地になったものを国が整備後の値段で買います、こういう記事ですから、これは朝日新聞に間違っているとかなんとかと抗議はしたんですか。

前田国務大臣 まだ確かめておりません。私自身も先ほどこれを聞いたところでございまして、まだ確認はしておりませんが、多分何らかの措置はしているものと思います。

秋葉委員 この記事によれば、国交省は岩手、宮城、福島の被災三県で約二万戸分の買い上げを想定しているとありますが、こういう事実はあるんですか。

前田国務大臣 確認はしておりません。

秋葉委員 確認はしていないという意味は、国交省ではこういう考えはないということですね。(前田国務大臣「そういうことです」と呼ぶ)

 まあ、誤報だったということにはなるんでしょうけれども、しかし、私は、朝日新聞が報じたこうした考え方は、これからの被災地のいわゆる復旧復興策の一つとして検討していくことは大事なことだというような考え方も持っております。

 と申しますのは、先ほど申し上げましたように、まずは集団移転事業の中で被災地の買い上げは全部基礎自治体が所有するようになるんですけれども、これをどう整備していくのかということになりますと、いかに今回手厚く復興基金のようなものを設けたとしても、やはり市町村事業でやっていくのはなかなか大変だと思うんですね。

 ですから、ある程度、集団移転事業が、事業計画が何年になるか、仙台市の場合ですと五年以内には終わらせることになっているんですけれども、そうしたタイミングで、現行、市有地、この場合は仙台市有地という意味です、市有地になっているものも、場所によっては、具体的な利用の目的が決まった段階で、震災時じゃなくて整備後の時価で買い取るということは検討してもいいなと私は思っているんですが、このことについては、大臣、どのような御見識をお持ちでしょうか。

前田国務大臣 国の機関が、例えば仙台の市有地、仙台市が取得した土地に何らか国の機関の目的に応じてつくるという場合には、それはあり得ることかなと思います。

 それから、国土交通省ということについては、典型的な例が、国営公園というのはあり得るわけなんですけれども、これも多分委員もいろいろ述べられていたと思いますが、メモリアル公園であるとか、そういったものが本当にいいものがあり得るなら検討の対象になるかと思いますが、こういうことについてはかなり制約が多いかなというふうに思います。

秋葉委員 同じことを平野大臣にも伺っておきたいと思うんです。

 国が買い上げるべき用地はかなり限定的になるということをずっと一貫して御答弁されているわけでございますが、復興計画がようやく仙台市もでき上がりました。それに基づいてこれから整備をしていくというときに、良質な環境で整備していくためには、仙台市も独自で十分な対応ができるのかなということを物すごく心配しているんですね。

 きょうはちょっと時間がなくて資料をお配りしておりませんが、大体で聞いていただくと、私の選挙区は、上は七北田川を挟んで宮城野区が北部にございます、南は名取川までなんですね。そして、仙台市では、今回の最終案、復興計画の中で、県道塩釜亘理線というのがございますが、ここよりも海側は全部危険区域で建築できない区域というふうに正式に定めたんです。ですから、もう住宅が一戸も建たなくなります。

 そして、何度もこの委員会で申し上げてまいりましたとおり、若林区は、もともとが市街化調整区域ですから、余り高い値段が残念ながらつかない。宮城野区は、市街化区域ですから、若林区よりは若干値段がつくかなという状況がございます。

 資料をお配りする時間がなくて大変恐縮なんですけれども、ここの黄色い線が先ほど申し上げました県道亘理塩釜線なんですが、この地図を見ていただくとおわかりのとおり、かなり民有地が多く含まれています。それで、私ども地元の人間のニュアンスというか印象では、防風林、防潮林のところは、あれはほとんど林野庁所管の国有地なんだろうというイメージ、印象を私自身も持っていたんですね。

 ところが、調べてみますと、国有林で林野庁が所管しているのがもちろん一番多くて、百八十六ヘクタールございます。それから、宮城県の所有林の部分が五十ヘクタール、仙台市の所有の部分が九十八ヘクタールありまして、これらの公有地が混然一体とつながっているのであればいいんですけれども、ところどころ民有地の虫食いもあるんです。ですから、これらを今後いろいろ整備を考えていくときに、その虫食いの問題をどうするのか。仙台市がこれを全部買い上げるわけではないわけですね。

 ですから、私はそういう意味で、集団移転事業が終わったらの話を言っているんですけれども、誤報とはいえ、まさにきょうの朝日新聞の一面にあるように、何年か後に、自治体のいわゆる復興計画の目標に従って、国として改めて買い上げて国として整備するということをやはりこれからの政策メニューの一つに加えていくべきだと思うんです。

 その考え方について、国交大臣そして復興大臣、お二人にお伺いをさせていただきたいと思います。

平野国務大臣 秋葉委員の被災地の方々の負担軽減を何とかしたいという熱意、常に伝わってきます。

 土地の買い上げにつきましては、私の考え方は大変しゃくし定規な考え方かもしれませんが、国が土地を買うというには、その土地を買う目的があります。その目的というのは、国有地として買って、国のさまざまな施策をする上での必要な土地を買うということになってくるんだろうというふうに思います。

 したがいまして、例えば防潮林につきまして、現在民有地であったところを国有地とするということについては、これは最終的には林野庁さんが判断されると思いますが、そこを買うことによって、防潮林の管理、あるいはこれからのさまざまな植林等々をやる上で、あるいは防潮林としての機能が果たせるんだというような、そういう理由があれば購入するということになると思いますが、原則は、あくまでもそういう形での必要性というものから判断されるべきものだというふうに思います。

前田国務大臣 平野担当大臣が御答弁されたとおりだと思います。

 国土交通省の所管する範囲ということになるとどうしても範囲が狭まるわけですが、これから地元のたくましい熱意で復興が始まって、そしてその先にまた新しい考え方が出てくるという可能性があると思いますので、そのときはまた大いにお互いに知恵を出し合ってやればいいのかな、こういうふうに思います。

秋葉委員 本当に毎回聞くたびに慎重な言い回しなわけでございますけれども、やはり一番大事なのは地元の意向ですからね。将来、地元の意向として国にそういう要請があったときは、そういうしゃくし定規な対応じゃなくて、やはり政府としてしっかり地元の意向にこたえられるような対応ぶりを考えていただきたいと改めて申し上げておきたいと思います。

 きょうは、政府参考人として林野庁の長官にも来ていただいております。長官もこの選挙区内の今の状況を篤とおわかりだと思います。残念ながら、仙台市の場合には、砂地のために根が浅いものですから、ほとんど根こそぎやられたんですね。これを再整備していくのは、大変年限もかかるし、大変な事業です。

 私は、これは長官も御認識いただいていると思いますが、このとおりの虫食い状態にあるわけで、これをやはり一体として整備する。特に今回、貞山堀よりも海側にあった集落、荒浜地区、これはほとんど民有地なわけでありますけれども、少なくともこの部分は、ここを一体的に買い上げて防風林、防潮林として再整備すること、これが必要だと思うんです。そして、国が買い上げるべき理由があるんですよ、ここは一体的につながるべきところだという意味で。

 ですから、林野庁として、ここのところを、いわゆる防潮林、防風林の復元とあわせて、今持っているところをさらに買い増しをして整備するという考えはないんですか。

皆川政府参考人 お答え申し上げます。

 私も現場を見させていただきました。特に冒険広場の上から見たところの状況を見ましても、確かに虫食い状況がございます。そういった意味で、今回、海岸防災林の再生に当たって、林帯幅をなるべくとれるところはとろうというようなことを含めて、今現実に進めようと思っております。

 その中で、私どもは、実は海岸防災林の整備自体は、土地の所有形態にかかわらず、例えばそれが民地であっても、さらには公有地であっても、また我々の国有林であっても、同じように森林法の規定に基づいて整備ができます。また、その後の管理においても、民地についても行為規制をかけて守っていくという形でございますので、その所有形態自体についてはさまざまな形態があるんだろうと思っています。

 そういう意味で、国有地化ということになりますと、どうしても国有林の一体的な管理というために必要な限度において、私どもとしては、そういった買い入れという道もあいております。そういった意味で、個々の市町村の事業計画ということが上がってまいりました中で、個々具体的にまた判断をさせていただきたいというふうに思っております。

秋葉委員 実は、私は、震災の翌月にはこの地図をもうつくって、いつも持ち歩いているんですよ。

 そして、林野庁の事務方と協議したときには、やはり非常に慎重な対応だったんですね。なかなか今までも例がないと。林野庁所管の防風林、防潮林をまとまって買い増しした例がないんだそうです。だから、今まで例がないからといって、今回はその延長線で済むような規模じゃないんですよ、この被災の状況が。そして、場合によっては砂地の改良も伴ってやらないと、また同じ目に遭ってしまうということもありますから、ぜひ従来の慣例にとらわれずに、まさに私は再生じゃなくて新生こそ必要だと思っているんですね。そのためには、長官、そういう発想でぜひ取り組んでいただきたい。

 改めて、どういうプランが考えられるのかをよく庁内で検討して、もし買い取れるとしたらこういうことが考えられるというプランを私のところにお持ちいただきたいと思いますが、どうですか。結果として政府として買い取れるかどうかは別にしても、想定できるプラン。

皆川政府参考人 今回の海岸林の再生にはさまざまなケースがあると思います。また、きょう御指摘の点もございます。

 そういった意味で、個々の事業計画の中で、御提言いただいたことにどうこたえられるかということについては、真摯にまた検討させていただきたいと思っております。

秋葉委員 真摯にじゃなくて、具体的にこういうことも考えられるというのを、この臨時国会が終わるまでに、ぜひ私のところに持ってきていただくようにお願いをしておきたいと思います。

 もうきょうは結構です。退席していただいて構いません。

 さて、いつも宅地被害の救済と集団移転事業を随分と取り上げてきたんですが、なかなか上乗せのプランがないものですから、仙台市では結局、借地について、事実上、最大で四十年にわたって、市街化区域の場合には一千万円、調整区域の場合には五百万円に相当するものを仙台市が単独で見る、こういう形になりました。また、移転対象区域外についても、これに準じて、上限をその九割、額にすれば二百万を上限に見るということになりました。

 こういった財源はもちろん復興交付金などが充てられるわけですから、間接的に言えば、国もある意味では支援に理解をいただいたということも言えるんだけれども、あえて私は申し上げておきたいけれども、基礎自治体がこうした判断をする前に、本来は、これまでの慣例をさらに踏み込んで、ここまで丁寧なフォローアップを考えてほしかったな、こういうことを申し上げておきたいと思います。

 内陸の宅地被害についても同様でございます。これも大臣と何度か議論をさせていただきました。三メーターまでは緩和していただきましたけれども、ただの地盤沈下のところはなかなか十分なスキームがなかったり、仙台市の場合には二メーターまで下げてもらわないと対象になりませんでした。

 こういったことも、仙台市が結果として上乗せで今回やることになりましたけれども、やはり被災の規模、大きさを考えると、本来は政府としても踏み込んだ対応があってしかるべきだった、このことを強く申し上げておきたいと思います。

 さて、法案の中にもう少し踏み込んでお伺いをしたいと思うわけでございます。

 今回の復興特区法案は、さきに成立をいたしました総合特区制度と似ている面がございます。総合特区制度の場合には申請主義でやっていたものを、そうじゃなくて今回は全体的に投網をかけてやるんだということが大きな違いだと思うわけでありますが、実は、総合特区制度を議論するときも、これからの地方分権改革に向けて、もう少し地方自治体の裁量をふやすべきじゃないかということを随分議論させていただきました。

 今回の法案では、第三十六条で、規制の特例措置の一つとして、東日本大震災復興特区法施行令または施行規則で定めるところにより、政令または主務省令で規定された規制のうち地方公共団体の事務に係るものについて、条例での特例措置を可能とする規定が設けられております。つまり、政令や省令については条例で上書き権を認めたわけでございます。これはいわゆる総合特区制度と同じなんですね。

 今回、今いろいろと修正協議も行われている最中ではありますけれども、私は、今回のこの震災というものをやはり地方分権改革にもつなげていく努力が必要ではないかと思うんです。もちろん、政令、省令に限らず、場合によっては、即応性を担保する観点から法律の上書き権ということにも踏み込んで認めるべきではなかったのかな、私はこう思うわけでありますけれども、法律の範囲内での条例の制定権だということで、政府側の正式なコメントが答弁として繰り返されているわけであります。

 きょうは法制局の長官にもおいでいただいております。内閣法制局の長官に、改めて、この法案でいわゆる法律に対する上書き権というものにまで踏み込んだ場合に、可能な素地というのはないのかどうか、政府の見解をただしておきたいと思います。

梶田政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの条例のいわゆる上書きの問題につきましては、その具体的な内容につきまして明らかではございません。

 この点につきまして、国会の答弁におきまして、担当の大臣から、いわゆる条例による法律の上書きにつきましては、唯一の立法機関である国会に対して地方公共団体に立法権限の一部の移譲を求めるものであり、政府提案として国会に提出することは控えるべきとの考え方に基づいて、今回の復興特区法案には盛り込まなかった旨の答弁がなされておるところと承知しております。

 それで、私の方からは条例と法律の関係につきまして一般論として申し上げたいと思いますが、いわゆる条例による法律の上書きを可能にするということにつきましては、国会を国の唯一の立法機関であるというふうに規定しております憲法第四十一条の規定、それから、地方公共団体は法律の範囲内で条例を制定することができるということを規定しております憲法第九十四条の規定との関係で議論すべき問題点があるというふうに承知しておるところでございます。

秋葉委員 今回、後で触れますけれども、復興交付金なんかについては五省庁四十事業を対象に基幹事業が盛り込まれているわけですが、例えば、この五省庁四十事業に関連するような法律、これに制限列挙して法律の上書き権を認めるということで、対象を絞った場合にはどうですか、長官。もう一回伺っておきたい。

梶田政府参考人 今、具体的な内容につきまして私ども承知しておるところではございませんので、一般論としてあくまで申し上げたいと思います。

 憲法四十一条を先ほど申し上げました。これは、国会は国の唯一の立法機関であるというふうに定めておりまして、従来から、この憲法の趣旨を否定する、いわば国会の立法権を没却するような抽象的、包括的な規定により条例の定めにゆだねるということは問題があるというふうに考えてきているところでございます。

 それで、条例による法律の上書きというものの具体的な内容をどうするかということでございますが、実は、条例による法律の特例の定めにつきましては、これまでも、個別の法律におきまして、その法律の趣旨、目的を踏まえまして、地域の特性に応じて条例で特段の定めを設けることを許容する、個別具体的に定めるという対応、これは立法例としてもございます。そういう対応をしてきております。こうした対応によるのであれば、憲法上の問題は生じないというふうに考えております。

秋葉委員 今、長官から、個別の対応を絞って検討する場合にはその限りじゃないし、例もあるという答弁がありました。

 今回、基幹事業の対象事業、五省で四十事業、これらは大概根拠法というのを持っているわけですね。ですから、必要に応じて、ここに投網をかけて、まさに条例による法律に対する上書き権というのに踏み込む本来いい機会ではなかったのかなと私は思うんですけれども、政令と省令に限定されたというのを大変残念に思っております。

 これからの、民主党さんの言葉で言うと地域主権というんですか、我々が言うところの地方分権改革というのは、やはり、履いている靴の履き心地がいいのか悪いのかというのは履いている本人が一番よくわかるわけでありますから、そういう意味で、もっと地域の実態に即応できるようなルールづくりというのを、踏み込んで、本来、この法のたてつけをさらに考えていくべきだったなということも申し上げさせていただきたいと思います。

 長官、結構でございます。ありがとうございました。

 さて、今回の復興特区法案の対象地域というのは、十一道県、そして二百二十二の市町村を対象にしているわけですけれども、この対象市町村の選定基準というのはどうだったのか、改めて確認しておきたいと思います。

平野国務大臣 いわゆる東日本財特法に定める特定被災区域等ということで、これが二百二十二市町村あるということでございます。

秋葉委員 どんな基準でそれをそもそも定めたのか、私はもともと異論があったわけでありますけれども、ずっとそういう流れでやってきております。

 今後、なかなか追加になる自治体というのが想定しづらいわけでありますけれども、大事なことは、今ずっと議論してまいりましたように、今回のこの特区というものを地方分権改革に結びつけていく視点というのが大事なので、うまくいったものについて、やはりそれを恒常化させていくということを常に念頭に置いてもらって取り組んでいただいてはどうかなということを改めて申し上げておきたいと思うんです。

 私どもも、法律に対する上書き権を私自身は求めてまいりましたけれども、なかなか大変だと。何とか、今の修正協議の中で、復興特区の意見書の提出をすることによって立法府に対応を促す、こういうスキームでの修正の方向に今なっていますけれども、しかし、これを本当に実をとる形に今後していかなければならないなというふうに私は思っております。

 また、特に復興交付金の使い方につきましても、私、どうも平野大臣の答弁がちょっと釈然としないので伺っておきたいと思うんですけれども、基本的にはこの五省四十事業が対象になるんですけれども、問題は効果促進事業です。これは、法令を読むと、基幹事業と関連があって一体的に取り組むものというんだけれども、この解釈ですね。事実上、運用の中で基幹事業とは一体的じゃない場合というのもあると思うんですよ。やはり、その地域独特の問題について、ぜひ使わせてくれ、使い勝手のいいお金がないんだからというケースが考えられます。

 これも、今後この法案の修正の中で、もう少し、自主的かつ主体的に実施する事業やあるいは事務というものを明記して、強く打ち出すような修正が必要だと我々は思っていますけれども、改めて平野大臣、基幹事業と関連しなければならないという、この効果促進事業の解釈というのはどうなんですか。どこまでがどうなんだという明確な基準というのがないと現場が混乱するんじゃないかと思いますが、いかがですか。

平野国務大臣 まず、復興交付金は、何回も御説明させていただきましたけれども、考え方としては二階建てになっておりまして、一階建てが五省四十事業と言われる部分であります。そして、二階建ての部分がいわゆる効果促進事業ということでありますが、あくまでもこの効果促進事業は下のいわゆる基幹事業とセットになって運用されるということで、今、制度設計をしております。

 しからば、効果促進事業というのはどういう範囲で運用されるか。これは私は、可能な限り自由な形で使えるということでやるべきだというふうに言っておりまして、おとといでしたか、委員会でも申し上げましたけれども、どちらかというと使えない範囲を明示して、それ以外のものについては基本的には使えるような形にしたいというふうなことで、今そういう方向で制度設計をしております。

秋葉委員 大臣から、極めて前向きな答弁だったと思います。

 そもそも、この復興交付金というのは事業計画を市町村につくりなさいということを言っているわけですから、市町村がこういうのに使いたいというものは全部認めていくというスキームが、本当は法のたてつけで必要だったんですね。それが二階建てで、どうしても関連のものだけを認めるというふうになっちゃった。しかも、この計画自体が、場合によっては基礎自治体が連携でもいい、県と共同で出してもいいという複雑なたてつけになっているものですから、その辺で混乱するのを私は非常に懸念しております。

 その辺の運用の中で非常に使い勝手のいいものにしていただいて、今大臣が御答弁のとおり、だめなものはこういうものだとはっきり言ってあげた方が現場は混乱しなくていいと思っておりますので、その辺を非常に幅広くして、これから運用を心がけていただきたいと思います。

 それから、きょうは厚労大臣にもお見えいただいておりますので、ちょっと時間がなくなってまいりましたけれども、医療機関への支援対策の強化について伺っておきたいと思います。

 まず、本県の現状を改めて大臣にも御認識をいただきたいと思うわけでございますが、医療機関の再開の割合ですね。県全体では九六%ということで、少しずつ再開のめどが立ってきているんですけれども、エリアを絞って見ますと、例えば石巻医療圏では、再開の割合が約八〇%ということで、二割の医療機関、これは民間も含めてですけれども、再開のめどが立っていない、こういう状態です。特に深刻なのは気仙沼医療圏です。ここは今、六九・五%の再開率で、三割の医療機関は休止か廃止しているような実情がございます。

 そして、現実に、病院や民間の医療機関、公的な機関も含めてでございますが、六十四の病院や診療所が休止あるいは廃止に追い込まれております。また、歯科の診療所で見ましても、四十四件。全体で百八件、こういう状態でございます。

 御案内のとおり、地域医療再生基金で、宮城県はたしか百四十億だったか七十億だったか、ちょっと数値を覚えていませんが、いただいて、大分助かっていますけれども、しかし、例えば医療機器は対象にならないというので、県がその基金を使って独自の政策なんかも今打ち出しているところなんです。大体、宮城県の場合には、県全体で、医療設備だけで、施設だけで三百三十三億円の被害額だと言われているんです。ですから、先にちょうだいをしておりました地域医療再生基金の百二十億なんかを使っても、とてもとても足りない、こういう状況です。

 御案内のとおり、今回、三次補正でも七百四十億だったかな、積み増しがございましたけれども、これはどちらかというと、医師の確保策の強化であるとか遠隔医療の強化だとか、どうもソフト事業を想定しているのかなというイメージが私はございます。これから現場の診療所の復旧復興のためには、やはり補助制度が満遍なく行き渡るように、私はこの委員会でも、さきの災害特でも申し上げてきたんですけれども、本来ならば、施設復旧だけじゃなくて、ソフトやあるいは医療機器等に対しても国のしっかりとしたメニューがあってしかるべきなわけですけれども、結局は、今、宮城県がこの基金を使って対応しているというのが実情でございます。

 また、災害復旧の国庫補助金も拡充をしていただきたいと思うんですね。今、この補助金で再開を希望している医療機関が百七機関ございますけれども、まだ本県では三十五機関の対応が終わっただけにとどまっております。十二月の中旬までにはすべての県内の診療所の査定が終わります。これが一〇〇%になるような取り組みがやはり求められるわけでありますが、今回の三次補正での基金の積み増しとあわせて、厚労省の考え方を伺っておきたいと思います。

小宮山国務大臣 被災地の医療機関の復興ということは本当に大変重要ですので、さまざまな基金、補助金などを組み合わせて何とかやっていきたいというふうに思っているところです。

 今委員御指摘の医療機器などソフトなものにつきましても、今回、三次補正で七百二十億積み増して、その中には入っておりますので、それはお使いをいただけます。その七百二十億のうち、それぞれの各県からこれだけ必要だということを申請していただいたものをつけておりますので、それを御活用いただければというふうに思っているところです。

 それから、先ほど災害復旧補助金の交付決定が遅いのではないかという御指摘もいただきました。全体で四百カ所以上ございまして、その中で、御指摘のように十二月中には査定を終了する予定です。そして、もう十月から順次交付をしておりますので、なるべく早くそうした建物とソフト、それから先ほどお話ししていたような医療従事者の確保、あわせてできるように、いろいろなものを組み合わせて、現地の御要望も伺いながら全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに思います。

秋葉委員 人材の確保ということがあわせて本当に大切になってまいります。ただでさえ、今回の被災地の特徴というのは、医師不足でもともと苦しんでいたところにこうした災害で対応できない状態が続いているわけでございますので、特段の配慮をお願いしておきたいと思います。

 もう結構でございます。ありがとうございました。

 きょうは川端大臣にもおいでをいただいておりまして、上書きのことについていろいろ伺いたいこともあったんですけれども、まず、いわゆる個人情報保護法について伺いたいと思うんです。

 これは、基礎自治体も全部条例を持っておりますから、基本的には基礎自治体が対応していけば解決できる問題ではあるんですけれども、今地元では、例えば仙台市の場合でお話をいたしますと、一万戸がみんな仮設に入っているんですけれども、実はそのうち仮設住宅に入っている方は千五百戸しかないんですね。この人たちは仮設住宅ですから、いろいろ情報が入手しやすいというメリットがあります。しかし、問題は、民間の借り上げ、仙台の場合にはこれに入っている方が八千五百戸あるわけです。八五%は民間の借り上げに入っていますから、被災者がどこにどういう人数でいるかというのが全くわからないんですね。ですから、名簿の活用、仙台市はもちろんそういうことに準じて市の判断で使っておりますけれども、例えば警察から要望があってもなかなか手続が遅いとか、今現場ではそういう問題があります。

 これは仙台市の問題だけじゃなくて、宮城県の被災エリアは全部同じことが言えると思うんですね。個人情報保護条例があるために、被災者のケアというものが、対象先が関連の方々になかなかわからない。

 これは個人情報ですから厳格に管理するのはもちろん当然のことなんですけれども、しかし、協議が基礎自治体にそれぞれの所管からあったときになかなか対応が遅いという問題があるものですから、総務省としてもやはりこうした問題は、何でもかんでも公開するわけじゃないんですから、これからの復旧復興に当たって、公的な団体、公的な目的のためには、円滑にといいますか柔軟に対応するようにという指導、指導というのも変なんですけれども、この分権の時代に指導というんじゃないんですが、ぜひ円滑にいくような対応を促していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

川端国務大臣 個人情報をしっかり守るのが個人のためであると同時に、こういう非常時のときにその情報を逆にみんなのためにどう活用するかというのは、極めて大事なことであります。震災直後に、個人カルテが電子カルテとして残っていたけれども、その管理する責任者が不在であったときにこれをどう使えるのかというのは、緊急的にそれを緩めて使えるようにしたという事例もございます。

 実態をしっかり把握する中で、適切になるように我々もしっかり研究、検討をして、できることはやりたいというふうに思っております。

古賀委員長 秋葉賢也君、時間が来ております。

秋葉委員 今申し上げたことは、本当に基礎自治体の中でしっかりやっていくべきことなんですけれども、その辺がそごのないように国としてもしっかりフォローアップしていただきたいなと思います。

 きょうは、本当は最後に、今回のこの復興特区法案の中での税制の優遇策云々について、なかなか要件が厳しいものが幾つかあるものですから、そういうことも伺いたかったんですけれども、時間でございますので、しっかりと足らざるところは我々も見直しをしていく中で、早くこのルールのもとに復旧復興が進むように頑張ってまいりたいと思います。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次回は、明二十五日金曜日午前八時三十五分理事会、午前八時四十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四十六分散会


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