衆議院

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第9号 平成23年11月25日(金曜日)

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平成二十三年十一月二十五日(金曜日)

    午前八時四十五分開議

 出席委員

   委員長 古賀 一成君

   理事 大島  敦君 理事 近藤 洋介君

   理事 田嶋  要君 理事 中川  治君

   理事 橋本 清仁君 理事 谷  公一君

   理事 額賀福志郎君 理事 石田 祝稔君

      石津 政雄君    石原洋三郎君

      石山 敬貴君    市村浩一郎君

      大泉ひろこ君    太田 和美君

      菊池長右ェ門君    近藤 和也君

      斉藤  進君   斎藤やすのり君

      白石 洋一君    菅川  洋君

      平  智之君    辻元 清美君

      中野渡詔子君    長尾  敬君

      畑  浩治君    森本 和義君

      谷田川 元君    山口 和之君

      若井 康彦君    若泉 征三君

      秋葉 賢也君    井上 信治君

      小里 泰弘君    小野寺五典君

      加藤 勝信君    長島 忠美君

      吉野 正芳君    高木美智代君

      高橋千鶴子君    柿澤 未途君

      園田 博之君

    …………………………………

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   国務大臣

   (東日本大震災復興対策担当)

   (防災担当)       平野 達男君

   内閣府副大臣       後藤  斎君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     関根 正博君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十五日

 辞任         補欠選任

  沓掛 哲男君     近藤 和也君

  階   猛君     大泉ひろこ君

  柳田 和己君     平  智之君

  吉泉 秀男君     中島 隆利君

同日

 辞任         補欠選任

  大泉ひろこ君     階   猛君

  近藤 和也君     沓掛 哲男君

  平  智之君     柳田 和己君

  中島 隆利君     吉泉 秀男君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 東日本大震災復興特別区域法案(内閣提出第一号)


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     ――――◇―――――

古賀委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、東日本大震災復興特別区域法案を議題といたします。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。おはようございます。

 復興特区法案ということで、きょうは、質疑順を御配慮いただいて、トップで質問をさせていただきます。大変ありがとうございます。

 今回の復興特区法案については、条例による法律の上書きということについてかなりの突っ込んだ議論が行われてきました。その結果、先ほどの理事会で民主党、自民党、公明党の三党の修正協議に基づく修正案が示されまして、先日高木美智代先生の本会議での代表質問でも提案をされました、復興特別意見書を国会に提出する、そうした形で特別立法を速やかに行っていく、こういうスキームが盛り込まれることになったようであります。

 これはこれで大変私は評価ができる、前進だというふうにも思っておりますが、私たちは、別な考え方で、条例による法律の上書きを事実上担保できないかということをこれまで模索してまいりました。みんなの党の中で考えてきた復興特区の法案の修正案の中では、実は、復興庁設置法案の中に盛り込まれている復興推進委員会、これを活用する仕組みを考えておりました。

 復興推進委員会は一体何をやる審議会になるんですかというのは、きのうの本会議の代表質問でも出ていたと思いますが、私たちは、この復興推進委員会に政党の代表者を入れて、それによって政党間の合議の機関として復興推進委員会を位置づける、そうすれば、そこで議論をして、例えば規制緩和はこういうことをやるということを合意できれば、事実上国会の主要政党が合意をしたということとイコールになりますので、そうした条例による法律の規制の緩和というのが、法的に改正が担保をされることになる、そういうふうにみなせるのではないかというふうに考えてまいりました。

 そうしたことから、復興推進委員会の権威づけを高める上でも、また、さまざまな規制の特例、法的な部分も含めて、こうしたことをスピーディーに決定し実行していく上でも、この復興推進委員会に国会の各政党の代表者を入れる、こうしたことを考えていくべきではないかというふうに思ってまいりましたが、このような規定を復興庁の設置法案に盛り込むということについては、可能性としてないでしょうか。お尋ねを申し上げます。

平野国務大臣 条例による法律の上書きにつきましては、さまざまな議論があったということは承知しております。

 今の委員の御提案は、復興推進委員会において、政党の代表者が来て、それで議論して、決まればそれでもって上書きをできるのではないかという御提案だったと思いますけれども、簡潔に申し上げますと、復興推進委員会は、もう御案内のとおり、行政機関である復興庁の下に置かれる機関であります。したがいまして、政党の代表者たる国会議員をその委員に加えたとしても、三権分立を越えまして、一般的に、委員会における合意を国会で可決されたものと見ることというのは、国会が唯一の立法機関であるとの憲法の規定との関係上、なかなかこれは難しいのではないかというのが見解であります。

柿澤委員 事実上ということでも考え得るのかなというふうに我々は検討してきたんですが、いずれにしても、この点についてはさまざまな議論が加えられ、そして、制度上の工夫が今回いろいろな形で試みられることになった、これは前進として評価をしたいというふうに思います。

 復興交付金についてお伺いをします。

 みんなの党は、被災三県に五兆円ずつの被災地広域復興一括交付金というのを交付する、この提案をしております。市町村にも、被災面積や人口、被害額に応じて算出した額を割り振る、こういう案であります。

 ある種機械的な試算に基づいて、これだけ、これだけと割り振るような形で、渡し切りの、取り崩し型の基金という話を先日もしましたが、こうした形での資金の交付をする、こういう形であれば、震災発生から八カ月もかからずに、被災県あるいは市町村にもっともっと自前で決済できるお金をお渡しして、そして、即断即決で物事を進めていくことができるようになったのではないかというふうに思うんです。

 それに比べると、今回の復興交付金、国費ベースで一兆五千億円。これは、先日いみじくも平野大臣御自身が御答弁をされましたとおり、これはあくまで補助金でありまして、こういうことであります。

 地域の地方公共団体が主体となって復興を進めていくんだ、こういうことを私に対する御答弁で、別の質問に対してお答えになられていたと思うんですけれども、地域の地方自治体、地方公共団体が主体となって復興を進めていくということであるとすれば、国の補助金性を持つこの復興交付金よりも、やはり私たちの考え方に基づいた、一定のお金を地方の財源になるような形でお渡しする、こうした考え方の方がよかったのではないか。スピード感の点でもそう思うんですけれども、なぜこうした形で補助金的なものにこだわったのか、お伺いをしたいと思います。

平野国務大臣 震災からの復興というのは、地方公共団体、被災自治体が、そして地域住民が主体になって行うものだということにつきましては、繰り返し申し上げさせていただいたことでありますが、また、復興構想会議の提言にもあるとおりであります。

 しかし、それを自治体にお任せするということではなくて、国が総力を挙げて支援すべきものだと考えておりまして、復興交付金についても、国が地方公共団体の取り組みを政策的に支援するという考え方に立ちまして、財源を渡し切りにするものではなくて、一緒に復興をやっていくという意味において、あえて私は補助金というふうに申し上げましたけれども、そういう考え方で制度設計をしているということであります。

 この交付金につきましては、御案内のとおり二階建てになっておりまして、一階部分はハード、二階部分は促進事業費ということで、かなり自由度の高い、使い道については限定しない交付金にしたいというふうに思っています。

 その一方で、柿澤委員の御指摘をされているいわゆる被災地広域復興一括交付金につきましては、私は必ずしも詳細を承知しているわけではございませんけれども、考え方とすれば、どちらかというと、地方交付税的な考え方に近いのかなと。

 御案内のとおり、地方交付税とか特別交付税というのは、財源としては、渡し切りというよりは、渡した瞬間に自治体の財源になります。その使い道等々については、国は一切そこには関与しないということになっておりまして、それはそれで考え方はあるかと思います。しかし、復興はあくまでも地域が取り組む、自治体が取り組む、それに国が支援をするという考え方で復興交付金の制度をつくっているということであります。

 その一方で、柿澤委員が御指摘されたような、いわゆる渡し切りということにつきましては、総務省さんの方が、一般財源である地方交付税を財源に、約二千億円規模の取り崩し型復興基金を創設されることになっておりまして、復興交付金とあわせて、これまで以上のスピード感を持って被災地における復旧復興事業が進むものと期待をしておるところでございます。

 以上でございます。

柿澤委員 その規模が私は全く逆だと思うんです。むしろ、一兆五千億円、これでも少ないと思いますけれども、こうしたものを地方に渡していくということが必要だと思うんですけれども、二千億という規模が果たしてどうなのか、こういうふうにも思います。

 最後に、鹿野農水大臣にお見えいただいていますので、御質問させていただきたいと思います。

 かつて、あれは再生可能エネルギー法案の連合審査のときだったと思いますけれども、被災地の、例えば放射性物質による土壌汚染あるいは津波による塩害、こうしたことでなかなか農地の耕作が厳しい状況になってしまっている。こうした状況の中で、今注目を集めている、いわゆる野菜工場、植物工場を集中的にこの被災地に立地をさせる、こういうことを進めていくことが被災地の復興につながる。また、土壌汚染の影響の心配がありませんので、被災地の県産野菜、そうしたものに対するブランド価値をもう一度再生するということにもつながるのではないかと私は思ってまいりました。

 鹿野農水大臣からも大変前向きの御答弁をあのときいただいたと思いますけれども、こうしたことを進めていく上で、例えば、野菜工場、植物工場の立地に関する補助金あるいは低利融資、こうしたものを活用する場合に、農業経営基盤法に基づく認定農業者になる、こういう資格要件が付されたものが非常に多いということがございます。

 こうしたさまざまな規制を今回一たん取っ払って、被災地における野菜工場、植物工場の立地を加速的に進めていく、こうしたことが私は望ましいと思うんですけれども、そのようなことについての御見解をお伺いしたいと思います。

鹿野国務大臣 被災地の被災農業者の人たちに再び農業を営んでもらうために、野菜工場は一つの有力な手段だと思っております。

 そういう意味で、いろいろな具体的な措置を講じておりますけれども、今回、東日本大震災農業生産対策交付金というふうなものも措置しておりますけれども、このような、いわゆる当該施設の利用農家が認定農業者であるということは求めておりません。

 そしてまた、融資につきましても、認定農業者に限らず、実質無利子、無担保、無保証人での貸し付け等というふうなものを措置いたしておりまして、今お話の出ました野菜工場の立地支援を含めて、経営再開あるいは再建に支援できるように措置をいたしておるところでございます。

柿澤委員 今回、税制優遇やさまざまなメニューがこの復興特区法案に盛り込まれているわけですけれども、せっかく補助金的な手法を活用されるということですので、ぜひこうした方向に関する誘導的な、先進的な、踏み込んだ枠組みをつくっていただくことを心からお願い申し上げまして、きょうは質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次に、高木美智代君。

高木(美)委員 おはようございます。公明党の高木美智代でございます。

 皆様、朝早くから大変お疲れさまでございます。

 今、みんなの党の柿澤未途議員から、条例の上書き権につきまして新たな御提案がございました。恐らく、今お話を伺っている範囲でございますが、国が関与することによって地方の創意工夫をさらに実現に向けて後押しする、その御趣旨かと思っております。その考え方につきましては私も賛同するものでございます。

 ただ、具体的なそのあり方につきましては、先般、我が党の提案を御紹介させていただきましたが、実は、特定地方公共団体、ここが新たな提案につきまして国と地方の協議会にできるという形にこの法案の中でなっております。そこにさらに国会の監視機能を入れまして、地方公共団体は、国会に対して同様の復興特別意見書という形で提出をすることができるといった内容でございます。実は今、地方自治法第九十九条では、議会から国会に対して提出することはできますが、自治体からはできるとはなっておりません。恐らくこれは初めてのことであろうかと考えております。

 そのようなスキームをつくり、そしてまた国と地方の協議会における協議の結果、検討状況等の報告を受けながら、なおかつ、恐らくこの中には監視機能も働きますし、また、その機能があることによって、各省庁におきましても、また今後設置される復興庁におきましても、ここは何かしら知恵を出さなければという、恐らくそうした意識が強く働くのではないかと考えております。

 その上で、どうしても各省庁の抵抗等がある場合につきましては、国会は速やかに、国会の中に特別立法小委員会等の準備をさせていただき、議員立法を提出させていただく。これは、原子力災害の賠償におきましても仮払い、賠償法を議員立法でつくらせていただいたのと同様の考え方と思っております。

 このような内容を盛り込ませていただいております。

 実は、この提案につきましては、先般、被災四県、三県プラス茨城県にお越しいただいてヒアリングを行いましたときに、概要を少しお話ししましたところ、それはいい、ぜひお願いしたいという御賛同をいただき、また、幾つかの市長さんからは、我が党の議員がお会いしましたときに、既にそのようなお声をいただいているところでございます。

 各省庁とやりとりをしていると、どうしても市町村、県の方が弱い。したがって、そこに国会が強く関与することによって、いわば用心棒的な役割といいますか、そうした役割を果たしながら、そこをしっかりと後押ししていく、このようなことではないかと思っております。ぜひとも各党各会派の御賛同を重ねてお願い申し上げるものでございます。

 そこで、きょう、復興交付金のことにつきまして、これも金額規模が一兆五千六百億円という大変大きな規模でございますので、重ねて平野大臣に質問をさせていただきたいと思います。

 事業計画の作成につきまして、第七十七条に、「東日本大震災により、相当数の住宅、公共施設その他の施設の滅失又は損壊等の著しい被害を受けた地域の」という修飾語がございます。「地域の」の上にあるこの修飾語、ここは、地域の条件を付しているということなのでしょうか。その考え方をお伺いします。

平野国務大臣 今、高木委員御指摘のように、復興交付金の交付の要件としましては、法第七十七条第一項におきまして、「東日本大震災により、相当数の住宅、公共施設その他の施設の滅失又は損壊等の著しい被害を受けた地域の円滑かつ迅速な復興のために実施する必要がある事業」と規定しておりまして、地域を一応指定するというか、決める形にはなっています。

 ただ、被害の状況は地域によってさまざまでございまして、また、地域の自主性に基づいて復興を進めることが重要であるという考え方に立ちまして、「著しい被害」の程度について、あらかじめ国において画一的な基準をもって定めることは適切でないというふうに考えております。

 このため、復興交付金の交付対象となる地域については、まずは、市町村等の個別の計画において被害の状況と実施すべき事業との関連や実施の必要性を御説明いただくこととして、国においてそれに基づいて柔軟な判断を行う方向で、制度の詳細を検討してまいりたいと考えております。

高木(美)委員 重ねまして、これは第二条ですけれども、ここが、さまざまな受けられる特例措置につきまして、考え方を書かれているところでございます。

 この第二条の例えば第三項第二号イのところですが、これは雇用に関しての特例措置を受けるその考え方ですが、ここに、「多数の被災者が離職を余儀なくされ、又は生産活動の基盤に著しい被害を受けた地域」、こういう考え方が示されています。これが限定という形になるのかどうか。そしてまた、同じく第二条第三項第二号のハでは「相当数の住宅が滅失した地域」、これが、いわゆる優良賃貸住宅等、公共住宅等の特例措置を受けるその地域指定の形になっておりますが、この考え方も今大臣が御答弁された内容と同じでしょうか。

平野国務大臣 この部分も、やはり法令で一律の形式基準を設けたりあらかじめ指定することは適当でないというふうに考えています。その背景にあるのは、先ほどの答弁にもございますけれども、被害の状況が地域によってかなり違っているということでございます。

 計画作成主体である各地方公共団体が、計画において、離職者数や農地、漁港、工場等の被害など各種データや調査結果に基づきまして、地域における震災による雇用への影響や被害状況を示していただいて、東日本大震災により、多数の被災者が離職を余儀なくされ、または生産活動の基盤に著しい被害を受けた地域を定めて、これを国が認定する形にしたいというふうに思っております。

 その具体的な考え方については、基本方針にこれを明示したいというふうに考えておりまして、今、どのような形がいいかということについての詳細を詰めさせていただいております。

 なお、投資の特別償却や被災者雇用人件費の税額控除、研究開発税制の特例につきましては、被災地域から通勤圏にある、あるいは取引関係の発生により経済波及効果が見込める区域であることを計画において示すことにより、被災地域以外の区域も特例の対象とすることができるということでございます。

高木(美)委員 大臣、最後の、被災地域以外の区域も対象とすることができるというところを、申しわけありません、もう一度、どういうところが対象になるのかお示しいただけますでしょうか。

平野国務大臣 被災地域と非常に密接な関係のある、例えば被災地から通勤圏にあるとか、あるいは、先ほど申し上げたことの繰り返しになりますけれども、取引関係が発生しているということで経済波及効果が見込まれる、つまり、その地域がより活性化することによって被災地域の復興に役立つというような地域も、今回の特例の対象、特に投資の特別償却、被災者雇用人件費の税額控除、研究開発税制の特例が適用できるということで御説明させていただきました。

高木(美)委員 よくわかりました。ありがとうございます。

 今大臣がおっしゃった、データとか調査報告とかというここの部分ですが、例えば大都市はデータ的にもすぐにお示しできると思うんですが、いわゆる中小の町もあります。そういうところにつきましては、この基本方針の中でできるだけ緩やかに、恐らくもう十分それは国土交通省もお調べでございますし、そのデータは復興対策本部の方に、むしろそちらの方にしっかり積み重なっているとも思いますので、そこのところは格段の配慮をされるべきと思いますが、いかがでしょうか。

平野国務大臣 委員の御指摘のこと、ごもっともだと思います。そうした考え方に立って、基本方針の書き方を詰めていきたいというふうに思っています。

高木(美)委員 この復興交付金の配付基準につきまして、お伺いしたいと思います。

 法文の中には、「内閣府令で定めるところにより、」というふうな文言がございます。具体的には、どのように配付されるおつもりなのか。今、地方の方たちからも全くその内容が見えないというお声があります。準備したいが、わからない。これは、大臣、早い者勝ちになるんでしょうか、それとも、お金がなくなったらもう後はないですよ、こういう形になるのでしょうか。

平野国務大臣 復興交付金の配分につきましては、法第七十八条第二項でございますけれども、国は、地方公共団体から提出された復興交付金事業計画に係る事業の実施に要する経費に充てるため、内閣府令で定めるところにより、予算の範囲内で、交付金を交付することができるということでございます。

 これは、基本的に、今自治体が復興計画をつくっております。その復興計画の中で、どういう事業が必要かということが明らかになってくると思います。その計画は今自治体が主体になっておりますけれども、そこには国の職員も入っておりますし、専門家も入っております。そういった計画がある程度固まれば、その計画に必要な予算は基本的に国で用意するという考え方に立っておりまして、配分基準というよりは、むしろ、その計画に沿った事業計画が達成できるような予算を用意するという考え方で配分をしたい、そういう基本的な考え方で臨んでいきたいというふうに思っております。

高木(美)委員 そうしますと、大臣、具体的には、例えば一月末が第一次、二月末が第二次、そのような区切り方で固めていくというお考えなんでしょうか。それにしても、小さなところは、ずっと計画すらなかなかつくれないというところもあります。ここのスケジュール的なものはどのようにお考えでしょうか。

平野国務大臣 一番理想は、計画をつくっていただいて、その中で年次計画までつくっていただいて、例えばその年次計画によって予算を交付するというような仕組みができれば、これは多分ベストかなというふうに考えます。

 ただ、この事業計画も、全体が一気に進むわけではなくて、例えば特定の地域、一部分だけの計画が進む、そういったことで確定すれば、その都度、これを定期的にという形になるのか、事業計画の策定状況に応じてということになるのかわかりませんが、いずれ、弾力的に運用していきたいというふうに思っております。

 弾力的という意味は、事業計画が策定できて、そしてまた地域がこれで準備ができましたよというような、いわゆる実施の準備ができましたよというようなものが整った場合には、そこの必要な予算を交付する、そういった考え方で臨んでいきたいということであります。

高木(美)委員 その場合に、大臣、こうした事業計画また実施準備というのが早い自治体と遅い自治体と、どうしてもスピードの差というのが出てまいります。そこはもう大臣が地域を歩かれて一番御存じのところだと思います。このタイムラグというのをどのように救済していくのか、そのお考えはいかがでしょうか。

平野国務大臣 被災の状況それから被災の程度、地域によって大分違っています。したがいまして、復興計画の策定についても、現段階において、各自治体、その自治体の中でも地域地域によって進捗の度合いにかなり差があるというのは事実でございます。

 私どもは、この差というものをできるだけ縮めるために、国の職員も派遣しながら、今、復興計画の策定に大きな努力をしているつもりでございますけれども、いずれ、できるだけ差が出ないように、しかし、さはさりながら、一方で早い段階から地域の合意をつくっているようなところもございます。そういったところは、準備ができ次第、予算をこちらから用意して事業に着手するということも、これはある程度容認していく必要があるのではないかというふうに思っております。

高木(美)委員 私が把握している範囲では、今そうした計画を素早く策定して、素早くマスコミにもアピールをしてという、そういう発信力のあるところは、実は国から出向の職員がもう既にその市町村にいるとか、むしろ、そういう方が片腕となってばりばりやっていらっしゃるとかというところがどうも多いように私は思います。

 その中で、今大臣おっしゃった、自治体は恐らく必死になって、この年末年始も含めまして、計画の策定もおのずからそこにスケジュールも何となく収束できるのかなというふうに思うのですが、そのスケジュール感。大臣は、ともかく準備が整ったところからどんどんと。ただ、そこにどれだけのお金を投じていくのか。全部均等に渡すわけにはいかないと思いますし、当然のことながら、準備が整わなければ、そこでは、どうしてもおくれてしまったところはおくれたところから渡せばいい、でも、おくれたときにもう既にお金が底をついているとか、そうした事態というのも十分考えられると思います。

 それでは、一兆五千六百億というこの規模、また来年度予算にも若干積まれておりますけれども、このあり方につきまして、大臣はこれをどのように裁量をされるおつもりなのか、伺いたいと思います。

平野国務大臣 一兆五千六百億というのは、予算を編成する段階で各地域のある程度の計画等々を見ながら積み上げた数字でございますが、その段階で復興計画が固まっているわけではございません。まだ今も作業している自治体がたくさんあります。最終的に計画が固まるまでに、もう少し、若干時間がかかると思います。

 その上で、一兆五千六百億という額がどうなるかというのは、最終的にはその計画が決まった段階で定まってくるものでありまして、必要なことは、いい事業計画をつくっていただく、その事業計画に沿って必要な予算をつけるということについては、この基本姿勢はずっと崩さないでいかなくちゃならないと思っております。結果として進捗度合いに差が出てくる場合もありますが、おくれたところは財源がないからもう復興ができないというようなことは決してないというふうに、これは断言させていただきます。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 続きまして、これから計画をスピードアップしながら策定されるわけで、そのときに具体の規制緩和メニューについて、今も既にこの委員会で何回か審議をさせていただきながら、具体的に各省庁、これもやります、これも決めました、でもこれは無理だとか、さまざまな内容になっておりますが、提案につきましても、実現したものももう既にあります。また、恐らくこれからもさまざまな提案があろうかと思います。

 実は、私も先ほど申し上げたように四県からヒアリングをさせていただき、また我が党の地方議員からも、また部会長等からも多くの意見をいただきました。それで、要請したけれども盛り込まれなかった事項につきまして出してほしいということを申し上げましたら、多く集まってまいりました。

 恐らく、これがこれから具体的に可能なのかどうなのかという問い合わせがどんどん始まると思うんです。やはりそれは地方は必死になってつくっているわけですから、こうした盛り込まれなかった事項につきまして、今後どのように、どこが対応をされるのか。

 今、その問い合わせの窓口がないというのもまた皆さんの悩みの種なんです。各省庁に持っていっても、各省庁の窓口も、今あるそれぞれの何とか課、何とか課というところにずっと細かく振り分けられてしまう。ワンストップではない。そしてまた、復興対策本部のところも、復興庁はまだ三カ月後ですから。でも、計画をつくるにはこの三カ月が大変重要な期間なわけでございます。

 こういう要望につきまして、私、ぜひ後ほど大臣にお届けをさせていただきたいと思いますので、この具体の内容を各省に振っていただきまして、各省からまたお返事をいただければありがたいと思います。これが一つ。それから、窓口の問題につきまして、あわせまして御答弁をお願いします。

平野国務大臣 各自治体、各地域がこれから復興計画をつくって実施に移っていく段階で、こういった規制緩和をし、あるいは手続のもう少し簡略化が欲しいといった要望が出てくることは十分あり得ると思います。

 これは、委員御承知のように、基本的には国と地方の協議会の中で議論をしていくということになりますし、その他さまざまな要望については、復興庁ができますれば復興庁に窓口をきちんと用意して、そこでワンストップで対応しますし、現地においては復興局が対応するということを想定しております。

 それまでの間につきましては、復興本部にきちんと窓口を設けまして、各自治体のいろいろな要望については対応していきたいというふうに考えておりますし、現地本部にもその旨しっかり指示をしていきたいというふうに思っております。

高木(美)委員 ということは、大臣、復興本部に窓口をというお話でございますが、このワンストップ、大変貴重なお考えと思います。ここにもう既に、例えば国交省とか農水とか、そうした専門的な職員が合同的に配置をされて、そしてそこで各省と連携をとりながら返答をしていく、こういう形でよろしいんでしょうか。

平野国務大臣 この復興特区法を議論する過程では、事務局を復興本部に置きまして、各省の専門家に全部集まってもらいまして、かなりの議論をしております。その体制をそっくりそのまま維持したいというふうに考えておりまして、何かあればそのネットワークを通じて調整をし、議論をし、決めていくということになると思います。

高木(美)委員 それでは、各県からも、それから市町村からも、当面、復興庁が設置されるまでの間も復興本部にそのような要請をどんどんさせていただくということでよろしいんですね。

平野国務大臣 そういうふうにしますし、窓口がどこかについては自治体の方にもきちっと明示をしたいというふうに思います。既に明示はしているつもりなんですが、さらに徹底をさせたいと思います。

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。

 あわせまして、もう一点、これはお願いですが、地方自治体に対する、発信する情報も一元化をお願いしたいと考えます。

 各省庁が、例えば規制緩和等の検討事項に基づきましてその結果が出る、そして政省令、告示等を地方自治体に周知徹底する。このときは、従来の縦割りの流れだけではなく、復興対策本部もしくは今後復興庁、そこからまとめてその情報発信も実施をしていただきまして、各自治体の中で、担当課には行ったけれども首長は知らなかったとかということがないように配慮をされるべきと考えます。

 この情報共有につきまして、いかがでしょうか。

平野国務大臣 これまでも、復興本部ができる前の例えば被災者生活支援チームあるいは本部の中でも、国が用意したさまざまな施策、各省が用意した施策については、できるだけコンパクトにまとめて、自治体あるいは避難所にもそういった情報が伝わるように努めてきたつもりでございます。

 今後、さまざまな制度が今度用意されましたし、予算制度もできました。また、法律もできました。それから、各省でもさまざまな制度も用意してあります。こういったものについても、また、まとめまして、できるだけわかりやすい形で復興本部からそれを発信するということを心がけていきたいというふうに思います。

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。復興庁も各省から一段高い立場という規定でございますので、ぜひ、この情報発信におきましてもそのようにお願いをいたします。

 これは少し話が違うのですが、きょうは後藤副大臣にお越しいただきました。地域自主戦略交付金につきまして確認をさせていただきたいと思います。

 二十四年度予算の概算要求では約五千四百億円、二十三年度はもう既に第一段階として、都道府県を対象に投資補助金を一括交付金化いたしました。二十四年度には市町村に対して実施したいというお話でございました。市町村に対してはいかがかと、ことしの内閣委員会でも多くの議論があったところでございます。どうされるのでしょうか。

後藤副大臣 お答えいたします。

 先生の御指摘のとおり、昨年、沖縄も含めて、地域自主戦略交付金五千百二十億、来年度の概算要求では、都道府県分については沖縄も含めて五千三百七十六億円を要求しているところであります。

 先生が御指摘のように、ではこれから市町村はどうするんだ、昨年閣議決定しただろうということでありますが、市町村分については、現在、予算的には事項要求という形で整理をさせてもらっています。先生の内閣委員会ほか、市長会、町村会等で、年度間の変動があるので、投資的補助金についてもそこの配慮を特に慎重にしろという御意見がたくさんありました。また、附帯決議等でも御指摘をいただいたと思います。

 そういうふうなことも含めて、まず二十四年度は、十月二十日の日に地域主権戦略会議で提案をしているものでは、まず、規模も大きく、また権限も都道府県と同じようなものであるということで、政令指定都市を対象に含めるということで、現在、それを確定すべく政府の中でも議論をし対応していきたいというふうに思っているところであります。

高木(美)委員 例えば県の配分ですけれども、被災した二百二十二市町村を抱える県の配分のあり方と、この地域自主戦略交付金、全国に対する配分のあり方、そこの配分のあり方については今も検討中であるということでよろしいんでしょうか。

後藤副大臣 現在議論がされています二百二十二市町村を対象にした今回の特例交付金の措置と地域自主戦略交付金については別途の考え方でありますので、当然、市町村的にはダブる部分もありますが、それぞれの制度として、ある意味では補完をして対応が進められていくということを期待しているところであります。

高木(美)委員 わかりました。

 少し時間が残っておりますので、簡潔にお伺いしたいと思います。規制緩和の要請項目の、前回質問できなかった点でございます。

 まず地熱発電ですが、これは自然公園法、森林法の規制があるために、地表部に影響のない採掘方法を許可できる特例をお願いしたいという御要望です。いかがでしょうか。

平野国務大臣 地熱発電の導入に関しての、森林法、自然公園法等々の特例ということの御質問ですね。

 自然公園法に関しましては、平成二十二年六月の規制・制度改革に係る閣議決定におきまして、傾斜掘削について、国立公園、国定公園内の地表部に影響のない方法による地熱発電の許可の判断基準を明確にするための調査検討に着手する旨定められております。これを踏まえまして、環境省において学識経験者、事業者等から成る検討会が立ち上がり、調査検討がなされておりまして、今年度末までに地熱発電に係る過去の通知が見直されるというふうに聞いております。

 森林法に関しましては、地表に影響のない掘削方法としていわゆる斜め掘り等が考えられますけれども、掘削の入り口が保安林の場合や、一定規模を超える森林の開発行為を行う場合でなければ、地表部が森林でも森林法上の規制の対象外になっております。また、掘削の入り口が森林法の規制の対象であっても、必要な要件が具備されれば掘削は可能でございます。

 加えて、本年七月の規制・制度改革に係る閣議決定を踏まえまして、再生可能エネルギーの推進を図るための新たな措置等が講じられるものと聞いております。

 引き続き、自然公園の自然環境、森林の公益的機能にも十分に配慮しつつ、再生可能エネルギー施策の推進に努めていく考えでございます。

高木(美)委員 最後に、大変細かい質問で恐縮ですが、被災地の特例民間法人の移行期限の延長を求める特例の要望でございます。

 医療機関を経営する財団法人は、平成二十五年十一月までに一般財団法人に移行しなければならないとなっております。しかし、二年連続で純資産が三百万円以下となった場合、解散することとされております。被災地ではもう純資産がマイナスになっているものもあるため、期間を十年くらい延長していただきたい。あわせて、公益法人による被災地医療機関、福祉施設への寄附を可能にしていただきたいという要望でございます。対応はいかがでしょうか。

平野国務大臣 委員御指摘のように、特例財団法人につきましては、二年連続で純資産が三百万円未満となった場合には解散するとの規定は適用されないものの、一般財団法人に移行した時点で当該規定の適用を受けることになっております。

 厚生労働省の実態調査によりますと、医療機関を運営する特例財団法人で純資産が三百万円を下回っている法人が事実ございまして、これらの法人については、今後、一般財団法人に移行した場合、解散に関する規定が適用になるおそれがあります。

 厚生労働省からは、震災による施設の復旧に要する費用の一部については、災害復旧費補助金や地域医療再生基金を活用して補助することが可能な場合もありまして、これにより、法人の資金、資産面も含めた財務面での支援にもつながるというふうに聞いております。

 また、現在、内閣府においても、被災三県及び各府省を通じて法人の被災状況の把握に努めておりまして、既に報告を受けているものについては鋭意精査しているものと聞いております。

 当方としても、被災地域における医療体制が十分に確保されるよう、引き続き関係府省には働きかけをしなければならないと考えております。

 なお、公益法人による被災地医療機関、福祉施設への寄附につきましては、現行制度においても、定款の変更で実施可能だということであります。

古賀委員長 時間が来ております。よろしくお願いします。

高木(美)委員 時間も終了していますので、また別途質問をさせていただきます。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、企業の立地促進にかかわって質問させていただきたいと思います。

 復興産業集積区域内に新設され、平成二十八年までの間に、当該地域の雇用機会の確保に寄与する事業を行う者として当該地方公共団体の指定を受けた法人が、指定を受けた日から五年間、法人税を無税とする措置というものがございます。これについては幾つかの条件があって、次の要件をすべて満たす法人というふうになっているわけです。

 その最初の要件が、当該復興産業集積区域を規定する復興推進計画の認定の日以後に設立された法人であること。となると、新しく参入した企業であっても、計画の前に既に入ってきて地域のために頑張っているところも、あるいは震災の直後から、被災をしながら自力再建をして頑張ってきた企業も入らないじゃないかという問題がございます。こうしたところもやはり対象とすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

平野国務大臣 御指摘の新規立地促進税制につきましては、企業の新規立地を促進するという政策目的のための税制であるという基本的な税制としての性格から、既存企業や計画認定前に新規進出した企業を対象とするというのは、これは制度上なかなか困難ではないかというふうに思っております。

 被災地においてこの税制を有効に活用していただきたいと考えておりまして、政府としては、地方公共団体が、企業の立地の動きがある区域のみを対象として復興推進計画を作成し、認定を申請することを認める等、計画の認定において柔軟な対応をするほか、復興推進計画の認定を迅速に行うよう努めてまいりたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 今の最後の御答弁は、認定待ちになって、立地されなければ困るわけですから、それを急ぐよという話で、それは当然のことなんですね。

 でも、早期に被災地に訪れて頑張って守り立ててくれた企業に対しても、やはりそれはどうなのかなということもありますし、これまで、被災した企業であってもいろいろな雇用の状況に応じて特例措置があるという答弁もあったんですけれども、今指摘をしたここの部分が最も大きい支援であるからこそ、やはりそれと同じだけの支援が被災した企業にも受けられるべきだという趣旨なわけですね。

 そういう趣旨で、宮城県や岩手県などは、被災企業に対する過去五年間の法人税還付という、いわゆる同じくらいの趣旨で要望を前から出していたと思います。これは検討されてきたのでしょうか。

平野国務大臣 さまざまな税制の要望は受けておりますけれども、そういった要望等々も含めて、最終的に今回の復興特区法案に盛られた税制になったということでございます。

 それから、もう委員も十分御存じだと思いますけれども、既に入った企業、いわゆる既存企業という位置づけになりますけれども、この既存企業については、事業用設備を取得した場合の即時償却、それから被災者を雇用する場合の税額控除等の適用は受ける、こちらの税制の特例は受けられるということは御承知のとおりだと思います。

高橋(千)委員 それは今私が言いました。

 十五日付の福島民報によりますと、福島経済研究所が警戒区域などを除く五百社を対象に行ったアンケートの結果について紹介をしています。

 四月から六月の売上高が前年同期より減った企業が六割もいると。半数以上が、本社や工場、営業所などを県内から移転しない、つまり県内で頑張ると答えてくださっているんですね。その一方、今のところわからない、県外拠点にバックアップ機能を設けると答えたところが二割に上って、しかも資本力の大きい企業ほど、わからないという答えがある傾向が強いというふうにしているわけです。

 福島ですので、風評被害が県内全域に広がっている、こういうことも指摘をしつつ、営業、操業中の企業や商店にも同様の扱いをするべきだ、これまで頑張ってきた事業所の存続なしに地域再生はおぼつかないと指摘をしているわけです。私は全くそのとおりだと思うんですね。

 新規立地を誘導するのは本当に大事なことです。でも、二百二十二と言われる、しかもまだ関連があるよという議論はこの間されてきている、そういう特定被災区域を新規立地だけでカバーできるはずは当然ないわけで、もともと被災者を雇用していた地元企業の存続こそが雇用の維持の最大のかなめだと思いますけれども、この認識はいかがでしょうか。

平野国務大臣 委員おっしゃるように、福島県の各会社のいわゆる営業成績といいますか、そういったものは、被災前に比べて大きく落ち込んでいる会社が多いということについては私も承知しております。

 委員御指摘のように、新規立地ももちろん重要でございますけれども、今ある企業が引き続き福島県できちんとした仕事ができること、生産ができること、こういったものが重要であるという認識は私も持っております。

高橋(千)委員 そういう中で、例えば先ほどの還付の問題ですとか、これから、議論されてきたように、国会に託されて、新しい特例も必要だねということだって、理論上はあり得るということですね。

 自治体から要望がある、そうすると、修正案などでもこの間協議をしてきた、議論もされてきたように、新しい特例としてこういう制度も設けてくださいということに対して国会がこたえていくことも理論上はあり得るわけですよね。

平野国務大臣 国と地方との協議会の場においては、さまざまな議論が出てくるというふうに思います。

高橋(千)委員 まさに国会が受けとめるという意味でもございますので、そうした趣旨で、本当にこの地元の雇用を維持してきた企業に配慮をするということをぜひ呼びかけていきたいなと思います。

 その上で、一つ確認なんですけれども、例えば、気仙沼では、土地利用制限が長くかけられていたために、再建の見通しが持てないということで、地元を離れた企業が多くありました。それに対して、今のところは引きとめることもできない、見通しが持てないんだからということで、本当に苦渋の思いをにじませていた商工会議所の声がございました。

 あるいは、岩手県の一関など、内陸部に沿岸部から進出して再起を図る、そういう企業もあったかと思うんです。あるいは、福島の場合は、事業所がたとえ壊れていなくても、避難を余儀なくされているとか、そういう形で、何年か外で頑張って、しかしUターンをしてくる、改めて、もといた場所で頑張る、そういうこともあってもいいと思う。

 そういうところは、先ほどから指摘をしている新規の企業と同様の扱いになると思いますが、そこは確認させていただきたい。

平野国務大臣 既存の法人が、もし一たん解散しまして、清算手続を完了した上で、新たに被災地の復興産業集積区域内に新法人を設立した場合などには、新規立地促進税制の対象となり得るというのが見解ですけれども、今の委員の御指摘の中では、必ずしも解散をしていない、一時的に工場を別なところに移して、そしてまたもとに戻ってくる場合どうするかということでございますね。

 それは、今の制度の中では、例えば、グループ補助金でありますとか、一回被災した工場等についての再建についてはその再建を支援する、それからあと、二重ローンというスキームで、過去債務についてはできるだけそれを軽減する、そういった仕組みを活用して、一たん地域外に出た企業にできるだけ戻っていただくということについての支援をやっていくという体系になっております。

高橋(千)委員 済みません。きのう説明を受けたときには、解散は条件となっていなかったと思うんですね。

 やはり、一たん出てしまった企業がすぐに戻るということは困難であると思うんです。ある程度の時間を要するであろう。そこは、当然、戻ってくるという機会が残されているということはとても大事なことだと思うので、解散を条件、どうなんですか。本当ですか。

平野国務大臣 ちょっと先を急ぎ過ぎた答弁になってしまいまして、恐縮でございます。

 先ほど言った中小企業のグループ化の補助金等々とあわせまして、被災地域から一時的に避難した企業であっても、被災地域に再進出した後は、被災地において事業用設備を取得、被災地において被災者を雇用、被災地において開発研究設備を取得等、いずれかの要件を満たした場合には、それぞれ税制の特例措置の対象になるということでございます。

高橋(千)委員 ありがとうございます。確認できました。

 やはりそういうことがあってもいいと思うんですね。いわゆる企業のUターンということで、やはり地元で頑張ってきた企業に戻ってきてほしいということも含めて、質問させていただきました。

 次に、最初の質問の中であったわけですけれども、新規の企業なんだけれども、復興推進計画が認定される前の設立だということでこの対象にならない、だけれども、期日を除いては全部要件を満たしているよというところ、そういうところが被災者の雇用創出に本当に必要だと公共団体が認める場合に同様に扱う、そうしたことがあってもよいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

平野国務大臣 計画認定前に進出した企業、この取り扱いについては、先ほども御答弁申し上げましたけれども、新規立地のために今回用意させていただいた税制措置を適用するというのは、これはやはりなかなか困難ではあるという前提で今の法律を仕組んでおります。

高橋(千)委員 今回、集中的な、思い切った支援をするということで、当然要件が厳しくならざるを得ないと思うんですね。だけれども、その中で、この部分は逆におかしいのではないかと思うわけなんです。

 つまり、どうやって地域に貢献するのか、そこにやはり主眼が置かれるべきですので、全部要件を満たしていなきゃいけないということで、設立の日の違いだけで排除されるというのはどうなのかということが一点述べたかったので、ここは重ねて指摘をしておきたい、今後の検討にしておきたいと思っております。

 それで、集中的な支援を五年単位ということで、本会議でも質問しましたが、その後の撤退が心配されるということもございます。

 それで、再投資等の準備金を五年間、損金扱いということで税金を免除していたものを、その後は益金に算入するということで、課税するんだよというふうな説明をいただいております。ただ、十一年目ですかね。

 だから、それはどの程度、言ってみれば、税金、これまで優遇してきたものを回収になるのか。言ってみれば、それが、ああ、簡単に撤退はできないんだなと思わせる程度の歯どめ策になるのかなということを確認したいということと、それから、県外へ撤退してしまった企業に対しても、これは同じ扱いでよろしいのか。

平野国務大臣 まず、最後の質問でございますけれども、県外に出てしまって、再投資、いわゆる被災した地域での再投資がキーワードでございますけれども、再投資がされれば、それは今回の無税の特典が受けられますけれども、それがされない、そしてまた県外に出ていくということであれば、それは特典が受けられないということで、益金に算入される形になります。

 それから一点目は、撤退できないようにするためにどういうルールが必要か、そういう御質問だったでしょうか。

 これにつきましては、まず、今回の指定を受けるためには、復興推進計画に適合する事業を適正かつ確実に実施し、雇用機会の確保に寄与することが見込まれる企業を指定するということになっておりまして、自治体は指定をした旨の公表を義務づけられておりまして、指定を受けた、税制上の特例措置が講じられた企業は、地域の各方面から雇用機会の確保等の責務を果たすことが求められるということになります。

 これらの措置によりまして、指定を受け、税制上の特例措置が講じられた企業が適正に事業を実施し、そのことを通じて雇用機会が確保されるというふうに考えております。

高橋(千)委員 済みません。最初に質問したのは、要するに、準備金の積み立てを損金扱いすることで税を免除しますよね、それを、言ってみれば、回収とはいかないんですけれども、一定の歯どめ策になりますかと。

 つまり、撤退した後は、それを逆に益金として、回収に近いことをやるんですよね。それがある程度企業にとっては痛いことになるかなということを聞いているんです。

 時間ないので、短く。

平野国務大臣 益金算入は十分な措置になるというふうに理解しております。

高橋(千)委員 それで、次の話、今の雇用の問題になるわけですけれども、やはり、地方公共団体にとって、企業を誘致して雇用を支えたいという思いは、もう必死ですから、今までだって、税金などの各種優遇措置はすごいとってきたわけですね。企業誘致の繰り返しであった。それと同時に、もうこのせっぱ詰まった時期であるから、どんなに短期でも、有期雇用であっても雇用の数をふやしたいということで、自治体としては大変受け身にならざるを得ないと思うんです。そこは、自治体の事情はそういう事情なんですよ。

 だから、国もお願いベースではよくないということが私は最後に言いたかったわけなんです。

 東北でも、この間も、ソニーや富士通など大手企業の撤退、リストラは繰り返されてきました。それで、国がいろいろな補助金を出しますね。それを逆に、悪用されるという言い方をすれば失礼ですけれども、例えば〇六年の尼崎の松下PDP。これは、県の雇用補助金をもらって、派遣を雇います、ちゃんと二百何十人と出すんです。でも、雇った途端に請負に切りかえて、いつでも雇いどめできる、そういうことをやって、県議会の答弁も全く別だったということがありました。

 それから、私が取り上げた福島と岩手の富士通MLの再配置という名のリストラ問題。岩手と福島、合わせて二千人ものリストラだったんですけれども、これは、結局八十人規模の介護の事業所をつくって、就職対策ですよといって、それにまた国のふるさと再生の基金事業でちゃんとお金をもらっているんですね。

 そうやって、結局、補助金、補助金というやり方をすると、企業がそれをもらって、しかしまたリストラして、またもらうみたいな、モラルハザードにもなりかねない。結局、それはお願いベースというところにやはり最大の問題があるんだ。

 ですから、思い切った支援策だからこそ、身勝手な撤退を許さない、雇用の維持、安定した雇用ということでのルールづくりがやはり必要だと思うわけですけれども、最後に一言お願いします。

平野国務大臣 委員おっしゃるように、今回の場合は、特に被災地に対しての雇用の場の創出、こういう大きな意味もあります。そしてまた、そのために税制上の特例措置等々も用意しておりますし、こういった特例措置を受けた企業につきましては、しっかりとそこに根づいて、ずっと仕事をしていただく。もちろん、経済の大きな循環の中で、どうしても仕事が立ち行かなくなるというような場合はありますけれども、そういった姿勢で臨んでいただくことが大事だと思っておりますし、そういったことを自治体等も、また私どもも、そういった企業に対してはしっかり訴えていくということはやらなければならないというふうに思っております。

高橋(千)委員 終わります。

古賀委員長 次回は、来る二十九日火曜日午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前九時四十八分散会


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