「国会について(行政監視を中心に)」
国会の行政監視の強化
- 政府法案について、現在のような条文形式の完成形での提出では、国会での法案修正は困難を極める。国会の法案審査を実質化させるためには、政府法案の提出形式の変更が必要ではないか。
- 政府法案は、政策について大まかにしか規定しない傾向が強くなってきている。運用については政令・通達が多くを規定している。その意味で、国会は、法制定時の事前監視のみならず、決算・行政評価等の事後的な監視により力を入れるべき。
- 国会は、事実上の影響力として、個別行政に対しても監視の手が及ぶはずである。そうした機能をより積極的に捉え、各委員会と決算行政監視委員会の連携が必要である。
法解釈・運用
- 現状では、内閣法制局が政府の法運用の実質的な最終判断を下している。この判断には、国会も手出しができない。議院法制局等を活用して国会の内閣法制局への対抗システムを何らかの形で講ずべき。
- 法解釈の最終判断は司法が判断すべきだが、法体系を中心とした大陸型の法システムを採用する日本において、司法が抽象的な憲法判断を下せない現状は、憲法の欠陥と言える。
議員立法
- 政府への対抗手段に議員立法が注目されることがあるが、政治の側として提案するのは、橋本行革の「行革基本法」のようなプログラム法が効率的ではないか。
- 政府法案の対案としての野党の議員立法は、実態として、成立可能性、有用性ともに、低いと言わざるを得ない。 ・ 議院内閣制における議員立法の役割は、政府のアジェンダとなりにくいテーマを国会として提起することと考える。対案としての議員立法は再考の余地があると言える。
総論
- 戦後60年となり、国家統治の基本システムは現実と乖離しつつある。それを縮めるためにも、憲法改正は必要なものと考える。その際、各種の改革を、憲法改正後も柔軟に行うことができるよう、憲法等の統治システムを事前調整型から事後調整型に変更していく必要があると考える。
- 憲法改正の優先順位としては、日常的な政治・行政に関わる実用的な改正を優先させ、議論の分かれる分野は後回しにすべきと考える。
以上
日本国憲法第9条「戦争放棄」について
日本国憲法9条は、世界の平和への道標だ。どうすれば地球から戦争がなくなるのか、第2項の「戦力を持たない」という宣言は、今の世界ではまだ難しい方法だけれども、根本からの解決策を示している。
その誕生の歴史を見ると、憲法9条には「もう二度と同じ過ちを繰り返さないためにはどうすればよいか」という、過去に日本が起こした侵略戦争への反省と、戦争による国内やアジアの国々の犠牲者の知恵と願いが結集されている。それは、「正しい戦争」など存在しない、他国と信頼関係を結ぶことこそが平和と安全をつくりだす、という宣言である。
9条の方向が間違っていない証拠に、憲法ができてから約60年、日本は他国と紛争を起こしていないし、他国から侵略されてもいない。いま自衛隊がイラクで危険な目に合っているのは、そもそも自衛隊が武力を持って海外に出て行くことが9条に反するからだし、日本がテロの脅威に晒されているのも、憲法9条を生かした外交をしていないからだ。
また、9条の役割が、日本にだけでなく、世界で発揮できる機会がこれからどんどん増えていくだろう。イラク戦争を例にとると、戦争が始まる前から、国際的には反対・批判する国が圧倒的多数だ。その理由も、米英が攻撃を正当化する明確な根拠を示せないからという、国際法に適ったものだった。戦争に反対した国々のとっている態度こそ、9条の想定するものだ。
それでも戦争は始まってしまったし、攻撃するための武器や軍隊がある限り世界から戦争はなくならない。ここで、日本国憲法9条2項の戦力不保持が輝く。これが世界のルールになれば、戦争の恐れはなくなるはずだ。戦争によって多くの犠牲者を出し、また被爆国である日本だからこそ、世界に訴えていくときに説得力がある。日本が先頭に立って、憲法9条の示す方向に世界を導くことで、国際社会の中での地位は高く評価され、平和な世界の実現につながるだろう。
「戦争放棄」
日本国憲法が施行されて57年、日本国民は銃をもって他国を侵略し、他国民を殺傷することはありませんでした。私たちは「われらの安全と生存を保持」し、焦土と化したこの国の復興につとめ、長寿社会をつくりだし、豊かな日本を築いてきたのです。
長寿は人類の願いであり、文化です。日本国憲法によって育まれたものです。「われらは、全世界の国民がひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」ことから出発し、日本国憲法に導かれながら、憲法を暮らしの中に活かそうと努力してきました。
いま、政府、与党などから「改憲」、とくに「第9条」の改定が意図されていることについて、この国を再び戦争の惨禍をまねいてはならない、世界の孤児にしてはならないと、戦争を知らない世代のみなさんに強く警告したいのです。
今年、広島市長平和宣言は「日本国政府は、私たちの代表として世界に誇るべき平和憲法を擁護し、国内外で顕著になりつつある戦争ならびに核兵器容認の風潮をただすべきです。」とのべています。
このことは、すでに1999年「ハーグ平和アピール市民会議」の「21世紀への平和と正義のための行動目標基本10原則」の第1項に「各国の議会は、日本国憲法第9条にならい、政府による戦争行為の禁止を決議すべきである」とのべています。まさに第9条は世界の平和愛好諸国民の願いなのです。