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在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 

我が国に未曾有の被害をもたらした東日本大震災から既に五年が経過した。この間、国際社会から我が国に対して多くの支援が寄せられた。これらの支援をこれまでの我が国の外交活動に対する評価の表れと捉え、一方、なお続く風評被害への対応を含め、我が国は引き続き積極的な外交活動を行う必要がある。また、我が国を取り巻く国際情勢は不確実性を増しており、とりわけ、本年一月六日の北朝鮮による核実験及び二月七日の弾道ミサイル発射により、北東アジアの安全保障環境は緊張の度合いを高めている。国連安全保障理事会非常任理事国として、さらに、本年はG7サミット議長国を務める中、我が国に求められているものは、国益を踏まえつつ、国際社会との協力・連携の下、諸課題に毅然と対応する外交力である。そのためには、外務省の外交体制の強化や危機管理体制の改革が不可欠である。

他方、国内においては、厳しい財政事情の中、一層の歳出削減が求められており、在外職員に支給される在勤手当など、在外公館に係る様々な経費についても、引き続き国民から厳しい視線が注がれている。外交体制強化等への取組に際しては、こうした国内事情を重く受け止め、国民の声に真摯に応えていく必要がある。

これらを踏まえ、政府は、本法の施行に当たり、次の事項について検討の上、適切な措置を講ずるべきである。

 

一 我が国の外交力強化の観点から、外交の最前線基地である在外公館の重要性に鑑み、我が国の国益と相手国との相互主義等を踏まえつつ、戦略的に大使館の実館化を進めること。

二 拉致問題、日本海呼称問題や慰安婦像など在外公館として各国並びに関係機関等への日本の立場の周知徹底と各種対応に努めること。

三 在外公館においては、大規模自然災害、治安情勢の悪化、犯罪・テロ等の緊急事態の際、在外邦人に対して迅速かつきめ細やかな支援を行えるよう、情報の日常的な提供・共有体制等も含めて危機管理体制の機能拡充に努めること。

四 在外選挙の投票率向上のための広報啓発とともに投票環境の整備に努めること。特に、選挙権年齢を十八歳以上に引き下げることを踏まえ、小中高校生をはじめ若年者に対し、周知徹底とともに主権者教育の充実を進めること。

五 我が国の厳しい財政事情を厳粛に受け止め、在外公館に関わる予算の効率性・透明性を高めるとともに、その執行に当たっては、適切な支出が図られるよう具体的な措置を講ずること。

六 在勤手当については、各任地の事情を勘案するとともに、民間企業や諸外国外交官の給与・手当の水準、為替・物価の変動など客観的な基準を踏まえ、必要に応じて全般にわたる見直しを行うこと。見直しに際しては、国内の財政事情及び外交活動を推進する上での必要性の双方を考慮し、適切な額を算出すること。

七 国際社会のグローバル化による海外渡航者や在外邦人の増加に伴って領事業務の重要性が高まっていることに鑑み、邦人の活動環境を向上させるため、国民の視点に立った領事サービスの不断の向上に努めること。

八 外務省においては、より一層の情報公開と外交機能強化のための組織・制度の改革に全力で取り組み、その成果を国民に対して分かりやすく説明すること。

九 在外公館における監査・査察体制の一層の強化を図ること。

右決議する。

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