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   出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

一 我が国が外国人材にとって魅力ある働き先となり、就労希望者がより長く我が国で就労することができるよう、外国人就労者の生活・就労環境等の整備に努めるものとし、賃金をはじめとする待遇や職場環境の改善、国及び地方公共団体等における受入れ体制の整備、本人及び家族のための生活環境の整備、社会保障制度に関する周知徹底、我が国の文化や社会に対する理解の増進等の諸施策の総合的な取組に向けた検討を進めること。

二 外国人就労者の受入れ企業が労働関係法令を遵守し、適切に外国人就労者の雇用と支援を行うことができるよう、人権意識の醸成及び徹底に向けて、適切な情報発信及び取組支援の在り方等について検討を行うこと。また、外国人就労者に対する人権侵害の実態や外国人失踪者に関する状況の把握に努め、必要な改善措置について検討を行うこと。

三 地域社会での生活や育成就労の適切な実施に資するとともに、改正後の制度の各段階において日本語能力がこれまで以上に求められることから、外国人就労者の日本語習得のために適切な支援がなされるよう、国及び地方公共団体における環境整備の在り方について検討を行うこと。特に、地方における日本語習得の機会の確保について、十分に配慮するものとすること。

四 我が国の産業分野における労働力不足への対応を目的とする本法の趣旨に照らし、特定技能及び育成就労に係る対象分野及び受入れ見込数の設定に関しては、外国人就労者の現状や我が国全体の雇用状況を適切に勘案して、透明性・予見可能性が確保されるよう努めるとともに、専門性のある有識者及び関係団体等の知見が適切に反映され、公平性・中立性が確保されるよう努めるものとすること。また、経済社会の牽引役となりうる高度外国人材に関し、これまで以上に積極的に誘致を行う方策について検討を行うこと。

五 我が国での就労経験を持つ外国人が、過去に習得した技術や日本語能力、日本社会及び日本文化等への理解や経験を生かして更に我が国で活躍してもらうための受入れ手段について検討を行うこと。

六 育成就労外国人の意向による転籍を認めるための要件に関する主務省令の策定に際しては、技能及び日本語能力の基準等について、適正かつ現実的に転籍が可能なものとなるよう特に配慮するとともに、改正後の制度の運用状況を踏まえて必要に応じて見直しを検討するものとすること。

七 育成就労外国人の転籍が迅速かつ円滑に進められるよう、転籍の申出の手続にかかる負担が極力少なくなるための措置を検討するとともに、転籍先が確保されるまでの期間が長期化した場合における生活支援等の在り方について検討を行うこと。

八 季節性のある分野における派遣形態による育成就労計画の認定に当たっては、派遣元又は派遣先の事業者の事情により育成就労外国人の利益が不当に害されることのないよう、労働関係法令等に即した適切な処遇の確保について特に配慮すること。

九 監理支援機関の独立性・中立性の確保のための役職員要件及び業務範囲に関する要件等に関する主務省令の策定に当たっては、本法の趣旨及び地方における監理支援機関の実情に照らして実効性が確保されるよう留意するとともに、当該要件の充足の状況及び外部監査人の選任の在り方を含む適切な業務実施体制の確保の状況等について、実地検査等を通じて継続的に把握するよう努めること。併せて、監理支援機関による育成就労実施者からの監理支援費の徴収に当たっては、当該費用が実費に限られることに留意し、監理支援費の設定及び預託金の精算等が適切になされるよう、必要な措置を検討すること。

十 育成就労を希望する外国人が送出機関に不当に高額な手数料を支払うことのないよう、主務省令で定める手数料の金額の基準を育成就労外国人にとって合理的なものとするとともに、送出国との新たな二国間取決めの策定に際しては、悪質な送出機関が排除され、我が国への育成就労外国人の送出しが適切に実施されるものとなるよう、協議を進めるものとすること。

十一 永住者に対する永住許可の取消及び職権による在留資格の変更を行おうとする場合には、既に我が国に定住している永住者の利益を不当に侵害することのないよう、定着性及び法令違反の悪質性等の個別事情を厳正に判断するとともに、具体的な事例についてのガイドラインを作成し周知するなど、特に慎重な運用に努めること。また、その場合における永住者の家族の在留資格の取扱いについて、十分な配慮を行うものとすること。

十二 我が国が魅力ある働き先として選ばれるため、外国人就労者の家族帯同の在り方について引き続き検討すること。

十三 本法の施行に伴う出入国在留管理庁及び厚生労働省における業務負担の増加に伴い、関連業務を迅速かつ適切に実施するために必要な人的・物的体制の整備に努めること。また、外国人育成就労機構が支援・保護業務や相談援助業務を適切に行うための体制の整備に努めるとともに、育成就労外国人からより広く認知されるための取組を進めること。

十四 外国人就労者が改正後の制度について正しく理解して安心して我が国で働くことを可能にするとともに、共生社会の実現に向けて国内外の理解が深まるよう、本法の趣旨及び内容について国際社会や国内の関係機関等に対する周知広報に努めること。

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