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   瀬戸内海環境保全特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 

 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

一 関係府県が栄養塩類管理計画を策定する場合には、他の関係府県を含め、地域の合意形成や協議等に対し適切に支援すること。また、適切な水質の保全及び管理が図られるよう、栄養塩類増加措置による周辺環境への影響に係る事前調査や、モニタリングの充実に向けた必要な支援を行うこと。さらに、栄養塩類管理計画の変更に当たっては、機動的に対処できるよう、必要な措置を設けること。併せて、栄養塩類の順応的な管理計画に大きな影響を与えることが想起される生態系や食物連鎖構造と水産資源との関係の変遷につき包括的な調査研究を実施すること。

二 藻場・干潟等が、水質の浄化に加え、生物多様性の維持、炭素の貯留といった環境の保全上の重要かつ多様な機能を有していることに鑑み、関係省庁との連携の上、藻場・干潟等の保全、再生及び創出に係る施策の充実・強化に十分な予算の確保に努めること。また、未利用埋立地等を利用し、自然の力をいかした磯浜の復元に努めること。

三 マイクロプラスチックを含む海洋プラスチックごみといった漂流ごみ等の除去、発生抑制等に係る施策の実施に当たっては、地方公共団体、漁業者等による連携体制の構築の推進や、漂流ごみ等の処理費用に関する十分な予算の確保に努めること。あわせて、漂流ごみ等に係る各地域の環境保全活動に対する支援の充実・強化に努めること。

四 瀬戸内海における環境保全に関する施策の実施に当たっては、湾・灘ごと、更には湾・灘内の特定の水域ごと、季節ごとの課題に対して、きめ細やかな取組を推進することができるような湾・灘協議会のあり方の検討を行うこと。また、瀬戸内海全域にわたる環境の状況を踏まえ、関係府県に対し、必要に応じて適切に助言等を行うこと。

五 瀬戸内海における栄養塩類と生物の多様性及び生産性との関係、気候変動の影響などについて引き続き科学的知見の充実を図り、水質の保全及び管理、気候変動影響への適応策などの必要な施策の実施に努めること。特に基本理念に明示された水温の上昇については、具体的な適応策を検討すること。

六 基本理念に掲げられている生物多様性の確保等を適切に行うために必要な施策についての調査研究及びその結果に基づいた具体的施策の推進については、ポスト愛知目標の策定作業や日本における次期生物多様性国家戦略の策定作業との関連性を念頭に置くこと。

七 本法附則第三項による施行後五年の見直し時期以前であっても、必要に応じて本法の規定の施行状況を踏まえ、必要があると認める場合には、適宜適切に所要の措置を講ずること。

 

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