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情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 

 政府は、本法施行に当たり、次の諸点について十分配慮すべきである。

 

一 指定高速情報処理用半導体に関する支援対象事業者の選定については、我が国が次世代半導体の生産において競争力を有することができるよう、諸外国における次世代半導体の研究開発や量産に向けた取組等の動向を注視しつつ、関係者や有識者等の意見も踏まえ、適時適切に行うこと。

 

二 選定事業者への支援に当たっては、その効果が支援を受けた事業者及び関係者に留まらず、我が国の経済安全保障の観点からも重要となる半導体産業の発展及び半導体サプライチェーンの再構築並びに国民の生活の向上に資するものとなるよう留意すること。

 

三 選定事業者による資金確保や顧客開拓等に対し協力を行うなど、選定事業者と連携して実施計画の着実な実施に努めるとともに、指定高速情報処理用半導体の生産に必要不可欠な製造装置や部素材等の安定的な確保に万全を期すこと。

 

四 独立行政法人情報処理推進機構による選定事業者に対する出資に当たっては、民間との出資のバランスを考慮するなど、選定事業者の自立性確保に十分留意すること。

 

五 出資の対価として取得する株式については、経営判断の迅速性等にも配慮しつつ、適切なガバナンスが発揮されるような設計とし、重要な経営事項に対して拒否権を有するいわゆる黄金株を保有することも含めて、検討すること。加えて、民間からの資金調達を促進していきつつ、公的資金の回収を図る観点も踏まえ、適正なリターンが確保されるような設計とするように検討すること。

 

六 選定事業者に対する出資等の支援が多額の国費を用いるものであることに鑑み、選定事業者による実施計画の概要を公表するとともに、実施計画の実施状況、選定事業者による半導体の設計を行うために必要なデータセットの開発及び顧客への提供状況や選定事業者と半導体設計事業者等との提携状況など事業の進捗状況について、政府において責任を持って把握・検証を行い、入手する経営情報に関してはその機密の確保に万全を期し事業者の競争上の地位の毀損がないように配慮しつつ、上場までの間、選定事業者に対する追加支援に必要な予算案の審議に向けて、国会に報告するとともに、公表すること。特に、量産開始までの間は、三月に一回を目処に国会に報告すること。

 

七 選定事業者による指定高速情報処理用半導体の量産化に対する支援(以下「量産準備支援」という。)は、民間主体で行うことを旨とし、政府は今後の次世代半導体を取り巻く環境等の変化を十分踏まえ、必要に応じて選定事業者に対し実施計画の変更の指示など、同計画について不断の見直しを行うこと。

 

八 さらなる量産準備支援の判断については、選定事業者の次世代半導体の試作や量産の状況、選定事業者の民間からの追加投資状況及び販路開拓状況を踏まえること。また、選定事業者による売上げ見込みと、生産・販売・管理コスト等の見積もりから計算される利益によって、これまでと今後の投資、融資などが現実的な期間で回収できないなど事業性が見込めないと判断した場合においては、支援を見直すこと。なお、量産準備支援を行う場合には、選定事業者に対して、財務状況等の国民への情報開示を行うよう指導すること。

 

九 「AI・半導体産業基盤強化フレーム」に基づく歳出については、政策効果や必要性を十分見極めた上で、国会での審議や産業構造審議会等での議論を踏まえつつ必要に応じて見直しを行うとともに、毎年、「AI・半導体産業基盤強化フレーム」に係る予算の執行状況について情報を整理して公表すること。

 

十 選定事業者に対する国からの支援が巨額に及ぶことを踏まえ、支援のプロセスや資金の流れ等について、高い透明性を確保するとともに、公平かつ公正な運用を徹底すること。また、選定事業者役員等の既存個人株主が将来株式を売却した際に生じる利益について、国費の投入が株式価値の上昇に寄与した点も念頭に、小池淳義参考人から、個人としては寄附や人材育成活動に使っていきたいとの発言があったことも参考に、引き続き、国費の投入について国民の納得が得られるように努めること。

 

十一 エネルギー対策特別会計に新設する先端半導体・人工知能関連技術勘定における公債「先端半導体・人工知能関連技術債」の発行に当たっては、将来にわたって国民負担が伴わないよう厳重に対処すること。特に、その償還においても、財政投融資特別会計の投資勘定の財政状況に十分留意すること。

 

十二 我が国の半導体産業が長期にわたり低迷している現状及び、政府におけるこれまでの半導体政策についての十分な検証・評価の結果を踏まえ、今後の中長期的な内外の情勢変化やAI・半導体に係る技術革新の進展等の動向に対応し、我が国半導体産業の復活に向けて、今後のAI・半導体政策の在り方について更なる検討を進めること。

 

十三 国内におけるデジタル需要の拡大に最大限努めるとともに、国内で製造される半導体の供給において、そのマッチングが図られるよう必要な施策を行うこと。

 

十四 デジタル人材及び特に不足が指摘されているAI・半導体人材の育成や確保については、関係省庁・関係機関、高校・高等専門学校・大学等が連携し、着実に取組を実施すること。また、人材や技術の海外流出防止及び高度人材の獲得について、実効性ある施策を講じること。

 

十五 次世代半導体の量産化等の事業の推進及び関連産業の集積を進めるに当たり、円滑な事業経営環境を整え、内外より高度なIT人材の確保をするための施策を行うことが必要であることに鑑み、関係省庁間の連携及び地方公共団体との連携の下、工業用水の確保、下水道及び道路等の必要なインフラの整備や、インターナショナルスクール等の設置及び周辺の学校や医療機関等、居住環境や生活環境の整備等の取組が着実に進むよう必要な措置を講ずること。

 

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