住宅の質の向上及び円滑な取引環境の整備のための長期優良住宅の普及の促進に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。
一 分譲マンション等を住棟単位で長期優良住宅として認定する制度の導入に当たっては、一部の住戸が認定基準を満たさない場合の取扱いを含め、その運用の詳細について早期に検討を進めること。また、長期にわたり維持保全を行うこととなる管理者等の負担に配慮するとともに、管理者等に対して責務や必要となる手続についてわかりやすく周知すること。
二 長期優良住宅の災害に係る認定基準に関して、認定を行う所管行政庁における円滑かつ適正な運用を確保する観点から、地域の災害リスクへの配慮の方法に係る運用基準を所管行政庁が策定できるよう必要な支援を行うこと。また、所管行政庁の準備期間を十分確保するため、運用に係る基本的な方針等を早期に示すこと。
三 共同住宅に係る長期優良住宅の認定基準の見直しに当たっては、賃貸住宅の特性を踏まえ、良質な賃貸住宅の供給が促進されるものとなるよう検討を進めること。
四 長期優良住宅に係る技術的審査の求めと住宅性能評価の申請を併せて行うことが可能となることを踏まえ、長期優良住宅の認定の申請を行おうとする者が住宅性能評価書を取得するか否かを適切に判断できるよう、その取得に係るメリットやコストについて十分な周知を図ること。
五 指定住宅紛争処理機関が行う住宅紛争処理の対象に既存住宅等の瑕疵に係る保険に加入した住宅に関する紛争が追加されることにより、同機関にこれまで以上に高い専門性が求められることに鑑み、住宅紛争処理支援センターによる情報提供や研修等も活用し、同機関に対して十分な支援を行うこと。
六 良質な既存住宅が市場で評価され、次の世代に承継されていく住宅循環システムを構築するため、インスペクション、住宅履歴情報、住宅の状態を適切に反映する建物評価手法などの活用の促進を図るとともに、安心R住宅制度の運用見直し等により、既存住宅の円滑な取引環境の整備を推進すること。
七 カーボンニュートラルの実現に向け、住宅や小規模建築物の省エネルギー基準への適合義務化も含め、住宅・建築物の省エネルギー対策等の抜本的な取組強化についての検討を進め、早期に結論を得ること。