港湾法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。
一 協働防護計画に基づく最適化事業を円滑に推進するために、民間事業者に対する税制支援のみならず、協働防護協議会に対し、ガイドラインの作成、知見やノウハウの提供、人材支援といったソフト面での支援や助言を十分に行うこと。また、協働防護計画の作成に当たり、港湾管理者の組織体制や人材育成等の充実のための支援を強化すること。
二 協働防護計画の作成に当たっては、政策決定を優先するのではなく、民間事業者が無理なく参加できるような計画となるよう港湾管理者に対し指導すること。また、計画の検討に際し、港湾施設を所有する民間事業者からの意見を十分聴いて、その趣旨を最大限尊重するとともに、特に中小事業者の置かれた厳しい経営環境や所有する港湾施設の現状等について十分配慮するよう、港湾管理者に対し指導すること。
三 協働防護の主要関係者として、協働防護協議会への港湾労働者の代表の参画を確実に働きかけること。
四 港湾管理者における技術職員不足に対しては、国による港湾工事の代行措置の実施と併せ、技術系職員の確保・育成及び定着のための施策に努めるとともに、賃金等の労働条件の改善が図られるようにすること。
五 港湾施設の老朽化の進行に対し、港湾管理者の人員・予算の不足により港湾施設の維持管理が不十分となることがないよう、人員・予算の確保に努めるとともに、港湾施設の点検の効率化や適切なメンテナンス体制の在り方を検討し、持続可能な維持管理体制を実現すること。また、港湾施設の点検・整備におけるデジタル技術の導入を促進し、作業の効率化に向けた環境整備を図ること。
六 海洋再生可能エネルギー発電設備等取扱埠頭の一時的な利用については、一時的であっても長期・広範囲の埠頭の占用を伴うことから、埠頭の貸付けに当たっては一般の利用者の利便を妨げることがないよう十分留意すること。
七 災害発生時に港湾施設の復旧作業に従事する人員の確保策の実効性について十分に検討を行うこと。特に、発災時は復旧作業に従事する者も被災者であるという視点に立ち、これらの者が無理なく復旧作業に従事できる体制の構築と、必要な環境の整備を図ること。