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脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 

 政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 

一 省エネ基準の適合義務制度の対象が住宅を含む原則全ての建築物に拡大されることに伴い、国民に大きな影響が及ぶことを踏まえ、住宅・建築物の省エネ性能の向上の必要性及び本法に盛り込まれた制度等の内容をわかりやすく説明し、本法が円滑に施行される環境を整備すること。

 

二 省エネ基準の適合義務制度の対象の拡大による市場の混乱が生じないよう、十分な準備期間を置き、中小工務店向けの講習会の実施等による関係事業者等の省エネ基準や省エネ技術に係る習熟度向上に対する支援の充実を図ること。

 

三 二〇三〇年度以降新築される住宅・建築物について、ZEH・ZEB基準の水準の省エネ性能の確保を図るため、大手住宅事業者が担う住宅トップランナー基準によって省エネ性能の一層の向上を推進するよう国として促すとともに、財政上及び税制上の支援措置について検討すること。

 

四 建築物の利用者に対して省エネ性能に関する情報提供を行い、省エネ性能の高い建築物が選択される市場環境を整備するため、省エネ性能表示制度の活用を推進しその実施状況を見ながら表示制度義務化の検討を行うとともに、告示に従っていない場合の勧告が適切に行われるよう、勧告を行う基準を明確にすること。

 

五 既存の住宅・建築物の省エネ改修を更に促進するため、住宅金融支援機構による融資制度等に関する情報の積極的な提供を促すこと。また、低所得世帯の家計に占める光熱費負担割合の高さや断熱性能の低い住宅に住むことによる健康リスクが大きいことに鑑み、既存の賃貸住宅への断熱改修の目標を設定するとともに、既存ストックの更なる性能向上に向け、財政上及び税制上の一層の支援措置を検討すること。

 

六 既存の住宅・建築物の省エネ改修等を推進するに当たり、悪質な事業者による詐欺的な事件を防止し、消費者が安心して省エネ改修等を行うことができる環境を整備するため、関係法令の適切な執行や相談窓口の消費者への周知等の総合的な対応策を強化し、関係府省庁等が一体となって実施すること。

 

七 伝統的構法による木造建築物の建築に支障が生じないよう、気候風土適応住宅に係る所管行政庁による地域の自然的社会的条件の特殊性を踏まえた要件設定を促進するとともに、引き続き規制の合理化に向けてその在り方について検討を進めること。

 

八 市町村による建築物再生可能エネルギー利用促進区域の設定が効果的かつ適切になされるよう、市町村に対し、必要となる情報の提供を行うとともに、助言等支援を行うこと。

 

九 建築物再生可能エネルギー利用促進区域について、地球温暖化対策推進法に基づく地域脱炭素化促進事業の促進区域等と密接な連携を行い、各府省庁がそれぞれ行う再生可能エネルギー導入促進策を優先的に適用するなど関係府省庁横断的な政策の推進を行うこと。

 

十 建築確認等における審査省略制度(四号特例)の対象が大幅に縮小されることにより、事務等に混乱が生じることがないよう、デジタル化の推進等の申請側及び審査側双方の負担軽減に資する必要な措置を講ずること。

 

十一 安全性の確保を前提としつつ、中大規模建築物の木造化や混構造等の部分的な木造化による木材活用の推進に資するよう、建築基準法に係る技術的基準を適切に定めること。また、最近の建築資材の価格高騰等に鑑み、国産材の安定供給に向けた木材供給事業者と工務店等の連携促進の取組を推進すること。

 

十二 公共建築物に加え、民間建築物の木造化を一層推進するため、建築基準法に基づく適切な技術的基準を制定するとともに、財政上、税制上及び金融上の一層の支援措置を検討すること。

 

十三 建築物の省エネ性能の向上のため必要な外壁に関する工事等を行う建築物で構造上やむを得ないものとして国土交通省令で定めるものの容積率、建蔽率又は建築物の高さの制限に係る特例許可制度について、恣意的な運用が行われないよう、国土交通省令で定める内容は明確にすること。また、当該特例許可制度が適用されるのは許可された箇所のみとすることを徹底し、その他の箇所には適用されないようにすること。

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