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特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 

 政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 

一 流域治水に関する施策の決定及びその実施に当たっては、流域治水に係る計画のための協議会で住民、NPO等の多様な意見の反映を促す等により地域住民等の意向が十分配慮されるとともに、上流及び下流のそれぞれの地域の受益や負担が示される中で、円滑な合意形成が行われるよう環境整備に努めること。また、まちづくりとの連携が十分に図られるよう努めるとともに地方公共団体に対しても適切に助言すること。

 

二 学校教育及び社会教育における防災教育の充実を図ること。またその際には、災害伝承を調査及び検証の上、次世代に引き継がれるよう適切に活かすとともに、治水や水源保全等における上流域が担う役割の重要性等に対する下流域の理解の醸成に努めること。

 

三 流域治水の取組においては、自然環境が有する多様な機能を活かすグリーンインフラの考えを推進し、災害リスクの低減に寄与する生態系の機能を積極的に保全又は再生することにより、生態系ネットワークの形成に貢献すること。

 

四 森林の有する水源涵養機能や農地等が一定の洪水低減機能を有することの重要性及び山間地等の土地利用の変化が流域の土砂災害等に影響を与えることを踏まえた森林管理の重要性に鑑み、農林関係機関との連携強化を図ること。

 

五 流域治水の取組を強力に推進するため、特定都市河川の積極的な指定に努めるとともに、都道府県による指定を促進するため、流域治水に係る計画の策定及び同計画に基づく取組への必要な支援を行うこと。また、流域が複数の都道府県にまたがる場合も適切な指定が行われ、連携した施策が実施されるよう助言すること。

 

六 雨水貯留浸透施設の設置等に当たっては、地形や地質、土質、地下水位、周辺環境等の状況の調査により施設整備の効果の維持に努めること。

 

七 浸水被害防止区域や貯留機能保全区域の指定が円滑に進められるよう、ガイドラインの策定や地方公共団体に対する必要な助言等の支援に努めること。また、浸水被害防止区域における既存建築物の安全性の確保や、貯留機能保全区域を対象とした固定資産税の減免措置等の支援策の創設を検討すること。

 

八 地方公共団体による浸水想定区域図及びハザードマップの作成を推進するため、デジタルデータの活用等の技術的な支援とともに、財政的な支援を一層行うよう努めること。また、ハザードマップ等に基づき提供される情報が住民の避難行動に結びつくよう、ハザードマップの作成、公表、周知の各段階において、多様な主体の参画の機会を積極的に設けるよう助言すること。

 

九 要配慮者利用施設における逃げ遅れによる人的被害を繰り返さないよう、厚生労働省と連携し、避難の実効性の確保に資するため、要配慮者利用施設へ助言等を行う市町村に対して必要な支援を行うこと。

 

十 ダムの洪水調節機能を適切に確保するため、災害の予防的措置として必要な堆砂除去に対する国の財政支援制度の創設を検討するとともに、効率的・効果的に利水ダム等の事前放流を実施するために必要な放流設備の増強等を関係者と連携し推進すること。

 

十一 防災集団移転促進事業が事前防災対策として活用されるよう市町村等に対して本改正内容の周知に努めるとともに、移転先における持続可能なまちづくりのための必要な助言等の支援を行うこと。また、移転者の経済的負担の軽減に配慮した更なる支援策を検討すること。

 

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