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育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 

 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

一 本法の実効性を高める観点から、事業主に対する周知徹底を図るとともに、育児休業請求等を理由とする解雇や職場復帰の拒否等の不利益取扱い等が急増している事態に対応し、都道府県労働局は、事業主に対する法令順守に向けた指導・監督を強化すること。その際、法令違反に対しては、新たに措置される企業名の公表制度等を十分活用し、厳正に対応すること。

二 育児休業に係る紛争を未然に防止するため、育児休業申出書の提出及び育児休業取扱通知書の交付の実態を調査するとともに、普及を促進すること。併せて、休業を申し出た労働者の休業中の待遇及び休業後の労働条件等が明らかとなるよう指導を強化すること。

三 育児休業の申出をした労働者に対して、事業主から、労働者からの書面による申出を受けた旨並びに休業開始予定日及び休業終了予定日を明示した書面の交付を行うことを省令に明記すること。

四 有期契約労働者についても、育児休業等の両立支援制度が利用できるよう、制度の周知徹底に特段の配慮を行うなど取得促進策を講ずるとともに、有期契約労働者への制度の適用範囲の在り方について引き続き検討すること。また、育児休業等の取得等を理由とした派遣労働者に対する不利益取扱いを防止するなど、非正規労働者が働きながら子育てができる環境の整備を促進すること。

五 育児休業等の申出や取得等を理由とする正社員から有期雇用への切下げ、有期契約の雇止め、契約期間の短縮などの不利益取扱いが行われないよう、指導を強化すること。

六 ひとり親家庭における育児に配慮し、ひとり親家庭の育児休業期間及び子の看護休暇の日数の延長について、引き続き検討するとともに、病児保育を含む保育サービスの拡充その他の支援の強化を速やかに検討すること。

七 仕事と生活の調和の実現に向け、「仕事と生活の調和推進のための行動指針」に掲げられた男性の育児休業取得率を二〇一七年までに一〇%にするという政府目標を踏まえつつ、男性の育児休業について本法により新たに措置される事項を周知徹底するほか、引き続き長時間労働の抑制や男性の育児休業取得促進に向けた社会全体の気運醸成に取り組むこと。

八 出産を機に退職する女性が約七割に達するという状況が改善されていないことを踏まえ、女性労働者の継続就業の実態を正確に把握し、継続就業率を実質的に上昇させるよう努めること。

九 仕事と家庭の両立支援の観点から、所定労働時間の短縮及び所定外労働の制限については、対象となる子の年齢を小学校就学前まで拡大することを検討するとともに、認可保育所の大幅な定員増、放課後児童クラブの拡充など、保育の質を維持しつつ地域における子育て支援施策を充実・強化すること。

十 労働者ができるだけ自らのニーズに即した制度を利用できるようにする観点から、本法により選択的措置義務から努力義務となる始業時刻変更等の措置についても引き続き普及促進を図ること。

十一 子の看護休暇及び介護休暇について、その必要に応じて休暇を取得することができるよう、取得要件の緩和を行うとともに、取得しやすい手続とすること。また、半日単位や時間単位でも取得できるような柔軟な制度とすることについて検討を行うこと。

十二 家族の介護を理由とする離職者が多数にのぼる状況を勘案し、仕事と介護の両立を実現するために必要な働き方について介護サービスとの関わりも含め検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。

十三 育児休業中の労働者に対する経済的支援の充実について、速やかに検討すること。

十四 育児休業等を理由とする解雇等の不利益取扱いについて相談があった場合に、雇用均等室において的確かつ迅速に対応することができるよう、企業への適切な指導手法の検討や職員の資質の向上を図ること。

十五 本法による改正後の法の円滑な施行を図るため、雇用均等室の体制を整備すること。また、雇用均等室をはじめとする都道府県労働局の組織の在り方については、国民サービスの維持、労働者保護の実効性の確保、事業所の実態把握や機動的な指導、都道府県等との雇用対策の一体的推進等を図る観点から、現行の都道府県単位の組織体制の存続も含め、慎重に検討すること。

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