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   感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び検疫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 

 政府は、発生が時間の問題とされている新型インフルエンザの脅威から、国民の生命及び健康を守るため、次の事項について対策を講ずるべきである。

一 新型インフルエンザが発生し、国内で大流行した場合の感染者数、受診患者数及び死亡者数等の推定については、諸外国の研究事例等を参考とし、様々な感染力や病原性を持つウイルスを想定したシミュレーションも行った上で試算を行い、これに基づいて行動計画及びガイドラインの再点検を行うこと。

二 プレパンデミックワクチンについては、その有効性や安全性を研究するとともに医療関係者等優先接種対象者への優先順位や接種体制、接種時期等の接種の在り方について、早急に検討すること。また、これらの者以外であって接種を希望する者に対する接種について、ワクチンの安全性や接種体制の確保等を踏まえ、検討を行うこと。プレパンデミックワクチンの備蓄については、必要な量の確保に努めること。なお、副作用被害については、医薬品副作用被害救済制度の活用を周知すること。

三 新型インフルエンザの感染予防対策の重要性にかんがみ、経鼻粘膜投与技術及び細胞培養による大量生産技術の開発等を推進すること。また、新型インフルエンザが出現した場合に、速やかにワクチンを大量に生産できるよう、必要な有精卵を確保するため、これらを生産する養鶏業者に対し、鳥インフルエンザ等の感染予防対策を支援するなど、必要な措置を講ずること。さらに、新型インフルエンザの大流行時において、全国民を対象に迅速かつ適切にワクチン接種ができるよう、薬剤師及び保健師等を活用した投与の在り方についても検討すること。

四 抗ウイルス薬について、必要に応じ、新型インフルエンザへの一人当たりの投与量の見直しを検討した上で、必要な者への投与が可能となる備蓄量の確保を図るとともに、備蓄体制及び配布方法等を見直すこと。併せて、期限切れによる無駄等が生じることのないよう、安全性・有効性を担保しつつ有効期限の延長について検討すること。

五 都道府県における感染症指定医療機関の指定及び協力医療機関の確保を支援し、必要な医療提供体制を整備すること。その際、これらの医療機関における院内感染防止策等入院患者の受入体制の整備や人工呼吸器等必要な医療機材の確保について必要な支援を行うこと。また、新型インフルエンザの流行初期における診断・治療体制を確立するため、都道府県による発熱相談センター及び発熱外来等の設置準備の進捗状況を総点検するとともに、これらに従事する医療関係者に対する研修・訓練等を実施すること。

六 新型インフルエンザの流行時においては、医療及び救急搬送等に従事する者を含め国民生活の基盤を支えているサービス業務に従事する社会機能維持者が感染等により大幅に不足する可能性を想定した上で、地域ごとに医師会をはじめ関係団体との協力体制の確立に努めること。

七 医療機関のみならず企業及び学校等集団生活を行う場においてもマスク等医療資材の確保に努めるよう普及啓発を図るとともに、必要な支援を講ずること。

八 新型インフルエンザ及び鳥インフルエンザに係る海外の情報収集については、WHO及び諸外国の関係機関との一層の連携を強化し、最新の情報の入手・分析体制を確立するとともに、都道府県、保健所及び検疫所等の関係各機関相互の情報ネットワーク化を強化すること。また、緊急の場合において、各機関が適確な情報収集及び分析を実施できるよう体制を整備すること。

九 ホームページの掲載等をはじめ、随時、国民に対して新型インフルエンザに係る情報を提供するなど積極的な広報活動に取り組むことにより、国民の理解と協力を促し、もって、その不安感の軽減に努めること。

十 感染による健康への被害が大きいと考えられる子どもに対して、家庭、学校、地域において総合的な新型インフルエンザ対策を推進すること。

十一 水道、電力等基盤産業や国及び地方の行政機関等による社会機能活動の維持に不可欠な業務を継続するための計画の策定について、当該機関に対して周知徹底を図り、策定を促すこと。

十二 都道府県が策定した行動計画に基づく新型インフルエンザ対策の準備・進捗状況について総点検し、必要に応じて当該行動計画の見直しを含めた指導及び支援を行うこと。

十三 海外からの新型インフルエンザ感染者の入国を水際で防止するため、各国際空港・海港における検疫所、入国管理局及び税関等関係機関の連携・協力体制を強化すること。また、検疫所においては、新型インフルエンザの発生状況に応じて機動的な対応が可能となるよう、サーモグラフィ等の機器の効率的な活用及び検疫官の応援態勢の整備等により体制の強化に努めること。

十四 国立感染症研究所について、人員の配置等や地方衛生研究所等との連携の強化及び研究の支援等体制の強化を図るとともに、東南アジア諸国の感染症研究の支援・研修交流を推進すること。

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