公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議
政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。
一 全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びを実現するとともに、全ての子供たちの教育的ニーズに応じたきめ細かな指導体制と安全・安心な教育環境を整備するため、政府は、高等学校を含め更なる学校の望ましい指導体制の構築に努めること。この際、三十五人学級を義務教育の最終形とはせず、「乗ずる数」の在り方や、小中学校の一層の少人数学級化を含めた検討を行い、子供たち一人ひとりに一層きめ細かい教育が届けられる体制の実現を目指すこと。
二 中学校三年生までの段階的な三十五人学級編制は、必要な加配定数を削減することなく、安定的な財源によって措置すること。特に、地方公共団体がそれぞれ行っている三十五人を下回る少人数学級やチーム・ティーチング等の少人数指導、いじめ・不登校等に係る指導、専科配置などの加配定数は、教育環境の改善に必要不可欠なものであることを踏まえ、必要な教職員定数を引き続き確保すること。加えて、本法改正による養護教諭と事務職員の基礎定数の改善に伴い、これらの職の既存の加配定数が減少することのないように措置するとともに、更なる配置充実について検討すること。また、本法に含まれていない栄養教諭についても、配置基準の引下げを含め、その配置充実について検討すること。
三 多様な児童・生徒への多角的な指導の実現や、教員の孤立防止及びメンタルヘルス対策、教職員の働き方改革の加速化、教職員による性暴力等の防止の観点から、特定の教員が一人で学級経営を担う体制を見直し、いわゆる「チーム担任制」の導入を含め、複数の教員が協働して学級・学年を支援することができるよう指導・運営体制の充実を図ること。また、これに必要な教職員定数の更なる加配や、学年全体を俯瞰するマネジメント層の配置についても検討を行うこと。
四 意欲と情熱をもって教育に取り組む優れた教員を確保するため、学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法の趣旨を踏まえた処遇の充実を図るとともに、教職員給与費に係る義務教育費国庫負担金及び地方交付税の財源確保を確実に行うこと。また、学校における働き方改革を推進するとともに、教育職員の勤務の状況について調査を行い、これを踏まえ、所要の措置を講ずること。
五 学校における働き方改革に資するため、教材研究や授業準備等に影響を与えないよう教員の定数増及び教育課程の弾力的運用を含め検討し、教員の持ち授業時数の軽減を図ること。また、学校事務体制の機能強化に向け、共同学校事務室への加配の拡充を行うなど事務職員の配置を充実させ、共同学校事務室の設置促進を図ること。
六 質の高い教員の確保に向けて幅広く人材を活用するために、多様な知識又は経験を有する社会人が働きながら教員免許状を取得することや教員免許状保有者が学び直しを経て学校現場で働くこと等を支援するなど、専門性の高い民間人材が教育現場に参画しやすい制度の整備と環境づくりへ向けて、教育職員免許法の抜本的な見直しを含む検討を行い、その結果に基づき必要な措置を講ずること。また、政府及び教育委員会は、教員不足の実態を踏まえ、産育休取得者や病休者の増加、合理的配慮を要する児童生徒の急増に伴う教員の確保難など、構造的要因も考慮しつつ、その解消を図るための対策に万全を期すこと。
七 本法により計画的な教職員定数の改善が図られることによって、地方公共団体においては必要な教職員を採用・配置しやすくなる。国は、非正規教職員が増加することのないよう、地方公共団体に対し、正規教職員を計画的・安定的に採用・配置するよう促すこと。
八 「チーム学校」の一員であるスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー等の専門職員を実質的に機能させる観点から、配置の拡充や働きやすい環境の整備を支援するとともに、専門職員を含む学校現場全体の校務DX・業務効率化を推進すること。

