公文書等の管理に関する法律案に対する附帯決議
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一 公文書管理の改革は究極の行政改革であるとの認識のもと、公文書管理の適正な運用を着実に実施していくこと。
二 公文書等の管理に関する施策を総合的かつ一体的に推進するための公文書管理担当機関の在り方について検討を行うこと。
三 行政文書の管理が適正に行われることを確保するため、一定の期間が経過した行政文書に関しその保存期間満了前に一括して保管等の管理を行う制度(いわゆる中間書庫の制度)を各行政機関に導入することについて検討を行うこと。
四 国民に対する説明責任を果たすため、行政の文書主義の徹底を図るという本法の趣旨にかんがみ、軽微性を理由とした恣意的な運用のなされることのないよう、万全を期すること。
五 公文書管理と情報公開が車の両輪関係にあるものであることを踏まえ、両者の適切な連携が確保されるよう万全を期すること。
六 公文書の適正な管理が、国民主権の観点から極めて重要であることにかんがみ、公文書管理に関する職員の意識改革及び能力向上のための研修並びに専門職員の育成を計画的に実施すること。また、必要な人員、施設及び予算を適正に確保すること。
七 既に民営化された行政機関や独立行政法人等が保有する歴史資料として重要な文書について、適切に国立公文書館等に移管されるよう積極的に対応すること。
八 国立公文書館等へ移管された特定歴史公文書等に対する利用制限については、利用制限は原則として三十年を超えないものとすべきとする「三十年原則」等の国際的動向・慣行を踏まえ、必要最小限のものとすること。
九 本法に基づく政令等の制定・改廃の過程及び公文書の管理・利活用に関して、十分に公開し、多くの専門的知見及び国民の意見が取り入れられる機会を設けること。
十 特定歴史公文書等の利用請求及びその取扱いにおける除外規定である本法第十六条に規定する「行政機関の長が認めることにつき相当の理由」の有無の判断に関しては、恣意性を排し、客観性を担保する方策を検討すること。
十一 特定歴史公文書等の適切なデジタルアーカイブ化を推進し、一般の利用を促進すること。
十二 公文書の電子化の在り方を含め、電子公文書の長期保存のための十分な検討を行うこと。
十三 刑事訴訟に関する書類については、本法の規定の適用の在り方を引き続き検討すること。
十四 一部の地方公共団体において公文書館と公立図書館との併設を行っていることを踏まえ、これを可能とするための支援を検討すること。
十五 宮内庁書陵部及び外務省外交史料館においても、公文書等について国立公文書館と共通のルールで適切な保存、利活用が行われるよう本法の趣旨を徹底すること。