農業法人に対する投資の円滑化に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
農林水産物・食品の輸出の促進、スマート農林水産業の進展等、農林漁業及び食品産業を取り巻く諸情勢の変化に対処し、その持続的な発展に向けては、家族農業経営発展の支援及び農業経営の法人化を引き続き推進するとともに、農林漁業の生産現場から、輸出、製造、加工、流通、小売、外食等に至るフードバリューチェーン全体への資金供給の促進を図ることが重要な課題となっている。
よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。
記
一 改正後の農林漁業法人等投資育成事業の投資対象が現行よりも大幅に追加・拡大される前提として、我が国の農林漁業は、家族経営及び地域に根差した法人等による経営が中心であり、これらの農林漁業者の経営の安定と所得の向上がその持続的な発展に必要不可欠であることを十分認識し、政府主導で設立した株式会社農林漁業成長産業化支援機構の反省も踏まえた上で、本法に基づく民間の資金供給を促進する制度を適切に運用すること。
二 農林漁業法人等に対する投資育成事業の実施に当たっては、出資、融資等の資金調達に係る利用者の自主的な判断を尊重した上で、農林漁業法人等が本制度による出資を活用する際に、農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略の実施、六次産業化の推進等、農林漁業及び食品産業の持続的な発展に寄与するための幅広い施策との連携が可能となるよう、丁寧な制度の説明及び周知を図ること。
三 外国法人への投資割合規制を緩和する改正後の法第十二条の運用等、外国法人に対する投資育成事業の実施に当たっては、国内における投資以上に投資リスクが懸念されることを踏まえて、投資主体に対する適切な指導・監督を行う体制を確保する観点から事業計画の承認に係る基準等を定めるとともに、当該投資リスクの低減に万全を期すこと。
右決議する。