衆議院

メインへスキップ



国有林野の有する公益的機能の維持増進を図るための国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する等の法律案に対する附帯決議

 

我が国の森林面積の三割を占める国有林野は、森林の有する多面的機能の持続的な発揮を図り、厳しい状況に置かれている林業を活性化するとともに、東日本大震災からの復旧・復興の円滑かつ迅速な推進を図る上で、その果たすべき役割は極めて重要である。

 よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

             記

一 国有林野事業の一般会計化に伴い、新たに設置する国有林野事業債務管理特別会計において既存債務の処理を経理するに当たっては、新たな国民負担を生じさせないとの基本的な方針の下、従前どおり、毎年度、利子補給に係る必要な予算措置を講ずること。

二 国有林野事業債務管理特別会計が承継する債務については、林産物収入等により着実な償還が図られるよう、国有林野事業の一層効率的かつ適正な運営に取り組むこと。その際、国有林野の有する公益的機能の維持増進に十分配意すること。

三 公益的機能の維持増進、民有林との一体的な整備及び保全の推進等国有林野事業に求められる多様な役割が確実に果たされるよう、厳しい財政状況や国有林野事業の現場管理の実情を踏まえた適正な定員規模等の確保、組織体制の構築、人材の育成、技術の継承等を図るとともに、国有林野事業の職員の労働条件を整備すること。

四 新たに創設される国有林と民有林の一体的な整備及び保全を推進する仕組みについては、森林の有する公益的機能の維持増進が図られるよう、地域の実情に応じて適切に活用すること。また、森林の整備・水源林の保全に係る施策については、国と地方公共団体・森林組合・林業事業体・森林所有者等の連携を一層深めることにより、着実に推進するとともに、必要な地籍調査への取組を強化すること。

五 平成二十五年から開始される京都議定書第二約束期間への参加の有無に関わらず、平成二十五年以降の森林吸収源対策に必要な財源を確保すること。併せて、石油石炭税に係る「地球温暖化対策のための課税の特例」による税収の使途に、森林吸収源対策が位置付けられるよう検討を進めること。

六 木材価格が安定的に推移し、山元への収益の還元が図られるよう、外材価格及び為替レートにも留意しつつ、地域ごとの木材価格や需給動向を把握、分析し、木材供給の調整を図ること。また、間伐材の活用や公共建築物等における木材利用の促進など国産材の需要拡大に全力を挙げること。

七 東日本大震災からの復旧・復興に向け、海岸防災林の再生、復興需要に応じた木材の安定供給、地域雇用の創出、森林の除染等を着実に進めるため、国有林野事業の組織・技術・資源を積極的に活用すること。

八 多額の累積債務を抱える都道府県林業公社について、都道府県の要望、厳しい財政状況や低迷する木材価格の動向を踏まえ、着実な債務返済が図られるよう、その一層効率的かつ効果的な森林経営の推進に必要な対策を検討すること。また、平成二十五年以降の温室効果ガス削減目標を確実に達成するため、森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法による地方財政措置の継続について、速やかに検討の上、法的措置を講ずること。

右決議する。

 

衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.