食料供給困難事態対策法案に対する附帯決議
世界人口の増加に伴い食料需要が増大する一方で、気候変動に伴う世界的な食料生産の不安定化等、世界の食料供給が不安定化することに伴い、我が国においても大幅な食料の供給不足が発生するリスクが増大していることから、政府が一体となり総合的に対策を実施することにより、国民生活の安定及び国民経済の円滑な運営に支障が生ずる事態の発生をできるだけ回避し、又はこれらの事態が国民生活及び国民経済に及ぼす支障が最小となるようにすることが重要である。
よって、政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。
記
一 食料供給困難事態の未然防止を図るため、我が国農林水産業の生産基盤の強化に向けた平素の取組の充実に努めること。
二 食料の輸入については、不測時に備えた平時からの取組が重要であることを踏まえ、輸入相手国との連携強化のための政府間対話等の実施に一層努めること。
三 備蓄による対応は、国内生産量や輸入量が不足する場合の、初動的かつ即効性・確実性のある供給確保対策であることを踏まえ、特定食料等の備蓄に関して検討を行い、基本方針に適切に反映させるとともに、その他所要の措置を講ずるよう努めること。
四 不測時において国民に必要な食料を供給するため、スイスにおける食料安全保障の状況のシミュレーションや評価のための意思決定支援システムを参考にして、生産する品目や作付農地などのシミュレーションを行う仕組みを構築すること。
五 食料供給困難事態の発生等の公示に当たっては、国会に速やかに報告するとともに、国民生活及び国民経済に混乱が生ずることのないよう、国民に対し丁寧に説明すること。
六 関係省庁が適切に役割分担するとともに相互に連携協力し、政府一丸となって食料供給困難事態対策を講ずること。
七 計画届出の指示については、真に必要な者及び場合に限るなど、適切かつ慎重な運用に努めること。
八 計画変更の指示に従わなかった場合等の公表については、公表された者が誹謗や中傷を受けるおそれがあることを踏まえ、適切かつ慎重な運用に努めること。また、公表措置の対象とならない「正当な理由」が認められる場合について、具体的な事例を挙げながら関係者にわかりやすく示すこと。
九 食料供給困難事態が発生した際の対策その他の本法に基づく措置について、生産者を始めとする全ての関係者に対して、その目的及び内容について十分周知すること。
右決議する。