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   家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 

平成三十年九月以降、国内における豚熱の発生を受け、農林水産省は、都道府県や関係省庁と連携し、防疫の基本となる飼養衛生管理の徹底、予防的ワクチンの接種、野生イノシシの捕獲強化や経口ワクチン散布等を行い、豚熱の封じ込めに向けて対策を講じてきたところである。

一方、ワクチンや有効な治療方法がないアフリカ豚熱はアジア地域で急速に拡大し、我が国への侵入の脅威が一層高まっている。本委員会においては、家畜の悪性伝染性疾病のまん延は我が国畜産業に深刻な打撃を与えるという認識の下に、アフリカ豚熱を予防的殺処分の対象とするための法律案の起草等を行ってきたところである。

豚熱を早期に終息させ、アフリカ豚熱等の悪性伝染性疾病の国内への侵入を防止することは、我が国の畜産の振興を図る上で最優先かつ最重要の課題であり、引き続き、政府、都道府県、関係者一体となって家畜防疫に取り組む必要がある。

 よって、政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

                 記

一 都道府県が飼養衛生管理に係る指導等に積極的に取り組むために、都道府県の飼養衛生管理指導等計画の策定について十分な指導及び助言を行い、家畜の伝染性疾病の発生予防を図ること。また、都道府県による飼養衛生管理に係る指導等の取組状況を正確に把握し、的確な指導を行うこと。特に、養豚農場における飼養衛生管理の水準が向上するよう措置すること。

二 家畜の伝染性疾病の発生予防及びまん延防止のための措置に係る国、地方公共団体、家畜の所有者、関連事業者及び自衛防疫団体の相互の連携を強化し、実効性のある防疫措置を実施するために、協議会を積極的に開催し、その活用を図ること。

三 家畜伝染病の発生時における適切かつ迅速な初動対応を実施するために、家畜の健康観察により特定症状が確認された場合には、直ちに家畜保健衛生所に通報するよう、都道府県と連携しつつ、家畜の所有者その他畜産業従事者への周知を徹底すること。

四 海外からの畜産物の違法持込みに対する罰則強化、当該違反畜産物の廃棄等の家畜防疫官の権限強化については、厳格に運用し摘発を強化するとともに、外国政府、船舶・航空会社及び旅行会社等を通じてその周知を徹底すること。また、家畜防疫官の増員、検疫探知犬の増頭等により水際検疫に係る体制の充実・強化を図ること。

五 野生動物に悪性伝染性疾病の発生が確認された場合においては、飼養衛生管理基準の遵守に係る勧告・命令を含むまん延防止措置が的確に行われるよう速やかに都道府県知事に指示すること。また、野生鳥獣の捕獲活動に従事する者の高齢化・減少が進む中、野生イノシシによる養豚農場への豚熱等の侵入リスクの軽減及び浸潤状況調査のため、関係者が緊密に連携して、戦略的にその捕獲を強化するとともに、陰性が確認された個体の適切な利用に向けた取組を推進すること。

六 飼養衛生管理基準の見直しによるエコフィードに係る加熱処理条件の引上げについては、農場における遵守はもとより、食品リサイクル事業者が円滑に対応できるよう、施設の更新に係る低利融資等の支援を行うこと。

右決議する。

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