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   復興庁設置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 

 政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

 

一 復興・創生期間後の復興事業規模の縮小と新型コロナウイルスの感染拡大による苦境に係る被災地の現状把握に努めるとともに、地元の要望を踏まえた経済支援策の実施を検討すること。また、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う非常事態措置により人の交流や移動の自粛が求められていることから、収束後を見据えた観光業等を支援するための対策を検討すること。

 

二 東日本大震災において蓄積されたノウハウを活かし、被災者に対し実施された各種支援策を新型コロナウイルスにより苦境にある事業者等への支援策に活用することを検討すること。

 

三 復興庁が被災地のニーズにワンストップで対応できるよう、更に権限強化を図るとともに、これまで蓄積した復興に係るノウハウを関係行政機関と共有し、今後起こり得る大規模災害に活用していくこと。また、複合災害である東日本大震災の教訓を踏まえた災害時のデータ収集及び活用の在り方を検討すること。さらに、オンライン等の活用を含めた防災教育の拡充にも努めること。

 

四 岩手、宮城の復興局の位置を政令で定めるに当たっては、被災地方公共団体の意見を十分に踏まえて決定するとともに、被災地の復興が着実に進展するよう十分に配慮すること。

 

五 「新しい東北」に資する国際リニアコライダー等の国際研究開発プロジェクトが我が国で実施される場合には、被災地に誘致されるよう関係機関と連携、協力すること。

 

六 心のケア等の被災者支援等については、時間の経過とともに被災者の個々の事情に即したきめ細やかな対応が必要であることから、実情の把握に努め、被災者ひとりひとりに寄り添った対応をとること。また、被災者のコミュニティ形成や居場所づくりを支援するNPO法人等に対する支援を講ずること。

 

七 児童生徒への心のケアは長期にわたることを踏まえ、特別な教員加配、スクールカウンセラー等の配置等の支援策は今後も継続すること。

 

八 人口減少に歯止めがかかっていない被災地に対し、移住・定住促進策を検討すること。

 

九 住宅再建が遅れている地域における事業の加速化を図るため、建設事業者等への支援策を検討すること。

 

十 土地区画整理事業等による宅地造成後に生じた空き区画等の利用を促進するため、その解消に向けた必要な措置を講ずること。また、移転跡地の利活用促進に向けた必要な措置を講ずること。

 

十一 政令で定めるとされる復興推進計画及び復興整備計画の対象地域、復興特区税制の対象地域については、復興状況や必要となる事業の見込みだけでなく、被災地の意見にも十分に配慮すること。

 

十二 帰還・移住等環境整備交付金については、福島県及び対象市町村がその地域の特性に即して自主的かつ主体的に事業を実施できるよう十分な予算を確保するとともに、新しい住民の定着につながる魅力的なまちづくり等に資するよう、柔軟な執行ができるようにすること。また、帰還政策に加え、移住政策が推進されるとしても、自主避難者、県外避難者を含めた避難者の人権を最大限尊重し、最後の一人に至るまで必要な支援を継続すること。

 

十三 避難指示解除区域等の農業については、地元の担い手に加えて、意欲を持った外部からの参入も含めた農地の利用集積や六次産業化施設の整備を促進し、営農再開の加速化を図ること。また、福島県知事による農用地利用集積等促進計画の作成に当たっては、所有者不明農地を含めた一体的な権利設定や農地転用等の特例を十分に活用できるよう、福島県や対象市町村と連携し、技術的な助言など必要な支援を行うこと。

 

十四 福島イノベーション・コースト構想の推進の中核的な機関である公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構の法定化に伴い、産業集積や人材育成等の取組を更に進めるため、国職員派遣による人的支援や財政的支援、関係省庁による一層の連携強化など、機構が十分に活動できるよう総合的に支援すること。また、同構想を進めるに当たっては、地元の企業が参画し、地元の若者の人材育成等に資するよう配慮すること。併せて原子力被災十二市町村の事業・生業の再建については、公益社団法人福島相双復興推進機構を通じて、福島県や市町村等と連携しながら、きめ細やかな支援を引き続き行うこと。

 

十五 あらゆるチャレンジが可能な地域として、福島の浜通り地域等に国内外の研究機関や大学、企業等を呼び込むため、国際教育研究拠点を推進するとともに、福島ロボットテストフィールド等の拠点を核として、地域全体が研究・実証フィールドとして活用されるよう、研究開発や実証の促進等に資する規制緩和等を検討すること。

 

十六 根強く残る福島の農林水産物等の風評被害払拭のため、生産から流通、消費に至るまでの総合的な施策を継続的に講ずるとともに、諸外国・地域における輸入規制の撤廃・緩和に向けた働きかけや海外における風評対策を強化すること。また、被災地の農林水産物については、必要な措置を検討すること。

 

十七 福島の森林・林業の再生に向けた「ふくしま森林再生事業」等については、復興・創生期間後も支援を継続し、事業を実施するための予算を十分に確保するとともに、現行の対象地域での推進を図ること。

 

十八 福島イノベーション・コースト構想の推進に資する事業を実施する事業者や風評被害に対処するための事業活動を実施する事業者に対する税制措置については、より多くの事業者が課税の特例を受けられるよう配慮すること。

 

十九 福島県知事が作成する福島復興再生計画の認定に当たっては、福島県及び市町村が地域の実情を踏まえて、自主的かつ主体的に事業を実施することを旨として認定されるものとすること。また、福島復興再生計画に掲げる取組を確実に実施できるよう十分な予算を確保すること。

 

二十 福島復興再生基本方針を変更するに当たっては、地元の意見を丁寧に聴き、これに寄り添った対応をとること。

 

二十一 東京電力福島第一原子力発電所で増え続ける、いわゆるALPS処理水の処分方法については、更なる議論を尽くし地元をはじめとする国民の理解を得た上で慎重かつ丁寧に決定すること。

 

二十二 原子力災害が長期に及ぶことを踏まえ、復興・創生期間後においても切れ目なく、安心感を持って復興に専念できるよう、長期的かつ十分な財源を確保すること。また、復興のステージが進むにつれて生じる新たな課題や多様なニーズをきめ細かく把握し、福島の復興・再生が実現するまで国が前面に立って、被災地に寄り添いながら最後まで責任を果たすこと。

 

二十三 日本郵政株式会社の株式の売却収入は、貴重な復興財源であることから、株式の売却に当たっては、売却収入が少しでも多く得られるよう株式市況を見極めて売却時期を慎重に判断すること。

 

二十四 復興・創生期間後五年間における復興事業の財源については、復興特別所得税の上振れ分を見込むこととしているが、新型コロナウイルス感染症の拡大により経済活動の停滞、景気の後退に伴う税収の減収も懸念されることから、復興事業が滞ることのないよう必要な財源を確保すること。

 

二十五 エネルギー対策特別会計のエネルギー需給勘定から電源開発促進勘定へ繰入れを行う場合は、その使途を真に福島の復興再生に資する事業に限定し、透明性を確保するとともに、将来的にエネルギー需給勘定へ確実に繰戻しを行うこと。

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