衆議院

メインへスキップ



   取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律案に対する附帯決議

 

 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 

一 売主が消費者(非事業者である個人)であるCtoC取引の「場」となるデジタルプラットフォームの提供者の役割について検討を行い、消費者の利益の保護の観点から、必要があると認めるときは、法改正を含め所要の措置を講ずること。

 

二 本法第三条で、取引デジタルプラットフォーム提供者が努力義務として講ずるべきとされている措置等の実施状況について実態把握に努めるとともに、必要に応じ、消費者の利益の保護の観点から、更なる実効性の確保について検討を行い、必要があると認めるときは、法改正を含め所要の措置を講ずること。

 

三 本法第四条の取引デジタルプラットフォームの利用の停止等に係る要請等の実施状況について実態把握に努めるとともに、必要に応じ、消費者の利益の保護の観点から、更なる実効性の確保について検討を行い、必要があると認めるときは、法改正を含め所要の措置を講ずること。

 

四 本法第四条第一項第一号の著しく事実に相違する表示等の解釈については、商品の安全性の判断に資する事項等を表示しないことをもって消費者が誤認する場合を含むものであることを明らかにすること。

 

五 本法第四条第一項第一号の「商品の性能又は特定権利若しくは役務の内容に関する重要事項として内閣府令で定めるもの」については、取引デジタルプラットフォームにおける消費者被害の実態を踏まえたうえで定めること。また、消費者被害の実態や情報通信技術の発展を踏まえて適宜検討を加え、必要に応じ機動的に内閣府令の改正を行うこと。

 

六 本法第五条第一項の「内閣府令で定める額」を定めるに当たっては、取引デジタルプラットフォームを利用して行われる取引における消費者被害の実態に照らし、必要十分な消費者が開示請求制度を利用できるよう、適切な額とすること。

 

七 デジタルプラットフォームに利用される情報通信技術は急速に進展し得るものであるため、本法第五条第一項の販売業者等情報を内閣府令において定めるに当たっては、消費者が自己の債権を行使するために必要かつ十分な範囲の情報が開示請求の対象となるようにするとともに、必要に応じ機動的に内閣府令の改正を行うこと。

 

八 いわゆる情報商材等を取扱う販売業者等が参加する取引デジタルプラットフォームや、SNSを利用して行われる取引における消費者被害の実態の把握を行い、必要があると認めるときは、所要の措置を講ずること。

 

九 デジタル広告、不正又は悪質なレビュー、パーソナルデータのプロファイリングに基づく表示等の課題について、消費者の利益の保護の観点から検討を行い、必要があると認めるときは、所要の措置を講ずること。

 

十 外国会社との消費者被害の解決を促進させるため、関係省庁が連携して会社法第九百三十三条第一項第一号の定める外国会社登記における代表者登記義務を周知するとともにその履行を促すこと。また、関係省庁が連携して販売業者等又は取引デジタルプラットフォーム提供者たる外国会社の事業が不法な目的に基づいて行われた事案の把握に努め、そのような事案を把握したときには、会社法第八百二十七条第一項の定める取引継続禁止命令の申立てを検討すること。

 

十一 CtoC取引を含めたデジタルプラットフォームにおける取引に関する紛争を効率的・実効的に解決するためのオンラインによる手続が可能な裁判外紛争解決手続(ODR)の提供について検討を行い、必要があると認めるときは、所要の措置を講ずること。

 

十二 本法の制定趣旨や各条項の解釈等について、消費者、取引デジタルプラットフォーム提供者、販売業者等、関係行政機関などに対して十分な周知徹底を図ること。

 

十三 消費者が取引デジタルプラットフォームを適切に利用できるよう、デジタル社会において身に付けるべき知識を習得するための消費者教育を充実すること。特に、令和四年四月からの成年年齢の引下げの影響を受ける若年者や、「新しい生活様式」として利用が拡大している高齢者に対して積極的に取り組むこと。

 

十四 デジタルプラットフォームに利用される情報通信技術の急速な進展に伴う消費者被害の複雑化・多様化や、海外の行政機関との連携の必要性に鑑み、消費者庁その他の関係省庁の予算、機構・定員を十分確保すること。

衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.