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   消費者契約法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 

 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 

一 本法第四条第三項第三号及び第四号における、社会生活上の経験が乏しいことから、過大な不安を抱いていること等の要件の解釈については、契約の目的となるもの、勧誘の態様などの事情を総合的に考慮して、契約を締結するか否かに当たって適切な判断を行うための経験が乏しいことにより、消費者が過大な不安を抱くことなどをいうものとし、年齢にかかわらず当該経験に乏しい場合があることを明確にするとともに、法解釈について消費者、事業者及び消費生活センター等の関係機関に対し十分に周知すること。また、本法施行後三年を目途として、本規定の実効性について検証を行い、必要な措置を講ずること。

 

二 法第九条第一号における「当該事業者に生ずべき平均的な損害の額」の立証に必要な資料は主として事業者が保有しており、消費者にとって当該損害額の立証が困難となっている場合が多いと考えられることから、損害賠償額の予定又は違約金を定める条項の運用実態について把握を進めた上で、「平均的な損害の額」の意義、「解除に伴う」などの本号の他の要件についても必要に応じて検討を加えた上で、当該損害額を法律上推定する規定の創設等の立証責任の負担軽減に向け早急に検討を行い、本法成立後二年以内に必要な措置を講ずること。

 

三 消費者が合理的な判断をすることができない事情を不当に利用して、事業者が消費者を勧誘し契約を締結させた場合における取消権の創設について、要件の明確化等の課題を踏まえつつ検討を行い、本法成立後二年以内に必要な措置を講ずること。

 

四 本法第三条第一項第二号の事業者の情報提供における考慮要素については、考慮要素と提供すべき情報の内容との関係性を明らかにした上で、年齢、生活の状況及び財産の状況についても要素とするよう検討を行うとともに、消費者が事前に消費者契約の条項を容易に知ることができるようにするための契約条項の開示の在り方についても検討を行うこと。

 

五 消費者契約の条項について解釈を尽くしてもなお複数の解釈の可能性が生じた場合には事業者に不利な解釈を採用するなど、消費者の利益擁護の観点から消費者契約の条項の解釈の在り方についての検討のほか、「消費者」概念の在り方(法第二条第一項)、断定的判断の提供(法第四条第一項第二号)、「第三者」による不当勧誘(法第五条第一項)、法定追認の特則、先行行為等の不利益事実の不告知(法第四条第二項)にかかる要件の在り方、威迫・執拗な勧誘等の困惑類型の追加、サルベージ条項等の不当条項の類型の追加など消費者委員会消費者契約法専門調査会報告書において今後の検討課題とされた事項につき、引き続き検討を行うこと。

 

六 本法施行後五年を目途として、独立行政法人国民生活センターや地方公共団体との間でPIO―NETの活用による一層の連携を図ること等により、消費者の被害状況や社会経済情勢の変化を把握しつつ、消費者契約法の実効性をより一層高めるため、同法の見直しを含め必要な措置を講ずること。

 

七 差止請求制度及び集団的消費者被害回復制度が実効的な制度として機能するよう、適格消費者団体及び特定適格消費者団体に対する財政支援の充実、PIO―NETに係る情報の開示の範囲の拡大、両制度の対象範囲を含めた制度の見直しその他必要な施策を行うこと。

 

八 特定適格消費者団体による仮差押命令申立てにおける独立行政法人国民生活センターの立担保に係る手続等について消費者裁判手続特例法の趣旨を損なうことのない運用に努めること。

 

九 地方消費者行政の体制の充実・強化のため、恒久的な財政支援策を検討するとともに、既存の財政支援の維持・拡充、消費者行政担当者及び消費生活相談員に対する研修の充実、消費生活相談員の処遇改善等による人材の確保その他適切な施策を実施すること。

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