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   放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議

 

今般の日本放送協会の新会長選出過程における情報の錯綜及び混乱を招く事態となった経営委員会の体制の不備は、公共放送の経営に関する最高意思決定機関としてあってはならないことであり、国民の信頼を著しく損ねた。その上、いまだに、不祥事を起こす職員が後を絶たず、由々しき事態となっている。

協会及び政府は、かかる深刻な事態を厳粛に受け止め、協会に対する国民・視聴者の信頼を回復し、公共放送としての使命を全うできるよう、次の事項についてその実現を期すべきである。

 

一 経営委員会は、協会の業務執行の監督及び経営に関する最高意思決定機関として、その重い職責を担うものであることを十分に認識し、協会を共に構成する執行部との意思疎通を十分に図りながら、早急に新体制を構築し、国民・視聴者から信頼される公共放送の発展のための努力を行うこと。

また、政府は、委員については、全国、各分野から幅広く、公正な判断をすることができる十分な経験と見識を有する者が選任されるよう配意するとともに、今後の委員の人選の在り方について十分な検討を行うこと。

 

二 協会は、内部統制機能の強化によるコンプライアンスの徹底に努めるとともに、職員の一人一人が、視聴者の目線に立ち、公共放送に携わる者としての高い倫理意識を確立し、組織一体となって改革に取り組むこと。また、その取組の状況を広く国民・視聴者に説明し、信頼の回復に最善を尽くすこと。

 

三 協会は、災害時等において、国民が必要とする地域生活に密着した正確な情報や最新ニュースを時宜に応じて提供する必要があることから、緊急報道体制のさらなる充実・強化に努めること。

また、今回の東北地方太平洋沖地震においては、放送される情報が被災者に適切に提供されるよう最善を尽くすとともに、その後の被災者の状況を含め被災地の復興過程が国民・視聴者に伝わるよう配意すること。

さらに、高齢者、障害者に関わるデジタル・ディバイドの解消が喫緊の課題となっていることから、字幕放送、解説放送等のさらなる拡充を図ること。

 

四 政府は、放送が災害時等における貴重な情報源であることを踏まえ、共聴施設の改修や経済的弱者等の世帯における受信設備のデジタル化の支援等にあらゆる対策を講じ、地上放送の完全デジタル化の円滑な実現に万全を期すこと。

 

五 協会は、国民・視聴者との信頼関係に基づき負担される受信料により維持運営されていることを深く認識し、公平負担の観点からも、契約の締結と受信料の収納が確保されるよう、公共放送の存在意義と受信料制度に対する国民の理解促進に努めること。

 

六 協会は、放送が社会に及ぼす影響の重大性を強く自覚し、自律性、不偏不党性を確保して、真実に基づく報道、豊かで良質な番組の放送に一層努めること。

 

七 デジタル放送への移行等、放送をめぐる環境が大きく変化する中において、引き続き協会が新しい時代の放送の担い手として先導的役割を果たすよう努めるとともに、新時代の公共放送の在り方についても検討すること。

 

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