衆議院

メインへスキップ



   新型コロナウイルス感染症等の影響による社会経済情勢の変化に対応して金融の機能の強化及び安定の確保を図るための銀行法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 

 政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 

一 銀行及びその子会社等の業務範囲規制や銀行等の出資規制を緩和するに当たっては、銀行法が銀行の業務の公共性に鑑みながら、国民経済の健全な発展に資することを目的としていることを踏まえ、利益相反取引の防止、優越的地位の濫用の防止、他業リスクの排除の観点から、銀行グループが自己の利益のみを追求することなく、国民経済の成長や地方創生のためにその役割を適切に果たすようモニタリングを行うとともに、本法附則第四十四条に検討条項があることを踏まえ、必要があると認めるときは、適時適切に制度の見直しを行うこと。

 

二 国際金融機能の強化のための海外の高度金融人材の呼び込みや金融事業者の参入の促進においては、本法や税制上の措置など費用面からの取組だけではなく、金融教育やイノベーション促進のための成長資金需要の拡大といった期待収益面からの取組を積極的に進めること。

 

三 移行期間特例業務及び海外投資家等特例業務制度の運用においては、国内外の投資家保護のため海外当局とも連携し適切なモニタリングを行うこと。

 

四 銀行等保有株式取得機構が保有する株式の受託会社を通じた議決権行使においては、コーポレートガバナンスが機能するよう適切に監視すること。また、同機構の存続期限がこれまで幾度も延長されていることを踏まえ、市場の動向をみながら、可能な限り早急に株式等の処分を進めること。

 

五 本法に基づく資金交付制度の運用に当たっては、制度上、勘定廃止の際に国庫に納付することとされている資金を活用することに鑑み、その交付により金融機関等が地域経済の活性化等に果たした役割などに関し、国会に対する説明責任を十分に果たすこと。

 

六 五の資金交付制度の運用に当たっては、日本銀行が実施する「地域金融強化のための特別当座預金制度」との間で十分に連携することにより、地域金融機能の強化が効率的かつ効果的に実現されるよう努めること。

 

七 「物価安定の目標」を達成するための日本銀行による超低金利政策の長期化が、金融機関の資金利益の悪化を通じて金融仲介機能に悪影響を及ぼし得ることに鑑み、日本銀行との共同声明である「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携」に掲げる目的を早期に達成するべく、正規雇用を促進するとともに、企業の生産性向上分を賃金に反映することで労働分配率を上昇させるための取組を一層積極的に行うこと。

衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.