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国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の締結について承認を求めるの件(条約第一号)の概要

 本件は、標記の条約の締結について、国会の承認を求めるものである。

この条約は、監護の権利の侵害を伴う国境を越えた子の連れ去り等が生じた場合に原則として常居所を有していた国に子を迅速に返還するための国際協力の仕組み、国境を越えた親子の接触の実現のための協力等について定めるものであり、その主な内容は次のとおりである。

一 子の連れ去り又は留置は、当該連れ去り又は留置の直前に子が常居所を有していた国の法令に基づいて個人等が共同又は単独で有する監護の権利を侵害しており、かつ、当該連れ去り又は留置の時に当該監護の権利が現実に行使されていた場合等には、不法とすること。

二 この条約は、監護の権利又は接触の権利が侵害される直前にいずれかの締約国に常居所を有していた子について適用するが、子が十六歳に達した場合には適用しないこと。

三 締約国は、この条約により中央当局に対して課される義務を履行するため、中央当局を指定すること。

四 中央当局は、直接に又は仲介者を通じて、子の所在の特定、子の任意の返還又は友好的な解決の促進、子の返還及び接触の権利の行使のための手続の開始についての便宜の供与等のため、全ての適当な措置をとること。

五 監護の権利が侵害されて子が連れ去られ、又は留置されたと主張する個人等は、子の常居所の中央当局又は他の締約国の中央当局に対し、子の返還を確保するための援助の申請を行うことができること。

六 子が不法に連れ去られ、又は留置されている場合には、子が現に所在する締約国の司法当局又は行政当局は、原則として、当該子の返還を命ずること。

七 要請を受けた国の司法当局又は行政当局は、子の返還に異議を申し立てる個人等が、返還することによって子が心身に害悪を受け、又は他の耐え難い状態に置かれることとなる重大な危険があること等を証明する場合には、子の返還を命ずる義務を負わないこと。

八 この条約に基づく子の返還に関する決定は、監護の権利についての本案の判断としてはならないこと。

九 接触の権利の効果的な行使を確保するための援助の申請は、締約国の中央当局に対して、子の返還を求める申請と同様の方法によって行うことができること。

十 この条約は、締約国間において、この条約が当該締約国について効力を生じた後に行われた不法な連れ去り又は留置についてのみ適用すること。

なお、我が国は、この条約の規定に従って、弁護士等の参加又は裁判所における手続により生ずる費用について、一定の場合を除くほか、負担する義務を負わないこと等の留保を付する予定である。

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