刑事に関する共助に関する日本国とブラジル連邦共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第八号)概要
本件は、標記の条約の締結について、国会の承認を求めるものである。
この条約は、我が国とブラジルとの間の捜査、訴追その他の刑事手続に関する共助を実施するための枠組みについて定めるものであり、その主な内容は次のとおりである。
一 各締約国は、他方の締約国の請求に基づき、捜査、訴追その他の刑事手続についてこの条約の規定に従って共助を実施すること。
二 共助には、⑴証言又は供述の取得、⑵映像及び音声の送受信による通話(以下「ビデオ会議」という。)を通じた聴取を可能とすること、⑶物件(証拠となる書類、記録その他の物)の取得(捜索又は差押えによるものを含む。)、⑷人、物件又は場所の見分、⑸人、物件若しくは場所又はこれらの所在地の特定、⑹被請求国の立法機関、行政機関若しくは司法機関又は可能な場合には地方公共団体の保有する物件の提供、⑺請求国における出頭が求められている者に対する招請の伝達、⑻拘禁されている者の身柄の移送であって証言の取得その他の目的のためのもの、(9)刑事手続に関する文書の送達、⑽犯罪の収益又は道具の没収及び保全並びにこれらに関連する手続についての共助等を含むこと。
三 各締約国は中央当局を指定すること。日本国の中央当局については法務大臣若しくは国家公安委員会又はこれらがそれぞれ指定する者とし、ブラジルの中央当局については法務治安省とすること。
四 両締約国の中央当局は、この条約の実施に当たって、相互に直接連絡を行うこと。
五 被請求国の中央当局は、請求国における捜査、訴追その他の手続の対象となる行為が自国の法令によれば犯罪を構成しないと認める場合等においては、共助を拒否することができること。
六 被請求国は、請求国の権限のある当局が被請求国に所在する者を証人又は鑑定人として聴取する必要がある場合において、その聴取が請求国の手続において必要であるときは、当該当局がビデオ会議を通じて当該者から証言又は供述を取得することを可能とすることができること。
七 両締約国の中央当局は、この条約に基づく迅速かつ効果的な共助の実施を促進する目的で協議するものとし、当該目的に必要な措置について決定することができること。