税源浸食及び利益移転を防止するための租税条約関連措置を実施するための多数国間条約の締結について承認を求めるの件(条約第四号)概要
本件は、標記の条約の締結について、国会の承認を求めるものである。
この条約は、国際的な租税回避行為に対処するための租税条約関連措置を迅速に、協調して、及び一致して実施するための法的枠組みについて定めるものであり、その主な内容は次のとおりである。
一 この条約は、二者以上の間で効力を有する租税協定であって、その各締約国がこの条約の対象とすることを希望するもの(以下「対象租税協定」という。)を修正すること。
二 対象租税協定の前文に、租税条約は脱税又は租税回避を通じた非課税又は租税の軽減の機会を生じさせることなく二重課税を除去することを意図して締結される旨を追加すること。
三 取引等の主要な目的が対象租税協定の特典を受けることである場合には当該対象租税協定の特典は与えられない旨の規定を当該対象租税協定について適用し、特典を享受することができる者を一定の要件を満たす適格者等に限定する旨の規定を対象租税協定について適用することを選択することができること。
四 契約の締結に関する一定の代理人を有する場合には、その代理人の存在をもって恒久的施設を有するものとする旨の規定を対象租税協定について適用すること。
五 事業を行う一定の場所を通じて行われる場合においても恒久的施設を構成しないものとされる特定の活動に関する規定及び関連者間で細分化された事業活動はそれらを組み合わせて恒久的施設を認定する旨の規定を対象租税協定について適用すること。
六 対象租税協定の規定に適合しない課税について権限のある当局に対して申立てをすることができる旨及び権限のある当局が相手国の権限のある当局との合意によって事案を解決するよう努める旨の規定を当該対象租税協定について適用すること。
七 対象租税協定について、この条約の仲裁条項を適用することを選択することができ、その場合は、この条約の仲裁条項は、仲裁を規定する対象租税協定の規定に代えて、又は仲裁を規定していない対象租税協定について適用すること。